説明

ポリウレタンフォームの製造方法

【課題】架橋反応に影響することなく発泡反応を最適に制御することで、良好な成形性を保持するとともに発泡成形品の密度の調整を容易とする。
【解決手段】発泡剤を内包し、ポリオールとポリイソシアネートとの反応時に発泡剤を放出するマイクロカプセルを用いる。
マイクロカプセルは、所定条件でシェルが壊れて内包されていた発泡剤が放出され、発泡反応を開始する。したがってマイクロカプセルの材質を選択することで、発泡反応の時期を自在に調整することができ、得られるポリウレタンフォームの密度を容易に調整することができる。また架橋反応には影響がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の防音・防振材などとして用いられるポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンルーム内には、騒音源からの放射音を遮音するために、板金製あるいは硬質樹脂製のエンジンカバー、サイドカバー、オイルパンカバー、アンダーカバーなどが配置されている。しかし、これらのカバー類においても吸音による防音は困難であり、硬質であるためにカバー自体が振動して騒音源となる場合もある。そこで従来より、所定形状に成形されたモールドポリウレタンフォームをこれらのカバー類に固着し、これによって騒音を吸音して防音するとともに、制振によってカバー類自体が騒音源となるのを抑制することが行われている。また、騒音源とその近傍に配置される各種部品との間隙にモールドポリウレタンフォームを配置し、その間隙に発生する定在波を抑制することも行われている。
【0003】
ところで上記した分野に用いられる防音用ポリウレタンフォームにおいては、エンジン本体などに近接して配置されるという特殊な条件から、耐熱性及び難燃性の両性能に優れていることが望まれる。また吸音作用の向上には、見掛けの密度を低くする必要がある。そこでこれらの特性を満たすために、従来はポリイソシアネートとしてトリレンジイソシアネート(TDI)が広く用いられ、TDIと各種ポリオールと水を主とする発泡剤とからポリウレタンフォームを形成している。
【0004】
例えば特開平07−002968号公報には、官能基数が2〜6,水酸基価が20〜 200のポリオールと、ポリイソシアネートとして主としてTDIと、有機酸と、発泡剤とを用いて発泡成形することが提案されている。この製法によれば成形性に優れ、得られたモールドポリウレタンフォームは防音性に優れている。
【0005】
また特開平09−059336号公報には、ポリオールと、ポリイソシアネートとして主としてTDIと、発泡剤としての水と、さらに酸のアルキルエステルよりなる可塑剤をポリオール 100重量部あたり 0.5〜15重量部配合して発泡成形する方法が提案されている。この製法によれば、水を発泡剤として用いても尿素結合に基づく柔軟性の低下の不具合が解消され、触感の良好なモールドポリウレタンフォームを製造することができる。
【0006】
ところがTDIは、蒸気圧が高く作業環境上好ましいとはいえない。そこでTDIより蒸気圧が低いジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いることが望ましい。しかしながらMDIを用いた場合には独立気泡が生成しやすく、低密度化のために発泡量を多くすると、成形品に膨れが生じたり、成形型から取り出した後に成形品が収縮して変形するという問題があった。また独立気泡が多いと、吸音特性が低いという不具合もある。
【0007】
これらの問題は、MDIを用いた場合に発泡反応と架橋反応のバランスを制御することが困難なことに起因している。そこで両反応を制御するために、上記した公報に記載されたような有機酸などを用いることが想起された。ところが有機酸などが触媒であるアミンなどと反応して塩や錯体を形成し、これらが高圧発泡成形機のオリフィスに詰まりやすいなどの悪影響を与えるという新たな問題が生じた。
【0008】
そこで特開2004−068015号公報には、MDI系のポリイソシアネートと、ポリオールと、発泡剤としての水と、架橋反応の開始時期を遅延させるマスク剤とを用いて発泡成形する防音用モールドポリウレタンフォームの製造方法が提案されている。
【0009】
この製造方法によれば、マスク剤によって架橋反応の開始時期が遅延されるため、MDI系のポリイソシアネートを用いても成形性が向上するとともに、発泡反応が架橋反応より早期に進行することによって 0.2g/cm3 以下という低密度化が達成される。したがって得られた防音用モールドポリウレタンフォームは、低密度であるとともに連泡率が向上するため、高い吸音特性が発現される。また脱型後の収縮もほとんど生じず、ヒケなどの発生も防止することができる。
【特許文献1】特開平07−002968号
【特許文献2】特開平09−059336号
【特許文献3】特開2004−068015号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
例えば水を発泡剤とする従来のポリウレタンフォームの製造方法では、水とポリイソシアネートとによる発泡反応と、ポリオールとポリイソシアネートとによる架橋反応とがほぼ同時に進行する。そのため防音材として望ましい低密度発泡体を製造することが困難であった。
【0011】
