説明

ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド共重合体

ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド、線状、ブロック共重合体類及び当該共重合体類の製造方法を提供する。前記共重合体類の製造方法は、ジアミンを、少なくとも1個のポリジオルガノシロキサンセグメント及び少なくとも2個のオキサリルアミノ基を有する前駆体と反応させることを伴う。前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロック共重合体類は、(AB)型である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド共重合体類及び当該共重合体類の製造方法について記載されている。
【背景技術】
【0002】
シロキサンポリマー類は、シロキサン結合の物理的及び化学的特徴から主として得られる特有の性質を有する。これらの性質としては、低いガラス転移温度、熱安定度及び酸化安定度、紫外線への抵抗力、低表面エネルギー及び低疎水性、気体に対する高透過性、及び生体適合性が挙げられる。しかし、前記シロキサンポリマー類は、多くの場合、引張り強さを欠いている。
【0003】
前記シロキサンポリマー類の低引張り強さは、ブロック共重合体類を形成することにより改善することができる。幾つかのブロック共重合体類は、「ソフトな」シロキサン高分子のブロック又はセグメント、及び任意の種々の「ハードな」ブロック又はセグメントを含有する。ポリジオルガノシロキサンポリアミド類及びポリジオルガノシロキサンポリ尿素類が、例示的ブロック共重合体類である。
【0004】
ポリジオルガノシロキサンポリアミド類は、アミノ末端処理シリコーン類の短鎖ジカルボン酸類との縮合反応により調製されている。或いは、これらの共重合体類は、カルボキシ末端処理シリコーン類の短鎖ジアミン類との縮合反応により調製される。ポリジオルガノシロキサン類(例えば、ポリジメチルシロキサン類)及びポリアミド類は、多くの場合、溶解度パラメータがかなり異なるために、高重合度の、特にポリオルガノシロキサンセグメントの高い同族体類を有するシロキサン系ポリアミド類を生成するための反応条件を見出すことは困難となり得る。周知のシロキサン系ポリアミド共重合体類の多くは、約30個以下のジオルガノシロキシ(例えば、ジメチルシロキシ)単位を有するセグメントなどの比較的短いポリジオルガノシロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサン)のセグメントを含有するか、又は前記共重合体内の前記ポリジオルガノシロキサンセグメントの量が比較的少ない。即ち、得られた共重合体類中のポリジオルガノシロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサン)ソフトセグメント部分(即ち、重さに基づく量)は、少なくなる傾向がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリジオルガノシロキサンポリ尿素類は、別のタイプのブロック共重合体である。これらブロック共重合体類は、多くの望ましい特徴を有するが、それらの幾つかは、高温例えば250℃以上に晒した際に分解する傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロック共重合体類及び当該共重合体類の製造方法を提供する。前記共重合体類の製造方法は、少なくとも1個のポリジオルガノシロキサンセグメント及び少なくとも2個のオキサリルアミノ基を含む前駆体の使用を伴う。得られた共重合体類は、複数のオキサリルアミノ基及びアミノオキサリルアミノ基(例えば、オキサリルアミノ基は、アミノオキサリルアミノ基の一部であることができる)を有する。前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド共重合体類は、多くの既知のポリジオルガノシロキサンポリアミド共重合体類と比較して、比較的大きな部分のポリジオルガノシロキサンセグメントを含有することができる。前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド共重合体は通常、明らかな分解をすることなしに、250℃以上の高温に晒すことができる。
【0007】
第1の態様では、式Iの繰り返し単位を少なくとも2個有する共重合材料が提供される。
【0008】
【化1】

【0009】
この式において、各Rは、独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールである。各Yは、独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組合せである。添字nは、独立して0〜1500の整数であり、且つ添字pは、1〜10の整数である。基Gは、式RHN−G−NHRのジアミンから2個の−NHR基(即ち、アミノ基)を差し引いたものに相当する残余部分である2価の基である。基Rは、水素若しくはアルキルであるか、又はRはGと共にそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基を形成する。各アスタリスクは、前記繰り返し単位が、別の繰り返し単位などの別の基に結合する箇所を示す。
【0010】
第2の態様では、式Iの繰り返し単位を少なくとも2個有する、共重合材料の製造方法が提供される。前記方法は、
(a)式IIの前駆体;及び
【0011】
【化2】

【0012】
(b)2個の一級アミノ基、2個の二級アミノ基、又は1個の一級アミノ基及び1個の二級アミノ基を有するジアミンを反応条件下にて一体的に混合することから構成される。前記ジアミンは、式RHN−G−NHR(式中、Gは、2価の残基であり、これは、式R3HN−G−NHR3のジアミン化合物から、2個の−NHR基を差し引いたもの(即ち、アミノ基)に相当する)である。基Rは、水素若しくはアルキルであるか、又はRはGと共にそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基を形成する。
【0013】
式IIにおいては、各Rは、独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールである。各Rは、独立してアルキル、ハロアルキル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、ハロ、若しくはアルコキシカルボニルで置換されたアリールである。各Yは、独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組合せである。前記添字nは、独立して0〜1,500の整数であり、且つ前記添字pは、1〜10の整数である。
【0014】
第1の態様では、式Iの繰り返し単位を少なくとも2個有する共重合体を含有する物品を提供する。
【0015】
本発明の上述の発明の開示は、本発明の開示された各実施形態もあらゆる実施も記載しようと意図していない。以下の説明は、説明に役立つ実施形態をより詳細に例示する。明細書全体にわたって、幾つかの箇所で実施例の一覧を通して説明を提供するが、実施例は各種組合せにて使用することが可能である。それぞれの事例において、列挙される一覧は代表的な群としてのみ与えられるのであって、限定的な一覧として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロック共重合体類及び当該共重合体類の製造方法を提供する。(AB)型である、前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド共重合体類は、(a)一級又は二級アミノ基を有するジアミンと(b)少なくとも1個のポリジオルガノシロキサンセグメント及び少なくとも2個のオキサリルアミノ基を有する前駆体との縮合反応生成物である。前記共重合体類は、低いガラス転移温度、熱的安定性及び酸化安定性、紫外線への抵抗力、低表面エネルギー及び低疎水性、数多くのガスに対する高透過性などのポリシロキサン類の望ましい特徴の多くを有する。更に、前記共重合体類は、ポリシロキサン類と比較して、改善された機械的強さ及びゴム状弾性を有することができる。前記共重合体類の少なくとも幾つかは、視覚的に透明であるか、低屈折率を有するか、又はその両方である。
【0017】
定義
用語「a」、「an」、及び「the」は、「少なくとも1個の」と同じ意味で用いられ、記載された要素の1以上を意味する。
【0018】
用語「アルケニル」とは、少なくとも1個の炭素―炭素二重結合を備えた炭化水素であるアルケンのラジカルである一価の基を意味する。前記アルケニルは、直鎖、分岐鎖、環状、又はそれらの組合せであることができ、且つ、通常、2〜20個の炭素原子を含有する。幾つかの実施形態では、前記アルケニルは、2〜18個、2〜12個、2〜10個、4〜10個、4〜8個、2〜8個、2〜6個、又は2〜4個の炭素原子を含有する。例示的アルケニル基としては、エテニル、n−プロペニル、及びn−ブテニルが挙げられる。
【0019】
用語「アルキル」とは、飽和炭化水素であるアルカンのラジカルである一価の基を意味する。前記アルキルは、直鎖、分岐鎖、環状、又はそれらの組合せであることができ、且つ、通常、1〜20個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態では、前記アルキル基は、1〜18個、1〜12個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を含有する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第3ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、及びエチルヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
用語「アルキレン」とは、アルカンのラジカルである二価の基を意味する。前記アルキレンは、直鎖、分岐鎖、環状、又はそれらの組合せであることができる。前記アルキレンは多くの場合、1〜20個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態では、前記アルキレンは、1〜18個、1〜12個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を含有する。前記アルキレンのラジカル中心は、同一炭素原子上に(即ち、アルキリデン)又は異なった炭素原子上にあることができる。
【0021】
用語「アルコキシ」とは、式−ORの一価の基(式中、Rはアルキル基である)を意味する。
【0022】
用語「アルコキシカルボニル」とは、式−(CO)ORの一価の基(式中、Rはアルキル基であり、且つ(CO)は、炭素が二重結合にて酸素に結合しているカルボニル基を意味する)を意味する。
【0023】
用語「アラルキル」とは、式−R−Ar(式中、Rはアルキレンであり、且つArはアリール基である)一価の基を意味する。即ち、前記アラルキルは、アリールで置換されたアルキルである。
【0024】
用語「アラルキレン」とは、式−R−Ar(式中、Rはアルキレンであり、且つArはアリーレン(即ち、アルキレンがアリーレンに結合している)の2価の基を意味する。
【0025】
用語「アリール」とは、芳香族且つ炭素環式である一価の基を意味する。前記アリールは、芳香環に結合又は縮合した1〜5個の環を有することができる。その他の環状構造は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組合せであることができる。アリール基の例としては、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、アンスリル、ナフチル、アセナフチル、アントラキノニル、フェナンスリル、アントラセニル、ピレニル、ペリレニル、及びフルオレニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
用語「アリーレン」とは、炭素環式且つ芳香族である二価の基を意味する。前記基は、結合し、縮合し、又はこれらが組み合わされた1〜5個の環を有する。その他の環は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組合せであることができる。幾つかの実施形態では、前記アリーレン基は、5個までの環、4個までの環、3個までの環、2個までの環、又は1個の芳香環を有する。例えば、前記アリーレン基は、フェニレンであることができる。
【0027】
用語「アリールオキシ」とは、式−OArの一価の基(式中、Arはアリール基である)を意味する。
【0028】
用語「カルボニル」とは、式−(CO)−の二価の基(式中、炭素原子は二重結合を備えた酸素原子に結合している)を意味する。
【0029】
用語「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。
【0030】
用語「ハロアルキル」とは、ハロにより置き換えられた少なくとも1個の水素原子を有するアルキルを意味する。幾つかのハロアルキル基は、フルオロアルキル基、クロロアルキル基、又はブロモアルキル基である。
【0031】
用語「ヘテロアルキレン」とは、チオ、オキシ、又は−NR−(式中、Rはアルキルである)によって結合された、少なくとも2個のアルキレン基を包含する二価の基を意味する。前記ヘテロアルキレンは、直鎖、分岐鎖、環状、又はそれらの組合せであることができ、且つ60個までの炭素原子及び15個までのヘテロ原子を含むことができる。幾つかの実施形態では、前記ヘテロアルキレンは、50個までの炭素原子、40個までの炭素原子、30個までの炭素原子、20個までの炭素原子、又は10個までの炭素原子を含む。幾つかのヘテロアルキレン類は、ポリアルキレンオキシド類であり、ここでへテロ原子は酸素である。
【0032】
用語「オキサリル」とは、式−(CO)−(CO)−の二価の基(式中、各(CO)はカルボニル基を意味する)を意味する。
【0033】
用語「オキサリルアミノ」及び「アミノオキサリル」は、同じ意味で用いられ、式−(CO)−(CO)−NH−の二価の基(式中、各(CO)はカルボニルを意味する)を意味する。
【0034】
用語「アミノオキサリルアミノ」とは、式−NH−(CO)−(CO)−NR−(式中、各(CO)はカルボニル基を意味し、且つRは水素、アルキル、又はそれら両方が結合した窒素と一緒になった複素環基の一部である)の二価の基を意味する。殆どの実施形態では、Rは水素又はアルキルである。多くの実施形態では、Rは水素である。
【0035】
用語「ポリマー」及び「ポリマー材料」とは、1種のモノマーから調製した物質、例えばホモポリマー又は、2種若しくはそれ以上のモノマーから調製した物質、例えば共重合体、ターポリマーなど、の両方を意味する。同様に、用語「重合させる」とは、ホモポリマー、共重合体、ターポリマー、等であり得るポリマー材料の調製プロセスを意味する。用語「共重合体」及び「共重合材料」とは、少なくとも2種類のモノマーから調製したポリマー材料を意味する。
【0036】
用語「ポリジオルガノシロキサン」とは、次の式の二価のセグメントを意味し、
【0037】
【化3】

