説明

ポリウレタン起泡のための固有界面活性性を有する天然油系ポリオール

本発明は、固有表面活性性を有する天然油系ポリオールおよびVOC(揮発性有機化合物)の放出が少ない柔軟性、粘弾性および/または半硬質ワンショットポリウレタンフォームの製造におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固有界面活性性(intrinsic surfactancy)を有する再生可能な資源に基づくポリオールおよびシリコーン非含有の柔軟性、粘弾性および/または半硬質フォームの製造におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキレンオキシドおよび/またはポリエステルポリオールおよび/またはそれらの組み合わせの重合に基づくポリエーテルポリオールは、イソシアネートと共に、ポリウレタン系の主要成分である。ポリオールは、「Polyurethane Handbook」, by G. Oertel, Hanser publisherに記述されるように、充填されたポリオール(filled polyols)、例えば、SAN(スチレン/アクリロニトリル)、PIPA(ポリイソシアネート重付加)またはPHD(ポリ尿素)ポリオールであってもよい。
【0003】
ポリオールの1クラスは植物油または再生可能な原料から製造されるものである。そのようなポリオールは、Peermanらにより、米国特許第4,423,162号;第4,496,487号および第4,543,369号に記載される。Peermanらは、植物油から得られる脂肪酸のエステルのヒドロホルミル化および還元、並びに生じるヒドロキシル化物質とポリオールまたはポリアミンとのエステルの形成を記載する。脂肪酸から誘導される高官能性ポリエステルポリオール物質はWO 2004/096882;WO 2004/096883に記載される。これらのポリエステルポリオールは、ポリヒドロキシル開始剤を特定のヒドロキシメチル化脂肪酸と反応させることによって製造される。再生可能な資源に基づくポリオールに対する他のアプローチは、例えば、公開WO 2004/020497;WO 2004/099227;WO 2005/0176839;WO 2005/0070620および米国特許第4,640,801号に記載される。
【0004】
ポリウレタンフォームは、一般には、さらなる成分、例えば、界面活性剤、安定化剤、セル制御剤(cell regulators)、酸化防止剤、架橋剤および/または鎖拡張剤(chain extenders)、並びに触媒、例えば、三級アミンおよび/または有機金属塩並びに、および最終的には難燃剤添加物および/または充填剤を含有する。
【0005】
ポリウレタンフォームの製造に用いられるいくつかの物質および添加物は揮発性有機化合物(VOC)として放出され得るため、VOCのレベルを減少させる添加物を用いる努力がなされている。例えば、イソシアン酸反応性基、すなわち、ヒドロキシルまたは一級および/または二級アミンを含有するアミン触媒を用いることにより、揮発性アミン触媒のレベルを減少させる努力がなされている。そのような触媒はEP 747,407に開示される。他のタイプの反応性モノオール(monol)触媒は米国特許第4,122,038号、第4,368,278号および第4,510,269号に記載される。
【0006】
特定のアミン開始ポリオールの使用がEP 539,819、米国特許第5,672,636号およびWO 01/58,976において提唱されている。三級アミノ基を含有するポリオールは、US 3,428,708、US 5,482,979およびUS 4,934,579に記載される。
【0007】
VOCを減少させるための他の例は、より転位の少ない分子、例えば、EP 1,437,372に開示されるものでの酸化防止剤BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)の置換である。
【0008】
これらの技術のすべてがポリウレタン柔軟性フォームからのいくらかのVOCの除去を可能にするものが、フォームセルの安定化に用いられる界面活性剤もフォームにおけるVOCのレベルに寄与し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、再生可能な資源に基づき、かつフォームにおけるVOCのレベルの減少の目標をさらに補助するポリオールから製造される、良好な特性を有する柔軟性ポリウレタンフォームを提供することが望ましい。
【0010】
本発明の目的は、柔軟性および/または粘弾性の、特には、ワンショットポリウレタンフォームを、シリコーン系界面活性剤なしに、または実質的にレベルが低下したシリコーン界面活性剤を用いて製造することである。驚くべきことに、固有界面活性性を有する再生可能な資源に基づくポリオールを使用することによってこれを達成できることが見出されている。
【0011】
フリーライズ(free-rise)の、スラブストック(slabstock)の、または成型された、柔軟性および/または粘弾性ポリウレタンフォームを再生可能な資源からのポリオールを用い、シリコーン系界面活性剤の使用なしに、またはそのような界面活性剤の使用レベルを実質的に低下させて製造することも本発明の目的であり、ここで、圧縮硬化はOEM(機器製造元)の仕様を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ポリウレタンフォームの製造プロセスであって、
(a)以下を伴う少なくとも1種類の有機ポリイソシアネート、
(b)以下を含むポリオール組成物、
(b1)2〜8の公称出発物質官能性および15〜200のヒドロキシル数を有する、(b2)以外の、99重量パーセントまでの少なくとも1種類のポリオール化合物、および
(b2)300未満のヒドロキシル数および6,000mPa・s未満の25℃での粘度を有する、再生可能な資源に基づく、1から100重量パーセントまでの少なくとも1種類のポリオール、
(c)場合により、1またはそれ以上のポリウレタン触媒の存在下、
(d)発泡剤としての、100部のポリオールあたり0.5〜10部の水の存在下;および
(e)場合により、ポリウレタンフォームの製造にそれ自体公知である添加物または助剤
の混合物の反応によるものであり、全反応混合物がシリコーン系界面活性剤を実質的に含有しないプロセスである。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、疎水性および親水性部分を界面活性剤として含有し、再生可能な資源からのポリオールの、柔軟性、半硬質および/または粘弾性ポリウレタンフォームの製造への使用である。
【0014】
別の実施形態において、ポリオール(b2)は高EO(エチレンオキシド)系部分を含有する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、天然系ポリオール(b2)で製造される、80kg/m未満の密度を有するシリコーン非含有の柔軟性、半硬質および/または粘弾性ポリウレタンフォームである。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、それによると少なくとも1種類の添加物(e)がシリコーン非含有有機乳化剤および/または界面活性剤であるプロセスである。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、それによるとポリオール(b2)が一級および/または二級ヒドロキシル基を含有するプロセスである。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、それによるとポリオール(b1)およびポリオール(b2)が一級および/または二級アミン基を含有するプロセスである。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、ポリイソシアネート(a)が過剰のポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物である少なくとも1種類のポリイソシアネートを含有する、上記に開示されるプロセスである。
