説明

ポリオキシアルキレンアルコールの製造方法

【課題】 通常用いられるアルカリ金属触媒を用いて、副生する末端不飽和基含有モノオールの含有量が少なく、総不飽和度の低減されたポリオキシアルキレンアルコールを製造する方法を見出す。
【解決手段】 反応槽(1)中で、アルカリ金属触媒(a)の存在下、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)を、減圧ライン(6)を通じて連続的又は断続的に系外除去しながら、(1)中の活性水素含有化合物(c)に原料供給ライン(5)を通じてアルキレンオキサイド(d)を投入し付加重合させた後、必要によりアルカリ金属触媒(a)を除去する工程を含むポリオキシアルキレンアルコール(A)の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキシアルキレンアルコールの製造方法、およびそれを用いたポリウレタン樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ポリオキシアルキレンアルコールは、水酸化カリウム等のアルカリ金属を触媒として用い、活性水素含有化合物にプロピレンオキサイド(以下POと略記する。)やエチレンオキサイド(以下EOと略記する。)などのアルキレンオキサイドを付加重合させて得られる。
【0003】
しかし、アルキレンオキサイド、とくにプロピレンオキサイドの高分子量付加重合物を製造する場合、副反応により末端不飽和基含有モノオールの生成が増大するため、ポリオキシアルキレンアルコールの品質が低下する。とくにポリウレタン樹脂用の原料として用いる場合は、上記副生成物に由来する総不飽和度(TU値)の低減が必須であり、TU値の低減方法として、複合金属シアノ錯体(例えば、特許文献1参照)またはアルミニウムポルフィリン(例えば、特許文献2参照)を触媒として用いる方法が知られている
【特許文献1】特開昭63−277236号公報
【特許文献2】特開昭61−197631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの方法では、触媒の除去が困難なために、製品に残存する触媒がポリウレタン樹脂の製造工程で悪影響を与えるなどの問題があった。また、触媒が高価であることもあって、工業化には不向きであった。
本発明は、通常用いられるアルカリ金属触媒を用いて、副生する末端不飽和基含有モノオールの含有量が少なく、TU値の低減されたポリオキシアルキレンアルコールを製造する方法を見出すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、下記(I)および(II)である。
(I) 反応槽(1)中で、アルカリ金属触媒(a)の存在下、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)を連続的又は断続的に系外除去しながら、活性水素含有化合物(c)にアルキレンオキサイド(d)を付加重合させた後、必要によりアルカリ金属触媒(a)を除去する工程を含むポリオキシアルキレンアルコール(A)の製造方法。
(II) ポリオール成分と有機ポリイソシアネート(C)とを、必要により添加剤の存在下反応させて、発泡または非発泡ポリウレタン樹脂を製造する方法において、ポリオール成分の少なくとも一部として、上記の製造方法で得られたポリオキシアルキレンアルコール(A)および/または(A)中でビニルモノマー(m)を重合させて得られる重合体アルコール(B)を用いる発泡または非発泡ポリウレタン樹脂の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明のポリオキシアルキレンアルコールの製造方法によれば、高価な触媒を用いなくても、通常用いられるアルカリ金属触媒を用いて、末端不飽和基含有モノオールの生成量が低減された、総不飽和度の低いポリオキシアルキレンアルコールを製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において、アルキレンオキサイド(d)の付加時に用いるアルカリ金属触媒(a)としては、アルカリ金属水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム等)、アルカリ金属アルコラート(カリウムメチラート、ナトリウムメチラート等)、アルカリ金属単体(金属カリウム、金属ナトリウム等)、及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属アルコラートであり、さらに好ましくはアルカリ金属水酸化物である。
【0008】
本発明において、活性水素含有化合物(c)としては、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物、およびリン酸化合物等が挙げられる。
水酸基含有化合物としては、例えば、アルコール、アルカノールアミン、および活性水素を有する化合物(アルコール、アミノ基含有化合物、カルボン酸、リン酸等)に、後述のアルキレンオキサイド(d)が付加された構造の化合物(ポリエーテルアルコール)、が挙げられ、2種以上を併用してもよい。なお、上記のポリエーテルアルコールは、アルカリ金属触媒(a)以外の触媒を用いて得られたものであってもよい。
【0009】
アルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール、オクタノールなどの1価のアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,2−ビス(4,4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなどの2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース、ショ糖等の4〜8価のアルコール;フェノール、クレゾール等のフェノール;ピロガロール、カテコール、ヒドロキノンなどの多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノール;ポリブタジエンアルコール;ひまし油系アルコール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体、ポリビニルアルコールなどの多官能(2〜100)アルコール等が挙げられ、炭素数1〜20のものが好ましい。
