説明

ポリカルボン酸系共重合体及びその製造方法並びにその用途

【課題】セメント組成物等の減水性や作業性を優れたものとし、流動性・減水性が同一の場合、より取り扱いやすくすることができるポリカルボン酸系共重合体及びその製造方法、それを含んでなるセメント添加剤及びセメント組成物を提供することにある。しかも、その硬化物の強度や耐久性を優れたものとすることができることから、超高強度コンクリートに好適に用いることができるポリカルボン酸系共重合体及びセメント添加剤を提供する。また、高い減水性能を有し、かつ、セメント組成物等の粘度を下げ、セメント施工時の作業性を優れたものとすることができるポリカルボン酸系共重合体を得るための製造方法を提供する。
【解決手段】多価アルコール残基にオキシアルキレン基が結合した構造を有するポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)及び不飽和モノカルボン酸系単量体(B′)を含む単量体成分を共重合してなるポリカルボン酸系共重合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカルボン酸系共重合体、ポリカルボン酸系共重合体の製造方法、セメント添加剤及びセメント組成物に関する。より詳しくは、超高強度用減水剤に好適に用いることができるポリカルボン酸系共重合体、ポリカルボン酸系共重合体の製造方法、ポリカルボン酸系共重合体を含んでなるセメント添加剤及びセメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカルボン酸系共重合体は、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物等のセメント添加剤の成分として広く用いられており、セメント組成物から土木・建築構造物等を構築するために欠かすことのできないものとなっている。このようなポリカルボン酸系共重合体を含むセメント添加剤は減水剤として用いられ、セメント組成物の流動性を高めてセメント組成物を減水させることにより、硬化物の強度や耐久性等を向上させる作用を有することになる。このような減水剤は、従来のナフタレン系等の減水剤に比べて高い減水性能を発揮するため、高性能AE減水剤として多くの実績がある。
【0003】
ところで、土木・建築構造物の土台部分等では、高い強度や耐久性が必要であり、コンクリートの中でも高い性能を発揮する、いわゆる超高強度コンクリートが使用されている。このような超高強度コンクリート用の減水剤としては、コンクリート中の水の量を充分に少なくして高い性能が発揮されるように減水性能が高い超高強度用減水剤が用いられることになる。超高強度用減水剤には、例えば、メタクリル酸とメタクリル酸ポリエチレンオキシドエステルとの共重合体等が用いられているが、この超高強度用減水剤で超高強度コンクリートを製造すると、粘性が高いコンクリートとなるため、作業性を改善することができる超高強度用減水剤が求められている。
【0004】
炭素数2〜40のオキシアルキレン基を有し、この末端構造が炭素数4〜5のアルケニル基及び炭素数1〜24の特定の基を必須とするような構造を有するアルケニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体を減水剤として用いることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、特に超高強度用減水剤としての用途に好適に適用するために、共重合体の構造や特性について工夫する余地があった。
【0005】
化合物Aとして特定のポリアミン系単量体と、化合物Bとして特定の不飽和カルボン酸系単量体と、化合物Cとして特定のポリアルキレングリコール系単量体とを、化合物A:化合物B:化合物C=10〜40重量%:10〜40重量%:50〜80重量%の割合で共重合させた水溶性両性型共重合体を主成分とするセメント分散剤に関し、超高強度コンクリートのための分散剤として用いることができ、現場作業性に優れることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、この公報における全ての実施例においては、化合物A、化合物B及び化合物Cを共重合して水溶性両性型共重合体を得ているが、高強度コンクリートを調整した場合、その粘性が高く、スコップワークが悪くて、ワーカビリティーに問題があった。
【特許文献1】特開平7−215746号明細書
【特許文献2】特開2000−191356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、セメント組成物等の減水性や作業性を優れたものとし、流動性・減水性が同一の場合、より取り扱いやすくすることができるポリカルボン酸系共重合体及びその製造方法、それを含んでなるセメント添加剤及びセメント組成物を提供することにある。しかも、その硬化物の強度や耐久性を優れたものとすることができることから、超高強度コンクリートに好適に用いることができるポリカルボン酸系共重合体及びセメント添加剤を提供することを目的とするものである。また、高い減水性能を有し、かつ、セメント組成物等の粘度を下げ、セメント施工時の作業性を優れたものとすることができるポリカルボン酸系共重合体を得るための製造方法を提供することも目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、超高強度用減水剤に用いることができるポリカルボン酸系共重合体について鋭意研究を進めた結果、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)及び不飽和カルボン酸系単量体(B)を必須とする単量体成分を共重合してなるポリカルボン酸系共重合体に着目し、このような共重合体が流動性・減水性が同一の場合、より取り扱いやすいセメント組成物を提供することができ、超高強度コンクリート等に好適に用いることができることに想到した。また、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)がオキシアルキレン基を有してもよいことや、上記オキシアルキレン基を有する単量体以外のポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A3)も必須とする単量体成分を共重合してなるポリカルボン酸系共重合体では、超高強度コンクリート等により好適に用いることができることも見いだした。
【0009】
また、多価アルコール残基にオキシアルキレン基が結合した構造を有するポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)及び不飽和モノカルボン酸系単量体(B′)、又は、多価アルコール残基にオキシアルキレン基が結合した構造を有し、末端が水酸基であるポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2′)及び不飽和カルボン酸系単量体(B)を含む単量体成分を共重合してなるポリカルボン酸系共重合体を含む単量体成分によっても上述したのと同様の効果を奏すること、また、これらの単量体と共にポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)以外のポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A3)も必須とする単量体成分を共重合してなるポリカルボン酸系共重合体では、超高強度コンクリート等により好適に用いることができることも見いだした。
【0010】
更に、オキシアルキレン基を有する単量体(A)及び不飽和カルボン酸系単量体(B)を含む単量体混合物を共重合させてポリカルボン酸系共重合体を製造する方法において、疎水性連鎖移動剤を用いて疎水性基を共重合体の一部に導入することにより、得られたポリカルボン酸系共重合体を含むセメント添加剤が高い減水性能を有し、かつ、セメント組成物等の粘度を下げ、セメント組成物等の施工時の作業性を優れたものにできることを見いだした。
【0011】
そして、これらのポリカルボン酸系共重合体を含むセメント添加剤、カルシウム移送値が10〜900mPa・sである及び/又はセメント動作係数が0.05〜1.0であるセメント添加剤や、pH12〜12.5に調整後に精製したものが、特定の分析値を満たすセメント添加剤を用いたセメント組成物は、流動性・減水性が同一の場合、より取り扱いやすいセメント組成物となることを見いだし、本発明に到達した。
【0012】
すなわち本発明は、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)及び不飽和カルボン酸系単量体(B)を含む単量体成分を共重合してなるポリカルボン酸系共重合体である。
本発明はまた、多価アルコール残基にオキシアルキレン基が結合した構造を有するポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)及び不飽和モノカルボン酸系単量体(B′)を含む単量体成分を共重合してなるポリカルボン酸系共重合体でもある。
本発明はまた、多価アルコール残基にオキシアルキレン基が結合した構造を有し、末端が水酸基であるポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2′)及び不飽和カルボン酸系単量体(B)を含む単量体成分を共重合してなるポリカルボン酸系共重合体でもある。
【0013】
本発明はまた、オキシアルキレン基を有する単量体(A)と、不飽和カルボン酸系単量体(B)とを含む単量体成分を疎水性連鎖移動剤を用いて共重合してなるポリカルボン酸系共重合体の製造方法でもある。
本発明はまた、上記ポリカルボン酸系共重合体の製造方法で得られるポリカルボン酸系共重合体でもある。
本発明はまた、上記ポリカルボン酸系共重合体を含んでなるセメント添加剤でもある。
【0014】
本発明はまた、カルシウム移送値が10〜900mPa・s及び/又はセメント動作係数が0.05〜1.0であるセメント添加剤でもある。
【0015】
本発明は更に、pH12〜12.5に調整後に精製した際に、元素分析による窒素量が0.1〜20重量%であり、熱分解GC−MASSによりモルホリン、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、及び、1−4ジオキサンが検出され、GPCのピークに肩がなく、重量平均分子量(Mw)が5000〜300000であり、IR測定において、1640〜1660cm−1に存在する吸収ピーク強度が1710〜1630cm−1に存在する吸収ピーク強度の20%以下であり、13C−NMRで60〜61ppmと69〜68ppmのケミカルシフト位置にシグナルが検出され、NMR−PEG量が10〜99重量%であり、TCAVが3〜900mgKOH/gであるセメント添加剤である。
【0016】
本発明はそして、少なくとも水、セメント、セメント添加剤を含んでなるセメント組成物であって、上記セメント添加剤は、上記セメント添加剤を用いるセメント組成物でもある。
以下に、本発明を詳述する。
【0017】
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、(1)ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)及び不飽和カルボン酸系単量体(B)を含む単量体成分を共重合してなる形態のものであるか、(2)多価アルコール残基にオキシアルキレン基が結合した構造を有するポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)(以下、単にポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)ともいう)及び不飽和モノカルボン酸系単量体(B′)を含む単量体成分を共重合してなる形態のものであるか、又は(3)多価アルコール残基にオキシアルキレン基が結合した構造を有し、末端が水酸基であるポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2′)(以下、単にポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2′)ともいう)及び不飽和カルボン酸系単量体(B)を含む単量体成分を共重合してなる形態のものである。このようなポリカルボン酸系共重合体においては、単量体(A1)と単量体(A2)又は単量体(A2′)とを併用して共重合されたものとしてもよい。すなわちポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)及び/又はポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)若しくは(A2′)と、不飽和カルボン酸系単量体(B)とを必須とする単量体成分を共重合してなるものである。これらの単量体はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本明細書中において、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)は、末端が水酸基であるポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2′)を含むものであり、不飽和カルボン酸系単量体(B)は、不飽和モノカルボン酸系単量体(B′)を含むものである。また、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)とは、上記(1)、(2)又は(3)のそれぞれの形態に合わせて、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)又は末端が水酸基であるポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2′)を意味するものとし、不飽和カルボン酸系単量体(B)とは、上記(1)、(2)又は(3)のそれぞれの形態に合わせて、不飽和カルボン酸系単量体(B)又は不飽和モノカルボン酸系単量体(B′)を意味するものとする。
【0018】
本発明の好ましい形態としては、上記ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)が、オキシアルキレン基を有することである。上記(1)、(2)及び(3)の形態のポリカルボン酸系共重合体において、これらの単量体の重量割合としては、単量体(A1)及び/又は単量体(A2)が1〜99重量%、単量体(B)が99〜1重量%であることが好ましい。これらの単量体の重量割合が上記範囲を外れると、後述するように各単量体により形成される繰り返し単位が有する機能を有効に発揮させることができなくなり、本発明の作用効果を充分に発現することができないこととなる。より好ましくは、単量体(A1)及び/又は単量体(A2)が20〜95重量%、単量体(B)が80〜5重量%である。なお、上記単量体(A1)及び/又は(A2)並びに(B)の重量割合は、単量体(A1)及び/又は(A2)並びに(B)の重量の合計を100重量%とした場合の重量%である。
【0019】
本発明では、更に、上記単量体成分が、上記オキシアルキレン基を有する単量体以外のポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A3)を含むことが好ましい。上記オキシアルキレン基を有する単量体とは、(1)の形態においてはオキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)であり、(2)及び(3)の形態においては、多価アルコール残基にオキシアルキレン基が結合した構造を有するポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)である。このようなポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A3)を含むことにより、本発明の作用効果をより発揮させることができる。この場合には、単量体(A1)及び/又は(A2)が1〜98重量%、単量体(B)が1〜98重量%、単量体(A3)が1〜98重量%であることが好ましい。より好ましくは、単量体(A1)及び/又は(A2)が1〜80重量%、単量体(B)が1〜50重量%、単量体(A3)が30〜98重量%であり、更に好ましくは、単量体(A1)及び/又は(A2)が1〜50重量%、単量体(B)が1〜40重量%、単量体(A3)が30〜98重量%である。特に好ましくは、単量体(A1)及び/又は(A2)が1〜35重量%、単量体(B)が1〜30重量%、単量体(A3)が25〜98重量%である。より特に好ましくは、単量体(A1)及び/又は(A2)が1〜20重量%、単量体(B)が1〜30重量%、単量体(A3)が25〜95重量%である。なお、上記単量体(A1)及び/又は(A2)若しくは(A2′)、(B)並びに(A3)の重量割合は、単量体(A1)及び/又は(A2)、(B)並びに(A3)の重量の合計を100重量%とした場合の重量%である。また、本発明では、後述するように、上記単量体以外のその他の単量体を用いることもできるが、その他の単量体を用いる場合には、単量体(A1)及び/又は(A2)、(B)並びに(A3)の合計が単量体成分中において主成分となるようにすることが好ましい。
【0020】
本発明のポリカルボン酸系共重合体では、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)及び/又はポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)により形成される繰り返し単位が不飽和カルボン酸系単量体(B)やポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A3)により形成される繰り返し単位が有する機能と相まってセメント組成物等の減水性や作業性を優れたものとする機能を発揮することになり、不飽和カルボン酸系単量体(B)により形成される繰り返し単位がポリカルボン酸系共重合体をセメント粒子に吸着させる機能を発揮することになり、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A3)により形成される繰り返し単位がオキシアルキレン基の親水性と立体反発とによりセメント組成物等の分散性を向上させる機能を発揮することになると考えられる。また、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)により形成される繰り返し単位は、1分子中に多くの窒素原子を有するものであり、また、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)により形成される繰り返し単位は、1分子中に多くの酸素原子を有するものであるが、これらは更に分岐構造を有する単量体単位でもあり、これに起因して上記機能を効果的に発揮することになると考えられる。これらの機能を発揮することにより、セメント組成物等の減水性や作業性を優れたものとし、流動性・減水性が同一の場合、より取り扱いやすいセメント組成物を提供することができる。しかも、その硬化物の強度や耐久性を優れたものとすることができることになる。従って、本発明のポリカルボン酸系共重合体を含むセメント添加剤が普通強度コンクリート、高強度コンクリートだけでなく、超高強度コンクリートに好適に用いることができる超高強度用減水剤等として好適に用いられることになる。なお、超高強度コンクリートとは、セメント組成物の分野で一般的にそのように称されているもの、すなわち従来のコンクリートに比べて水/セメント比を小さくしてもその硬化物が従来と同等又はより高い強度となるようなコンクリートを意味し、例えば、水/セメント比が25重量%以下、更に20重量%以下、特に18重量%以下、特に14重量%以下、特に12重量%程度であっても通常の使用に支障をきたすことのない作業性を有するコンクリートとなり、その硬化物が60N/mm以上、更に80N/mm以上、より更に100N/mm以上、特に120N/mm以上、特に160N/mm以上、特に200N/mm以上の圧縮強度を示すことになるものである。
【0021】
次に、本発明のポリカルボン酸系共重合体を形成することになる単量体成分を構成する単量体について以下に説明する。
本発明におけるポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)は、重合性不飽和基を有するポリアルキレンイミンであればよく、例えば、ポリアルキレンイミンに、該ポリアルキレンイミンが有するアミノ基やイミノ基と反応する官能基をもつ不飽和化合物を反応させて得ることができる。また、本発明では、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)が、オキシアルキレン基を有することが好ましいが、このようなポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)は、不飽和基とオキシアルキレン基とを有するポリアルキレンイミンであればよく、例えば、ポリアルキレンイミンが有するアミノ基やイミノ基の窒素原子にアルキレンオキシドを付加した化合物に、該化合物が有する水酸基やアミノ基、イミノ基と反応する官能基をもつ不飽和化合物を反応させて得ることができる。なお、アルキレンオキシドが付加するアミノ基やイミノ基の窒素原子は、活性水素原子をもつものである。
【0022】
上記オキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)を得る場合、ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加した化合物に不飽和基を導入する方法としては、ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加した化合物が有する水酸基を(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の不飽和化合物でエステル交換して不飽和基を導入する方法、ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加した化合物が有するアミノ基を(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の不飽和化合物でアミド化して不飽和基を導入する方法、ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加した化合物が有する水酸基を(メタ)アクリル酸グリシジルや(メタ)アリルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物を反応させて不飽和基を導入する方法等が好適である。
【0023】
上記ポリアルキレンイミンとしては、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2−ブチレンイミン、2,3−ブチレンイミン、1,1−ジメチルエチレンイミン等の炭素数2〜8アルキレンイミンの1種又は2種以上を常法により重合して得られる、これらのアルキレンイミンの単独重合体や共重合体が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。このようなポリアルキレンイミンによりポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)のポリアルキレンイミン鎖が形成されることになるが、該ポリアルキレンイミン鎖は、直鎖状の構造、分枝状の構造、三次元状に架橋された構造のいずれであってもよい。更に、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等であってもよい。このようなポリアルキレンイミンでは、通常、構造中に第3級アミノ基の他、活性水素原子をもつ第1級アミノ基や第2級アミノ基(イミノ基)を有することになる。
【0024】
上記不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸;(メタ)アクリル酸無水物、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物;(メタ)アクリル酸クロライド等の不飽和カルボン酸ハロゲン化物;炭素数1〜30の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、炭素数1〜30のマレイン酸モノエステル、炭素数1〜30のマレイン酸ジエステル等の不飽和カルボン酸エステル;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アリルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
上記ポリアルキレンイミンに付加させるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド,1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、トリメチルエチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、テトラメチルエチレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、オクチレンオキシド等の炭素数2〜8のアルキレンオキシドの他、ジペンタンエチレンオキシド、ジヘキサンエチレンオキシド等の脂肪族エポキシド;トリメチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オクチレンオキシド等の脂環エポキシド;スチレンオキシド、1,1−ジフェニルエチレンオキシド等の芳香族エポキシド等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
上記オキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)を得る反応式の一例として、開始剤とエチレンイミンによりポリエチレンイミンを合成した後、ポリエチレンイミンが有する活性水素原子をもつ窒素原子にエチレンオキシドを付加してポリエチレンイミンエチレンオキシド付加物とし、次いで、メタクリル酸によりエステル交換反応を行う反応式を下記に示す。また、ポリエチレンイミンを合成した後、ポリエチレンイミンが有する活性水素原子をもつ窒素原子にエチレンオキシドを付加してポリエチレンイミンエチレンオキシド付加物とし、次いで、メタクリル酸グリシジルを反応させる方法もある。
【0027】
【化1】

