説明

ポリサッカリドの化学的改質化方法

本発明は、機械装置および少なくとも1種の改質剤を用いて、ポリサッリドを化学的に改質化するための方法に関する。この方法は、ポリサッカリド成分をロールミルにより少なくとも1回処理をおこない、その際、少なくとも2個の隣接し、反転するローラーを異なる速度で回転させ、かつポリサッカリド成分を、機械的処理前および/または処理中に改質剤と一緒に混合させることを特徴とする。この方法において、典型的にはペクチン、イナゴマメ粉、グアーマメ粉およびアルギネートを、ポリサッカリド成分として使用し、かつエポキシド、アミンまたはカルボン酸誘導体を改質剤として使用する。機械的処理は、複数個のロールミル中で1〜3回に亘って繰り返され、隣接するローラーの好ましい回転速度は、典型的には200%ずつ異なっている。ポリサッカリドは、この場合、本発明による方法にしたがって、特に均質化された方法で、機械的に改質化され、好ましくは増粘剤、ゲル化剤、乳化剤、食品添加物、化粧品添加物ならびにヘアケア組成物および衣料用ケア組成物として使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、機械装置および少なくとも1種の改質剤を用いての、ポリサッカリドの化学的改質化方法に関する。
【0002】
化学的に改質化されたポリサッカリドは、多様な領域において広範囲に使用されている。最も知られた使用分野は、増粘剤、乳化剤、起泡安定化剤、分散剤、接着剤、サイズ剤、凝集剤、ヘアコンディショナー、建築材料添加剤およびソルベントである。
【0003】
ポリサッカリド成分を改質化する目的は、一般に溶解性の改善、特に高められたアルコール溶解性である。これはさらに、ポリサッカリドの乳化性を改善することができるか、および/または、その熱安定性を高めることができ;さらにキレート基または電荷基の導入は、化学的ポリサッカリド改質化の重要な点であってもよい。しかしながら、グラフト重合によって、さらに新規の特性を有するポリサッカリドを得ることができる。
【0004】
一般に、化学的に改質化されたポリサッカリドは、純粋な合成ポリマーに対して、生分解可能であるといった利点を有し、この場合、これは、特に新規生成物の開発に際し、相変わらず重要性を増している。
【0005】
ポリサッカリドの化学的改質化のための公知反応についての概要は、K. Engelskirchen ("Polysaccharid-Derivate", in "Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie", Band E20/Teil 3 Makromolekulare Stoffe, Georg Thieme Verlag 1987)に記載されている。
【0006】
ポリサッカリド誘導体化のための公知例として、クロロ酢酸またはクロロアセテートを用いてのカルボキシメチル化およびメチルハロゲン化物でのメチル化が挙げられる(D. Klemm et al"Comprehensive Cellulose Chemistry Volume 2", Wiley-VCH, 1998, S. 221-234参照)。しかしながらさらに、エチレンオキシドを用いてのヒドロキシエチル化、プロピレンオキシドを用いてのヒドロキシプロピル化(D. Klemm et al"Comprehensive Cellulose Chemistry Volume 2", Wiley-VCH, 1998, S. 235246参照)、アンモニアまたはアンモニア溶液を用いてのペクチンのアミド化、および酸、無水物または酸塩化物を用いてのエステル化は広く知られている。さらに、オルトホスフェートを用いてのホフェート化、エポキシド、オルガノハロゲン化合物、たとえばクロロヒドリン、またはミハエル受容体、たとえばアクリル酸誘導体を用いてのエーテル形成の広範囲の使用が見出された。挙げられた反応は、さらに触媒または反応体として作用する塩基、酸またはラジカル開始剤の存在下で実施することができる。
【0007】
一般に、ポリサッカリドを加水分解、酵素分解、熱分解または酸化分解することで、低分子量の生成物に、あるいは、逆に高分子量の生成物にすることが知られている。
【0008】
ポリサッカリドの化学的改質化のための挙げられた種々の反応は、特定のポリサッカリドに関して記載されているものではなく:むしろ、公知のすべてのポリサッカリド、たとえばペクチン、アルギネート、カラゲナン、ガラクトマンナン、たとえばイナゴマメ粉(Johannisbrokkernmahl)またはグアーマメ粉(Guarkernmahl)、澱粉およびセルロースが考慮の対象となる。さらに適した材料は、たとえばPilnikらにより引用されたポリサッカリド("Polysaccharide", in "Ullmanns Encyklopaedie der technischen Chemie", Bd. 19, Verlag Chemie Weinheim, 1980, S. 233-263)であり、これは、この開示の構成部分とみなされる。
