説明

ポリウレタン系弾性繊維用処理剤、ポリウレタン系弾性繊維の処理方法及びポリウレタン系弾性繊維

【課題】ポリウレタン系弾性繊維の製造において、良好な捲形状及び解舒性を有するパッケージを得ることができ、またポリウレタン系弾性繊維に良好な平滑性、制電性及びホットメルト接着性を付与することができるポリウレタン系弾性繊維用処理剤、ポリウレタン系弾性繊維の処理方法及びポリウレタン系弾性繊維を提供する。
【解決手段】ポリウレタン系弾性繊維用処理剤として、鉱物油を必須成分とする特定の分散媒と、ウレタン化合物からなる特定の分散質とから成り、該分散媒を80〜99.99質量%及び該分散質を0.01〜20質量%(合計100質量%)の割合で含有し、且つ所定の測定方法により測定される平均粒子径を0.01〜500μmの範囲に調製したものを用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン系弾性繊維用処理剤、該ポリウレタン系弾性繊維用処理剤を用いるポリウレタン系弾性繊維の処理方法及び該処理方法によって得られるポリウレタン系弾性繊維に関し、さらに詳しくは、ポリウレタン系弾性繊維の製造において良好な捲形状及び解舒性を有するパッケージを得ることができ、またポリウレタン系弾性繊維に優れた平滑性、制電性及びホットメルト接着性を付与することができるポリウレタン系弾性繊維用処理剤、該ポリウレタン系弾性繊維用処理剤を用いるポリウレタン系弾性繊維の処理方法及び該処理方法によって得られるポリウレタン系弾性繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリウレタン系弾性繊維用処理剤として、ポリジメチルシロキサンや鉱物油等に固体の金属石鹸を分散したもの(例えば特許文献1〜3参照)、ポリオキシアルキレンエーテル変性ポリシロキサンを含有するもの(例えば特許文献4及び5参照)、ポリプロピレングリコール系ポリオールを含有するもの(例えば特許文献6参照)等が提案されている。しかし、これら従来のポリウレタン系弾性繊維用処理剤には、ポリウレタン系弾性繊維の製造において作製したパッケージの解舒性が不良であったり、或いはポリウレタン系弾性繊維に付与するホットメルト接着性が不良であったり、或いはポリウレタン系弾性繊維に付与する平滑性や制電性が不足していて安定した操業性が得られなかったりする等、ポリウレタン系弾性繊維を製造乃至加工する上で何らかの重大な支障があるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭41−286号公報
【特許文献2】特公昭40−5557号公報
【特許文献3】特開平9−217283号公報
【特許文献4】特開平9−268477号公報
【特許文献5】特開平9−296377号公報
【特許文献6】特開2000−327224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ポリウレタン系弾性繊維の製造において良好な捲形状及び解舒性を有するパッケージを得ることができ、またポリウレタン系弾性繊維に優れた平滑性、制電性及びホットメルト接着性を付与することができるポリウレタン系弾性繊維用処理剤、該ポリウレタン系弾性繊維用処理剤を用いたポリウレタン系弾性繊維の処理方法及び該処理方法によって得られるポリウレタン系弾性繊維を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、ポリウレタン系弾性繊維用処理剤としては、特定の分散媒に特定の分散質を所定割合で分散させたものが正しく好適であることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0006】
すなわち本発明は、下記の分散媒と下記の分散質とから成るポリウレタン系弾性繊維用処理剤であって、該分散媒を80〜99.99質量%及び該分散質を0.01〜20質量%(合計100質量%)の割合で含有し、且つ下記の平均粒子径の測定方法により測定される平均粒子径を0.01〜500μmの範囲に調製して成ることを特徴とするポリウレタン系弾性繊維用処理剤に係る。
【0007】
分散媒:鉱物油を70〜100質量%と、シリコーンオイル及び/又は液状エステル油を0〜30質量%(合計100質量%)の割合で含有し、且つ25℃における粘度が2×10−6〜1000×10−6/sの範囲にある液体。
【0008】
分散質:下記の化1で示されるウレタン化合物であって、25℃における状態が、下記の測定方法により液状と判定されないウレタン化合物。
【0009】
【化1】

