説明

ポリエステル樹脂組成物の製造方法

【課題】ポリエステル中に膨潤性層状珪酸塩をナノレベルで均一分散させ、なおかつ十分な機械物性等の機能性を得る。
【解決手段】酸成分としてスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸を0.5〜15モル%含むポリエステル共重合体又は該共重合体と熱可塑性芳香族ポリエステルとの混合物と、有機オニウムイオンで処理された膨潤性層状珪酸塩とを溶融混練し、ペレット状組成物を得た後、前記ポリエステル共重合体及び前記熱可塑性芳香族ポリエステルの融点以下の温度で加熱処理するポリエステル樹脂組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨潤性層状珪酸塩をポリエステル中に均一に分散させてなるポリエステル樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂等)は、機械的性質、電気的性質、その他物理的・化学的特性に優れているため、エンジニアリングプラスチックとして、自動車部品、電気・電子部品などの広範な用途で成形材料として使用されている。また、ポリマー単独では機械物性、耐熱性が不十分な場合、無機質充填剤を強化剤として用いることにより向上させることができる。しかし、機械物性、耐熱性を十分満足させるためには強化剤を大量に添加する必要があり、この場合強度や耐熱性は向上するものの、靭性や表面性が大きく低下しさらには比重が大きくなるという問題がある。この原因として、無機質充填材の分散不良及び分散粒子のサイズの大きさが考えられる。そこで無機質充填材をナノレベルで分散させることで、非常に少量の含有量で、高度の強靭性、強度、ガスバリア性、さらには熱安定性や難燃性を向上させる研究が行われている。
【0003】
このような機能を発現させるため、特開2002−88236号公報(特許文献1)では、スルホン酸基をもつ芳香族ジカルボン酸で変性されたポリエステルと有機オニウムイオンで処理された膨潤性層状珪酸塩を使用することが提案されている。しかし、ここで提案されている組成物および製法では、ナノレベルの分散は得られるものの、実際の機械物性は期待ほど大きくないという問題がある。
【0004】
また、特開2000−86232号公報(特許文献2)には、先ず水中にて分散状態とした膨潤性層状珪酸塩とスルホン酸基をもつ芳香族ジカルボン酸で高濃度変性したポリエステルを溶融重合ないし固相重合する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、変性層状珪酸塩存在下の重合での粘度上昇が著しく生産性に劣る上、ナノレベルでの十分な分散が得られず、期待する機械物性が得られないという問題がある。
【0005】
また、特開2001−323143号公報(特許文献3)には、層状化合物とポリエーテル化合物を予め混合し、その後これと熱可塑性ポリエステル樹脂とを溶融混練し、さらにこのポリエステル樹脂を高分子量化する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、層状珪酸塩のナノレベルでの分散が十分でなく、十分な物性が得られないという問題がある。
【特許文献1】特開2002−88236号公報
【特許文献2】特開2000−86232号公報
【特許文献3】特開2001−323143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、工業的に実現可能な方法により、ポリエステル中に膨潤性層状珪酸塩をナノレベルで均一分散させ、なおかつ十分な機械物性等の機能性を得ることは困難であった。本発明の目的は、これらの問題を解決する製造法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、スルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸と、特定の膨潤性層状珪酸塩とを溶融混練後、特定の加熱処理工程を設けるという、工業的に十分簡便な方法により、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち本発明は、酸成分としてスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸を0.5〜15モル%含むポリエステル共重合体又は該共重合体と熱可塑性芳香族ポリエステルとの混合物と、有機オニウムイオンで処理された膨潤性層状珪酸塩とを溶融混練し、ペレット状組成物を得た後、前記ポリエステル共重合体及び前記熱可塑性芳香族ポリエステルの融点以下の温度で加熱処理することを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(ポリエステル共重合体)
本発明で使用されるポリエステル共重合体は、酸成分としてスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸を0.5〜15モル%含むポリエステル共重合体である。かかる酸成分としてスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルフォスフォニウムスルホイソフタル酸を挙げることができる。かかるスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸は、酸成分全体の0.5〜15モル%、好ましくは1〜6モル%で用いられることにより、ポリエステル中の膨潤性層状珪酸塩の分散性が良好となる。
