説明

ポリカーボネートおよびジアリールカーボネートの製造方法

【課題】ポリカーボネートまたはジアリールカーボネートの連続相界面製造法における、廃水中のジフェノールまたはモノフェノール類の減少し相連続界面製造法を提供。
【解決手段】有機相と水相との混合および、上流のオリゴマー化工程またはアリールクロロホルメートおよび/もしくはジアリールカーボネート製造工程、の両方を特別のポンプにおいて行う、相界面法によるポリカーボネートまたはジアリールカーボネートの連続製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2008年2月13日提出のドイツ国特許出願第102008008841.2号および2008年8月16日提出のドイツ国特許出願第102008038031.8号の利益を主張する。これらを、全ての有用な目的に関して参照することによって全体を本明細書中に組み込む。
【0002】
本発明は、有機相と水相との混合と、上流のオリゴマー化工程またはモノアリール化合物のクロロホルメートの生成との両方を特別のポンプにおいて行う、相界面法(phase boundary process)によるポリカーボネートおよびジアリールカーボネートの連続製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
相界面法によるポリカーボネートの製造は、既にSchnell,“Chemistry and Physics of Polycarbonates”,Polymer Reviews,第9巻,Interscience Publishers,ニューヨーク,ロンドン,シドニー 1964年,33〜70頁;D.C.Prevorsek,B.T.Debona and Y.Kesten,Corporate Research Center,Allied Chemical Corporation,モリスタウン,ニュージャージー07960:“Synthesis of Poly(ester Carbonate)Copolymers”in Journal of Polymer Science,Polymer Chemistry Edition,第18巻,(1980年)”;75〜90頁,D.Freitag,U.Grigo,P.R.Mueller,N.Nouvertne’,BAYER AG,“Polycarbonates”in Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,第11巻,第2版,1988年,651〜692頁,および最後にDres.U.Grigo,K.Kircher and P.R−Mueller,“Polycarbonate[Polycarbonates]”in Becker/Braun,Kunststoff−Handbuch[Plastics Handbook],第3/1巻,Polycarbonate,Polyacetale,Polyester,Celluloseester[Polycarbonates,Polyacetals,Polyesters,Cellulose Esters],Carl Hanser Verlag ミュンヘン,ウィーン 1992年,118〜145頁によって記述されている。
【0004】
更に、ポリカーボネートの製造に関する相界面法は、EP−A 0517044またはEP−A 520272にも記述されている。
【化1】

【0005】
相界面法によるポリカーボネートの製造に関して、最初に水性アルカリ溶液またはサスペンションに導入されるビスフェノールまたは異種ビスフェノール混合物の二ナトリウム塩のホスゲン化を、水相に加えて第二の有機相を形成する不活性有機溶媒または溶媒混合の存在下において行う。生じる主に有機相中に存在するオリゴカーボネートを好適な触媒を用いて縮合して有機相中に溶解された高分子量ポリカーボネートを生じる。好適な連鎖停止剤(一官能性フェノール)によって分子量を制御することが可能である。最後に、有機相を分離し、そこから種々のワークアップ工程(working−up steps)によってポリカーボネートを単離する。
【0006】
ポリカーボネート合成およびジアリールカーボネート合成は、連続的に行われてもバッチで行われてもよい。従って、反応は、撹拌タンク、チューブ状リアクター、ポンプ循環リアクターまたは撹拌タンクカスケードまたはそれらの組み合わせにおいて行われうる。合成混合物が完全に反応したら(すなわちホスゲンまたはクロロ炭酸エステルからの加水分解可能な塩素を含まなくなると)、水相と有機相とをできるだけ分離することが上記混合メンバーの使用によってなされる。
【0007】
オリゴカーボネートの合成に関する第一工程は、先行技術に従って、例えばポンプを使用する循環リアクターにおいて、行われる(例えばEP 1249463 A1、US 2004/0158026 A1、US 6,613,868 B2参照。)。ポンプを使用する循環リアクターにおいて、導入されるホスゲンと同様に導入されるビスフェノール(または異種ビスフェノール間混合物)の二ナトリウム塩との混合および第一オリゴマー化工程が行われる。生じるクロロホルメート基は、存在する末端フェノレート基と反応して種々の末端基を含む成長オリゴマーを生じる(フェノレートまたはクロロホルメートまたはこれらの二種からの混合種)。所定の割合の導入されたビスフェノールが依然として混合物中に未反応の形態で存在する。ポンプを使用する循環リアクターが計量添加において有利であり、濃度変化が最終生成物まで衰えずに連続せず、むしろ変化の平衡が反応混合物の供給または放出に関する所定の循環比における逆混合によって達成されることは事実である。しかしながら、工業規模で有利なパラメータセッティングに関して比較的な広い分子量分布が生じるという大きな欠点がある。更なる欠点は、ポンプを使用する循環リアクターが比較的かさばるアッセンブリであるということである。
【0008】
ジアリールカーボネート(例えば、ジフェニルカーボネート)の製造は、通常、連続法によって、ホスゲンの製造および続くアルカリおよび窒素触媒の存在下における界面における不活性溶媒中のモノフェノールとホスゲンとの反応によって、行われる。
【化2】

【0009】
ジアリールカーボネートの製造、例えば相界面法による、は、原理的には文献に記述されている(例えば、Chemistry and Physics of Polycarbonates,Polymer Reviews,H.Schnell,第9巻,John Wiley and Sons,Inc.(1964年),50/51頁参照。)。
【0010】
公開出願US−A−4016190は、温度65℃以上において行われるジアリールカーボネートの製造方法を記述している。この方法において、pHは、最初、低く(pH=8〜9)セットされ、次に高く(pH=10〜11)される。
【0011】
混合および狭い温度とpHプロファイルとの保持並びに生成物の単離の改良によるプロセスの最適化が、EP1219589 A1、EP1216981 A2、EP1216982 A2およびEP784048 A1に記述されている。
【0012】
相界面法によるジアリールカーボネートの製造に関して、最初に導入されるモノフェノールまたは異種モノフェノール混合物のナトリウム塩の、アルカリ水溶液またはサスペンションにおけるホスゲン化は、水相に加えて第二の有機相を形成する不活性有機溶媒または溶媒混合物の存在下において行われる。主に有機相中に存在する生じるアリールクロロホルメートを、好適な触媒を用いて有機相中に溶解されたジアリールカーボネートに転化する。最後に有機相を分離し、そこから種々のワークアップ工程によってジアリールカーボネートを単離する。
【0013】
先行技術によると、アリールクロロホルメートおよび/またはジアリールカーボネートの合成に関する第一工程は、例えば、ポンプを使用する循環リアクターにおいてによって行われる(例えばEP 1249463 A1、US 2004/0158026 A1、US 6,613,868 B2参照。)。ポンプを使用する循環リアクターにおいて、アリールクロロホルメートおよび/またはジアリールカーボネートを生じる、導入されるホスゲンと同様に導入されるモノフェノール(または異種モノフェノール混合物)のナトリウム塩との混合が行われる。所定の割合の導入されるモノフェノールが未反応の形態でこの混合物中に存在する。ポンプを使用する循環リアクターが計量添加において有利であるかまたは濃度変化が最終生成物まで衰えずに通過せずむしろ変化の平衡が反応混合物の供給または放出への所定のポンプを使用する循環比で逆混合によって達成されることは事実である。しかしながら、工業的に有利なパラメータセッティングに関して大きな欠点があり、生成組成物におけるアリールクロロホルメートの不完全反応率が多い。更なる欠点は、ポンプを使用する循環リアクターが比較的かさばるアッセンブリであることである。
【0014】
しかしながら、これらの既知の方法において、これらの方法の排水中の高い残留フェノール値が相当な欠点を示す。フェノールは、環境を汚染し、廃水処理プラントに大きな廃水問題を生じ、かつ、複雑な精製操作を必要とする。
【0015】
従って、WO 30/070639 A1は、塩化メチレンを用いる抽出による排水中の有機不純物の除去を記述している。
【0016】
通常、塩化ナトリウム含有溶液は、溶媒および有機残留物が除かれ、次に廃棄される。
【0017】
しかしながら、EP 1200359 B1(WO2000078682 A1)またはUS−A−6340736によると、塩化ナトリウム含有廃水の精製がオゾン分解によって行われ、従って塩化ナトリウム電気分解における使用に好適になることも知られている。オゾン分解の欠点は、この方法が非常に高価であることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、ポリカーボネートまたはジアリールカーボネートの製造に関する連続相界面法であって、これによって、この方法によって生じる廃水のジフェノールまたはモノフェノールでの汚染が更に減少しうる連続相界面法への要求があった。更に、例えば濃度変化が最終生成物まで衰えないままにすることが可能でない方法(栓流(plug flow)挙動なし)で、分子量分布が狭いポリカーボネートが得られることが望ましい。ジアリールカーボネートの製造においても同様に、この方法は最終生成物まで実質的に衰えないアリールクロロホルメートの濃度変化を妨げる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
意外なことに、有機相と水相との混合および上流のオリゴマー化工程または上流のクロロ蟻酸生成の両方が特別のポンプにおいてポリカーボネートまたはジアリールカーボネートの製造に関する相界面法によって行われると、廃水のジフェノールまたはモノフェノール汚染の大きな減少が達成されることがわかった。有利に、この方法においても、濃度変化が最終生成物まで衰えずに継続しないので、本発明による方法は先行技術による既知の方法の利点を保持する(このことは欠点を減らす。)。廃水のジフェノールおよび/またはモノフェノール汚染の増加は、対策として、ジフェノールまたはモノフェノールの転化を完全にするためにホスゲンおよび水酸化ナトリウム添加の増加を要求することが知られている。本発明による方法における大きく減少する廃水のジフェノールおよび/またはモノフェノール汚染のため、そのようなホスゲンのおよび水酸化ナトリウム添加の増加を回避することもまた可能である。このことは、とりわけ、経済的観点から有利である。更に、ポリカーボネートおよびジアリールカーボネートの製造におけるより効率的な反応のためにアリールクロロホルメートの量が減少し、これはアミン触媒を少量しか必要とせず、従ってウレタン副生成物の減少をもたらす。
【0020】
本発明の態様
