説明

ポリオレフィン樹脂の造粒システム

【課題】造粒機及び造粒機への原料供給設備を有するポリオレフィン樹脂の造粒システムであって、樹脂物性確保のために必要とされる混練度等の造粒条件の大きく異なる複数の銘柄のポリオレフィン樹脂について、相互のコンタミネーションによる品質劣化を伴うことなく造粒を実施することができ、しかも設備経済的にも有利であり、また操作上も簡便に実施できるという優れた効果を有するポリオレフィン樹脂の造粒システムを提供する。
【解決手段】造粒機及び造粒機への原料供給設備を有するポリオレフィン樹脂の造粒システムであって、一の共通した原料供給設備が相互に独立した二以上の造粒機に接続されているポリオレフィン樹脂の造粒システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン樹脂の造粒システムに関するものである。更に詳しくは、本発明は、造粒機及び造粒機への原料供給設備を有するポリオレフィン樹脂の造粒システムであって、樹脂物性確保のために必要とされる混練度等の造粒条件の大きく異なる複数の銘柄のポリオレフィン樹脂について、相互のコンタミネーションによる品質劣化を伴うことなく造粒を実施することができ、しかも設備経済的にも有利であり、また操作上も簡便に実施できるという優れた効果を有するポリオレフィン樹脂の造粒システム関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂は、重合工程によりポリマーが得られた後、造粒工程を経てポリマーペレットとされるのが一般である(たとえば、非特許文献1参照。)。
【0003】
従来、ポリオレフィン樹脂の造粒システムは、原料供給設備とそれに後置された造粒機から成り立っていた。
【0004】
ところで、近年、樹脂の品質と物性に対する要求が多様化し、多種の品質と物性の樹脂を効率的に製造することが求められている。
【0005】
【非特許文献1】プラスチック材料講座〔7〕ポリプロピレン樹脂 29〜32、日刊工業新聞社(昭和44年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる状況において、本発明が解決しようとする課題は、造粒機及び造粒機への原料供給設備を有するポリオレフィン樹脂の造粒システムであって、樹脂物性確保のために必要とされる混練度等の造粒条件の大きく異なる複数の銘柄のポリオレフィン樹脂について、相互のコンタミネーションによる品質劣化を伴うことなく造粒を実施することができ、しかも設備経済的にも有利であり、また操作上も簡便に実施できるという優れた効果を有するポリオレフィン樹脂の造粒システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、造粒機及び造粒機への原料供給設備を有するポリオレフィン樹脂の造粒システムであって、一の共通した原料供給設備が相互に独立した二以上の造粒機に接続されているポリオレフィン樹脂の造粒システムに係るものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、造粒機及び造粒機への原料供給設備を有するポリオレフィン樹脂の造粒システムであって、樹脂物性確保のために必要とされる混練度等の造粒条件の大きく異なる複数の銘柄のポリオレフィン樹脂について、相互のコンタミネーションによる品質劣化を伴うことなく造粒を実施することができ、しかも設備経済的にも有利であり、また操作上も簡便に実施できるという優れた効果を有するポリオレフィン樹脂の造粒システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の対象とするポリオレフィン樹脂としては、特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等をあげることができる。
【0010】
造粒機とは、粉体や粉体を溶かした溶融物等を原料として,使用目的に適合した均一な大きさの粒状物を製造するための装置である。
【0011】
原料混合移送設備とは、粉体を貯蔵し、一定量計量し供給する貯蔵供給設備から造粒機に粉体原料を混合しながら移送する装置で、粉体の粒径や性質などによって種々の型式のものがある。
【0012】
本発明の最大の特徴は、一の共通した原料混合移送設備が相互に独立した二以上の造粒機に接続されている点にある。かかる特徴的な構成を用いることにより、前期の本発明の課題が完全に解決されるのである。
【0013】
本発明の構成の具体例と使用方法を、図1を参照しつつ説明する。
【0014】
本発明の造粒システムは、造粒機1(1)および造粒機2(2)とこれらの造粒機に原料を供給するための原料混合移送設備(5)、原料パウダーを貯蔵し供給する原料パウダー貯蔵供給設備(9)、添加剤等を貯蔵し供給する添加剤等貯蔵供給設備(6〜8)とから構成されている。原料混合移送設備(5)は、造粒機(1)および造粒機2(2)に原料パウダーおよび添加剤等を混合移送し供給するために、造粒機1側と造粒機2側に供給口(3、4)をそれぞれ備えており、造粒機1および造粒機2に原料を供給できるようになっている。
【0015】
本発明の使用方法は次のとおりである。
先ず、原料パウダーおよび添加剤等供給設備(6〜9)に貯蔵している原料パウダーおよび各種添加剤を、原料混合移送設備(5)を用いて造粒機に供給する。ここで、原料パウダーおよび各種添加剤は、造粒機1を使用する場合は原料供給設備に備えられた供給口1より、造粒機2を使用する場合は供給口2より各造粒機に供給される。供給された原料は、造粒機1あるいは造粒機2でペレットに造粒される。なお、銘柄によって造粒機を切替えて使用し、造粒機1と造粒機2は同時運転できないようになっている。品質要求が厳しい銘柄は、造粒機1を使用する。
【実施例】
【0016】
次に本発明を実施例により説明する。
実施例1
一例として、品質要求が厳しい銘柄のポリプロピレン樹脂のフィッシュアイのデータを列挙する(造粒機1使用した場合)。ここで、フィッシュアイとは樹脂を薄膜状に加工した時のフィルム中に高分子量成分や異物による魚の目のような粒子が残ることをいう。フィッシュアイは、フィルムの外観損傷等の原因となるため、その個数は少ない方が良い。
【0017】
【表1】


*データは厚さ50μmのフィルム1m2当たりの≧200μm以上の大きさのフィッシュアイの個数(個/m2)で示している。
【0018】
比較例1
比較例として、従来の方法(造粒機2のみを使用した場合)での同じ銘柄のデータを列挙する。
【0019】
【表2】


*データは厚さ50μmのフィルム1m2当たりの≧200μm以上の大きさのフィッシュアイの個数(個/m2)で示している。
【0020】
以上の結果より、銘柄で造粒機を切替え使用することで従来の方法と同等以上の結果が得られたことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1のシステムの概略を示す図である。
【図2】比較例1(従来のシステム)の概略を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1 造粒機1
2 造粒機2
3 供給口1
4 供給口2
5 原料混合移送設備
6〜8 添加剤等貯蔵供給設備
9 原料パウダー貯蔵供給設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
造粒機及び造粒機への原料供給設備を有するポリオレフィン樹脂の造粒システムであって、一の共通した原料供給設備が相互に独立した二以上の造粒機に接続されているポリオレフィン樹脂の造粒システム。

【図1】
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【図2】
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