【0028】
上記反応式中、Rは、開始剤を表し、EOは、エチレンオキシドを表し、−(EO)n−Hは、ポリエチレンイミンにおいて活性水素原子をもつ窒素原子にエチレンオキシドn個が付加していることを表し、MAAは、メタクリル酸を表す。なお、化学式中の「・・・」の記号は、重合鎖が同様に続いていくことを表している。
【0029】
上記ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)やオキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)では、ポリアルキレンイミン鎖を有するが、このようなポリアルキレンイミン鎖は、エチレンイミンを主体として形成されるものであることが好ましい。この場合、「主体」とは、ポリアルキレンイミン鎖が2種以上のアルキレンイミンにより形成されるときに、全アルキレンイミンのモル数において、大半を占めるものであることを意味する。本発明においては、ポリアルキレンイミン鎖を形成するアルキレンイミンにおいて、大半を占めるものがエチレンイミンであることにより、ポリカルボン酸系共重合体の親水性が向上して作用効果が充分に発揮されるので、上記作用効果が充分に発揮される程度に、ポリアルキレンイミン鎖を形成するアルキレンイミンとしてエチレンイミンを用いることをもって、上記にいう「大半を占める」こととなるので、上記「主体」となりうることとなる。
【0030】
上記ポリアルキレンイミン鎖を形成するアルキレンイミンにおいて、上記「大半を占める」ことを全アルキレンイミン100モル%中のエチレンイミンのモル%で表すとき、50〜100モル%が好ましい。50モル%未満であると、ポリアルキレンイミン鎖の親水性が低下するおそれがある。より好ましくは、60モル%以上であり、更に好ましくは、70モル%以上、特に好ましくは、80モル%以上、最も好ましくは、90モル%以上である。
【0031】
上記ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)やオキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)ではまた、ポリアルキレンイミン鎖1つあたりのアルキレンイミンの平均重合数としては、2以上であることが好ましく、また、300以下であることが好ましい。2未満であると、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)の機能が充分に発揮されないおそれがあり、300を超えると、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)の重合性が低下するおそれがある。特に好ましくは、3以上である。また、より好ましくは、200以下であり、更に好ましくは、100以下であり、特に好ましくは、75以下であり、最も好ましくは、50以下である。この場合、ジエチレントリアミンの平均重合数は2、トリエチレンテトラミンの平均重合数は3となる。
【0032】
本発明におけるポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)は、多価アルコール残基にオキシアルキレン基が結合した構造を有する不飽和単量体である。また、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2′)は、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)のうち、末端が水酸基である不飽和単量体である。
上記多価アルコール残基とは、多価アルコールが有する水酸基から活性水素を除いた構造をもつ基を意味するが、多価アルコールとの反応により形成される基に特に限定されるものではない。また、多価アルコールが有する水酸基に付加させるアルキレンオキシドについては、上述したのと同様である。
【0033】
上記ポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)を製造する方法としては、例えば、(1)多価アルコールにアルキレンオキシドを付加した化合物に不飽和基を導入する方法、(2)不飽和アルコール、不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物1molに対して1mol以上のグリシドールを付加反応させ1分子中に2個以上の水酸基を発生させた後、アルキレンオキサイドを付加反応させる方法等が挙げられる。
【0034】
上記(1)の方法において、不飽和基を導入する方法としては、多価アルコールにアルキレンオキシドを付加した化合物が有する水酸基を(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の不飽和化合物でエステル化又はエステル交換することにより不飽和基を導入する方法、多価アルコールにアルキレンオキシドを付加した化合物が有する水酸基を(メタ)アクリル酸グリシジルや(メタ)アリルグリシジルエーテル等の炭素数2〜5のエポキシ化合物を反応させることにより不飽和基を導入する方法、(メタ)アリルクロライド等の炭素数2〜5のハロゲン化アルケニル化合物でエーテル化することにより不飽和基を導入する方法等が好適である。不飽和基を導入するための不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸;(メタ)アクリル酸無水物、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物;(メタ)アクリル酸クロライド等の不飽和カルボン酸ハロゲン化物;炭素数1〜30の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、炭素数1〜30のマレイン酸モノエステル、炭素数1〜30のマレイン酸ジエステル等の不飽和カルボン酸エステル;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アリルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、アルケニル化合物系の不飽和基としては、炭素数4以上の不飽和基が好ましく、より好ましくは、炭素数5以上の不飽和基である。また、アリル基よりも、メタリル基、イソプレニル基(3−メチル−3−ブテニル基)がより好ましい。更に(メタ)アクリロイル基も好ましい。
【0035】
上記多価アルコールとしては、1分子中に平均3個以上の水酸基を含有する化合物であれば、特に限定されるものではない。好ましい形態としては、多価アルコール残基が炭素、水素、酸素の3つの元素から構成される化合物である。
【0036】
上記多価アルコールが有する水酸基数としては、3個以上が好ましく、また、300個以下が好ましい。3個より少ないとポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)の機能が充分に発揮されないおそれがあり、300個を超えるとポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)の重合性が低下するおそれがある。より好ましくは4個以上であり、更に好ましくは5個以上であり、特に好ましくは6個以上である。また、より好ましくは100個以下であり、更に好ましくは50個以下であり、特に好ましくは25個以下である。
【0037】
上記多価アルコールとしては、ポリグリシドール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−ペンタトリオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等が好適である。また、糖類として、グルコース、フルクトース、マンノース、インド−ス、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、プシコース、アルトロース等のヘキソース類の糖類;アラビノース、リブロース、リボース、キシロース、キシルロース、リキソース等のペントース類の糖類;トレオース、エリトルロース、エリトロース等のテトロース類の糖類;ラムノース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュウクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース等のその他糖類;これらの糖アルコール、糖酸(糖類;グルコース、糖アルコール;グルシット、糖酸;グルコン酸)等も好適である。更に、これら例示化合物の部分エーテル化物や部分エステル化物等の誘導体も好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
このような化合物によりポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)の多価アルコール残基が形成されることになる。また、不飽和化合物としては、上述したものと同様のもの等を1種又は2種以上用いることができる。
【0038】
上記(2)の方法において、不飽和アルコールとしては、ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、イソプレンアルコール(3−メチル−3−ブテン−1−オール)、3−メチル−2−ブテン−1、2−メチル−3−ブテン−2−オール、2−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−1−オール等が好適である。また、不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物としては、このような不飽和アルコールにポリアルキレングリコール鎖が付加した構造を有する化合物を用いることができる。
【0039】
上記オキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)及びポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)では、オキシアルキレン基が1つにより形成される基又はオキシアルキレン基が2つ以上付加して形成される基を有することになる。オキシアルキレン基が2つ以上付加して形成される基では、1種又は2種以上のオキシアルキレン基により形成されることになり、2種以上のオキシアルキレン基により形成される場合には、2種以上のオキシアルキレン基がランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。なお、上記オキシアルキレン基により形成される基が1分子内に複数存在する場合には、これらは、同一であってもよく、異なっていてもよい。なお、オキシアルキレン基が2つ以上付加して形成される基を、ポリアルキレングリコール鎖ともいう。
【0040】
上記オキシアルキレン基により形成される基は、オキシエチレン基を主体とするものであることが好ましい。この場合、「主体」とは、上述したのと同様に、オキシエチレン基が単量体中に2種以上存在するときに、全オキシアルキレン基の存在数において、大半を占めるものであることを意味する。これにより、ポリカルボン酸系共重合体の親水性が向上して作用効果が充分に発揮されることになる。
【0041】
上記オキシアルキレン基において、上記「大半を占める」ことを全オキシアルキレン基100モル%中のオキシエチレン基のモル%で表すとき、50〜100モル%が好ましい。50モル%未満であると、オキシアルキレン基から形成される基の親水性が低下するおそれがある。より好ましくは、60モル%以上であり、更に好ましくは、70モル%以上、特に好ましくは、80モル%以上、最も好ましくは、90モル%以上である。
【0042】
上記オキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)及びポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)では更に、オキシアルキレン基の平均付加モル数としては、0〜300とすることが好ましい。300を超えると、これらの単量体の重合性が低下するおそれがある。より好ましくは、0.3以上であり、更に好ましくは、0.5以上、特に好ましくは、1以上、最も好ましくは、2以上である。また、より好ましくは、270以下であり、更に好ましくは、250以下、特に好ましくは、220以下、最も好ましくは、200以下である。ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)やポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)におけるオキシアルキレン基の平均付加モル数がこのような範囲を外れると、セメント組成物等の流動性を優れたものとするポリカルボン酸系共重合体の作用効果が充分に発揮されないおそれがある。なお、上記平均付加モル数とは、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)が有するオキシアルキレン基により形成される基1モル中において付加している当該オキシアルキレン基のモル数の平均値、又は、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)を形成することになるポリアルキレンイミンが有する活性水素原子をもつ窒素原子1モルに対して付加している当該オキシアルキレン基のモル数の平均値若しくはポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)を形成することになる多価アルコールが有する水酸基1モルに対して付加している当該オキシアルキレン基のモル数の平均値を意味する。また、上記平均付加モル数が0であるポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)は、オキシアルキレン基を有しないものとなる。
【0043】
上記ポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)においては、ポリカルボン酸系重合体の製造に用いる単量体成分が不飽和モノカルボン酸系単量体(B′)を含む場合、多価アルコール残基に結合した構造を有するオキシアルキレン基の末端の少なくとも1つが水酸基であることが好ましい。より好ましくは、オキシアルキレン基の末端のすべてが水酸基であることである。オキシアルキレン基の末端の少なくとも1つがアルキル基であると、ポリカルボン酸系共重合体を含むセメント添加剤の減水性が低下するおそれがある。また、上記ポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2′)は、オキシアルキレン基の末端がすべて水酸基であるものである。
【0044】
上記ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)やオキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)の重量平均分子量としては、500以上であることが好ましく、また、500000以下であることが好ましい。より好ましくは、1000以上、更に好ましくは、5000以上、より更に好ましくは、8000以上、特に好ましくは、10000である。また、より好ましくは、300000以下、更に好ましくは、200000以下、より更に好ましくは、100000以下、特に好ましくは、80000以下である。
【0045】
本発明における不飽和カルボン酸系単量体(B)は、重合性不飽和基とカルボアニオンを形成しうる基とを有する単量体であればよいが、不飽和モノカルボン酸系単量体(B′)や不飽和ジカルボン酸系単量体等が好適である。
上記不飽和モノカルボン酸系単量体(B′)としては、分子内に不飽和基とカルボアニオンを形成しうる基とを1つずつ有する単量体であればよく、好ましい形態としては、下記一般式(1)で表される化合物である。
【0046】
【化2】

【0047】
上記一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。
上記一般式(1)のMにおける金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の一価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の二価の金属原子;アルミニウム、鉄等の三価の金属原子等が好適である。また、有機アミン基としては、エタノールアミン基、ジエタノールアミン基、トリエタノールアミン基等のアルカノールアミン基や、トリエチルアミン基等が好適である。更に、アンモニウム基であってもよい。このような不飽和モノカルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等;これらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が好適である。これらの中でも、セメント分散性能の向上の面から、メタクリル酸;その一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等を用いることが好ましく、不飽和カルボン酸系単量体(B)として好適である。
【0048】
上記不飽和ジカルボン酸系単量体としては、分子内に不飽和基を1つとカルボアニオンを形成しうる基を2つとを有する単量体であればよいが、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸等や、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩等、又は、それらの無水物が好適である。
上記不飽和カルボン酸系単量体(B)としては、これらの他にも、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数1〜22個のアルコールとのハーフエステル、不飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜22のアミンとのハーフアミド、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数2〜4のグリコールとのハーフエステル、マレアミン酸と炭素数2〜4のグリコールとのハーフアミド等が好適である。
【0049】
本発明における上記オキシアルキレン基を有する単量体以外のポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A3)は、重合性不飽和基とポリアルキレングリコール鎖とを有するものであり、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)及び不飽和カルボン酸系単量体(B)を含む単量体成分を共重合してなる形態では、上記オキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)と異なる単量体であり、また、多価アルコール残基にオキシアルキレン基が結合した構造を有するポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)及び不飽和モノカルボン酸系単量体(B)を含む単量体成分を共重合してなる形態では、上記ポリアルキレングリコール系単量体(A2)と異なる単量体であり、更に、多価アルコール残基にオキシアルキレン基が結合した構造を有し、末端が水酸基であるポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2′)及び不飽和カルボン酸系単量体(B)を含む単量体成分を共重合してなる形態では、上記ポリアルキレングリコール系単量体(A2)と異なる単量体であればよく、ポリアルキレングリコールエステル系単量体や不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物が好適である。上記ポリアルキレングリコールエステル系単量体としては、不飽和基とポリアルキレングリコール鎖とがエステル結合を介して結合された構造を有する単量体であればよく、不飽和カルボン酸ポリアルキレングリコールエステル系化合物が好適であり、中でも、(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルが好適である。
【0050】
上記不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物としては、不飽和基を有するアルコールにポリアルキレングリコール鎖が付加した構造を有する化合物であればよく、ビニルアルコールアルキレンオキシド付加物、(メタ)アリルアルコールアルキレンオキシド付加物、3−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物、イソプレンアルコール(3−メチル−3−ブテン−1−オール)アルキレンオキシド付加物、3−メチル−2−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物、2−メチル−3−ブテン−2−オールアルキレンオキシド付加物、2−メチル−2−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物、2−メチル−3−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物等が好適である。また、このような不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物としては、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0051】
【化3】

