説明

ポリウレタンフォーム、それらの製造方法及びこれらのフォームの使用

本発明は、例えば様々なタイプの靴用の靴底のような成形物品を製造するために用いられるポリウレタンフォームに関する。より特定的には、本発明は、靴底、特にスポーツシューズの靴底にとって好適な機械的特性を有する低密度ポリウレタンフォームに関する。本発明のフォームは、ジイソシアネートプレポリマーと、懸濁状の無機充填剤を含むポリエステルポリオールとを反応させることによって製造される。さらに、このフォームの密度は約0.2g/cm3である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に様々なタイプの靴の靴底のような成形物品を製造するために用いられるポリウレタンフォームに関する。
【0002】
より特定的には、本発明は、靴底としての用途、さらにより一層特定的にはスポーツシューズの靴底又は特に女性が履く厚底(プラットフォーム底)の靴としての用途にとって好適な機械的特性を有する低密度ポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0003】
ポリウレタンフォームは多くの用途に用いられており、硬質フォーム及び軟質フォームの2つのタイプに分類することができる。本発明の分野は、軟質ポリウレタンフォームに関する。
【0004】
これらの軟質フォームの1つの重要な用途は、靴底、特にスポーツシューズ及び厚底タイプの婦人靴の靴底の製造である。より特定的には、ポリウレタンフォームは、中底又は内底と称される靴底の一部(より一般的に英語ではミッドソール(midsole)という用語で示される)の製造に用いられる。
【0005】
これらの用途においては、靴底は良好な圧縮歪み、硬度及び高い引裂き強さを有していなければならないが、しかし利用者にとって快適(履き心地がいいこと)でもなければならない。
【0006】
これらに用途に適したポリウレタンフォームがすでに提唱されている。
【0007】
しかしながら、一定レベルの好適な特性を得るためには、ポリウレタンフォームは少なくとも0.35g/cm3の密度を有していなければならず、これでは、酢酸ビニルコポリマー(EVA)を用いて得られるものと同等の重量の靴底を製造することができない。
【0008】
EVAを用いて得られるものと同等の重量の物品を得るために非常に低密度であるポリウレタンフォームから作られた物品でありながらも、同時にEVAの靴底では達成できないポリウレタンフォームのレベルの特性をも保つ物品を製造するということは、これまではできなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の1つの目的は、所望の用途(特にミッドソールの製造)にとって好適な特性を有していながら従来技術のポリウレタンフォームと比較して低い密度を有し、従って良好な特性を有する低重量物品の製造を可能にする新規のポリウレタンフォーム(ポリウレタンをベースとするフォーム)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的で、本発明の1つの主題は、ポリエステルジオールとジイソシアネート化合物との間の反応によって得られる軟質ポリウレタンフォームであって、0.3g/cm3未満の密度、45又はそれより大きいAscher C硬度及び12%又はそれ未満の圧縮永久歪みを有することを特徴とする、前記軟質ポリウレタンフォームにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
有利には、本発明のフォームは、18kg/cm2又はそれより大きい引張破壊応力を有する。
【0012】
好ましい特徴に従えば、本発明のフォームは、2.5kg/cm又はそれより大きい引裂き強さ、250%又はそれより大きい破断点伸び、及び有利には1.0%又はそれ未満の成形収縮を有する。
【0013】
これらの特徴及び特性は、以下の標準規格に記載された方法によって測定される:
・密度(見掛け密度とも称される)は、ASTM規格D−3574(A)(気泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定、ISO規格845に対応)に従って測定される。
・硬度は、NBR規格14455(Ascher C)(気泡材料、靴底及び靴の部品用の材料、DIN規格53543に対応)に従ってAscher Cデュロメーターと称される装置を用いて測定される。
・フォームの引裂き強さは、ASTM規格D−3574(F)に従って測定される。
