説明

ポリアミドの製造方法およびこの方法のための装置

【課題】高純度で変色を示さないポリアミドを製造する。
【解決手段】−CN基または−CONH2基を有するモノマーおよび所望により他のポリアミド形成モノマーおよび/またはオリゴマーと水とを含む反応混合物を、該反応混合物と接触する領域の全部または一部が、a)15〜25質量%のCr、3〜35質量%のNi、0〜10質量%のMo、所望により他の合金成分、および残余の鉄を含むオーステナイト鋼、b)20〜30質量%のCr、3〜10質量%のNi、0〜5質量%のMo、所望により他の合金成分、および残余の鉄を含む二相鋼、および、c)12〜25質量%のCr、12〜20質量%のMo、所望により他の合金成分、および残余のNiを含むNiベースの合金、からなる群から選択された材料で構成されている装置内で反応させることにより、ポリアミド、そのオリゴマー、またはこれらの混合物が所望により他の反応生成物と共に製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、−CN基または−CONH2基を有するモノマーおよび所望により他のポリアミド形成モノマーおよび/またはオリゴマーと水とを含む反応混合物を装置内で反応させることにより、ポリアミド、そのオリゴマー、またはこれらの混合を、所望により他の反応生成物と共に製造する方法であって、
上記装置における上記反応混合物との接触領域の全部または一部が、
a)15〜25質量%のクロム、
3〜35質量%のニッケル、および、
0〜10質量%のモリブデン、
所望により他の合金成分、および、
残余の鉄
(各質量%の値はa)全体に対する値であり、全体の合計量は100質量%である。)を含むオーステナイト鋼、
b)20〜30質量%のクロム、
3〜10質量%のニッケル、および、
0〜5質量%のモリブデン、
所望により他の合金成分、および、
残余の鉄
(各質量%の値はb)全体に対する値であり、全体の合計量は100質量%である。)を含む二相鋼、および、
c)12〜25質量%のクロム、および、
12〜20質量%のモリブデン、
所望により他の合金成分、および、
残余のニッケル
(各質量%の値はc)全体に対する値であり、全体の合計量は100質量%である。)を含むニッケルを基礎とした合金、
からなる群から選択された材料で構成されていることを特徴とする方法に関する。本発明はまた、このような方法において使用された装置、またはこのような方法のために提供することを意図した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
−CN基を有するモノマー、特にアミノニトリル、またはジニトリルおよびジアミン、またはアミノニトリル、ジニトリルおよびジアミンを含む混合物、または−CONH2基を有するモノマー、特にアミノカルボキサミド、またはジカルボキサミドおよびジアミン、またはアミノカルボキサミド、ジカルボキサミドおよびジアミンを含む混合物、および、所望により他のポリアミド形成モノマーおよび/またはオリゴマーと水とを含む反応混合物を反応させることにより、ポリアミド、そのオリゴマー、またはこれらの混合物を、所望により他の反応生成物と共に製造する方法、特にこの種の連続的な製造方法は公知である。
【0003】
WO99/43732号パンフレットは、このような方法、特に連続法を反応蒸留装置内で行う方法を開示しており、この方法では、反応蒸留装置の下部に熱が供給される。反応生成物は、反応蒸留装置の底部から排出され、反応で形成されたアンモニアおよび他の低分子量化合物と水とは、頂部から排出される。使用可能な反応蒸留塔として、棚型塔、気泡塔、または隔壁塔が挙げられている。
【0004】
US6201096号明細書は、このような方法、特に連続法を反応蒸留装置内で行う方法を開示しており、この方法では、反応蒸留装置の下部に蒸気が供給される。生成物として得られた高分子量化合物は、反応蒸留装置の底部から排出される。棚型塔、例えば穿孔を設けた金属板で形成された棚を有する棚型塔は、使用可能な反応蒸留塔として挙げられている。US6437089号明細書によれば、この明細書に記載されている方法の出発モノマーとして、6−アミノカプロニトリルとカプロラクタムの混合物を使用することができる。
【0005】
ドイツ出願10313681.9号明細書は、−CN基を有するモノマーおよび所望により他のポリアミド形成モノマーおよび/またはオリゴマーと水とを含む反応混合物を、垂直方向の縦軸を有する反応器内で反応させることにより、ポリアミド、そのオリゴマー、またはこれらの混合物を、所望により他の反応生成物と共に製造する方法を開示しており、この反応器では、反応生成物が底部から排出され、形成されたアンモニアおよび他の低分子量化合物と水とが頂部から排出される。この反応器は、縦方向に重なっており液密性の棚で互いに分離された少なくとも2つの室を有しており、各室は溢れた液により直下の室と接続されており、液体の生成物流が最下の室から溢れた液を介して排出され、各室の液面上の気体空間は、1本以上の輸送管により直上の各室と接続されており、各輸送管は気体分配器に開口しており、気体分配器は液面下の気体出口のためのオリフィスと、各気体分配器の周囲に垂直に配置された上端が液面下まで伸びており下端が室の液密棚上まで伸びている少なくとも1枚の金属製の偏向板とを有しており、各室は1つ以上の気体で満たされた空間および1つ以上の気体で満たされていない空間に分かれている。
【0006】
ドイツ出願10313682.7号は、−CN基を有するモノマーおよび所望により他のポリアミド形成モノマーおよび/またはオリゴマーと水とを含む反応混合物を、重合釜のカスケードで反応させることにより、ポリアミド、そのオリゴマー、またはこれらの混合物を、所望により他の反応生成物と共に製造する方法を開示している。
【0007】
【特許文献1】WO99/43732号パンフレット
【特許文献2】US6201096号明細書
【特許文献3】ドイツ出願10313681.9号明細書
【特許文献4】ドイツ出願10313682.7号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの方法において、高純度の生成物が得られるのが望ましい。紡糸ポリマーとしての使用を意図した生成物は、変色を示すべきではない。変色すると、白色の糸または織物が事実上得られなくなり、染料または顔料を添加して特別な色に設定するのがより難しくなるからである。
【0009】
