説明

ポリウレタンフォームのためのテトラフルオロブテン発泡剤組成物

熱硬化性フォームのための発泡剤が開示されている。その発泡剤は、2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1単独か、又はヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)、又は炭化水素との組合せである。その発泡剤は、熱硬化性フォームを製造する際の発泡剤として効果的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性フォームのための発泡剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、熱硬化性フォームの製造における発泡剤としての、2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1単独又は他のものとの組合せにおける使用、及びそのような発泡剤を用いて製造した熱硬化性フォームに関する。
【背景技術】
【0002】
オゾン層の保護のためのモントリオール議定書(Montreal Protocol)は、クロロフルオロカーボン(CFC)使用の段階的廃止を義務づけた。オゾン層に対してより「優しい」物質、例えばヒドロフルオロカーボン(HFC)、例えばHFC−134aがクロロフルオロカーボンの代替物となった。後者の化合物は、温室効果ガスであって、地球温暖化の原因となることが証明されており、気候変動に関する京都議定書(Kyoto Protocol on Climate Change)によって規制されることとなった。浮かび上がってきた代替え物質のヒドロフルオロプロペンは環境的に受容される、すなわちオゾン層破壊係数(ODP)がゼロで、かつ地球温暖化係数(GWP)が低く、受容可能であることが示された。
【0003】
現在のところ、熱硬化性フォームのための発泡剤としては、比較的に高い地球温暖化係数を有するHFC−134a、HFC−245fa、HFC−365mfcと、可燃性であり、エネルギー効率の低いペンタン異性体のような炭化水素とが挙げられる。したがって、新規な代替発泡剤が求められている。HFCの代替物として、ハロゲン化ヒドロオレフィン系物質、例えばヒドロフルオロプロペン及び/又はヒドロクロロフルオロプロペンに関心が寄せられてきている。これらの物質は下層大気中で本来的に化学的に不安定であるために、地球温暖化係数が低く、かつ所望されるオゾン層破壊性能もゼロ又はほとんどゼロとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、オゾン層破壊係数が低いかゼロであり、地球温暖化係数が低く、そして低い毒性しか示さないという要件を満たす、ユニークな特性を与える、熱硬化性フォームのための発泡剤として使用することが可能な新規な組成物及びそれらから製造された熱硬化性フォームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、無視することが可能な(低いかゼロの)オゾン層破壊性及び低いGWPを有する、不飽和ハロゲン化ヒドロオレフィンに基づく発泡剤の使用に関する。その発泡剤としては、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)の、2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1単独又は以下のものをさらに組み合わせたものが挙げられる:ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロフルオロエーテル(HFE)、炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル/ジエーテル、又は二酸化炭素。予想もしなかったことであるが、ポリウレタンフォームを形成させたときに、2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1が、HFO−1354の他の異性体よりも優れた性能を示すことを、本願発明者らは見出した。
【0006】
HFO1354の異性体としては以下のものが挙げられる:E/Z−CF3CH=CF−CH3、E/Z−CF3CF=CHCH3、E/Z−CF3CH=CHCH2F、E/Z−CHF2CF=CF−CH3、E/Z−CHF2CF=CHCH2F、E/Z−CHF2CH=CFCH2F、E/Z−CHF2CH=CHCHF2、E/Z−CH2FCF=CFCH2F、E/Z−CH2FCH=CHCF3、E/Z−CH2FCF=CHCHF2、CF3CH2CF=CH2、CF3CFHCH=CH2、E/Z−CF3CH2CH=CHF、CHF2CF2CH=CH2、CHF2CHFCF=CH2、E/Z−CHF2CHFCH=CHF、CH2FCF2CF=CH2、E/Z−CH2FCF2CH=CHF、E/Z−CH2FCHFCF=CFH、CH2FCHFCH=CF2、CH2FCH2CF=CF2、E/Z−CH3CF2CF=CFH、CH3CF2CH=CF2
【0007】
ヒドロフルオロオレフィン(HFO)のHFO−1354が、地球温暖化係数が低く、オゾン層破壊値がゼロである発泡剤として提案されてきた。その地球温暖化係数が低いのは、そのヒドロハロオレフィンが大気中で分解することの結果である。
【0008】