・引張破壊応力は、ASTM規格D−412に従って測定される。
・破断点伸びは、ASTM規格D−412(C)に従って測定される。
・成形収縮は、SATRA規格TM−70(気泡汚染の熱収縮)に従って測定される。
・圧縮永久歪みは、ASTM規格D−395(B)(軟質気泡ポリマー材料、ISO規格1856に対応)に従って測定される。
【0014】
本発明の1つの好ましい特徴に従えば、フォームの密度は0.1g/cm3〜0.25g/cm3の範囲、有利には0.15g/cm3〜0.23g/cm3の範囲である。
【0015】
本発明の1つの好ましい特徴に従えば、ポリウレタンフォームは、分散した無機粒状充填剤を含み、この充填剤の重量濃度は、フォームの重量に対して0.6%〜8%の範囲、好ましくは0.6〜5%の範囲である。
【0016】
本発明のポリウレタンフォームは、少なくとも2個のイソシアネート官能基を含む化合物とポリエステルジオール化合物との間の反応によって得られる。有利には、そして通常は、前記イソシアネート化合物はイソシアネート末端官能基を含むプレポリマーである。イソシアネート官能基とヒドロキシル官能基との間のモル比は、1.0〜1.5の範囲、有利には1.2〜1.5の範囲である。
【0017】
例示として、本発明にとって好適なイソシアネート化合物は、芳香族、飽和若しくは不飽和環状又は脂肪族であってよい。フォーム(特にポリウレタンフォーム)の製造において通常用いられる好ましいイソシアネート化合物は、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールと2分子のジイソシアネートとの反応によって得られるプレポリマーである。この場合、これらの化合物をイソシアネートプレポリマーと称するのが一般的である。
【0018】
イソシアネートプレポリマーの製造に特に好適なジイソシアネートには、芳香族イソシアネート、例えばトルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート、飽和環状イソシアネート、例えば水素化メチレンジフェニルジイソシアネート、水素化トルエンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、並びにリシンジイソシアネートが含まれる。
【0019】
通常用いられる好ましいイソシアネートプレポリマーは、ポリオキシアルキレングリコールをメチレンジフェニルジイソシアネートと反応させたものから成る軟質セグメントを含むものである。かかる化合物は、低密度フォーム、特に本発明のフォームの製造に特に有利である。
【0020】
本発明にとって好適なポリエステルジオールは一般的に、2〜12個、好ましくは4〜6個の炭素原子を有するジカルボン酸と少なくとも1種のジオールとの反応によって得られる。
【0021】
ジカルボン酸の例としては、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸のような脂肪族二酸、並びにフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフテン酸のような芳香族酸を挙げることができる。これらの二酸は、個別に用いてもよく、混合物として用いてもよい。
【0022】
本発明の1つの好ましい具体例に従えば、用いられる二酸は、アジピン酸のような少なくとも6個の炭素原子を有する二酸と5個又はそれ未満の炭素原子を有する少なくとも1種の二酸(有利にはグルタル酸)との混合物、特にアジピン酸、グルタル酸及びコハク酸の混合物である。
【0023】
本発明の別のより一層好ましい具体例に従えば、ポリエステルジオールの生成のために用いられる二酸は、アジピン酸とAGSと称される二酸の混合物(これは、シクロヘキサノール及び/又はシクロヘキサノンの酸化によるアジピン酸の製造方法において副生成物として得られ、アジピン酸、グルタル酸及びコハク酸を含む)との混合物から成るのが有利である。
【0024】
また、これらの二酸の誘導体、例えばジエステル(アルコールから由来する残基が1〜4個の炭素原子を有するもの)、酸無水物及び酸クロリドを用いることも可能である。
【0025】
本発明にとって好適なジオールとしては、2〜10個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するグリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ビスフェノール及び1,1,3−トリメチルトリエチレンジオールを挙げることができる。
