説明

ポリアルジミンを含む湿気硬化性ホットメルト接着剤コンパウンド

本発明は、室温で固体であり且つイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンポリマーP、式(Ia)又は(Ib)の少なくとも1種のポリアルジミンALD、及び有機カルボン酸もしくはジカルボン酸又は有機モノスルホン酸もしくはジスルホン酸又は加水分解してこれらの酸の一つを与える化合物の形態の少なくとも1種の酸Kを含む、湿気反応性ホットメルト接着剤組成物に関する。これらのホットメルト接着剤組成物は、気泡なしに硬化し、非常に速い架橋速度と、架橋後の良好な強度を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は湿気硬化性ホットメルト接着剤の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤(ホットメルト)は、熱可塑性ポリマーに基づく接着剤である。室温で固体であるこれらのポリマーは、加熱時に軟化して粘稠な液体を形成し、したがって、溶融物として適用することができる。ペースト状の稠度を有し且つ典型的には40℃〜80℃の範囲のわずかに昇温した温度で適用されるいわゆるウォームメルト接着剤(ウォームメルト)とは対照的に、ホットメルト接着剤は80℃より上、典型的には85℃より上の温度で適用される。室温に冷却したとき、それらは固化し、接着強度が同時に発現される。従来のホットメルト接着剤は、非反応性接着剤である。加熱時、それらは再び軟化又は溶融し、それらを高温での使用には適さないものにしている。さらに、従来のホットメルト接着剤は、軟化点よりも充分下でさえ、クリープ(コールドフロー)をしばしば示す傾向がある。
【0003】
いわゆる反応性ホットメルト接着剤の場合、これらの欠点は、架橋をもたらす反応性基をポリマー構造中に導入することを通じてほとんど除去されている。特に好適な反応性ホットメルト接着剤はポリウレタン組成物であり、短縮してPUR−RHMとも言われる。これらは、典型的には、イソシアネート基を有し、かつ適切なポリオールを過剰のジイソシアネートと反応させることによって得られるポリウレタンポリマーからなる。適用に続いて、それらは冷却によって高い接着強度を発現し、イソシアネート基と湿気との反応の結果としてポリウレタンポリマーの後架橋によって、それらの最終的な特性、より特に熱安定性及び環境影響への耐性を獲得する。しかし、架橋反応において形成される二酸化炭素ガスのせいで、最終強度を低下させうる気泡が接着剤中に生じるおそれがあり、基材接着及びまた、例えば包装部分におけるように目に見える接着の場合には、その外観に悪影響を及ぼしうる。非晶質(アモルファス)のPUR−RHMは特に気泡を形成する傾向があり、なぜなら、表面から形成される硬化接着剤の表皮(スキン)が、二酸化炭素に対して大いに不透過性だからである。同時に、その表皮が、まだ硬化していない接着剤の深い層にほとんど湿気を通さず、そのため、この種の接着剤においては、特に500マイクロメートル以上の厚さの層で適用した場合には、完全な架橋をするには非常に長い時間がかかるか、全く起こらないかである。
【0004】
室温で適用される一成分形ポリウレタンの分野では、気泡なしに硬化するシステムが知られている。それらは、典型的には潜在性硬化剤、より特にはポリアルジミンを含有する。国際公開第2004/013200A1号パンフレットは、室温で適用可能であり、ポリアルジミンを含有し、不快な臭気なしに硬化しうる組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2004/013200A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[本発明のまとめ]
本発明の目的は、貯蔵時に安定であり、厚い層での適用でさえ、気泡の形成なしに硬化する反応性ホットメルト接着剤として使用可能なポリウレタン組成物を提供することである。この目的は、さらに、架橋が迅速且つ完全に起こること、及び接着剤が良好な最終強度を有しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、この目的は、請求項1記載の湿気反応性ホットメルト接着剤によって達成可能であることを発見した。実質的に、冷却した状態、すなわち、固体状態で起こる架橋の速度が、ポリアルジミンを含まない組成物と比べて、顕著に増大することを発見した。このことは非常に驚くべきことであり、なぜなら、ポリアルジミンによるイソシアネート基の架橋は、実際に、水だけによるイソシアネート基の架橋よりも、より多くの水を必要とするからである。特に、架橋速度が、アモルファスホットメルト接着剤組成物の場合には、特に大きく増大することが判明した。さらに、非常に驚くべきことに、それらの適用時に主流である高い温度にもかかわらず、かつ組成物中に存在するポリアルジミン及び/又は加水分解時にそれらから形成されるアルデヒドにもかかわらず、このホットメルト接着剤組成物は大方において無臭あるいは少なくとも低臭気である。架橋した接着剤は、気泡の不存在及び良好な最終強度という利点を有する。
【0008】
さらなる側面では、本発明は、請求項17に記載の接着結合方法、請求項22に記載した得られた物品、並びに請求項24に記載した、気泡発生の低減及び非晶質湿気反応性ホットメルト接着剤組成物の化学架橋の促進方法に関する。
【0009】
好ましい態様は、従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[好ましい態様の説明]
本発明は、
a)室温で固体であり且つイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンポリマーP、
b)下記式(Ia)又は(Ib):
【化1】

[式(Ia)又は(Ib)において、
Xは、n個の脂肪族一級アミノ基を除去した後のn官能の一級ポリアミンの有機基であり、この有機基は、水の不存在下でイソシアネート基と反応性であるいかなる官能基も、特にいかなる水酸基、いかなる二級アミノ基、いかなる尿素基、及び活性水素をもつその他のいかなる基も含まない;
nは2又は3又は4であり;
及びYは、互いに独立に、それぞれ1〜12の炭素原子を有する一価炭化水素基であるか、あるいは一緒になって、5〜8、好ましくは6の炭素原子を有する任意選択で置換されていてもよい炭素環基の一部である、4〜20の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり;
は、任意選択で少なくとも1つのヘテロ原子、より特にエーテル、カルボニル、又はエステル基の形態の酸素を有していてもよい一価炭化水素基であり;
は、5〜8、好ましくは6原子の環サイズを有する置換又は非置換のアリール又はヘテロアリール基であるか、又は
【化2】

