説明

ポリエステルマスターバッチ組成物

【課題】ポリエステルマスターバッチ組成物の提供
【解決手段】本発明は、熱可塑性ポリエステルを変性するのに有用なマスターバッチに、特に分散されたポリオール枝分れ剤及び/又は例えば二無水物のような鎖カップリング剤を含むマスターバッチに関する。本発明はまた、該マスターバッチを調製する方法に、及び該マスターバッチを利用してポリエステルを変性する方法に関する。本発明のさらにもう1つの局面は、ポリエステルの変性のためのそのようなマスターバッチ組成物の使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリエステルを変性するために有用なマスターバッチに、特に、分散されたポリオール枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤を含むマスターバッチに関する。本発明はまた、前記マスターバッチの調製方法、及び前記マスターバッチを利用したポリエステルを変性する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)及びポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)のような熱可塑性ポリエステルは、繊維、容器及びフィルムのような製品を製造する為に、押出し、射出成形及び延伸吹込成形の分野において広く使用されている。
ポリエステルは、フィルム吹込み、幅出し、熱成形及び発泡押出しのような他の分野において使用し得る一方、これらの分野におけるそれらの使用は、狭い加工窓及び特殊化した加工装置の必要性のためにしばしば制限される。そのような制限は、一般に、ポリエステルの溶融レオロジーにおける欠点から生じる。特に、ポリエステルは典型的に、低溶融粘度、低溶融強度及び低溶融弾性を有する。
ポリエステルの溶融強度及び溶融粘度は、ポリマーの直鎖状構造にある程度の枝分れを導入することを通して、及び/又は鎖延長を通してポリマー分子量を増加させることにより、改良され得ることが知られている。枝分れしたか又は鎖延長されたポリエステルを調製するのに用いられる一つの方法は、ポリエステルを、多官能性カルボン酸、無水物又はアルコールのような枝分れ及び/又は鎖カップリング剤と溶融混合することを必要としている。溶融混合の間に、前記薬剤は、溶融したポリエステルと反応して鎖を延長し及び/又はポリマーの直鎖状構造に枝分れを導入する。
ポリエステルを変性するために使用された枝分れ/鎖カップリング剤(類)の種類に応じて、溶融混合反応の総体的な効果は、ポリエステルの分子量を事実減少させ得る。この事は、使用された薬剤の型がポリオール枝分れ剤のみである場合にしばしばそうである。このような事情の下で、溶融強度及び溶融粘度の望ましい増加を達成するために、鎖カップリング剤はポリオールと組合せて使用され得るか、又は生じた枝分れしたポリエステルを固相縮合のようなさらなる加工段階に付し得る。対照的に、ポリ無水物枝分れ/鎖カップリング剤は、枝分れを導入し得るが、また一般に溶融混合の間にポリマーの分子量に増加を引き起こしもする。従って、ポリ無水物枝分れ/鎖カップリング剤は、変性ポリエステルをさらなる加工に付すことなく、唯一の枝分れ/鎖カップリング剤として使用し得る。
【0003】
使用される枝分れ/鎖カップリング剤の種類に無関係に、ポリエステルを効果的に変性するためには、溶融混合プロセスの間に枝分れ/カップリングの程度が調節され得ること、及び枝分れ/カップリングがポリエステルにおいて均一に起きることが重要である。
一般に、溶融混合は押出し機中で行われ、枝分れ/鎖カップリング剤は押出しの前にポリエステルに添加され得るか、或いは押出しの間に溶融ポリエステルに添加され得る。ポリエステルに薬剤が添加され得る最も単純化した方法は、直接添加である。しかしながら、この添加形態は、過剰な局所カップリングを通してゲル形成へと、及び変性されたポリエステル内の不均一な枝分れへと導くことが見出されている。このことはまた、有害な変色へも導く。さらに、変性されるポリエステルに対して0.5%未満の量の枝分れ/鎖カップリング剤を使用することは稀ではない。この低レベルにおいては、直接添加によってポリエステル中で薬剤の均一な分布を与えることは困難である。
枝分れ/鎖カップリング剤の添加に関連する上記の問題の多くは、ポリマーブレンド、濃縮物、又は本技術分野で一般に称されるマスターバッチの使用を通して克服し得る。マスターバッチは、高レベルの枝分れ/鎖カップリング剤を含むが、ポリエステルに添加された場合、実際には該薬剤の希釈された供給源として作用する。この希釈剤効果は、ポリ
エステル全体にわたり枝分れ/鎖カップリング剤をより均一に分布させ得、より均一に枝分れされた/鎖延長されたポリエステルを促進する。
【0004】
最も単純な形態において、マスターバッチは、キャリヤーポリマーと枝分れ/鎖カップリング剤の物理的なブレンドであり得、しばしば前記薬剤と前記キャリヤーポリマーは共に粉末化された形態にある。不相溶性に関連する問題を回避するために、キャリヤーポリマーは、好ましくはマスターバッチが溶融混合されるベースポリマーと同一であるか、又は同一の一般分類のものである。例えば、ベースポリマーがポリエステルの場合、好ましくはキャリヤーポリマーもまたポリエステルである。効果的ではあるが、そのような物理的ブレンドは、確かに個々の成分に分離する傾向を有し、再び枝分れ/鎖カップリング剤の不均一な分布を生じさせる。
マスターバッチはまた、キャリヤーポリマーと枝分れ/鎖カップリング剤とを溶融混合することによっても容易に形成され得る。しかしながら、キャリヤーポリエステルの場合、これは問題を導き得る。特に、枝分れ/鎖カップリング剤がポリエステルと溶融混合の間に反応する場合、同じの又は類似のキャリヤーポリエステルは一般にマスターバッチの調製の間にも該薬剤と反応する。
【0005】
この問題を回避する一つの手段として、特許文献1は、キャリヤーポリマーが不活性ポリオレフィンであるところの枝分れ剤を含むマスターバッチを開示する。この型のマスターバッチの溶融加工による調製はそれ故、枝分れ剤とキャリヤーポリマーとの反応を引き起こさない。これらのマスターバッチは該薬剤のポリエステルへの添加の手段を提供するが、生じた変性ポリエステルは、本質的に常にポリオレフィンで汚染されている。この汚染は許容し得、そして恐らく場合により望ましいものであるが、有害でもあり得、実際の添加水準により、曇りのある最終製品へと導くこともある。例えば、発泡ポリエステルの品質はポリオレフィン汚染物の存在により減じ得る。
特許文献2は、キャリヤーポリマーがPETのようなポリエステルであるところの、枝分れ剤を含むマスターバッチを開示している。この場合、溶融加工の間の枝分れ剤のキャリヤーポリマーに対する反応性が有利に用いられる。特に、溶融混合の間に十分な枝分れ剤が存在することを確実にすることにより、ポリエステル鎖の末端基が実際に枝分れ剤によってキャップされ、そのことがまた枝分れ剤のポリエステルとの更なる反応を防止すると信じられている。ポリエステル鎖の全てをキャップするのに要するより多量の枝分れ剤を使用することにより、未反応の枝分れ剤を含むマスターバッチが調製され得る。
しかしながら、特許文献2に開示されたマスターバッチは、組成の点から見て限定される。架橋及びゲル形成を防止する為には、ポリエステルキャリヤーの末端基をキャップするのに十分な枝分れ剤が溶融混合の間最初に存在しなければならない。実際、このことが、マスターバッチ組成物が5質量%以上の枝分れ剤を含むように限定している。更に、開示されたキャップ反応は、ポリエステル末端基と多官能性の無水物枝分れ剤との反応に基づく。多官能性アルコール枝分れ剤のような他の薬剤を使用した類似の反応は、溶融ブレンドの間のポリオールとキャリヤーポリエステルとの反応を防止しないようである。特に、ポリオール化合物は、溶融ブレンドプロセスの間にPET鎖の内部エステル基と容易に反応する(エステル交換)ことが知られている。このような事情の下で、ポリオール枝分れ剤の、すべてでなければ殆どが、ポリエステルキャリヤーと反応し、それにより、その物質をマスターバッチとしての使用に不適切にする。従って、特許文献2に開示されたマスターバッチの組成は、更に、多官能性の無水物枝分れ剤の使用に制限される。
【特許文献1】米国特許第5,801,206号明細書
【特許文献2】米国特許第5,536,793号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故、キャリヤー物質としてのポリエステル及び枝分れ剤及び/又は鎖カップリング
剤を含むマスターバッチであって、前記マスターバッチの組成が、配合される枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤の量及び種類の点からより限定されないマスターバッチを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、250℃以下の溶融加工温度を有するポリエステルが、枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤と前記ポリエステルとの間の有意な反応なしに、前記枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤と溶融混合され得ることが見出された。このような事情の下で、ポリエステルを高濃度及び低濃度の両方で広範囲な枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤と溶融混合し、その後の他の熱可塑性ポリエステルとの溶融混合に有用なマスターバッチを調製し得る。有利には、多官能性酸無水物等の薬剤とポリオールは、本発明のマスターバッチ内で一緒に組合せ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一つの局面は、ポリエステルのポリマーマトリックス内に分散された枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤を含み、前記ポリエステルが250℃以下の溶融加工温度を有するポリエステルマスターバッチ組成物である。
【0009】
本明細書に使用される場合、用語「マスタ−バッチ」は、当業者に理解される一般的な意味を有する。特に本発明に関しては、マスターバッチは、キャリヤーポリマーとしてのポリエステル、並びに枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤のような薬剤を含み、前記薬剤の濃度は最終製品において望まれるよりも高いところの組成物であり、前記組成物は望ましい量の薬剤を有する最終製品を製造する為にその後ベースポリマー中に加えられる。
ここで使用される場合、枝分れ剤又は鎖カップリング剤の用語「溶融温度」は、前記薬剤が溶融を開始する温度を表す為に使用される。
ここで使用される場合、ポリエステルの用語「溶融加工温度」は、ポリエステルを有効に溶融加工させるためにポリエステルが維持され得る最低の温度を示す為に使用される。
ここで使用される場合、用語「枝分れ剤」又は「枝分れ化合物」は、ポリエステルと反応してそこに枝分れを導入できる多官能性化合物を表す為に使用される。枝分れを導入する為には、枝分れ剤はポリエステルと反応できる官能性基を少なくとも3個有する必要があることが認識される。
ここで使用される場合、語句「枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤」は、少なくとも1種の鎖枝分れ剤又は鎖カップリング剤を意味する為に使用される。前記語句は両種類の薬剤及び、組み合せた複数薬剤を包含する。
本発明のマスターバッチに従う枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤はポリエステルのポリマーマトリックス内に分散される。「分散された」によって、前記薬剤がポリエステルマトリックス内で別々のおおむね未反応の物として存在し、及び従って、ポリエステルマトリックスと反応してその統合部分となってはいないことを意味する。
【0010】
本発明の一つの態様において、ポリエステルマスターバッチのために選択される薬剤は、好ましくは枝分れ剤であり、前記枝分れ剤は好ましくはポリオールである。
本発明のもう一つの態様において、ポリエステルマスターバッチのために選択される薬剤は、好ましくはカップリング剤であり、前記カップリング剤は好ましくは二無水物である。二無水物はまた枝分れ剤としても機能することが当業者により認識される。便宜上、枝分れ剤及びカップリング剤の両方として機能し得る薬剤も、ここでは“枝分れ剤/カップリング剤”として言及され得る。
本発明の好ましい態様において、ポリエステルマスターバッチのために選択される薬剤は、カップリング剤と組み合せた枝分れ剤である。この場合、枝分れ剤は好ましくはポリオールであり、カップリング剤は好ましくは二無水物である。
【0011】
枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤がポリエステルのポリマーマトリックス中に分散されることが本発明の重要な特徴である。特に、枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤は、ポリエステルと溶融混合されてポリエステルのポリマーマトリックス内に分散されるようになる。上記議論されたように、枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤は、溶融混合の間にポリエステルと反応することが知られている。この事情の下で、マスターバッチの調製において使用され得る枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤の種類及び量に関して限定がある。驚くべきことに、250℃以下の溶融加工温度を有するポリエステルが、枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤と該ポリエステルとの間に有意な反応を生じず、特定の枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤と溶融混合され得ることが見出された。理論的に限定されることなく、溶融混合の間に互いに低反応性を示す枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤とポリエステルとの組合せは、前記薬剤が前記ポリエステルの溶融加工温度よりも高い溶融温度を有し、及び/又は前記薬剤が溶融されたポリエステル中で溶解性に乏しいものであると信じられている。
特に枝分れ剤がポリオールである場合、前記ポリオールがポリエステルと溶融混合されてポリエステルのポリマーマトリックス内に分散されるようになることが、本発明の重要な特徴である。上記議論されたように、ポリオール化合物は、溶融混合の間ポリエステルと反応することが知られている。この事情の下で、ポリオールはポリエステルと反応してその統合部分となるので、ポリオールをポリマーマトリックス内に分散させることは可能ではない。驚くべきことに、250℃以下の溶融加工温度を有するポリエステルとポリオール枝分れ剤との特定の組合せが、ポリエステルとポリオールとの間の有意な反応なしに溶融混合され得ることが見出された。
直前の議論から認識されたように、枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤とポリエステルとの間の反応性の欠如は重要である。しかしながら、このことがポリエステルに対する薬剤の少なくとも幾らかの反応性がある可能性を除外しないことが理解される。特に、溶融混合の間薬剤とポリエステルとの間に有意な反応がないことを条件に、ポリエステルのポリマーマトリックス内に分散された枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤を有する有益なマスターバッチを調製することが可能である。
【0012】
好ましくは、ポリエステルのおよそ50質量%以下、より好ましくはおよそ20質量%以下、さらにより好ましくはおよそ10質量%以下、最も好ましくはおよそ5質量%が、溶融混合によるマスターバッチの調製の間に枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤と反応する。本発明の特に好ましい態様において、ポリエステルは、溶融混合によるマスターバッチの調製の間に枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤と実質的に反応しない。
“ポリエステルが枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤と反応する”なる用語は、ポリエステル鎖内のポリエステル鎖末端基及び/又は内部部分が枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤と反応することを意味する。マスターバッチの調製の間の枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤とポリエステルの間に起き得る反応の度合は、典型的に多くの簡便な技術により評価され得る。最も簡単な技術は、マスターバッチのメルトフローインデックス(MFI)を測定することである。ペンタエリトリトールのような枝分れ剤とポリエステルとの有意な反応は、ポリエステルMFIの増加により明白となるが、ピロメリト酸二無水物(PMDA)のような枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤の有意な反応は、ポリエステルMFIの減少により明白となる。同様のことが、キャリヤーポリエステルの固有粘度を測定することにより検出される。
マスターバッチの組成はまた、末端基決定が有益に適用され得るところの、NMR及びIR分光法のような技術を使用してもまた解析され得る。代わりに、枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤及びポリエステルの選択に応じて、マスターバッチは、未反応の薬剤を別々に単離するために適切な溶媒を使用して抽出され得る。その場合、物質収支の計算が反応の度合を確定するために行われ得る。
【0013】
枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤とポリエステルとの反応は典型的に、ポリエステ
ル鎖の鎖開裂又は鎖カップリングを引き起こし、このことはまた、ポリエステル溶融粘度及び/又はポリエステル固有粘度(IV)のそれぞれの減少又は増加に反映される。例えばポリオールとポリエステルとの反応は、典型的にポリエステル鎖の鎖開裂を引き起こし、このことはまた、ポリエステル溶融粘度及び/又はポリエステル固有粘度(IV)の減少に反映される。
溶融混合の間のポリエステル溶融粘度は、溶融混合装置の混合要素を操作するのに要する力を測定することによりたやすく評価され得る。溶融物の粘度が減少される場合においては、混合要素を操作するのに要する力もまた一般的に減少され、及び溶融物の粘度が増加される場合においては、要する力もまた一般的に増加され得る。押出し機が使用される場合、この力は該押出し機の電動機トルクを測定することにより簡便に決定され得る。ポリエステルのIVの減少又は増加は、従来技術で良く知られた手法を使用して都合良く測定され得る。