【0026】
また、これらのジオールと上記の二酸(特に4〜6個の炭素原子を有するもの)とのエステル、ヒドロキシカプロン酸のようなヒドロキシカルボン酸の縮合生成物、カプロラクトンのようなラクトンの重合生成物を用いることも可能である。本発明にとって特に好ましいポリエステルジオールは、ポリ(エタンジオールアジペート)、ポリ(1,4−ブタンジオールアジペート)、ポリ(1,6−ヘキサンジオールアジペート−ネオペンチルグリコール)、ポリ(1,6−ヘキサンジオールアジペート)、ポリ(1,4−ブタンジオールアジペート)及びポリカプロラクトンである。これらのポリエステルジオールは、有利には5000〜8000の範囲の数平均分子量を有するのが好ましい。
【0027】
本発明の1つの好ましい特徴に従えば、ポリウレタンフォームは分散した粒状無機充填剤を含有する。
【0028】
本発明にとって好適な無機粒状充填剤の例としては、粒子寸法が60μm未満、好ましくは20μm未満、さらにより一層有利には10μm未満の充填剤を挙げることができる。
【0029】
かくして、本発明にとって好適な充填剤としては、例えばアルミノケイ酸塩粉末、シリカ粉末、酸化チタン粉末、タルク粉末、カオリン粉末又は炭酸カルシウム粉末を挙げることができる。
【0030】
本発明の1つの好ましい具体例に従えば、シリカ、より特定的には特に沈降によって得られるシリカが好ましい充填剤である。
【0031】
本発明の別の主題は、分散した無機粒状充填剤を含むポリウレタンフォームの製造方法であって、前記無機充填剤の粒子をポリエステルジオール中に予備分散させ、触媒及び所望の密度を得るのに必要な量で存在させたフォーム形成剤の存在下におけるポリエステルジオール中の前記粒状充填剤の懸濁液から成る組成物の混合物とジイソシアネート化合物との間の反応によってポリウレタンフォームを得ることを特徴とする、前記製造方法にある。
【0032】
有利には、フォーム形成反応媒体に連鎖延長剤及び界面活性剤を添加してもよい。
【0033】
本発明の1つの好ましい特徴に従えば、ポリエステルジオール中の無機充填剤粒子の懸濁液は、ポリエステルジオールエステル化反応媒体又は重縮合工程の開始時の反応媒体に前記粒子を添加することによって得ることができる。
【0034】
かくして、無機充填剤は、ジオールとのプレミックスの形で、又は本発明の1つの好ましい具体例に従えば二酸群の内の少なくとも一部とのプレミックスの形で、媒体に直接添加することができる。
【0035】
かくして、この方法を実施することによって、ポリエステルジオール中の無機充填剤粒子の非常に良好な分散体及び懸濁液が得られ、かくしてこの分散体によって得られるポリウレタンフォーム中において非常に良好な分散が得られる。
【0036】
本発明の1つの好ましい特徴に従えば、二酸とのプレミックス中の無機充填剤の重量濃度は、2%〜20%の範囲、好ましくは2%〜12%の範囲である。ポリエステルジオール中の無機充填剤の濃度は、1〜18重量%の範囲、好ましくは1〜10重量%の範囲である。
【0037】
さらに、本発明の方法、特に二酸との混合物の形で無機充填剤を導入する方法は、安定な分散体を得ることを可能にする。従って、本発明の方法により、ポリエステルポリオールをベースとする分散体を調製し、ポリウレタンフォームの製造に使用するまでこの分散体を貯蔵することが可能である。
【0038】
本発明の好ましい具体例においては、二酸顆粒又は粉末と無機充填剤粒子とを例えば室温又は室温〜120℃の範囲の温度において混合することによって、充填剤と二酸との混合物を得ることができる。
【0039】
また、無機充填剤粒子を二酸群の一部でコーティングすることも可能である。このコーティングは、混合物を二酸の融点又は軟化点より高い温度に加熱することによって得られる。
【0040】
この具体例においては、5個若しくはそれ未満の炭素原子を有する二酸(例えばグルタル酸)又は5個若しくはそれより少ない炭素原子を有する二酸を含有する二酸の混合物(例えばAGSと称される二酸の混合物)で無機充填剤粒子をコーティングするのが有利である。
【0041】
また、ポリウレタンフォームの生成において通常用いられるその他の添加剤をこの混合物又はポリエステルジオールに添加することも可能である。
【0042】
上記の方法は特に、本発明のポリウレタンフォームの製造に特に有利であり、そして特に低密度フォームにとって好適なレベルの機械的特性及び作業特性を得るのに特に有利である。
【0043】