【0009】
すべての挙げられた反応の際に、大部分のポリサッカリドの少ない溶解性および顕著な粘度増加の性質が今日まで欠点として挙げられており、それにより、化学的改質化は大工業的に困難であった。これらの問題を回避するために、反応は、大幅に希釈された溶液または懸濁液中で実施しなければならない。極めてわずかな特定の使用の場合にのみ、粉末状の出発材料を用いての固体反応が考慮の対象となる。
【0010】
US 4,758,282では、ガラクトマンナン、たとえばグアーを、アルキリデンエポキシドおよびアルカリ金属−またはアルカリ土類金属水酸化物を用いて、水および二酸化ケイ素の存在下で、いわゆる「乾燥」カチオン化するための方法が記載されている。技術的支援のために、これらの方法においては、プラウシェアミキサを使用することができる。澱粉および澱粉含有物質の匹敵する誘導体化については、US 4,785,087に記載されている。さらにこの場合においても、プラウシェアミキサを技術的支援のために用いる。
【0011】
澱粉のための溶剤不含の誘導体化方法は、Meuser et al . in Starch/Staerke 1990, 42(9), Seiten 330 bis 336に記載されている。ここで記載された方法は、押出機中の化学的改質化に役立ち、その際、カチオン澱粉およびカルボキシメチル澱粉を得ることができる。押出機の使用は、確かに専ら制限されてのみ使用可能であるが、それというのも極めて顕著な剪断力に加えて高い圧力および温度が生じるためであり、この場合、これは、熱に敏感な改質剤の使用を排除し、かつさらにはポリサッカリド骨格の分解をも招く。これらの望ましくない副反応は、DE 4344156 A中で、解重合ガラクトマンナンの製造に関連して記載されている。
【0012】
化学的改質化のための反応を水性溶液中で実施する場合には、大抵において、ポリサッカリドの極めて少ない置換の程度が達成され、それというのも、ポリサッカリドと反応可能な官能基の多くが、水と反応するためである。溶剤、この場合、これはポリサッカリドを溶解するもの、たとえばジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびピリジンは、大抵において毒性であり、環境的危険性および/または技術的問題がその取り扱いにおいて生じる。さらに、必要とされる大幅な希釈に基づき、極めて多量の溶剤が必要とされ、この場合、これは、方法を付加的に非経済的なものとする。
【0013】
これとは対照的に、懸濁液または固体反応中での反応は利点を示し、それというのも、これらの反応は、はるかに少ない溶剤量を要求するためである。これらの場合において、ポリサッカリドは完全に溶解するものではなくて、むしろ、わずかな溶剤量によって固体材料粒子の湿潤を達成し、これによって、引き続いて添加された化合物のポリサッカリド粒子中での拡散を可能にする。これに関する欠点は、ポリサッカリド粒子が改質剤により均一に浸透しないことであるが、この理由から、この変法を用いて、均質に置換された生成物を得ることができない。むしろ、この粒子の表面は、内部領域よりも顕著に強力に改質化され、これは、生成物の性質および反応全体の再現性における欠点となる。この問題は、改質剤の疎水基により顕著に生じる。これに関する他の態様は、全体的な工程がポリサッカリドの粒径によって強力に影響されることからなり、これによって、均一な反応制御がより困難となる。
【0014】
前記技術水準の欠点に基づいて、本発明は、ポリサッカリドを化学的に改質化する方法を提供し、この場合、この方法は、機械装置を用いて、かつ少なくとも1種の改質剤を用いて実施することができる。この新規方法を用いて、均一であると同時に再現可能な化学的改質化が可能であるが、但し、毒性および環境的に危険な溶剤および助剤を本質的に使用しない。好ましくは、この方法は、反応の型の広範囲のスペクトルに対して可能な限り万能に使用可能であり、かつ、使用される改質剤の種類は可能な限りわずかに制限される。
【0015】
本発明の課題は、ポリサッカリド成分を、少なくとも2個の隣接し、かつ反転するローラーを異なる速度で回転させ、かつポリサッカリド成分を、機械的処理前および/または処理中に、改質剤と混合させる処理を、ロールミルを用いて、少なくとも1回おこなうことを特徴とする、相当する方法によって解決される。
【0016】