そこで特開2004−068015号に記載の製造方法では、マスク剤によって架橋反応を発泡反応より遅延させることで、低密度化を達成している。ただし、2-エチルヘキサン酸、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、塩化ベンゾイル、リン酸などのマスク剤は、架橋反応に直接影響するものであるため、温度など条件によって影響度合いが大きく左右され、反応の制御が若干難しいという問題がある。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、架橋反応に影響することなく発泡反応を最適に制御することで、良好な成形性を保持するとともに発泡成形品の密度の調整を容易とすることを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する本発明のポリウレタンフォームの製造方法の特徴は、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させるとともに発泡剤により発泡させるポリウレタンフォームの製造方法であって、発泡剤を内包しポリオールとポリイソシアネートとの反応時に発泡剤を放出するマイクロカプセルを用いることにある。
【0014】
マイクロカプセルは、発泡剤としての水を内包していることが望ましい。また発泡成形に必要な量の50%以上の発泡剤がマイクロカプセルから供給されることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のポリウレタンフォームの製造方法によれば、発泡剤を内包するマイクロカプセルを用いている。このマイクロカプセルは、所定条件でシェルが壊れて内包されていた発泡剤が放出され、発泡反応を開始する。したがってマイクロカプセルの材質を選択することで、発泡反応の時期を自在に調整することができ、得られるポリウレタンフォームの密度を容易に調整することができる。また架橋反応には影響がないので、成形性も従来と同様に良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のポリウレタンフォームの製造方法では、発泡剤を内包しポリオールとポリイソシアネートとの反応時に発泡剤を放出するマイクロカプセルを用いている。このマイクロカプセルは、所定条件でシェルが壊れて内包されていた発泡剤が放出され、発泡反応を開始する。すなわち発泡反応は、マイクロカプセルが壊れて発泡剤が放出される一次反応と、発泡剤による発泡反応である二次反応との二段階反応となるため、調整が容易となり発泡反応の時期を自在に調整することができる。
【0017】
例えば発泡反応が架橋反応に先立って生じるようにすれば、得られるポリウレタンフォームを低密度とすることができ、吸音特性に優れた防音材を製造することができる。また架橋反応の途中のある時点で発泡反応が生じるようにすれば、発泡セルの孔径や分布を調整することができ、特定の周波数域で吸音特性に優れた防音材を製造することが可能となる。
【0018】
本発明の製造方法は、成形型内で発泡成形されるモールド成形、あるいは自由発泡成形のいずれにも適用することができる。
【0019】
ポリオールとしては、多価ヒドロキシ化合物やポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリマーポリオール類、ポリエーテルエステルポリオール類、ポリエーテルポリアミン類、ポリエステルポリアミン類、アルキレンポリオール類、ウレア分散ポリオール類、メラミン変性ポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、アクリルポリオール類、ポリブタジエンポリオール類、フェノール変性ポリオール類など公知のポリオールの一種又は複数種を用いることができる。
【0020】
またポリオールは、一分子中の官能基数が2〜8、分子量が1000〜 10000のものを50重量%以上含むことが好ましい。官能基数が2より少ないとポリウレタンフォームの成形が困難となる場合があり、官能基数が8より多いと得られるポリウレタンフォームの引張り伸びなどの物性が極端に低下するようになる。また分子量が1000より小さいと得られるポリウレタンフォームの弾性が失われ、分子量が 10000より大きくなると粘度が高く発泡が困難となってポリウレタンフォームの成形が困難となる。
【0021】
そして上記官能基数及び分子量をもつポリオールが全ポリオール中の50重量%以上を占めることによって、不燃性の軟質ポリウレタンフォームを成形することが可能となる。なお、上記ポリオールが50重量%以上を占めれば、残部のポリオールは特に制約されない。もちろん、上記ポリオールは多いほど好ましく、ポリオール成分全てを上記ポリオールから構成することも好ましい。
【0022】
ポリイソシアネートとしては、MDI系ポリイソシアネートの他、TDI(トリレンジイソシアネート)、TODI(トリジンジイソシアネート)、NDI(ナフタリンジイソシアネート)などの芳香族系ポリイソシアネート、HDI(HMDI)(ヘキサメチレンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、XDI(キシリレンジイソシアネート)、水添XDIなどの脂肪族系ポリイソシアネートを用いることができる。
【0023】
MDI系ポリイソシアネートとしては、ピュアMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)及びその変性品、ポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)及びその変性品、水添MDI(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)及びその変性品、4,4'−MDI、2,4'−MDI、粗製MDIあるいはこれらのカルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体などを用いることができる。