特定的には、0.3g/cm3未満の密度のポリウレタンフォーム及び特に0.25g/cm3未満の密度のフォームのための特性の折衷点を得るためには、フォーム中に均一に分散された補強用無機充填剤を用いることが重要である。
【0044】
さらに、5個又はそれ未満の炭素原子を有する二酸を5個より多い炭素を含有する二酸との混合物として含む二酸の混合物を使用することによってポリウレタンフォームのある種の機械的特性、例えばフォームの破断点伸び、硬度及び引裂き強さを改善することを可能にすることができる。この効果は、無機充填剤を添加することによって発生する破断点伸びの低減を補償するのに特に有利であり、重要である。上記の二酸の混合物から得られるポリエステルジオールを存在させ且つ無機充填剤濃度を所定範囲(高濃度)にすることによって破断点伸びが増大することがわかった。
【0045】
本発明の1つの好ましい具体例に従えば、無機充填剤は非晶質シリカ、特に沈降によって得られるシリカである。これらのシリカは、凝集粒子の形(有利には寸法又は直径が50μm未満のもの)にある。
【0046】
沈降シリカは寸法が少なくとも50μm又は150μmより大きい顆粒を形成する凝集粒子の形にあることができるので、好ましい。これらの凝集体は、特に二酸又はポリオールと混合する際に、撹拌力や剪断力の作用下で容易に解凝集して、寸法数μ未満、例えば5μm未満の粒子になる。
【0047】
これらの凝集体は、実質的に球状ビーズ又は顆粒の形にあることができ、例えばヨーロッパ特許公開第0018866号公報に記載されたように噴霧することによって得ることができる。このシリカは、Microperleの総称で販売されている。かかるシリカは顕著な流動性及び分散性特性並びに高い含浸容量を有し、特にヨーロッパ特許公開第966207号、同第984773号及び同第520862号各公報並びに国際公開WO95/09187号及び同WO95/09128号各パンフレットに記載されている。
【0048】
その他のタイプのシリカ、例えばフランス国特許出願第01/16881号明細書に記載されたものも、本発明にとって好適であることができ、これはヒュームドシリカ又はか焼若しくは表面処理によって部分的に脱ヒドロキシルしたシリカである。
【0049】
固体状無機基材として用いられるシリカのこれらの例は、単に指標として、好ましい具体例として記載しているだけである。他の方法によって得られ且つ本発明を実施するのに好適な多孔度及び分散性を有するその他のシリカを用いることもまた可能である。
【0050】
ポリエステルジオール中の懸濁状又は二酸との混合物としての無機充填剤の量は、ポリウレタンフォーム中の無機充填剤の所望の濃度の関数として選択される。
【0051】
本発明の別の主題に従えば、無機充填剤を含有するポリエステルジオールは、第1工程のエステル化及び第2工程の重縮合の2つの工程を含む製造方法に従って得られる。
【0052】
エステル化工程は、二酸とジオール(例えばエチレングリコール及びジエチレングリコールの混合物)とを1.2〜1.5の範囲のジオール/二酸モル比で混合することによって実施される。
【0053】
この第1工程における反応温度は、反応が進行するにつれて徐々に高められる。例えば、反応の開始は160℃の温度において行われ、反応終了時には220℃の温度に達する。
【0054】
本発明に従えば、二酸は無機充填剤との混合物として添加するのが有利である。
【0055】
第2工程の重縮合は、チタン酸テトラブチル(TBT)のような触媒を有利には用いる二酸の重量に対して0.001〜0.010%の範囲の重量濃度で添加することによって実施される。重合温度は10〜20ミリバールの範囲の圧力において200℃である。
【0056】
得られるポリエステルジオールは、ヒドロキシル価(IOH)(これは、ヒドロキシル官能基をアルコキシドに転化させるためのポリオール1g当たりの水酸化カリウムのミリグラム数に対応する)及び酸価(IA)(これは、ポリオール1gを中和するのに必要なKOHのミリグラム数を表わす)によって特徴付けされる。
【0057】
ポリエステルジオールはまた、粘度及びその分子量によっても特徴付けされる。
【0058】
有利には、エステル官能基の加水分解を抑制又は防止する添加剤、例えばカルボイミド、例えばシアナミド;ハイドロジェンシアナミド;カルビミド;シアノジェンアミド;アミドシアノジェンを添加する。
【0059】
また、立体障害アミンのような紫外線安定化用添加剤、抗酸化剤、難燃剤等をポリエステルジオールに添加するのが有利な場合もある。