【0020】
さらなる実施形態において、本発明は、ポリオール(b)が過剰のポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られるポリオール終端プレポリマーを含有し、該ポリオールが(b1)および/または(b2)によって定義される、上記に開示されるプロセスである。イソシアネートとポリオール(b2)との反応はHLP比を変化させる(HLBは親水性/親油性比である)。
【0021】
本発明は、さらに、上記プロセスのいずれかによって製造されるポリウレタン製品を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
再生可能な資源に基づくポリオール(b2)は、本明細書では、天然油系ポリオール(NOBP)とも呼ばれる。これらのポリオール(b2)は室温で液体であり、複数の活性部位を有する。ポリオール(b2)の添加は、特にワンショットポリウレタン反応混合物において、シリコーン系界面活性剤を柔軟性、半硬質および/または粘弾性フォーム配合物中に含める必要性を排除する。本明細書で用いられる場合、シリコーン界面活性剤が実質的にないことは、シリコーン系界面活性剤の不在、またはシリコーン系界面活性剤の不在下で調製されたフォームの特性に対して測定される、フォーム特性の検出可能な変化を下回る界面活性剤のレベルを意味する。
【0023】
本発明によると、比較的臭気が少なく、VOCの放出が少ないポリウレタン製品が製造される、ポリウレタン製品の製造プロセスが提供される。この利点はポリオール(b)組成物中に天然油系ポリオール(b2)を含むことによって達成される。そのようなポリオール(b2)は、SAN、PIPAまたはPHDコポリマーポリオールの調製において追加原料ポリオールとして添加し、それらをポリオール混合物(b)に添加することもできる。別の選択肢は、ポリオール(b2)をプレポリマー中でポリイソシアネート単独と共に、またはイソシアネートおよび第2ポリオールと共に用いるものである。
【0024】
本明細書で用いられる場合、ポリオールという用語は、イソシアネートとの反応を受けることが可能な活性水素原子を含有する、少なくとも1つの基を有する物質である。そのような化合物のうちにある好ましいものは、少なくとも2つのヒドロキシル、一級または二級または少なくとも2つのアミン、一級または二級カルボン酸、またはチオール基を分子あたりに有する物質である。少なくとも2つのヒドロキシル基または少なくとも2つのアミン基を分子あたりに有する化合物が、それらのポリイソシアネートとの望ましい反応性のため、特に好ましい。
【0025】
本発明の適切なポリオール(b1)は当分野において周知であり、それには本明細書に記載されるものおよびあらゆる他の商業的に入手可能なポリオールおよび/またはSAN、PIPAまたはPHDコポリマーポリオールが含まれる。そのようなポリオールは、「Polyurethane Handbook」, by G. Oertel, Hanser publishersに記載される。1種類またはそれ以上のポリオールおよび/または1種類またはそれ以上のコポリマーポリオールの混合物を本発明によるポリウレタン製品の製造に用いることもできる。
【0026】
代表的なポリオールには、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリヒドロキシ終端アセタール樹脂、ヒドロキシル終端アミンおよびポリアミンが含まれる。これらの、および他の適切なイソシアネート反応性物質の例は米国特許第4,394,491号により完全に記載される。用いることができる代わりのポリオールには、ポリアルキレンカーボネート系ポリオールおよびポリホスフェート系ポリオールが含まれる。アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはそれらの組み合わせを、2〜8個、好ましくは2〜6個の活性水素原子を有する開始剤に添加することによって調製されるポリオールが好ましい。この重合用の触媒はアニオン性またはカチオン性のいずれであってもよく、例えば、KOH、CsOH、三フッ化ホウ素、または二重シアン化物錯体(double cyanide complex)(DMC)触媒、例えば、亜鉛ヘキサシアノコバルテートまたは四級ホスファゼニウム化合物のような触媒である。
【0027】
適切な開始剤分子の例は、水、有機ジカルボン酸、例えば、コハク酸、アジピン酸、フタル酸およびテレフタル酸;および多水酸基、特には、2水酸基〜8水酸基アルコールまたはジアルキレングリコールである。
【0028】
例示的なポリオール開始剤には、例えば、エタンジオール、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、ネオペンチルグリコール;1,2−プロピレングリコール;トリメチロールプロパングリセロール;1,6−ヘキサンジオール;2,5−ヘキサンジオール;1,4−ブタンジオール;1,4−シクロヘキサンジオール;エチレングリコール;ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;9(1)−ヒドロキシメチルオクタデカノール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン;8,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デセン;Dimerolアルコール(Henkel Corporationから入手可能な36炭素ジオール);水素化ビスフェノール;9,9(10, 10)−ビスヒドロキシメチルオクタデカノール;1,2,6−ヘキサントリオール;およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0029】
他の開始剤にはアミンを含有する直鎖状および環状化合物が含まれる。例示的なポリアミン開始剤には、エチレンジアミン、ネオペンチルジアミン、1,6−ジアミノヘキサン;ビスアミノメチルトリシクロデカン;ビスアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;ビス−3−アミノプロピルメチルアミン;トリエチレンテトラアミン、トルエンジアミンの様々な異性体;ジフェニルメタンジアミン;N−メチル−1,2−エタンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジメチルエタノールアミン、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、N,N−ジメチルジプロピレントリアミン、アミノプロピル−イミダゾールが含まれる。
【0030】
例示的なアミノアルコールには、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンが含まれる。
【0031】
ポリオール(b1)は、例えば、アルキル−アジリジンをコモノマーとしてPOおよびEOと共に用いることにより、三級窒素を鎖中に含有することもできる。
【0032】
