説明

ポリウレタン成形品およびその製造方法

【課題】ポリウレタンおよびポリウレタンからなる成形品から放散されるホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドの量を低減する。
【解決手段】ポリイソシアネートと、ポリオール、触媒および架橋剤を含んでなるポリオール混合物から、ポリウレタン成形品を成形するに際し、ポリオール混合物100重量部に対して、0.05〜3.0重量部の、ヒドラジン化合物を予めポリオール混合物に添加してなる事を特徴とするポリウレタン成形品、ならびに
ポリウレタン成形品を構成する要素上にヒドラジン化合物が0.1g/m〜10g/mの量で塗布されていることを特徴とするポリウレタン成形品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドの放出が極力抑制されたポリウレタン成形品、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンには、その発泡体として、軟質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォームあるいは半硬質ポリウレタンフォームがあり、種々の用途に使用される。用途の例は、家具用クッション、各種自動車用途(例えば、クッション、自動車のアームレスト、ハンドル、チェンジノブ、天井材、インストルメントパネルなどの内装品、ドアートリム構造材)、合成木材、あるいは断熱材などである。
【0003】
ポリウレタンは、応用分野の物性、反応性、成形性などに対するニーズに合わせて、ポリイソシアネートと、種々のポリオール、触媒、架橋剤、必要に応じて、発泡剤、整泡剤、補強剤及びその他の助剤の混合物(以下ポリオール混合物という)を混合し反応させることによって得られる。
【0004】
また、ポリウレタンを成形し成形品にする際は、ポリイソシアネート成分とポリオール混合物を、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート当量とポリオール混合物中のポリイソシアネートと反応する活性水素を持つOH基あるいは1級あるいは2級アミン基あるいは水の活性水素の平均当量の比で混合すれば良い。
【0005】
シックハウス症候群を出発点にした種々のプラスチックにおける揮発性有機化合物(VOC)問題において、特に原料としてホルムアルデヒドを使う尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂あるいはポリアセタール樹脂、ならびにこれら樹脂をバインダーとして使って建材に使われているパーティクルボードなどが問題の中心となっている。
【0006】
WHOから有害物質と指定されているアルデヒド類、特にホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの放出に関して、WHOあるいは厚生労働省の指針では、ホルムアルデヒドあるいはアセトアルデヒドの濃度基準が、それぞれ100μg/m[0.08ppm(vol/vol)]および48μg/m(0.03ppm)以下となっている。このため、居住空間のアルデヒド濃度を低下させるための種々の検討が行われており、いわゆるアルデヒド捕捉剤あるいは屋内用消臭剤などが提案されてきている(特開平10−298401、特開平10−36524、特開平11−299878、特許第3431826、特許第3400985、特開2001−164089、特開2004−181045を参照できる。)。
【0007】
一方、ポリウレタンは、構成原料にアルデヒド類を使っていないこともあり、従来アルデヒド類の発生源とは考えられていなかった。本発明者は、成形後3日の硬質および軟質ポリウレタンフォームを含む種々のポリウレタンフォーム各60gを、2リットル容器に詰めて、25℃で7日間放置後、ホルムアルデヒド用北川式検知管(No.171SC)を使いアルデヒド(アセトアルデヒド分含む)濃度を測定(25℃)した。その結果、検知されたアルデヒド濃度は、最大で0.6ppm[アルデヒド放出量(ホルムアルデヒド換算)のポリウレタンフォーム1g当たり換算は0.026μg]でしかなかった。仮に、10mの空気中に6kgのポリウレタンフォームが25℃の密閉状態で存在したとしても、アルデヒド濃度0.01ppmにしか相当せず、ポリウレタンフォームは常温で使用する限りアルデヒドの放出源とは考えにくい。
【0008】
通常、常温で問題とされる建築用途のVOC問題とは異なり、自動車用途のポリウレタンにおいては、特に、自動車が夏場に密閉状態で放置され車内が高温になっている状態で運転者が乗り込んだ場合の刺激臭、あるいは眼に対する刺激などが有り、アルデヒド類の発生放出を抑制または捕捉を検討する際には、建築用途などに比べ条件は大きく異なる。
【0009】
本発明者らは、ポリウレタンが高温状態でアルデヒド類の発生放出原因になりうるかどうかを調査するために、作成3日後の、前述の種々の用途に使われる軟質および硬質などの各種ポリウレタンフォームの65℃におけるアルデヒド放出量を調査した。窒素シールされた2Lテドラーバッグ中に、65℃で2時間保管されたサンプルから放出されるホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドの量がどの程度であるかを測定した。(アルデヒド捕集(DNPH)カートリッジに捕集し、高速液体クロマトグラフ(HPLC)で分析)その結果、放出量は、ポリウレタンフォームの種類により、程度は異なるが、ポリウレタンフォーム1g当たり、ホルムアルデヒドで0.04から0.35μg/gまたアセトアルデヒで0.05から0.15μg/gの範囲であった。なお、アルデヒド(ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの合計)放出量をホルムアルデヒド換算すると0.07から0.45μg/gであった。
【0010】
ポリウレタンフォーム中のセル(気泡)の構造により、アルデヒド類の放出量が異なり、セルがクローズセル(独立気泡)構造のポリウレタンフォームよりもオープンセル(連通気泡)構造を持つポリウレタンフォームからの放出が多いことが分かった。その中でも、オープンセル構造を持つ自動車の内装材主に天井材に使われる硬質ポリウレタンフォームからのアルデヒド放出量が、ポリウレタンフォームの単位重量当たりとして最も多いことが判明した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは、自動車が夏期に密閉状態で放置され車内が高温状態になっている状態を想定し、主に、自動車の内装材として用いられ、50%以上のオープンセル(連通気泡)構造を持つポリウレタンフォームの成形品から高温下で放出されるアルデヒド類(ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド)の量の低減方法について鋭意検討開発を行った。
【0012】
本発明の目的は、ポリウレタンの構成原料において、アルデヒド類を放出する各原料は、ポリウレタンの製造上欠かせないものも多い。ポリウレタンの使用原料からこれらを排除することなく、必要に応じて自由に使うことが可能となり、それらを使用するに当たりなおかつポリウレタン成形品から、高温下で放出されるホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド等のアルデヒド類の放出量を低減する方法について提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するために検討を重ねた結果、次のポリウレタン成形品および製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
