説明

ポリウレタンフォーム

ポリウレタンフォームを、開示し、説明する。このポリウレタンフォームは、少なくとも1種のポリオールを含む第1の成分と、少なくとも1種のポリイソシアネートを含む第2の成分とを混合することによって形成される。第2の成分中のイソシアネート当量数の、第1の成分中のヒドロキシル当量数に対する比は、1.0未満である。このフォームは、遊離ジイソシアネートモノマーのレベルが低く、それによって有害な揮発性有機化合物の量が低減される。この結果、換気装置、外部の外気供給源などを必要とすることなく、フォームを製造し、取り付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年11月8日に出願した米国特許仮出願第60/986,497号(参照によりその全体を本明細書に組み込む)、および2008年11月5日出願の米国特許出願第12/265,487号(参照によりその全体を本明細書に組み込む)の利益を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、ポリウレタンフォームに関し、さらに詳細には、構造補強部材、封止部材、および/または音響減弱部材としての使用に適したポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0003】
自動車、トラック、および類似の長距離用車両の生産過程において、多数の車体部品には、車体部品の腐食を引き起こす恐れがある湿気および汚染物質の進入を阻止するために封止部材を必要とする空洞を有する構造部材が存在する。これらの部材は、一般に、軽量であることを維持しながら強度を高めることが望まれる。これらの部材を、空洞の長さまたは通路に沿って普通なら伝導されるはずの騒音および振動を減衰および減弱するために安定化することにも利益がある。これらの空洞の多くは、形状が不規則であり、またはサイズが狭く、したがって適切に封止することが困難である。
【0004】
ポリウレタンは、硬質フォームを製造するのに使用することができ、上述のタイプの補強部材、封止部材、および/または音響減弱部材を形成するのに潜在的に有用である材料のクラスである。ポリウレタンは、1種または複数のポリオールと1種または複数のポリイソシアネートとを混合することによって製造される。よく使用されるポリイソシアネートとしては、メチレンジフェニルジイソシアネート(「MDI」)およびトルエンジイソシアネート(「TDI」)、ならびにそれらのオリゴマーまたはポリマーなどの芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
【0005】
多くの公知のポリイソシアネートは、相当な濃度(20%を超える濃度)の遊離イソシアネートモノマーを含有して供給されている。ポリウレタン生成プロセスを推進するのに用いる反応温度が、典型的には未反応モノマーの蒸気圧を上昇させ、未反応モノマーを揮発させる。いくつかのイソシアネートモノマーには毒性があるため、その大気中濃度を、職員が曝露される領域において低減させるための追加の工程が採用されることが多い。場合によっては、「下向き通風ブース」などの換気構造物を設けて、揮発したモノマーへの職員の曝露を最小限に抑える。しかし、こうした換気構造物を設けることは、コストがかかり、困難であり得る。したがって、上記の課題に対処するポリウレタンフォームに対するニーズが高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/986,497号
【特許文献2】米国特許出願第12/265,487号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
少なくとも1種のポリオールを含む第1の成分と、少なくとも1種のポリイソシアネートを含む第2の成分との反応生成物を含むポリウレタンフォーム組成物を提供する。第2の成分中のイソシアネート当量数の、第1の成分中のヒドロキシル当量数に対する比は、1.0未満である。前記少なくとも1種のポリオールは、アミン開始ポリ(アルキレンオキシド)ポリオール、多価エーテル開始ポリ(アルキレンオキシド)ポリオール、および炭水化物開始ポリ(アルキレンオキシド)ポリオールを含む。いくつかの例示的な配合物では、前記少なくとも1種のポリオールは、スクロース開始ポリオールと多価エーテル開始ポリオールとを含む第1の構成要素と、アミン開始ポリオールを含む第2の構成要素とを含み、第1の構成要素は約4から約5の官能性を有し、第2の構成要素は約2.5から約3.5の官能性を有する。
【0008】
ポリウレタンフォームを製造する方法であって、音響擾乱を受ける、空洞を有する構造物を準備する工程と、少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種の発泡剤とを含む第1の液体成分を準備する工程と、少なくとも1種のポリイソシアネートを含む第2の液体成分を準備する工程とを含む方法も提供する。第2の成分中のイソシアネート当量数の、第1の成分中のヒドロキシル当量数に対する比は、1.0未満である。この方法は、第1の液体成分と第2の液体成分を混合する工程と、この第1の液体成分と第2の液体成分の組合せ物を、この組合せ物がフォームを形成するように空洞に分注する工程とを含む。いくつかの例示的実施形態では、前記少なくとも1種のポリオールは、スクロース開始ポリオールと多価エーテル開始ポリオールとを含む第1の構成要素と、アミン開始ポリオールを含む第2の構成要素とを含み、第1の構成要素は約4から約5の官能性を有し、第2の構成要素は約2.5から約3.5の官能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、ポリウレタンフォームを製造し、構造物の空洞に適用するためのプロセスを示す図である。
【図2】図2は、揮発したメチレンジフェニルジイソシアネートの変動を、ポリウレタン配合物中のイソシアネート当量のヒドロキシル当量に対する比、および反応温度の両方の関数として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書には、硬質フォームを製造するのに特に適するポリウレタン組成物を記載する。硬質フォームには多くの用途があるが、特に興味深い一用途では、車体内部の様々な位置に形成される空洞を含む機械装置または構造物の、構造部材間の空洞を封止するために用いる封止部材および構造補強部材が必要とされる。興味深い別の用途では、音響振動を減弱して、車両に乗っている人々が経験する騒音、振動、およびハーシュネス(「NVH」)を低減する音響減弱フォームが必要とされる。こうした用途では、比較的低密度、低吸水性、および高耐垂れ性のフォームを使用することが望ましい。タイトシールを形成し、かつ/あるいは、封止される空洞またはフォーム形成される基板の輪郭に密接に沿うようなフォームを適用することも望ましい。
【0011】