本発明の態様は、ジフェノールまたはモノフェノール、ホスゲンおよび触媒から、要すれば少なくとも一種類の連鎖停止剤および/または分枝剤の存在下において、ポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはジアリールカーボネートを相界面法によって連続的に製造する方法であって、
(a) 前記ポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはジアリールカーボネートに好適な溶媒およびホスゲンを含有する有機相と、前記ジフェノールまたはモノフェノール、水、およびアルカリ溶液を含有する水相と、を連続的に混合する工程;
(b) 前記ジフェノールまたはモノフェノールと前記ホスゲンとを触媒の存在下において反応させてポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはアリールクロロホルメートもしくはジアリールカーボネートまたはアリールクロロホルメートとジアリールカーボネートとの混合物を生じる工程;並びに
(c) 前記ポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはアリールクロロホルメートもしくはジアリールカーボネートまたはアリールクロロホルメートとジアリールカーボネートとの混合物をリアクターにおいて追加のアルカリ溶液および要すれば連鎖停止剤および要すれば更なる触媒と反応させる工程;
を包含し、前記工程(a)における連続混合および前記工程(b)における反応がポンプにおいて行われ、前記ポンプが
−ステーター−ローター原理によって作動し;
−温度調節可能であり;かつ
−前記有機相用の入口および前記水相用の入口を備え、要すれば触媒、連鎖停止剤、分枝剤、および/または追加のアルカリ溶液用の入口およびポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはアリールクロロホルメートもしくはジアリールカーボネートまたはアリールクロロホルメートとジアリールカーボネートとの混合物用の少なくとも一つの出口を備える;
ポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはジアリールカーボネートを連続的に製造する方法である。
【0021】
本発明の別の態様は、更なる触媒を工程(c)において使用する、上記方法である。
【0022】
本発明の別の態様は、前記ポンプが追加のアルカリ溶液用の入口および前記ポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはアリールクロロホルメートもしくはジアリールカーボネートまたはアリールクロロホルメートとジアリールカーボネートとの混合物用の少なくとも一つの出口を備える、上記方法である。
【0023】
本発明の別の態様は、前記ポンプが一以上のローターを有する、上記方法である。
【0024】
本発明の別の態様は、前記ポンプが温度5℃〜100℃に温度調節可能である、上記方法である。
【0025】
本発明の別の態様は、前記ポンプが温度15℃〜80℃に温度調節可能である、上記方法である。
【0026】
本発明の別の態様は、前記ポンプが温度25℃〜65℃に温度調節可能である、上記方法である。
【0027】
本発明の別の態様は、前記ジフェノールが式
HO−Z−OH
(式中、Zは炭素原子を6〜30個有する二価の有機基であり、かつ一以上の芳香族基を含む。)
のジフェノールである、上記方法である。
【0028】
本発明の別の態様は、前記ジフェノールが、ヒドロキノン、レソルシノール、ジヒドロキシビフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α,α’−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、ビス(ヒドロキシフェニル)フタルイミジンまたはこれらのアルキル化、核アルキル化もしくは核ハロゲン化化合物である、上記方法である。
【0029】
本発明の別の態様は、前記ジフェノールが、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA(BPA))、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,3−ビス[2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、2−ヒドロキシカルビル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−フタルイミジン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−インドール−2−オン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−インドール−2−オン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−N−メチルフタルイミジン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−N−フェニルフタルイミジンまたは1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)である、上記方法である。
【0030】
本発明の別の態様は、前記モノフェノールが式(I):
【化3】

(式中、Rは水素、ハロゲン、または分枝もしくは直鎖C〜C−アルキル基もしくはアルコキシカルボニル基である。)
のモノフェノールである、上記方法である。
【0031】
本発明の別の態様は、上記モノフェノールが、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−n−オクチルフェノール、p−イソオクチルフェノール、p−n−ノニルフェノール、p−イソノニルフェノール、p−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、p−ブロモフェノール、2,4,6−トリブロモフェノール、メチルサリチレート、またはそれらの混合物である、上記方法である。
【0032】
本発明の別の態様は、前記工程(a)および/または(b)におけるポンプが遠心ポンプである、上記方法である。
【0033】
本発明の別の態様は、前記遠心ポンプが周辺ホイールポンプ(peripheral wheel pump)である、上記方法である。
【0034】
本発明の別の態様は、前記ポンプがワンチャンバー(one−chamber)またはマルチチャンバー(multichamber)原理に従ってデザインされる、上記方法である。
【0035】
本発明の更に別の態様は、ポリカーボネートまたはジアリールカーボネートを相界面法によって連続的に製造するポンプであって、
−ステーター−ローター原理に従って作動し;
−温度調節可能であり;かつ
−有機相用の少なくとも一つの入口および水相用の少なくとも一つの入口を備える;
ポンプである。
【0036】
本発明の別の態様は、前記ポンプが更に連鎖停止剤、分枝剤、および/またはアルカリ溶液、および触媒用の入口、並びにポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはアリールクロロホルメートもしくはジアリールカーボネートまたはアリールクロロホルメートとジアリールカーボネートとの混合物用の少なくとも一つの出口を備える、上記ポンプである。
【0037】
本発明の別の態様は、前記ポンプが、(1)前記ポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはジアリールカーボネートに好適な溶媒およびホスゲンを含有する前記有機相と、ジフェノールまたはモノフェノール、水、およびアルカリ溶液を含有する前記水相と、の混合、並びに(2)ポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはアリールクロロホルメートもしくはジアリールカーボネートまたはアリールクロロホルメートとジアリールカーボネートとの混合物を生じる前記ジフェノールまたは前記モノフェノールとホスゲンとの反応を継続的に行う、上記ポンプである。
【0038】
本発明の別の態様は、前記ポンプが遠心ポンプである、上記ポンプである。
【0039】
本発明の別の態様は、前記遠心ポンプが周辺ホイールポンプである、上記ポンプである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、回転内部装置を有する周辺ホイールポンプの原理の概略図である。
【図2】図2は、周辺ホイールポンプを使用する相界面法によるポリカーボネートまたはジアリールカーボネートの製造設備の概略図である。
【図2a】図2aは、周辺ホイールポンプと下流のポンプ循環リアクターとを使用する相界面法によるポリカーボネートまたはジアリールカーボネートの製造設備の概略図である。
【図3】図3は、ポリカーボネートの製造に使用される所定の状態の当該技術のガラスポンプ循環リアクターUR 2を使用する実験設備である(比較例)。
【図4】図4は、比較例において使用されるガラスポンプ循環リアクターUR 2の設備の概略図である。
【図5】図5は、本発明による周辺ホイールポンプを使用する実験設備である。
【0041】
発明の説明
本発明は、従って、少なくとも一種類のジフェノールまたはモノフェノール、ホスゲンおよび少なくとも一種類の触媒からの、要すれば少なくとも一種類の連鎖停止剤および/または分枝剤の存在下における相界面法によるポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはジアリールカーボネートの連続製造方法であって、
(a) ポリカーボネートまたはジアリールカーボネートに好適な少なくとも一種類の溶媒および全ホスゲンまたはホスゲンの一部を含む有機相と、ジフェノールまたはモノフェノール、水およびアルカリ溶液を含む水相と、の混合物を連続的に製造すること、
(b) ジフェノールまたはモノフェノールとホスゲンとの反応を行ってオリゴカーボネートを生じるかまたはアリールクロロホルメートもしくはジアリールカーボネートまたはアリールクロロホルメートとジアリールカーボネートとの混合物を生じること、
(c) 次にオリゴカーボネートまたはアリールクロロホルメートおよび/またはジアリールカーボネートを、更なるアルカリ溶液、要すれば連鎖停止剤および要すれば少なくとも一種類の更なる触媒を追加して、少なくとも一つのリアクターにおいて反応させること、
を特徴とし、(a)のもとにおける有機相と水相との連続混合並びに(b)のもとにおけるオリゴカーボネートまたはアリールクロロホルメートおよび/またはジアリールカーボネートを生じる反応を
−ステーター−ローター原理に従って作動し
−温度調節可能であり、かつ
−いずれも有機相と水相用の少なくとも一つの入口および要すれば触媒、連鎖停止剤、分枝剤および/または追加のアルカリ溶液用の更なる入口、およびオリゴカーボネート含有またはアリールクロロホルメート/ジアリールカーボネート混合物用の少なくとも一つの出口を有する
一以上のポンプにおいて行うことを特徴とするポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはジアリールカーボネートの製造方法に関する。
【0042】
本発明によるポリカーボネートまたはジアリールカーボネートの製造方法において、この方法において生じるアルカリ塩化物含有溶液の少なくとも一部は、下流のアルカリ塩化物電気分解にリサイクルされる。
【0043】
本発明によって使用されるポンプは、好ましくは、ワンチャンバーまたはマルチチャンバー原理に従ってデザインされる。
【0044】
有機相は、水相との混合前に既に要求されるホスゲンの一部または全てを含む。好ましくは、有機相は混合前に既に必要とされるホスゲンの総量(使用される過剰ホスゲンを含む。)を含む。