【0010】
これ以外のジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸等、およびそれらの低級アルコールエステルであり、特に好ましくはテレフタル酸ないしテレフタル酸ジメチルである。ジオールとしては、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、特に好ましくは1,4-ブタンジオールである。
【0011】
上記ポリエステル共重合体は、フェノール/1,1',2,2'-テトラクロロエタン=60/40(重量比)溶媒に溶解し、35℃で測定を行ったときに求められる固有粘度が0.3〜1.0のものを用いるのが好ましい。
【0012】
本発明では、上記ポリエステル共重合体と熱可塑性芳香族ポリエステルを併用することもでき、熱可塑性芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート−テレフタレート共重合体、ポリブチレンイソフタレート−テレフタレート共重合体、ポリシクロヘキシレンジメチレンイソフタレート−テレフタレート共重合体などが挙げられ、特に好ましくはポリブチレンテレフタレートである。
【0013】
上記熱可塑性芳香族ポリエステルは、フェノール/1,1',2,2'-テトラクロロエタン=60/40(重量比)溶媒に溶解し、35℃で測定を行ったときに求められる固有粘度が0.5〜1.4のものを用いるのが好ましい。
【0014】
本発明において、上記ポリエステル共重合体と熱可塑性芳香族ポリエステルの混合物中、上記ポリエステル共重合体の含有率は10〜100重量%、より好ましくは30〜100重量%である。
(膨潤性層状珪酸塩)
本発明で使用される膨潤性層状珪酸塩は、陽イオン交換能を有しさらに層間に水を取り込んで膨潤する性質を示す層状珪酸塩である。例えば、スメクタイト系粘土鉱物としてヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリロナイト又はこれらの天然または化学的に合成したもの、又これらの置換体、誘導体、あるいは混合物を挙げることができる。また膨潤性マイカとしては、化学的に合成した層間に例えばLi,Naイオンを持った合成膨潤性雲母叉はこれらの置換体、誘導体あるいは混合物を挙げることができる。
【0015】
上記した「膨潤性」とは、層状珪酸塩の結晶層間に水やアルコール、エーテル等の溶媒が侵入したときに膨潤する性質を言う。
【0016】
本発明においては、上記膨潤性層状珪酸塩を有機化剤によって有機化した状態で含有することが必要である。無機成分である層状珪酸塩の層間無機イオンを有機イオンで置換することによって、マトリックスを構成する樹脂成分のスルホン酸基を有するモノマーを共重合したポリエステル共重合体との相溶性を高め、これと溶融混練することによりナノオーダーの分散状態を得ることができる。
【0017】
本発明では、上記膨潤性層状珪酸塩を有機オニウムイオンによって処理したものを用いる。使用される有機オニウムイオンは、下記式(1)
【0018】
【化1】

【0019】
(式中、R1,R2,R3及びR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基またはポリエチレンオキサイド基である。)の構造である4級アンモニウムイオンが好ましい。ここで、炭素数1〜30のアルキル基としては、炭素数1〜18のアルキル基が好ましい。
【0020】
上記式(1)で表される有機オニウムイオンは、4級アンモニウムイオンが好ましい。具体的にはトリメチルステアリルアンモニム、ジメチルオクタデシルアンモニム、オレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニム等が挙げられる。
【0021】
膨潤性層状珪酸塩の有機オニウムイオンでの処理方法は、通常、膨潤性層状珪酸塩1重量部、有機オニウムイオン0.3〜10重量部とを水中で混合した後、乾燥する。水の量は、膨潤性層状珪酸塩の3〜100倍である。また混合するときの温度は、10〜80℃であり、混合時間は0.5〜2時間が好ましい。乾燥条件としては、70〜120℃で1〜3日間常圧乾燥、ないし3時間〜1日程度の真空乾燥が好ましい。
【0022】
本発明のポリエステル樹脂組成物における膨潤性層状珪酸塩の含有率は0.5〜10重量%が好ましく、特に1〜5重量%であると高い分散性および物性が得られる。
(溶融混練)
上記ポリエステル共重合体又は該共重合体と熱可塑性芳香族ポリエステルとの混合物と、有機オニウムイオンで処理された膨潤性層状珪酸塩との溶融混練は、通常の1軸ないし2軸の溶融混練押出機等の溶融混練機で行われる。好ましくは2軸押出機が用いられる。溶融混練温度は、ポリエステル共重合体及び熱可塑性芳香族ポリエステルそれぞれの融点の低いほうの(融点−10℃)以上、かつそれぞれの融点の高いほうの(融点+100℃)未満で行うことができる。
(加熱処理)
本発明では、上記の通り、溶融混練し、ペレット化した樹脂組成物について、加熱処理を施すことを特徴とする。即ち、上記溶融混練された樹脂組成物は、通常の方法によりペレタイズされ、ペレットの状態で反応機に供され、不活性ガス雰囲気下又は減圧下(ないし真空下)、適度な温度で加熱処理が施される。