【0024】
ポリイソシアネートとポリオールとの混合比は、NCO/OH(インデックス)が 0.6〜 1.2の範囲となるようにするのが望ましい。インデックスが 0.6未満では、得られるポリウレタンフォームの永久歪みなどの物性が低下し、 1.2を越えると架橋反応が進み過ぎて成形性が低下するとともに得られるポリウレタンフォームが易燃性となってしまう。
【0025】
マイクロカプセルは、一般に直径が10μm〜500μmのシェルと、内包されたコアとからなるものであり、本発明ではコアとして発泡剤が内包されたものが用いられる。コアである発泡剤としては、水、フルオロカーボン類などの常温で気体の化合物などが例示される。安定した発泡反応が生じる水を内包するものが特に望ましい。例えばコアとして水を含む場合、純水として含んでもよいし、成形性あるいはポリウレタンフォームに悪影響がある物質を含まなければ、水溶液、エマルジョンなどの形態で含まれていてもよい。
【0026】
またシェルの材質は、ポリウレタンフォームに残って悪影響があるものでなければ、特に制限されないが、熱可塑性ウレタン樹脂など、ポリウレタンフォームと相性がよいウレタン系のものが特に望ましい。
【0027】
発泡剤の一部として上記マイクロカプセルを用いてもよいし、発泡剤の全部として上記マイクロカプセルを用いることもできる。しかし発泡反応の時期を制御するという本発明の趣旨からすれば、マイクロカプセルには、発泡成形に必要な量の50%以上の発泡剤がマイクロカプセルから供給されることが望ましい。なお発泡剤としての水の添加量は、ポリオール成分 100重量部に対して一般に1〜6重量部程度である。
【0028】
また本発明においては、従来の製造方法と同様に、触媒、架橋剤、整泡剤、鎖伸長剤、減粘剤などの添加物を適宜に配合することができる。
【0029】
触媒としては、公知のアミン系触媒や有機金属系触媒を用いることができ、具体的にはビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N,N',N'-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、N-メチル-N'-(ジメチルアミノ)エチルピペラジン、N-メチルモノフォリン、N-エチルモノフォリン、トリエチルアミン、ラウリン酸錫、オクタン酸錫などが例示される。この触媒の添加量は、ポリオール成分 100重量部に対して一般に0.01〜5重量部程度である。
【0030】
架橋剤としては、比較的低分子量のものが用いられ、例えばジオールやトリオール,多価アミン、又はこれらにエチレンオキシド、プロピレンオキシドを付加したもの、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどを用いることができる。架橋剤の添加量は、ポリオール成分 100重量部に対して一般に0〜20重量部程度である。整泡剤としては、一般に用いられているシリコーン系整泡剤を適宜用いることができる。なお、ポリウレタンフォームに要求される性能に応じて、難燃剤、充填材、帯電防止剤、着色剤、安定剤などを、必要に応じて本発明の目的を逸脱しない範囲で添加することができる。
【0031】
本発明の製造方法を、成形型を用いたモールド成形の場合で説明する。先ずポリオールと、ポリイソシアネートと、マイクロカプセルと、を含む混合物が成形型内に注入される。成形型内への注入前に均一に混合されていることが望ましいので、通常はポリオール側液とポリイソシアネート側液の2液に分けて撹拌手段に供給され、撹拌手段で均一に混合された後に成形型内へ注入される。
【0032】
ポリオール側液には、通常はポリオール、マイクロカプセル、触媒などが混合される。またポリイソシアネート側液は、通常はポリイソシアネートのみとされる。なおマイクロカプセルがポリイソシアネート側液中において安定なものである場合は、マイクロカプセルをポリイソシアネート側液に混合することもできる。
【0033】
撹拌手段としては、密閉状態で撹拌できるものが望ましく、スタティックミキサー、高圧発泡成形機などを用いることができる。中でも高圧発泡成形機を用いれば、泡の径をきわめて微細にできるため、モールドポリウレタンフォームの形状保持性を維持しつつ一層の低密度化を図ることができる。そして微細なマイクロカプセルを用いれば、高圧発泡成形機の詰まりが防止されるため、連続して長時間の運転が可能となり生産性が向上する。
【0034】
成形工程及び脱型工程は、従来と同様に行うことができ、特に制限はない。
【実施例】
【0035】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【0036】
(実施例1)
先ずポリプロピレングリコール(平均分子量=6000、官能基数=3、水酸基価= 28mgKOH/g)を用意し、その 100重量部に対して、架橋剤としてのジエチレングリコール、水を56重量%内包するマイクロカプセル(中京油脂社製、平均粒径:100μm、シェル:融点80℃の熱可塑性ウレタン)、触媒(トリエチレンジアミン)、シリコーン系整泡剤(日本ユニカー(株)製)、顔料(ポリプロピレングリコールにカーボンブラックを30重量%分散したもの)をそれぞれ下記表1に示す割合で配合しポリオール側液を調製した。
【0037】
一方、ポリイソシアネート側液としては、モノメリックMDIと変性MDIとクルードMDIの混合物からなり、NCO%が 32.8%のものを用意した。
