説明

ポリビニルアルコール−ポリエーテルグラフトコポリマーをベースとする迅速に分散可能な粒状フィルムコーティング剤

本発明は、
a)40〜90重量%、好ましくは40〜70重量%のポリビニルアルコール-ポリエーテルグラフトコポリマー(成分A)、
b)最大60重量%、好ましくは20〜45重量%の有彩色または無彩色着色剤(成分B)、
c)0〜30重量%の追加の慣用助剤(成分C)
から構成される固体粒状フィルムコーティング剤に関する。本発明によれば、成分A〜Cの量の合計は100重量%である。前記コーティング剤は、成分A)〜C)のプラスチック材料を押出し、その後成形することにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のポリビニルアルコール-ポリエーテルグラフトコポリマー(成分A)及び追加の慣用コーティング成分、特に着色剤から構成される医薬剤形または栄養補助食品をコーティングするための固体の迅速に分散可能なフィルムコーティング組成物に関する。本発明は更に、前記固体粒状フィルムコーティング組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体剤形には、広範囲のいろいろな理由で迅速に溶解するコーティングが設けられている。こうすると、例えば外観、識別性及び嚥下性を改善したり、苦い味を隠したり、または剤形を外部の影響(例えば、湿気または酸素)から保護することができる。迅速に放出する剤形の場合のフィルムコーティングは各種水性媒体中、特に人工胃液及び腸液中に迅速に溶解するように意図されているので、フィルムコーティング組成物の大部分の重要な成分は水溶性のフィルム形成ポリマーでなければならない。錠剤をコーティングするために使用されるフィルム形成ポリマーは主にヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースであるが、これらは重大な欠点を有している。すなわち、これらのポリマーの水中での粘度は非常に高く、濃度は高くとも約10%に限られる。なぜならば、高濃度で高粘度であるとスプレーノズル中で微細にアトマイズすることができず、コーティングが粗く、不均質で、見苦しいからである。加えて、これらのポリマーは非常に脆く、多くの場合貯蔵中、特にコアの容量が湿気の吸収または放出により変化するならばクラックが発生する。
【0003】
医薬剤形中のコーティング剤または結合剤として、包装材料として、または化粧品、皮膚科用またはサニタリー製剤中の添加剤としてポリビニルアルコール-ポリエーテルグラフトコポリマーを使用することは特許文献1に開示されている。例えばポリビニルアルコール-ポリエーテルグラフトコポリマー及び着色及び不透明を与えるための一般的なコーティング成分(すなわち、酸化鉄、タルク及び二酸化チタン)から構成されているフィルムコーティング組成物の処方が記載されている。しかしながら、ここに記載されている混合物は改善の余地がまだ残されている。
【0004】
特許文献2は、ポリビニルアルコール-ポリエーテルグラフトコポリマー;ヒドロキシ、アミドまたはエステル官能基を有する成分;及び追加の一般的なコーティング成分から構成されているコーティングを記載している。この場合、まず出発材料のプレミックスを物理的混合物として作成した後、該混合物を水中に分散させる。この製造方法では分離しやすく、手触りもよくない。
【0005】
一方、フィルム形成ポリマーの他に慣用助剤(例えば、顔料または追加成分)を含み、分離することなく(これはコーティングの一定の品質のために重要である)、ダスティングせず、容易に貯蔵可能であり、フィルムコーティング組成物として使用する前に簡単且つ迅速に再分散され得るフィルムコーティング組成物のための完成プレミックスが非常に興味深い。
【0006】
特許文献3は、ポリビニルアルコール-ポリエーテルグラフトコポリマーの他にポリビニルピロリドン、顔料及び界面活性剤を含み、顔料をポリマー及び他の成分の水溶液の存在下で粉砕した後噴霧乾燥することにより得られる粉末形態のフィルムコーティング組成物を開示している。しかしながら、このフィルムコーティング組成物はダストがないこと及び使用者が容易に取り扱いやすいことに関して改善の余地がまだ残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第00/18375号
