説明

ポリウレタンフォーム用の反応性アミン触媒

本発明は、tert−アミン基及びsec−アミン基を有する第一のアミン例えばN,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテルを、ジ−tert−アミン例えばN,N,N’,N’−テトラメチルビス(アミノエチル)エーテルから分離するに際し、第一のアミン及びジ−tert−アミンの混合物をエナミン生成可能なカルボニル化合物と接触させて、カルボニル化合物と第一のアミンとの反応によるエナミンを生成せしめ、このエナミンをジ−tert−アミンから分離し、そして続いてエナミンを第一のアミンへ転化する、ことを含んでなる第一のアミン及びジ−tert−アミンの分離法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総じてウレタン触媒の分野に関する。更に特に、本発明は反応性水素基を含むアミン触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
(モノ及びポリ)アミンはポリウレタンの製造に使用される典型的な触媒種である。例えばN,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテルのようなアミンはポリウレタン触媒としてまたは化学中間体として有用である。しかしこのトリメチルビス(アミノエチル)エーテルを製造するときに、N,N,N’,N’−テトラメチルビス(アミノエチル)エーテルも生成する。これらの分留はこのトリメチル体及びテトラメチル体化合物を分離しない。本発明者は、N,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテルのようなアミンを精製して、N,N,N’,N’−テトラメチルビス(アミノエチル)エーテルのような望ましくない共存生成物を除去する方法の必要性を認識してきた。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、上述した手抜かりまたは欠点の1つまたはそれ以上に対する解決策を提供する。
【0004】
本発明の方法は、類似の構造及び分子量のジ−tert−アミン化合物、例えばN,N,N’,N’−テトラメチルビス(アミノエチル)エーテル共存生成物を除去することによるtert−及びsec−アミン基の両方を有するジアミン、例えばN,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテルの精製を可能にする。
【0005】
ある広範な観点において、本発明は、tert−アミン基及びsec−アミン基を有する第一のアミンをジ−tert−アミンから分離する方法、即ち第一のアミンとジ−tert−アミンの混合物を、第一のアミンとの反応によりエナミンを生成しうるカルボニル化合物と接触させてエナミンを生成せしめ、このエナミンをジ−tert−アミンから分離し、そして次いでエナミンを第一のアミンに戻すことによる方法である。
【0006】
テトラメチル体生成物とトリメチル体生成物の比は同業者の制御しうるところである。高量のテトラメチル体生成物(99.9%)は非常に低量のトリメチル誘導体を有して作ることができる。また低量のテトラメチル誘導体(0.5%)は高量のトリメチル誘導体(99.5%)を有して製造できる。ある具体例では、5−25%のテトラメチル誘導体が生成物中に存在するであろう。
【0007】
本方法において、第一のアミンは式A
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、Rは炭素数1−6のアルキルまたはアルキレンアルコール、特にCH、CHCH、またはCHCHOHであり、Rは炭素数1−6のアルキルまたはアルキレンアルコール、特にCH、CHCH、またはCHCHOHであり、R
炭素数1−6のアルキルまたはアルキレンアルコール、特にCH、CHCH、またはCHCHOHであり、Rは水素であり、xは2−5の整数であり、そしてyは2−5の整数である]
のものである。なお第二のアミンはRがアルキルまたはアルキレンアルコールである以外式Aのものである。即ち、ジ−tert−アミンはRが炭素数1−6のアルキルまたはアルキレンアルコール、特にCH、CHCH、またはCHCHOHであることを除いて式Aのものであってよい。本発明の式Aの例示しうる第一のアミンは、N,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテルであるが、これに限定されはしない。
【0010】
本発明の第一のアミンは、例えばイソシアネート官能基と活性水素含有化合物、即ちアルコール、ポリオール、アミンまたは水との間の反応におけるポリウレタン触媒として機能する。
【0011】