このような生成物がフィルムの製造に使用される場合にも、生成物は変色を示すべきではない。無色透明なフィルムの製造が困難になるか不可能にさえなるからである。
【0010】
成形品の製造への提供を意図した生成物もまた、変色を示すべきではない。白色の成形品の製造が事実上不可能になり、染料または顔料を添加して特別な色に設定するのがより難しくなるからである。
【0011】
その上、技術的に簡単で経済的な方法により上述のポリアミドを製造できるのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの課題は、−CN基または−CONH2基を有するモノマーおよび所望により他のポリアミド形成モノマーおよび/またはオリゴマーと水とを含む反応混合物を装置内で反応させることにより、ポリアミド、そのオリゴマー、またはこれらの混合を、所望により他の反応生成物と共に製造する方法であって、
上記装置における上記反応混合物との接触領域の全部または一部が、
a)15〜25質量%のクロム、
3〜35質量%のニッケル、および、
0〜10質量%のモリブデン、
所望により他の合金成分、および、
残余の鉄
(各質量%の値はa)全体に対する値であり、全体の合計量は100質量%である。)を含むオーステナイト鋼、
b)20〜30質量%のクロム、
3〜10質量%のニッケル、および、
0〜5質量%のモリブデン、
所望により他の合金成分、および、
残余の鉄
(各質量%の値はb)全体に対する値であり、全体の合計量は100質量%である。)を含む二相鋼、および、
c)12〜25質量%のクロム、および、
12〜20質量%のモリブデン、
所望により他の合金成分、および、
残余のニッケル
(各質量%の値はc)全体に対する値であり、全体の合計量は100質量%である。)を含むニッケルを基礎とした合金、
からなる群から選択された材料で構成されていることを特徴とする方法によって解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明において、−CN基または−CONH2基を有するモノマーが使用される。
【0014】
アミノニトリルまたはジニトリルが−CN基を有するモノマーとして好適である。
【0015】
原則として、全てのアミノニトリル、すなわち、少なくとも1個のアミノ基と少なくとも1個のニトリル基の両方を有する化合物、を使用することができる。これらの中でも、ω−アミノニトリルが好ましく、この中でも特に4〜12個、好ましくは4〜9個の炭素原子をアルキレン基に有しているω−アミノアルキルニトリル、または8〜13個の炭素原子を有するアミノアルキルアリールニトリルを使用することができ、アミノアルキルアリールニトリルは、芳香族単位とアミノ基およびニトリル基の間に少なくとも1個の炭素原子を有するアルキルのスペーサーを有しているものがこの場合には好ましい。特に好ましいアミノアルキルアリールニトリルは、互いに対して1,4−位にアミノ基とニトリル基を有しているものである。
【0016】
例えば、6−アミノ−1−シアノペンタン(6−アミノカプロニトリル)、7−アミノ−1−シアノヘキサン、8−アミノ−1−シアノヘプタン、9−アミノ−1−シアノオクタン、または、10−アミノ−1−シアノノナンのようなアルキレン基(−CH2−)が好ましくは4〜12個、より好ましくは4〜9個の炭素原子を有している直鎖状のω−アミノアルキルニトリルが、ω−アミノアルキルニトリルとしてより好適に使用され、6−アミノカプロニトリルが特に好ましい。
【0017】
6−アミノカプロニトリルは、一般的に、例えばDE−A−836938、DE−A−848654、またはUS5151543に記載されているような公知の方法により、アジポニトリルの水素化によって得られる。
【0018】
もちろん、複数のアミノニトリルの混合物、またはアミノニトリルと他のコモノマー、例えばカプロラクタムとの混合物、または以下に詳細に説明する混合物を使用することもできる。
【0019】
原則として、全てのジニトリル、すなわち、少なくとも2個のニトリル基を有する化合物、を使用することができる。これらの中でも、α,ω−ジニトリルが好ましく、この中でも特に4〜12個の炭素原子、より好ましくは4〜9個の炭素原子をアルキレン基に有するα,ω−ジニトリル、または7〜12個の炭素原子を有するシアノアルキルアリールニトリルを使用することができ、シアノアルキルアリールニトリルは、芳香族単位と2個のニトリル基の間に少なくとも1個の炭素原子を有するアルキルのスペーサーを有しているものがこの場合には好ましい。特に好ましいシアノアルキルアリールニトリルは、互いに対して1,4−位に2個のニトリル基を有しているものである。
【0020】
例えば、1,4−ジシアノブタン(アジポニトリル)、1,5−ジシアノペンタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,7−ジシアノヘプタン、1,8−ジシアノオクタン、1,9−ジシアノノナン、または1,10−ジシアノデカンのようなアルキレン基(−CH2−)が好ましくは3〜11個、より好ましくは3〜8個の炭素原子を有している直鎖状のα,ω−アルキレンジニトリルが、α,ω−アルキレンジニトリルとしてより好適に使用され、アジポニトリルが特に好ましい。
【0021】
ポリアミドの製造のために、ジニトリルおよびジアミンを互いに反応させることができる。
【0022】
原則として、全てのジアミン、すなわち、少なくとも2個のアミノ基を有する化合物、を使用することができる。これらの中でも、α,ω−ジアミンが好ましく、この中でも特に4〜14個の炭素原子、より好ましくは4〜10個の炭素原子をアルキレン基に有するα,ω−ジアミン、または7〜12個の炭素原子を有するアミノアルキルアリールアミンを使用することができ、アミノアルキルアリールアミンは、芳香族単位と2個のアミノ基の間に少なくとも1個の炭素原子を有するアルキルのスペーサーを有しているものが好ましい。特に好ましいアミノアルキルアリールアミンは、互いに対して1,4−位に2個のアミノ基を有しているものである。
【0023】
例えば、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン)、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、または1,10−ジアミノデカンのようなアルキレン基(−CH2−)が好ましくは3〜12個、より好ましくは3〜8個の炭素原子を有している直鎖状のα,ω−アルキレンジアミンが、α,ω−アルキレンジアミンとしてより好適に使用され、ヘキサメチレンジアミンが特に好ましい。