(Rは水素原子であるか又はアルコキシ基である)
であるか、又は
少なくとも6の炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル又はアリールアルケニル基である]
の少なくとも1種のポリアルジミンALD、
c)有機モノカルボン酸もしくは有機ジカルボン酸の形態の、又は有機モノスルホン酸もしくは有機ジスルホン酸の形態の、又はこれらの酸の1つに加水分解されうる化合物の形態の少なくとも1種の酸K、
を含む湿気反応性ホットメルト接着剤組成物を提供する。
【0011】
本明細書中の「ポリマー」の用語は、化学的には均一であるが、重合度、モル質量、及び鎖長に関して異なり、重合反応(付加重合、重付加、又は重縮合)によって調製される高分子の集合体を一方では包含する。他方では、この用語は、重合反応による高分子のそのような集合体の誘導体、言い換えれば、反応、例えば、存在する高分子上への官能基の付加又は置換によって得られ、且つ化学的に均一であるか又は化学的に不均一であってよい化合物をも包含する。この用語はさらに、プレポリマーとよばれるもの、言い換えれば、その官能基が高分子の合成に関与する反応性オリゴマー状予備付加体も包含する。
【0012】
「ポリウレタンポリマー」の用語は、ジイソシアネート重付加法によって調製される全てのポリマーを包含する。これは、ウレタン基を実質的に又は全く含まないこれらのポリマーをも含む。ポリウレタンポリマーの例は、ポリエーテルポリウレタン類、ポリエステルポリウレタン類、ポリエーテルポリウレア類、ポリウレア類、ポリエステルポリウレア類、ポリイソシアヌレート類、及びポリカルボジイミド類である。
【0013】
「室温」は、25℃の温度をいう。
【0014】
「ポリ」で始まる物質名、例えば、ポリアルジミン、ポリイソシアネート、ポリオール、又はポリアミンは、本明細書において、形式上、それらの名前にある官能基を1分子当たり2つ以上有する物質をいう。
【0015】
本明細書中、「一級アミノ基」の用語は、一つの有機基に結合したNH基をいい、一方「二級アミノ基」は、2つの有機基(これは一緒になって環の一部であることもできる)に結合したNH基をいう。
【0016】
「脂肪族アミノ基」は、脂肪族、脂環式、又は芳香脂肪族(アリール脂肪族)基に結合したアミノ基である。したがって、これは、例えば、アニリン又は2-アミノピリジンにおけるように芳香族又はヘテロ芳香族基に直接結合した「芳香族アミノ基」とは異なる。
【0017】
本湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は、室温で固体であり且つイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンポリマーPを含有する。
【0018】
好適なポリウレタンポリマーPは、少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートとの反応によって得られる。
【0019】
好適なポリオールは、より特に、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートポリオール、及びまた、これらのポリオールの混合物である。
【0020】
より特にポリエーテルポリオールとして適しており、ポリオキシアルキレンポリオールともよばれるものは、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-又は2,3-ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、又はこれらの混合物の重合生成物であり、任意選択で、2つ以上の活性水素原子を有する開始剤分子、例えば、水、アンモニア、又は2つ以上のOH又はNH基を有する化合物、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールの異性体類及びトリプロピレングリコールの異性体類、ブタンジオールの異性体類、ペンタンジオールの異性体類、ヘキサンジオールの異性体類、ヘプタンジオールの異性体類、オクタンジオールの異性体類、ノナンジオールの異性体類、デカンジオールの異性体類、ウンデカンジオールの異性体類、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、及びこれらの化合物の混合物を用いて重合したものであってもよい。例えば、ダブル金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)として公知のものの助けを借りて調製した、低不飽和度(ASTM D−2849−69に準拠して測定し、ポリオール1g当たりの不飽和度のミリ当量(meq/g)で表される)を有するポリオキシアルキレンポリオールばかりでなく、例えばアニオン触媒、例えば、NaOH、KOH、又はアルカリ金属アルコキシドを用いて調製した、より高い不飽和度を有するポリオキシアルキレンポリオールをも用いることができる。
【0021】
特に好適なポリエーテルポリオールは、ポリオキシアルキレンジオール及びトリオール、特に、ポリオキシアルキレンジオールである。特に好適なポリオキシアルキレンジオール及びトリオールは、ポリオキシエチレンジオール及びトリオール、並びにまた、ポリオキシプロピレンジオール及びトリオールである。
【0022】
特に好適なポリオキシプロピレンジオール及びトリオールは、0.02meq/g未満の不飽和度、及び1000〜30000g/モルの範囲の分子量を有するもの、及びまた、400〜8000g/モルの分子量を有するポリオキシプロピレンジオール及びトリオールである。「分子量」又は「モル質量」は、本明細書において、常に平均分子量Mを意味する。特に好ましいポリオキシプロピレンジオールは、0.02meq/g未満の不飽和度と、1000〜12000、より特に1000〜8000g/モルの範囲の分子量とを有するものである。この種のポリエーテルポリオールは、例えば、商品名Acclaim(登録商標)でBayer社から販売されている。
【0023】
同様に、特に適しているものは、「EO末端キャップ」(エチレンオキシド末端キャップ)したポリオキシプロピレンジオール及びトリオールといわれるものである。これは、例えば、純粋なポリオキシプロピレンポリオールに、ポリプロポキシル化が終わった後で、エチレンオキシドを用いてアルコキシル化することによって得られ、これは結果として一級ヒドロキシル基を有する。
【0024】
好適なポリエステルポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、公知の方法によって、より特に、ヒドロキシカルボン酸の重縮合、あるいは脂肪族及び/又は芳香族ポリカルボン酸と2つ以上の官能基数を有するアルコールとの重縮合によって調製されるポリエステルである。
【0025】
特に好適なものは、2価又は3価、特に2価のアルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,12-ヒドロキシステアリルアルコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ダイマー脂肪酸ジオール(ダイマージオール)、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステル、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、又はこれらのアルコール類の混合物と、有機ジカルボン酸又はトリカルボン酸、特に、ジカルボン酸、又はそれらの無水物もしくはエステル類、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、及びトリメリット酸無水物、又はこれらの酸の混合物とから調製されるポリエステルポリオール、並びにまた、ラクトン、例えばε-カプロラクトンと開始剤、例えば、上述した2価又は3価アルコール類とから形成されるポリエステルポリオール類である。
【0026】
特に好適なポリエステルポリオールは、ポリエステルジオールである。特に好適なポリエステルジオールは、ジカルボン酸として、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸と、2価アルコールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ダイマー脂肪酸ジオール、及び1,4-シクロヘキサンジメタノールとから調製されるものである。さらにまた特に好適なものは、ε-カプロラクトンと、開始剤としての上述した2価アルコール類の1種とから調製されるポリエステルジオールである。
【0027】
ポリエステルポリオールは、1000〜15000g/モル、より特に1500〜8000g/モル、より特に1700〜5500g/モルの分子量を有することが有利である。
【0028】
特に好ましいのは、室温において、結晶性、部分結晶性、非晶質(アモルファス)、又は液状のポリエステルジオール及びトリオールであり、特にポリエステルジオールである。室温で液状である好適なポリエステルポリオールは、室温より下のそれほど離れてはいない温度、0℃〜25の間の温度において固体であり、例えば、少なくとも1種の非晶質、部分結晶性、又は結晶性のポリエステルポリオールと組み合わせて用いることが好ましい。非晶質ポリエステルジオール、また、非晶質ポリエステルジオールと室温で液体のポリエステルジオールとの混合物が特に適している。
【0029】
好適なポリカーボネートポリオールは、例えば、上述した2価又は3価アルコール(ポリエステルポリオール類の合成に用いられるもの)と、ジアルキルカーボネート、例えば、ジメチルカーボネート、ジアリールカーボネート、例えば、ジフェニルカーボネート、又はホスゲンとを反応させることによって得られる種類のものである。
【0030】
ポリカーボネートジオール、特に非晶質のポリカーボネートジオールが特に好適である。
【0031】
同様に、ポリオールとしては、少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、且つ上述したタイプのポリエーテル、ポリエステル、及び/又はポリカーボネート構造をもつ少なくとも2つの異なるブロックを含むブロックコポリマーが好適である。
【0032】
好ましいポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、特にポリエステルジオールとポリカーボネートジオールである。
【0033】
特に好ましいものは、非晶質のポリエステルジオールと非晶質のポリカーボネートジオール、並びに、非晶質のポリエステル又はポリカーボネートジオールと、室温で液状のポリエステル又はポリカーボネートジオールとの混合物である。
【0034】
最も好ましいものは、ポリエステルジオール、特に非晶質のポリエステルジオール、及びまた、非晶質のポリエステルジオールと室温で液状のポリエステルジオールとの混合物である。
【0035】
ポリウレタンポリマーPを調製するためのポリイソシアネートとしては、市販の脂肪族、脂環式、又は芳香族ポリイソシアネート、特にジイソシアネートを用いることができ、例は以下のとおりである。
1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2,2,4-及び2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,10-デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、及びリシンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-及び1,4-ジイソシアネート及びこれらの異性体の任意の所望する混合物、1-メチル-2,4-及び-2,6-ジイソシアナトシクロヘキサン及びこれらの異性体の任意の所望の混合物(HTDI又はHTDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(すなわち、イソホロンジイソシアネート又はIPDI)、パーヒドロ-2,4’-及び-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI又はH12MDI)、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m-及びp-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-XDI)、m-及びp-テトラメチル-1,3-及び-1,4-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-TMXDI)、ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ナフタレン、2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネート及びこれらの異性体の任意の所望の混合物(TDI)、4,4’-, 2,4’-及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート及びこれらの異性体の任意の所望の混合物(MDI)、1,3-及び1,4-フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、前述したイソシアネート類のオリゴマー及びポリマー、並びに前述したイソシアネート類の任意の所望の混合物。
MDI、TDI、HDI、及びIPDIが好ましい。MDI及びIPDIが特に好ましい。
【0036】
ポリウレタンポリマーPは、ポリイソシアネートとポリオールとから直接に、又は鎖延長反応としても知られている種類の段階的付加法により、公知の方法で調製される。
【0037】
一つの好ましい態様では、ポリウレタンポリマーPは、少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとの反応によって得られ、そのイソシアネート基はそのヒドロキシル基に対して化学量論的に過剰に存在する。イソシアネート基とヒドロキシル基との間の比は、1.3〜2.5、より特に1.5〜2.2が有利である。
【0038】
ポリウレタンポリマーPは室温で固体である。これに関しては、それは結晶性、部分結晶性、又は非晶質であってよい。部分結晶性又は非晶質ポリウレタンポリマーPについては、室温で、それが流体でなく、あるいはほとんど僅かな流動性しかない場合である。このことは、特に、それが20℃で5000Pa・sより高い粘度を有することを意味する。
【0039】
ポリウレタンポリマーPは、好ましくは1000g/モルの分子量、より特に1200〜50000g/モル、好ましくは2000〜30000g/モルの分子量を有する。
【0040】
ポリウレタンポリマーPは、さらに、1.8〜2.2の範囲の平均官能基数を有することが好ましい。
【0041】
室温で固体であるポリウレタンポリマーPは透明であることが好ましい。室温で固体である透明なポリウレタンプレポリマーは、通常、非晶質ポリオール、又は非晶質であるポリオールと室温で液状であるポリオールとの混合物を用いて調製される。
【0042】
好ましくは、ポリウレタンポリマーPは非晶質である。さらに、ポリウレタンポリマーPは、湿気での化学的架橋の前と後の両方で透明であることが好ましい。
【0043】
通例では、ポリウレタンポリマーPは、全体の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物を基準にして、40質量%〜100質量%、より特に75質量%〜100質量%、好ましくは80質量%〜100質量%の量で存在する。
【0044】
この湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は、室温で固体であり且つイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPだけでなく、下記式(Ia)又は(Ib)のポリアルジミンALDも含む。
【0045】
【化3】

