説明

ポップコーン製造玩具

【課題】多量のポップコーンを適切に製造し得るポップコーン製造玩具を提供する。
【解決手段】ポップコーン製造玩具1を、原料コーンを加熱してポップコーンにする加熱部16と、該加熱部16の周囲に形成されて加熱部16に向かって下り傾斜する傾斜案内部17とを具備するすり鉢状の製造凹部10が設けられた本体部材2と、前記製造凹部10を覆うように前記本体部材2の上に被さって、本体部材2の上に、原料コーン及びポップコーンが外部に飛び出さない製造室11を区画形成する透明なカバー部材3とを備えてなる構成とした。かかる構成とすれば、加熱部16の面積に比して製造室11の大きさを広くすることができ、また、加熱部16から飛散する原料コーンを傾斜案内部17の案内作用によって加熱部16に戻すことで、投入した原料コーンを残らずポップコーンにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料コーンを加熱してポップコーンを製造するポップコーン製造玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
ポップコーンは、原料コーンを加熱し、破裂させて製造するものであるが、原料コーンが破裂して弾ける際の挙動が独特であり、また、原料コーンが膨張して数十倍のポップコーンが得られる面白さもあるため、子供が楽しく、安全に、そして、簡単にポップコーンを製造できるように工夫されたポップコーン製造玩具が提案されている(例えば、特許文献1,2)。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のポップコーン製造玩具1aは、図9(a)に示すように、原料コーンQを加熱する円筒状の加熱部16aが設けられた本体部材2aと、加熱部16aの上を覆うように設置されるカバー部材3aと、本体部材2aに隣設されてカバー部材3aに形成された排出口22aから放出されるポップコーンPを収容する回収籠12aとを備えている。
【0004】
また、特許文献2に記載のポップコーン製造玩具1bは、図9(b)に示すように、原料コーンQを加熱する平板状の加熱部16bが設けられた本体部材2bと、該加熱部16bの上を覆うように設置され、原料コーンQ及びポップコーンPが外部に飛び出さない製造室11bを形成するカバー部材3bと、製造室11bの周囲に配設され、製造されたポップコーンPを収容する回収籠12bとを備えている。ここで、図中の36は、カバー部材3bの外側に設けられた外カバーである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−325982号公報
【特許文献2】特開2006−334010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1記載のポップコーン製造玩具1aでは、図9(a)に示すように、円筒状の加熱部16aから飛び出したポップコーンPを排出口22aから放出して収容するようにしているが、ポップコーンPが飛び出す際に、未破裂の原料コーンQが弾き飛ばされて一緒に排出口22aから放出されてしまうため、加熱部16aに投入した原料コーンQの一部しかポップコーンPにならないという欠点がある。
【0007】
これに対して、上記特許文献2記載のポップコーン製造玩具1bでは、図9(b)に示すように、カバー部材3bが加熱部16bの上に閉鎖的な製造室11bを区画形成しているため、弾き飛ばされた原料コーンQが、加熱部16bの外に飛散せず、加熱部16bに投入した原料コーンQの全てをポップコーンPにすることができる。しかしながら、かかるポップコーン製造玩具1bでは、原料コーンQが全て破裂するまで、ポップコーンPを加熱部16b上の製造室11bに保持しておかなくてはならないため、製造室11bに収容し得るだけのポップコーンPしか一度に製造できず、製造できるポップコーンPの量が制限されていた。かかる構成にあっては、加熱部16bを拡大すれば、製造室11bが大きくなって、ポップコーンPの収量を増やすことができるが、加熱部16bの周囲に回収籠12bを設けているように、加熱部16bの周囲には、火傷を防止するために断熱用のクリアランスが必要であるため、加熱部16bを大きくすると玩具全体が大型化してしまう。また、加熱部16bを大きくすると、加熱効率が悪化し、消費電力が増大してしまうという問題もある。