HFOの2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1は、単独又はさらなるHFOと組み合わせて、ポリオール混合物と混合することによる熱硬化性フォームのための発泡剤として使用することができる。得られる反応生成物は、低密度及び改良されたk−ファクターも含めて、優れた品質を示す。2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1発泡剤は、熱硬化性ポリマーの中に容易に溶解し、受容可能なフォームを得るのに十分なレベルの可塑化を与える。2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1は、周囲温度では液体であるために、取扱いが容易となるが、これは、各種の産業、とりわけポリウレタンフォーム産業において望まれていることである。好ましい追加のHFO成分には、典型的には3、4、また5個の炭素が含まれ、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:ペンタフルオロプロパン、例えば、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO1225ye);テトラフルオロプロペン、例えば1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234ze)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234yf)、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234ye);トリフルオロプロペン、例えば3,3,3−トリフルオロプロペン(1243zf)、並びにそれらの混合物。本発明の好ましい実施態様は、約60℃未満の標準沸点を有する不飽和のハロゲン化ヒドロオレフィンの発泡剤組成物である。
【0009】
本発明の好ましい発泡剤組成物である、2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1は、単独又は他のものとの組合せで、ポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォームを製造する際に使用されるポリオール混合物の中への良好な溶解性を示す。発泡剤の組合せを使用する場合には、本発明の発泡剤組成物の主要部分は、2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1である。好適な発泡剤の組合せによって、望ましレベルの断熱値を有するフォームが製造される。
【0010】
本発明の2,4,4,4−テトラフルオロブテン−発泡剤は、他の発泡剤と組み合わせた形で使用してよいが、そのようなものとしては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:
(a)ヒドロフルオロカーボン、非限定的に挙げれば,例えば:ジフルオロメタン(HFC32);1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC125);1,1,1−トリフルオロエタン(HFC143a);1,1,2,2−テトラフルオロタン(HFC134);1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a);1,1−ジフルオロエタン(HFC152a);1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea);1,1,1,3,3−ペンタフルオプロパン(HFC245fa);1,1,1,3,3−ペンタフルオブタン(HFC365mfc)、及び1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC4310mee)、
(b)さらなるヒドロフルオロオレフィン、非限定的に挙げれば、例えば:テトラフルオロプロペン(HFO1234)、トリフルオロプロペン(HFO1243)、ペンタフルオロブテン(HFO1345)、2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1以外のテトラフルオロブテン(HFO1354)、ヘキサフルオロブテン(HFO1336)、ヘプタフルオロブテン(HFO1327)、ヘプタフルオロペンテン(HFO1447)、オクタフルオロペンテン(HFO1438)、ノナフルオロペンテン(HFO1429)、
(c)炭化水素、非限定的に挙げれば,例えば、ペンタン異性体、ブタン異性体、
(d)ヒドロフルオロエーテル(HFE)例えば、C49OCH3(HFE−7100)、C49OC25(HFE−7200)、CF3CF2OCH3(HFE−245cb2)、CF3CH2CHF2(HFE−245fa)、CF3CH2OCF3(HFE−236fa)、C37OCH3(HFE−7000)、2−トリフルオロメチル−3−エトキシドデコフルオロヘキサン(HFE 7500)、1,1,1,2,3−ヘキサフルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)−ペンタン(HFE−7600)、1,1,1,2,2,3,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン(HFE−7300)、エチルノナフルオロイソブチルエーテル/エチルノナフルオロブチルエーテル(HFE 8200)、CHF2OCHF2、CHF2−OCH2F、CH2F−OCH2F、CH2F−O−CH3、シクロ−CF2CH2CF2−O、シクロ−CF2CF2CH2−O、CHF2−CF2CHF2、CF3CF2−OCH2F、CHF2−O−CHFCF3、CHF2−OCF2CHF2、CH2F−O−CF2CHF2、CF3−O−CF2CH3、CHF2CHF−O−CHF2、CF3−O−CHFCH2F、CF3CHF−O−CH2F、CF3−O−CH2CHF2、CHF2−O−CH2CF3、CH2FCF2−O−CH2F、CHF2−O−CF2CH3、CHF2CF2−O−CH3(HFE254pc)、CH2F−O−CHFCH2F、CHF2−CHF−O−CH2F、CF3−O−CHFCH3、CF3CHF−O−CH3、CHF2−O−CH2CHF2、CF3−O−CH2CH2F、CF3CH2−O−CH2F、CF2HCF2CF2−O−CH3、CF3CHFCF2−O−CH3、CHF2CF2CF2−O−CH3、CHF2CF2CH2−OCHF2、CF3CF2CH2−O−CH3、CHF2CF2−O−CH2CH3、(CF32CF−O−CH3、(CF32CH−O−CHF2、(CF32CH−O−CH3、及びそれらの混合物;