本明細書に記載する組成物は、封止用途、補強用途、および/または音響減弱用途に適していると同時に、未反応の遊離イソシアネートモノマーの揮発量を有利に低減するポリマーフォームを提供する。いくつかの実施形態では、下向き通風ブースを使用することなくフォームを適用することができるので、「ブースフリー」フォームと呼ばれる。ポリオールとポリイソシアネートは急速に反応する傾向がある。したがって、いくつかの実施形態では、フォームを製造するのに使用する反応物質を液体の形態で用い、混合すると同時に目的とする空洞または基板に適用して、急速なフォーム形成および空洞の封止または基板のフォーム形成を引き起こさせる。
【0012】
本明細書に記載するポリマーフォーム組成物は、一般に、少なくとも1種のポリオールを含む第1の成分と、少なくとも1種のポリイソシアネートを含む第2の成分とを含む。発泡剤も一般に用いる。この発泡剤によって、ガスの発生が起こり、次いでポリウレタン中で気泡が生じ、フォーム形成した構造物が画成される。好ましい配合物では、発泡剤は水であり、ポリイソシアネートと反応して、二酸化炭素ガスを生成する。しかし、他の発泡剤を単独または水と組み合わせて使用してもよい。本ポリウレタン組成物は、架橋剤、連鎖延長剤、触媒、気泡連通剤、添加剤、および界面活性剤を含有することもできる。
【0013】
当業者に知られているように、ポリウレタン組成物は、イソシアネート基の当量のヒドロキシル基の当量に対する比で定義されるインデックス(index)によって特徴付けることができる:
【0014】
【数1】

【0015】
式(1)において、イソシアネート当量数は、遊離イソシアネートを含むモノマーとして、およびポリマーまたはオリゴマーのポリイソシアネートの官能基として存在するイソシアネート官能基を含む全てのイソシアネート含有化合物に基づく。同様に、ヒドロキシル基の当量数は、水を含む全てのヒドロキシル基含有化合物に基づく。以下で明らかにするように、いくつかの触媒、添加剤、界面活性剤、気泡連通剤、および他の添加剤は、ヒドロキシル基を含んでいてもよく、これらのヒドロキシル基源も、インデックスの分母を算出する際に算入される。
【0016】
当業者に知られているように、特定のポリマー材料または所与の分子中の官能基の当量数は、次式によって決定することができる:
【0017】
【数2】

【0018】
特定の官能基を有する所与の分子について、当量質量は、以下の通りに決定することができる:
【0019】
【数3】

【0020】
多くの市販ポリイソシアネートは、イソシアネート分子、オリゴマー、および/またはポリマーの混合物であり、イソシアネート官能基の質量百分率(%NCO)に基づいて特徴付けられる。したがって、イソシアネート基に基づく当量質量は、以下の通りに算出することができる:
【0021】
【数4】

【0022】
式中、-NCOの分子量は42g/molである。多くの市販ポリオールは、ポリオール1.0グラムのヒドロキシル含有量に等しい水酸化カリウム等価体のミリグラム数を表す「水酸基価」(「OH価」)によって特徴付けられる。こうしたポリオールについて、ヒドロキシル基に基づく当量質量は、以下の通りに算出することができる:
【0023】
【数5】

【0024】
上記に示したように、本明細書に記載するいくつかの例示的な配合物において、水が用いられ、発泡剤として働く。水は水素原子2個を有し、水分子1個はイソシアネート基2個を消費するので、二官能性分子と考えられる。したがって、水の当量質量は18(g/mol)/2=9g/当量である。複数のヒドロキシ官能性成分を含む配合物では、各成分の当量数を算出し、合計して上式(1)におけるインデックスの分母に達する。
【0025】
いくつかの例示的な実施形態では、イソシアネート当量のヒドロキシル当量に対する比(インデックス)は、ポリウレタン生成反応時の遊離イソシアネートモノマー(例えば、MDIまたはTDI)の揮発量を低減するように調整する。インデックスは1.0未満であることが一般に好ましい。インデックスの値が低いほど、遊離イソシアネートモノマーの量が低減される傾向があるが、追加的な未反応ヒドロキシル基が存在するため、ポリマーフォームによって吸収される水の量が増加する傾向もあることは望ましくない。したがって、いくつかの好ましいポリマーフォーム組成物では、インデックスは約0.80から1.0未満の範囲である。より好ましい組成物では、インデックスは約0.85から約0.95の範囲である。特に好ましい組成物では、インデックスは約0.90から約0.91の範囲である。
【0026】
種々の異なるポリイソシアネートを使用して、本明細書に記載するタイプのポリウレタンフォームを製造することができる。好適なポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族、脂環式、または芳香脂肪族ポリイソシアネートなどの有機ポリイソシアネートが挙げられる。特に好ましいのは、25℃において液体であるポリイソシアネートである。好適なポリイソシアネートの例としては、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート;4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;1,4-キシリレンジイソシアネート;1,4-フェニレンジイソシアネート;2,4-トルエンジイソシアネート;2,6-トルエンジイソシアネート;4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-MDI);2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4'-MDI);ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗MDIまたはMDIポリマー);および1,5-ナフタレンジイソシアネートが挙げられる。これらのポリイソシアネートの混合物も使用することができる。さらに、ポリイソシアネートの変形形態、例えばウレタン、アロファナート、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン、イソシアヌレート、および/またはオキサゾリドン残基の導入により変性したポリイソシアネーを使用することもできる。
【0027】
一般に、芳香族ポリイソシアネートが好ましい。最も好ましい芳香族ポリイソシアネートは、4,4'-MDI、2,4'-MDI、ポリマーMDI、MDI変形態、およびこれらの混合物である。イソシアネートを末端とするプレポリマーを使用してもよいが、あまり好ましくない。こうしたプレポリマーは、一般に、モル過剰のポリマー状ポリイソシアネートまたは純粋なポリイソシアネートと、1種または複数のポリオールとを反応させることによって製造する。ポリオールとしては、アミノ化ポリオール、イミンもしくはエナミン変性ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、またはポリアミンを挙げることができる。イソシアネート末端プレポリマーと、1種または複数のジまたはポリイソシアネートモノマーとの混合物である擬プレポリマーを使用することもできる。