【0008】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、多量のポップコーンを適切に製造し得るポップコーン製造玩具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、原料コーンを加熱してポップコーンにする加熱部と、該加熱部の周囲に形成されて加熱部に向かって下り傾斜する傾斜案内部とを具備するすり鉢状の製造凹部が設けられた本体部材と、製造凹部全体を覆うように本体部材の上に被さって、本体部材の上に、原料コーン及びポップコーンが外部に飛び出さない製造室を区画形成する透明なカバー部材とを備えることを特徴とするポップコーン製造玩具である。
【0010】
かかる構成にあっては、図8(a)に示すように、製造室11内の加熱部16から原料コーンQが飛び散っても、原料コーンQは製造室11の外には飛び出さず、傾斜案内部17に落下し、傾斜案内部17の上を滑落して、加熱部16の上で再加熱される。このように、本発明では、加熱部16から飛び出した原料コーンQが、製造室11を区画するカバー部材3と、原料コーンQを滑落させる傾斜案内部17とによって加熱部16に戻されるため、製造室11に投入した原料コーンQを残らず破裂させてポップコーンPにすることができる。なお、ポップコーンPの十倍以上の比重を有する原料コーンQは、ポップコーンPと混ざり合わずに下方に沈むため、製造凹部10にポップコーンPが堆積していても、加熱部16から飛び出した原料コーンQは、傾斜案内部17を滑落して加熱部16に戻ることができる。
【0011】
また、本発明では、加熱部16の上だけでなく、傾斜案内部17を含むすり鉢状の製造凹部10全体を覆うように製造室11を形成しているため、図8(b)に示すように、上記特許文献2の従来品(図9(b)参照)よりも、加熱部16の面積に比して多量のポップコーンPを製造室11に収容可能となる。したがって、本発明によれば、加熱部を拡大せずに製造するポップコーンの量を増大可能となり、消費電力を増大させずにポップコーンの収量を向上させることができる。
【0012】
また、本発明に係る製造凹部10は、中央の底部を加熱部16とするすり鉢状をなしており、加熱部16の周囲の傾斜案内部17が断熱用のクリアランスとして機能することができる。このため、製造室11の周囲に別途クリアランスを設ける必要がなく、玩具全体を大型化せずに製造室11を大きくできるという利点がある。
【0013】
また、本発明では、図8(a)に示すように、製造室11の中央底部の加熱部16から、ポップコーンP及び原料コーンQが四方八方に弾け飛び、従来品1a,1b(図9参照)に比べて、ポップコーンPや原料コーンQが派手に飛び散ることとなるため、原料コーンQが破裂してポップコーンPが生成する瞬間を、より効果的に見せることが可能となる。
【0014】
本発明に係る傾斜案内部は、加熱部より広い面積を有していることが望ましい。傾斜案内部が加熱部よりも狭いと、加熱部に比して製造室を十分大きくできず、また、製造室の周りに加熱部の熱が伝わり易くなるためである。また、傾斜案内部の傾きは、水平面に対して10°〜60°の範囲に収めることが望ましい。傾きが10°未満では、原料コーンが十分に滑落しないおそれがあり、また、傾きが60°を超えると、製造凹部の底が深くなり、製造室内の視認性が悪化するためである。
【0015】
また、本発明にあって、傾斜案内部には、ポップコーンを製造室から排出するための排出口が形成されており、本体部材は、傾斜案内部の排出口を開放する開放位置と、閉塞する閉鎖位置とに移動する開閉シャッタと、該開閉シャッタを移動操作するための開閉操作部とを備えており、開閉シャッタは、その閉鎖位置で、傾斜案内部と一体となって原料コーンを加熱部に案内する案内作用を発揮する構成が提案される。かかる構成にあっては、排出口を開放することで、高温の加熱部に触れることなくポップコーンを取り出し可能となり、不用意に加熱部に触れて火傷をすることがなくなる。また、開閉シャッタで排出口を閉鎖すれば、閉鎖した排出口部分においても原料コーンを加熱部に案内することができるから、傾斜案内部に排出口を形成しても、原料コーンの滑落が排出口部分で滞ることがない。
【0016】
また、本発明にあって、製造凹部に、加熱部の上を中心に水平回転可能に配設されたインペラと、該インペラを回転させる回転操作部とを具備する攪拌装置を備え、インペラを構成する攪拌翼は、回転方向に対して後退するように湾曲又は屈曲している構成が提案される。かかる構成にあっては、インペラを回転させて製造室内のポップコーンを攪拌すると、回転方向に後退する攪拌翼の案内作用によって、製造凹部のポップコーンが、中央底部から周辺部に案内されることとなる。このため、排出口の開放状態で、インペラを回転させれば、製造凹部の中央底部に堆積するポップコーンを、玩具を傾けることなく周辺部の排出口から排出可能となる。
【0017】