【特許文献2】国際公開第03/070224号
【特許文献3】国際公開第06/002808号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、固体形態で個々の成分間、特に顔料とポリマーを分離させず;優れた流動特性を有し;水中に非常に簡単かつ迅速に溶解されて、高いポリマー及び固体濃度で、またスプレーノズルを詰まらせることなく速いスプレー速度でスプレーし得るスプレー用製剤を非常に短時間で製造することができ;表面上に非常にうまく広がり;可撓性で、貯蔵中クラックを形成せず;粘着性もなく;すべての表面にうまく接着し;優れた平滑性及び光沢を示し;機械的ストレスに対して非常に安定であり;非常に迅速に溶解するフィルムコートを開発するという目的に基づいていた。この目的は、特にダスト及び静電電荷がない点で容易に取り扱うことができる固体フィルムコーティング組成物を見つけることであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、
a)40〜90重量%、好ましくは40〜70重量%のポリビニルアルコール-ポリエーテルグラフトコポリマー(成分A)、
b)10〜60重量%、好ましくは20〜45重量%の有彩色または無彩色着色剤(成分B)
c)0〜30重量%の追加の慣用助剤(成分C)
から構成され、成分A〜Cの合計量が100重量%になり、成分A)〜C)の溶融物を押出した後成形することにより得られる固体粒状フィルムコーティング組成物が知見された。
【発明を実施するための形態】
【0010】
フィルムコーティング組成物は、平均粒子サイズ(d05、容量平均)が300〜2000μm、好ましくは500〜1500μmの範囲の狭い粒子サイズ分布を有している。分布スパンは<1、好ましくは<0.8である。分布スパンは以下の式:(d(09)-d(01))/d(05)により計算される。本発明のフィルムコーティング組成物は長円形〜回転楕円形レンズ状(spheroidal lenticular)粒子から構成されている。
【0011】
フィルムコーティング組成物は適用媒体中に、特に水中に迅速に分散可能である。
【0012】
フィルムコーティング組成物は、成分A)及びB)、並びに適当ならばC)を溶融物に加工し、押出し、成形することを含む方法により得られる。
【0013】
ポリビニルアルコール-ポリエーテルグラフトコポリマーは、
a)少なくとも1種の脂肪族C1-C24-カルボン酸のビニルエステル、好ましくは酢酸ビニルを
b)一般式I:
R1-O-(R2-O)x-(R3-O)y-(R4-O)z-R5
c)[ここで、可変部は相互に独立して以下の意味を有している:
R1は水素、C1-C24-アルキル、R6-C(=O)-、ポリアルコール残基であり、好ましくはH、CH3-であり;
R5は水素、C1-C24-アルキル、R6-C(=O)-であり、好ましくはHであり;
R2〜R4は-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-CH2-CH(CH3)-、-CH2-CH(CH2-CH3)-、-CH2-CHOR7-CH2-であり、好ましくは-(CH2)2-、-CH2-CH(CH3)-であり、特に好ましくは-(CH2)2-であり;
R6はC1-C24-アルキルであり;
R7は水素、C1-C24-アルキル、R6-C(=O)-であり;
xは1〜5000、好ましくは10〜2000、特に好ましくは20〜500であり;
yは0〜5000、好ましくは0であり;
zは0〜5000、好ましくは0であり、
ただしy及びz=0のときにはx≧10である]
を有するポリエーテルの存在下で重合した後、ポリビニルエステル基を完全または部分的に加水分解することにより得ることができるポリマーを意味する。
【0014】
x、y、z:対応する生成物は通常広い分子量分布を有しているのでx、y及びzからポリエーテルの分子量を計算すると平均値が得られる。
【0015】
好ましいポリエーテルは、400〜50,000g/モル、特に好ましくは1500〜20,000g/モルの範囲の平均分子量を有している。
【0016】
上記グラフトコポリマーの製造はそれ自体公知であり、例えば参照により本明細書に組み入れる国際公開第00/18357号に記載されている。