【0045】
ポリカーボネートの製造におけるホスゲンの有機相への導入は、ガス状または液体の形態において行われうる。使用される過剰のホスゲンは、使用されるジフェノールの合計に対して、好ましくは3〜100mol%、特に好ましくは5〜50mol%である。
【0046】
ジアリールカーボネートの製造におけるホスゲンの有機相への導入は、ガス状または液体の形態で行われうる。使用される過剰のホスゲンは、使用されるモノフェノールの合計に対して、好ましくは1〜100mol%、特に好ましくは2〜50mol%である。
【0047】
水相のpHは、要すれば更なるアルカリ溶液をホスゲンの計量添加中および計量添加後に一回または数回計量添加して、アルカリの範囲、好ましくは8.5〜12に保持されるべきであるが、触媒の添加後は10〜14にされるべきである。
【0048】
ホスゲンの計量添加は、水相との混合前に、完全にまたは部分的に直接有機相に行われる。ホスゲンのいずれの部分も、水相との混合前に水相に計量添加しても、水相との混合後に生じるエマルジョンに計量添加してもよい。更に、ホスゲンを両方の相の合成混合物のリサイクル部分ストリームに完全にもしくは部分的に計量添加し、この部分ストリームを、好ましくは触媒の添加前にリサイクルする。特に好ましくは、完全ホスゲン計量添加は、水相との混合前に、有機相に直接行われる。全てのこれらの態様において、上記pH範囲は、適切である場合、更なる水酸化ナトリウム溶液またはアルカリ溶液を一回または数回計量添加ことによってまたは相応じて更なるジフェニル(ジフェニレート)溶液またはモノフェノール(モノフェノレート)溶液を計量添加することによって維持されなければならない。同様に、温度範囲を、適切である場合、冷却または希釈によって、維持しなければならない。
【0049】
アルカリ媒体におけるジヒドロキシジアリールアルカン(ジフェノール)とホスゲンとからのポリカーボネートの合成やアルカリ媒体におけるモノフェノールとホスゲンとからのジアリールカーボネートの合成は、発熱反応であり、温度範囲−5℃〜100℃、好ましくは15℃〜80℃、より特に好ましくは25〜65℃において行われる。
【0050】
従って、本発明によって混合および上流のオリゴマー化工程またはクロロホルメート形成に使用されるポンプは温度−5℃〜100℃、好ましくは15℃〜80℃、特に好ましくは25℃〜65℃に温度調節可能であるべきである。
【0051】
溶媒または溶媒混合物に依存して、大気圧または大気圧以上の圧力が用いられうる。本発明によって使用されるポンプは、システム圧力350barまでかつ450℃にデザインされうる。従って、幅広い処理領域(broad process window)における使用に好適である。
【0052】
相界面法において、好ましくは圧力1〜50bar、特に好ましくは1〜10barを用いる。
【0053】
有機相は、一種類の溶媒または複数の溶媒の混合物を含みうる。好適な溶媒は芳香族および/または脂肪族塩素化炭化水素、好ましくはジクロロメタン、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタンおよびクロロベンゼンおよびそれらの混合物である。しかしながら、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、m−/p−/o−キシレン、または芳香族エーテル、例えばアニソールを、単独で、混合物としてまたは追加としてまたは塩素化炭化水素との混合物として使用することも更に可能であり、ジクロロメタンおよびクロロベンゼンおよびそれらの混合物が好ましい。合成の別の態様は、ポリカーボネートを溶解せず部分的に膨潤させる溶媒を使用する。従って、溶媒と組み合わせてポリカーボネートに対する非溶媒を使用することも可能である。この場合、溶媒パートナーが第二有機相を形成する場合、溶媒として、水相に可能な溶媒、例えばテトラヒドロフラン、1,3−または1,4−ジオキサンまたは1,3−ジオキソラン、を使用することも可能である。
【0054】
好適なジフェノールは、一般式
HO−Z−OH
(式中、Zは、炭素原子を6〜30個有する二価の有機基であって、一以上の芳香族基を含む。)
のジフェノールである。本発明による方法において使用されうるそのような化合物の例は、ジヒドロキシジアリールアルカン、例えばヒドロキノン、レソルシノール、ジヒドロキシビフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α,α’−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、ビス(ヒドロキシフェニル)フタルイミジンおよびそれらのアルキル化、核アルキル化および核ハロゲン化化合物である。
【0055】
好ましいジフェノールは、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA(BPA))、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−メタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,3−ビス[2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2−ヒドロキシカルビル−3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)フタルイミジン、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)−1−アリール−1H−インドール−2−オン、2,2−ビス(4−ヒドロキシアリール)−1−アリール−1H−インドール−2−オンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)である。
【0056】
特に好ましいジフェノールは、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA(BPA))、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2−ヒドロキシカルビル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−インドール−2−オン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−インドール−2−オン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−N−メチル−フタルイミジン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−N−フェニル−フタルイミジンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)である。
【0057】
これらおよび更なる好適なジフェノールは、例えばUS−A 2999835、US−A 3,148,172、US−A 2,991,273、US−A 3271367、US−A 4,982,014およびUS−A 2,999,846ドイツ公開特許出願DE−A 1570703、DE−A 2063050、DE−A 2036052、DE−A 2211956およびDE−A 3832396、フランス特許FR−A 1561518、モノグラフH.Schnell,Chemistry and Physics of Polycarbonates,Interscience Publishers,ニューヨーク 1964年,28頁以降;102頁以降、およびD.G.Legrand,J.T.Bendler,Handbook of Polycarbonate Science and Technology,Marcel Dekker ニューヨーク 2000年,72頁以降に記述されている。
【0058】
本発明によるホモポリカーボネートの製造の場合、一種類のジフェノールのみが使用され、本発明によるコポリカーボネートの製造の場合、複数種類のジフェノールが使用され、もちろん使用されるジフェノール、並びに他の全ての化学種および合成に添加される助剤がそれらの合成、取り扱いおよび貯蔵由来の不純物で汚染されていてもよいが、できるだけ純粋な原料で加工することが望ましい。
【0059】
この新規方法における使用に特に好適なモノフェノールは、式(I)
【化4】

(式中、Rは、水素、ハロゲンまたは分枝もしくは直鎖C〜C−アルキル基もしくはアルコキシカルボニル基である。)
のフェノールである。
【0060】
従って、フェノール、アルキルフェノール、例えばクレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−n−オクチルフェノール、p−イソオクチルフェノール、p−n−ノニルフェノールおよびp−イソノニルフェノール、ハロフェノール、例えばp−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、p−ブロモフェノールおよび2,4,6−トリブロモフェノール、またはメチルサリチレートが好ましい。フェノールが特に好ましい。
【0061】
本発明との関連で、アルカリ溶液は、好ましくは水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液またはそれらの混合物、特に好ましくは水酸化ナトリウム溶液を意味すると理解されるべきである。
【0062】
ジアリールカーボネートの製造において、フェノレートの生成に使用されるアルカリは、Na、K、Li水酸化物のシリーズの水酸化物を有するアルカリ溶液である。水酸化ナトリウム溶液が好ましく、この新規方法において好ましくは10〜55重量%強度溶液(10 to 50% strength by weight solution)として使用される。使用されるアルカリ水酸化物またはアルカリ溶液は、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化ナトリウム溶液の場合、アマルガム法またはいわゆる隔膜法によって製造されている。どちらの方法も長年使用されており、当業者によく知られている。水酸化ナトリウム溶液の場合、隔膜法によって製造される水酸化ナトリウム溶液が好ましく使用される。
【0063】
本発明によるポリカーボネートの製造方法における水相は、アルカリ溶液、一種類以上のジフェノールおよび水を含み、水溶液の総重量に対して、この水溶液の濃度がジフェノールの合計ベースで(ナトリウム塩としてではなくフリーのジフェノールとして計算される。)好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは3〜25重量%であることが可能である。より特に好ましくは、この水溶液の濃度は、ジフェノールの合計ベースで、45000gmol−1超のMを有するポリカーボネート3〜8重量%、45000以下のMを有するポリカーボネート12〜22重量%である。より高濃度の場合、溶液を温度調節することが必要である。ジフェノールの溶解に使用されるアルカリ水酸化物、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、は、固体状態で使用されても対応するアルカリ水溶液として使用されてもよい。アルカリ溶液の濃度は、目指されるジフェノール溶液の目的濃度に依存するが、一般に、100%強度アルカリ溶液に対して5〜25重量%、好ましくは5〜10重量%であるか、またはより濃くして次に水で薄めるように選択してもよい。次の希釈を有するプロセスにおいて、濃度15〜75重量%、好ましくは25〜55重量%のアルカリ溶液(任意に温度調節されていてもよい。)を使用する。ジフェノール1モルあたりのアルカリ金属含量は、ジフェノールの構造に依存するが、一般にアルカリ0.25mol/ジフェノール1モル〜アルカリ5.00mol/ジフェノール1モル、好ましくはアルカリ1.5〜2.5mol/ジフェノール1モルであり、特に好ましくはビスフェノールAを唯一のジフェノールとして、アルカリ1.85〜2.15molを使用する。一種類超のジフェノールを使用する場合、これらを共に溶解してもよい。しかしながら、ジフェノールの溶解性は使用されるアルカリの量に非常に大きく依存するので、二種類のジフェノールを含有する一種類の溶液ではなく好ましくはそれぞれ好適なアルカリ溶液に溶解された一種類のジフェノールを有する二種類の溶液を有し、次にこれらを正確な混合比が生じるように単独で計量添加することが有利である。更に、ジフェノールをアルカリ溶液に溶解するのではなく、追加のアルカリと共に提供される希ジフェノール溶液に溶解することが有利である。この溶解プロセスは、固体ジフェノールまたは一般的に鱗状または顆粒状から開始するかまたは溶融ジフェノールから開始する。水酸化ナトリウムまたは水酸化ナトリウム溶液の場合、それぞれ、使用されるアルカリ金属水酸化物またはアルカリ溶液は、例えばアマルガム法またはいわゆる隔膜法によって製造されていてもよい。両方の方法が長年使用されており、当業者によく知られている。水酸化ナトリウム溶液の場合、隔膜法によって製造される水酸化ナトリウム溶液が好ましく使用される。
