説明

ポリオレフィン接着剤組成物およびそれから作られた物品

本発明の実施態様は、1)機能性成分、2)粘着付与剤、および3)1つ以上のC3〜C40オレフィン類を含むオレフィンのポリマー、随意に、1つ以上のジオレフィン類、および5モル未満のエチレンを含み、1ニュートン以上のドット式T型剥離、このポリマーのMzにおいて測定された0.95以下の分岐度(g’)、および100、000以下のMwを有する物品に関する。この機能性成分は、機能性ポリマー、機能性オリゴマーおよびベータ核化剤からなる群から選択され、この接着剤のガードナ色は、180℃で48時間熱処理した場合、未処理の組成物のガードナ色に比べて7ガードナ・ユニットを超えて変化しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1)機能性成分、2)1ニュートン以上のドット式T型剥離、このポリマーのz平均分子量(Mz)において測定された0.95以下の分岐度(g’)、100,000以下の重量平均分子量(Mw)を有し、またはこのポリマーのz平均分子量(Mz)において測定された0.98以下の分岐度(g’)、30,000以下の重量平均分子量(Mw)を有するC3−40のオレフィン類のオレフィンのポリマー類を含む接着剤に関する。この機能性成分は、機能性成分類、機能性オリゴマー類およびベータ核化剤類からなる群から選択され、この接着剤のガードナ色は、180℃で48時間加熱老化処理された場合は、未処理の組成物のガードナ色に比べて7ガードナ・ユニットを超えて変化しない。
【背景技術】
【0002】
接着剤の分野では、熱安定性がよく、あまり着色していない接着剤が要求されている。本発明はそのような接着剤、特に高温および低温において性能のよい接着剤を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、1)機能性成分および2)1つ以上のC3〜C40のオレフィン類を含むオレフィンのポリマーを含む接着剤に関し、
このオレフィンのポリマーは
a)クラフト紙上で1ニュートン以上のドット式T型剥離、
このポリマーのMzにおいて測定された0.95以下の分岐度(g’)、
10,000〜100,000のMw、および
1〜70J/gの融解熱を有し、
この機能性成分は、機能性ポリマー類、機能性オリゴマー類およびベータ核化剤類からなる群から選択され、およびこの接着剤のガードナ色が、この接着剤が180℃で48時間加熱老化処理された場合、未処理組成物のガードナ色に比べて、7ガードナ・ユニットを超えて変化しない。
【0004】
本発明は、1)機能性成分および2)1つ以上のC3〜C40のオレフィン類を含むオレフィンのポリマーを含む接着剤に関し、
このオレフィンのポリマーは、
a)クラフト紙上で1ニュートン以上のドット式T型剥離、
b)このポリマーのMzにおいて測定された0.98以下の分岐度(g’)、
c)10,000〜60,000のMw、
d)1〜50J/gの融解熱を有し、
この機能性成分は、機能性ポリマー類、機能性オリゴマー類およびベータ核化剤類からなる群から選択され、およびこの接着剤のガードナ色は、この接着剤が180℃で48時間加熱老化処理された場合、未処理組成物のガードナ色に比べて、7ガードナ・ユニットを超えて変化しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
「機能性ポリマー」は、このポリマーが官能基、および随意に触媒、熱、開始剤、またはフリーラジカルの供給源と接触し、官能基のすべてまたは一部がこのポリマーに合体、グラフト、結合、物理的に付着、および/または化学的に付着したことを意味する。さらに、「機能性成分」は、モノマー類から直接(または官能基を有する開始剤を用いて)重合したポリマーを含み、このポリマーは鎖の末端に官能基を有するものとも規定しうる。
【0006】
「機能性オリゴマー」は、このオリゴマーが官能基、および随意に触媒、熱、開始剤、またはフリーラジカルの供給源と接触し、官能基のすべてまたは一部がこのオリゴマーに合体、グラフト、結合、物理的に付着、および/または化学的に付着したものを意味する。さらに、「機能性オリゴマー」は、モノマー類から直接(または官能基を有する開始剤を用いて)オリゴマー化したポリマーを含み、このオリゴマーは鎖の末端に官能基を有するものとも規定しうる。
【0007】
「官能基」は、ヘテロ原子および/または不飽和基を含む重量平均分子量1000以下の化合物を意味する。好ましくは、この官能基は、無水マレイン酸などのヘテロ原子を含む化合物である。好ましい官能基には、有機酸類、有機アミド類、有機アミン類、有機エステル類、有機無水物類、有機アルコール類、有機酸ハライド類(酸クロライド類、酸ブロマイド類など)、有機過酸化物類、およびこれらの塩類がある。
【0008】
本明細書では、用語オリゴマーは2〜40個のモノマーユニットを有する組成物を意味し、用語ポリマーは41個以上のモノマーユニットを有する組成物を意味している。モノマーは、元来、オリゴマー化反応または重合反応で使われるモノマーに対応するオリゴマーまたはポリマーのユニットとして規定される。
【0009】
本発明では、ベータ核化剤は、次の手順、即ちX線法によるベータ形結晶含有量の測定により測定した組成物において起きる結晶化の内少なくとも5%がベータ結晶(0.05以上のK値)を生じる物質であると規定される。X線法では、接着剤の試料は、X線回折にかけられ、K値は次式により得られる。
【0010】
K値=(Hb1)/(Hb1+Ha1+Ha2+Ha3)
ここで、
Hb1はベータ形の(300)面上の反射強度(高さ)であり、
Ha1はアルファ形の(110)面上の反射強度(高さ)であり、
Ha2はアルファ形の(040)面上の反射強度(高さ)であり、
Ha3はアルファ形の(130)面上の反射強度(高さ)である。
【0011】
好ましい1つの実施態様では、本明細書で作られた接着剤は、0.05以上、より好ましくは0.10以上、より好ましくは0.15以上、より好ましくは0.20以上、より好ましくは0.25以上、より好ましくは0.30以上、より好ましくは0.35以上、より好ましくは0.40以上、より好ましくは0.45以上、より好ましくは0.45以上、より好ましくは0.50以上、より好ましくは0.55以上、より好ましくは0.60以上、より好ましくは0.65以上、より好ましくは0.70以上、より好ましくは0.75以上、より好ましくは0.80以上、より好ましくは0.85以上、より好ましくは0.90以上、より好ましくは0.95以上、より好ましくは1.0のK値を有する。
【0012】
本発明および本発明の請求項では、引用を簡単にするために、ポリマーがオレフィンを含むと述べる場合、ポリマー中に存在するオレフィンとはこのオレフィンの重合形をいう。引用を簡単にするために、アモルファスポリプロピレンはaPPと省略され、アイソタクチックポリプロピレンはiPPと省略され、シンジオタクチックポリプロピレンはsPPと省略され、半結晶性ポリプロピレンはscPPと省略され、「−g−」はその成分がグラフトされることを示している。
【0013】
好ましい1つの実施態様では、この機能性成分は、このブレンドの重量に基づいて、0.005〜99重量%、好ましくは0.01〜99重量%、好ましくは0.05〜90重量%、好ましくは0.1〜75重量%、より好ましくは0.5〜60重量%、より好ましくは1〜50重量%、より好ましくは1.5〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%、より好ましくは2〜20重量%、より好ましくは2〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%、より好ましくは2〜5重量%にて存在する。この機能性成分は、このブレンドの重量に基づいて、0.005〜10重量%、より好ましくは0.01〜10重量%にて存在するのが好ましい。
【0014】
好ましい1つの実施態様では、C3〜C40オレフィンは、接着剤ブレンド中に、このブレンドの重量に基づいて、1〜99.005重量%、好ましくは1〜99.09重量%、好ましくは10〜99.05重量%、好ましくは25〜99.9重量%、より好ましくは40〜99.5重量%、より好ましくは50〜99重量%、より好ましくは60〜98.5重量%、より好ましくは70〜98重量%間、より好ましくは80〜98重量%、より好ましくは85〜98重量%、より好ましくは90〜98重量%、より好ましくは95〜98重量%存在する。
【0015】
好ましい実施態様では、本発明は1)機能性成分および
2)a)炭素13NMRにより測定された1〜30、好ましくは3〜25、より好ましくは4〜20のアイソタクチック構造ユニット長さ(アイソタクチック構造ユニット長さ「IRL」はmmmrペンタッドの0.5xパーセントにより割り算されたmmmmペンタッドのパーセントであると規定される)、
b)炭素13NMRにより測定された20%より大きい、好ましくは20〜70%のrダイアッドのパーセント、および
c)70J/g以下、好ましくは60J/g以下、より好ましくは1〜55J/g、より好ましくは4〜50J/gの融解熱、
を有するホモポリプロピレンまたはプロピレンと5モル%までのエチレンとのコポリマー
を含む接着剤に関する。
【0016】
別の実施態様では、本発明は1)機能性成分および
2)a)クラフト紙上で1ニュートン〜10,000ニュートンのドット式T型剥離、
b)2〜200のMz/Mn、および
c)次の表CによるXのMwおよびYのg’(このポリマーのMzにおいて測定された)、
を有する1つ以上のC3〜C40オレフィン、好ましくはプロピレン、およびいくつかの実施態様では、15モル%未満のエチレン(好ましくは5モル%未満のエチレン)を含むオレフィンのポリマーを含む接着剤に関する。
【表1】