【0014】
本発明のマスターバッチにより提供される特に有利な点は、該マスターバッチが、キャリヤーポリエステルのレオロジー特性の有意な変化を生ずることなしに高濃度及び低濃度の両方で種々の枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤を使用して調製され得ることである。この利点は、ポリオール枝分れ剤が使用されるか、又は低水準(およそ1ないしおよそ5質量%)のピロメリト酸二無水物のような枝分れ剤/鎖カップリング剤が使用される場合において特に明確である。
溶融ポリマーに対する幾つかの添加剤の添加が、添加剤とポリマーとの反応を通してではなく、単に溶融物中に1つの添加剤が存在することを通してポリマー/添加剤混合物の溶融粘度を、増加させ又は減少させることが、当業者により認識される。従って、ポリマー/添加剤混合物の溶融粘度の増加又は減少は、ポリマー溶融粘度自体の増加又は減少として考慮されるべきではない。
好ましくは、ポリエステル溶融粘度及び/又はポリエステル固有粘度は、該ポリエステルが枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤と溶融混合された場合に、30%以下だけ、より好ましくは15%以下だけ、より好ましくは5%以下だけ減少するか又は増加される。特に好ましい態様においては、ポリエステルの溶融粘度及び/又は固有粘度は、該ポリエステルが枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤と溶融混合された場合に、実質的に変化しない。
【0015】
溶融混合の間の枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤とポリエステルとの間の有意な反応がないことによって、得られたマスターバッチは容易に押出しされ得、及び一般的にマスターバッチとして機能する十分な物理的及び機械的特性を有する。特に、ポリエステルの分子量は、押出しが非実用的であり及び/又は困難である点まで、マスターバッチの調製の間には減少又は増加しない。
上記議論されたように、枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤とポリエステルの相対的な溶融温度、及び/又は溶融ポリエステル中の薬剤の溶解度は、ポリエステルに対する薬剤の反応性に影響する重要なパラメータであると信じられている。薬剤とポリエステルの特定の組合せに応じて、これらパラメータのいずれか1つが反応性に影響し得るか、又は両方のパラメータが集まって反応性に影響し得る。
好ましくは、枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤は、ポリエステルの溶融加工温度よりも、少なくとも10℃高く、より好ましくは少なくとも20℃高く、さらにより好ましくは少なくとも40℃高い溶融温度を有する。
好ましくは、枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤は、溶融混合の間に溶融ポリエステル中に個別の相として存在する。特に、枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤の少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも65質量%、最も好ましくは少なくとも85質量%が、溶融混合の間に溶融ポリエステル中に個別の相として存在している。特に好ましい態様においては、枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤の実質的にすべてが、溶融混合の間に溶融ポリエステル中に個別の相として存在している。
直前の段落において、“溶融混合の間の溶融ポリエステル”に対する言及は、そのポリエステルの溶融加工温度での溶融ポリエステルを指すことを意図する。
【0016】
本発明のマスターバッチは、ベースポリエステル中に枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤を均質に分布させる手段を提供する。枝分れ及び/又は鎖延長が溶融混合の間にベースポリエステル中で均質に起きることを確実にするため、マスターバッチは急速に溶融して、それにより溶融ベースポリエステル全体に薬剤を急速に分散させることが重要である。マスターバッチキャリヤーポリエステルの溶融加工温度がベースポリエステルのそれよりも低い場合に、薬剤はベースポリマー全体により効果的に分散され得ると信じられている。
本発明に従うマスターバッチを使用して変性され得る一般的なベースポリエステルはPETである。本発明のマスターバッチ中のキャリヤーポリエステルとしての使用のために適するポリエステルは、PETの溶融加工温度(典型的におよそ260℃)よりも有利に低い、250℃以下の溶融加工温度を有する。そのように低い溶融加工温度のポリエステルの利用はまた、キャリヤーポリエステルと250℃より高いか又はその付近の溶融温度を有する枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤との間の溶融温度の相違を増加させる方法を提供し、その効果は、マスターバッチの調製の間のキャリヤーに対する薬剤の反応性を低下させると信じられている。
好ましくは、マスターバッチ中での使用に適する低い溶融加工温度のポリエステルは、150℃ないし250℃、より好ましくはおよそ170℃ないしおよそ240℃、最も好ましくはおよそ180℃ないしおよそ230℃の範囲の溶融加工温度を有する。
【0017】
本発明に従う使用のために適する低い溶融加工温度のポリエステルを考慮するにあたり、当業者は、ポリエステルの溶融特性に影響する多くの要因があることを認識する。低い溶融温度のポリエステルを提供するのに貢献すると信じられている要因は、鎖構造の不規則性、モノマー単位の非直鎖結合、鎖間の誘引力の欠如、バルキーな側鎖、内部結合構造における柔軟性及び繰り返し単位中の炭素原子の奇数を含む。これら要因の多くは実際に、ポリエステルの結晶化を発展させる能力を阻害して、及びそれ故低い結晶化のパーセンテージを有するポリエステルがまたしばしば低い溶融加工温度を有する。
結晶化度は例えば、当業者に既知である種々の技術により測定され得る。例えば、示差走査熱分析(DSC)は、結晶化度に正に比例する、溶融温度での融解熱を検出する。ポリエステルの密度もまた、結晶化度と関連しており、密度がより低いと結晶度がより高い。両方の方法共に校正試験を要する。結晶化度を検出する完全な方法は、例えば広角度X−線散乱である。低い結晶性のポリエステルが低い溶融加工温度のポリエステルとして使用される場合、該低い結晶性のポリエステルはおよそ15%未満の、より好ましくはおよそ5%未満の結晶化度を有する。そのような低結晶性ポリエステルが実質的に結晶性を有していなく、及び非晶質であることが特に好ましい。
【0018】
低い溶融加工温度のポリエステルのもう1つの重要なパラメータは、そのガラス転移温度である:適するポリエステルは、枝分れ剤又は鎖カップリング剤の溶融温度よりおよそ70℃、より好ましくはおよそ110℃及び最も好ましくはおよそ150℃低いガラス転移温度を示す。
当業者は、与えられたポリエステルの結晶化度が該ポリエステルの分子構造に非常に大きく依存することを認識する。特に、ポリエステルの結晶化度は、ポリエステル鎖を構成するモノマー単位の量及び/又は種類及び/又は分布を単に変えることにより変化され得る。例えば、PET中のエチレングリコール繰り返し単位およそ8モル%を、1,4−シクロヘキサンジメタノール繰り返し単位と置換えるか、又はジエチレングリコール繰り返し単位およそ15モル%に置換えた場合、得られた変性ポリエステルは非晶質であり得、及び低い溶融加工温度を有する。同様に、PET中のテレフタル酸繰り返し単位およそ15モル%をイソフタル酸繰り返し単位と置換えた場合、得られた変性ポリエステルはまた
非晶質であり得、及び低い溶融加工温度を有する。そのような概念はまた、1つのポリエステルに組合せられ得るか、又は少なくとも2種類の異なったポリエステルを溶融混合することにより組合せられ得る。従って、特定の変性酸又はジオールの選択がポリエステルの溶融加工特性に有意に影響し得る。
ここで使用されるとおりの“変性酸”及び“変性ジオール”なる用語は、ポリエステルの酸及びジオール繰り返し単位部分をそれぞれ形成し得、及びポリエステルを変性してその結晶化度を低下させ得るか又はポリエステルを非晶質とし得る化合物を定義する意味である。
【0019】
変性酸成分の例は、イソフタル酸、フタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、1,12−ドデカン二酸等を含むがこれらに限定されない。実際に、ジカルボン酸のジメチル、ジエチル、又はジプロピルエステルのようなその官能酸誘導体を使用することがしばしば好ましい。実用的には、これら酸の無水物又は酸ハリドがまた使用され得る。好ましいのはイソフタル酸である。
変性ジオール成分の例は、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、Z,8−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.0]−デカン(ここで、Zは3、4又は5を表す。);1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン及び鎖中に1個以上の酸素原子を含むジオール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等を含むがこれらに限定されない。概して、これらのジオールは2ないし18個の、好ましくは2ないし8個の炭素原子を含む。脂環式ジオールは、それらのシス又はトランス構造において、或いは両形態の混合物として使用され得る。1,4−シクロヘキサンジメタノール又はジ−エチレングリコールが好ましい変性ジオールである。
他の適する低い溶融加工温度のポリエステルは、ラクトンの付加重合に基づき、例えばポリ−ε−カプロラクトンである。
好ましいのは、マスターバッチにおける使用に適するポリエステルがグリコール変性ポリ(エチレンテレフタレート)(PET−G)、ポリ−ε−カプロラクトン、又はおよそ15%を超えるイソフタル酸単位を含むコポリエステルであるところのポリエステルマスターバッチ組成物である。
【0020】
本発明のマスターバッチにおける使用に適するポリエステルは、一般的におよそおよそ0.4dL/gないしおよそ1.5dL/gの固有粘度(IV)を有するが、およそ0.6dL/gないしおよそ1.0dL/gの数値を有するものが好ましい。固有粘度は、60/40(質量/質量)フェノール/テトラクロロエタン溶液中の25℃での100mL当り0.5グラムの濃度にて、決定され得る。
特定の態様において、マスターバッチにおける使用のためのポリエステルは、枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤の溶融温度(群)以下の温度にて測定された、100s-1のせん断速度にて2000Pa秒未満の溶融粘度を特徴とする。
枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤の溶融温度以下とは、前記温度よりも少なくとも10℃だけ及び好ましくは少なくとも20℃だけ低いことを意味する。本発明に従うマスターバッチは、枝分れ剤を含み得る。好ましい枝分れ剤は、ポリオール及び多官能性酸無水物を含むが、これらに限定されない。
マスターバッチにおける使用のために適するポリオール枝分れ剤は、該枝分れ剤が分子当り少なくとも3個のヒドロキシ基を有することを意味すると理解される3個以上の官能価を有する。例えば、グリセロールは3個の官能価を有し、及びペンタエリトリトールは4個の官能価を有する。適するポリオール枝分れ剤、又はその前駆体の例は、トリメチロ
ールエタン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、1,1,4,4−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、及びジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール等を含むがこれらに限定されない。1種以上のポリオール枝分れ剤が組合せて使用され得る。
【0021】
好ましいポリオール枝分れ剤、又はその誘導体は、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール、及びトリメチロールエタンを含む。
上記示されたように、ポリオール枝分れ剤は、その前駆体又は誘導体の形態で提供され得る。“その前駆体”又は“その誘導体”とは、溶融加工によるマスターバッチの調製の間にポリオールへと転換される化合物を意味する。
本発明に従うマスターバッチがポリオール枝分れ剤を含む場合、ポリオールは、ポリエステルキャリヤーポリマーに対して、好ましくはおよそ0.3ないしおよそ30質量%、より好ましくはおよそ0.3ないしおよそ20質量%、最も好ましくはおよそ1ないしおよそ10質量%の量で存在する。
マスターバッチにおける使用に適する多官能性酸無水物は、該多官能性無水物が分子当り少なくとも3個以上の酸基又は酸残基を有することを意味すると理解される、3個以上の官能価を有する。例えば、トリメリト酸無水物は3個の官能価を有し、及びピロメリト酸二無水物は4個の官能価を有する。
【0022】
本発明のマスターバッチにおいて使用され得る多官能性及び無水物の例は、芳香族酸無水物、脂環式無水物、ハロゲン化酸無水物、ピロメリト酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエーテル二無水物、ビスフェノールAビスエーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、ヒドロキノンビスエーテル二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレン−コハク酸二無水物、ビシクロ(2,2)オクテ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、及びエチレンジアミン四酢酸二無水物(EDTAh)を含む。無水物成分としてポリマー又はコポリマーを含む酸無水物を使用することがまた可能である。2種以上の多官能性酸無水物は組合せて使用され得る。
好ましい多官能性酸無水物は、ピロメリト酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物及びテトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物を含む。最も好ましくは、多官能性酸無水物がピロメリト酸二無水物である。
上記示されたように、多官能性酸無水物は、酸基又は酸残基を含み得る。“酸残基”とは、第二のカルボン酸を使用して縮合されて無水物を形成するカルボン酸の残基を意味する。この場合、形成された無水物は2個の酸残基を含む。
【0023】
本発明に従うマスターバッチがポリオール枝分れ剤以外の枝分れ剤を含む場合、枝分れ剤は、ポリエステルキャリヤーポリマーに対し、好ましくはおよそ1ないしおよそ60質量%、より好ましくはおよそ5ないしおよそ40質量%、最も好ましくはおよそ5ないし
およそ30質量%の量で存在する。
本発明に従うマスターバッチは、鎖カップリング剤を含み得る。本発明により使用され得る鎖カップリング剤は、多官能性酸無水物、エポキシ化合物、オキサゾリン誘導体、オキサゾリノン誘導体、ラクタム及び対応する種を含むが、これらに限定されない。他の鎖カップリング剤の例として、我々は、Inata及びMatsumura,J.App.Pol.Sci.,303325(1988)及びLootjens他 J.App.Pol.Sci 65 1813(1997)及びBrown in “Reactive
Extrusion”Xanthos編集,Hanger,ニューヨーク 1992 第75頁を引用する。
無水物又はラクタム単位を含むものが、マスターバッチが続けて使用される場合に、ベースポリエステルのアルコール官能基との反応のために好ましい。オキサゾリン、オキサゾリノン、エポキシド、カルボジイミド単位を含むものが、マスターバッチが続いて使用される場合に、ベースポリエステルの酸官能基との反応のために好ましい。
単独で又は組合せて使用され得る好ましい鎖カップリング剤は、以下を含む:
(1)ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート;N,N−ジグリシジルベンズアミド(及び関連するジエポキシド);N,N−ジグリシジルアニリン及び誘導体;N,N−ジグリシジルヒダントイン、ウラシル、バルビツール酸又はイソシアヌル酸誘導体;N,N−ジグリシジルジイミド;N,N−ジグリシジルイミダゾロン;エポキシノボラック;フェニルグリシジルエーテル;ジエチレングリコールジグリシジルエーテル;エピコート(Epikote)815(ビスフェノールA−エピクロロヒドリンオリゴマーのジグリシジルエーテル)のようなポリエポキシド。
(2)2,2−ビス(2−オキサゾリン);1,3−フェニレンビス(2−オキサゾリン−2)、1,2−ビス(2−オキサゾリニル−2)エタン;2−フェニル−1,3−オキサゾリン;2,2’−ビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサゾリン);N,N’−ヘキサメチレンビス(カルバモイル−2−オキサゾリン);ビス[5(4H)−オキサゾロン];ビス(4H−3,1ベンズオキサジノ−4−オン);2,2’−ビス(H−3,1−ベンゾジノ−4−オン)のようなポリオキサゾリン/ポリオキサゾロン;
(3)4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI);トルエンジイソシアネート、イソシアネート末端化ポリウレタン;イソシアネート末端化ポリマーのようなポリイソシアネート;
(4)無水物
多官能性酸無水物の例は、枝分れ剤に対して前に定義されたとおりである。
(5)N,N’−テレフタロイルビス(カルポラクタム)及びN,N’−テレフタロイルビス(ラウロラクタム)のようなポリアシルラクタム。PET鎖延長のためのこれら及び同様の化合物の使用は、米国特許第4857603号明細書においてAkkapeddi及びGervasiにより開示されている。
(6)トリフェニルホスフィット(Jaques他 Polymer 38 5367(1997))のようなリン原子(III)カップリング剤及び米国特許第5326830号明細書においてAharoniにより開示されるもののような他の化合物。本発明に従うマスターバッチが鎖カップリング剤を含む場合、該鎖カップリング剤は好ましくは、ポリエステルキャリヤーに対して、およそ1ないしおよそ60質量%、より好ましくはおよそ5ないしおよそ40質量%、より好ましくはおよそ5ないしおよそ30質量%の量で存在する。
【0024】
本発明の他の態様において、マスターバッチ組成物は、ホスフィット化合物、ホスフィン酸塩化合物又はホスホネート化合物をさらに含み得る。
ホスホネートが一般的に好ましい。
好ましくは、ホスホネートは、式II
【化1】

