説明

ポリウレタンエラストマー及びその製造法

【課題】 本発明の目的は、低硬度ながら高強度、高軟化温度を有するPUエラストマーを提供することである。
【解決手段】 下記式(1)で表されるハードセグメントとポリカーボネートジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、及びポリアクリル酸エステルポリオールからなる群より選択されるポリマージオール残基を含むソフトセグメントが交互に連結していることを特徴とするポリウレタンエラストマー。
【化


[式中、Rは、炭素数2〜4の脂肪族炭化水素を表し、Rは、炭素数2〜13の脂肪族炭化水素、又は炭素数6〜13の芳香族炭化水素表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低硬度でありながら高強度、高軟化温度を有するポリウレタンエラストマー及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン(PU)エラストマーは、破断強度、耐磨耗性、耐油性、耐屈曲性、及び接着性に優れることから、自動車部品(例えば、ベルト、ホース、内装材、制振材、接着剤等)、電子・電気機器部品(例えば、ベルト、ローラ、ブレード、チューブ、制振材、衝撃緩衝材等)、靴底、合成皮革、タイヤチェーン、エスカレーター手摺、フィルム(例えば、伸縮テープ、ホットメルトフィルム、太陽電池等の封止材等)、建築土木材料(例えば、遮音材、制振材、シーリング材、接着剤、弾性塗料等)等、幅広い用途で使用されている。しかしながら、PUエラストマーは、その構造上、ポリイソプレンやポリスチレンブタジエン等の典型的なゴムよりも硬く、ゴムと樹脂の中間的な性質を有するため、ローラ、チューブ、ベルト等の特定用途において、低硬度化が求められている。
【0003】
低硬度化の一般的な手法として、可塑剤の添加やハードセグメント含量の低減があるが、低硬度化できる反面、可塑剤のブリードや強度低下、軟化点低下等の問題がある。即ち、低硬度で高強度、高軟化温度を有するPUエラストマーが求められている。
【0004】
特許文献1には、ノルボルナン骨格を有するジイソシアネートと末端に水酸基を有するオリゴマーとの反応により形成されたウレタン結合を含むエラストマー組成物が、低硬度と高強度を両立できる旨記載されている。しかしながら、ノルボルナン骨格が嵩高い構造であるため、ハードセグメントの凝集力が低下し、エラストマー組成物の強度や軟化温度は必ずしも十分でなく、且つノルボルナン骨格が高価であるという問題があった。また、熱硬化型であるためリサイクルも困難である。
【0005】
特許文献2には、短鎖ジオール(鎖延長剤)として、分子量500以下の側鎖アルキル基含有グリコールを用い、これとヘキサメチレンジソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー及びポリエステルポリオールを必須成分とすることにより、可塑剤を使用することなく、PUエラストマーを低硬度化できる旨が記載されている。この方法は、確かに比較的低コストの原料で、PUエラストマーを低硬度化できるものではあるが、短鎖ジオール(鎖延長剤)中の側鎖アルキル基によってハードセグメントの凝集力が低下するため、PUエラストマーの高強度、高軟化温度との両立は困難であった。また、熱硬化型であるためリサイクルも困難である。
【0006】
なお、1,4−ブタンジオール等の一般的な短鎖ジオール(鎖延長剤)の代わりにウレタンジオールを用いてポリウレタンを製造する方法は公知である。例えば、特許文献3の実施例7及び8には、ヘキサメチレンジアミンと炭酸エチレンとの反応により得られるウレタンジオールを、ダイマーイソシアネートと重付加反応させてポリウレタンを製造した例が記載されている。しかしながら、エチレンジアミンと炭酸アルキレンとの反応により得られるウレタンジオールを利用した、低硬度ながら高強度、高軟化温度を有するPUエラストマーについてはこれまで知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−151849号公報
【特許文献2】特開2008−222984号公報
【特許文献3】特開平2−151618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、低硬度でありながら高強度、高軟化温度を有するポリウレタンエラストマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記問題を解決するために鋭意検討した結果、比較的安価な原料から製造できる特定構造のハードセグメントを使用することにより、低硬度でありながら高強度で高軟化点のPUエラストマーを製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、以下の各項に示すとおりのPUエラストマー及びその製造法である。
【0011】
[1]下記式(1)
【0012】
【化1】

[式中、Rは、炭素数2〜4の脂肪族炭化水素基を表し、Rは、炭素数2〜13の脂肪族炭化水素基、又は炭素数6〜13の芳香族炭化水素基を表す。]
で表される構造単位を含むハードセグメントと、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリオレフィンポリオールからなる群より選択されるポリマージオール残基を含むソフトセグメントとが交互に結合していることを特徴とするポリウレタンエラストマー。