【0017】
C3〜C40オレフィンのポリマー
本発明で有用な好ましいオレフィンのポリマー(「POA」または「POAポリマー類」とも呼ばれる)は、2003年10月15日に出願された米国特許出願第10/686,951号および2003年10月15日に出願された米国特許出願第10/687,508号に記載されたポリマーであり、これらの特許は引用により本明細書に組み込まれる。特に、米国特許出願第10/686,951号の23〜91頁および米国特許出願第10/687,508号の22〜168頁には、本明細書で有用なオレフィンのポリマーの製造方法が詳しく説明されている。一般に、好ましいPOAは、2つ以上の触媒(通常メタロセン触媒)を用いて作られたポリプロピレンを含む。ここで、1つの触媒は、本質的には、アタクチックポリプロピレン(aPP)を製造しうるものとして選択され、他のメタロセン触媒は、重合条件下で、アイソタクチックポリプロピレン(iPP)を製造しうるものとして選択される。好ましくは、用いた重合条件下で、POAポリマー内に存在するある量のアモルファスポリプロピレンがアイソタクチックポリプロピレンにグラフトされ、本明細書では(aPP−g−iPP)と表示されるグラフト、および/またはPOAポリマー内に存在するある量のアイソタクチックポリプロピレンがアモルファスポリプロピレンにグラフトされ、本明細書では(iPP−g−aPP)と表示されるグラフトのように、aPPとiPPの両ポリマー鎖の合体が反応器ブレンド内で起こる。
【0018】
別の実施態様では、POAのMwが15,000〜100,000である場合、g’<(10−12Mw−10−6Mw+1.0178)である。
【0019】
いくつかの実施態様では、POAのg’は、このポリマーのMzにおいて測定すると、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下である。
【0020】
別の実施態様では、POAは、40〜250℃に、または60〜190℃に、または60〜150℃に、または80〜130℃にピーク融点(Tm)を有する。いくつかの実施態様では、ピーク融点は60と160℃の間にある。他の実施態様では、ピーク融点は124と140℃の間にある。他の実施態様では、ピーク融点は40〜130℃にある。
【0021】
別の実施態様では、POAは、190℃において(ASTM D 3236により190℃において測定すると)90,000mPa・s以下、または80,000以下、または70,000以下、または60,000以下、または50,000以下、または40,000以下、または30,000以下、または20,000以下、または10,000以下、または8000以下、または5000以下、または4000以下、または3000以下、または1500以下、または250〜6000mPa・sの間、または500〜5500mPa・sの間、または500〜3000mPa・sの間、または500〜1500mPa・sの間の粘度(ブルックフィールド(Brookfield)粘度または溶融粘度とも呼ばれる)、および/または160℃において(ASTM
D 3236により160℃において測定すると)8000mPa・s、または7000以下、または6000以下、または5000以下、または4000以下、または3000以下、または1500以下、または250〜6000mPa・sの間、または500〜5500mPa・sの間、または500〜1500mPa・sの間、または500〜1500mPa・sの間の粘度を有する。他の実施態様において、この粘度は、用途により、190℃において200,000mPa・s以下である。他の実施態様において、この粘度は、用途により、50,000mPa・s以下である。
【0022】
別の実施態様において、このPOAは、70J/g以下、または60J/g以下、または50J/g以下、または40J/g以下、または30J/g以下、または20J/g以下、およびゼロより大きい、または1J/gより大きい、または10J/gより大きい、または20と50J/gとの間の融解熱を有する。
【0023】
別の実施態様において、このPOAは95以下、70以下、または60以下、または50以下、または40以下、または30以下、または20以下のショアA硬度(ASTM 2240)を有する。他の実施態様では、ショアA硬度は5以上、10以上、または15以上である。包装のような特定の用途では、ショアA硬度は50〜85の範囲が好ましい。別の実施態様では、このポリマーは20〜90のショアA硬度を有する。
【0024】
別の実施態様では、このPOAは2〜200、好ましくは2〜150、好ましくは10〜100のMz/Mnを有する。
【0025】
別の実施態様では、このPOAは、200℃以下、または40〜150℃、または60〜130℃、または65〜110℃、または70〜80℃の剪断保持力喪失温度(SAFT−ASTM 4498により測定する)を有する。特定の実施態様では、130〜140℃のSAFTが好ましい。他の実施態様では、100〜130℃のSAFTが好ましい。他の実施態様では、110〜140℃のSAFTが好ましい。
【0026】
別の実施態様では、このPOAは、1ニュートン〜10,000ニュートンの間、または3〜4000ニュートンの間、または5〜3000ニュートンの間、または10〜2000ニュートンの間、または15〜1000ニュートンの間のクラフト紙上のドット式T型剥離も有する。ドット式T型剥離は、下で記述するようににASTM D 1876により測定される。
【0027】
別の実施態様では、このPOAは、数日から1秒まで、または60秒以下、または30秒以下、または20秒以下、または15秒以下、または10秒以下、または5秒以下、または4秒以下、または3秒以下、または2秒以下、または1秒以下のセット時間を有する。
【0028】
別の実施態様では、このPOAは、2〜75、または4〜60、または5〜50、または6〜20のMw/Mnを有する。
【0029】
別の実施態様では、このPOAは、1,000,000以下、好ましくは15,000〜1,000,000、または20,000〜800,000、または25,000〜350,000のMzを有する。
【0030】
別の実施態様では、このPOAは、20〜1000%、あるいは50〜1000%、好ましくは80〜200%の破断変形(ASTM D 1708により25℃で測定する)を有する。他のいくつかの実施態様では、破断変形は100〜500%である。
【0031】
別の実施態様では、このPOAは、0.5MPa以上、あるいは0.75MPa以上、あるいは1.0MPa以上、あるいは1.5MPa以上、あるいは2.0MPa以上、あるいは2.5MPa以上、あるいは3.0MPa以上、あるいは3.5MPa以上の引張強度破断(ASTM D 1708により25℃で測定された)を有する。
【0032】
別の実施態様では、このPOAは、20〜110℃の間に結晶化点(Tc)を有する。いくつかの実施態様では、Tcは70〜100℃の間にある。他の実施態様では、Tcは30〜80℃の間にある。他の実施態様では、Tcは20〜50℃の間にある。
【0033】
いくつかの実施態様では、このPOAは、Tc+10℃からTc+40℃までの温度範囲において、図1に示された複素粘度対温度のトレース(窒素雰囲気下で20%の変形を伴い、10rad/sの周波数および10℃/分の冷却速度で操作するARES動的機械分光計により測定する)において−0.1以下、好ましくは−0.15以下、より好ましくは−0.25以下の勾配を有する。2004年7月15日に発行された米国特許出願公開第2004−0138392号を参照のこと。この勾配は、温度に関するlog(複素粘度)の導関数として規定される。
【0034】
別の実施態様では、このPOAは、Tmより少なくとも10℃低い、好ましくはTmより少なくとも20℃低い、好ましくはTmより少なくとも30℃低い、より好ましくはTmより少なくとも35℃低いTcを有する。
【0035】
別の実施態様では、一部のオレフィンPOAは、6.5以下、好ましくは6.0以下、好ましくは5.5以下、好ましくは5.0以下、好ましくは4.5以下、好ましくは1と6.0との間のメルトインデックス比(I10/I)を有する。(I10およびIはASTM 1238D、2.16kg、190℃により測定される)。
【0036】
別の実施態様では、一部のオレフィンPOAは、25dg/分以上、好ましくは50dg/分以上、より好ましくは100dg/分以上、より好ましくは200dg/分以上、より好ましくは500dg/分以上、より好ましくは2000dg/分以上のメルトインデックス(ASTM 1238D、2.16kg、190℃により測定する)を有する。
【0037】
別の実施態様では、このPOAは、DSCトレースにおいて、10〜60℃、好ましくは20〜50℃、好ましくは30〜45℃の結晶化範囲を有する。重なりのない2つ以上のピークがあるDSCトレースでは、各ピークは、DSCトレースにおいて、10〜60℃、好ましくは20〜50℃、好ましくは30〜45℃の結晶化範囲を有する。
【0038】
別の実施態様では、このPOAは、少なくとも2、好ましくは少なくとも5、好ましくは少なくとも10、より一層好ましくは少なくとも20の分子量分布(Mw/Mn)を有する。
【0039】
別の実施態様では、このPOAは、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)により測定した場合、ポリマー種の単峰性、二峰性、多峰性の分子量分布を有する。二峰または多峰であることは、SECトレースが2つ以上のピークまたは変曲点を有することを意味している。変曲点は、この曲線の第2導関数が符号を変える(負から正へ、またはその逆)点である。
【0040】
別の実施態様では、このPOAは、8〜15cal/molの活性化エネルギーを有する。活性化エネルギーは、熱効果が粘度増加の原因である領域の温度(アレニュースの関係を想定して)と複素粘度の関係を用いて計算された。
【0041】
別の実施態様では、これらのオレフィンPOAは、200℃以下、好ましくは180℃以下、好ましくは160℃以下、好ましくは120℃以下、好ましくは100℃以下の曇り点を有する。同様に、POAがその一部である組成物は、200℃以下、好ましくは180℃以下、好ましくは160℃以下、好ましくは120℃以下、好ましくは100℃以下の曇り点を有する。
【0042】
別の実施態様では、このPOAは、さらに以下の特性の内1つ以上も有する。
【0043】
a)30〜190℃の間、または約60〜150℃の間、または80〜130℃の間のピーク融点、および/または
b)190℃において8000mPa・s(ASTM D 3236により190℃で測定する)、または5000以下、または4000以下、または3000以下、または1500以下、または250〜6000mPa・sの間、500〜5500mPa・sの間、500〜3000mPa・sの間、500〜1500mPa・sの間の粘度、または160℃において8000mPa・s(ASTM D 3236により160℃で測定した)、または7000以下、または6000以下、または5000以下、または4000以下、または3000以下、または1500以下、または250〜6000mPa・sの間、500〜5500mPa・sの間、500〜3000mPa・sの間、500〜1500mPa・sの間の粘度、および/または
c)70J/g以下、または60J/g以下、または50J/g以下、または40J/g以下、または30J/g以下、または20J/g以下で、ゼロより大きい、または1J/gより大きい、または10J/gより大きい、または10〜50J/gの間のH(融解熱)、および/または
d)90以下、または60以下、または50以下、または40以下、または30以下、または20以下のショアA硬度(ASTM 2240により測定された)、および/または
e)40〜150℃、または60〜130℃、または65〜110℃、または70〜80℃の剪断保持力喪失温度(SAFT:ASTM 4498により測定する)、および/または
f)1ニュートン〜10,000ニュートンの間、または3〜4000ニュートンの間、または5〜3000ニュートンの間、または10〜2000ニュートンの間、または15〜1000ニュートンの間のドット式T型剥離、および/または
g)数日〜0.1秒、または60秒以下、または30秒以下、または20秒以下、または15秒以下、または10秒以下、または5秒以下、または4秒以下、または3秒以下、または2秒以下、または1秒以下のセット時間、および/または
h)1〜75、または2〜60、または2〜50、または3〜20のMw/Mn、および/または
i)500,000以下、好ましくは15,000〜500,000、または20,000〜400,000、または25,000〜350,000のMz。
【0044】
これらの特徴の有用な組み合わせには、1ニュートン〜10、000ニュートンの間、または3〜4000ニュートンの間、または5〜3000ニュートンの間、または10〜2000ニュートンの間、または15〜1000ニュートンの間のドット式T型剥離および、
1)30,000以下のMw、60〜190℃の間のピーク融点、1〜70J/gの融解熱、このポリマーのMzにおいて測定された0.90以下の分岐度(g’)、および190℃において8000mPa・sの溶融粘度、または
2)20,000〜5,000,000のMzおよび60〜150℃のSAFT、または
3)2〜200のMz/Mnおよび4秒以下のセット時間、または
4)20〜50J/gのH(融解熱)、および20,000〜500,000のMzおよび50以下のショア硬度、または
5)1〜50のMw/Mn、190℃において5000mPa・s以下の粘度、または
6)50,000以下のMw、60〜190℃の間のピーク融点、2〜70J/gの融解熱、このポリマーのMzにおいて測定された0.70以下の分岐度(g’)、および190℃において8000mPa・s以下の溶融粘度
を有するPOAを含む。
【0045】
好ましい1つの実施態様では、このPOAは、アモルファス、結晶性および分岐・ブロック分子構造を含む。
【0046】
好ましい1つの実施態様では、このPOAは、少なくとも50重量%のプロピレン、好ましくは少なくとも60%のプロピレン、あるいは少なくとも70%のプロピレン、あるいは少なくとも80%のプロピレンを含む。
【0047】
別の実施態様では、このPOAは、ASTM E 1356により測定した場合、5℃以下、好ましくは0℃以下、あるいは0℃〜−40℃の間、あるいは−5℃〜−40℃の間のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0048】
別の実施態様では、このPOAは、40%以下、あるいは30%以下、あるいは20%以下、あるいは10%〜30%の間の結晶化度を有する。結晶含有%は、ASTM D3417−99による示差走査熱量測定を行って決められた融解熱を用いて計算される。別の実施態様では、本明細書に記載されたポリマーは、5〜40%の間、あるいは10〜30%の間の結晶化度を有する。
【0049】
別の実施態様では、このPOAは、少なくとも50%、あるいは少なくとも60%、あるいは少なくとも70%、あるいは50〜99%の間のアモルファス・ポリマーを有する。アモルファス・ポリマー含有%は、100から結晶含有%を差し引いて決められる。
【0050】
別の実施態様では、このPOAは、少なくとも1.5、好ましくは少なくとも2、好ましくは少なくとも5、好ましくは少なくとも10、あるいは少なくとも20の分子量分布(Mw/Mn)を有する。他の実施態様では、Mw/Mnは、20以下、10以下、あるいは5以下である。分子量分布は、一般に、用いた触媒、および温度、モノマー濃度、触媒比(複数の触媒が使われているならば)、水素の有無などのプロセス条件に左右される。水素は、2重量%まで使えるが、50〜500ppmのレベルで使われるのが好ましい。
【0051】
別の実施態様では、このPOAは、少なくとも2つの分子量画分をしており、これらの画分は、各々、ゲル浸透クロマトグラフィにより測定されたポリマーの分子量に基づいて、2重量%を超え、好ましくは20重量%を超えて存在する。これらの画分は、分子量が異なる2つの集団を観察することによりGPCトレースにおいて特定されうる。1例は、それぞれ、Mw20,000とMw50,000とにピークを示し、ピーク下の面積がいずれもこのポリマーの2重量%を表すGPCトレースである。
【0052】
別の実施態様では、このPOAは、このポリマーの重量に基づいて、20重量%以上(出発ポリマーの重量に基づいて)室温でヘキサンに可溶な画分、および70重量%以下、好ましくは50重量%以下のソックスレ沸騰ヘプタン不溶分を有する。ソックスレ・ヘプタン不溶分は、連続的溶媒抽出技法を用いて試料が分画される場合に得られた画分の1つを指している。これらの分画は、室温溶媒抽出とソックスレ抽出を含む2つの工程で行われる。室温溶媒抽出では、約1グラムのポリマーを50mlの溶媒(例えば、ヘプタン)に溶解し、アモルファス・ポリマーまたは非常に低分子量のポリマーを分離する。この混合物は、室温で約12時間撹拌される。可溶性画分は、真空ろ過により不溶性物質から分離される。この不溶性物質は、次いで、ソックスレ抽出にかける。この操作は、室温から110℃までの沸点を有する種々の溶媒におけるこれらのポリマー画分の溶解度に基づいたポリマー画分の分離を行う。室温溶媒抽出からの不溶性物質は、まず、ヘキサンやヘプタンなどの溶媒を用いて一晩抽出され(ソックスレ)、抽出された物質は溶媒を蒸発させて、残滓の重量を計る。この不溶性の試料は、次いで、ヘプタンなどの比較的沸点の高い溶媒を用いて抽出され、溶媒を蒸発させて、残滓の重量を計る。この不溶分および最終段階からのシンブルは、フード内で空気乾燥され、大部分の溶媒を蒸発させ、次いで、窒素で浄化された真空オーブン内で乾燥される。このシンブルの風袋重量が既知であれば、このシンブルに残った不溶分の量は計算できる。
【0053】
別の実施態様では、これらのPOAは、出発物質の重量に基づいて70重量%以下のヘプタン不溶分を有する。このヘプタン不溶分は、このポリマーのMzにおいて測定した場合0.9(好ましくは0.7)以下の分岐度g’を有する。好ましい1つの実施態様では、これらのPOAは、出発物質の重量に基づいて少なくとも20重量%のヘキサン可溶分も有する。別の実施態様では、これらのPOAは、出発物質の重量に基づいて70重量%以下のヘプタン不溶分、およびヘプタン不溶部分について20,000と5,000,000との間のMzを有する。好ましい1つの実施態様では、これらのPOAは、出発物質の重量に基づいて少なくとも20重量%のヘキサン可溶分も有する。
【0054】
別の実施態様では、このPOAは、プロピレンおよび、15モル%以下のエチレン、好ましくは10モル%以下のエチレン、より好ましくは9モル%以下、より好ましくは8モル%以下、より好ましくは7モル%以下、より好ましくは6モル%以下、より好ましくは5モル%以下、より好ましくは4モル%以下、より好ましくは3モル%以下、より好ましくは2モル%以下、より好ましくは1モル%以下のエチレンを含む。
【0055】
別の実施態様では、このPOAは、5モル%未満、好ましくは4.5モル%未満、好ましくは4.0モル%未満、あるいは3.5モル%未満、あるいは3.0モル%未満、あるいは2.5モル%未満、あるいは2.0モル%未満、あるいは1.5モル%未満、あるいは1.0モル%未満、あるいは0.5モル%未満、あるいは0.25モル%未満、あるいは0モル%のエチレンを含む。
【0056】
第2の触媒により作られた、少なくとも20%の結晶化度を含むポリマーに簡単に言及すると、このポリマーは「半結晶性ポリマー」とも呼ばれ、第1の触媒成分により作られた、5%未満の結晶を有するポリマーは、「アモルファス・ポリマー」と呼ばれる。
【0057】
本発明の別の実施態様では、これらのPOAは、図1に示されたように、特有の3つのゾーンからなる複素粘度−温度パターンを有する。複素粘度の温度依存性は、窒素雰囲気下で20%の変形を伴う10rad/sの振動数、および10℃/分の冷却速度で動作するARES動的機械的分光計を用いて測定された。この試料はまず溶融され、次いで、次第に室温まで徐々に冷却され、その間に複素粘度の増加を監視する。典型的なポリマー加工温度である融点以上の温度で、複素粘度は比較的低く(ゾーンI)、温度の低下と共に次第に増加する。ゾーンIIでは、温度が低下すると複素粘度が急増する。第3ゾーン(ゾーンIII)は、適用(最終用途)温度に対応する比較的低温で現れる高い複素粘度ゾーンである。ゾーンIIIでは、複素粘度は高く、さらに温度が下がるとわずかに変動する。このような複素粘度は、ホットメルト接着剤向けの場合、加工温度における長い開放時間と比較的低温における早いセット時間との望ましい組み合わせを与える。
【0058】
好ましい実施態様では、これらのPOAは、1モル%未満のエチレンを有し、下に記載した炭素13NMRにより測定すると、少なくとも2モル%、好ましくは4モル%、好ましくは6モル%、より好ましくは8モル%、より好ましくは10モル%、より好ましくは12モル%、より好ましくは15モル%、より好ましくは18モル%、より好ましくは5モル%の(CHユニットを有する。
【0059】
別の実施態様では、これらのPOAは、1〜10モル%の間のエチレンを有し、少なくとも2+Xモル%、好ましくは4+Xモル%、好ましくは6+Xモル%、より好ましくは8+Xモル%、より好ましくは10+Xモル%、より好ましくは12+Xモル%、より好ましくは15+Xモル%、より好ましくは18+Xモル%、より好ましくは20+Xモル%の(CHユニットを有する。ここで、Xはエチレンのモル%であり、(CHユニットは下に記載した炭素13NMRにより測定される。
【0060】
好ましい1つの実施態様では、これらのPOAは、1モル%未満のエチレンを有し、下に記載した炭素13NMRにより測定すると、少なくとも3モル%、好ましくは4モル%、好ましくは6モル%、より好ましくは8モル%、より好ましくは10モル%、より好ましくは12モル%、より好ましくは15モル%、より好ましくは18モル%、より好ましくは20モル%の(CHユニットを含むアモルファス成分(この成分は5%未満の結晶化度を有するポリマー組成物のその部分であると規定される)を有する。
【0061】
別の実施態様では、これらのPOAは、1〜10モル%との間のエチレンを有し、少なくとも3+Xモル%、好ましくは4+Xモル%、好ましくは6+Xモル%、より好ましくは8+Xモル%、より好ましくは10+Xモル%、より好ましくは12+Xモル%、より好ましくは15+Xモル%、より好ましくは18+Xモル%、より好ましくは20+Xモル%の(CHユニットを有する。ここで、Xはエチレンのモル%であり、(CHユニットは下に記載した炭素13NMRにより測定される。
【0062】
好ましい1つの実施態様では、これらのPOAは、5モル%未満のエチレンを有し、1つ以上のC3〜C40アルファオレフィンを含むオレフィンのホモポリマーまたはコポリマーを含む。別の好ましい実施態様では、5モル%未満のエチレンを有するPOAは、さらに、1つ以上のジオレフィンコモノマー類、好ましくは1つ以上のC3〜C40ジオレフィン類を含む。
【0063】
好ましい1つの実施態様では、このPOAは、プロピレンホモポリマーまたはコポリマーである。このコモノマーは、好ましくはC4〜C20線状、分岐または環状モノマーであり、1つの実施態様では、C4〜C12線状または分岐アルファオレフィン、好ましくはブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、4−メチルペンテン−1,3−メチルペンテン−1、3,5,5−トリメチルヘキセン−1、などである。エチレンは5モル%以下にて存在する。
【0064】
別の実施態様では、このPOAは、立体特異性および非立体特異性触媒のいずれかにより重合されうる、1つ以上の線状または分岐C3〜C30プロキラル・アルファオレフィン類またはC5〜C30環状構造含有オレフィン類またはそれらの組み合わせコポリマーである。本明細書で使われているプロキラルは、立体特異性触媒を用いて重合した場合にアイソタクチックまたはシンジオタクチック・ポリマーの形成を助長するモノマーを指している。
【0065】
好ましい1つの実施態様では、このPOAは、2つ以上の線状、分岐、環状構造含有、またはこれらの構造の混合物のポリマーである。好ましい線状アルファオレフィン類には、C3〜C8アルファオレフィン類、より好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテン、より一層好ましくはプロピレンまたは1−ブテンがある。好ましい分岐アルファオレフィン類には、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3,5,5−トリメチル−1−ヘキセン、および5−エチル−1−ノネンがある。好ましい芳香族基含有モノマー類は、30個までの炭素原子を含む。適切な芳香族基含有モノマー類は、少なくとも1つの芳香族構造、好ましくは1個から3個の芳香族基、より好ましくは、フェニル、インデニル、フルオレニル、またはナフチル基を含む。この芳香族基含有モノマーは、さらに、重合後芳香族構造がポリマー骨格から吊り下がるような少なくとも1つの重合性二重結合を含む。芳香族基含有モノマーは、さらに、C1〜C10アルキル基を含むがこれらに限定されない1つ以上のヒドロカルビル基で置換される。さらに、2つの隣接置換基が加わって環状構造を形成する。好ましい芳香族基含有モノマー類は、重合性オレフィン部分に付加された少なくとも1つの芳香族構造を含む。特に好ましい芳香族モノマー類には、スチレン、アルファ−メチルスチレン、パラアルキルスチレン類、ビニルトルエン類、ビニルナフタレン、アリルベンゼン、およびインデン、特にスチレン、パラメチルスチレン、4−フェニル−1−ブテンおよびアリルベンゼンがある。
【0066】
非芳香族環状基を含むモノマー類も好ましい。これらのモノマー類は、30個までの炭素原子を含むことができる。適切な非芳香族環状基を含むモノマー類は、好ましくは、環状構造に吊り下がっているか、または環状構造の一部である少なくとも1つの重合性オレフィン基を有する。この環状構造も、さらに、C1〜C10アルキル基を含むがこれらに限定されない1つ以上のヒドロカルビル基で置換される。好ましい非芳香族環状基を含むモノマー類には、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、シクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロブテン、ビニルアダマンタンなどがある。
【0067】
本発明で有用なジオレフィンモノマー類には、少なくとも2つの不飽和結合を有する、好ましくはC4〜C30の炭化水素構造があり、ここで、少なくとも2つの不飽和結合が立体特異性または非立体特異性触媒によりポリマー内に容易に組み込まれる。ジオレフィンモノマー類が、アルファ、オメガ−ジエン・モノマー類(即ちジビニルモノマー類)から選択されることはさらに好ましい。より好ましくは、これらのジオレフィンモノマー類は線状ジビニルモノマー類であり、最も好ましいのは、4から30個までの炭素原子を含むこれらのモノマー類である。好ましいジエン類の例には、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエン、トリデカジエン、テトラデカジエン、ペンタデカジエン、ヘキサデカジエン、ヘプタデカジエン、オクタデカジエン、ノナデカジエン、イコサジエン、ヘネイコサジエン、ドコサジエン、トリコサジエン、テトラコサジエン、ペンタコサジエン、ヘキサコサジエン、ヘプタコサジエン、オクタコサジエン、ノナコサジエン、トリアコンタジエンがあり、特に好ましいジエン類には、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,10−ウンデカジエン、1,11−ドデカジエン、1,12−トリデカジエン、1,13−テトラデカジエン、および低分子量ポリブタジエン類(Mw1000g/モル未満)がある。好ましい環状ジエン類には、シクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、ノルボナジエン、エチリデンノルボルネン、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエンまたは環状構造の種々の位置に置換基があるか、またはないジオレフィン類を含む高級環状体がある。
【0068】
好ましい実施態様では、このPOA中に組成物の総重量に基づいて、1つ以上のジエン類が、10重量%まで、好ましくは0.00001〜1.0重量%、好ましくは0.002〜0.5重量%、より一層好ましくは0.003〜0.2重量%の範囲で存在する。いくつかの実施態様では、500ppm以下、好ましくは400ppm以下、好ましくは300ppm以下のジエンが重合に加えられる。他の実施態様では、少なくとも50ppm、または100ppm以上、または150ppm以上のジエンが重合に加えられる。
【0069】
好ましい実施態様では、このポリマーはホモポリプロピレンである。別の好ましい実施態様では、このPOAは、プロピレン、5モル%未満のエチレン、および少なくとも1つのジビニル・コモノマーを含む。
【0070】
本明細書に記載されたこれらのPOAは、
1)選択された反応条件下で、100,000以下のMwおよび10J/g以下の融解熱を有するポリマーを製造しうる第1の触媒成分を選択し、
2)選択された反応条件下で、100,000以下のMwおよび20%以上の結晶化度を有するポリマーを製造しうる第2の触媒成分を選択し、および
3)反応ゾーンにおいて、1つ以上の活性剤の存在下でこれらの触媒成分を1つ以上のオレフィン類と接触させる、
ことを含むプロセスにより作られる。
【0071】
本明細書に記載されたこれらのPOAは、
1)100,000以下のMwおよび10J/g以下の融解熱を有するポリマーを製造しうる第1の触媒成分を選択し、
2)100,000以下のMwおよび20%以上の結晶化度を有するポリマーを製造しうる第2の触媒成分を選択し、
3)反応ゾーンにおいて、1つ以上の活性剤の存在下でこれらの触媒成分を1つ以上のオレフィン類および1つ以上のジエン類と接触させる、
ことを含むプロセスにより作られる。
【0072】
本明細書に記載されたこれらのPOAは、
1)反応性末端基を有するマクロモノマー類を重合しうる、100,000以下のMwおよび10J/g以下の融解熱を有するポリマーを製造しうる第1の触媒成分を選択し、
2)反応性末端基、100,000以下のMwおよび20%以上の結晶化度を有するマクロモノマー類を重合しうる第2の触媒成分を選択し、および
3)反応ゾーンにおいて、1つ以上の活性剤の存在下でこれらの触媒成分を1つ以上のオレフィン類および随意にジオレフィンと接触させる、
ことを含むプロセスにより作られる。
【0073】
本明細書に記載されたこれらのPOAは、
1)反応性末端基を有するマクロモノマー類を重合しうる、50,000以下のMwおよび10J/g以下の融解熱を有するポリマーを製造しうる第1の触媒成分を選択し、
2)反応性末端基、30,000以下のMwおよび20%以上の結晶化度を有するマクロモノマー類を重合しうる第2の触媒成分を選択し、
3)反応ゾーンにおいて、1つ以上の活性剤の存在下でこれらの触媒成分をプロピレンおよび随意に他のオレフィン類と接触させる、
ことを含むプロセスにより作られる。
【0074】
これらのPOAは、
1)選択された反応条件下で、100,000以下、好ましくは80,000以下、好ましくは60,000以下のMwおよび5%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下の結晶化度を有するポリマーを製造しうる第1の触媒成分を選択し、
2)選択された反応条件下で、100,000以下、好ましくは80,000以下、好ましくは60,000以下のMwおよび30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上の結晶を有するポリマーを製造しうる第2の触媒成分を選択し、
3)選択された反応条件下で、1つ以上の活性剤の存在下でこれらの触媒成分を1つ以上のC3〜C40オレフィン類、好ましくは1つ以上のC3〜C12オレフィン類、好ましくはC3および1つ以上のC3〜C20コモノマー類、および随意に1つ以上のジオレフィン類、好ましくはC4〜C20ジエンと接触させ、
4)100℃を超えた、好ましくは105℃を超えた、より好ましくは110℃を超えた、より好ましくは115℃を超えた温度において、
5)120分以下、好ましくは50分以下、好ましくは40分以下、好ましくは30分以下、好ましくは25分以下、より好ましくは20分以下、より好ましくは15分以下、より好ましくは10分以下、より好ましくは5分以下の、または交互に12分と60分との間の滞留時間において、
6)第1触媒対第2触媒の比は、1:1〜50:1、好ましくは1:1〜40:1、より好ましくは1:1〜30:1であり、
7)触媒混合物gあたり生成するポリマーの重量で表す触媒成分の活性は、少なくとも3kg、好ましくは少なくとも50kg、より好ましくは少なくとも100kg、より好ましくは少なくとも200kg、より好ましくは少なくとも300kg、より好ましくは少なくとも400kg、より好ましくは少なくとも500kgであり、オレフィン類の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%がポリマーに変換される、
ことを含む連続プロセスにより作られる。
【0075】
別の実施態様では、オレフィン類の少なくとも20%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは60%以上、より好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは95%以上がポリマーに変えられる。
【0076】
好ましい実施態様では、上に記載したプロセスは、溶液相、スラリーまたは塊状重合プロセスで起きる。
【0077】
連続とは、中断または停止なしに動作する(または動作することを意図する)システムを意味する。例えば、ポリマーを製造する連続プロセスは、反応物が1つ以上の反応機に連続的に導入され、ポリマー製品が連続的に抜き出されるプロセスである。