なお、ポリブタジエンアルコールとしては、1,2−ビニル構造を有するもの、1,2−ビニル構造と1,4−トランス構造とを有するもの、および1,4−トランス構造を有するものが挙げられる。1,2−ビニル構造と1,4−トランス構造の割合は種々にかえることができ、例えばモル比で100:0〜0:100である。またポリブタジエングリコ―ル(4)にはホモポリマ―およびコポリマ―(スチレンブタジエンコポリマ―、アクリロニトリルブタジエンコポリマ―等)、並びにこれらの水素添加物(水素添加率:例えば20〜100%)が含まれる。
また、ひまし油系アルコールとしては、ひまし油および変性ひまし油(トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールで変性されたひまし油等)が挙げられる。
【0010】
アミノ基含有化合物としては、モノもしくはポリアミン、およびアミノアルコールがあげられる。
モノもしくはポリアミンとしては、具体的には、アンモニア、アルキルアミン(ブチルアミン等)、アニリン等のモノアミン;エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジンおよびその他特公昭55−21044号公報記載の複素環式ポリアミン;ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジフェニルエ−テルジアミン、ポリフェニルメタンポリアミンなどの芳香族ポリアミン;ポリアミドポリアミン[例えばジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン(上記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン];ポリエーテルポリアミン[ポリエーテルアルコール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物];シアノエチル化ポリアミン[例えばアクリロニトリルとポリアミン(上記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン等)との付加反応により得られるシアノエチル化ポリアミン、例えばビスシアノエチルジエチレントリアミン等];ヒドラジン類(ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド(コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジッド、イソフタル酸ジヒドラジッド、テレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン類(ブチルグアニジン、1−シアノグアニジン等);およびジシアンジアミド等;並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられ、炭素数1〜20のものが好ましい。
アミノアルコールとしては、アルカノールアミン、例えばモノ−、ジ−およびトリ−のアルカノールアミン(モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノブタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン等);これらのアルキル(C1〜C4)置換体〔N,N−ジアルキルモノアルカノールアミン(N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等)、N−アルキルジアルカノールアミン(N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン等)〕;およびこれらのジメチル硫酸あるいはベンジルクロリド等の4級化剤による窒素原子4級化物が挙げられ、炭素数1〜20のものが好ましい。
【0011】
カルボキシル基含有化合物としては、炭素数1〜20のカルボン酸が挙げられ、酢酸、プロピオン酸などの脂肪族モノカルボン酸;安息香酸などの芳香族モノカルボン酸;コハク酸、アジピン酸などの脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸;アクリル酸の(共)重合物等のポリカルボン酸重合体(官能基数2〜100)等が挙げられる。
チオール基含有化合物のポリチオール化合物としては、2〜8価の多価チオールが挙げられる。具体的にはエチレンジチオール、プロピレンジチオール、1,3−ブチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1、6−ヘキサンジチオール、3−メチルペンタンジチオール等が挙げられる。
リン酸化合物としては燐酸、亜燐酸、ホスホン酸等が挙げられる。
【0012】
これら活性水素含有化合物(c)のうち好ましいものは水酸基含有化合物であり、より好ましいものは多価アルコール、および多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物である。
【0013】
活性水素含有化合物(c)に付加重合させるアルキレンオキサイド(d)としては、炭素数1〜10のものが好ましく、具体例としては、EO、PO、1,2−、1,3−、1,4−、および2,3−ブチレンオキサイド、並びにスチレンオキサイド等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、本発明の製造方法を用いた場合の副生低沸点化合物(b)の低減による効果が大きいことから、PO、1,2−、1,3−、1,4−、および2,3−ブチレンオキサイドであり、さらに好ましくはPOである。
活性水素含有化合物(c)へのアルキレンオキサイド(d)の付加モル数は、活性水素1モルに対して好ましくは0.5〜300モル、より好ましくは0.7〜250モル、特に好ましくは1〜160モルである。
(d)を付加する方法は、単独付加、二種以上の(d)を用いる場合のランダム付加、ブロック付加等が挙げられるが限定はない。
【0014】
アルキレンオキサイド(d)の付加条件については、通常行われる方法でよく、例えば、生成するポリオキシアルキレンアルコール(A)に対して、好ましくは0.00001〜10%、さらに好ましくは0.0001〜1%の(a)を用い、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃で反応させる。
上記および以下において、%はとくに断りのない限り、重量%を意味する。
【0015】
圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)の具体例としては、アリルアルコールにアルキレンオキサイド(d)が0〜2モル付加された化合物等が挙げられる。これらは揮発成分であり、反応中に、ポリオキシアルキレンアルコール(A)に対して、通常0.0001〜10%発生する。また、これらの化合物が反応系内に残存すると、更にアルキレンオキサイド(d)の付加重合を受けることで高分子量化し、除去不可能な不揮発性の末端不飽和基含有モノオールとなる。
【0016】
本発明では、活性水素含有化合物(c)にアルキレンオキサイド(d)を付加重合する工程において、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)を連続的又は断続的に除去する。除去する方法は、揮発成分である副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d)を反応混合物から加熱および/又は減圧して揮発させる。
【0017】
揮発除去させる際の温度は、アルキレンオキサイド(d)を付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。
【0018】
揮発除去させる際の圧力は、アルキレンオキサイド(d)を付加させる、通常行われる圧力である1MPa(本発明における圧力は絶対圧で記載)以下である。より積極的に揮発除去させるために好ましくは0.001〜0.04MPa、さらに好ましくは0.0001〜0.01MPa以下である。
【0019】
図1に示した本発明の実施態様の一例を示す概略図に基づいて、本発明を説明する。
反応槽(1)中の活性水素含有化合物(c)に原料供給ライン(5)を通じてアルキレンオキサイド(d)を投入し付加重合する工程中に、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)と未反応の(d)を反応混合物から減圧ライン(6)を通じて、加熱および/又は減圧して、連続的および/又は断続的に揮発除去する。断続的な揮発除去とは、(d)を2〜100回に分割して投入し、各投入毎に反応と揮発除去を繰り返すことを意味する。断続的に揮発除去させる際の温度は、(d)を付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。
断続的に揮発除去させる場合は、(d)を反応させる時に反応槽(1)を加圧(例えば0.1〜1.0MPa)にすることと、揮発除去するために減圧(例えば0.001〜0.04MPa)にすることを交互に実施するとよい。連続的な揮発除去とは、(d)を連続して投入するのと同時に、揮発除去を実施することを意味する。連続的な揮発除去は、加熱および/又は減圧して実施する。連続的に揮発除去させる際の温度は、(d)を付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。減圧度は好ましくは0.001〜0.1MPa、更に好ましくは0.001〜0.04MPaである。
【0020】
図2に示した本発明の実施態様の一例を示す概略図に基づいて説明する。
反応槽(1)中の活性水素含有化合物(c)に原料供給ライン(5)を通じてアルキレンオキサイド(d)を投入し付加重合する工程中に、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)を揮発除去する。最初に、反応中に反応混合物の一部又は全量を反応槽(1)から連続的又は断続的に、送液ライン(7)を通じて脱気装置(2)に抜き取り、必要により加熱および/又は減圧して、連続的又は断続的に副生低沸点化合物(b)を気化させ、留去ライン(9)を通じて反応系外に除去する。脱気後に脱気装置(2)に残った液相は、連続的又は断続的に送液ライン(8)を通じて、反応槽(1)へ戻す。反応混合物を脱気装置(2)へ送る方法や反応槽(1)へ戻す方法としては、送液ポンプを使用する、圧力差を利用する、高低差を利用する等の方法が考えられる。中でも送液ポンプの使用が好ましい。脱気装置(2)としては、フラッシュ蒸留装置やフィルムエバポレーター等を用いるのが、好ましい。
【0021】
断続的な揮発除去とは、(d)を2〜100回に分割して投入し反応槽(1)で反応させることと、反応混合物の一部又は全量を送液ライン(7)を通じて脱気装置(2)に抜き取り、必要により加熱および/又は減圧して、副生低沸点化合物(b)を気化させ、留去ライン(9)を通じて反応系外に除去することを繰り返せばよい。断続的に揮発除去させる際の温度は、(d)を付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。断続的に揮発除去する際の減圧度は好ましくは0.001〜0.1MPa、更に好ましくは0.001〜0.04MPaである。
連続的な揮発除去とは、(d)を反応槽(1)で反応させることと、反応混合物の一部又は全量を送液ライン(7)を通じて脱気装置(2)に抜き取り、必要により加熱および/又は減圧して、副生低沸点化合物(b)を気化させ、留去ライン(9)を通じて反応系外に除去することを同時に行うことを意味する。連続的な揮発除去は、加熱および/又は減圧して実施する。連続的な揮発除去させる際の温度は、(d)を付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。減圧度は好ましくは0.001〜0.1MPa、更に好ましくは0.001〜0.04MPaで実施する。
【0022】
図3に示した本発明の実施態様の一例を示す概略図に基づいて説明する。
反応槽(1)中の活性水素含有化合物(c)に原料供給ライン(5)を通じてアルキレンオキサイド(d)を投入し付加重合する工程中に、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)を揮発除去する。最初に反応中に反応混合物の一部又は全量を反応槽(1)から連続的又は断続的に、送液ライン(7)を通じて脱気装置(2)に抜き取り、必要により加熱および/又は減圧して、連続的又は断続的に副生低沸点化合物(b)を気化させて留去ライン(9)を通じて第1の蒸留塔(31)に送る。副生低沸点化合物(b)の内、蒸留塔(31)でアルキレンオキサイド(d)より高沸点の化合物と、(d)および(d)より低沸点の化合物とを分離し、高沸点の化合物は、抜き取りライン(11)から抜き取る。(d)と(d)より低沸点の化合物は、塔頂ライン(10)を通じてさらに第2の蒸留塔(32)に送る。蒸留塔(32)で(d)より低沸点の化合物と(d)を分離し、(d)より低沸点の化合物は、留去ライン(12)から除去し、(d)は、回収ライン(13)を通じて回収槽(14)に回収する。回収した(d)と脱気装置(2)の液相は、連続的および/又は断続的に再び反応槽(1)へ戻す。反応混合物を脱気装置(2)へ送る方法や反応槽(1)へ戻す方法としては、送液ポンプを使用する、圧力差を利用する、高低差を利用する等の方法が挙げられる。中でも送液ポンプの使用が好ましい。蒸留塔(3)〔(31)および(32)〕としては、通常使われる精留塔等を用いるのが好ましく、必要に応じて2基以上の精留塔を組み合わせて使用してもよい。また、必要に応じて、抽出蒸留等を組み合わせて実施してもよい。