[式中、
103は、H、炭素原子数1ないし20のアルキル基、未置換の又は炭素原子数1ない
し4のアルキル置換されたフェニル基又はナフチル基を表し、
104は、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、未置換のまたは炭素原子
数1ないし4のアルキル置換されたフェニル基又はナフチル基;又はMr+/rを表し、Mr+はr価の金属カチオン又はアンモニウムイオンを表し、
nは、0、1、2、3、4、5又は6であり、及び
rは、1、2、3又は4であり;
Qは、水素原子、−X−C(O)−OR107、又は基
【化2】

(式中、
101は、イソプロピル基、第三ブチル基、シクロヘキシル基、又は1ないし3個の炭
素原子数1ないし4のアルキル基により置換されたシクロヘキシル基を表し、
102は、水素原子、炭素原子数1ないし4のアルキル基、シクロヘキシル基、又は1
ないし3個の炭素原子数1ないし4のアルキル基により置換されたシクロヘキシル基を表し、
105は、H、炭素原子数1ないし18のアルキル基、OH、ハロゲン原子又は炭素原
子数3ないし7のシクロアルキル基を表し;
106は、H、メチル基、トリメチルシリル基、ベンジル基、フェニル基、スルホニル
基又は炭素原子数1ないし18のアルキル基を表し;
107は、H、炭素原子数1ないし10のアルキル基又は炭素原子数3ないし7のシク
ロアルキル基を表し;及び
Xは、フェニレン基、炭素原子数1ないし4のアルキル基−置換されたフェニレン基又はシクロヘキシレン基を表す。)を表す。]
で表されるものである。
【0025】
他の適するホスホネートは、以下に列挙される。
【化3】

米国特許第4778840号明細書から既知であるもののような、立体障害性ヒドロキシフェニルアルキルホスホン酸エステル又はハーフエステルが好ましい。
【0026】
ハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードである。
18個までの炭素原子を含むアルキル置換基は、適当には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びオクチル基、ステアリル基及びまた対応する枝分れ異性体のような基であり;炭素原子数2ないし4のアルキル基及びイソオクチル基が好ましい。
好ましくは1ないし3個の、より好ましくは1又は2個のアルキル基を含む炭素原子数1ないし4のアルキル置換されたフェニル基又はナフチル基は、例えば、o−、m−又はp−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル基、4−第三ブチルフェニル基、2−エチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、1−メチルナフチル基、2−メチルナフチル基、4−メチルナフチル基、1,6−ジメチルナフチル基又は4−第三ブチルナフチル基である。
1ないし3個の、より好ましくは1又は2個の枝分れしているか又は枝分れしていないアルキル基を含む炭素原子数1ないし4のアルキル置換されたシクロヘキシル基は、例えば、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、トリメチルシクロヘキシル基又は第三ブチルシクロヘキシル基である。
1価、2価、3価又は4価の金属カチオンは好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属又はアルミニウムカチオン、例えばNa+、K+、Mg++、Ca++、Ba++、Zn++、Al+++、又はTi++++である。Ca++が特に好ましい。
【0027】
式Iで表される好ましい化合物は、R1又はR2として少なくとも1個の第三ブチル基を含むものである。非常に特に好ましい化合物は、式中のR1及びR2が同時に第三ブチル基を表すものである。
nは、このましくは1又は2であり、及び特に1である。
例えばホスホネートは、式IIa
【化4】

(式中、
101は、H、イソプロピル基、第三ブチル基、シクロヘキシル基、又は1ないし3個
の炭素原子数1ないし4のアルキル基により置換されたシクロヘキシル基を表し、
102は、水素原子、炭素原子数1ないし4のアルキル基、シクロヘキシル基、又は1
ないし3個の炭素原子数1ないし4のアルキル基により置換されたシクロヘキシル基を表し、
103は、炭素原子数1ないし20のアルキル基、未置換の又は炭素原子数1ないし4
のアルキル置換されたフェニル基又はナフチル基を表し、
104は、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、未置換の又は炭素原子数
1ないし4のアルキル置換されたフェニル基又はナフチル基;又はMr+/rを表し;Mr+はr価の金属カチオンを表し、rは、1、2、3又は4であり;及び
nは、1、2、3、4、5又は6である。)
で表されるものである。
【0028】
好ましくは、ホスホネートは式III、IV、V、VI又はVII
【化5】

(式中、R101は、各々互いに独立して水素原子又はMr+/rを表す。)
で表されるものである。
式II、IIa、III、IV、V、VI、VII及びVIIIで表される化合物の幾つかは商業上入手可能であるか、又は例えば米国特許第4778840号明細書に記載されたとおりの標準的な方法により調製され得る。
【0029】
ホスフィン酸塩は、式XX
【化6】

[式中、
201は、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、フェニル基又は炭素原子
数1ないし4のアルキル置換されたフェニル基;ビフェニル基、ナフチル基、−CH2
O−炭素原子数1ないし20のアルキル基又は−CH2−S−炭素原子数1ないし20の
アルキル基を表し、
202は、炭素原子数1ないし20のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数1ないし
4のアルキル置換されたフェニル基;ビフェニル基、ナフチル基、−CH2−O−炭素原
子数1ないし20のアルキル基又は−CH2−S−炭素原子数1ないし20のアルキル基
を表すか、又はR1及びR2は一緒になって式XXI
【化7】

(式中、R203、R204及びR205は、互いに独立して炭素原子数1ないし20のアルキル
基、フェニル基又は炭素原子数1ないし4のアルキル置換されたフェニル基を表す。)で表される基を表す。]
で表されるものである。
特別なホスフィン酸塩は例えば化合物101
【化8】

である。
【0030】
本発明において有益な典型的なホスフィットは例えば以下に列挙される。
例えば、トリフェニルホスフィット、ジフェニルアルキルホスフィット、フェニルジアルキルホスフィット、トリス(ノニルフェニル)ホスフィット、トリラウリルホスフィット、トリオクタデシルホスフィット、ジステアリルペンタエリトリトールジホスフィット、トリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスフィット、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ジイソデシルオキシペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4−ジ−第三ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4,6−トリス(第三ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、トリステアリルソルビトールトリホスフィット、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−第三ブチル−12H−ジベンズ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、ビス(2,4−ジ−第三ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスフィット、ビス(2,4−ジ−第三ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスフィット、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−第三ブチル−12−メチル−ジベンズ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、2,2’,2”−ニトリロ[トリエチルトリス(3,3’,5,5’−テトラ−第三ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスフィット]、2−エチルヘキシル(3,3’,5,5’−テトラ−第三ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスフィット、5−ブチル−5−エチル−2−(2,4,
6−トリ−第三ブチルフェノキシ)−1,3,2−ジオキサホスフィラン。
とりわけ好ましいのは、以下のホスフィットである:
トリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスフィット(イルガフォス(Irgafos)(登録商標)、チバ スペシャルティ ケミカルズ(Ciba Specialty
Chemicals)社)、トリス(ノニルフェニル)ホスフィット、
【化9】