【0017】
好ましいポリマーは、>70モル%、特に好ましくは>80モル%、非常に好ましくは>85モル%のポリビニルエステル基の加水分解度を有している。
【0018】
特に好ましいポリビニルアルコール-ポリエーテルグラフトコポリマーは、
a)グラフト化用モノマーとして酢酸ビニルが使用されており;
b)可変部が以下の意味:
R1=H
R2〜R4=-(CH2)2-
R5=H
x=20〜500
y=0
z=0
を有しており、よって平均分子量が6000のポリエチレングリコールを表し;
c)エステル基の加水分解度が>85モル%であり;及び
d)ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコール6000部分の質量比が75:25である;
ものである。
【0019】
加えて、フィルムコーティング組成物は、成分Bとして着色剤、特に有機または無機顔料を含む。使用され得る着色剤は有彩色または無彩色着色剤であり、本発明に従う無彩色着色剤とは白色、灰色または黒色着色剤、好ましくは白色着色剤、特に白色顔料を意味する。
【0020】
顔料は、適用媒体中に溶解しない有色または白色物質を指す。
【0021】
顔料は、純粋な形態または顔料配合物として本発明の方法に供給され得る。前記顔料配合物は当業者に公知であり、純粋な顔料と同様に市販されている。
【0022】
適当な無機顔料は、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカまたはリン酸水素カルシウムである。ケイ酸アルミニウムの中ではカオリンが特に適当である。ケイ酸マグネシウムの中でタルクが特に重要である。好ましい顔料は、酸化鉄または酸化鉄配合剤、例えば市販されているSicovit(登録商標)イエロー10 E172またはSicovit(登録商標)レッド30 E172、及び二酸化チタン、タルク及びカオリンからなる群から選択される白色顔料である。
【0023】
適当な有機顔料は有機レーキまたはその混合物である。使用され得る有機レーキの例は、カルミンレーキ、キノリン黄色レーキ、タートラジンレーキ、橙黄色レーキ、FD&C黄色アルミニウムレーキ、コチニール赤色レーキ、エリスロシンレーキ、アゾルビンレーキ、インジゴチンレーキ、ブリリアントブルー、β-カロテンである。
【0024】
フィルムコーティングは、更に成分Cとして適当ならば最大30重量%のコーティング成分として慣用されているような助剤を含み得る。追加の慣用コーティング成分は、界面活性剤、水溶性染料、付着防止剤、高分子結合剤、充填剤、膨潤剤、光沢改良剤、消泡剤、保護コロイド、バッファー物質、pH調節物質、接着剤または可塑剤を含む。
【0025】
界面活性剤として使用され得る物質は10を超えるHLB(親水性親油性比;Fiedler,Lexikon der Hilfsstoffe,Editio Cantor Verlag Aulendorf,第5版(2002),p.115-121参照)を有している。
【0026】
特に適当な界面活性剤は、C8-C30脂肪酸のアルカリ金属塩、C8-C30アルキルスルホネート、C8-C30-アルキルスルフェート、C8-C30-アルキアリールスルホネートまたはジオクチルスルホスクシネート、C8-C30-脂肪酸のエトキシレート、C8-C30-脂肪アルコール、脂肪酸グリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪アルコールエーテルまたはフェノール、及びポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックコポリマーである。挙げられている物質のクラスからの例はステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(9)モノステアレート、ポリオキシエチレン(10)ステアリルセチルエーテル、ポリソルベート80、ポリソルベート20、エトキシル化ヒマシ油(35EO)、エトキシル化水素化ヒマシ油(40EO)、エトキシル化12-ヒドロキシステアリン酸(15EO)、ポロキサマー188、ポロキサマー408である。
【0027】
適当な充填剤の例は、微結晶セルロースのようなセルロース;ラクトース、スクロースまたはデキストロースのような糖類;マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはイソマルトのような糖アルコールである。