また、本発明にあって、カバー部材の上部に、製造室内のガスを排出可能な上部通気孔が形成されるとともに、カバー部材の下部周縁に沿って、製造室内に外部空気を供給可能な複数の下部通気孔が形成される構成が提案される。かかる構成にあっては、上部通気孔が製造室内で温められたガスの排出用通気孔として機能し、下部通気孔が製造室内に外部空気を供給するための通気孔として機能することとなるから、製造室内で発生する水蒸気をスムーズに製造室外に排出することができる。また、ポップコーン製造中は、下部通気孔から流入した空気が、上部通気孔に向かって、カバー部材の内壁面に沿うように上昇することとなり、これにより、カバー部材の内壁面での結露を防止することができる。このように、本構成によれば、製造室内で発生する水蒸気をスムーズに外部に排出することができ、また、外部から流入する空気がカバー部材の内壁面に沿って流れるようになっているから、ポップコーンの製造時にカバー部材が曇り難く、原料コーンが弾ける様を、カバー部材を介して明瞭に視認することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、製造室に投入した原料コーンを残らずポップコーンにすることができる。また、玩具を大型化したり、消費電力を増大させたりせずに、一度に製造し得るポップコーンの量を増大することができ、なおかつ安全性を確保できる。さらには、ポップコーンの弾ける面白さを従来よりも効果的に演出することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例のポップコーン製造玩具1の斜視図である。
【図2】ポップコーン製造玩具1の中央縦断側面図である。
【図3】本体部材2とカバー部材3を分離して示すポップコーン製造玩具1の斜視図である。
【図4】カバー部材3と攪拌装置4を分解して示す斜視図である。
【図5】ポップコーン製造玩具1の使用方法を示す説明図である。
【図6】図5から続くポップコーン製造玩具1の使用方法を示す説明図である。
【図7】図6から続くポップコーン製造玩具1の使用方法を示す説明図である。
【図8】本発明のポップコーン製造玩具1の概略を示す説明図である。
【図9】従来のポップコーン製造玩具1a,1bの概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
【0021】
図1は、本実施例のポップコーン製造玩具1の斜視図であり、図2は、ポップコーン製造玩具1の中央縦断側面図である。かかるポップコーン製造玩具1は、肉厚板状をなす本体部材2の上部に、ドーム状をなす透明なカバー部材3を取り付けてなるものである。
【0022】
図2,3に示すように、本体部材2の上面には、中央部から後部にかけて、すり鉢状をなす、平面視円形状の製造凹部10が形成される。また、本体部材2の前部には、製造したポップコーンを収容するための回収籠12が形成されており、本体部材2の前面には、回収籠12からポップコーンを回収するための取出口13が開口している。この取出口13は、透明な蓋部材14により開閉可能となっている。また、取出口13の脇には、後述の電熱ヒータ19の電源スイッチ29が設けられる。
【0023】
製造凹部10は、図2,3に示すように、傾きが緩やかなすり鉢状をなしており、中央底部の平坦部分を構成する加熱部16と、該加熱部16の周囲に形成されて、加熱部16に向けて緩やかに、かつ滑らかに下方傾斜する傾斜案内部17と、該傾斜案内部17の周囲を囲繞するように立設される外周壁部26とで構成される。
【0024】
製造凹部10の加熱部16は、製造凹部10の中央底部に設置された金属製ホットプレート18によって構成される。ホットプレート18は、周縁にリブが形成された円板状をなしている。ホットプレート18の下底面には、熱源となる電熱ヒータ19が固着されており、ホットプレート18は、該電熱ヒータ19によって熱されて、表面に載置される原料コーンを加熱するよう構成される。
【0025】
製造凹部10の傾斜案内部17は樹脂材によって構成される。特に、傾斜案内部17の、ホットプレート18に近い内周部分は、断熱性と耐熱性に特に優れた環状樹脂部材20によって構成される。図2,3に示すように、ホットプレート18は、環状樹脂部材20に内嵌した状態で保持されており、これにより、ホットプレート18の熱が、周囲に伝わり難いよう構成されている。
【0026】