【0060】
本発明のポリウレタンは、慣用の及び通常の方法に従って得られる。かくして、本発明のポリエステルジオールと連鎖延長剤、界面活性剤(例えばRhodia社よりRhodorsil SP3301及びSP3300の名称で販売されている化合物)並びにジイソシアネート化合物とを、フォーム形成剤又は孔形成剤及び触媒の存在下において、混合する。
【0061】
フォーム形成剤としては、水、炭化水素、クロロフルオロカーボン、水素化フルオロカーボン及び二酸化炭素を単独で又は混合物として用いることができる。水が好ましいフォーム形成又は孔形成剤である。
【0062】
本発明にとって好適な触媒としては、第3アミン、例えば1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、N,N,N',N'−テトラメチルヘキサメチレンジアミン;N,N,N',N'−テトラメチルプロピレンジアミン;N,N,N',N',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン;トリメチルアミノエチルピペラジン;N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン;N,N−ジメチルベンジルアミン;N−メチルモルホリン;N−エチルモルホリン;トリエチルアミン;トリブチルアミン;ビス(ジメチルアミノアルキル)ピペラジン;N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン;N,N−ジエチルベンジルアミン、ビス(N,N−ジエチルアミノアルキル)アジペート;N,N,N',N'−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン;N,N−ジメチル−β−フェニルエチルジアミン、1,2−ジメチルイミダゾール;2−メチルイミダゾール等を挙げることができる。有機金属化合物、例えばジブチルスズジラウレート、オレイン酸スズ、ナフテン酸コバルト又はナフテン酸鉛のようなその他の触媒を用いることもできる。
【0063】
顔料、着色剤又は酸化防止剤のようなその他の添加剤を添加してもよい。
【0064】
前記の混合物を型中に注入してポリウレタンフォームを形成させ、所望の形状を有する物品、例えば靴底を得る。
【0065】
フォーム形成剤の量、例えば水の量を調節することによって、様々な密度、例えば0.1〜0.3g/cm3の範囲、有利には0.1〜0.25g/cm3の範囲、さらにより一層有利には0.15〜0.23g/cm3の範囲の密度を有するフォームを得ることができる。
【0066】
本発明は特に、低密度、例えば約0.2g/cm3の低密度のポリウレタンフォームを得ることを可能にし、これは、靴底のような用途にとって好適な機械的特性及び快適性を有する物品につながる。これらの特性は、スポーツシューズ、婦人靴又はその他のタイプの靴用のミッドソールの製造にとって特に好適である。
【0067】
本発明の組成物は、特に高い跳ね返り特性及び引裂き強さ特性並びに靴(特にスポーツシューズ)用のミッドソールの製造を可能にするレベルの硬度をも有する物品を得ることを可能にする。
【0068】
跳ね返り特性は、反発弾性又は跳ね返り性を測定することによって評価され、フォームの表面上に落としたボールが跳ね返る高さによって測定される。この特徴は、ボールの落下高さに対する跳ね返り高さに相当する百分率として表わされる。
【0069】
これらの靴底は、EVA製の靴底のものと匹敵する靴底重量で、靴の快適さを改善することができる。
【0070】
さらに、本発明の組成物から得られる靴底は、EVA靴底と比較してポリウレタンフォームの耐老化性及び疲労強度が靴底の劣化を抑制するので、改善された耐用寿命を有する。
【実施例】
【0071】
これらの利点及び特性は、純粋に指標的目的で下に与えた実施例を読めばより一層はっきりするだろう。
【0072】
比較例1
【0073】
Dow Chemicals社よりポリオールについてVoralast GF422の名称及びジイソシアネートプレポリマーについてVoralast GS749の名称で販売されている配合物からポリウレタンフォームの製造の試験を実施した。
【0074】
表Iに列挙した物質を示した重量割合で互いに混合することによって、ポリウレタンフォームを得る。
【0075】
【表1】

【0076】
上記の標準化された方法に従って測定された得られたフォームの特性を下記の表IIに与える。
【0077】
【表2】

【0078】