【0028】
トルエン-2-4-ジイソシアネート、トルエン-2-6-ジイソシアネート、およびそれらの混合物は、「TDI」と総称される。ジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート(4,4'メチレンジフェニルジイソシアネート)、ジフェニルメタン-2,2'-ジイソシアネート(2,2'メチレンジフェニルジイソシアネート)、およびジフェニルメタン-2,4'-ジイソシアネート(2,4'メチレンジフェニルジイソシアネート)、およびそれらの混合物は、本明細書では「MDI」と総称される。4,4'異性体は「純MDI」と呼ばれる。
【0029】
当業者に知られているように、ポリイソシアネートは、ポリイソシアネート中の分子1個当たりの平均イソシアネート基数を表す「官能性」に基づいて特徴付けることができる。ポリイソシアネートは、好ましくは少なくとも1.8から約4.0の数平均イソシアネート官能性を有する。特に好ましいポリイソシアネートとしては、約2.0から約3.0、より好ましくは約2.3から約2.9の官能性を有する、MDIまたはTDIをベースとするポリイソシアネートが挙げられる。前述したように、ポリイソシアネートは、存在するイソシアネート官能基の量を質量で表すイソシアネート含有量(NCO(質量%))に基づいて特徴付けることができる。純MDIはイソシアネート含有量が33.6質量%であり、純TDIはイソシアネート含有量が48.2質量%である。好ましいポリイソシアネートは、イソシアネート含有量が約20質量%を超える。より好ましいポリイソシアネートは、イソシアネート含有量が少なくとも約25質量パーセントであり、特に好ましいポリイソシアネートは、イソシアネート含有量が少なくとも約30質量パーセントである。本明細書に記載する配合物での使用に適した市販ポリイソシアネートとしては、Huntsman PolyurethanesからRubinate(登録商標)という名称で供給されるものが挙げられる。MDIをベースとするポリイソシアネートの一例は、Rubinate(登録商標)8700である。Rubinate(登録商標)8700は、遊離MDI、ならびに若干量のポリマー形成および/またはオリゴマー形成したMDIを含むジフェニルメタンジイソシアネートポリマーであり、約2.7の官能性を有し、イソシアネート含有量が約31.5質量%である。
【0030】
種々のポリオールを使用して、本開示に従ってポリマーフォームを製造することができる。例示的なポリオールとしては、ポリヒドロキシアルカンポリオール、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリヒドロキシアルカンのアルキレンオキシド付加物、非還元糖および糖誘導体のアルキレンオキシド付加物、リン酸およびポリリン酸のアルキレンオキシド付加物、ポリフェノールのアルキレンオキシド付加物、ならびにヒマシ油などの天然油に由来するポリオールが挙げられる。
【0031】
好ましいポリオールの一群は、アルキレンオキシドと多水酸基開始剤(すなわち、複数のヒドロキシル基を含む分子)との反応生成物である。例示的な多水酸基開始剤としては、多価アルカノールおよび多価エーテル(すなわち、複数のヒドロキシル基を有するアルカンおよびアルキレンオキシド)、二置換および三置換多水酸基アミン(すなわち、2または3個のアルカノールで置換されているアミン)、ならびにグルコース、マルトース、フルクトース、アラビノース、キシリトール、キシロース、スクロース、デキストロース、ソルビトール、α-メチルグルコシド、およびα-ヒドロキシエチルグルコシドなどの単純な炭水化物が挙げられる。二糖類、特にスクロースが、炭水化物開始剤の好ましいクラスである。好ましい多価アルカノールおよび多価エーテルとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3ブタンジオール、1,4ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリトリトール、グリセロール、ジグリセロール、およびトリメチロールプロパンが挙げられる。好ましい二置換および三置換多水酸基アミンとしては、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンが挙げられる。ポリオールを生成するのに使用するアルキレンオキシドの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2ブチレンオキシド、および2,3ブチレンオキシドが挙げられる。ポリオールは、前述した多水酸基開始剤とアルキレンオキシドとの1種または複数の反応生成物の組合せを含む、1種または複数のポリオールの組合せの混合物であってもよい。いくつかの例示的な実施形態において、ポリオールは、アミン開始ポリオールおよび炭水化物開始ポリオールの両方の混合物を含む。他の例示的な実施形態において、ポリオールは、アミン開始アルキレンオキシドポリオール、炭水化物開始アルキレンオキシドポリオール、および多価アルコール開始アルキレンオキシドポリオールの混合物を含む。ポリウレタンフォーム組成物のポリオール成分(すなわち、すべてのポリオールを含む成分)の全官能性は、一般に、約10.0未満、より好ましくは約8.0未満、最も好ましくは約6.0未満である。全官能性は、一般に、約1.0を超え、好ましくは約2.0を超え、最も好ましくは約3.0を超える。
【0032】
好ましいポリウレタンフォーム組成物では、2種のポリオール構成要素を用いて、ポリオール成分を形成させる。第1のポリオール構成要素は、スクロース開始ポリ(プロピレンオキシド)ポリオールとジエチレングリコール開始ポリ(プロピレンオキシド)ポリオールとの混合物であり、ポリオール混合物は、一般に、約10.0以下、好ましくは約8.0以下、より好ましくは約6.0以下、および最も好ましくは約5.0以下の官能性(すなわち、ポリオール分子1個当たりの平均ヒドロキシル基数)を有する。第1の構成要素のポリオール混合物は、一般に少なくとも約1.0、好ましくは少なくとも約2.0、より好ましくは少なくとも約3.0、最も好ましくは少なくとも約4.0の官能性を有する。好ましい配合物の第2のポリオール構成要素は、一般に約2.5から約3.5以下の官能性を有するトリエタノールアミン開始ポリ(プロピレンオキシド)ポリオールである。「混合物」という用語は、独立に開始させた後混合したポリオールと、同時に開始させたポリオールとの両方を指す。1つの好適な第1のポリオール構成要素は、Huntsman Polyurethanesから供給されるJeffol(登録商標)SD 361である。Jeffol(登録商標)SD 361は、スクロース/ジエチレングリコール開始プロピレンオキシドポリオールである。Jeffol(登録商標)SD 361は、ヒドロキシル数が360であり、平均官能性が4.4である。第2のポリオール構成要素は、Jeffol(登録商標)A-630という名称で供給されるトリエタノールアミン開始ポリ(プロピレンオキシド)ポリオールを含み、そのヒドロキシル数は635であり、平均官能性は3.0である。