傾斜案内部17の前部には、図2,3に示すように、回収籠12と連通する排出口22が開口している。この排出口22は、本体部材2に取り付けられた開閉シャッタ23により開閉される。開閉シャッタ23は、板状樹脂部材であり、傾斜案内部17の裏側で、傾斜案内部17に沿って摺動可能に保持されて、排出口22を開放して製造室11から回収籠12にポップコーンを排出可能とする開放位置と、排出口22を閉鎖する閉鎖位置とに移動可能となっている。そして、この開閉シャッタ23は、本体部材2の上面に突出するツマミ状の開閉操作部24と連繋しており、開閉操作部24を操作することで開閉シャッタ23を位置変換して排出口22を開閉し得るよう構成される。また、開閉シャッタ23の閉鎖位置では、図2に示すように、排出口22の内側縁部分において、開閉シャッタ23と傾斜案内部17の表面が段差なく連続するよう構成されており、これにより、排出口22部分において、開閉シャッタ23と傾斜案内部17が一体となって原料コーンを加熱部16に滞りなく案内し得るようになっている。
【0027】
製造凹部10の外周部に配設される外周壁部26は、外周面側に複数の切欠30aが等間隔に形成された歯車状をなしており、かかる外周壁部26に、カバー部材3を外嵌装着し得るよう構成される。
【0028】
カバー部材3は、ドーム状の透明樹脂部材で構成される。このカバー部材3は、図1,3に示すように、その下端部を、製造凹部10の外周壁部26に外嵌することで製造凹部10の全体を覆うように装着され、製造凹部10の上にポップコーン及び原料コーンが飛び出さないドーム状の製造室11を区画形成する。後述するように、本実施例のポップコーン製造玩具1は、製造室11へ原料コーンを投入してから、ポップコーンを製造室11から排出までの製造手順を、カバー部材3を外さずに行うことができるため、カバー部材3は、不用意に外れないように、左右に設けられた螺着部34,34を本体部材2にネジ止めされる。
【0029】
カバー部材3の上部中央には、図1,2に示すように、原料コーンを投入するための投入口32が開口している。この投入口32は、製造凹部10の加熱部16の真上に位置しており、投入口32から製造室11に投入された原料コーンは、加熱部16の上に落下するよう構成される。
【0030】
また、カバー部材3の投入口32には、図3,4に示すように、製造室11のポップコーンを攪拌するための、攪拌装置4が組み付けられる。攪拌装置4は、インペラ40と、該インペラ40を製造凹部10内で水平回転可能に軸支する回転軸41と、該回転軸41の上端に取り付けられる回転操作部42とで構成される。
【0031】
回転操作部42は、円環板状をなす操作ハンドル43の内周縁から、略円筒状の筒部44を下方に延成してなるものであり、該筒部44を、カバー部材3の投入口32に上方から内嵌させて、図示しないベアリングによって、投入口32を中心に自転可能に保持されている。
【0032】
回転軸41は、図4に示すように、その上端に車輪状の連結部45を備えており、該連結部45を回転操作部42の筒部44の下端部に螺着することによって、製造室11の中心部に上下方向に保持されて、回転操作部42とともに自転するよう構成される。連結部45には、貫通孔49が形成されており、投入口32に投入した原料コーンは、かかる貫通孔49を通過して製造室11に進入し得るよう構成されている。ここで、貫通孔49は、原料コーンの粒が漸く通過し得る程度の寸法で連結部45にメッシュ状に形成されており、かかるメッシュ状の貫通孔49よって、ポップコーンや原料コーンが投入口32から外部に飛び出るのを阻止するようにしている。
【0033】
インペラ40は、図2,4に示すように、回転軸41の下端に軸支され、製造凹部10内で、加熱部16の上を中心に水平回転可能に保持される。このインペラ40は、軸支部分から対称方向に延びる2枚の攪拌翼46,46を備えている。このインペラ40は、平面視時計回りに回転するよう構成されたものであり、各攪拌翼46は、その回転方向に対して、後退するように湾曲している。
【0034】
かかる攪拌装置4によれば、操作ハンドル43に指を載せて時計回り方向に回転操作すると、インペラ40が順方向に回転し、製造室11にあるポップコーンをかき混ぜることができる。ここで、ポップコーンをかき混ぜる攪拌翼46は、回転方向に対して後退するように湾曲しているから、インペラ40が順方向に回転すると、製造室11のポップコーンは、その回転方向に攪拌されるとともに、攪拌翼46の案内作用によって中心から周辺方向に案内されることとなる。なお、図2に示すように、カバー部材3の装着状態にあって、製造凹部10の表面とインペラ40の攪拌翼46との間には、原料コーンの径より幅広で、ポップコーンの径よりも幅狭となる間隙47が形成されており、かかる間隙47により、加熱部16や傾斜案内部17の上にある原料コーンが、攪拌翼46と直接干渉しないようになっている。
【0035】