【0013】
[2]ブルックフィールド型粘度計で測定した溶液粘度(10重量%N,N−ジメチルホルムアミド溶液、25℃)が10〜3000mPa・sであることを特徴とする上記[1]に記載のポリウレタンエラストマー。
【0014】
[3]式(1)中のRが、エチレン基、プロピレン基、及びブチレン基からなる群より選択される脂肪族炭化水素基であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のポリウレタンエラストマー。
【0015】
[4]下記式(2)
【0016】
【化2】

[上記式(2)中、Rは、炭素数2〜4の脂肪族炭化水素基を表す。]
で表されるウレタンジオールと、下記式(3)
【0017】
【化3】

[上記式(3)中、Rは炭素数2〜13の脂肪族炭化水素基、又は炭素数6〜13の芳香族炭化水素基を表し、Rはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリオレフィンポリオールからなる群より選択されるポリマージオール残基を表す。]
で表されるイソシアネート末端プレポリマーとを重付加反応させて鎖延長することを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のポリウレタンエラストマーの製造法。
【0018】
[5]式(2)中のRが、エチレン基、プロピレン基、及びブチレン基からなる群より選択される脂肪族炭化水素基であることを特徴とする上記[4]に記載のポリウレタンエラストマーの製造法。
【0019】
[6]イソシアネート末端プレポリマーが、下記式(4)
OCN−R−NCO (4)
[上記式(4)中、Rは炭素数2〜13の脂肪族炭化水素基、又は炭素数6〜13の芳香族炭化水素基を表す。]
で表されるジイソシアネートと、下記式(5)
HO−R−OH (5)
[上記式(5)中、Rはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリオレフィンポリオールからなる群より選択されるポリマージオール残基を表す。]
で表されるポリマージオールとを反応させて得られるものであることを特徴とする上記式[4]又は[5]に記載のポリウレタンエラストマーの製造法。
【0020】
[7]式(5)で表されるジイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフタレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、及びテトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)からなる群より選択されるジイソシアネートであることを特徴とする上記[6]に記載のポリウレタンエラストマーの製造法。
【発明の効果】
【0021】
本発明のポリウレタンエラストマーは、低硬度でありながら高強度、高軟化温度を有するため、電子・電気機器部品、自動車部品、建築土木材料、靴等の用途に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
先ず、従来の代表的なPUエラストマーの構造と物性について説明する[例えば、Advances in Urethane Science and Technology、Daniel Klempner Kurt Frisch著、2001年、RAPRA社発行;高分子加工、第48巻、11号、506〜512頁、1999年、高分子刊行会発行、参照]。
【0023】
一般的なPUエラストマーは、ジイソシアネート化合物と鎖延長剤(例えば、1,4−ブタンジオール等の低分子量ジオール等)との重付加反応によって形成される硬いハードセグメントと、ジイソシアネート化合物とポリマージオール(以下、「ポリマージオール」を「ポリオール」と称する場合がある。)との重付加反応によって形成される柔らかいソフトセグメントとが結合してなる、いわゆるマルチブロック共重合体である。
【0024】
ハードセグメントが水素結合や結晶化によって凝集し、拘束相(物理的架橋点)を形成するため、化学的架橋点がなくてもゴム弾性を発現する、いわゆる熱可塑性エラストマーとなるものである。一般に、PUエラストマー中のハードセグメントを増量すると、強度は増大するが、硬度も増大し、ゴムらしさは損なわれる。これは、PUエラストマー中のソフトセグメント(ゴム成分)比率が減少するため、又はソフトセグメント相に硬いハードセグメントが混和することによって、ソフトセグメント相が硬くなるためと考えられる。
【0025】
次に、本発明のPUエラストマーについて説明する。
【0026】
本発明のPUエラストマーは、上記式(1)で表される構造単位を含むハードセグメントと、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリオレフィンポリオールからなる群より選択されるポリマージオール残基を含むソフトセグメントとが交互に結合していることをその特徴とする。
【0027】
本発明は、比較的安価な原料を利用して、低硬度ながら高強度、高軟化温度を有するPUエラストマーを提供するものである。上記物性発現の理由は、本発明のハードセグメントが有する二つの特徴に由来するものと考えられる。すなわち、第一の特徴は、ハードセグメントがエチレンジイソシアネート(又はエチレンジアミン)由来の骨格を含むこと、第二の特徴はハードセグメントの分子量分布が制御されている(シャープ)な点である。
【0028】