【0038】
各Rは、独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、又はハロで置換されたアリールであり;各Yは、独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組合せであり;且つ、添字nは、独立して0〜1,500の整数である。
【0039】
用語「室温」及び「周囲温度」は、同じ意味で用いられ、20℃〜25℃の範囲の温度を意味する。
【0040】
特に指示がない限り、本明細書及び請求項において使用される形状、量、及び物理的性質を表す全ての数字は、全ての場合において「約」という語句によって修正されるものとして理解されるべきである。それ故に、特に異議を唱えない限り、記載した数字は、本明細書にて開示した教示を使用した所望の性質に応じて変化することがある概算である。
【0041】
化合物類及び組成物類
少なくとも2個の式Iの繰り返し単位を含む線状、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロック共重合体が提供される。
【0042】
【化4】

【0043】
この式において、各Rは、独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールである。各Yは、独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組合せである。添字nは、独立して0〜1500の整数であり、且つ添字pは、1〜10の整数である。基Gは、式RHN−G−NHRのジアミンから2個の−NHR基を差し引いたものに相当する残余部分である2価の基である。-基Rは、水素若しくはアルキル(例えば、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル)であるか、又はRはGとともにそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基(例えば、RHN−G−NHRはピペラジン等)を形成する。各アスタリスク(*)は、前記繰り返し単位が共重合体内の別の基、例えば、別の式Iの繰り返し単位などへ結合する部位を示す。
【0044】
式IにおけるRのための好適なアルキル基は、一般的に、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。例示のアルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、及びイソ−ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。Rのための好適なハロアルキル基は、多くの場合、ハロゲンで置換された対応するアルキル基の水素原子の一部を有するに過ぎない。例示のハロアルキル基としては、1〜3個のハロ原子及び3〜10個の炭素原子を備えたクロロアルキル及びフルオロアルキル基が挙げられる。Rのための好適なアルケニル基は、2〜10個の炭素原子を有する。例示のアルケニル基は、多くの場合、2〜8個、2〜6個、又は2〜4個の炭素原子、例えばエテニル、n−プロペニル、及びn−ブテニルを有する。Rのための好適なアリール基は、2〜10個の炭素原子を有する。フェニルは、例示的アリール基である。前記アリール基は、アルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル)、アルコキシ(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ)、又はハロ(例えば、クロロ、ブロモ、又はフルオロ)によって非置換される、又は置換されることができる。Rのための好適なアラルキル基は通常、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基及び6〜12個の炭素原子を有するアリール基を有する。幾つかの例示的アラルキル基においては、前記アリール基はフェニルであり、且つ前記アルキレン基は、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子(即ち、前記アラルキルの構造は、アルキレン−フェニルであり、ここでアルキレンがフェニル基に結合している)を有する。
【0045】
式Iの繰り返し単位の幾つかにおいては、R基の少なくとも50%が、メチルである。例えば、前記R基の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%は、メチルであることができる。残りのR基は、少なくとも2個の炭素原子を有するアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールから選択されることができる。
【0046】
式I中の各Yは、独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組合せである。好適なアルキレン基は通常、10個以下の炭素原子、8個以下の炭素原子、6個以下の炭素原子、又は4個以下の炭素原子を有する。例示的アルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、などが挙げられる。好適なアラルキレン基は通常、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基に結合した、6〜12個の炭素原子を有するアリーレン基を有する。幾つかの例示的アラルキレン基においては、前記アリーレン部分はフェニレンである。即ち、前記二価アラルキレン基は、フェニレン−アルキレンであり、ここで、前記フェニレンが、1〜10個、1〜8個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキレンに結合している。本明細書で使用する時、基Yに関して、「これらの組合せ」とは、アルキレン基及びアラルキレン基から選択される2個又はそれ以上の基の組合せを意味する。例えば、組合せは、単一のアルキレンに結合した単一のアラルキレン(例えば、アルキレン−アリーレン−アルキレン)であることができる。1つの例示的なアルキレン−アリーレン−アルキレンの組合せにおいては、前記アリーレンはフェニレンであり、且つ各アルキレンは、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。
【0047】
式I中の各添字nは、独立して0〜1,500の整数である。例えば、添字nは、1000以下、500以下、400以下、300以下、200以下、100以下、80以下、又は60以下、40以下、20以下、又は10以下の整数であることができる。nの値は、多くの場合、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、又は少なくとも40である。例えば、添字nは、40〜1,500、0〜1,000、40〜1,000、0〜500、1〜500、40〜500、1〜400、1〜300、1〜200、1〜100、1〜80、1〜40、又は1〜20の範囲内であることができる。
【0048】
添字は、1〜10の整数である。例えば、pの値は、多くの場合、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下の整数である。pの値は、1〜8、1〜6、又は1〜4の範囲内であることができる。
【0049】
式I中の基Gは、残留単位であり、これは、式RHN−G−NHRのジアミン化合物から、2個のアミノ基(例えば、−NHR基)を差し引いたものに等しい。前記ジアミンは、一級又は二級アミノ基を有することができる。基Rは、水素若しくはアルキル(例えば、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル)であるか、又はRはGとともにそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基(例えば、RHN−G−NHRはピペラジン)を形成する。殆どの実施形態では、Rは水素又はアルキルである。多くの実施形態では、ジアミンの両方のアミノ基は、一級アミノ基であり(即ち、両方のR基が水素である)、且つジアミンが、式HN−G−NHを持つ。
【0050】
幾つかの実施形態では、Gは、アルキレン、ヘテロアルキレン、ポリジオルガノシロキサン、アリーレン、アラルキレン、又はこれらの組合せである。好適なアルキレン類は、多くの場合、2〜10個、2〜6個、又は2〜4個の炭素原子を有する。例示的アルキレン基としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、などが挙げられる。好適なヘテロアルキレン類は、多くの場合、少なくとも2個のエチレン単位を有するポリオキシエチレン、少なくとも2個のプロピレン単位を有するポリオキシプロピレン、又はこれらの共重合体類などのポリオキシアルキレン類である。好適なポリジオルガノシロキサン類としては、式IIIのポリジオルガノシロキサンジアミン類(後述)から2個のアミノ基を差し引いたものが挙げられる。例示的ポリジオルガノシロキサン類としては、アルキレンY基を備えたポリジメチルシロキサン類が挙げられるが、これらに限定されない。好適なアラルキレン基は通常、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基に結合した、6〜12個の炭素原子を有するアリーレン基を含有する。幾つかの例示的アラルキレン基は、フェニレン−アルキレンであり、ここで、前記フェニレンが、1〜10個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキレンに結合している。本明細書で使用する時、基Gに関して、「これらの組合せ」とは、アルキレン、ヘテロアルキレン、ポリジオルガノシロキサン、アリーレン、及びアラルキレンから選択される2個又はそれ以上の基の組合せを意味する。例えば、組合せは、アルキレンに結合したアラルキレン(例えば、アルキレン−アリーレン−アルキレン)であることができる。1つの例示的なアルキレン−アリーレン−アルキレンの組合せにおいては、前記アリーレンはフェニレンであり、且つ各アルキレンは、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。
【0051】
前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドは、式−R−(CO)−NH−(式中、Rはアルキレンである)を有する基を含まない傾向がある。共重合材料の主鎖に沿った全てのカルボニルアミノ基は、オキサリルアミノ基(例えば、−(CO)−(CO)−NH−基)の一部である。
【0052】
即ち、前記共重合材料の主鎖に沿った任意のカルボニル基は、別のカルボニル基に結合しており、且つオキサリル基の一部である。より具体的には、前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドは、複数のアミノオキサリルアミノ基を有する。
【0053】
前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドは、線状のブロック共重合体であり、且つエラストマー材料であることができる。脆性固体又は硬質プラスチックとして一般に配合される、周知のポリジオルガノシロキサンポリアミド類の多くとは異なり、前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド類は、前記共重合体の重量に基づいて、50重量%超のポリジオルガノシロキサンセグメントを含むように配合することができる。前記ジオルガノシロキサンの前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド類中での重量%は、より高分子量のポリジオルガノシロキサンセグメントを使用することによって増大させることができ、60重量%超、70重量%超、80重量%超、90重量%超、95重量%超、又は98重量%超の前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド類中のポリジオルガノシロキサンセグメントを提供することができる。より多量の前記ポリジオルガノシロキサンを使用して、妥当な強さを維持しつつ、より低弾性率のエラストマー材料を調製することができる。
【0054】
前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド類の幾つかは、当該材料を顕著に分解させることなく、200℃以下、225℃以下、250℃以下、275℃以下、又は300℃以下の温度まで加熱することができる。例えば、空気の存在下で、熱重量分析器内で加熱した際に、前記共重合体類は、多くの場合、毎分50℃の速度にて、20℃〜約350℃の範囲内で走査した際に、10%未満の重量喪失を持つ。更に、前記共重合体類は、多くの場合、例えば250℃の温度にて1時間空気中で加熱することができ、冷却時の機械的強さの喪失が検出できないことよって同定されるように、明確な分解をすることが無い。
【0055】
式Iの共重合材料は、視覚的に透明であることができる。本明細書で使用する時、用語「視覚的に透明」とは、人間の目に透明に見える材料を意味する。視覚的に透明な共重合材料は、多くの場合、少なくとも約90%の視感透過率、約2%未満の曇価、及び400nm〜700nmの波長帯での約1%未満の不透明度を有する。前記視感透過率及び前記曇価は、例えば、ASTM−D1003−95の方法を使用して決定することができる。
【0056】
更に、式Iの共重合材料は、低屈折率を有することができる。本明細書で使用する時、用語「屈折率」とは、材料(例えば、共重合材料)の絶対屈折率を意味し、且つ自由空間内での電磁放射線速度対対象材料中での電磁放射線速度の比である。前記電磁放射線は、白色光である。前記屈折率は、例えばフィッシャーインストルメンツ(Fischer Instruments)(ペンシルベニア州ピッツバーグ)から市販品として入手可能なアッベの屈折計を使用して測定する。前記屈折率測定は、ある程度、使用する特定の屈折計に依存する場合がある。前記共重合材料は通常、約1.41〜約1.50の範囲の屈折率を有する。
【0057】
所望により、非反応性添加剤類、例えば、充填剤類、顔料類、安定剤、酸化防止剤、難燃剤、相溶化剤類、などを前記共重合材料に加えることもできる。
【0058】
前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド類は、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサンなどのアルカン類)又はこれらの混合物などの多くの一般的有機溶媒に可溶性である。
【0059】
前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド類は、溶媒類からフィルムとしてキャストしたり、様々な形状で成形若しくはエンボス加工したり、又はフィルムへと押し出し加工することができる。前記共重合材料の高温安定性故に、それらのフィルム形成には押出法が適している。前記フィルムは、視覚的に透明であることができる。前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロック共重合体類を含有する多層膜については、2005年12月23日出願の米国特許仮出願番号第60/753,791号に更に詳細に記載されている。
【0060】
式Iの繰り返し単位を少なくとも2個有するポリジオルガノシロキサンポリオキサミド共重合体を含有する各種物品を提供する。例えば、前記物品は、前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド共重合体を含有する層及び1種類以上の任意の基材を含むことができる。例えば、前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド共重合体は、第1の基材に隣接した層内にあるか、又は第1の基材と第2の基材との間に位置することができる。即ち、前記物品は、次の順番:第1の基材、前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド共重合体を含有する層、及び第2の基材にて、配置することができる。本明細書で使用する時、用語「隣接した」とは、第2の層に接触する、又は当該第2層の近傍に配置されてはいるが当該第2の層からは1種類以上の追加の層によって分離されている第1の層を意味する。
【0061】
前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド類は、感圧接着剤及び粘着付与剤を含有する加熱活性化接着剤などの接着剤組成物へと配合することができる。このような接着剤組成物は、更に2005年12月23日出願の米国特許出願番号第11/317,602号に記載されている。
【0062】
更に、前記ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド類は、ホットメルト接着剤として使用することが可能である。通常は、前記ホットメルト接着剤は、粘着付与剤をほとんど含有しないか又は全く含有しない。例えば、前記ホットメルト接着剤を使用して、2個の表面を一体に結合させて複合材料にすることが可能である。即ち、前記ホットメルト接着剤は、前記第1の基材及び第2の基材との間に位置するホットメルト接着剤によって第1基板を第2の基材へ結合させるために使用することができる。基材表面などの表面へ適用する際に、ホットメルト接着剤は、望ましくは当該表面を完全に濡らし、且つ表面が粗い場合であっても空洞が残らないようにするのに十分な流体である。通常、このような接着剤組成物は、適用時に低粘度を有し、次に冷却によって固体となる。前記結合力は、冷却によって発現する。或いは、前記ホットメルト接着剤組成物は、粘度を十分に下げて表面を濡らすことができるような溶媒又はキャリアとともに配合することができる。次に、前記溶媒又はキャリアを除去して、結合力を有する固体コーティングを提供することができる。
【0063】
ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド共重合体類の製造方法
式Iの繰り返し単位を有する前記線状ブロック共重合体類は、例えば、反応スキームAにて示されるように調製可能である。
【0064】
反応スキームA
【0065】
【化5】