【0078】
別の好ましい1つの実施態様では、上に記載されたプロセスにおける反応物の濃度の変動は、滞留時間の間に反応ゾーンにおいて20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。好ましい1つの実施態様では、モノマーの濃度は、反応ゾーンにおいて滞留時間の間一定である。モノマーの濃度は、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下で変動するのが好ましい。
【0079】
好ましい1つの実施態様では、触媒成分の濃度は、反応ゾーンにおいて滞留時間の間一定である。モノマーの濃度は、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下で変動するのが好ましい。
【0080】
好ましい1つの実施態様では、活性剤の濃度は、反応ゾーンにおいて滞留時間の間一定である。モノマーの濃度は、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下で変動するのが好ましい。
【0081】
別の好ましい実施態様では、上に記載されたプロセスに第3の触媒が存在しうる。この第3の触媒は、本明細書のリストに載せられた触媒成分のいずれかである。好ましい第3の触媒には、ワックス類を製造しうる触媒がある。他の好ましい第3の触媒は、本明細書に記載されたいずれかの触媒を含むことができる。この種のマクロモノマーを重合しうる触媒と組み合わせて使われる、反応性末端基を有する種々のマクロモノマーを製造するために2つ以上の触媒を選択することができる。また、マクロモノマー類を重合することができる2つ以上の触媒および反応性末端基を有するマクロモノマー類を製造できる1つの触媒を選択することもできる。同様に、同じ反応条件下で種々のポリマーを製造する3つの触媒を選択することもできる。例えば、いく分結晶性のポリマーを製造する触媒、結晶性の高いポリマーを製造する触媒、およびアモルファス・ポリマーを製造する触媒を選択することができ、これらの触媒のいずれかが反応性末端基を有するマクロモノマーを製造するか、または反応性末端基を有するポリマー類を重合することができる。同様に、結晶性ポリマーを製造する触媒およびアモルファス・ポリマーを製造する触媒を選択することができ、これらの触媒のいずれかが反応性末端基を有するマクロモノマー類を製造し、または反応性末端基を有するポリマー類を重合することができる。同様に、いく分結晶性のポリマーを製造する触媒、ワックスを製造する触媒およびアモルファス・ポリマーを製造する触媒を選択することができ、これらの触媒のいずれかが反応性末端基を有するマクロモノマー類を製造するか、または反応性末端基を有するポリマー類を重合することができる。
【0082】
反応ゾーンは、活性化された触媒とモノマー類が反応するエリアを意味する。
【0083】
反応性末端基を有するマクロモノマー類は、12個以上の炭素原子(好ましくは20個以上、より好ましくは30個以上、より好ましくは12個〜8000個の間の炭素原子)を有するポリマーおよび成長中のポリマー鎖内に重合されうるビニル、ビニリデン、ビニレンまたは他の末端基を有するポリマーを意味する。反応性末端基を有するマクロモノマーを重合できることは、触媒成分が反応性末端基を有するマクロモノマー(エチレンまたはプロピレンなどの典型的なシングルのモノマーよりも大きな分子である)を成長中のポリマー鎖内に組み込めることを意味している。ビニル末端鎖は、一般に、ビニレンまたはビニリデン末端鎖よりも反応性が高い。
【0084】
特定の1つの実施態様では、POAは、同じ重合媒体中に少なくとも1つの立体特異性触媒系と少なくとも1つの他の触媒系との存在下で、1つ以上のC以上のアルファオレフィン類および/または1つ以上のジビニルモノマー類、および随意に5モル%のエチレンを共重合することにより製造される。この重合は、両触媒の存在下で同時に行われるのが好ましい。そのようにして製造されたポリマーは、アモルファス・ポリマーのセグメントと結晶性ポリマーのセグメントを含み、そのポリマー内では少なくともいくつかのセグメントが結合されている。通常、アモルファスおよび結晶性の両ポリマーセグメントは、1つ以上のアルファオレフィン類(随意に5モル%までのエチレンを含む)および/または少なくとも2つのオレフィン系不飽和結合を有する1つ以上のモノマー類のコポリマーである。これら両方の不飽和結合は、本発明による混合触媒系において両触媒により製造されたポリマーセグメント内にジオレフィンが組み込まれるように、第1または第2いずれかの触媒系を用いた配位重合に適しており、配位重合による成長中のポリマー鎖に容易に組み込まれる。好ましい1つの実施態様では、少なくとも2つのオレフィン系不飽和結合を有するこれらのモノマー類は、ジオレフィン類、好ましくはジビニル系モノマー類である。ポリマーセグメントの混合物の少なくとも一部の架橋は、2つのポリマーセグメント内に一部のジビニル系コモノマー類の組み込みによるこの組成物の重合中に達成され、これらのセグメント間に架橋を生じると考えられている。
【0085】
別の実施態様では、アモルファスおよび半結晶性成分を含むこれらのPOAは、所望の特性バランスを得るために単一反応機で作られる。特に、aPP−g−scPP分岐構造は、好ましい供給原料としてプロピレンおよび混合触媒を用いて連続溶液反応機内でその場で製造される。1つの実施態様では、半結晶性PPマクロモノマー類を製造するために立体特異性架橋ビスインデニル4族触媒が選択される。(元素の周期律表に関するすべての言及はケミカルアンド・エンジニアリングニュース(Chemical and Engineering Nws),63(5),27,1985で発表された新しい表記法にならっている。)架橋モノシクロペンタジエニル・ヘテロ原子4族触媒は、半結晶性マクロモノマー類(scPP)の一部を同時に組み込みながら、アモルファスPP(aPP)の骨格を作るために使われる。これは、aPP−g−scPP構造を製造すると考えられ、「−g−」はポリマータイプが少なくとも一部グラフトされていることを示している。触媒、重合反応条件を選択することにより、および/またはジエン変性剤を導入することにより、アモルファスおよび結晶性成分を一緒に結合して種々の分岐ブロック構造を製造することができる。成長中のポリマー鎖に効果的に組み込むために、ビニル末端基を有するマクロモノマーが好ましい。他のタイプのポリマー鎖末端不飽和基(ビニレンおよびビニリデン)も使うことができる。理論により束縛されることは望ましくないが、分岐ブロックコポリマーは、scPPマクロモノマーに由来する結晶性側鎖を有するアモルファス骨格を含むと考えられている。この側鎖は、アイソタクチックまたはシンジオタクチックのポリプロピレンのいずれかを作るのに適した触媒を用いた溶液重合条件下で作ることができる、ポリプロピレン・マクロモノマー類であると考えられている。
【0086】
所望のポリマー種(即ち、100,000以下のMwおよび70J/g以下の融解熱を有するポリマー、または100,000以下のMwおよび40%以下の結晶化度を有するポリマー)を製造することができるあらゆる触媒混合物が、本発明を実施する場合に使われる。
【0087】
機能性成分
通常、機能化されるべき成分は、フリーラジカル開始剤およびグラフト化モノマーまたは他の官能基を含む化合物(マレイン酸または無水マレイン酸)と組み合わせ、このモノマーをポリマー、コポリマー、オリゴマーと共に加熱して反応させ機能性成分を形成する。ポリマーを機能化する技術分野には多数の方法が存在し、ここで記載されたポリマーと共に使われる。これらの方法には、選択酸化、フリーラジカル・グラフト化、オゾン分解、エポキシ化などがあるが、これらに限定されない。
【0088】
好ましい機能性成分は、1000〜20,000、好ましくは2000〜15,000、より好ましくは3000〜10,000のMwを有する。
【0089】
本発明で使用する適切な機能性成分の例には、機能性オレフィンポリマー(機能性C2〜C40ホモポリマー、機能性C2〜C40コポリマー、機能性高分子量ワックス類)、機能性オリゴマー類(機能性低分子量ワックス類、機能性粘着付与剤)、ベータ核化剤およびこれらの組み合わせがあるが、これらに限定されない。
【0090】
本発明で有用な機能性オレフィンポリマーおよびコポリマーには、マレイン酸化ポリエチレン、マレイン酸化メタロセン・ポリエチレン(本明細書に記載されたように機能化したテキサス州ヒューストンのエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)から入手できるEXACTおよびEXCEEDなど)、マレイン酸化メタロセン・ポリプロピレン(本明細書に記載されたように機能化したテキサス州ヒューストンのエクソンモービル・ケミカル社から入手できるACHIEVEなど)、マレイン酸化エチレンプロピレン・ゴム、マレイン酸化ポリプロピレン、マレイン酸化エチレンコポリマー(テキサス州ヒューストンのエクソンモービル・ケミカル社によるEXXELOR商標、特にEXXELOR VA 1801、1803、1840およびEXXELOR PO 1015および1020)、機能性ポリイソブチレン(通常、無水マレイン酸により機能化されて、通常、無水こはく酸を形成する)などがある。
【0091】
本明細書で機能性成分として有用な好ましい機能性ワックス類には、アルコール、酸、ケトン、無水物などで変性されたものがある。好ましい実施態様には、メチルケトン、無水マレイン酸またはマレイン酸により変性されたワックス類がある。本明細書で有用な好ましい機能性ワックス類には、商品名MAPP40としてチューセイ(Chusei)から入手できるマレイン酸化ポリプロピレン、マレイン酸化メタロセンワックス類(ドイツ・アウグスブルクのクラリアント(Clariant)から入手できるTP LICOCENE PP1602のような)、商品名EPOLENE C−16、EPOLENE C−18、EPOLENE E43、EPOLENE G−3003としてテネシー州キングスポートのイーストマン・ケミカル(Eastman Chemical)から入手できるマレイン酸化ポリプロピレンワックス類、クラリアントから入手できるマレイン酸化ポリプロピレンワックスLICOMONT AR504、商品名AMPLIFY EA100、AMPLIFY EA102、AMPLIFY 103、AMPLIFY GR202、AMPLIFY GR205、AMPLIFY GR207、AMPLIFY GR208、AMPLIFY GR209、AMPLIFY VA200としてダウケミカル社(Dow Chemical Co、)から入手できるグラフト化機能性ポリマー、商品名CERAMER 1608、CERAMER 1251、CERAMER 67、CERAMER 24としてベーカーヒューズ(Baker Hughes)から入手できるマレイン酸化エチレンポリマー類、およびエチレン・メチルアクリレートコポリマー類およびターポリマー類がある。
【0092】
有用なワックス類には、15,000以下、好ましくは3000〜10,000のMwおよび5%以上、好ましくは10%以上の結晶化度および10重量%までの官能基(好ましくは無水マレイン酸)含有量を有するポリプロピレン・ワックス類がある。
【0093】
本明細書で機能性成分として使用するのに好ましい機能性ポリマー類には、さらに、ハネーウエル(Honeywell)から入手できるA−C X596A、A−C X596P、A−C X597A、A−C X597P、A−C X950P、A−C X1221、A−C 395A、A−C 395A、A−C 1302P、A−C 540、A−C 54A、A−C 629、A−C 629A、およびA−C 307、A−C 307Aがある。
【0094】
好ましい機能性ポリマー類は、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%の結晶化度を有する。
【0095】
ベーカーヒューズから入手できるUNILIN長鎖アルコール類も、特にUNILIN350、UNILIN425、UNILIN550、およびUNILIN700は、本明細書の機能性成分として有用である。
【0096】
ベーカーヒューズから入手できるUNICID線状1級カルボン酸類も、特にUNICID350、UNICID425、UNICID550およびUNICID700は、本明細書の機能性成分として有用である。
【0097】
本発明で機能性成分として使われる好ましい機能性炭化水素樹脂類には、国際公開第03/025084号、国際公開第03/025037号、国際公開第03/025036号および欧州特許出願公開第1,295,926号があり、これらの特許は引用により本明細書に組み込まれる。
【0098】
好ましい実施態様では、炭化水素樹脂は、少なくとも1つの二重結合および少なくとも1つのカルボニル基を含む不飽和酸類または無水物類を用いて機能化され、本発明の機能性成分として使われる。機能化されうる好ましい炭化水素樹脂類は、粘着付与剤として下に記載される。代表的酸類には、カルボン酸類、無水物類、エステル類およびこれらの金属性と非金属性との両方の塩類がある。この有機化合物は、カルボニル基(−C=O)と共役したエチレン系不飽和基を含むのが好ましい。例には、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、アルファメチルクロトン酸、および桂皮酸類、並びにこれらの無水物類、エステル類および塩誘導体がある。特に好ましい官能基には、マレイン酸および無水マレイン酸がある。無水マレイン酸が特に好ましい。不飽和酸または無水物は、炭化水素樹脂および不飽和酸または無水物の重量に基づいて、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約0.5重量%〜約7重量%、より一層好ましくは約1〜約4重量%の範囲で存在するのが好ましい。好ましい1つの実施態様では、不飽和酸または無水物は、不飽和カルボン酸、およびエステル類、イミド類、アミド類、無水物類および環状酸無水物類またはこれらの混合物からなる群から選択される不飽和カルボン酸誘導体を含む。
【0099】
しかし、いくつかの実施態様では、機能性成分は、機能性炭化水素樹脂を含まない。いくつかの実施態様では、機能性炭化水素樹脂は、この接着剤の重量に基づいて、5重量%以下、好ましくは4重量%以下、好ましくは3重量%以下、好ましくは2重量%以下、好ましくは1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、好ましくは0.01重量%以下、好ましくは0.001重量%以下にて存在する。いくつかの好ましい実施態様では、機能性炭化水素樹脂は、この接着剤中に存在しない。
【0100】
本発明で有用なベータ核化剤には、
(1)次の化学式のアミド化合物
−NHCO−R−CONH−R(1)
式中、Rは、C3〜C26飽和または不飽和脂肪族ジカルボン酸、C6〜C30飽和または不飽和脂環式ジカルボン酸またはC8〜30芳香族ジカルボン酸の2つのカルボキシル基の脱離により形成された残基であり、RおよびRは、同じか異なり、各々はC3〜18シクロアルキル基、C3〜12シクロアルケニル基、または置換または非置換のフェニルまたはシクロヘキシル基を表し、
(2)次の化学式のアミド化合物
−NHCO−R−CONH−R10(2)
式中、RはC1〜24飽和または不飽和脂肪族ジアミン、C4〜28脂環式ジアミン、C4〜14複素環ジアミンまたはC6〜28芳香族ジアミンの2つのアミノ基の脱離により形成された残基であり、RおよびR10は、同じか異なり、各々はC3〜12シクロアルキル基、C3〜12シクロアルケニル基、または置換または非置換のフェニルまたはシクロヘキシル基を表し、
(3)次の化学式のアミド化合物
16−NHCO−R15−CONH−R17(3)
式中、R15はC2〜29飽和または不飽和脂肪族アミノ酸、C7〜13飽和または不飽和脂環式アミノ酸、またはC7〜15芳香族アミノ酸の1つのアミノ基および1つのカルボキシル基の脱離により形成された残基であり、R16およびR17は、同じか異なり、R16は化学式(2)のRまたはR10はと同じ意味を有し、R17は化学式(1)のRまたはRと同じ意味を有する、
からなる群から選択されるアミド化合物がある。
【0101】
本発明において有用な好ましいベータ核化剤には、N,N’−ジフェニルヘキサンジアミド、N,N’−ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド、N,N’−ジシクロヘキサンカルボニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジベンゾイル−1,5−ジアミノナフタレン、N,N’−ジベンゾイル−1,4−ジアミノシクロヘキサンまたはN,N’−ジシクロヘキサンカルボニル−1,4−ジアミノシクロヘキサン、N−シクロヘキシル−4−(N−シクロヘキシルカルボニルアミノ)ベンズアミド、N−フェニル−5−(N−ベンゾイルアミノ)ペンタンアミド、ソルビトール、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、亜鉛、3,5−ジ−t−ブチルサリシレート、2−ナフトエ酸、フェニル酢酸、テレフタル酸、アントラル酸、3、3−ジフェニルプロピオン酸、テトラブチル・アンモニウムクロライド、ナフタル酸、ベンゾイン、アスコルビン酸、アジピン酸、テトラブチル・ベンゾエート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、4−ドデシルベンゼンスルホン酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、ジフェン酸、4−イソプロピル安息香酸、Millad 3988tm、ネオデカン酸、アビエチン酸、安息香酸ナトリウム、無水こはく酸、フェノール、安息香酸、ベンジルアルコール、ベンジルアミン、アルキル置換こはく酸塩類(好ましくは、C10〜C40アルキル置換こはく酸塩類)、置換ジ(ベンジリデン)−D−ソルビトール類、1,3:2,4−ジ(ベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、赤色キナクリドン染料がある。
【0102】
本発明において有用な好ましいベータ核化剤には、米国特許第5,231,126号に記載された薬剤、即ちジャーナル・オブ・フィジカルケミストリー(J.Phys.Chem.)B.2002,106,5852〜5858、モダーン・プラスチックス(Modern Plastics),1998年9月,82頁に記載された単一壁のカーボン・ナノチューブがある。
【0103】
本発明において有用な好ましいベータ核化剤には、ベータ・スフェルライト核化剤がある。引用により本明細書に組み込まれている米国特許第4,975,469号およびこの特許で引用された文献は、キナクリドン着色剤のガンマ結晶形、オルソフタル酸のビナトリウム塩、6−キニザリン・スルホン酸のアルミニウム塩、および重要性は劣るがイソフタル酸およびテレフタル酸などのベータ・スフェルライト核化剤を開示している。これらの核化剤は、通常、粉末固体の形で使われる。ベータ・スフェルライトを効率的に製造するためには、この核化剤の粉末粒子は、直径5ミクロン未満、好ましくは直径1ミクロン程度にすべきである。本発明のポリマー組成物で使われる好ましいベータ・スフェルライト核化剤は、キナクリドン着色剤のガンマ結晶形である。キナクリドン着色剤の1つの形は、以後、米国特許第4,975,469号に示された構造を有する「Q染料」とも呼ばれる、赤色キナクリドン染料である。
【0104】
好ましい実施態様では、ベータ核化剤は、ブレンドの重量に基づいて、5重量%まで、好ましくは0.1〜3重量%、好ましくは0.1〜2重量%、好ましくは0.01〜10ppmの範囲で接着剤中に存在する。
【0105】
ベータ核化およびベータ核化剤に関するより詳しい情報については、エドワード・P.ムーア(Edward P.Moore)編,プロピレン・ハンドブック(Propylene Handbook),ハンサー・パブリッシャーズ(Hanser Publishers),ニューヨーク,1996のp.137〜138(およびその中で引用された文献)を参照のこと。
【0106】
ポリマー類、コポリマー類、オリゴマー類などおよびこれらのブレンドは、本明細書ではグラフト共重合とも呼ばれる、好ましくは官能基のラジカル共重合を用いて、官能基がこれらのポリマー類にグラフトされるように、本発明で使用するために機能化される。機能性ポリマー、コポリマー、オリゴマー、炭化水素樹脂などである最終結果は、本明細書ではAA−g−XXとして略記され、AAは機能化される特定のタイプのポリマー、コポリマー、オリゴマーまたは炭化水素樹脂を表し、XXは官能基または化合物を意味し、これらを用いてこのポリマーは機能化され、−g−は2つの部分の間のグラフト化を表している。
【0107】
好ましい官能基には、1つ以上のヘテロ原子および/または1つ以上の不飽和基を含む、重量平均分子量が1000以下、好ましくは750以下である化合物が含まれる。官能基が無水マレイン酸などのヘテロ原子を含む化合物であることは好ましい。好ましい官能基には、有機酸類、有機アミド類、有機アミン類、有機エステル類、有機無水物類、有機アルコール類、有機酸ハライド類(酸クロライド類、酸ブロマイド類など)、有機過酸化物類、およびこれらの塩類がある。
【0108】
本発明で有用な好ましい官能基の例にはカルボン酸類などのカルボニル基を含む化合物、不飽和カルボン酸類のエステル類、酸無水物類、ジエステル類、塩類、アミド類、イミド類、芳香族ビニル化合物類、加水分解性不飽和シラン化合物類および不飽和ハロゲン化炭化水素類がある。
【0109】
本発明で有用な特に好ましい官能基の例には、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水2−メチルマレイン酸、無水2−クロロマレイン酸、無水2,3−ジメチルマレイン酸、ビシクロ[2、2、1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物および4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、クロトン酸、ビシクロ(2.2.2)オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、1,2,3,4,5,&g,lo−オクタヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸無水物、2−オキサ−1,3−ジケトスピロ(4.4)ノン−7−エン、ビシクロ(2.2.1)ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、マレオピマリン酸、無水テトラヒドロフタル酸、ノルボルン−5−エン−2、3−ジカルボン酸無水物、無水ナド酸、無水メチルナド酸、無水ハイミック酸、無水メチルハイミック酸、およびx−メチル−ビシクロ(2.2.1)ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物(XMNA)があるが、これらに限定されない。
【0110】
本発明で有用な不飽和カルボン酸のエステル類の例には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートおよびブチルメタクリレートがある。
【0111】
本発明において官能基として有用な加水分解性不飽和シラン化合物の例には、この化合物が、ビニル基に結合した加水分解性シリル基および/またはアルキレン基を介してビニル基に結合した加水分解性シリル基を有するようなラジカル重合性不飽和基およびアルコキシシリル基またはその分子内のシリル基、および/またはアクリル酸、メタクリル酸のエステルまたはアミドに結合した加水分解性シリル基を有する化合物がある。これらの例には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(ベータメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ガンマメタクリルオキシ・プロピルトリメトキシシラン、モノビニルシランおよびモノアリルシランがある。
【0112】
本発明において官能基として有用な不飽和ハロゲン化炭化水素類の例には、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンがある。
【0113】
好ましい1つの実施態様では、機能性成分にはプロピレンがあり、機能性成分は無水マレイン酸(MA)によりグラフト化され、無水マレイン酸グラフト・ポリプロピレンコポリマーを作り、無水マレイン酸はこのポリマー組成物のポリマー鎖に共有結合している。プロピレンコポリマーにグラフトされた無水物機能性は、無水物として残り、酸官能基に酸化され、および/または当該分野で周知のプロセスによりさらに反応してアミド類、アミン類などの他の官能基を誘起する。
【0114】
グラフト共重合において使われるラジカル開始剤の好ましい例には、ベンゾイル・パーオキサイド、メチルエチルケトン・パーオキサイド、シクロヘキサノン・パーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピル・カーボネート、ジ−t−ブチルパーフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメン・ヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイドおよびジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物がある。
【0115】
このようにして、本発明の機能性ポリマーは、ラジカル開始剤の存在下、ラジカル開始剤の分解温度またはその近くの温度で、ポリマーおよびラジカル重合性官能基を加熱することにより得られる。
【0116】
いくつかの実施態様では、使用されるべき官能基の量に対する特別な制約はなく、従って、本発明を実施する場合、機能性ポリマー、例えば、アイソタクチック・ポリプロピレンの場合の普通の条件が使える。いくつかの場合には、共重合の効率は比較的高いので、官能基の量は少なくてもよい。1つの実施態様では、ポリマー、コポリマーまたはオリゴマー内に組み込まれるべき官能基の量は、ポリマーの総重量について約0.001〜50重量%の範囲が好ましい。好ましい実施態様では、ポリマー、コポリマーまたはオリゴマー内に組み込まれるべき無水マレイン酸の量は、ポリマーの総重量について約0.001〜50重量%の範囲が好ましい。
【0117】
ラジカル開始剤は、官能基の重量に基づいて0.00001から10重量%までの比で使われるのが好ましい。加熱温度は、反応が溶媒の存在下で行われるか否かに左右されるが、通常約50℃〜350℃の範囲である。加熱温度が50℃未満の場合は、反応が遅く、従って効率が低い。350℃を超えると、PPコポリマーの分解が起きるおそれがある。機能性成分は、溶媒ベースの機能化プロセスを用いて、および/または溶媒なしのメルトをベースにした機能化プロセスを用いて官能基により機能化される。
【0118】
溶媒ベースのプロセスでは、2〜20個の炭素原子を有するハロゲン化炭化水素、芳香族化合物、ハロゲン化芳香族化合物、アルキル置換芳香族化合物、環状炭化水素、および/またはラジカルに対して安定である6〜20個の炭素原子を有する炭化水素の存在下で、0.1〜50重量%の濃度を有する溶液またはスラリーの形のポリマーを用いて行われる。
【0119】
溶媒なしのメルトをベースにした機能化プロセスを用いた機能化プロセスでは、反応は、押出し機のような装置の中で溶媒なしで行われる。押出し機は、粘度の高いポリマーの間の物理的接触を十分作り出すことができる。後者の場合、通常、反応は、溶液状態における反応と比べて比較的高温で行われる。
【0120】
本明細書に記載したポリマーの場合に使われる、ポリマーを機能化する他の方法には、溶液またはスラリー(即ち、溶媒を用いる)、またはメルトにおける(即ち、溶媒なし)、選択酸化、オゾン分解、エポキシ化などがあるが、これらに限定されない。
【0121】
機能性成分は、本明細書に記載されたように機能化された単一ポリマーでもよい。別の実施態様では、本発明の機能性成分は、単一プロセスの間に一緒に機能化されるポリマーのブレンドでもよい。本発明の機能性成分は、個別に機能化された後に一緒にされたものでもよいし、複数の機能性成分の組み合わせでもよい。
【0122】
本発明では、グラフト重合(ポリマーのグラフト化)は水性媒体中で行うことができる。この場合、分散剤が使われ、分散剤の例には、鹸化されたポリ酢酸ビニル、ヒドロキシエチル・セルロースおよびヒドロキシプロピル・セルロースなどの変性セルロース類、およびポリアクリル酸およびポリメタクリル酸などのOH基含有化合物がある。さらに、普通の水性懸濁重合において使われる化合物も広く使われる。
【0123】
この反応は、ポリマー、水に不溶性のラジカル重合性モノマー、水に不溶性のラジカル開始剤および/または分散剤を水に懸濁させ、次いで、この混合物を加熱して行われる。ここで、水と、ラジカル重合性モノマー(即ち、官能基)とPPコポリマーの和の比は、好ましくは1:0.1〜1:200、より好ましくは1:1〜1:100である。ラジカル開始剤の半減期が好ましくは0.1〜100時間、より好ましくは0.2〜10時間になるような温度であり、好ましくは30℃〜200℃、より好ましくは40℃〜150℃である。加熱工程では、この混合物は懸濁状態になるように十分撹拌するのが好ましい。このようにして、グラフトポリマー(即ち、機能性成分)が顆粒として得られる。
【0124】
水に不溶性のモノマーとポリマーの重量比は、1:0.1〜1:10,000が好ましく、ラジカル開始剤と水に不溶性のモノマーの重量比は0.00001〜0.1の範囲になる。機能性成分における水に不溶性のモノマーの比は、その使用に左右されるが、このモノマーの量は、このグラフトコポリマーの重量に基づいて0.1〜200%になる。
【0125】
得られた機能性成分は、官能基ユニットの使用または用途に応じて、このポリマーの重量に基づいて0.1〜50重量%の範囲で所望の量のラジカル重合性官能基ユニットを含むのが好ましい。ラジカル重合性官能基ユニットの含有量が50重量%を超える場合は、この特定のポリマーは固有の物理的特性を発揮できず、上記低限界未満の場合は、グラフトコポリマーとしての物理的特性は得られないようである。
【0126】
さらに、機能性成分の導入により得られた本発明の組成物内の両立効果は、グラフト化のレベルにより影響を受ける可能性がある。1つの実施態様では、ポリマー、コポリマー、オリゴマーなどが機能化(例えば、グラフト化)されてポリマー骨格内に付着および/または組み込まれた約0.001重量%以上の官能基を含む。このポリマーは、より高度にグラフト化され、機能化される可能性もある。機能化のレベル(例えば、グラフト化レベル)は、約50重量%未満、好ましくは約45重量%未満、好ましくは約40重量%未満、好ましくは約35重量%未満、好ましくは約30重量%未満、好ましくは約25重量%未満、好ましくは約20重量%未満、好ましくは約15重量%未満、好ましくは約10重量%未満、好ましくは約9重量%未満、好ましくは約8重量%未満、好ましくは約7重量%未満、好ましくは約6重量%未満、好ましくは約5重量%未満、好ましくは約4重量%未満、好ましくは約3重量%未満、好ましくは約2重量%未満、好ましくは約1.5重量%未満、好ましくは約1重量%未満、好ましくは約0.5重量%未満である。
【0127】
好ましい実施態様において、このブレンドは、POAおよび機能性シンジオタクチック構造に富むC3〜C40ホモポリマーを含み、この組成物は、さらにより好ましくは、機能性シンジオタクチック構造に富むポリプロピレン(srPP)を含む。
【0128】
単純にするために、シンジオタクチック構造に富むポリマー類は、本明細書では単にシンジオタクチック・ポリマーと呼ぶこともある。本明細書で使用するのに適したシンジオタクチック・ポリマー類は、不斉炭素原子の左右の立体配置を有するモノマー配置が、マクロ分子主鎖において互いに交互に且つ規則的につらなるユニークな立体化学構造を有する。シンジオタクチック・ポリプロピレンの例には、3塩化チタンおよびジエチル・アルミニウムモノクロライドから作られた触媒を用いて得られた米国特許第3,258,455号に記載されているものがある。米国特許第3,305,538号は、シンジオタクチック・ポリプロピレンを製造するために有機アルミニウム化合物と組み合わせたバナジウム・トリアセチルアセトネートまたはハロゲン化バナジウム化合物を対象にしている。米国特許第3,364,190号は、シンジオタクチック・ポリプロピレンを製造するために微粉砕された3塩化チタンまたはバナジウム、塩化アルミニウム、トリアルキルアルミニウムおよびリン含有ルイス塩基から構成された触媒系を対象にしている。
【0129】
シンジオタクチック・ポリプロピレンの構造および特性は、アイソタクチック・ポリプロピレンの構造および特性とはかなり異なっている。アイソタクチック構造は、通常、3級炭素原子の同じ立体配置を有するモノマーユニットの長い配列を有すると記載されている。フィッシャ投影式を用いると、アイソタクチック・ポリプロピレンの立体化学配列は、次のように説明される。
【0130】
このポリマーの主鎖を貫通する仮想的な面の同じ側の連続モノマーユニットの3級炭素原子に、メチル基が結合し、例えば、メチルはすべて、この面の上または下にある。この構造を説明する別の方法は、NMRを使用する方法で、この方法ではアイソタクチック・ペンタッドは、...mmmmm...であり、各「m」は「メソ」ダイアッドまたはこの面の同じ側にある連続的メチル基を表している。ポリマー鎖の構造に何らかの逸脱または反転があると、アイソタクチッシティの度合い、従ってポリマーの結晶度が下がる。
【0131】
アイソタクチック構造とは対照的に、シンジオタクチック・ポリマー類は、モノマーユニットの長い配列が3級炭素原子の交互相対配置を有するポリマー類である。フィッシャの投影式を用いると、シンジオタクチック・ポリマーの構造は下記のように表される。
【化1】