【0033】
前述したように、本明細書に記載するポリウレタンフォームは、少なくとも1種のポリイソシアネートを含む「第2の成分」を、少なくとも1種のポリオールを含む「第1の成分」と混合し、反応させることによって製造する。好ましい配合物では、第1の成分の少なくとも1種のポリオールは、炭水化物開始アルキレンオキシドポリオールと多価エーテル開始アルキレンオキシドポリオールとの混合物を含む第1のポリオール構成要素を含み、この第1のポリオール構成要素は、一般に第1の成分の約50%から約70質量パーセントの範囲であり、好ましくは第1の成分の約55から約65質量パーセントの範囲である。好ましい配合物では、第1の成分の少なくとも1種のポリオールは、アルカノールアミン開始アルキレンオキシドポリオールを一般に第1の成分の約10から約30質量パーセントの範囲、好ましくは第1の成分の約15から約20質量パーセントの範囲の量で含む第2のポリオール構成要素をさらに含む。この第1の成分は、架橋剤、連鎖延長剤、気泡連通剤、界面活性剤、および発泡剤などポリウレタンフォームの特性を調整するのに使用される複数の他のタイプの材料をさらに含有することもできる。
【0034】
架橋剤および連鎖延長剤の全量は、好ましくは、架橋および連鎖延長をポリウレタン生成物において生じさせるのに十分な量である。架橋剤および連鎖延長剤の全量は、一般に第1の成分の約5から約15質量パーセントの範囲である。好ましい架橋剤および連鎖延長剤としては、ジオールおよびトリオールなどのヒドロキシル官能性化合物が挙げられる。好ましい一配合物では、ポリウレタンフォームを形成するのに使用する第1の成分は、架橋剤および連鎖延長剤の両方として働くジオールと、トリオール架橋剤とを含む。例示的な配合物では、ジオール架橋剤/連鎖延長剤は、Clariant Corporationから供給されるPolyglykol 400などの、ヒドロキシル数が約267から約295の範囲のポリエチレングリコール400(PEG400)である。例示的な配合物では、トリオール架橋剤はグリセリン(1,2,3トリヒドロキシプロパン)である。ジオール架橋剤および連鎖延長剤は、好ましくは、ポリウレタンにおいて架橋および連鎖延長を引き起こすのに有効な量で存在する。トリオール架橋剤は、好ましくは、ポリウレタンにおいて架橋を引き起こすのに有効な量で存在する。
【0035】
第1の成分は、1種または複数の触媒を含むことができ、触媒は、好ましくは第1の成分の約1から約10質量パーセントの範囲の量で存在する。例示的な一配合物では、3種の触媒を用いる。先に記載したように、ポリウレタンフォームの形成では、ポリイソシアネート上のイソシアネート基が、ポリオール上のヒドロキシル基と反応して、ポリウレタンを生成する。このイソシアネート基は水とも反応して、二酸化炭素を生成する。したがって、複数の触媒を使用すると、ポリウレタン生成反応と二酸化炭素発生反応の相対的反応速度を選択的に調整するのに役立つ。例示的な一配合物では、第1の触媒(「バランスのとれた触媒」と呼ばれることがある)は、ポリイソシアネートとポリオールとの反応の触媒として働き、かつ、反応生成物のゲル化および二酸化炭素ガスの発生の触媒としても働く(すなわち、「ブロー」の触媒として働く)。第2の触媒は、二酸化炭素ガスの発生の触媒として働き、第3の触媒はゲル化の触媒として働く。第1の触媒として働くことができる例示的な一触媒は、Air Products and Chemicals, Inc.から供給される液状第三級アミン触媒のPolycat(登録商標)9であり、水との混和性を有し、大部分のポリオールおよび有機溶媒に可溶性である。第2の触媒として働くことができる例示的な触媒は、Huntsman Corporationから供給されるJeffcat ZF-22である。Jeffcat ZF-22は、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル70%とジプロピレングリコール30%との混合物である。第3の(ゲル化)触媒として働くことができる例示的な触媒は、米国コネチカット州ウィルトンのMomentive Performance Materialsから供給されるジブチルスズメルカプチド触媒であるFomrez UL 1である。第1の触媒は、好ましくはポリオールとポリイソシアネートとの反応、ゲル化、およびブロー成形の触媒として働くのに有効な量で存在する。いくつかの例示的な実施形態では、第1の触媒は、一般に第1の(ポリオール含有)成分の約0.2から約1.0質量パーセントの範囲の量で存在し、好ましくは約0.6から約0.7質量パーセントの範囲の量で存在する。第2の触媒は、好ましくは水およびイソシアネートからの二酸化炭素ガス発生の触媒として働くのに有効な量で存在する。いくつかの例示的な実施形態では、第2の触媒は、第1の成分の約1.0から約4.0質量パーセントの範囲の量で存在し、好ましくは約2.0から約3.0質量パーセントの範囲の量で存在する。第3の触媒は、好ましくはゲル形成を引き起こすのに有効な量で存在する。いくつかの例示的な実施形態では、第3の触媒は、第1の成分の約0.05から約0.2質量パーセントの範囲の量で存在し、好ましくは約0.1から約0.2質量パーセントの範囲の量で存在する。
【0036】
第1の成分は、1種または複数の気泡連通化合物(気泡連通剤)を含んでいてもよい。フォームは、一般に、隣接する気泡のウインドウが開いている(すなわち、気泡が互いに連結している)かそれとも閉じているかに応じて、「連通気泡」または「独立気泡」として特徴付けることができる。いくつかの例示的な実施形態では、本明細書に記載するポリウレタンフォームは、一般に、連通気泡が少なくとも約80%である。いくつかの好ましい実施形態では、フォームは連通気泡が少なくとも約90%である。特に好ましい実施形態では、気泡の少なくとも約95%が連通している。気泡連通化合物は、連通気泡の生成を促進する。例示的な気泡連通剤としては、シリコンをベースとする消泡剤、ワックス、微細化固体、液状パーフルオロカーボン、パラフィン油、および長鎖脂肪酸が挙げられる。気泡連通剤を使用する場合、好ましくは、所望の百分率の連通気泡をもたらすのに十分な量で存在させる。いくつかの実施形態では、気泡連通剤を、第1の成分の一般に1質量パーセント未満、好ましくは約0.01から約0.1質量パーセントの間の量で存在させる。使用することができる例示的な一気泡連通剤は、Evonik Industriesから供給されるヒドロキシル数約2の有機ポリマー溶液であるOrtegol(登録商標)501である。
【0037】
