説明

ポリヒドラゾン化合物及びその製造方法、並びにポリヒドラゾン化合物からなる金属用防錆剤

【課題】分解性ポリマーであり且つ、金属に対する防錆効果をもつポリマー及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリカルボニル化合物をヒドラジン誘導体と脱水縮合して得られる下記一般式(1)で示されるポリヒドラゾン化合物を金属用防錆剤として使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリヒドラゾン化合物及びその製造方法、並びにポリヒドラゾン化合物からなる金属用防錆剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属表面の防錆を目的としてポリマーにより金属表面にコーティングを行う方法がよく知られている。ポリマーでのコーティングは防錆効果と共に、防汚性、磨耗安定性、帯電防止性、接着性、抗菌性、塗装密着性、撥水性、撥油性、ガスバリア性等、様々な機能を金属表面に同時に付与することができる。コーティング剤として用いられるポリマーとしては、金属表面に付与しようとする機能により異なり多岐にわたるが、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、シリコーン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン等が代表的なものとして挙げられる。
【0003】
しかしながら、コーティング自体の除去性に関しては一般的に考慮されることは無く、基材金属をリサイクル又は廃棄しようとする場面では、このようなコーティング層を容易には除去できないという問題点があった。
【0004】
そこで、分解性のポリマーをコーティング剤として利用する方法が検討されている。
【0005】
例えば、生分解性ポリマーとして知られる脂肪族ポリエステル樹脂層を紙基材上に設ける方法(例えば、特許文献1参照)、ポリ乳酸樹脂を水中構造物に塗布する方法(例えば、特許文献2参照)等が挙げられる。
【0006】
しかしながら、これらの生分解性ポリマーは、その分子構造に金属への密着性を高めるヘテロ原子を有していないため、ガスバリア性に乏しく、防錆効果は期待できないという問題があった。
【0007】
また光分解性ポリマーとして知られるアクリル系共重合体を半導体部品等の感圧性接着剤として利用する方法(例えば、特許文献3参照)も知られている。
【0008】
しかしながら、このポリマーの場合も金属への吸着力が十分でなく、金属用防錆剤としての利用例もなかった。
【0009】
【特許文献1】特開平07−266752号公報
【特許文献2】特開平04−120183号公報
【特許文献3】特開昭63−260912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、分解性ポリマーであり、かつ金属に対する防錆効果をもつポリマーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、分解性ポリマーであり、かつ、金属に対する防錆効果をもつポリマーについて鋭意検討した結果、特定のポリカルボニル化合物とヒドラジン誘導体とを脱水縮合することにより得られる特定のポリヒドラゾン化合物を金属用防錆剤として使用することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち本発明は、以下に示すとおりのポリヒドラゾン化合物及びその製造方法、並びにポリヒドラゾン化合物からなる金属用防錆剤である。
【0013】
[1]下記一般式(1)で示される構造単位を一種又は二種以上含み、数平均分子量(Mn)がポリスチレン換算で100〜1,000,000の範囲であるポリヒドラゾン化合物。
【0014】
【化1】

【0015】
[一般式(1)中、X、Y、R、Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
[2]一般式(1)において、X、Y、R、Rが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素原子が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表すことを特徴とする上記[1]に記載のポリヒドラゾン化合物。
【0016】
[3]一般式(1)において、X、Y、Rが各々独立して、水素原子又はメチル基を表し、Rが水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基を表すことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のポリヒドラゾン化合物。
【0017】
[4]下記一般式(2)
【0018】
【化2】

【0019】
[一般式(2)中、X、Yは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
で示される構造単位を一種又は二種以上含み、数平均分子量(Mn)がポリスチレン換算で100〜1,000,000の範囲であるポリカルボニル化合物と、下記一般式(3)
【0020】
【化3】

【0021】
[一般式(3)中、R、Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
で示されるヒドラジン誘導体とを脱水縮合することを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のポリヒドラゾン化合物の製造方法。
【0022】
[5]一般式(2)において、X、Yが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素原子が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表し、かつ一般式(3)において、R、Rが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素原子が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表すことを特徴とする上記[4]に記載のポリヒドラゾン化合物の製造方法。
【0023】
[6]一般式(2)において、水素原子又はメチル基を表し、かつ一般式(3)において、Rが水素原子又はメチル基を表し、Rが水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基を表すことを特徴とする上記[4]に記載のポリヒドラゾン化合物の製造方法。
【0024】
[7]上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のポリヒドラゾン化合物を含有する金属用防錆剤。
【発明の効果】
【0025】
本発明はポリヒドラゾン化合物及びその製造方法、並びにポリヒドラゾン化合物からなる金属用防錆剤を提供するものである。本発明のポリヒドラゾン化合物は、金属用防錆剤として使用でき、工業的に極めて有用な化合物である。
【0026】
本発明のポリヒドラゾン化合物の製造方法は、特別な反応装置の設置が必要なく、設備投資及び、ユーティリティコスト低減が図れる。
【0027】
また本発明では、低価格で入手、製造可能なポリカルボニル化合物、ヒドラジン誘導体を原料として利用しているため、コスト性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
【0029】
本発明のポリヒドラゾン化合物は、上記一般式(1)で示される構造単位を一種又は二種以上含有する化合物である。
【0030】