三級アミン末端キャッピングを有するポリオールは、ポリオール鎖の少なくとも一方の先端に連結した三級アミノ基を含有するものである。これらの三級アミンは、N,N−ジアルキルアミノ、N−アルキル、脂肪族または環状アミン、ポリアミンであり得る。
【0033】
用いることができる他の有用な開始剤には、米国特許第4,216,344号;第4,243,818号および第4,348,543号および英国特許第1,043,507号に記載されるポリオール、ポリアミンまたはアミノアルコールが含まれる。
【0034】
特に関心のあるものは、ポリ(プロピレンオキシド)ホモポリマー、ポリ(エチレンオキシド)含有率が、例えば、約1〜約30重量%であるプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのランダムコポリマー、エチレンオキシドでキャップされたポリ(プロピレンオキシド)ポリマーおよびプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのエチレンオキシドでキャップされたランダムコポリマーである。スラブストックフォーム用途では、そのようなポリエーテルは、好ましくは分子あたり2〜5、特には2〜4、好ましくは2〜3の、主として二級のヒドロキシル基を含有し、約400〜約3000、特には、約800〜約1750のヒドロキシル基あたりの当量を有する。高反発性スラブストックおよび成型フォーム用途では、そのようなポリエーテルは、好ましくは分子あたり2〜6、特には2〜4の主として一級のヒドロキシル基を含有し、約1000〜約3000、特には、約1200〜約2000のヒドロキシル基あたりの当量を有する。ポリマーのブレンドが用いられるとき、公称平均官能性(分子あたりのヒドロキシル基の数)は、好ましくは上記で特定される範囲内にある。
【0035】
弾性フォームでは、150を上回るヒドロキシル数を有する、より短鎖のポリオールも用いられる。
【0036】
半硬質フォームの製造には、30〜80のヒドロキシル数を有する三官能性ポリオールを用いることが好ましい。
【0037】
いわゆる複合金属シアン化物(DMC)触媒を用いて製造されるもののように、ポリエーテルポリオールが含有する末端不飽和は、例えば米国特許第3,278,457号、第3,278,458号、第3,278,459号、第3,404,109号、第3,427,256号、第3,427,334号、第3,427,335号、第5,470,813号および第5,627,120号に記載されるように、少なくてもよい(例えば、0.02meq/g未満または0.01meq/g未満)。ポリエステルポリオールは、典型的には、分子あたり約2のヒドロキシル基を含有し、約400〜1500のヒドロキシル基あたりの当量を有する。その上、様々な種類のポリマーポリオールを用いることができる。ポリマーポリオールには、ポリマー粒子、例えば、ポリ尿素、ポリウレタン−尿素、ポリスチレン、ポリアクリロニトリルおよびポリスチレン−co−アクリロニトリルポリマー粒子のポリオール、典型的には、ポリエーテルポリオール中の分散体が含まれる。適切なポリマーポリオールは米国特許第4,581,418号および第4,574,137号に記載される。
【0038】
一実施形態において、(b1)は自己触媒活性を含有する少なくとも1種類のポリオールを含有し、ポリウレタンフォーム製造において一般に用いられるアミンおよび/または有機金属触媒の一部またはすべてを置換することができる。自己触媒性ポリオールは、三級アミンを含有する開始剤、ポリオール鎖中に三級アミン基を含有するポリオールまたは三級アミン基で部分的にキャップされるポリオールから製造されるものである。一般には、同じ反応プロフィールを維持ながら、(b2)を添加してアミン触媒の少なくとも10重量パーセントを置換する。一般には、同じ反応プロフィールを維持しながら自己触媒性ポリオールを添加して従事のアミン触媒の少なくとも20重量パーセントを置換する。同じ反応プロフィールを維持しながら添加して、アミン触媒の少なくとも30重量パーセントを置換することがより好ましい。そのような自己触媒性ポリオールを、同じ反応プロフィールを維持しながら添加して、アミン触媒の少なくとも50重量パーセントを置換することもできる。その代わりに、そのような自己触媒性ポリオールを添加して、離型時間を強化することもできる。
【0039】
そのような自己触媒性ポリオールは、EP 539,819、米国特許第5,672,636号;第3,428,708号;第5,482,979号;第4,934,579号および第5,476,969号およびWO 01/58,976に開示され、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
好ましい実施形態の1つにおいて、自己触媒性ポリオールは約1000〜約12,000の分子量を有し、式、
A−(CH−N(R)−(CH−AH 式(I)
(式中、nおよびpは独立して2〜6の整数であり、
Aは、各々の出現時に、独立して酸素、窒素、硫黄または水素であり、ただし、1つのAのみが一度に水素であり得、
RはC〜Cアルキル基であり、
mは、Aが水素であるとき0に等しく、Aが酸素であるとき1であり、Aが窒素であるとき2である)または
N−(CH−N−(R)−H 式(II)
(式中、mは2〜12の整数であり、
RはC1〜アルキル基である)
の少なくとも1種類の開始分子のアルコキシ化によって調製される。
【0041】
自己触媒性ポリオールの製造に好ましい開始剤には、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、2,2’−ジアミノ−N−メチルジエチルアミン、2,3−ジアミノ−N−メチル−エチル−プロピルアミン、N−メチル−1,2−エタンジアミンおよびN−メチル−1,3−プロパンジアミンが含まれる。
【0042】
一般には、用いられるとき、前記自己触媒性ポリオールは全ポリオールの50重量パーセントまで、好ましくは、ポリオールの40重量パーセントまでを構成する。一般には、用いられるとき、そのような自己触媒性ポリオールはポリオールの少なくとも1重量パーセントを構成する。より好ましくは、そのようなポリオールは全ポリオールの5パーセントまたはそれ以上を表す。
【0043】
WO公開第2005063840号(本開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示される、少なくとも1つのイミン結合および1つの三級アミン基を含有する自己触媒性ポリオールを用いることもできる。一般には、そのようなポリオールは、アルデヒドまたはケトンと一級アミンおよび三級アミン基の両らを含有する分子の間の反応に基づく。そのようなイミン系ポリオールが用いられるとき、それらは、一般には、ポリオール成分の0.5〜2部を構成する。自己触媒性ポリオールの組み合わせを用いることもできる。
【0044】
(b2)のポリオールは、再生可能な資源、例えば、天然および/または遺伝的に改変された(GMO)植物の種油および/または動物を源とする脂肪に基づき、またはそれらから誘導される。そのような油および/または脂肪は、一般には、トリグリセリド、すなわち、グリセロールと共に連結された脂肪酸から構成される。好ましいものは、トリグリセリド中に少なくとも約70パーセントの不飽和脂肪酸を有する植物油である。好ましくは、これらの天然生成物は少なくとも約85重量パーセントの不飽和脂肪酸を含有する。好ましい植物油の例には、例えば、トウゴマ、ダイズ、オリーブ、ラッカセイ、アブラナ、トウモロコシ、ゴマ、木綿、キャノーラ、ベニバナ、アマニ、ヤシ、ヒマワリ種油またはそれらの組み合わせからのものが含まれる。動物製品の例には、ラード、牛脂、魚油およびそれらの混合物が含まれる。植物および動物系油/脂肪の組み合わせを用いることもできる。これらの天然油のヨウ素値は約40〜240の範囲である。好ましくは、ポリオール(b2)はダイズ油および/またはヒマシ油および/またはキャノーラ油から誘導される。
