説明

ポリサルファイド系硬化型組成物

【課題】プライマーなしでガラスへの接着性の良好なシーリング材が得られるポリサルファイド系硬化型組成物を提供する。
【解決手段】有機ケイ素化合物を含有し、有機ケイ素化合物が、分子内に、1個以上のケイ素−酸素結合と、1〜10個の硫黄原子と、を有し、かつ、ケイ素原子から原子数で3〜8個離れた位置に窒素原子を1個以上有するポリサルファイド系硬化型組成物である。有機ケイ素化合物のケイ素−酸素結合の数が1〜6個であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリサルファイド系硬化型組成物に関し、詳しくはプライマーなしでガラスへの接着性の良好なシーリング材が得られるポリサルファイド系硬化型組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、シーリング材には、主として変性シリコーン系、ウレタン系、シリコーン系、ポリサルファイド系の4種があり、適材適所にて使い分けがなされている。これらのうち、特にポリサルファイド系シーリング材は複素ガラス等のガラス被着体に使用される。
【0003】
かかるポリサルファイド系シーリング材に使用されるポリサルファイド系硬化型組成物として、例えば、特許文献1には、分子内に2個以上のチオール基を有するポリサルファイドポリマー(A)と、過ホウ酸ナトリウムおよびベンゾチアゾールスルフェンアミド類を含有する硬化剤成分(B)と、を含むポリサルファイド硬化型組成物が、開示されている。これにより、白色系シーラントが可能で、低温でも良好な硬化特性を示し、屋外に暴露しても長期間チョーキングや亀裂、しわ等を生じず、良好な耐熱物性と優れたゴム弾性とを有する、ポリサルファイド硬化型組成物のシーリング材を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−302969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図4は、従来のシーリング材と被着体との接着を示す断面図である。図4に示すように、従来のシーリング材1においては、複素ガラス等の被着体2との接着性を保つためには、プライマー5を使用する必要がある。そのため、プライマー5を塗布する工程が必要であり、施工時間の短縮のため、プライマー塗布の必要がないシーリング材1が強く望まれている。
【0006】
そこで本発明の目的は、プライマーなしでガラスへの接着性の良好なシーリング材が得られるポリサルファイド系硬化型組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリサルファイド系シーリング材に使用されるポリサルファイド系硬化型組成物中に、特定の有機ケイ素化合物を含有することで、プライマーなしでガラスへの接着性の良好なシーリング材が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明のポリサルファイド系硬化型組成物は、有機ケイ素化合物を含有し、
前記有機ケイ素化合物が、分子内に、1個以上のケイ素−酸素結合と、1〜10個の硫黄原子と、を有し、かつ、ケイ素原子から原子数で3〜8個離れた位置に窒素原子を1個以上有することを特徴とするものである。
【0009】
本発明のポリサルファイド系硬化型組成物は、前記ケイ素−酸素結合の数が1〜6個であることが好ましい。
【0010】
また、本発明のポリサルファイド系硬化型組成物は、前記有機ケイ素化合物が、下記一般式(I)、

[式中、Aは、下記一般式(II)、

又は式(III)、

で表わされ、
式(I)及び式(II)中のR、R及びRは、少なくとも一つが下記一般式(IV)、

又は式(V)、

(式中、Mは−O−又は−CH−で、X及びYはそれぞれ独立して−O−、−NR−又は−CH−で、Rは−OR、−NR又は−Rで、Rは−NR、−NR−NR又は−N=NRで、但し、Rは−C2n+1であり、Rは−C2q+1であり、l、m、n及びqはそれぞれ独立して0〜10である)で表わされ、その他が−M−C2l+1(ここで、M及びlは上記と同義である)で表わされ、但し、R、R及びRの一つ以上はMが−O−であり、
は下記一般式(VI)、

又は式(VII)、

(式中、M、X、Y、R、l及びmは上記と同義であり、R10は−NR−、−NR−NR−又は−N=N−で、但し、Rは上記と同義である)或いは−M−C2l−(ここで、M及びlは上記と同義である)で表され、
式(III)中のRは上記一般式(IV)又は式(V)或いは−C2l−R11(ここで、R11は−NR、−NR−NR、−N=NR又は−M−C2m+1であり、但し、R、R、M、l及びmは上記と同義である)で表わされ、xは1〜10である]で表わされることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明のポリサルファイド系硬化型組成物は、前記有機ケイ素化合物が、下記一般式(VIII)、