【0023】
加熱処理温度は、上記樹脂組成物が軟化により工業的に取り扱いが困難にならない限り、即ちポリエステル共重合体及び熱可塑性芳香族ポリエステルの融点以下の温度であればどのような温度でも良いが、軟化が起きない範囲でなるべく高い温度とすることが生産性の観点で好ましい。具体的には、ポリエステル共重合体及び熱可塑性芳香族ポリエステルそれぞれの融点の低いほうの(融点−10℃)以下、(融点−100℃)以上が好ましい。
【0024】
加熱処理の時間は、1〜100時間、さらに好ましくは5〜50時間である。1時間未満では反応が十分に進まない。また、100時間反応させれば十分であり、それ以上の時間処理しても反応が事実上進まないことが多い。
【0025】
尚、加熱処理することで結晶化度が増大する。そのため、DSC測定において加熱処理しないものより結晶融解潜熱の増加が見られる。
【0026】
本発明で言う分子レベルでのナノ分散とはX線解析で測定した膨潤性層状珪酸塩の(001)面の底面反射に由来する回折ピークが消失することを意味する。つまり、膨潤性層状珪酸塩が一枚一枚層剥離しているかもしくはその状態に極めて近い状態を言う。
【0027】
本発明の樹脂組成物には、種々の公知の添加剤、例えば安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等)、難燃剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、染料や顔料等の着色剤、分散剤、可塑剤等を配合することも勿論可能である。また、必要であれば他の樹脂(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等)と組み合わせて用いてもよい。
【0028】
更に本発明の目的を損なわない範囲で無機充填剤を添加してもよい。無機充填剤としては、板状物、繊維状物、粉粒状物が挙げられる。具体的には、板状ベーマイト、ガラスフレーク等の板状無機充填剤、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ボロン繊維、チタン酸カリウム繊維等の一般無機繊維、炭酸カルシウム、アルミナ、タルク、クレー、ガラス粉、石英粉、珪砂、ウォラスナイト、硫酸バリウム、焼石膏、炭化珪素、ボロンナイトライド、窒化硼素等の粉粒状無機充填剤が挙げられ、これら無機充填剤は1種又は2種以上併用することができる。
【0029】
本発明で得られるポリエステル樹脂組成物は、射出成形をはじめ、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空成形、回転成形、ガスインジェクションモールディング等の慣用の成形方法により容易に成形でき、効率良く成形品とすることができる。成形品としては、自動車用エンジン周辺部品、自動車用電装部品、自動車用構造部品、電気電子用部品、諸工業用素材、食品用包装材、フィルム、パイプ等の素材が例示される。
【実施例】
【0030】
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
本実施例では膨潤性層状珪酸塩として、ジメチルベンジルアンモニウムで有機化されたモンモリロナイト((株)ホージュン製エスベンNZ、層状珪酸塩−A)、および比較のために有機化されていないモンモリロナイト((株)ホージュン製ベンゲルエスベンA、層状珪酸塩−B)を使用した。
【0032】
5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレートは竹本油脂(株)製、フェノール、1,1',2,2'-テトラクロロエタン、ジメチルテレフタレート、1,4-ブタンジオール、テトラブチルチタネートは関東化学(株)製、PBT(ポリブチレンテレフタレート)はポリプラスチックス(株)製の500FP(ポリエステル−A)を使用した。ポリエステル−Aの固有粘度は0.88、融点は223.3℃であった。
(スルホン酸基をもつ芳香族ジカルボン酸からなるポリエステル共重合体の合成)
ジメチルテレフタレート85重量部、5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレート3.3重量部、1,4-ブタンジオール60重量部、テトラブチルチタネート0.1重量部を溜出管、攪拌機、加熱装置の付いたステンレス製反応容器に仕込み、150〜210℃で2時間エステル交換を行った。さらに210℃から250℃に30分間で昇温しながら系内を減圧し、その後250℃で1時間重合を行い、ポリエステル共重合体−(1)を得た。得られたポリマーの固有粘度は0.46、融点は220.2℃であった。5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレートの導入量は2.4モル%であった。
【0033】
また、ジメチルテレフタレート82.8重量部、5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレート6.6重量部、1,4-ブタンジオール60重量部、テトラブチルチタネート0.1重量部を原料とし、上記と同様の方法で、ポリエステル共重合体−(2)を得た。得られたポリマーの固有粘度は0.41、融点は217.5℃であった。5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレートの導入量は4.9モル%であった。