【0023】
図3の実施態様において、断続的な揮発除去とは、(d)を2〜100回に分割して投入し反応槽(1)で反応させることと、反応混合物の一部又は全量を送液ライン(7)を通じて脱気装置(2)に抜き取り、必要により加熱および/又は減圧して、副生低沸点化合物(b)を気化させ、留去ライン(9)を通じて第1の蒸留塔(31)に送り、更に副生低沸点化合物(b)の内、蒸留塔(31)で(d)より高沸点の化合物と(d)を分離し、第2の蒸留塔(32)でアルキレンオキサイド(d)より低沸点の化合物と(d)および(d)より低沸点の化合物とを分離し、回収ライン(13)を通じてアルキレンオキサイド(d)を回収槽(14)に回収し、回収したアルキレンオキサイド(d)と脱気装置(2)の液相は、連続的および/又は断続的に再び反応槽(1)へ戻すことを繰り返せばよい。断続的に揮発除去させる際の温度は、(d)を付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。断続的に揮発除去する際の減圧度は好ましくは0.001〜0.1MPa、更に好ましくは0.001〜0.04MPaである。
連続的な揮発除去とは、(d)を連続的に投入し反応槽(1)で反応させることと、反応混合物の一部又は全量を送液ライン(7)を通じて脱気装置(2)に抜き取り、必要により加熱および/又は減圧して、副生低沸点化合物(b)を気化させ、留去ライン(9)を通じて第1の蒸留塔(31)に送り、更に副生低沸点化合物(b)の内、蒸留塔(31)でアルキレンオキサイド(d)より高沸点の化合物とアルキレンオキサイド(d)を分離し、第2の蒸留塔(32)でアルキレンオキサイド(d)より低沸点の化合物とアルキレンオキサイド(d)を分離し、回収ライン(13)を通じてアルキレンオキサイド(d)を回収槽(14)に回収し、回収したアルキレンオキサイド(d)と脱気装置(2)の液相は反応槽(1)へ戻すことを同時に行うことを意味する。連続的な揮発除去は、加熱および/又は減圧して実施する。連続的な揮発除去させる際の温度は、(d)を付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。減圧度は好ましくは0.001〜0.1MPa、更に好ましくは0.001〜0.04MPaで実施する。
なお、図3においては、蒸留塔(3)として、蒸留塔(31)と蒸留塔(32)を2つ連結した場合を示し、それに基づいて説明したが、蒸留塔は1つであっても差し支えない。
【0024】
図4に示した本発明の実施態様の一例を示す概略図に基づいて説明する。
反応槽(1)中の活性水素含有化合物(c)に原料供給ライン(5)を通じてアルキレンオキサイド(d)を投入し付加重合する工程中に、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)を揮発除去する方法として、反応中に反応混合物の一部又は全量を反応槽(1)から連続的又は断続的に、送液ライン(7)を通じて脱気装置(2)に抜き取り、必要により加熱および/又は減圧して、連続的又は断続的に気化させて吸着塔(4)に送る。吸着塔(4)に充填された吸着剤(e)に圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)を吸着させる。吸着されなかったアルキレンオキサイド(d)は回収ライン(15)を通じて回収槽(16)に回収し、回収したアルキレンオキサイド(d)と脱気装置(2)の液相を連続的および/又は断続的に再び反応槽(1)へ戻す。反応混合物を脱気装置(2)へ送る方法や反応槽(1)へ戻す方法としては、送液ポンプを使用する、圧力差を利用する、高低差を利用する等の方法が考えられる。中でも送液ポンプの使用が好ましい。
【0025】
断続的な揮発除去とは、(d)を2〜100回に分割して投入し反応槽(1)で反応させることと、反応混合物の一部又は全量を送液ライン(7)を通じて脱気装置(2)に抜き取り、必要により加熱および/又は減圧して、副生低沸点化合物(b)を気化させて吸着塔(4)に送り、吸着塔(4)に充填された吸着剤(e)に圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)を吸着させ、吸着されなかったアルキレンオキサイド(d)と、脱気装置(2)の液相を再び反応槽(1)へ戻すことを繰り返せばよい。断続的に揮発除去させる際の温度は、(d)を付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。断続的に揮発除去する際の減圧度は好ましくは0.001〜0.1MPa、更に好ましくは0.001〜0.04MPaである。
連続的な揮発除去とは(d)を連続して投入し反応槽(1)で反応させることと、反応混合物の一部又は全量を送液ライン(7)を通じて脱気装置(2)に抜き取り、必要により加熱および/又は減圧して、副生低沸点化合物(b)を気化させ、留去ライン(9)を通じて吸着塔(4)に送り、吸着塔(4)に充填された吸着剤(e)に圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)を吸着させ、吸着されなかったアルキレンオキサイド(d)と、脱気装置(2)の液相を連続的に再び反応槽(1)へ戻すことを同時に行うことを意味する。連続的な揮発除去は、加熱および/又は減圧して実施する。連続的な揮発除去させる際の温度は、(d)を付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。減圧度は好ましくは0.001〜0.1MPa、更に好ましくは0.001〜0.04MPaで実施する。
【0026】
吸着剤(e)は具体的にはシリカゲル、合成ゼオライト、活性白土、モレキュラーシーブ、活性炭、および活性アルミナから選ばれる1種以上の化合物である。これらの中では、モレキュラーシーブが好ましい。(e)の使用量は、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)に対して、好ましくは50〜3000倍、特に好ましくは100〜2000倍である。
【0027】