本発明によれば、アルデヒド捕捉剤は、ポリウレタン成形品の内部に添加する内部添加剤として使用できる。
1つの要旨によれば、本発明は、ポリイソシアネートと、ポリオール、触媒および架橋剤を含んでなるポリオール混合物から、ポリウレタン成形品を成形するに際し、ポリオール混合物100重量部に対して、0.05〜3.0重量部のヒドラジン化合物を、予めポリオール混合物に添加してなる事を特徴とするポリウレタン成形品を提供する。
このポリウレタン成形品は、ポリイソシアネートとポリオール混合物からポリウレタン成形品を成形するに際し、ポリオール混合物100重量部に対して、0.05〜3.0重量部の、アルデヒド捕捉剤としてのヒドラジン化合物を予めポリオール混合物に添加することを特徴とするポリウレタン成形品の製造方法によって製造できる。
【0015】
本発明によれば、アルデヒド捕捉剤は、ポリウレタン成形品の外部に添加する外部添加剤としても使用できる。
別の要旨によれば、本発明は、ポリウレタン成形品を構成する要素上に、アルデヒド捕捉剤としてのヒドラジン化合物が0.1g/m〜10g/mの量で塗布されていることを特徴とするポリウレタン成形品を提供する。
アルデヒド捕捉剤を外部添加剤として含むポリウレタン成形品は、例えば、次のようにして製造することができる。
(1)ヒドラジン化合物を0.1重量%から10重量%の濃度で水に溶かした水溶液を要素の表面に塗布する。
(2)ヒドラジン化合物を離型剤とともに型の表面に塗布した後に、ポリウレタン成形品を成形して、ポリウレタン成形品を得る。
(3)ヒドラジン化合物を表皮材の内表面および/または裏打ち材の外表面に塗布後、これらを型内に設置してポリウレタン原料を注型してポリウレタン成形品を得る。
(4)ポリウレタンスラブをスライスして得たシート状ポリウレタンフォームを補強用繊維でサンドイッチ状にはさみ、接着剤としてのポリイソシアネートを、触媒および水とともに、加熱型で、固化させ、サンドイッチ状補強ポリウレタン成形品を成形するに際し、触媒および水に、ヒドラジン化合物を触媒および水の合計100重量部に対して0.1重量部から30重量部で加える。
(5)表皮層を形成する塗料を型に塗布した後にポリウレタン成形品を成形することによって表皮層で覆われたポリウレタン成形品を得るインモールド成形するに際し、ヒドラジン化合物を1重量%から10重量%の濃度で含む塗料をインモールドコート剤として使用する。
【発明の効果】
【0016】
ヒドラジン化合物から選ばれる少なくとも1種を、予めポリオール混合物に添加することにより、ポリウレタン成形品から発生するアルデヒド類の放出量を極めて少なく出来る。
又、ヒドラジン化合物から選ばれる少なくとも1種を、水溶液にしてポリウレタン成形品の表面に塗布、あるいは型内に塗布する離型剤に添加することにより、ポリウレタン成形品の表面に転写することにより、ポリウレタン成形品から発生するアルデヒド類を極めて効果的に捕捉出来る。一般に、成形後間もない(成形後3から7日)オープンセル構造を持つポリウレタンフォームの成形品から65℃で2時間の間に放出されるポリウレタンフォーム1g当たりのアルデヒド(ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの合計)放出量(ホルムアルデヒド換算)が0.10μg/g以下である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
初めに、本発明者は、アルデヒド類の発生が比較的多い、用途が自動車の成形天井である低密度(0.03g/cm)のオープンセル構造(連通気泡率50から90%:ASTM D6226−98に準拠して測定)の硬質ポリウレタンフォーム(実際にはガラスマットで補強し熱プレス法で成形後使用)10gを、1Lのテドラーバッグ(窒素封入)に入れ、65℃で2時間ごとに窒素を入れ替えながら、ホルムアルデヒド用北川式検知管(No.171SC)を使い、各2時間ごとで発生するアルデヒド濃度(ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド)を測定した。その結果、初期に2.5ppmの濃度[ポリウレタンフォーム1g当たりのアルデヒド(ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの合計)放出量(ホルムアルデヒド換算)では0.30μg/g]で検出されたアルデヒドが、65℃で2時間の熱履歴を7回目繰り返した時の測定結果では0.6ppm[ポリウレタンフォーム1g当たりのアルデヒド(ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの合計)放出量(ホルムアルデヒド換算)では0.07μg/g]まで下がることを確認した。7回目までの積算アルデヒド(ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの合計)放出量(ホルムアルデヒド換算)は1.0μg/(1g硬質ポリウレタンフォーム)であった。この硬質ポリウレタンフォームからの65℃のアルデヒドの放出量は熱履歴により初期値より減少するが、この熱履歴を工程で実施することは多大の工数と費用がかかり実質上困難であり、実用的ではない。
【0018】
また、この間のホルムアルデヒド用北川式検知管(No.171SC)で測定した硬質ポリウレタンフォームからのアルデヒド濃度(ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド)とDNPHカートリッジに捕集しHPLCで分析した結果とが一致していたことから、ホルムアルデヒド用北川式検知管(No.171SC)がホルムアルデヒドとアセトアルデヒドのアルデヒド濃度の測定に有効であることを確認した。
【0019】
本発明者は、ポリウレタン用原料が液体であることから、その原料中からアルデヒド類を排除する可能性についてまず検討を行った。
【0020】
ポリウレタンの成形に使用される種々のポリイソシアネート、ポリオール、触媒、架橋剤などを分析し、各原料中のアルデヒド類の濃度をHPLC法にて測定した。
その結果、触媒として使用するアミン、特に3級アミン、たとえばペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルエタノールアミン、ビスジメチルアミノエチルエーテル、あるいは架橋剤として使用するアミン、特にアルカノールアミン類、たとえばジエタノールアミンやトリエタノールアミン、あるいはポリオールの出発原料として1級アミン、たとえばエチレンジアミンを用いて製造した短鎖ポリエーテルポリオール(分子量例えば、100〜1000)、ならびにポリエステルポリオール、(分子量例えば、200〜1000)が、2ppmから100ppmを越すホルムアルデヒドあるいはアセトアルデヒドを含有していることがあることが判明した。
ただし、ポリイソシアネートからは、分析測定の下限値(1ppm)以上のアルデヒド類は検出されなかった。
【0021】
上記のアミン触媒や架橋剤や特定のポリオール成分を含むオープンセル構造を持つ硬質および軟質ポリウレタンフォーム用に処方されたポリオール混合物中のアルデヒド類の含有量をHPLC法にて測定したところ、処方によっては、ホルムアルデヒドあるいはアセトアルデヒドの濃度がそれぞれ10ppmおよび12ppmに達するものがある事が判明した。
