説明

ポリウロン酸塩の製造方法

【課題】セルロースの酸化を効率的に行い、廃棄物等が少なく、かつ効率的にポリウロン酸塩を製造する方法を提供する。
【解決手段】N−オキシル化合物、オキシム化合物、N−ヒドロキシ化合物、ニトロソ化合物、及びN−オキシ化合物から選ばれる1種以上のメディエーターの存在下で、結晶化度が0〜30%の低結晶性セルロースを電解酸化するポリウロン酸塩の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウロン酸塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性高分子材料は、粒子の分散・安定化、凝集、粘度調整、及び接着等の機能を有し、様々な分野に応用されている。特にポリカルボン酸は安価に製造できる場合が多いため、多くの品種が製造、使用されている。
また、環境に対する意識が高まるにつれ、再生可能なため環境負荷の少ない天然原料から製造され、かつ生分解性に優れた種々の生分解性水溶性高分子が提案され、開発されている。その一つとして、水溶性多糖類やその誘導体が挙げられ、具体例としては、キサンタンガム、アルギン酸、ペクチン酸、ヒアルロン酸、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリウロン酸等が知られている。中でもポリウロン酸は、ビルダー、分散剤、安定化剤、凝集剤、粘度調整剤、接着剤、皮膜形成剤等への応用が期待されている。
【0003】
ポリウロン酸の製造方法としては、種々の方法が知られているが、多量の廃棄物が排出されたり、製造コストが高い等の課題がある。
例えば、特許文献1には、アミロース又は澱粉を2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−1−オキシル(TEMPO)等のN−オキシル化合物の存在下、臭化アルカリ金属と酸化剤を用いて、酸化する水溶性ポリウロン酸の製造方法が開示されている。
特許文献2には、多糖類を水系で分散又は溶解させ、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化した後、多価カチオンを添加して沈殿させ、水洗、脱塩する水溶性ポリウロン酸の製造方法が開示されている。
しかし、特許文献1及び2の方法では、多量の廃棄物が生じるという問題がある。
特許文献3には、結晶化度が30%以下である低結晶性の粉末セルロースを、N−オキシル化合物の存在下で酸化させるポリウロン酸塩の製造方法が開示されている。特許文献3の方法では、所望の酸化量に対して量論量以上の次亜塩素酸を必要とする。特に水溶性ポリウロン酸を製造するためには、原料セルロースのアンヒドログルコースユニットに対して1.2倍モル以上の次亜塩素酸塩が必要となり、反応後は使用した次亜塩素酸塩量に応じた副生塩が生じる。
【0004】
非特許文献1には、TEMPOをメディエーター(電子媒介物質)とした電解酸化法によるポテトスターチ(澱粉)のC6位水酸基の選択的酸化法を行い、高いカルボン酸量(高酸化度)の生成物を得たことが報告されている。この方法は、量論量の酸化剤を必要としないため、廃棄物低減化の点で優れている。
しかしながら、非特許文献1の方法は、セルロースのような水に溶解しない原料では反応が十分に進行せず、水溶性の高い高酸化度のポリウロン酸を製造することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−189924号公報
【特許文献2】特開2006−124598号公報
【特許文献3】特開2009−263641号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Karsten Schnatbaum, Hans J. Schafer, Synthesis, 5, p.864-872, 1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、セルロースの酸化を効率的に行い、廃棄物等が少なく、かつ効率的にポリウロン酸塩を製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、低結晶性のセルロースを原料とすることで、メディエーター存在下の電解酸化によって、特殊な溶媒や量論量以上の酸化剤を使用せずにポリウロン酸塩を効率的に製造できることを見出した。