【0031】
本発明のマスターバッチは、ポリエステルを枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤と溶融混合することにより調製される。溶融混合は、当業者に良く知られた方法を使用して行
われ得る。好ましくは、溶融混合は、二軸スクリュー押出し機、一軸スクリュー押出し機、バスニーダー(Buss kneader)及びファレルミキサー(Farell mixer)のような他の多軸スクリュー押出し機のような連続押出し装置により行われる。好ましくは、溶融混合は、ポリエステルをその溶融加工温度に維持するように行われる。
マスターバッチを調製するにおいて、1種以上のポリエステル及び1種以上の枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤が使用され得る。
従ってもう1つの局面において、本発明は、枝分れ剤及び/又はカップリング剤がポリエステルのポリマーマトリックス内に分散されるように、前記ポリエステルを前記枝分れ剤及び/又はカップリング剤と溶融混合ことからなるポリエステルマスターバッチを調製する方法であって、前記ポリエステルは250℃以下の溶融加工温度を有する方法を提供する。
本発明の特別な態様は、
(1)(i)ベースポリマー及び0ないしおよそ1質量%の鎖カップリング剤及び/又は枝分れ剤を含む第一の樹脂組成物を多量、及び
(ii)少なくともおよそ50質量%のポリエステル樹脂及びおよそ2質量%を超える鎖カップリング剤及び/又は枝分れ剤を含む上述のポリエステルマスターバッチ組成物を少量
含む溶融混合物であって、(i)と(ii)の相対的な量は、前記溶融混合物がおよそ0.1質量%ないしおよそ1質量%の前記鎖カップリング剤及び/又は枝分れ剤を含むような量である前記溶融混合物の形成;
(2)ベースポリエステルを変性するのに十分である時間及び温度条件下での、生じた溶融混合物の溶融加工;及び
(3)フィルム、シート、射出成形品、繊維又は不織布への前記溶融混合物の直接二次加工
からなる、ベースポリエステルを溶融加工する方法である。
適する溶融加工条件は上述した。
ここで使用されるとおりの用語“直接二次加工”は、ベースポリマーとマスターバッチの溶融混合物が、後の所望の製品の製造におけるその後の再融解のために粉体又はペレットに最初に転換されるのではなく、代わりにそのような製品へと直ちに溶融製造されることを意味すると理解されるべきである。
【0032】
組成物に対して上記与えられた定義及び好例は、ポリエステルマスターバッチを製造する方法に適用する。
マスターバッチを調製する方法は、1以上の加工段階において行われ得る。
さらに、マスターバッチのすべての成分は、前もって混合され、及び押出し機中へと計量されるか、又は別々に計量され得る。
もう1つの選択は、マスターバッチの1部の押出しであり、及びプロセスにおいて後にマスターバッチのその他の部分を添加することである。例えば、キャリヤーポリエステルは開始から押出し機正面へと計量され、及び有効成分はより高い押出し区画中で計量される。
マスターバッチは、キャリヤーポリエステルの分子量を増加させるために固相重縮合に付され得る。これは、マスターバッチ内のポリエステルの分子量を変性されるべきベースポリエステルの分子量まで調節するのに有益である。
【0033】
本発明のマスターバッチは、ベースポリマーとマスターバッチとの溶融混合によってベースポリマーを変性するために使用され得る。単一のマスターバッチ又はマスターバッチの組合せが使用され得る。この方法により、ポリエステルは、枝分れ剤との反応を通して変性されてポリエステル鎖構造内に枝分れを導入するか、又はポリエステル鎖構造を鎖延長する。典型的に、ベースポリエステルは、マスターバッチキャリヤーポリエステルより
もより高い溶融加工温度を有する。従って、このより高い温度において、枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤は、ベースポリマーと反応してそれを鎖延長させるか、及び/又は枝分れ点を導入するより強い傾向を有する。
所望により、変性されたポリエステルは、その分子量を増加させるために固相縮合プロセスのような他の加工に付され得る。又は、鎖カップリング剤が使用されなかった場合、変性されたポリエステルは、その分子量を増加させるために鎖カップリング剤とその後溶融混合され得る。好ましくは、ベースポリエステルは、鎖カップリング剤を含むマスターバッチと溶融混合される。
高い溶融強度のポリエステルは、ベースポリエステルをポリオール枝分れ剤及び多官能性酸無水物と溶融混合することにより得られ得る。本発明の1つの好ましい態様において、ベースポリエステルは、ポリオール枝分れ剤及び多官能性酸無水物をそれぞれ含む本発明に従って調製されたマスターバッチの組合せを使用して変性される。
【0034】
本発明のもう1つの好ましい態様において、マスターバッチは、ポリオール枝分れ剤及び多官能性酸無水物の組合せを含む。マスターバッチ中にこれら2種の薬剤を組合せることにより、2種の別々のマスターバッチの必要性が便利に回避される。キャリヤーポリエステル、本発明に従うポリオール及び無水物を選択することにより、マスターバッチは、キャリヤーポリエステル、ポリオール及び無水物との間に有意な反応を生ずることなしに調製され得ると信じられている。従って、そのようなマスターバッチは、ポリエステルのポリマーマトリックス内に分散されたポリオール枝分れ剤と多官能性酸無水物の両方を有利に含む。
他の鎖カップリング剤がまた、本発明に従うマスターバッチ中でポリオール枝分れ剤と組合され得る。
枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤の組合せを含むマスターバッチが調製される場合、枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤が溶融混合の間に互いにある程度まで反応するかもしれない。この場合、生じた反応生成物(群)はまた、それ自体枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤(群)であり得、及びそれ故、本発明に従う枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤であり得る。
【0035】
他の局面において、本発明は、上述したとおりにポリエステルマスターバッチと一緒に250℃を超える温度にてポリエステルを溶融混合することからなる、ポリエステルを変性する方法を提供する。
本発明の方法により変性され得るポリエステルは、好ましくは熱可塑性ポリエステルであり、及びポリマーの主鎖中の繰り返しカルボキシレートエステル基を有するすべてのヘテロ鎖式の巨大分子量化合物を含む。ポリエステルとしての使用にまた適するのは、側鎖又はグラフトにおいてエステルを含むポリマー、カルボキシレートエステル基を有する(主鎖において或いは側鎖基又はグラフトとして)モノマーを導入したコポリマー及びカルボキシレートエステル基を保持する(主鎖或いは側鎖基又はグラフトにおいて)ポリエステルの誘導体である。ポリエステルはまた、主鎖において又は側鎖として酸、無水物及びアルコールを含み得る(例えば、アクリル酸及びメタクリル酸含有のポリマー)。好ましいポリエステルは、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、PETのコポリマー、PBTのコポリマー、PENのコポリマー、液体結晶状ポリエステル(LCP)及び炭酸のポリエステル(ポリカーボネート)及び1種以上のそれらのブレンドを含む。
【0036】
PETのコポリマーは、他のコモノマーを含む変種を含む。例えば、エタンジオールは、PETコポリマーを形成するためにシクロヘキサンジメタノールのような他のジオールに置換えられ得る。PBTのコポリマーは、他のコモノマーを含む変種を含む。PENのコポリマーは、他のコモノマーを含む変種を含む。PEN/PETのコポリマーはまた、
本発明において有益である。これらコポリマーは他のポリエステルとブレンドされ得る。
液体結晶状ポリエステルは、ポリ(ヒドロキシ安息香酸)(HBA)、ポリ(2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸)及び2,6−ジヒドロキシナフタレンとテレフタル酸とのコポリマーであるポリ(ナフタレンテレフタレート)(PNT)を含む。液体結晶ポリエステルと他のポリエステルとのコポリマーがまた適する。
側鎖又はグラフトのエステル、酸又はアルコール含有のポリマーは:ポリ(メチルメタクリレート)(又は他のメタクリレート又はアクリレート);ポリ(メタクリル酸);ポリ(アクリル酸);ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、デンプン、セルロース等を含む。
酸、エステル又はアルコール基を含むコポリマー或いはグラフトコポリマーは、エチレン コ−酢酸ビニル、エチレン コ−ビニルアルコール、エチレン コ−アクリル酸、マレイン酸無水物グラフト化ポリエチレン、ポリプロピレン等を含む。
【0037】
本発明のマスターバッチがポリオール枝分れ剤及び多官能性酸無水物を含む場合、多官能性酸無水物とポリオール枝分れ剤、又はそれへの前駆体のモル比は、0.5:1ないし(10×C):1(ここで、Cは、ポリオール枝分れ剤のモル当りのヒドロキシ基のモル数を表す。)の範囲にあることが好ましい。多官能性酸無水物とポリオール、又はそれへの前駆体の比が2:1ないし(2×C):1であることが特に好ましい。
モル比の計算を明確に示すために以下の例が提供される:
計算例:ピロメリト酸二無水物(PMDA)を含むマスターバッチ組成物及びペンタエリトリトール。
PMDA =4官能性無水物
ペンタエリトリトール =4官能性アルコール
本例において使用されるポリオール、ペンタエリトリトールは4の官能価を有し、それ故C=4である。
PMDAとペンタエリトリトールのモル比はそれ故、0.2:1ないし40(10×4):1の範囲にあり、PMDAとペンタエリトリトールの好ましいモル比は、2:1ないし8(2×4):1の範囲にある。従って、ペンタエリトリトール2.5質量%を含むマスターバッチは、好ましくはおよそ8質量%ないしおよそ32質量%の範囲の量でPMDAを含む(すなわち2:1ないし8:1の範囲のモル比で)。
本発明のマスターバッチが多官能性酸無水物又はポリオール枝分れ剤のうちの1つのみを含むが、該マスターバッチがポリオールと無水物の両方が使用されたベースポリエステルを変性するために使用される場合、ポリオール枝分れ剤と多官能性酸無水物のモル比はまた、上記定義されたとおりが好ましい。
【0038】
本発明に従うマスターバッチは、充填材、顔料、安定剤、発泡剤、核剤等のような他の添加剤を含み得る。これらの及び他の適する付加的な添加剤の例は、米国特許第6,469,078号明細書を参照のこと。
マスターバッチはまた、熱安定剤、光安定剤、加工安定剤、金属奪活剤、核剤及び蛍光増白剤のような添加剤を含み得る。例を以下に挙げる。
【0039】
1.抗酸化剤
1.1.アルキル化モノフェノール、
例えば、2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール、2−第三ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−メトキシメチルフェノール、直鎖状又は側鎖において枝分れしたノニルフェノール、例えば、2,
6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデシ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデシ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデシ−1’−イル)フェノール及びそれらの混合物。
【0040】
1.2.アルキルチオメチルフェノール、
例えば、2,4−ジオクチルチオメチル−6−第三ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジ−ドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール。
【0041】
1.3.ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン、
例えば、2,6−ジ−第三ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−第三ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−第三アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−第三ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペート。
【0042】
1.4.トコフェロール、
例えば、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール及びそれらの混合物(ビタミンE)。
【0043】
1.5.ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、
例えば、2,2’−チオビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−第二アミルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド。
【0044】
1.6.アルキリデンビスフェノール、
例えば、2,2’−メチレンビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−第三ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)−フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−第三ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−第三ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−第三ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−第三ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’−第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−第三ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス−(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン。
【0045】
1.7.O−、N−及びS−ベンジル化合物
例えば、3,5,3’,5’−テトラ−第三ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−第三ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−第三ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート。
【0046】
1.8.ヒドロキシベンジル化マロネート
例えば、ジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジ−オクタデシル−2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート。
【0047】
1.9.芳香族ヒドロキシベンジル化合物
例えば、1,3,5−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール。
【0048】
1.10.トリアジン化合物
例えば、2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2
−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−第三ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート。
【0049】
1.11.ベンジルホスホネート
例えば、ジメチル−2,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート、3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩。
【0050】
1.12.アシルアミノフェノール
例えば、4−ヒドロキシラウラニリド、4−ヒドロキシステアラニリド、オクチルN−
(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバメート。
【0051】
1.13. β−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステルであって、一価又は多価アルコール、例えば、
メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
【0052】
1.14. β−(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸のエステルであって、一価又は多価アルコール、例えば、
メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン;3,9−ビス[2−{3−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]−ウンデカンとのエステル。
【0053】
1.15.β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステルであって、一価又は多価アルコール、例えば、
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)−オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
【0054】
1.16. 3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸のエステルであって、一価又は多価アルコール、例えば、
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
【0055】
1.17. β−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えば、
N,N’−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミド、N,N’−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジド、N,N’−ビス[2−(3−[3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]オキサミド(ユニロイヤル(Uniroyal)社によって供給されるナウガード(Naugard)(登録商標)XL−1)。
【0056】
1.18.アスコルビン酸(ビタミンC)
【0057】
1.19.アミン抗酸化剤
例えば、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−第三オクチルフェニル)−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えばp,p’−ジ−第三オクチルジフェニルアミン、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)アミン、2,6−ジ−第三ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス[(2−メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トルイル)ビグアニド、ビス[4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル]アミン、第三オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノ−及びジアルキル化第三ブチル/第三オクチルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化第三ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノ−及びジアルキル化第三ブチル/第三オクチルフェノチアジンの混合物、モノ−及びジアルキル化第三オクチルフェノチアジンの混合物、N−アリルフェノチアジン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブテ−2−エン、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジ−4−イル−ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジ−4−イル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−4−オン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−4−オール。
【0058】
2.紫外線吸収剤及び光安定剤
2.1. 2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール
例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−第三ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(5’−第三ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒ
ドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−第三ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−第二ブチル−5’−第三ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−第三アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−第三ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−第三ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾレ−2−イルフェノール];2−[3’−第三ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシ−フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物;Rが3’−第三ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イルフェニル基を表す[R−CH2CH2−COO−CH2CH2−]2−、2−[2’−ヒド