他の広範な観点において、本発明はN,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテル及びシクロヘキサノンから生成されるようなN,N,N’−トリアルキルビス(アミノエチル)エーテル−エナミン、例えばN,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテル−エナミンである。
【0012】
有利には、本発明は、分留では可能でなかったN,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテルのN,N,N’,N’−テトラメチルビス(アミノエチル)エーテルからの分離法を提供する。
【発明の詳細な記述】
【0013】
本発明の実施において使用される第一のアミンは、tert−及びsec−アミン基の両方を持つ種々のアミンを包含する。これらのアミンは典型的には炭素数2−20を有する。第一のアミンは更なる官能基、例えばエーテル基を含んでいてもよい。本発明の実施において使用できる第一のアミン種は、各アルキル基がそれぞれ独立に炭素数1−6のトリアルキルビス(アミノアルキル)エーテルである。この第一のアミンは本明細書に記述するように式Aのものであってよい。そのような第一のアミンの代表的な例は、トリメチルビス(アミノエチル)エーテルである。
【0014】
本発明の実施において第一のアミンから分離されるジ−tert−アミンは、典型的には炭素数2−20を有する。このジ−tert−アミンは、典型的には第一のアミンの製造で同時に生成する共存生成物である。本発明で使用される1つのジ−tert−アミン種は、各アルキル基がそれぞれ独立に炭素数1−6であるテトラアルキルビス(アミノアルキル)エーテルである。このジ−tert−アミンは本明細書に記述するような、但し各Rが水素以外である、式Aのものであってよい。そのような第二のアミンの代表的な例はトリメチルビス(アミノエチル)エーテルである。
【0015】
本発明の方法においては、アミン及びジ−tert−アミンの混合物をカルボニル化合物と接触させて、このカルボニル含有化合物の反応でエナミンを生成せしめる。この接触は室温ないし200℃で且つ種々の圧力で行うことができる。エナミンの生成は有機化学でよく知られている:スツムスツコビクツ(Szmuszkovicz)、Advan.Org.Chem.,4,1−113(1963),9−12ページ。エナミンはしばしばストーク(Stork)エナミン反応に使用される:ストークら、J.Am.Chem.Soc.,85,207(1963)。一般にエナミン反応は、sec−アミンの、エナミンを生成しうるカルボニル含有化合物、例えば種々のケトン及びアルデヒドとの反応を伴う。そのようなケトン及びアルデヒドは、典型的には炭素数2−20を有し且つ直鎖、分岐鎖、または環式であってよい脂肪族化合物である。そのようなアルデヒド及びケト
ンの代表的な例はシクロヘキサノンであるが、これに限定されない。他のケトンの例は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、3−ペンタノン、メチルイソプロピルケトンなどを含む。アルデヒドの例は、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−トルアルデヒド、サリチルアルデヒドなどを含む。典型的には、化学量論量のカルボニル化合物が使用され、或いは過剰量のカルボニル化合物が使用される。ジ−tert−アミンは、sec−アミン基を持たないから、反応せず、エナミンを生成しない。エナミンの生成時に水が生成するが、これは蒸留、共沸、または乾燥剤で除去しなければならない。共沸蒸留による水の除去は最良である。この水の除去はエナミン生成反応を駆動しよう。熱で正反応を駆動し且つ水を除去する典型的な共沸剤は、種々の試剤、例えば138−144℃付近で沸騰するキシレン異性体、または110℃で沸騰するトルエン、シクロヘキサンのような環式アルカン、ノネンのような直鎖化合物などを含むであろう。
【0016】
エナミンが生成した後、エナミンは種々の方法を用いてジ−tert−アミンから分離することができる。例えば反応混合物を、室温ないし200℃、及び大気圧または減圧下において蒸留し、より軽いジ−tert−アミンを除去することができる。蒸留は通常の技術を用いて達成でき、同業者には明らかなように蒸留する温度は第一のアミン及びジ−tert−アミンに依存して変化するであろう。ほかにエナミン及びジ−tert−アミンはクロマトグラフィーまたは他の常法を用いて分離できる。蒸留後に共存生成物が小割合で残留していてよいことは理解すべきである。しかしながらジ−tert−アミンの少なくとも一部は第一のアミンから分離される。第一のアミンからは、典型的には少なくとも50重量%、より典型的には少なくとも75重量%、更により典型的には少なくとも95重量%が分離される。