本発明のポリヒドラゾン化合物において、その分解性及び分解生成物の除去性を考慮すると、上記一般式(1)で示される構造単位において、X、Y、R、Rが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素原子が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表すことが好ましく、上記一般式(1)において、X、Y、Rが各々独立して、水素原子又はメチル基を表し、Rが水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基を表すことがさらに好ましい。
【0031】
本発明のポリヒドラゾン化合物において、上記一般式(1)で示されるポリヒドラゾン化合物の具体例としては、特に限定するものではないが、例えば、置換基X、Y、Rが水素原子であるものとしては、具体的には、ポリ(プロペンアルデヒドヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドメチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドエチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−プロピルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドi−プロピルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−ブチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドi−ブチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドsec−ブチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドt−ブチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドi−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドneo−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドt−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドi−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−ヘプチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−オクチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−ノニルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−デシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−ウンデシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−ドデシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドシクロヘキシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)、ポリ[プロペンアルデヒド(4−メチル)フェニルヒドラゾン]、ポリ(プロペンアルデヒドベンジルヒドラゾン)、ポリ[プロペンアルデヒド(2−フェニル)エチルヒドラゾン]等が例示される。
【0032】
また上記一般式(1)において、例えば、置換基Xが水素原子、Yがメチル基、Rが水素原子であるものとしては、具体的には、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドメチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドエチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−プロピルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドi−プロピルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−ブチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドi−ブチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドsec−ブチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドt−ブチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドi−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドneo−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドt−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドi−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−ヘプチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−オクチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−ノニルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−デシルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−ウンデシルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−ドデシルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドシクロヘキシルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)、ポリ[2−メチル−2−プロペンアルデヒド(4−メチル)フェニルヒドラゾン]、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドベンジルヒドラゾン)、ポリ[2−メチル−2−プロペンアルデヒド(2−フェニル)エチルヒドラゾン]等が例示される。
【0033】
また上記一般式(1)において、例えば、置換基X、Yが水素原子、Rがメチル基であるものとしては、具体的には、ポリ(プロペンアルデヒド−2,2−ジメチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−エチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−プロピルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−i−プロピルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−ブチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−i−ブチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−sec−ブチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−t−ブチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−i−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−neo−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−t−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−i−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−ヘプチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−オクチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−ノニルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−デシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−ウンデシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−ドデシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−シクロヘキシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−フェニルヒドラゾン)、ポリ[プロペンアルデヒド−2−メチル−2−(4−メチル)フェニルヒドラゾン]、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−ベンジルヒドラゾン)、ポリ[プロペンアルデヒド−2−メチル−2−(2−フェニル)エチルヒドラゾン]等が例示される。
【0034】
また上記一般式(1)において、例えば、置換基Xがメチル基、Y、Rが水素原子であるものとしては、具体的には、ポリ(メチルビニルケトンヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンメチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンエチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−プロピルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンi−プロピルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンi−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンsec−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンt−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンi−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンneo−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンt−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンi−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−ヘプチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−オクチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−ノニルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−デシルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−ウンデシルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−ドデシルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンシクロヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)、ポリ[メチルビニルケトン(4−メチル)フェニルヒドラゾン]、ポリ(メチルビニルケトンベンジルヒドラゾン)、ポリ[メチルビニルケトン(2−フェニル)エチルヒドラゾン]等が例示される。
【0035】
また上記一般式(1)において、例えば、置換基X、Yがメチル基、Rが水素原子であるものとしては、具体的には、ポリ(メチルイソプロペニルケトンヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンメチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンエチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−プロピルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンi−プロピルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンi−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンsec−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンt−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンi−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンneo−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンt−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンi−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−ヘプチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−オクチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−ノニルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−デシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−ウンデシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−ドデシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンシクロヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンフェニルヒドラゾン)、ポリ[メチルイソプロペニルケトン(4−メチル)フェニルヒドラゾン]、ポリ(メチルイソプロペニルケトンベンジルヒドラゾン)、ポリ[メチルイソプロペニルケトン(2−フェニル)エチルヒドラゾン]等が例示される。
【0036】