【0045】
柔軟性ポリウレタンフォームの製造における使用では、天然物質を修飾して物質イソシアネート反応性基を得るか、またはその物質のイソシアネート反応性基の数を増加させることが一般に望ましい。好ましくは、そのような反応性基はヒドロキシル基である。(b2)のポリオールを調製するのにいくつかの化学を用いることができる。そのような再生可能な資源の修飾には、例えば、米国特許第6,107,433号または米国特許第6,121,398号に記載されるエポキシ化;WO 2003/029182に記載されるようなヒドロキシル化;US 6,897,283;6,962,636または6,979,477に記載されるようなエステル化;WO 2004/096744に記載されるヒドロホルミル化;US 4,640,801に記載されるようなグラフト化;またはUS 4,534,907またはWO 2004/020497に記載されるようなアルコキシル化が含まれる。天然生成物を修飾するための上記の引用文献は参照により本明細書に組み込まれる。天然油の修飾によるそのようなポリオールの製造後、修飾された生成物をさらにアルコキシル化することができる。EOまたはEOと他のオキシドとの混合物の使用で、親水性部分がポリオールに導入される。一実施形態においては、修飾された生成物を、10〜60重量パーセントのEO;好ましくは、20〜40重量パーセントのEOを含むポリオール(b2)を生成するのに十分なEOでのアルコキシル化に処する。
【0046】
別の実施形態においては、ポリオール(b2)は、PCT公開第WO 2004/096882号および第2004/096883号、および「Polyester Polyols Containing Secondary alcohol Groups and Their Use in Making Polyurethanes Such as Flexbile Polyurethane Foams」と題する、出願人の同時係属出願第60/676,348号(それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるように、上記修飾技術の組み合わせによって得られる。簡潔に述べると、本プロセスは、動物または植物油/脂肪をトランスエステル化に処して構成脂肪酸を回収する多工程プロセスを含む。本工程に続いて、構成脂肪酸中の炭素−炭素二重結合をヒドロホルミル化してヒドロキシメチル基を形成し、次にヒドロキシメチル化脂肪酸と適切な開始剤化合物との反応によってポリエステルまたはポリエーテル/ポリエステルを形成する。この後者の技術は、疎水性および親水性部分の両らを有するポリオール(b2)の生成を可能にするため、好まれている。疎水性部分は、それらがC4〜C24飽和および/または不飽和鎖長、好ましくは、C4〜C18鎖長を含有するため、天然油によってもたらされ、それに対して親水性部分は、開始剤、例えば、高レベルのエチレンオキシドを含有するものに存在する適切なポリオール鎖の使用によって得られる。
【0047】
ポリオール(b2)を製造するための多工程プロセスにおいて用いるための開始剤は、ポリオール(b1)の製造において用いられる、所与の開始剤のいずれであってもよい。
【0048】
好ましくは、開始剤は、ネオペンチルグリコール;1,2−プロピレングリコール;トリメチロールプロパン;ペンタエリスリトール;ソルビトール;スクロース;グリセロール;ジエタノールアミン;アルカンジオール、例えば、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール;1,4−シクロヘキサンジオール;2,5−ヘキサンジオール;エチレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール;ビス−3−アミノプロピルメチルアミン;エチレンジアミン;ジエチレントリアミン;9(1)−ヒドロキシメチルオクタデカノール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン;8,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デセン;Dimerolアルコール;水素化ビスフェノール;9,9(10,10)−ビスヒドロキシメチルオクタデカノール;1,2,6−ヘキサントリオールおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0049】
より好ましくは、開始剤は、グリセロール;エチレングリコール;1,2−プロピレングリコール;トリメチロールプロパン;エチレンジアミン;ペンタエリスリトール;ジエチレントリアミン;ソルビトール;スクロース;または、その内部に存在するアルコールまたはアミン基の少なくとも1つがエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはそれらの混合物と反応している、上述のいずれか;およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0050】
最も好ましくは、開始剤は、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、スクロース、ソルビトールおよび/またはそれらの混合物である。
【0051】
好ましい一実施形態においては、そのような開始剤をエチレンオキシドまたはエチレンおよび少なくとも1種類の他のアルキレンオキシドの混合物でアルコキシル化し、200〜6000、特には、400〜2000の分子量を有するアルコキシル化開始剤を得る。好ましくは、アルキル化開始剤は500〜1000の分子量を有する。
【0052】
一実施形態において、ポリオール(b2)は10〜60重量パーセントのエチレンオキシドを含有する。好ましくは、ポリオール(b2)は15〜50重量パーセントのEOを含有する。より好ましくは、ポリオール(b2)は20〜40重量パーセントのエチレンオキシドを含有する。
【0053】
ポリオール(b2)またはそのようなポリオールのブレンドの官能性は1.5より上であり、一般には、6以下である。好ましくは、官能性は4未満である。ポリオール(b2)またはそのようなポリオールのブレンドのヒドロキシル数は300mg KOH/g未満であり、好ましくは100未満である。
【0054】
ポリオール(b2)はポリオール配合物の100重量パーセントまでを構成することができる。しかしながら、これは柔軟性フォームには好ましくない。通常、ポリオール(b2)はポリオール成分の総重量の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも35%または少なくとも50%を構成する。好ましくはないが、ポリオール(b2)はポリオールの総重量の75%またはそれ以上、85%またはそれ以上、90%またはそれ以上、95%またはそれ以上または100%でさえ構成することができる。
【0055】
2つのタイプのポリオール(b2)の組み合わせを、フォーム配合物中の種油のレベルを最大限にするか、またはフォーム加工性および/または特定のフォーム特性、例えば、加湿エージングに対する耐性を最適化するのに用いることもできる。
【0056】
25℃で測定されるポリオール(b2)の粘度は、一般には、6,000mPa・s未満である。好ましくは、25℃でのポリオール(b2)の粘度は5,000mPa・s未満である。