また、図3に示すように、カバー部材3の下部周縁には、複数の切欠30bが形成されている。この切欠30bは、周方向に沿って等間隔に形成されている。製造凹部10の外周壁部26にカバー部材3を外嵌した状態では、これらの切欠30bが、外周壁部26の切欠30aと重なり合って、製造室11に外部空気を供給する下部通気孔30を形成する(図1,2参照)。一方、カバー部材3の上部には、投入口32を囲繞するように、複数の上部通気孔31が等間隔に形成されており、かかる上部通気孔31によって、製造室11の頂部からガスを排出可能としている。なお、かかる通気孔30,31は、弾けた原料コーンが製造室11から飛び出さないよう、原料コーンの径より細幅なスリット状をなしている。
【0036】
以下に、本実施例のポップコーン製造玩具1の使用方法を説明する。
まず、図5(a)に示すように、排出口22を閉鎖した状態で、適量の原料コーンQを投入口32に投入する。投入された原料コーンQは、貫通孔49を通過して加熱部16の上に落下することとなる。
【0037】
続いて、電源スイッチ29を操作して電熱ヒータ19をONにすると、ホットプレート18が温められ、加熱部16の上の原料コーンQが加熱される。加熱された原料コーンQからは多量の水蒸気が放出されるが、この水蒸気は、図5(b)に示すように、温められた空気とともに上部通気孔31から排気される。また、製造室11の空気が上部通気孔31から排出されるのに伴って、外部の空気が下部通気孔30から製造室11に流入する。ここで、下部通気孔30から流入した空気は、図5(b)に示すように、ガスが排気される上部通気孔31に向かってカバー部材3の内壁面に沿うように上昇し、上部通気孔31から排出されることとなる。このように、本実施例のポップコーン製造玩具1では、原料コーンQから放出される水蒸気が上部通気孔31からスムーズに排出され、また、下部通気孔30から流入した空気がカバー部材3の内壁面に沿って上昇するため、カバー部材3の内壁面が水蒸気による水滴で曇り難い。このため、かかるポップコーン製造玩具1では、製造室11で原料コーンQが弾ける様を、カバー部材3を通して明瞭に見ることができる。
【0038】
加熱部16で原料コーンQが十分に加熱されると、原料コーンQが破裂してポップコーンPとなる。この時、図6(a)に示すように、製造したポップコーンPとともに、周囲の未破裂の原料コーンQが加熱部16から四方八方に飛び散ることとなる。この時、製造室11はカバー部材3によって閉鎖されているため、飛散したポップコーンP及び原料コーンQは、製造室11の外に飛び出ることなく、カバー部材3にぶつかって加熱部16又は傾斜案内部17の上に落下する。そして、傾斜案内部17の上に落下した原料コーンQは、傾斜案内部17の案内作用によって加熱部16の上に集められ、引き続き加熱される。なお、原料コーンQは、ポップコーンの10分の1以下の小さな粒で、10倍以上の比重を有しているため、製造凹部10にポップコーンPが堆積していても、原料コーンQは、堆積するポップコーンPを押し退けて傾斜案内部17を滑落し、加熱部16の上に集まることができる。また、この時、攪拌装置4で製造室11のポップコーンPを攪拌したり、玩具全体を軽く揺すってやれば、原料コーンQをよりスムーズに加熱部16の上に集めることができる。
【0039】
上記のように、本実施例のポップコーン製造玩具1では、製造室11からポップコーンPや原料コーンQが飛び出さず、また、加熱部16から弾け飛んだ原料コーンQは、傾斜案内部17の案内作用によって加熱部16に戻されるため、十分な時間をかけて加熱すれば、図6(b)に示すように、製造室11に投入した原料コーンQの全てをポップコーンPにすることができる。
【0040】
製造室11の原料コーンQが全て破裂したら、電源スイッチ29を操作して、電熱ヒータ19をOFFにする。そして、図7(a)に示すように、開閉操作部24を操作して排出口22を開放し、製造室11に堆積したポップコーンPを回収籠12に排出する。回収籠12に排出したポップコーンPは、蓋部材14を開けて取出口13から取り出すことができる。また、ポップコーンPを製造室11から排出する際には、回転操作部42を操作してインペラ40を順方向(時計回り)に回転させれば、玩具1を傾けることなく、全てのポップコーンPを製造室11から回収籠12に移すことができる。すなわち、図7(b)に示すように、インペラ40は、ポップコーンPを回転方向に攪拌するだけでなく、攪拌翼46の案内作用によって、ポップコーンPを製造凹部10の中央部から周辺部に押しやることができるため、インペラ40の回転によって、製造室11にある全てのポップコーンPを、製造凹部10の周辺部に開口する排出口22へ移動させることができるのである。
【0041】