【0132】
ポリマー鎖において連続的モノマーユニットの3級炭素原子に結合したメチル基は、このポリマーの面の交互の側にある。
【0133】
NMR命名法では、このペンタッドは...rrrrr...として記述され、各「r」は「ラセミ」ダイアッド、即ち、この面の交互の側にある連続メチル基を表す。ポリマー鎖中のrダイアッドの%が、このポリマーのシンジオタクチシティの度合いを決める。シンジオタクチック・ポリマー類は、結晶性であるものもあり、キシレンに不溶性であることからアイソタクチック・ポリマー類に似ているものもある。この結晶性が、キシレンに可溶であるアタクチック・ポリマーからシンジオタクチックおよびアイソタクチックのポリマーの両方を区別する。アタクチック・ポリマーは、ポリマー鎖において規則的な順番の反復ユニットの配置を示さない。
【0134】
シンジオタクチック・ポリマーの製作および組成
シンジオタクチック構造に富むポリプロピレンを製造しうる触媒には、米国特許第5,476,914号、第6,184,326号、第6,245,870号、第5,373,059号、第5,374,685号、および第5,326,824号で開示された触媒がある。
【0135】
プロピレンの他に、シンジオタクチック構造に富むポリマーには、エチレン(C)およびC〜C40を含むベースポリマー内の他のアルファオレフィン類がある。アルファオレフィン類の例には、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、トリデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1、および3−メチルブテン−1,4−メチルペンテン−1、および4,4−ジメチルペンテン−1を含む分岐オレフィン類がある。
【0136】
他のオレフィン類が存在する場合、それらの量は、このポリマーの総重量に基づいて、約0.001重量%を超えうる。好ましくは、他のオレフィン類の量は約0.1重量%以上であり、より好ましくは、約1重量%以上である。他のオレフィン類は、ベースポリマー中に約50重量%以下存在する可能性もある。好ましくは、他のアルファオレフィン類の量は約20重量%以下であり、より好ましくは、約10重量%以下である。
【0137】
本明細書で規定されたシンジオタクチック構造に富むポリプロピレン(srPP)は、少なくとも約50%の[r]ダイアッドを含む。少なくとも約55%の[r]ダイアッドが好ましく、少なくとも約60%の[r]ダイアッドを有する場合が好ましく、少なくとも約65%の[r]ダイアッドを有する場合がより好ましく、少なくとも約70%の[r]ダイアッドを有する場合がより好ましく、少なくとも約75%の[r]ダイアッドを有する場合がより好ましく、少なくとも約80%の[r]ダイアッドを有する場合がより一層好ましく、少なくとも約85%の[r]ダイアッドを有する場合がより一層好ましく、少なくとも約90%の[r]ダイアッドを有する場合がより一層好ましく、少なくとも約95%の[r]ダイアッドを有する場合がさらにより一層好ましい。
【0138】
シンジオタクチック構造に富むポリプロピレンは、約55%未満の[r]ダイアッドを含むこともできる。約60%未満の[r]ダイアッドが好ましく、約65%未満の[r]ダイアッドが好ましく、約70%未満の[r]ダイアッドがより好ましく、約75%未満の[r]ダイアッドがより好ましく、約80%未満の[r]ダイアッドがより好ましく、約85%未満の[r]ダイアッドがより一層好ましく、約90%未満の[r]ダイアッドがより一層好ましく、約92%未満の[r]ダイアッドがより一層好ましく、約95%未満の[r]ダイアッドがさらにより一層好ましい。
【0139】
好ましい1つの実施態様では、シンジオタクチック構造に富むポリプロピレン類は、約58〜75%の[r]ダイアッドを含み、結晶化度を含まないか、または非常に低い(例えば、約10%未満)結晶化度を含むポリプロピレンとして規定される。
【0140】
好ましい1つの実施態様では、このブレンドはPOAおよび機能性srPPを含む。srPPは、このブレンドの重量に基づいて、1〜99重量%、好ましくは2〜85重量%、好ましくは3〜50重量%、好ましくは4〜40重量%の範囲で存在するのが好ましい。
【0141】
別の実施態様では、機能性ポリマーのマスターバッチが作られる。機能性成分とポリマー(POAまたはアルファオレフィンの他のホモポリマーまたはコポリマー)との好ましい混合比は、ポリマーと機能性成分の総重量に基づいて、ラジカル重合性官能基ユニット、好ましくは不飽和カルボン酸ユニットが、マスターバッチ内で、0.001〜50重量%の範囲の量で存在することである。好ましい1つの実施態様では、機能性成分(好ましくは機能性プロピレンホモポリマーまたはコポリマー、好ましくはsrPP)内の官能基は、機能性プロピレンホモポリマーまたはコポリマーの総重量に基づいて、約0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、好ましくは5重量%以上、好ましくは10重量%以上、好ましくは15重量%以上、好ましくは20重量%以上、好ましくは30重量%以上、好ましくは40重量%以上である。機能性プロピレンホモポリマーまたはコポリマー、好ましくはsrPP中の官能基は、機能性プロピレンホモポリマーまたはコポリマーに基づいて、約45重量%以下、好ましくは約35重量%以下、好ましくは約25重量%以下、好ましくは約20重量%以下、好ましくは約15重量%以下、好ましくは約10重量%以下、好ましくは約5重量%以下、好ましくは約1重量%以下であることが好ましい。
【0142】
機能性プロピレンホモポリマーまたはコポリマーを製造する場合に利用されたプロセスでは、混合方法に対して特に制約を設ける必要はなく、従って、原料はヘンシェル・ミキサーなどの方法により均一に混合することができ、次いで、溶融、混合し、押出し機などによりペレットにすることができる。混合および溶融が同時に行われ、溶融後この材料を直接フィルム類、シート類に成形することができる、ブラベンダを利用することもできる。
【0143】
機能性プロピレン・コポリマー
別の実施態様では、この機能性成分は、弾性を有するプロピレン・コポリマー類から得られた1つ以上の機能性プロピレン・コポリマー類を含む。この種の好ましい機能性プロピレン・コポリマー類は、ここで引用により組み込まれる、国際公開第02/36651号の手順により作られる。同様に、国際公開第03/040202号、国際公開第03/040095号、国際公開第03/040201号、国際公開第03/040233号、国際公開第03/040442号に記載されたポリマー類は、本明細書に記載されたように機能化され、本発明を実施する場合に使われる。さらに、米国特許第6,525,157号に記載されたポリマー類は、本明細書に記載されたように機能化され、本発明を実施する場合に使われる。
【0144】
本明細書で機能化され、使われるべき好ましいプロピレン・コポリマー類には、活性剤および随意に捕集剤を伴うキラル・メタロセン触媒の存在下で、プロピレンとCまたはC4−20アルファオレフィン、最も好ましくはプロピレンとエチレンとの重合により作られるコポリマー類がある。プロピレンと共に使われるコモノマーは、線状または分岐したモノマーである。好ましい線状アルファオレフィン類には、エチレン(C)およびC〜Cアルファオレフィン類がある。好ましいα−オレフィン類には、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテンがあり、エチレンまたは1−ブテンがより一層好ましい。好ましい分岐α−オレフィン類には、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテンおよび3,5,5−トリメチル−1−ヘキセンがある。
【0145】
本明細書で機能化され、使用されるべき好ましいプロピレン・コポリマー類には、モルベースで、約68%〜約92%、より好ましくは約75%〜約91%、より一層好ましくは約78%〜約88%、最も好ましくは約80%〜約88%の平均プロピレン含有量を有するプロピレン・コポリマー類がある。コポリマーのバランスは、上で明記された1つ以上のα−オレフィン類および随意に少量の1つ以上のジエン・モノマー類である。このプロピレン・コポリマーは、コモノマーとして、約8〜32モル%、より好ましくは約9〜約25モル%、より一層好ましくは約12〜約22モル%および最も好ましくは約13〜20モル%のエチレンを含むのが好ましい。
【0146】
キラル・メタロセン触媒を使用すると、プロピレン残基のメチル基が主に同じ立体規則性を有することが保証される。プロピレンのシンジオタクチックとアイソタクチックの両配置が可能であるが、アイソタクチック・ポリマーの方が好ましい。このプロピレン残基の立体規則性が、ポリマー内に結晶化度をもたらす。本発明のポリマーでは、このポリプロピレン・コポリマー内の低レベルの結晶化度は、上に記載したアルファオレフィン・コモノマー類を組み込むことにより得られたアイソタクチック・ポリプロピレンから導かれる。本明細書で機能化され、使用されるべき好ましいプロピレン・コポリマー類には、好ましくは下記の一つ又は複数の特性を有する半結晶性プロピレン・コポリマー類がある。
【0147】
1.約0.5J/g〜約25J/g、より好ましくは約1J/g〜約20J/g、および最も好ましくは約1J/g〜約15J/gの融解熱、。
【0148】
2.約0.25%〜約15%、より好ましくは約0.5%〜約13%、および最も好ましくは約0.5%〜約11%の結晶化度(このポリプロピレン・コポリマーの結晶化度は結晶化度のパーセンテージにより表される)。最高順位の熱エネルギは、189J/gにおいて推算されている。即ち、100%結晶化度は189J/gに等しい。
【0149】
3.単一の幅の広い融点または融解転移(ポリプロピレン・コポリマーの1つの試料は、第2溶融ピークまたは主ピークに隣接したピークを示すが、本明細書における目的では、これらは単一の融点または融解転移として一緒に考えられている)。
【0150】
4.約25℃〜約120℃、あるいは25℃〜約75℃、好ましくは約25℃〜約65℃の範囲における、より好ましくは約30℃〜約60℃の範囲における融点。(最高の融解転移ピークは融点と考えられる。)。
【0151】
5.10,000〜5,000,000g/モル、好ましくは80,000〜500,000の機能化前の重量平均分子量。
【0152】
6.1.5〜40.0、より好ましくは約1.8〜5および最も好ましくは1.8〜3の間のMWD(M/M)。
【0153】
7.100以下、より好ましくは75以下、より一層好ましくは60以下、最も好ましくは30以下のムーニー粘度ML(1+4)@125℃。
【0154】
別の実施態様では、機能化前の好ましいプロピレン・コポリマーは、狭い組成分布を有するランダムな結晶性コポリマーを含むのが好ましい。このポリマーの分子間組成分布は、飽和炭化水素、例えば、ヘキサンまたはヘプタンなどの溶媒中で熱分画により測定される。この熱分画の手順は下で述べる。狭い組成分布を有することは、このポリマーの約75重量%およびより好ましくは85重量%が、直前または直後の画分のポリマーのバランスと共に1つまたは2つの隣接、可溶性画分として分離されることを意味している。従って、狭い組成分布を有するコポリマーでは、これらの画分の各々は、このポリプロピレン・コポリマーの平均エチレン含有重量%が20%程度(互いに比較して)、より好ましくは10%(互いに比較して)の差を有する組成(重量%エチレン含有量)を有する可能性がある。
【0155】
好ましいポリプロピレン・コポリマー類における立体規則的プロピレン配列の長さおよび分布は、ほぼランダムな統計学的共重合と一致している。配列長さおよび分布は、共重合反応性比に関係していることはよく知られている。ほぼランダムとは、我々は、反応性比が一般に2以下のコポリマーを意味している。立体ブロック構造では、ポリプロピレン配列の平均長さは、類似な組成を有するほぼランダムなコポリマー類の平均長さより大きい。立体ブロック構造を有する従来技術のポリマー類は、ランダムなほぼ統計学的分布よりもこれらのブロック構造と一致したポリプロピレン配列の分布を有する。反応性比およびこのポリマーの配列分布は、下で詳細に論じるように、13C NMRにより測定され、13C NMRは、隣接プロピレン残基と関連してエチレン残基を位置づける。必要な乱雑さおよび狭い組成分布を有する結晶性コポリマーを製造するために、(1)シングル・サイトの触媒および(2)よく混合された連続流撹拌槽重合反応機を用いることが望ましい。この重合反応機は、好ましいポリプロピレン・コポリマーのほぼすべてのポリマー鎖についてただ1つの重合環境を許す。
【0156】
本明細書において機能化され、使用されるべき好ましいプロピレン・コポリマーは、同時継続米国特許出願である、1999年5月13日に出願された米国特許出願第60/133,966号および1999年6月29日に出願された米国特許出願第60/342,854号において「第2のポリマー成分(SPC)」として詳細に記載され、さらに、1999年7月1日に出願された米国特許出願第90/346,460号において「プロピレンオレフィン・コポリマー」として詳細に記載されている。これらの特許は、両方とも米国における慣行として引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0157】
別の好ましい実施態様では、機能化されるべきこのポリマーは、プロピレン、1つ以上のコモノマー類(エチレン、4〜8個の炭素原子を有するアルファオレフィン類)および随意に1つ以上のα,ωジエン類を含む。ジエンの量は、好ましくは約10重量%程度、より好ましくは約5重量%程度である。好ましいジエン類には、エチレン・プロピレンゴムの加硫に使われるもの、好ましくはエチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、および1,4−ヘキサジエン(デュポン・ケミカルズ(DuPont Chemicals)から入手できる)がある。
【0158】
別の実施態様では、機能化する前のこのポリプロピレンコポリマーは、別々のポリマー類のブレンドである。この種のブレンドには、2つ以上のポリプロピレン−ポリエチレン・コポリマー類(上に記載したような)、2つ以上のポリプロピレンコポリマー類(上に記載したような)、またはこの種のポリエチレンコポリマーおよびポリプロピレンコポリマーの少なくとも1つがある。このポリマーブレンドの各成分は、個別にポリマー成分として適当である。
【0159】
本発明との関連で、1つの実施態様では、2つ以上のポリマー成分が単一のブレンドで使われることは理解される。各ポリマー成分については上に記載され、この実施態様におけるポリマー成分の数は3個未満、より好ましくは2個である。本発明のこの実施態様では、ポリマー成分のα−オレフィン含有量に違いがあり、1つは7〜13モル%オレフィンの範囲にあり、他は14〜22モル%オレフィンの範囲にある。好ましいオレフィンはエチレンである。2つのポリマー成分を用いると、ブレンドの引っ張り−伸長特性が改善されると考えられている。
【0160】
別の実施態様では、機能化されるべきポリマーは、ランダムコポリマー(RCP)および/またはヘテロフェーズ・コポリマー類またはブロックコポリマー類とも呼ばれるインパクト・コポリマー類(ICP)を含む。RCP類は、通常、単一反応機プロセスにおいて、プロピレンをエチレン、ブテンおよび高級アルファオレフィンなどの他のモノマー類(最も普通のものはエチレンである)と共重合することにより製造される。これらのコポリマーの典型的なエチレン含有量は、3〜4モル%から14〜17モル%までの範囲にある。好ましい1つの実施態様では、本明細書で機能化され、使用されるべきプロピレン・ポリマー類は、次のようにして決められたアイソタクチック度およびトライアッド立体規則性を有する。
【0161】
トライアッド立体規則性
用語「立体規則性」は、ポリマー内の立体認知度を指している。例えば、隣接モノマー類のキラリティは、同じか反対の配置のいずれかがありうる。用語「ダイアッド」は、2つの隣接モノマー類の指定に使われ、3つの隣接モノマー類はトライアッドと呼ばれる。隣接モノマー類のキラリティが同じ相対配置であれば、ダイアッドはアイソタクチックと呼ばれ、配置が反対であれば、シンジオタクチックと呼ばれる。立体配置の関係を説明する別の方法は、同じキラリティを有する隣接モノマー対をメソ(m)と呼び、反対配置の隣接モノマー対をラセミ(r)と呼ぶ。
【0162】
3つの隣接モノマー類が同じ立体配置であれば、トライアッドの立体規則性は「mm」である。3つのモノマーからなる配列における2つの隣接モノマー類が同じキラリティを有するならば、それは第3のユニットの相対的配置とは異なり、このトライアッドは「mr」立体規則性を有する。「a」トライアッドは、隣のユニットとは異なる反対の配置を有する中央モノマーユニットを有する。このポリマー内の各型のトライアッドの画分は測定することができ、100倍すると、そのポリマー内に存在するその型の%を示す。
【0163】
上に示されたように、このポリマーの反応性比および配列分布は、13C NMRにより測定され、13C NMRは隣接プロピレン残基と関連してエチレン残基を位置づけする。このトライアッドの立体規則性は、このプロピレンコポリマーの13C NMRスペクトルから決められる。この13C NMRスペクトルは次の方法で測定される。
【0164】
13C NMRスペクトルを測定するために、250〜350mgのコポリマーが、120℃においてNMR試料管(直径:10mm)内で重水素化された四塩化エタンに完全に溶解される。測定は、90゜パルス角および少なくとも15秒のパルス間遅延を用いたフル・プロトン・デカプリングにより行われる。
【0165】
共鳴の化学シフトの測定については、頭尾結合からなり、および同じ相対キラリティを有する5個の連続プロピレン・ユニットの配列における第3ユニットのメチル基は、21.83ppmに設定される。他の炭素共鳴の化学シフトは、基準として上記値を用いて測定される。メチル炭素領域(17.0〜23ppm)に関するスペクトルは、第1領域(21.1〜21.9ppm)、第2領域(20.4〜21.0ppm)、第3領域(19.5〜20.4ppm)および第4領域(17.0〜17.5ppm)に分類されうる。このスペクトルの各ピークは、ポリマー(Polymer),30(1989)1350またはマクロモレキュールス(Macromolecules),17(1984)1950における文献を参照して割り当てられた。これらの文献は、引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0166】
第1領域では、PPP(mm)トライアッドにおける中央メチル基の信号が位置づけられる。
【0167】
第2領域では、PPP(mr)トライアッドの中心メチル基およびその隣接ユニットがプロピレン・ユニットおよびエチレン・ユニットであるプロピレン・ユニットのメチル基の信号が共鳴する(PPEメチル基)。
【0168】
第3領域では、PPP(a)トライアッドのメチル基およびその隣接ユニットがエチレン・ユニットであるプロピレンのメチル基の信号が共鳴する(EPEメチル基)。
【0169】
PPP(mm)、PPP(mr)およびPPP(a)は、それぞれ、次のような頭尾構造を伴う3個のプロピレン・ユニット鎖構造を有する。これは、フィッシャ投影図で下に示される。
【化2】