驚くべきことに、この新規方法を用いて、好ましい化学的改質化が、誘導化の意味において、種々のポリサッカリド上で特に効率的に実施できることが確立され、その際、改質化の範囲は付加的に増加し、それというのも使用された改質剤については何ら制限がないためである。付加的に、専ら極めて少ない液体量が要求されることを確立し、その際、特に水を、環境的および経済的に好ましい溶剤として、通常の有機溶剤の代わりに使用することができる。方法は、疎水性であって水溶性ではない改質剤に関して特に有利であり、この場合、これを、水の存在下でポリサッカリドと一緒に混合し、かつ反応に使用できる。
【0017】
しかしながら、さらに驚くべきことに、ローラーを反転させることによる、相対的に強力な剪断力にもかかわらず、負の影響、たとえば技術水準により公知の押出機に由来するような影響は生じない。むしろ、本発明の場合には、この強力な剪断力は、これらの成分を溶液に完全に溶解させることなく、ポリサッカリド中への改質剤の最も均一な分散に寄与する。
【0018】
本発明による方法に関して、有利には、2個、3個または4個のロールミルを使用し、その際、技術的に特に有利には、3個のロールミルを使用することができる。
【0019】
経済上またはそれ以外の理由から、少ないローラーを備えた装置を提供するか、あるいは、処理工程において十分なホモジナイズが達成されていない場合には、機械的処理を、当然のことながら、さらに任意にしばしば繰り返すことができる。これに関連して、本発明は、特に機械的処理を1回から3回繰り返してもよい。
【0020】
特に、隣接するローラーが反転に運転され、その際、付加的に異なる反応速度を示すことは、本発明において本質的なことであるとみなされる。好ましくは、隣接するローラーの回転数は10〜500%ずつ異なっており、その際、100〜300%ずつが好ましく、かつ特に好ましくは200%ずつ異なっている。
【0021】
すでに示唆したように、ポリサッカリド成分は何ら制限されるものではない。この理由から、公知のすべての出発材料から出発することができ、その際、典型的には、ペクチン、ガラクトマンナン(特にイナゴマメ粉、グアーマメ粉、カッシアガラクトマンナン、タラガラクトマンナンまたはタマリードガラクトマンナン)、アルギネート、カラゲナン、キサンタン、シュレログルカン、澱粉、セルロース、ゼラチン、プルラン、キトサンおよびこれら任意の混合物の群からのものを好ましくは使用することができ、この場合、これは本発明において同様に考慮される。
【0022】
特定の使用において、請求された方法は、少なくとも1種の触媒の存在下で、機械的処理および同時に化学的改質化を実施することが有利であってもよい。この場合、一連の適切な化合物が提供され、その際、好ましくは塩基、酸またはラジカル開始剤を使用し、この場合、これらは、技術水準から公知である。これに関する使用量は、相対的に広範囲に選択することができるが、但し、下限として0.1質量%および上限として30質量%を維持すべきである。特に好ましくは、再度ポリサッカリド成分に対して0.5〜10質量%および特に1.0〜5.0質量%の触媒量で、請求された方法を実施する。
【0023】
触媒の使用は、特定の改質化反応のために必要であり、その際、触媒の種類および量は反応の型に強く依存する。
【0024】
以下に、本発明による方法に使用することができる特に適した改質剤を挙げる:
エポキシド、たとえばグリシドール誘導体、エポキシ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性第4級アンモニウム化合物(たとえば、2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、Quab(R) 151)およびアルキレンオキシドを、塩基性触媒の存在下で、ポリサッカリドのヒドロキシ基と一緒に反応させ、エーテルを形成する。カルボン酸官能基を有するポリサッカリド(たとえばアルギネート、低分子量エステル化ペクチンおよびキサンタン)をエポキシドと一緒に、触媒の不在下で反応させて、カルボン酸エステルにする。
【0025】
ポリサッカリドのエーテル化のためにさらに適しているのは、アルキルハロゲン化物および誘導体、たとえばアルキルクロリド、クロロ酢酸およびその塩、ハロゲンヒドリン、たとえばエピクロロヒドリンまたは3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(Quab(R) 188)、モノ−およびジ−アルキルスルフェートを、さらにミハエル受容体、たとえばアクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド、マレアミド酸(たとえば、N−オクタデシルマレアミド酸)ならびにそのエステルまたは誘導体である。これに関して、場合によっては触媒量または化学量論量の塩基を使用することが必要であってもよい。