[式中、Aは、下記一般式(IX)、

又は式(III)、

で表わされ、
式(VIII)及び式(IX)中のWは−NR−、−O−又は−CR15−(ここで、R15は−R又は−C2m−Rであり、但し、Rは−NR、−NR−NR又は−N=NRであり、Rは−C2n+1で、Rは−C2q+1で、m、n及びqはそれぞれ独立して0〜10である)で表わされ、
12及びR13はそれぞれ独立して−M−C2l−(ここで、Mは−O−又は−CH−で、lは0〜10である)で表わされ、
14は−M−C2l+1又は−M−C2l−R(ここで、M、R及びlは上記と同義である)で表わされ、但し、R12、R13及びR14の一つ以上はMが−O−であり、
は下記一般式(VI)、

又は式(VII)、

(式中、M、l及びmは上記と同義であり、X及びYはそれぞれ独立して−O−、−NR−又は−CH−で、Rは−OR、−NR又は−Rで、R10は−NR−、−NR−NR−又は−N=N−であり、但し、R及びRは上記と同義である)或いは−M−C2l−(ここで、M及びlは上記と同義である)で表され、
式(III)中のRは下記一般式(IV)、

又は式(V)、

(式中、M、X、Y、R、R、l及びmは上記と同義である)或いは−C2l−R11(ここで、R11は−NR、−NR−NR、−N=NR又は−M−C2m+1であり、但し、R、R、M、l及びmは上記と同義である)で表わされ、xは1〜10である]で表わされることが好ましい。
【0012】
さらにまた、本発明のポリサルファイド系硬化型組成物は、前記Mが−O−であることが好ましい。
【0013】
また、本発明のポリサルファイド系硬化型組成物は、前記R、R及びRは、少なくとも一つが−O−C2l−R(ここで、R及びlは上記と同義である)で表わされ、その他が−O−C2l+1(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記Rが−C2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記Rが−C2l−R11(ここで、R11及びlは上記と同義である)で表わされることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明のポリサルファイド系硬化型組成物は、前記R、R及びRは、少なくとも一つが−O−C2l−NR(ここで、R、R及びlは上記と同義である)で表わされ、
前記Rが−C2l+1(ここで、lは上記と同義である)で表わされることが好ましい。
【0015】
また、本発明のポリサルファイド系硬化型組成物は、前記Wが−NR−(ここで、Rは上記と同義である)で表わされ、
前記R12及びR13がそれぞれ独立して−O−C2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記R14は−O−C2l−R(ここで、R及びlは上記と同義である)で表わされ、
前記Rが−C2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記Rが−C2l+1(ここで、lは上記と同義である)で表わされることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明のポリサルファイド系硬化型組成物は、前記Wが−O−又は−CR−(ここで、R及びRは上記と同義である)で表わされ、
前記R12及びR13がそれぞれ独立して−O−C2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記R14は−O−C2l−NR(ここで、R、R及びlは上記と同義である)で表わされ、
前記Rが−C2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記Rが−C2l+1(ここで、lは上記と同義である)で表わされることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記構成としたことにより、プライマーなしでガラスへの接着性の良好なシーリング材が得られるポリサルファイド系硬化型組成物を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】試験体サンプルを示す断面図である。
【図2】凝集破壊を示す断面図である。
【図3】界面破壊を示す断面図である。
【図4】従来のシーリング材と被着体との接着を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明のポリサルファイド系硬化型組成物は、有機ケイ素化合物を含有し、有機ケイ素化合物が、分子内に、1個以上のケイ素−酸素結合(Si−O)と1〜10個の硫黄原子(S)とを有し、且つケイ素原子(Si)から原子数で3〜8個離れた位置に窒素原子(N)を1個以上有することを特徴とするものである。該有機ケイ素化合物は、分子構造中のケイ素原子(Si)から3〜8原子離れた位置に、複素ガラス等の被着体との親和性が高いアミノ基、イミノ基、置換アミノ基、置換イミノ基等の含窒素官能基を含むため、窒素原子の非共有電子対が、複素ガラス等の被着体との接着性に関与でき、これにより、プライマーなしでガラスへの接着性の良好なシーリング材を得ることができる。
【0020】
なお、ケイ素原子(Si)と窒素原子(N)との間の原子数が3個未満又は8個を超えると、複素ガラス等の被着体との十分な接着性が得られず、プライマーなしでガラスへの接着性の良好なシーリング材を得ることができなくなる。
【0021】
また、本発明において、有機ケイ素化合物は、上記ケイ素−酸素結合(Si−O)を1〜6個有することが好ましく、この場合、複素ガラス等の被着体とのより良好な接着性が得られ、プライマーなしでガラスへの接着性のより良好なシーリング材を得ることができる。
【0022】
本発明において、有機ケイ素化合物として、より具体的には、上記一般式(I)で表わされる化合物及び上記一般式(VIII)で表わされる化合物が好ましい。これら有機ケイ素化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