【0066】
本反応スキームにおいて、式IIの前駆体は、2個の一級又は二級アミノ基、2個の二級アミノ基、又は1個の一級アミノ基及び1個の二級アミノ基を有するジアミンを含む反応条件下で混ぜ合わせる。前記ジアミンは、通常、式RHN−G−NHRである。ROH副生成物は、通常、得られたポリジオルガノシロキサンポリオキサミドから除去される。
【0067】
反応スキームA中のジアミンRHN−G−NHRは、2個のアミノ基(即ち、−NHR)を有する。基Rは、水素若しくはアルキル(例えば、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル)であるか、又はRはGとともにそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基(例えば、前記ジアミンがピペラジン等である)を形成する。殆どの実施形態では、Rは水素又はアルキルである。多くの実施形態では、前記ジアミンは、2個の一級アミノ基を有し(即ち、各R基は水素である)、且つ前記ジアミンは、式HN−G−NHである。前記2個のアミノ基を除外した前記ジアミン部分は、式I中の基Gと看做される。
【0068】
前記ジアミン類は、場合により、有機ジアミン類又は例えば、アルキレンジアミン類、ヘテロアルキレンジアミン類、アリーレンジアミン類、アラルキレンジアミン類、若しくはアルキレン−アラルキレンジアミン類から選択されたものを包含する有機ジアミン類を備えたポリジオルガノシロキサンジアミン類として分類される。前記ジアミンは、得られたポリジオルガノシロキサンポリオキサミド類が、線状ブロック共重合体類であり、それらが多くの場合、エラストマーであり、高温で溶融し、且つ幾つかの一般的な有機溶媒に可溶性であるように、2個のアミノ基のみを有する。前記ジアミンは、3つ以上の一級又は二級アミノ基を有するポリアミンを有しない。式IIの前駆体と反応しない三級アミンが存在することができる。更に、前記ジアミンは、いかなるカルボニルアミノ基も有しない。即ち、前記ジアミンはアミドではない。
【0069】
例示的ポリオキシアルキレンジアミン類(即ち、Gがへテロ原子が酸素であるヘテロアルキレンである)としては、ハンツマン社(Huntsman)(テキサス州ウッドランド)から、ジェファミン(JEFFAMINE)D−230(即ち、約230グラム/モルの平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミン)、ジェファミン(JEFFAMINE)D−400(即ち、約400グラム/モルの平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミン)、ジェファミン(JEFFAMINE)D−2000(即ち、約2,000グラム/モルの平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミン)、ジェファミン(JEFFAMINE)HK−511(即ち、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の両方を備え、且つ約220グラム/モルの平均分子量を有するポリエーテルジアミン)、ジェファミン(JEFFAMINE)ED−2003(即ち、ポリプロピレンオキシドでキャップした、約2,000グラム/モルの平均分子量を有するポリエチレングリコール)、及びジェファミン(JEFFAMINE)EDR−148(即ち、トリエチレングリコールジアミン)の商標名で市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
例示的アルキレンジアミン類(即ち、Gはアルキレン)としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレン−1,5−ジアミン(即ち、デュポン社(Dupont)(デラウェア州ウィルミントン)からダイテック(DYTEK)Aの商標名で市販されている)、1,3−ペンタンジアミン(デュポン社(Dupont)からダイテック(DYTEK)EPの商標名で市販されている)、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン(デュポン社(Dupont)からDHC−99の商標名で市販されている)、4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、及び3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
例示的アリーレンジアミン類(即ち、Gはフェニレンなどのアリーレン)としては、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、及びp−フェニレンジアミンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的アラルキレンジアミン類(即ち、Gはアルキレン−フェニルなどのアラルキレン)としては、4−アミノメチル−フェニルアミン、3−アミノメチル−フェニルアミン、及び2−アミノメチル−フェニルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的アルキレン−アラルキレンジアミン類(即ち、Gはアルキレン−フェニレン−アルキレンなどのアルキレン−アラルキレン)としては、4−アミノメチル−ベンジルアミン、3−アミノメチル−ベンジルアミン、及び2−アミノメチル−ベンジルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
反応スキームA中の式IIの前駆体は、少なくとも1個のポリジオルガノシロキサンセグメント及び少なくとも2個のオキサリルアミノ基を有する。基R、基Y、添字n、及び添字pは、式Iについて記載されたものと同一である。各基Rは、独立してアルキル、ハロアルキル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、ハロ、若しくはアルコキシカルボニルで置換されたアリールである。式IIの前駆体は、単一化合物を包含することができ(即ち、前記化合物の全てがp及びnについて同一の値を有する)、又は複数の化合物を含むことができる(即ち、前記化合物がpについての異なった値、nについての異なった値、若しくはp及びnの両方についての異なった値を有する)。異なったn値を持つ前駆体は、異なった長さのシロキサン鎖を有する。少なくとも2のp値を有する前駆体は、鎖が延長されている。
【0073】
幾つかの実施形態では、前記前駆体は、添字pが1に等しい式IIの第1の化合物と添字pが少なくとも2に等しい式IIの第2の化合物との混合物である。第1の化合物は、異なったn値を有する、複数の異なった化合物を包含することができる。第2の化合物は、異なったp値、異なったn値、又はp及びnの両方についての異なった値を有する、複数の化合物を包含することができる。混合物は、混合物中の第1及び第2の化合物の重量合計に基づいて、少なくとも50重量%の式IIを持つ第1の化合物(即ち、pは1に等しい)及び50重量%以下の式IIを持つ第2の化合物(即ち、pは少なくとも2に等しい)を包含することができる。幾つかの混合物では、前記第1の化合物は、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも98重量%の量で存在する。式IIを持つ化合物の全量を基準にして、前記混合物は、多くの場合、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、又は2重量%以下の前記第2の化合物を含有する。
【0074】
混合物中の、式IIを持つ、鎖が延長された前駆体の異なった量が、式Iのエラストマー材料の最終性質に影響を与え得る。即ち、式IIを持つ第2の化合物(即ち、pは少なくとも2に等しい)の量は、一連の性質を持つエラストマー材料を提供するために、有利に変えることができる。例えば、式IIの第2の化合物をより多量にすると、溶融レオロジーを変更したり(例えば、溶解物として存在する際にエラストマー材料をより容易に流動させる)、エラストマー材料の柔軟性を変更したり、エラストマー材料の弾性率を低下させたり、又はそれらの組合せを実現することができる。
【0075】
反応スキームAは、式IIを持つ複数の前駆体、複数のジアミン、又はそれらの組合せを使用して実施することができる。異なった平均分子量を有する複数の前駆体は、単一のジアミン又は複数のジアミンを備えた反応条件下で混ぜ合わせることができる。例えば、式IIの前駆体は、異なったn値、異なったp値、又はn及びpの両方についての異なった値を有する材料の混合物を包含してよい。複数のジアミンは、例えば、有機ジアミンである第1のジアミン及びポリジオルガノシロキサンジアミンである第2のジアミンを包含することができる。同様に、単一の前駆体を複数のジアミンを備えた反応条件下で混ぜ合わせることができる。
【0076】
式IIの前駆体対ジアミンのモル比は、多くの場合、約1:1である。例えば、前記モル比は多くの場合、1:0.80以下、1:0.85以下、1:0.90以下、1:0.95以下、1:1以下である。前記モル比は多くの場合、1:1.05以上、1:1.10以上、又は1:1.15以上である。例えば、前記モル比は、1:0.80〜1:1.20の範囲内、1:0.80〜1:1.15の範囲内、1:0.80〜1:1.10の範囲内、1:0.80〜1:1.05の範囲内、1:0.90〜1:1.10の範囲内、又は1:0.95〜1:1.05の範囲内であることができる。例えば、全体的な分子量を変更し、得られた共重合体類のレオロジーに影響を与えることができるように、モル比を変化させることが可能である。更に、前記モル比を変化させて、いずれの反応物質がモル過剰で存在するかによって、オキサリルアミノ含有末端基又はアミノ末端基を提供することができる。
【0077】
式IIの前駆体と前記ジアミンとの縮合反応(即ち、反応スキームA)は、多くの場合、室温又は約250℃以下の温度といった高温にて実施される。例えば、前記反応は、多くの場合、室温又は約100℃以下の温度にて実施することができる。その他の実施例では、前記反応は、少なくとも100℃、少なくとも120℃、又は少なくとも150℃の温度にて実施することができる。例えば、前記反応温度は多くの場合、100℃〜220℃の範囲内、120℃〜220℃の範囲内、又は150℃〜200℃の範囲内である。前記縮合反応は多くの場合、1時間未満、2時間未満、4時間未満、8時間未満、又は12時間未満で完了する。
【0078】
反応スキームAは、溶媒の存在下又は不存在下にて発生することができる。好適な溶媒類は通常、反応のいかなる反応物又は生成物とも反応しない。更に、好適な溶媒類は通常、溶液中の全ての反応物質及び全ての生成物を重合プロセスを通して維持することができる。例示的溶媒類としては、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサンなどのアルカン類)又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
存在するあらゆる溶媒は、反応終了時に、得られたポリジオルガノシロキサンポリオキサミドから除去することができる。アルコール副生成物を除去するために使用される同一条件下で除去することができる溶媒類が、多くの場合、好ましい。前記除去プロセスは、多くの場合、少なくとも100℃、少なくとも125℃、又は少なくとも150℃の温度で実施される。前記除去プロセスは、通常、300℃未満、250℃未満、又は225℃未満の温度で行われる。
【0080】
揮発性副生成物ROHのみを反応終了時に除去する必要があるため、反応スキームAを溶媒の不存在下で実施することが望ましい場合がある。更に、反応物質及び生成物の両方と適合性がない溶媒では、反応が完了せず且つ重合度が低い。
【0081】
反応スキームAに従って前記共重合材料を調製するために、任意の好適な反応器又はプロセスを使用することができる。前記反応は、バッチプロセス、半バッチ式プロセス、又は連続プロセスを使用して実施することができる。例示的バッチプロセスは、機械式撹拌機例えばブラベンダー(Brabender)ミキサーを備えた反応槽内で実施することができ、この際、溶融状態にある反応生成物が、前記反応器から排出させるに十分なだけの低い粘度を有する。例示的半バッチ式プロセスは、連続攪拌しているチューブ、タンク、又は流動床内で実施することができる。例示的連続工程は、1軸又は2軸押し出し機、例えば吐出表面(wiped surface)逆回転又は共回転2軸押し出し機にて実施することができる。
【0082】
多くのプロセスにおいて、前記構成成分は計量され、次に共に混合して、反応混合物を形成する。前記構成成分は、例えばギア、ピストン又はプログレッシング・キャビティポンプを使用して、容量分析又は重量測定法にて計量することができる。前記構成成分は、任意の既知の静的又は動的な方法、例えば、静的ミキサー、1軸又は多軸押し出し機などのコンパウンドミキサーを使用して混合することができる。次に、前記反応混合物は、形成したり、注いだり、ポンピングしたり、コーティングしたり、射出成形したり、噴霧したり、スパッタリングしたり、霧化したり、撚り線にしたり又はシート化したり、及び部分的に又は完全に重合することができる。次に、前記の部分的に又は完全に重合した材料は、固体ポリマーへの形質転換に先だって、所望により、粒子、液滴、ペレット、球体、ストランド、リボン、ロッド、チューブ、フィルム、シート、同時押出フィルム、ウェブ、不織の物、マイクロ複写構造体、又はその他の連続的な又は分離性の形態、へと変えることができる。これらの工程のうちで任意のものは、熱を適用して又は熱を適用しないで実施することができる。1つの例示的プロセスにおいては、前記構成成分は、重合材料の固化に先立って、ギアポンプを使用して計量したり、静的ミキサーを使用して混合したり、及び型へ注入したりすることができる。
【0083】
反応スキームA中の式IIを持つポリジオルガノシロキサン含有前駆体は、任意の既知の方法により調製することができる。幾つかの実施形態では、本前駆体は、反応スキームBに従って調製される。
【0084】
反応スキームB
【0085】
【化6】