ロキシ−3’−(α,α−ジメチルベンジル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール;2−[2’−ヒドロキシ−3’− (1,1,
3,3−テトラメチルブチル)−5’−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール。
【0059】
2.2. 2−ヒドロキシベンゾフェノン
例えば、4−ヒドロキシ、4−メトキシ、4−オクチルオキシ、4−デシルオキシ、4−ドデシルオキシ、4−ベンジルオキシ、4,2’,4’−トリヒドロキシ及び2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ誘導体。
【0060】
2.3.置換された及び未置換の安息香酸のエステル
例えば、4−第三ブチル−フェニルサリチレート、フェニルサリチレート、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−第三ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−第三ブチルフェニル3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−メチル−4,6−ジ−第三ブチルフェニル3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート。
【0061】
2.4.アクリレート
例えば、エチルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、イソオクチルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチルα−カルボメトキシシンナメート、メチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、ブチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、メチルα−カルボメトキシ−p−メトキシシンナメート及びN−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン。
【0062】
2.5.ニッケル化合物
例えば、n−ブチルアミン、トリエタノールアミン又はN−シクロヘキシルジエタノールアミンのような他の配位子を伴うか又は伴わない1:1又は1:2錯体のような2,2’−チオビス−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体、ニッケルジブチルジチオカルバメート、モノアルキルエステルのニッケル塩、例えば4−ヒドロキシ−3,5−ジ−第三ブチルベンジルホスホン酸のメチル又はエチルエステル、ケトキシム、例えば2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル−ウンデシルケトキシムのニッケル錯体、他の配位子を伴うか又は伴わない1−フェニル−4−ラウロイル−5−ヒドロキシピラゾールのニッケル錯体。
【0063】
2.6.立体障害性アミン
例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)n−ブチル−3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸の縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−第三オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの直鎖状又は環状縮合物、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,1’−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−第三ブチルベンジル)マロネート、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシネート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの直鎖状又は環状縮合物、2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物、2−クロロ−4,6−ジ−(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス−(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、4−ヘキサデシルオキシ−と4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの混合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−シクロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの縮合物、1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン並びに4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの縮合物(CAS登録番号:[136504−96−6]);1,6−ヘキサンジアミンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン並びにN,N−ジブチルアミンと4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの縮合物(CAS登録番号[192268−64−7]);N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
−n−ドデシルスクシンイミド、N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシンイミド、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソ−スピロ[4.5]デカン、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソ−スピロ[4.5]デカンとエピクロロヒドリンの反応生成物、1,1−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテン、N,N’−ビス−ホルミル−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、4−メトキシメチレンマロン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ヒドロキシピペリジンとのジエステル、ポリ[メチルプロピル−3−オキシ−4−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)]シロキサン、マレイン酸無水物−α−オレフィンコポリマーと2,2,6,6−テトラメチル−4−アミノピペリジン又は1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノピペリジンとの反応生成物。
【0064】
2.7.オキサミド、
例えば、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−第三ブトキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−第三ブトキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−第三ブチル−2’−エトキサニリド及びその2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−第三ブトキサニリドとの混合物、o−及びp−メトキシ−二置換オキサニリドの混合物及びo−及びp−エトキシ−二置換オキサニリドの混合物。
【0065】
2.8. 2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
例えば、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ)フェニル−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−{2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0066】
3.金属奪活剤
例えば、N,N’−ジフェニルオキサミド、N−サリチラル−N’−サリチロイル−ヒドラジン、N,N’−ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N’−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N’−ジアセチルアジポイルジヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)オキサリルジヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジド。
【0067】
4.ヒドロキシルアミン、
例えば、N,N−ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクチルヒドロキシルアミン、N,N−ジラウリルヒドロキシルアミン、N,N−ジテトラデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジヘキサデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘキサデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘプタデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、水素化牛脂アミンから誘導されたN,N−ジアルキルヒドロキシルアミン。
【0068】
5.ニトロン、
例えば、N−ベンジル−α−フェニルニトロン、N−エチル−α−メチルニトロン、N−オクチル−α−ヘプチルニトロン、N−ラウリル−α−ウンデシルニトロン、N−テトラデシル−α−トリデシルニトロン、N−ヘキサデシル−α−ペンタデシルニトロン、N−オクタデシル−α−ヘプタデシルニトロン、N−ヘキサデシル−α−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシル−α−ペンタデシルニトロン、N−ヘプタデシル−α−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシル−α−ヘキサデシルニトロン、水素化牛脂アミンから誘導されたN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンから誘導されたニトロン。
【0069】
6.チオ相乗剤、
例えば、ジラウリルチオジプロピオネート又はジステアリルチオジプロピオネート。
【0070】
7.パーオキシド捕捉剤、
例えば、β−チオジプロピオン酸のエステル、例えば、ラウリル、ステアリル、ミリスチル又はトリデシルエステル、メルカプトベンゾイミダゾール又は2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、亜鉛ジブチルジチオカルバメート、ジオクタデシルジスルフィド、ペンタエリトリトールテトラキス(β−ドデシルメルカプト)プロピオネート。
【0071】
8.ポリアミド安定剤
例えば、ヨウ化物及び/又はリン化合物と組み合わせた銅塩及び二価マグネシウムの塩。
【0072】
9.塩基性補助安定剤
例えば、メラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、トリアリルシアヌレート、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、アミン、ポリアミド、ポリウレタン、高級脂肪酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、例えばカルシウムステアレート、亜鉛ステアレート、マグネシウムベヘネート、マグネシウムステアレート、ナトリウムリシノレート及びカリウムパルミテート、アンチモンピロカテコレート又は亜鉛ピロカテコレート。
【0073】
10.核剤
例えば、タルクのような無機物質、二酸化チタン、酸化マグネシウムのような金属酸化物、好ましくはアルカリ土類金属のホスフェート、炭酸塩又は硫酸塩;モノ−又はポリカルボン酸のような有機化合物及びそれらの塩、例えば、4−第三ブチル安息香酸、アジピ
ン酸、ジフェニル酢酸、コハク酸ナトリウム又は安息香酸ナトリウム;イオンコポリマー(アイオノマー)のようなポリマー化合物。とりわけ好ましくは1,3:2,4−ビス(3’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(パラメチルジベンジリデン)ソルビトール、及び1,3:2,4−ジ(ベンジリデン)ソルビトール。
【0074】
11.充填材及び強化材、
例えば、炭酸カルシウム、シリケート、ガラス繊維、ガラス球、アスベスト、タルク、カオリン、マイカ、硫酸バリウム、金属酸化物及び金属水酸化物、カーボンブラック、グラファイト、木粉及び他の天然物の粉末又は繊維、合成繊維。
【0075】
12.他の添加剤
例えば、可塑剤、滑剤、乳化剤、顔料、レオロジー添加剤、触媒、流れ調整剤、蛍光増白剤、防炎加工剤、静電防止剤及び発泡剤。
【0076】
13.ベンゾフラノン及びインドリノン
例えば、米国特許出願公開第4,325,863号明細書;米国特許出願公開第4,338,244号明細書;米国特許出願公開第5,175,312号明細書;米国特許出願公開第5,216,052号明細書;米国特許出願公開第5,252,643号明細書;ドイツ国特許出願公開第4316611号明細書;ドイツ国特許出願公開第4316622号明細書;ドイツ国特許出願公開第4316876号明細書;欧州特許出願公開第0589839号明細書又は欧州特許出願公開第0591102号明細書に開示されるもの、又は3−[4−(2−アセトキシエトキシ)フェニル]−5,7−ジ−第三ブチル−ベンゾフラノ−2−オン、5,7−ジ−第三ブチル−3−[4−(2−ステアロイルオキシエトキシ)フェニル]ベンゾフラノ−2−オン、3,3’−ビス[5,7−ジ−第三ブチル−3−(4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)ベンゾフラノ−2−オン]、5,7−ジ−第三ブチル−3−(4−エトキシフェニル)ベンゾフラノ−2−オン、3−(4−アセトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−第三ブチルベンゾフラノ−2−オン、3−(3,5−ジメチル−4−ピバロイルオキシフェニル)−5,7−ジ−第三ブチルベンゾフラノ−2−オン、3−(3,4−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−第三ブチルベンゾフラノ−2−オン、3−(2,3−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−第三ブチルベンゾフラノ−2−オン。
【0077】
本発明の方法において、ベースポリエステルは、該ポリエステルを本発明のマスターバッチと溶融混合することにより変性される。ポリオール枝分れ剤と、及び鎖カップリング剤が存在する場合、該薬剤と、ベースポリエステルとの反応速度を高めるために、縮合又はエステル転移触媒がまた、溶融混合プロセスに添加され得る。
特別な態様において、マスターバッチ組成物はまた、縮合又はエステル転移触媒を含み得る。
典型的なエステル転移又は縮合触媒は、三酸化アンチモン、酸化チタン及びジブチルスズジラウレートのようなルイス酸を含むがこれらに限定されない。
ポリエステルを変性するための溶融混合の間のマスターバッチに配合され得る他の添加剤は、縮合/固相重縮合の組合せにより制御された枝分れポリエステルの製造のために、米国特許第4,1611,579号明細書にEdelman等により記載されるような、鎖延長及び/又は枝分れの度合を制御するためのブロッカーとして作用する1官能性添加剤を含む。適する1官能性添加剤の例は、酸(例えば安息香酸)又は無水物又はそのエステル(例えば無水安息香酸、無水酢酸)である。1官能性アルコールがまた使用され得る。添加剤(例えば炭酸)は、発泡製品が要求される場合に、変性されたポリエステルの発泡を高めるために配合され得る。化学的発泡よりも物理的発泡を達成するために、溶融混合の間にガスがまた溶融ポリエステル中に噴霧され得る。
【0078】
本発明の方法において、ベースポリエステルは、本発明のマスターバッチと溶融混合されることにより変性される。溶融混合は、二軸スクリュー押出し機、一軸スクリュー押出し機、他の多軸スクリュー押出し機及びファレル(Farell)ミキサーのような連続押出し装置により便利に行われ得る。半連続の又はバッチ式ポリマー加工装置がまた溶融混合するために使用され得る。適する装置は、射出成形機、バンブリー(Banbury)ミキサー及びバッチ式ミキサーを含む。静的な混合装置は、マスターバッチを、使用されたいずれの他の添加剤又はポリエステルと完全に混合するために流れの小分け及び再統合に有利なような方法で配置された固定障害物を含むパイプを含み得る。
本発明の方法により形成された変性されたポリエステルの分子構造はある程度の枝分れを示している。上記議論されたように、ポリマーの溶融強度及び溶融粘度の増加させるために変性されたポリエステルの分子量を増加させることがまた必要となり得る。このことは、多くの方法において便利に達成され得、例えば変性されたポリエステルは固相縮合プロセスに付され得るか、又は鎖カップリング剤が変性プロセスそれ自体において使用され得る。
改良された溶融強度を示す変性されたポリエステルは、溶融物におけるより高い溶融粘度、粘弾性及び強度が、発泡安定性を維持しつつより高い発泡率、より大きな二軸配向性及びより迅速な処理を可能にするところの、発泡フィルム用途において有利に使用され得る。
増加された溶融強度は、未変性のポリエステルと比較して、押出し機のダイ(すなわちダイスエル)におけるポリエステルストランドの直径の増加によりたやすく検出され得る。溶融強度を特徴付ける他の装置/パラメータは:Goettfert Rheotens,一軸延伸粘度及び動的レオロジーである。
そのような変性されたポリエステルの改良された溶融レオロジーは、加工段階の低減及び材料特性の改良を許容する。溶融レオロジーの改良は、変性されたポリエステルを事前の乾燥なしに加工させ、及びポリエステルの押出吹込成形を促進する。特に、溶融レオロジーの改良は、延伸吹込成形を促進し、ポリエステルの発泡を促進し、ガラス強化されたポリエステルにおいて使用されるもののような極性充填材に対するポリエステルの付着性を高め、及びポリエステルをより容易に熱形成させようにする。
【0079】
本発明に従うマスターバッチ組成物の使用は、幾つかのプラスチック用途、例えば:
・飲料又は化粧品ボトル
・食品又は非食品のためのフィルム包装
・包装(トレー)、建築物又は自動車用途のためのシート(例えば熱形成性の)
・射出成形品
・ベルト又はストラッピング
・形材又はパイプ
・ドラム
・ボトルクレート
・織物及び不織布
内で便利である。
【0080】
本発明のマスターバッチ組成物により生じる利点は、例えば以下の効果:
・ポリエステルの調節された溶融レオロジーに従うより高い生産性(より簡単な加工)
・変性ポリエステルを有するフィルムの押出吹込成形又は押出吹込を行う技術的な実行可能性への到達
・脱色又はゲル形成なしの分子量又は/及び溶融強度の向上
・第一により高い分子量による長期熱安定性の向上
・機械的特性(例えば、ボトルのより良好な引張強度、より高い破断点伸び、より高い破裂圧)の向上
・改良された耐衝撃性(例えば、トレー中の冷凍食品のより良好な落下試験結果を達成
するために重要である、周囲温度及び−40℃の温度での衝撃強さ)
・より高い分子量及び変性されたポリマー鎖構造による高められたガス遮断性(例えばO2、CO2
・より高い分子量及び変性されたポリマー鎖構造による優れた熱寸法安定性
・予備乾燥なしのポリエステルの加工
・溶融加工の間の分子量の損失(I.V.損失)の補償
・加工の間のより低いPET等級のアップグレード
・分解されたPET(消費後又は製造廃棄物)のリサイクル
・PET繊維の引抜成形
・C−PET(結晶性)の加工特性の適合
・変性されたポリエステルによる例えばポリカーボネートの置換
に基づく。
【0081】
本発明のマスターバッチは、以下の用途において好ましく使用され得る。熱形成に適するポリエステルを製造するためのボトル等級(IV〜0.80)又はリサイクルPETの変性。ボトルへの再形成に適するポリエステルを製造するためのリサイクルPETの変性。押出吹込成形に適するポリエステルを製造するためのボトル又はリサイクルPETの変性。発泡成形に適するポリエステルを製造するためのボトル又はリサイクルPETの変性。
従って,本発明の他の局面は、ポリエステルの変性のための上述したとおりのポリエステルマスターバッチ組成物の使用である。
【0082】
本発明は、以下の限定されない実施例を参照してさらに記載する。
【実施例】
【0083】
実施例
マスターバッチの調製:
A)ペンタエリトリトール又はピロメリト酸二無水物を含むマスターバッチ
マスターバッチを、日本製鋼所(Japanese Steel Works (JSW))製TEX30二軸スクリュー押出機を用いて調製した。使用したキャリヤーポリエステルはPETG(エスター(Estar)6763)であった。マスターバッチの調製に先立ち、PETGを除湿器乾燥機中75℃にて2.5日間乾燥した。使用したポリオール枝分れ剤はペンタエリトリトールであり、ピロメリト酸二無水物をカップリング剤/枝分れ剤として使用した。マスターバッチの調製に先立ち、ペンタエリトリトール及びピロメリト酸二無水物を別々の真空オーブン中150℃にて3日間乾燥した。
PETGを計量した量のペンタエリトリトール又はピロメリト酸二無水物と溶融混合し及びストランドの形態で押出し、該ストランドは乾燥窒素下で冷却し、次にペレット化した。押出機の各バレルの温度は170℃(供給セクション)、180℃、180℃、180℃、180℃、180℃、180℃、180℃、180℃、180℃、に設定し、直径10mmの棒状ダイを180℃に設定した。生じたマスターバッチは、それぞれペンタエリトリトール5質量%、及びピロメリト酸二無水物20質量%を含有していた。実験データについては表1参照のこと。