【0052】
上記一般式(2)中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。Rは、同一又は異なって、炭素数2〜18のアルキレン基を表す。mは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数である。Xは、炭素数1〜5の二価のアルキレン基又はビニル基の場合、Xに結合している炭素原子、酸素原子同士が直接結合していることを表す。
【0053】
上記一般式(2)における−(RO)−で表されるオキシアルキレン基が同一の不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物に2種以上存在する場合には、−(RO)−で表されるオキシアルキレン基がランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。
【0054】
上記−(RO)−で表されるオキシアルキレン基は、炭素数2〜18のアルキレンオキシド付加物であるが、このようなアルキレンオキシド付加物の構造は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド等のアルキレンオキシドの1種又は2種以上により形成される構造である。このようなアルキレンオキシド付加物の中でも、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド付加物であることが好ましい。
【0055】
上記ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数であるmは、1〜300の数である。mが300を超えると、単量体の重合性が低下することになる。mの好ましい範囲としては、2以上であり、また、−(RO)m−の中で、オキシアルキレン基の平均付加モル数としては、2以上であることが好ましい。mが2未満であったり、オキシアルキレン基の平均付加モル数が2未満であったりすると、セメント粒子等を分散させるために充分な親水性、立体障害が得られないおそれがあるため、優れた流動性を得ることができないおそれがある。mの範囲としては、3以上が好ましく、また、280以下が好ましい。より好ましくは、5以上、更に好ましくは、10以上、特に好ましくは、20以上である。また、より好ましくは、250以下、特に好ましくは、150以下である。また、オキシアルキレン基の平均付加モル数としては、好ましくは、3以上が好ましく、また、280以下が好ましい。より好ましくは、10以上であり、更に好ましくは、20以上である。また、より好ましくは、250以下であり、更に好ましくは、200以下であり、特に好ましくは150以下である。なお、平均付加モル数とは、単量体1モル中において付加している当該有機基のモル数の平均値を意味する。なお、該単量体として、オキシアルキレン基の平均付加モル数mの異なる2種類以上の単量体を組み合わせて用いることができる。好適な組み合わせとして、例えば、mの差が10以上(好ましくはmの差が20以上)の2種類の単量体(A3)の組み合わせ、あるいは各々の平均付加モル数mの差が10以上(好ましくはmの差が20以上)の3種類以上の単量体(A3)の組み合わせ等が挙げられる。さらに、組み合わせるmの範囲としては、平均付加モル数mが40〜300の範囲の単量体(A3)と、1〜40の範囲の単量体(A3)との組み合わせ(但しmの差は10以上、好ましくは20以上)、平均付加モル数mが20〜300の範囲の単量体(A3)と、1〜20の範囲の単量体(A3)との組み合わせ(但しmの差は10以上、好ましくは20以上)等が可能である。
【0056】
上記Rは、炭素数が20を超えると、ポリカルボン酸系共重合体の疎水性が強くなりすぎるために、良好な分散性を得ることができないことになる。Rの好ましい形態としては、分散性の点から、炭素数1〜20の炭化水素基又は水素である。より好ましくは、炭素数10以下、更に好ましくは、炭素数3以下、特に好ましくは、炭素数2以下の炭化水素基である。また、優れた材料分離防止性能の発現や、セメント組成物中に連行される空気量を適度なものとするためには、炭素数5以上の炭化水素基とすることが好ましく、また、炭素数20以下の炭化水素基とすることが好ましい。より好ましくは、炭素数5〜10の炭化水素基である。炭化水素基の中でも、飽和アルキル基、不飽和アルキル基が好ましい。これらのアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0057】
上記不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物としては、上述した物であればよいが、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−プロペニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−2−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−メチル−3−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(1,1−ジメチル−2−プロペニル)エーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、エトキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、1−プロポキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、シクロヘキシルオキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、1−オクチルオキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ノニルアルコキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル3−ブテニル)エーテル、ラウリルアルコキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ステアリルアルコキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、フェノキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ナフトキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、メトキシポリエチレングリコールモノアリルエーテル、エトキシポリエチレングリコールモノアリルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールモノアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−プロペニル)エーテル、エトキシポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−プロペニル)エーテル、フェノキシポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−プロペニル)エーテル等が好適である。
【0058】
上記(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルとしては、下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
【0059】
【化4】