【0017】
ジ−tert−アミンをエナミンから分離した後、このエナミンを通常の方法により水を添加して加水分解し、第一のアミンを再生させることができる。この加水分解は同業者には明らかなように室温でまたは必要ならば200℃まで加熱して行ってよい。第一のアミンは、蒸留、クロマトグラフィーなどのような常法によりケトン、アルデヒド、及び他の不純物を除去するために更に精製することができる。ある具体例においては、混合物を加水分解中に加熱してエナミンの加水分解で再生されるカルボニル化合物を留去する。但しそのような昇温度や条件は反応物に依存して変化しよう。
【0018】
本発明の実施において使用できる方法の代表的な例は、N,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテル及びN,N,N’,N’−テトラメチルビス(アミノエチル)エーテルの混合物を含み、これをN,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテルとエナミンを生成しうるカルボニル化合物と反応させる。得られる反応混合物を蒸留してN,N,N’,N’−テトラメチルビス(アミノエチル)エーテルと共沸剤を除去し、N,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテル−エナミンを蒸留釜に残す。他にエナミンを留出させてもよい。次いでエナミンを水の添加で加水分解し、カルボニル化合物を除去する。これは例えばカルボニル化合物の共沸によりまたは抽出により行うことができる。次いでN,N,N’,N’−テトラメチルビス(アミノエチル)エーテルを含まないN,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテルは蒸留によって得ることができる。
【0019】
精製した第一のアミンはポリウレタン製造の触媒として使用できる。このポリウレタンの製造は十分公知である。本明細書で使用するごときポリウレタンとは、技術的に理解されているようにポリウレタン及び/またはポリイソシアヌレートに関するものである。本発明の第一のアミンから製造されるポリウレタンはポリウレタンフォームを含む。そのようなフォームは技術的に通常使用されるような発泡剤を混合することによって生成させてよい。そのような発泡剤は、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、
クロロフルオロカーボン、ペンタン、窒素、空気、二酸化炭素などを含むが、これに限ったものではない。ポリウレタンはフォーム形成を補助するために水を含むことができる。使用する場合、水の量は典型的にはポリオール100部あたり約0.1−約7部である。
【0020】
本発明の触媒を用いてポリウレタンを製造するためには、いずれか適当な有機ポリイソシアネートが使用できる。典型的なポリイソシアネートはm−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ビトレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−イソシアナトフェニル)メタン、及び4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネートを含むが、これに限定されない。
【0021】
ある具体例において、本発明の実施で使用されるポリイソシアネートは、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)及び約2−4の官能基性を有するメチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネート(MDI)混合物を含むが、これに制限されない。これらの後者のイソシアネート化合物は、通常ホルムアルデヒド及び第1級芳香族アミン、例えばアニリンの、塩酸及び/または他の酸性触媒の存在下における反応で製造される対応するメチレン架橋ポリフェニルポリアミンのホスゲン化によって一般に製造される。ポリアミン及びそれからの対応するメチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネートを製造する公知の方法は、文献及び多くの特許、例えば本明細書に参考文献として引用される米国特許第2683730号、第2950263号、第3012008号、第3344162号、及び第3362979号に記述されている。
【0022】
