説明

ポジ型レジスト及びレジストパターン形成方法

【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本発明は、ポジ型レジスト及びそれを用いたレジストパターン形成方法に関する。
[発明の概要]
本発明は、ポジ型レジストにおいて、 ベースポリマー100重量部に対し、感光剤を1〜50重量部と、一般式

(但し、R,R′,R″は各々炭化水素基を表わす)で示される化合物を0.1〜30重量部を含有させたことにより、 例えば、アルカリ水溶液に浸すなどの前処理が不要となり、且つレジスト下部まで難溶化層形成によるレジスト形状改善効果が得られるようにしたものである。
[従来の技術]
従来、エキシマレーザ(248.8nm)を用いたレジストパターニング技術のように、通常のレジストでの光吸収の大きい光源を利用する系では、形成されたレジスト形状が悪くなる(レジストパターンの断面矩形性が得られない)という問題点があった。そこで、ナフトキノンジアジドを感光剤とする通常のポジ型レジストの形状を改善する手法として、露光前にTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液等のアルカリ水溶液に浸すことにより、レジスト表層に難溶化層を形成し、レジスト形状の向上を図ったものがある。
[発明が解決しようとする課題]
しかしながら、このような従来のポジ型レジスト及びレジストパターン形成方法にあっては、被処理体上に塗布、形成されたレジストの下層まで難溶化させることが出来ず、露光現像されたレジストの形状は必ずしも満足のいくものではなかった(第2図参照)。
本発明は、斯る従来の問題点に着目して創案されたものであって、所望の十分に改善されたレジストパターン形状が得られるポジ型レジスト及びレジストパターン形成方法を提供するものである。
[課題を解決するための手段]
本発明は、ベースポリマー100重量部に対し、感光剤を1〜50重量部と、一般式

(但し、R,R′,R″は各々炭化水素基を表わす)で示される化合物を0.1〜30重量部を含有させたことを、その解決手段としている。
[作用]
一般式

(但し、R,R′,R″は各々炭化水素基を表わす)で示される化合物を、光照射により、高い量子収率でアミンを発生する。このアミンによりポジ型レジストでの難溶化層を形成する。このため、光強度のコントラストの低い解像限界に近いパターン形成に有効となる。
[実施例]
以上、本発明に係るポジ型レジスト及びレジストパターン形成方法の詳細を実施例に基づいて説明する。
本実施例においては、ベースポリマーとしてクレゾールノボラック樹脂を用い、このベースポリマー100重量部に対し、感光剤としてナフトキノンジアジドを1〜50重量部と、一般式

で示される化合物を0.1〜30重量部と、を配合して成るポジ型レジストとした。
斯るポジ型レジストを被処理物(半導体基板等)の上に塗布し、エキシマレーザ(波長248.4nm)により露光を行なった。
本実施例では、必要に応じてベイキングを施した後、感光剤に対応したエキシマレーザ光を照射して、露光を行なった。
次いで、現像を行なうが、本例ではTMAHの2.38wt%水溶液を現像液として用いた。
上記により、形状の良好なレジストパターンが得られた。特に、アルカリ処理のない場合、及び単独のアルカリ処理液で処理した場合に比べ、第1図に示すような格段に良好なレジスト形状が得られた。
本実施例の如く、本発明をエキシマレーザ・リソグラフィのように、レジストの光吸収の影響によりレジスト形状が悪くなる場合に用いると、レジスト形状の改善が著しく、より効果的である。
本実施例にあっては、上記一般式■で示したように、アシルオキシイミノ(acyloxyimino)基を含む化合物は、ベンゾフェノン(例えばナフトキノンジアジド等)の感光剤の存在下で光照射を受けることにより、高い量子収率でアミンを発生する。このアミンにより、ポジ型レジストに難溶化層を形成する。このことは、特に、光強度のコントラストの低い解像限界に近いパターン形成に有効である。
以上、実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種の変更が可能である。
例えば、ポジ型レジストの感光剤に対し数mol〜数十mol程度の割合で、一般式■の化合物を混入してもよい。
また、露光光源としてエキシマレーザを用いる場合は増感剤は必ずしも必要ではない。
さらに、露光光源としてi線等を用いる場合は、ベンゾフェノン等をさらに添加すると効果的である。
[発明の効果]
以上の説明から明らかなように、本発明に係るポジ型レジスト及びレジストパターン形成方法によれば、従来のようにアルカリ水溶液に浸すなどの前処理が不要となり、しかも、レジスト下部で難溶化層の形成が出来、レジスト形状が向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係るポジ型レジストを用いてパターン形成したレジスト形状を示す断面図、第2図は従来のレジスト形状を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】ベースポリマー100重量部に対し、感光剤を1〜50重量部と、一般式

(但し、R,R′,R″は各々炭化水素基を表わす)で示される化合物を0.1〜30重量部を含有させたことを特徴とするポジ型レジスト。
【請求項2】ベースポリマー100重量部に対し、感光剤を1〜50重量部と、一般式

(但し、R,R′,R″は各々炭化水素基を表わす)で示される化合物を0.1〜30重量部を含有させて成るポジ型レジストを、被処理体上に形成し、露光後現像を行なうことを特徴とするレジストパターン形成方法。

【第1図】
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【第2図】
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【特許番号】第2687567号
【登録日】平成9年(1997)8月22日
【発行日】平成9年(1997)12月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平1−91229
【出願日】平成1年(1989)4月11日
【公開番号】特開平2−269350
【公開日】平成2年(1990)11月2日
【出願人】(999999999)ソニー株式会社
【参考文献】
【文献】特開 平2−161444(JP,A)
【文献】特開 昭62−284356(JP,A)
【文献】特開 昭60−173545(JP,A)