【0022】
次に、オープンセル構造を持つ硬質および軟質ポリウレタンフォーム用のポリオール混合物中のアルデヒド類と反応し、フォームを作成する前に、捕捉しうると考えられる物質をポリオール混合物に添加したものを1L缶に40g入れて、65℃で1時間加熱した後、アルデヒド類濃度をホルムアルデヒド用北川式検知管で調査した。ポリオール混合物に添加してアルデヒドの捕捉効果がみられた物質について、ポリウレタンフォームを作成し、その成形品から放出されるアルデヒド類を調査し、効果的なアルデヒド捕捉剤を以下のように見出した。
結果を以下に述べる。
【0023】
a)活性炭あるいはシリケート系吸着剤は、効果が見られなかった。
b)特開昭52−5872には、カゼインプラスチックの処理法として、尿素およびアンモニューム塩が提示されているが、効果のあるものが見つからなかった。
c)特公平07−025990には、フェノール樹脂結合剤のアンモニア処理が提示されているが、効果のあるものが見つからなかった。またアンモニアの残存を考えると臭い低減も考えるべき本検討にはそぐわない。
d)特開2000−80246、特開2000−80247、特開2000−344998にはポリアセタールおよび熱硬化性樹脂に対するヒドラゾ化合物が提示されている。
ただし、ヒドラゾ化合物の中にはポリオールにほとんど溶けないもの、あるいはポリオールに溶けても、アルデヒド吸収性能を示さないものが数多く見られた。
【0024】
e)特開2000−169757には、一般的な用途として室内の内装用塗装壁材のアルデヒド化学吸着剤としてアミン類、尿素類、アミド類、イミド類、ヒドラジド類、アゾール類、アジン類の使用が提示されている。ただし、ポリウレタン樹脂への使用においては、アミン類はポリウレタン原料としてみればむしろアルデヒドの供給源となり、尿素類、アミド類、イミド類は効果が観られず、またアゾール類、アジン類からも効果あるものが見つからなかった。
ポリウレタン樹脂への使用について明示していないヒドラジド類が効果を示すことがわかった。
f)特開2004−189824、特開2004−141222には木質材料に対するアルデヒド捕捉剤として、ヒドラジンと界面活性剤の組み合わせが提示されている。一般的な用途で使用する記載はあるが、ポリウレタン樹脂への使用については明示していない。ポリウレタン樹脂に対してヒドラジン化合物に効果が観察された。
【0025】
g)特開平10−36524には、アルデヒドを生成する樹脂の梱包材としての熱可塑性樹脂にヒドラジンを添加する事が提示されている。熱可塑性樹脂の中に、ウレタン系樹脂が含まれているが、この場合も明らかにアルデヒドを発生すると考えられているポリオキシメチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、フェノール樹脂、あるいはアミノアルデヒド系樹脂を、高温で保存した場合に発生したアルデヒド臭をヒドラジノ基またはヒドラゾノ基を有する化合物を含む熱可塑性樹脂のフィルムで梱包し、アルデヒド臭の刺激の低下度を調査したものであり、解決しようとしているアルデヒドの濃度と熱硬化樹脂としてのポリウレタン樹脂を対象とした本発明とは目標、対象、使用法が大きく異なる。
【0026】
以上の情報および結果は、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドが化学分解によって容易に生成しうると同時に、化学的に高活性の化合物である為に、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドが一定以上の濃度(たとえば数10mg単位のアルデヒド)で存在していれば、種々の吸収剤が化学反応によりホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドを固定しうる可能性を持っている事を示している。しかしながら、全ての化学反応は、反応物質の濃度に大きく影響され、もともとのアルデヒド発生濃度が非常に低いポリウレタンに関する本検討の場合、効果を現しうるアルデヒド捕捉剤はかなり限定される様である。
【0027】
上記の結果から、ポリウレタンに対して、原料中に添加してアルデヒド放出を低減しうる効果を示すアルデヒド捕捉剤(添加剤とも言う)は、ヒドラジン化合物に限定されることを確認し、ポリウレタン用の原料側から対策し得るアルデヒド捕捉剤としての使用方法について以下の事を確認し、ポリウレタン原料側からの内部添加によるアルデヒド低減対策を見出した。
【0028】
アルデヒド捕捉剤としてのヒドラジン化合物をポリウレタン用の原料に添加する場合は、原料であるポリイソシアネート中のアルデヒド類が分析測定の下限値(1ppm)以下であること、およびポリイソシアネートと反応する性質を有していることから、原料であるポリイソシアネートに添加するのは得策ではなく、アルデヒド類の発生源が原料のポリオール混合物であることから、ポリオール混合物側に添加するのが得策であり、予めポリオール混合物に添加することにより、ポリオール混合物中のアルデヒド類を捕捉するのが好ましい。またポリオール原料に添加しアルデヒド類を捕捉した残りのヒドラジン化合物は、ポリウレタン成形時にポリウレタン成形品に固定化されるため、ヒドラジン化合物の染み出し、あるいは気化などによって、使用者への皮膚接触あるいは臭気発生などによる悪影響が無く好ましい。
【0029】
ポリオール混合物に予め添加するヒドラジン化合物添加量は、ポリオール混合物100重量部に対して0.05から3.0重量部で良く、好ましいのは0.1から2.0重量部であり、更に好ましいのは0.1から1.5重量部である。ヒドラジン化合物添加量が0.05以下では 効果が乏しく、3.0以上では製品の物性、例えば、ポリウレタンフォーム成形品を冷却した場合の収縮を引き起こす。予めヒドラジン化合物を添加したポリオール混合物はアルデヒド類の捕捉のため、20℃から90℃の範囲、好ましくは40℃から70℃で、ポリオール混合物中のアルデヒド類の含有量やヒドラジン化合物添加量によって変わるが5分以上、好ましくは60分以上攪拌するのが好ましい。
【0030】
ポリオール混合物を調製する際に、アルデヒド類の含有量が高いと判明されるものを使用する場合、例えば、3級アミン触媒、架橋剤として使われるアルカノールアミン類、1級アミンを出発原料として用いて製造した短鎖ポリエーテルポリオール、あるいはポリエステルポリオールなど、これら100重量部に対して、予め1重量部から30重量部、特に3重量部から20重量部のヒドラジン化合物を加えることが好ましい。その後、アルデヒド類の含有量が低いポリオール等を加えてポリオール混合物とすることが有効である。
【0031】
本発明の目的は、ポリウレタンから作られた商品(成形品)から、実用に際してアルデヒド類が発生し、使用者に不快感を与えまた健康上の問題が発生しないようにする事である。
ポリウレタン用の原料側からの対策の他に、ポリウレタン成形品への外部添加によって、アルデヒド類の放出量を低減させる対策についても検討を行った。
【0032】