【0024】
所望により、2−メチルグルタロニトリルまたは2−メチル−1,5−ジアミノペンタンのような分枝状のアルキレンまたはアリーレンまたはアルキルアリーレンから誘導したジアミン、ジニトリル、およびアミノニトリルを使用することもできる。
【0025】
ジニトリルとジアミン、またはジニトリル、ジアミンおよびアミノニトリルの混合物を本発明のポリアミドの製造において使用する場合には、出発材料中に存在しかつポリアミドを形成することができるニトリル基の、出発材料中に存在しかつポリアミドを形成することができるアミノ基に対するモル比は、0.9〜1.1、好ましくは0.95〜1.05、特に好ましくは0.99〜1.01、極めて好ましくは1であるのが有効であることがわかっている。
【0026】
アミノカルボキサミドおよびジカルボキサミドが−CONH2基を有するモノマーとして好適である。
【0027】
原則として、全てのアミノカルボキサミド、すなわち、少なくとも1個のアミノ基と少なくとも1個のカルボキサミド基の両方を有する化合物、を使用することができる。これらの中でも、ω−アミノカルボキサミドが好ましく、この中でも特に4〜12個、好ましくは4〜9個の炭素原子をアルキレン基に有しているω−アミノアルキルカルボキサミド、または8〜13個の炭素原子を有するアミノアルキルアリールカルボキサミドを使用することができ、アミノアルキルアリールカルボキサミドは、芳香族単位とアミノ基およびカルボキサミド基の間に少なくとも1個の炭素原子を有するアルキルのスペーサーを有しているものがこの場合には好ましい。特に好ましいアミノアルキルアリールカルボキサミドは、互いに対して1,4−位にアミノ基とカルボキサミド基を有しているものである。
【0028】
例えば、5−アミノペンタン−1−カルボキサミド(6−アミノカプロアミド)、6−アミノヘキサン−1−カルボキサミド、7−アミノヘプタン−1−カルボキサミド、8−アミノオクタン−1−カルボキサミド、または、9−アミノノナン−1−カルボキサミドのようなアルキレン基(−CH2−)が好ましくは4〜12個、より好ましくは4〜9個の炭素原子を有している直鎖状のω−アミノアルキルカルボキサミドが、ω−アミノアルキルカルボキサミドとしてより好適に使用され、6−アミノカプロアミドが特に好ましい。
【0029】
6−アミノカプロアミドは、一般的に、例えばDE−A−836938、DE−A−848654、またはUS5151543に記載されているような公知の方法により、アジポニトリルの水素化により、6−アミノカプロニトリルを得、次いで加水分解して6−アミノカプロアミドを得る方法によって得られる。
【0030】
複数のアミノカルボキサミドの混合物、またはアミノカルボキサミドと他のコモノマー、例えばカプロラクタムとの混合物、または以下に詳細に説明する混合物をもちろん使用することもできる。
【0031】
原則として、全てのジカルボキサミド、すなわち、少なくとも2個のカルボキサミド基を有する化合物、を使用することができる。これらの中でも、α,ω−ジカルボキサミドが好ましく、この中でも特に4〜12個の炭素原子、より好ましくは4〜9個の炭素原子をアルキレン基に有するα,ω−ジカルボキサミド、または7〜12個の炭素原子を有する(アルキレンカルボキサミド)−アリールカルボキサミドを使用することができ、(アルキレンカルボキサミド)−アリールカルボキサミドは、芳香族単位と2個のカルボキサミド基の間に少なくとも1個の炭素原子を有するアルキルのスペーサーを有しているものが好ましい。特に好ましい(アルキレンカルボキサミド)−アリールカルボキサミドは、互いに対して1,4−位に2個のカルボキサミド基を有しているものである。
【0032】
例えば、ブタン−1,4−ジカルボキサミド(アジポジアミド)、ペンタン−1,5−ジカルボキサミド、ヘキサン−1,6−ジカルボキサミド、ヘプタン−1,7−ジカルボキサミド、オクタン−1,8−ジカルボキサミド、ノナン−1,9−ジカルボキサミド、またはデカン−1,10−ジカルボキサミドのようなアルキレン基(−CH2−)が好ましくは3〜11個、より好ましくは3〜8個の炭素原子を有している直鎖状のα,ω−アルキレンジカルボキサミドが、α,ω−アルキレンジカルボキサミドとしてより好適に使用され、アジポジアミドが特に好ましい。
【0033】
ポリアミドの製造のために、ジカルボキサミドおよびジアミンを互いに反応させることができる。
【0034】
原則として、全てのジアミン、すなわち、少なくとも2個のアミノ基を有する化合物、を使用することができる。これらの中でも、α,ω−ジアミンが好ましく、この中でも特に4〜14個の炭素原子、より好ましくは4〜10個の炭素原子をアルキレン基に有するα,ω−ジアミン、または7〜12個の炭素原子を有するアミノアルキルアリールアミンを使用することができ、アミノアルキルアリールアミンは、芳香族単位と2個のアミノ基の間に少なくとも1個の炭素原子を有するアルキルのスペーサーを有しているものがこの場合には好ましい。特に好ましいアミノアルキルアリールアミンは、互いに対して1,4−位に2個のアミノ基を有しているものである。
【0035】
例えば、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン)、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、または1,10−ジアミノデカンのようなアルキレン基(−CH2−)が好ましくは3〜12個、より好ましくは3〜8個の炭素原子を有している直鎖状のα,ω−アルキレンジアミンが、α,ω−アルキレンジアミンとしてより好適に使用され、ヘキサメチレンジアミンが特に好ましい。
【0036】
所望により、2−メチルグルタロジアミドまたは2−メチル−1,5−ジアミノペンタンのような分枝状のアルキレンまたはアリーレンまたはアルキルアリーレンから誘導したジアミン、ジカルボキサミド、およびアミノカルボキサミドを使用することもできる。
【0037】
ジカルボキサミドとジアミン、またはジカルボキサミド、ジアミンおよびアミノカルボキサミドの混合物を本発明のポリアミドの製造において使用する場合には、出発材料中に存在しかつポリアミドを形成することができるカルボキサミド基の、出発材料中に存在しかつポリアミドを形成することができるアミノ基に対するモル比は、0.9〜1.1、好ましくは0.95〜1.05、特に好ましくは0.99〜1.01、極めて好ましくは1であるのが有効であることがわかっている。