また上記一般式(1)において、例えば、置換基X、Y、Rがメチル基であるものとしては、具体的には、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2,2−ジメチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−エチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−プロピルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−i−プロピルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−i−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−sec−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−t−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−i−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−neo−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−t−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−i−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−ヘプチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−オクチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−ノニルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−デシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−ウンデシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−ドデシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−シクロヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−フェニルヒドラゾン)、ポリ[メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−(4−メチル)フェニルヒドラゾン]、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−ベンジルヒドラゾン)、ポリ[メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−(2−フェニル)エチルヒドラゾン]等が例示される。
【0037】
本発明においては、これらのうち、防錆効果及びコスト面を考慮すると、ポリ(プロペンアルデヒドヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2,2−ジメチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンフェニルヒドラゾン)、及びポリ(メチルイソプロペニルケトン−2,2−ジメチルヒドラゾン)からなる群の中から選ばれる一種、又は二種以上を組み合わせて用いることがさらに好ましい。
【0038】
本発明のポリヒドラゾン化合物は、数平均分子量(Mn)がポリスチレン換算で100〜1,000,000の範囲であるが、好ましくは数平均分子量(Mn)が1000〜50,000の範囲である。数平均分子量(Mn)が100以上とすることで、ポリヒドラゾン化合物の製造時において晶析等の操作を簡便にすることができ、また金属への吸着力が向上して十分な防錆効果を発現する。一方、数平均分子量(Mn)を1,000,000以下とすることで、分解処理時にポリマーの分解がスムーズに進行し、分解に要する時間が工業的な範囲とすることができる。
【0039】
本発明のポリヒドラゾン化合物は、上記一般式(1)で示される構造単位を一種又は二種以上含むが、さらに上記一般式(1)で示される構造単位以外に、他の構造単位を含んでいてもよい。他の構造単位としては、特に限定するものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、マレイミド類、アクリロニトリル、ビニルエーテル類、ビニルアルコール類、酢酸ビニル等のモノマーに由来する構造単位が挙げられる。
【0040】
本発明のポリヒドラゾン化合物は分解性を有する。すなわち、本発明のポリヒドラゾン化合物は、熱又は光により分解し、低分子量化する。
【0041】
本発明のポリヒドラゾン化合物において、分解が起こる温度としては、通常100〜400℃の範囲であり、分解が起こる光としては、通常10〜1000mW/cm程度の強度で波長が250〜800nmの範囲のものが例示される。
【0042】
本発明のポリヒドラゾン化合物の分解は、水の存在下で促進される。よって分解を行う場合には、ポリヒドラゾン化合物を水と接触させることが好ましい。接触させる水の量としては、ポリヒドラゾン化合物が有するヒドラゾン基1モル当量に対して、通常1〜100モル当量の範囲であり、好ましくは2〜20モル当量の範囲内である。水量を1モル当量以上とすれば、ポリマーの分解促進に十分寄与する。また、20モル当量を超えて使用しても、加えただけの分解促進効果は得られない。
【0043】
本発明のポリヒドラゾン化合物の分解は、水の存在下、酸触媒を共存させることで、さらに促進される。よって分解を行う場合には、ポリヒドラゾン化合物を、水と酸触媒との混合物と接触させることがさらに好ましい。
【0044】
酸触媒としては、酸性化合物であればよく、特に限定するものではないが、具体的には、塩酸、塩化水素ガス、臭化水素酸、硫酸、燐酸、オキシ塩化燐、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、クロロスルホン酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸等が例示される。これらのうち、電子材料分野での使用を前提とした場合には、ハロゲン原子や硫黄原子の混入を避けることが好ましいため、ギ酸、酢酸、及びプロピオン酸からなる群より選ばれる一種又は二種以上の酸触媒を好適に用いることができる。
【0045】
酸触媒の量としては、ポリヒドラゾン化合物が有するヒドラゾン基1モル当量に対して、通常0.0001〜0.1モル当量の範囲で使用し、好ましくは0.001〜0.01モル当量の範囲である。酸触媒の量を0.0001モル当量以上とすれば、ポリマーの分解促進に十分寄与する。また、0.1モル当量を超えて使用しても、加えただけの分解促進効果は得られない。
【0046】
本発明のポリヒドラゾン化合物は、上記一般式(2)で示される構造単位を一種又は二種以上含有するポリカルボニル化合物を、上記一般式(3)で示されるヒドラジン誘導体と脱水縮合することで製造することができる。
【0047】
本発明のポリヒドラゾン化合物の製造方法において、その分解性及び分解生成物の除去性を考慮すると、一般式(2)において、X、Yが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素原子が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表し、かつ一般式(3)において、R、Rが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素原子が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表すことが好ましく、一般式(2)において、水素原子又はメチル基を表し、かつ一般式(3)において、Rが水素原子又はメチル基を表し、Rが水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基を表すことがさらに好ましい。
【0048】