気泡形成および安定化を促進するために、1種または複数の界面活性剤を、ポリウレタン配合物の第1の成分に含めることもできる。界面活性剤の例としては、非イオン性界面活性剤および湿潤剤、例えば、プロピレングリコールにプロピレンオキシド、次いでエチレンオキシドを逐次添加することによって製造されるもの、固体または液体の有機シリコーン、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、長鎖アルキル酸スルフェートエステルの第三級アミン塩またはアルキルオールアミン塩、アルキルスルホン酸エステル、およびアルキルアリールスルホン酸などが挙げられる。界面活性剤の全量は、第1の成分の一般に約2質量パーセント未満であり、約1.0から約1.5%の範囲の量が好ましい。いくつかの好ましい配合物では、第1のポリエーテルポリジメチルシロキサンコポリマー界面活性剤および第2の非加水分解性シリコーンコポリマー界面活性剤を使用する。例示的なポリエーテルポリジメチルシロキサンコポリマー界面活性剤としては、Evonik Industriesから供給されるTegostab(登録商標)B8404が挙げられる。例示的な非加水分解性シリコーンコポリマー界面活性剤としては、Momentive Performance Materialsから供給されるNiax Silicone L-6900が挙げられる。
【0038】
次に、上で議論した第1のポリオール含有成分と第2のポリイソシアネート含有成分とからポリウレタンフォームを製造するプロセスを述べる。上述したポリオール材料およびポリイソシアネート材料は、一般に、1分未満のオーダーで急速に反応する。一般に、第1のポリオール含有成分と第2のポリイソシアネート含有成分との両方を液体として供給し、それらを混合し、目的とする空洞または基板に実質的に同時に適用することが好ましい。このプロセスは、「反応射出成形」または「RIM」と呼ぶことができる。RIMプロセスを使用して、第1の成分と第2の成分とを混合して適用する場合、好ましくは、スプレー塗布を可能にするのに十分低い粘度を有する第1の成分と第2の成分とを配合する。混合した成分は、フォームが適用されるべき領域からあふれ出したり、その外側へ成分が流出したりするのを防止するのに十分に高い粘度を実現する反応プロファイルを有することが好ましい。第1の成分および第2の成分は、揮発した残留モノマー(例えば、MDIまたはTDI)がいずれも、換気装置(フード、下向き通風ブース)の必要性または野外装置の使用を回避するのに十分に低い量で放出されるように配合することも好ましい。第2のポリイソシアネート含有成分中に存在する残留モノマーによって、第2の成分の粘度が低減することは有益であり、25℃における粘度が約100から約300cpsとなり、約150cpsから約200cpsの粘度が好ましいことに留意されたい。粘度が低いほど、第2のポリイソシアネート含有成分のポンプ輸送およびスプレー塗布が容易になる。したがって、発泡剤(例えば、水)を添加する前にポリウレタンプレポリマーを形成させることによって未反応のイソシアネートモノマーを消費させるプロセスとは対照的に、本明細書に記載する方法では、容易にポンプ輸送し、混合して、空洞、基板などに適用されたとき反応させることができるポリオール成分およびポリイソシアネート成分を準備する。さらに、本明細書に記載する成分は、プレポリマーの生成を伴うプロセスと比較して低い温度で処理することができる。
【0039】
図1に、ポリウレタンフォームを製造し、空洞に適用して、例えば構造補強部材、封止部材、および/または音響減弱部材を形成させる例示的なプロセス20を示す。この例示的な実施形態では、プロセス用装置は、持ち運びできる形で装備され、操作員が装置の位置を動かして、ポリウレタンフォームを所望の位置に適用することが可能である。反応物質容器22は、第1のポリオール含有成分を入れるために用い、反応物質容器30は、第2のポリイソシアネート含有成分を入れるために用いる。第1のポリオール含有成分は、上述したものなどの少なくとも1種のポリオールを含有することが好ましい。発泡剤(水を含む)、架橋剤、連鎖延長剤、界面活性剤、触媒、気泡連通剤、または他の添加剤を用いる場合、反応物質容器22中でポリオールと混合することが好ましい。
【0040】
容器22は、定量ポンプ24および予熱器28に液体連結されている。予熱器28は、第1のポリオール含有成分の温度を調整するのに使用し、ポリウレタン生成反応の温度制御を容易にする。温度ゲージ26は、第1のポリオール含有成分の温度を表示し、予熱器28から供給される熱の速度を調整するフィードバック温度制御装置への入力装置として働く。可撓性導管38は、予熱された第1の成分を塗布混合装置42に連結するホースまたはチューブであることが好ましい。
【0041】
反応物質容器30は、少なくとも1種のポリイソシアネートと残存する遊離イソシアネートモノマーとを好ましくは含む、第2のポリイソシアネート含有成分を収容する。上で指摘したように、発泡剤、触媒、界面活性剤、架橋剤、および連鎖延長剤などのポリウレタンフォームを製造するのに使用する他の材料は、好ましくは反応物質容器30に入れず、その代わりに容器22中のポリオールに組み入れる。容器30は、ポンプ32および予熱器34に液体連結されている。予熱器34は、第2のポリイソシアネート含有成分の温度を調整するのに使用され、予熱器28と共に、ポリウレタン生成反応の温度制御を容易にする。温度ゲージ36は、第2のポリイソシアネート含有成分の温度を表示し、予熱器34から供給される熱の速度を調整するフィードバック温度制御装置への入力装置として働く。可撓性導管40は、予熱された第2の成分を塗布装置42に連結するホースまたはチューブであることが好ましい。
【0042】
本明細書に記載したようにポリウレタンフォームを形成させるのに使用する反応温度は、一般に、約100°F(37.8℃)から約130°F(54.4℃)の範囲である。好ましい温度は、約105°F(40.5℃)から約120°F(48.9℃)の範囲である。特に好ましい一実施形態では、予熱器28および34をそれぞれの出口温度が約110°F(43.3℃)になるように調整することによって、約110°F(43.3℃)の反応温度を用いる。
【0043】
塗布混合装置42を、第1のポリオール含有成分と第2のポリイソシアネート含有成分とを乱流混合し、組み合わせた反応物質の混合制御された流れを、目的とする空洞に送出するように構成することが好ましい。好ましい実施形態において、塗布装置42は、米国ミネソタ州ミネアポリスのGraco, Inc.から供給されるスプレーガンのGX-15シリーズなどのスプレーガンである。図1に示すように、塗布装置42は、第1のポリオール含有成分と第2のポリイソシアネート含有成分との衝突混合を実現する内部混合型バルブまたはヘッド44を含む。第1のポリオール含有成分および第2のポリイソシアネート含有成分は、成分をそれぞれの容器22、30から塗布混合装置42にポンプ輸送するために適した粘度を実現して、混合された第1の成分と第2の成分とがスプレープロセスによって塗布されることを確実にするように配合することが好ましい。