【0057】
本発明において用いることができるイソシアネートには、脂肪族、脂環族、アリール脂肪族および芳香族イソシアネートが含まれる。芳香族イソシアネートが好ましい。
【0058】
適切な芳香族イソシアネートに例には、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の4,4’−、2,4’および2,2’−異性体、それらのブレンドおよびポリマーおよびモノマーMDI配合物、トルエン−2,4−および2,6−ジイソシアネート(TDI)、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニル−メタン−4,4’−ジイソシアネートおよびジフェニルエーテルジイソシアネートおよび2,4,6−トリイソシアナトトルエンおよび2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルエーテルが含まれる。
【0059】
イソシアネートの混合物、例えば、商業的に入手可能なトルエンジイソシアネートの2,4−および2,6−異性体の混合物を用いることができる。粗製ポリイソシアネート、例えば、トルエンジアミンの混合物のホスゲン化によって得られる粗製トルエンジイソシアネートまたは粗製メチレンジフェニルアミンのホスゲン化によって得られる粗製ジフェニルメタンジイソシアネートも本発明の実施において用いることができる。TDI/MDIブレンドを用いることもできる。ポリオール(b1)、ポリオール(b2)または従来記載されるあらゆる他のポリオールで製造される、MDIまたはTDI系プレポリマーを用いることもできる。イソシアネート終端プレポリマーは、過剰のポリイソシアネートを、アミノ化ポリオールまたはそれらのイミン/エナミンまたはポリアミンを含むポリオールと反応させることによって調製する。
【0060】
脂肪族ポリイソシアネートの例には、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、上記芳香族イソシアネートの飽和類似体およびそれらの混合物が含まれる。
【0061】
柔軟性フォームの製造には、好ましいポリイソシアネートはトルエン−2,4−および2,6−ジイソシアネートまたはMDIまたはTDI/MDIの組み合わせまたはそれらから製造されるプレポリマーである。
【0062】
ポリオール(b2)に基づくイソシアネート先端プレポリマーをポリウレタン配合物中に用いることもできる。
【0063】
柔軟性フォームの製造において用いられるポリイソシアネートの量は、通常、イソシアネート指数、すなわち、反応混合物中に含有される反応性水素に対するNCO基の比の100倍の観点で表される。従事のスラブストックフォームの製造においては、イソシアネート指数は、典型的には約75〜140、特には約80〜115の範囲である。成型および高反発性スラブストックフォームにおいては、イソシアネート指数は、典型的には約50〜約150、特には約75〜約110の範囲である。
【0064】
1種類またはそれ以上の架橋剤が、上述のポリオールに加えて、柔軟性フォーム配合物中に存在していてもよい。これは、特には、高反発性スラブストックまたは成型フォームを製造する場合である。用いられる場合、架橋剤の適切な量は100重量部のポリオールあたり約0.1〜約1重量部、特には約0.25〜約0.5重量部である。
【0065】
本発明の目的上、「架橋剤」は、分子あたり3つまたはそれ以上のイソシアネート反応性基および400未満のイソシアネート反応性基あたりの当量を有する物質である。架橋剤は、好ましくは、分子あたり3〜8、特には3〜4のヒドロキシル、一級アミンまたは二級アミン基を含有し、かつ30〜約200、特には50〜125の当量を有する。適切な架橋剤の例には、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ、ジまたはトリ(イソプロパノール)アミン、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が含まれる。
【0066】
1種類またはそれ以上の鎖拡張剤をフォーム配合物中で用いることも可能である。本発明の目的上、鎖拡張剤は、分子あたり2つのイソシアネート反応性基および400未満、特には31〜125のイソシアネート反応性基あたりの当量を有する物質である。イソシアネート反応性基は、好ましくはヒドロキシル、一級脂肪族または芳香族アミンまたは二級脂肪族または芳香族アミン基である。代表的な鎖拡張剤には、アミンエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)メタンおよび2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンが含まれる。用いられる場合、鎖拡張剤は、典型的には、100重量部の高当量ポリオールあたり約1〜約50、特には、約3〜約25重量部の量で存在する。
【0067】
そのような架橋剤および鎖拡張剤の使用は、米国特許第4,863,979号およびEP公開第0 549 120号に開示されるように、当分野において公知である。
【0068】
本発明におけるNOBPの利用において、ポリエーテルポリオールを、すなわちポリオール(b1)の一部として、配合物中に含み、開放セルまたは軟化ポリウレタンフォームの形成を促進することができる。そのようなセル開放剤(cell openers)は米国特許第4,863,976号に開示され、本開示は参照により本明細書に組み込まれる。そのようなセル開放剤は、一般には、2〜12、好ましくは、3〜8の官能性および少なくとも5,000〜約100,000までの分子量を有する。そのようなポリエーテルポリオールは少なくとも50重量パーセントのオキシエチレン単位およびそれをそれらの成分と相溶させるのに十分なオキシプロピレン単位を含有する。セル開放剤は、用いられる場合、一般には、全ポリオールの0.2〜5、好ましくは、0.2〜3重量部の量で存在する。商業的に入手可能なセル開放剤の例はVORANOLポリオールCP 1421およびVORANOLポリオール4053である;VORANOLはThe Dow Chemical Companyの商標である。
【0069】
ポリウレタン系フォームの製造には、発泡剤が一般に必要である。柔軟性ポリウレタンフォームの製造においては、発泡剤として水が好ましい。水の量は、100重量部のポリオールに基づいて、好ましくは0.5〜10重量部、より好ましくは2〜7重量部の範囲である。カルボン酸または塩を反応性発泡剤として用いることもできる。他の発泡剤は液体または気体状二酸化炭酸、塩化メチレン、アセトン、ペンタン、イソペンタン、メチラールまたはジメトキシメタン、ジメチルカーボネートであり得る。人工的に減少または増加された大気圧の使用も本発明で考慮することができる。
【0070】
前述の重要な成分に加えて、特定の他の成分をポリウレタンポリマーの調製において用いることがしばしば望ましい。これらのさらなる成分のうちにあるものは、乳化剤、保存剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、強化剤、粉末の形態にある再生ポリウレタンフォームを含む充填剤である。
【0071】
これらの配合物はシリコーン界面活性剤を含まないものの、反応成分の相溶化を助けるため、乳化剤が一般に添加される。そのような乳化剤は当分野において公知であり、非シリコーン系乳化剤の例には、スルホン化天然油、脂肪酸エステルおよびフェノールまたはオクチルフェノールのエチレンオキシド縮合体が含まれる。商業的に入手可能な乳化剤の例には、Span 80、ソルビタンモノオレエートおよびスルホン化リシノール酸のナトリウム塩が含まれる。用いられる場合、乳化剤は、一般には全ポリオールの0.1〜10重量パーセント、より好ましくは1〜8部、さらにより好ましくは2〜6パーセントである。