ポリオキシアルキレンアルコールの製造後に、吸着塔(4)へ不活性ガスを通気し、必要により加熱および/または減圧にすることで、吸着剤(e)を再活性化することが可能である。
【0028】
アルカリ金属触媒(a)はアルキレンオキサイド(d)の付加重合完了後、必要により中和、吸着等により除去してもよい。本発明の方法で得られたポリオキシアルキレンアルコール(A)は、精製によりアルカリ金属触媒(a)を除去してから、各種原料として用いるのが好ましい。
ポリオキシアルキレンアルコールの精製方法としては通常用いられる方法でよく、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸等の酸で触媒を中和し、生じた塩を濾過除去する方法;アルカリ吸着剤〔合成ケイ酸マグネシウム(例えば、キョーワード600:協和化学工業社製)、合成ケイ酸アルミニウムなど〕を用いる方法;溶媒(メタノールなど)に溶かして水洗する方法;イオン交換樹脂を用いる方法;炭酸ガスで中和して、生じた炭酸塩を濾過する方法;などがあるが、酸による中和後塩を濾過除去する方法、およびアルカリ吸着剤を用いる方法が好ましい。
【0029】
上記アルカリ吸着剤は必要に応じ除去してもよい。除去方法は通常知られているいずれの方法で実施してもよく、必要により、ハイドロタルサイト系吸着剤(例えば、キョーワード500、キョーワード1000、キョーワード2000等<いずれも協和化学工業社製>)や珪藻土等のろ過助剤(例えば、ラヂオライト600、ラヂオライト800、ラヂオライト900<いずれも昭和化学工業社製>)などを用いることができる。ろ過は、加圧ろ過、減圧ろ過のどちらでもよいが、酸素の混入を防止しやすいので加圧ろ過が好ましい。フィルターの材質は特に限定されない。例えば、紙、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、アクリル、メタアラミドなどが挙げられるが紙が好ましい。また、フィルターの保留粒子径は0.1〜10μmのものが好ましく。さらに1〜5μmのものが好ましい。
【0030】
水分の含有量が高い場合は、続いて、減圧下(100kPa以下)、90〜160℃で脱水する。方法としてはバッチ式でもよいし、シャワーリング方式でもよい。
【0031】
いずれの工程においても、酸素不存在下で行うことが好ましく、酸素濃度が好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは500ppm以下で行う。1000ppm以下であるとポリエーテルが酸化されにくくその結果着色されにくい。酸素濃度の低減は、ろ過装置中に窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスを通入することで実施することが望ましい。
【0032】
本発明の製造方法により得られたポリオキシアルキレンアルコール(A)の総不飽和度(TU値)は、好ましくは0.030meq/g以下、さらに好ましくは0.025meq/g以下である。
なお、本発明における総不飽和度は、JIS K 1557−3:2007に記載の方法による。
【0033】
本発明の製造方法で得られたポリオキシアルキレンアルコール(とくに2〜8価またはそれ以上のポリオキシアルキレンポリオール)は、各種用途に用いることができるが、発泡または非発泡ポリウレタン樹脂を製造するのに好適に用いられる。
すなわち、ポリオール成分と有機ポリイソシアネート(C)とを、必要により添加剤の存在下反応させて、発泡または非発泡ポリウレタン樹脂を製造する際、ポリオール成分の少なくとも一部として、ポリオキシアルキレンアルコール(A)および/または(A)中でビニルモノマー(m)を重合させて得られる重合体アルコール(B)を使用する
【0034】
重合体アルコール(B)は、ポリオキシアルキレンアルコール(A)(好ましくはポリオキシアルキレンポリオール)中でビニルモノマー(m)を通常の方法で重合して製造することができる。例えば、(A)中で、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマー(m)が重合され、得られた(m)の重合体が安定分散されたものが挙げられる。重合方法の具体例としては、米国特許第3383351号明細書、特公昭39−25737号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0035】
ラジカル重合開始剤としては、遊離基を生成して重合を開始させるものが使用でき、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物;ジベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーイキサイドおよび過コハク酸等の有機過酸化物;過硫酸塩および過ホウ酸塩等の無機過酸化物などが挙げられる。なお、これらは2種以上を併用することができる。
【0036】
(m)としては、芳香族ビニル単量体(m1)、不飽和ニトリル(m2)、(メタ)アクリル酸エステル(m3)、その他のビニル単量体(m4)、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(m1)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、クロルスチレン等が挙げられる。
(m2)としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられる。
(m3)としては、C、HおよびO原子から構成されるもの、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数が1〜24)〔例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート〕、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜5)(メタ)アクリレート〔例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート〕、およびヒドロキシポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート〔例えば、アルキレン基の炭素数2〜4、ポリオキシアルキレン鎖の数平均分子量200〜1000〕が挙げられる。
【0037】