【0060】
上記一般式(3)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、同一又は異なって、炭素数2〜18のアルキレン基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す。pは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、2〜300の数である。
上記一般式(3)における−(RO)−で表されるオキシアルキレン基、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数であるpとしては、一般式(2)と同様である。また、(メタ)アクリル酸とのエステル結合部分にエチレンオキシド部分が付加していることが(メタ)アクリル酸とのエステル化の生産性の向上の点から好ましい。
【0061】
上記ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数であるpは、2〜300の数である。pが300を超えると、単量体の重合性が低下することになる。pの好ましい範囲としては、2以上であり、また、−(RO)p−の中で、オキシアルキレン基の平均付加モル数としては、2以上であることが好ましい。pが2未満であったり、オキシアルキレン基の平均付加モル数が2未満であったりすると、セメント粒子等を分散させるために充分な親水性、立体障害が得られないおそれがあるため、優れた流動性を得ることができないおそれがある。pの範囲としては、3以上が好ましく、また、280以下が好ましい。より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、特に好ましくは20以上である。また、より好ましくは250以下、更に好ましくは200以下、特に好ましくは150以下である。また、オキシアルキレン基の平均付加モル数としては、5以上が好ましく、また、250以下が好ましい。より好ましくは10以上、更に好ましくは20以上である。また、より好ましくは200以下、更に好ましくは150以下である。なお、平均付加モル数とは、単量体1モル中において付加している当該有機基のモル数の平均値を意味する。なお、該単量体として、オキシアルキレン基の平均付加モル数pの異なる2種類以上の単量体を組み合わせて用いることができる。好適な組み合わせとして、例えば、pの差が10以上(好ましくはpの差が20以上)の2種類の単量体(A3)の組み合わせ、あるいは各々の平均付加モル数pの差が10以上(好ましくはpの差が20以上)の3種類以上の単量体(A3)の組み合わせ等が挙げられる。更に、組み合わせるpの範囲としては、平均付加モル数pが40〜300の範囲の単量体(A3)と、2〜40の範囲の単量体(A3)との組み合わせ(但しpの差は10以上、好ましくは20以上)、平均付加モル数pが20〜300の範囲の単量体(A3)と、2〜20の範囲の単量体(A3)との組み合わせ(但しpの差は10以上、好ましくは20以上)等が可能である。
【0062】
上記Rは、炭素数が30を超えると、ポリカルボン酸系共重合体の疎水性が強くなりすぎるために、良好な分散性を得ることができないことになる。Rの好ましい形態としては、分散性の点から、炭素数1〜20の炭化水素基又は水素である。より好ましくは、炭素数10以下、更に好ましくは、炭素数3以下、特に好ましくは、炭素数2以下の炭化水素基である。また、優れた材料分離防止性能の発現や、セメント組成物中に連行される空気量を適度なものとするためには、炭素数5以上の炭化水素基とすることが好ましく、また、炭素数20以下の炭化水素基とすることが好ましい。より好ましくは、炭素数5〜10の炭化水素基である。炭化水素基の中でも、飽和アルキル基、不飽和アルキル基が好ましい。これらのアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0063】
上記(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルとしては、上述したものであればよいが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ノニルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の炭素数1〜30の脂肪族アルコール類、シクロヘキサノール等の炭素数3〜30の脂環族アルコール類、(メタ)アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等の炭素数3〜30の不飽和アルコール類のいずれかに、炭素数2〜18のアルキレンオキシド基を1〜300モル付加したアルコキシポリアルキレングリコール類と、(メタ)アクリル酸とのエステル化物が好適である。
【0064】
上記エステル化物としては、以下に示す(アルコキシ)ポリエチレングリコール(ポリ)(炭素数2〜4のアルキレングリコール)(メタ)アクリル酸エステル類等が好適である。
メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、メトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、メトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、エトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、エトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロポキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、プロポキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、プロポキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート。
【0065】
ブトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ブトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ブトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ペントキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペントキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ペントキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ペントキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘキソキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキソキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘキソキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘキソキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート。
【0066】
ヘプトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘプトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘプトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘプトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、オクトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、オクトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ノナノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ノナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ノナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート。
【0067】
デカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、デカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、デカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、デカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ウンデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ウンデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ウンデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ウンデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ドデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ドデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ドデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ドデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート。
【0068】
トリデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、トリデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、トリデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、テトラデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、テトラデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、テトラデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ペンタデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ペンタデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ペンタデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート。
【0069】
ヘキサデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘキサデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘキサデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘプタデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘプタデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘプタデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘプタデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、オクタデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、オクタデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、オクタデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート。
【0070】
ノナデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノナデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ノナデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ノナデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、シクロペントキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロペントキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、シクロペントキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、シクロペントキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキソキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキソキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキソキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキソキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート。
【0071】
上記(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルとしては、上記一般式(2)で表される化合物の他にも、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、フェノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、フェノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルオキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルオキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルオキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート等が好適である。
【0072】
上記ポリアルキレングリコールエステル系単量体としては、(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルの他にも、(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノマレイン酸エステル、(アルコキシ)ポリアルキレングリコールジマレイン酸エステル等が好適である。このような単量体としては、以下のもの等が好適である。
【0073】
炭素数1〜22個のアルコールや炭素数1〜22のアミンに炭素数2〜4のオキシアルキレンを1〜300モル付加させたアルキルポリアルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸系単量体とのハーフエステル、ジエステル;上記不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数2〜4のグリコールの平均付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールとのハーフエステル、ジエステル;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールジマレート、ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類等。
【0074】
本発明のポリカルボン酸系共重合体を形成する単量体成分は、更に、必要に応じて、上記単量体(A1)、(A2)、(B)及び(A3)以外のその他の単量体(C)を含んでもよい。その他の単量体(C)としては、以下のもの等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0075】
スチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、メチルスチレン等のスチレン類;1,3−ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のジエン類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸エステル類;ヘキセン、ヘプテン、デセン等のα−オレフィン類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類等。
【0076】
上記不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数1〜22個のアルコールとのジエステル、上記不飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜22のアミンとのジアミド、上記不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数2〜4のグリコールとのジエステル。
【0077】
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4−(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びに、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩。
【0078】
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;アリルアルコール等のアリル類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の不飽和アミノ化合物類;メトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等のビニルエーテル又はアリルエーテル類。
【0079】
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチルエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物類。
【0080】
次に、本発明のポリカルボン酸系共重合体の製造方法について単量体成分の共重合方法を以下に説明する。
上記共重合方法としては、例えば、単量体成分と重合開始剤とを用いて、溶液重合や塊状重合等の公知の重合方法により行うことができる。重合開始剤としては、公知のものを使用することができ、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;アゾビス−2メチルプロピオンアミジン塩酸塩、アゾイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のパーオキシド等が好適である。また、促進剤として、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、モール塩、ピロ重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、アスコルビン酸等の還元剤;エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、グリシン等のアミン化合物等を併用することもできる。これらの重合開始剤や促進剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0081】
上記共重合方法においては、連鎖移動剤も必要に応じて使用することができる。このような連鎖移動剤としては、公知のものを1種又は2種以上使用できるが、疎水性連鎖移動剤を用いることが好ましい。
【0082】
上記共重合方法では、単量体成分がオキシアルキレン基を有する単量体(A)、すなわちオキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)や(A3)の1種又は2種以上を含む場合、疎水性連鎖移動剤を用いることが好ましい。より好ましくは、オキシアルキレン基を有する単量体(A)がポリアルキレングリコールエステル系単量体及び/又は不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物である場合である。疎水性連鎖移動剤を用いると、疎水性連鎖移動剤に由来する疎水性基が共重合体中に導入されることになる。このようにオキシアルキレン基を有する単量体(A)と、不飽和カルボン酸系単量体(B)とを含む単量体成分を疎水性連鎖移動剤を用いて共重合してなるポリカルボン酸系共重合体の製造方法もまた、本発明の1つである。
なおこのようなポリカルボン酸系共重合体の製造方法で得られるポリカルボン酸系共重合体もまた、本発明の作用効果を発揮することができるものであり、本発明の1つである。
【0083】
上記疎水性連鎖移動剤とは、炭素数3以上の炭化水素基をもつチオール化合物又は25℃の水に対する溶解度が10%以下の化合物が好適であり、上述した連鎖移動剤や、ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、チオグリコール酸オクチル、2−メルカプトプロピオン酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、オクタン酸2−メルカプトエチルエステル、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、デカントリチオール、ドデシルメルカプタン等のチオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、四臭化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン化物;α−メチルスチレンダイマー、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、ターピノーレン等の不飽和炭化水素化合物等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、炭素数3以上の炭化水素基を有するチオール系連鎖移動剤を含むことが好ましい。
【0084】
上記疎水性連鎖移動剤は、必要に応じて親水性連鎖移動剤1種又は2種と併用してもよい。このような親水性連鎖移動剤としては、公知のものを使用することができ、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤;2−アミノプロパン−1−オール等の1級アルコール;イソプロパノール等の2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸およびその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)の低級酸化物及びその塩等が好適である。
【0085】
上記連鎖移動剤の反応容器への添加方法としては、滴下、分割投入等の連続投入方法を適用することができる。また、連鎖移動剤を単独で反応容器へ導入してもよく、単量体成分を構成するオキシアルキレン基を有する単量体(A)や不飽和カルボン酸系単量体(B)、溶媒等とあらかじめ混同しておいてもよい。
【0086】
上記共重合方法は、回分式でも連続式でも行うことができる。また、共重合の際、必要に応じて使用される溶媒としては、公知のものを使用でき、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の芳香族又は脂肪族炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、単量体成分及び得られるポリカルボン酸系共重合体の溶解性の点から、水及び炭素数1〜4の低級アルコールからなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒を用いることが好ましい。
【0087】
上記共重合方法において、単量体成分や重合開始剤等の反応容器への添加方法としては、反応容器に単量体成分の全てを仕込み、重合開始剤を反応容器内に添加することによって共重合を行う方法;反応容器に単量体成分の一部を仕込み、重合開始剤と残りの単量体成分を反応容器内に添加することによって共重合を行う方法、反応容器に重合溶媒を仕込み、単量体と重合開始剤の全量を添加する方法等が好適である。このような方法の中でも、得られる共重合体の分子量分布を狭く(シャープに)することができ、セメント組成物等の流動性を高める作用であるセメント分散性を向上することができることから、重合開始剤と単量体を反応容器に逐次滴下する方法で共重合を行うことが好ましい。
【0088】
上記共重合方法において、共重合温度等の共重合条件としては、用いられる共重合方法、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤により適宜定められるが、共重合温度としては、通常0℃以上であることが好ましく、また、150℃以下であることが好ましい。より好ましくは、40℃以上であり、更に好ましくは、50℃以上であり、特に好ましくは、60℃以上である。また、より好ましくは、120℃以下であり、更に好ましくは、100℃以下であり、特に好ましくは、85℃以下である。
上記共重合方法により得られる共重合体は、そのままでもセメント添加剤の主成分として用いられるが、必要に応じて、更にアルカリ性物質で中和して用いてもよい。アルカリ性物質としては、一価金属及び二価金属の水酸化物、塩化物及び炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アミン等を用いることが好ましい。
【0089】
上記共重合方法では、上記不飽和カルボン酸系単量体(B)の中和率を0〜60mol%として単量体成分の共重合を行うことが好ましい。不飽和カルボン酸系単量体(B)の中和率は、不飽和カルボン酸系単量体(B)の全モル数を100mol%としたときに、塩を形成している不飽和カルボン酸系単量体(B)のmol%で表されることになる。不飽和カルボン酸系単量体(B)の中和率が60mol%を超えると、共重合工程における重合率が上がらず、得られる共重合体の分子量が低下したり、製造効率が低下したりするおそれがある。より好ましくは、50mol%以下であり、更に好ましくは、40mol%以下、更に好ましくは、30mol%以下であり、特に好ましくは、20mol%以下であり、最も好ましくは、10mol%以下である。
【0090】
上記不飽和カルボン酸系単量体(B)の中和率を0〜60mol%として共重合を行う方法としては、全て酸型である不飽和カルボン酸系単量体(B)、すなわち全ての不飽和カルボン酸系単量体(B)において上記一般式(1)におけるMが水素原子であるものを中和せずに共重合に付することにより行う方法や、不飽和カルボン酸系単量体(B)をアルカリ性物質を用いてナトリウム塩やアンモニウム塩等の塩の形態に中和するときに中和率を0〜60mol%としたものを共重合に付することにより行う方法等が好適である。
【0091】
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、上述したように単量体成分を共重合してなるが、このような共重合体の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)によるポリエチレングリコール換算での重量平均分子量(Mw)としては、500以上であることが好ましく、また、500000以下であることが好ましい。500未満であると、ポリカルボン酸系共重合体の減水性能が低下するおそれがあり、500000を超えると、ポリカルボン酸系共重合体の減水性能、スランプロス防止能が低下するおそれがある。より好ましくは、5000以上であり、最も好ましくは8000以上である。また、より好ましくは、300000以下であり、最も好ましくは、100000以下である。なお、本明細書中、共重合体の重量平均分子量は、下記GPC測定条件により測定される値である。
【0092】
本発明の共重合体を含めて、セメント添加剤の分析を行う場合、(1)全く処理を行わずに分析を行う方法(2)残存モノマー等の低分子量物、消泡剤等の非水溶性物質を除去した後に分析を行う方法がある。ポリマーの精製方法としては、下記に示す方法が好適である。
【0093】
ポリマーの精製条件
ポリマーの精製条件1
1.NaOH30重量%aq.を用いてpH12〜12.5に調整する。
2.セメント添加剤(ポリマー水溶液)をエバポレーターで濃縮後、50℃の真空乾燥器で乾固させる。
3.得られたものを、溶剤(ジエチルエーテル、石油エーテル等)で、ソックスレイ抽出し、可溶分と不溶分に分離する。
4.不溶分を約40〜50重量%の溶液にし透析又は限外濾過で残存モノマー等の低分子量成分を取り除く。GPCの残存モノマーの分子量により分画分子量は使分ける。(1000、3500、8000、15000)
【0094】
ポリマーの精製条件2
1.NaOH30重量%aq.を用いてpH12〜12.5に調整する。
2.セメント添加剤(ポリマー水溶液)をエバポレーターで濃縮後、50℃の真空乾燥器で乾固させる。
3.得られたものを、溶剤(ジエチルエーテル、石油エーテル等)で、ソックスレイ抽出し、可溶分と不溶分に分離する。
4.セメント添加剤を限外濾過膜(分画分子量6000)で限外濾過する。
GPCの残存モノマーの分子量により分画分子量は使い分ける(13000)。
限外濾過膜出口圧力と限外濾過膜入口圧力が0.01MPa以上になるようにポリマー溶液の循環速度を調整する。
濾液濃度:0.1〜10重量%に調整
終点:NMR、液体クロマトグラフィー等で残存モノマーが除去できたことを確認する。
限外濾過装置
フナコシ:FILTRATION SYSTEM PS−24001
ペンシル型モジュール(旭化成工業社製)
型式:AIP−0013
材質: 中空糸膜:ポリアクリロニトリル(PAN)
ハウジング:ポリスルフォン
接着剤:エポキシ樹脂
仕様: 膜内径(mm):0.8mm
使用膜本数(本):100本
有効膜面積(cm):170
公称分画分子量:6000
使用条件:最高使用圧力(kPa):100
使用可能温度(℃):50
使用可能pH範囲:2〜10
モジュール寸法(mm):20φ×130L
【0095】
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、上述したように単量体を共重合してなるが、このような共重合体又はセメント添加剤の固形分に対してのTCAV(総カルボン酸酸価)としては、3mgKOH/g以上であることが好ましく、また、900mgKOH/g以下であることが好ましい。3mgKOH/g未満であると、ポリカルボン酸系共重合体のセメントへの吸着が遅くなり、減水性能の発現に時間を要したり、減水性能が低下するおそれがあり、900mgKOH/gを超えると、ポリカルボン酸系共重合体のセメントへの吸着が速くなりすぎるため、セメント粒子が凝集し減水性能、スランプロス防止能が低下するおそれがある。より好ましくは5mgKOH/g以上、更に好ましくは10mgKOH/g以上、より更に好ましくは15mgKOH/g以上、特に好ましくは20mgKOH/g以上、最も好ましくは25mgKOH/g以上である。また、より好ましくは500mgKOH/g以下、更に好ましくは400mgKOH/g以下、より更に好ましくは300mgKOH/g以下、特に好ましくは200mgKOH/g以下、最も好ましくは150mgKOH/g以下である。なお、本明細書中、TCAVは、下記TCAV(総カルボン酸酸価)測定条件により測定される値である。
【0096】
また本発明のポリカルボン酸系共重合体のNMR−PEG量としては、10重量%以上であることが好ましく、また、99重量%であることが好ましい。10重量%未満であると、セメント粒子を分散させるための分散基量が少ないためセメント粒子の凝集が起こり、減水性能、取扱いの容易性が低下するおそれがあり、99重量%を超えると、ポリカルボン酸系共重合体のセメントへの吸着が遅くなり、減水性能の発現に時間を要したり、減水性能が低下するおそれがある。より好ましくは50重量%以上、更に好ましくは60重量%以上、より更に好ましくは65重量%以上、特に好ましくは70重量%以上である。また、より好ましくは98重量%以下、更に好ましくは97重量%以下、より更に好ましくは95重量%以下、特に好ましくは93重量%以下、最も好ましくは93重量%以下である。なお、本明細書中、NMR−PEG量は、下記NMR−PEG量の測定方法により測定される値である。
【0097】
本発明のポリカルボン酸系共重合体のうち、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)及び不飽和カルボン酸系単量体(B)を含む単量体成分を共重合してなる形態の窒素含有量としては、0.001重量%以上であることが好ましく、また、20.0重量%以下であることが好ましい。0.001重量%未満であると、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体の重量%が小さくなり、これを用いたいセメント組成物は取扱いにくいものになるおそれがあり、20重量%を超えると、ポリカルボン酸系共重合体中のアミン量が増大するため、共重合体中のカルボニル基と強く相互作用し、減水性能が低下するおそれがある。より好ましくは0.01重量%以上、更に好ましくは0.05重量%以上、より更に好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは0.5重量%以上、最も好ましくは1.0重量%以上である。また、より好ましくは15.0重量%以下、更に好ましくは10.0重量%以下、より更に好ましくは8.0重量%以下、特に好ましくは5.0重量%以下、最も好ましくは3.0重量%以下である。
【0098】
本発明におけるGPC分子量測定条件、H−NMR(400MHz、200MHz)測定条件、13C−NMR測定条件、IR測定条件、熱分解GC−MASS測定条件、固形分の測定条件、NMR−PEG量の測定条件を以下に示す。
【0099】
GPC分子量測定条件
使用カラム:東ソー社製TSKguardcolumn SWXL+TSKge1 G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶かし、更に30%水酸化ナトリウム水溶液でpH6.0に調整した溶離液を用いる。
打込み量:100μL
サンプル濃度:0.5重量%
溶離液流速:0.8mL/sec
カラム温度:35℃
標準物質:ポリエチレングリコール、重量平均分子量(Mw)272500、219300、85000、46000、24000、12600、4250、7100、1470。
検出器:日本Waters社製 示差屈折検出器
解析ソフト:日本Waters社製 MILLENNIUM Ver.2.18
【0100】
H−NMR測定条件(400MHz)>
機種:varian社製 Unity plus(400MHz)
プローブ:4核オートスウィッチャブルプローブ
観測核:水素核(共鳴周波数400.0)
測定条件:90度パルス 22.5μsec(45度パルスを照射)
待ち時間 3.0sec
積算回数 16回
【0101】
H−NMR測定条件(200MHz)>
機種:varian社製 geminin2000(200MHz)
プローブ:CHスウィチャブルプローブ
観測核:水素核(共鳴周波数 199.9)
測定条件:90度パルス 10μsec(45度パルスを照射)
待ち時間 1.25秒
積算回数 16回
【0102】
13C−NMR測定条件>
機種:varian社製 Unity plus(400MHz)
プローブ:4核オートスウィッチャブルプローブ
観測核:炭素核(共鳴周波数 100.6)
測定条件:90度パルス 15.1μsec(90度パルスの1/3を照射)
Hパルス出力 38dB
待ち時間 0.939sec
積算回数 25000回
【0103】
<IR測定条件>
機種:BIO−RAD社製 FT−IR
測定方法:ゲルマニウム板薄膜形成法
5%の共重合体水溶液をゲルマニウム板に1滴(約0.03mL)落とす。
真空乾燥機(デシケーターに減圧ポンプを接続してもよい)で水分を除去する(25℃、0.001MPa以下、10分以上)。
【0104】
<TCAV(総カルボン酸酸価)測定条件>
機種:平沼産業社製 自動滴定装置 COM−550
0.1mol/L 水酸化ナトリウム 和光純薬工業社製 容量分析用試薬 fn(ファクター)
0.1mol/L 塩酸 和光純薬工業社製 容量分析用試薬
溶媒:イオン交換水/アセトニトリル=50/50容積%
(1)100mLのビーカーにセメント添加剤を有姿で1g(固形分換算で0.2〜0.5g)精秤する(W g)(小数点以下4桁まで)。
(2)溶媒50mLで希釈する。
(3)上記塩酸水溶液5mLを添加しpHが3以下(好ましくは2.5以下)になっているのを確認後、上記水酸化ナトリウム水溶液で電位差滴定を行う。
(4)第1変曲点から第2変曲点までに必要な水酸化ナトリウム量(V mL)を求める。
fn:0.1mol/L 水酸化のファクター
NV(重量%):セメント添加剤の固形分濃度
TCAV=(V×0.1×fn×56.11)/(W×NV) mgKOH/g
【0105】
<熱分解GC−MASS測定条件>
熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析
機種:日立製作所社製 N−5000 四重極型
カラム:GLscience社製 DB−1(0.25mm×30m×0.25μm)
Curie Point Pyrolyzer測定法 590℃
昇温プログラム:50℃(Hold5min)−(5℃/min)−150℃−(10℃/min)−250℃(Hold5min)
【0106】
<固形分の測定条件>
アルミカップにセメント添加剤を約0.5g精秤する。窒素気流下130℃の乾燥機で1時間加熱後、アルミカップを取り出し、デシケーターの中で10分間冷却し、重量を測定する。はかり取ったセメント添加剤の重量と加熱後に残った重量から固形分を計算する。
【0107】
<NMR−PEG量の測定方法>
H−NMR(200MHz)で観測される3.3〜4.2ppmピーク(メトキシポリエチレングリコールメタクリレートの−OCHCH−と同じ位置に現われるピーク)の重量%を求める。
測定の概要:ポリマーと内部標準物質(トリオキサン)の重量比・NMR積分比からポリマーに含まれる3.3〜4.2ppmピークの重量%を検量線を用いて求める。
ポリマーの調整:透析等で残存モノマーを除去し、減圧乾燥機で水分が0.1重量%以下になるまで乾固させる。NMRで4.9〜5.2ppmに他のピークが現われないように精製する。
トリオキサン:和光純薬工業社製 1級 水分が0.05重量%以下に調整する。
水分測定方法:カールフィッシャー法
検量線物質:ポリマーA又はメトキシポリエチレングリコールメタクリレート 全重量中の−OCHCH−の重量比を求めておく。
上記ポリマーA:「新中村化学社製、M−90G/メタクリル酸ナトリウム=70/30重量%、Mw20000〜30000」。開始剤、連鎖移動剤、残存モノマー、原料純度等を正確に求め、全重量中の−OCHCH−の重量比率を求めておく。
重量:0.1mgまで精秤する。
【0108】
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、セメント添加剤の主成分として好適に用いることができるものである。本発明のポリカルボン酸系共重合体を含んでなるセメント添加剤もまた本発明の1つである。
【0109】
カルシウム移送値が10〜900mPa・s及び/又はセメント動作係数が0.05〜1.0であるセメント添加剤は、流動性・減水性が同一の場合、より取り扱いやすいセメント組成物を提供できるものであり、このようなセメント添加剤もまた本発明の1つである。
【0110】
本明細書中におけるカルシウム移送値、セメント動作係数の測定方法については下記で説明する。
<セメント動作係数の測定方法>
試薬・機器条件
普通ポルトランドセメント(JIS R 5210):太平洋セメント社製、下記に示す粘度μ(e)が5000〜6000mPa・sであるLotのセメントを使用する
消泡剤:オキシアルキレン系消泡剤 ノニルオキシポリプロピレングリコールポリエチレングリコール(プロピレンオキサイドの平均付加モル数20個、エチレンオキサイドの平均付加モル数3個)
セメント添加剤の固形分換算の添加量に対して0.5重量%使用
セメント強さ試験用標準砂:JIS R 5201
モルタルミキサー:ホバート社製 N−50 容量5L
回転1:自転139rpm、公転61rpm
回転2:自転285rpm、公転125rpm
スパチュラ:ステンレス製 図2参照
テラオカ社製ニューデスカップ(300mL)):図3参照
へリパス回転粘度計:TV−20型粘度計/スピンドルT−A/10rpm(東機産業社製)
セメント添加剤の添加量:すべて固形分換算の添加量。
【0111】
空気量測定方法:500mLのメスシリンダーにモルタルを約450mL入れ、体積と重量を測定する。用いたセメント、砂、イオン交換水の密度から空気量を計算する。
【0112】
測定方法
25℃に調温された、普通ポルトランドセメント1080g、セメント強さ試験用標準砂1350gをモルタルミキサーに入れ、回転1で10秒間攪拌した後、所定量のセメント添加剤と消泡剤を添加したイオン交換水270g(25℃)を追加し、回転1で更に3分間攪拌し、引き続き回転2で2分間攪拌し、混合物Cを得る。
【0113】
混合物Cすべてをプラスチック製の円筒容器(容量1.2L、下部直径90mm、上部直径110mm、高さ140mm)に入れ、混練終了してから1分20秒後にスパチュラを用いて5秒間で右に5回、左に5回練り返す。ステンレス板に置いたミニスランプコーン(上部内径50mm、下部内径100mm、高さ150mmの中空容器)に3分の一の混合物Cを詰めて、らせんをえがくように25回ガラス棒で突く。更に3分の一も同様に詰めて詰めた分だけガラス棒で25回らせんを描くように突く。同様に残り3分の一も詰める。混練開始からトータル10分後になる時間に、このミニスランプコーンを垂直に持ち上げ、ステンレス板に広がった混合物Cの「最大長さ」と「それに垂直方向長さ」について測定し、この2つの値の平均値をフロー値(mm)とする。
【0114】
空気量を2.0〜4.0容積%に調整した条件下、普通ポルトランドセメントに対するセメント添加剤の添加量(固形分換算)を変化させ、添加量とフロー値の関係のグラフを書き、フロー値を200mmにするために必要なセメント添加剤の添加量を求める。(この時の添加量を標準添加量と規定する。)フロー値が200±25mmの範囲内では2点以上の添加量、又はフロー値が200±50mmの範囲内では3点以上の添加量でフロー値を測定しなければならない。空気量が2.0〜4.0容積%の範囲をはずれた場合、消泡剤量を0.5重量%から変化させて、フロー値、空気量が両方とも規定の範囲になる消泡剤とセメント添加剤の添加量を求める。
【0115】
次に、25℃に調温された普通ポルトランドセメント600gをモルタルミキサーに入れ、回転1で10秒間攪拌した後、先ほど求めた標準添加量のセメント添加剤と消泡剤を添加したイオン交換水150g(25℃)を加え、50秒間混練した後混練を一旦停止し、モルタルミキサー壁に付着したセメントペーストの掻き落としを30秒間行う。そして回転1で更に3分40秒間混練し、混合物Dを得る。
【0116】
混合物Dすべてをテラオカ社製ニューデスカップ(300mL)に入れ、スパチュラを用いて60秒間で右に30回、左に30回攪拌し、セメントペーストを均一に分散させる。
へリパス回転粘度計(スピンドルの位置を175mLの目盛りの位置に調整=底から3.8cm)にて、混合物Dの機械練りを開始してからトータル10分後になる時間に粘度測定を開始する。粘度測定開始から2分後の粘度を粘度μ(d)とする。
【0117】
(セメント添加剤と消泡剤を抜き)混合物Dと同様の手法で、普通ポルトランドセメント600gとイオン交換水240gを、モルタルミキサーに入れ攪拌し、混合物Eを得る。上記混合物Dと同様に粘度を測定し、粘度測定開始から2分後の粘度を測定する。測定を2回行い、2回の平均値を粘度μ(e)とする。
粘度μ(d)/粘度μ(e)をセメント動作係数とする。
【0118】
<カルシウム移送値の測定方法>
試薬・機器条件
炭酸カルシウム:日本紛化工業社製 SS#80
水酸化カルシウム:和光純薬工業社製
豊浦硅砂:豊浦硅石鉱業社製
モルタルミキサー:ホバート社製 N−50 容量5L
回転1:自転139rpm、公転61rpm
回転2:自転285rpm、公転125rpm
スパチュラ:ステンレス性 図2参照
テラオカ社製 PACK−ACE(600mL)
ホモミキサー:1000rpm 図4参照
B型粘度計:回転数6rpm、ローターNo.2、ローターをセットしてから30秒後に回転開始。
セメント添加剤の添加量:すべて固形分換算の添加量。
【0119】
測定方法
25℃に調温された、炭酸カルシウム300g、水酸化カルシウム0.3g、豊浦硅砂250gをモルタルミキサーに入れ回転1で30秒間攪拌した後、所定量のセメント添加剤を添加したイオン交換水75g(25℃)を追加し、回転2で更に5分間攪拌し、混合物Aを得る。
【0120】
混合物Aすべてをプラスチック製の円筒容器(容量1.2L、下部直径90mm、上部直径110mm、高さ140mm)に入れ、イオン交換水添加から30分後と58分後にスパチュラを用いて30秒間で右に15回、左に15回攪拌する。
【0121】
ステンレス板に置いた直径55mm、高さ50mmの中空円筒の容器に混合物Aを詰め、イオン交換水添加から1時間後にこの円筒容器を垂直に持ち上げ、ステンレス板に広がった混合物の「最大長さ」と「それに垂直方向長さ」について測定し、この2つの値の平均値をフロー値(mm)とする。
【0122】
炭酸カルシウムに対するセメント添加剤の添加量(固形分換算)を変化させ、フロー値を160mmにするために必要なセメント添加剤の添加量を求める(この添加量をカルシウム標準添加量と規定する)。
【0123】
続いて、25℃に調温された炭酸カルシウム300gとカルシウム標準添加量のセメント添加剤を添加したイオン交換水75g(25℃)を、テラオカ社製 PACK−ACE(600mL)(上部直径87mm下部直径80mm高さ120mmのプラスチック製円筒容器)に入れ、ステンレス棒(幅9mm厚み2mm)を使って3分間で右に90回、左に90回攪拌し、更に9分間ホモミキサーで攪拌し、混合物Bを得る。
【0124】
混合物Bを100mLスクリュー管(直径35mm・高さ100mmのガラス容器)に移す直前まで恒温水槽で25℃に調温し、100mLスクリュー管に移す直前にステンレス棒(幅9mm厚み2mm)を使って3分間で右に180回、左に180回攪拌し、沈降している炭酸カルシウムを充分に分散させる。混合物Bを100mLスクリュー管の高さ80mmのところまで入れ、ホモミキサーで攪拌開始から60分後にB型粘度計で混合物Bの粘度を測定し、回転開始から180秒後の指示値をカルシウム移送値とする。
【0125】
上記セメント添加剤では、カルシウム移送値が10〜900mPa・s及び/又はセメント動作係数が0.05〜1.0である。
上記セメント動作係数が1.0を超えるセメント添加剤を使用したセメント組成物は、作業性が悪く、取扱いにくくなる。またセメント動作係数が0.05より低いセメント添加剤を使用したセメント組成物は、セメントペーストと骨材(砂・石)が分離し易く、ブリージング水が多く、取り扱いにくくなる。好ましくは0.05以上であり、より好ましくは0.1以上であり、更に好ましくは0.2以上である。また、好ましくは0.95以下であり、より好ましくは0.90以下であり、更に好ましくは0.85以下であり、特に好ましくは0.80以下である。
【0126】
上記カルシウム移送値が900mPa・sを超えるセメント添加剤を使用したセメント組成物は、セメント組成物の粘性が高くなり、取扱いにくくなる。またカルシウム移送値が10mPa・sより低いセメント添加剤を使用したセメント組成物は、セメント組成物の粘性が低く、セメントペーストと骨材(砂・石)が分離し易く、ブリージング水が多く、取り扱いにくくなる。好ましくは10Pa・s以上であり、また、850mPa・s以下が好ましい。特に好ましくは50Pa・s以上、最も好ましくは100Pa・s以上である。また、より好ましくは800mPa・s以下、更に好ましくは750mPa・s以下、特に好ましくは700mPa・s以下、最も好ましくは650mPa・s以下である。
【0127】
pH12〜12.5に調整後に精製した際に、元素分析による窒素量が0.1〜20重量%であり、熱分解GC−MASSによりモルホリン、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、及び、1−4ジオキサンが検出され、GPCのピークに肩がなく、重量平均分子量(Mw)が5000〜300000であり、IR測定において、1640〜1660cm−1に存在する吸収ピーク強度が1710〜1630cm−1に存在する吸収ピーク強度の20%以下であり、13C−NMRで60〜61ppmと69〜68ppmのケミカルシフト位置にシグナルが検出され、NMR−PEG量が10〜99重量%であり、TCAVが3〜900mgKOH/gであるセメント添加剤も、流動性・減水性が同一の場合、より取り扱いやすいセメント組成物を提供できるものであり、このようなセメント添加剤もまた本発明の1つである。
【0128】
上記窒素量、熱分解GC−MASS、IR、13C−NMRの測定結果を組み合わせることにより、セメント添加剤中に上記オキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)が含有されていることが示される。すなわちこれらの分析値が上記の範囲を満たすセメント添加剤には、上記オキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)が含まれていることになる。また、GPCのピークが1つである、すなわちピークに肩がないと、オキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)が共重合されており、単に混合されているだけではないことが示される。IR測定は、アミド結合がないことを示すものであり、ポリアミド単量体、アクリル酸アミド等が共重合されているのではなく、オキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)が共重合されていることを示すものである。
【0129】
上記セメント添加剤は、以下の方法により精製したもの分析値が、上記のような範囲となるものである。
(セメント添加剤の精製方法)
1.NaOH30重量%aq.を用いてpH12〜12.5に調整する。
2.セメント添加剤(ポリマー水溶液)をエバポレーターで濃縮後、50℃の真空乾燥器で乾固させる。
3.得られたものを、溶剤(ジエチルエーテル、石油エーテル等)で、ソックスレイ抽出し、可溶分と不溶分に分離する。
4.不溶分を約40〜50重量%の溶液にし透析又は限外濾過で残存モノマー等の低分子量成分を取り除く。GPCの残存モノマーの分子量により分画分子量は使分ける。(1000、3500、8000、15000)
【0130】
本発明における熱分解GC−MASS、GPC、IR、13C−NMR、TCAV、NMR−PEG量の測定条件としては、上述したポリカルボン酸系重合体における条件と同様である。
【0131】
本発明のセメント添加剤において、上記方法により精製した際の元素分析による窒素量が、0.1重量%未満であると、このセメント添加剤を用いたセメント組成物は取り扱いにくいものになるおそれがあり、20重量%を超えると、減水性能が低下するおそれがある。好ましくは、0.5重量%以上であり、より好ましくは、1.0重量%以上である。また、好ましくは、15重量%以下であり、より好ましくは、10重量%以下であり、更に好ましくは、8重量%以下であり、特に好ましくは、3重量%以下である。なお、窒素量は、セメント添加剤の固形分100重量%に対しての窒素原子の重量割合である。
【0132】
上記熱分解GC−MASSによりモルホリン、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、及び、1−4ジオキサンが検出されると、このセメント添加剤を用いたセメント組成物は、取り扱いやすいものとなる。
【0133】
上記セメント添加剤においては、GPCのピークに肩がないことが必要である。「ピークに肩がない」とは、図1に示すように、GPCチャートにおいて、ピーク開始点からピーク終了までに変曲点が2つだけ存在することを意味する。また、重量平均分子量(Mw)が5000以下であると、減水性能が低下するおそれがあり、300000を超えると、減水性能、スランプロス防止能が低下するおそれがある。好ましくは、8000以上であり、最も好ましくは、10000以上である。また、好ましくは、300000以下であり、最も好ましくは、500000以下である。なお、重量平均分子量は、上記GPC測定条件により測定される値である。
【0134】
上記セメント添加剤においては、IR測定における、1640〜1660cm−1に存在する吸収ピーク強度が1710〜1630cm−1に存在する吸収ピーク強度の20%以下であることが必要である。これはアミド結合が共重合体中にほとんど存在しないことを意味している。好ましくは、1640〜1660cm−1に存在する吸収ピーク強度が1710〜1630cm−1に存在する吸収ピーク強度の15%以下である。より好ましくは、10%以下であり、更に好ましくは、5%以下であり、特に好ましくは、3%以下である。
【0135】
上記13C−NMRにおいて、60〜61ppmと69〜68ppmのケミカルシフト位置にシグナルが検出されると、このセメント添加剤を用いたセメント組成物は、取り扱いやすいものとなる。
【0136】
上記NMR−PEG量が10重量%未満であると、セメント粒子を分散させるための分散基量が少ないためセメント粒子の凝集が起こり、減水性能、取扱いの容易性が低下し、99重量%を超えると、99重量%を超えると、減水性能の発現に時間を要したり、減水性能が低下する。好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、更に好ましくは65重量%以上、特に好ましくは70重量%以上である。また、好ましくは98重量%以下、より好ましくは97重量%以下、更に好ましくは95重量%以下、特に好ましくは93重量%以下、最も好ましくは93重量%以下である。
【0137】
上記TCAVが3mgKOH/g未満であると、減水性能の発現に時間を要したり、減水性能が低下し、900mgKOH/gを超えると、セメント粒子が凝集し減水性能、スランプロス防止能が低下するおそれがある。好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上、特に好ましくは20mgKOH/g以上、最も好ましくは25mgKOH/g以上である。また、好ましくは500mgKOH/g以下、より好ましくは400mgKOH/g以下、更に好ましくは300mgKOH/g以下、特に好ましくは200mgKOH/g以下、最も好ましくは150mgKOH/g以下である。
【0138】
上記カルシウム移送値が10〜900mPa・s及び/又はセメント動作係数が0.05〜0.9であるセメント添加剤や、pH12〜12.5以上に調整後に精製した際の分析値が上記の範囲となるセメント添加剤の好ましい形態の1つは、上述した(1)ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)及び不飽和カルボン酸系単量体(B)を含む単量体成分を共重合してなるポリカルボン酸系共重合体、を含んでなるもの、(2)ポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)及び不飽和モノカルボン酸系単量体(B′)を含む単量体成分を共重合してなるポリカルボン酸系共重合体、を含んでなるもの、(3)ポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2′)及び不飽和カルボン酸系単量体(B)を含む単量体成分を共重合してなるポリカルボン酸系共重合体、を含んでなるもの、(4)オキシアルキレン基を有する単量体(A)と、不飽和カルボン酸系単量体(B)とを含む単量体成分を疎水性連鎖移動剤を用いて共重合してなるポリカルボン酸系共重合体、を含んでなるものである。この場合も、ポリカルボン酸系共重合体の好ましい形態は、上述したのと同様である。すなわち(1)の形態においては、上記ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A1)は、オキシアルキレン基を有することが好ましく、更に、(1)、(2)及び(3)の形態においては、上記単量体成分は、上記オキシアルキレン基を有する単量体以外のポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A3)を含むことが好ましい。また、(1)、(2)、(3)及び(4)の形態を適宜組み合わせてもよい。
【0139】
本発明のセメント添加剤について以下に説明する。
上記セメント添加剤は、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物に加えて用いることができる。
上記セメント組成物としては、セメント、水、細骨材、粗骨材等を含む通常用いられるものが好適である。また、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカヒューム、液状シリカヒューム、石灰石等の微粉体を添加したものであってもよい。このような、少なくとも水、セメント、セメント添加剤を含んでなるセメント組成物であって、上記セメント添加剤は、上記セメント添加剤を用いるセメント組成物もまた本発明の1つである。
【0140】
上記セメントとしては、普通、早強、超早強、中庸熱、白色等のポルトランドセメント;アルミナセメント、フライアッシュセメント、高炉セメント、シリカヒュームセメント、ハイフローセメント等の混合ポルトランドセメント等が好適である。上記セメントのコンクリート1m当たりの配合量及び単位水量としては、高耐久性・高強度のコンクリートを製造するためには、単位水量80〜185kg/m、水/セメント比=10〜70%とすることが好ましい。より好ましくは、単位水量100〜175kg/m、水/セメント比=10〜65%である。また、骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材、耐火骨材等が使用可能である。
【0141】
上記セメント添加剤のセメント組成物への添加方法としては特に限定されるものではない。セメント添加剤のセメント組成物への添加量としては、本発明のポリカルボン酸系共重合体がセメント重量の全量100重量%に対して、0.01〜10重量%となるようにすることが好ましい。0.01重量%未満であると、性能的に不充分となるおそれがあり、10重量%を超えると、経済性が劣ることとなる。なお、上記重量%は、固形分換算の値である。
【0142】
上記セメント組成物は、高い流動性を有していることから、超高強度コンクリート以外にも、プレキャストコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等に有効であり、更に、中流動コンクリート(スランプ値が22〜25cmの範囲のコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50〜70cmの範囲のコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効である。
【0143】
上記セメント添加剤は、通常用いられる公知のセメント分散剤と併用することができる。使用可能な公知のセメント分散剤としては、特に限定はなく、分子中にスルホン酸基を有する各種スルホン酸系分散剤や、分子中にポリオキシアルキレン鎖とカルボキシル基とを有する各種ポリカルボン酸系分散剤が挙げられる。スルホン酸系分散剤としては、例えば、リグニンスルホン酸塩;ポリオール誘導体;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリスチレンスルホン酸塩;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系等が挙げられる。また、ポリカルボン酸系分散剤としては、例えば、特開平1−113419号公報に記載の如くアミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系;特開平7−267705号公報に記載の如く(a)成分として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系化合物と(メタ)アクリル酸系化合物との共重合体及び/又はその塩と、(b)成分として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系化合物と無水マレイン酸との共重合体及び/若しくはその加水分解物、並びに/又は、その塩と、(c)成分として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系化合物と、ポリアルキレングリコール系化合物のマレイン酸エステルとの共重合体及び/又はその塩とを含むセメント分散剤;特許第2508113号明細書に記載の如くA成分として、(メタ)アクリル酸のポリアルキレングリコールエステルと(メタ)アクリル酸(塩)との共重合体、B成分として、特定のポリエチレングリコールポリプロピレングリコール系化合物、C成分として、特定の界面活性剤からなるコンクリート添加剤;特開昭62−216950号公報に記載の如く(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル若しくはポリエチレン(プロピレン)グリコールモノ(メタ)アリルエーテル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、並びに、(メタ)アクリル酸(塩)からなる共重合体。
【0144】
特開平1−226757号公報に記載の如く(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、及び、(メタ)アクリル酸(塩)からなる共重合体;特公平5−36377号公報に記載の如く(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)若しくはp−(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)、並びに、(メタ)アクリル酸(塩)からなる共重合体;特開平4−149056号公報に記載の如くポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルとマレイン酸(塩)との共重合体;特開平5−170501号公報に記載の如く(メタ)アクリル酸のポリエチレングリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)、アルカンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及び、分子中にアミド基を有するα,β−不飽和単量体からなる共重合体;特開平6−191918号公報に記載の如くポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸(塩)、並びに、(メタ)アリルスルホン酸(塩)若しくはp−(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)からなる共重合体;特開平5−43288号公報に記載の如くアルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体、若しくは、その加水分解物、又は、その塩;特公昭58−38380号公報に記載の如くポリエチレングリコールモノアリルエーテル、マレイン酸、及び、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体、若しくは、その塩、又は、そのエステル。
【0145】
特公昭59−18338号公報に記載の如くポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、及び、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体;特開昭62−119147号公報に記載の如くスルホン酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び必要によりこれと共重合可能な単量体からなる共重合体、又は、その塩;特開平6−271347号公報に記載の如くアルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体と、末端にアルケニル基を有するポリオキシアルキレン誘導体とのエステル化反応物;特開平6−298555号公報に記載の如くアルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体と、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン誘導体とのエステル化反応物;特開昭62−68806号公報に記載の如く3−メチル−3ブテン−1−オール等の特定の不飽和アルコールにエチレンオキシド等を付加したアルケニルエーテル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、及び、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体、又は、その塩等のポリカルボン酸(塩)。これらセメント分散剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、併用可能な上記セメント分散剤の中でも、特に、分子中にポリオキシアルキレン鎖とカルボキシル基とを有する各種ポリカルボン酸系分散剤を併用することが好ましく、ポリカルボン酸系分散剤として具体的には、表1に示す共重合体が挙げられる。
【0146】
【表1】