すなわち本発明は、N−オキシル化合物、オキシム化合物、N−ヒドロキシ化合物、ニトロソ化合物、及びN−オキシ化合物から選ばれる1種以上のメディエーターの存在下で、結晶化度が0〜30%の低結晶性セルロースを電解酸化するポリウロン酸塩の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低結晶性セルロースの効率的な酸化を行うことができ、廃棄物等が少なくかつ効率的にポリウロン酸塩を製造する方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の水溶性ポリウロン酸塩の製造方法は、N−オキシル化合物、オキシム化合物、N−ヒドロキシ化合物、ニトロソ化合物、及びN−オキシ化合物から選ばれる1種以上のメディエーターの存在下で、結晶化度が0〜30%の低結晶性セルロースを電解酸化することを特徴とする。
以下、本発明に用いられる各成分、製造条件等について説明する。
【0011】
本発明においては、原料として低結晶性セルロースを用いる。
(低結晶性セルロース)
一般にセルロースには幾つかの結晶構造が知られており、アモルファス部と結晶部とが共存することが知られている。一般的に知られているセルロースにも極めて少量のアモルファス部が存在する。それらの結晶化の程度は、下記計算式(1)に、X線結晶回折スペクトルから求められる数値を入れることにより、結晶化度として数値化できる。
結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)
〔I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度を示し、及びI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
本指数は、結晶からアモルファスへの変化に伴うセルロースのI型結晶の002面におけるX線回折強度の変化を、その指標としている。従って、セルロース中に含まれる結晶形がI型のみであれば、理論上、結晶化度は0〜100%の値となる。実際にはセルロース中には複数の結晶形が存在するため、I型以外の結晶も十分に破壊されアモルファス化されている場合は、負の値も採り得るが、本願においては上記計算式(1)で負の値が得られた場合は、結晶化度は0とみなす。
【0012】
本発明における低結晶性セルロースの「低結晶性」とは、上記のセルロースの結晶構造においてアモルファス部の割合が多い状態を示し、具体的には本発明で定義する結晶化度が0〜30%であることを意味する。
セルロースの結晶化度が0〜30%の範囲にあっても水等の反応溶媒に溶解することはないが、この結晶化度が30%以下であれば、セルロースの電解酸化反応は極めて良好に進行し、酸化度の高いポリウロン酸塩を効率的に得ることができる。この観点から、セルロースの結晶化度は25%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましい。特に本発明においては、上記計算式(1)による結晶化度が0%であるセルロースを用いることが最も好ましい。
一般的に知られているセルロースにも極めて少量のアモルファス部が存在するため、それらの結晶化度は、本発明で用いる上記計算式(1)によれば、概ね60〜90%の範囲に含まれる、いわゆる結晶性のセルロースであり、これらの結晶性セルロースに本発明の電解酸化条件を適用しても、酸化は結晶表面でのみしか進行せず、酸化度の高いポリウロン酸塩を効率よく得ることは困難である。
【0013】
本発明においてポリウロン酸塩の酸化度とは、ポリウロン酸塩一分子あたりのカルボキシ基の数を、ポリウロン酸塩の主鎖を構成する糖ユニットの数で除した数をいい、ポリウロン酸の中和に用いた塩基性化合物の当量数を用いて算出される。具体的には、実施例記載の中和滴定法により、測定されたポリウロン酸単位重量当りのカルボン酸量から、下記計算式(2)によって求められた値である。
酸化度(%)=〔(162.1×A)/(1−14.0×A)〕×100 (2)
ここで、Aは中和滴定によって求めたカルボン酸量(mol/g)である。
なお、中和に用いられる塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物、アンモニアやアミン化合物等が挙げられる。
【0014】
(低結晶性セルロースの製造)
本発明に使用される低結晶性のセルロースの製造方法に特に制限はないが、セルロース含有原料を粉砕機で粉砕処理する方法が好ましい。セルロース含有原料は、押出機で処理して得られるものが好ましく、例えばシート状パルプを粗粉砕して得られるチップ状パルプを、押出機で処理することにより得ることができる。
この方法に用いられる押出機としては、単軸又は二軸の押出機、好ましくは二軸押出機が挙げられるが、強い圧縮せん断力を加える観点から、スクリューのいずれかの部分に、いわゆるニーディングディスク部を備えるものが好ましい。