【0064】
そのような水溶液および/または水相において、ジフェノールは、完全にまたは部分的に対応するアルカリ金属塩またはジアルカリ金属塩の形態で存在する。
【0065】
ジアリールカーボネートの製造において、反応b)は、触媒、例えば第三級アミン、N−アルキルピペリジンまたはオニウム塩、によって促進されうる。トリブチルアミン、トリエチルアミンおよびN−エチルピペリジンが好ましく使用される。
【0066】
ここで使用されるアミン触媒は、開鎖または環状であり、トリエチルアミンおよびエチルピペリジンが特に好ましい。触媒は、この新規方法において好ましくは1〜55重量%強度溶液として使用される。
【0067】
ここで、オニウム塩は、例えばNRX(式中、Rはアルキルおよび/またはアリール基および/またはHであり、Xはアニオンである。)の化合物を意味すると理解される。
【0068】
ホスゲンは、処理工程b)において、液体またはガスの形態でもしくは不活性溶媒中の溶液中で使用されうる。
【0069】
本発明の方法の工程b)において、好ましく使用される不活性有機溶媒は、例えばジクロロメタン、トルエン、種々のジクロロエタンおよびクロロプロパン化合物、クロロベンゼンおよびクロロトルエンである。ジクロロメタンが好ましく使用される。
【0070】
工程b)に関する反応は、好ましくは連続的に行われ、特に好ましくはほとんど逆混合がない栓流で行われる。従って、これは、例えば、チューブ状リアクターにおいて行われうる。二相(水相と有機相)の完全混合は、取り付けられるオリフィスプレート、スタティックミキサーおよび/または例えばポンプによって実現されうる。
【0071】
ジアリールカーボネートの製造において、工程b)による反応は、特に好ましくは二段階で行われる。
【0072】
好ましいプロセスの第一段階において、反応は出発原料ホスゲン、不活性溶媒(これは好ましくは最初にホスゲンの溶媒の役割を果たす。)、およびモノフェノール(これは好ましくは既にあらかじめアルカリ溶液に溶解されている。)を組み合わせることによって開始される。第一段階において、滞留時間は、典型的には2秒〜300秒、特に好ましくは4秒〜200秒の範囲内である。第一段階のpHは、好ましくは、アルカリ溶液/モノフェノール/ホスゲンの比によってpHが11.0〜12.0、好ましくは11.2〜11.8、特に好ましくは11.4〜11.6の範囲内になるように設定される。第一段階の反応温度は、冷却によって好ましくは40℃未満、特に好ましくは35℃未満に保持される。
【0073】
好ましいプロセスの第二段階において、反応を完結してジアリールカーボネートを生じる。この好ましいプロセスにおける滞留時間は1分〜2時間、好ましくは2分〜1時間、より特に好ましくは3分〜30分である。好ましいプロセスの第二段階において、pHの永久モニタリング(これは好ましくは既知の方法によって原則として連続法でオンラインで測定される)およびアルカリ溶液の添加による対応するpHの調整によって調節を行う。アルカリ溶液の添加量は、特に、第二処理段階における反応混合物のpHが7.5〜10.5、好ましくは8〜9.5、より特に好ましくは8.2〜9.3になるように調整される。第二段階の反応温度は、冷却によって好ましくは50℃未満、特に好ましくは40℃未満、より特に好ましくは35℃未満に保持される。
【0074】
しかしながら、本願において一般的に言及されるかまたは好ましい範囲で言及されるパラメータまたは説明は、更に、互いに、すなわちそれぞれの範囲と好ましい範囲の間で、任意に組み合わされうる。
【0075】
ジアリールカーボネートの製造に関する好ましい方法において、ホスゲンは、工程b)におけるモノフェノールに対してモル比1:2〜1:2.2で使用される。溶媒は、反応後にジアリールカーボネートが5〜60%強度溶液、好ましくは20〜45%強度溶液で存在するように混合される。
【0076】
本発明によるジアリールカーボネートの製造方法に好適な触媒は、好ましくは第三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、N−エチルピペリジン、N−メチルピペリジンまたはN−イソプロピルピペリジンまたはN−n−プロピルピペリジン、第四級アンモニウム塩、例えばテトラブチルアンモニウム、トリブチルベンジルアンモニウムおよびテトラエチルアンモニウム水酸化物、塩化物、臭化物、硫酸水素塩またはテトラフルオロホウ酸塩、および上記アンモニウム化合物に対応するホスホニウム化合物である。これらの化合物は、典型的な相界面触媒として文献に記述されており、市販されており、当業者によく知られている。これらの触媒は、単独に、混合物としてまたは互いに同時にかつ連続して、要すれば更にホスゲン化の前に添加され、オニウム化合物−すなわちアンモニウム化合物やホスホニウム化合物−またはオニウム化合物が触媒として使用されない場合、ホスゲンの導入後に計量添加することが好ましい。そのようなオニウム塩触媒の場合、ホスゲンの計量添加前の添加が好ましい。触媒の計量添加は、溶媒がない状態で、不活性溶媒、好ましくはジアリールカーボネート合成における有機相の溶媒もしくは溶媒の一種、中でまたは水溶液として行われうる。触媒として第三級アミンの使用の場合、例えばそれらの計量添加は、水溶液において、それらの酸、好ましくは鉱酸、特に塩酸、とのアンモニウム塩として行われうる。複数の触媒の使用または触媒の総量の部分の計量添加で、異なる位置または異なる時間における異なる計量添加手順が更に行われうる。使用される触媒の総量は、使用されるモノフェノールのモルに対して0.0001〜1.0mol%、好ましくは0.001〜0.2mol%である。
【0077】
モノフェノレートの形成に関して、好ましくはアルカリ1mol/モノフェノール1モル〜アルカリ5.00mol/モノフェノール1モル、特に好ましくはアルカリ1.1〜2.5mol/モノフェノール1モルが使用される。この溶解プロセスは、固体フェノールまたは溶融フェノールから開始しうる。使用されるアルカリ水酸化物またはアルカリ溶液は、例えばアマルガム法または水酸化ナトリウムまたは水酸化ナトリウム溶液の場合いわゆる隔膜法によって製造されている。どちらの方法も長い間使用されてきており、当業者によく知られている。水酸化ナトリウム溶液の場合、隔膜法によって製造される水酸化ナトリウム溶液が好ましく使用される。
【0078】
そのような水溶液および/または水相において、モノフェノールは、完全にまたは部分的に対応するアルカリ塩の形態で存在する。
【0079】
本発明による方法において、一以上のポンプが有機相と水相との混合および上流のオリゴマー化工程またはアリールクロロホルメート製造工程に使用される。複数のポンプが、特に工業スケールにおいて能力的な理由で、使用されうる。複数のポンプの使用の場合、これらは並列に接続されても直列に接続されてもよい。複数のポンプの並列接続が好ましい。本発明による方法において、ポンプは対応するエマルジョンの製造に関する有機相と水相とを混合する混合ユニット役割、オリゴカーボネートの合成に関する反応スペースの役割および反応材料の連続輸送の役割を果たす。
【0080】
本発明によって使用されるポンプは、ステーター−ローター原理に従って作動する。結果として、二相の混合中の剪断によって特にエネルギーが反応混合物に導入される。生じるエマルジョンは十分大きな相界面を有し、最適反応がこの相界面において行われる。
【0081】
本発明によって使用されるポンプの場合、ポンプハウジングは、好ましくはステーターであり、一以上のローターがポンプの内部に存在する。複数のローターの場合、これらは好ましくは同じローター軸上に載置される。本発明によって使用されるポンプは、好ましくは遠心ポンプである。好ましい態様において、これらはローターが周辺デザイン(peripheral design)を有する遠心ポンプ(周辺ホイールポンプ)である。更なる好ましい態様において、これらは、ローターが放射状のデザイン(radial design)を有する遠心ポンプ(放射状ホイールポンプ(radial wheel pump))である。本発明によると、周辺ホイールポンプの原理に従って作動するポンプが特に好ましい。そのような遠心ポンプおよびそれらの作動モードは当業者に既知(例えばDE 4220239 A1参照。)であり、市販されている。本発明によって使用されるようなポンプの原理を、一例として図1に概略的に示す。単一のまたは多重の缶囲い(can enclosure)、例えば二重の缶囲い、を有する態様が好適である。
【0082】
図1:回転内部装置を有する周辺ホイールポンプの原理の概略図
【0083】
図1において使用される略号は以下のものを示す。
1 ホスゲン/溶媒供給ストリーム
2 水性/アルカリナトリムビスフェノレート溶液またはナトリウムモノフェノレート溶液の供給ストリーム
3 水酸化ナトリウム溶液供給ストリーム(NaOH供給ストリーム)
4 取り出される反応混合物
R 回転内部装置
S 回転内部装置上のブレード
K 循環チャネル
RZ 反応流入側(吸い込み側)
RA 反応流出側(押し出し側)
P 回転内部装置を有する周辺ホイールポンプのスタティックハウジング
【0084】
図1に示される周辺ホイールポンプはスタティックハウジングP、ブレードSを有する回転内部装置R(ここではパドルホイールの形態である。)およびそれからハウジング内を吸い込み側から押し出し側にする循環チャネルKを有する。周辺ポンプは、小さな輸送量と小型流出ポンプデザインの組み合わせで比較的高い圧力を生じうる。輸送中、ブレードS間の輸送反応混合物は、そのエネルギーを循環チャネル中で輸送される反応混合物に与える。圧力増加は、ローターのブレードにおいて大きな速度で流れる液体が循環チャネルにおいてより低い速度で回転する液体にエネルギーを与える推進力交換によって行われる。
【0085】
本発明によって使用されるポンプは温度調節可能である(すなわち温度調節液用の入口と出口とを有する。)。この温度調節液用のフロースペース(flow space)と反応材量用の反応スペースは、物質移動が起こらないで熱交換が起こるように互いに分離している。
【0086】
本発明によって使用されるポンプは、反応スペースへの供給路として、いずれの場合も有機相および液相用の少なくとも一つの入口並びにオリゴカーボネート含有反応混合物用(ポリカーボネートの製造において)またはジアリールカーボネートの製造における第一工程において形成された反応混合物用の少なくとも一つの出口を有する(図1参照。)。好ましい態様において、追加のアルカリ溶液および/またはジフェノール(ジフェノレート)溶液またはモノフェノール(モノフェノレート)溶液用および要すれば連鎖停止剤および分枝剤用の更なる入口が好ましい。触媒は、好ましくは後で下流のドゥエルリアクター(dwell reactor)に添加される。本発明による反応手順用の設備の概略図を図2に示す。図2中の略図は、下流のドゥエルリアクターの数に関しては単に一例として考えられるべきである。更に二つよりも多いかまたは少ないドゥエルリアクターを下流に接続してもよい。