【0147】
上記セメント分散剤を併用する場合には、使用するセメント分散剤の種類、配合及び試験条件等の違いにより一義的に決められないが、上記セメント添加剤と上記セメント分散剤との配合重量の割合は、5〜95:95〜5であることが好ましい。より好ましくは、10〜90:90〜10である。
また、上記セメント添加剤は、他のセメント添加剤と組み合わせて用いることもできる。上記他のセメント添加剤としては、以下に示す様な他の公知のセメント添加剤(材)等が好適である。
【0148】
(1)水溶性高分子物質:ポリアクリル酸(ナトリウム)、ポリメタクリル酸(ナトリウム)、ポリマレイン酸(ナトリウム)、アクリル酸・マレイン酸共重合物のナトリウム塩等の不飽和カルボン酸重合物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオキシエチレンあるいはポリオキシプロピレンのポリマー又はそれらのコポリマー;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1,3グルカン類(直鎖状、分岐鎖状の何れでも良く、一例を挙げれば、カードラン、パラミロン、パキマン、スクレログルカン、ラミナラン等)等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコール;デンプン;デンプンリン酸エステル;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;分子内にアミノ基を有するアクリル酸のコポリマー及びその四級化合物等。
【0149】
(2)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物等。
(3)遅延剤:グルコン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸又はクエン酸、及び、これらの、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等の無機塩又は有機塩等のオキシカルボン酸並びにその塩;グルコース、フラクトース、ガラクトース、サッカロース、キシロース、アピオース、リボース、異性化糖等の単糖類や、二糖、三糖等のオリゴ糖、又はデキストリン等のオリゴ糖、又はデキストラン等の多糖類、これらを含む糖蜜類等の糖類;ソルビトール等の糖アルコール;珪弗化マグネシウム;リン酸並びにその塩又はホウ酸エステル類;アミノカルボン酸とその塩;アルカリ可溶タンパク質;フミン酸;タンニン酸;フェノール;グリセリン等の多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のホスホン酸及びその誘導体等。
【0150】
(4)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
(5)鉱油系消泡剤:燈油、流動パラフィン等。
(6)油脂系消泡剤:動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(7)脂肪酸系消泡剤:オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(8)脂肪酸エステル系消泡剤:グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等。
【0151】
(9)オキシアルキレン系消泡剤:(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等。
【0152】
(10)アルコール系消泡剤:オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等。
(11)アミド系消泡剤:アクリレートポリアミン等。
(12)リン酸エステル系消泡剤:リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等。
(13)金属石鹸系消泡剤:アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等。
(14)シリコーン系消泡剤:ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等。
【0153】
(15)AE剤:樹脂石鹸、飽和あるいは不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、蛋白質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等。
【0154】
(16)その他界面活性剤:オクタデシルアルコールやステアリルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂肪族1価アルコール、アビエチルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂環式1価アルコール、ドデシルメルカプタン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する1価メルカプタン、ノニルフェノール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアルキルフェノール、ドデシルアミン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアミン、ラウリン酸やステアリン酸等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するカルボン酸に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを10モル以上付加させたポリアルキレンオキシド誘導体類;アルキル基又はアルコキシル基を置換基として有しても良い、スルホン基を有する2個のフェニル基がエーテル結合した、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類;各種アニオン性界面活性剤;アルキルアミンアセテート、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤等。
【0155】
(17)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
(18)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
(19)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル類;2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のアルカンジオール類等。
(20)膨張材:エトリンガイト系、石炭系等。
【0156】
その他の公知のセメント添加剤(材)としては、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石膏等を挙げることができる。これら公知のセメント添加剤(材)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0157】
上記セメント組成物において、セメント及び水以外の成分についての特に好適な実施形態としては、次の(1)〜(7)が挙げられる。
(1)(i)本発明のセメント添加剤、及び、(ii)オキシアルキレン系消泡剤の2成分を必須とする組み合わせ。なお、(ii)のオキシアルキレン系消泡剤の配合重量比としては、(i)のセメント添加剤に対して0.001〜10重量%の範囲が好ましい。
(2)(i)本発明のセメント添加剤、(ii)ポリカルボン酸系分散剤、(iii)オキシアルキレン系消泡剤の3成分を必須とする組み合わせ。なお、(i)のセメント添加剤と(ii)の共重合体との配合重量比としては、5/95〜95/5の範囲が好ましく、10/90〜90/10の範囲がより好ましい。(iii)のオキシアルキレン系消泡剤の配合重量比としては、(i)のセメント添加剤と(ii)のポリカルボン酸系分散剤との合計量に対して0.001〜10重量%の範囲が好ましい。
(3)(i)本発明のセメント添加剤、及び、(ii)分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤の2成分を必須とする組み合わせ。スルホン酸系分散剤としては、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系の分散剤等が使用可能である。なお、(i)のセメント添加剤と(ii)の分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤との配合重量比としては、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。
【0158】
(4)(i)本発明のセメント添加剤、及び、(ii)リグニンスルホン酸塩の2成分を必須とする組み合わせ。なお、(i)のセメント添加剤と(ii)のリグニンスルホン酸塩との配合重量比としては、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。
(5)(i)本発明のセメント添加剤、及び、(ii)材料分離低減剤の2成分を必須とする組み合わせ。材料分離低減剤としては、非イオン性セルロースエーテル類等の各種増粘剤等が使用可能である。なお、(i)のセメント添加剤と(ii)の材料分離低減剤との配合重量比としては、10/90〜99.99/0.01が好ましく、50/50〜99.9/0.1がより好ましい。この組み合わせのセメント組成物は、高流動コンクリート、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材として好適である。
(6)(i)本発明のセメント添加剤、(ii)遅延剤の2成分を必須とする組み合わせ。遅延剤としては、グルコン酸(塩)、クエン酸(塩)等のオキシカルボン酸類、グルコース等の糖類、ソルビトール等の糖アルコール類、アミノトリ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類等が使用可能である。なお、(i)のセメント添加剤と(ii)の遅延剤との配合重量比としては、50/50〜99.9/0.1の範囲が好ましく、70/30〜99/1の範囲がより好ましい。
(7)(i)本発明のセメント添加剤、(ii)促進剤の2成分を必須とする組み合わせ。促進剤としては、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム等の可溶性カルシウム塩類、塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物類、チオ硫酸塩、ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩類等が使用可能である。なお、(i)のセメント添加剤と(ii)の促進剤との配合重量比としては、10/90〜99.9/0.1の範囲が好ましく、20/80〜99/1の範囲がより好ましい。
【0159】
上記セメント添加剤は、上述した公知のセメント分散剤やセメント添加剤(材)の他に、セメント組成物の分散性、抑泡制等を向上させるものと併用させてもよい。
上記セメント添加剤や上記セメント分散剤をセメント組成物に加える方法としては、これらのセメント添加剤やセメント分散剤を混合してセメント添加剤とし、セメント組成物への混入を容易として行うことが好ましい。
【0160】
上記セメント添加剤を加えたセメント組成物は、流動性及び流動保持性が優れることから、減水性と作業性が優れたものとなり、しかも、その硬化物の強度や耐久性が優れたものとなる。従って、本発明のポリカルボン酸系共重合体を含むセメント添加剤は、超高強度コンクリートに好適に用いることができ、超高強度用減水剤として充分な作用効果を発揮することができることとなる。
【0161】
上記超高強度コンクリートの配合、使用材料及び練混ぜ方法については、日本建築学会大会学術講演梗概集(関東)(2001−9.)p.197−200、土木学会第56回年次学術講演会講演概要集第V部門V−137(「超高強度コンクリートの強度発現性に関する一考案」)(2001)p.274−275等に記載されているのと同様にすることができるが、本発明の好ましい実施形態を例示すると下記のとおりである。
【0162】
【表2】