【0038】
そして高圧発泡成形機にポリオール側液とポリイソシアネート側液をセットしてそれぞれ循環させ、両液を高圧発泡成形機のオリフィスからそれぞれ高圧で噴出して、ポリオール側液が65重量部、イソシアネート側液が35重量部となるように混合後、図1に示す金型内に所定量注入して発泡成形を行った。この金型は略箱状の下型1と、下型1に揺動可能に保持された上型2とからなり、下型1には各種高さの凸部10が形成されている。そのため深いキャビティと浅いキャビティが略交互に連続することとなり、発泡樹脂の流動抵抗が大きく変化する構造となっている。
【0039】
(実施例2)
発泡剤としてさらに水を添加し、マイクロカプセルの添加量をその分(内包する水として)だけ減じたこと以外は実施例1と同様にして発泡成形を行った。なお、マイクロカプセルに含まれる水は、水全量の75%である。
【0040】
(実施例3)
発泡剤としてさらに水を添加し、マイクロカプセルの添加量をその分(内包する水として)だけ減じたこと以外は実施例1と同様にして発泡成形を行った。なお、マイクロカプセルに含まれる水は、水全量の50%である。
【0041】
(比較例1)
マイクロカプセルを用いず、発泡剤として水のみを用いたこと以外は実施例1と同様にして発泡成形を行った。
【0042】
<試験・評価>
実施例1〜3及び比較例1では、密度が0.10g/cm3 の成形品が形成された。
【0043】
成形時あるいは成形後の成形品について、成形性、収縮性、キュア性及び通気量を測定し、結果を表1に示す。成形性は、成形品のボイドの有無を目視で判定した。収縮性は、注入から5分間後にそれぞれ成形品を脱型し、その後の収縮による変形を目視で評価した。変形が無い場合に○、変形が若干量である場合に△、変形が大きい場合に×と区分した。
【0044】
キュア性は、注入から所定時間経過後に成形品を手で脱型し、手の跡が成形品に残る程度を目視で評価して判定した。5分後に手の跡が残らない場合に○、5分後には手の跡が残るが7分後には手の跡が残らない場合に△、7分後には手の跡が残るが10分後には手の跡が残らない場合に×と区分した。
【0045】
通気量は、成形品の厚さ方向に加圧空気を供給し、1分間当たりに成形品を通過した空気量を測定した。
【0046】
さらに得られた成形品の吸音特性を評価した。吸音特性は JIS-A1405に規定された方法に従って各周波数で吸音率を測定し、 500〜1000Hzの周波数の音の平均吸音率で比較して表1に示す。また実施例1と比較例1で得られた成形品について、各周波数の音の吸音率を図2に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
表1より、各実施例の方法は比較例1の方法に比べて収縮性に優れていることがわかり、これは発泡剤である水をマイクロカプセルとして供給した効果であることが明らかである。すなわちマイクロカプセルを用いることにより、発泡反応と架橋反応とのバランスが改善され、図1に示すような深いキャビティと浅いキャビティをもつような複雑な金型を用いても、均一な発泡と脱型後に変形のない成形が可能となった。そして各実施例で製造された成形品は、比較例1で製造されたものに比べて通気量が多いことから、連泡が多く形成され吸音材として適していることもわかる。
【0049】
そして図2より、実施例1で得られた成形品は、大部分の周波数域で比較例1より高い吸音率を示し、特に2000〜4000Hzで吸音特性に優れていることが明らかであり、これは水をマイクロカプセルとして供給したことによって発泡反応と架橋反応とのバランスが改善され、連泡率が向上したためと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の製造方法によれば、発泡反応の時期を調整することで発泡セルの分布や特性を自在に調整できるので、吸音分野あるいは防音分野ばかりでなく、種々の用途のポリウレタンフォームの製造に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施例に用いた金型の斜視図である。
【図2】各周波数に対する吸音率を示すグラフである。
【符号の説明】
【0052】
1:下型 2:上型 10:凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールとポリイソシアネートとを反応させるとともに発泡剤により発泡させるポリウレタンフォームの製造方法であって、
該発泡剤を内包し該ポリオールと該ポリイソシアネートとの反応時に該発泡剤を放出するマイクロカプセルを用いることを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項2】
前記マイクロカプセルは、前記発泡剤としての水を内包している請求項1に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項3】
発泡成形に必要な量の50%以上の発泡剤が前記マイクロカプセルから供給される請求項1に記載のポリウレタンフォームの製造方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−219628(P2006−219628A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36267(P2005−36267)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】