【0087】
図2:周辺ホイールポンプを使用する相界面法によるポリカーボネートまたはジアリールカーボネートの製造に関する設備の概略図
【0088】
図2において使用される略号は以下のものを示す。
1 ホスゲン/溶媒供給ストリーム
2 水性/アルカリナトリウムビスフェノレート溶液またはナトリウムモノフェノレート溶液の供給ストリーム
3 第一水酸化ナトリウム溶液供給ストリーム(NaOH供給ストリーム1)
4 取り出される反応混合物
5 第二水酸化ナトリウム溶液供給ストリーム(NaOH供給ストリーム2)
6 ポリカーボネートの製造における連鎖停止剤またはジアリールカーボネートの製造における触媒(要すれば)
7 触媒
Pp 周辺ホイールポンプ
ST スタティックミキサー
VR1 ドゥエルリアクター1
VR2 ドゥエルリアクター2(任意)
WT 熱交換器
DEH 増圧ポンプ
TG 分離容器
W 次の洗浄
【0089】
本発明による方法の更なる態様において、ドゥエルリアクターの代わりにポンプ循環リアクターを、更に、本発明によって使用されるポンプの下流に接続してもよい。本発明による方法のこの態様は、本発明によって上流で使用されるポンプを接続することによって、必要とされるプラントの大規模な変更なしに、存在するプラントを使用しうるという利点を有する。本発明による反応手順に関する設備の概略図を図2aに示す。図2aにおけるダイアグアムは、下流のドゥエルリアクターの数に関しては単に一例として考えられるべきである。更に二つよりも多いかまたは少ないドゥエルリアクターを下流に接続してもよい。
【0090】
本発明によって使用されるポンプの下流に接続されるポンプ循環リアクターを用いる方法の変更において、出発原料、例えばジフェノレート溶液もしくはモノフェノレート溶液または第一水酸化ナトリウム供給ストリームは、ポンプに完全に添加されるかまたは要すれば比例して第一に下流のポンプ循環リアクターに供給される。
【0091】
図2a:周辺ホイールポンプと下流のポンプ循環リアクターを使用する相界面法によるポリカーボネートまたはジアリールカーボネートの製造に関する設備の概略図
【0092】
図2において使用される略号に加えて図2aにおいて使用される略号は以下のものを示す。
2’ 任意の、水性/アルカリナトリウムビスフェノレート溶液またはナトリウムモノフェノレート溶液の一部の供給ストリーム
3’ 任意の、第一水酸化ナトリウム溶液供給ストリームの一部の供給ストリーム(NaOH供給ストリーム1’)
EG 脱蔵容器
UR ポンプ循環リアクター
AT 排出ポンプ
P 循環維持ポンプ
【0093】
本発明によって使用されるポンプにおける反応混合物の滞留時間は、好ましくは20秒〜10分、特に好ましくは30秒〜5分、より特に好ましくは30秒〜3分である。
【0094】
ポリカーボネートの分子量の制御に、一種類以上の単官能性連鎖停止剤、例えばフェノールまたはアルキルフェノール、特にフェノール、p−tert−ブチルフェノール、イソオクチルフェノール、クミルフェノール、それらのクロロ炭酸エステルまたはモノカルボン酸の酸塩化物またはこれらの連鎖停止剤の混合物の添加が任意に必要とされうる。そのような連鎖停止剤は、要すれば、ジヒドロキシジアリールアルカンと共に反応に供給されるか、または合成中の所望の時間に、ホスゲンもしくはクロロ炭酸末端基が反応混合物中に存在する限り、連鎖停止剤として酸塩化物およびクロロ炭酸エステルの場合生じるポリマーの十分なフェノール性末端基が利用可能である限り、合成に添加される。しかしながら、好ましくは、連鎖停止剤は、ホスゲン化後、ホスゲンがもはや存在しないが、触媒がまだ計量添加されていない場所または時間において添加される。すなわち、連鎖停止剤は、触媒の前に、触媒と共にまたはそれらと平行して計量添加されうる。
【0095】
同様に、ポリカーボネートの製造において、一種類以上の分枝剤または分枝剤の混合物を任意に合成に添加してもよい。しかしながら、通常、そのような分枝剤は連鎖停止剤の前に添加される。例えば、トリスフェノール、テトラキスフェノール(quarterphenols)、トリ−もしくはテトラカルボン酸の酸塩化物またはこれらのポリフェノールもしくは酸塩化物の混合物が分枝剤として使用される。
【0096】
分枝剤として好適であり、三以上のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物の例は、フロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプト−2−エン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタンである。
【0097】
分枝剤として好適な別の三官能性化合物の例は、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、塩化シアヌルおよび3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールである。
【0098】
特に好ましい分枝剤は、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールおよび1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンである。
【0099】
本発明によるポリカーボネートの製造方法に好適な触媒は、好ましくは第三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、N−エチルピペリジン、N−メチルピペリジンまたはN−iso/n−プロピルピペリジン、第四級アンモニウム塩、例えばテトラブチルアンモニウム、トリブチルベンジルアンモニウム、またはテトラエチルアンモニウム水酸化物、塩化物、臭化物、硫酸水素塩またはテトラフルオロホウ酸塩、および上記アンモニウム化合物に対応するホスホニウム化合物である。これらの化合物は文献に典型的な相界面触媒として記述されており、市販されておりかつ当業者によく知られている。これらの触媒は、本発明による方法に単独で、混合物としてまたは並んでかつ連続して、要すれば更にホスゲン化前に添加されうるが、オニウム化合物−すなわちアンモニウム化合物もしくはホスホニウム化合物−またはオニウム化合物の混合物が触媒として使用されない場合、ホスゲンの導入後に計量添加することが好ましい。そのようなオニウム塩触媒反応の場合、ホスゲンの計量添加前の添加が好ましい。触媒の計量添加は、それ自体、不活性溶媒、好ましくはポリカーボネート合成における有機相の溶媒もしくは有機相の溶媒の一種、において、または水溶液として行われうる。例えば、触媒として第三級アミンの使用の場合、それらの計量添加は、酸、好ましくは鉱酸、特に塩酸、とのアンモニウム塩として水溶液において行われうる。複数の触媒の使用または触媒の総量の部分計量添加で、様々な箇所および様々な時間における様々な計量添加手順を行うことももちろん可能である。使用される触媒の総量は、使用されるジフェノールのモルに対して、0.001〜10mol%、好ましくは0.01〜8mol%、特に好ましくは0.05〜5mol%である。
【0100】
本発明との関連で、オリゴカーボネートは、好ましくは一般式(I)、(II)および/または(III)
【化5】

(式中、
u は、0または1〜20の整数であり、好ましくは0または1〜12の整数であり、特に好ましくは0または1〜8の整数であり、
y は、1〜20の整数、好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、かつ
z は、0または1〜20の整数であり、好ましくは0または1〜12の整数であり、特に好ましくは0または1〜8の整数である。)
のオリゴカーボネートである。
【0101】
そのようなオリゴマーは、好ましくは平均分子量M5000g/mol以下、好ましくは3500g/mol以下、より特に好ましくは2000g/molを有する。
【0102】
本願に関連して記載される平均分子量平均は、標準としてポリカーボネートを使用してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定された重量平均(M)である。溶出液シグナルの検出は、例えば屈折率を使用することによってまたは例えば254nmの領域における紫外線吸収によって行われうる。
【0103】
ポンプから、オリゴカーボネート含有反応混合物またはアリールクロロホルメート−および/もしくはジアリールカーボネート−含有反応混合物を、更なるアルカリ溶液、要すれば連鎖停止剤および要すれば少なくとも一種類の更なる触媒を追加して少なくとも一つのリアクターにおいて縮合してポリカーボネートを生じるかまたは反応させてジアリールカーボネートを生じる。好ましい態様において、この反応は、複数のリアクターが直列に接続されたカスケードにおいて行われる。この反応に好適なリアクターは、任意の所望のリアクターデザイン、例えば撹拌タンク、チューブ状リアクター、ポンプ循環リアクター、それらのカスケードおよびそれらの組み合わせである(例えば図2または図5参照。)。
【0104】
ポリカーボネートの製造において反応させられるクロロ炭酸エステルをいまだに痕跡量、好ましくは2ppm未満、含む少なくとも二相の反応混合物のワークアップに関して、相分離のために沈降を行う。水性アルカリ相を、任意に、ポリカーボネート合成に水相として完全にまたは部分的にリサイクルしても溶媒部分および触媒部分を分離し、要すればポリカーボネート合成にリサイクルする廃水ワークアップに供給してもよい。ワークアップの別の変形において、有機不純物を、特に溶媒およびポリマー残留物から、分離した後、かつ要すれば所定のpHを、例えば水酸化ナトリウム溶液の添加によって、達成した後、塩を分離し、例えば塩素アルカリ電気分解に、供給し、一方、水相を要すればポリカーボネート合成にフィードバックする。
【0105】
ジアリールカーボネートの製造において完全に反応し、いまだにアリールクロロホルメートを痕跡量以下、好ましくは2ppm未満、含む少なくとも二相の反応混合物のワークアップに関して、相分離のために沈降を行う。水性アルカリ相を、要すれば完全にまたは部分的に洗浄相と組み合わせて廃水ワークアップに供給する。この廃水ワークアップにおいて、溶媒部分と触媒部分とをストリッピングによって分離し、要すればジアリールカーボネート合成にリサイクルする。ワークアップの別の変形において、有機不純物、特に溶媒および触媒残留物、を分離した後、かつ要すれば所定のpHを、例えば塩酸添加によって、達成した後、塩溶液を分離し、例えば塩素−アルカリ電気分解に、供給し、一方、水相を要すればジアリールカーボネート合成にリサイクルする。
【0106】
次に、ポリカーボネートまたはジアリールカーボネートを含む有機層を、アルカリ、イオンまたは触媒汚染物の除去に関して当業者に既知の種々の方法で精製する。
【0107】