<式(I)の化合物>
上記一般式(I)において、Aは、上記一般式(II)又は式(III)で表わされ、xは1〜10である。ここで、xは2〜4の範囲が好ましい。
【0024】
上記式(I)及び(II)において、R、R及びRは、少なくとも一つが上記一般式(IV)又は式(V)で表わされ、その他が−M−C2l+1(ここで、Mは−O−又は−CH−であり、lは0〜10である)で表わされる。但し、R、R及びRの一つ以上は、Mが−O−である。なお、−C2l+1は、lが0〜10であるため、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。ここで、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。
【0025】
上記式(IV)及び(V)において、Mは−O−又は−CH−であり、lは0〜10である。また、上記式(IV)において、mは0〜10である。
【0026】
上記式(IV)において、X及びYは、それぞれ独立して−O−、−NR−又は−CH−である。ここで、Rは−C2n+1であり、nは0〜10である。なお、−C2n+1は、nが0〜10であるため、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。ここで、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。
【0027】
上記式(IV)において、Rは、−OR、−NR又は−Rである。ここで、Rは−C2n+1であり、Rは−C2q+1であり、n及びqはそれぞれ独立して0〜10である。なお、−C2n+1については、上述の通りであり、−C2q+1は、qが0〜10であるため、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。ここで、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。
【0028】
上記式(V)において、Rは、−NR、−NR−NR又は−N=NRである。ここで、Rは−C2n+1であり、Rは−C2q+1であり、n及びqはそれぞれ独立して0〜10である。なお、−C2n+1及び−C2q+1については、上述の通りである。
【0029】
また、上記式(I)及び(II)において、Rは、上記一般式(VI)又は式(VII)、或いは−M−C2l−で表わされ、特には−C2l−で表わされることが好ましく、ここで、Mは−O−又は−CH−であり、lは0〜10である。なお、−C2l−は、lが0〜10であるため、単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基である。ここで、炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が挙げられ、該アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。
【0030】
上記式(VI)及び(VII)において、Mは−O−又は−CH−であり、l及びmは0〜10である。また、上記式(VI)において、X及びYはそれぞれ独立して−O−、−NR−又は−CH−であり、Rは−OR、−NR又は−Rである。なお、R及びRについては、上述の通りである。更に、上記式(VII)において、R10は、−NR−、−NR−NR−又は−N=N−であり、ここで、Rは−C2n+1であり、−C2n+1については、上述の通りである。
【0031】
また、上記式(III)中のRは、上記一般式(IV)又は式(V)、或いは−C2l−R11で表わされ、特には−C2l+1で表わされることが好ましく、ここで、R11は、−NR、−NR−NR、−N=NR又は−M−C2m+1であり、但し、R、R、M、l及びmは上記と同義である。なお、−C2l−及び−C2l+1については上述の通りであり。また、−C2m+1は、mが0〜10であるため、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、ここで、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。
【0032】
上記式(I)の化合物において、Mは−O−(酸素)であることが好ましい。この場合、Mが−CH−である化合物と比べて複素ガラス等の被着体との接着性が高い。
【0033】
また、上記式(I)の化合物において、上記R、R及びRは、少なくとも一つが−O−C2l−Rで表わされ、その他が−O−C2l+1で表わされることが好ましく、上記Rは−C2l−で表わされることが好ましく、上記Rは−C2l−R11で表わされることが好ましい。
【0034】
更に、上記式(I)の化合物において、上記R、R及びRは、少なくとも一つが−O−C2l−NRで表わされることが更に好ましく、上記Rは−C2l−で表わされることが好ましく、上記Rは−C2l+1で表わされることが更に好ましい。
【0035】
<式(VIII)の化合物>
上記一般式(VIII)において、Aは、上記一般式(IX)又は式(III)で表わされ、xは1〜10である。ここで、xは2〜4の範囲が好ましい。
【0036】
上記式(VIII)及び(IX)において、Wは、−NR−、−O−又は−CR15−で表わされ、ここで、R15は−R又は−C2m−Rであり、但し、Rは−NR、−NR−NR又は−N=NRであり、Rは−C2n+1で、Rは−C2q+1で、m、n及びqはそれぞれ独立して0〜10である。なお、−C2m−は、mが0〜10であるため、単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基である。ここで、炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が挙げられ、該アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。また、−C2n+1及び−C2q+1は、n及びqが0〜10であるため、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。ここで、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。