(e)C1〜C5アルコール、C1〜C5エステル、C1〜C4アルデヒド、C1〜C4ケトン、C1〜C4エーテル及びジエーテル、並びに二酸化炭素、
(f)HCFO例えば、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、及びHCFO1223、並びにそれらの混合物。
【0011】
本発明の発泡性組成物には、一般的に気泡構造を有するフォームを形成させることが可能な1種又は複数の成分、及び発泡剤を、本発明においては、典型的には組合せの形で一般的に含んでいる。ある種の実施態様においては、その1種又は複数の成分には、フォームを形成することが可能な熱硬化性組成物及び/又は発泡性組成物を含んでいる。熱硬化性組成物の例としては、ポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム組成物、並びにフェノール系フォーム組成物が挙げられる。そのような熱硬化性フォーム組成物においては、本発明による発泡剤を、発泡性組成物の中に含めることもできるし、或いは、好ましくは、適切な条件下で反応及び/又は発泡してフォーム又は気泡構造を形成することが可能な、1種又は複数の成分を含む2成分以上の発泡性組成物の一部として含めることもできる。
【0012】
本発明はさらに、本発明による発泡剤組成物を含むポリマーフォーム配合物から調製される、フォーム、好ましくは独立気泡フォームにも関する。さらに他の実施態様においては、本発明は、本発明の発泡剤組成物を含む、熱硬化性フォーム、例えばポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム、好ましくは低密度フォーム、軟質若しくは硬質フォームを含む、発泡性組成物を提供する。
【0013】
本発明の発泡剤の組合せを形成させたり、及び/又は発泡性組成物に添加したりする順序と方法が、本発明の運用性には通常影響しないということは、当業者には理解されることであろう。例えば、ポリウレタンフォームの場合においては、発泡剤の組合せの各種の成分、さらには本発明の組成物の成分を、発泡装置への導入より前に混合しないことも、さらにはそれらの成分を、発泡装置の同じ位置に添加しないことも可能である。したがって、ある種の実施態様においては、発泡剤の組合せの1種又は複数の成分を、それらの成分が発泡装置の中に同時に入るか、及び/又はこの方法でより効率的に作用することを期待して、ブレンダーの中に導入するのが望ましいこともあり得る。それにも関わらず、ある種の実施態様においては、発泡剤の組合せの2種以上の成分を前もって組み合わせておき、直接的に、又はプレミックス(後ほどそれを、発泡性組成物の別の部分に添加する)の一部として、発泡性組成物の中に共に導入する。
【0014】
ある種の実施態様においては、b液(b−side)のポリオールプレミックスには、ポリオール、ケイ素系若しくは非ケイ素系の界面活性剤、アミン系若しくは非アミン系の触媒、難燃剤/抑制剤、酸捕捉剤、ラジカル捕捉剤、充填剤、及びその他必要な安定剤/禁止剤、並びにそれらの混合物を含むことができる。ポリオールの例としては以下のものが挙げられる:グリセリンベースのポリエーテルポリオール、例えば、CARPOL(登録商標)GP−700、GP−725、GP−4000、GP−4520;アミンベースのポリエーテルポリオール例えば、CARPOL(登録商標)TEAP−265及びEDAP−770、JEFFOL(登録商標)AD−310;スクロースベースのポリエーテルポリオール、例えば、JEFFOL(登録商標)SD−360、SG−361、及びSD−522、VORANOL(登録商標)490、CARPOL(登録商標)SPA−357;マンニッヒベースのポリエーテルポリオール、例えば、JEFFOL(登録商標)R−425X及びR−470X;ソルビトールベースのポリエーテルポリオール、例えば、JEFFOL S−490;芳香族ポリエステルポリオール、例えば、TERATE(登録商標)2541及び3510、STEPANPOL(登録商標)PS−2352、TEROL(登録商標)TR−925。
【0015】
触媒の例としては以下のものが挙げられる:N,N−ジメチルエタノールアミン(DMEA)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAFE)、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(PDMAFE)、1,4−ジアザジシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)−エタノール(DMAFE)、2−((2−ジメチルアミノエトキシ)−エチルメチル−アミノ)エタノール、1−(ビス(3−ジメチルアミノ)−プロピル)アミノ−2−プロパノール、N,N’,N”−トリス(3−ジメチルアミノ−プロピル)ヘキサヒドロトリアジン、ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N’−ジエチルピペラジンなど。