【0010】
化1において、
,R:炭素数8〜50のアルキル基又は炭素数8〜50のアルケニル基
:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネートから全てのイソシアネート基を除いた残基
【0011】
ウレタン化合物の状態の判定方法:25℃の恒温室にて、ウレタン化合物を、垂直に保持した内径30mm×高さ120mmの平底円筒型のガラス製の試験管に底面からの高さが55mmとなるまで入れ、該試験管を水平にしたときに、該ウレタン化合物の移動面の先端が試験管の底面から85mmの部分を通過するまでに要した時間が90秒以内である場合、該ウレタン化合物は液状と判定する。
【0012】
平均粒子径の測定方法:ポリウレタン系弾性繊維用処理剤を、25℃における粘度が共に10×10−6/sであるポリジメチルシロキサンと鉱物油との1/1(質量比)の混合液を用いて、該ポリウレタン系弾性繊維用処理剤中の分散質の濃度が1000mg/Lとなるよう希釈し、その希釈液を液温25℃でレーザー回折式粒度分布測定装置に供して、体積基準の平均粒子径を測定する方法。
【0013】
また本発明は、前記した本発明に係るポリウレタン系弾性繊維用処理剤を、希釈することなくニート給油法により、ポリウレタン系弾性繊維の紡糸工程においてポリウレタン系弾性繊維に0.1〜10質量%となるよう付着させることを特徴とするポリウレタン系弾性繊維の処理方法に係る。
【0014】
更に本発明は、前記した本発明に係るポリウレタン系弾性繊維の処理方法によって得られるポリウレタン系弾性繊維に係る。
【0015】
先ず、本発明に係るポリウレタン系弾性繊維用処理剤(以下、本発明の処理剤という)について説明する。本発明の処理剤は、ポリウレタン系弾性繊維を製造する際にポリウレタン系弾性繊維に付着させるものであって、特定の分散媒と特定の分散質から成るものである。
【0016】
本発明の処理剤に供する分散媒は、鉱物油を70〜100質量%と、シリコーンオイル及び/又は液状エステル油を0〜30質量%(合計100質量%)の割合で含有し、且つ25℃における粘度が2×10−6〜1000×10−6/sの範囲にある液体である。
【0017】
鉱物油としては、パラフィン成分、ナフテン成分及びアロマ成分等を含有する一般的な石油留分を使用でき、その成分等は限定されない。
【0018】
シリコーンオイルとしては、ジメチルシロキサン単位を構成単位とするポリジメチルシロキサン、ジメチルシロキサン単位と炭素数2〜4のアルキル基を有するジアルキルシロキサン単位を構成単位とするポリジアルキルシロキサン、及びジメチルシロキサン単位とメチルフェニルシロキサン単位を構成単位とするポリシロキサン等が挙げられるが、なかでもポリジメチルシロキサンが好ましい。
【0019】
液状エステル油としては、1)ブチルステアラート、オクチルステアラート、オレイルラウラート、オレイルオレアート、イソトリデシルステアラート、イソペンタコサニルイソステアラート等の脂肪族1価アルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル、2)1,6−ヘキサンジオールジデカノアート、トリメチロールプロパンモノオレアートモノラウラート、トリメチロールプロパントリラウラート、ソルビタンモノオレアート、ソルビタントリオレアート、ひまし油等の天然油脂等の脂肪族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル、3)ジラウリルアジパート、ジオレイルアゼラート、トリオクチルトリメリテート等の脂肪族1価アルコールと脂肪族多価カルボン酸とのエステル等が挙げられるが、なかでもオクチルステアラートやイソトリデシルステアラート等の脂肪族1価アルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステルであって、炭素数15〜44のエステル、及びトリメチロールプロパントリラウラートやひまし油等の脂肪族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステルであって、炭素数15〜44のエステルが好ましい。
【0020】
かかる分散媒は、鉱物油を70〜100質量%と、シリコーンオイル及び/又は液状エステル油を0〜30質量%(合計100質量%)の割合で含有して成るものであるが、なかでも鉱物油を85〜100質量%、シリコーンオイル及び/又は液状エステル油を0〜15質量%(合計100質量%)の割合で含有するものが好ましく、鉱物油を100質量%含有するものが特に好ましい。鉱物油が70質量%未満では、得られるポリウレタン系弾性繊維のホットメルト接着性が著しく低下する。
【0021】
分散媒は、25℃における粘度が2×10−6〜1000×10−6/sの範囲にある液体であるが、なかでも25℃における粘度が2×10−6〜100×10−6/sの範囲にある液体が好ましい。25℃における粘度が2×10−6/s未満であると、そのような処理剤をポリウレタン系弾性繊維に付着させる際に飛散が発生し易くなり、逆に25℃における粘度が1000×10−6/sを超えると、そのような処理剤をポリウレタン系弾性繊維に付着させても良好な平滑性が得られ難くなる。尚、本発明において粘度は、JIS−K2283(石油製品動粘度試験方法)に記載されているキャノンフェンスケ粘度計を用いた方法で測定される値である。
【0022】
本発明の処理剤に供する分散質は、化1で示されるウレタン化合物であって、25℃における状態が、前記した判定方法により液状と判定されないウレタン化合物である。前記した判定方法は、危険物の規制に関する規則第69条の二(液状の定義)を引用した消防法の液状確認試験に準拠するもので、この判定方法により液状と判定されないウレタン化合物は、社会通念上は固状を呈するウレタン化合物といえるものである。
【0023】
化1で示されるウレタン化合物において、化1中のR及びRは炭素数8〜50のアルキル基または炭素数8〜50のアルケニル基である。かかるアルキル基としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリトリアコンチル基、テトラトリアコンチル基、ヘプタトリアコンチル基、オクタトリアコンチル基、ノナトリアコンチル基、テトラコンチル基、ヘンテトラコンチル基、ドテトラコンチル基、イソテトラコシル基、イソペンタコシル基、イソヘキサコシル基、イソヘプタコシル基、イソオクタコシル基、イソノナコシル基、イソトリアコンチル基、イソヘントリアコンチル基、イソトリトリアコンチル基、イソテトラトリアコンチル基、イソヘプタトリアコンチル基等の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられ、またアルケニル基としては、cis−8−テトラトリアコンテニル基、cis−4,8−エチル−トリアコンテニル基等の直鎖又は分岐のアルケニル基が挙げられる。なかでもR及びRとしては、炭素数14〜38のアルキル基又は炭素数14〜38のアルケニル基が好ましく、炭素数18〜32のアルキル基がより好ましい。
【0024】
化1で示されるウレタン化合物において、化1中のRは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等から全てのイソシアネート基を除いた残基である。なかでもRとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート又はトリレンジイソシアネートから全てのイソシアネート基を除いた残基が好ましい。
【0025】