【0037】
上記式(VIII)及び(IX)において、R12及びR13はそれぞれ独立して−M−C2l−で表わされ、R14は−M−C2l+1又は−M−C2l−Rで表わされ、ここで、Mは−O−又は−CH−であり、Rは−NR、−NR−NR又は−N=NRであり、Rは−C2n+1で、Rは−C2q+1で、l、n及びqはそれぞれ独立して0〜10である。但し、R12、R13及びR14の一つ以上は、Mが−O−である。なお、−C2l−は、lが0〜10であるため、単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基であり、ここで、炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が挙げられ、該アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。また、−C2l+1は、lが0〜10であるため、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、ここで、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。なお、−C2n+1及び−C2q+1については、上述の通りである。
【0038】
また、上記式(VIII)及び(IX)において、Rは上記一般式(VI)又は式(VII)、或いは−M−C2l−で表わされ、特には−C2l−で表わされることが好ましく、ここで、Mは−O−又は−CH−であり、lは0〜10である。なお、−C2l−については、上述の通りである。
【0039】
上記式(VI)及び(VII)において、Mは−O−又は−CH−であり、l及びmは0〜10である。また、上記式(VI)において、X及びYはそれぞれ独立して−O−、−NR−又は−CH−であり、Rは−OR、−NR又は−Rであり、ここで、Rは−C2n+1で、Rは−C2q+1である。更に、上記式(VII)において、R10は、−NR−、−NR−NR−又は−N=N−であり、ここで、Rは−C2n+1である。なお、−C2n+1及び−C2q+1については、上述の通りである。
【0040】
また、上記式(III)中のRは、上記一般式(IV)又は式(V)、或いは−C2l−R11で表わされ、特には−C2l+1で表わされることが好ましく、ここで、R11は、−NR、−NR−NR、−N=NR又は−M−C2m+1であり、但し、R、R、M、l及びmは上記と同義である。なお、−C2l−及び−C2l+1については、上述の通りであり、また、−C2m+1は、mが0〜10であるため、水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、ここで、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。
【0041】
上記式(VIII)の化合物において、Mは−O−(酸素)であることが好ましい。この場合、Mが−CH−である化合物と比べて複素ガラス等の被着体との接着性が高い。
【0042】
また、上記Wが−NR−で表わされる場合、上記R12及びR13はそれぞれ独立して−O−C2l−で表わされることが好ましく、上記R14は−O−C2l−Rで表わされることが好ましく、上記Rは−C2l−で表わされることが好ましく、上記Rは−C2l+1で表わされることが好ましい。
【0043】
一方、上記Wが−O−又は−CR−で表わされる場合、上記R12及びR13はそれぞれ独立して−O−C2l−で表わされることが好ましく、上記R14は−O−C2l−NRで表わされることが好ましく、上記Rは−C2l−で表わされることが好ましく、上記Rは−C2l+1で表わされることが好ましい。
【0044】
<有機ケイ素化合物の合成方法>
本発明において、有機ケイ素化合物は、例えば、上記一般式(I)で表わされ、R、R及びRが−M−C2l+1で表わされ、R、R及びR中のMの一つ以上が−O−である化合物に対し、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、2−(ジメチルアミノ)プロパノール、2−(ジエチルアミノ)プロパノール、N−メチルジエタノールアミン等のアミン化合物を加え、更に触媒としてp−トルエンスルホン酸、塩酸等の酸や、チタンテトラn−ブトキシド等チタンアルコキシドを添加し、加熱して、R、R及びRの一つ以上を式(IV)又は式(V)で表わされる一価の窒素含有基で置換、或いはR及びRを−R12−W−R13−で表わされる二価の窒素含有基で置換することで合成できる。
【0045】
<有機ケイ素化合物の具体例>
本発明において、有機ケイ素化合物として、具体的には、3−オクタノイルチオ−プロピル(モノジメチルアミノエトキシ)ジエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−プロピル(ジジメチルアミノエトキシ)モノエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−プロピルトリジメチルアミノエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−プロピル(モノジエチルアミノエトキシ)ジエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−プロピル(モノジメチルアミノプロピロキシ)ジエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−プロピル(モノジエチルアミノプロピロキシ)ジエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−プロピル(エトキシ)1,3−ジオキサ−5−メチルアザ−2−シラシクロヘキサン、3−オクタノイルチオ−プロピル(エトキシ)1,3−ジオキサ−5−エチルアザ−2−シラシクロヘキサン、3−オクタノイルチオ−プロピル(エトキシ)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロヘキサン、3−オクタノイルチオ−プロピル(エトキシ)1,3−ジオキサ−6−エチルアザ−2−シラシクロヘキサン、ビス(3−(モノジメチルアミノエトキシ)ジエトキシシリル−プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(ジジメチルアミノエトキシ)モノエトキシシリル−プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリジメチルアミノエトキシ)シリル−プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(モノジメチルアミノエトキシ)ジエトキシシリル−プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(モノジエチルアミノエトキシ)ジエトキシシリル−プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(モノジメチルアミノプロピロキシ)ジエトキシシリル−プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(モノジエチルアミノプロピロキシ)ジエトキシシリル−プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(モノジメチルアミノエトキシ)ジエトキシシリル−プロピル)テトラスルフィド、ビス(3−(ジジメチルアミノエトキシ)モノエトキシシリル−プロピル)テトラスルフィド、ビス(3−(トリジメチルアミノエトキシ)シリル−プロピル)テトラスルフィド、ビス(3−(モノジメチルアミノエトキシ)ジエトキシシリル−プロピル)テトラスルフィド、ビス(3−(モノジエチルアミノエトキシ)ジエトキシシリル−プロピル)テトラスルフィド、ビス(3−(モノジメチルアミノプロピロキシ)ジエトキシシリル−プロピル)テトラスルフィド、ビス(3−(モノジエチルアミノプロピロキシ)ジエトキシシリル−プロピル)テトラスルフィド、ビス(3−(エトキシ)1,3−ジオキサ−5−メチルアザ−2−シラシクロヘキシル−プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(エトキシ)1,3−ジオキサ−5−エチルアザ−2−シラシクロヘキシル−プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(エトキシ)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロヘキシル−プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(エトキシ)1,3−ジオキサ−6−エチルアザ−2−シラシクロヘキシル−プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(エトキシ)1,3−ジオキサ−5−メチルアザ−2−シラシクロヘキシル−プロピル)テトラスルフィド、ビス(3−(エトキシ)1,3−ジオキサ−5−エチルアザ−2−シラシクロヘキシル−プロピル)テトラスルフィド、ビス(3−(エトキシ)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロヘキシル−プロピル)テトラスルフィド、ビス(3−(エトキシ)1,3−ジオキサ−6−エチルアザ−2−シラシクロヘキシル−プロピル)テトラスルフィドが挙げられる。
【0046】
本発明において、ポリサルファイド系硬化型組成物中に、有機ケイ素化合物を2〜20質量部含有することが好ましい。かかる範囲で、有機ケイ素化合物をポリサルファイド系シーリング材の基材であるポリサルファイド系硬化型組成物に配合することで、ガラス面に対しプライマー無しでより良好に接着が可能となる。
【0047】
本発明において、ポリサルファイド系硬化型組成物は、ポリサルファイド系化合物を含み、本発明の所期の効果が得られるものであれば限定されない。
【0048】
例えば、ポリサルファイド系硬化型組成物は、分子内に2個以上のチオール基を有するポリサルファイドポリマー(A)と、過ホウ酸ナトリウムおよびベンゾチアゾールスルフェンアミド類を含有する硬化剤成分(B)と、を含むことが、好ましい。
【0049】
本発明において使用する、分子内に2個以上のチオール基を有するポリサルファイドポリマー(A)は、例えば、次式、
HS(R1616SH
(式中、R16は炭素数2〜20の2価の脂肪族基および/または脂肪族エーテル基、xは1〜5の整数でその平均は2、nは5〜50の整数である)で表され、R16の具体例としては、−CHCH−、−CHCHOCHCH−、−CHCHCH−、−CHCHOCHOCHCH−、−CHCHOCHCHOCHCH−、−COC−、−COCHOC−等が挙げられる。かかるポリサルファイドポリマーは既知の方法によって製造することができる。また、ポリサルファイドポリマー(A)は、主鎖中に−(R17O)−(R17は炭素数2〜4のアルキレン基、mは6〜200の整数を示す)で表せるエーテル部分を有していてもよく、またチオール基が−SSiR181920(R18、R19およびR20は炭素数1〜6のアルキル基、アリール基またはハロゲン化アルキル基である)で表されるシリルチオ基に変換されたシリル化ポリサルファイドポリマーであってもよい。
【0050】
次に、過ホウ酸ナトリウムおよびベンゾチアゾールスルフェンアミド類を含有する硬化剤成分(B)について説明する。本発明で使用するベンゾチアゾールスルフェンアミド類は、次式、