(m4)としては、エチレン性不飽和カルボン酸およびその誘導体、具体的には(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミドなど;脂肪族もしくは脂環式炭化水素単量体、具体的にはアルケン(エチレン、プロピレン、ノルボルネン等)、アルカジエン(ブタジエン等)など;フッ素系ビニル単量体、具体的には、フッ素含有(メタ)アクリレート(パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレート等)など;塩素系ビニル単量体、具体的には塩化ビニリデンなど;上記以外の窒素含有ビニル単量体、具体的には窒素含有(メタ)アクリレート(ジアミノエチルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート等)など;およびビニル変性シリコーンなどが挙げられる。
これら(m)中で好ましいものは、(m1)および(m2)であり、とくにスチレンおよび/またはアクリロニトリルである。
【0038】
ビニルモノマー(m)中の、(m1)、(m2)、(m3)および(m4)の重量比率は、要求されるポリウレタンの物性等に応じて変えることができ、特に限定されていないが、一例を示すと次の通りである。
(m1)および/または(m2)は、好ましくは50〜100%、さらに好ましくは80〜100%である。(m1)と(m2)の重量比はとくに限定されないが、好ましくは0/100〜80/20である。(m3)は、好ましくは0〜50%、さらに好ましくは0〜20%である。(m4)は、好ましくは0〜10%、さらに好ましくは0〜5%である。
また、(m)中に少量(好ましくは0.05〜1%)の2官能以上(好ましくは2〜8官能)の多官能ビニルモノマー(m5)を用いることにより、重合体の強度をさらに向上させることができる。(m5)としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜8、重合度:2〜10)グリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0039】
重合体アルコール(B)中の(m)の重合体の含量は、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは、下限は15%、上限は55%である。重合体の含量が10%以上では十分なフォーム硬さが発現でき、55%以下では重合体アルコール(B)の粘度が低くなり取扱いが容易である。
【0040】
上記有機ポリイソシアネート(C)としては、従来からポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。このようなイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシヌアレート基、またはオキサゾリドン基含有変性物など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0041】
芳香族ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く;以下のイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6〜20の芳香族トリイソシアネートおよびこれらのイソシアネートの粗製物などが挙げられる。具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗製MDI)、などが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0042】
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜16の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
変性ポリイソシアネートの具体例としては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDIなどが挙げられる。
【0043】
本発明のポリウレタンの製造方法において、必要により、以下に述べる添加剤の存在下で反応させてもよい。
ポリウレタンフォームを製造する場合には、発泡剤を使用する。
発泡剤としては、水、水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素、液化炭酸ガス等が用いられ、2種以上を併用してもよい。
水素原子含有ハロゲン化炭化水素の具体例としては、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHCFC−123およびHCFC−141b);HFC(ハイドロフルオロカーボン)タイプのもの(例えば、HFC−245faおよびHFC−365mfc)などが挙げられる。
低沸点炭化水素は、沸点が通常−5〜70℃の炭化水素であり、その具体例としては、ブタン、ペンタン、シクロペンタンが挙げられる。
【0044】
ポリオール成分100部に対する発泡剤の使用量は、水は、好ましくは0.1〜30部、さらに好ましくは1〜20部である。水素原子含有ハロゲン化炭化水素は、好ましくは50部以下、さらに好ましくは10〜45部である。低沸点炭化水素は、好ましくは40部以下、さらに好ましくは10〜30部である。液化炭酸ガスは、好ましくは30部以下、さらに好ましくは1〜25部である。
上記および以下において、部は重量部を意味する。
【0045】
さらに例えば、整泡剤(ジメチルシロキサン系、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン系など)、ウレタン化触媒(3級アミン系触媒、例えばトリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジアミノビシクロオクタン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7など、および/または金属触媒、例えばオクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ、オクチル酸鉛など)、着色剤(染料、顔料)、可塑剤(フタル酸エステル、アジピン酸エステルなど)、有機充填剤(合成短繊維、熱可塑性もしくは熱硬化性樹脂からなる中空微小球など)、難燃剤(リン酸エステル、ハロゲン化リン酸エステルなど)、老化防止剤(トリアゾール系、ベンゾフェノン系など)、抗酸化剤(ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系など)など公知の添加剤の存在下で反応させることができる。
【0046】