【0038】
−CN基と−CONH2基の両方を有するモノマーとして、ニトリロカルボキサミドが有用である。
【0039】
原則として、全てのニトリロカルボキサミド、すなわち、少なくとも1個のニトリル基と少なくとも1個のカルボキサミド基の両方を有する化合物、を使用することができる。これらの中でも、ω−ニトリロカルボキサミドが好ましく、この中でも特に3〜12個、好ましくは3〜9個の炭素原子をアルキレン基に有しているω−ニトリロカルボキサミド、または8〜13個の炭素原子を有するニトリロアルキルアリールカルボキサミドを使用することができ、ニトリロアルキルアリールカルボキサミドは、芳香族単位とニトリル基およびカルボキサミド基の間に少なくとも1個の炭素原子を有するアルキルのスペーサーを有しているものがこの場合には好ましい。特に好ましいニトリロアルキルアリールカルボキサミドは、互いに対して1,4−位にニトリル基とカルボキサミド基を有しているものである。
【0040】
例えば、5−シアノペンタン−1−カルボキサミド(ニトリロアジパミド)、6−シアノヘキサン−1−カルボキサミド、7−シアノヘプタン−1−カルボキサミド、8−シアノオクタン−1−カルボキサミド、または、9−シアノノナン−1−カルボキサミドのようなアルキレン基(−CH2−)が好ましくは3〜12個、より好ましくは3〜9個の炭素原子を有している直鎖状のω−ニトリロアルキルカルボキサミドが、ω−ニトリロアルキルカルボキサミドとしてより好適に使用され、ニトリロアジパミドが特に好ましい。
【0041】
ニトリロアジパミドは、一般的に、アジポニトリルの部分加水分解によって得られる。
【0042】
ポリアミドの製造のために、ニトリロカルボキサミドとジアミンを互いに反応させることができる。
【0043】
原則として、全てのジアミン、すなわち、少なくとも2個のアミノ基を有する化合物、を使用することができる。これらの中でも、α,ω−ジアミンが好ましく、この中でも特に4〜14個の炭素原子、より好ましくは4〜10個の炭素原子をアルキレン基に有するα,ω−ジアミン、または7〜12個の炭素原子を有するアミノアルキルアリールアミンを使用することができ、アミノアルキルアリールアミンは、芳香族単位と2個のアミノ基の間に少なくとも1個の炭素原子を有するアルキルのスペーサーを有しているものが好ましい。特に好ましいアミノアルキルアリールアミンは、互いに対して1,4−位に2個のアミノ基を有しているものである。
【0044】
例えば、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン)、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、または1,10−ジアミノデカンのようなアルキレン基(−CH2−)が好ましくは3〜12個、より好ましくは3〜8個の炭素原子を有している直鎖状のα,ω−アルキレンジアミンが、α,ω−アルキレンジアミンとしてより好適に使用され、ヘキサメチレンジアミンが特に好ましい。
【0045】
所望により、2−メチルグルタロニトリロカルボキサミドまたは2−メチル−1,5−ジアミノペンタンのような分枝状のアルキレンまたはアリーレンまたはアルキルアリーレンから誘導したジアミンおよびニトリロカルボキサミドを使用することもできる。
【0046】
ニトリロカルボキサミドとジアミンを本発明のポリアミドの製造において使用する場合には、出発材料中に存在しかつポリアミドを形成することができるニトリル基とカルボキサミドの合計の、出発材料中に存在しかつポリアミドを形成することができるアミノ基に対するモル比は、0.9〜1.1、好ましくは0.95〜1.05、特に好ましくは0.99〜1.01、極めて好ましくは1であるのが有効であることがわかっている。
【0047】
ジカルボキサミド、ニトリロカルボキサミド、ジニトリル、ジアミン、アミノニトリル、およびアミノカルボキサミドから選択された1〜5種の成分を含む混合物を、本発明の新規なポリアミドの製造において使用することもできる。ニトリルおよび対応するアミノカルボキサミド、例えば6−アミノカプロニトリルおよび5−アミノペンタン−1−カルボキサミド、またはジニトリルおよび対応するカルボキサミドおよび/または対応するニトリロカルボキサミド、例えば、アジポニトリル、ニトリロアジパミド、およびアジポジアミドと、ジアミンとを含む混合物が、この場合は有用である。
【0048】
例えば、ジカルボン酸、例えば6〜12個、特に6〜10個の炭素原子を有するアルカンジカルボン酸、例えばアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、またはセバシン酸およびテレフタル酸、イソフタル酸、およびシクロヘキサンジカルボン酸、またはアミノ酸、例えば5〜12個の炭素原子を有するアルカンアミノ酸、特にα,ω−C5−C12−アミノ酸を、他のポリアミド形成モノマーとして使用することができる。
【0049】
5−アミノペンタン酸、6−アミノヘキサン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸、および12−アミノドデカン酸、好ましくは6−アミノヘキサン酸またはその内部アミド、すなわち、ラクタム、特にカプロラクタムを、α,ω−C5−C12−アミノ酸として使用することができる。
【0050】
本発明の方法において好適な出発材料は、さらに、式I
23N−(CH2m−C(O)R1 (I)
(式中、R1は、−OH、−OC1-12−アルキル、または−NR23を意味し、R2およびR3は互いに独立に水素、C1-12−アルキルまたはC5-8−シクロアルキルを意味し、mは3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を意味する)で表わされるアミノカルボン酸との混合物である。
【0051】
特に好ましいアミノカルボン酸化合物は、R1が、−OH、−OC1-4−アルキル、例えば、−O−メチル、−O−エチル、−O−n−プロピル、−O−イソプロピル、−O−n−ブチル、−O−s−ブチル、または−O−t−ブチル、または−NR23、例えば−NH2、−NHMe、−NHEt、−NMe2、または−NEt2を意味し、mが5を意味する化合物である。
【0052】
6−アミノカプロン酸、6−アミノカプロン酸メチル、6−アミノカプロン酸エチル、N−メチル−6−アミノカプロアミド、N,N−ジメチル−6−アミノカプロアミド、N−エチル−6−アミノカプロアミド、およびN,N−ジエチル−6−アミノカプロアミドが極めて好ましい。