かかる化1で示されるウレタン化合物としては例えば、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジデシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジドデシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジテトラデシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジヘキサデシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジオクタデシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジノナデシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジイコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジドコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジトリコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジテトラコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジヘキサコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジオクタコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジトリアコンチル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジヘントリアコンチル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジドトリアコンチル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジテトラトリアコンチル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジヘキサトリアコンチル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジテトラコンチル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジドテトラコンチル、トリレンジカルバミド酸ジデシル、トリレンジカルバミド酸デシルテトラトリアコンチル、トリレンジカルバミド酸デシルドテトラコンチル、トリレンジカルバミド酸ジヘキサデシル、トリレンジカルバミド酸ジオクタデシル、トリレンジカルバミド酸ジノナデシル、トリレンジカルバミド酸ジイコシル、トリレンジカルバミド酸ジドコシル、トリレンジカルバミド酸ジテトラコシル、トリレンジカルバミド酸ジヘキサコシル、トリレンジカルバミド酸ジオクタコシル、トリレンジカルバミド酸ジノナコシル、トリレンジカルバミド酸ジトリアコンチル、トリレンジカルバミド酸ジヘントリアコンチル、トリレンジカルバミド酸ジドトリアコンチル、トリレンジカルバミド酸ジトリトリアコンチル、トリレンジカルバミド酸ジテトラトリアコンチル、トリレンジカルバミド酸ジオクタトリアコンチル、トリレンジカルバミド酸ジテトラコンチル、トリレンジカルバミド酸ジドテトラコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジデシル、ナフタレンジカルバミド酸ジヘキサデシル、ナフタレンジカルバミド酸ヘキサデシルテトラトリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジオクタデシル、ナフタレンジカルバミド酸ジイコシル、ナフタレンジカルバミド酸ジヘンイコシル、ナフタレンジカルバミド酸ジドコシル、ナフタレンジカルバミド酸ジテトラコシル、ナフタレンジカルバミド酸ジヘキサコシル、ナフタレンジカルバミド酸ジオクタデシル、ナフタレンジカルバミド酸ジトリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジヘントリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジドトリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジテトラトリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジヘキサトリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジテトラコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジドテトラコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジテトラテトラコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジイソトリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジcis−4,8−エチル−トリアコンテニル、水添ジフェニルメタンジカルバミド酸ジヘキサコシル、水添ジフェニルメタンジカルバミド酸ジオクタコシル、水添ジフェニルメタンジカルバミド酸ジトリアコンチル、水添ジフェニルメタンジカルバミド酸ジヘントリアコンチル、水添ジフェニルメタンジカルバミド酸ジドトリアコンチル、水添ジフェニルメタンジカルバミド酸ジテトラトリアコンチル、水添ジフェニルメタンジカルバミド酸ジドテトラコンチル、水添ジフェニルメタンジカルバミド酸ジヘキサテトラコンチル、水添ジフェニルメタンジカルバミド酸ジcis−8−テトラトリアコンテニル、ヘキサメチレンジカルバミド酸ジドコシル、ヘキサメチレンジカルバミド酸ジテトラコシル、ヘキサメチレンジカルバミド酸ジヘキサコシル、ヘキサメチレンジカルバミド酸ジオクタコシル、ヘキサメチレンジカルバミド酸ジトリアコンチル、ヘキサメチレンジカルバミド酸ジテトラトリアコンチル、ヘキサメチレンジカルバミド酸ジオクタトリアコンチル、ヘキサメチレンジカルバミド酸ジテトラコンチル、ヘキサメチレンジカルバミド酸テトラコンチルヘキサテトラコンチル、ヘキサメチレンジカルバミド酸ジヘキサテトラコンチル等が挙げられる。
【0026】
なかでも化1で示されるウレタン化合物としては、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジテトラデシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジヘキサデシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジオクタデシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジノナデシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジイコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジドコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジトリコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジテトラコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジヘキサコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジオクタコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジトリアコンチル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジヘントリアコンチル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジドトリアコンチル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジテトラトリアコンチル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジヘキサトリアコンチル、トリレンジカルバミド酸ジヘキサデシル、トリレンジカルバミド酸ジオクタデシル、トリレンジカルバミド酸ジノナデシル、トリレンジカルバミド酸ジイコシル、トリレンジカルバミド