ある具体例において、ここで使用されるメチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネート混合物は約20−約100重量%のメチレンジフェニルジイソシアネート異性体を含み、その残りはより高官能性及びより高分子量のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートである。これらの典型は、約20−約95重量%が4,4’−異性体であるメチレンジフェニルジイソシアネート約20−約100重量%であり、残りがより高分子量及び約2.1−約3.5の平均官能性を持つ官能性のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートである、ポリフェニルポリイソシアネート混合物である。これらの混合物は公知の、商業的に入手できる材料であり、本明細書に参考文献として引用される米国特許第3362979号に記述される方法で製造できる。
【0023】
イソシアネートと反応するヒドロキシル含有ポリオール成分は、適当にはポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールであってよい。ある具体例において、ポリオールは約700−約25、またはそれ以下の範囲のヒドロキシル数を有する。軟質フォームを提供したいならば、ヒドロキシル数は好ましくは約25−60の範囲である。粘弾性フォームに対しては、ポリオール及び低分子量架橋剤の混合物が使用される。硬質フォームの場合、ヒドロキシル数は好ましくは350−700の範囲である。所望の柔軟性の準硬質フォームは、ヒドロキシル数が上述した範囲の中間であるときに与えられる。軟質ウレタンフォームに対しても、ポリオールは約2−約4の平均官能性及び約2000−約6000の分子量を有することができる。硬質フォームに対して、ポリオール成分の官能性は典型的には約4−約8である。
【0024】
ポリオールがポリエステルのとき、ある具体例において、このポリエステルはポリカルボン酸と多価アルコールの反応から作られる比較的高いヒドロキシル価及び比較的低い酸価を有する樹脂である。ポリエステルの酸性分は、好ましくは二塩基性または多塩基性型のものであり、普通反応性不飽和、例えばエチレン性基またはアセチレン性基を含まない
。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などのような芳香族酸の環にある不飽和はエチレン性でなく、反応性でもない。即ち芳香族酸は酸成分に使用できる。脂肪族酸、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、及びアゼライン酸も使用できる。ある具体例において、ポリエステルに対するアルコール成分は、複数のヒドロキシル基を含み、例えば脂肪族アルコール、例えばエチレングリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、マンニトール、ソルビトール、またはメチルグリコシドであってよい。上述したアルコールの2つまたはそれ以上の混合物も所望により使用できる。
【0025】
ヒドロキシル含有成分が軟質ポリウレタンフォームに使用するためのポリエーテルポリオールであるとき、このポリオールは例えば約2−4の官能性を有する多価アルコールのアルキレンオキシド付加物であってよい。このアルキレンオキシドは例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、または1,2−ブチレンオキシド、或いはこれらのいくつかのまたはすべての混合物であってよい。ポリオールは適当には約2000−約7000の範囲内の分子量を有する。軟質ポリエーテルポリウレタンフォームに対して、アルキレンオキシドは好ましくはプロピレンオキシドまたはプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物である。
【0026】
硬質ポリエーテルポリウレタンフォームに対して、ポリオールは典型的には約3−約8の官能性及び約300−約1200の分子量を有する。硬質ポリエーテルポリウレタンフォームに対するポリオールは上述のアルキレンオキシドを、約3−8の官能性を持つ多価アルコールへ付加させることを含む種々の方法で作ることができる。これらのポリオールは、例えばフェノール、アルカノールアミン、及びホルムアルデヒドのマンニッヒ縮合生成物であってもよく、次いでこのマンニッヒ縮合生成物をアルキレンオキシドと反応せしめる(参照、本明細書に参考文献として引用される米国特許第3297597号)。
【0027】