特に、立体障害のある一級、二級又は三級のアミンが有用であり、そのようなものとしては例えば以下のものが挙げられる:ジシクロヘキシルメチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、メチルイソプロピルベンジルアミン、メチルシクロペンチルベンジルアミン、イソプロピル−sec−ブチル−トリフルオロエチルアミン、ジエチル−(α−フェニエチル)アミン、トリ−n−プロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルイソプロピルアミン、ジ−t−ブチルアミン、シクロヘキシル−t−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジ−(α−トリフルオロメチルエチル)アミン、ジ−(α−フェニルエチル)アミン、トリフェニルメチルアミン、及び1,1,−ジエチル−n−プロピルアミン。その他の立体障害のあるアミンとしては、以下のものが挙げられる:モルホリン、イミダゾール、エーテル含有化合物、例えばジモルホリノジエチルエーテル、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、イミダゾール、n−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、ジモルホリノジメチルエーテル、N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタエチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、ビス(ジエチルアミノエチル)エーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)エーテル、又はそれらの組合せ。
【0016】
非アミン系触媒としては、以下のものが挙げられる:オクタン酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズメルカプチド、プロピオン酸フェニル水銀、オクタン酸鉛、酢酸/オクタン酸カリウム、ギ酸四級アンモニウム、第二鉄アセチルアセトネート、及びそれらの混合物。
【0017】
触媒の使用レベルは、典型的には、ポリオールプレミックスの0.05〜4.00重量%、好ましくは0.15〜3.60重量%、より好ましくは0.40〜2.60重量%の範囲の量である。
【0018】
界面活性剤の例としては、以下のものが挙げられる:ポリシロキサンポリオキシアルキレンブロックコポリマー、例えば、Goldschmidt製のB8404、B8407、B8409、及びB8462、Air Products製のDC−193、DC−197、DC−5582、及びDC−5598、並びにMomentive製のL−5130、L5180、L−5340、L−5440、L−6100、L−6900、L−6980、及びL−6988。非シリコーン系界面活性剤の例は、以下のものである:スルホン酸の塩、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸のアンモニウム塩、オレイン酸、ステアリン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジナフチルメタンジススルホン酸、リシノール酸、オキシエチル化アルキルフェノール、オキシエチル化脂肪族アルコール、パラフィンオイル、ヒマシ油エステル、リシノール酸エステル、ロート油、ピーナッツ油、パラフィン脂肪族アルコール、又はそれらの組合せ。使用量は、典型的にはポリオールプレミックスの0.4〜6重量%、好ましくは0.8〜4.5重量%、より好ましくは1〜3重量%である。
【0019】
難燃剤の例としては以下のものが挙げられる:リン酸トリクロロプロピル(TCPP)、リン酸トリエチル(TEP)、エチルリン酸ジエチル(DEEP)、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホン酸ジエチル、臭素化酸無水物ベースのエステル、ジブロモネオペンチルグリコール、臭素化ポリエーテルポリオール、メラミン、ポリリン酸アンモニウム、アルミニウム三水和物(ATH)、リン酸トリス(1,3−ジクロロイソプロピル)、リン酸トリ(2−クロロエチル)、リン酸トリ(2−クロロイソプロピル)、リン酸/オリゴマー性ホスホン酸クロロアルキル、オリゴマー性リン酸クロロアルキル、ペンタブロモジフェニルエーテルをベースとする臭素化難燃剤、メチルホスホン酸ジメチル、ホスホン酸ジエチルN,Nビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチル、オリゴマー性ホスホン酸塩、並びにそれらの誘導体及び組合せ。
【0020】
ある種の実施態様においては、酸捕捉剤、ラジカル捕捉剤、及びその他の安定剤/禁止剤が望ましい。安定剤/禁止剤の例としては以下のものが挙げられる:1,2−エポキシブタン、グリシジルメチルエーテル、環状−テルペン例えば、dl−リモネン、l−リモネン、d−リモネンなど、1,2−エポキシ−2,2−メチルプロパン、ニトロメタン、ジエチルヒドロキシルアミン、アルファメチルスチレン、イソプレン、p−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、dl−リモネンオキシド、ヒドラジン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ヒドロキノン、有機酸、例えばカルボン酸、ジカルボン酸、ホスホン酸,スルホン酸、スルファミン酸、ヒドロキサム酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、イソカプロン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、シアノ酢酸、ピルビン酸、安息香酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びそれらの組合せ。