【0086】
式IIIのポリジオルガノシロキサンジアミン(pモル)をモル過剰の式IVのオキサラート(p+1モル超)と、不活性雰囲気下にて反応させて、式IIを持つポリジオルガノシロキサン含有前駆体及びR−OH副生成物を製造する。本反応において、R、Y、n、及びpは、式Iについて先に記載したのと同一である。式IV中の各基Rは、独立してアルキル、ハロアルキル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、ハロ、若しくはアルコキシカルボニルで置換されたアリールである。反応スキームBに従った式IIの前駆体の製造は更に、2005年12月23日出願の米国特許出願番号第11/317,616号に記載されている。
【0087】
反応スキームB中の式IIIを持つポリジオルガノシロキサンジアミンは、任意の既知の方法により調製することができ、且つ、任意の好適な分子量、例えば700〜150,000グラム/モルの範囲内の平均分子量を有することができる。好適なポリジオルガノシロキサンジアミン類及びポリジオルガノシロキサンジアミン類の製造方法については、例えば、米国特許第3,890,269号(マーチン(Martin))、米国特許第4,661,577号(ジョー・レーン(Jo Lane)ら)、米国特許第5,026,890号(ウェッブ(Webb)ら)、米国特許第5,276,122号(アオキ(Aoki)ら)、米国特許第5,214,119号(レイア(Leir)ら)、米国特許第5,461,134号(レイア(Leir)ら)、米国特許第5,512,650号(レイア(Leir)ら)、及び米国特許第6,355,759号(シェルマン(Sherman)ら)に記載されている。幾つかのポリジオルガノシロキサンジアミン類は、例えば、信越シリコーン・アメリカ(カルフォルニア州トーランス)及びジェレスト社(Gelest Inc.)(ペンシルベニア州モリスビル)から市販されている。
【0088】
2,000グラム/モル超又は5,000グラム/モル超の分子量を有するポリジオルガノシロキサンジアミンは、米国特許第5,214,119号(レイア(Leir)ら)、米国特許第5,461,134号(レイア(Leir)ら)、及び米国特許第5,512,650号(レイア(Leir)ら)に記載されている方法を使用して調製可能である。記載した方法の1つは、反応条件下にて且つ不活性雰囲気下にて、(a)次の式を持つアミン官能性末端ブロック剤
【0089】
【化7】

【0090】
(式中、Y及びRは、式Iについて定義されたものと同一である。];(b)前記アミン官能性末端ブロック剤と反応して、2,000グラム/モル未満の分子量を有するポリジオルガノシロキサンジアミンを形成するのに十分な環状シロキサン;並びに(c)次の式を持つ無水アミノアルキルシラノレート触媒。)
【0091】
【化8】

【0092】
(式中、Y及びRは、式Iで定義されたものと同一であり、且つMは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、ルビジウムイオン、又はテトラメチルアンモニウムイオンである)を混ぜ合わせることを伴う。ほぼ全ての前記アミン官能性末端ブロック剤が消費されるまで、反応を継続し、次に、追加の環状シロキサンを加えて、分子量を増大させる。追加する環状シロキサンは多くの場合、ゆっくりと加えられる(例えば、滴下)。多くの場合、反応温度は80℃〜90℃の範囲内とされ、反応時間は5〜7時間である。得られたポリジオルガノシロキサンジアミンは、高純度であることができる(例えば、2重量%未満、1.5重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、又は0.01重量%未満のシラノール不純物)。アミン官能性末端ブロック剤対環状シロキサンの比を変更することによって、式IIIの得られたポリジオルガノシロキサンジアミンの分子量を変えることができる。
【0093】
式IIIの前記ポリジオルガノシロキサンジアミンを調製するもう1つの方法は、反応条件下且つ不活性環境下にて、(a)次の式を持つアミン官能性末端ブロック剤
【0094】
【化9】

【0095】
(式中、R及びYは、式Iについて記載されたものと同一であり、且つ、添字xが、1〜150の整数に等しい。);(b)前記アミン官能性末端ブロック剤の平均分子量より大きい平均分子量を有するポリジオルガノシロキサンジアミンを得るのに十分な環状シロキサン;並びに(c)水酸化セシウム、セシウムシラノレート、ルビジウムシラノレート、セシウムポリシロキサノレート、ルビジウムポリシロキサノレート、及びこれらの混合物から選択される触媒を混ぜ合わせることから構成される。ほぼ全ての前記アミン官能性末端ブロック剤が消費されるまで、反応を継続する。この方法は更に、米国特許第6,355,759 B1号(シェルマン(Sherman)ら)に記載されている。この手順を使用して、任意の分子量を持つポリジオルガノシロキサンジアミンを調製することができる。
【0096】
式IIIのポリジオルガノシロキサンジアミンを調製するための更に別の方法は、米国特許第6,531,620 B2号(ブレーダー(Brader)ら)に記載されている。本方法では、次の反応に示すように、環状シラザンは、ヒドロキシ末端基を有するシロキサン材料と反応する。
【0097】
【化10】

【0098】
前記基R及び基Yは、式Iについて記載されたものと同一である。前記添字mは、1より大きい整数である。
【0099】
ポリジオルガノシロキサンジアミン類の例としては、ポリジメチルシロキサンジアミン、ポリジフェニルシロキサンジアミン、ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサンジアミン、ポリフェニルメチルシロキサンジアミン、ポリジエチルシロキサンジアミン、ポリジビニルシロキサンジアミン、ポリビニルメチルシロキサンジアミン、ポリ(5−ヘキセニル)メチルシロキサンジアミン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
反応スキームBでは、式IVのオキサラートは、不活性雰囲気下にて、式IIIの前記ポリジオルガノシロキサンジアミンと反応する。式IVのオキサラート中の2個のR基は、同一であるか又は異なることができる。幾つかの方法においては、前記2個のR基は異なり、反応スキームB中の式IIIを持つポリジオルガノシロキサンジアミンとの異なった反応性を有する。
【0101】
基Rは、アルキル、ハロアルキル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、ハロ、若しくはアルコキシカルボニルで置換されたアリールであることができる。Rのための好適なアルキル基及びハロアルキル基は、多くの場合、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。三級アルキル(例えば、t−ブチル)及びハロアルキル基を使用することが可能ではあるが、多くの場合、隣接したオキシ基に直接付着した(即ち、結合した)、一級又は二級炭素原子がある。例示的アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、及びイソ−ブチルが挙げられる。例示的ハロアルキル基としては、クロロアルキル基及びフルオロアルキル基が挙げられ、ここで、対応するアルキル基上の水素原子のいくつか(全てではない)が、ハロ原子と置き換えられている。例えば、前記クロロアルキル基又はフルオロアルキル基は、クロロメチル、2−クロロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、3−クロロプロピル、4−クロロブチル、フルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、などであることができる。Rのための好適なアリール基としては、6〜12個の炭素原子を有するもの、例えばフェニルなどが挙げられる。アリール基は、アルキル(例えば、メチル、エチル、又はn−プロピルのような、1〜4個の炭素原子を有するアルキル)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシのような、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ)ハロ(例えば、クロロ、ブロモ、又はフルオロ)、又はアルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、若しくはプロポキシカルボニルのような、2〜5個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル)によって非置換であるか又は置換されることができる。
【0102】
反応スキームB中の式IVを持つオキサラートは、例えば式R−OHのアルコールをオキサリルジクロリドと反応させることにより調製可能である。式IVを持つ市販のオキサラート(例えば、シグマ−アルドリッチ(ウィスコンシン州ミルウォーキー)及びVMR・インターナショナル(VWR International)(コネチカット州ブリストル)から)としては、ジメチルオキサラート、ジエチルオキサラート、ジ−n−ブチルオキサラート、ジ−t−ブチル−オキサラート、ビス(フェニル)オキサラート、ビス(ペンタフルオロフェニル)オキサラート、1−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)オキサラート、及びビス(2,4,6−トリクロロフェニル)オキサラートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
モル過剰のオキサラートが、反応スキームBにて使用される。即ち、オキサラート対ポリジオルガノシロキサンジアミンのモル比は、化学量論的モル比である(p+1):pより大きい。前記モル比は、多くの場合2:1、3:1、4:1、又は6:1より大きい。前記縮合反応は、通常、不活性雰囲気下及び室温にて、前記構成成分の混合時に生じる。
【0104】
式IIの前駆体を製造するために使用される前記縮合反応(即ち、反応スキームB)は、溶媒の存在下又は不存在下にて生じることができる。幾つかの方法においては、前記反応混合物中には、溶媒が含まれないか又は少量の溶媒のみが含まれる。その他の方法においては、溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、又は脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサンなどのアルカン類)などを包含してもよい。
【0105】
過剰なオキサラートを式IIの前駆体から、反応スキームA内のジアミンとの反応に先だって除去することによって、視覚的に透明なポリジオルガノシロキサンポリオキサミドを良好に形成できる傾向がある。過剰なオキサラートは、通常、前記前駆体から除去プロセスを使用して除去される。例えば、反応済み混合物(即ち、反応スキームBに従う縮合反応の生成物(単一の又は複数の))は、過剰なオキサラートを揮発させるために、150℃以下、175℃以下、200℃以下、225℃以下、又は250℃以下の温度まで加熱することができる。真空引きを行って、過剰なオキサラートの除去に必要な温度を下げることができる。式IIの前駆体化合物は、200℃〜250℃以上の範囲の温度にて、ごく僅かに分解するか又ははっきりした分解を示さない傾向がある。過剰なオキサラートを除去する任意のその他の既知の方法を使用できる。
【0106】
反応スキームBに示す縮合反応の副生成物は、アルコールである(即ち、R−OHはアルコールである)。基Rは、多くの場合、約250℃以下の温度で加熱することにより、容易に除去(例えば、蒸発)可能なアルコールを形成する1〜4個の炭素原子を有するアルキル、1〜4個の炭素原子を有するハロアルキル、又はフェニルなどのアリールに限定される。前記反応済み混合物を、式IVの過剰なオキサラートを除去するに十分なだけの温度まで加熱した際に、このようなアルコールを除去することができる。
【0107】
前述の事項は、現在予見されない本発明の実質的でない修正がそれでもなお本発明の均等物を表しうるにもかかわらず、権能付与的記載が入手できる本発明者らによって予見された実施形態の観点から本発明を記載している。
【実施例】
【0108】
これらの実施例は単にあくまで例示を目的としたものであり、添付した特許請求の範囲の範囲に限定するものではない。実施例内の全ての部分、割合、比率等は、別段の定めがある場合を除き、重量による。米国使用される溶媒及びその他の試薬は、特に注記のない限り、シグマ・アルドリッチ・ケミカル社(Sigma-Aldrich Chemical Company)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee))より入手した。
【0109】
【表1】