ポリエーテル及びポリエステルポリオールのほかに、ポリマーまたはグラフトポリマーも本発明の方法で使用できる。数種のポリマーポリオールがある。一般にグラフトポリオールとは、ビニルモノマーがグラフト共重合されているトリオ(trio)を記述するために使用される。スチレン及びアクリロニトリルは選択される普通のモノマーである。ポリ尿素改変ポリオールとして言及される他の種類のポリマーポリオールは、ジアミンとTDIの反応で作られるポリ尿素ポリオール分散液を含むポリオールである。PIPAと呼ばれるこの種のポリマーポリオールの異形はTDIとアルカノールアミンのポリオール存在下におけるその場重合で作られる。
【0028】
ポリエステル及びポリエーテルフォームの双方において、イソシアネート化合物に対して使用すべきヒドロキシル含有ポリオール化合物の量は、そのイソシアネート基が遊離のヒドロキシル基に対して少なくとも当量で、好ましくは僅かに過剰量で存在するような量であるべきである。好ましくは、これらの成分はヒドロキシル基のモル当量あたり約0.9−約1.5モル当量のイソシアネート基を与えるように配分されよう。しかしながらあるフォームに対しては、本発明の触媒を使用することにより、イソシアネート対ヒドロキシル基のモル当量が0.4程度の低さであってよいことがわかった。
【0029】
水を使用する場合、ヒドロキシル化合物に基づく水の量は、適当にはヒドロキシル化合物のモル当量あたり約0.05−約10.0の範囲内である。
【0030】
ガスまたはガス発生物質のような発泡剤を使用することは本発明の範囲内である。一般にこれらの発泡剤は不活性である。例えば低沸点ハロゲン化炭化水素、例えばトリクロオモノフルオロメタン及び塩化メチレン、二酸化炭素、窒素などは使用しうる。この不活性な発泡剤は、軟質ウレタンフォームを製造する際に必要とされる過剰なイソシアネート及
び水の量を減じる。硬質フォームに対して、水の使用はしばしば回避でき、もっぱら外部からの発泡剤が使用される。適切な発泡剤の選択は十分同業者の知識内のことである。参照、例えば本明細書に参考文献として引用される米国特許第3072082号。
【0031】
本発明の触媒は、ポリウレタンフォームの製造に有用であり、ヒドロキシル含有化合物及びポリイソシアネートの合計した重量に基づいて約0.03−約10.0重量%の量で使用される。よりしばしば触媒の使用量は0.06−約2.0重量%である。
【0032】
本発明の第一のアミン触媒は、単独で、或いは1つまたはそれ以上の他の触媒例えばtert−アミンとの、或いは有機スズ化合物または他のポリウレタン触媒との混合物で使用できる。この有機スズ化合物、特に軟質フォームの製造に有用なものは、適当には第一スズまたは第二スズ化合物、例えばカルボン酸の第一スズ塩、トリアルキルスズオキシド、ジアルキルスズジハライド、ジアルキルスズオキシドなどであってよい。但しこのスズ化合物の有機部分の有機基は炭素数1−8の炭化水素基である。例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジエチルスズジアセテート、ジヘキシルスズジアセテート、ジ−2−エチルへキシルスズオキシド、ジオクチルスズジオキシド、オクタン酸第一スズ、オレイン酸第一スズなど、またはこれらの混合物が使用できる。上述のようなtert−アミンは、トリアルキルアミン(例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン)、ヘテロ環式アミン、例えばN−アルキルモルフォリン(例えばN−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリンなど)、1,4−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミンなど、および脂肪族ポリアミン。例えばN,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミンを含む。
【0033】
通常の処方物成分、例えばシリコーン油または乳化剤としても公知のフォーム安定剤も使用できる。このフォーム安定剤は有機シランまたはシロキサンであってよい。例えば式
Si[O−(RSiO)−(オキシアルキレン)
[式中、Rはそれぞれの場合に独立に炭素数1−4のアルキルまたはアルキレン基であり、nは4−8の整数であり、mは20−40の整数であり、そしてオキシアルキレン基はプロピレンオキシド及びエチレンオキシドに由来する]
の化合物は使用できる。参照、例えば本発明に参考文献として引用される米国特許第3194773号。
【0034】
使用できる他の通常の添加剤及び助剤は、中でも気泡調節剤、架橋剤、難燃剤、可塑剤、充填材、顔料を含む。
【0035】
軟質フォームを製造する場合、いわゆる「ワンショット」法で同時に且つ十分に成分を互いに混合して、一段工程でフォームを製造してよい。この場合、水は発泡剤の少なくとも一部(例えば10−100%)をなすべきである。上述の方法は、次の刊行物で明らかのように同業者の知るところである:デュポン・フォーム・ブレティン(DuPont Foam Bulletin)、「ワンショット弾性フォームにおけるポリオールの評価」、1960年5月22日。