酸ジドコシル、トリレンジカルバミド酸ジテトラコシル、トリレンジカルバミド酸ジヘキサコシル、トリレンジカルバミド酸ジオクタコシル、トリレンジカルバミド酸ジノナコシル、トリレンジカルバミド酸ジトリアコンチル、トリレンジカルバミド酸ジヘントリアコンチル、トリレンジカルバミド酸ジドトリアコンチル、トリレンジカルバミド酸ジトリトリアコンチル、トリレンジカルバミド酸ジテトラトリアコンチル、トリレンジカルバミド酸ジオクタトリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジヘキサデシル、ナフタレンジカルバミド酸ヘキサデシルテトラトリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジオクタデシル、ナフタレンジカルバミド酸ジイコシル、ナフタレンジカルバミド酸ジヘンイコシル、ナフタレンジカルバミド酸ジドコシル、ナフタレンジカルバミド酸ジテトラコシル、ナフタレンジカルバミド酸ジヘキサコシル、ナフタレンジカルバミド酸ジオクタデシル、ナフタレンジカルバミド酸ジトリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジヘントリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジドトリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジテトラトリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジヘキサトリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジイソトリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジcis−4,8−エチル−トリアコンテニルが好ましく、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジオクタデシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジノナデシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジイコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジドコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジトリコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジテトラコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジヘキサコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジオクタコシル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジトリアコンチル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジヘントリアコンチル、4,4’−ジフェニルメタンジカルバミド酸ジドトリアコンチル、トリレンジカルバミド酸ジオクタデシル、トリレンジカルバミド酸ジノナデシル、トリレンジカルバミド酸ジイコシル、トリレンジカルバミド酸ジドコシル、トリレンジカルバミド酸ジテトラコシル、トリレンジカルバミド酸ジヘキサコシル、トリレンジカルバミド酸ジオクタコシル、トリレンジカルバミド酸ジノナコシル、トリレンジカルバミド酸ジトリアコンチル、トリレンジカルバミド酸ジヘントリアコンチル、トリレンジカルバミド酸ジドトリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジオクタデシル、ナフタレンジカルバミド酸ジイコシル、ナフタレンジカルバミド酸ジヘンイコシル、ナフタレンジカルバミド酸ジドコシル、ナフタレンジカルバミド酸ジテトラコシル、ナフタレンジカルバミド酸ジヘキサコシル、ナフタレンジカルバミド酸ジオクタデシル、ナフタレンジカルバミド酸ジトリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジヘントリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジドトリアコンチル、ナフタレンジカルバミド酸ジイソトリアコンチルがより好ましい。
【0027】
本発明の処理剤に供する分散質は、以上説明したように、化1で示されるウレタン化合物であって、25℃における状態が、前記した測定方法により液状と判定されないウレタン化合物である。かかるウレタン化合物は、本発明の処理剤の分散安定性に寄与し、良好な保存安定性を示す。
【0028】
本発明の処理剤は、以上説明したような分散媒を80〜99.99質量%及び分散質を0.01〜20質量%(合計100質量%)の割合で含有するものであるが、分散媒を90〜99.9質量%及び分散質を0.1〜10質量%(合計100質量%)の割合で含有するものが好ましい。分散媒を80〜99.99質量%及び分散質を0.01〜20質量%(合計100質量%)の割合とすることにより、本発明の処理剤が有するチクソトロピー性を適度に制御でき、また良好な保存安定性を示す。
【0029】
本発明の処理剤は、以上説明したような分散媒と分散質とから成り、該分散媒を80〜99.99質量%及び該分散質を0.01〜20質量%(合計100質量%)の割合で含有していて、且つ平均粒子径を0.01〜500μmの範囲、好ましくは0.1〜100μmの範囲に調製して成るものである。ここで平均粒子径というのは、ポリウレタン系弾性繊維用処理剤を、25℃における粘度が共に10×10−6/sであるポリジメチルシロキサンと鉱物油との1/1(質量比)の混合液を用いて、該ポリウレタン系弾性繊維用処理剤中の分散質の濃度が1000mg/Lとなるよう希釈し、その希釈液を液温25℃でレーザー回析式粒度分布測定装置に供して、体積基準の平均粒子径を測定した値である。
【0030】
本発明の処理剤は、公知の方法に準じて調製することができる。例えば、分散媒と分散質を所定割合で混合して混合物とした後、該混合物を、縦型ビーズミル、横型ビーズミル、サンドグラインダー又はコロイドミル等の湿式粉砕機に供し、均一分散液として得ることができる。各成分を混合する時の温度や湿式粉砕時の温度は20〜35℃とするのが好ましい。分散液の粘度は、JIS−K2283(石油製品動粘度試験方法)に記載されたキャノンフェンスケ粘度計を使用し、25℃の条件で計測して2×10−6〜1000×10−6/sの範囲となるように調整するのが好ましく、2×10−6〜100×10−6/sの範囲となるように調整するのがより好ましい。
【0031】
本発明の処理剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて適宜、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等の変性シリコーンオイル、シリコーンレジン、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、高級アルコールに代表されるつなぎ剤、帯電防止剤、濡れ性向上剤等の成分を併用することもできる。これらの成分の併用量は可及的に少量とするのが好ましく、本発明の処理剤100質量部当たり10質量部以下の割合とするのが好ましい。
【0032】
次に、本発明に係るポリウレタン系弾性繊維の処理方法(以下、本発明の処理方法という)について説明する。本発明の処理方法は、以上説明したような本発明の処理剤を、希釈することなくニート給油法により、ポリウレタン系弾性繊維の紡糸工程においてポリウレタン系弾性繊維に0.1〜10質量%となるように付着させる方法である。
【0033】
本発明の処理方法では、本発明の処理剤を溶剤等で希釈することなくそのまま給油するニート給油法によりポリウレタン系弾性繊維に付着させる。付着工程は、ポリウレタン系弾性繊維の紡糸工程である。付着方法としては、ローラー給油法、ガイド給油法、スプレー給油法等の公知の方法が適用できる。本発明の処理剤の付着量は、ポリウレタン系弾性繊維に対し0.1〜10質量%となるようにするが、2〜6質量%となるようにするのが好ましい。