【0110】
試験方法
硬度試験
ショアA硬度は、ゴム特性−ジュロメータ硬度のためのASTM D2240−5標準試験法に従って測定した。本試験方法は、特定のタイプの圧子を特定条件下にて材料中に力を加えて押し込んだ場合に、それが貫入することに基づいている。押し込み硬さは、貫入と逆相関し、且つ材料の弾性率及び粘弾性挙動に依存する。
【0111】
当量を決定するための滴定法
約10グラム(正確に計量する)の式IIを持つ前駆体化合物を瓶に添加した。約50グラムのTHF溶媒(正確な計量ではない)を添加した。混合物が均質になるまで、電磁攪拌棒を使用して内容物を混合した。前駆体の理論当量を計算し、次に本当量数の3〜4倍の範囲の量のN−ヘキシルアミン(正確に計量する)を添加した。前記反応混合物を最低4時間撹拌した。ブロモフェノールブルー(10〜20滴)を添加し、内容物が均質になるまで混合した。前記混合物を黄色終点まで1.0N(又は0.1N)塩酸にて滴定した。前駆体の当量数は、試料に加えたN−ヘキシルアミンの当量数から、滴定中に加えた塩酸の当量数を差し引いたものに等しかった。当量(グラム/当量)は、前駆体の試料重量を前駆体の当量数で割ったものに等しかった。
【0112】
色、曇価、及び視感透過率測定
試料の光線透過率(Luminous Transmittance)及びヘイズは、米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)(ASTM)試験法D 1003−95(「透明なプラスチックのヘイズおよび光線透過率(luminous transmittance)のための標準試験」)に従い、メリーランド州シルバー・スプリング(Silver Springs)のBYK−ガードナー社(BYK-Gardner Inc.)製のTCS・プラス・分光分析装置(TCS Plus Spectrophotometer)を用いて測定した。測色は同一機器を使用して行い、次にCIE(国際照明委員会を意味するフランス語の略語)により、国際カラースケールのL*、a*、b*を確定した。
【0113】
調製例1
シュウ酸ジエチル(241.10グラム)を、機械式撹拌機、加熱マントル、窒素導入用チューブ(ストップコック付き)、及び排出管を装備した3リットルの3つ口樹脂フラスコ内に入れた。前記フラスコを窒素で15分間パージし、次に、ゆっくりと撹拌しながら、5K PDMSジアミン(2,028.40グラム、分子量が4,918グラム/モルに相当する)を滴加した。室温にて8時間後、前記反応フラスコに、蒸留アダプタ及び蒸留レシーバを装着した。前記内容物を攪拌し、減圧下(133パスカル、1トール)にて150℃まで4時間、更なる留出物を集めることができなくなるまで加熱した。前記残留液体を室温まで冷却し、2,573グラムの式IIを持つ前駆体を得た。透明な流動性の液体ガスクロマトグラフィー分析は、検出可能濃度のシュウ酸ジエチルが残存していないことを示した。分子量は、H NMR(5,477グラム/モルに相当する分子量)を使用し、滴定(2個の滴定された試料について2,722グラム/当量及び2,721グラム/当量の当量)によって決定した。
【0114】
調製例2
シュウ酸ジエチル(326.00グラム)を、機械式撹拌機、加熱マントル、窒素導入用チューブ(ストップコック付き)、及び排出管を装備した2リットルの3つ口樹脂フラスコ内に入れた。前記フラスコを窒素で15分間パージし、次に、激しく撹拌し、DMS−A12(497.50グラム)を滴加した。本反応混合物を約1時間、室温で攪拌し、次に、80℃にて75分間撹拌した。前記反応フラスコには、蒸留アダプタ及び蒸留レシーバを装着した。前記反応混合物を120℃まで減圧下(133パスカル、1トール)にて2時間、更なる留出物を集めることができなくなるまで加熱した。前記反応混合物を室温まで冷却し、式IIを持つ前駆体を得た。透明な流動性の液体ガスクロマトグラフィー分析は、検出可能濃度のシュウ酸ジエチルが残存していないことを示した。前記エステル当量は、H NMR(923グラム/当量に相当する当量)を使用し、滴定(910グラム/当量に相当する当量)することによって決定した。
【0115】
調製例3
DMS−A12の試料(500.00グラム)を、機械式撹拌機、加熱マントル、窒素導入用チューブ(ストップコック付き)、及び排出管を装備した2リットルの3つ口樹脂フラスコ内に入れた。前記フラスコを窒素で15分間パージし、次に、激しく撹拌し、シュウ酸ジエチル(324.76グラム)を滴加した。本反応混合物を約1時間、室温で攪拌し、次に、80℃にて75分間撹拌した。前記反応フラスコには、蒸留アダプタ及び蒸留レシーバを装着した。前記反応混合物を減圧下(133パスカル、1トール)、120℃にて2時間加熱し、次に、130℃にて30分間、更なる留出物を集めることができなくなるまで加熱した。前記反応混合物を室温まで冷却し、式IIを持つ前駆体を得た。透明な流動性の液体ガスクロマトグラフィー分析は、検出可能濃度のシュウ酸ジエチルが残存していないことを示した。前記エステル当量は、H NMR(1,293グラム/当量に相当する当量)を使用して決定した。
【0116】
調製例4
DMS−A15の試料(500.00グラム)を、機械式撹拌機、加熱マントル、窒素導入用チューブ(ストップコック付き)、及び排出管を装備した2リットルの3つ口樹脂フラスコ内に入れた。前記フラスコを窒素で15分間パージし、次に、激しく撹拌し、シュウ酸ジエチル(116.92グラム)を滴加した。本反応混合物を約1時間、室温で攪拌し、次に、80℃にて75分間撹拌した。前記反応フラスコには、蒸留アダプタ及び蒸留レシーバを装着した。前記反応混合物を減圧下(133パスカル、1トール)、120℃にて2時間加熱し、次に、130℃にて30分間、更なる留出物を集めることができなくなるまで加熱した。前記反応混合物を室温まで冷却し、式IIを持つ前駆体を得た。透明な流動性の液体ガスクロマトグラフィー分析は、検出可能濃度のシュウ酸ジエチルが残存していないことを示した。前記エステル当量は、H NMR(1,788グラム/当量に相当する当量)を使用し、滴定(1,753グラム/当量に相当する当量)することによって決定した。
【0117】
調製例5
14K PDMSジアミンの試料(830.00グラム、分子量が14,460グラム/モル)を、機械式撹拌機、加熱マントル、窒素導入用チューブ(ストップコック付き)、及び排出管を装備した2リットルの3つ口樹脂フラスコ内に入れた。前記フラスコを窒素で15分間パージし、次に、激しく撹拌し、シュウ酸ジエチル(33.56グラム)を滴加した。本反応混合物を約1時間、室温で攪拌し、次に、80℃にて75分間撹拌した。前記反応フラスコには、蒸留アダプタ及び蒸留レシーバを装着した。前記反応混合物を減圧下(133パスカル、1トール)、120℃にて2時間加熱し、次に、130℃にて30分間、更なる留出物を集めることができなくなるまで加熱した。前記反応混合物を室温まで冷却し、式IIを持つ前駆体を得た。透明な流動性の液体ガスクロマトグラフィー分析は、検出可能濃度のシュウ酸ジエチルが残存していないことを示した。前記エステル当量は、1H NMR(7,916グラム/当量に相当する当量)を使用し、滴定(8,272グラム/当量に相当する当量)することによって決定した。
【0118】
(実施例1)
調製例1の前駆体(793.20グラム)を、機械式撹拌機、加熱マントル、窒素導入用チューブ(ストップコック付き)、及び排出管を装備した3リットルの3つ口樹脂フラスコ内に入れた。前記フラスコを窒素で15分間パージし、ヘキサンジアミン(17.48グラム)を添加した。前記混合物を機械的に撹拌し、150℃まで窒素雰囲気下にて3.5時間加熱した。前記の粘稠な溶融生成物を、ガラス皿に注ぎ冷却した。ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、59のショアA硬度を有する透明なエラストマースラブであった。
【0119】
色、曇価、及び視感透過率の性質は、24ミクロン厚の溶融圧縮試料上で測定された。前記視感透過率は、400nm〜700nmの間の波長について、91%を超えた。C2*パーセント曇価値は、1.7パーセントであり、且つA2*パーセント曇価値は1.6パーセントであった。L*、a*、b*値は、各々97.15、0.03、及び0.52であった。
【0120】
(実施例2)
調製例1の前駆体(100グラム)を0.47L(16オンス)の広口瓶内に入れた。EDA(1.0243グラム)を添加した。前記瓶を密閉し、内容物が粘稠過ぎて流れなくなるまで前記混合物を素早く撹拌した。一晩、周囲温度にて撹拌した後、前記固体生成物をTHF(200グラム)中に溶解させた。フィルムは、前記溶液を注ぐことによってペトリ皿内へキャストし、次に、前記THFをゆっくりと周囲温度にて一晩蒸発させた。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、55のショアA硬度を有する透明なエラストマーフィルムであった。
【0121】
(実施例3)
調製例1の前駆体(100グラム)を0.47L(16オンス)の広口瓶内に入れた。BDAのアリコート(1.5025グラム)を添加した。前記瓶を密閉し、内容物が粘稠過ぎて流れなくなるまで前記混合物を素早く撹拌した。ローラーミル上に前記瓶を周囲温度にて一晩置いた。前記固体生成物をTHF(200グラム)中に溶解させた。フィルムは、前記溶液を注ぐことによってペトリ皿内へキャストし、且つ次に前記THFをゆっくりと周囲温度にて一晩蒸発させた。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、54のショアA硬度を有する透明なエラストマーフィルムであった。
【0122】
(実施例4)
調製例1の前駆体(100.00グラム)及びHDA(2.0013グラム)を0.47L(16オンス)瓶内に量り取った。前記瓶を密閉し、前記混合物を素早く撹拌した。ローラーミル上に前記ジャーを周囲温度にて一晩置いた。前記固体生成物をTHF(200グラム)中に溶解させた。フィルムは、前記溶液を注ぐことによってペトリ皿内へキャストし、次に、前記THFをゆっくりと周囲温度にて一晩蒸発させた。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、51のショアA硬度を有する透明なエラストマーフィルムであった。
【0123】
(実施例5)
調製例2の前駆体(100.00グラム)及びEDA(3.33グラム)を0.47L(16オンス)瓶内に量り取った。前記瓶を密閉し、内容物が粘稠過ぎて流れなくなるまで前記混合物を素早く撹拌した。ローラーミル上に前記ジャーを周囲温度にて一晩置いた。前記固体生成物をTHF(200グラム)中に溶解させた。フィルムは、前記溶液を注ぐことによってペトリ皿内へキャストし、次に、前記THFをゆっくりと周囲温度にて一晩蒸発させた。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、88のショアA硬度を有する透明なフレキシブル・フィルム(例えば、当該フィルムは破壊することなく曲げることができた)であった。
【0124】
(実施例6)
調製例2の前駆体(100.00グラム)及びXDA(7.55グラム)を0.47L(16オンス)瓶内に量り取った。前記瓶を密閉し、内容物が粘稠過ぎて流れなくなるまで前記混合物を素早く撹拌した。ローラーミル上に前記瓶を周囲温度にて一晩置いた。前記固体生成物をTHF(200グラム)中に溶解させた。フィルムは、前記溶液を注ぐことによってペトリ皿内へキャストし、次に、前記THFをゆっくりと周囲温度にて一晩蒸発させた。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、88のショアA硬度を有する透明なフレキシブル・フィルム(例えば、当該フィルムは破壊することなく曲げることができた)であった。
【0125】
(実施例7)
調製例2の前駆体(10.00グラム)及びEDR−148ジアミン(0.81グラム)を8ドラムのバイアル瓶内に量り取った。前記バイアル瓶を密閉し、内容物が粘稠過ぎて流れなくなるまで前記混合物を素早く撹拌した。ローラーミル上に前記バイアル瓶を周囲温度にて一晩置いた。前記生成物を130℃まで加熱し、ガラス製ペトリ皿内にフィルムとしてキャストした。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、85のショアA硬度を有する透明なエラストマーフィルムであった。