【0036】
硬質フォームを製造したい場合、「ワンショット」法またはいわゆる「偽プレポリマー法」が使用される。この場合ヒドロキシル含有成分は好ましくは平均して分子あたり約4−8の反応性ヒドロキシル基を含む。
【0037】
「偽プレポリマー法」によれば、触媒の不在下に、ポリオールに基づいて約20−約40%の遊離のイソシアナト基を反応生成物中に与えるような割合で、ヒドロキシル含有成分の一部分をポリイソシアネートと反応させる。フォームを製造するためには、残りのポリオールを添加し、2つの成分を前述したような触媒系及び他の適当な添加剤、例えば発
泡剤、フォーム安定剤、難燃剤などの存在下に反応させる。この発泡剤(例えばハロゲン化低級脂肪族炭化水素)、フォーム安定剤、難燃剤などは、成分の混合に先立って、プレポリマーまたは残りのポリオールのいずれか、或いは双方に添加してよく、これによって反応の完結時に硬質のポリウレタンフォームを生成せしめる。
【0038】
ウレタン弾性体及びコーティングも、本発明の触媒を使用する本発明に従い、公知の技術によって製造できる。
【0039】
以下の特別な実施例に関して本発明を更に例示するが、これは例示で示すものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例1】
【0040】
エナミンの製造
ディーン‐スターク捕集器を備えた1リットルのフラスコに、N,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテル及びN,N,N’,N’−テトラメチルビス(アミノエチル)エーテルの混合物(トリ体81.5%、テトラ体16.9%、及びジ体1.6%)245.5g、シクロヘキサノン160g、及びキシレン81gを入れた。混合物を還流まで加熱し、水をディーン‐スターク捕集器により共沸除去した。すべての水を除去するや、フラスコに6インチのビグロー管を取り付け、反応混合物を最初大気圧で、ヘッド温度155℃まで、次いで10mmHgの真空で、90℃のヘッド温度まで蒸留し、テトラメチル化合物を除去した。
【実施例2】
【0041】
エナミンの加水分解
重い層の水層を反応フラスコへ戻し且つ軽い有機層を除去せしめる共沸ヘッドを備えた500mlのフラスコに、前の反応からのフラスコ残物120.4gと水120gを仕込んだ。この混合物を還流するまで加熱し、エナミンの加水分解によるシクロヘキサノンを水と形成する共沸物により除去し、次いで水を除去した。
【実施例3】
【0042】
純粋なN,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテルの単離
6インチのビグロー蒸留塔を取り付けた蒸留フラスコに、実施例2からの粗反応生成物233.2g及びジエチレングリコール100gを入れ、20mmHgの真空で蒸留した。生成物画分は、ガスクロマトグラフィーによると、98.4%のN,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテルを示し、N,N,N’,N’−テトラメチルビス(アミノエチル)エーテルは検出されなかった。
【実施例4】
【0043】
トリメチル体及びテトラメチル体化合物を分離しない蒸留を示す対照例
グッドロー(Goodloe)充填材をつめた36インチの蒸留塔を備えた蒸留フラスコに、混合したN,N,N’,N’−テトラメチルビス(アミノエチル)エーテル(17.0%)及びN,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテル(81.3%)の混合物279.19gを入れた。この蒸留フラスコを7mmの真空下に77℃まで加熱した。15−2の還流比を用いて、塔頂温度66℃に変化のないが故に1つの留分だけを得た。この留分152.09gはN,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテル84.5%及びN,N,N’,N’−テトラメチルビス(アミノエチル)エーテル14.2%の組成を有した。
【0044】
本発明の更なる具体例及び別の具体例は、本記述を鑑みて同業者には明白であろう。従って本記述は、単に例示であると見なすべきであり、本発明を行う方法を同業者に教示す
る目的のためである。また本明細書に示し且つ記述する本発明の表現は例示的具体例と理解すべきである。本明細書に例示且つ記述したものに対して同等の要素及び材料は代替が可能である。またすべて本発明のこの記述の利点を手にした後に同業者にとって明らかであるように、本発明のある特徴は他の特徴を使用することとは無関係に利用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