【0072】
本発明におけるNOPBの利用において、高官能性ポリエーテルポリオールを配合物に含めて開放セルまたは軟化ポリウレタンフォームの形成を促進することができる。そのようなセル開放剤は米国特許第4,863,976号に開示され、本開示は参照により本明細書に組み込まれる。そのようなセル開放剤は、一般には、4〜12、好ましくは5〜8の官能性および少なくとも5,000〜約100,000までの分子量を有する。そのようなポリエーテルポリオールは少なくとも50重量パーセントのオキシエチレン単位、およびそれをそれらの成分と相溶させるのに十分なオキシプロピレン単位を含有する。セル開放剤は、用いられる場合、一般には、全ポリオールの0.2〜5、好ましくは0.2〜3重量部の量で存在する。
【0073】
ポリオール(および、存在するのであれば、水)とポリイソシアネートとの反応のための1種類またはそれ以上の触媒を用いることができる。あらゆる適切なウレタン触媒を用いることができ、三級アミン化合物、イソシアネート反応性基を有するアミンおよび有機金属化合物が含まれる。例示的な三級アミン化合物には、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、1−メチル−4−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、3−メトキシ−N−ジメチルプロピルアミン、N−エチルモルホリン、ジメチルエタノールアミン、N−ココモルホリン、N,N−ジメチル−N’,N’−ジメチルイソプロピルプロピレンジアミン、N,N−ジエチル−3−ジエチルアミノ−プロピルアミンおよびジメチルベンジルアミンが含まれる。例示的な有機金属触媒には、有機水銀、有機鉛、有機鉄および有機スズ触媒が含まれ、有機スズ触媒が特に好ましい。適切なスズ触媒には、塩化第一スズ、カルボン酸のスズ塩、例えば、ジブチルスズジラウレートに加えて、他の有機金属化合物、例えば、米国特許第2,846,408号に開示されるものが含まれる。ポリイソシアヌレートを生じる、ポリイソシアネートの三量体化のための触媒、例えば、アルカリ金属アルコキシドも本明細書で場合により、用いることができる。アミン触媒の量は配合物中に0.02〜5パーセントで変化させることができ、または配合物中に0.001〜1パーセントの有機金属触媒を用いることができる。
【0074】
本発明によって製造されるフォームの応用は産業において公知のものである。柔軟性、半硬質および粘弾性フォームには、家具、靴底、自動車シート、サンバイザー、ハンドル、包装用途、肘掛け、ドアパネル、遮音部品、他の緩衝およびエネルギー管理用途、カーペットの裏打ち、ダッシュボードおよび通常の柔軟性ポリウレタンフォームが用いられる他の用途のような応用に用途が見出される。
【0075】
ポリウレタン製品を製造するための処理は当分野において周知である。一般には、ポリウレタン形成反応混合物の成分をあらゆる都合のよい様式で、例えば、従来技術においてこの目的のために記載される、例えば、「Polyurethane Handbook」, by G. Oertel, Hanser publisherに記載される混合装置のいずれかを用いることによって一緒に混合することができる。
【0076】
一般には、ポリウレタンフォームは、ポリイソシアネートおよびポリオール組成物を、発泡剤、触媒および所望に応じて、他の任意の成分の存在下、ポリイソシアネートおよびポリオール製品が反応して、ポリウレタンおよび/またはポリ尿素ポリマーを形成し、その間にその反応する混合物を膨張させる気体を発泡剤が生成するような条件下で混合することによって調製される。フォームは、米国特許第4,390,645号に記載されるように、いわゆるプレポリマー法によって形成することができ、例えば、まず化学量論的過剰のポリイソシアネートを高当量ポリオールと反応させてプレポリマーを形成し、それを第2工程において鎖拡張剤および/または水と反応させて望ましいフォームを形成する。例えば、米国特許第3,755,212号;第3,849,156号および第3,821,130に記載される、発泡法(frothing methods)も適切である。いわゆるワンショット法、例えば、米国特許第2,866,744号に記載されるものが好ましい。そのようなワンショット法においては、ポリイソシアネートおよびすべてのポリイソシアネート反応性成分を同時に一緒にして反応させる。本発明における使用に適する3つの広く用いられるワンショット法には、スラブストックフォームプロセス、高反発性スラブストックフォームプロセスおよび成型フォーム法が含まれる。
【0077】
スラブストックフォームは、フォーム成分を混合し、それらをトラフまたは他の領域に分散させ、そこで反応混合物を反応させ、(時折、フィルムまたは他の柔軟性の覆いの下で)大気に対して自由に隆起させて硬化させることによって都合よく調製される。一般的な商業的規模のスラブストックフォーム製造においては、フォーム成分(またはそれらの様々な混合物)を混合ヘッドに独立して汲み上げて、そこでそれらを混合し、紙またはプラスチックで裏打ちされるコンベア上に分配する。起泡および硬化がコンベア上で生じてフォームバン(foam bun)が形成される。生じるフォームは、典型的には、密度が約10kg/m〜80kg/m、特には約15kg/m〜60kg/m、好ましくは約17kg/m〜50kg/mである。
【0078】
好ましいスラブストックフォーム配合物は、大気圧で、100重量部の高当量ポリオールあたり、約3〜約6、好ましくは、約4〜約5重量部の水を含有し、それが用いられる。減圧ではこれらのレベルは低下する。
【0079】
高反発性スラブストック(HRスラブストック)フォームは、従事のスラブストックフォームを製造するのに用いられるものに類似するが、より高い当量のポリオールを用いる方法で製造される。HRスラブストックフォームは、ASTM 3574.03による、45%またはそれ以上のボールリバウンドスコア(Ball rebound score)を示すことを特徴とする。水レベルは100重量部(高当量)のポリオールあたり約2〜約6、特には約3〜約5部の傾向にある。
【0080】
成型フォームは、本発明に従い、反応体(コポリエステル、ポリイソシアネート、発泡剤および界面活性剤を含むポリオール組成物)を、起泡反応が生じて成形されたフォームが製造される、閉鎖された型に移すことによって製造することができる。型を周囲温度より著しく予備加熱することがなく、いわゆる「常温成型」プロセスまたは型を加熱して硬化を推進する「熱成型」プロセスのいずれかを用いることができる。高反発性成型フォームを製造するには常温成型プロセスが好ましい。成型フォームの密度は、一般には、30〜50kg/mの範囲である。
【0081】
以下の例は本発明を示すものであり、いかなる意味においても限定するものと解釈されるべきではない。他に述べられない限り、すべての部およびパーセンテージは重量基準で示される。
【0082】
これらの例において用いられる原料の説明は以下の通りである。
・DEOAは、純度99%のジエタノールアミンである。
・Dabco 33 LVは、Air Products and Chemicals Incから入手可能な三級アミン触媒である。
・Niax A−1は、GE Specialtiesから入手可能な三級アミン触媒である。
・Niax A−300は、GE Specialtiesから入手可能な三級アミン触媒である。