(式中、R21、R22は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、または脂肪族、芳香族若しくは脂環式炭化水素を示すか、あるいはR21とR22とが一体となってヘテロ環を形成してもよい)で表され、具体例としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどが挙げられる。使用する量はポリサルファイドポリマー100質量部に対して0.5〜10質量部、好ましくは1.5〜5質量部である。
【0051】
本発明において、使用する過ホウ酸ナトリウムは、ポリサルファイドポリマー100質量部に対して1〜10質量部、好ましくは3〜7質量部である。これ以上では硬化速度は速くなるものの発泡などにより物性の低下が著しいため、好ましくない。
【0052】
また、本発明のポリサルファイド硬化型組成物は、厳冬期(氷点下)のような過酷な条件下で使用される場合には、促進助剤として酸化亜鉛および少量の水の双方、またはいずれか一方を含有させることで、物性を低下させることなく、さらに硬化を促進させることができる。使用する酸化亜鉛量はポリサルファイドポリマー100質量部に対して2〜15質量部、好ましくは3〜10質量部である。また使用する水分量はポリサルファイドポリマー100質量部に対して0.05〜2質量部、好ましくは0.1〜1質量部である。
【0053】
本発明において、硬化剤として過ホウ酸ナトリウムを使用する場合、特に温水による耐水試験では未反応の過ホウ酸ナトリウムの分解によると考えられる若干の膨張が認められ、その結果、若干の強力(モジュラス)の低下が認められる。これを防止するために、本発明のポリサルファイド硬化型組成物に少量のアルコキシシラン類を添加することができる。かかる添加により、耐温水試験後も膨張が抑制され、硬化物の強力(モジュラス)を保持することが可能となる。従って、アルコキシシラン類の添加は、耐水性の求められる複層ガラスなどの用途に有効である。アルコキシシラン類の具体例としては、メルカプトシラン、エポキシシラン、アミノシランなどが挙げられ、使用する量はポリサルファイドポリマー100質量部に対して0.05〜2質量部、好ましくは0.1〜1質量部である。添加量が多すぎると、逆に耐熱物性等を低下させるため、好ましくない。
【0054】
本発明のポリサルファイド硬化型組成物は、室内で使用する場合には問題ないが、屋外で使用する場合には経時的に若干しわの発現が認められ、物性面では問題ないものの、外観上好ましくない。この外観上の問題を解決するために、本発明のポリサルファイド硬化型組成物にヒンダードアミン系の化合物を添加することができる。かかる添加により、外観上の問題の全く認められない優れたシーリング材が得られる。ヒンダードアミン系の化合物の具体例としては、特に、ビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられ、これらは少量で効果がある。使用する量はポリサルファイドポリマー100質量部に対して0.1〜5質量部、好ましくは0.5〜2質量部である。なお、特開平8−269328号公報には変色、チョーキング(亀裂、しわ等)の抑制方法として多環式芳香族化合物、複素環式化合物およびフェノール類とともにヒンダードアミン系化合物を併用することが記載されているが、本発明の組成物では変色の問題はなくヒンダードアミン系化合物のみの使用でよい。
【0055】
また、本発明のポリサルファイド硬化型組成物には、経済性、作業性、硬化後の物性を改良する目的で、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化チタン、ガラスバルーン、有機バルーン、マイカ等の充填剤、硫黄等の加硫剤、可塑剤等を添加することができる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(実施例1,比較例1〜4)
下記表1〜3に示す配合内容に従い、下記表1記載の基剤、下記表2記載の硬化剤および下記表3記載の成分を夫々調製し、該基材、該硬化剤および該成分を混練して、ポリサルファイド系硬化型組成物を作製した。得られたポリサルファイド系硬化型組成物を使用してシーリング材を作製し、得られたシーリング材について、下記接着性の試験を行い、結果を下記表3に併記した。なお、表中配合量は「質量部」を示す。
【0057】
(接着性試験)
被着体として複素ガラスを使用し、メチルエチルケトンを染み込ませた洗浄な綿布で拭いた。図1は、試験体サンプルを示す断面図である。プライマーを塗布した2枚の被着体2と試験体作製用治具を組み合わせて、(12±0.3)×(12±0.3)×(50±0.6)mmのスペースを作り、輪ゴムでしっかり留め、その中に供試シーリング材1を泡が入らないように注意して手早く詰め棒を用いて充填して、試験体3を作製した。試験体3は治具をつけたまま前養生を行った後、試験体作製用治具を外し目地幅を12±0.1mmに固定して後養生を行った。養生終了後の試験体3を引張り試験機に装着し、約50mm/分の速度で引張り(矢印4)、供試シーリング材1が凝集破壊したか、あるいは供試シーリング材1と被着体2との間が界面破壊したか、を評価した。
【0058】
図2は、凝集破壊を示す断面図であり、図3は、界面破壊を示す断面図である。評価は、凝集破壊が100%の場合を「CF100」、界面破壊が100%の場合を「AF100」とした。
【0059】
(50℃の接着性試験)
養生後試験体を2週間50℃の温水中に浸漬した後、上記と同様の接着性試験を行った。
【0060】
【表1】