【0170】
このプロピレン・コポリマーのトライアッド立体規則性は、このプロピレン・コポリマーの13C−NMRおよび次式から決められる。
【数1】

【0171】
上の計算で使われるピーク面積は、13C−NMRスペクトルの複数のトライアッド領域からは直接測定されない。mrおよび複数のトライアッド領域の強度は、それぞれ、これらからEPPおよびEPE配列による面積を差し引く必要がある。EPP領域は、30.8ppmにおける信号から、26と27.2ppmとの間の信号および30.1ppmにおける信号の和の半分の面積を差し引くことにより決められる。EPEによる面積は、33.2ppmにおける信号から決められる。
【0172】
EPPおよびEPEの存在に関するmrおよびrr領域に対する上の調節に加えて、上の式を使う前にこれらの領域に対して他の調節をする必要がある。これらの調節は、非頭尾プロピレン付加により存在する信号を計上する必要がある。mr領域の面積は、34と36ppmとの間の面積の半分を差し引くことにより調節され、rr領域の面積は、33.7と40.0ppmとの間に見出された強度を差し引くことにより調節される。従って、mrおよびrr領域に対して上の調節をすることにより、mm、mrおよびrrトライアッドの信号強度が決められ、上の式が適用できる。
【0173】
本発明で有用な好ましいプロピレン・エチレンコポリマー類は、%メソ・トライアッドにより測定した場合ユニークなプロピレン立体規則性を有する。1998年7月1日に出願され、引用により全体が本明細書に組み込まれた米国特許出願第09/108,772号に詳細に示されたように、これらのコポリマー類は、米国特許第5,504,172号と比較した場合、特定のエチレン含有量について比較的低い%メソ・トライアッドを有する。比較的低い%メソ・トライアッド含有量は、比較的低い結晶化度と対応し、これが高い引っ張り強度および非常に良好な弾性回復と結びついた破断伸びなどのより良いエラストマ特性に変換する。
【0174】
別の実施態様では、本明細書で機能化され、使用されるべき好ましいポリオレフィン類には国際公開第02/083753号に記載されたポリオレフィン類がある。これらのポリオレフィン類は、5〜25重量%のエチレン誘導ユニットおよび95〜75重量%のプロピレン誘導ユニットを含むコポリマーであることが好ましく、このコポリマーは下記特徴を有し、
(a)90℃未満の融点、
(b)弾性と500%引っ張り係数との間の
弾性≦0.935M+12
のような関係、ここで、弾性は%単位であり、MはMPaを単位とする500%引っ張り係数であり、および
(c)曲げ弾性率と500%引っ張り係数との間の
曲げ弾性率≦4.2e0.27M+50
のような関係、ここで、曲げ弾性率はMPa単位であり、MはMPaを単位とする500%引っ張り係数であり、なお引っ張り係数および曲げ弾性率は国際公開第02/083753号に記載された方法で測定される。
【0175】
機能性成分は、グラフト成分、異なるグラフト成分または含有レベルの異なる類似のグラフト成分を含まないPOAと混合またはブレンドされ(即ち、混合物などとの組み合わせで)、特定の最終用途またはプロセス用の所定のレベルの接着力を有する最終接着剤組成物を達成する。
【0176】
1つの実施態様では、このプロピレン・コポリマーに加えて、この機能性成分には、グラフト成分を含まないアルファオレフィンのホモポリマーまたはコポリマーもある。望ましいならば、このアルファオレフィンのホモポリマー類は、種々の分子量特性を有し、アルファオレフィン類自身のランダムコポリマー類および/またはブロックコポリマー類であるかもしれない。アルファオレフィンの例には、エチレン、プロピレンおよび4〜20個の炭素原子を有するアルファオレフィン類がある。これらのアルファオレフィン類のホモポリマー類およびコポリマー類は、既知の種々の方法により製造することができ、いろいろな商品名のものを商業的に入手できる。
【0177】
これらの機能性成分および最終ブレンド類を製造するのに利用されたプロセスでは、混合方法については特に制約はないので、原料は、ヘンシェル・ミキサーなどにより均一に混合され、次いで、溶融、混合され、押出し機などによりペレットに成形される。混合および溶融が同時に行われるブラベンダ・ミキサーを利用することも可能であり、溶融後、材料は直接フィルム類、シート類などに成形される。従って、本明細書に記載されたブレンド類は、当該分野で周知の普通の技法を用いて行われ、ブレンド化は1つ以上の静的ミキサー類、インライン・ミキサー類、エルボー類、オリフィス類、バッフル類、またはこれらの組み合わせを用いて達成される。
【0178】
好ましい1つの実施態様では、POAおよび機能性成分は、POA対機能性成分の重量対重量比が、約1:1000〜1000:1の範囲で組み合わされる。重量対重量比は、約1:100、約1:50、約1:20、約1:10、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、または約1:1であることが好ましい。代わりに、重量対重量比は、約100:1、約50:1、約20:1、約10:1、約5:1、約4:1、約3:1、または約2:1であってもよい。
【0179】
処方物
本明細書で製造された成分1および2の混合物を含む組成物は、直接接着剤として使われ、または他の成分と共にブレンド、混合および/または組み合わせられ接着剤処方物を形成する。
【0180】
本発明の組成物と共に粘着付与剤が使われる。適切な粘着付与剤の例には、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族変性脂肪族炭化水素樹脂、水素化ポリシクロペンタジエン樹脂類、ポリシクロペンタジエン樹脂類、ゴムロジン類、ゴムロジンエステル類、ウッドロジン類、ウッドロジンエステル類、トール油ロジン類、トール油ロジンエステル類、ポリテルペン類、芳香族変性ポリテルペン類、テルペン・フェノール樹脂類、芳香族変性水素化ポリシクロペンタジエン樹脂類、水素化脂肪族樹脂、水素化脂肪族芳香族樹脂類、水素化テルペン類および変性テルペン類、水素化ロジン酸類、および水素化ロジンエステル類があるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様では、粘着付与剤は水素化される。
【0181】
他の実施態様では、粘着付与剤は非極性である。(非極性とは、この粘着付与剤が極性基を有するモノマー類をほぼ含まないことを意味する。極性基は存在しないのが好ましいが、存在するとしても、5重量%以上、好ましくは2重量%以上、より一層好ましくは0.5重量%以上存在しないのが好ましい。)いくつかの実施態様では、この粘着付与剤は、80℃〜150℃、好ましくは100℃〜130℃の軟化点(ASTM E−28、環球法、により測定された)を有する。別の実施態様では、これらの樹脂類は液体であり、10と70℃との間に環球法軟化点を有する。
【0182】
この組成物に粘着付与剤が存在する場合は、この粘着付与剤は、この組成物の重量に基づいて、約1〜80重量%、より好ましくは2〜40重量%、より一層好ましくは3〜30重量%の範囲で含まれる。
【0183】
粘着付与剤類または変性剤として使用するのに好ましい炭化水素樹脂類には、
1.C/Cテルペン樹脂類、スチレン・テルペン類、アルファメチルスチレン・テルペン樹脂類、Cテルペン樹脂類、芳香族変性C/C、芳香族変性ジシクロペンタジエン・ベース樹脂類、またはこれらの混合物などの樹脂類がある。さらに、好ましい樹脂類には、国際公開第91/07472号、米国特許第5,571,867号、米国特許第5,171,793号および米国特許第4,078,132号に記載された樹脂類がある。通常、これらの樹脂類は、1つ以上の次のモノマー類:即ち、Cジオレフィン類(1−3−ペンタジエン、イソプレンなど)、Cオレフィン類(2−メチルブテン類、シクロペンテンなど)、Cオレフィン類(ヘキセンなど)、Cビニル芳香族類(スチレン、アルファメチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデンなど)、環状化合物類(ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエンなど)、および/またはテルペン類(リモネン、カレン、スヨネンなど)がある。
【0184】
2.ジシクロペンタジエンの熱重合、および/またはシクロペンタジエンおよび/またはメチルシクロペンタジエンのダイマー類またはオリゴマー類の、随意にビニル芳香族類(スチレン、アルファメチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデンなど)との熱重合により得られた樹脂類がある。
【0185】
重合および未反応物質の分離後に得られた樹脂類は、望ましいならば、水素化されうる。好ましい樹脂類の例には、米国特許第4,078,132号、国際公開第91/07472号、米国特許第4,994,516号、欧州特許出願公開第0046344号、欧州特許出願公開第0082726号、および米国特許第5,171,793号がある。
【0186】
架橋剤
別の実施態様では、本発明のポリマー生成物を含む接着剤組成物は、さらに、架橋剤を含むことができる。好ましい架橋剤には、酸または無水物基と反応しうる官能基を有するものがある。好ましい架橋剤には、アルコール類、マルチオール類、アミン類、ジアミン類および/またはトリアミン類がある。本発明で有用な架橋剤の特定の例には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチルアニリノプロピルアミン、および/またはメタンジアミンなどのポリアミン類がある。
【0187】
別の実施態様では、本発明の組成物は、1つ以上のフェノール系酸化防止剤を含む。フェノール系酸化防止剤の好ましい例には、2および/または6位の水素原子がアルキル残基により置換されている2,6−ジ−t−ブチルフェノールなどの置換フェノールがある。フェノール系酸化防止剤の典型的な例には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、ビタミンE、2−t−ブチル−6−(3’ −t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(6−シクロヘキシル−4−メチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル)][4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネートおよびペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニル)]プロピオネートがある。
【0188】
これら各添加剤の添加量は、この添加剤とこの機能性ホモポリマーまたはコポリマーとの重量比は、好ましくは1/100〜1/100,000、あるいは1/1000〜1/100,000、より好ましくは1/500〜1/10,000になるような量である。
【0189】
上述の組成物に対して、上述の安定剤の他に、ステアリン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムまたはヒドロタルサイトなどの中和剤、安息香酸の塩、2、2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸ナトリウムおよびベンジル・ソルビトールなどの核化剤を加えることができる。
【0190】
添加剤
別の実施態様では、本発明の接着剤組成物は、さらに、充填剤類、酸化防止剤類、補助剤類、接着促進剤類、油類、および/または可塑剤類などの当該分野で周知の典型的な添加剤類を含む。好ましい充填剤類には、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、二酸化珪素、カーボンブラック、砂、ガラスビーズ、ミネラル集合体、タルク、粘土がある。好ましい酸化防止剤類には、チバ・ガイギー(Ciba−Geigy)から入手できるIrganox 1010、Irganox 1076などのフェノール系酸化防止剤がある。好ましい油類には、フランス・パリのエクソンモービル・ケミカル・フランス(ExxonMobil Chemical France、S.A.)から入手できるPrimol 352またはPrimol 876などのパラフィン油またはナフテン油がある。好ましい可塑剤類には、テキサス州ヒューストンのエクソンモービル・ケミカル社から以前は入手できたParapol 950およびParapol 1300などのポリブテン類がある。他の好ましい添加剤には、ブロック、アンチブロック、顔料、加工助剤、UV安定剤、中和剤、潤滑油、界面活性剤および/または核化剤がある。好ましい添加剤類には、二酸化珪素、二酸化チタン、ポリジメチルシロキサン、タルク、染料、ワックス、ステアリン酸カルシウム、カーボンブラック、低分子量樹脂およびガラスビーズがある。好ましい接着促進剤類には、極性の酸類、ポリアミノアミド類(ヘンケル(Henkel)から入手できるVersamid 115、125、140など)、ウレタン類(イソシアネート/ヒドロキシ末端ポリエステル系など、例えば、結合剤TN/Mondur Cb−75マイルズ社(Miles、Inc.))、カプリング剤(シラン・エステル類(ダウ・コーニング(Dow Corning)からのZ−6020))、チタン酸エステル類(ケンリッチ(Kenrich)から入手できるKr−44など)、反応性アクリレート・モノマー類(サートマ(Sartmer)からのsarbox SB−600など)、金属酸塩類(サートマからのSaret 633など)、ポリフェニレン・オキサイド、酸化されたポリオレフィン類、酸変性ポリオレフィン類、および無水物変性ポリオレフィン類がある。
【0191】
別の実施態様では、接着剤組成物は、3重量%未満の酸化防止剤、3重量%未満の流れ改良剤、10重量%未満のワックス、および3重量%未満の結晶化助剤を含むことができる。
【0192】
本明細書で開示された接着剤組成物と共に使用することができる他の随意の成分には、可塑剤類、および/または油類、界面活性剤類、充填剤類、カラー・マスターバッチ類などの他の添加剤類がある。好ましい可塑剤類には、鉱油類、ポリブテン類、フタレート類などがある。特に好ましい可塑剤には、ジイソウンデシル・フタレート(DIUP)、ジイソノニル・フタレート(DINP)、ジオクチルフタレート(DOP)などのようなフタレート類がある。特に好ましい油類には、脂肪族ナフテン油類がある。
【0193】
本発明のポリマー製品と併用できる他の随意の成分は、ワックス、油または低Mnポリマーのような低分子量製品である(低いとは、5000未満、好ましくは4000未満、より好ましくは3000未満、より一層好ましくは2500未満のMnを意味している)。好ましいワックス類には、極性または非極性ワックス類、ポリプロピレンワックス類、ポリエチレンワックス類、およびワックス変性剤がある。好ましいワックス類には、商標ESCOMER 101がある。好ましい油類には、脂肪族ナフテン油類、ホワイト・オイルなどがある。好ましい低Mnポリマー類には、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセンなどのような低級アルファオレフィン類のポリマーがある。特に好ましいポリマーには、1000未満のMnを有するポリブテンがある。この種のポリマーの1例は、エクソンモービル・ケミカル社からPARAPOL商標 950として入手できる。PARAPOL商標 950は、ASTM D 445により測定した場合、100℃で220cStの運動粘度および950のMnを有する液体ポリブテン・ポリマーである。いくつかの実施態様では、極性および非極性ワックス類が、一緒に、同じ組成物で使われる。
【0194】
しかし、いくつかの実施態様では、ワックスは望ましくなく、この組成物の重量に基づいて、5重量%未満、好ましくは3重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満である。
【0195】
別の実施態様では、本発明の組成物は、成分1、成分2および添加剤の総重量に基づいて、上に記載した添加剤の組み合わせの全体が、30重量%未満、好ましくは25重量%未満、好ましくは20重量%未満、好ましくは15重量%未満、好ましくは10重量%未満、好ましくは5重量%未満である。
【0196】
別の実施態様では、本発明の組成物は、エラストマ類(好ましいエラストマ類には、ASTM D 1506に規定されているものを含むすべての天然および合成ゴムがある)とブレンドされる。好ましい1つの実施態様では、エラストマ類は本発明の組成物とブレンドされゴム強化組成物類を形成する。特に好ましい1つの実施態様では、ゴム強化組成物類は、ゴムが非連続相であり、この発明の組成物が連続相を形成する2以上の相のシステムである。好ましいエラストマ類の例には、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンモノマーゴム、ネオプレンゴム、スチレン系ブロックコポリマーゴム類(SI、SIS、SB、SBS、SIBS、SEBS、SEPSなど(Sはスチレン、Iはイソプレン、Bはブタジエン、EBはエチレンブチレン、EPはエチレンプロピレンである)を含む)、ブチルゴム、ハロブチルゴム、イソブチレンとパラアルキルスチレンとのコポリマー類、イソブチレンとパラアルキルスチレンとのハロゲン化コポリマー類の中の1つ以上がある。このブレンドは、上に記載された粘着付与剤類および/または他の添加剤類と組み合わせられる。
【0197】
別の実施態様では、接着剤組成物はインパクト・コポリマー類とブレンドされる可能性がある。インパクト・コポリマー類は、アイソタクチックPPとエチレン・プロピレンゴムのようなエラストマとのブレンドであると規定される。好ましい1つの実施態様では、このブレンドは、インパクト・コポリマーが不連続相であり、上に記載された成分1と成分2の組み合わせが連続相である2つの(または2以上の)相からなるシステムである。
【0198】
別の実施態様では、本発明により製造されたポリマーは、エステルポリマー類とブレンドされる可能性がある。好ましい1つの実施態様では、このブレンドは、ポリエステルが不連続相であり、この組成物が連続相である2つの(または2以上の)相からなるシステムである。
【0199】
本発明の組成物またはそれらの処方物は、基板に直接塗布されるか、または基板にスプレーされる。この組成物は、塗布の前または塗布の間に溶融されるか、または半固体状態になるまで加熱される。噴霧法は、均一なドット・パターンを作るような噴霧、ノルドソン(Nordson)制御による繊維分解のような螺旋状噴霧法、またはITWダイナファイバ/オメガ・ヘッドにおいてなされる引き伸ばされたフィラメント状のものを振動させるノルドソンからのサミット(Summit)技術があると規定されている。本発明の組成物は、メルト・ブローもされる。メルト・ブロー技法は、米国特許第5,145,689号に記載された方法、または押し出し成形物のフィラメントの破壊、次いで、壊れたフィラメントの基板上への堆積に空気流が使われるプロセスを含むことが規定されている。一般に、メルト・ブロー技法は、ホットメルト接着剤繊維にスピンをかけ、結合するためにこれらを基板上に運ぶプロセスである。繊維のサイズは、メルトと空気の比を変えることにより20〜200ミクロンから容易に調節することができる。浮遊繊維は、接着剤メルトブロー塗布器の固有の安定性により、発生量は少ない方が好ましく、全く発生しないのが最も好ましい。UV光の下で、結合は、規則的に、滑らかに引き伸ばされたドット・パターンとして現れる。噴霧化は、ホットメルト接着剤を非常に小さなドットに噴霧し、これらを基板上に運び結合させるために空気を用いるプロセスである。
【0200】
好ましい不飽和酸類または無水物類には、少なくとも1つの二重結合と少なくとも1つのカルボニル基とを含む不飽和有機化合物がある。代表的な酸類には、カルボン酸類、無水物類、エステル類およびそれらの塩類、金属および非金属の両方がある。この有機化合物は、カルボニル基(−C=O)と共役したエチレン系不飽和基を含む化合物が好ましい。例には、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、アルファメチルクロトン酸、および桂皮酸並びにそれらの無水物類、エステル類および塩誘導体がある。特に好ましい官能基には、マレイン酸および無水マレイン酸がある。無水マレイン酸が特に好ましい。この不飽和酸または無水物は、このポリマーおよびこの不飽和酸または無水物の重量に基づいて、約0.1重量%〜約10重量%にて、好ましくは約0.5重量%〜約7重量%にて、より一層好ましくは約1重量%〜約4重量%にて存在するのが好ましい。好ましい1つの実施態様では、この不飽和酸または無水物は、カルボン酸、またはエステル類、イミド類、アミド類、無水物類および環状酸無水物類から選択された不飽和カルボン酸誘導体またはそれらの混合物、不飽和カルボン酸からなる群から選択されるそれらの誘導体を含む。
【0201】
粘着付与剤
好ましい1つの実施態様では、本発明の接着剤は、さらに、このブレンドの重量に基づいて、好ましくは約1〜約80重量%、この接着剤の重量に基づいてより好ましくは2〜40重量%、より一層好ましくは3〜30重量%にて存在する粘着付与剤を含む。
【0202】
本発明で使用するのに適切な粘着付与剤の例には、脂肪族炭化水素樹脂類、芳香族変性脂肪族炭化水素樹脂類、水素化ポリシクロペンタジエン樹脂類、ポリシクロペンタジエン樹脂類、ゴムロジン類、ゴムロジンエステル類、ウッドロジン類、ウッドロジンエステル類、トール油ロジン類、トール油ロジンエステル類、ポリテルペン類、芳香族変性ポリテルペン類、テルペン・フェノール樹脂類、芳香族変性水素化ポリシクロペンタジエン樹脂類、水素化脂肪族樹脂、水素化脂肪族芳香族樹脂類、水素化テルペン類および変性テルペン類、水素化ロジン酸類、および水素化ロジンエステル類があるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様では、粘着付与剤は水素化される。
【0203】
1つの実施態様では、粘着付与剤は非極性である。(非極性とは、粘着付与剤が極性基を有するモノマー類をほとんど含まないことを意味している。極性基は存在しないのが好ましいが、極性基が存在するとしても、極性基は、5重量%以上では、好ましくは2重量%以上では、より一層好ましくは0.5重量%以上では存在しないのが好ましい。)いくつかの実施態様では、この粘着付与剤は、80℃〜150℃、好ましくは100℃〜130℃の軟化点(ASTM E−28、環球法、により測定された)を有する。別の実施態様では、これらの樹脂類は液体であり、10〜70℃の間に環球法軟化点を有する。
【0204】
粘着付与剤類として使用するのに好ましい炭化水素樹脂類には、
1.C/Cテルペン樹脂類、スチレン・テルペン類、アルファメチルスチレン・テルペン樹脂類、Cテルペン樹脂類、芳香族変性C/C、芳香族変性環状樹脂類、芳香族変性ジシクロペンタジエン・ベース樹脂類、またはこれらの混合物などの樹脂類がある。さらに、好ましい樹脂類には、国際公開第91/07472号、米国特許第5,571,867号、米国特許第5,171,793号および米国特許第4,078,132号に記載された樹脂類がある。通常、これらの樹脂類は、1つ以上の次のモノマー類:即ち、Cジオレフィン類(1,3−ペンタジエン、イソプレンなど)、Cオレフィン類(2−メチルブテン類、シクロペンテンなど)、Cオレフィン類(ヘキセンなど)、Cビニル芳香族類(スチレン、アルファメチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデンなど)、環状化合物類(ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエンなど)、および/またはテルペン類(リモネン、カレンなど)がある。
【0205】
2.ジシクロペンタジエンの熱重合、および/またはシクロペンタジエンおよび/またはメチルシクロペンタジエンのダイマー類またはオリゴマー類の、随意にビニル芳香族類(スチレン、アルファメチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデンなど)との熱重合により得られた樹脂類がある。
【0206】
重合および未反応物質の分離後に得られた炭化水素樹脂類(粘着付与剤)は、望ましいならば、水素化されうる。好ましい樹脂類の例には、米国特許第4,078,132号、国際公開第91/07472号、米国特許第4,994,516号、欧州特許出願公開第0046344号、欧州特許出願公開第0082726号、および米国特許第5,171,793号がある。
【0207】
接着剤ブレンド
本明細書で作られた接着剤ブレンド類は、当該分野で周知の普通のブレンド手段により作られる。
【0208】
別の実施態様では、この接着剤組成物は、さらに、架橋剤を含むことができる。好ましい架橋剤類には、酸または無水物基と反応しうる官能基を有するものがある。好ましい架橋剤類には、アルコール類、マルチオール類、アミン類、ジアミン類および/またはトリアミン類がある。本発明で有用な架橋剤の例には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチルアニリノプロピルアミン、および/またはメタンジアミンなどのポリアミン類がある。
【0209】
別の実施態様では、本発明の接着剤組成物は、さらに、充填剤類、酸化防止剤類、補助剤類、接着促進剤類、油類、および/または可塑剤類、ブロック、アンチブロック、顔料類、染料類、加工助剤類、UV安定剤類、中和剤類、潤滑油類、界面活性剤類、核化剤類、協力剤類、ポリマー性添加剤類、消泡剤類、防腐剤類、増粘剤類、レオロジー変性剤類、保湿剤類、充填剤類および/または水などの当該分野で周知の典型的な添加剤を含む。
【0210】
好ましい充填剤には、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、二酸化珪素、カーボンブラック、砂、ガラスビーズ、ミネラル集合体、タルク、粘土などがある。
【0211】
好ましい酸化防止剤には、チバ・ガイギー(Ciba−Geigy)から入手できるIrganox 1010、Irganox 1076などのフェノール系酸化防止剤がある。特に好ましい酸化防止剤には、チオエステル類、ホスフェート類、立体障害のあるフェノール類、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、2,2’−エチルデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール))、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ジラウリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール・テトラキス(ベータ−ラウリルチオプロピオネート)、アルキル−アリール・ジ−およびポリホスフェート類、チオホスファイト類、およびこれらの組み合わせまたは誘導体からなる群から選択されるものがある。特に好ましい可塑剤には、ジ−イソ−ウンデシル−フタレート(DIUP)、ジ−イソ−ノニルフタレート(DINP)、ジオクチルフタレート類(DOP)、これらの組み合わせ、またはこれらの誘導体がある。
【0212】
好ましい油類には、フランス国パリのエクソンモービル・ケミカル・フランス(ExxonMobil Chemical France、S.A.)から入手できるPrimol 352またはPrimol 876などのパラフィン油またはナフテン油がある。
【0213】
好ましい可塑剤類には、テキサス州ヒューストンのエクソンモービル・ケミカル社から以前は入手できたParapol 950およびParapol 1300などのポリブテン類がある。特に好ましい可塑剤類には、ジ−イソ−ウンデシル−フタレート(DIUP)、ジ−イソ−ノニルフタレート(DINP)、ジオクチルフタレート類(DOP)などのフタレート類がある。特に好ましい油類には脂肪族ナフテン油類がある。
【0214】
好ましい接着促進剤類には、極性の酸類、ポリアミノアミド類(ヘンケル(Henkel)から入手できるVersamid 115、125、140など)、ウレタン類(イソシアネート/ヒドロキシ末端ポリエステル系など、例えば、結合剤TN/Mondur Cb−75 マイルズ社(Miles、Inc.))、カプリング剤(シラン・エステル類(ダウ・コーニング(Dow Corning)からのZ−6020))、チタン酸エステル類(ケンリッチ(Kenrich)から入手できるKr−44など)、反応性アクリレート・モノマー類(サートマ(Sartmer)からのsarbox SB−600など)、金属酸塩類(サートマからのSaret 633など)、ポリフェニレン・オキサイド、酸化されたポリオレフィン類、酸変性ポリオレフィン類、および無水物変性ポリオレフィン類がある。
【0215】
1つの実施態様では、接着剤組成物は、3重量%未満の酸化防止剤、3重量%未満の流れ改良剤、10重量%未満のワックスおよび/または3重量%未満の結晶化助剤を含む。
【0216】
別の実施態様では、この接着剤組成物は、ワックス、油または低Mnポリマーのような低分子量製品を含む(低いとは、5000未満、好ましくは4000未満、より好ましくは3000未満、より一層好ましくは2500未満のMnを意味している)。好ましいワックス類には、極性または非極性ワックス類、ポリプロピレン・ワックス類、ポリエチレン・ワックス類およびワックス変性剤がある。好ましいワックス類には、ESCOMER商標101がある。特に好ましいワックス類は、極性ワックス類、非極性ワックス類、フィッシャトロプシュワックス類、酸化されたフィッシャトロプシュワックス類、ヒドロキシステアラミドワックス類、機能性ワックス類、ポリプロピレンワックス類、ポリエチレンワックス類、ワックス変性剤、アモルファスワックス類、カルナバワックス類、キャスタ油ワックス類、ミクロ結晶性ワックス類、蜜蝋、カルナバワックス、キャスタワックス、鯨ワックス、植物ワックス、カンデリラ・ワックス、日本ワックス、アウリキュリワックス、ダグラスモミ樹皮ワックス、米ぬかワックス、ホホバワックス、シロヤマモモワックス、モンタンワックス、泥炭ワックス、オゾケライトワックス、セレシンワックス、石油ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、化学的に変性した炭化水素ワックス、置換アミドワックス、およびこれらの組み合わせ、およびこれらの誘導体からなる群から選択される。
【0217】
好ましい低Mnポリマー類には、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセンなどのような低級アルファオレフィン類のポリマーがある。特に好ましいポリマーには、1000未満のMnを有するポリブテンがある。この種のポリマーの1例は、エクソンモービル・ケミカル社から商標PARAPOL 950として入手できる。商標PARAPOL 950は、ASTM D 445により測定した場合、100℃で220cStの運動粘度および950のMnを有する液体ポリブテン・ポリマーである。いくつかの実施態様では、極性および非極性ワックス類が、一緒に、同じ組成物で使われる。
【0218】
しかし、いくつかの実施態様では、ワックスは望ましくなく、この組成物の重量に基づいて、5重量%未満、好ましくは3重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満である。
【0219】
別の実施態様では、本発明の組成物は、このポリマーおよびこれらの添加剤の総重量に基づいて、上に記載した添加剤の組み合わせの全体が、30重量%未満、好ましくは25重量%未満、好ましくは20重量%未満、好ましくは15重量%未満、好ましくは10重量%未満、好ましくは5重量%未満である。
【0220】
別の実施態様では、本発明の組成物は、エラストマ類(好ましいエラストマ類には、ASTM D 1506に規定されているものを含むすべての天然および合成ゴムがある)とブレンドされる。好ましいエラストマ類の例には、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンモノマーゴム、ネオプレンゴム、スチレン系ブロックコポリマーゴム類(SI、SIS、SB、SBS、SIBS、SEBS、SEPSなど(Sはスチレン、Iはイソプレン、Bはブタジエン、EBはエチレンブチレン、EPはエチレンプロピレンである)を含む)、ブチルゴム、ハロブチルゴム、イソブチレンとパラアルキルスチレンとのコポリマー類、イソブチレンとパラアルキルスチレンとのハロゲン化コポリマー類の中の1つ以上がある。このブレンドは、上に記載された粘着付与剤および/または他の添加剤と組み合わせられる。
【0221】
別の実施態様では、本発明の接着剤組成物は、エラストマ類(好ましいエラストマ類には、ASTM D 1506に規定されているものを含むすべての天然および合成ゴムがある)とブレンドされる。好ましいエラストマ類の例には、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンモノマーゴム、ネオプレンゴム、スチレン系ブロックコポリマーゴム類(SI、SIS、SB、SBS、SIBS、SEBS、SEPSなど(Sはスチレン、Iはイソプレン、Bはブタジエン、EBはエチレンブチレン、EPはエチレンプロピレンである)を含む)、ブチルゴム、ハロブチルゴム、イソブチレンとパラアルキルスチレンとのコポリマー類、イソブチレンとパラアルキルスチレンとのハロゲン化コポリマー類の中の1つ以上がある。このブレンドは、上に記載された粘着付与剤および/または他の添加剤と組み合わせられる。
【0222】