【0046】
上記式中、X、n、Y、Y、Y、及びYは、既に記載した定義を有する。
【0047】
好ましくは、Xは任意選択で置換されていてもよく、任意選択でヘテロ原子、より特に、エーテル酸素、第三級アミン窒素、又はチオエーテル硫黄の形態のヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0048】
好ましくは、nは2又は3、より特に2である。
【0049】
好ましくは、Y及びYはそれぞれメチル基である。
【0050】
好ましくは、Yは下記式(II)又は(III)の基である。
【0051】
【化4】

【0052】
式中、Rは、水素原子であるか、又はアルキルもしくはアリールアルキル基であり、好ましくは水素原子であり;
は、1〜30、より特に12〜30の炭素原子を有する炭化水素基であり、これは任意選択でヘテロ原子を含んでいてもよく;
は、水素原子であるか、
又は、1〜30の炭素原子、より特に11〜30の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、任意選択で環状部分を有していてもよく、任意選択で少なくとも1つのヘテロ原子をもっていてもよく、
又は、5〜30の炭素原子を有する、単一もしくは複数不飽和の、直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基であるか、
又は、任意選択で置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族の5又は6員環である。
【0053】
本明細書中の式の破線は、各場合に、置換基と、その分子の結合している残りの部分との間の結合を示す。
【0054】
式(Ia)又は(Ib)のポリアルジミンALDは、式(IV)のポリアミンと、式(Va)又は(Vb)のアルデヒドとの間の、水の脱離を伴う縮合反応によって得られる。式(Va)又は(Vb)のアルデヒドは、ここでは、式(IV)のポリアミンのアミノ基に対して化学量論量で又は化学量論的に過剰に用いられる。
【0055】
【化5】

【0056】
式(IV)、(Va)、及び(Vb)において、X、n、並びにY、Y、Y、及びYは、既に説明した上記定義を有する。
【0057】
式(IV)の好適なポリアミンは、脂肪族一級アミノ基を有するポリアミンであり、例は以下のとおりである:
脂肪族ポリアミン、例えば、エチレンジアミン、1,2-及び1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-及び1,4-ブタンジアミン、1,3-及び1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン及びそれらの混合物、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、メチル-ビス(3-アミノプロピル)アミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、1,3-ジアミノペンタン(DAMP)、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサメチレンジアミン、脂環式ポリアミン、例えば、1,3-及び1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(すなわち、イソホロンジアミンあるいはIPDA)、2-及び4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン及びそれらの混合物、1,3-及び1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1-シクロヘキシルアミノ-3-アミノプロパン、2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA、三井化学製)、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3-及び1,4-キシリレンジアミン、エーテル基を含む脂肪族ポリアミン類、例えば、ビス(2-アミノエチル)エーテル、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、及びそれらの高級オリゴマー、例えばJeffamine(登録商標)の名称(Huntsman Chemicals社から)で、Polyetheraminの名称(B
ASF社から)、又はPC Amine(登録商標)の名称(Nitroil社から)で得られる、2又は3つのアミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミン類、並びに前記のポリアミン類の混合物。
【0058】
式(IV)の好ましいポリアミンは、1,6-ヘキサメチレンジアミン、MPMD、DAMP、IPDA、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,3-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン、及び2又は3のアミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミン類、特に、Huntsman社からJeffamine(登録商標)の商品名で入手可能な、製品名EDR-148、D-230、D-400、D-2000、T-403、及びT-5000、並びにBASF社又はNitroil社からのこれらに類似の化合物、さらにはこれらの互いの混合物からなる群から選択されるポリアミン類である。
【0059】
式(Ia)又は(Ib)のポリアルジミンALDは、式(Va)又は(Vb)のアルデヒドを用いて調製される。これらのアルデヒドの特徴は、それらのY、Y、Y、及びY基が、水の不存在下でイソシアネート基と反応性である基を含まないことであり、特に、Y、Y、Y、及びYは、水酸基、一級又は二級アミノ基、尿素基、及び活性水素をもつその他の基を全く含まない。
【0060】
ポリアルジミンALDを調製するために第一に好適なものは、下記式(Va)のアルデヒドであり、式中、Y、Y、及びYは既に記載した定義を有する。
【0061】
【化6】

【0062】
式(Va)のアルデヒドは、三級脂肪族又は三級脂環式アルデヒド、例えば、ピバルアルデヒド(すなわち、2,2-ジメチルプロパナール)、2,2-ジメチルブタナール、2,2-ジエチルブタナール、1-メチルシクロペンタンカルボキサルデヒド、1-メチルシクロヘキサンカルボキサルデヒドなど;及び、2-ヒドロキシ-2-メチルプロパナールとアルコール類、例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及び2-エチルヘキサノールとのエーテル類;2-ホルミル-2-メチルプロピオン酸又は3-ホルミル-3-メチル酪酸と、アルコール類、例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及び2-エチルヘキサノールとのエステル類;2-ヒドロキシ-2-メチルプロパナールとカルボン酸、例えば、酪酸、イソ酪酸、及び2-エチルヘキサン酸、とのエステル;並びに、2,2-ジ置換3-ヒドロキシプロパナール類、-ブタナール類、又は類似の高級アルデヒド、特に、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナールのエーテル及びエステルである(以下に特に好適なものとして説明する)。
【0063】
式(Va)の特に好適なアルデヒドは、第一の態様では、下記式(VI)のアルデヒド、すなわち、式(II)のY基をもつ式(Va)のアルデヒドである。
【0064】
【化7】