必要に応じて、例えば、接着促進剤、静電防止剤、抗酸化剤、充填剤、加水分解防止剤、潤滑剤、抗菌剤、顔料、粘度調節剤、抗UV剤などの、その他の添加剤を使用してもよい。それらの添加剤としては以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:立体障害フェノール、ジフェニルアミン、ベンゾフラノン誘導体、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、炭素繊維、ミクロスフェア、シリカ、メラミン、カーボンブラック、ワックス及びセッケンの形態、アンチモン、銅、及びヒ素の有機金属誘導体、二酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、グリコールエーテル、ジメチルAGSエステル、プロピレンカーボネート、ベンゾフェノン及びベンゾトリアゾール化合物の誘導体、並びにそれらの混合物。
【実施例】
【0021】
実施例1
試験した配合物(すべて、115のイソ・インデックス(Iso Index)を有している)はそれぞれ、以下のものを含んでいた:RUBINATE(登録商標)M(Huntsmanから入手可能なポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI));Jeffol R−425−X(Huntsmanからのポリオール);VORANOL(登録商標)490(Dow Chemicalからのポリオール);Stepenpol PS2352(Stepanからのポリオール)。ANTIBLAZE(登録商標)80は、Rhodiaからの難燃剤であり;B8465は、Goldschmidt Chemical Corporationからの界面活性剤である。POLYCAT(登録商標)8及び5(ペンタメチルジエチレントリアミン、PMDETA)は、Air Productsから入手可能である。HFO1354の3種の異性体について試験した:(A)2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1、(B)Z−1,1,1,3,−テトラフルオロブテン−2、(C)E−1,1,1,3,−テトラフルオロブテン−2。それらは異性体であるので、それらは同一の分子量、128g/molを有している。表1に使用した配合をまとめた。全発泡レベル(Total blowing level)は20.0mL/gであった。
【0022】
【表1】

【0023】
実施例2
ポリオールブレンド物の中への発泡剤の溶解性が、発泡効率、断熱性能に直接影響するフォーム品質を決定する。表1のような配合を使用して、ポリオールの中にブレンドしたときの溶解性を、その外観により評価した。結果を表2にまとめた。
【0024】
【表2】

【0025】
このデータから、CのE−1,1,1,3−テトラフルオロブテン−2のポリオールブレンド物中への溶解性は、2種の他の異性体に比較して低いので、効果的な発泡剤とはなり得ないことが判る。
【0026】
実施例3
A液(MDI)とB液(ポリオール、界面活性剤、触媒、発泡剤、及び添加剤の混合物)とを、ハンドミキサーを用いて混合し、容器に投入して、フリーライズフォームを形成させた。フリーライズフォームを作成する場合には、開放した容器の中に、投入した原料を放置して、膨張させておいた。得られたフォームは、53秒のゲルタイム及び90秒のタックフリータイムを有していたが、フリーライズ密度を表3にまとめた。
【0027】
【表3】

【0028】
表3のデータから、CのE−1,1,1,3−テトラフルオロブテン−2では、得られたフォームのフリーライズ密度が、他の2種よりもはるかに高く、それらほどには有効でないということが判る。
【0029】
実施例4
フォームの5”×5”×1”のサンプルを使用し、周囲条件下でエージングさせたフォームの寸法変化を測定して、フォームの寸法安定性を検討したが、それらの結果を表4にまとめた。
【0030】
【表4】

【0031】
表4のデータから、BのZ−1,1,1,3−テトラフルオロブテン−2によって製造したフォームは、14日後になってさえも寸法的に安定しないことが判るが、このことは有効な発泡剤ではないことを示唆している。
【0032】
実施例5
10゜F〜130゜Fの間で、フォームにおけるk−ファクター測定(ASTM C518)を実施した。バンドソーを用いてフォームのスキンを除去してから24時間以内に、初期のk−ファクターを測定する。k−ファクターの数値が低いほど、断熱値が良好であることを示唆している。結果を表5にまとめた。
【0033】
【表5】

【0034】
表5のデータから、17.6゜F〜104.0゜Fの温度範囲全体で、Aの2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1が、初期k−ファクターに関しては、低温及び高温断熱の場合に、ベストな断熱性を与えるので、ベストな発泡剤であることが判る。
【0035】
実施例6
k−ファクターのエージングを検討するために、50゜Fにおけるフォームのk−ファクターを、実施例5の場合と同様にASTM C518に従って、時間の関数として測定した。そのデータを表6にまとめた。
【0036】
【表6】

【0037】