別の実施態様では、本発明により製造された接着剤組成物は、インパクト・コポリマー類とブレンドされる可能性がある。インパクト・コポリマー類は、アイソタクチックPPとエチレン・プロピレンゴムのようなエラストマとのブレンドであると規定される。好ましい1つの実施態様では、このブレンドは、インパクト・コポリマーが不連続相であり、このポリマーが連続相である2つの(または2以上の)相からなるシステムである。
【0223】
別の実施態様では、本発明により製造された接着剤は、エステルポリマー類とブレンドされる可能性がある。好ましい1つの実施態様では、このブレンドは、ポリエステルが不連続相であり、このポリマーが連続相である2つの(または2以上の)相からなるシステムである。
【0224】
好ましい1つの実施態様では、この接着剤組成物は、メタロセン・ポリエチレン類(mPE)またはメタロセン・ポリプロピレン類(mPP)と一緒にされる。これらのmPEおよびmPPホモポリマー類またはコポリマー類は、通常、溶液、スラリー、高圧または気相においてアネモキサンの活性剤および/または非配位アニオンと組み合わせられたモノマーはビス−シクロペンタジエニル遷移金属を用いて製造される。この触媒および活性剤は担持されている場合もあれば、非担持の場合もあり、シクロペンタジエニル環により置換されている場合もあれば、非置換の場合もある。この種の触媒と活性剤の組み合わせにより製造されたいくつかの商業製品が、EXCEED商標、ACHIEVE商標およびEXACT商標として、テキサス州ベイタウンのエクソンモービル・ケミカル社から商業的に入手できる。この種のmPEホモポリマー類およびコポリマー類を製造するための方法および触媒/活性剤についてより多くの情報を得るためには、国際公開第94/26816号、国際公開第94/03506号、欧州特許出願公開第277,003号、欧州特許出願公開第277,004号、米国特許第5,153,157号、米国特許第5,198,401号、米国特許第5,240,894号、米国特許第5,017,714号、カナダ特許第1,268,753号、米国特許第5,324,800号、欧州特許出願公開第129,368号、米国特許第5,264,405号、欧州特許出願公開第520,732号、国際公開第92/00333号、米国特許第5,096,867号、米国特許第5,507,475号、欧州特許出願公開第426,637号、欧州特許出願公開第573,403号、欧州特許出願公開第520,732号、欧州特許出願公開第495,375号、欧州特許出願公開第500,944号、欧州特許出願公開第570,982号、国際公開第91/09882号、国際公開第94/03506号および米国特許第5,055,438号を参照のこと。
【0225】
別の実施態様では、これらの接着剤組成物は、ホモポリプロピレン、50重量%までのエチレンまたはC4〜C20アルファオレフィンと共重合されたプロピレン、アイソタクチック・ポリプロピレン、高度にアイソタクチックなポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレンおよび/またはブテンおよび/またはヘキセンとのランダムコポリマー、ポリブテン、エチレン・ビニルアセテート、低密度ポリエチレン(密度0.915〜0.935g/cm未満)、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン(密度0.86〜0.90g/cm未満)、非常に低密度のポリエチレン(密度0.90〜0.915g/cm未満)、中密度ポリエチレン(密度0.935〜0.945g/cm未満)、高密度ポリエチレン(密度0.945〜0.98g/cm未満)、エチレン・ビニルアセテート、エチレン・メチルアクリレート、アクリル酸のコポリマー類、ポリメチルメタクリレートまたは高圧フリーラジカル・プロセスにより重合可能な他のポリマー類、ポリ塩化ビニル、ポリブテン−1、アイソタクチック・ポリブテン、ABS樹脂類、エチレン・プロピレンゴム(EPR)などのエラストマ類、加硫されたEPR、EPDM、SPSなどのブロックコポリマー・エラストマ類、ナイロン類(ポリアミド類)、ポリカーボネート類、PET樹脂類、架橋ポリエチレン、エチレンとビニルアルコールとのコポリマー類(EVOH)、ポリスチレンなどの芳香族モノマー類のポリマー、ポリ−1エステル類、0.94〜0.98g/cmの密度を有する高分子量ポリエチレン、0.94〜0.98g/cmの密度を有する低分子量ポリエチレン、グラフトコポリマー類、ポリアクリロニトリルホモポリマーまたはコポリマー類、熱可塑性ポリアミド類、ポリアセタール、ポリビニリデン・フルオライドおよび他のフッ化エラストマ類、ポリエチレン・グリコール類およびポリイソブチレンを含むホモポリマーおよび/またはコポリマーとブレンドされるが、これらに限定されない。
【0226】
好ましい1つの実施態様では、本発明の接着剤組成物は、このブレンド中のこの接着剤組成物およびこれらのポリマー類の重量に基づいて、10〜99重量%、好ましくは20〜95重量%、より一層好ましくは少なくとも30〜90重量%、より一層好ましくは少なくとも40〜90重量%、より一層好ましくは50〜90重量%、より一層好ましくは少なくとも60〜90重量%、より一層好ましくは少なくとも70〜90重量%にてこのブレンド中に存在する。
【0227】
接着剤組成物の特性
本明細書で作られた接着剤組成物は、この接着剤が56ポンドの未使用高性能板紙ストック(ジョージア州ロームのインランド・ペーパー(Inland Paper)から入手できる)に、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは100%塗布される場合、−10℃で基板繊維の引き裂きを示すのが好ましい。
【0228】
別の実施態様では、本明細書で作られた接着剤は、190℃(190℃においてASTM D 3236により測定された;ASTM=アメリカ材料試験協会)において90,000mPa・s以下、または80,000以下、または70,000以下、または60,000以下、または50,000以下、または40,000以下、または30,000以下、または20,000以下、または10,000以下、または8000以下、または5000以下、または4000以下、または3000以下、または1500以下、または250〜6000mPa・sの間、または500〜5500mPa・sの間、または5003000mPa・sの間、または500〜1500mPa・sの間の粘度(Brookfield粘度または溶融粘度とも呼ばれる)、および/または160℃において(160℃においてASTM D 3236により測定する)8000mPa・s、または7000以下、または6000以下、または5000以下、または4000以下、または3000以下、または1500以下、または250〜6000mPa・sの間、または500〜5500mPa・sの間、または500〜1500mPa・sの間、または500〜1500mPa・sの間の粘度を有する。他の実施態様において、この粘度は、用途により、190℃において200,000mPa・s以下である。他の実施態様において、この粘度は、用途により、50,000mPa・s以下である。
【0229】
別の実施態様において、本明細書で作られた接着剤組成物は、70J/g以下、または60J/g以下、または50J/g以下、または40J/g以下、または30J/g以下、または20J/g以下で、ゼロより大きい、または1J/gより大きい、または10J/gより大きい、または20〜50J/gの間の融解熱を有する。
【0230】
別の実施態様において、本明細書で作られた接着剤組成物は、95以下、70以下、または60以下、または50以下、または40以下、または30以下、または20以下のショアA硬度(ASTM 2240により測定された)を有する。他の実施態様では、ショアA硬度は5以上、10以上、または15以上である。包装のような特定の用途では、ショアA硬度は50〜85の範囲が好ましい。別の実施態様では、このポリマーは20〜90のショアA硬度を有する。
【0231】
別の実施態様では、本明細書で作られた接着剤組成物は、200℃以下、または40〜150℃、または60〜130℃、または65〜110℃、または70〜80℃の剪断保持力を維持できない温度(SAFT−ASTM 4498により測定された)を有する。特定の実施態様では、130〜140℃のSAFTが好ましい。他の実施態様では、100〜130℃のSAFTが好ましい。他の実施態様では、110〜140℃のSAFTが好ましい。
【0232】
別の実施態様では、本明細書で作られた接着剤組成物は、クラフト紙上に、1ニュートンと10,000ニュートンとの間、または3と4000ニュートンとの間、または5と3000ニュートンとの間、または10と2000ニュートンとの間、または15と1000ニュートンとの間のドット式T型剥離も有する。ドット式T型剥離は、下に記載されるようにASTM D 1876により測定される。
【0233】
別の実施態様では、本明細書で作られた接着剤組成物は、数日から1秒まで、または60秒以下、または30秒以下、または20秒以下、または15秒以下、または10秒以下、または5秒以下、または4秒以下、または3秒以下、または2秒以下、または1秒以下のセット時間を有する。
【0234】
別の実施態様では、本明細書で作られた接着剤組成物は、20〜1000%、あるいは50〜1000%、好ましくは80〜200%の破断変形(ASTM D 1708により25℃で測定された)を有する。他のいくつかの実施態様では、破談変形は100〜500%である。
【0235】
別の実施態様では、本明細書で作られた接着剤組成物は、0.5MPa以上、あるいは0.75MPa、あるいは1.0MPa、あるいは1.5MPa、あるいは2.0MPa、あるいは2.5MPa、あるいは3.0MPa、あるいは3.5MPaの引張強度破断(ASTM D 1708により25℃で測定された)を有する。
【0236】
別の実施態様では、本明細書で作られた接着剤組成物は、200℃以下、好ましくは180℃以下、好ましくは160℃以下、好ましくは120℃以下、好ましくは100℃以下の曇り点を有する。同様に、POAがその一部である組成物は、200℃以下、好ましくは180℃以下、好ましくは160℃以下、好ましくは120℃以下、好ましくは100℃以下の曇り点を有する。
【0237】
別の実施態様では、本明細書で作られた接着剤組成物は、0.05lb/in以上、好ましくは1lb/in以上、好ましくは5lb/in以上、好ましくは10lb/in以上の、25℃におけるMYLARに関する剥離強度、即ち5cm/分の分離速度を有する。
【0238】
別の実施態様では、本明細書で作られた接着剤組成物は、0.05lb/in以上、好ましくは1lb/in以上、好ましくは5lb/in以上、好ましくは10lb/in以上の、25℃におけるポリプロピレンに関する剥離強度および5cm/分の分離速度を有する。
【0239】
別の実施態様では、本明細書で作られた接着剤組成物は、0.05lb/in以上、好ましくは1lb/in以上、好ましくは5lb/in以上、好ましくは10lb/in以上の、−10℃におけるポリプロピレンに関する剥離強度および5cm/分の分離速度を有する。
【0240】
別の実施態様では、本明細書で作られた接着剤組成物は、0.05lb/in以上、好ましくは1lb/in以上、好ましくは5lb/in以上、好ましくは10lb/in以上の、−18℃におけるアクリル被覆冷凍庫用紙に関する剥離強度および5cm/分の分離速度を有する。
【0241】
別の実施態様では、本明細書で作られた接着剤組成物は、機能性成分を含まない同じ接着剤よりも、次の3点屈曲手順により測定された場合、少なくとも100%を超えた(好ましくは150%を超えた、より好ましくは200%を超えた、より好ましくは250%を超えた、より好ましくは300%を超えた、より好ましくは350%を超えた、より好ましくは400%を超えた、より好ましくは500%を超えた、より好ましくは600%を超えた)たわみ(mm単位で測定された)を有する。
【0242】
この接着剤「構造体」は、33mm離れた、直径5mmの2本の平行な円筒状の棒のトップに置かれる。「構造体」の長軸は、これらの棒の方向に対して垂直である。温度は「T」℃において平衡化される。第3の棒は、棒を下方にそらすために中心において「構造体」上に下げられる。たわみは、「構造体」の破断点について測定され、その装置の最大たわみとして記録される。定義:「構造体」は、長さ50mm、幅6mmの長方形構造として規定され、厚さは400と600ミクロンの間にある。「T」は、接着剤の操作条件をベストに表すように選択される。この場合、−10℃および−18℃の温度が典型的な値である。
【0243】
「構造体」調製:「構造体」は接着剤結合を作るのに使われる方法にできるだけ接近した方法で作るのが望ましい。この場合、この接着剤は、剥離紙上に180℃の温度でホットに塗布された。剥離紙内で被覆された硬い構造体は、2枚の剥離紙の間に構造体を挟むために接着剤のトップに塗布された。この構造体は、その結合を圧縮するために1kgのPSAローラーと共に直ぐに回転させられた。この結合が冷却されると、この接着剤は2枚の剥離紙の間から除去され、所望の寸法に注意深く切断される。
【0244】
本発明および添付された特許請求の範囲では、特に明示しない限り、次のようなテストが使われる。
【0245】
引張強度、引張強度破断および破断伸長は、ASTM D 1708により測定される。破断伸長は、破断ひずみまたは%伸長とも呼ばれる。
剥離強度−ASTM D 1876(180゜剥離角における剥離粘着力、180゜剥離強度、180゜剥離粘着力、T−剥離強度、T−剥離とも呼ばれる。)
記憶係数とも呼ばれる動的記憶係数はG’である。
クリープ係数はASTM D 2293。
ロールボールタックはPSTC6。
ホット剪断強度は、このポリマーまたは接着剤処方物で被覆されたMYLARポリエステルの幅25mmの細長いフィルムから1000グラムの錘を吊るして測定される。このポリマーまたは接着剤処方物は、12.5mm×25mmの接触面積を有するステンレス鋼のプレートに付着される。この試料は、40℃の換気されたオーブン内に置かれる。時間は、応力破壊が起きるまで記録される。
プローブ・タック(ポリケン・プローブ・タックとも呼ばれる)はASTM D 2979。
保持力−PSTC7、剪断粘着力または剪断強度とも呼ばれる。
密度−25℃においてASTM D 792。
ガードナ色−ASTM D 1544−68。
SAFTは熱抵抗とも呼ばれる。
100%伸長における引っ張り強度係数およびヤング率は、ASTM E 1876により測定される。
ルミネッセンスは、ASTM D 1925により測定されたCIEカラー・コーディネートを100で割った反射率「Y」である。
針の貫通は、ASTM D 5により測定される。
たるみは、クリープとも呼ばれる。
結合強度は、ASTM D 3983により測定される。
道路表面への粘着力は、ASTM D 4541により測定される。
【0246】
本発明の接着剤は、消耗品、包装、積層板、感圧接着剤、テープ類、ラベル類、木材の結合剤、紙の結合剤、不織布、道路のマーキング、ミラー・コーティング、などを含む接着剤用途に使われるが、これらに限定されない。
【0247】
好ましい1つの実施態様では、本発明の接着剤は、使い捨てのおむつおよびナプキンの外枠構造、使い捨ての物品に変換する弾性付属品、包装、ラベリング、製本、木工加工、および他の組立用途に使える。特に好ましい用途には、ベビー用おむつのレッグ・エラスティック、おむつの前部テープ、おむつのスタンディング・レッグカフ、おむつ外枠構造、おむつの芯固定材、おむつの液体移動層、おむつの外側カバー層状物、おむつのエラスティックカフ層状物、女性ナプキン芯固定材、女性ナプキン接着帯状物、工業用ろ過結合剤、工業用フィルタ材料層状物、フィルタマスク層状物、手術衣層状物、外科的ドレープ層状物、および傷みやすい製品の包装がある。
【0248】
上に記載した接着剤組成物は、いかなる基板にも塗布されうる。好ましい基板には、木材、紙、ボール紙、プラスチック、熱可塑性プラスチック、ゴム、金属、金属箔(アルミニウム箔および錫箔など)、メッキ表面、布、不織布(特にポリプロピレン・スパンボンド法繊維または不織布)、スパンボンド法繊維、ボール紙、石、石膏、ガラス(フィルム表面に酸化珪素を蒸発させることにより塗布された酸化珪素(SiO)コーティングを含む)、発泡体、岩、セラミック類、フィルム類、ポリマー発泡体類(ポリウレタン・フォームなど)、インク類、染料類、顔料類、PVDCなどまたはこれらの組み合わせで被覆された基板類がある。
【0249】
好ましい基板類には、さらに、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート類、アクリル系、ポリエチレン・テレフタレート、またはブレンド用に適したものとして上にリストアップしたポリマー類のいずれかがある。
【0250】
上の基板類、および/または本発明の接着剤組成物は、すべて、この基板および接着剤組成物が組み合わせられる前または後に、コロナ放電処理、火炎処理、電子ビーム照射、ガンマ線照射、マイクロ波処理、またはシラン化されうる。
【0251】
好ましい実施態様では、本発明のブレンド類は熱安定性であり、熱安定性であることは、180℃で48時間加熱処理(例えば、維持された)された組成物のガードナ色(ASTM D 1544−68により測定された)が、最初の組成物のガードナ色に比べて、7ガードナ・ユニットを超えて変化しないことを意味する。融点を超えて48時間加熱後この組成物のガードナ色が、加熱される前の最初の組成物に比べて、6を超えて、より好ましくは5を超えて、より一層好ましくは4を超えて、より一層好ましくは3を超えて、より一層好ましくは2を超えて、より一層好ましくは1ガードナ色ユニットを超えて変化しないことが好ましい。
【0252】
この組成物中に存在するフリー酸類は、熱安定性の低下をもたらす結果になることが、発見されている。従って、好ましい1つの実施態様では、このブレンド中に存在するフリー酸類の量は、このブレンドの総重量に基づいて約1000ppm未満、より好ましくは約500ppm未満、より一層好ましくは100ppm未満である。さらに、別の好ましい実施態様では、この組成物は、本質的には、ホスファイト類を含まず、ホスファイト類は100ppm以下にて存在するのが好ましい。
【0253】
別の実施態様では、本発明は低温でも有用である。
【0254】
本明細書に記載されたすべての文書類は、優先権文書類および/またはテスト手順書類を含めて、引用により本明細書に組み込まれている。前述の一般的な説明および具体的な実施態様から明らかであるように、本発明の形式は例示され、説明されているが、本発明の技術思想および範囲から逸脱することなく種々の変形例を作ることができる。従って、本発明は前述の一般的な説明および具体的な実施態様により限定されるものではない。
【実施例】
【0255】
キャラクテリゼーションおよびテスト
分子量(数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、およびz−平均分子量(Mz))は、示差屈折率検出器(DRI)、オンライン低角光散乱(LALLS)検出器および粘度計(VIS)を備えたウォーターズ(Waters)150サイズ排除クロマトグラフ(SEC)を用いて測定された。検出器の較正の細部は、別途説明されている[文献:サン(T.Sun)、ブラント(P.Brant)、チャンス(R.R.Chance)、およびグレースリ(W.W.Graessley)、マクロモレキュールス(Macromolecules),Vol.34,No.19,6812〜6820、(2001)]。構成要素の簡単な説明が下でなされている。
【0256】
SECは、3つのポリマー・ラボラトリーズ・PLゲル・10mm混合Bカラムを備え、名目上の流速を0.5cm/分とし、名目上の注入容積を300マイクロリッターとした、両検出器を配置するSECは共通のものとした。種々の移動ライン、カラムおよび示差屈折計(溶出溶液の濃度を測定するために主に使われたDRI検出器)は、135℃に維持されたオーブン内に収容された。
【0257】
LALLS検出器は、モデル2040二重角光散乱光度計(プレシジョン・ディテクター社(Precision Detector Inc.))とした。そのフローセルは、SECオーブンに配置され690nmのダイオード・レーザー光源を用い、15゜および90゜の2つの角度で散乱光を集める。これらの実験では、15゜の出力のみが使われた。その信号は、秒あたり16回の速度で測定値を蓄積するデータ収集ボード(ナショナル・インスツルーメンツ(Natioal Instruments))に送られた。最低4個の測定値が平均され、次いで、比例信号がSEC−LALLS−VISコンピュータに送られるものとした。LALLS検出器は、SECカラムの後、粘度計の前に置かれた。
【0258】
この粘度計は、高温モデル150R(ビスコテック社(Viscotek Corporation))とした。その粘度計は、2つの圧力変換器を有するホィートストン・ブリッジ内に配置された4つのキャピラリからなる。一方の変換器は、検出器の全圧降下を測定し、このブリッジの2つのサイドの間に配置された他方の変換器は示差圧力を測定する。この粘度計内を流れる溶液の比粘度は、粘度計の出力から計算された。この粘度計はSECオーブンの内側にあり、このオーブンは、LALLS検出器の後ろ、且つDRI検出器の前に配置された。
【0259】
SEC実験の溶媒の調製は、1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)(アルドリッチ(Aldrich)、試薬用)の4リッターのびんに酸化防止剤としてブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を6グラム添加し、BHTが溶解するまで待った。このTCB混合物を、0.7ミクロンのガラス・プレフィルタに通し、次いで、0.1ミクロンのテフロン・フィルタによりろ過した。さらに、高圧ポンプとSECカラムとの間には、オンライン0.7ミクロン・ガラス・プレフィルタおよび0.22ミクロンのテフロンフィルタアセンブリを設けておいた。このTCBを、次いで、SECに入れる前にオンライン脱気装置(Phenomenex、モデルDG−4000)を用いて脱気した。
【0260】
ポリマー溶液の調製は、乾燥ポリマーをガラス容器に入れ、所望の量のTCBを加え、次いで、この混合物を約2時間連続的に撹拌しながら160℃に加熱した。すべての量は重量により測定された。ポリマー濃度を質量/容積ユニット単位で表すために使われたTCB濃度は、室温で1.463g/ml、135℃で1.324g/mlであった。注入濃度は1.0〜2.0mg/mlの範囲とし、高分子量の試料の場合に低めの濃度を使った。
【0261】
各試料のテストを行う前に、DRI検出器および注入器は浄化された。次いで、装置内の流速を0.5ml/分まで上げ、最初の試料を注入する前に、DRIを8〜9時間安定化させた。アルゴンイオン・レーザーを20〜30分間簡単なアイドルモードで運転することにより、試料のテストを行う前にこのレーザーを1〜1.5時間作動させ、次いで、フル・パワーに切り替えて光を規定モードにした。
【0262】
分岐度は、オンライン粘度計を有するSEC(SEC−VIS)を用いて測定され、SECトレースにおいて各分子量におけるg’として報告されている。分岐度g’は、
g’=η/η
として規定され、ηは分岐ポリマーの固有粘度であり、ηはこの分岐ポリマーと同じ粘度平均分子量(Mv)の線状ポリマーの固有粘度である。η=KMαの関係があり、Kおよびαについては、線状ポリマー類について測定された値であり、分岐度測定の場合に使われたSEC−DRI−LS−VIS装置と同じ装置について得る必要がある。本発明で提供されたポリプロピレン試料では、K=0.0002288およびα=0.705が使われた。このSEC−DRI−LS−VIS法は、多分散性について修正する必要がない。これは、固有粘度および分子量が、おそらくは狭い範囲に分散したポリマーを含む個々の溶出容積で測定されたからである。比較のための基準として選択された線状ポリマー類は、同じ粘度平均分子量、モノマー含有量および組成分布としなければならない。C2〜C10モノマー類を含むポリマーの直線性は、ランドール(Randall)の方法で炭素13NMR(レビューズ・イン・マクロモレキュラ・ケミストリ・アンド・フィジックス(Rev.Macromol.Chem.Phys.),C29(2&3),p.285〜297)により確認される。C11以上のモノマー類の直線性は、MALLS検出器を用いたGPC分析により確認される。例えば、プロピレンのコポリマーの場合、NMRはコモノマーの分岐度より大きな分岐度を示すはずがない(即ち、コモノマーがブテンならば、2個の炭素より大きな分岐が存在するはずがない)。プロピレンのホモポリマーでは、GPCは1つより大きな炭素原子の分岐を示すはずがない。コモノマーがC9以上であるポリマーについて直線性の標準が望まれる場合は、これらのポリマーの標準を決める手順として、サン(T.Sun)、ブラント(P.Brant)、チャンス(R.R.Chance)、およびグレースリ(W.W.Graessley)、マクロモレキュールス(Macromolecules),Vol.34,No.19,6812〜6820,(2001)を参照すればよい。シンジオタクチック・ポリマーの場合、この標準は、炭素13NMRにより測定した場合、同程度の量のシンジオタクチック度を有するはずである。
【0263】
13C NMR用ポリマー試料については、d−1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解し、これらの試料を、75または100MHzのNMR分光計を用いて125℃で記録した。ポリマー共鳴ピークは、mmmm=21.8ppmと対比される。NMRによるポリマー類のキャラクテリゼーションに含まれる計算は、ボーベイ(F.A.Bovey)の研究「ポリマーのコンフォメーションおよび立体配置(Polymer Conformation and Configuration)」,Academic Press,ニューヨーク,1969、およびランドール(J.Randall)の研究「ポリマー配列の決定、炭素−13NMR法(Polymer Sequence Determination,Carbon−13NMR Method)」,Academic Press,ニューヨーク,1977、に従う。ベルヌーイ指数(B)は、B=4[mm][rr]/[mr]として規定される。長さ2個のメチレン配列の%、%(CHは、次のようにして計算された。即ち、14〜18ppmの間のメチル炭素の総数(これは、長さ2個の配列になったメチレンの数の濃度に等しい)を、45〜49ppmの間の長さ1個のメチレン配列の総数および14〜18ppmの間のメチル炭素の総数の和により割って100倍する。これは、2個以上の配列に含まれたメチレン基の量に関する最小の計算である。何故ならば、2を超えたメチレン配列は排除されているからである。帰属は、チェン(H.N.Cheng)およびエーベン(J.A.Ewen),マクロモレキュラ・ヒェミー(Makromol.Chem.),1989,190,1931に基づいてなされた。
【0264】
ピーク融点(Tm)、ピーク結晶化温度(Tc)、融解熱および結晶化度は、ASTM E 794−85およびASTM D 3417−99により次の手順を用いて測定された。示差走査熱量(DSC)データは、TA装置モデル2920マシンを用いて得られた。約7−10mgの計量された試料は、アルミニウム製試料容器に密封された。DSCデータは、まず試料を−50℃まで冷却し、次いで、10℃/分の速度で200℃まで徐々に加熱して記録された。この試料は、第2の冷却−加熱サイクルにかける前に200℃に5分間保持された。第1および第2のサイクル熱事象の両方が記録された。曲線の下の面積が測定され、融解熱および結晶化度の決定に使われた。%結晶化度は、下記式
[曲線の下の面積(J/g)/B(J/g)]×100
を用いて計算され、Bは主要モノマー成分のホモポリマーの融解熱である。Bに関するこれらの値は、1999年にニューヨークのJohn Wiley and Sonsから発行されたポリマー・ハンドブック第4版から得られる。189J/gの値(B)は、100%結晶性のポリプロピレンの融解熱として使われた。複数の溶融または結晶化ピークを示すポリマーでは、最高溶融ピークはピーク融点として採用され、最高結晶化ピークは、ピーク結晶化温度として採用された。
【0265】
ガラス転移温度(Tg)は、TA装置モデル2920マシンを用いてASTM E 1356により測定された。
【0266】
溶融粘度(ASTM D 3236)(「粘度」、「ブルックフィールド粘度」とも呼ばれる)。溶融粘度プロフィールは、通常、ブルックフィールド・サーモセル粘度計および27番のスピンドルを用いて120℃〜190℃の範囲の温度で測定された。
【0267】
接着テスト
多数のホットメルト接着剤が、純粋なポリマーを用いるか、または純粋なポリマー、機能性添加剤類、粘着付与剤、ワックス、酸化防止剤および他の成分を、流動メルトを形成するために低い剪断混合の下で高温にて混合してブレンドすることにより作られた。混合温度は、約130〜約190℃の範囲で変動した。接着テストの試料は、これらの基板を約0.3グラムの溶融接着剤のドットと結合させ、この結合を室温に冷却するまで500グラムの錘で圧縮して作られた。ドットのサイズは、大抵の場合圧縮されたディスクがこれらの基板の寸法の丁度内側で均一な円を作るように接着剤容積により調節された。
【0268】
一旦構造物が作られると、この結合の効果を評価するために種々の損傷を受けさせる。一旦結合が紙基板から離れると、この効果を定量する簡単な方法は、構造物が結合線に沿って離れた時に紙繊維を保持した接着剤ドットの面積を測定することである。この推定値は、基板繊維の裂け目%と呼ばれた。1つの試料を−12℃でコンディショニングし、結合の破壊を試みた後、良好な繊維の1例は、基板繊維の裂け目の80〜100%の推定値であろう。これらの条件下で基板繊維の引き裂きが0%であることは、接着力が失われたシグナルのようである。
【0269】
基板繊維の引き裂き:これらの試料は、上に記載された手順と同じ手順を用いて作られた。低温繊維引き裂きテストでは、所望のテスト温度を得るために、結合試料は冷凍庫または冷蔵庫に置かれた。室温における基板繊維の引き裂きでは、これらの試料は周辺条件下に置かれた。これらの結合は手で分離され、観察された破壊の型について決定された。基板繊維の引き裂き量は、%単位で表示された。
【0270】
ドット式T型剥離は、約1平方インチ(1インチ=2.54cm)の面積を占めた500グラムの錘の下で圧縮される場合、試料が、2枚の1インチ×3インチ(2.54cm×7.62cm)の基板切り欠き部をある容積を有する接着剤の1つのドットと組み合わせることにより作られることを除いてASTM D 1876により測定された。一旦作られたすべての試料は、加えられている損傷の破壊力を記録するマシンにより、分あたり2インチの速度の並行テストにおいて分析された。テストされた各試料について達成された最大力を記録し、平均し、ドット式T型剥離として報告されている平均最大力を作る。
【0271】
剥離強度(修正されたASTM D 1876):基板(1インチ×3インチ(25mm×76mm))は、135℃で1〜2秒および40psi(0.28MPa)の圧力で接着剤フィルム(5mil(130μm)の厚さ)を用いてヒートシールされた。結合された試料は、2in/分(51mm/分)の一定のクロスヘッド速度にて引っ張りテスターにおいて剥がされた。この結合を剥がすのに必要な平均の力(5試料)が記録されている。
【0272】
セット時間は、圧縮された接着剤基板構造物が、引っ張られたときに、基板繊維を切り裂くのに十分なほど一緒に固定するのに要する時間として規定されている。従って、この結合は、圧縮を除去するには十分な強さがある。この結合は、さらに冷却すると一層強くなるようであり、圧縮はもはや必要ではない。これらのセット時間は、平らなテーブルにテープで貼り付けられたファイルホルダ基板上に接着剤の溶融ドットを置くことにより測定された。ファイルホルダ・タブ(1インチ×3インチ(25mm×76mm))は、3秒後ドット上に置かれ、500グラムの錘で圧縮された。この錘は、約0.5〜約10秒間置かれた。このようにして形成されたこの構造物は、結合レベルが基板繊維の引き裂きを作るのに十分良好であるかをチェックするために引っ張られた。このセット時間は、このような良好な結合を作るのに必要な最小時間として記録された。このプロセスを較正するために標準値が使われた。
【0273】
SAFT(修正されたD4498)は、剪断モードでこの結合を引っ張る一定の力の下で華氏10゜(5.5℃)/15分.で上がる高温に耐えられる結合の能力を測定する。これらの結合は、クラフト紙(1インチ×3インチ(2.5cm×7.6cm))上に上述の方法で形成された。これらのテスト試料は、底に取り付けられた500グラムの荷重と共に室温のオーブン内に垂直に吊るされた。錘が落下した温度が記録された(たまにオーブンの能力>華氏265゜(129℃)を超えた温度に到達する場合があり、その試料は終了させ、終了温度における他の試料と共に平均した)。
【0274】
ショアA硬度は、ASTM D 2240により測定された。接着剤の空冷ドットは針にさらされ、たわみが目盛りから記録された。
【0275】
ポリマー類およびそれらのブレンドの色は、ASTM D 1544−4によりガードナ指数(ガードナ色スケール)を用いて測定された。ガードナ・デルタ212色比較器が使われた。これらの試料は、測定する前に180℃で溶融された。
【0276】
次の物質は、次の表に載せられた実施例HM1〜HM50で使われた。
【表2】