これらの試験は、フォームを形成させるために用いた化合物が同一である場合の、ポリウレタンフォームの密度が低いことによる機械的特性に対する影響、特に硬度が大幅に低減することをはっきり示している。
【0079】
例2
【0080】
ポリオールとして下記の手順に従って調製されたポリエステルジオールを用い且つジイソシアネートプレポリマーとして例1のプレポリマーを用いることによって、ポリウレタンフォームを得た。
【0081】
第1工程において、シリカ6%と混合されたアジピン酸(ADOH)を、エチレングリコール(MEG)とジエチレングリコール(DEG)とのMEGを70重量%含有する混合物に添加する。
【0082】
アルコールと二酸との間のモル比は1.2〜1.5の範囲である。
【0083】
この混合物を160℃に1時間加熱し、次いで温度を15℃ずつ段階的に215℃まで上昇させることによって、反応を行う。この反応は、不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で行う。
【0084】
得られたエステル化物質を第2工程において、添加した二酸の量に対して0.003%の重量濃度のチタン酸テトラブチル(TBT)を添加した後に重縮合させる。
【0085】
この重合は、15〜18ミリバールの減圧下で200℃において実施する。
【0086】
得られたポリエステルポリオールを、OH価(IOH)、酸価(IA)及び粘度によって特徴付けする。
【0087】
アジピン酸/シリカ混合物は、アジピン酸顆粒をRhodia社よりTixosil 365の名称で販売されているシリカ粉末と混合することによって得た。
【0088】
アジピン酸中のシリカの濃度を変えて、2つの試験を行う:
例2A:アジピン酸/シリカ混合物中にシリカ6重量%
例2B:アジピン酸/シリカ混合物中にシリカ9重量%。
【0089】
得られたポリエステルポリオールの特徴は次の通りだった。
【0090】
例2A:
・ADOH/SiO2(質量比):94/06
・MEG/DEG(モル比):70/30
・IOH:KOH58.5mg/ポリオール1g
・IA:KOH1.0mg/ポリオール1g
・粘度:35℃において8000mPa・s
【0091】
例2B:
・ADOH/SiO2(質量比):91/09
・MEG/DEG(モル比):70/30
・IOH:KOH51.7mg/ポリオール1g
・IA:KOH0.90mg/ポリオール1g
・粘度:35℃において11070mPa・s
【0092】
下記の表IIIに示した化合物を示した割合で用いて、ポリウレタンフォームを得た。
【0093】
【表3】

【0094】
得られたフォームの特性は次の通りだった。
【0095】
例2A:
・密度:0.21±0.01g/cm3
・硬度(Ascher C):49±1
・引張破壊応力:26.6±1.1kg/cm2
・破断点伸び:280±8%
・引裂き伝播破壊応力:2.34±0.17kg/cm
・引裂き強さ:9.9±0.5kg/cm
・圧縮永久歪み:3.8±0.4%
【0096】
例2B:
・密度:0.20±0.01g/cm3
・硬度(Ascher C):52±1
・引張破壊応力:24.23±1.60kg/cm2
・破断点伸び:218±11%
・引裂き伝播抵抗:2.54±0.14kg/cm
・引裂き強さ:9.50±0.40kg/cm
・圧縮永久歪み:3.0±0.5%
【0097】
例3:
【0098】
例3A及び3Bはそれぞれ、最初のものはアジピン酸及び6重量%のシリカを含有する酸/シリカ混合物を、2番目のものはアジピン酸、6重量%のAGSと称される二酸の混合物及び6重量%のシリカを含有する酸/シリカ混合物を用いて、得た。
【0099】
得られたポリエステルジオールの特徴は次の通りだった。
【0100】
例3A:
・ADOH/SiO2(質量比):94/06
・MEG/DEG(モル比):70/30
・IOH:KOH57.7mg/ポリオール1g
・IA:KOH0.78mg/ポリオール1g
・粘度:35℃において7440mPa・s
【0101】
例3B:
・ADOH/SiO2/AGS(質量比):88/06/06
・MEG/DEG(モル比):70/30
・IOH:KOH54.7mg/ポリオール1g
・IA:KOH0.70mg/ポリオール1g
・粘度:35℃において8040mPa・s
【0102】
表IIIに与えた指標に従って得られたポリウレタンフォームは、次の特性を有していた。
【0103】
例3A:
・密度:0.20±0.01g/cm3
・硬度(Ascher C):46±3