【0163】
表2について、以下に説明する。
W/C(重量%)とは、セメントに対する水の重量%であり、s/a(容積%)とは、全骨材(細骨材+粗骨材)に対する細骨材の容積%である。Wとは単位水量であり、Cとは単位セメント量であり、Sとは単位細骨材量であり、Gとは単位粗骨材量である。aとは全骨材(細骨材+粗骨材)の絶対容積であり、sとは細骨材の絶対容積である。
【0164】
(使用材料)
セメント:宇部三菱セメント社製、シリカフュームセメント(密度=3.08g/cm、ブレーン;比表面積=5600cm/g)
細骨材:大井川陸砂(表乾密度=2.57g/cm、吸水率=2.15%、F.M.=2.76)
粗骨材:青梅産砕石(表乾密度=2.65g/cm、実積率=0.59、F.M.=6.74、M.S.=20mm)
【0165】
(練り混ぜ方法)
55リットルの強制2軸式ミキサを用いて、1バッチ当たり30リットルを以下の手順で練り混ぜる。
セメントと細骨材を10秒間練り混ぜ後、セメント添加剤を加えた水を混合し、表2に規定の「モルタル練り混ぜ時間(秒)」だけさらに練り混ぜる。その後、粗骨材を混合し、90秒間練り混ぜ、超高強度コンクリートを調合する。
【0166】
【表3】