ポリオール成分100部に対するこれらの添加剤の使用量に関しては、整泡剤は、好ましくは10部以下、さらに好ましくは0.5〜5部である。ウレタン化触媒は、好ましくは10部以下、さらに好ましくは0.2〜5部である。着色剤は、好ましくは1部以下である。可塑剤は、好ましくは10部以下、さらに好ましくは5部以下である。有機充填剤は、好ましくは50部以下、さらに好ましくは30部以下である。難燃剤は、好ましくは30部以下、さらに好ましくは5〜20部である。老化防止剤は、好ましくは1部以下、さらに好ましくは0.01〜0.5部である。抗酸化剤は、好ましくは1部以下、さらに好ましくは0.01〜0.5部である。添加剤の合計使用量は、好ましくは50部以下、さらに好ましくは0.2〜30部である。
【0047】
本発明のポリウレタンの製造方法におけるイソシアネート指数(NCO INDEX)[(NCO基/活性水素原子含有基)の当量比×100]は、好ましくは80〜150、さらに好ましくは85〜135、とくに好ましくは90〜130である。
【0048】
また、ポリオール成分と有機ポリイソシアネート(C)を反応させる条件は、通常用いられる公知の条件でよい。
一例を示せば、まず、ポリオール成分および必要により添加剤を所定量混合する。次いで、ポリウレタン低圧もしくは高圧注入発泡機または撹拌機を使用して、この混合物とポリイソシアネートとを急速混合する。得られた混合液を密閉型もしくは開放型のモールド(金属製または樹脂製)に注入し、ウレタン化反応を行わせ、所定時間硬化後、脱型してポリウレタン樹脂を得る。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0050】
<実施例1>
図1に示した態様の2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)、フィルムエバポレーター付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブに、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400部と水酸化カリウム5.0部とを仕込んだ後、原料供給ライン(5)からPOを反応温度が100〜110℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は20回に分けて実施し、30分間投入した後、減圧ライン(6)より減圧とし、15分間低沸点の揮発成分を留去する工程を繰り返し実施した。オートクレーブ内液量が2000mlとなるまで投入した後、130℃で5時間熟成した。アルカリ吸着剤処理〔ポリオキシアルキレンアルコールに対し水を1.8%加えて85〜90℃で30分混合し、次いで吸着剤としてキョーワード600(協和化学工業社製)をポリオキシアルキレンアルコールに対し0.5%加えて同温度で30分混合した後、ろ過により吸着剤を取り除く。以下の各例も同様〕および脱水(130℃で、−0.1MPaの減圧下、水分が0.1%以下となるまで脱水を行う。以下の各例も同様)した後、液状のグリセリンPO付加物(A−1)を得た。(A−1)の水酸基価は56.0、総不飽和度は0.018meq/g、反応時間は合計で20時間であった。
【0051】
<実施例2>
2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、脱気装置(2)としてのフィルムエバポレーターを、図2に示す送液ライン(7)、(8)で接続した。
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)405部と水酸化カリウム5.0部とを仕込んだ後、送液ポンプを用いてオートクレーブ内の反応液をフィルムエバポレーターとオートクレーブ内で循環させながら、フィルムエバポレーター内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が100〜110℃を保つように制御しながら連続的に投入した。留去ライン(9)から副生低沸点化合物と未反応POを連続的に系外に除去した。オートクレーブ内液量が2025mlとなった時点で投入を停止後130℃で5時間熟成した。アルカリ吸着剤処理および脱水した後、液状のグリセリンPO付加物(A−2)を得た。(A−2)の水酸基価は56.2、総不飽和度は0.020meq/g、反応時間は合計で15時間であった。
【0052】
<実施例3>
2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、脱気装置(2)としてのフィルムエバポレーターを、図3に示したような送液ライン(7)、(8)で接続した。フィルムエバポレーターの留去ライン(9)には蒸留塔(31)としての第1の精留塔を取り付け、精留塔の塔頂ライン(10)は蒸留塔(32)としての第2の精留塔を取り付け、第2の精留塔の回収ライン(13)の下にステンレス製の回収槽(14)を取り付けた。
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400部と水酸化カリウム5.0部とを仕込んだ後、送液ポンプを用いてオートクレーブ内の反応液を、フィルムエバポレーターとオートクレーブ内で循環させながら、フィルムエバポレーター内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が100〜110℃を保つように制御しながら連続的に投入した。フィルムエバポレーターにおいて留去ライン(9)を通じて留去された副生低沸点化合物の内、POより高沸点の化合物は抜き取りライン(11)から、POより低沸点の化合物は留去ライン(12)から除去され、回収ライン(13)を通じて未反応POを回収槽(14)に回収した。回収POは原料供給ライン(5)を通じて再度オートクレーブに投入した。オートクレーブ内の液量が2000mlとなるまでPOを投入した後、130℃℃で5時間熟成した。アルカリ吸着剤処理および脱水した後、液状のグリセリンPO付加物(A−3)を得た。(A−3)の水酸基価は56.1、総不飽和度は0.021meq/g、反応時間は合計で15時間であった。
【0053】
<実施例4>
2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、脱気装置(2)としてのフィルムエバポレーターを、図3に示したような送液ライン(7)、(8)で接続した。フィルムエバポレーターの留去ライン(9)には、モレキュラーシーブ4A500gを充填した吸着塔(4)を取り付け、回収ライン(15)にはステンレス製の回収槽(16)を取り付けた。