・引張破壊応力:24.00±3.30kg/cm2
・破断点伸び:252±29%
・引裂き伝播抵抗:2.63±0.30kg/cm
・引裂き強さ:10.5±0.7kg/cm
・圧縮永久歪み:3.3±0.6%
【0104】
例3B:
・密度:0.20±0.01g/cm3
・硬度(Ascher C):48±3
・引張破壊応力:24.10±2.30kg/cm2
・破断点伸び:280±23%
・引裂き伝播抵抗:2.9±0.26kg/cm
・引裂き強さ:10.2±0.8kg/cm
・圧縮永久歪み:4.9±0.4%
【0105】
例4:
【0106】
例4A及び4Bはそれぞれ、アジピン酸、6重量%のAGSと称される二酸の混合物及び6重量%のシリカを含有する酸/シリカ混合物を用いて、得た。例4Aにおいて用いた混合物は、各種成分を機械的に混合することによって得た。
【0107】
例4Bの調製のために用いた混合物は、無機充填剤をAGS二酸混合物でコーティングし、アジピン酸と物理的に混合することによって得た。
【0108】
得られたポリエステルポリオールの特徴は、次の通りだった。
【0109】
例4A:
・ADOH/SiO2/AGS(質量比):88/06/06
・MEG/DEG(モル比):70/30
・IOH:KOH54.7mg/ポリオール1g
・IA:KOH0.70mg/ポリオール1g
・粘度:35℃において8040mPa・s
【0110】
例4B:
・ADOH/SiO2/AGS(質量比):88/06/06
・MEG/DEG(モル比):70/30
・IOH:KOH51.8mg/ポリオール1g
・IA:KOH0.70mg/ポリオール1g
・粘度:35℃において10850mPa・s
【0111】
表IIIに与えた指標に従って得られたポリウレタンフォームは、次の特性を有していた。
【0112】
例4A:
・密度:0.20±0.01g/cm3
・硬度(Ascher C):48±3
・引張破壊応力:24.10±2.30kg/cm2
・破断点伸び:280±23%
・引裂き伝播抵抗:2.9±0.26kg/cm
・引裂き強さ:10.2±0.8kg/cm
・圧縮永久歪み:4.9±0.4%
【0113】
例4B:
・密度:0.20±0.01g/cm3
・硬度(Ascher C):52±2
・引張破壊応力:23.00±1.70kg/cm2
・破断点伸び:293±23%
・引裂き伝播抵抗:2.83±0.34kg/cm
・引裂き強さ:10.1±0.7kg/cm
・圧縮永久歪み:5.6±0.8%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルポリオールとジイソシアネートとの間の反応によって得られた軟質ポリウレタンフォームであって、ASTM規格D−3574(A)に従って測定して0.3g/cm3未満の密度、NBR規格14455(Ascher C)に従って測定して45又はそれより大きい硬度及びASTM規格D−395(B)に従って測定して12%又はそれ未満の圧縮永久歪みを有することを特徴とする、前記軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
前記密度が0.1g/cm3〜0.25g/cm3の範囲、好ましくは0.15g/cm3〜0.23g/cm3の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のフォーム。
【請求項3】
ASTM規格D−3574(F)に従って測定して2.5kg/cm又はそれより大きい引裂き強さを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のフォーム。
【請求項4】
ASTM規格D−412に従って測定して18kg/cm2又はそれより大きい引張破壊応力を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のフォーム。
【請求項5】
ASTM規格D−412(C)に従って測定して250%又はそれより大きい破断点伸びを有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のフォーム。
【請求項6】
SATRA規格TM−70に従って測定して1.0%又はそれ未満の成形収縮を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のフォーム。
【請求項7】
フォームの総重量に対して0.8%〜8%の範囲の重量濃度で分散した無機粒状充填剤を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のフォーム。