【0065】
式中、
は、水素原子、又はアルキルもしくはアリールアルキル基であり、
は、任意選択によりヘテロ原子を含んでいてもよい、1〜30の炭素原子を有する炭化水素基であり、
及びYは、既に説明した定義を有する。
【0066】
式(VI)中、Y及びYは、それぞれ好ましくはメチル基であり、Rは好ましくは水素原子である。
【0067】
式(VI)のアルデヒドは、脂肪族、アリール脂肪族(araliphatic)、又は脂環式の2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒドと、式HO−Rのアルコール、例えば、脂肪アルコールとのエーテルを表す。好適な2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒドは、一級又は二級脂肪族アルデヒド、特にホルムアルデヒドと、二級脂肪族、二級芳香脂肪族、又は二級脂環式アルデヒド〔例えば、2-メチルブチルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、2-メチルバレルアルデヒド、2-エチルカプロアルデヒド、シクロペンタンカルボキサルデヒド、シクロヘキサンカルボキサルデヒド、1,2,3,6-テトラヒドロベンズアルデヒド、2-メチル-3-フェニルプロピオンアルデヒド、2-フェニルプロピオンアルデヒド(ヒドラトロープアルデヒド(hydratropaldehyde))、又はジフェニルアセトアルデヒド〕との間のアルドール反応、特に交差アルドール反応で得られる。
【0068】
式(VI)のそのようなアルデヒドの例には、2,2-ジメチル-3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-ラウロキシプロパナール、及び2,2-ジメチル-3-ステアロキシプロパナールが含まれる。
【0069】
第二の態様において、式(Va)の特に好適なアルデヒドは、下記式(VII)のアルデヒド、すなわち、式(III)のY基をもつ式(Va)のアルデヒドである。
【0070】
【化8】

【0071】
式(VII)中、
は、水素原子、又はアルキルもしくはアリールアルキル基であり;
は、水素原子、
又は、任意選択で環状部分をもっていてもよく、任意選択で少なくとも1つのヘテロ原子をもっていてもよい、1〜30の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状のアルキル基、
又は、5〜30の炭素原子を有する単一又は複数不飽和の、直鎖状又は分岐状の炭化水素基、
又は、任意選択で置換されていてもよい芳香族又はヘテロ芳香族の5又は6員環、であり;
及びYは、既に説明した定義を有する。
【0072】
式(VII)中、Y及びYはそれぞれ好ましくはメチル基であり、Rは好ましくは水素原子である。
【0073】
式(VII)の化合物は、上述した2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒド(例えば、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルペンタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルヘキサナール、1-ヒドロキシメチルシクロペンタンカルボキサルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルボキサルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサ-3-エンカルボキサルデヒド、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-3-フェニルプロパナール、3-ヒドロキシ-2-メチル-2-フェニルプロパナール、及び3-ヒドロキシ-2,2-ジフェニルプロパナール)と、好適なカルボン酸とのエステルを表す。
【0074】
好適なカルボン酸の例は、第一に、脂肪族カルボン酸〔例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、2-エチルカプロン酸、カプリン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、天然油脂(例えば、菜種油、ひまわり油、亜麻仁油、オリーブ油、ココナツ油、アブラヤシ核油、及びアブラヤシ油)の工業的鹸化による脂肪酸、そのような酸を含む脂肪酸類の工業的混合物〕である。好適なカルボン酸は、第二に、芳香族カルボン酸であり、例は、安息香酸もしくはトルイル酸の位置異性体類、エチル-又はイソプロピル-又はtert-ブチル-又はメトキシ-又はニトロ安息香酸である。
【0075】
式(VII)の好ましいアルデヒドは、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ミリストイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-パルミトイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ステアロイルオキシプロパナール、及び2,2-ジメチル-3-ベンゾイルオキシプロパナール、並びにその他の2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒドの類縁体エステルである。
【0076】
一つの特に好ましい態様では、Rは、フェニル、及びC11、C13、C15、及びC17アルキル基からなる群から選択される。
【0077】
式(VII)の特に好ましいアルデヒドは、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールである。
【0078】
式(VII)のアルデヒドの一つの好ましい調製法では、2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒド、例えば、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナール〔これは、例えば、ホルムアルデヒド(又はパラホルムアルデヒド)とイソブチルアルデヒドから、好適な場合にはその場で、調製できる〕を、カルボン酸と反応させて、対応するエステルが得られる。このエステル化は、公知の方法、例えば、Houben-Weyl, “Methoden der organischen Chemie”, Vol. VIII, 第516-528頁に記載されている方法によって、溶媒を用いることなく行うことができる。
【0079】
一つの好ましい態様では、式(Va)のアルデヒドは無臭である。「無臭」の物質は、その臭気が非常に低く、多くの人によってもはや臭いがわからない物質、すなわち、その臭気が鼻で知覚されない物質を意味する。
【0080】
式(Va)の無臭のアルデヒドは、一方で、特に、R基が、任意選択でヘテロ原子を含んでいてもよい、12〜30の炭素原子を有する炭化水素基である式(VI)のアルデヒドである。
【0081】
一方、式(Va)の無臭のアルデヒドは、より特に式(VII)のアルデヒドであり、式(VII)中、R基は、任意選択で環状部分をもっていてもよく、任意選択で少なくとも1つのヘテロ原子、より特に少なくとも1つのエーテル酸素をもっていてもよい、11〜30の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であるか、あるいは、11〜30の炭素原子を有する単一又は複数不飽和の直鎖状もしくは分岐状の炭化水素鎖である。
【0082】
式(VII)の無臭のアルデヒドの例は、上述した2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒドと、カルボン酸〔例えば、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、天然油脂(例えば、菜種油、ひまわり油、亜麻仁油、オリーブ油、ココナツ油、アブラヤシ核油、及びアブラヤシ油)の工業的鹸化による脂肪酸、及びそのような酸を含む脂肪酸類の工業的混合物〕とのエステル化生成物である。式(VII)の好ましいアルデヒドは、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ミリストイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-パルミトイルオキシプロパナール、及び2,2-ジメチル-3-ステアロイルオキシプロパナールである。2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールが特に好ましい。
【0083】
ポリアルジミンALDを調製するために第二に好ましいものは、下記式(Vb)のアルデヒドである。
【0084】
【化9】