ポリウレタン成形品から発生し放出されるアルデヒド量の低減対策として、アルデヒド類と反応する事でアルデヒド類を捕捉する化学物質を、その成形品に直接塗布することはいたって簡単な発想である。重要な点は、塗布する化学物質において、どのようなものが最も適しており、どの程度の量を成形品に外部添加すれば成形品からアルデヒドの放出を長期間あるいは半永久的にわたって止めることが可能かと言う事になる。また、その化学物質にアルデヒド類を捕捉する効果が有っても、強い臭気を持ちまた蒸気圧が高く使用者に対して刺激を与えるようなものであっては、本目的にそぐわない事になる。
【0033】
アルデヒド(ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの合計)放出量(ホルムアルデヒド換算)が、1.0μg/(1gポリウレタンフォーム)程度以下であれば、微量のアルデヒド捕捉剤を成形品の表面近くに応用するだけで、ポリウレタン成形品から放出されるアルデヒド類を充分にかつ継続的に吸着できる。アルデヒド捕捉剤は、アルデヒド類の放出量が比較的多いポリウレタン成形品のアルデヒド低減対策に対して特に有効である。
【0034】
ポリウレタン成形品に対してアルデヒド捕捉剤を、どのように外部添加すれば効率よくアルデヒド類が捕捉できるかについて以下の検討を行った。得られた結論および結果を以下に示す。
i)アルデヒド捕捉剤は、作業時における人体への皮膚刺激などの影響を考えると、取扱いの量が少なくできるように、微量でアルデヒド類の捕捉効果を示すものが好ましい。
ii)ホルムアルデヒドのみならずアセトアルデヒドに対しても優れた吸着効果を示すものは、低分子量鎖状ヒドラジン化合物である。低分子量鎖状ヒドラジン化合物の分子量は、例えば、32〜400、特に50〜200である。低分子量鎖状ヒドラジン化合物の例としては、水加ヒドラジン、炭酸ヒドラジン、フェニルヒドラジン、2-ヒドロキシエチルヒドラジン、あるいはヒドラジン当量200以下のヒドラジドが挙げられる。より望ましいヒドラジド類は、カルボ(ジ)ヒドラジド、酢酸ヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジドである。
なお、ここに言うヒドラジン化合物のヒドラジン当量とは、ヒドラジン化合物の分子量をヒドラジン化合物中のヒドラジン基(すなわち、―NH基および―NH基や―N−NH基)の数で除した値である。
【0035】
iii)好ましいアルデヒド捕捉剤である水加ヒドラジン、フェニルヒドラジン、炭酸ヒドラジンあるいはヒドラジド化合物を塗布するに際して、各種溶剤が用いられるが、水あるいはエタノールの使用が好ましい。より好ましいのは水である。水に溶けた捕捉剤がポリウレタンフォームのオープンセル中にある程度滲みこんだ場合でもその効果への影響は少なく、最終的に水は蒸発してアルデヒド捕捉剤の薄い膜がポリウレタンフォームの表面に残る事になると考えられる。
使用するアルデヒド捕捉剤の溶液において、溶剤(特に、水)100重量部に対して、アルデヒド捕捉剤0.1〜10.0重量部であって良く、更に良いのは0.1〜5.0重量部である。
【0036】
iv)水に溶解したアルデヒド捕捉剤を、成形品表面にハジキを起こさず均一に塗布する為に、界面活性剤を水に加える事も更に効果的である。界面活性剤の量は、水100重量部に対して、10重量部以下、特に0.05〜5.0重量部であって良い。更に良いのは0.2〜3.0重量部である。界面活性剤としては、通常ポリウレタンフォーム用に使われるものが良い。界面活性剤の例は、ノニオン性界面活性剤およびイオン性界面活性剤である。
v)アルデヒド捕捉剤が有効に働く為には、捕捉剤はポリウレタン成形品の表面付近に比較的均一に存在していれば良く、必ずしもポリウレタンフォーム部表面に直接アルデヒド捕捉剤を塗布する必要はない。必要なアルデヒド捕捉剤としてのヒドラジン化合物がポリウレタン成形品を構成する要素の表面上に塗布される量は0.1g/m〜10g/mである。好ましい範囲としては0.3g/m〜5.0g/mである。
【0037】
ポリウレタン成形品を構成する要素は、
ポリウレタンフォーム部a)ならびに
必要に応じて存在する
ポリウレタンフォーム部の外表面上の表皮層b)、
ポリウレタンフォーム部a)と表皮層b)との間の、接着剤層c)および/または補強層d)、
ポリウレタンフォーム部a)の内表面上の裏打ち層e)
である。
外部添加において、アルデヒド捕捉剤が、ポリウレタンフォーム部a)、表皮層b)、接着剤層c)、補強層d)および裏打ち層e)の外表面および内表面からなる群から選択された少なくとも1つの表面に塗布されていれば良い。
【0038】
ポリウレタンの成形に際して、アルデヒド捕捉剤をポリウレタンフォーム部以外の部材へ、生産効率良く塗布するために種々の方法を検討した。それらの例を以下に示す。
【0039】
(1)ポリウレタン成形の際に使用する離型剤に、アルデヒド捕捉剤を前もって混ぜておき、離型剤と一緒に型へ塗布する方法。
(2)ポリウレタンの成形に際し、予め成形型の内面に塗布しておき、ポリウレタン成形品の表面(塗膜の表皮)となるインモールドコート用塗料(In−Mold−Coat剤という)にアルデヒド捕捉剤を混合する方法。
(3)ヒドラジン化合物をポリイソシアネートと反応する性質を有しているにもかかわらず、驚くべきことに、特開2001−47544にあるような、シート状に切り出された熱成形可能なポリウレタンフォーム、およびその表裏両面に重ねられた補強材および表皮材、それらどうしを互いに接着する熱硬化型接着剤を重ねて80℃から150℃の加熱金型内で接着剤を圧縮硬化させ、サンドウィッチ構造を有する自動車内装材を成形する方法においては、接着剤であるポリイソシアネート(ジフェニルメタンジイソシアネート)を補強材に塗布し、ポリウレタンフォームに水と触媒(必要に応じて、ポリオールなどを添加)を塗布し、圧縮硬化させる場合、その水と触媒の成分に対してアルデヒド捕捉剤を添加する方法でも効果があることが判明した。その理由は定かではないが、ポリイソシアネートを塗布した補強材とヒドラジン化合物を添加した水と触媒の成分を塗布したポリウレタンフォームを圧縮硬化した時にポリウレタンフォームに塗布したヒドラジン化合物がポリウレタンフォーム中から放出したアルデヒド類が捕捉するためと推測される。その場合の接着剤を圧縮硬化する条件は、加熱温度は80℃から150℃であり、好ましくは100℃から140℃であり、圧縮硬化時間は10〜100秒であり、好ましくは20〜60秒とすることが好ましい。水と触媒の成分へのヒドラジン化合物の添加量は水と触媒の合計100重量部に対して0.1重量部から30重量部で加えるのが良い。ヒドラジン化合物のポリウレタンフォームへの塗布量はポリウレタンフォームからのアルデヒド類の放出量やヒドラジン化合物の濃度によって変わるが0.1g/m〜10g/mの量で良い。
【0040】
このように、ポリウレタン成形品の表面が、他の部材例えば表皮や裏打材付の表皮で覆われたり、補強材、接着剤あるいは保持部品などと一体で成形される場合や、サンドイッチ構造を有する場合は、それらへのアルデヒド捕捉剤の塗布あるいは接着剤に前もってアルデヒド捕捉剤を溶解して塗布使用しても、充分な効果が得られる。また成形型からの脱型をしやすくするために使われる離型剤などへ混合しておき、離型剤と一緒に型へ塗布することでも充分な効果が得られる。
【0041】
本発明で使用するアルデヒド捕捉剤を以下に説明する。
アルデヒド捕捉剤は、ヒドラジン化合物である。ヒドラジン化合物は、ヒドラジンまたはその誘導体であり、ヒドラジド化合物をも包含する。ヒドラジン化合物は、一般に、ヒドラジン基(例えば、―NH基、―NH基または―N−NH基)を有する化合物である。