【0026】
カルボン酸およびその誘導体は、同様に好ましい改質剤であり、この場合、これは、ポリサッカリドと反応してエステルを形成することができる。これに関して適しているのは、特に酸塩化物または脂肪酸の無水物、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水酢酸またはアセチルクロリドである。
【0027】
ペクチンは、カルボン酸エチルエステル官能基を含有し、この場合、これは、アンモニアまたは第1級または第2級のアルキル−またはアリールアミンで官能化することができ、アミドを生じる。アンモニアまたはアンモニア溶液に加えて、特に、長鎖のアルキルアミン、たとえば脂肪酸アミンが重要である。
【0028】
当然のことながら、さらに、前記薬剤または相当する化合物の適した混合物を使用することが可能であるが、但し、これらが互いにおよび場合により使用される触媒および場合により使用される触媒および反応条件と適合することを前提とする。
【0029】
本発明による方法は、改質剤を、ポリサッカリド成分に対して0.1〜300質量%の量で使用する場合には特に良好に実施することができ、その際、量は、1.0〜150質量%、特に10〜100質量%および特に好ましくは20〜50質量%が特に適している。改質剤の必要量は、当然のことながら、生成物の望ましい置換の程度および反応収量および改質剤の選択性に依存し、この理由から、適した量は、個々の場合において測定されるべきである。
【0030】
しかしながら請求に係る方法が、専ら最小量の液体のみを要求することは驚異的であるが、必要である場合には、使用されたポリサッカリドおよび特定の改質剤に依存して、付加的な助剤を機械的処理中に添加してもよい。第1の例として挙げられてもよい付加的な助剤についての好ましい典型的な例は水であるが;しかしながら、油、アルコール、ポリオール、ポリグリコール、ポリグリコールエーテル、ボラートおよび熱分解法シリカまたは沈降シリカを使用することができる。これに関して、ポリサッカリド成分に対して1〜50質量%の量は、特に好ましい。
【0031】
本発明による方法を用いて達成することができる化学的改質化の質は、付加的に、反応温度を選択することにより左右されてもよい。本発明による方法の前記利点は、特に0〜150゜の温度を選択した場合に顕著であり、その際、特定の温度は、少なくとも1個のローラーを加熱および/または冷却することにより確立される。しかしながら、二者択一的にまたは付加的に、反応混合物は、特定の機械的処理後に加熱または冷却することができ、場合によっては、さらに好ましくは0〜5barの超大気圧下で実施する。
【0032】
必要である場合には、当然のことながら付加的な溶剤を使用することができ、これに関しては、特に、出発材料の化学的組成および構造を考慮するが、水が適しているとされる。付加的な溶剤量は、好ましくは70質量%未満であるべきであり、その際、50質量%未満がさらに好ましく、かつ30質量%未満が特に好ましい。付加的な溶剤のそれぞれの量は、反応混合物の全量に対する。
【0033】
前記方法に加えて、本発明はさらに、この方法により製造される改質化されたポリサッカリドの相対的に広範囲の適用スペクトルにおける使用を請求する。ここで、本発明によれば、増粘剤、ゲル化剤、乳化剤、食品添加物、化粧品添加物、建築材料添加物、ヘアトリートメントまたはヘアアフタートリートメント組成物または衣料用ケア組成物を考慮することができる。
【0034】
本発明による方法によれば、ポリサッカリドを簡単な方法で、たとえば高い温度および圧力による負の影響を受けることはなく、均一に、化学的に改質化することが可能である。同様に剪断力は、本発明による方法において、ほぼ均一な混合をもたらし、その際、これは専ら短時間に生じ、かつこれに関して生じる熱は、大きいローラー表面により極めて効率的に放散される。簡単かつ効率的な方法は、特定のポリサッカリドに制限されることなく、かつこの方法は、工程条件の選択および助剤または許容可能な溶剤の添加により、容易に特定の適用の場合に適合させることができる。
【0035】
図1は、請求された方法を例証する。示された態様において、改質化は、反転するローラー(1、2、3)を用いておこなわれ、その回転速度は、それぞれの場合において3倍異なる。ポリサッカリドおよび改質剤の混合物(4)は、第1ローラー(1)と第2ローラー(2)との間に適用され、かつスクレーパー(5)を用いて第3ローラー(3)から除去される。
【0036】
以下の例は、本発明による方法の利点を例証する。
【0037】
実施例
例1:
50gのイナゴマメ粉を、50mlの蒸留水中1.5gの水酸化ナトリウムの溶液と一緒に混合し、かつ3個のロールミル上で2回に亘ってホモジナイズした。それぞれ隣接するローラーは、その回転数により200%ずつ異なっており、その際、ローラーの絶対回転数はローラー1に対しては0.14m/秒、ローラー2に対しては0.42m/秒であり、かつ、ローラー3に対しては1.25m/秒であった。20gのビス−エポキシ−ポリジメチルシロキサンを添加し、かつこの混合物を、再度2回に亘って、3個のロールミル上で、同一条件下でホモジナイズした。この生成物は、4時間に亘って、密閉容器中で105℃に加熱し、300mlの66%のイソプロパノール中に、ウルトラターラックスを用いて分散させ、かつ10%のHClを用いてpH7.0に調整した。固体を吸引濾過し、300mlのイソプロパノールを用いて洗浄し、かつ乾燥容器中で、60℃で乾燥させた。置換の程度は、NMRに引き続いてのDC1/DOでの加水分解により、モノサッカリド単位あたり0.001ポリジメチルシロキサン単位として測定された。
【0038】
例2:
100gのスローセットペクチン(DE61.5)を、43mlの25%濃度のアンモニウム溶液、70mlの蒸留水および38mlのイソプロパノールからなる混合物と粗混合し、かつ、10℃で3個のロールミル上で10℃でホモジナイズした。それぞれ隣接するローラーは、その回転数により200%ずつ異なっており、その際、ローラーの絶対回転数はローラー1に対して0.14m/秒、ローラー2に対して0.42m/秒であり、かつローラー3に対して1.25m/秒であった。生成物は、4時間に亘って放置し、その後に50%のイソプロパノール中に入れ、吸引濾過し、300mlの50%イソプロパノールを用いて洗浄し、かつ乾燥させた。この生成物は、アミド化の程度(DA)22およびDE29を有していた。
【0039】
例3:
40gのヒドロキシプロピルグアーを、7mlの水中の0.4gの水酸化ナトリウムおよび16gのグリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(水中70%溶液)の溶液と混合し、3個のローラー上を通過させた。それぞれ隣接するローラーは、その回転数において200%ずつ異なっており、その際、絶対回転数はローラー1に対して0.14m/秒であり、ローラー2に対しては0.42m/秒であり、かつローラー3に対して1.25m/秒であった。混合物は、20時間に亘って50℃で加熱し、引き続いてイソプロパノール中に懸濁し、クエン酸で中和し、かつ固体を吸引濾過した。生成物を、乾燥容器中で100℃に乾燥し、かつ粉砕した。生成物の置換の程度は、モノサッカリド単位あたり0.18のヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム基であった。
【0040】
例4:
10gのグアーマメ粉を、15mlの蒸留水中3gの水酸化ナトリウムの溶液と一緒に混合し、かつ2回に亘って3個のロールミル上を通過させた。それぞれ隣接するローラーは、その回転数において200%ずつ異なっており、その際、絶対回転数はローラー1に対して0.14m/秒であり、ローラー2に対しては0.42m/秒であり、かつローラー3に対して1.25m/秒であった。得られた黄色がかった材料を、1時間に亘って室温で貯蔵し、その後に7.3gのN−オクタデシルマレインアミド酸(HOOC-CH=CH-CONH-C18H37)と混合し、かつ再度2回に亘って、3個のロールミル上で、別記しない限り同一の条件下でホモジナイズした。この生成物を、4時間に亘って、密閉容器中で、60℃で加熱し、100mlの60%のイソプロパノール中に入れ、ウルトラターラックスを用いて分散させ、かつ懸濁液を10%のHClでpH7.0に調整した。この固体を、ガラスフリット上で濾過し、かつ乾燥容器中で60℃で乾燥させた。この生成物は、新規の強力なIR吸収を、1641cm−1ならびに2919および2849cm−1で、それぞれ導入された置換基のC=OまたはC−Hの伸縮振動の特徴を有していた。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による方法の好ましい態様を示す図
【符号の説明】
【0042】
1 第1ローラー、 2 第2ローラー、 3 第3ローラー、 4 ポリサッカリドと改質剤との混合物、 5 スクレーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械装置および少なくとも1種の改質剤を用いて、ポリサッカリド成分を化学的に改質化する方法において、ポリサッカリド成分を、少なくとも1回、ロールミルを用いて機械的に処理し、その際、少なくとも2個の隣接し、かつ反転するローラーを異なる速度で回転させ、かつポリサッカリド成分を、機械的処理前および/または処理中に改質剤と混合することを特徴とする、機械装置および少なくとも1種の改質剤を用いて、ポリサッカリド成分を化学的に改質化する方法。