【0044】
図1の実施形態では、硬質の構造物46および48によって、空洞が画成されており、ここにポリウレタンフォーム部材を取り付ける。硬質の構造物46および/または48が振動または他の音響擾乱を受ける場合、音響フォームが好ましい。操作員は、塗布混合装置42を、混合された第1のポリオール含有成分と第2のポリイソシアネート含有成分とがポート50に放出されるように調節する。混合された反応物質は、構造物46および48によって画成される空洞に塗布混合装置42から放出されるとき急速に反応して、ポリウレタンフォーム52を生成する。構造物46および48は、音響フォームを形成すること、空洞を封止すること、かつ/または構造補強を実現することが望まれるAピラーもしくはその他の領域などの車両の一部分を構成する部分であってよい。
【0045】
上述したように、本明細書に記載するポリウレタンフォームの製造は、放出される遊離イソシアネートモノマーの揮発量を低減し、したがって換気装置または外気を使用することなく行うことができる利点を有する。いくつかの好ましい実施形態では、ポリウレタンフォームを形成するプロセスでは、形成される固体フォーム1ポンドにつき10マイクログラム未満(1 kg当たり22マイクログラム未満)の遊離イソシアネートモノマーが放出される。好ましい実施形態では、形成される固体フォーム1ポンドにつき0.5マイクログラム未満(1 kg当たり1.1マイクログラム未満)の遊離イソシアネートモノマーが放出される。ある例示的なプロセスでは、フォーム1ポンド当たり0.45マイクログラム未満(1 kg当たり0.99マイクログラム未満)の遊離イソシアネートモノマーが放出され、別の例示的な方法では、フォーム1ポンド当たり0.40マイクログラム未満(1 kg当たり0.88マイクログラム未満)が放出される。
【0046】
米国産業安全衛生局(U.S. Occupational Safety and Health Administration)によって、放出されてもよい許容される大気中MDIレベルを支配する標準および試験方法であるOSHA Organic Method ♯47(これを参照により本明細書に組み込む)が公表された。加えて、いくつかの車両製造業者は、ポリウレタンフォームの形成において放出される遊離イソシアネートの量を決定するのに「5ガロン缶試験法」を使用する。5ガロン缶試験法によれば、第1のポリオール含有成分と第2のポリイソシアネート含有成分との組合せ300グラムを同時に混合し、5ガロン缶に、缶の容積のおよそ半分を占める発泡フォームを形成するのに十分な量をシングルショットで射出する。フォーム射出のためガスの置換に対応するように、テドラーバッグを缶に取り付ける。第1の成分および第2の成分を射出した直後に、射出ポートを封止して、閉鎖系を実現する。OSHA Organic Method ♯47に従って製造した13mmの処理済みフィルターカセットを用いる。これは、缶の蒸気空間と液体連結している。このカセットは、フォーム生成反応中に放出される揮発した遊離イソシアネートをトラップする。缶からの蒸気は、フィルターカセットを通過することができ、フィルターを通過した蒸気は空気ポンプで缶に差し戻される。試料抽出を5〜10分間継続する。試験を10回反復して、10個のカセットを回収する。次いで、カセットを分析して、カセットに捕捉された遊離イソシアネート(例えば、MDI)の量(マイクログラム)を決定し、結果を平均する。カセットの分析を行う例示的な一方法は、OSHA Organic Method ♯47に概説されている高圧液体クロマトグラフィー(「HPLC」)法である。いくつかの好ましい実施形態では、本明細書で製造したフォームは、5ガロン缶試験法で測定して、0.3マイクログラム以下の遊離イソシアネートモノマーを放出する。フォームのフリーライズ密度が2.0ポンド/立方フィート(32 kg/m3)である場合、これは、フォームが5ガロン缶の容積の半分を占めると仮定して、フォーム1ポンド当たり0.45マイクログラム(1 kg当たり0.99マイクログラム)の遊離イソシアネートを放出する。
【0047】
前述したように、ポリウレタンフォームは、「フリーライズ密度」と呼ばれる密度の尺度によって特徴付けることができる。本明細書に記載するタイプのポリウレタンフォームのいくつかの例示的な実施形態では、フリーライズ密度は、一般に約1.0から約5.0ポンド/立方フィート(約16から約80 kg/m3)の範囲である。いくつかの好ましい実施形態において、フリーライズ密度は約2.0から約3.0ポンド/立方フィート(約32から約48 kg/m3)の範囲であり、より好ましい実施形態において、フリーライズ密度は約2.0から約2.2ポンド/立方フィート(約32から約35 kg/m3)の範囲である。フリーライズ密度は、所定の容積(例えば、16液量オンスまたは32液量オンス)のカップを計量し、フォームを過剰充填して、カップの縁を越えて上昇するクラウンを生成させることによって決定することもできる。次いで、フォームを約15分間完全に硬化させ、クラウンを、フォームがカップ容積に密接に従うように切り取る。カップをその中のフォームと一緒に再度計量し、フォーム形成したカップの質量とフォーム形成する前のカップの質量の差を算出することによって、フォームの質量を決定する。次いで、フォーム質量をカップ容積で割ることによって、フリーライズ容積を決定する。この方法の精度を改善するために、同じモデルのカップを事前に計量し、密度1g/ccの水をその縁まで充填することができる。次いで、カップを再度計量することができる。次いで、水を充填したカップの質量から事前に計量したカップの質量を差し引くことによって、カップの真の容積(単位:立方センチメートル)を決定することができる。次いで、先に算出したフォーム質量をカップの真の容積で割って、フリーライズ密度を得ることができる。
【0048】
本明細書に記載するフォームは、いくつかの標準状態におけるその吸水に基づいて特徴付けることもできる。先に記載したように、イソシアネート当量のヒドロキシル当量に対する比の増加によって、フォーム形成操作時に揮発する遊離イソシアネートモノマーの量が増加する傾向にある。しかし、この比が低下するにつれて、フォーム中に存在する未反応のヒドロキシル基の数は増加する。未反応のヒドロキシル基は、水を吸収する傾向があり、フォームの音響機能、封止機能、および/または強化機能を低下させる恐れがある。例示的な一吸水試験では、フォームを50℃、相対湿度95%の環境に7日間置き、この7日間の前後のフォームの質量を測定する。次いで、フォームの質量の増加百分率を算出する。この吸水試験法を用いて、本明細書に記載するフォームの吸水は、一般に、約30%未満、好ましくは約10%未満、より好ましくは約5%未満である。特に好ましい一例では、ポリウレタンフォームの吸水は約2%である。
【0049】