【0126】
(実施例8)
調製例2の前駆体(10.00グラム)及びダイテック(DYTEK)Aジアミン(0.6380グラム)を8ドラムのバイアル瓶内に量り取った。前記バイアル瓶を密閉し、内容物が粘稠過ぎて流れなくなるまで前記混合物を素早く撹拌した。ローラーミル上に前記バイアル瓶を周囲温度にて一晩置いた。前記生成物130℃まで加熱し、ガラス製ペトリ皿内へキャストした。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、85のショアA硬度を有する透明なエラストマーフィルムであった。
【0127】
(実施例9)
調製例2の前駆体(10.00グラム)及びDHC−99(0.6274グラム)を8ドラムのバイアル瓶内に量り取った。前記バイアル瓶を密閉し、内容物が粘稠過ぎて流れなくなるまで前記混合物を素早く撹拌した。前記生成物は、170℃まで1時間加熱し、次に、ガラス製ペトリ皿内にフィルムとしてキャストした。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、76のショアA硬度を有する透明なエラストマーフィルムであった。
【0128】
(実施例10)
調製例2の前駆体(10.00グラム)及びH12−MDA(1.1751グラム)をバイアル瓶内に量り取った。前記バイアル瓶を密閉し、内容物が粘稠過ぎて流れなくなるまで前記混合物を素早く撹拌した。前記生成物は、170℃まで1時間加熱し、次に、ガラス製ペトリ皿内にフィルムとしてキャストした。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、81のショアA硬度を有する透明なエラストマーフィルムであった。
【0129】
(実施例11)
調製例3の前駆体(100.00グラム)及びEDA(2.34グラム)を0.47L(16オンス)瓶内に量り取った。前記瓶を密閉し、内容物が粘稠過ぎて流れなくなるまで前記混合物を素早く撹拌した。ローラーミル上に前記瓶を周囲温度にて一晩置いた。前記固体生成物をTHF(200グラム)中に溶解させた。フィルムは、前記溶液を注ぐことによってペトリ皿内へキャストし、次に、前記THFをゆっくりと周囲温度にて一晩蒸発させた。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、78のショアA硬度を有する透明なフレキシブル・フィルム(例えば、当該フィルムは破壊することなく曲げることができた)であった。
【0130】
(実施例12)
調製例3の前駆体(100.00グラム)及びXDA(5.32グラム)を0.47L(16オンス)瓶内に量り取った。前記瓶を密閉し、内容物が粘稠過ぎて流れなくなるまで前記混合物を素早く撹拌した。ローラーミル上に前記瓶を周囲温度にて一晩置いた。前記固体生成物をTHF(200グラム)中に溶解させた。フィルムは、前記溶液を注ぐことによってペトリ皿内へキャストし、次に、前記THFをゆっくりと周囲温度にて一晩蒸発させた。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、78のショアA硬度を有する透明なフレキシブル・フィルム(例えば、当該フィルムは破壊することなく曲げることができた)であった。
【0131】
(実施例13)
調製例4の前駆体(100.00グラム)及びEDA(1.73グラム)を0.47L(16オンス)瓶内に量り取った。前記瓶を密閉し、内容物が粘稠過ぎて流れなくなるまで前記混合物を素早く撹拌した。ローラーミル上に前記瓶を周囲温度にて一晩置いた。前記固体生成物をTHF(200グラム)中に溶解させた。フィルムは、前記溶液を注ぐことによってペトリ皿内へキャストし、次に、前記THFをゆっくりと周囲温度にて一晩蒸発させた。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、75のショアA硬度を有する透明な革のようなフィルムであった。
【0132】
(実施例14)
調製例4の前駆体(100.00グラム)及びXDA(3.92グラム)を0.47L(16オンス)瓶内に量り取った。前記瓶を密閉し、内容物が粘稠過ぎて流れなくなるまで前記混合物を素早く撹拌した。ローラーミル上に前記ジャーを周囲温度にて一晩置いた。前記固体生成物をTHF(200グラム)中に溶解させた。フィルムは、前記溶液を注ぐことによってペトリ皿内へキャストし、次に、前記THFをゆっくりと周囲温度にて一晩蒸発させた。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、72のショアA硬度を有する透明な革のようなフィルムであった。
【0133】
(実施例15)
調製例1の前駆体(100.00グラム)及びXDA(2.32グラム)を0.47L(16オンス)瓶内に量り取った。前記瓶を密閉し、内容物が粘稠過ぎて流れなくなるまで前記混合物を素早く撹拌した。ローラーミル上に前記瓶を周囲温度にて一晩置いた。前記固体生成物をTHF(200グラム)中に溶解させた。フィルムは、前記溶液を注ぐことによってペトリ皿内へキャストし、次に、前記THFをゆっくりと周囲温度にて一晩蒸発させた。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、60のショアA硬度を有する透明なエラストマーフィルムであった。
【0134】
(実施例16)
調製例5の前駆体(98.13グラム)及びEDA(0.36グラム)を0.47L(16オンス)瓶内に量り取った。前記瓶を密閉し、内容物が粘稠過ぎて流れなくなるまで前記混合物を撹拌した。ローラーミル上に前記瓶を周囲温度にて一晩置いた。前記固体生成物をTHF(200グラム)中に溶解させた。フィルムは、前記溶液を注ぐことによってペトリ皿内へキャストし、次に、前記THFをゆっくりと周囲温度にて一晩蒸発させた。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、38のショアA硬度を有する透明なエラストマーフィルムであった。
【0135】
(実施例17)
調製例5の前駆体(100.00グラム)及びXDA(0.83グラム)を0.47L(16オンス)瓶内に量り取った。前記瓶を密閉し、内容物が粘稠過ぎて流れなくなるまで前記混合物を素早く撹拌した。ローラーミル上に前記瓶を周囲温度にて一晩置いた。前記固体生成物をTHF(200グラム)中に溶解させた。フィルムは、前記溶液を注ぐことによってペトリ皿内へキャストし、次に、前記THFをゆっくりと周囲温度にて一晩蒸発させた。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、33のショアA硬度を有する透明なエラストマーフィルムであった。
【0136】
(実施例18)
調製例1の前駆体(150.00グラム)を、機械式撹拌機、加熱マントル、窒素導入用チューブ(ストップコック付き)、及び排出管を装備した3リットルの3つ口樹脂フラスコ内に充填した。周囲温度にて激しく撹拌しながら、BDA(2.5767グラム)を滴加した。本反応混合物は、粘度が高すぎて撹拌できなくなるまで周囲温度にて撹拌し、次に、前記反応混合物を撹拌しながら、175℃まで1時間加熱した。前記の粘稠な溶融生成物は、前記混合物をガラス製ベーキング皿内へ注ぎ、室温まで冷却することによって、スラブとしてキャストした。前記の透明なエラストマースラブは、61のショアA硬度を有した。
【0137】
(実施例19)
調製例2の前駆体(10.00グラム)及びヘキサン(16.10グラム)を0.12L(4オンス)瓶内に量り取り、均質になるまで混合した。XDAのアリコート(0.7559グラム)を添加し、前記混合物を約2分間素早く撹拌した。フィルムは、前記溶液を注ぐことによってペトリ皿内へキャストし、次に、ヘキサンを一晩ゆっくりと蒸発させた。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、79のショアA硬度を有する透明なフレキシブル・フィルム(例えば、当該フィルムは破壊することなく曲げることができた)であった。
【0138】
(実施例20)
33K PDMSジアミンの試料(15.00グラム)を反応槽内に置いた。前記PDMSジアミンを、減圧下にて、約30分間100℃まで加熱することにより脱気させ、次に、周囲温度まで冷却した。トルエン(138.00グラム)を前記PDMSジアミンに添加し、得られた混合物を均質になるまで混合した。ジ(トリフルオロエチル)オキザラート(0.4666グラム)を添加し、前記混合物を90分間周囲温度にて撹拌した。HDAの均質混合物(0.1615グラム)及びトルエン(3.00グラム)を添加し、得られた混合物をローラーミル上で撹拌した。4日後、当該内容物は固まって透明なジェルになった。イソプロピルアルコール(16.20グラム)を添加し、前記混合物を55℃のオーブンにて、流体解が得られるまで加熱し、次にペトリ皿内に注いだ。前記溶剤類を、ゆっくりと周囲温度にて一晩蒸発させた。前記ポリジメチルシロキサンポリオキサミドは、14のショアA硬度を有する透明なエラストマーフィルムであった。
【0139】
(実施例21)
連続、無溶剤、周囲温度プロセスを使用して、調製例1の前駆体(当量3,399)をEDAと反応させて、固体ポリマー材料を数分内に生じさせた。ギアポンプを使用して、共反応物質の供給ストリームを連続的に計量し、静的ミキサーを利用して混合を達成した。前記混合供給ストリームは、瓶、トレイ又は型などの容器類内に、固体ポリマー生成物の形成に先立って投与された。2個のギアポンプで、各々がポンプカート上に取付けられて、そこには駆動モーター、デジタル式rpm読み出し装置、窒素パージ式リザーバタンク(EDAのみ)及び可撓性高密度ポリエチレン製チューブライン(前駆体の場合は0.635センチメートルの外径、EDAの場合は0.317センチメートルの外径)を装備されており、それを使用して34.74グラム/分の連続的前駆体供給ストリーム及び0.31グラム/分のEDA供給ストリームとを、76キロパスカルを超える背圧にて送達する。流量較正中、各供給ラインには流量絞り用ニードル弁及び背圧ゲージを取り付けた。前記の2個の共反応物質ストリームは、ステンレス製T型フィードブロック内で混ぜ合わせ、得られたブレンドを静的ミキサー(長さ20.3センチメートル、直径0.95センチメートル、及び24個の要素)によって混合した。前記混合ストリームを瓶及びその他の容器類の中に投与した。固体ポリマー材料が数分以内(例えば、2分)に形成された。これら共反応物質の反応生成物の滴定により、1時間以内に約99パーセントの反応変換が得られ、周囲温度にて追加の硬化が生じたことを確認した。
【0140】
(実施例22)
実施例1にて調製した前記ポリマー試料(25グラム)を、長方形の細長いストリップに切断した。これらの細長いストリップを、3MからポリガンTC(POLYGUN TC)(B93745号、150ワッツ、60CPS)の商標名で入手したホットグルーガンの中に入れた。前記ガンに通電し、約10分間加熱した。胴体内部の温度は、200℃であった。溶融したポリマーは、ガンから薄いビードとして、10センチメートル×10センチメートル(4インチ×4インチ)のガラス製試片の片端上へ押し出される。まだ溶融している間に、第2のガラス製試片をしっかりと上記ビード上へ押し付けて、薄いフィルムとして2枚のガラスの間に広がるようにする。この重なり合った結合は、10センチメートル×4センチメートル(4インチ×1.6インチ)の領域を有した。同様な結合が、2枚の18センチメートル×7.6センチメートル(7インチ×3インチ)の軟材試験片の間に形成された。木材の結合領域は、7.6センチメートル×8.25センチメートル(3インチ×3.25インチ)であった。これらの結合パネルを数週間放置し、その時点でそれらを引き離そうとした。いずれの結合も手で引っ張って分離することはできなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2個の式Iの繰り返し単位を含む共重合体であって、
【化1】