ニーディングディスク部とは、複数のニーディングディスクで構成され、これらを連続して、一定の位相でずらしながら組み合わせたものである。例えば3〜20枚、好ましくは6〜16枚のニーディングディスクを90°の位相で互い違いにずらしながら組み合わせたものが挙げられる。ニーディングディスク部は、スクリューの回転にともなって、その狭い隙間にチップ状パルプ等を強制的に通過させることで極めて強いせん断力を付与しながら、連続的に処理することができる。押出機処理におけるせん断速度としては、600〜3000sec-1が好ましく、6000〜2000sec-1がより好ましい。
押出機を用いる処理方法としては、特に制限はないが、チップ状パルプを押出機に投入し、連続的に処理する方法が好ましい。
【0015】
低結晶性セルロースの製造方法に用いられる粉砕機としては、媒体式粉砕機が好ましい。媒体式粉砕機には容器駆動式粉砕機と媒体撹拌式粉砕機とがある。容器駆動式粉砕機としては転動ミル、振動ミル、遊星ミル、遠心流動ミル等が挙げられる。この中で、粉砕効率が高く、生産性の観点から、振動ミルが好ましい。媒体撹拌式粉砕機としてはタワーミル等の塔型粉砕機;アトライター、アクアマイザー、サンドグラインダー等の撹拌槽型粉砕機;ビスコミル、パールミル等の流通槽型粉砕機;流通管型粉砕機;コボールミル等のアニュラー型粉砕機;連続式のダイナミック型粉砕機等が挙げられる。この中で、粉砕効率が高く、生産性の観点から、撹拌槽型粉砕機が好ましい。媒体攪拌式粉砕機を用いる場合、攪拌翼の先端の周速は、好ましくは0.5〜20m/s、より好ましくは1〜15m/sである。
粉砕機の種類は「化学工学の進歩 第30集 微粒子制御」(社団法人化学工学会東海支部編、1996年10月10日発行、槇書店)を参照することができる。
処理方法としては、バッチ式、連続式のどちらでもよい。
【0016】
粉砕機の媒体の材質としては、特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、チッ化珪素、ガラス等が挙げられる。
粉砕機の媒体がボールの場合には、ボールの外径としては、好ましくは0.1〜100mm、より好ましくは0.5〜50mmの範囲である。ボールの大きさが上記の範囲であれば、所望の粉砕力が得られるとともに、ボールのかけら等が混入してセルロース含有原料が汚染されることなく効率的にセルロースを非晶化させることができる。媒体としては、ボール以外にもロッドやチューブ等の媒体を用いることができる。
ボールの充填率は、粉砕機の機種により好適な充填率が異なるが、好ましくは10〜97%、より好ましくは15〜95%の範囲である。充填率がこの範囲内であれば、セルロース含有原料とボールとの接触頻度が向上するとともに、媒体の動きを妨げずに、粉砕効率を向上させることができる。ここで充填率とは、粉砕機の攪拌部の容積に対するボールの見かけの体積をいう。
【0017】
粉砕機で処理するセルロース含有原料の大きさに特に制限はないが、操作上の観点から1μm〜50mmが好ましく、5μm〜20mmがより好ましく、7μm〜10mmが特に好ましい。
処理時間としては、粉砕機の種類、ボールの種類、大きさ及び充填率等により一概に決定できないが、結晶化度を低下させる観点から、好ましくは0.01〜50hr、より好ましくは0.05〜20hr、更に好ましくは0.1〜10hrである。処理温度は、特に制限はないが、熱による劣化を防ぐ観点から、好ましくは5〜250℃、より好ましくは10〜200℃である。
前述のような方法を用いれば、得られる低結晶性セルロースの分子量の制御も可能である。すなわち一般には入手困難な、重合度が高くかつ低結晶性のセルロースを容易に製造することもできる。本発明においてセルロースの重合度とは、実施例記載の銅−アンモニア法により得られる、セルロースの粘度平均重合度のことをいう。低結晶性セルロースの重合度は、好ましくは10〜1000、より好ましくは20〜500、より好ましくは30〜200である。
得られる低結晶性セルロースの平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定により得ることができる。低結晶性セルロースの平均粒径(メジアン径)は、特に限定はされないが、電解酸化反応をスラリー状態で進行させる観点から、300μm以下が好ましく、150μmがより好ましく、更には、50μm以下が特に好ましい。ただし、工業的に実施する際の操作性の観点からは、20μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましい。
【0018】
(電解酸化法によるポリウロン酸塩の製造)
本発明は、N−オキシル化合物、オキシム化合物、N−ヒドロキシ化合物、ニトロソ化合物、及びN−オキシ化合物から選ばれる1種以上のメディエーターの存在下で、上記で得られた結晶化度が0〜30%の低結晶性セルロースを電解酸化するポリウロン酸塩の製造方法である。好ましくは、該低結晶性セルロースを、該メディエーター及び支持電解質を含む溶媒中に分散させて、常法により電解酸化することにより、ポリウロン酸塩を得ることができる。
電解酸化法は、陽極及び陰極の電極を反応溶液に挿入し、ポテンショスタットやガルバノスタット等の電源から電気を供給し、陽極と陰極間で電気を流すことで、陽極側で電子を放出させ、原料である低結晶性セルロースを酸化する反応法である。
本発明においては、副反応を抑制し、反応効率を高めるために、酸化電位の低いメディエーターを少量添加し、陽極とメディエーター間での酸化反応を行った後、酸化されて高活性となったメディエーターと低結晶性セルロースとの反応(間接的反応)を行う。
【0019】
(メディエーター)
本発明の電解酸化反応においては、低結晶性セルロースのアンヒドログルコース単位のC6位の水酸基を選択的に酸化させる観点から、メディエーターとして、N−オキシル化合物、オキシム化合物、N−ヒドロキシ化合物、ニトロソ化合物、及びN−オキシ化合物から選ばれる1種以上の化合物が用いられる。これらの中では、N−オキシル化合物、オキシム化合物、N−ヒドロキシ化合物が好ましく、N−オキシル化合物がより好ましい。
N−オキシル化合物は、ヒンダードアミンのN−酸化物であり、特にアミノ基のα位に嵩高い基を有する複素環式のN−オキシル化合物がより好ましい。
【0020】
(N−オキシル化合物)
複素環式のN−オキシル化合物としては、炭素数1又は2のアルキル基を有するピペリジンオキシル化合物、ピロリジンオキシル化合物、及びイミダゾリンオキシル化合物、アザアダマンタン化合物から選ばれる1種以上が好ましい。
炭素数1又は2のアルキル基を有するピペリジンオキシル化合物の具体例としては、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル(TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、4−(イソチオシアナト)−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、4−マレイミド−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、4−(4−ニトロベンゾイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、4−(ホスホノオキシ)−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、PIPO(ポリマー固定ピペリジニルオキシル)、SiO2担持TEMPO、ポリスチレン−及びポリアクリル酸担持TEMPO等が挙げられる。
炭素数1又は2のアルキル基を有するピロリジンオキシル化合物としては、3−カルバモイル−2,2,5,5−テトラメチル−3−ピロリジン−1−オキシル等が挙げられる。
炭素数1又は2のアルキル基を有するイミダゾリンオキシル化合物としては、4−フェニル−2,2,5,5−テトラメチル−3−イミダゾリン−3−オキシド−1−オキシル、4−カルバモイル−2,2,5,5−テトラメチル−3−イミダゾリン−3−オキシド−1−オキシル、4−フェナクリデン−2,2,5,5−テトラメチル−イミダゾリジン−1−オキシル等が挙げられる。
アザアダマンタン化合物としては、2−アザアダマンタン−N−オキシル、1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシル等が挙げられる。
【0021】
これらの中では、溶媒への溶解性及び反応性の観点から、メチル基を有するピペリジンオキシル化合物、又はアザアダマンタン化合物が好ましく、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル(TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシルがより好ましく、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル(TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、2−アザアダマンタン−N−オキシル、1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシルが更に好ましく、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル(TEMPO)が特に好ましい。
本発明におけるメディエーターの量は、触媒量であればよく、低結晶性のセルロースに対して、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.1〜4質量%、特に好ましくは0.5〜3質量%である。