【0085】
式中、Yは、5〜8、好ましくは6の原子の環サイズを有する置換又は非置換のアリール又はヘテロアリール基であるか、又は、
【化10】

(Rは水素原子であるかアルコキシ基である)であるか、又は
少なくとも6つの炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル又はアリールアルケニル基である。
【0086】
式(Vb)の好適なアルデヒドは、芳香族アルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド、2-及び3-及び4-トルアルデヒド、4-エチル-及び4-プロピル-及び4-イソプロピル-及び4-ブチル-ベンズアルデヒド、2,4-ジメチルベンズアルデヒド、2,4,5-トリメチルベンズアルデヒド、4-アセトキシベンズアルデヒド、4-アニスアルデヒド、4-エトキシベンズアルデヒド、ジ及びトリアルコキシベンズアルデヒドの異性体類、2-、3-、及び4-ニトロベンズアルデヒド、2-及び3-及び4-ホルミルピリジン、2-フルフルアルデヒド、2-チオフェンカルバルデヒド、1-及び2-ナフチルアルデヒド、3-及び4-フェニルオキシベンズアルデヒド;キノリン-2-カルバルデヒド、及びその3-、4-、5-、6-、7-、及び8-位置異性体類、並びにアントラセン-9-カルバルデヒド、である。
【0087】
式(Vb)の好適なアルデヒドは、加えて、グリオキサール、グリオキサル酸エステル、例えば、メチルグリオキサレート、並びに桂皮アルデヒド、及び置換された桂皮アルデヒド類である。
【0088】
脂肪族アルジミン基をもつ式(Ia)のポリアルジミンALDと、芳香族アルジミン基をもつ式(Ib)のポリアルジミンALDの特徴は、それらのアルジミン基が互変異性をしてエナミン基を形成することができないことであり、なぜなら、それらはアルジミン基の炭素原子に対してα位に置換基として水素をもたないからである。この特性によって、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPとともにそれらは、高反応性の芳香族イソシアネート基、例えば、TDI及びMDIのイソシアネート基の存在下でさえ、特に貯蔵安定な、すなわち、大いに粘度安定性のある混合物を形成する。
【0089】
上述した特に好ましい態様の無臭のアルデヒドから出発して調製されるポリアルジミンALDは無臭である。この種の無臭のポリアルジミンALDは特に好ましい。
【0090】
好ましいポリアルジミンALDは、式(Ia)を有するものである。
【0091】
適切な条件下で、より特に、湿気の不存在下で、ポリアルジミンALDは貯蔵安定である。湿気の侵入で、それらのアルジミン基は、中間体を介して、アミノ基に形式的には加水分解されることができ、この場合、そのアルジミンを調製するのに用いた式(Va)又は(Vb)の対応するアルデヒドが放出される。この加水分解反応は可逆的であり、且つ化学平衡がアルジミン側に大きくよっているので、アミンに対して反応性の基の不存在下で、わずかにいくらかのアルジミン基しか部分的又は完全な加水分解をしないと推測される。
【0092】
イソシアネート基の存在下で、加水分解性アルジミン基はイソシアネート基と反応して尿素基を形成する。イソシアネート基と加水分解性アルジミン基との反応は、フリーアミノ基を介する必要は必ずしもない。加水分解反応の中間体との反応も、もちろん可能である。例えば、ヘミアミナールの形態の加水分解性アルジミンが、イソシアネート基と直接反応することが考えられる。
【0093】
本湿気反応性ホットメルト接着剤組成物中のポリアルジミンALDは、全てのフリーイソシアネート基に対して、わずかに化学量論過剰量、化学量論量、又は化学量論より少ない量で存在することが好ましい。有利には、アルジミン基とイソシアネートとの間の比は、0.1〜1.1、より特に0.15〜1.0、より好ましくは0.2〜0.9(イソシアネート基1当量当たりのアルジミン基の当量)である。
【0094】
ポリアルジミンALDとして、様々なポリアルジミンALDの混合物を用いることもできる。特に、式(IV)の異なるポリアミン類の混合物及び/又は式(Va)もしくは(Vb)の異なるアルデヒド類の混合物から出発して調製された異なるアルジミンALDの混合物を用いることができる。ポリアルジミンALDとして、式(IV)のジアミン類とトリアミン類からなる混合物から出発して調製されたポリアルジミンALDの混合物を用いることが特に有利でありうる。
【0095】
この湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物は、室温で固体であり且つイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPと式(Ia)又は(Ib)のポリアルジミンALDに加えて、有機モノカルボン酸もしくは有機ジカルボン酸の形態の、又は有機モノスルホン酸もしくは有機ジスルホン酸の形態の、又はこれらの酸の1種に加水分解されうる化合物の形態の少なくとも1種の酸Kをさらに含有する。
【0096】
第一の態様では、酸Kは、有機モノカルボン酸もしくは有機ジカルボン酸、又は有機モノカルボン酸もしくは有機ジカルボン酸に加水分解されうる化合物であり、例えば以下のものから選択される。
− 飽和脂肪族モノカルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、及びベヘン酸;
− 飽和の脂肪族ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、及びドデカン二酸;
− モノ-又はポリ不飽和脂肪族のモノカルボン酸又はジカルボン酸、例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノール酸、リシネニック酸(licinenic acid)、マレイン酸、フマル酸、及びソルビン酸;
− 脂環式モノカルボン酸又はジカルボン酸、例えば、シクロヘキサンカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、レジン酸、及びナフテン酸;
− ハロゲン化脂肪族モノカルボン酸又はジカルボン酸、例えば、トリクロロ酢酸、及び2-クロロプロピオン酸;
− 芳香族モノカルボン酸又はジカルボン酸、例えば、安息香酸、サリチル酸、没食子酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びトリル酸の位置異性体類、メトキシ安息香酸類、クロロ安息香酸類、及びニトロ安息香酸類;
− 工業的なカルボン酸混合物、例えば、Versatic(登録商標)acids;
− カルボン酸無水物、例えば、無水フタル酸及びヘキサヒドロフタル酸無水物;
− 上述した有機カルボン酸のシリルエステル類、例は、シリコンテトラアセテート、トリメチルシリルアセテート、トリアセトキシエチルアセテート、トリメチルシリルラウレート、及びトリメチルシリルベンゾエート。
【0097】
第二の態様では、酸Kは、有機モノスルホン酸もしくは有機ジスルホン酸、又は有機モノスルホン酸もしくは有機ジスルホン酸に加水分解されうる化合物であり、例えば、以下のものから選択される。
− 脂肪族又は芳香族モノスルホン酸及びジスルホン酸、例えば、メチルスルホン酸、ビニルスルホン酸、ブチルスルホン酸、スルホ酢酸、ベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸の位置異性体類、p-トルエンスルホン酸、p-キシレンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、及びジノニルナフタレンジスルホン酸;
− 上述したモノスルホン酸又はジスルホン酸類のアルキル又はシリルエステル類、例は、メチルp-トルエンスルホネート、エチレングリコールビスp-トルエンスルホネート、トリメチルシリルメタンスルホネート、及びトリメチルシリルベンゼンスルホネートである;
− スルトン類及び無水物、例は、1,4-ブタンスルトン及び2-スルホ安息香酸無水物である。
【0098】
酸Kは、上述した酸又はこれらの酸に加水分解されうる化合物の2以上の混合物をも含む。
【0099】
酸Kとして好ましいものは、芳香族モノカルボン酸、特に、安息香酸、サリチル酸、及び2-ニトロ安息香酸である。
【0100】
通例では、酸Kは、湿気反応性ホットメルト接着剤組成物全体を基準にして、0.001質量%〜5質量%、好ましくは0.005質量%〜2質量%の量で存在する。
【0101】
酸Kは、ポリアルジミンALDの加水分解に触媒効果を有し、これは湿気反応性ホットメルト接着剤組成物の化学架橋を促進させる。
【0102】
上述した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は、所望する場合は、従来技術にしたがって通常用いられる種類のさらなる成分を含む。当業者には、この関連で、そのようなさらなる成分が、それぞれの組成物に応じて且つそれらの性質と量とに関連して、その組成物がそれらの存在にもかかわらず貯蔵安定性を保つように選択されなければならないことは明らかである。
【0103】
適切な場合には、上述した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は、非反応性熱可塑性ポリマー、例えば、不飽和モノマー類、特に、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニル又はその高級エステル類、及び(メタ)アクリレートなどのホモポリマー又はコポリマーを含む。特に好適なものは、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、アタクティックポリ-α-オレフィン(APAO)、ポリプロピレン類(PP)、及びポリエチレン類(PE)である。
【0104】
適切な場合は、記載した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は、イソシアネート基の反応のための触媒、例えば、金属化合物又は三級アミンを含有する。
【0105】
好適な金属化合物は、例えば、スズ化合物、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジステアレート、ジブチルスズジアセチルアセトナート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、及びスズ(II)カルボキシレート;スタノキサン、例えば、ラウリルスタノキサン;及びビスマス化合物、例えば、ビスマス(II)オクトエート、ビスマス(III)ネオデカノエート、又はビスマス(III)オキシネート類、である。