いくつかの例示的なプロセスでは、第1のポリオール含有成分と第2のポリイソシアネート含有成分とが急速にフォーム形成を開始して、ポリウレタン生成反応が進行するにつれて初期の耐垂れ性が好ましくもたらされる。フォーム形成の急速さの一尺度として「クリームタイム」が知られている。「クリームタイム」は、第1のポリイソシアネート含有成分および第2のポリオール含有成分を分注してから、混合された成分が、目視観察で検出して立上がり始めるときまでの経過時間と定義される。本明細書に記載する配合物およびプロセスによって、クリームタイムが一般に約10秒未満であるフォームが得られるが、クリームタイムは約5秒未満であることがより好ましく、約1秒未満であることが特に好ましい。
【0050】
いくつかの例示的なプロセスにおいて、第1のポリオール含有成分と第2のポリイソシアネート含有成分とが、フォームが目的とする空洞内または基板上に実質的に入ったままであるように急速に反応し、ゲル化することが好ましい。フォームを特徴付けるのに有用な一尺度として「ゲルタイム」が知られている。ゲルタイムを決定する例示的な一方法は、一定質量(例えば、60g)のフォームを紙のカップに分注する工程を含む。分注工程の直後に、木製の舌圧子の端部を、発泡しているフォーム表面に繰り返し接触させる。混合された第1のポリイソシアネート成分と第2のポリオール含有成分とからひも状の材料が形成されると、経過時間を記録する。このプロセスを数回繰り返すことが好ましく、第1のポリイソシアネート含有成分と第2のポリオール含有成分とを分注してから、混合された成分からひも状の材料が形成されるまでの平均経過時間として、ゲルタイムを算出する。記載した方式で製造したフォームは、一般に、約2から約10秒のゲルタイムを示す。3から約5秒のゲルタイムが好ましく、約4秒のゲルタイムがより好ましい。
【0051】
(実施例)
次に、例示的なポリウレタンフォーム組成物およびフォームを製造するプロセスを説明する。例示的なフォームは、イソシアネート当量のヒドロキシル当量に対する比(すなわち、インデックス)が0.91である。Table 1 (表1)に記載の材料を混合することによって、100gの第1のポリオール含有成分を製造する。
【0052】
【表1】

【0053】
第2のポリイソシアネート含有成分は、140gのRubinate(登録商標)8700ポリマージフェニルメタンジイソシアネートを含み、遊離メチレンジフェニルジイソシアネートも含み、イソシアネート含有量が31.5質量パーセントである。Rubinate(登録商標)8700の当量質量は133g/当量である。したがって、140gのRubinate(登録商標)8700は、1.05当量となり、インデックスは1.05/1.151=0.91である。
【0054】
第1の成分および第2の成分を約110°F(43.3℃)の温度に予熱し、図1に示すスプレーガン42などの塗布混合装置中で混合する。次いで、成分を構造物の空洞中にスプレーし、反応および硬化させて、実質的に硬質なフォームを得る。プロセス中に放出される遊離MDIは、0.45マイクログラム/フォーム1ポンド(0.99マイクログラム/フォーム1 kg)未満であり、フリーライズ密度は約2.0から2.2ポンド/立方フィート(約32から35 kg/m3)の範囲である。相対湿度95%への曝露に基づく吸水は、先に記載した試験方法を用いて、約2%である。このフォームは、クリームタイムが1秒未満であり、ゲルタイムが約4秒であり、優れた耐垂れ性を示す。
【0055】
図2を参照して、Table 1 (表1)に示すフォーム配合物の以下の変形態様について、実験データの設計を提供する。
【0056】
【表2】

【0057】
図2のx軸は、インデックス、すなわちイソシアネート当量の(水を含む)ヒドロキシル当量に対する比のプロットである。中心点は、0.90のインデックスを表し、両端点は、0.85および0.95のインデックスを表す。y軸は、反応温度のプロットであり、等温線は対角線で表される。z軸は、先に記載した5ガロン缶試験手順に基づいてフォーム形成時に放出される遊離MDIのプロットである。図2が示すように、インデックスが高くなるにつれて、揮発される遊離MDIは、遊離MDIとの反応に利用されるヒドロキシル基が少なくなるので増加する。反応温度が上昇するにつれて、MDIの蒸気圧が上昇するため、遊離MDIの揮発量も増加する。したがって、インデックスおよび/または反応温度を所望通りに変更して、所望の遊離MDIの揮発度を得ることができる。
【0058】
好ましい実施形態を開示してきた。しかし、いくつかの修正形態は本発明の教示の範囲内に入り、本発明の真の範囲および内容を決定するには、以下の特許請求の範囲が検討されるべきであることを当業者なら理解するであろう。さらに、代表的な実施形態の方法および構造は、種々の実施形態の形で組み込むことができるが、そのほんの一部しか、本明細書には記載されていない。本発明の趣旨から逸脱しない実施形態が他にも存在することは、当業者には明らかであろう。したがって、記載した実施形態は、例示的なものであって、限定的なものであると解されるべきではない。
【符号の説明】
【0059】
20 プロセス
22 反応物質容器
24 定量ポンプ
26 温度ゲージ
28 予熱器
30 反応物質容器
32 ポンプ
34 予熱器
36 温度ゲージ
38 可撓性導管
40 可撓性導管
42 塗布混合装置
44 内部混合型バルブまたはヘッド
46 構造物
48 構造物
50 ポート
52 ポリウレタンフォーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンフォーム組成物(52)であって、
少なくとも1種のポリオールを含む第1の成分と、少なくとも1種のポリイソシアネートを含む第2の成分との反応生成物を含み、
第2の成分中のイソシアネート当量数の、第1の成分中のヒドロキシル当量数に対する比が、1.0未満であり、
前記少なくとも1種のポリオールが、アミン開始ポリ(アルキレンオキシド)ポリオール、多価エーテル開始ポリ(アルキレンオキシド)ポリオール、および炭水化物開始ポリ(アルキレンオキシド)ポリオールを含む組成物。
【請求項2】
第2の成分中のイソシアネート当量数の、第1の成分中のヒドロキシル当量数に対する比が、約0.95以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記反応生成物が、放出される遊離ジイソシアネートモノマーをフォーム1ポンド当たり約0.5マイクログラム以下(1 kg当たり1.1マイクログラム以下)しか含まないフォーム(52)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ジイソシアネートモノマーがメチレンジフェニルジイソシアネートである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1で定義した反応生成物を含むフォームであって、フォーム(52)のフリーライズ密度が1立方フィート当たり約3.0ポンド(1 m3当たり約48 kg)未満であるフォーム。
【請求項6】