本発明において、「低硬度」とは、ショアA硬度が90以下、「高強度」とは、引張破断強度が30MPa以上、引裂強度が160N/mm以上、「高軟化点」とは、150℃における貯蔵弾性率(周波数10Hz、初期引張歪1%、振幅0.1%)が2.0MPa以上であることをいう。これらの条件を満たすものは、PUエラストマーとしてのバランスが優れているといえる。
【0029】
本発明のPUエラストマーが、低硬度、高強度及び高軟化温度を両立できる理由は必ずしも明確ではないが、以下のように推察できる。すなわち、脂肪族系ポリイソシアネートとして最もポピュラーなジイソシアネートである、炭素数6のヘキサメチレンジイソシアネート(原料はヘキサメチレンジアミン)や炭素数13のジフェニルメタンジイソシアネート(原料はジアミノジフェニルメタン)の代わりに、炭素数2のエチレンジイソシアネート骨格を導入することで、ハードセグメント中のウレタン結合濃度が高まる。また、製造法上、当該ハードセグメントの分子量分布が極めてシャープ(重量平均分子量と数平均分子量の比が理論上1.0)となるため、ハードセグメントとソフトセグメントとのミクロ相分離が促進される。これらの結果として、低硬度ながら高強度、高軟化温度が発現したともの考えられる。
【0030】
次に、本発明のPUエラストマーの製造法について詳しく説明する。
【0031】
先ず、本発明のハードセグメントの原料である上記式(2)で表されるウレタンジオールについて説明する。
【0032】
上記式(2)で示されるウレタンジオールは、安価なエチレンジアミンと炭酸アルキレンの反応によって容易に製造することができる。炭酸アルキレンとしては、炭酸エチレン、炭酸プロピレンが炭素数が少なく、安価であるため好適であるが、炭酸ブチレン等、エチレンジアミンと反応し、ウレタンジオールを生成する炭酸アルキレンであれば特に制限はなく使用することができる。
【0033】
エチレンジアミンと炭酸アルキレンとを反応する際には、エタノール、メタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の適当な溶媒中又は無溶媒で、無触媒下、エチレンジアミンと、エチレンジアミンに対して2当量の炭酸アルキレンとを混合し、40℃〜150℃で1〜20時間反応させ、溶媒を留去すれば良い。
【0034】
次に上記式(3)で示されるイソシアネート末端プレポリマーの製造法について説明する。
【0035】
溶媒存在下又は無溶媒下で、上記式(4)で表されるジイソシアネートと、上記式(5)で表されるポリマージオールとを、反応させることにより、上記式(3)で表されるイソシアネート末端プレポリマーを製造することができる。
【0036】
続いて、溶媒存在下又は無溶媒下、上記式(3)で表されるイソシアネート末端プレポリマーと、その当量の上記式(2)で示されるウレタンジオールとを重付加反応させることにより本発明のPUエラストマーを製造することができる。必要に応じて、上記式(2)で示されるウレタンジオールと短鎖ジオールとの混合物を重付加反応させることにより、本発明のPUエラストマーを製造してもよい。
【0037】
上記重付加反応において、反応を促進させるための触媒を適宜添加しても良い。上記製造法のスキームは下式で表される。
【0038】
【化4】

こうして、分子量分布が狭い(重量平均分子量と数平均分子量の比が理論上1.0)、エチレンジイソシアネート単位の両側に、エチレングリコール(短鎖ジオール)とジイソシアネートの各一単位が連結した構造単位を有するハードセグメントと、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリオレフィンポリオールからなる群より選択されるポリマージオール残基を含むソフトセグメントとを含有するPUエラストマーが形成される。この場合、[上記式(5)で示されるポリマージオール]/[上記式(4)で示されるジイソシアネート]/[上記式(2)で示されるウレタンジオール]のモル比は1/2/1となるが、ウレタンジオールは一個のジイソシアネート残基と二個の短鎖ジオール残基からなるため、ポリマージオール/ジイソシアネート/短鎖ジオールのモル比は1/3/2とも言える。
【0039】
従来法でポリマージオール/ジイソシアネート/短鎖ジオールモル比=1/3/2のPUエラストマーを製造する場合、ポリマージオール/ジイソシアネートモル比=1/3でイソシアネート末端プレポリマーを合成し、フリーなジイソシアネートが1モル残った状態で、短鎖ジオールを2モル添加して鎖延長反応するため、ハードセグメントの分子量分布は必然的に広くなる。
【0040】
上記反応溶媒としては、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等、活性水素を含まない溶媒が使用できる。上記ポリマージオール(ポリオール)としては、ポリウレタンの原料として通常用いられるものが使用でき、特に限定するものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、又はこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0041】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、縮合ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールが挙げられる。