任意に沈降タンク、撹拌タンク、コアレッサーまたは分離器およびこれらの手段の組み合わせの通過によって支持されてもよい一以上の沈降プロセス−要すれば、能動または受動混合メンバーを使用する特定の状況において、それぞれの分離工程またはいくつかの分離工程において水を計量添加することが可能である−後であっても、有機相は所定の割合の細かい液滴の水性アルカリ相および触媒を含む。このアルカリ水相の粗分離後、有機相を一回または数回、希酸、鉱酸、カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸および/またはスルホン酸で洗う。水性鉱酸、特に塩酸、亜リン酸、リン酸またはこれらの酸の混合物が好ましい。これらの酸の濃度は、好ましくは0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜5重量%の範囲内であるべきである。更に、有機相を、脱塩水または蒸留水で繰り返し洗浄してもよい。個々の洗浄工程後に、有機相の分離(任意に有機相の部分で分散されていてもよい)を、沈降タンク、撹拌タンク、コアレッサーまたは分離器またはこれらの手段の組み合わせによって行い、洗浄工程間に、要すれば能動混合メンバーまたは受動混合メンバーを使用して、洗浄水を計量添加することが可能である。ポリカーボネート製造において、これらの洗浄工程間または洗浄後に、酸、好ましくは、ポリマー溶液のベースである溶媒に溶解される酸、を任意に添加してもよい。塩化水素ガス、リン酸または亜リン酸(これらは要すれば混合物として使用されてもよい。)がここで好ましく使用される。このように得られる精製ポリカーボネート溶液は、好ましくは最終分離工程後に5重量%以下、好ましくは1重量%未満、より特に好ましくは0.5重量%未満しか水を含まないべきである。
【0108】
溶液からジアリールカーボネートの単離は、温度、真空または加熱同伴ガス(heated entraining gas)による溶媒の蒸発または好ましくは蒸留によって行われる。
【0109】
本発明による方法によって製造されるジアリールカーボネートは、特に高い純度(GC>99.95%)および非常に良好なエステル交換挙動によって区別され、次にそれからポリカーボネートが優れた品質で製造されうる。
【0110】
溶融エステル交換法による芳香族オリゴカーボネート/ポリカーボネートの製造に関するジアリールカーボネートの使用は、文献で知られており、例えばEncyclopedia of Polymer Science,第10巻(1969年),Chemistry and Physics of Polycarbonates,Polymer Reviews,H.Schnell,第9巻,John Wiley and Sons,Inc.(1964年)またはUS−A−5340905に記述されている。
【0111】
溶液からのポリカーボネートの単離は、温度、真空または加熱同伴ガスを用いる溶媒の蒸発によって行われうる。別の単離方法は、例えば結晶化および沈殿である。
【0112】
溶媒の蒸留によって、要すれば過熱および膨張によって、ポリマー溶液の濃縮および可能であれば更にポリカーボネートの単離を行う場合、用語「フラッシュ法」が使用される。そのような方法は当業者に既知であり、例えば“Thermische Trennverfahren[Thermal separation processes]”,VCH Verlagsanstalt 1988年,114頁に記述されている。代わりに加熱キャリアガスを蒸発される溶液と共に噴霧する場合、用語「噴霧蒸発/噴霧乾燥」が使用される。これは一例として、Vauck,“Grundoperationen chemischer Verfahrenstechnik[Basic operations of chemical process engineering]”,Deutscher Verlag fuer Grundstoffindustrie 2000,第11版,690頁に記述されている。これら全ての方法は、特許文献およびテキストに記述されており、当業者によく知られている。
【0113】
温度(蒸留)または技術的により効率的なフラッシュ法による溶媒の除去において、高濃縮ポリカーボネート溶融物が得られる。フラッシュ法において、ポリマー溶液をわずかに大気圧よりも高い圧力のもとで大気圧における沸点よりも高い温度に繰り返し加熱し、これらの溶液を大気圧に対して過熱し、次に低圧、例えば大気圧、の容器に入れる。濃縮段階、すなわち過熱の温度段階、を大きくなりすぎるように選択せず、好ましくは二〜四段階プロセスを選択することが有利である。
【0114】
そのようにして得られる高濃度ポリカーボネート溶融物から溶媒残留物を、溶融物から直接ベント式押出機(例えばBE−A 866991、EP−A 0411510、US−A 4980105、DE−A 3332065参照。)、薄膜蒸発器(例えばEP−A 0267025参照。)、流下液膜式蒸発器、ストランド蒸発器または摩擦圧縮(例えばEP−A 0460450参照。)を用いて、要すれば更に共留剤(entraining agent)、例えば窒素もしくは二酸化炭素、を添加するか、または真空を用い(例えばEP−A 003996、EP−A 0256003、US−A 4423207参照。)、あるいは更に次の結晶化(例えばDE−A 3429960参照。)および/または固相で加熱することによる溶媒残留物の排除(例えばUS−A 3986269、DE−A 2053876参照。)によって除去する。これらの方法およびこの目的に関して必要とされる装置は、文献に記述されており、当業者によく知られている。
【0115】
ポリカーボネートグラニュールは、−可能であれば−溶融物の直接紡糸および次のグラニュール化によってまたは紡糸が大気中でもしくは液体、一般的には水、の下で行われる放出押出機(discharge extruders)の使用によって得られる。押出機を使用する場合、押出機の前に、要すればスタティックミキサーを用いて、またはこの押出機におけるサイド押出機(side extruders)によって、添加剤をポリカーボネート溶融物に添加してもよい。
【0116】
代わりに、ポリカーボネート溶液を噴霧蒸発させてもよい。噴霧中、ポリカーボネート溶液を、要すれば加熱後に、低圧容器に噴霧するかまたは加熱キャリアガス、例えば窒素、アルゴンまたは水蒸気、でノズルを用いて大気圧の容器に噴霧する。いずれの場合も、ポリマー溶液の濃度に依存して、ポリカーボネートのパウダー(希)またはフレーク(濃)が得られ、要すれば溶媒の最終残留物が更に上記のように除去されるべきである。その後、配合押出機および次の紡糸によってグラニュールを得る。ここでも、上記添加剤を周囲にまたは押出機それ自体に添加してもよい。しばしば、パウダーおよびフレークのバルク密度が低いために、押し出し前にポリマーパウダーに関して圧縮工程を通すことが必要である。
【0117】
代わりに、ポリマーを洗浄および要すれば更に濃縮されたポリカーボネート溶液からポリカーボネートの非溶媒の添加によって大きく沈殿させてもよい。非溶媒は沈殿剤の役割を果たす。ここで、最初に少量の非溶媒を添加し、要すれば更に非溶媒のバッチの添加の間の時間待つことが有利である。種々の非溶媒を使用することも更に有利である。例えば脂肪族もしくは脂環式炭化水素、特にヘプタン、イソオクタンもしくはシクロヘキサン、アルコール、例えばメタノール、エタノールもしくはイソプロパノール、ケトン、例えばアセトン、またはこれらの混合物をここで沈殿剤として使用する。沈殿中、一般に、ポリマー溶液を沈殿剤にゆっくりと添加する。そのようにして得られるポリカーボネートを噴霧蒸発の場合に記述されるようにグラニュールに加工し、要すれば添加剤を導入する。
【0118】
別の方法によると、沈殿および結晶化生成物または無定形に凝固させられた生成物を、ポリカーボネートの一種類以上の非溶媒の蒸気に通し、同時にガラス転移温度以下に加熱することによって微粒子の形態に結晶化し、更に縮合して高分子量を生じる。オリゴマーが任意に異種末端基(フェノール性末端および連鎖停止剤末端)を有する場合、用語、固相縮合が使用される。
【0119】
添加剤の添加は、使用期間の増加または色安定性の改良(安定剤)、処理の簡素化(例えば離型剤、流動性向上剤、帯電防止剤)または所定の負荷へのポリマー特性の適応(耐衝撃性改良剤、例えばゴム;防炎加工剤、着色剤、ガラス繊維)に役立つ。
【0120】
これらの添加剤は、ポリマー溶融物に単独で添加されても所望の混合物で共に添加されても複数の異なる混合物で添加されてもよい。これは、ポリマーの単離中またはグラニュールの溶融、いわゆる配合工程、後に直接行われうる。添加剤およびそれらの混合物は、固体として、好ましくはパウダーとしてポリマー溶融物に添加されても、溶融物としてポリマー溶融物に添加されてもよい。計量添加の別の方法は、添加剤または添加剤混合物のマスターバッチまたはマスターバッチ混合物の使用である。
【0121】
好適な添加剤は、例えば“Additives for Plastics Handbook,John Murphy,Elsevier,オックスフォード1999年”および“Plastics Additives Handbook,Hans Zweifel,Hanser,ミュンヘン2001年”に記述されている。
【0122】
好適な酸化防止剤または熱安定剤の例は、
アルキル化モノフェノール、アルキルチオメチルフェノール、ヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン、トコフェロール、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキリデンビスフェノール、O−、N−およびS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化マロネート(hydroxybenzylated malonates)、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、アシルアミノフェノール、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル、β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸のエステル、β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸のエステル、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、好適なチオ相乗剤、二次酸化防止剤、ホスフィット、ホスホナイト、ホスホネートおよびホスファン、ベンゾフラノンおよびインドリノン
である。
【0123】
好ましい酸化防止剤または熱安定剤は、有機ホスファイト、ホスホネートおよびホスファンであり、一般的に有機基が完全にまたは部分的に任意に置換されていてもよい芳香族基を含有するものである。
【0124】
重金属および痕跡量のアルカリの中和に好適な錯化剤は、例えば、o−、またはm−リン酸、完全にまたは部分的にエステル化されたホスフェートまたはホスファイトである。
【0125】
好適な光安定剤(紫外線吸収剤)は、例えば、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、置換および非置換安息香酸のエステル、アクリレート、立体的に込み合ったアミン、オキサミド、2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンまたは置換ベンゾトリアゾールであり、置換ベンゾトリアゾールが特に好ましい。
【0126】
ポリプロピレングリコール単独または、例えば安定剤としてのスルホンもしくはスルホンアミドとの組み合わせがガンマ線によるダメージを防ぐのに使用されうる。
【0127】
これらおよび別の安定剤は、単独で使用しても組み合わせて使用してもよく、前記形態でポリマーに添加される。
【0128】