【0167】
表3について、以下に説明する。
W/B(重量%)とは、結合剤(セメント+シリカヒューム)に対する水の重量%であり、s/a(容積%)とは、全骨材(細骨材+粗骨材)に対する細骨材の容積%である。Wとは単位水量であり、Bとは単位結合剤量、すなわちセメントとシリカヒューム微粉末を合わせたもの(B=C+SF)であり、Cとは単位セメント量であり、SFと単位はシリカヒューム微粉末量であり、Sとは単位細骨材量であり、Gとは単位粗骨材量である。aとは全骨材(細骨材+粗骨材)の絶対容積であり、sとは細骨材の絶対容積である。
【0168】
(使用材料)
セメント:低熱ポルトランドセメント(密度=3.22g/cm、ブレーン比表面積=3280cm/g)
細骨材:大井川陸砂(表乾密度=2.57g/cm、吸水率=2.15%、F.M.=2.76)
粗骨材:青梅産砕石(表乾密度=2.65g/cm、実積率=0.59、F.M.=6.74、M.S.=20mm)
【0169】
(練り混ぜ方法)
55リットル強制2軸式ミキサを用いて、1バッチ当り30リットルを以下の手順で練り混ぜる。
セメントとシリカヒューム微粉末と細骨材を60秒間練り混ぜ後、セメント添加剤を加えた水を混合し、モルタルが均一に混合したのを確認した後、さらに30秒間練り混ぜる。その後、粗骨材を混合し、90秒間練り混ぜ、超高強度コンクリートを調合する。
【発明の効果】
【0170】
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、上述の構成よりなるので、セメント添加剤の成分として用いることにより、セメント組成物等の減水性や作業性を優れたものとし、しかも、その硬化物の強度や耐久性を優れたものとすることができることから、セメントペースト、モルタル、コンクリート等、特に超高強度コンクリートに好適に適用することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0171】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、%は、重量%を意味するものとする。
【0172】
実施例1
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置にポリエチレンイミンエチレンオキシド付加物(Mw600のポリエチレンイミンの活性水素にエチレンオキシドを平均付加モル数3で付加した化合物)500部を仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で20℃以下に冷却した。反応系内を20℃以下に保ち、グリシジルメタクリレート44.3部を1時間で添加した。添加終了後、20℃以下で1時間攪拌を続け、ポリエチレンイミン/エチレンオキシド付加物単量体(ポリエチレンイミンEO付加物マクロマー)を得た。
【0173】
実施例2
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置にポリエチレンイミンエチレンオキシド付加物(Mw600のポリエチレンイミンの活性水素にエチレンオキシドを平均付加モル数3で付加した化合物)500部を仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で20℃以下に冷却した。反応系内を20℃以下に保ちつつメタクリル酸無水物51.2部を1時間で添加した。添加終了後、20℃以下で1時間攪拌を続け、ポリエチレンイミン/エチレンオキシド付加物単量体(ポリエチレンイミンEO付加物マクロマー)を得た。
【0174】
実施例3
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に水984.3部を仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)625.5部、メタクリル酸166.0部、実施例1で合成したポリエチレンイミンEO付加物マクロマー208.5部、水250.0部及び連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸15.7部を混合したモノマー水溶液並びに10.4%過硫酸アンモニウム水溶液200.0部を2時間で滴下した。滴下終了後、更に10.4%過硫酸アンモニウム水溶液50.0部を0.5時間で滴下した。その後、2時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させ、重量平均分子量17400のポリカルボン酸系共重合体水溶液を得た。
【0175】
実施例4
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に水117.2部を仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)69.5部、メタクリル酸25.2部、実施例1で合成したポリエチレンイミンEO付加物マクロマー25.3部、水30.0部及び連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸2.8部を混合したモノマー水溶液並びに 10.4%過硫酸アンモニウム水溶液24.0部を2時間で滴下した。滴下終了後、更に10.4%過硫酸アンモニウム水溶液6.0部を0.5時間で滴下した。その後、2時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させ、重量平均分子量14000のポリカルボン酸系共重合体水溶液を得た。
【0176】
実施例5
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に水1458.2部を仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数23)581.7部、アクリル酸149.5部、水203.0部及び連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸20.2部を混合したモノマー水溶液、実施例1で合成したポリエチレンイミンEO付加物マクロマー198.8部及び水198.8部を混合した水溶液、並びに、15%過硫酸ナトリウム水溶液248.0部を2時間で滴下した。滴下終了後、更に15%過硫酸ナトリウム水溶液62.0部を0.5時間で滴下した。その後、2時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させ、重量平均分子量11300のポリカルボン酸系共重合体水溶液を得た。
【0177】
実施例6
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に水1455.3部を仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数23)539部、アクリル酸189.2部、水202.9部及び連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸20.8gを混合したモノマー水溶液、実施例1で合成したポリエチレンイミンEO付加物マクロマー201.9部及び水201.9部を混合した水溶液、並びに、15%過硫酸ナトリウム水溶液248部を2時間で滴下した。滴下終了後、更に15%過硫酸ナトリウム水溶液62部を0.5時間で滴下した。その後、2時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させ、重量平均分子量11000のポリカルボン酸系共重合体水溶液を得た。
【0178】
実施例7
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に水117.2部を仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)69.5部、メタクリル酸25.2部、実施例2で合成したポリエチレンイミンEO付加物マクロマー25.3部、水30部及び連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸2.8部を混合したモノマー水溶液並びに10.4%過硫酸アンモニウム水溶液24.0部を2時間で滴下した。滴下終了後、更に10.4%過硫酸アンモニウム水溶液6.0部を0.5時間で滴下した。その後、2時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させ、重量平均分子量12000のポリカルボン酸系共重合体水溶液を得た。
【0179】
実施例8
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応容器に水984.3gを仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)603.9g、メタクリル酸187.6g、実施例1で合成したポリエチレンイミンEO付加物マクロマー208.5g、水250g及び3−メルカプトプロピオン酸18gを混合したモノマー水溶液並びに10.4%過硫酸アンモニウム水溶液200gを2時間で滴下した。滴下終了後、更に10.4%過硫酸アンモニウム水溶液50gを30分かけて滴下した。その後、2時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させ、重量平均分子量12300のポリカルボン酸系共重合体水溶液を得た。
【0180】
実施例9
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、イオン交換水187.3g仕込み、窒素雰囲気下、反応系内を65℃に昇温した後、過酸化水素水の30%水溶液3.1gを添加した。そこへ、IPN−25の80%水溶液532.0g、L−アスコルビン酸1.2g、1−オクタンチオール2.0gの混合液並びにアクリル酸71.6g、イオン交換水36.8gの混合液を3時間で滴下した。滴下終了後、引き続き65℃で1.5時間熟成して重合反応を完結させた。そして、この反応液を30%の水酸化ナトリウム水溶液でpH=7に調整して、重量平均分子量36300のポリカルボン酸系共重合体の水溶液を得た。
【0181】
比較例1
温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応容器に水99.7gを仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)79g、メタクリル酸21g、水24.7g及び3−メルカプトプロピオン酸0.66gからなるモノマー水溶液を4時間、過硫酸アンモニウム1.2g及び水23.8gからなる開始剤水溶液を5時間かけて反応容器に滴下した。開始剤水溶液滴下終了後、1時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させた。反応終了後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して、重量平均分子量24000の共重合体を得た。
【0182】
モルタル調製方法
太平洋普通ポルトランドセメント(商品名、太平洋セメント社製)800g、豊浦硅砂400gをモルタルミキサー(商品名:N−50、テスコ社製)により低速回転で30秒間空練りした。次いで、実施例で製造したポリカルボン酸系共重合体又は比較例で製造した共重合体を配合した水180gを空練りしたセメントと砂との混合物に投入して、高速回転で5分間混練してモルタルを調製した。実施例のポリカルボン酸系共重合体及び比較例の共重合体は、セメント重量に対する固形分重量%が表4に示した値となるように配合した。なお、それぞれのモルタルの調製において、モルタルミキサーによる空練り及び混練条件は均一になるようにした。
【0183】
評価方法
(1)モルタル均一時間
モルタルミキサーによりポリカルボン酸系共重合体や共重合体を配合した水180gを空練りしたセメントと砂の混合物に投入して高速回転で5分間混練する際にモルタルが均一状態となった時間(秒)を、目視により測定してモルタル均一時間とした。結果を表4に示した。
【0184】
(2)フロー値
調製したモルタルを注水後6分後に、ステンレス板上に置いた直径55mm、高さ50mmの中空円筒の容器に詰めた。次いで、この中空円筒の容器を垂直に持ち上げた後、ステンレス板上に広がったモルタルの直径を縦横2方向について測定し、この平均値をフロー値(mm)とした。フロー値は大きいほど流動性が高いことを示している。結果を表4に示した。
【0185】
(3)貫入時間
調製したモルタルをJIS R 5201に規定されているセメントペースト容器に詰め、15分間、75分間静置した後、JIS R 5201に規定されている標準棒を装備したビカー針装置の標準棒の先端をセメントペースト容器に詰めたモルタルに接触させた状態から標準棒を落下させた。標準棒がセメントペースト容器の底に到達するまでの時間を貫入時間(秒)とした。貫入時間が大きいほどモルタルの粘性が高いことを示している。結果を表4に示した。
【0186】
【表4】

【0187】
ポリエチレンイミンEO付加物マクロマーを含まない比較例1の共重合体とポリエチレンイミンEO付加物マクロマーを含む実施例のポリカルボン酸系共重合体の15分後、75分後のモルタル貫入時間を比較すると、比較例1の共重合体では75分後の貫入時間が1.65秒であるのに対して、実施例のポリカルボン酸系共重合体では0.59〜1.30秒と非常に貫入時間が短くなっており、比較例1の共重合体を用いて調製したモルタルよりもモルタルの粘性が低いことが分かる。ポリエチレンイミンEO付加物マクロマーを含むポリカルボン酸系共重合体にモルタルの粘性を低下させる効果があることがわかる。
【0188】
実施例10
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管・空気導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置にソルビトールエチレンオキシド付加物(ソルビトールの水酸基にエチレンオキシドを平均付加モル数10で付加した化合物)300部、水酸化ナトリウム0.08部を仕込み、空気雰囲気下で90℃に昇温した。反応系内を90℃に保ち、グリシジルメタクリレート22.9を1時間で添加した。添加終了後、90℃で2時間攪拌を続け、ソルビトール/エチレンオキシド付加物単量体(ソルビトールEO付加物マクロマー)を得た。
【0189】
実施例11
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に水82.5部を仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)72.3部、メタクリル酸22.5部、実施例10で合成したソルビトールEO付加物マクロマー25.2部、水64.6部及び連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸2.88部を混合したモノマー水溶液並びに4.6%過硫酸アンモニウム水溶液22.5部を3時間で滴下した。滴下終了後、更に4.6%過硫酸アンモニウム水溶液7.5部を1時間で滴下した。その後、1時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させ、重量平均分子量16300のポリカルボン酸系共重合体水溶液を得た。
【0190】
実施例12
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管・空気導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置にトリエチレンテトラミンエチレンオキシド付加物(トリエチレンテトラミンのーNHにエチレンオキシドを平均付加モル数10で付加した化合物)400部を仕込み、空気雰囲気下で90℃に昇温した。反応系内を90℃に保ち、グリシジルメタクリレート30.6部を1時間で添加した。添加終了後、90℃で2時間攪拌を続け、トリエチレンテトラミン/エチレンオキシド付加物単量体(トリエチレンテトラミンEO付加物マクロマー)を得た。
【0191】
実施例13
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に水83.6部を仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)72.3部、メタクリル酸22.5部、実施例12で合成したトリエチレンテトラミンEO付加物マクロマー25.2部、水64.6部及び連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸1.78部を混合したモノマー水溶液並びに4.6%過硫酸アンモニウム水溶液22.5部を3時間で滴下した。滴下終了後、更に4.6%過硫酸アンモニウム水溶液7.5部を1時間で滴下した。その後、1時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させ、重量平均分子量17000のポリカルボン酸系共重合体水溶液を得た。
【0192】
実施例14
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管・空気導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置にポリ(n=10)グリセリンエチレンオキシド付加物(ポリグリセリンの水酸基にエチレンオキシドを平均付加モル数4で付加した化合物)300部、水酸化ナトリウム0.08部を仕込み、空気雰囲気下で90℃に昇温した。反応系内を90℃に保ち、グリシジルメタクリレート30.2部を1時間で添加した。添加終了後、90℃で2時間攪拌を続け、ポリグリセリン/エチレンオキシド付加物単量体(ポリグリセリンEO付加物マクロマー)を得た。
【0193】
実施例15
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に水82.5部を仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)72.3部、メタクリル酸22.5部、実施例14で合成したポリグリセリンEO付加物マクロマー25.2部、水64.6部及び連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸2.88部を混合したモノマー水溶液並びに4.6%過硫酸アンモニウム水溶液22.5部を3時間で滴下した。滴下終了後、更に4.6%過硫酸アンモニウム水溶液7.5部を1時間で滴下した。その後、1時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させ、重量平均分子量18900のポリカルボン酸系共重合体水溶液を得た。
【0194】
実施例16
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に水83.6部を仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数100)72.3部、メタクリル酸22.5部、実施例12で合成したトリエチレンテトラミンEO付加物マクロマー25.2部、水64.6部及び連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸1.78部を混合したモノマー水溶液並びに4.6%過硫酸アンモニウム水溶液22.5部を3時間で滴下した。滴下終了後、更に4.6%過硫酸アンモニウム水溶液7.5部を1時間で滴下した。その後、1時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させ、重量平均分子量47000のポリカルボン酸系共重合体水溶液を得た。
【0195】
実施例17
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管・空気導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置にトリエチレンテトラミンエチレンオキシド付加物(トリエチレンテトラミンの−NHにエチレンオキシドを平均付加モル数10で付加した化合物)400部を仕込み、空気雰囲気下で90℃に昇温した。反応系内を90℃に保ち、アリルグリシジルエーテル24.6部を1時間で添加した。添加終了後、90℃で2時間攪拌を続け、トリエチレンテトラミン/エチレンオキシド付加物単量体(トリエチレンテトラミンEO付加物マクロマー(2))を得た。
【0196】
実施例18
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に水83.6部を仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数50)72.3部、アクリル酸22.5部、実施例17で合成したトリエチレンテトラミンEO付加物マクロマー(2)25.2部、水64.6部及び連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸1.78部を混合したモノマー水溶液並びに4.6%過硫酸アンモニウム水溶液22.5部を3時間で滴下した。滴下終了後、更に4.6%過硫酸アンモニウム水溶液7.5部を1時間で滴下した。その後、1時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させ、重量平均分子量19000のポリカルボン酸系共重合体水溶液を得た。
【0197】
実施例16、18の共重合体を用いて、モルタルを調製したところ、流動性のあるモルタルが得られた。
モルタル調製条件:太平洋普通ポルトランドセメント(商品名、太平洋セメント社製)800g、豊浦標準砂400gをモルタルミキサー(商品名:N−50、テスコ社製)により低速回転で30秒間空練りした。次いで、実施例26、28の共重合体1.6g(固形分換算)を配合した水180gを空練りしたセメントと砂との混合物に投入して、高速回転で5分間混練してモルタルを調製した。
【0198】
セメント動作係数測定
上記の<セメント動作係数の測定方法>に従い、標準添加量・粘度μ・セメント動作係数を求めた。
標準添加量の決定において、セメントに対する剤(共重合体)の添加量と、そのときのフロー値を表5に示し、これらの関係を図5に示した。また、標準添加量、フロー値、2分後の粘度及びセメント動作係数を表6に示した。
【0199】
【表5】

【0200】
表5において、剤(セメント添加剤)の添加量は、すべてセメントに対する固形分換算の添加量である。
【0201】
【表6】

【0202】
表6において、混合物Eの混練終了から2分後の粘度μ(e)は、5670mPa・sである。
【0203】
EO付加物マクロマーを含まない比較例1の共重合体と各種EO付加物マクロマーを含む実施例3、4、8、11、13、15の共重合体のセメント動作係数を比較すると、比較例1の共重合体では2.0以上であるのに対して、実施例3、4、8、11、13、15の共重合体では1.0以下と非常に低くなっている。また、実施例9の共重合体についてもセメント動作係数が0.3以下と非常に低くなっている。
【0204】
豊浦硅砂のスペックを以下に示す。
豊浦硅砂
標準網 フルイ 300ミクロン 残分 1%以下
標準網 フルイ 106ミクロン 残分 95%以上
単位容積重量 (kg/L) 1.50以上
粒度(標準フルイ残分:%)及び化学成分を、表7及び表8に示す。
【0205】
【表7】

【0206】
【表8】

【0207】
カルシウム移送値
上記<カルシウム移送値の測定方法>に従い、カルシウム標準添加量・カルシウム移送値を求めた。標準添加量の決定において、セメントに対する剤(共重合体)の添加量と、そのときのフロー値を表9に示し、これらの関係を図6に示した。また、標準添加量及びカルシウム移送値を表10に示した。
【0208】
【表9】

【0209】
表9において、剤(セメント添加剤)の添加量は、すべてセメントに対する固形分換算の添加量である。
【0210】
【表10】

【0211】
結果
ポリエチレンイミンEO付加物マクロマーを含まない比較例1の共重合体とポリエチレンイミンEO付加物マクロマーを含む実施例8の共重合体のカルシウム移送値を比較すると、比較例1の共重合体では1780mPa・sであるのに対して、実施例8の共重合体では625mPa・sと非常に低くなっている。
【0212】
モルタルの粘性を示す「75分後のモルタル貫入時間」と、セメント添加剤の性能である「セメント動作係数」「カルシウム移送値」を比較した。
【0213】
【表11】