【0053】
出発化合物は市販されており、また例えばEP−A−0234295、およびInd.Eng.Chem.Process Des.Dev.17(1978),9−16に従って製造することができる。
【0054】
上述の化合物、アミノカルボン酸化合物、ラクタム、ジアミンおよびジオン酸、またはこれらの塩の所望の混合物を使用することもできる。
【0055】
アミノニトリル、またはジニトリルおよびジアミン、またはアミノニトリル、ジニトリルおよびジアミンの混合物は、水と共に、好ましくは工程全体で1:1〜1:20のモル比で、ポリアミド形成モノマーとして好ましく使用される。アミノカプロニトリルは、工程全体でACN:水=1:1〜1:6のモル比で、特に好ましく使用される。さらに、アジポニトリルおよびヘキサメチレンジアミンは、工程全体でアジポニトリルとヘキサメチレンジアミンの合計:水=1:1〜1:6のモル比で、特に好ましく使用される。さらに、アジポニトリル、ヘキサメチレンジアミンおよびアミノカプロニトリルは、工程全体でアジポニトリルとヘキサメチレンジアミンとアミノカプロニトリルの合計:水=1:1〜1:6のモル比で、特に好ましく使用される。
【0056】
ポリアミド形成モノマーとオリゴマーとの混合物も使用することができる。
【0057】
アミノカプロニトリルに加えて、所望によりカプロラクタムおよび/またはヘキサメチレンジアンモニウムアジパート(AH塩)がポリアミド形成モノマーとして好ましく使用される。
【0058】
アジポニトリルおよびヘキサメチレンジアミンに加えて、所望によりカプロラクタムおよび/またはヘキサメチレンジアンモニウムアジパート(AH塩)がポリアミド形成モノマーとして好ましく使用される。
【0059】
本発明では、−CN基または−CONH2基を有するモノマーが水の存在下で反応させられる。
【0060】
水は、本発明を実施するための反応器に反応混合物を供給する前に、モノマーに全部または一部を添加することができる。
【0061】
その上、水は、反応器にモノマーが供給される位置とは異なる位置から全部または一部を供給することができる。
【0062】
反応されるべきモノマーに関して、水は化学量論的な量で好ましく供給することができる。
【0063】
水は、水を化学量論的な量で導入した場合においても、化学量論的な量を超える濃度で存在させることができ(水に対する高沸点物のモル比は、約1:4〜1:50、好ましくは1:10〜1:40の範囲である)、水が多いと反応の平衡が生成物側に移動し、平衡が達成される速度が増加する。
【0064】
反応は触媒の不存在下で行うこともできるが、触媒の存在下で行うのが好ましい。
【0065】
文献に広範に記載されているリン酸等の酸触媒に加えて、一般的に不均一触媒を使用するのが特に好ましい。β−ゼオライト、板状ケイ酸塩、または、実質的に70〜100%のアナターゼと0〜30%のルチルからなるTiO2を含有(TiO2の40%までは酸化タングステンによって置換されていてもよい。)する固定床触媒から選択されたブレンステッド酸触媒を使用するのが好ましい。
【0066】
例えば、Finnti社からタイプS150として市販されている対応するTiO2製品を使用することができる。
【0067】
不均一触媒は、例えば、充填物上に焼結した懸濁物として、または被覆型または非被覆型の触媒充填物または触媒床または触媒内部構造品として、装置内に導入することができる。不均一触媒はまた、反応混合物からの分離を容易に行うことができるように、内壁上の被覆として、または内壁に設けられた床として、装置内に存在させてもよい。
【0068】
水の濃度、滞留時間、触媒の使用、出発材料の組成と濃度に依存して、反応器の反応部における反応のための温度は、約180〜300℃、好ましくは200〜280℃、特に好ましくは220〜270℃に設定するのが望ましい。
【0069】
反応は、1相反応でも2相反応でも行うことができる。
【0070】
2相反応法では、反応のために必要な圧力値を低下させることができる。というのは、1相反応法のように気体成分を液相中に維持しておく必要がないからである。系の圧力が単に温度に依存して自動的に定まるのが好ましく、圧力の範囲は約10〜60barの範囲である。
【0071】
1相反応法の場合には、60〜120barの圧力が有利であることがわかっている。
【0072】
本発明では、ポリアミドの製造は装置内で行われる。本発明において使用される装置としては、1個以上の反応器、材料流を輸送するために使用されるパイプライン、1個以上の反応器を制御するために使用される補助装置、例えば熱交換器、ポンプまたはバルブが挙げられ、1個以上の反応器が好ましい。
【0073】
本発明のために使用される反応器自体は公知である。
【0074】
例えば、内部構造品または充填物を有していてもよい流管を使用することができる。
【0075】
好ましい形態では、反応器として、例えばWO99/43732号パンフレット、US6201096号明細書、またはUS6437089号明細書に記載されているような反応蒸留装置、好ましくは、棚型塔、例えば穿孔を備えた金属棚を有する棚型塔、気泡塔、または隔壁塔を使用することができる。
【0076】
反応蒸留装置のために適した対応する反応パラメーター、反応物供給法、生成物および副生成物の排出法、熱供給および熱除去法を使用するポリアミドの製造法自体は公知であり、例えば、WO99/43732号パンフレット、US6201096号明細書、またはUS6437089号明細書に記載されており、これらの内容は参考としてこの明細書に組み入れられる。
【0077】
その上、例えばドイツ出願10313682.7号明細書に記載されているような重合釜のカスケードを反応器として使用することもできる。
【0078】
重合釜のカスケードのために適した対応する反応パラメーター、反応物供給法、生成物および副生成物の排出法、熱供給および熱除去法を使用するポリアミドの製造法自体は公知であり、例えばドイツ出願10313682.7号明細書に記載されており、これらの内容は参考としてこの明細書に組み入れられる。
【0079】