B)ペンタエリトリトール及びピロメリト酸二無水物及び触媒を含むマスターバッチ
マスターバッチを、日本製鋼所(Japanese Steel Works (JSW))製TEX30二軸スクリュー押出機を用いて調製した。使用したキャリヤーポリエステルはPETG(エスター(Estar)6763)であった。マスターバッチの調製に先立ち、PETGを強制窒素オーブン中85℃にて50時間乾燥した。使用したポリオール枝分れ剤はペンタエリトリトールであり、ピロメリト酸二無水物を枝分れ剤/鎖カップリング剤として使用した。エステル交換触媒(三酸化アンチモン)もマスターバッチに
含ませた。マスターバッチの調製に先立ち、ペンタエリトリトール、ピロメリト酸二無水物及び三酸化アンチモンを真空オーブン中120℃にて一晩乾燥した。溶融混合の間の前記薬剤のPETGへの導入を補助する為に、前記薬剤を少量のPET粉末(BK21800、およそ270℃の溶融加工温度)にブレンドした。
PETGを計量した量の上記薬剤と溶融混合し及びストランドの形態で押出し、該ストランドは乾燥窒素下で冷却し、次にペレット化した。押出機の各バレルの温度は170℃(供給セクション)、180℃、180℃、180℃、180℃、180℃、180℃、180℃、180℃、180℃、に設定し、直径10mmの棒状ダイを180℃に設定した。生じたマスターバッチは、ピロメリト酸二無水物2.72質量%、ペンタエリトリトール0.33質量%及び三酸化アンチモン0.04質量%を含有していた。実験データについては表2参照のこと。