このように、本実施例のポップコーン製造玩具1は、底部を加熱部16とするすり鉢状の製造凹部10を備え、該製造凹部10を覆うように製造室11を形成しているため、図6(b)に示すように、加熱部16の面積に比して多量のポップコーンPを一度に製造することができ、消費電力の増大を抑えつつ、ポップコーンの収量を増やすことが可能となる。また、製造室11に投入した原料コーンQを余すことなくポップコーンPにすることができるため、製造したポップコーンPに原料コーンQが混じったりせず、また、収量に合わせて余分な原料コーンQを投入したりする必要もない。
【0042】
また、本実施例のポップコーン製造玩具1では、製造凹部10をカバー部材3で覆い、カバー部材3の投入口32から原料コーンQを投入して、製造したポップコーンPを製造凹部10の排出口22から排出するようにしているため、加熱部16を周囲から隔離した状態でポップコーンPを製造でき、加熱部16に不用意に触れて火傷をするおそれがない。
【0043】
また、本実施例にあっては、加熱部16の周りの傾斜案内部17が、断熱用のクリアランスとして機能するから、製造室11の周囲に別途クリアランスを設ける必要がなく、製造室11の大きさに比して、玩具をコンパクト化できるという利点がある。
【0044】
また、本実施例では、製造室11の中央底部で原料コーンQを加熱して破裂させるため、図6(a)に示すように、原料コーンQの破裂とともに、ポップコーンPや原料コーンQが、製造室11の中央底部から四方八方に飛び散ることとなる。上記従来のポップコーン製造玩具1a,1b(図9参照)では、加熱部の略直上にしかポップコーンが飛び散ることができないが、本実施例では、加熱部16の周囲にポップコーンPや原料コーンQが弾け飛ぶため、原料コーンQが弾ける瞬間をより面白く見せることができる。
【0045】
なお、本発明におけるポップコーン製造玩具は、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、上記実施例では、投入口32の下方のメッシュ状貫通孔49によって、原料コーンQが投入口32から飛び出ないさないようにしているが、かかる構成に限らず、投入口32に開閉式の蓋を設け、原料コーンQを投入する時以外は、投入口32を閉鎖するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 ポップコーン製造玩具
2 本体部材
3 カバー部材
4 攪拌装置
10 製造凹部
11 製造室
12 回収籠
13 取出口
14 蓋部材
16 加熱部
17 傾斜案内部
22 排出口
23 開閉シャッタ
24 開閉操作部
30 下部通気孔
31 上部通気孔
32 投入口
40 インペラ
42 回転操作部
46 攪拌翼
P ポップコーン
Q 原料コーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料コーンを加熱してポップコーンにする加熱部と、該加熱部の周囲に形成されて加熱部に向かって下り傾斜する傾斜案内部とを具備するすり鉢状の製造凹部が設けられた本体部材と、
製造凹部全体を覆うように本体部材の上に被さって、本体部材の上に、原料コーン及びポップコーンが外部に飛び出さない製造室を区画形成する透明なカバー部材とを備えることを特徴とするポップコーン製造玩具。
【請求項2】
傾斜案内部には、ポップコーンを製造室から排出するための排出口が形成されており、
本体部材は、傾斜案内部の排出口を開放する開放位置と、閉塞する閉鎖位置とに移動する開閉シャッタと、該開閉シャッタを移動操作するための開閉操作部とを備えており、
開閉シャッタは、その閉鎖位置で、傾斜案内部と一体となって原料コーンを加熱部に案内する案内作用を発揮することを特徴とする請求項1記載のポップコーン製造玩具。
【請求項3】
製造凹部に、加熱部の上を中心に水平回転可能に配設されたインペラと、該インペラを回転させる回転操作部とを具備する攪拌装置を備え、
インペラを構成する攪拌翼は、回転方向に対して後退するように湾曲又は屈曲していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポップコーン製造玩具。
【請求項4】
カバー部材の上部に、製造室内のガスを外部に排出可能な上部通気孔が形成されるとともに、カバー部材の下部周縁に沿って、製造室内に外部空気を供給可能な複数の下部通気孔が形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のポップコーン製造玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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