【0106】
好適な三級アミンは、例えば、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル及びその他のモルホリンエーテル誘導体、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、である。
【0107】
本湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は、上述した触媒の混合物を含むこともできる。金属化合物と三級アミンとの混合物が特に適している。
【0108】
適切な場合には、上述した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は、反応性希釈剤又は架橋剤を含み、その例は、ジイソシアネート(例えば、MDI、PMDI、TDI、HDI、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-又は1,4-ジイソシアネート、IPDI、パーヒドロ-2,4’-及び-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-及び1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート)のオリゴマー又はポリマー、特に、上述したジイソシアネート類のイソシアヌレート類、カルボジイミド類、ウレトンイミン類、ビウレット類、アロファネート類、及びイミノオキサジアジンジオン類、ポリイソシアネートと短鎖ポリオールとの付加体、及びまた、アジピン酸ジヒドラジド及びその他のジヒドラジド類、及びまたさらなるポリアルジミン類、より特に、式(IV)のポリアミンとジアルデヒド類との反応によって得られるもの、である。
【0109】
上述した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は、その他の添加剤、例えば、特に、フィラー、可塑剤、接着促進剤、特にシラン基を有する化合物、UV吸収剤、UV安定剤又は熱安定剤、抗酸化剤、難燃剤、蛍光増白剤、顔料、染料、及び乾燥剤、及びまた、イソシアネート組成物に通常用いられるさらなる物質、をさらに含んでいてもよい。
【0110】
一つの好ましい態様では、上述した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物はカーボンブラックを含まない。
【0111】
別の好ましい態様では、上述した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は、フィラーを全く含まない。
【0112】
一つの特に好ましい態様では、上述した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は透明である。より特に、それは湿気での化学架橋の前及び後の両方で透明である。この種の組成物は、接着結合される基材の少なくとも1つが透明又は半透明である基材(複数)の接着結合に特に適している。
【0113】
上述した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は、湿気の不存在下で製造及び貯蔵される。周囲条件に影響されない好適な包装又は設備中で、例えば、ドラム、パウチ、又はカートリッジなどの中で、その貯蔵安定性は顕著である。組成物に関連した「貯蔵安定」及び「貯蔵安定性」の用語は、本明細書において、適用温度において組成物の粘度が、適切な貯蔵を前提とすると、考えている時間間隔内に増大しないか、又はその時間の間に、その組成物が、意図した方法での使用に適したままである程度にしか増大しないという事実をいう。
【0114】
反応性ホットメルト接着剤の作用の様式にとって、接着剤が溶融可能であること、言い換えれば、適用温度で、適用可能であるためにそれが充分低い粘度を有していること、かつ冷却時には、それが大気湿度での架橋反応が完了する前でさえ充分な接着強度を非常に速やかに発現することが重要である(初期強度)。適応温度において(これはホットメルト接着剤については80℃〜200℃、典型的には120℃〜160℃の範囲である)、説明した組成物は容易に取り扱える粘度を示し、且つ冷却時にはそれは充分な迅速さで良好な結合強度を発現することがわかった。容易に扱うことができる粘度は、特に、1〜50Pasの粘度であることが理解される。
【0115】
適用時は、上述した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は湿気、特に大気湿度の形態の湿気と接触する。冷却時の固化の結果としての物理的硬化と並行して、湿気での化学架橋の開始が同時におこり、それは湿気による、存在するアルジミン基の加水分解と、既に説明した形での、存在するイソシアネート基との速やかな反応を通して主に起こる。過剰なイソシアネート基は、同様に公知の様式で湿気により架橋する。
【0116】
「架橋」、「化学架橋」、及び「架橋反応」の用途は、本明細書を通じて、イソシアネート基の化学反応によって開始され、そこでは、結果として生じる網目が共有結合で連結されていないとしても、高分子量のポリウレタンポリマーが生じる過程をいう。湿気反応性ホットメルト接着剤組成物中の架橋反応が塊全体を通して進行した場合には、「全硬化(through-curing)」の用語も使われる。
【0117】
架橋に必要な湿気は、空気(大気湿度)から来るか、あるいは組成物が、例えば、塗り広げ塗布により又は噴霧によって水含有成分と接触させられるか、あるいは組成物は適用時に、例えば、含水ペーストの形態の水含有成分と混合してもよく、これは例えばスタティックミキサーによって混合される。
【0118】
湿気による架橋時、上述した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は、気泡を形成する傾向が非常に低いことを示し、なぜなら、この架橋反応は、アルジミン基が存在する結果として化学量論に応じて、ほとんど又は全く二酸化炭素を生じないからである。
【0119】
その上、上述した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は、その組成物が非晶質であり及び/又は厚い層として適用された場合でさえ、かなり迅速な化学架橋を示す。
【0120】
一つの好ましい態様において、上述した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は透明である。この種の組成物は、典型的には、少なくとも1種の非晶質ポリオール、より特に少なくとも1種の非晶質のポリエステルポリオール又はポリカーボネートポリオールと、ポリイソシアネートとの、既に説明した様式での反応によって得られる少なくとも1種の透明なポリウレタンポリマーPを含む。透明な湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は、結合部位が見える、透明な基材の接着結合のために特に適している。
【0121】
非晶質の又は透明なPUR−RHM(これはイソシアネート基と水との反応によってのみ架橋する)は、特に比較的厚い層で適用した場合には、気泡を形成する非常に強い傾向を示し且つ非常にゆっくりした架橋を示す。この理由は、湿気での化学架橋時に表面から形成される非晶質の接着剤表皮が特に気体に対して不浸透性であり、その内部からの二酸化炭素(これは架橋時に生じたもの)又は外部からの湿気(これは架橋に必要である)のいずれかの通過をほとんど許容しないからである。
【0122】
気泡形成及び化学架橋の速度に関しては、上述した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物の挙動は特に有利である。式(Ia)又は(Ib)の少なくとも1種のポリアルジミンALDが存在する結果として、湿気での架橋は、一方ではわずかなCOしか又は全くCOを生じない(これは気泡の形成を低減する);他方では、架橋の速度は著しく増大し、おそらくそれはアルジミンの速やかな反応と、接着剤表皮(接着剤スキン)を通しての湿気の改善された移動によるものであろう。したがって、そのような透明な湿気反応性ホットメルト接着剤組成物を比較的厚い層、例えば500マイクロメートルより大きな、800マイクロメートルから数ミリメートルの層の厚さで、架橋時の気泡の過剰な形成なしに且つ架橋が過度に遅くなることなしに、適用することができる。
【0123】
用途においては、上述した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は、基材S1及び基材S2を接着結合するために用いられる。
基材S1及び基材S2を接着結合させる1つのそのような方法は、以下の工程:
i)上述した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物を80℃〜200℃、より特に120℃〜160℃の温度に加熱する工程;
ii)上記の加熱した組成物を基材S1に適用する工程;
iii)上記の適用した組成物を基材S2と接触させる工程;
を含み、上記基材S2は上記基材S1と同じ物質であるか又は異なる物質からなるものである。
【0124】
工程iii)の後には、典型的には、その組成物を湿気で化学架橋させる工程iv)を行う。当業者には、用いるシステム、温度、及び組成物の反応性に応じて、架橋反応が適用時にさえ始まりうることが理解される。しかし、架橋の多くの部分は、適用後に、したがって、ポリウレタンポリマーPの又は接着剤の固体凝集状態において起こる。
【0125】
必要な場合は、基材S1及び/又はS2は、上記組成物の適用前に前処理することができる。そのような前処理には、特に、物理的及び/又は化学的洗浄及び活性化工程が包含され、例としては、研磨、サンドブラスト、ブラシがけ、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、部分エッチングなど、あるいは洗浄剤もしくは溶媒での処理、あるいは接着促進剤、接着促進剤の溶液、もしくはプライマーの適用がある。
【0126】
基材S1及びS2は、複数の物質を意味することができる。特に適したものは、プラスチック、有機物質、例えば、皮革、布帛、紙、木材、樹脂で結合された木材ベースの材料、樹脂-布帛複合材料、ガラス、磁器、セラミック、さらには、金属及び合金、より特に、塗装された若しくは粉末塗装された金属及び合金である。
【0127】