特に好ましい形態は、例えばドイツ出願10313681.9号明細書に記載されているような、以下に示す垂直方向の縦軸を有する反応器内での本発明のポリアミドの製造法である。この反応器では、反応生成物が底部から排出され、形成されたアンモニアおよび他の低分子量化合物と水とが頂部から排出される。この反応器は、縦方向に重なっており液密性の棚で互いに分離された少なくとも2つの室を有しており、各室は溢れた液により直下の室と接続されており、液体の生成物流が最下の室から溢れた液を介して排出され、各室の液面上の気体空間は、1本以上の輸送管により直上の各室と接続されており、各輸送管は気体分配器に開口しており、気体分配器は液面下の気体出口のためのオリフィスと、各気体分配器の周囲に垂直に配置された上端が液面下まで伸びており下端が室の液密棚上まで伸びている少なくとも1枚の金属製の偏向板とを有しており、各室は1つ以上の気体で満たされた空間および1つ以上の気体で満たされていない空間に分かれている。
【0080】
このような反応器のために適した対応する反応パラメーター、反応物供給法、生成物および副生成物の排出法、熱供給および熱除去法を使用するポリアミドの製造法自体は公知であり、例えばドイツ出願1031681.9号明細書に記載されており、これらの内容は参考としてこの明細書に組み入れられる。
【0081】
本発明の方法を実施するために、異なる反応器を組み合わせることもできる。例えば、反応を複数の部分的な段階、例えば2つの部分的な段階に分けて行うことができる。
【0082】
好適な形態では、−CN基を有するモノマーを使用して、第1段階で水と反応させて部分的または完全に−CONH2基を有するモノマーおよびオリゴマーを含む反応混合物に転化することができる。この目的のためには、流管を好ましく使用することができる。
【0083】
第2段階で、第1段階で得られた混合物を反応させてポリマーを得ることができる。この反応は、反応蒸留装置、特にドイツ出願10313681.9号明細書に記載されている反応器で好適に行うことができる。
【0084】
本発明では、反応器における反応混合物との接触領域の全体または一部が、
a)15〜25質量%のクロム、
3〜35質量%のニッケル、および、
0〜10質量%のモリブデン、
所望により他の合金成分、および、
残余の鉄
(各質量%の値はa)全体に対する値であり、全体の合計量は100質量%である。)を含むオーステナイト鋼、
b)20〜30質量%のクロム、
3〜10質量%のニッケル、および、
0〜5質量%のモリブデン、
所望により他の合金成分、および、
残余の鉄
(各質量%の値はb)全体に対する値であり、全体の合計量は100質量%である。)を含む二相鋼、および、
c)12〜25質量%のクロム、および、
12〜20質量%のモリブデン、
所望により他の合金成分、および、
残余のニッケル
(各質量%の値はc)全体に対する値であり、全体の合計量は100質量%である。)を含むニッケルを基礎とした合金、
からなる群から選択された材料で構成されている。
【0085】
本発明に関する限り、“反応混合物との接触領域”という語は、反応混合物の一部、例えば液体反応混合物上に存在する気相と接触しているかまたは接触することができるこのような気相が存在する領域だけでなく、反応混合物の全体と接触しているかまたは接触することができる領域をも示す。
【0086】
反応混合物との接触領域の全体が上述の材料で構成されていてもよく、一部が上述の材料で構成されていてもよい。
【0087】
この領域は、反応壁の厚みの全体、すなわち、反応混合物側の表面からこの領域におけるこれと反対側の表面までが完全に上述の材料の1種で構成されていてもよい。また、この領域は、反応壁の厚みの一部、すなわち、反応混合物側の表面から反応壁の内部に存在する面までが上述の材料の1種で構成されていてもよく、この場合には、反応壁が反応混合物から離れた側の表面に向かって別の材料に接続されていてもよい。
【0088】
好ましい形態では、好適な材料a)は、
15〜25質量%のクロム、
3〜35質量%のニッケル、および、
0〜10質量%のモリブデン、
所望により他の合金成分、および、
残余の鉄
(各質量%の値はa)全体に対する値であり、全体の合計量は100質量%である。)を含むオーステナイト鋼であり、
同時に、ニッケルのa)全体に対する最大含有量(質量%)が、a)材料の全体に対して15〜20質量%であるクロム含有量に対して、式
Ni(質量%)≦5.5・Cr(質量%)−75
に従うクロム含有量の関数として計算されており、
同時に、ニッケルのa)全体に対する最小含有量(質量%)が、a)全体に対して17〜25質量%であるクロム含有量に対して、式
Ni(質量%)≧2.5・Cr(質量%)−42.5
に従うクロム含有量の関数として計算されている鋼である。
【0089】
特に好ましい材料a)は、他の合金成分として、C、N、Cu、Mn、Al、およびTiからなる群から選択された1種以上の元素を含み、これらの量は、合計でa)全体に対して0.01〜10質量%であるのが好ましい。
【0090】
特に好ましい材料a)は、表1に示されている。
【0091】
好ましい形態では、材料b)が、好ましくはb)全体に対して0.1〜5質量%の量でモリブデンを含むことができる。
【0092】
さらに、材料b)が、他の合金成分として、CおよびNの少なくとも一方を含むのが好ましい。特に好ましい形態では、材料b)が、他の合金成分として、CおよびNの少なくとも一方を、b)全体に対してCとNとの合計で0.05〜0.5質量%の量で含むことができる。
【0093】
特に好ましい材料b)は、表2に示されている。
【0094】
材料c)が、他の合金成分として、W、Ti、Al、Ta、Cu、C、およびNからなる群から選択された1種以上の元素を、好ましくは合計でc)全体に対して0.1〜5質量%の量で含むのが好ましい。
【0095】
さらに、材料c)が、他の合金成分として鉄を、好ましくはc)全体に対して0.1〜8質量%の量で含むのが好ましい。
【0096】
さらに、材料c)が、他の合金成分としてケイ素を、好ましくはc)全体に対して0.01〜0.2質量%の量で含むのが好ましい。
【0097】
特に好ましい材料c)は、表3に示されている。
【0098】
本発明の方法のために提供するのを意図した反応器、および本発明において使用された反応器の製造は、このような材料のための製造方法として方法自体は公知の方法によって行うことができる。
【0099】
得られた目的の生成物は、反応器内での滞留時間、工程の温度、圧力条件および他のプロセス工学上のパラメーターに依存して、広範囲に調整できる異なる分子量と異なる性質を有している。所望により、生成物の目的の性質を得るために、反応後に生成物にさらに加工を施すことができる。
【0100】