以下の各表において、CE−#=比較例、及びEX−#=実施例番号#である。
【表1】

【表2】

【0084】
EX−1ないしEX−3で調製されたマスターバッチを用いたベースポリエステルの変性
EX−1及びEX−2で調製されたマスターバッチを用いて、ベースポリエステル(BK3180、およそ270℃の溶融加工温度及びIV=0.82dL/gを有するボトル等級のPET)を変性した。ベースポリエステルの変性に先立ち、それを除湿器乾燥機中130℃にて一晩乾燥した。PETGマスターバッチ、Ex−1及びEx−2、を窒素下85℃にて48時間乾燥した。
ベースポリエステルを、計量した量のマスターバッチEx−1及びEx−2のブレンドと溶融混合してベースポリエステル中の前記薬剤の濃度をピロメリト酸二無水物0.25質量%とし、ピロメリト酸二無水物とペンタエリトリトールのモル比を8:1にした(即ち、ペンタエリトリトール0.0194質量%)。押出機の温度プロフィール:260℃、280℃(10回)であり、使用したダイは10mmブラベンダー(Brabender)ストランドダイであった。押出物はかなりの量のダイスエルを示し、相当量の鎖枝分れ/カップリングが起きたことを示した。実験データについては表3参照のこと。
Ex−3で調製されたマスターバッチを用いて、ベースポリエステル(シンペット(Shinpet)5015W、およそ270℃の溶融加工温度及びIV=0.75dL/gを有するボトル等級のPET)を変性した。ベースポリエステルの変性に先立ち、それを窒素下130℃にて一晩乾燥した。PETGマスターバッチ、EX−3、を窒素下85℃にて48時間乾燥した。
ベースポリエステルを計量した量のマスターバッチEx−3と溶融混合してベースポリエステル中の前記薬剤の濃度をピロメリト酸二無水物0.27質量%、ペンタエリトリトール0.03質量%及び三酸化アンチモン0.004質量%とした。押出機の温度プロフィール:260℃、280℃(10回)であり、使用したダイは10mmブラベンダーストランドダイであった。押出物はかなりの量のダイスエルを示し、相当量の鎖枝分れ/カップリングが起きたことを示した。実施例の実験データについては表4参照のこと。

【表3】

【表4】

【0085】
Ex−1及びEx−2で調製されたマスターバッチのNMR分光分析法による分析
試料調製:
対照としてのPETG(30mg、エスター6763)をCDCl3(0.5mL)に
溶解し、溶解後混合物をNMRチューブに移し、及び、過剰量のトリクロロアセチルイソシアネート(10μL、6.3mg、3.36mmol)を添加した。1H NMRスペクトルを、500MHzにて操作したブルカー(Bruker)DRX500上で室温にて記録した。1H NMR(CDCl3、ppm、δ);8.05(M、99H、ArH)、8.
50(m、0.30H、NH アルコール)、8.65(s、0.08、NH アルコール)
、10.36(s、1H、NH 酸)。
マスターバッチEx−1(ピロメリト酸二無水物)(30mg)の試料をCDCl3
0.5mL)に溶解し、溶解後混合物を濾過し及びNMRチューブに移し、及び、過剰量のトリクロロアセチルイソシアネート(10μL、6.3mg、3.36mmol)を添加した。1H NMRスペクトルを、500MHzで操作したブルカーDRX500上で室温にて記録した。1H NMR(CDCl3、ppm、δ);8.05(m、71H、ArH)、8.50(m、0.10H、NH アルコール)、10.36(s、1H、NH 酸)。
マスターバッチEX−2(ペンタエリトリトール)(30mg)の試料をCDCl3
0.5mL)に溶解し、溶解後混合物をNMRチューブに移し、及び、過剰量のトリクロロアセチルイソシアネート(10μL、6.3mg、3.36mmol)を添加した。1H NMRスペクトルを、500MHzで操作したブルカーDRX500上で室温にて記録した。1H NMR(CDCl3、ppm、δ);8.05(m、85H、ArH)、8.55
(m、0.30H、NH アルコール)、10.36(s、1H、NH 酸)。

結果:
PETGのクロロフォルム溶液へのトリクロロアセチルイソシアネート(TAI)の添加は、1H NMRスペクトルにおいて、δ10.36、8.65及び8.50ppmにて起
こる多数の付加的なピークを生じさせた。δ10.36ppmにおける信号は、TAIと
PETGの末端酸基との反応の結果生じた付加物に当てはまる。δ8.65における他の
2つの信号。
【0086】
C)ポリオール又はPMDAを含むマスターバッチの調製
以下の実施例は、低加工温度(170℃)を用いた場合、低融点ポリオール(トリメチロールプロパン、融点60℃)及び高融点ポリオール(ペンタエリトリトール、融点255℃)の両方共にPETGマスターバッチの形成に使用され得ることを示す。
マスターバッチを、L/D=25:1の、3個の加熱ゾーン及び6mmの棒状ダイを備えるブラベンダー一軸スクリュー押出機(圧縮率1:3の直径19mmのスクリュー及びスロット付き混合ヘッドを備える)を用いて調製した。低温プロフィールは、160℃、170℃、170℃での3つの加熱ゾーン及び170℃のダイを有していた。高温プロフィールは、260℃、270℃、270℃での3つの加熱ゾーン及び270℃のダイを有していた。窒素ブランケットを供給スロート上に維持した。
湿分水準は、80℃に加熱した試料についてアリゾナ インストルメンツ コンピュートラック(Arizona Instruments Computrac)3000湿度分析器を用いて測定した。
使用したキャリヤーポリエステルはPETG(エスター6763)であった。マスターバッチの調製に先立ち、PETGペレットを真空オーブン中75℃にて48時間乾燥させた(乾燥後の湿分水準は55ppmH2O、270℃におけるメルトフローインデックス
は18.35g/10分であった)。PETG粉末を真空オーブン中75℃にて3時間乾燥させた(乾燥後の湿分水準は215ppm H2O、200℃におけるメルトフローインデックスは1.13g/10分であった。)。マスターバッチの調製に先立ち、PMDA及びペンタエリトリトールを真空オーブン中100℃にて15時間乾燥させた。トリメチロールプロパンは受け取ったままで使用した。
PETGを計量した量のポリオール及びPMDAと混合し及びストランドの形態で押出し、該ストランドは乾燥窒素下にて冷却し、次にペレット化した。押出機のバレルの温度は、表5ないし表10に示されたとおりに設定した。実験データについては表5ないし表
10参照のこと。
【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【0087】
D)異なるキャリヤーポリエステル及び添加剤を含むマスターバッチの調製
固有粘度(I.V.):
ポリマー1gを、フェノール/ジクロロベンゼン(1/1)混合物100g中に溶解した。この溶液の粘度を、30℃にてウベローデ(Ubelode)粘度計において測定し及び補外して固有粘度を得た。
色:
色(黄色度指数のb値)を、ハンターラボスキャン(Hunter Lab Scan)装置を用いてASTM D1925に従い測定した。
メルトフロー速度(MFR):
MFRは、ポリエステルを予備乾燥後、ゴットフェルト(Goettfert)MP−Pを用いて、ISO 1133に従い260℃にて2.16kg荷重を用いて測定した。材料:
全てのキャリヤーポリエステルは使用に先立ち乾燥した(真空中60℃にて>12時間)。
キャリヤーポリエステルA:
以下の組成を有するポリエステル:
p−テレフタル酸81.8モル%
イソフタル酸18.2モル%
エチレングリコール96.9%
ジエチレングリコール3.1%
ナンヤ プラスチックス アメリカ インコ−ポレーテッド(NanYa Plast
ics America Inc.)の市販製品