特に適したプラスチックには、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、SMC(シートモールディングコンポジット)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、ポリオキシメチレン(POM)、ポリオレフィン(PO)、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレンコポリマー(EPM)、及びエチレン/プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、好ましくはプラズマ、コロナ、又は火炎で表面処理されたPP又はPE、が含まれる。
【0128】
基材S1及び/又はS2に対して好ましい物質と考えられるものは、透明物質、特に、透明なポリマーフィルムである。別の好ましい透明物質は、ガラス、特に、窓板の形態のガラスである。
【0129】
接着における接着剤の厚さ(接着厚さ)は、典型的には10マイクロメートル以上である。より特に、接着厚さは、10マイクロメートル〜2ミリメートル、特に80マイクロメートル〜500マイクロメートルである。
【0130】
上述した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は、特に工業製造工程で用いられる。
【0131】
本組成物は、特に、接着部位が目に見える接着に適している。したがって、一方で、特に、ガラス、特に車両製作及び窓製作におけるガラスの接着結合に適している。他方、これは透明包装の接着結合に特に適している。
【0132】
接着結合方法は物品をもたらす。そのような物品は、特に、輸送、家具、布地(テキスタイル)、又は包装部門からの物品である。輸送部門の好ましい部門は、特に自動車部門である。
【0133】
この種の物品例は、内装用自動車トリムパーツ、例えばルーフ・ライニング、サンバイザー、計器パネル、ドアサイド部品、手荷物棚など;浴槽及びシャワー部門からの木質繊維材料;家具用の装飾ホイル、綿などの布地を用いたメンブランフィルム、衣服部門におけるポリエステルフィルム、又は自動車トリム用の発泡体付き布地、である。
【0134】
さらに、そのような物品は、特に、包装部門からの物品である。この種の物品はより特に透明包装(クリアビュー包装)である。
【0135】
a)室温で固体であり且つイソシアネート基を含む少なくとも1種のポリウレタンポリマーP、
b)式(Ia)又は(Ib)の少なくとも1種のポリアルジミンALD、及び
c)有機モノカルボン酸もしくはジカルボン酸、又は有機モノスルホン酸もしくはジスルホン酸、又は前記の酸類の1つへと加水分解可能な化合物の形態の少なくとも1種の酸K
を含む上述した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は、従来技術に対して一定の範囲の利点を有する。
【0136】
例えば、これは顕著な熱安定性を有する。すなわち、粘度は、所定の適用温度で経時的にわずかにしか又は全く上昇しない。さらに、これは気泡を形成する傾向が非常に低減されており、イソシアネート基と水との反応だけによって架橋するシステムと比較して、顕著に高い架橋速度を示す。これらの利点の他に、説明した湿気反応性ホットメルト接着剤組成物は、従来技術のシステムのものと類似した品質の特性を示す。それは、迅速な結合強度、高い熱安定性、及び良好な伸度と組み合わされた高い最終強度であり、それは最終的な機械特性が、非常に広い範囲で、接着剤用途の要求に適用されることを可能にする。
【0137】
1つの特に好ましい態様では、本接着剤は無臭である。
【0138】
別の特に好ましい態様では、本接着剤は非晶質(アモルファス)、より特には透明である。
【0139】
さらなる側面では、本発明は、非晶質の、より特には透明な、湿気反応性ホットメルト接着剤組成物の化学的架橋を促進し且つ気泡形成を低減する方法を提供し、それは、既に上述した少なくとも1種の非晶質ポリウレタンポリマーP、既に上述した式(Ia)又は(Ib)の少なくとも1種のポリアルジミンALD、及び既に上述した、有機モノカルボン酸もしくはジカルボン酸、又は有機モノスルホン酸もしくはジスルホン酸、又はこれらの酸の1つへと加水分解されうる化合物の形態の少なくとも1種の酸K、を混合することによるものである。
【実施例】
【0140】
[実施例]
〔試験方法の説明〕
(アミン含量)
調製した化合物中のアルジミノ基及びフリーアミノ基の総量(「アミン含量」)は、滴定(氷酢酸中の0.1N HClOを用い、クリスタルバイオレットに対して)によって測定し、常にmmol NH/gで報告する(関連する基が一級アミノ基だけでない場合であっても)。
【0141】
(粘度)
粘度は、記載した温度において、ブルックフィールド粘度計を用い、No.27スピンドルを使用して、1分当たり5回転で測定した。
【0142】
(全硬化時間)
全硬化時間は以下のようにして測定した。
各ホットメルト接着剤を150℃でシリコーンペーパーに塗布して、500マイクロメートルの厚さをもつ60×500mmの接着剤の細片(ストリップ)を得た。この試料を23℃且つ55%相対湿度で貯蔵した。一定の間隔で、この細片の一部を切り出し、150℃の温度のホットプレート上に置いた。接着剤がもはや溶けていなければ、それを全硬化したと判断した。全硬化時間(through-cure time)は化学架橋の速度の尺度である。
【0143】
(引張強度及び破断伸び)
引張強度と破断伸びは、DIN53504に準拠した方法で、2mmの厚さと75mmの長さをもつダンベルで測定した(接続間長さ30mm、接続間幅4mm)。ダンベルを作るために、2mmの厚さをもつ接着剤フィルムを調製し(接着剤の塗布温度:150℃)、これからダンベルを打ち抜き、次に23℃且つ50%相対湿度にて2週間貯蔵した。
【0144】
(残留引張伸び(remaining tensile extension))
残留引張伸びは、引張強度及び破断伸びを測定するために用いたダンベルで試験をした。荷重の解除後1分で、破断したダンベルを組戻して、その長さを測定し、その数値から初期長さ75mmを差し引いた。この残留引張伸びは、接着剤の復元力の尺度である。すなわち、残留引張伸びが小さければ小さいほど、復元力はより良好である。
【0145】
(気泡の形成)
気泡の形成は、25mmの直径と2mmの厚さをもつ円柱状の試験体を視覚によって評価し、この試験体は150℃の接着温度で調製し、次に23℃且つ50%相対湿度で2週間貯蔵した。
【0146】
a)ポリアルジミンALDの調製
〔ポリアルジミンALD−1〕
丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、625g(2.20モル)の2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを仕込んだ。激しく撹拌しながら、滴下ロートからゆっくりと、250g(2.10モルNH)のJeffamine(登録商標)D-230(Huntsman社、α,ω-ポリオキシプロピレンジアミン、アミン当量質量119g/当量)を添加した。次に、80℃で、揮発成分を減圧下で完全に留去した。これによって、室温で液状であり且つアミン含有量として測定して2.5mmol NH/gのアルジミン含有量を有する837gの黄色反応生成物が得られた。
【0147】
〔ポリアルジミンALD−2〕
丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、298.7g(1.05モル)の2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを仕込んだ。激しく撹拌しながら、加熱した滴下ロートからゆっくりと58.1g(0.50モル)の1,6-ヘキサメチレンジアミンを添加した。次に、80℃で、揮発成分を減圧下で完全に留去した。これによって、室温で液状であり且つアミン含有量として測定して2.94mmol NH/gのアルジミン含有量を有する338.2gの黄色反応生成物が得られた。
【0148】
〔ポリアルジミンALD−3〕
丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、625g(2.20モル)の2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを仕込んだ。激しく撹拌しながら、滴下ロートからゆっくりと、334.2g(2.10モルNH)のJeffamine(登録商標)T-403(Huntsman社、ポリオキシプロピレントリアミン、アミン当量質量159g/当量)を添加した。次に、80℃で、揮発成分を減圧下で完全に留去した。これによって、室温で液状であり且つアミン含有量として測定して2.28mmol NH/gのアルジミン含有量を有する921gの黄色反応生成物が得られた。
【0149】
b)ポリウレタンポリマーPの調製
1000gのDynacoll(登録商標)7250ポリオール(ポリエステルジオール、OH価21mgKOH/g、室温で液状;Degussa社)、1000gのDynacoll(登録商標)7150ポリオール(ポリエステルジオール、OH価42mgKOH/g、室温で固体、アモルファス軟化点95℃;Degussa社)、及び281gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI;Desmodur(登録商標)44 MC L、Bayer社)を、公知の方法によって140℃で反応させて、NCO末端ポリウレタンポリマーを得た。この反応生成物は、滴定で測定して2.0質量%のフリーイソシアネート基含有量を有し、室温で固体だった。これは湿気の不存在下で貯蔵した。
【0150】
c)ホットメルト接着剤の調製
【0151】
〔例1〕
95質量部(parts by weight(PBW))の上記ポリウレタンポリマーP、5PBWのポリアルジミンALD−1、及び0.05PBWの安息香酸を、140℃の温度で均一に混合し、湿気の不存在下で貯蔵した。
【0152】
〔例2〕
95質量部(PBW)の上記ポリウレタンポリマーP、5PBWのポリアルジミンALD−2、及び0.05PBWの安息香酸を、140℃の温度で均一に混合し、湿気の不存在下で貯蔵した。
【0153】
〔例3〕
95質量部(PBW)の上記ポリウレタンポリマーP、5PBWのポリアルジミンALD−3、及び0.05PBWの安息香酸を、140℃の温度で均一に混合し、湿気の不存在下で貯蔵した。
【0154】
〔例4(比較例)〕
例4として、上記ポリウレタンポリマーPを、ポリアルジミンALD及び酸の添加なしで用いた。
【0155】
【表1】