tert−アミン基及びsec−アミン基を有する第一のアミンを、ジ−tert−アミンから分離するに際し、第一のアミン及びジ−tert−アミンの混合物をエナミン生成可能なカルボニル化合物と接触させて、カルボニル化合物と第一のアミンとの反応によるエナミンを生成させ、このエナミンをジ−tert−アミンから分離し、そして続いてエナミンを第一のアミンに戻すことを含んでなる、第一のアミン及びジ−tert−アミンの分離法。
【請求項2】
第一のアミンが式A
【化1】

[式中、Rは炭素数1−6のアルキルまたはアルキレンアルコールであり、Rは炭素数1−6のアルキルまたはアルキレンアルコールであり、Rは炭素数1−6のアルキルまたはアルキレンアルコールであり、Rは水素であり、xは2−5の整数であり、そしてyは2−5の整数である]
のものである、請求項1の方法。
【請求項3】
がCH、CHCH、またはCHCHOHである、請求項2の方法。
【請求項4】
がCH、CHCH、またはCHCHOHである、請求項2の方法。
【請求項5】
がH、CH、またはCHCHである、請求項2の方法。
【請求項6】
がCH、CHCH、またはCHCHOHであり、RがCH、CHCH、またはCHCHOHであり、そしてRがH、CH、またはCHCHである、請求項1の方法。
【請求項7】
第一のアミンがN,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテルであり、そしてジ−tert−アミンがN,N,N’,N’−テトラメチルビス(アミノエチル)エーテルである、請求項2の方法。
【請求項8】
エナミンを加水分解により転化する、請求項1の方法。
【請求項9】
カルボニル化合物がケトンまたはアルデヒドである、請求項1の方法。
【請求項10】
カルボニル化合物が炭素数2−20のケトンまたはアルデヒドである、請求項1の方法。
【請求項11】
カルボニル化合物がシクロヘキサノンである、請求項1の方法。
【請求項12】
ジ−tert−アミンが式A
【化2】

[式中、Rは炭素数1−6のアルキルまたはアルキレンアルコールであり、Rは炭素数1−6のアルキルまたはアルキレンアルコールであり、Rは炭素数1−6のアルキルまたはアルキレンアルコールであり、Rは炭素数1−6のアルキルまたはアルキレンアルコールであり、xは2−5の整数であり、そしてyは2−5の整数である]
のものである、請求項1の方法。
【請求項13】
転化された第一のアミンを触媒として使用してポリウレタンを製造することを更に含んでなる、請求項1の方法。
【請求項14】
接触中、エナミンが生成するにつれて水を除去する、請求項1の方法。
【請求項15】
エナミンを蒸留のよりジ−tert−アミンから分離する、請求項1の方法。
【請求項16】
エナミンを第一のアミンへ転化した後に再生されたカルボニル化合物を除去することを更に含んでなる、請求項1の方法。
【請求項17】
N,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテル及びN,N,N’,N’−テトラメチルビス(アミノエチル)エーテルの混合物をエナミン生成可能なカルボニル化合物と接触させて、カルボニル化合物とN,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテルとの反応によるエナミンを生成せしめ、このエナミンをN,N,N’,N’−テトラメチルビス(アミノエチル)エーテルから分離し、そして次いでエナミンを転化してN,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテルを再生させることを含んでなる、N,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテルをN,N,N’,N’−テトラメチルビス(アミノエチル)エーテルから分離する方法。
【請求項18】
N,N,N’−トリアルキルビス(アミノエチル)エーテル−エナミン。
【請求項19】
エナミンをN,N,N’−トリメチルビス(アミノエチル)エーテルとシクロヘキサノンから生成させる、請求項18のエナミン。

【公表番号】特表2010−530436(P2010−530436A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513331(P2010−513331)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/066488
【国際公開番号】WO2008/157151
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(509344984)ハンツマン ペトロケミカル エルエルシー (10)
【Fターム(参考)】