【0022】
(酸化剤等)
本発明においては、N−オキシル化合物の還元体を酸化できる能力を有する酸化剤を使用することもできる。酸化剤としては、溶媒をアルカリ性域に調整した場合の溶解度や反応速度等を考慮すると、次亜ハロゲン酸アルカリ金属塩、次亜ハロゲン酸アルカリ土類金属塩、亜ハロゲン酸アルカリ金属塩、亜ハロゲン酸アルカリ土類金属塩、ハロゲン酸アルカリ金属塩、ハロゲン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。
また、酸化反応をより一層効率よく行うために、ハロゲン含有塩を反応系に加えることもできる。ハロゲン含有塩としては、例えば、ハロゲン化アルカリ金属塩、ハロゲン化アルカリ土類金属塩、ハロゲン化アンモニウム塩、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。
酸化剤の使用量は、製造されるポリウロン酸塩に所望される酸化度によっても異なるが、精製時の負荷の観点から、原料である低結晶性のセルロースのアンヒドログルコース単位モルあたり、0〜0.5モルが好ましく、0〜0.1モルが好ましく、用いないことが特に好ましい。
【0023】
(電極)
本発明の電解酸化反応に用いられる電極の材質、形状に特に制限はなく、通常の電解反応に用いられる電極を広く利用することができる。例えば、陽極材料としては、白金、金、チタン、白金めっきチタン、ステンレス、ニッケル、ルテニウム、酸化鉛、酸化鉄、炭素等が挙げられ、陰極材料としては、白金、金、チタン、白金めっきチタン、スズ、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、鉛、銅、炭素等が挙げられる。これらの中では、耐腐食性や反応性の観点から、陽極及び陰極材料としては、白金、白金めっきチタン、黒鉛、ガラス状カーボンの組み合わせがより好ましい。
電解装置としては2枚の電極(陽極、陰極)を付した単一槽の電解装置が用いられるが、フィルタープレス型の電解装置等も用いることができる。
電極間隔は必要な電流が通電できれば特に限定はないが、通常、5mm〜10cm間隔で設置される。
【0024】
(溶媒)
本発明における電解酸化反応は、低結晶性セルロースを溶媒に分散させて行うのが好ましい。その溶媒としては、水の他、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3のアルコール、アセトン、メチルイソブチルケトン等の炭素数1〜6のケトン、n−ペンタン、n−ヘキサン、2−ペンテン、1−ヘキセン等の直鎖又は分岐状の炭素数1〜6の飽和炭化水素、2−ペンテン、1−ヘキセン等の直鎖又は分岐状の炭素数1〜6の不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、エステル、低級アルキルエーテル、環状エーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒等が挙げられる。これらの中では、反応性の観点から水、炭素数1〜6のアルコール、炭素数1〜6のケトン、及び極性溶媒が好ましく、環境負荷低減の観点から水が好ましい。
上記溶媒は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0025】
(支持電解質)
本発明の電解酸化に用いる支持電解質としては、溶媒に可溶で、溶解後の溶液が通電可能な塩であれば特に制限はなく、一般的な電解反応に用いられる種々の支持電解質を用いることができる。中でも溶媒への溶解性、電解酸化反応性の観点から、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、ハロゲン化アルカリ金属塩、ハロゲン化アルカリ土類金属塩の他、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、各種のアミン、アミノ酸等のpH緩衝剤等が挙げられる。
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属炭酸塩としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。アルカリ金属リン酸塩としては、リン酸2水素ナトリウム、リン酸2ナトリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸2カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属リン酸塩としては、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム等が挙げられる。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