生成物は、分子量を増加させるために好ましく重縮合させることができる。このような重縮合は、例えば完全に連続的な流管(VK管)内で、ポリアミドの製造および後処理のための方法自体は公知の方法で行うことができる。
【0101】
得られたポリアミドは、例えばDE−A−4321683号明細書(3頁、54行〜4頁、3行)に詳細に記載されているような方法自体は公知の方法によって精製することができる。
【0102】
好ましい形態では、本発明により得られたポリアミド6における環状二量体の含有量を、ポリアミドをまず水またはカプリラクタムの水溶液で抽出し、次いで水で抽出するか、あるいは気相抽出(例えば、EP−A−0284968号明細書参照)により、さらに減少させることができる。この後処理において得られたカプロラクタム、直鎖状または環状オリゴマーのような低分子量成分は、本発明の方法または上流の反応器に循環させることができる。
【0103】
抽出の後に得られたポリアミドは、続いて一般的に方法自体は公知の方法で乾燥される。
【0104】
乾燥は、窒素または過熱蒸気のような不活性ガスを熱源として併用して、例えば向流法により好適に行うことができる。この場合に、25℃で96%硫酸中1質量%溶液を用いて測定された粘度を、高温、好ましくは150〜190℃で加熱することにより目的の値に調節することができる。
【0105】
本発明の方法は、良好な製品特性、特に色数、および従ってより高い品質の製品を提供する。本発明に関する限り、変色はAPHA数と黄色度指数によって決定される。APHA数は、以下の実施例において示した方法により、470nmと600nmにおけるポリアミドの蟻酸溶液の吸光度差によって決定される。APHA数が小さいほど、ポリアミドの変色が小さい。黄色度指数は、ポリアミドの表面の変色の基準であり、実施例ではDIN5033に従って測定される。黄色度指数が0から外れるほど、硫酸バリウム白色標準からのポリアミド粒子表面の色偏差が小さい。
【実施例】
【0106】
以下、本発明を実施例により説明する。
【0107】
溶液粘度の測定
実施例において、溶液粘度は、DIN51562−1〜−4に従って、96%硫酸中における相対溶液粘度として測定した。測定に当って、溶液100mLあたり1gのポリマーを計量し、ウベローデ粘時計での流出時間を、純溶液を参照として測定した。
【0108】
APHA数の測定
ポリアミドの変色の定量的な測定のための標準的な方法が、APHA数(Pt−Co、ASTM1209−54)の測定である。
【0109】
a)キャリブレーションファクターfの決定
0.249gのヘキサクロロ白金(IV)酸カリウムと0.2gの塩化コバルト(II)・6水和物を体積1000mLのフラスコ中で500mLの蒸留水に溶解し、密度1.18g/cm3を有する塩酸20mLを添加し、溶液量を蒸留水でマークのところまで調整する。
【0110】
この溶液の吸光度E0を、5cmのセルを使用して、470nmの波長で蒸留水を参照として測定する。次いで、キャリブレーションファクターfを、f=100/Eoの式から計算する。
【0111】
b)ポリアミド溶液の製造
7gのポリアミドを、200mLのコニカルフラスコ中で、100mLの蟻酸に室温で16時間をかけて溶解する。次いで、溶液を35000Gで遠心分離する。
【0112】
c)色数の測定
ポリアミドの吸光度Eを、5cmのセルを使用して、470nmの波長(E470)および600nmの波長(E600)で、蟻酸を参照として測定する。
【0113】
次いで、APHA数(Pt−Co)を、
APHA数=f・(E470−E600
の式から決定する。
【0114】
黄色度指数の測定
黄色度指数は、ポリアミド粒子の天然色を特徴付けるための色価を測定する過程で、DIN5033に従って測定する。ポリアミドの色価は3つの明度からなり、色を特徴付けるものである。参照系は、国際的に合意されているCIE系である。DIN5033における標準色価は、CIE系と等価である。CIE系における明度は、X,Y,Zによって示される。
【0115】
ボディーカラーを決定するための色測定の3域法が、ELREPHOフィルター光度計を使用して行われる。サンプルの反射率が3つの特別なフィルター、すなわち、標準光源C用の色測定フィルター(FMX/C、FMY/CおよびFMZ/C)を使用して測定され、明度がその値から計算される。
【0116】
フィルター光度計は、硫酸バリウム白色標準を使用して0に較正される(FMX/C調整値)。それぞれの場合について、FMX/C、FMY/CおよびFMZ/C測定について二回測定が行われ、その値から平均値が計算される。
【0117】
黄色度指数は、FMX/CおよびFMZ/Cの測定値の差からコンピューターにより計算される。
【0118】
ポリアミドの製造
例1
プレポリマーが、6−アミノカプロニトリルおよび水の混合物から、管状反応器内で、250℃の温度および80barの大気圧以上の圧力下で1.5時間の平均滞留時間の条件で製造された。使用される反応器および装置における生成物流との接触域は、表1の材料1.4571で構成されていた。
【0119】
カプロラクタム(12質量%)、水(22質量%)、NH3(0.5質量%)および上述のナイロン6プレポリマー(残余量)の連続流を、ドイツ出願10313681.9号明細書の請求項に示す反応器の上部に5段階で、また1つの底部に導入した。使用される反応器および装置における生成物流との接触域は、表1の材料1.4571で構成されていた。
【0120】
この供給流の通過量は37.7kg/hであり、温度は235℃であった。
【0121】
反応器内の圧力は、28bar(ゲージ圧)に調節された。塔底の温度は275℃に調整された。
【0122】
反応器の温度曲線は断熱的であった。反応器内の底部における10分未満の滞留時間を含む反応器内の総滞留時間は1.65時間であった。
【0123】
31.4kg/hの底部から排出された8.9質量%の水を含むナイロン6生成物流は、次いで先行技術に従って完全に連続的な流管(VK管)内で後濃縮された。オリゴマーを除去するために、このようにして得られたポリアミド6を先行技術に従って水で抽出し、次いで乾燥した。乾燥後のポリアミドの溶液粘度、APHA数、および黄色度指数を測定した。
【0124】
溶液粘度:RV=2.41
APHA数:2
黄色度指数:2。
【0125】
例2
材料1.4571を表2の材料1.4462に変更した以外は例1と同様の手順を繰り返した。
【0126】
溶液粘度:RV=2.40
APHA数:2
黄色度指数:−4。
【0127】
比較例
材料1.4571をEN10088−1または10088−2のフェライト材料1.4521に変更した以外は例1と同様の手順を繰り返した。