【請求項8】
前記無機充填剤粒子が60μm未満の平均寸法を有することを特徴とする、請求項7に記載のフォーム。
【請求項9】
前記粒子の平均寸法が20μm未満、好ましくは10μm未満であることを特徴とする、請求項8に記載のフォーム。
【請求項10】
前記無機充填剤がアルミノケイ酸塩、シリカ、酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム、雲母及びカオリンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項7〜9のいずれかに記載のフォーム。
【請求項11】
前記無機充填剤が沈降シリカであることを特徴とする、請求項10に記載のフォーム。
【請求項12】
前記ポリエステルポリオールがジオールと二酸との反応又はジオールと少なくともアジピン酸を含み且つ5個若しくはそれ未満の炭素原子を有する少なくとも1種の二酸をも含む二酸混合物との反応によって得られたものであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のフォーム。
【請求項13】
前記の5個又はそれ未満の炭素原子を有する二酸がグルタル酸であることを特徴とする、請求項12に記載のフォーム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のポリウレタンフォームの製造方法であって、
反応性押出プロセスにおいてポリエステルジオール中の無機充填剤の懸濁液から成る組成物、触媒及びフォーム形成剤をジイソシアネート化合物中に供給することから成り、
前記フォーム形成剤を所望の密度を得るのに必要な量で存在させる
ことを特徴とする、前記製造方法。
【請求項15】
前記のポリエステルジオール中の無機充填剤の懸濁液から成る組成物が、エステル化工程においてジオール化合物と少なくとも1種の二酸とを反応させ、次いで所望の重合度が得られるまで重縮合させることによって得られ、前記二酸がアジピン酸であること、及び前記無機充填剤を前記エステル化工程の前又は前記重合工程の開始時のいずれかの反応媒体中に分散させ又は供給することを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記二酸がアジピン酸と5個又はそれ未満の炭素原子を有する二酸群との混合物であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記二酸がアジピン酸、グルタル酸及びコハク酸の混合物であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記二酸がアジピン酸とAGSとの混合物であることを特徴とする、請求項15〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記酸混合物中のアジピン酸の濃度が2〜20重量%の範囲であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記無機充填剤を前記二酸群の内の少なくとも一部との混合物としてエステル化媒体に添加することを特徴とする、請求項14〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
成形物品の製造のための請求項1〜13のいずれかに記載のポリウレタンフォームの使用。
【請求項22】
靴ミッドソールの製造のための請求項1〜13のいずれかに記載のポリウレタンフォームの使用。
【請求項23】
請求項1〜13のいずれかに記載のポリウレタンフォームを成形することによって得られる靴ミッドソール。
【請求項24】
請求項1〜13のいずれかに記載のポリウレタンフォームから作られた靴底の少なくとも一部を含む靴。

【公表番号】特表2007−501873(P2007−501873A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522372(P2006−522372)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002055
【国際公開番号】WO2005/019295
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(598051417)ロディア・ポリアミド・インターミーディエッツ (14)
【Fターム(参考)】