ヒドラジンまたはその誘導体として、例えば、アルキルヒドラジン類(例えば、メチルヒドラジン、ジメチルヒドラジン、エチルヒドラジンなどのC1−10アルキルヒドラジン)、アリールヒドラジン類(例えば、ヒドラジノベンゼン、ヒドラジノトルエンなどのC6−14アリールヒドラジン)、ヒドラジノカルボン酸類(例えば、カルバジン酸、ヒドラジノ酢酸、α−ヒドラジノプロピオン酸、α−ヒドラジノイソ酪酸、ヒドラジノ安息香酸など)、炭酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、リン酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジンあるいは結晶水を持つ水加ヒドラジン(水和ヒドラジンともいう)、ヒドラジド化合物、ヒドラゾン類などが含まれる。
アルキルヒドラジンは、例えば、ヒドラジンとヨウ化アルキルとの反応などにより生成する。アリールヒドラジンは、例えば、芳香族炭化水素のジアゾニウム塩を塩化スズと塩酸などで還元して得られる。ヒドラジノカルボン酸類は、例えば、イソニトロアミノカルボン酸をナトリウムアマルガムなどで還元して得られる。
【0042】
ヒドラジド化合物としては、分子中に少なくとも1個のヒドラジド基を有する化合物の中から適宜選択することができる。例えば、分子中に1個のヒドラジド基を有するモノヒドラジド化合物、分子中に2個のヒドラジド基を有するジヒドラジド化合物、分子中に3個以上のヒドラジド基を有するポリヒドラジド化合物、又はこれらの混合物等を挙げることができる。
モノヒドラジド化合物の具体例としては、例えば、一般式(1):
R−CO−NHNH2 (1)
[式中、Rは水素原子、アルキル基又は置換基を有することのあるアリール基を示す。]
で表されるモノヒドラジド化合物を挙げることができる。
【0043】
上記一般式(1)において、Rで示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基等の炭素数1〜12の直鎖状アルキル基を挙げることができる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。またアリール基の置換基としては、例えば、水酸基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基等を挙げることができる。
モノヒドラジド化合物の具体例として、ラウリン酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、p−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド、ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド等を例示できる。
【0044】
ジヒドラジド化合物の具体例としては、例えば、一般式(2):
2NHN−X−NHNH2 (2)
[式中、Xは基−CO−又は基−CO−A−CO−を示す。Aはアルキレン基又はアリーレン基を示す。]
で表わされるジヒドラジド化合物を挙げることができる。
上記一般式(2)において、Aで示されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基等の炭素数1〜12の直鎖状アルキレン基を挙げることができる。アルキレン基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば水酸基等を挙げることができる。アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基等を挙げることができる。
【0045】
ジヒドラジド化合物の具体例として、炭酸とヒドラジンとの反応により生成するカーボジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、ダイマー酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド等の2塩基酸ジヒドラジド等が挙げられる。更に、特公平2−4607号公報に記載の各種2塩基酸ジヒドラジド化合物、2,4−ジヒドラジノ−6−メチルアミノ−sym−トリアジン等が挙げられる。
ポリヒドラジド化合物は、具体的には、ポリアクリル酸ヒドラジド等である。
これらのヒドラジン化合物は1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0046】
好ましいヒドラジン化合物としては、ヒドラジン化合物のヒドラジン当量が200以下である。さらに好ましいヒドラジン当量は100以下であり、特に好ましいのは50〜100である。またヒドラジン化合物は鎖状であることが好ましい。ヒドラジン当量が200以下で鎖状であればアルデヒド類との反応性が高くアルデヒド類の捕捉性がより良い。またポリオール混合物に加えた場合や特定のポリオール成分に対して溶解しやすく、ポリウレタン成形品への塗布においても溶剤として用いる水に溶解しやすくアルデヒド類の捕捉性効果が高まる。また作業性等も容易になる。
【0047】
特に好ましいヒドラジン化合物は、水加ヒドラジン、炭酸ヒドラジン、フェニルヒドラジン、2-ヒドロキシエチルヒドラジン、カルボ(ジ)ヒドラジド、酢酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジドである。これらのヒドラジン化合物は、ポリオールなどに溶解する。
【0048】
本発明は、ポリウレタンの種類、例えば硬質ポリウレタンや軟質ポリウレタンまた半硬質ポリウレタンであるかは問わない。例えば、ポリオール成分が末端に活性基としてアミン基を含み、ポリウレタンの一部あるいは大半がウレタン結合で無くウレア結合を持つ場合も含む。さらに、ポリウレタン成形品は、発泡したフォーム、非発泡の成形品、やわらかいエラストマーあるいは剛性体であるかの種類は問わない。
【0049】
本発明に用いられるポリイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、これらのポリイソシアネートをウレタン変性したり、アロファネート変性、カルボジイミド変性、イソシアヌレート変性した変性ポリイソシアネート、これらの混合物などがある。
【0050】
ポリオールとしては、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、蔗糖などの水酸基含有化合物、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミノ基や水酸基を含有する化合物、あるいはエチレンジアミン、ジアミノトルエンなどのアミノ基含有化合物にエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加した分子中に2〜6個の水酸基を含有し、平均水酸基当量が100〜3000のポリエーテルポリオール、あるいはこれらのポリエーテルポリオールにビニル化合物を付加重合したポリマーポリオールなどが用いられる。
また、ポリカルボン酸と低分子量の水酸基含有化合物から得られるポリエステルポリオール、カプロラクトンを開環重合して得られるラクトン系ポリエステル、ポリカーボネートポリオール、テトラヒドロフランの開環重合から得られるポリテトラメチレングリコール、ポリエーテルポリオールの水酸基をアミノ化し、あるいはポリエーテルポリオールのイソシアネートプレポリマーを加水分解して得られるポリエーテルポリアミンであって、平均活性水素当量が100〜3000のものも使用できる。