これらの中では、電解酸化反応性及び生成物の収率の観点から、支持電解質としてアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物が好ましく、アルカリ金属水酸化物がより好ましい。
これらの支持電解質は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電解反応における溶媒の使用量は特に制限されず、反応条件等に応じて適宜選択すればよいが、通常、原料である低結晶性セルロース1kgあたり2〜2000リットル程度、好ましくは5〜100リットル程度とすればよい。
【0026】
支持電解質の使用量については特に制限はないが、緩衝剤を用いる場合は、用いる溶媒に対して0.05〜2モル/Lとなる量で使用することが好ましく、0.1〜1モル/Lがより好ましい。緩衝剤溶液としては、pH6〜10の範囲の緩衝水溶液であれば特に限定はなく、炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム緩衝水溶液等を用いることができる。
支持電解質として、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物を用いる場合は、原料の低結晶性セルロースのアンヒドログルコース単位1モルに対して0.5〜10倍モル用いることが好ましく、1〜3倍モルがより好ましい。
アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物を支持電解質に用いた場合は、反応の進行と共にアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物がカルボン酸の生成とともに中和され、反応系のpHが低下するため、pHを維持するために逐次アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物を添加することが好ましい。
【0027】
(電解反応条件)
電解反応の温度は、反応の選択性、副反応の抑制の観点から、50℃以下にすることが好ましい。より好ましくは40℃以下、更に好ましくは30℃以下である。下限は、反応性の観点から−5℃以上が好ましい。
また、反応系のpHは電解酸化反応の反応性に大きな影響を与えるため、pH4〜pH14の範囲で行うことが好ましい。より好ましくはpH6〜pH14、更に好ましくはpH7〜pH13であり、特に好ましくはpH10〜13である。
また、電化酸化反応においては、反応中攪拌することが好ましい。
【0028】
(電位)
電解酸化反応における電位は、外部から挿入された参照電極(SCE)により測定される電極間の電位であり、好ましい電位は用いるメディエーター、支持電解質によって変化するが、0.1〜2.0V vs SCEが反応の選択性の観点から好ましい。より好ましくは0.2〜1.5V vs SCE、特に好ましくは、0.3〜1.0V vs SCEである。
反応時間は、電位によって変化し、また所望の酸化量によっても変化するが、流れた電流値と時間から計算される電気量が、原料として用いるセルロースのアンヒドログルコース単位モルあたり3〜50F/molとなる反応時間が好ましい。より好ましくは、5〜40F/molである。
電解酸化は電位規制条件又は印加電圧規制条件でも行うことができるが、操作の簡便な電流密度規制条件で行うことが好ましい。電流密度としては、通常1〜5000mA/cm2、好ましくは10〜500mA/cm2である。
【0029】
(精製)
ポリウロン酸塩の製造においては、メディエーターが残存したり、塩が副生したりするため、必要に応じて、精製操作を行う。精製方法としては、良溶媒として水、貧溶媒としてメタノール、エタノール、アセトン等を用いた再沈殿、水と分相する溶媒へのメディエーターの抽出、及び塩のイオン交換、透析による精製等が挙げられるが、電解酸化反応における溶媒の種類、生成物の酸化の程度、望まれる精製の程度等を考慮し、最適な方法を採用することができる。
【0030】
(ポリウロン酸塩)
上記の方法で得られるポリウロン酸塩は、D−グルクロン酸とグルコースがグリコシド結合で連結した重合体、又はその塩で、代表的には下記構造式(1)で表される。
ポリウロン酸塩の重量平均分子量は特に限定されないが、水溶性及び生分解性を付与する観点から、好ましくは500〜500,000の範囲、より好ましくは1,000〜200,000である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるプルラン換算分子量である。
【0031】