本発明のポリヒドラゾン化合物の製造方法において、上記一般式(2)で示される構造単位を一種又は二種以上含有するポリカルボニル化合物は、上記一般式(2)で示される構造単位以外に、さらに他の構造単位を含んでいてもよい。他の構造単位としては、特に限定するものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、マレイミド類、アクリロニトリル、ビニルエーテル類、ビニルアルコール類、酢酸ビニル等のモノマーに由来する構造単位が挙げられる。
【0049】
本発明のポリヒドラゾン化合物の製造方法において、上記一般式(2)で示される構造単位を一種又は二種以上含有するポリカルボニル化合物の具体例としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリ(プロペンアルデヒド)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒド)、ポリ(メチルビニルケトン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン)等が例示される。
【0050】
本発明のポリヒドラゾン化合物の製造方法において、上記一般式(2)で示される構造単位を一種又は二種以上含有するポリカルボニル化合物の数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン換算で100〜1,000,000の範囲であるが、好ましくは数平均分子量(Mn)が1000〜50,000の範囲である。数平均分子量(Mn)を100以上とすることで、製造されたポリヒドラゾン化合物の晶析等の操作が簡便となり、また金属への吸着力が向上し防錆効果が十分発現する。また、数平均分子量(Mn)を1,000,000以下とすることで、製造したポリヒドラゾン化合物の分解処理時にポリマーの分解がスムーズに進行し、分解に要する時間が工業的な範囲となる。
【0051】
本発明のポリヒドラゾン化合物の製造方法において、上記一般式(2)で示される構造単位を一種又は二種以上含有するポリカルボニル化合物は、市販のものでも良いし、公知の方法により合成したものでも良い。また純度については特に限定するものではないが、電子材料分野での使用を前提とした場合には、95%以上が好ましく、99%以上がさらに好ましい。
【0052】
本発明において、上記一般式(2)で示される構造単位を一種又は二種以上含有するポリカルボニル化合物の製造方法としては、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等のいずれの方法でもよく、特に限定するものではないが、ラジカル重合、アニオン重合が好適に用いられる(例えば、A.R.Lyons,J.Polym. Sci.Part D,6,251(1972)、岡本佳男,「高分子実験学4 付加重合・開環重合」,共立出版(1983),p.150、特開平10−45837等参照)。
【0053】
本発明のポリヒドラゾン化合物の製造方法において、上記一般式(3)で示されるヒドラジン誘導体の具体例としては、特に限定するものではないが、例えば、置換基Rが水素原子であるものとしては、具体的には、ヒドラジン、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、n−プロピルヒドラジン、i−プロピルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、i−ブチルヒドラジン、sec−ブチルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、n−ペンチルヒドラジン、i−ペンチルヒドラジン、neo−ペンチルヒドラジン、t−ペンチルヒドラジン、n−ヘキシルヒドラジン、i−ヘキシルヒドラジン、n−ヘプチルヒドラジン、n−オクチルヒドラジン、n−ノニルヒドラジン、n−デシルヒドラジン、n−ウンデシルヒドラジン、n−ドデシルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、フェニルヒドラジン、(4−メチル)フェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0054】
また、例えば、置換基Rがメチル基である、上記一般式(3)で示されるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジメチルヒドラジン、1−メチル−1−エチルヒドラジン、1−メチル−1−n−プロピルヒドラジン、1−メチル−1−i−プロピルヒドラジン、1−メチル−1−n−ブチルヒドラジン、1−メチル−1−i−ブチルヒドラジン、1−メチル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−メチル−1−t−ブチルヒドラジン、1−メチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−メチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−メチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−メチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−メチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−メチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−メチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−メチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−メチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−メチル−1−n−デシルヒドラジン、1−メチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−メチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−メチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−メチル−1−フェニルヒドラジン、1−メチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−メチル−1−ベンジルヒドラジン、1−メチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0055】
本発明のポリヒドラゾン化合物の製造方法において、上記一般式(3)で示されるヒドラジン誘導体は、市販のものでも良いし、公知の方法により合成したものでも良い。公知の調製法としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩を亜硫酸塩や塩化スズ(II)等の還元剤で還元する方法、ヒドラゾンやアジンを白金触媒を用いて接触還元する方法、アシルヒドラジンの還元、N−ニトロソアミンの還元、芳香族ニトロ化合物の還元的カップリング、ヒドラジンやアジンのアルキル化及びアリール化、アミンとクロラミンの反応(Reasching反応)等が挙げられる。また、上記一般式(3)で示されるヒドラジン誘導体の純度について、特に限定するものではないが、電子材料分野での使用を考慮すると、95%以上が好ましく、99%以上がさらに好ましい。
【0056】
本発明のポリヒドラゾン化合物の製造方法において、上記したポリカルボニル化合物及びヒドラジン化合物の混合比は、使用されるポリカルボニル化合物及びヒドラジン化合物の種類等の各種条件に応じて適宜選択すればよく、特に限定するものではないが、ポリカルボニル化合物が有するカルボニル基1モル当量に対して、ヒドラジン化合物を通常1〜100モル当量の範囲で混合し、好ましくは1.0〜10モル当量の範囲内で混合する。ヒドラジン化合物を1モル当量以上使用することで、全てのカルボニル基が反応し、また、10モル当量を超えて使用しても、加えただけの効果は得られない。