【0051】
触媒としては、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、1,8ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7、ジメチルアミノエタノール、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルなどの第3級アミンやジブチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、ジブチル錫ジアセテートなどの有機金属化合物などが用いられる。
【0052】
架橋剤としては、分子量が62〜300の2価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、アルカノールアミン類であるジエタノールアミンやトリエタノールアミン、芳香族ジアミン類であるジエチルトルエンジアミン、t−ブチルトルエンジアミン、ジエチルジアミノベンゼン、トリエチルジアミノベンゼン、テトラエチルジアミノジフェニルメタンなどが必要に応じて用いられ、これらにアルキレンオキシドを付加したポリエーテルポリオールなども用いられる。特公昭54−17359号公報、特開昭57−74325号公報、特公昭63−47726号公報、特公平1−34527号公報などに記載されている。
【0053】
助剤として、気泡安定剤、例えばシリコーン系整泡剤、界面活性剤、相溶剤、耐候剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス〔メチレン 3−(3`,5`−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、着色剤などが必要に応じて用いられる。補強材としてガラス質、無機質、鉱物質などのファイバー、例えばミルドグラスファイバー、ワラストナイトファイバー、プロセストミネラルファイバーあるいはフレーク、例えばマイカ、ガラスフレークなども必要に応じて用いられる。これらの助剤はポリオール混合物に普通加えられる。
【0054】
発泡剤としては、ポリウレタン発泡機の仕様に応じて、液体炭酸ガス、低沸点液体である炭化水素、ペンタン、シクロペンタン、フロン、たとえばHCFC141b、HFC245fa、HFC365mfc、あるいは水およびこれらの混合物が自由に選択使用できる。アミン化合物の炭酸塩あるいは、蟻酸などの有機酸をポリオールに混合して使用することも可能である。
【0055】
このようにして得られたポリウレタン成形品は、ポリオール混合物にアルデヒド捕捉剤を予め添加しても、またポリウレタン成形品を構成する要素上に塗布しても、成形後3から7日にあって、65℃で2時間の条件でのアルデヒド類の放出量が、ポリウレタン成形品1g当たり0.10μg以下、好ましくは0.07μg以下が良い。
またアルデヒド類の捕捉効果(アルデヒド捕捉剤無添加からの減少率)は、30〜90%特に50〜70%が可能である。
また、成形品に限らずフリーライズド発泡によるポリウレタンフォームにおいても、成形品と同様にアルデヒド類の捕捉効果が得られこと、それによってアルデヒド類の放出量の低減が計れる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明する。なお、以下の例において、部および%は、特記しない限り、重量部および重量%である。
また、アルデヒド濃度(ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド)の測定は、ポリウレタンフォームまたはポリウレタンフォームの成形品の作製3日後に実施した。
【0057】
参考例1
a)グリセリンにプロピレンオキシドとエチレンオキシド(プロピレンオキシドとエチレンオキシドのモル比 5:1)を付加した水酸基価28mgKOH/gのポリエーテルポリオール28部と、b)トリメチロールプロパン(TMP)にプロピレンオキシドを付加した水酸基価550mgKOH/gのポリエーテルポリオール25部、c)水酸基価290mgKOH/gのポリオール[Desmophen P293(住化バイエルウレタン(株)の輸入販売品)]25部、d)水酸基価185mgKOH/gのポリエチレングリコール8.4部、e)グリセリン6.5部、f)水4.7部、g)ジメチルエタノールアミン0.4部、h)整泡剤(ポリオキシアルキレンシリコンコポリマー)2部を混合して、ポリオール混合物(ポリオールA)1kgを得た。
このポリオールA1kgと変性ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(NCO含量:32.0%、粘度:50mPa.s/25℃)を重量比100:170で1.8kgをミキサーで混合発泡し、連通気泡率が70%で、密度が0.03g/cmの約40cm四角のフリーライズド(蓋の無い容器中で発泡)の硬質ポリウレタンフォームを得た。ライズタイムは3分であった。
【0058】
参考例2
a)TMPにプロピレンオキシドを付加した水酸基価870mgKOH/gのポリエーテルポリオール45部と、b)プロピレングリコールにプロピレンオキシドとエチレンオキシド(プロピレンオキシドとエチレンオキシドのモル比6:1)を付加した水酸基価28mgKOH/gのポリエーテルポリオール34.8部と、c)エチレングリコール9部、d)水0.6部、e)相溶剤としての酸アミド(トールオイルのアミド変成物)8部、f)Kaoライザー No.3(花王〔株〕製3級アミン触媒)とToyocat TF(東ソー〔株〕3級アミン触媒)それぞれ0.9部、g)整泡剤(ポリオキシアルキレンシリコンコポリマー)1.4部を混合して、ポリオール混合物(ポリオールB)20kgを得た。
このポリオールB 20kgと低粘度ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(NCO含量:32.0%、粘度:100mPa.s)20kgをHennecke社製ポリウレタン成形機HK270のタンクに投入し、ポリオールBと低粘度ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートが100:150の重量比で混ざるように設定し、RIM成形で 幅30cm 長さ60cm厚さ7mmの60℃の型に注入し、密度 0.5g/cmの硬質ポリウレタンフォームの成形品を得た。型には予め、水エマルジョンタイプの離型剤(中京油脂社製 リムリケイJ860 30%水溶液)15g/m塗布したものを使用した。
【0059】
参考例3
a)グリセリンにプロピレンオキシドとエチレンオキシド(プロピレンオキシドとエチレンオキシドのモル比 5:1)を付加した水酸基価35mgKOH/gのポリエーテルポリオール54部と、b)43%のポリマー成分(スチレンアクリルニトリル)を含む水酸基価20mgKOH/gのポリマーポリオール36部、c)水酸基価500mgKOH/gのトリエタノールアミンにプロピレンオキシドを付加したポリエーテルポリオール3.0部、d)水酸基価60mgKOH/gのエチレンジアミンにプロピレンオキシドを付加したポリエーテルポリオール4.0部、e)ジエチルトルエンジアミン0.5部、f)トリエチレンジアミンの33%ジプロピレン溶液(3級アミン触媒) 1.0部、g)水1.6部、h)整泡剤(ポリオキシアルキレンシリコンコポリマー)1部を混合して、ポリオール混合物(ポリオールC)500gを得た。