【0128】
溶液粘度:RV=2.41
APHA数:20
黄色度指数:25。
【0129】
【表1】

【0130】
【表2】

【0131】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
−CN基または−CONH2基を有するモノマーおよび所望により他のポリアミド形成モノマーおよび/またはオリゴマーと水とを含む反応混合物を装置内で反応させることにより、ポリアミド、そのオリゴマー、またはこれらの混合物を、所望により他の反応生成物と共に製造する方法であって、
前記装置における前記反応混合物との接触領域の全部または一部が、
a)15〜25質量%のクロム、
3〜35質量%のニッケル、および、
0〜10質量%のモリブデン、
所望により他の合金成分、および、
残余の鉄
(各質量%の値はa)全体に対する値であり、全体の合計量は100質量%である。)を含むオーステナイト鋼、
b)20〜30質量%のクロム、
3〜10質量%のニッケル、および、
0〜5質量%のモリブデン、
所望により他の合金成分、および、
残余の鉄
(各質量%の値はb)全体に対する値であり、全体の合計量は100質量%である。)を含む二相鋼、および、
c)12〜25質量%のクロム、および、
12〜20質量%のモリブデン、
所望により他の合金成分、および、
残余のニッケル
(各質量%の値はc)全体に対する値であり、全体の合計量は100質量%である。)を含むニッケルを基礎とした合金、
からなる群から選択された材料で構成されていることを特徴とする方法。
【請求項2】
材料a)が、
15〜25質量%のクロム、
3〜35質量%のニッケル、および、
0〜10質量%のモリブデン、
所望により他の合金成分、および、
残余の鉄
(各質量%の値はa)全体に対する値であり、全体の合計量は100質量%である。)を含むオーステナイト鋼であり、
同時に、ニッケルのa)全体に対する最大含有量(質量%)が、a)材料の全体に対して15〜20質量%であるクロム含有量に対して、式
Ni(質量%)≦5.5・Cr(質量%)−75
に従うクロム含有量の関数として計算されており、
同時に、ニッケルのa)全体に対する最小含有量(質量%)が、a)全体に対して17〜25質量%であるクロム含有量に対して、式
Ni(質量%)≧2.5・Cr(質量%)−42.5
に従うクロム含有量の関数として計算されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
材料a)が、他の合金成分として、C、N、Cu、Mn、Al、およびTiからなる群から選択された1種以上の元素を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
材料a)における他の合金成分が、a)全体に対して0.01〜10質量%の量で存在していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
材料b)が、b)全体に対して0.1〜5質量%のモリブデンを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
材料b)が、他の合金成分として、CおよびNの少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
材料b)が、他の合金成分として、CおよびNの少なくとも一方を、b)全体に対してCとNとの合計で0.05〜0.5質量%の量で含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
材料c)が、他の合金成分として、W、Ti、Al、Ta、Cu、C、およびNからなる群から選択された1種以上の元素を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
材料c)におけるW、Ti、Al、Ta、Cu、C、およびNからなる群から選択された他の合金成分が、c)全体に対して0.1〜5質量%の量で存在していることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
材料c)が、他の合金成分として鉄を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
材料c)が、他の合金成分としての鉄を、c)全体に対して0.1〜8質量%の量で含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
材料c)が、他の合金成分としてケイ素を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
材料c)が、他の合金成分としてのケイ素を、c)全体に対して0.01〜0.2質量%の量で含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
−CN基または−CONH2基を有するモノマーおよび所望により他のポリアミド形成モノマーおよび/またはオリゴマーと水とを含む反応混合物を反応させることにより、ポリアミド、そのオリゴマー、またはこれらの混合物を、所望により他の反応生成物と共に製造する方法において使用された装置であって、前記装置における前記反応混合物と接触する領域の全部または一部が、請求項1〜13のいずれか1項に記載の材料で構成されていることを特徴とする装置。
【請求項15】
−CN基または−CONH2基を有するモノマーおよび所望により他のポリアミド形成モノマーおよび/またはオリゴマーと水とを含む反応混合物を反応させることにより、ポリアミド、そのオリゴマー、またはこれらの混合物を、所望により他の反応生成物と共に製造する方法のために提供することを意図した装置であって、前記装置における前記反応混合物と接触する領域の全部または一部が、請求項1〜13のいずれか1項に記載の材料で構成されていることを特徴とする装置。

【公表番号】特表2007−502873(P2007−502873A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523542(P2006−523542)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007874
【国際公開番号】WO2005/019304
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】