(式中、
各Rは、独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、又はハロで置換されたアリールであり;
各Yは、独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組合せであり;
Gは、式RHN−G−NHRのジアミンから2個の−NHR基を差し引いたものに相当する2価の残余部分であり;
は、水素若しくはアルキルであるか、又はRはGとともにそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基を形成し;
nは、独立して0〜1,500の整数であり;及び
pは、1〜10の整数である。)
共重合体。
【請求項2】
各Rが、メチルである、請求項1に記載の共重合体。
【請求項3】
基の少なくとも50%が、メチルである、請求項1に記載の共重合体。
【請求項4】
各Yが、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン、1〜10個の炭素原子を有するアルキレンに結合したフェニレン、又は1から10個の炭素原子を有する第1のアルキレン及び1〜10個の炭素原子を有する第2のアルキレンに結合したフェニレンである、請求項1に記載の共重合体。
【請求項5】
Yが、1から4個の炭素原子を有するアルキレンである、請求項1に記載の共重合体。
【請求項6】
前記共重合体が、pが1に等しい第1の繰り返し単位及びpが少なくとも2である第2の繰り返し単位を有する、請求項1に記載の共重合体。
【請求項7】
Gが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、アラルキレン、ポリジオルガノシロキサン、又はこれらの組合せである、請求項1に記載の共重合体。
【請求項8】
nが少なくとも40である、請求項1に記載の共重合体。
【請求項9】
が水素である、請求項1に記載の共重合体。
【請求項10】
少なくとも2個の式Iの繰り返し単位を含む共重合体材料の製造方法であって、
【化2】