このポリオール混合物250gとポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(NCO含量:31.5%、粘度:190mPa.s)90gをミキサーで混合し、幅30cm長さ55cm厚さ10mmの60℃の型に注入し、密度0.2g/cmの半硬質ポリウレタンフォーム成形品を得た。
【0060】
比較例1
参考例1で成形した硬質ポリウレタンフォーム10gを、窒素シールされた1Lのテドラーバッグに入れ、65℃で2時間保存した。その後、常温(25℃)に戻した後、ホルムアルデヒド用北川式検知管(No.171SC)を使いアルデヒド濃度(ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド)を測定した。その結果、検出されたアルデヒド濃度は、2.5ppmであり、硬質ポリウレタンフォーム1g当たりのアルデヒド(ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの合計)放出量(ホルムアルデヒド換算)は0.30μg/gであった。
【0061】
比較例2
参考例2で成形した硬質ポリウレタンフォーム成形品40gを、窒素シールされた2Lのテドラーバッグに入れ、65℃で2時間保存した。その後、常温(25℃)に戻した後、ホルムアルデヒド用北川式検知管(No.171SC)を使いアルデヒド濃度(ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド)を測定した。その結果、検出されたアルデヒド濃度は、2.6ppmであり、ポリウレタンフォーム成形品1g当たりのアルデヒド(ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの合計)放出量(ホルムアルデヒド換算)は0.16μgと計算された。
【0062】
比較例3
工程1)目付100g/mのチョップドストランドガラスマット(日本電気ガラス社製)に低粘度ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを18g/m2の量でスプレー塗布した。
工程2)参考例1と同様にして作製した硬質ポリウレタンフォームを縦33cm×横33cm×厚さ5.5mmのシート状に切り出し、その両面にジメチルエタノールアミン4%を含んだ水を15g/m2の量で両面にスプレー塗布した。
工程3)工程2で準備した硬質ポリウレタンフォームの両面に、工程1で準備したチョップドストランドガラスマットを置き、更にその両面にポリエステル製不織布(単位面積重量 50g/m2)を置いて、130℃の平板形状金型で20秒加圧(圧力:10bar)し、厚さ4mmのサンドイッチ成形品を作成した。
3日後この成形品を切り出し、10gのサンプルを窒素の入った2Lテドラーバッグ中で65℃で2時間保存し、DNPHカートリッジに補集しHPLCで分析した。
このサンドイッチ成形品1g当たり、ホルムアルデヒド0.09μgでアセトアルデヒド0.07μgという結果であった。なお、アルデヒド(ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの合計)放出量をホルムアルデヒド換算すると0.14μg/gであった。
【0063】
比較例4
参考例3と同様に半硬質ポリウレタンフォーム成形品を成形したものから40gを切り出し、窒素の入った2Lテドラーバッグ中で65℃2時間保存し、ホルムアルデヒド用北川式検知管 (No.171SC)を使いアルデヒド濃度(ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド)を測定した。その結果、検出されたアルデヒド濃度は2.5ppmであった。半硬質ポリウレタンフォーム成形品1g当たりのアルデヒド放出量は、0.15μgと計算された。
【0064】
比較例5
参考例1と同様に準備したポリオールA 1kgに対し35g(3.5%)のカルボヒドラジドを添加し、60℃で60分間攪拌した。常温に戻した後、参考例1と同様にして硬質フォームを作成した。1日経過して硬質ポリウレタンフォームが冷却すると一時収縮により大きく変形した。又、気泡(フォームセル)も参考例1と比較し明らかに粗く、製品として使用出来ない状態になった。
【0065】
実施例1
参考例1と同様に準備した ポリオールA 1kg に対し 15g(1.5%)のカルボジヒドラジドを添加し、60℃で60分間攪拌した。常温に戻した後、参考例1と同条件でフォームを成型し、比較例1と同条件でアルデヒド濃度(ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド)を測定した。その結果、検出されたアルデヒド濃度は、0.45ppmであり、硬質ポリウレタンフォーム1g当たりのアルデヒド(ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの合計)放出量(ホルムアルデヒド換算)は0.09μg/gであった。比較例1からの減少率は70%であった。
【0066】
実施例2
参考例2と同様に準備したポリオールBに対し1.0%のカルボヒドラジドを添加し、60℃で60分間攪拌した。常温に戻した後、参考例2と同様にしてフォームを成形し、比較例2と同様にホルムアルデヒド用北川式検知管 (No.171SC)を使いアルデヒド濃度(ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド)を測定した結果は0.8ppmであり、アルデヒド放出量として硬質ポリウレタンフォーム成形品1g当たり0.05μgであった。比較例2からの減少率は70%であった。
【0067】
実施例3
参考例3と同様に準備したポリオールCに対し1.0% の酢酸ヒドラジドを添加し、60℃で60分間攪拌した。常温に戻した後、参考例3と同様にしてフォームを成形し、窒素の入った2Lテドラーバッグ中で65℃2時間保存し、ホルムアルデヒド用北川式検知管 (No.171SC)を使いアルデヒド濃度(ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド)を測定した。結果は1.0ppmであり、半硬質ポリウレタンフォーム成形品1g当たりのアルデヒド(ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの合計)放出量(ホルムアルデヒド換算)が0.06μgであった。比較例4からの減少率は60%であった。
【0068】
実施例4
参考例3と同様に準備したポリオールCに対し0.2%の水加ヒドラジンを添加し、60℃で60分間攪拌した。常温に戻した後、参考例3と同様にしてフォームを成形し、窒素の入った2Lテドラーバッグ中で65℃2時間保存し、ホルムアルデヒド用北川式検知管 (No.171SC)を使いアルデヒド濃度(ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド)を測定した。結果は1.0ppmであった。半硬質ポリウレタンフォーム成形品1g当たりのアルデヒド(ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの合計)放出量(ホルムアルデヒド換算)が0.06μgに減少した。比較例4の0.15μgからの減少率は60%であった。
【0069】
実施例5
比較例3の工程1と工程3は全く同様に実施し、工程2で、ジメチルエタノールアミン4%を溶かした水溶液に、アルデヒド捕捉剤としてアジピン酸ジヒドラジドを1.3%溶かし15g/m2の量で硬質ポリウレタンフォームの両面にスプレー塗布した。
比較例3と同様の方法で測定したところ、このサンドイッチ成形品1g当たり、ホルムアルデヒドで0.02μgまたアセトアルデヒド0.04μgであった。比較例3から大きく減少し、減少率はホルムアルデヒドで78%、アセトアルデヒドで43%、両方のアルデヒドとしてみると61%であった。なお、アルデヒド(ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの合計)放出量をホルムアルデヒド換算すると0.05μg/gであった。
【0070】
実施例6
参考例2で硬質ポリウレタンフォームを成形する際、水エマルジョンタイプの離型剤(中京油脂社製 リムリケイJ860 30%水溶液)にアルデヒド捕捉剤として、カルボヒドラジドを2%溶かし、これを成形型の内部に離型剤として25g/m塗布した。この成形品から40gを切り出し、比較例2と同様の条件でアルデヒド濃度(ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド)を測定した。その結果、検出されたアルデヒド濃度は0.8ppmであった。硬質ポリウレタンフォーム成形品1g当たりのアルデヒド(ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの合計)放出量(ホルムアルデヒド換算)は、0.05μgと比較例2から大きく減少した。減少率は69%であった。
【0071】
実施例7
アルデヒド捕捉剤としてカルボヒドラジドを溶解させたインモールドコート液を予め型に塗布しておき、参考例2と同様に硬質ポリウレタンフォームの成形品を成形した。
インモールドコート液配合比;
主剤(ミクニペイント製、Polydur7−52789 UL446)にカルボヒドラジドを5.0%溶解 20重量部
硬化剤(ミクニペイント製、Polydur DO8−350) 10重量部
シンナー 3重量部
このインモールドコートで被覆された成形品から40gを切り出し、比較例2と同様の条件でアルデヒド濃度(ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド)を測定した。その結果、検出されたアルデヒド濃度は0.9ppmであった。硬質ポリウレタンフォーム成形品1g当たりのアルデヒド(ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの合計)放出量(ホルムアルデヒド換算)は0.05μgとなり、比較例2からの減少率は66%であった。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明のポリウレタン成形品は、家具用クッション、自動車用途(例えば、クッション、自動車のアームレスト、ハンドル、チェンジノブ、天井材、インストルメントパネルなどの内装品、ドアートリム構造材)、合成木材、あるいは断熱材などに使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネートと、ポリオール、触媒および架橋剤を含んでなるポリオール混合物から、ポリウレタン成形品を成形するに際し、ポリオール混合物100重量部に対して、0.05〜3.0重量部のアルデヒド捕捉剤としてのヒドラジン化合物を、予めポリオール混合物に添加してなることを特徴とするポリウレタン成形品。
【請求項2】
ヒドラジン化合物のヒドラジン当量が200以下である請求項1記載のポリウレタン成形品。
【請求項3】
ヒドラジン化合物が、水加ヒドラジン、炭酸ヒドラジン、フェニルヒドラジン、2-ヒドロキシエチルヒドラジン、カルボ(ジ)ヒドラジド、酢酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジドからなる群から選択された少なくとも1種である請求項1記載のポリウレタン成形品。
【請求項4】
ポリイソシアネートと、ポリオール、触媒および架橋剤を含んでなるポリオール混合物から、ポリウレタン成形品を成形するに際し、ポリオール混合物100重量部に対して、0.05〜3.0重量部の、アルデヒド捕捉剤としてのヒドラジン化合物をポリオール混合物に添加することを特徴とするポリウレタン成形品の製造方法。
【請求項5】
ポリウレタン成形品を構成する要素の表面上にヒドラジン化合物が0.1g/m〜10g/mの量で塗布されていることを特徴とするポリウレタン成形品。
【請求項6】
ポリウレタン成形品を構成する要素が、
ポリウレタンフォーム部a)、ならびに
必要に応じて存在する
ポリウレタンフォーム部の外表面上の表皮層b)、
ポリウレタンフォームa)と表皮層b)との間の、接着剤層c)および/または補強層d)、
ポリウレタンフォームa)の内表面上の裏打ち層e)
であり、
ヒドラジン化合物が、ポリウレタンフォーム部a)、表皮層b)、接着剤層c)、補強層d)および裏打ち層e)の外表面および内表面からなる群から選択された少なくとも1つの表面に塗布されていることを特徴とする請求項5に記載のポリウレタン成形品。
【請求項7】
ヒドラジン化合物のヒドラジン当量が200以下である請求項6記載のポリウレタン成形品。
【請求項8】
ヒドラジン化合物が、水加ヒドラジン、炭酸ヒドラジン、フェニルヒドラジン、2-ヒドロキシエチルヒドラジン、カルボ(ジ)ヒドラジド、酢酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジドからなる群から選択された少なくとも1種である請求項6記載のポリウレタン成形品。
【請求項9】
自動車用天井材である請求項5に記載のポリウレタン成形品。
【請求項10】
ヒドラジン化合物を0.1重量%から10重量%の濃度で水に溶かした水溶液を要素の表面に塗布する請求項5に記載のポリウレタン成形品の製造方法。
【請求項11】
ヒドラジン化合物を離型剤とともに型の表面に塗布した後に、ポリウレタン成形品を成形する請求項5に記載のポリウレタン成形品の製造方法。
【請求項12】
ヒドラジン化合物を表皮材の内表面および/または裏打ち材の外表面に塗布後、これらを型に設置してポリウレタン樹脂を注型してポリウレタン成形品を得る請求項5に記載のポリウレタン成形品の製造方法。
【請求項13】
ポリウレタンスラブをスライスして得たシート状ポリウレタンフォームを補強用繊維でサンドイッチ状にはさみ、接着剤としてのイソシアネートを、触媒および水とともに、加熱型で、固化させ、サンドイッチ状補強ポリウレタン成形品を成形するに際し、触媒および水に、ヒドラジン化合物を触媒および水の合計100重量部に対して0.1重量部から30重量部で加える請求項5に記載のポリウレタン成形品の製造方法。
【請求項14】
表皮層を形成する塗料を型に塗布した後にポリウレタン成形品を成形することによって表皮層で覆われたポリウレタン成形品を得るインモールド成形ポリウレタンを成形するに際し、ヒドラジン化合物を1重量%から10重量%の濃度で含む塗料をインモールドコート剤として使用する請求項5に記載のポリウレタン成形品の製造方法。


【公開番号】特開2006−182825(P2006−182825A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375415(P2004−375415)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000183299)住化バイエルウレタン株式会社 (33)
【Fターム(参考)】