【0042】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のジオール類と、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸との反応物が挙げられる。具体的には、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール及びポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール等のアジペート系ポリエステルジオール、ポリブチレンアゼレートジオール等のアゼレート系ポリエステルジオール等が例示される。
【0043】
ポリラクトンポリオールとしては、例えば、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、又はこれらの2種以上の混合物の開環重合物が挙げられ、具体的にはポリカプロラクトンジオール等が例示される。
【0044】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記したポリオール類とジメチルカーボネート等に代表されるジアルキルカーボネートとの反応物が挙げられる。具体的には、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリ3−メチルペンタメチレンカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール等が例示される。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA等の活性水素原子を少なくとも2個有する化合物の1種又は2種以上を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン等のモノマーの1種又は2種以上を付加重合させた反応物が挙げられ、ブロック付加、ランダム付加又は両者の混合系でも良い。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等を例示できる。
【0045】
ポリオレフィンポリオールとしては、ポリアクリル酸エステルポリオール、塩素化ポリオレフィンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリクロロプレンポリオール、及びポリブタジエンスチレンポリオール等が挙げられる。
【0046】
上記ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネートとして、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、粗製MDI、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート及びこれらのビュレット化合物やイソシアヌレート化合物が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとして、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートとして、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、3−イソシアナトメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(水添MDI)、ノルボルナンジイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートとして、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられ、これらのビュレット化合物やイソシアヌレート化合物も含まれる。
【0047】
上記短鎖ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環族ジオール、ビスフェノールA、ハイドロキノン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香環含有ジオール等が挙げられる。
【0048】
上記重付加反応を促進させるための触媒としては、オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート等の錫化合物、オクチル酸亜鉛、アセチルアセトン亜鉛等の亜鉛化合物、酢酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等の有機カルボン酸塩、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)ネオペンタンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)ヘキサンジアミン、N−(N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノエチル)ピペリジン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシプロピル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシプロピル)ネオペンタンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシプロピル)ヘキサンジアミン、N−(N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノエチル)ピペリジン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、及びN,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N’−(2−ヒドロキシエチル)−N,N,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N’−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N’−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N’−トリメチルービス(2−アミノエチル)エーテル、及びN’−(2−ヒドロキシエチル)−N,N,N’−トリメチルービス(2−アミノエチル)エーテル、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、2,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−1,3−ジアジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等のアミン化合物等が挙げられる。
【0049】
本発明のPUエラストマーは、汎用性の高いブルックフィールド型粘度計で測定した溶液粘度(10重量%N,N−ジメチルホルムアミド溶液、25℃)が10〜3000mPa・sの範囲である。10mPa・s未満では、分子量が低すぎて十分な強度が発現しない。3000mPa・sを超えると、強度は増大するが、熱可塑性エラストマーとして使用する際には加工性が劣る。熱可塑性エラストマーとして使用する場合、好ましくは20〜2500mPa・sである。一方、PUエラストマーを製造する際に、少量の多官能イソシアネートや多官能短鎖ジオールを添加すれば、化学架橋型(熱硬化性)PUエラストマーとしても使用できるが、この場合には、上記溶液粘度は3000mPa・sを超え、測定困難である。
【0050】
また、本発明のPUエラストマーには、その製造時又は製造後に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤、ラクトン系熱安定剤、イオウ系熱安定剤等の老化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系光安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の耐光安定剤を添加しておくことが好ましい。
【0051】
本発明のPUエラストマーは、これまで難しかった低硬度、高強度、及び高軟化点を兼ね備えるものであり、従来のPUエラストマーでは困難だった用途への適用、及び従来用途での信頼性、性能向上に寄与することができる。
【実施例】
【0052】
以下に、本発明を、実施例を用いて詳細に説明するが、それらの内容は本発明を特に制限するものではない。なお、本発明のポリウレタンジオール、イソシアネート末端プレポリマー及びPUエラストマーに関する測定法及び評価法は以下のとおりである。
【0053】
[イソシアネート分析]
イソシアネート末端プレポリマー合成における残存イソシアネートの分析は以下の方法で行った。100ml三角フラスコに反応液を0.5〜1g、及びn−ブチルアミンの10重量%N,N−ジメチルホルムアミド溶液を約2g精秤した後、約40mlのN,N−ジメチルホルムアミドを加えて、窒素雰囲気下、約20分攪拌した。この溶液に、0.1重量%ブロモフェノールブルーを適量添加した後、0.1N塩酸水溶液で滴定し、当量点から反応液中のイソシアネート濃度を測定した。
【0054】
H―NMRの測定]
測定装置:VARIAN Gemini−200、重ジメチルスルホキシド溶液。
【0055】
[分子量の測定方法]
140mlマヨネーズ瓶にPUエラストマー10.0gとN,N−ジメチルホルムアミド90.0gを秤取り、50℃で溶解させた後、25℃まで冷却し、ビスメトロン(登録商標)回転粘度計(芝浦システム社製)で溶液粘度を測定した。
【0056】
[力学物性の測定]
PUエラストマーを180℃で厚さ1.7ミリのシートにプレス成型した。シートを常温で7日間養生後、JIS K6251(2002年版)に準拠し、ダンベル状4号型の試験片を用い、引張り速度300mm/分、23℃の条件により評価した。
【0057】
[貯蔵弾性率の温度依存性の測定]
上島製作所製、粘弾性アナライザーVR−7120にて、厚さ1.7mm、幅4mmの試験片を用い、周波数10Hz、初期歪1%、振幅0.1%の引張歪での温度分散スペクトルを測定し、評価した。
【0058】
合成例1 ウレタンジオール1の合成.
攪拌機、還流冷却器、及び滴下ロートを備えた300mlフラスコに炭酸エチレン70.12g、脱水エタノール73.13gを、滴下ロートにエチレンジアミン24.04gを秤取った後、攪拌下、系内を窒素置換した。その後、エチレンジアミンを一気に滴下したところ、激しい発熱が起こり、反応が始まった。発熱が収まった後、70℃のオイルバスで9時間加熱した。反応終了後、内容物をテフロン(登録商標)バットに流し出し、95℃で5時間減圧加熱することによってエタノールを除去し、ワックス状の固体を92.0g回収した。重ジメチルスルホキシド溶液のH−NMR測定から、ビス(2−ヒドロキシルエチル)エチレンジカーバメートであることを確認した。
【0059】
合成例2 ウレタンジオール2の合成.