当該方法が、
(a)式IIの前駆体
【化3】

(式中、
各Rは、互いに独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、又はハロで置換されたアリールであり;
各Rは、互いに独立してアルキル、ハロアルキル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、ハロ、若しくはアルコキシカルボニルで置換されたアリールであり;
各Yは、互いに独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組合せであり;
nは、互いに独立して0〜1500の整数であり、及び
pは、1〜10の整数である。)及び
(b)式RHN−G−NHRのジアミン
(式中、
Gは、前記ジアミンから2個の−NHR基を差し引いたものに等しい2価の残余単位であり;及び
は、水素若しくはアルキルであるか、又はRはGとともにそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基を形成する。)
をともに反応条件下で混合することを含む、製造方法。
【請求項11】
が水素である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、式ROHの反応副生成物を前記共重合体から除去することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
式IIIのポリジオルガノシロキサンジアミンとモル過剰の式IVのオキザラートとを反応させることにより、式IIの前駆体を調製する、請求項10に記載の方法。
【化4】

(式中、
は、アルキル、ハロアルキル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、ハロ、若しくはアルコキシカルボニルで置換されたアリールである。)
【請求項14】
過剰なオキサラートが、ポリジオルガノシロキサンジアミンとの反応後に除去される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
はメチルであり、かつRは水素である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記前駆体と前記ジアミンとの混合が、バッチプロセス、半バッチ式プロセス、又は連続プロセスで行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記ジアミンが、式HN−G−NHを持ち、かつGがアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、アラルキレン、ポリジオルガノシロキサン、又はこれらの組合せを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも2個の式Iの繰り返し単位を含む共重合体を含む物品。
【化5】

(式中、
各Rは、独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールであり;
各Yは、独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組合せであり;
Gは、式RHN−G−NHRのジアミンから2個の−NHR基を差し引いたものに相当する2価の残余部分であり;
は、水素若しくはアルキルであるか、又はRはGとともにそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基を形成し;
nは、独立して0〜1,500の整数であり;及び
pは、1〜10の整数である。)
【請求項19】
基材を更に含み、式Iの繰り返し単位を有する前記共重合体が、当該基材に隣接した層内にある、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
第1の基材及び第2の基材を更に含み、式Iの繰り返し単位を有する共重合体が、当該第1の基材と当該第2の基材との間に配置された層内にある、請求項18に記載の物品。

【公表番号】特表2009−521545(P2009−521545A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547293(P2008−547293)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/047169
【国際公開番号】WO2007/075317
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】