【0034】
最後に、本発明に係るポリウレタン系弾性繊維について説明する。本発明に係るポリウレタン系弾性繊維は、以上説明した本発明の処理方法によって得られるポリウレタン系弾性繊維である。
【0035】
本発明において、ポリウレタン系弾性繊維は、実質的にポリウレタンを主構成部とする弾性繊維を意味し、通常はセグメント化したポリウレタンを85質量%以上含有する長鎖の重合体から紡糸されるものを意味する。
【0036】
長鎖の重合体は、所謂ソフトセグメントとハードセグメントとを有する。ソフトセグメントは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリエーテルエステル等の比較的長鎖のセグメントであり、ハードセグメントはイソシアネートとジアミン又はジオール鎖伸長剤との反応により誘導される比較的短鎖のセグメントである。かかる長鎖の重合体は通常、ヒドロキシル末端のソフトセグメント前駆体を有機ジイソシアネートでキャッピングしてプレポリマを生成させ、このプレポリマをジアミン又はジオールで鎖伸長させて製造する。
【0037】
ソフトセグメントについて、前記のポリエーテルには、テトラメチレングリコール、3一メチル−1,5−ペンタンジオール、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン等から誘導されるものが含まれるが、なかでもテトラメチレングリコールから誘導されるものが好ましい。また前記のポリエステルには、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等と、アジピン酸、コハク酸等の二塩基酸とから誘導されるものが含まれる。更に前記のポリエーテルエステルには、ポリエーテルとポリエステル等とから誘導されるものが含まれる。
【0038】
ソフトセグメント前駆体のキャッピングに用いる前記の有機ジイソシアネートとしては、ビス−(p−イソシアネートフェニル)−メタン(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ビス−(4−イソシアネートシクロヘキシル)−メタン(PICM)、へキサメチレンジイソシアネート、3,3,5−トリメチル−5−メチレンシクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられるが、なかでもMDIが好ましい。
【0039】
プレポリマの鎖伸長に用いる前記のジアミンとしては、エチレンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等が挙げられる。
【0040】
プレポリマの鎖伸長に用いる前記のジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ一ル、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびパラキシリレンジオール等が挙げられる。以上、ポリウレタン系弾性繊維の原料となる長鎖の重合体について説明したが、本発明において、かかる長鎖の重合体の重合方法は特に制限されない。
【0041】
ポリウレタン系弾性繊維の原料となる長鎖の重合体は、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系等の耐候剤、ヒンダードフェノール系等の酸化防止剤、酸化チタン、酸化鉄等の各種顔料、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化セシウム、銀イオン等の機能性添加剤等を含有することができる。
【0042】
長鎖の重合体を原料として用いてポリウレタン系弾性繊維を紡糸するときに用いる溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等が挙げられるが、DMAcが好ましい。溶液の全質量を基準にして、長鎖の重合体の濃度を30〜40質量%、特に35〜38質量%とするのが、溶媒を用いた乾式紡糸法に好適である。
【0043】
通常、鎖伸長剤としてジオールを用いた場合、ポリウレタン系弾性繊維は溶融紡糸法、乾式紡糸法又は湿式紡糸法等により紡糸され、また鎖伸長剤としてジアミンを用いた場合、ポリウレタン系弾性繊維は乾式紡糸法により紡糸される。本発明において、紡糸法は特に制限されないが、溶媒を用いた乾式紡糸法が好ましい。
【発明の効果】
【0044】
以上説明した本発明によると、ポリウレタン系弾性繊維の製造において、良好な捲形状及び解舒性を有するパッケージを得ることができ、またポリウレタン系弾性繊維に良好な平滑性、制電性及びホットメルト接着性を付与することができるという効果があり、結果として安定した操業の下に高品質のポリウレタン系弾性繊維を得ることができる。
【実施例】
【0045】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例等において、部は質量部を示し、また%は質量%を示す。
【0046】
試験区分1(分散質の調製)
・化1で示されるウレタン化合物(UT−1)の調製
反応容器に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250.27g及びヘントリアコンタノール905.02gを入れ、窒素気流下、190℃に昇温し、内容物を均一溶解した後、ジブチル錫ジラウレート0.15gを入れて、ウレタン化反応を行なった。反応終了後、内容物を一旦冷却して固化した後、ボールミルで粗粉砕してウレタン化合物(UT−1)を得た。このウレタン化合物(UT−1)は25℃における状態が前記の判定方法により液状と判定されない(社会通念上は固状を呈する)ウレタン化合物であった。
【0047】
・化1で示されるウレタン化合物(UT−2)〜(UT−4)、(UT−6)〜(UT−9)、(UT−12)〜(UT−15)、(UT−18)〜(UT−21)及び比較のためのウレタン化合物(ut−2)の調製
ウレタン化合物(UT−1)と同様にして、表1に記載のウレタン化合物(UT−2)〜(UT−4)、(UT−6)〜(UT−9)、(UT−12)〜(UT−15)、(UT−18)〜(UT−21)及び比較のためのウレタン化合物(ut−2)を調製した。
【0048】
・化1で示されるウレタン化合物(UT−5)の調製
反応容器に、トリレンジイソシアネート174.16g、テトラコサノール354.64g、オクタコサノール410.74gを入れ、窒素気流下、190℃に昇温し、内容物を均一溶解した後、ジブチル錫ジラウラート0.15gを入れてウレタン化反応を行なった。反応終了後、内容物を一旦冷却して固化した後、ボールミルで粗粉砕してウレタン化合物(UT−5)を得た。このウレタン化合物(UT−5)は25℃における状態が前記の判定方法により液状と判定されない(社会通念上は固状を呈する)ウレタン化合物であった。
【0049】
・化1で示されるウレタン化合物(UT−10)、(UT−11)、(UT−16)、(UT−17)、(UT−22)及び比較のためのウレタン化合物(ut−3)の調製
ウレタン化合物(UT−5)と同様にして、表1に記載のウレタン化合物((UT−10)、(UT−11)、(UT−16)、(UT−17)、(UT−22)及び比較のためのウレタン化合物(ut−3)を調製した。
【0050】
・比較のためのウレタン化合物(ut−1)の調製
反応容器に、水添ジフェニルメタンジイソシアネート262.35g及びエタノール92.14gを入れ、窒素気流下、70℃に昇温し、内容物を均一溶解した後、ジブチル錫ジラウレート0.15gを入れて、ウレタン化反応を行ない、ウレタン化合物(ut−1)を得た。このウレタン化合物(ut−1)は25℃における状態が前記の判定方法により液状と判定されるウレタン化合物であった。
【0051】
・比較のためのウレタン化合物(ut−4)の調製
ウレタン化合物(ut−1)と同様にして、表1に記載の比較のためのウレタン化合物(ut−4)を調製した。






