攪拌機、還流冷却器、及び滴下ロートを備えた500mlフラスコに炭酸エチレン70.21g、1,6−ヘキサメチレンジアミン46.00g、脱水エタノール80.00gを素早く秤取った後、攪拌下、系内を窒素置換した。直ちに発熱が起こり、反応が始まった。発熱が収まった後、70℃のオイルバスで12時間加熱した。反応終了後、内容物をテフロン(登録商標)バットに流し出し、95℃で5時間減圧加熱することによってエタノールを除去し、ワックス状の固体を115.0g回収した。重ジメチルスルホキシド溶液のH−NMR測定から、ビス(2−ヒドロキシルエチル)ヘキサメチレンジカーバメートであることを確認した。
【0060】
実施例1 PUエラストマー1の合成.
攪拌機を備えた500ml丸底フラスコに、ポリテトラメチレングリコール(三菱化学製PTMG1000、水酸基価111.1)22.02g仕込んだ後、減圧下、120℃で1.5時間乾燥した。80℃のオイルバスで加熱しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート7.50g、及びジブチル錫ジラウレート206mgを添加し、重付加反応を開始した。4.5時間反応後、反応物中のイソシアネート含量が6.49重量%だったことから、ポリテトラメチレングリコールの水酸基はほぼ100%反応したと判断した。そこで、N,N−ジメチルホルムアミド100.00gに合成例1で得たウレタンジオール1を4.95g溶解した溶液を添加し、鎖延長反応を開始した。1時間後、系内の粘度が上昇したため、N,N−ジメチルホルムアミドを60.00g追加添加し、更に3時間加熱した後、反応液中のイソシアネートは完全に消費された。その後、酸化防止剤(イルガノックス1010、チバスペシャリティーケミカルズ社製)を0.35g、エタノールを少量添加し、80℃で1時間加熱後、テフロン(登録商標)バットに流し出し、減圧下、95℃で20時間加熱乾燥し、PUエラストマーを得た。
【0061】
仕込から計算したポリマージオール/ジイソシアネート/ウレタンジオールのモル比は1.000/2.046/0.962であった。ここで、本実施例のウレタンジオールは、一個のエチレンジイソシアネート残基と二個のエチレングリコール(短鎖ジオール)からなることを考慮すると、ポリマージオール/ジイソシアネート/短鎖ジオールのモル比は1.000/3.008/1.924モルとなり、以下に示す比較例1、比較例2と同じになる。
【0062】
10重量%N,N−ジメチルホルムアミド溶液粘度は80mPa・sだった。力学物性、貯蔵弾性率の温度依存性を表1に示す。
【0063】
【表1】

比較例1 ヘキサメチレンジイソシアネートを用いたPUエラストマーの合成.
攪拌機を備えた500ml丸底フラスコに、ポリテトラメチレングリコール(三菱化学社製、PTMG1000、水酸基価111.1)40.02g仕込んだ後、減圧下、120℃で1.5時間乾燥した。80℃のオイルバスで加熱しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート20.05g、及びジブチル錫ジラウレート495mgを添加し、重付加反応を開始した。5時間反応後、反応物のイソシアネート含量が11.00重量%だったことから、ポリテトラメチレングリコールの水酸基はほぼ100%反応したと判断した。そこで、N,N−ジメチルホルムアミド100.00gにエチレングリコール4.74g溶解した溶液を添加し、鎖延長反応を開始した。1時間後、系内の粘度が上昇したため、N,N−ジメチルホルムアミドを70.00g追加添加し、更に3時間加熱した後、反応液中のイソシアネートは完全に消費された。その後、酸化防止剤(イルガノックス1010、チバスペシャリティーケミカルズ社製)を0.70g、エタノールを少量添加し、80℃で1時間加熱後、テフロン(登録商標)バットに流し出し、減圧下、95℃で20時間加熱乾燥し、PUエラストマーを得た。
【0064】
仕込から計算したポリマージオール/ジイソシアネート/短鎖ジオールのモル比は1.000/3.009/1.929であり、実施例1と同じだった。
10重量%N,N−ジメチルホルムアミド溶液粘度は95mPa・sだった。力学物性、貯蔵弾性率の温度依存性を表1にあわせて示す。
【0065】
比較例2 ウレタンジオール−2を用いたPUエラストマーの合成.