(5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレートの導入量の測定)
ポリエステル共重合体−(1)および(2)への5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレートの導入量は、トリフルオロ酢酸−dを溶媒とし1H-NMRにて定量した。
(固有粘度測定)
ポリエステル材料の固有粘度は、フェノール/1,1',2,2'-テトラクロロエタン=60/40(重量比)溶媒に溶解し、35℃で測定を行った。
(融点と融解潜熱の測定)
ポリエステル複合材料をTA instruments社製DSC Q-1000にて室温から10℃/minにて270℃まで昇温し、融点(ピーク値)とその融解潜熱を測定した。
(溶融混練)
日本製鋼所製2軸押出機TEX-30αを用い、シリンダー温度260℃、回転数130rm、組成物総供給速度10kg/hrでストランドとして押出し、水槽にて固化後ペレタイズした。ペレット形状はおおむね2mm×3mm×4mm程度であった。
(加熱処理)
窒素の供給口と排気口を備え、窒素気流発生可能な加熱装置付ステンレス製密閉反応容器にペレットを仕込み、供給窒素温度および反応容器温度を190℃とし、20時間の処理を行った。
(物性評価)
得られた樹脂組成物ペレットについて、140℃で3時間乾燥後、ISO527に従いシリンダー温度260℃、金型温度80℃で射出成形したダンベル成形品での引張強度を測定した。
(膨潤性層状珪酸塩の剥離分散状態の評価)
膨潤性層状珪酸塩の剥離分散状態は、X線解析装置(理学電機(株)RINT2500HL)を用い、ポリエステル複合材料の層状珪酸塩の(001)面の底面反射に由来する回折ピークの消失により、膨潤性層状珪酸塩の剥離分散を評価した。
実施例1
ポリエステル共重合体−(1);97重量部および層状珪酸塩−A;3重量部から上記の如くしてペレットを得て、上記条件にて加熱処理し、評価を行った。
実施例2
ポリエステル共重合体−(1)を95重量部とし、層状珪酸塩−Aを5重量部とする以外は実施例1と同様にしてペレットを得て評価を行った。
実施例3
ポリエステル共重合体−(1)を47重量部とし、ポリエステル−Aを50重量部加える以外は実施例1と同様にしてペレットを得て評価を行った。
実施例4
ポリエステル共重合体−(1)に代えてポリエステル共重合体−(2)を27重量部用い、ポリエステル−Aを70重量部とした以外は実施例3と同様にしてペレットを得て評価を行った。
比較例1
ペレットの加熱処理を行わない以外は実施例1と同様にしてペレットを得て評価を行った。
比較例2
層状珪酸塩−Aに代えて層状珪酸塩−Bを用いた以外は実施例1と同様にしてペレットを得て評価を行った。
比較例3
ポリエステル共重合体−(1)に代えてポリエステル−Aを用いた以外は実施例1と同様にしてペレットを得て評価を行った。
比較例4
ポリエステル共重合体−(1)を100重量部とし、層状珪酸塩−Aを無添加とした以外は実施例1と同様にしてペレットを得て評価を行った。
【0034】
これらの結果を表1に示す。
【0035】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸成分としてスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸を0.5〜15モル%含むポリエステル共重合体又は該共重合体と熱可塑性芳香族ポリエステルとの混合物と、有機オニウムイオンで処理された膨潤性層状珪酸塩とを溶融混練し、ペレット状組成物を得た後、前記ポリエステル共重合体及び前記熱可塑性芳香族ポリエステルの融点以下の温度で加熱処理することを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
ポリエステル中に膨潤性層状珪酸塩が剥離した状態で分散されている請求項1記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
加熱処理が不活性ガス雰囲気下又は減圧下で行われる請求項1記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
有機オニウムイオンが4級アンモニウムイオンである請求項1記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
膨潤性層状珪酸塩がモンモリロナイト又は膨潤性マイカである請求項1記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
ポリエステル樹脂組成物中に占める膨潤性層状珪酸塩の含有量が0.5〜10重量%である請求項1記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項記載の製造方法により得られるポリエステル樹脂組成物。

【公開番号】特開2009−155446(P2009−155446A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334703(P2007−334703)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(501183161)ウィンテックポリマー株式会社 (54)
【Fターム(参考)】