【0052】
【表1】

【0053】
表1において、
R−1:ヘントリアコンタノールから水酸基を除いた残基(ヘントリアコンチル基)
R−2:イコサノールから水酸基を除いた残基(イコシル基)
R−3:テトラコサノールから水酸基を除いた残基(テトラコシル基)
R−4:オクタコサノールから水酸基を除いた残基(オクタコシル基)
R−5:ヘキサデカノールから水酸基を除いた残基(ヘキサデシル基)
R−6:ヘキサトリアコンタノールから水酸基を除いた残基(ヘキサトリアコンチル基)
R−7:テトラトリアコンタノールから水酸基を除いた残基(テトラトリアコンチル基)
R−8:ヘキサデカノールから水酸基を除いた残基(ヘキサデシル基)
R−9:ドデカノールから水酸基を除いた残基(ドデシル基)
R−10:ドテトラコンタノールから水酸基を除いた残基(ドテトラコンチル基)
R−11:テトラコンタノールから水酸基を除いた残基(テトラコンチル基)
R−12:デカノールから水酸基を除いた残基(デシル基)
R−13:cis−8−テトラトリアコンテノールから水酸基を除いた残基(cis−8−テトラトリアコンテニル基)
R−14:ヘキサテトラコンタノールから水酸基を除いた残基(ヘキサテトラコンチル基)
R−15:オクタトリアコンタノールから水酸基を除いた残基(オクタトリアコンチル基)
R−16:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートから全てのイソシアネート基を除いた残基
R−17:トリレンジイソシアネートから全てのイソシアネート基を除いた残基
R−18:ナフタレンジイソシアネートから全てのイソシアネート基を除いた残基
R−19:水添ジフェニルメタンジイソシアネートから全てのイソシアネート基を除いた残基
R−20:ヘキサメチレンジイソシアネートから全てのイソシアネート基を除いた残基
r−1:エタノールから水酸基を除いた残基(エチル基)
r−2:ドペンタコンタノールから水酸基を除いた残基(ドペンタコンチル基)
r−3:2−メチル−1−プロパノールから水酸基を除いた残基(2−メチル−1−プロピル基)
固状:25℃における状態が前記の判定方法により液状と判定されなかったもの
液状:25℃における状態が前記の判定方法により液状と判定されたもの
【0054】
試験区分2(ポリウレタン系弾性繊維用処理剤の調製)
・実施例1{ポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−1)の調製}
分散媒として25℃における粘度が20×10−6/sの鉱物油(a−1)99部と、分散質として表1に示したウレタン化合物(UT−1)1部とを、20〜35℃の温度で均一になるまで混合した後、横型ビーズミルを用いて湿式粉砕し、均一分散液として、前記した平均粒子径の測定方法による平均粒子径が5μmの実施例1に相当するポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−1)を調製した。
【0055】
・実施例2〜15、22〜27及び比較例2、7、9〜12{ポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−2)〜(T−15)、(T−22)〜(T−27)及び比較のためのポリウレタン系弾性繊維用処理剤(t−2)、(t−7)、(t−9)〜(t−12)の調製}
実施例1のポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−1)と同様にして、表2に記載した実施例2〜15、22〜27及び表3に記載した比較例2、7、9〜12に相当するポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−2)〜(T−15)、(T−22)〜(T−27)及び(t−2)、(t−7)、(t−9)〜(t−12)を調製した。
【0056】
・実施例16{ポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−16)の調製}
分散媒として25℃における粘度が20×10−6/sの鉱物油(a−1)90部及び25℃における粘度が20×10−6/sのポリジメチルシロキサン(b−1)10部の混合物98部と、分散質として表1に示したウレタン化合物(UT−6)2部とを、20〜35℃の温度で均一になるまで混合した後、横型ビーズミルを用いて湿式粉砕し、均一分散液として、前記した平均粒子径の測定方法による平均粒子径が10μmの実施例16に相当するポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−16)を調製した。
【0057】
・実施例18、19、21、28、30〜35、43及び比較例1、3、4{ポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−18)、(T−19)、(T−21)、(T−28)、(T−30)〜(T−35)、(T−43)及び比較のためのポリウレタン系弾性繊維用処理剤(t−1)、(t−3)、(t−4)の調製}
実施例16のポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−16)と同様にして、表2に記載した実施例18、19、21、28、30〜35、43及び表3に記載した比較例1、3、4に相当するポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−18)、(T−19)、(T−21)、(T−28)、(T−30)〜(T−35)、(T−43)及び(t−1)、(t−3)、(t−4)を調製した。
【0058】
・実施例17{ポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−17)の調製}
分散媒として25℃における粘度が10×10−6/sの鉱物油(a−2)90部、25℃における粘度が10×10−6/sのポリジメチルシロキサン(b−2)5部及びイソトリデシルステアラート(c−1)5部の混合物98部と、分散質として表1に示したウレタン化合物(UT−7)2部とを、20〜35℃の温度で均一になるまで混合した後、横型ビーズミルを用いて湿式粉砕し、均一分散液として、前記した平均粒子径の測定方法による平均粒子径が10μmの実施例17に相当するポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−17)を調製した。
【0059】
・実施例29、36、42{ポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−29)、(T−36)、(T−42)の調製}
実施例17のポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−17)と同様にして、表2に記載した実施例29、36、42に相当するポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−29)、(T−36)、(T−42)を調製した。
【0060】
・実施例20{ポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−20)の調製}
分散媒として25℃における粘度が10×10−6/sの鉱物油(a−3)95部及びトリメチロールプロパントリラウラート(c−2)5部との混合物99部と、分散質として表1に示したウレタン化合物(UT−10)1部とを、20〜35℃の温度で均一になるまで混合した後、横型ビーズミルを用いて湿式粉砕し、均一分散液として、前記した平均粒子径の測定方法による平均粒子径が5μmの実施例20に相当するポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−20)を調製した。
【0061】
・実施例37、38、40、41{ポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−37)、(T−38)、(T−40)、(T−41)の調製}
実施例20のポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−20)と同様にして、表2に記載した実施例37、38、40、41に相当するポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−37)、(T−38)、(T−40)、(T−41)を調製した。
【0062】
・実施例39{ポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−39)の調製}
分散媒として25℃における粘度が20×10−6/sの鉱物油(a−1)80部及び25℃における粘度が20×10−6/sのポリジメチルシロキサン(b−1)20部との混合物98部と、分散質として表1に示したウレタン化合物(UT−13)2部とを、20〜35℃の温度で均一になるまで混合した後、横型ビーズミルを用いて湿式粉砕し、均一分散液として、前記した平均粒子径の測定方法による平均粒子径が20μmの実施例39に相当するポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−39)を調製した。そして実際の使用場面では、ここで調製したポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−39)100部に対し、アミノ変性ポリジメチルシロキサン1部を併用した。併用したアミノ変性ポリジメチルシロキサンは、アミノ当量が2000で、25℃における粘度が200m/sのものである。
【0063】
・実施例44{ポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−44)の調製}
分散媒として25℃における粘度が10×10−6/sの鉱物油(a−2)80部、25℃における粘度が10×10−6/sのポリジメチルシロキサン(b−2)10部及びイソトリデシルステアラート(c−1)10部との混合物98部と、分散質として表1に示したウレタン化合物(UT−20)2部とを、20〜35℃の温度で均一になるまで混合した後、横型ビーズミルを用いて湿式粉砕し、均一分散液として、前記した平均粒子径の測定方法による平均粒子径が50μmの実施例44に相当するポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−44)を調製した。そして実際の使用場面では、ここで調製したポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−44)100部に対し、シリコーンレジン2部を併用した。併用したシリコーンレジンは、ヘキサメチルジシロキサン/テトラメトキシシラン=1/2(モル比)の割合で縮合重合したものである。
【0064】
・実施例45{ポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−45)の調製}
分散媒として25℃における粘度が200×10−6/sの鉱物油(a−7)90部及び25℃における粘度が10×10−6/sのポリジメチルシロキサン(b−2)10部との混合物88部と、分散質として表1に示したウレタン化合物(UT−22)12部とを、20〜35℃の温度で均一になるまで混合した後、横型ビーズミルを用いて湿式粉砕し、均一分散液として、前記した平均粒子径の測定方法による平均粒子径が50μmの実施例45に相当するポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−45)を調製した。そして実際の使用場面では、ここで調製したポリウレタン系弾性繊維用処理剤(T−45)100部に対し、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン1部を併用した。併用したポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンは、ポリジメチルシロキサン部分/ポリオキシアルキレン基部分=90/10(質量比)の割合で構成されたもので、ポリオキシアルキレン基部分がオキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=75/25(質量比)の割合で構成されたものである。
【0065】
・比較例5{ポリウレタン系弾性繊維用処理剤(t−5)の調製}
25℃における粘度が20×10−6/sの鉱物油(a−1)98部と、分散質として表1に示したウレタン化合物(ut−1)とを混合し、表3に記載した比較例5に相当するポリウレタン系弾性繊維処理剤(t−5)を調製した。
【0066】
・比較例6、13{ポリウレタン系弾性繊維用処理剤(t−6)、(t−13)の調製}
比較例5のポリウレタン系弾性繊維用処理剤(t−5)と同様にして、表3に記載した比較例6、13に相当するポリウレタン系弾性繊維処理剤(t−6)、(t−13)を調製した。
【0067】
・比較例8{ポリウレタン系弾性繊維用処理剤(t−8)の調製}
25℃における粘度が10×10−6/sの鉱物油(a−2)を比較例8に相当するポリウレタン系弾性繊維用処理剤(t−8)とした。
以上で調製した各例のポリウレタン系弾性繊維用処理剤の内容を表2及び表3にまとめて示した。
