攪拌機を備えた500ml丸底フラスコに、ポリテトラメチレングリコール(三菱化学製PTMG1000、水酸基価111.1)22.02g仕込んだ後、減圧下、120℃で1.5時間乾燥した。80℃のオイルバスで加熱しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート7.50g、及びジブチル錫ジラウレート206mgを添加し、重付加反応を開始した。反応物の5時間反応後のイソシアネート含量は6.40wt%だったことから、ポリテトラメチレングリコールの水酸基はほぼ100%反応したと判断した。そこで、
、N,N−ジメチルホルムアミド100.00gに合成例2で得たウレタンジオール−2を6.13g溶解した溶液を添加し、鎖延長反応を開始した。1時間後、系内の粘度が上昇したため、N,N−ジメチルホルムアミドを60.00g追加添加し、更に3時間加熱した。反応液中のイソシアネートは完全に消費された。その後、酸化防止剤イルガノックス1010(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を0.40g、エタノールを少量添加し、80℃で1時間加熱後、テフロン(登録商標)バットに流し出し、減圧下、95℃で20時間加熱乾燥し、PUエラストマーを得た。
【0066】
仕込から計算したポリマージオール/ジイソシアネート/ウレタンジオールのモル比は1.000/2.046/0.962であった。ここで、本実施例のウレタンジオールは、一個のヘキサメチレンジイソシアネート残基と二個のエチレングリコール(短鎖ジオール)からなることを考慮すると、ポリマージオール/ジイソシアネート/短鎖ジオールのモル比は1.000/3.008/1.924モルとなり、実施例1と同じだった。
【0067】
10重量%N,N−ジメチルホルムアミド溶液粘度は86mPa・sだった。力学物性、貯蔵弾性率の温度依存性を表1にあわせて示す。
【0068】
実施例2 PUエラストマー2の合成.
攪拌機を備えた500ml丸底フラスコに、ポリプロピレングリコール(アルドリッチ製、水酸基価111)22.02g仕込んだ後、減圧下、120℃で1.5時間乾燥した。80℃のオイルバスで加熱しながら、ジフェニルメタンジイソシアネート11.16gを添加し、重付加反応を開始した。4時間反応後、反応物中のイソシアネート含量が5.71重量%だったことから、ポリプロピレングリコールの水酸基はほぼ100%反応したと判断した。そこで、N,N−ジメチルホルムアミド100.00gに合成例1で得たウレタンジオール1を4.95g溶解した溶液を添加し、鎖延長反応を開始した。1時間後、系内の粘度が上昇したため、N,N−ジメチルホルムアミドを60.00g追加添加し、更に3時間加熱した後、反応液中のイソシアネートは完全に消費された。その後、酸化防止剤(イルガノックス1010、チバスペシャリティーケミカルズ社製)を0.35g、エタノールを少量添加し、80℃で1時間加熱後、テフロン(登録商標)バットに流し出し、減圧下、95℃で20時間加熱乾燥し、PUエラストマーを得た。
【0069】
仕込から計算したポリマージオール/ジイソシアネート/短鎖ジオールのモル比は比較例1及び比較例2と同じである。
【0070】
10重量%N,N−ジメチルホルムアミド溶液粘度は105mPa・sだった。力学物性、貯蔵弾性率の温度依存性を表1に併せて示す。
【0071】
実施例3 PUエラストマー3の合成.