第1の成分が水をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
反応生成物のゲルタイムが約2から約10秒である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1で定義した反応生成物を含むフォーム(52)であって、フォーム(52)は所定の質量を有し、フォーム(52)を約50℃の温度および相対湿度95%に7日間置くと、フォーム(52)が前記質量の約30%未満の量の水を吸収するフォーム。
【請求項9】
前記少なくとも1種のポリオールが、
スクロース開始ポリオールと多価エーテル開始ポリオールとを含む第1の構成要素((ここで、第1の構成要素は、約4から約5の官能性を有する)と、
約2.5から約3.5の官能性を有するアミン開始ポリオールを含む第2の構成要素と
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
第1の成分が、ポリウレタンの架橋を引き起こすのに有効な量でポリエチレングリコールをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
第1の成分が、ポリウレタンの架橋を引き起こすのに有効な量でグリセリンをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
第1の成分が、少なくとも1種の触媒を、前記少なくとも1種のポリオールと前記少なくとも1種のポリイソシアネートとの反応、および前記少なくとも1種のポリイソシアネートと前記水との反応から選択される少なくとも1つの反応の触媒として働くのに有効な量でさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
第1の成分が、少なくとも1種の界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種のポリイソシアネートが、約2から約3の官能性を有するジフェニルメタンジイソシアネートポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
第1の成分が、スクロース開始ポリオールと多価エーテル開始ポリオールとを含む第1のポリオール構成要素を含み、第1の構成要素は、第1の成分の約50から約70質量パーセントの量で存在し、
アミン開始ポリオールを含む第2のポリオール構成要素が、第1の成分の約10から約30質量パーセントの量で存在し、
少なくとも1種のヒドロキシ官能性架橋剤が、第1の成分の約5から約15質量パーセントの量で存在し、
水が、第1の成分の約1から約5質量パーセントの量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
第2の成分のイソシアネート官能基含有量が少なくとも約20質量パーセントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
反応生成物(52)のクリームタイムが約1秒未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
ポリウレタンフォーム(52)を製造する方法であって、
音響擾乱を受ける、空洞を有する構造物(46、48)を準備する工程と、
少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種の発泡剤を含む第1の液体成分を準備する工程と、
少なくとも1種のポリイソシアネートを含む第2の液体成分を準備する工程であって、第2の成分中のイソシアネート当量数の、第1の成分中のヒドロキシル当量数に対する比が、1.0未満である工程と、
第1の液体成分と第2の液体成分とを混合し、第1の液体成分と第2の液体成分との組合せ物を、前記組合せ物がフォーム(52)を形成するように前記空洞に分注する工程と
を含む方法。
【請求項19】
第1の液体成分と第2の液体成分との組合せ物を空洞に分注する前記工程が換気装置なしで行う、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第1の液体成分と第2の液体成分との組合せ物(52)のクリームタイムが約1秒未満である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
第2の液体成分のイソシアネート官能基含有量が少なくとも約20質量パーセントである、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
第1の液体成分が第2の液体成分と反応して、放出される遊離ジイソシアネートモノマーをフォーム1ポンド当たり約0.5マイクログラム未満(1 kg当たり1.1マイクログラム未満)しか含まない反応生成物(52)を生成する、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
第1の液体成分と第2の液体成分とを混合する工程を約40℃から約49℃の反応温度で実施する、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
第2の成分中のイソシアネート当量数の、第1の成分中のヒドロキシル当量数に対する比が、0.91以下である、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1種のポリオールが、
スクロース開始ポリオールと多価エーテル開始ポリオールとを含む第1の構成要素(ここで、第1の構成要素は、約4から約5の官能性を有する)と、
約2.5から約3.5の官能性を有するアミン開始ポリオールを含む第2の構成要素と、
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1種のポリイソシアネートが、約2から約3の官能性を有するジフェニルメタンジイソシアネートポリマーである、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記発泡剤が水である、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
フォーム(52)のフリーライズ密度が、1立方フィート当たり約3.0ポンド(1 m3当たり約48 kg)未満である、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−503296(P2011−503296A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533256(P2010−533256)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/082723
【国際公開番号】WO2009/061982
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【出願人】(510126184)
【Fターム(参考)】