【化1】

【0032】
構造式(1)中、Xは陽イオンを示す。具体的には、水素イオンの他、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、各種アミン又はアミノ酸のプロトン化物が挙げられる。ここで陽イオンの価数(a)が2以上である場合、カルボキシ基1個あたりのXの数は、1/a個である。生成するポリウロン酸塩の水溶性の観点から、Xはアルカリ金属イオンであることが好ましく、ナトリウムイオンであることがより好ましい。
構造式(1)中のmは、ポリウロン酸塩中のアンヒドログルクロン酸塩ユニットのモル分率を示し、ポリウロン酸の酸化度と同義である。該モル分率m、即ちポリウロン酸塩の酸化度は、生成するポリウロン酸塩の水溶性の観点から、mは好ましくは60〜100%、より好ましくは70〜100%である。構造式(1)において、Xがアルカリ金属である場合、mが60%を超えればポリウロン酸塩は、高い水溶性を示す。
構造式(1)中のnは、ポリウロン酸塩中のアンヒドログルコースユニットのモル分率を示し、生成するポリウロン酸塩の水溶性の観点から、nは好ましくは0〜40%、より好ましくは0〜30%である。
これらの観点から、アンヒドログルコースユニットのモル分率nとアンヒドログルクロン酸塩ユニットのモル分率mとのモル分率比(n/m)は、好ましくは0〜0.7、より好ましくは0〜0.5である。
【実施例】
【0033】
以下の実施例において、セルロースの結晶化度、重合度、平均粒径の測定、ポリウロン酸塩の重量平均分子量、酸化度の測定は以下の方法で測定した。
(1)セルロースの結晶化度の算出
セルロースの結晶化度の算出は、株式会社リガク製「Rigaku RINT 2500VC X-RAY diffractometer」を用いて、以下の条件で測定した回折スペクトルのピーク強度から前記計算式(1)により算出した。
X線光源:Cu/Kα−radiation、
管電圧:40kV、管電流:120mA、測定範囲:2θ=5〜45°、
測定サンプル:面積320mm2×厚さ1mmのペレットを圧縮し作成
X線のスキャンスピード:10°/min
【0034】
(2)粉末セルロースの重合度の測定
粉末セルロースの重合度は、ISO−4312法に記載の銅−アンモニア法による動粘度測定の結果から算出した。
(3)粉末セルロースの平均粒径の測定
粉末セルロースの平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。測定条件は、サンプルを水に分散させた後、粒径測定前に超音波で1分間処理し、体積基準のメジアン径を、温度25℃にて測定した。
【0035】
(4)ポリウロン酸塩の重量平均分子量の測定
ポリウロン酸塩の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定した。
カラム:東ソー株式会社製 G4000PWXL+G2500PWXL
溶離液:0.2Mリン酸緩衝液/アセトニトリル=9/1(容量比)
測定温度:40℃,流速:1.0mL/min,検出器:UV又はRI
標準ポリマー:プルラン
【0036】
(5)ポリウロン酸塩の酸化度の測定
実施例で得られたポリウロン酸ナトリウムを2%水溶液に調製し、6N塩酸にてpHを1以下とした。この酸性水溶液をエタノールに投入し、生じた沈殿物を回収、エタノールで数回洗浄した。得られたポリウロン酸を0.05g精秤し、イオン交換水30mLに溶解させ、フェノールフタレインを指示薬として0.1N水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、ポリウロン酸塩単位重量当りのカルボン酸量を求めた。更にこのカルボン酸量から、前記計算式(2)によりポリウロン酸の酸化度〔ウロン酸のモル分率(構造式(1)のm)〕を求めた。
またウロン酸単位ではないグルコース単位のモル分率(構造式(1)のn)は、下記計算式(3)により求めた。
グルコース単位のモル分率(n)=100−m (3)
【0037】
製造例1(非晶化粉末セルロースの製造)
木材パルプシート(ボレガード社製パルプシート、結晶化度74%)をシュレッダー(株式会社明光商会製、「MSX2000−IVP440F」)にかけてチップ状にした。
次に、得られたチップ状パルプを、スクリューの中央部にニーディングディスク部を備えた二軸押出機(株式会社スエヒロEPM製、「EA−20」)に2kg/hrで投入し、せん断速度660sec-1、スクリュー回転数300rpmの条件で、外部から冷却水を流しながら、1パス処理して粉末状にした。