加えて、加工助剤、例えば離型剤、例えば長鎖脂肪酸の誘導体、を添加してもよい。例えば、ペンタエリスリチルテトラステアレートおよびグリセリルモノステアレートが好ましい。それらは単独でまたは混合物として、好ましくは組成物の重量に対して0.02〜1重量%の量で使用される。好適な難燃添加剤は、リン酸エステル、すなわちトリフェニルホスフェート、レソルシノール二リン酸エステル、臭素含有化合物、例えば臭化リン酸エステル、臭化オリゴカーボネートおよびポリカーボネートであり、好ましくはフッ化有機スルホン酸の塩である。好適な耐衝撃性改良剤は、グラフトスチレン−アクリロニトリルもしくはメチルメタクリレートを有するブタジエンゴム、グラフト無水マレイン酸を有するエチレン−プロピレンゴム、グラフトメチルメタクリレートもしくはスチレン−アクリロニトリルを有するエチルアクリレートおよびブチルアクリレートゴム、グラフトメチルメタクリレートもしくはスチレンアクリロニトリルを有するシロキサンとアクリレートとの相互浸透ネットワークである。
【0129】
更に、着色剤、例えば有機染料または顔料および無機顔料、赤外線吸収剤を、単独で、混合物として、または安定剤、グラスファイバー、(中空)ガラス球もしくは無機充填剤との組み合わせで添加してもよい。
【0130】
ポリマーの単離によってもしくは配合によって製造されたポリカーボネート溶融物を、ダイヘッドを通してストランドの形態に紡糸し、ガス、例えば大気もしくは窒素、または冷却液、一般的には水、で冷却し、凝固ストランドを、例えば回転ロール上に存在するカッターを備える市販のグラニュレーターにおいて、大気中、不活性ガス、例えば窒素もしくはアルゴン、のもとまたは水中でグラニュール化してもよい。装置のデザインに依存して、円形または楕円形横断面および粗い表面かまたは滑らかな表面形態を有する柱様グラニュールを形成する。切り口は滑らかであるかまたは砕かれた切り口を有するかもしくは切り口に残留物が残っているガラス様の割れ目を有する。できるだけ均一に形成され、できるだけ切り口に残る突起が少ないグラニュールが望ましい。更に、グラニュール中のダストの割合は、できるだけ低く、好ましくはグラニュール1kgあたり100mg以下に保持するべきである。グラニュール粒子の直径は、0.5mm〜10mm、好ましくは1〜8mm、特に好ましくは3〜6mmであるべきである。一方、グラニュール粒子の長さは、1〜10mm、好ましくは2〜8mmであり、重量は10〜50mg、好ましくは15〜30mgであるべきである。直径(楕円形断面の場合は平均径)対長さの比が0.8〜1.2のグラニュールが好ましく、比約1のグラニュールが特に好ましい。これらのパラメータは、サイズ分布を受けやすく、できるだけ狭い分布、すなわち、できるだけ均一な寸法を有するグラニュール、が好ましい。
【0131】
要すれば混合または均質化プロセス後の、冷却、紡糸、グラニュール化および次のガスもしくは液体を用いるグラニュールの輸送または運搬および次の貯蔵は、静電荷の蓄積にもかかわらず、できるだけ不純物、例えばダスト、マシーンからの磨耗材料、エアロゾル様滑剤並びに水浴または使用可能な冷却システムからの他の液体および塩、がポリマー表面、ストランド表面またはグラニュール表面につかないようにデザインされるべきである。
【0132】
本願は、同様に、本発明による方法によって製造されるポリマーに関する。
【0133】
本発明による方法によって製造されるポリマーは、狭い分子量分布、好ましくは、相界面法によって従来技術によって製造されるものよりも1狭い分子量分布を有する。好ましくは、本発明の方法によって製造されるポリマーは、1.1〜1.6の不均一性Nを有する(製造されるポリカーボネートの粘度に依存する。)。
【0134】
本発明によって製造されるポリカーボネートは、例えば、押出物および成形品、特に透明部分における使用に関するもの、より特に光応用の分野におけるもの、例えばシート、マルチウォールシート、グレージング、ディフューザースクリーン、ランプカバーまたは光学データ記憶装置、例えばオーディオCD、CD−R(W)、DVD、DVD−R(W)、様々な読み取り専用または書き込み可能なかつ要すれば更に書き換え可能な態様のミニディスク、の製造に好適である。
【0135】
更なる適用の例は、本発明の目的を限定するわけではないが、以下に示すものである。
1. 建築物、乗物および航空機の様々な部分において、並びにヘルメットのバイザーとして必要とされることが知られている、セイフティスクリーン
2. シート
3. 吹込成形体(更にUS−A 2964794も参照。)、例えば1〜5ガロンの採水器
4. 透明シート、例えばソリッドシート、特に中空室シート(hollow−chamber sheets)、例えば建築物、例えば鉄道停車場、温室および照明装置、をカバーするためのもの
5. 光学データ記憶装置、例えばオーディオCD、CD−R(W)、DCD、DVD−R、ミニディスクおよび次世代のもの
6. 信号ハウジングまたは交通標識
7. 任意に印刷可能であってもよい開放表面または閉曲面を有するフォーム
8. フィラメントおよびワイヤー(更にDE−A 1137167参照。)
9. 要すれば半透明の部分への適用のためにガラス繊維の使用を伴っていてもよい、照明用途
10. 透明かつ光散乱成形物品の製造に関する硫酸バリウムおよび/または二酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムまたは有機高分子アクリレートゴムを含む半透明配合物(EP−A 0634445、EP−A 0269324)
11. 精密射出成形部品、例えばホルダー、例えばレンズホルダー;ガラス繊維および要すれば追加の二硫化モリブデン含量1〜10重量%(全成形品部分に対する。)含有ポリカーボネートを要すればここで使用する
12. 光学機器部品、特に写真用カメラおよびシネカメラ用レンズ(DE−A 2701173)
13. 光透過媒体、特に光ファイバー(EP−A 0089801)およびライティングストリップ(lighting strips)
14. 導電体用およびプラグハウジングおよびコネクタおよびコンデンサ用電気絶縁材料
15. 携帯電話用ハウジング
16. ネットワークインターフェースデバイス
17. 有機光伝導体用キャリア材料
18. ライト、ハンドライトランプ、光拡散スクリーンまたは内部レンズ
19. 医学的応用、例えば酸素供給器または透析器
20. 食品用途、例えばボトル、食事用食器(crockery)およびチョコレート型
21. 自動車産業部門における用途、例えばグレージングまたはバンパーとしてABSとのブレンドの形態
22. スポーツ用品、例えばスラロームポールまたはスキーブーツファスナー(ski boot fastener)
23. 家庭用品、例えばキッチンシンク、洗面台、レターボックス
24. ハウジング、例えば電気盤(electrical distributor box)
25. 電気デバイス、例えば歯ブラシ、ヘアドライヤー、コーヒーマシーン、工作機械、例えばドリル、カッター、平削り盤および鋸、用ハウジング
26. 洗濯機の覗き窓(washing machine port holes)
27. 安全眼鏡、サングラス、矯正眼鏡またはそれらのレンズ
28. ランプカバー
29. 包装フィルム
30. チップボックス、チップサポート、Siウエハー用ボックス
31. 別の用途、例えば家畜小屋ドア(animal shed doors)または動物のおり
【0136】
意外なことに、廃水のジフェノール汚染またはモノフェノール汚染は、更に本発明による方法によっても減少する。
【0137】
混合ユニット、オリゴマー化工程またはアリールクロロホルメートおよび/もしくはジアリールカーボネート製造工程用の反応スペース並びに運搬ユニットとして三つの機能を有するポンプの使用は、ポリカーボネートまたはジアリールカーボネートの製造に関する相界面法に関する文献に記述されていない。従って、本発明は、更に、相界面法によるポリカーボネートまたはジアリールカーボネートの連続製造用の一以上のポンプの使用であって、このポンプが
−ステーター−ローター原理に従って作動し、
−温度調節可能であり、かつ
−有機相と水相用の入口それぞれ少なくとも一つおよび要すれば連鎖停止剤、分枝剤および/または追加のアルカリ溶液、触媒用の更なる入口およびオリゴカーボネート含有混合物またはアリールクロロホルメート−および/もしくはジアリールカーボネート−含有混合物用の少なくとも一つの出口を有し、
ポリカーボネートまたはジアリールカーボネートに好適な少なくとも一種類の溶媒およびホスゲンの一部もしくは全てを含む有機相とジフェノールまたはモノフェノール、水およびアルカリ溶液を含む水相との連続混合と、オリゴカーボネートまたはアリールクロロホルメートおよび/もしくはジアリールカーボネートを生じるジフェノールまたはモノフェノールとホスゲンとの反応と、の両方がこのポンプにおいて行われることを特徴とする、ポンプの使用に関する。
【0138】
本発明による方法に関して既に上で述べたポンプは、この使用に好適である。遠心ポンプ、特に好ましくは周辺ホイールポンプ、がこの目的に特に好適である。
【0139】
上記全ての参考文献を、全ての有用な目的に関して全体として参照することによって組み込む。
【0140】
本発明を具体化する、ある特定の構造を示し、説明しているが、種々の変更および部品の再配置が本発明の概念の基礎をなす精神および範囲から逸脱せずに行われること、また、本明細書中に示し、説明する特定の形態に限定されないことが当業者に明白である。
【実施例】
【0141】
連続相界面法において、それぞれ、異なるリアクターコンセプト(reactor concepts)を用いてポリカーボネートを製造した。これらの試験において、既知のリアクター(例えばポンプ循環リアクターまたはノズル)を用いて用意される特別のポンプの本発明による使用の影響を、その他は同一の反応設定を用いて調べた。
【0142】
全ての実施例において、水および塩化メチレン50重量%とクロロベンゼン50重量%との溶媒混合物を含有するエマルジョンにおいて反応を連続的に行った。使用された連鎖停止剤はp−tert−ブチルフェノール(BUP)である。使用された触媒はn−エチルピペリジン(EPP)である。図3および5における四つのリアクターNR1〜NR4を備えるドゥエルカスケードを通した後に水相を分離した後に得られたポリカーボネート溶液を、塩酸を有する酸で洗い、次にディスクセパレーターを用いて脱塩水で中性に洗った。このように洗浄されたポリカーボネート溶液を乾燥し、次に溶媒の蒸発によって濃縮した。100℃の真空ドライオーブンにおける残留溶媒の完全除去がポリカーボネートをもたらした。
【0143】
全ての実施例において、以下の反応設定を用いて手順を行った。
・Naビスフェノレート溶液:処理量910.3g/時間(ビスフェノールA 0.598mol/時間)、Naビスフェノレート含量:溶液の総重量に対して、Naビスフェノレート15.0重量%
・ホスゲン:72.18g/時間(0.73mol/時間)
・溶媒:737.7g/時間(塩化メチレン50重量%とクロロベンゼン50重量%との溶媒混合物)
・水酸化ナトリウム溶液:113.9g/時間;NaOH含量:水酸化ナトリウム溶液の総重量に対して、NaOH44重量%(ビスフェノールA 136.5g溶解用)
・第一のリアクター後の水酸化ナトリウム溶液:49.5g/時間;NaOH含量:水酸化ナトリウム溶液の総重量に対して、NaOH 44重量%
・連鎖停止剤BUP:3.594g/時間(50:50溶媒混合物140.2g/時間中)
・触媒EPP:0.677g/時間;(50:50溶媒6.2g/時間中)
・ホスゲン/ビスフェノールA:ビスフェノールAの量に対して、ホスゲン122mol%
・EPP/ビスフェノールA:ビスフェノールAの量に対して、EPP 1.0mol%
・BUP/ビスフェノールA:ビスフェノールAの量に対して、BUP 4.0mol%
・反応温度:34℃
・ポリカーボネート含量:上記溶媒に溶解された溶液の総重量に対して、ポリカーボネート15.0重量%
・第一リアクター後の連鎖停止剤の添加
連鎖停止剤の添加は、全実施例において、最終生成物に同程度の相対粘度(ηrel)が達成される様に行った。
【0144】
例1(比較例):