*1) ポリサルファイドポリマー(東レチオコール(株)製、商品名LP−32)
【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

*2) γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
*3) ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名:KBM−1003)
*4) γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン
*5) TAC−NXT:下記にて製造したものを使用
【0063】
<TAC−NXT(有機ケイ素化合物)の製造>
室温で、200mLのナスフラスコに、ビス(3−トリエトキシシルルプロピル)ジスルフィド[式(I)で表わされ、Aが式(II)であり、Rが−O−CHCHで、Rが−O−CHCHで、Rが−O−CHCHで、Rが−CHCHCH−であり、xが2である化合物]40g、2−(ジメチルアミノ)エタノール7.5g、p−トルエンスルホン酸 0.5gを投入した。得られた赤色の溶液を145〜150℃で、気泡が発生しなくなるまで加熱した。次いで、滴下ロートにて、2−(ジメチルアミノ)エタノール7.5gを30分かけて滴下した後、ロータリーエバポレーターを用い、85℃、45mmHgでエタノールを除去して、有機ケイ素化合物(TAC−NXT)を得た。得られた有機ケイ素化合物(TAC−NXT)をH−NMRで分析したところ、0.7(t;2H),1.2(t;9H),1.8(m;2H),2.3(s;6H),2.5(t;2H),2.7(t;2H),3.8(m;6H)であり、式(I)で表わされ、Aが式(II)であり、Rが−O−CHCHで、Rが−O−CHCHで、Rが−O−CHCHN(CH[即ち、式(V)で表わされ、Mが−O−で、lが2で、Rが−N(CH]であり、Rが−CHCHCH−であり、xが2である化合物であることが分かった。
【0064】
比較例1〜4では、界面破壊が発生し、ガラスへの接着性は悪かった。これに対し、実施例1では、プライマーなしでガラスへの接着性の良好なシーリング材が得られるポリサルファイド系硬化型組成物を提供できた。
【符号の説明】
【0065】
1 シーリング材
2 被着体
3 試験体
4 矢印
5 プライマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ケイ素化合物を含有し、
前記有機ケイ素化合物が、分子内に、1個以上のケイ素−酸素結合と、1〜10個の硫黄原子と、を有し、かつ、ケイ素原子から原子数で3〜8個離れた位置に窒素原子を1個以上有することを特徴とするポリサルファイド系硬化型組成物。
【請求項2】
前記ケイ素−酸素結合の数が1〜6個である請求項1記載のポリサルファイド系硬化型組成物。
【請求項3】
前記有機ケイ素化合物が、下記一般式(I)、