次に、得られた粉末セルロースを、バッチ式媒体攪拌型ボールミル(日本コークス工業株式会社製、「アトライタ」:容器容積800mL、6mmφ鋼球を1400g充填、攪拌翼の直径65mm)に前記粉末状のセルロース100gを投入した。容器ジャケットに冷却水を通しながら、攪拌回転数600rpmで粉砕処理を行い、粉末セルロース(結晶化度0%、重合度72、平均粒径40μm)を得た。
【0038】
実施例1
磁気攪拌子を入れた200mLのビーカーにイオン交換水100gを仕込み、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−1−オキシル(TEMPO)0.16gを溶解させた。そこに製造例1で得られた非晶化セルロース粉末0.81gを加えて攪拌し、分散させた。1M水酸化ナトリウムを1.7mL添加し、pH12とした後、陽極として白金箔(カタニ産業株式会社製)をプラスチックシートに貼り付けた電極(面積40×45mm)、陰極としてガラス状カーボン(ビー・エー・エス株式会社製、面積:25×25mm)をミノムシクリップにて取り付けた電極を1cm間隔となるように反応液中に浸漬させた。また参照電極としてカロメル電極(ビー・エー・エス株式会社製)を反応溶液に挿入し、それぞれの電極をポテンショスタット(北斗電工株式会社製、HA−151)の端子に取り付けた。
設定電位を0.53V vs SCEとして定電位となるように電解酸化反応を行った。電解酸化反応中、適宜pHを測定し、pHが12より低下している場合、1M水酸化ナトリウムを添加した。81.4時間後、電解酸化反応を停止させた。電解酸化中、初期の電流値は36mAであったが、電解酸化反応を終了させた時点では0.7mAに低下していた。1M水酸化ナトリウムは8.8mLを添加した。反応終了液をろ紙(アドバンテック社製、No.2)でろ過後、そのろ液をエタノールにて再沈殿し、エタノールで3回洗浄した後、アセトンで洗浄し、析出物を減圧乾燥させた。得られた生成物は0.61gで酸化度71%のポリウロン酸ナトリウムであり、その重量平均分子量は1,770であった。
【0039】
実施例2
反応溶媒として炭酸緩衝液105.94g(炭酸水素ナトリウム:5.64g、炭酸ナトリウム:0.3g、イオン交換水100g、pH8.5)を用い、陽極をガラス状カーボン(ビー・エー・エス株式会社製、面積:25×25mm)、陰極を白金めっきチタン(デンボー工業株式会社製、40×45mm)とした以外は、実施例1と同じ反応条件で反応を行った。ここでは緩衝液を用いていたので、実施例1のように水酸化ナトリウムの後添加は行わなかった。112.5時間電解酸化後、反応液はろ過(アドバンテック社製、No.2)し、そのろ液は6M塩酸にてpH5以下とした後、エタノールによる再沈殿を行った。析出した生成物はエタノールで3回洗浄した後、アセトンで洗浄し、減圧乾燥した。得られた生成物は0.12gで、酸化度63%のポリウロン酸ナトリウムであり、その重量平均分子量は1640あった。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の製造方法により得られたポリウロン酸塩は、生分解性水溶性高分子材料として、分散・安定化剤、凝集剤、粘度調整剤、接着剤、皮膜形成剤等の広範な用途に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−オキシル化合物、オキシム化合物、N−ヒドロキシ化合物、ニトロソ化合物、及びN−オキシ化合物から選ばれる1種以上のメディエーターの存在下で、結晶化度が0〜30%の低結晶性セルロースを電解酸化するポリウロン酸塩の製造方法。
【請求項2】
N−オキシル化合物が、炭素数1又は2のアルキル基を有するピペリジンオキシル化合物、ピロリジンオキシル化合物、及びイミダゾリンオキシル化合物から選ばれる1種以上である、請求項1に記載のポリウロン酸塩の製造方法。
【請求項3】
低結晶性セルロースを、支持電解質を含む溶媒中に分散させて電解酸化を行う、請求項1又は2のいずれかに記載のポリウロン酸塩の製造方法。
【請求項4】
支持電解質がアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物である、請求項3に記載のポリウロン酸塩の製造方法。
【請求項5】
粉砕機で粉砕処理することにより結晶化度が0〜30%の低結晶性セルロースを得た後に、N−オキシル化合物、オキシム化合物、N−ヒドロキシ化合物、ニトロソ化合物、及びN−オキシ化合物から選ばれる1種以上のメディエーターの存在下で、該セルロースを電解酸化するポリウロン酸塩の製造方法。

【公開番号】特開2011−256352(P2011−256352A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134416(P2010−134416)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】