【0057】
本発明のポリヒドラゾン化合物の製造方法において、脱水縮合は従来公知の方法で行うことができ、特に限定するものではないが、例えば、原料である上記一般式(2)で示されるポリカルボニル化合物から選ばれる一種又は二種以上と、上記一般式(3)で示されるヒドラジン誘導体から選ばれる一種又は二種以上とを同時に溶剤に溶解させた後、加熱する方法により行うことができる。この際、反応を短時間で完結させるために、副生物として生成する水を留去しながら行うことが好ましい。
【0058】
本発明のポリヒドラゾン化合物の製造方法において、脱水縮合を促進するための触媒を添加することができる。触媒としては、使用されるポリカルボニル化合物及びヒドラジン化合物の種類及び量等の各種条件に応じて適宜選択すればよく、特に限定するものではないが、例えば、塩酸、塩化水素ガス、臭化水素酸、硫酸、燐酸、オキシ塩化燐、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、クロロスルホン酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸等が挙げられ、これらの中でも、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、及び酢酸からなる群より選ばれる一種又は二種以上の酸触媒を好適に用いることができる。
【0059】
触媒の使用量としては、使用されるポリカルボニル化合物及びヒドラジン化合物の種類及び量等の各種条件に応じて適宜選択すればよく、特に限定するものではないが、ポリカルボニル化合物が有するカルボニル基1モル当量に対して、通常0.0001〜0.1モル当量の範囲で使用し、好ましくは0.001〜0.01モル当量の範囲内で使用する。触媒の使用量を0.0001モル当量以上とすることで、反応の進行を工業的なスピードで行うことができ、また0.1モル当量を超えて使用しても、加えただけの効果は得られない。
【0060】
本発明のポリヒドラゾン化合物の製造方法において、使用できる溶剤としては、反応に不活性なものであればあらゆるものが使用可能であり、使用されるポリカルボニル化合物及びヒドラジン化合物の種類及び量等の各種条件に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピネオール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロヘキサン、デカリン等の炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類等が例示される。これらは単独で、又は相溶性のある二種以上の混合物として使用することができる。これらの中でも、エタノール、i−プロピルアルコール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、及びトルエンからなる群より選ばれる一種又は二種以上の溶媒を好適に用いることができる。
【0061】
本発明のポリヒドラゾン化合物の製造方法において、溶剤の使用量としては、反応に使用するポリカルボニル化合物が溶解する最低量以上であればよく、特に限定するものではないが、反応に使用するポリカルボニル化合物に対して、通常200〜10000重量%の範囲内で使用する。200重量%未満であると、副生水を留去する際に溶剤も同時に揮発するため、反応の途中に溶剤量が減少し、ポリカルボニル化合物が析出するおそれがあり、10000重量%を超えて使用した場合、反応の完結に要する時間が工業的でない場合がある。
【0062】
本発明のポリヒドラゾン化合物の製造方法において、反応温度は、使用されるポリカルボニル化合物及びヒドラジン化合物の種類及び量等の各種条件に応じて適宜選択すればよく、特に限定するものではないが、あえて例示すると、0〜200℃の範囲が好ましい。0℃未満では、反応は極めて遅くなるおそれがあり、200℃を超える温度では、ポリカルボニル化合物、ヒドラジン化合物及び/又はポリヒドラゾン化合物が分解する場合があるため、現実的ではない。
【0063】
本発明のポリヒドラゾン化合物の製造方法において、反応時間は、使用されるポリカルボニル化合物及びヒドラジン化合物の種類及び量等の各種条件に応じて適宜選択すればよく、特に限定するものではないが、通常1〜1000時間の範囲内で反応は完結する。
【0064】
本発明のポリヒドラゾン化合物の製造方法において、精製方法に特に制限はないが、例えば、反応終了後、反応液を、生成物の溶解度が低い溶媒に滴下晶析させることにより、ポリヒドラゾン化合物を粉末として取り上げることができる。生成物の溶解度が低い溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、メタノール、アセトニトリル、水等が挙げられる。これらは単独で、又は相溶性のある2種以上を混合して用いることができる。また、生成物の純度を向上させるために、可溶な有機溶媒に再溶解させ、前記した生成物の溶解度が低い溶媒に再度投入し、再晶析を行っても良い。
【0065】
本発明のポリヒドラゾン化合物は、金属用防錆剤として使用することができる。
【0066】
本発明のポリヒドラゾン化合物は、金属表面を保護してその腐食性を抑制し、錆等の発生を防ぐ効果を有する。
【0067】
本発明の金属用防錆剤は、上記した本発明のポリヒドラゾン化合物を含む。
【0068】
本発明の金属用防錆剤は、上記した本発明のポリヒドラゾン化合物から選ばれる一種又は二種以上の化合物を、可溶な有機溶媒に溶解して調製することができる。
【0069】
本発明の金属用防錆剤は、用途に応じて、さらに界面活性剤等、安定剤、分散剤等を含有することができる。また、金属被覆塗料等の金属被覆剤に添加して使用してもよい。さらには、他の金属用防錆剤成分と併用することもできる。
【0070】
本発明の金属用防錆剤において、上記した本発明のポリヒドラゾン化合物の濃度は、金属用防錆剤に対して0.001〜50重量%の範囲が好ましく、0.1〜20重量%の範囲がさらに好ましい。ポリヒドラゾン化合物濃度を0.001重量%以上とすることで、防錆効果を十分に発現させることができ、また、20重量%を超えて使用しても、使用しただけの防錆効果は発現せず、経済上好ましくない。
【0071】
本発明の金属用防錆剤において、処理対象金属としては、特に限定するものではないが、例えば、銅、黄銅、白銅等の銅及び銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金、マグネシウム及びマグネシウム合金、ニッケル及びニッケル合金、クロム及びクロム合金等の金属、亜鉛及び亜鉛合金、鉄、鋳鉄、炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄及び鉄合金、並びにそれらの金属を用いた金属製品を挙げることができる。
【0072】
本発明の金属用防錆剤は、浸漬塗布、スピンコート、噴霧等により金属表面に塗布後、自然乾燥や加熱乾燥することによって金属表面を防錆処理する。
【実施例】
【0073】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定解釈されるものではない。
【0074】
なお、以下の実施例において、数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー製高速GPCシステム)によりポリスチレン換算で算出した。H−NMRはVarian製Gemini−200により測定した。IRはPerkin Elmer製2000FT−IRにより測定した。
【0075】
参考例1 ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒド)の調製.