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)410部と水酸化カリウム5.0部とを仕込んだ後、送液ポンプを用いてオートクレーブ内の反応液をフィルムエバポレーターとオートクレーブ内で循環させながら、フィルムエバポレーター内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が100〜110℃を保つように制御しながら連続的に投入した。未反応POと副生低沸点化合物は、フィルムエバポレーターから留去ライン(9)を通じて吸着塔(4)に送られた後、回収ライン(15)を通じて吸着されなかったPOのみを回収槽(16)に回収した。回収POは原料供給ライン(5)を通じて再度オートクレーブに投入した。オートクレーブ内の液量が2040mlとなるまでPOを投入した後、130℃で5時間熟成した。アルカリ吸着剤処理および脱水した後、液状のグリセリンPO付加物(A−4)を得た。(A−4)の水酸基価は56.1、総不飽和度は0.019meq/g、反応時間は合計で15時間であった。
【0054】
<比較例1>
図1に示した態様の2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)、減圧ライン(6)付きのステンレス製オートクレーブに、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400部と水酸化カリウム5.0部とを仕込んだ。原料供給ライン(5)からオートクレーブ内液量が2050mlとなるまで、反応温度が100〜110℃を保つように制御しながらPOを投入し、更に130℃で5時間熟成した。アルカリ吸着剤処理および脱水した後、液状のグリセリンPO付加物(B−1)を得た。(B−1)の水酸基価は56.1、総不飽和度は0.034meq/g、反応時間は合計で15時間であった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明のポリオキシアルキレンアルコールの製造方法により、末端不飽和基含有モノオールの含有量の少ないポリオキシアルキレンアルコールが得られる。得られたポリオキシアルキレンアルコールは、ポリイソシアネートと反応させて得られるポリウレタン樹脂(ポリウレタンフォームを含む)の原料として、特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施態様の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施態様の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施態様の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の実施態様の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0057】
1 反応槽
2 脱気装置
31 蒸留塔
32 蒸留塔
4 吸着塔
5 原料供給ライン
6 減圧ライン
7 送液ライン
8 送液ライン
9 留去ライン
10 塔頂ライン
11 抜き取りライン
12 留去ライン
13 回収ライン
14 回収槽
15 回収ライン
16 回収槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応槽(1)中で、アルカリ金属触媒(a)の存在下、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)を連続的又は断続的に系外除去しながら、活性水素含有化合物(c)にアルキレンオキサイド(d)を付加重合させた後、必要によりアルカリ金属触媒(a)を除去する工程を含むポリオキシアルキレンアルコール(A)の製造方法。
【請求項2】
圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)を連続的又は断続的に除去する方法が、反応中に反応混合物の一部又は全量を反応槽(1)から連続的又は断続的に、脱気装置(2)に抜き取り、必要により加熱および/又は減圧して、副生低沸点化合物(b)および未反応のアルキレンオキサイド(d)を連続的又は断続的に気化させて反応系外に除去し、除去後の液相を連続的又は断続的に再び反応槽(1)へ戻す方法である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
脱気装置(2)で気化させた、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d)を蒸留塔(3)に送り、蒸留塔(3)で(b)と(d)を分離し、回収した(d)と脱気装置(2)の液相を、連続的および/又は断続的に再び反応槽(1)へ戻す方法である請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
脱気装置(2)で気化させた、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d)を吸着塔(4)に送り、吸着塔(4)に充填された吸着剤(e)に(d)の一部と(b)を吸着させ、吸着塔(4)で吸着されなかった(d)と、脱気装置(2)の液相を連続的および/又は断続的に再び反応槽(1)へ戻す方法である請求項2記載の製造方法。
【請求項5】
吸着剤(e)がシリカゲル、合成ゼオライト、活性白土、モレキュラーシーブ、活性炭、および活性アルミナから選ばれる1種以上の化合物である請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
ポリオール成分と有機ポリイソシアネート(C)とを、必要により添加剤の存在下反応させて、発泡または非発泡ポリウレタン樹脂を製造する方法において、ポリオール成分の少なくとも一部として、請求項1〜5のいずれか記載の製造方法で得られたポリオキシアルキレンアルコール(A)および/または(A)中でビニルモノマー(m)を重合させて得られる重合体アルコール(B)を用いる発泡または非発泡ポリウレタン樹脂の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−286963(P2009−286963A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143263(P2008−143263)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】