攪拌機を備えた500ml丸底フラスコに、ポリプロピレングリコール(アルドリッチ製、水酸基価111)22.02g仕込んだ後、減圧下、120℃で1.5時間乾燥した。80℃のオイルバスで加熱しながら、パラフェニレンジイソシアネート7.14gを添加し、重付加反応を開始した。3時間反応後、反応物中のイソシアネート含量が6.53重量%だったことから、ポリテトラメチレングリコールの水酸基はほぼ100%反応したと判断した。そこで、N,N−ジメチルホルムアミド200.00gに合成例1で得たウレタンジオール1を4.95g溶解した溶液を添加し、鎖延長反応を開始した。4時間加熱した後、反応液中のイソシアネートは完全に消費された。酸化防止剤(イルガノックス1010、チバスペシャリティーケミカルズ社製)を0.35g、エタノールを少量添加し、80℃で1時間加熱後、テフロン(登録商標)バットに流し出し、減圧下、95℃で20時間加熱乾燥し、PUエラストマーを得た。
【0072】
仕込から計算したポリマージオール/ジイソシアネート/短鎖ジオールのモル比は比較例1及び比較例2と同じである。
【0073】
10重量%N,N−ジメチルホルムアミド溶液粘度は105mPa・sだった。力学物性、貯蔵弾性率の温度依存性を表1に併せて示す。
【0074】
表1から明らかなとおり、ポリマージオール/ジイソシアネート/短鎖ジオールのモル比が比較例1及び比較例2と同じであるにも関らず、実施例1〜実施例3はこれら比較例より低硬度であり、引張破断強度、引裂強度、及び高温での弾性率が高かった(軟化温度が高かった)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

[式中、Rは、炭素数2〜4の脂肪族炭化水素基を表し、Rは、炭素数2〜13の脂肪族炭化水素基、又は炭素数6〜13の芳香族炭化水素基を表す。]
で表される構造単位を含むハードセグメントと、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリオレフィンポリオールからなる群より選択されるポリマージオール残基を含むソフトセグメントとが交互に結合していることを特徴とするポリウレタンエラストマー。
【請求項2】
ブルックフィールド型粘度計で測定した溶液粘度(10重量%N,N−ジメチルホルムアミド溶液、25℃)が10〜3000mPa・sであることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタンエラストマー。
【請求項3】
式(1)中のRが、エチレン基、プロピレン基、及びブチレン基からなる群より選択される脂肪族炭化水素基であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリウレタンエラストマー。
【請求項4】
下記式(2)
【化2】

[上記式(2)中、Rは、炭素数2〜4の脂肪族炭化水素を表す。]
で表されるウレタンジオールと、下記式(3)
【化3】

[上記式(3)中、Rは炭素数2〜13の脂肪族炭化水素基、又は炭素数6〜13の芳香族炭化水素基を表し、Rはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリオレフィンポリオールからなる群より選択されるポリマージオール残基を表す。]
で表されるイソシアネート末端プレポリマーとを重付加反応させて鎖延長することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のポリウレタンエラストマーの製造法。
【請求項5】
式(2)中のRが、エチレン、プロピレン、ブチレンからなる群より選択される脂肪族炭化水素であることを特徴とする請求項4に記載のポリウレタンエラストマーの製造法。
【請求項6】
イソシアネート末端プレポリマーが、下記式(4)
OCN−R−NCO (4)
[上記式(4)中、Rは炭素数2〜13の脂肪族炭化水素基、又は炭素数6〜13の芳香族炭化水素基を表す。]
で表されるジイソシアネートと、下記式(5)
HO−R−OH (5)
[上記式(5)中、Rはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリオレフィンポリオールからなる群より選択されるポリマージオール残基を表す。]
で表されるポリマージオールとを反応させて得られるものであることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のポリウレタンエラストマーの製造法。
【請求項7】
式(5)で表されるジイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフタレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、及びテトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)からなる群より選択されるジイソシアネートであることを特徴とする請求項6に記載のポリウレタンエラストマーの製造法。

【公開番号】特開2012−131838(P2012−131838A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282388(P2010−282388)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】