[式中、Aは、下記一般式(II)、

又は式(III)、

で表わされ、
式(I)及び式(II)中のR、R及びRは、少なくとも一つが下記一般式(IV)、

又は式(V)、

(式中、Mは−O−又は−CH−で、X及びYはそれぞれ独立して−O−、−NR−又は−CH−で、Rは−OR、−NR又は−Rで、Rは−NR、−NR−NR又は−N=NRで、但し、Rは−C2n+1であり、Rは−C2q+1であり、l、m、n及びqはそれぞれ独立して0〜10である)で表わされ、その他が−M−C2l+1(ここで、M及びlは上記と同義である)で表わされ、但し、R、R及びRの一つ以上はMが−O−であり、
は下記一般式(VI)、

又は式(VII)、

(式中、M、X、Y、R、l及びmは上記と同義であり、R10は−NR−、−NR−NR−又は−N=N−で、但し、Rは上記と同義である)或いは−M−C2l−(ここで、M及びlは上記と同義である)で表され、
式(III)中のRは上記一般式(IV)又は式(V)或いは−C2l−R11(ここで、R11は−NR、−NR−NR、−N=NR又は−M−C2m+1であり、但し、R、R、M、l及びmは上記と同義である)で表わされ、
xは1〜10である]で表わされる請求項1記載のポリサルファイド系硬化型組成物。
【請求項4】
前記有機ケイ素化合物が、下記一般式(VIII)、

[式中、Aは、下記一般式(IX)、

又は式(III)、

で表わされ、
式(VIII)及び式(IX)中のWは−NR−、−O−又は−CR15−(ここで、R15は−R又は−C2m−Rであり、但し、Rは−NR、−NR−NR又は−N=NRであり、Rは−C2n+1で、Rは−C2q+1で、m、n及びqはそれぞれ独立して0〜10である)で表わされ、
12及びR13はそれぞれ独立して−M−C2l−(ここで、Mは−O−又は−CH−で、lは0〜10である)で表わされ、
14は−M−C2l+1又は−M−C2l−R(ここで、M、R及びlは上記と同義である)で表わされ、但し、R12、R13及びR14の一つ以上はMが−O−であり、
は下記一般式(VI)、

又は式(VII)、

(式中、M、l及びmは上記と同義であり、X及びYはそれぞれ独立して−O−、−NR−又は−CH−で、Rは−OR、−NR又は−Rで、R10は−NR−、−NR−NR−又は−N=N−であり、但し、R及びRは上記と同義である)或いは−M−C2l−(ここで、M及びlは上記と同義である)で表され、
式(III)中のRは下記一般式(IV)、

又は式(V)、

(式中、M、X、Y、R、R、l及びmは上記と同義である)或いは−C2l−R11(ここで、R11は−NR、−NR−NR、−N=NR又は−M−C2m+1であり、但し、R、R、M、l及びmは上記と同義である)で表わされ、
xは1〜10である]で表わされる請求項1記載のポリサルファイド系硬化型組成物。
【請求項5】
前記Mが−O−である請求項3または4記載のポリサルファイド系硬化型組成物。
【請求項6】
前記R、R及びRは、少なくとも一つが−O−C2l−R(ここで、R及びlは上記と同義である)で表わされ、その他が−O−C2l+1(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記Rが−C2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記Rが−C2l−R11(ここで、R11及びlは上記と同義である)で表わされる請求項3または5記載のポリサルファイド系硬化型組成物。
【請求項7】
前記R、R及びRは、少なくとも一つが−O−C2l−NR(ここで、R、R及びlは上記と同義である)で表わされ、
前記Rが−C2l+1(ここで、lは上記と同義である)で表わされる請求項3、5または6記載のポリサルファイド系硬化型組成物。
【請求項8】
前記Wが−NR−(ここで、Rは上記と同義である)で表わされ、
前記R12及びR13がそれぞれ独立して−O−C2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記R14は−O−C2l−R(ここで、R及びlは上記と同義である)で表わされ、
前記Rが−C2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記Rが−C2l+1(ここで、lは上記と同義である)で表わされる請求項4または5記載のポリサルファイド系硬化型組成物。
【請求項9】
前記Wが−O−又は−CR−(ここで、R及びRは上記と同義である)で表わされ、
前記R12及びR13がそれぞれ独立して−O−C2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記R14は−O−C2l−NR(ここで、R、R及びlは上記と同義である)
で表わされ、
前記Rが−C2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記Rが−C2l+1(ここで、lは上記と同義である)で表わされる請求項4または5記載のポリサルファイド系硬化型組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−242010(P2010−242010A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94436(P2009−94436)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】