ポリカーボネートを図3における実験装置によって製造した。後反応(postreaction)用の四つの撹拌タンク(ポストリアクター(postreactors)NR1〜NR4)のドゥエルカスケードが接続されている図4によるガラスポンプ循環リアクターUR2を使用した。個々のリアクターにおいて、撹拌エレメントをモーターMによって駆動した。加えて、モーターMを有する二つのギアポンプが最終ポストリアクターNR4の前後に存在した。Naビスフェノレート溶液、上記溶媒中のホスゲンおよび水酸化ナトリウム溶液を連続的にポンプ循環リアクターに上記量で供給し、バルブV7.3を開けて循環によって逆混合した。ポンプ循環リアクターにおいて使用されるスターラーを、1000回転/分で作動した。ポンプ循環リアクターの出口において、反応混合物をポンプ循環リアクターから連続的に放出し、連鎖停止剤と混合し、後反応用の四つの撹拌タンクのドゥエルカスケード(図3に示す。)に通した。触媒を第三ポストリアクターNR3に供給した。
【0145】
例2(比較例):
例1における実験装置と同じ実験装置を使用したが、逆混合を阻止するためにポンプ循環リアクターUR2においてバルブV7.3は閉じた。結果として、ポンプ循環リアクターUR2は通常のノズルとして機能した。
【0146】
例3(本発明による):
例1におけるポンプ循環リアクターUR2の代わりに、図1による周辺ホイールポンプRMを使用した。他は、例1における実験装置と同じ実験装置を使用した(図5参照。)。Naビスフェノレート溶液、上記溶媒中のホスゲンおよび水酸化ナトリウム溶液を連続的にこのポンプRMに上記量で供給し、ブレードを備える回転周辺ホイールによって混合した。ポンプRMの出口において、反応混合物をポンプの内部から連続的に放出し、連鎖停止剤と混合し、後反応用の四つの撹拌タンクのドゥエルカスケード(図5中に示される。)に通した。触媒を第三ポストリアクターNR3に供給した。
【0147】
表1は、得られるポリカーボネートおよび生じる廃水のビスフェノールA(BPA)での汚染に関する結果を示す。

【0148】
相対溶液粘度ηrelは、溶媒ジクロロメタン中、濃度5g/lかつ温度25℃においてUbbelohde粘度計を使用して決定した。
【0149】
排水中のBPA含量を、BPAを用いる較正後にHPLCおよびUV検出(245nm)を用いて決定した。
【0150】
これらの結果は、ポンプ循環リアクターまたはシンプルなノズルを用いる常套の製造と比較して、本発明による特別のポンプ使用でBPAでの廃水汚染の実質的な減少を示している。従って、本発明による相界面法を行うと、ジフェノールの転化を完結させるためのホスゲンの増加および水酸化ナトリウム溶液添加は必要でない。従って、本発明によって行われる方法は、更に、既知の方法によるよりも経済的でもある。不均一性N(これは生じるポリカーボネートの分子量分布の広さの尺度である。)もまた、既知の方法によって得られる生成物と比較するとわずかに減少する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 有機相と水相とを連続的に混合する工程であって、前記有機相がポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはジアリールカーボネートに好適な溶媒およびホスゲンを含有し、かつ前記水相がジフェノールまたはモノフェノール、水、およびアルカリ溶液を含有する、工程;
(b) 前記ジフェノールまたはモノフェノールと前記ホスゲンとを、触媒の存在下において反応させてポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはアリールクロロホルメートもしくはジアリールカーボネートまたはアリールクロロホルメートとジアリールカーボネートとの混合物を生じる工程;および
(c) 前記ポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはアリールクロロホルメートもしくはジアリールカーボネートまたはアリールクロロホルメートとジアリールカーボネートとの混合物をリアクターにおいて追加のアルカリ溶液および要すれば連鎖停止剤および要すれば更なる触媒と反応させる工程;
を包含し、前記工程(a)における連続混合および前記工程(b)における反応がポンプにおいて行われ、前記ポンプが
−ステーター−ローターの原理によって作動し;
−温度調節可能であり;かつ
−前記有機相用の入口と前記水相用の入口を備え、要すれば触媒、連鎖停止剤、分枝剤、および/または追加のアルカリ溶液用の入口並びに前記ポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはアリールクロロホルメートもしくはジアリールカーボネートまたはアリールクロロホルメートとジアリールカーボネートとの混合物用の少なくとも一つの出口を備える、
ジフェノールまたはモノフェノール、ホスゲンおよび触媒から、要すれば少なくとも一種類の連鎖停止剤および/または分枝剤の存在下において、ポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはジアリールカーボネートを相界面法によって連続的に製造する方法。
【請求項2】
工程(c)において更なる触媒を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポンプが、追加のアルカリ溶液用の入口および前記ポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはアリールクロロホルメートもしくはジアリールカーボネートまたはアリールクロロホルメートとジアリールカーボネートとの混合物用の少なくとも一つの出口を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポンプが一以上のローターを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポンプが温度−5〜100℃に温度調節可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポンプが温度15〜80℃に温度調節可能である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポンプが温度25〜65℃に温度調節可能である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ジフェノールが式
HO−Z−OH
(式中、Zは炭素原子を6〜30個有する二価の有機基であり、かつ芳香族基を含む。)
のジフェノールである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ジフェノールが、ヒドロキノン、レソルシノール、ジヒドロキシビフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α,α’−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、ビス(ヒドロキシフェニル)フタルイミドまたはそれらのアルキル化、核アルキル化もしくは核ハロゲン化化合物である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ジフェノールが、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA(BPA))、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,3−ビス[2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、2−ヒドロキシカルビル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−インドール−2−オン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−インドール−2−オン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−N−メチル−フタルイミジン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−N−フェニルフタルイミジンまたは1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記モノフェノールが式(I)
【化1】

(式中、Rは、水素、ハロゲン、または分枝もしくは直鎖C〜C−アルキル基もしくはアルコキシカルボニル基である。)
のモノフェノールである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記モノフェノールが、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−n−オクチルフェノール、p−イソオクチルフェノール、p−n−ノニルフェノール、p−イソノニルフェノール、p−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、p−ブロモフェノール、2,4,6−トリブロモフェノール、メチルサリチレート、またはそれらの混合物である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記工程(a)および/または(b)におけるポンプが遠心ポンプである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記遠心ポンプが周辺ホイールポンプである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポンプがワンチャンバーまたはマルチチャンバー原理に従ってデザインされる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
−ステーター−ローター原理に従って作動し;
−温度調節可能であり;かつ
−有機相用の少なくとも一つの入口および水相用の少なくとも一つの入口を備える、
ポリカーボネートまたはジアリールカーボネートを相界面法によって連続的に製造するポンプ。
【請求項17】
前記ポンプが更に、連鎖停止剤、分枝剤、および/またはアルカリ溶液、および触媒用の入口並びにポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはアリールクロロホルメートもしくはジアリールカーボネートまたはアリールクロロホルメートとジアリールかボネートとの混合物用の少なくとも一つの出口を備える、請求項16に記載のポンプ。
【請求項18】
前記ポンプが(1)前記ポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはジアリールカーボネートに好適な溶媒およびホスゲンを含有する前記有機相とジフェノールまたはモノフェノール、水、およびアルカリ溶液を含有する前記水相との混合、並びに(2)ポリカーボネートもしくはコポリカーボネートまたはアリールクロロホルメートもしくはジアリールカーボネートまたはアリールクロロホルメートとジアリールカーボネートとの混合物を生じる前記ジフェノールまたは前記モノフェノールとホスゲンとの反応、を継続的に行う、請求項17に記載のポンプ。
【請求項19】
前記ポンプが遠心ポンプである、請求項18に記載のポンプ。
【請求項20】
前記遠心ポンプが周辺ホイールポンプである、請求項19に記載のポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−197229(P2009−197229A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−31280(P2009−31280)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】