【0068】
【表2】







【0069】
【表3】

【0070】
表2及び表3において、
a−1:25℃における粘度が20×10−6/sの鉱物油
a−2:25℃における粘度が10×10−6/sの鉱物油
a−3:25℃における粘度が15×10−6/sの鉱物油
a−4:25℃における粘度が30×10−6/sの鉱物油
a−5:25℃における粘度が80×10−6/sの鉱物油
a−6:25℃における粘度が300×10−6/sの鉱物油
a−7:25℃における粘度が200×10−6/sの鉱物油
a−8:25℃における粘度が150×10−6/sの鉱物油
a−9:25℃における粘度が2000×10−6/sの鉱物油
b−1:25℃における粘度が20×10−6/sのポリジメチルシロキサン
b−2:25℃における粘度が10×10−6/sのポリジメチルシロキサン
c−1:イソトリデシルステアラート
c−2:トリメチロールプロパントリラウラート
*1:ステアリン酸マグネシウム塩
平均粒子径:前記した平均粒子径の測定方法により測定した値(μm)
【0071】
・試験区分3(ポリウレタン系弾性繊維用処理剤の評価)
試験区分2で調製した各例のポリウレタン系弾性繊維用処理剤について、分散安定性、平均粒子径及び粘度上昇を下記のように評価した。結果を表4及び表5にまとめて示した。
【0072】
・分散安定性の評価
各例のポリウレタン系弾性繊維用処理剤100mlを、密栓付きガラス製の100mlメスシリンダーに入れ、25℃にて6か月間放置し、調製直後と6か月間後のポリウレタン系弾性繊維用処理剤の外観を観察して、下記の基準で評価した。
◎:均一な分散状態で外観に変化がない
○:5ml未満の透明層が発生した
△:5ml以上の透明層が発生した
×:沈殿が発生した
【0073】
・平均粒子径の評価
分散安定性を評価した調製直後と6か月間後のポリウレタン系弾性繊維用処理剤について、前記した平均粒子径の測定方法にしたがい平均粒子径を測定し、下記の基準で評価した。
×:平均粒子径が0.01μm未満
○:平均粒子径が0.01μm以上0.1μm未満
◎:平均粒子径が0.1μm以上100μm以下
○:平均粒子径が100μm超500μm以下
×:平均粒子径が500μm超
【0074】
・粘度上昇の評価
E型粘度計(TOKIMEC社製、DVH−E型)を用いて、調製直後の各例のポリウレタン系弾性繊維用処理剤の30℃における粘度を、ローターE、20rpmで測定し、初期粘度V(Pa・s)とした。また各例のポリウレタン系弾性繊維用処理剤を密栓付きガラス製容器に入れ、40℃にて6か月間放置し、再度同様に30℃における粘度を測定し、経時後粘度V(Pa・s)とした。そしてV/Vを算出し、下記の基準で評価した。
◎:V/Vが1.3未満
○:V/Vが1.3以上1.5未満
△:V/Vが1.5以上2.0未満
×:V/Vが2.0以上



























【0075】
【表4】









【0076】
【表5】

【0077】
表4及び表5において、
*2:分散液でないため評価できなかった。
【0078】
表4及び表5の結果からも明らかなように、本発明の処理剤は、長期間に亘って初期の状態を維持し、分散安定性に優れている。本発明の処理剤は、長期間の保管や運搬中における性状の変化が殆どなく、優れた分散安定性を維持しているため、使い勝手がいいのである。
【0079】
・試験区分4(ポリウレタン系弾性繊維へのポリウレタン系弾性繊維用処理剤の付着及び評価)
・ポリウレタン系弾性繊維へのポリウレタン系弾性繊維用処理剤の付着
ビス−(p−イソシアネートフェニル)−メタン/テトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量1800)=1.58/1(モル比)の混合物を常法により90℃で3時間反応させ、キャップドグリコールを得た後、このキャップドグリコールをN,N’−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcという)で希釈した。次にエチレンジアミン及びジエチルアミンを含むDMAc溶液を前記のキャップドグリコールのDMAc溶液に加え、室温で高速攪拌装置を用いて混合し、鎖伸長させてポリマを得た。更にDMAcを加えて前記のポリマ濃度が約35質量%のDMAc溶液とし、このポリマのDMAc溶液に、ポリマに対して酸化チタンを4.7質量%、ヒンダードアミン系耐侯剤を3.0質量%及びヒンダードフェノール系酸化防止剤を1.2質量%となるように添加し、混合して均一なポリマ混合溶液とした。このポリマ混合溶液を用いて、公知のスパンデックスで用いられる乾式紡糸方法により、単糸数56本からなる560dtexの弾性糸を紡糸し、巻き取り前のオイリングローラーから各例のポリウレタン系弾性繊維用処理剤をそのままニートの状態でローラー給油した。かくしてローラー給油したものを、巻き取り速度500m/分で、長さ115mmの円筒状紙管に、巻き幅104mmを与えるトラバースガイドを介して、サーフェイスドライブの巻取機を用いて巻き取り、乾式紡糸ポリウレタン系弾性繊維のパッケージを得た。ポリウレタン系弾性繊維用処理剤の付着量の調節は、オイリングローラーの回転数を調整することで行なった。
【0080】
・測定及び評価
前記で得た乾式紡糸ポリウレタン系弾性繊維パッケージを下記の測定及び評価に供し、結果を表6及び表7にまとめて示した。
【0081】
付着量:前記のパッケージ(1kg巻き)から引き出したポリウレタン系弾性繊維について、JIS−L1073(合成繊維フィラメント糸試験方法)に準拠し、抽出溶剤としてn−ヘキサンを用いて測定した。
【0082】
・捲形状の評価
前記のパッケージ(1kg巻き)について、捲き幅の最大値(Wmax)と最小幅(Wmin)を計測し、双方の差(Wmax−Wmin)からバルジを求め、下記の基準で評価した。
◎:バルジが4mm未満
○:バルジが4〜6mm
△:バルジが6〜7mm
×:バルジが7mm超
【0083】
・解舒性の評価
片側に第1駆動ローラーとこれに常時接する第1遊動ローラーとで送り出し部を構成し、また反対側に第2駆動ローラーとこれに常時接する第2遊動ローラーとで巻き取り部を構成して、該送り出し部に対し該巻き取り部を水平方向で20cm離して設置した。第1駆動ローラーに前記と同様のパッケージ(3kg巻き)を装着し、糸巻の厚さが2mmになるまで解舒して、第2駆動ローラーに巻き取った。第1駆動ローラーからのポリウレタン系弾性繊維の送り出し速度を50m/分で固定する一方、第2駆動ローラーへのポリウレタン系弾性繊維の巻き取り速度を50m/分より徐々に上げて、ポリウレタン系弾性繊維をパッケージから強制解舒した。この強制解舒時において、送り出し部分と巻き取り部分との間でポリウレタン系弾性繊維の踊りがなくなる時点での巻き取り速度V(m/分)を測定し、下記の数1から解舒性(%)を求め、次の基準で評価した。
◎:解舒性が120%未満(全く問題なく、安定に解舒できる)
○:解舒性が120%以上160%未満(糸の引き出しにやや抵抗があるものの、糸切れの発生は無く、安定に解舒できる)
△:解舒性が160%以上200%未満(糸の引き出しに抵抗があり、若干の糸切れもあって、操業にやや問題がある)
×:解舒性が200%以上(糸の引き出しに抵抗が大きく、糸切れが多発して、操業に大きな問題がある)
また、25℃で6か月放置したパッケージについても、同様に解舒性を評価した。
【0084】
【数1】

【0085】
・平滑性の評価
摩擦測定メーター(エイコー測器社製、SAMPLE FRICTION UNIT MODEL TB−1)を用い、二つのフリーローラー間に直径1cmで表面粗度2Sのクロムメッキ梨地ピンを配置し、このクロムメッキ梨地ピンに対し、前記のパッケージ(1kg巻き)から引き出したポリウレタン系弾性繊維の接触角度が90度となるようにした。25℃で60%RHの条件下、入側で初期張力(T)5gをかけ、100m/分の速度で走行させたときの出側の2次張力(T)を測定した。下記の数2から摩擦係数を求め、次の基準で評価した。
◎:摩擦係数が0.150以上0.220未満
○:摩擦係数が0.220以上0.260未満
△:摩擦係数が0.260以上0.300未満
×:摩擦係数が0.300以上
【0086】
【数2】