・Cosmos 29は、Degussa−Goldschmidtから入手可能なオクタン酸第一スズ触媒である。
・Span 80は、Aldrichから入手可能なソルビタンモノオレエート乳化剤である。
・Tegostab B−9719 LFは、Degussa−Goldschtmidtから入手可能なシリコーン系界面活性剤である。
・SPECFLEX NC 632は、The Dow Chemical Companyから入手可能な、グリセロールおよびソルビトールのブレンドで開始される1,700 EWポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールである。
・SPECFLEX NC−700は、The Dow Chemical Companyから入手可能な、20の平均ヒドロキシル数を有する40パーセントSAN系コポリマーポリオールである。
・Voralux HF 505は、The Dow Chemical Companyから入手可能な、29のヒドロキシル数を有するソルビトール開始ポリオールである。
・Voralux HN 380は、The Dow Chemical Companyから入手可能な、29のヒドロキシル数を有するスチレン−アクリロニトリル系コポリマーポリオールである。
・Voranol CP 1421は、The Dow Chemical Companyから入手可能な、34のヒドロキシル数を有するグリセリン開始ポリオールである。
・ポリオールAは、3,3’−ジアミノ−N−メチル−ジプロピルアミンで開始され、20%エチレンオキシドでキャップされる、1,700当量プロポキシル化テトロールである。
・ポリオールBは、WO 05/063840に記載される、the Dow Chemical companyから入手可能なD.E.R.732エポキシ樹脂、サリチルアルデヒドおよび3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミンの反応生成物である。
・VORANATE T−80は、The Dow Chemical Companyから入手可能なTDI 80/20(2,4−/2,6−異性体)イソシアネートである。
・Isonate M−229は、The Dow Chemical Companyから入手可能なMDIポリマー性イソシアネートである。
・NOBP Aは、56のOH数を有する、WO 2004/096882の実施例19〜22に従って調製されるダイズ油系ポリオールである。
・NOBP Bは、88のOH数を有し、25℃で1,900mPa・sの粘度を有する、WO 2004/096882の実施例19〜22に従って調製されるダイズ油系ポリオールである。
【0083】
すべてのフォームは、25℃で調整された、ポリオール、必要であるならば界面活性剤、架橋剤、触媒および水を予備配合することによって、実験室の中で製造する。イソシアネートも25℃で調整する。ベンチ製フォーム(bench made foam)は手で混合することによって製造し、機械製フォーム(machine made foam)はKrauss−Maffei製の高圧衝突混合ヘッド(impingement mix-head)装着KM−40を用いて製造する。離型剤は、Chem−Trendから入手可能なKluber 41−2013である。
【0084】
連続スラブストックフォームは、ポリオール、水、触媒およびイソシアネートの別々の流れを備える、Polymech装置で製造した。
【0085】
フォーム特性は、他に指示されない限り、ASTM D 3574−83試験法に従って測定する。
【0086】
ベンチフリーライズ反応性(bench free rise reactivity)および密度は、反応体をバケツに注ぎ、いかなる拘束もなしにフォームを隆起させることによって記録する。
【実施例】
【0087】
実施例1および2
粘弾特性を有する半硬質フォームの製造を、手で混合することにより、以下の表1における配合物を用いて調製する。
【表1】

【0088】
これらのフォームを冷却前に潰す。実施例2のフォームはより開放的である。それらの結果は、フォームを開放するのに最終的には乳化剤(Span 80)を用いて、シリコーン界面活性剤が存在しない状態で良好なセル構造を有するフォームを製造できることを示す。
【0089】
実施例3
低密度の柔軟性ポリウレタンフォームを、20リットルプラスチックバケツ内で、高圧KM−40装置および表2における配合物を用いて製造する。シリコーン界面活性剤の存在なしで、かつ代わりにNOBP Bを用いて、良好なフォームが表2の配合物で得られる。
【表2】

【0090】
これらの結果は、シリコーン界面活性剤が存在しない状態で製造されるフォームが許容し得る特性を有することを示す。このフォームはHRフォームに典型的な不規則なセル構造を有し、硬化後にはいかなる「フィンガーネイリング(finger nailing)」をも、すなわち、鋭い物体での圧迫の下での跡を示すことがない。フォーム外面は安定であり、基礎セル(basal cell)は存在しない。
【0091】
実施例4
ポリオールブレンドを攪拌下で装置タンク内に一晩維持して、実施例3によりフォームを調製する。フォームの特性は実施例3のものに匹敵し、エステル基を含有するNOBP系が水およびアミンの存在下で安定であることを示す。
【0092】
実施例5および比較例1C
成型フォームを、60℃に加熱され、通気孔を備える400×400×115mmアルミニウム型において、表3の配合物を用いて製造する。
【表3】

【0093】
フォームコアには、通気孔の下でさえ、高密度化または崩壊がなく、それに対してその部分の底面は、離型剤との不適合のためだと信じられる、粗いセルの5mmの層を示す。20部のNOBPでは、フォームの気流、圧縮硬化および伸長特性は良好であり、他の特性は産業的に許容し得る範囲内にある。実施例5のフォームの離型時間は5分であった。
【0094】
比較例2C
比較配合物1Cで製造されたフリーライズフォームは、シリコーン界面活性剤Tegostab B 8719 LFを省略するとき、著しい崩壊および不安定性を示す。
【0095】
実施例6
表4に示される、自己触媒性ポリオールおよびNOBPを用いる配合物を柔軟性フリーライズフォームの製造に用いる。この配合物はシリコーン界面活性剤または通常のアミン触媒を含有しない。
【表4】

【0096】
実施例7
スラブストック連続フォーム製造を、Polymech装置を用いて行った。配合物および処理条件は以下の通りであった。
・VORALUX HF 505 45
・NOBP B 30
・VORALUX HN 380 25
・VORANOL CP 1421 3
・水 1.83
・Niax A−1 0.15
・DEOA 0.2
・Cosmos 29 0.06

・Voranate T−80 25.6
・指数 105

・ポリオール産出量 20kg/mn
・コンベア速度 2.5m/mn
・コンベア幅 80cm
・最終ブロック高さ 35cm
・隆起時間 160秒
・フォーム密度(kg/m) 44.5
【0097】
実施例7は、NOBP Bを用いて、シリコーン界面活性剤なしで、良好な柔軟性フォームを製造できることを示す。
【0098】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考察または本明細書に開示される本発明の実施から当業者には明らかである。本明細書および実施例は例示するだけであるものと考えられ、本発明の範囲および精神は以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種類の有機ポリイソシアネートと、
(b)以下を含むポリオール組成物と、