【表3】

【表4】

【0277】
次の実施例における接着剤評価に使われるポリマー類は、次の手順に従って作られた。重合は、混合メタロセン触媒系を用いて、液体を満たした一段連続反応機において行われた。この反応機は、0.5リッターのステンレス鋼製のオートクレーブ反応機であり、撹拌機、温度調節器を有する水冷/スチーム加熱エレメント、および圧力調節器を備えていた。溶媒類、エチレンおよびプロピレンなどのモノマー類、および存在すれば、コモノマー類(ブテンおよびヘキセンなど)は、まず、3つのカラムからなる浄化装置に通して精製された。この浄化装置は、Oxiclearカラム(Labclearからのモデル#RGP−R1−500)とそれに続く5Aおよび3Aのモレキュラー・シーブ・カラムから構成された。これらの浄化コラムは、重合活性低下の徴候があれば、定期的に再生された。5Aおよび3Aの両モレキュラー・シーブ・カラムは、社内で、それぞれ、設定温度315℃および260℃において窒素中で再生された。このモレキュラー・シーブは、Aldrichから購入した。Oxiclearカラムは、入手先で再生された。
【0278】
溶媒、モノマー類およびコモノマー類は、まず、多岐管に供給された。社内の供給源からのエチレンは、冷却された溶媒およびモノマー混合物に溶解されたガスとして多岐管に供給された。次いで、溶媒およびモノマー類の混合物は、単管を通して反応機に供給する前に、冷却機を通して約−15℃まで冷却された。液体流速は、すべて、ブルックフィールド質量流量計またはマイクロモーション・コリオリス型流量計を用いて測定された。エチレン流速は、ブルックフィールド質量流量調節計により計測された。
【0279】
半結晶性ポリプロピレンを製造するために使われた触媒化合物は、rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウム・ジメチル(アルベマール(Albemarle)から得られた)およびrac−1,2−エチレン−ビス(4,7−ジメチルインデニル)ハフニウム・ジメチル(ボウルダ・サイエンテイフィック・カンパニ(Boulder Scientific Companyから得られた)であった。
【0280】
アモルファス・ポリプロピレンの製造に使われた触媒化合物は、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタニウム・ジメチル(アルベマールから得られた)および[ジ(p−トリエチルシリルフェニル)メチレン](シクロペンタジエニル)(3,8−ジ−t−ブチルフルオレニル)ハフニウム・ジメチル(アルベマールから得られた)であった。
【0281】
これらの触媒は、重合反応より少なくとも10分前に、700mlのトルエン中で1:1〜1:1.1のモル比にて、N,N−ジメチルアニリニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(アルベマールから得られた)により予め活性化された。これらの触媒系は、トルエン中で0.2〜1.4mg/mlの範囲の触媒濃度に希釈された。触媒溶液は、すべて、水分1.5ppm未満の不活性雰囲気に保存され、定量ポンプにより反応機に供給された。この触媒溶液は、同じ日に行われたすべての重合反応で使われた。1日に700mlを超える触媒溶液が消費された場合には、新しいバッチの触媒溶液が作られた。
【0282】
複数の触媒を含む重合の場合には、各触媒溶液は別々の配管で送り込まれ、次いで、多岐管中で混合され、単管により反応機に供給された。触媒多岐管と反応機入口との間の接続管は、長さ約1mであった。触媒、溶媒およびモノマー類の接触は、反応機で起きた。触媒ポンプは、較正媒体としてトルエンを用いて定期的に較正された。供給原料中の触媒濃度は、触媒溶液の触媒濃度を変えるか、触媒溶液の供給速度を変えて調節された。触媒溶液の供給速度は、0.2〜5ml/分の範囲で変えた。
【0283】
不純物捕集剤として、55mlのトリイソブチル・アルミニウム(トルエン中25重量%、Akzo Noble)が22.83kgのヘキサン中で希釈された。希釈されたトリイソブチル・アルミニウム溶液は、窒素雰囲気下で37.9リッターの円筒状容器に貯蔵された。この溶液は、約90%消費されるまですべての重合反応で使われ、次いで、新しいバッチが作られた。トリイソブチル・アルミニウム溶液の供給速度は、重合反応毎に0(捕集剤なし)〜4ml/分の範囲で変えた。
【0284】
アルファ,オメガ・ジエン類を含む重合反応の場合、1,9−デカジエンは、4.8〜9.5vol.%の範囲の濃度にトルエン中で希釈された。この希釈溶液は、次いで、コモノマー配管から定量ポンプにより反応機に供給された。1,9−デカジエンは、Aldrichから得られ、いずれも窒素雰囲気中で活性化されたアルミナ、次いでモレキュラー・シーブに通して浄化された。
【0285】
この反応機は、まず、最高許容温度(約150℃)で少なくとも1時間反応システムに溶媒(例えば、ヘキサン)および捕集剤を連続的に送り込むことにより浄化された。浄化後、反応機は、反応機のジャケット内を流れる水およびスチームの混合物を用いて所望の温度に加熱または冷却され、制御された溶媒流を用いて設定圧力において調節された。モノマー類および触媒溶液類は、次いで、定常状態の操作に到達した時に反応機内に供給された。自動温度調節装置は、反応機を設定温度において調節し、維持するために使われた。重合活性の開始は、粘性生成物の観察および水とスチームの混合物の温度が比較的低いことから判断された。一旦、活性が確認され、システムが定常状態に到達すると、反応機は、試料を採取する前に平均滞留時間の少なくとも5倍の時間の間、設定条件下でシステムを操作することを続けることにより概略規定された。ほとんどが溶媒、ポリマーおよび未反応モノマー類である、得られた混合物は、システムが定常状態操作に到達後収集ボックスに集められた。収集された試料は、まず、フード内で空気乾燥され、溶媒の大部分を蒸発させ、次いで、約90℃で約12時間真空オーブン内で乾燥された。真空オーブンで乾燥された試料は、計量して収量を算出した。反応は、すべて、2.41MPaゲージの圧力において、110〜130℃の温度範囲で行われた。
【0286】
PP1からPP9までのポリマー試料の詳細な実験条件および分析結果は、表1に提示される。
【表5】

【表6】

【表7】

【0287】
ポリマー試料SP1およびSP3〜SP6の詳細な実験条件および分析データは、下に提示される。用いた触媒は、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウム・ジメチルであり、活性剤はN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートであった。これらは、シンジオタクチック構造に富むポリプロピレン類である。
【表8】