表6から、BのZ−1,1,1,3−テトロフルオロブテン−2は、CのE−1,1,1,3−テトロフルオロブテン−2に比較して低いk−ファクターを有してはいるものの(表5)、そのk−ファクターが速やかに衰えたことが判るが、これは恐らくは、フォームの収縮のためであろう。CのE−1,1,1,3−テトラフルオロブテン−2のフォームは収縮しないが、そのk−ファクターはAよりもかなり早く高くなった。このことは、恐らくは、ポリオールブレンド物の中への溶解性が低いことが原因で、Cのフォーム品質が、Aの2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1のそれよりも低いためである。したがって、Aの2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1から製造したフォームが、顕著に最も遅いエージング速度を有している。
【0038】
本明細書においては、特定の実施態様を参照しながら本発明についての例証及び説明をしているが、添付の請求の範囲を、それら例示した詳細に限定するという意図を有するものではない。むしろ、これらの詳細に対して当業者が各種の修正を施してもよいが、それらの修正は本出願の主題の精神と範囲の内に依然として入るであろうと考えており、請求の範囲はそのように構成されているのである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンフォーム形成性成分を、2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1を含むフォーム発泡剤と混合することを含む、ポリウレタンフォームを発泡させる方法。
【請求項2】
前記フォーム発泡剤が、ヒドロフルオロカーボンをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒドロフルオロカーボンが、ジフルオロメタン(HFC32);1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC125);1,1,1−トリフルオロエタン(HFC143a);1,1,2,2−テトラフルオロタン(HFC134);1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a);1,1−ジフルオロエタン(HFC152a);1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea);1,1,1,3,3−ペンタフルオプロパン(HFC245fa);1,1,1,3,3−ペンタフルオブタン(HFC365mfc)、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC4310mee)、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フォーム発泡剤が、ヒドロフルオロオレフィンをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ヒドロフルオロオレフィンが、テトラフルオロプロペン(HFO1234);トリフルオロプロペン(HFO1243);テトラフルオロブテン(2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1以外のHFO1354);ペンタフルオロブテン(HFO1345);ヘキサフルオロブテン(HFO1336);ヘプタフルオロブテン(HFO1327);ヘプタフルオロペンテン(HFO1447);オクタフルオロペンテン(HFO1438);ノナフルオロペンテン(HFO1429)、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項6】
前記フォーム発泡剤が、炭化水素、ペンタン、ブタン、C1〜C5アルコール、C1〜C5エステル、C1〜C4アルデヒド、C1〜C4ケトン、C1〜C4エーテル、二酸化炭素、C1〜C4ジエーテル、及びそれらの混合物からなる群より選択される添加剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フォーム発泡剤が、ヒドロクロロフルオロオレフィン1233zd及び1233xfをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ポリオール及び2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1発泡剤を含む、熱硬化性発泡性組成物。
【請求項9】
ヒドロフルオロカーボン、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、及びそれらの混合物からなる群より選択される、さらなる発泡剤をさらに含む、請求項8に記載の熱硬化性フォーム組成物。
【請求項10】
前記発泡剤が、炭化水素、ペンタン、ブタン、C1〜C5アルコール、C1〜C5エステル、C1〜C4アルデヒド、C1〜C4ケトン、C1〜C4エーテル、二酸化炭素、C1〜C4ジエーテル、及びそれらの混合物からなる群より選択される添加剤をさらに含む、請求項8に記載の熱硬化性フォーム組成物。
【請求項11】
2,4,4,4−テトラフルオロブテン−1を含む、熱硬化性フォームのためのポリマー発泡剤組成物。

【公表番号】特表2013−508512(P2013−508512A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535320(P2012−535320)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/053296
【国際公開番号】WO2011/050017
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(500307340)アーケマ・インコーポレイテッド (119)
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
【Fターム(参考)】