(b1)2〜8の公称出発物質官能性(nominal starter functionality)および15〜800のヒドロキシル数を有する、99重量パーセントまでの少なくとも1種類のポリオール化合物、および
(b2)300未満のヒドロキシル数および6,000mPa・s未満の25℃での粘度を有する、1〜100重量パーセントの少なくとも1種類の天然油系ポリオール、
(c)場合により、1またはそれ以上のポリウレタン触媒と、
(d)発泡剤と、
(e)場合により、ポリウレタンフォームの製造にそれ自体公知である添加物または助剤と
の混合物の反応によるポリウレタン製品の製造プロセスであり、
全反応混合物がシリコーン系界面活性剤を実質的に有さない、プロセス。
【請求項2】
(b2)が全ポリオールの30〜85重量パーセントである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ポリイソシアネート成分が少なくとも60重量パーセントまたはそれ以上のトルエンジイソシアネートポリイソシアネートを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
ポリイソシアネート成分がトルエンジイソシアネートおよびメチレンジイソシアネートの混合物を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
(b1)が、三級アミン基をポリオール鎖中に含有するポリオール、三級アミンを含有する開始剤で重合開始されたポリオールまたは三級アミン基で部分的にキャップされたポリオールのうちの少なくとも1種類を含有する、請求項1から4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
三級アミンを含有するポリオールが全ポリオールの1〜50重量パーセントを含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
三級アミンを含有するポリオールが全ポリオールの5〜40重量パーセントを含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
三級アミンを含有する開始剤が式I、
A−(CH−N(R)−(CH−AH 式(I)
(式中、nおよびpは独立して2〜6の整数であり、Aは、各々の出現時に、独立して酸素、窒素、硫黄または水素であり、ただし、1つのAのみが一度に水素であり得、RはC〜Cアルキル基であり、mは、Aが水素であるとき0に等しく、Aが酸素であるとき1であり、Aが窒素であるとき2である)
または式II、
N−(CH−N−(R)−H 式(II)
(式中、mは2〜12の整数であり、およびRはC〜Cアルキル基である)
の少なくとも1種類の開始剤である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項9】
開始剤が、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、2,2’−ジアミノ−N−メチルジエチルアミン、2,3−ジアミノ−N−メチル−エチル−プロピルアミン、N−メチル−1,2−エタンジアミンおよびN−メチル−1,3−プロパンジアミンのうちの少なくとも1種類である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
(b1)が、少なくとも1つのイミン結合および1つの三級アミンを含有する、少なくとも1種類のポリオールを含有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
請求項10に記載のポリオールが全ポリオールの0.5〜2重量パーセントを含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
(b1)がSAN、PIPAまたはPHDグラフト化ポリオールを含有する、請求項1から11のいずれかに記載のプロセス。
【請求項13】
天然油系ポリオールがトウゴマ、ダイズ、オリーブ、ラッカセイ、アブラナ、トウモロコシ、ゴマ、木綿、キャノーラ、ベニバナ、アマニ、ヤシ、ヒマワリ種油またはそれらの組み合わせの天然油から誘導される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
天然油系ポリオールがヒマシ油、ダイズ油またはそれらの組み合わせから誘導される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項15】
天然油系ポリオールが10〜50重量パーセントのエチレンオキシドを含有する、請求項13に記載のプロセス。
【請求項16】
ポリオールが、エポキシ化、ヒドロキシル化、エステル化、ヒドロホルミル化またはそれらの組み合わせによって処理した後、エチレンオキシドまたはエチレンオキシドおよび少なくとも1種類の他のアルキレンオキシドの混合物を反応させた天然油から誘導される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
天然系ポリオールが、天然油系ポリオールから、天然油のトランスエステル化(transesterification)の工程、構成脂肪酸の回収の工程、前記脂肪酸をヒドロホルミル化してヒドロキシメチル基を形成する工程、およびヒドロキシメチル化脂肪酸と2〜8個の活性水素原子を有する開始剤化合物との反応によるポリオールの形成の工程によって誘導される、請求項13に記載のプロセス。
【請求項18】
開始剤が、グリセロール;エチレングリコール;1,2−プロピレングリコール;トリメチロールプロパン;エチレンジアミン;ペンタエリスリトール;ジエチレントリアミン;ソルビトール;スクロース;またはその内部に存在する少なくとも1つのアルコールまたはアミン基がエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはそれらの混合物と反応している前述のもののいずれか;またはそれらの組み合わせである、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
ポリオールが、4〜12の公称官能性、5,000〜100,000の分子量を有する、全ポリオールの0.2〜3重量部のポリオールを含有し、そのようなポリオールが少なくとも50重量パーセントのオキシエチレン単位を含有する、請求項1から18のいずれかに記載のプロセス。
【請求項20】
反応混合物が0.1〜10重量パーセントの乳化剤を含有する、請求項1から19のいずれかに記載のプロセス。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載のプロセスによって製造される、ポリウレタンフォーム。
【請求項22】
ポリオール(b1)が、2〜6の官能性および1,000〜3,000のヒドロキシル基あたりの当量を有する、少なくとも1種類のポリオールを含有する、請求項21に記載のフォーム。
【請求項23】
ポリオールが少なくとも30パーセントの一級ヒドロキシル基を含有する、請求項22に記載のフォーム。

【公表番号】特表2009−530472(P2009−530472A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501457(P2009−501457)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/006428
【国際公開番号】WO2007/111834
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】