【0288】
ポリマー試料PP10、PP11、PP12、およびaPP−iPP−4〜−6は、直列につないだ2つの連続撹拌槽反応機で製造された。これらの反応機は、3.65MPaの圧力の下で液体を満たして操作された。両反応機の温度は、ジャケットにホットオイルを循環して調節された。各反応機の重合原料の滞留時間は45分であった。プロピレンのポリマー製品への転化率は約91%であった。
【0289】
3.63kg/hのプロピレンと7.71kg/hのヘキサンとから、11.34kg/hの重合原料溶液が形成された。ヘキサン中3重量%溶液としてのトリ−n−オクチル・アルミニウム(TNOA)(アルベマールから得られた)は、この流れに0.272グラム/h(活性剤ベース)の速度で導入された。触媒および活性剤は、別々の入口から反応機に入れられた。触媒溶液は、ジ(p−トリエチルシリルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,8−ジ−t−ブチルフルオレニル)ハフニウム・ジメチル(触媒B)およびrac−ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウム・ジメチル(触媒D)の混合物から構成された。この触媒溶液は、この触媒混合物をトルエンに溶解し、0.5重量%溶液を形成して作られた。この活性剤供給流は、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの0.2重量%トルエン溶液であった。これらの触媒類および活性剤は両方とも、アルベマールから得られた。触媒および活性剤の供給配管は、第1反応機の直ぐ上流の配管で混合するために接触時間が2〜4分になるように作られた。触媒および活性剤の供給速度は、それぞれ、0.04グラム/hおよび0.1グラム/h(活性剤ベース)であった。溶融ポリマーは、各々がプレヒータを備えた2段フラッシュを介して溶液から回収された。第1段(20psig)のポリマーは、約2%の溶媒を含み、第2段(50トールの真空)のポリマーは約800ppmの揮発分を含む。第2段フラッシュ(脱揮装置)の供給液に水が注入され、残留触媒が急冷され、溶媒の分離が助長された。ポリマーPP10〜PP12の特性および反応条件は下の表にまとめられている。
【表9】

【0290】
ポリマーaPP−iPP−4〜6の特性および反応条件を下の表にまとめている。
【表10】

【0291】
次のポリマー類は、マレイン酸化され、接着力を高める変性剤として使われた。機能化は、120gのポリマーをトルエンに溶解し(ポリマー濃度は約20重量%である)、次いで、15重量%(ポリマーに基づいて)の無水マレイン酸(MA)および2.5重量%の2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキセンと組み合わせて行われた。反応温度は、139℃に4時間保持された。スクラボンら(M.Sclavons et al)により記述された方法(ポリマー(Polymer),41(2000),p.1989)が、マレイン酸化されたポリマー類のMA含有量の決定に使われた。つまり、約0.5gのポリマーが沸騰温度で150mlのトルエンに溶解された。指示薬としてブロモチモール・ブルーを用いた水酸化テトラブチルアンモニウムによる電位差滴定が、滴定中このポリマーが沈殿しないように加熱された溶液について行われた。マレイン酸化ポリマー類の分子量およびMA含有量は、下の表に載せられている。アミド官能基は1−ビニル−2−ピロリドンを用いることにより与えられ、酸官能基はアクリル酸を用いることにより与えられた。
【表11】

【0292】
次のポリマー類は、マレイン酸化され、接着力を高める変性剤として使われた。マレイン酸化は、国際公開第02/36651号に記載された手順に従って行われた。
【表12】

【0293】
多数のホットメルト接着剤が、ポリマー、機能性添加剤類、粘着付与剤、ワックス、酸化防止剤、および他の成分を、高温で低剪断下で混合しブレンドして液状のメルトを形成するか、またはポリマー類を用いて作られた。混合温度は、約130〜約190℃の範囲で変動する。実施例として、下の表に詳細な処方およびブレンドの特性を載せている。接着テストは、すべて、明示しない限り、周辺条件で行われた。処方物は重量%単位である。
【表13】

【0294】
REXTAC RT2715は、ハンツマン社(Huntsman Co.)により製造された約67.5モル%のプロピレン、約30.5モル%のブテンおよび約2モル%のエチレンを有するプロピレン、ブテンおよびエチレンのコポリマーである。このコポリマーは約11モル%のBBダイアッド、約40モル%のPBダイアッドおよび約49モル%のPPダイアッドを有する。融点は76℃で、23〜124℃の溶融範囲があり、Tgは−22℃であり、結晶化度は約7%であり、エンタルピはDSCによると11J/gである。GPCによると、Mnは6630であり、Mwは51200およびMzは166,700である。Mw/Mnは7.7である。
【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【表20】

【表21】

【0295】
シンジオタクチック構造に富むポリマー類(srPP)は、機能化され、接着変性剤として使われた。機能性srPPを有する接着剤処方物および接着性能は、下の表に示され、SP#は、SP#−g−MA、SP#−g−酸またはSP#−g−アミドの前駆体ポリマーを表す。これらのシンジオタクチック構造に富むポリプロピレンの特性は、表3に載せられている。機能性ポリマー類の特性は、表6に載せられている。
【0296】
機能性の各成分とオレフィン・ポリマーのブレンド類は、電気により駆動する撹拌機を備えたブルックフィールド粘度計の熱電池内にて180℃で均一に混合された。混合後、これらのブレンド類は、180℃において真空オーブン内で脱気され(窒素により連続的に浄化)、次いで、25℃に冷却された。次いで、各接着剤組成物の試料は、180℃の成形温度および10秒の成形時間を用いて、約0.4mmの厚さの薄いシートに成形された。T−peel試料を作る場合、接着剤試料からなるこの薄いシートは、正圧力の下、テフロンを被覆した型で2枚のMylar基板(3milの厚さ)の間で積層された。結合温度は180℃、結合時間は10秒であった。次いで、この積層板は、1.3cmの幅の試料にカットされた。T−peel測定は、すべて、室温および850μm/sの分離速度で行われた。
【0297】
データが示すように、機能性srPPは、これらの組成物のMylarのT−peel強度を高める。明らかに、官能基はMA基を有するMylarに対するプロピレン・ベースのポリマーの接着力を改良し、良好な結果を示す。
【表22】

【表23】

【0298】
E−5380はESCOREZ登録商標5380であり、環球法軟化点約85を有する炭化水素樹脂をベースにした水素化ジシクロペンタジエンであり、テキサス州ヒューストンのエクソンモービル・ケミカル社から入手できる。
【表24】

【表25】

【0299】
これらの実施例として、本発明の組成物により極性と非極性との両基板への接着力が高められることも示されている。これらの組成物は、接着剤、結合層などの種々の領域に塗布される。これらの実施例は、ホットメルト接着剤(HMA)の塗布による包装用段ボール紙の結合に向けられている。上のように、本発明の処方物は、高温で、低または高剪断混合の下で、成分1、aPP−iPPポリマーおよび機能性ポリオレフィン(MA−srPP)を粘着付与剤、ワックス、酸化防止剤、可塑剤、油、液状樹脂粘着付与剤などの他の成分とブレンドし、液状メルトを形成して作られた。混合温度は、約130℃〜約190℃の範囲で変動した。
【図面の簡単な説明】
【0300】
【図1】図1は、本発明に包含されるPOAの複素粘度−温度パターン示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)機能性成分および
2)3〜30個の炭素原子を有するアルファオレフィンを50重量%以上含む接着剤であって、
前記オレフィンのポリマーは、クラフト紙上でのドット式T型剥離が1N以上、Mwが10,000〜100,000、Mzにおいて測定されたg’が0.95以下、融解熱が1〜70J/gであり、前記機能性成分が機能性ポリマー類、機能性オリゴマー類およびベータ核化剤からなる群から選択され、前記接着剤のガードナ色が、前記接着剤が180℃で48時間加熱老化処理された場合、未処理組成物のガードナ色に比べて、7ガードナ・ユニットを超えて変化しないことを特徴とする接着剤。
【請求項2】
1)機能性成分および
2)3〜30個の炭素原子を有する1つ以上のアルファオレフィンを50重量%以上含む接着剤であって、
前記オレフィンのポリマーは、ドット式T型剥離が1N以上、Mwが10,000〜60,000、Mzにおいて測定されたg’が0.98以下、融解熱が1〜50J/gであり、前記機能性成分が機能性ポリマー類、機能性オリゴマー類およびベータ核化剤からなる群から選択され、前記接着剤のガードナ色が、前記接着剤が180℃で48時間加熱処理された場合、未処理組成物のガードナ色に比べて、7ガードナ・ユニットを超えて変化しないことを特徴とする接着剤。
【請求項3】
1)機能性成分および
2)a)1〜30個のアイソタクチック構造ユニットの長さ、
b)20%を超えたrダイアッド、
c)70J/g以下の融解熱、
を有するホモポリプロピレンまたはプロピレンと最大5モル%のエチレンとのコポリマーを含むオレフィンのポリマーを含む接着剤であって、
前記機能性成分が機能性ポリマー類、機能性オリゴマー類およびベータ核化剤からなる群から選択され、前記接着剤のガードナ色が、前記接着剤が180℃で48時間加熱老化処理された場合、未処理組成物のガードナ色に比べて、7ガードナ・ユニットを超えて変化しないことを特徴とする接着剤。
【請求項4】
前記オレフィンのポリマーが、5%〜40%以下の間の結晶化度パーセントを有することを特徴とする請求項1,2または3の接着剤。
【請求項5】
前記g’が、0.90以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項6】
前記g’が、0.80以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項7】
前記オレフィンのポリマーが、190℃において90,000mPa・s以下の粘度を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項8】
前記オレフィンのポリマーが、160℃において8,000mPa・s以下の粘度を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項9】
前記オレフィンのポリマーが、10J/gより大きい融解熱を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項10】
前記オレフィンのポリマーが、20J/g〜70J/gの融解熱を有することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項11】
前記オレフィンのポリマーが、30J/g〜60J/gの融解熱を有することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項12】
前記オレフィンのポリマーが、10〜30%の結晶化度パーセントを有することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項13】
前記オレフィンのポリマーが、0.75MPa以上の引張強度破断を有することを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項14】
前記オレフィンのポリマーが、100〜130℃のSAFTを有することを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項15】
前記オレフィンのポリマーが、2〜200のMz/Mnを有することを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項16】
前記オレフィンのポリマーが、20〜90のショアA硬度を有することを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項17】
前記オレフィンのポリマーが、3N〜10,000Nの間のドット式T型剥離を有することを特徴とする請求項1乃至請求項16のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項18】
前記オレフィンのポリマーが、10N〜2,000Nの間のドット式T型剥離を有することを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項19】
前記オレフィンのポリマーが、0.6MPa以上の引張強度破断を有することを特徴とする請求項1乃至請求項18のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項20】
前記オレフィンのポリマーが、5℃〜−65℃の間のTgを有することを特徴とする請求項1乃至請求項19のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項21】
前記オレフィンのポリマーが、少なくとも50重量%のプロピレンを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項20のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項22】
前記オレフィンのポリマーが、少なくとも50重量%のプロピレンと、エチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、ペンテン、ヘプテン、ノネン、4−メチルペンテン−1、3−メチルペンテン−1、3,5,5−トリメチル−ヘキセン−1、および5−エチル−1−ノネンからなる群から選択される最大50重量%のコモノマーとを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項21のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項23】
前記オレフィンのポリマーが、少なくとも50重量%のプロピレンおよび5重量%以下のエチレンを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項22のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項24】
前記オレフィンのポリマーが、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエン、トリデカジエン、テトラデカジエン、ペンタデカジエン、ヘキサデカジエン、ヘプタデカジエン、オクタデカジエン、ノナデカジエン、イコサジエン、ヘネイコサジエン、ドコサジエン、トリコサジエン、テトラコサジエン、ペンタコサジエン、ヘキサコサジエン、ヘプタコサジエン、オクタコサジエン、ノナコサジエン、トリアコンタジエン、シクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、ノルボナジエン、エチリデン・ノルボルネン、ジビニルベンゼン、およびジシクロペンタジエンからなる群から選択されるジエンを最大10重量%含むことを特徴とする請求項1乃至請求項23のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項25】
粘着付与剤が、1〜60重量%存在することを特徴とする請求項1乃至請求項24のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項26】
粘着付与剤が存在し、これが脂肪族炭化水素樹脂類、芳香族変性脂肪族炭化水素樹脂類、水素化ポリシクロペンタジエン樹脂類、ポリシクロペンタジエン樹脂類、ガムロジン類、ガムロジンエステル類、ウッドロジン類、木材ロジンエステル類、トール油ロジン類、トール油ロジンエステル類、ポリテルペン類、芳香族変性ポリテルペン類、テルペンフェノール樹脂類、芳香族変性水素化ポリシクロペンタジエン樹脂類、水素化脂肪族樹脂、水素化脂肪族芳香族樹脂類、水素化テルペン類および変性テルペン類、水素化ロジン酸類、水素化ロジンエステル類、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項1乃至請求項25のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項27】
前記接着剤が、さらに、極性ワックス類、非極性ワックス類、フィッシャ・トロプシュ(Fischer−Tropsch)ワックス類、酸化フィッシャ・トロプシュワックス類、ヒドロキシステアラミドワックス類、ポリプロピレンワックス類、ポリエチレンワックス類、ワックス変性剤類、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のワックス類を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項25のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項28】
前記接着剤が、さらに、可塑剤類、油類、安定剤類、酸化防止剤類、顔料類、染料類、ポリマー性添加剤類、消泡剤類、防腐剤類、増粘剤類、レオロジー変性剤類、湿潤剤類、充填剤類および水からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項27のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項29】
前記接着剤が、さらに、1つ以上の脂肪族ナフテン油類、ホワイト油類、それらの組み合わせ、またはそれらの誘導体を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項28のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項30】
前記接着剤が、さらに、鉱油類、ポリブテン類、フタレート類、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の可塑剤類を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項29のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項31】
前記接着剤が、さらに、ジ−イソ−ウンデシルフタレート,ジ−イソ−ノニルフタレート、ジオクチルフタレート類、それらの組み合わせ、またはそれらの誘導体からなる群から選択される1つ以上の可塑剤類を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項30のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項32】
前記オレフィンのポリマーが、80℃〜140℃の間にピーク融点を有することを特徴とする請求項1乃至請求項31のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項33】
前記オレフィンのポリマーが、0℃以下のTgを有することを特徴とする請求項1乃至請求項32のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項34】
前記オレフィンのポリマーが、50dg/分以上のメルトインデックスを有することを特徴とする請求項1乃至請求項33のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項35】
前記オレフィンのポリマーが、30秒以下のセット時間を有することを特徴とする請求項1乃至請求項34のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項36】
前記オレフィンのポリマーが、Tmより少なくとも10℃低いTcを有することを特徴とする請求項1乃至請求項35のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項37】
前記オレフィンのポリマーが、6.5以下のI10/Iを有することを特徴とする請求項1乃至請求項36のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項38】
前記オレフィンのポリマーが、10〜60℃の範囲の結晶化温度を有することを特徴とする請求項1乃至請求項37のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項39】
前記機能性成分が、0.001〜50重量%の範囲で存在することを特徴とする請求項1乃至請求項38のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項40】
前記機能性成分が、0.1〜10重量%の範囲で存在することを特徴とする請求項1乃至請求項39のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項41】
前記機能性成分が、機能性ポリマーを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項40のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項42】
前記機能性成分が、マレイン酸化ポリエチレン、マレイン酸化メタロセンポリエチレン、マレイン酸化メタロセンポリプロピレン、マレイン酸化エチレンプロピレンゴム、および機能性ポリイソブチレンからなる群から選択される機能性ポリマーを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項41のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項43】
前記機能性成分が、機能性オリゴマーを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項42のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項44】
前記機能性成分が、機能性炭化水素樹脂を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項43のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項45】
前記機能性成分が、ベータ核化剤を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項44のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項46】
前記機能性成分が、N,N’−ジフェニルヘキサンジアミド、N,N’−ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド、N,N’−ジシクロヘキサンカルボニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジベンゾイル−1,5−ジアミノナフタレン、N,N’−ジベンゾイル−1,4−ジアミノシクロヘキサンまたはN,N’−ジシクロヘキサンカルボニル−1,4−ジアミノシクロヘキサン、N−シクロヘキシル−4−(N−シクロヘキシルカルボニルアミノ)ベンズアミド、N−フェニル−5−(N−ベンゾイルアミノ)ペンタンアミド,ソルビトール,サリチル酸,p−ヒドロキシ安息香酸,3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸亜鉛、2−ナフトエ酸、フェニル酢酸、テレフタル酸、アントラニル酸、3,3−ジフェニルプロピオン酸、テトラブチルアンモニウム・クロライド、ナフタル酸、ベンゾイン、アスコルビン酸、アジピン酸、テトラブチル・ベンゾエート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、4−ドデシルベンゼンスルホン酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、ジフェン酸、4−イソプロピル安息香酸、Millad 3988tm、ネオデカン酸、アビエチン酸、安息香酸ナトリウム、無水こはく酸、フェノール、安息香酸、ベンジルアルコール、ベンジルアミン、アルキル置換こはく酸エステル類(好ましくは、C1〜C40アルキル置換こはく酸エステル類)、置換ジ(ベンジリデン)−D−ソルビトール類、1,3:2,4−ジ(ベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、赤色キナクリドン染料、キナクリドン着色剤のガンマ結晶形、オルトフタル酸のビナトリウム塩、6−キニザリンスルホン酸のアルミニウム塩、イソフタル酸のアルミニウム塩およびテレフタル酸のアルミニウム塩からなる群から選択されるベータ核化剤を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項45のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項47】
前記機能性成分が、有機酸類、有機アミド類、有機アミン類、有機エステル類、有機無水物類、有機アルコール類、有機酸ハライド類、有機過酸化物類、およびこれらの塩類からなる群から選択される官能基を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項46のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項48】
前記機能性成分が、カルボン酸類、不飽和カルボン酸類のエステル類、酸無水物類、ジエステル類、塩類、アミド類、イミド類、芳香族ビニル化合物類、加水分解性不飽和シラン化合物類および不飽和ハロゲン化炭化水素類からなる群から選択される官能基を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項46のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項49】
前記機能性成分が、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水2−メチルマレイン酸、無水2−クロロマレイン酸、無水2,3−ジメチルマレイン酸、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物および4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、クロトン酸、ビシクロ(2.2.2)オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、1,2,3,4,5,&g,lo−オクタヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸無水物、2−オキサ−1,3−ジケトスピロ(4.4)ノン−7−エン、ビシクロ(2.2.1)ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、マレオピマル酸、無水テトラヒドロフタル酸、ノルボルン−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、無水ナド酸,無水メチルナド酸,無水ハイミック酸、無水メチルハイミック酸、およびx−メチル−ビシクロ(2.2,1)ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物(XMNA)からなる群から選択される官能基を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項48のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項50】
前記機能性成分が機能性ポリマーを含み、前記機能性ポリマーのポリマーがシンジオタクチック・ポリプロピレンであることを特徴とする請求項1乃至請求項49のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項51】
前記機能性成分が機能性ポリマーを含み、前記機能性ポリマーのポリマーがシンジオタクチック・リッチ・ポリプロピレンであることを特徴とする請求項1乃至請求項50のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項52】
前記機能性成分が機能性ポリマーを含み、前記機能性ポリマーのポリマーが15,000以下の重量平均分子量および5%以上の結晶化度を有するポリプロピレンであることを特徴とする請求項1乃至請求項51のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項53】
前記機能性成分が機能性ポリマーを含み、前記機能性ポリマーのポリマーが3,000と15,000との間の重量平均分子量および5%以上の結晶化度を有し、最大10重量%の無水マレイン酸を用いて機能化されているポリプロピレンであることを特徴とする請求項1乃至請求項53のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項54】
前記機能性成分が機能性ポリマーを含み、前記機能性ポリマーのポリマーが
1)約0.5J/g〜約25J/gの範囲の融解熱、および/または
2)約0.25%〜約15%の範囲の結晶化度、および/または
3)約25℃〜約75℃の範囲の融点、および/または
4)10,000〜500,000の範囲の機能化前の重量平均分子量、および/または
5)1.8〜5の間のMw/Mn、および/または
6)100未満のムーニー粘度ML(1+4)@125℃、
を有するポリプロピレンであることを特徴とする請求項1乃至請求項53のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項55】
前記機能性成分が機能性ポリマーを含み、前記機能性ポリマーのポリマーが、少なくとも50%の[r]ダイアッドを有するシンジオタクチック・リッチ・ポリプロピレンであることを特徴とする請求項1乃至請求項54のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項56】
前記機能性成分が機能性ポリマーを含み、前記機能性ポリマーのポリマーが、99%以下の[r]ダイアッドを有するシンジオタクチック・リッチ・ポリプロピレンであることを特徴とする請求項1乃至請求項55のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項57】
前記機能性成分が機能性ポリマーを含み、前記機能性ポリマーのポリマーが、プロピレンとアルファオレフィンとのランダムコポリマーであり、前記プロピレンコポリマーが、
0.1〜50%の範囲の結晶化度、
68〜92モルパーセントの範囲のプロピレン含有量、
8〜32モルパーセントの範囲のコモノマー含有量、
25℃〜105℃の範囲の融点、および
45J/g未満の融解熱、
を有することを特徴とする請求項1乃至請求項56のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項58】
前記オレフィンのポリマーを前記機能性成分と接触させて混合物を作る工程を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項57のいずれか1請求項に記載の接着剤を作る方法。
【請求項59】
請求項1乃至請求項58のいずれか1請求項に記載の接着剤を含むことを特徴とする、結合層、塗料プライマ、パッケージ、物品、廃棄できる物品、おむつ、フィルム、積層品、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、テープまたは不織布。
【請求項60】
前記接着剤が、50ポンドの段ボール紙に塗布された場合、基板繊維が−10℃で裂けることを特徴とする請求項1乃至請求項59のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項61】
前記接着剤が、50ポンドの段ボール紙に塗布された場合、基板繊維が−10℃で少なくとも5%裂けることを特徴とする請求項1乃至請求項60のいずれか1請求項に記載の接着剤。
【請求項62】
前記接着剤が、前記機能性成分を含まない同じ接着剤よりも、−10℃において少なくとも100%大きい三点曲げたわみを示すことを特徴とする請求項1乃至請求項61のいずれか1請求項に記載の接着剤。

【図1】
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【公表番号】特表2007−532761(P2007−532761A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508536(P2007−508536)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/012716
【国際公開番号】WO2005/100501
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】