マグネット攪拌子を入れた50mlのナス型フラスコ中、蒸留生成した2−メチル−2−プロペンアルデヒド(メタクロレイン)7.0g(100mmol、東京化成工業株式会社製)をトルエン20gに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル64mg(0.2mmol、関東化学株式会社製)を加え、50℃まで加熱し、2時間攪拌した。反応終了後、反応液を200mlのメタノールに投入し、次いで析出物をろ取した。得られた白色固体を水洗、次いでメタノール洗浄した後、室温度で減圧下、乾燥することによりポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒド)5.09gを得た(収率72.7%)。
【0076】
数平均分子量(Mn)=27.2×10,Mw/Mn=6.8.
H−NMR(CDCl)9.78(bs)、2.3〜0.8(bs)。
【0077】
参考例2 ポリ(メチルビニルケトン)の調製.
マグネット攪拌子を入れた50mlのナス型フラスコ中、蒸留生成したメチルビニルケトン3.5g(50mmol、東京化成工業株式会社製)をトルエン10gに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル32mg(0.2mmol、関東化学株式会社製)を加え、60℃まで加熱し、2時間攪拌した。反応終了後、反応液を200mlのメタノールに投入し、次いで析出物をろ取した。得られた白色固体を水洗、次いでメタノール洗浄した後、室温度で減圧下、乾燥することによりポリ(メチルビニルケトン)3.03gを得た(収率86.7%)。
【0078】
数平均分子量(Mn)=62.8×10,Mw/Mn=4.03.
H−NMR(CDCl)δ2.6〜1.9(bs)、2.1(bs)、1.68(bs)。
【0079】
実施例1 ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)の調製. マグネット攪拌子を入れた50mlのナス型フラスコ中、参考例1で合成したポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒド)1.4g(ケトン量20mmol)をテトラヒドロフラン40gに溶解させ、フェニルヒドラジン2.38g(22mmol、和光純薬株式会社製)、p−トルエンスルホン酸5mgを添加し、60℃まで加熱し2時間攪拌した。反応終了後、反応液を200mlのメタノールに投入し、次いで析出物をろ取した。得られた白色固体を水洗、次いで少量のメタノール洗浄した後、室温度で減圧下、乾燥することによりポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)2.48gを得た(収率70.5%)。
【0080】
数平均分子量(Mn)=38.1×10,Mw/Mn=3.05.
H−NMR(CDCl)δ7.19(t)、7.08(d)、6.74(t)、9.78(bs)、2.3〜0.8(bs).
IR(KBr)3408,2940,1617,1593,1540,1517,1504,1328,1346,1331,1045,928 cm−1
【0081】
実施例2 ポリ(メチルビニルケトンジメチルヒドラゾン)の調製.
マグネット攪拌子を入れた50mlのナス型フラスコ中、参考例2で合成したポリ(メチルビニルケトン)1.4g(ケトン量20mmol)をテトラヒドロフラン40gに溶解させ、ジメチルヒドラジン1.44g(22mmol、東京化成工業株式会社製)、p−トルエンスルホン酸5mgを添加し、60℃まで加熱し2時間攪拌した。反応終了後、反応液を200mlのメタノールに投入し、次いで析出物をろ取した。得られた白色固体を水洗、次いで少量のメタノール洗浄した後、室温度で減圧下、乾燥することによりポリ(メチルビニルケトンジメチルヒドラゾン)2.12gを得た(収率82.8%)。
【0082】
数平均分子量(Mn)=58.2×10,Mw/Mn=4.32.
H−NMR(CDCl)δ7.18(t)、7.06(d)、6.76(t)、2.6〜1.9(bs)、2.1(bs)、1.68(bs).
IR(KBr)3405,2940,1619,1594,1538,1519,1502,1338,1356,1334,1045,923 cm−1
【0083】
実施例5〜実施例6、比較例1〜比較例3 防錆能評価.