【0156】
表1の結果は、本発明の例1、2、及び3は、比較例4のホットメルト接着剤と比較して、非常に短い全硬化時間、言い換えれば、より速い架橋速度を示し、且つ、気泡の形成が大きく低減されたことを示している。さらに、本発明の例1、2、及び3のホットメルト接着剤は、比較例4のホットメルト接着剤よりも、より低い残留引張伸びを示し、したがって、より良好な復元力を示してもいる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)室温で固体であり且つイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンポリマーP、
b)下記式(Ia)又は(Ib):
【化1】

の少なくとも1種のポリアルジミンALD、
c)有機モノカルボン酸もしくは有機ジカルボン酸の形態の、又は有機モノスルホン酸もしくは有機ジスルホン酸の形態の、又はこれらの酸の1つへと加水分解されうる化合物の形態の少なくとも1種の酸K、
を含有する湿気反応性ホットメルト接着剤組成物。
[上記式(Ia)又は(Ib)において、
Xは、n個の脂肪族一級アミノ基を除去した後のn官能の一級ポリアミンの有機基であり、この有機基は、水の不存在下でイソシアネート基と反応性であるいかなる官能基も、特にいかなる水酸基、いかなる二級アミノ基、いかなる尿素基、及び活性水素をもつその他のいかなる基も含まない;
nは2又は3又は4であり、より特に2又は3であり、好ましくは2であり;
及びYは、互いに独立に、それぞれ1〜12の炭素原子を有する一価炭化水素基であるか、あるいはY及びYは一緒になって、5〜8、好ましくは6の炭素原子を有する任意選択で置換されていてもよい炭素環の一部である、4〜20の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり;
は、任意選択で少なくとも1つのヘテロ原子、より特にエーテル、カルボニル、又はエステル基の形態の酸素を有していてもよい一価炭化水素基であり;
は、5〜8、好ましくは6原子の環サイズを有する置換又は非置換のアリール又はヘテロアリール基であるか、あるいは、
【化2】

(式中、Rは水素原子であるか又はアルコキシ基である)
であるか、あるいは
少なくとも6の炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル又はアリールアルケニル基である。]
【請求項2】
イソシアネート基を有する前記固体ポリウレタンポリマーPが、少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートとから調製されることを特徴とする、請求項1記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
前記ポリオールがポリエステルポリオール、より特に、室温で、結晶性、部分結晶性、非晶質(アモルファス)、又は液状のポリエステルジオールであり、室温で液状である前記ポリエステルジオールは0℃〜25の間の温度において固体であり、かつ、好ましくは、少なくとも1種の非晶質、部分結晶性、又は結晶性のポリエステルポリオールと組み合わせて用いられることを特徴とする、請求項2に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項4】
前記ポリオールがポリカーボネートポリオール、特にポリカーボネートジオールであることを特徴とする、請求項2に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項5】
前記ポリオールが非晶質であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一項に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
室温で固体である前記ポリウレタンポリマーPが、少なくとも1種のジイソシアネート、より特にMDI、TDI、HDI、又はIPDI、好ましくはMDIを用いて調製されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項7】
室温で固体の前記ポリウレタンポリマーPが、全体の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物を基準にして、40質量%〜100質量%、より特に75質量%〜100質量%、好ましくは80質量%〜100質量%の量で存在することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項8】
前記n官能の一級ポリアミンが、1,6-ヘキサメチレンジアミン、MPMD(1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン)、DAMP(1,3-ジアミノペンタン)、IPDA(イソホロンジアミン)、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,3-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン、及び2又は3つのアミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミン類、及びこれらの互いの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項9】
前記式(Ia)又は(Ib)のポリアルジミンALDが、前記ホットメルト接着剤中に、アルジミン基とイソシアネートとの間の比が0.1〜1.1、より特に0.15〜1.0、より好ましくは0.2〜0.9(イソシアネート基1当量当たりのアルジミン基の当量)となる量で存在することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項10】
及びYがそれぞれメチル基であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項11】
が、下記式(II)又は(III)の基であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物。
【化3】

(式中、Rは、水素原子であるか、又はアルキルもしくはアリールアルキル基であり、好ましくは水素原子であり;
は、1〜30、より特に12〜30の炭素原子を有する炭化水素基であり、これは任意選択でヘテロ原子を含んでいてもよく;
は、水素原子であるか、
又は、1〜30の炭素原子、より特に11〜30の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、任意選択で環状部分を有していてもよく、任意選択で少なくとも1つのヘテロ原子をもっていてもよく、
又は、5〜30の炭素原子を有する、単一もしくは複数不飽和の、直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基であるか、
又は、任意選択で置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族の5又は6員環である。)
【請求項12】
前記ポリアルジミンALDが式(Ia)を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項13】
前記の酸Kが、芳香族モノカルボン酸、より特に安息香酸、サリチル酸、又は2-ニトロ安息香酸であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項14】
前記の酸Kが、ホットメルト接着剤組成物全体を基準にして、0.001質量%〜5質量%、好ましくは0.005質量%〜2質量%の量で存在することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項15】
前記ホットメルト接着剤組成物がフィラーを含まない、特にカーボンブラックを含まないことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項16】
前記ポリウレタンポリマーPが非晶質であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項17】
以下の工程:
i)請求項1〜16のいずれか一項に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物を80℃〜200℃、より特に120℃〜160℃の温度に加熱する工程;
ii)前記の加熱した組成物を基材S1に適用する工程;
iii)前記の適用された組成物を基材S2と接触させる工程;
を含み、前記基材S2が前記基材S1と同じ物質であるか又は異なる物質からなるものである、基材S1及び基材S2を接着結合させる方法。
【請求項18】
工程iii)の後に、前記組成物を湿気で化学架橋させる工程iv)を行うことを特徴とする、請求項17に記載の接着結合方法。
【請求項19】
前記基材S1及び/又はS2が、プラスチック、有機物質、例えば、皮革、布帛、紙、木材、樹脂で結合された木材ベースの材料、樹脂-布帛複合材料、ガラス、磁器、セラミック、又は、金属及び合金、より特に、塗装された若しくは粉末塗装された金属又は合金であることを特徴とする、請求項17又は18に記載の接着結合方法。
【請求項20】
前記基材S1及び/又はS2が、透明物質、より特に、透明なポリマーフィルム又はガラスであることを特徴とする、請求項17〜19のいずれか一項に記載の接着結合方法。
【請求項21】
接着における接着剤の厚さが10マイクロメートル以上、より特に10マイクロメートル〜2ミリメートル、特に80マイクロメートル〜500マイクロメートルであることを特徴とする、請求項17〜20のいずれか一項に記載の接着結合方法。
【請求項22】
請求項17〜21のいずれか一項に記載の接着結合方法によって接着結合された物品。
【請求項23】
前記物品が、輸送、家具、布地(テキスタイル)、又は包装部門からの物品であることを特徴とする、請求項22に記載の物品。
【請求項24】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物において記載した少なくとも1種の非晶質ポリウレタンポリマーPと、
請求項1〜16のいずれか一項に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物において記載した少なくとも1種の式(Ia)又は(Ib)のポリアルジミンALDと、
請求項1〜16のいずれか一項に記載の湿気反応性ホットメルト接着剤組成物において記載した、有機モノカルボン酸もしくはジカルボン酸、又は有機モノスルホン酸もしくはジスルホン酸、又はこれらの酸の1つへと加水分解されうる化合物の形態の少なくとも1種の酸K、とを混合することによって、非晶質の、より特に透明な、湿気反応性ホットメルト接着剤組成物の気泡発生を低減させ且つ化学架橋を促進する方法。

【公表番号】特表2010−510343(P2010−510343A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536743(P2009−536743)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062468
【国際公開番号】WO2008/059056
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】