前記ポリエステルは、10mmのキャピラリー長、1mmのキャピラリー直径のゴットフェルトキャピラリー流動計「レオグラフ(Rheograph)2001」内で測定し
た、190℃における100秒-1の剪断速度で1315Pa秒の溶融粘度を有した。

キャリヤーポリエステルB:
以下の組成を有するポリエステル:
p−テレフタル酸70.1モル%
イソフタル酸29.9モル%
エチレングリコール92.9%
ジエチレングリコール7.1%
ナンヤ プラスチックス アメリカ インコ−ポレーテッドの市販製品

前記ポリエステルは、10mmのキャピラリー長、1mmのキャピラリー直径のゴットフェルトキャピラリー流動計「レオグラフ2001」内で測定した、200℃における100秒-1の剪断速度で1035Pa秒の溶融粘度を示した。

キャリヤーポリエステルC:
フルカ(Fluka)社製ポリ−ε−カプロラクトン

前記ポリエステルは、160℃における100/秒の剪断速度で858Pa秒の溶融粘度を有した(10mmのキャピラリー長、1mmのキャピラリー直径のゴットフェルトキャピラリー流動計「レオグラフ(Rheograph)2001」内で測定)。

鎖カップリング剤:
ベヨ(Beyo)社(中国)製PMDA1(粉末)(溶融温度:284℃)
ベヨ社(中国)製PMDA2(粗粒)(溶融温度:287℃)
DSM社製アリンコ(Allinco)(登録商標)(=ドデカヒドロ−1,1’−カルボニル−ビス−アゼピノ−2−オン、CAS登録番号19494−73−6)

枝分れ剤:
パーストープ(Perstorp)社(フィンランド)製ペンタエリトリトール(溶融温度:262℃)(=Penta)

他の添加剤:
イルガモド(Irgamod)195 ホスホネート、チバ スペシャルティ ケミカルズ社の市販製品、
イルガノックス(Irganox)1222 ホスホネート、チバ スペシャルティ ケミカルズ社の市販製品、
イルガフォス(IRGAFOS)12 ホスフィット、チバ スペシャルティ ケミカルズ社の市販製品、
イルガフォス168 ホスフィット、チバ スペシャルティ ケミカルズ社の市販製品、
イルガノックス(IRGANOX)HP136 ラクトン、チバ スペシャルティ ケミカルズ社の市販製品、
化合物101:標準的手順で合成
【化10】

化合物102:ジ−イソオクチルホスフィン酸、フルカ社より購入
【化11】






ベースポリエステル(マスターバッチにより変性されるもの):
全てのベースポリエステルを、使用に先立ち乾燥させた(真空中80℃にて>12時間)。
PET D:コサ ゲルストフェン(KoSa Gersthofen)社供給のポリクリア(Polyclear)T94
PET E:コサ ゲルストフェン社供給のポリクリアRT48
PET F:コサ ゲルストフェン社供給のポリクリアRT21
PET G1:アイシーアイ(ICI)社供給のアイシーアイ レーザー プラス(I
CI LaserPlus)
PET G1:アイシーアイ(ICI)社供給のアイシーアイ レーザー プラス(I
CI LaserPlus)
PET X:デュポン(DuPont)社供給のクラスチン(Crastin)SK6
05 NC010
【0088】
実施例MB1ないしMB23
手順Aに従うマスターバッチの製造。
一般手順A:
同方向に回転するスクリューを有する二軸スクリュー押出機(ワーナー アンド フライデル(Warner & Pfliederer)からのZSK 25)中で、Tmax=180℃(加熱ゾーン1ないし6)、5kg/時間の処理量、100回転/分にて下記の配合物を押出し、及びウォーターバス中でペレット化した。
一般手順Aを以下の組成物に適用した:
【表11】

【0089】
実施例MB24ないしMB27
手順Bに従うマスターバッチの製造
一般手順B:
ダイ中への押出しのための別個の横スクリューを有するバス(Buss)コニーダー(MDK 140)中で、210℃のボディ温度、共に180℃のニーダー軸及びダイ温度
、400kg/時間の処理量、140回転/分(ニーダー軸)にて下記の配合物を押出し、及びウォーターバス中でペレット化した。
一般手順Bを以下の組成物に適用した:
【表12】

【0090】
E)マスターバッチを用いたベースポリマーの変性:
一般手順
同方向に回転するスクリューを有する二軸スクリュー押出機(ワーナー アンド フライデルからのZSK 25)中で、Tmax=280℃(加熱ゾーン1ないし6)、6kg/時間の処理量、100回転/分にて下記の配合物を押出し、及びウォーターバス中でペレット化した。
前記一般手順を以下の比較例に適用した。
【表13】


前記一般手順を以下の実施例C1ないしC25に適用した。
【表14】


マスターバッチMB15の性能は、有効成分の直接添加(比較例Eにて試験)に比べて
非常に良好であった(MFRの減少、I.V.の増加及び色に関して)。
【表15】

【0091】
F)押出し−吹込フィルムの製造
一般手順:
二軸スクリュー押出機(ハーク(Haake)TW100、逆回転円錐型スクリュー)中で、Tmax=280℃、1.8kg/時間の処理量及び60回転/分にて下記の配合
物をフィルム吹込ダイ中へと押し出した。
前記一般手順を比較例M及びN及び本発明に従う実施例D1及びD2に適用した。
【表16】


【表17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルのポリマーマトリックス内に分散された枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤を含むポリエステルマスターバッチ組成物であって、前記ポリエステルは、250℃以下の溶融加工温度を有する組成物。
【請求項2】
前記薬剤は鎖枝分れ剤である、請求項1に記載のポリエステルマスターバッチ組成物。
【請求項3】
前記鎖枝分れ剤はポリオールである、請求項2に記載のポリエステルマスターバッチ組成物。
【請求項4】
前記薬剤は鎖カップリング剤である、請求項1に記載のポリエステルマスターバッチ組成物。
【請求項5】
前記鎖カップリング剤は二無水物である、請求項4に記載のポリエステルマスターバッチ組成物。
【請求項6】
前記薬剤は鎖枝分れ剤及び鎖カップリング剤である、請求項1に記載のポリエステルマスターバッチ組成物。
【請求項7】
前記鎖枝分れ剤はポリオールであり、及び前記鎖カップリング剤は二無水物である、請求項6に記載のポリエステルマスターバッチ組成物。
【請求項8】
前記ポリエステルの溶融粘度及び/又はポリエステルの固有粘度は、該ポリエステルが枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤と溶融混合された場合に、30%以下さけ低下するか又は上昇するところの、請求項1に記載のポリエステルマスターバッチ組成物。
【請求項9】
前記枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤は、前記ポリエステルの溶融加工温度よりも少なくとも10℃高い溶融温度を有するところの、請求項1に記載のポリエステルマスターバッチ組成物。
【請求項10】
マスターバッチ中の使用に適する前記ポリエステルは、150℃ないし250℃の範囲の溶融加工温度を有する、請求項1に記載のポリエステルマスターバッチ組成物。
【請求項11】
マスターバッチ中の使用に適する前記ポリエステルは、15%未満の結晶化度を有する、請求項1に記載のポリエステルマスターバッチ組成物。
【請求項12】
マスターバッチ中の使用に適する前記ポリエステルは、グリコール変性されたポリ(エチレンテレフタレート)(PETG)、ポリ−ε−カプロラクトン、又はおよそ15%を超えるイソフタル酸単位を含むコポリエステルである、請求項1に記載のポリエステルマスターバッチ組成物。
【請求項13】
前記枝分れ剤は、前記ポリエステルマスターバッチポリマーの質量に基づき0.3ないし30質量%の量で存在するポリオールであるところの、請求項1に記載のポリエステルマスターバッチ組成物。
【請求項14】
前記鎖カップリング剤は、前記ポリエステルマスターバッチポリマーの質量に基づき1ないし60質量%の量で存在する、請求項1に記載のポリエステルマスターバッチ組成物。
【請求項15】
ホスフィット化合物、ホスフィン酸塩化合物又はホスホネート化合物をさらに含む、請求
項1に記載のポリエステルマスターバッチ組成物。
【請求項16】
前記ホスホネートは、式III、IV、V、VI又はVII
【化1】

(式中、R101は、各々互いに独立して水素原子又はMr+/rを表す。)
で表されるものである、請求項15に記載のポリエステルマスターバッチ組成物。
【請求項17】
縮合触媒又はエステル交換触媒をさらに含む、請求項1に記載のポリエステルマスターバッチ組成物。
【請求項18】
枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤がポリエステルのポリマーマトリックス内に分散されるように、250℃以下の溶融加工温度を有するところの、前記ポリエステルを前記枝分れ剤及び/又は鎖カップリング剤と溶融混合することからなるポリエステルマスターバッチを調製する方法。
【請求項19】
250℃を超える温度にあるポリエステルを、請求項1に記載のポリエステルマスターバッチと一緒に溶融混合することからなる、ポリエステルを変性する方法。
【請求項20】
ポリエステルの変性のための、請求項1に記載のポリエステルマスターバッチ組成物の使
用。

【公表番号】特表2006−528991(P2006−528991A)
【公表日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530180(P2006−530180)
【出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050744
【国際公開番号】WO2004/101666
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(500340842)ポリマーズ オーストラリア プロプライアタリー リミティド (4)
【Fターム(参考)】