【請求項2】
2個、3個または4個のロールミルを使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
機械的処理を1回から3回に亘って繰り返す、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
隣接するローラーの回転数が10〜500%ずつ、好ましくは100〜300%ずつ、特に好ましくは200%ずつ異なる、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ポリサッカリド成分を、ペクチン、ガラクトマンナン、アルギネート、アガー、カラゲナン、キサンタン、スクレログルカン、澱粉、セルロース、ゼラチン、プルランまたはキトサンまたはこれら化合物の群から選択する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ポリサッカリド成分が、イナゴマメ粉、グアーマメ粉、タラガラクトマンナン、カッシアガラクトマンナン、タマリードガラクトマンナンから成る群からのガラクトマンナンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
改質剤が、エポキシド、アルキルハロゲン化物、クロロ酢酸、クロロアセテート、ハロヒドリン、モノ−およびジアルキルスルフェート、アンモニア、第1級または第2級アルキル−またはアリールアミン、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド、マレアミド酸誘導体、カルボン酸、カルボニル塩化物、カルボン酸無水物およびこれらの化合物の混合物の群から選択される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
改質剤を、ポリサッカリド成分に対して0.1〜300質量%の量で使用する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
機械的処理において、水、油、アルコール、ポリオール、ポリグリコール、ポリグリコールエーテル、ボラートおよび熱分解法シリカまたは沈降シリカの群からの助剤を付加的に使用する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
助剤を、ポリサッカリド成分に対して1〜50質量%の量で使用する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
機械的処理を、少なくとも1種の触媒の存在下で実施し、その際、触媒量は、ポリサッカリド成分に対して0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜10質量%および特に好ましくは1.0〜5.0質量%の量で使用する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
触媒を、塩基、酸およびラジカル開始剤の群から選択する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
0〜150℃の温度で実施し、その際、この温度は、少なくとも1個のローラーを加熱および/または冷却することによってか、および/または、機械的処理後の反応混合物の加熱または冷却によって調整する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
溶剤、好ましくは水を付加的に添加する、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
溶剤を、反応混合物の全量に対して70質量%未満、好ましくは50質量%未満および特に好ましくは30質量%未満の量で使用する、請求項14に記載の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2008−540721(P2008−540721A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509447(P2008−509447)
【出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062020
【国際公開番号】WO2006/117386
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】