前処理として、エタノールに5分浸漬させ、水洗を挟み、10重量%のヒドラジン水溶液に60℃で20分浸漬させた、長さ25mm、幅15mm、厚さ3.2mmの純銅板に、表1に示す組成の溶液を約10μmの厚みの皮膜を形成するように、塗布した。その後、窒素雰囲気下、50℃の温度で10分間乾燥し、さらに室温で1日間、養生して防錆処理した試験体を製作した。
【0084】
続いて各試験体を大気下、60℃で72時間保持し、各試験体表面の酸素量をEPMA(電子線マイクロアナライザー、堀場製作所社製、商品名「EMAX5770W」)により測定することにより評価した。
【0085】
引き続いて、各試験体の表面状態の簡易評価として目視による判定を行った。評価基準は、変化なし(○)、やや変化(△)、かなり変色(×)とした。
【0086】
それぞれの評価結果を表1に示す。
【0087】
【表1】

【0088】
実施例7 ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)の分解性評価.
実施例1で調製した、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)200mgをジメチルホルムアミド2mlに溶解し、水1mlに溶解させたトリフルオロ酢酸0.2gを添加した。30分室温で攪拌した後、反応溶液を160℃まで加熱し、30分保持した後、GPCにより、残渣の分子量測定を行ったところ。数平均分子量(Mn)=16.1×10,Mw/Mn=2.59となり、分解処理前と比較し低下していた。
【0089】
実施例8 ポリ(メチルビニルケトンジメチルヒドラゾン)の分解性評価.
実施例2で調製した、ポリ(メチルビニルケトンジメチルヒドラゾン)200mgをジメチルホルムアミド2mlに溶解し、水1mlに溶解させたトリフルオロ酢酸0.2gを添加した。30分室温で攪拌した後、反応溶液を160℃まで加熱し、30分保持した後、GPCにより、残渣の分子量測定を行ったところ。数平均分子量(Mn)=4.1×10,Mw/Mn=1.71となり、分解処理前と比較し低下していた。
【0090】
実施例9〜実施例12 除去能評価.
長さ25mm、幅15mm、厚さ3.2mmの純銅板を、前処理として、エタノールに5分浸漬させ、水洗し、10重量%のヒドラジン水溶液に60℃で20分浸漬させた、次いで、表2に示す組成の溶液を約100μmの厚みの皮膜を形成するように塗布した。その後、窒素雰囲気下、50℃の温度で10分間乾燥し、さらに室温で1日間、養生して試験体を製作した。
【0091】
次に、各試験体を100mlの純水に浸漬し、大気下、室温で72時間保持し、試験体を取り除いた後、水を完全に留去して、残渣の重量(純水洗浄により除去された皮膜の重量を表す。)を秤量した(以下、これを残渣重量Aと称する。)。続いて、純水から取り除いた各試験体を、テトラヒドロフラン100mlで洗浄し、皮膜を完全に除去した後、洗浄液を乾固させて、残渣の重量(純水洗浄では除去できなかった皮膜の重量を表す。)を秤量した(以下、これを残渣重量Bと称する。)。これらにより、各試験体における純水による洗浄除去率[=残渣重量A÷(残渣重量A+残渣重量B)×100(重量%)]を求めた。それらの結果を表2にあわせて示す。
【0092】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される構造単位を一種又は二種以上含み、数平均分子量(Mn)がポリスチレン換算で100〜1,000,000の範囲であるポリヒドラゾン化合物。
【化1】

[一般式(1)中、X、Y、R、Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
【請求項2】
一般式(1)において、X、Y、R、Rが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素原子が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表すことを特徴とする請求項1に記載のポリヒドラゾン化合物。
【請求項3】
一般式(1)において、X、Y、Rが各々独立して、水素原子又はメチル基を表し、Rが水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基を表すことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリヒドラゾン化合物。
【請求項4】
下記一般式(2)
【化2】

[一般式(2)中、X、Yは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
で示される構造単位を一種又は二種以上含み、数平均分子量(Mn)がポリスチレン換算で100〜1,000,000の範囲であるポリカルボニル化合物と、下記一般式(3)
【化3】

[一般式(3)中、R、Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
で示されるヒドラジン誘導体とを脱水縮合することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のポリヒドラゾン化合物の製造方法。
【請求項5】
一般式(2)において、X、Yが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素原子が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表し、かつ一般式(3)において、R、Rが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素原子が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表すことを特徴とする請求項4に記載のポリヒドラゾン化合物の製造方法。
【請求項6】
一般式(2)において、水素原子又はメチル基を表し、かつ一般式(3)において、Rが水素原子又はメチル基を表し、Rが水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基を表すことを特徴とする請求項4に記載のポリヒドラゾン化合物の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のポリヒドラゾン化合物を含有する金属用防錆剤。

【公開番号】特開2010−31067(P2010−31067A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191400(P2008−191400)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】