【0087】
・制電性の評価
前記の平滑性の評価を行う際に、クロムメッキ梨地ピンの下部1cmの位置に静電電位測定器(春日電機社製、KSD−0103)を配置し、発生電気を測定して、次の基準で評価した。
◎:発生電気が50ボルト未満(全く問題無く、安定に操業できる)
○:発生電気が50ボルト以上100ボルト未満(整経工程で若干の寄りつきがあるが、問題なく安定に操業できる)
△:発生電気が100ボルト以上500ボルト未満(整経工程で寄りつきがあり、操業はできるものの、問題がある)
×:発生電気が500ボルト以上(整経工程での寄りつきが激しく、丸編み工程での風綿の付着も激しくて、操業できない)
【0088】
・接着性の評価
ポリプロピレン製スパンボンド不織布上に、145℃で加熱溶融したスチレンブタジエンスチレンブロック共重合体を主成分とするゴム系ホットメルト接着剤を均一にローラーで塗布し、切断して、40mm×20mmの大きさの切断物を2枚作製した。2枚の切断物の接着剤塗布面の間に、前記のパッケージ(1kg巻き)から引き出した40mmの長さのポリウレタン系弾性繊維の先端部10mmをはさみ、160℃の処理温度、荷重9g/cmで30秒間、圧着し、試料とした。この試料のポリプロピレン製スパンボンド不織布部分を、引張試験機(島津製作所製、オートグラフAGS)の上部試料把持部に固定し、下部試料把持部にポリウレタン系弾性繊維を固定して、100mm/分の速度で引っ張り、ポリプロピレン製スパンボンド不織布からポリウレタン系弾性繊維を引き抜くのに要する強力を測定し、次の基準で評価した。
◎:強力が35g以上(ホットメルト接着が強く、安定した操業が可能)
○:強力が30g以上35g未満(実用的なホットメルト接着であり、操業で問題は発生しない)
△:強力が25g以上30g未満(ホットメルト接着にやや問題があり、操業で問題が発生することがある)
×:強力が25g未満(ホットメルト接着が弱く、操業に大きな問題がある)













【0089】
【表6】










【0090】
【表7】

【0091】
表6及び表7において、
処理剤の種類:ポリウレタン系弾性繊維用処理剤の種類
【0092】
表6及び表7の結果からも明らかなように、本発明の処理剤及び処理方法によると、ポリウレタン系弾性繊維の製造において、良好な捲形状及び解舒性を有するパッケージを得ることができ、またポリウレタン系弾性繊維に良好な平滑性、制電性及びホットメルト接着性を付与することができる。結果として安定した操業の下に高品質のポリウレタン系弾性繊維を得ることができるのである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の分散媒と下記の分散質とから成るポリウレタン系弾性繊維用処理剤であって、該分散媒を80〜99.99質量%及び該分散質を0.01〜20質量%(合計100質量%)の割合で含有し、且つ下記の平均粒子径の測定方法により測定される平均粒子径を0.01〜500μmの範囲に調製して成ることを特徴とするポリウレタン系弾性繊維用処理剤。
分散媒:鉱物油を70〜100質量%と、シリコーンオイル及び/又は液状エステル油を0〜30質量%(合計100質量%)の割合で含有し、且つ25℃における粘度が2×10−6〜1000×10−6/sの範囲にある液体
分散質:下記の化1で示されるウレタン化合物であって、25℃における状態が、下記の測定方法により液状と判定されないウレタン化合物。
【化1】

(化1において、
,R:炭素数8〜50のアルキル基又は炭素数8〜50のアルケニル基
:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネートから全てのイソシアネート基を除いた残基)
ウレタン化合物の状態の判定方法:25℃の恒温室にて、ウレタン化合物を、垂直に保持した内径30mm×高さ120mmの平底円筒型のガラス製の試験管に底面からの高さが55mmとなるまで入れ、該試験管を水平にしたときに、該ウレタン化合物の移動面の先端が試験管の底面から85mmの部分を通過するまでに要した時間が90秒以内である場合、該ウレタン化合物は液状と判定する。
平均粒子径の測定方法:ポリウレタン系弾性繊維用処理剤を、25℃における粘度が共に10×10−6/sであるポリジメチルシロキサンと鉱物油との1/1(質量比)の混合液を用いて、該ポリウレタン系弾性繊維用処理剤中の分散質の濃度が1000mg/Lとなるよう希釈し、その希釈液を液温25℃でレーザー回折式粒度分布測定装置に供して、体積基準の平均粒子径を測定する方法。
【請求項2】
分散質が、化1中のR及びRが炭素数14〜38のアルキル基又は炭素数14〜38のアルケニル基である場合のものである請求項1記載のポリウレタン系弾性繊維用処理剤。
【請求項3】
分散質が、化1中のR及びRが炭素数18〜32のアルキル基である場合のものである請求項1記載のポリウレタン系弾性繊維用処理剤。
【請求項4】
分散質が、化1中のRが4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート又はトリレンジイソシアネートから全てのイソシアネート基を除いた残基である場合のものである請求項1〜3のいずれか一つの項記載のポリウレタン系弾性繊維用処理剤。
【請求項5】
分散媒が、鉱物油を85〜100質量%と、シリコーンオイル及び/又は液状エステル油を0〜15質量%(合計100質量%)の割合で含有し、且つ25℃における粘度が2×10−6〜100×10−6/sの範囲にあるものである請求項1〜4のいずれか一つの項記載のポリウレタン系弾性繊維用処理剤。
【請求項6】
平均粒子径を0.1〜100μmの範囲に調製した請求項1〜5のいずれか一つの項記載のポリウレタン系弾性繊維用処理剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つの項記載のポリウレタン系弾性繊維用処理剤を、希釈することなくニート給油法により、ポリウレタン系弾性繊維の紡糸工程においてポリウレタン系弾性繊維に0.1〜10質量%となるよう付着させることを特徴とするポリウレタン系弾性繊維の処理方法。
【請求項8】
請求項7記載のポリウレタン系弾性繊維の処理方法によって得られるポリウレタン系弾性繊維。

【公開番号】特開2012−31551(P2012−31551A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28329(P2011−28329)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000210654)竹本油脂株式会社 (138)
【Fターム(参考)】