【0214】
EO付加物マクロマーを含まない比較例1の共重合体とEO付加物マクロマーを含む実施例8の共重合体のセメント動作係数とカルシウム移送値を比較すると、比較例1の共重合体ではセメント動作係数が2.0以上、カルシウム移送値が1780mPa・sであるのに対して、実施例8の共重合体ではセメント動作係数が1.0以下、カルシウム移送値が625mPa・sと非常に低くなっている。セメント動作係数・カルシウム移送値が低いほど、生コンクリートの取り扱いやすさの指針となる75分後のモルタル貫入時間が短くなっており、取り扱いやすい生コンクリートを得ることができる。また実施例9の共重合体のセメント動作係数は0.4以下と非常に低く、取り扱いやすい生コンクリートを得ることができる。
【0215】
実施例8のポリマーの分析
測定条件は特に示さない限り、本明細書中記載の条件に従った。
未精製のポリマーのGPCチャート及びピーク結果を図7に、精製したポリマー(精製品)のGPCチャート及びピーク結果を図8に示す。未精製のポリマーのH−NMRチャートを図9に、精製品のH−NMRチャートを図10に示す。未精製のポリマーのC−NMRチャートを図11に、精製品のC−NMRチャートを図12に示す。未精製のポリマーのIRチャートを図13に、精製品のIRチャートを図14に示す。未精製のポリマーのTCAVの測定に使用した電位差滴定曲線を図15に示す。精製品のNMR−PEGの測定に使用したH−NMRチャート図16に示す。図12の60〜80ppmの拡大図を図17に示す。
【0216】
<精製条件>
本明細書中記載のポリマーの精製条件2に従った。
<元素分析>
未精製:H8.5重量%、C50.8重量%、N1.1重量%
精製品:H8.6重量%、C52.3重量%、N1.2重量%
ポリエチレンイミンEO付加物マクロマー由来のチッソが検出されている。
【0217】
<熱分解GC−MASS>
精製品:メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜4)、1,4−ジオキサン、9−クラウン−3−エーテル、12−クラウン−4−エーテル、モルホリン、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、4−(2−アミノエチル)モルホリン等を検出。
精製品にモルホリン及びその誘導体が検出されているため、ポリアルキレンイミンにエチレンオキサイドが付加した官能基が存在しているが確認できることから、ポリエチレンイミンEO付加物マクロマーが共重合していることが確認できる。エトキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜4)が検出されていることより、ポリエチレングリコールモノメタクリレートが共重合していることが確認できる。
【0218】
<GPC>
未精製:Mw12300、Mn7900、Mp9300
精製品:Mw15600、Mn8900、Mp13900
精製品には残存モノマーのピークが減少していることが確認できる。
【0219】
<H−NMR>
図9及び図10から、ポリエチレンイミンEO付加物マクロマー由来の−N−CH−のピークが確認できる。
【0220】
<C−NMR>
図11及び図12から、ポリエチレンイミンEO付加物マクロマー由来の窒素原子のとなりの炭素原子に由来するピークが確認できる。アミド基由来のC=Oのピークは見られなかった。60.4、68.4ppmにピークを確認した。
【0221】
<IR>
IRの解析結果を表12に示す。アミド基由来のC=O伸縮振動は見られなかった。
【0222】
【表12】

【0223】
<TCAV>
共重合体の固形分:38.5重量%、採取量:1.1256g
第1変曲点から第2変曲点までに必要な水酸化ナトリウム量:13.161mL
初期pH2.60、第1変曲点pH3.50、第2変曲点pH9.94
fn:1.003、TCAV:65.8mgKOH/g
【0224】
<NMR−PEG量>
精製品の採取重量:0.0441g
トリオキサンの採取重量:0.0455g
NMRの積分比率 トリオキサン/3.3〜4.2ppmピーク:0.8781
重水:1.2413g
検量線物質:上記明細書中のポリマーA使用
ポリマーA中の−OCHCH−の重量比率:55.180重量%
作成した検量線 [Y]=0.851[X]−0.0031
[X]:NMRの積分比率
[Y]:重量比 トリオキサン/ポリマーA
(NMR−PEG量)=0.0455×0.5518/0.0441/(0.851×0.8781−0.0031)×100=76.5重量%
【0225】
実施例8の共重合体に下記共重合体A、B、C、Dを用いてモルタル試験を行った。
共重合体A:PGM25/メタクリル酸ナトリウム=80/20重量%、重量平均分子量20000
共重合体B:PGM100/メタクリル酸ナトリウム=90/10重量%、重量平均分子量50000
共重合体C:IPN50/マレイン酸ナトリウム=85/15重量%、重量平均分子量30000
共重合体D:IPN25/アクリル酸ナトリウム=90/10重量%、重量平均分子量25000
PGM25:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)
PGM100:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数100)
IPN50:ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数50)
IPN25:ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数25)
【0226】
モルタル試験
太平洋普通ポルトランドセメント(商品名、太平洋セメント社製)800g、豊浦標準砂400gをモルタルミキサー(商品名:N−50、テスコ社製)により低速回転で30秒間空練りした。次いで、実施例8の共重合体と上記の共重合体を表13に示した割合で配合した水240gを空練りしたセメントと砂との混合物に投入して、高速回転で5分間混練してモルタルを調製した。
直径55mm、高さ55mmの中空円筒にモルタルを詰めた。次に、円筒を垂直に持ち上げた後、テーブルに広がったモルタルの直径を2方向について測定し、この平均をフロー値とした。結果を表13に示す。
【0227】
【表13】

【0228】
表13において、使用量は、セメントに対する各共重合体の固形分の量である。
ポリカルボン酸系のポリマーと併用しても、充分なフロー値が得られることを確認した。
【0229】
実施例19
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、イオン交換水185.8g仕込み、窒素雰囲気下、反応系内を65℃に昇温した後、過酸化水素水の30%水溶液3.1gを添加した。そこへ、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを25モル付加してなるポリアルキレングリコールモノアルケニルエーテル単量体(以下、IPN−25と称す。)の80%水溶液530.0g、L−アスコルビン酸1.2g、1−オクタンチオール3.9gの混合液並びにアクリル酸71.3g、イオン交換水38.7gの混合液を3時間で滴下した。滴下終了後、引き続き65℃で1.5時間熟成して重合反応を完結させた。そして、この反応液を30%の水酸化ナトリウム水溶液でpH=7に調整して、重量平均分子量21,900のポリカルボン酸系共重合体の水溶液を得た。
【0230】
実施例20
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、IPN−25の80%水溶液271.4g、イオン交換水218.2g仕込み、窒素雰囲気下、反応系内を65℃に昇温した後、過酸化水素水の30%水溶液2.6gを添加した。そこへ、IPN−25の80%水溶液271.4g、L−アスコルビン酸1.0g、1−オクタンチオール2.6gの混合液並びに2−ヒドロキシエチルアクリレート56.9g、アクリル酸19.8g、イオン交換水13.3gの混合液を3時間で滴下した。滴下終了後、引き続き65℃で1.5時間熟成して重合反応を完結させた。そして、この反応液を30%の水酸化ナトリウム水溶液でpH=7に調整して、重量平均分子量23,600のポリカルボン酸系共重合体の水溶液を得た。
【0231】
比較例2
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、イオン交換水185.5g仕込み、窒素雰囲気下、反応系内を65℃に昇温した後、過酸化水素水の30%水溶液3.1gを添加した。そこへ、IPN−25の80%水溶液529.9g、L−アスコルビン酸1.2g、3−メルカプトプロピオン酸4.0gの混合液並びにアクリル酸71.3g、イオン交換水38.7gの混合液を3時間で滴下した。滴下終了後、引き続き65℃で1.5時間熟成して重合反応を完結させた。そして、この反応液を30%の水酸化ナトリウム水溶液でpH=7に調整して、重量平均分子量21,500のポリカルボン酸系共重合体の水溶液を得た。
【0232】
比較例3
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、IPN−25の80%水溶液271.8g、イオン交換水218.1g仕込み、窒素雰囲気下、反応系内を65℃に昇温した後、過酸化水素水の30%水溶液2.6gを添加した。そこへ、IPN−25の80%水溶液271.8g、L−アスコルビン酸1.0g、3−メルカプトプロピオン酸1.9gの混合液並びに2−ヒドロキシエチルアクリレート57.0g、アクリル酸19.8g、イオン交換水13.2gの混合液を3時間で滴下した。滴下終了後、引き続き65℃で1.5時間熟成して重合反応を完結させた。そして、この反応液を30%の水酸化ナトリウム水溶液でpH=7に調整して、重量平均分子量23,600のポリカルボン酸系共重合体の水溶液を得た。
【0233】
評価方法
(1)モルタル調整方法
太平洋普通ポルトランドセメント(商品名、太平洋セメント社製)1080g、セメント強さ試験用標準砂(JIS R 5201)1350gをモルタルミキサー(商品名:N−50、テスコ社製)に入れ、低速回転で10秒間空練りした。次いで、実施例9、19または比較例2で製造したポリカルボン酸系共重合体を配合した水324gを空練りしたセメントと砂との混合物に投入して、低速回転で5分間混練してモルタルを調製した。実施例のポリカルボン酸系共重合体及び比較例の共重合体は、セメント重量に対する固形分重量%(以下、添加量と称す)が表14に示した値となるように配合した。なお、それぞれのモルタルの調製において、モルタルミキサーによる空練り及び混練条件は均一になるようにした。
【0234】
(フロー測定方法)
調製したモルタルを空練り開始から6.5分後に、ステンレス板上に置いたミニスランプコーン(底面=直径100mm、上面=直径50mm、高さ=150mm)に詰めた。次いで、空練り開始から10分後にミニスランプコーンを垂直に持ち上げた後、ステンレス板上に広がったモルタルの直径を縦横2方向について測定し、この平均値をフロー値(mm)とした。
【0235】
(添加量の決定方法)
添加量を変えてフロー測定を行い、フロー値が190〜200mmになる添加量を決定した。結果を表14に示した。
【0236】
(ペーストの調整方法)
太平洋普通ポルトランドセメント(商品名、太平洋セメント社製)600gをモルタルミキサー(商品名:N−50、テスコ社製)に入れ、低速回転で10秒間空練りした。次いで、実施例9、19又は比較例2で製造したポリカルボン酸系共重合体を表14記載の決定添加量になるように配合した水180gを、空練りしたセメントに5秒間で投入して、低速回転で1分間混練した。次いで、回転を止めて、30秒間で壁面に付着したセメントをかき落とし、更に低速回転で混練し空練り開始後、5分後に混練を終了した。調整したペースト400ccを直径8cmの使い捨てビーカーに入れ、ヘリパス回転粘度計(BROOKFIELD DV−II/スピンドルA91/10回転)にて、粘度を測定した。このとき、ピンドルの位置が底から3.5cmの位置に調整した。また、測定場所は気温23℃でコントロールされた室内で測定を行い、ペースト内での粘度測定位置や温度による影響がないようにした。空練り開始後10分後にヘリパス回転粘度計での測定を開始し、経時的な粘度の変化を追跡した。3分後のペースト粘度とペーストの状態を表14に示した。
【0237】
【表14】

【0238】
親水性連鎖移動剤である3−メルカプトプロピオン酸で合成した比較例2の共重合体と、疎水性の連鎖移動剤である1−オクタンチオールで合成した実施例9及び19の共重合体を用いた、ペースト粘度を比較すると、比較例2では8,320(mPa・s)に対して、実施例9及び19は1,120〜2,880と非常に低くなっている。このことから、疎水性連鎖移動剤を用いて疎水基を導入した共重合体は、疎水基を導入していない比較例2に比べ、ペースト粘度はかなり低いことがわかる。また、ペーストの状態も比較例に比べ均一であり、水浮きも観られないことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0239】
【図1】GPCのピークについて、ピークに肩がない場合と、ピークに肩がある場合とを説明するための例である。
【図2】セメント動作係数やカルシウム移送値の測定において用いるスパチュラ(ステンレス製)の概念図である。
【図3】セメント動作係数やカルシウム移送値の測定において用いるテラオカ社製のニューデスカップ(300mL)の概念図である。
【図4】カルシウム移送値の測定において用いるホモミキサーのスクリュウ(4枚羽)の概念図である。
【図5】実施例において、セメント動作係数の測定方法に従い標準添加量を決定する際に用いた、普通ポルトランドセメントを使用した場合の、セメントに対する剤(共重合体)の添加量と、フロー値との関係を示すグラフである。
【図6】実施例において、カルシウム移送値の測定方法に従いカルシウム標準添加量を決定する際に用いた、セメントに対する剤(共重合体)の添加量と、フロー値との関係を示すグラフである。
【図7】実施例8で製造したポリカルボン酸系共重合体を精製せずに、GPCを測定した結果(未精製品のGPCチャートとピーク結果)である。
【図8】実施例8で製造したポリカルボン酸系共重合体を精製し、GPCを測定した結果(精製品のGPCチャートとピーク結果)である。
【図9】実施例8で製造したポリカルボン酸系共重合体を精製せずに、H−NMRを測定した結果(未精製品のH−NMRチャート)である。
【図10】実施例8で製造したポリカルボン酸系共重合体を精製し、H−NMRを測定した結果(精製品のH−NMRチャート)である。
【図11】実施例8で製造したポリカルボン酸系共重合体を精製せずに、C−NMRを測定した結果(未精製品のC−NMRチャート)である。
【図12】実施例8で製造したポリカルボン酸系共重合体を精製し、C−NMRを測定した結果(精製品のC−NMRチャート)である。
【図13】実施例8で製造したポリカルボン酸系共重合体を精製せずに、IRを測定した結果(未精製品のIRチャート)である。
【図14】実施例8で製造したポリカルボン酸系共重合体を精製し、IRを測定した結果(精製品のIRチャート)である。
【図15】実施例8で製造したポリカルボン酸系共重合体を精製せずに、TCAV測定条件に従って電位差滴定を行った際の滴定曲線(未精製品の電位差滴定曲線)である。
【図16】実施例8で製造したポリカルボン酸系共重合体を精製し、NMR−PEG量の測定方法に従ってH−NMRを測定した際の、精製品のH−NMRのチャートである。
【図17】図12の60〜80ppmの拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価アルコール残基にオキシアルキレン基が結合した構造を有するポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2)及び不飽和モノカルボン酸系単量体(B′)を含む単量体成分を共重合してなる
ことを特徴とするポリカルボン酸系共重合体。
【請求項2】
多価アルコール残基にオキシアルキレン基が結合した構造を有し、末端が水酸基であるポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A2′)及び不飽和カルボン酸系単量体(B)を含む単量体成分を共重合してなる
ことを特徴とするポリカルボン酸系共重合体。
【請求項3】
更に、前記単量体成分は、前記オキシアルキレン基を有する単量体以外のポリアルキレングリコール系不飽和単量体(A3)を含む
ことを特徴とする請求項1又は2記載のポリカルボン酸系共重合体。
【請求項4】
オキシアルキレン基を有する単量体(A)と、不飽和カルボン酸系単量体(B)とを含む単量体成分を疎水性連鎖移動剤を用いて共重合してなる
ことを特徴とするポリカルボン酸系共重合体の製造方法。
【請求項5】
前記疎水性連鎖移動剤は、炭素数3以上の炭化水素基を有するチオール系連鎖移動剤を含む
ことを特徴とする請求項4記載のポリカルボン酸系共重合体の製造方法。
【請求項6】
請求項4又は5記載のポリカルボン酸系共重合体の製造方法で得られる
ことを特徴とするポリカルボン酸系共重合体。
【請求項7】
請求項1、2、3又は6記載のポリカルボン酸系共重合体を含んでなる
ことを特徴とするセメント添加剤。
【請求項8】
カルシウム移送値が10〜900mPa・s及び/又はセメント動作係数が0.05〜1.0である
ことを特徴とする請求項7記載のセメント添加剤。
【請求項9】
少なくとも水、セメント、セメント添加剤を含んでなるセメント組成物であって、
該セメント添加剤は、請求項7又は8記載のセメント添加剤を用いる
ことを特徴とするセメント組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−277575(P2007−277575A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151255(P2007−151255)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【分割の表示】特願2001−395248(P2001−395248)の分割
【原出願日】平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】