【0028】
適当な膨潤剤は、クロスポビドン、クロスカルメロース、ナトリウムカルボキシメチルデンプンまたは非架橋カルボキシメチルセルロースである。
【0029】
適当な高分子結合剤は、N-ビニルピロリドンのホモ-及びコポリマー、例えば12〜90のフィケンチャーK値を有するポビドンまたはコポビドンである。
【0030】
固体剤形は、成分のプラスチック混合物を調製した後成形ステップにかけることにより製造される。成分の混合及び混合物の可塑化はいろいろな方法でなし得る。
【0031】
可塑化は、混合物を圧力、せん断力、温度及び/または可塑剤の作用により軟化させることを意味する。温度及びせん断力を上げる作用と特に可塑剤を併用して熱可塑性を達成するように軟化を実施することが好ましい。
【0032】
適当な可塑剤は、長鎖アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ブタンジオール、ペンタノール(例えば、ペンタエリスリトール)、ヘキサノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン-プロピレングリコール、シリコーン、芳香族カルボン酸エステル(例えば、フタル酸ジアルキル、トリメリト酸エステル、安息香酸エステル、テレフタル酸エステル)または脂肪族ジカルボン酸エステル(例えば、アジピン酸ジアルキル、セバシン酸エステル、アゼライン酸ステル、クエン酸及び酒石酸エステル、特にクエン酸トリエチル)、脂肪酸エステル、グリセロールモノ-、ジ-またはトリアセテート、またはジエチルスルホコハク酸ナトリウム、或いは前記可塑剤の混合物である。水も可塑剤として適当であり、好ましい。
【0033】
可塑剤の量は、可塑性及び押出性を保つのに十分な量である。添加される量は通常、成分A〜Cの全量に基づいて30重量%を超えない。
【0034】
更には、加工中に細孔形成剤を使用することも可能である。前記細孔形成剤により、押出中に発泡を生じさせ、または最終コーティングの溶解中に細孔を形成することにより崩壊を加速させ得る。細孔形成剤としてはアルカリ金属またはアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウム)の炭酸塩または炭酸水素塩、或いは対応するアンモニウム化合物が適当である。炭酸ガスを使用することも可能である。更には、酸、特に有機酸(例えば、クエン酸、酒石酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸またはコハク酸)を添加することも可能である。
【0035】
成分の混合は、溶融物成形の前、その間及び/またはその後になし得る。例えば、最初に成分を混合し、その後可塑化しても、同時に混合し、その後可塑化してもよい。プラスチック混合物はしばしば、着色剤が高度の分散状態で分布されるように均質化される。
【0036】
成分は、通常製造プロセスにそのまま使用される。しかしながら、液体形態で、すなわち溶液、懸濁液または分散液としても使用され得る。
【0037】
成分の液体形態のために適当な溶媒は主に水、または水混和性有機溶媒、または水とそれらの混合物である。しかしながら、水と非混和性または混和性の有機溶媒を使用することも可能である。適当な水混和性溶媒は、特にC1-C4-アルカノール(例えは、エタノール、イソプロパノールまたはn-プロパノール)、ポリオール(例えば、エチレングリコール、グリセロール及びポリエチレングリコール)である。適当な水非混和性溶媒は、アルカン(例えば、ペンタンまたはヘキサン)、エステル(例えば、酢酸エチルまたは酢酸ブチル)、塩素化炭化水素(例えば、ジクロロメタン)、及び芳香族炭化水素(例えば、トルエン及びキシレン)である。使用され得る別の溶媒は液体CO2である。溶媒は同時に可塑剤としても役立ち得る。
【0038】
個々の場合において使用される溶媒は処理しようとする組成物に依存する。溶媒の量はいずれの場合も処理しようとする組成物が可塑性及び押出性を保つように限定されなければならない。
【0039】
可塑化及び/または混合はこの目的で慣用されている装置において行う。特に適当な装置は押出機、または適当ならば加熱され、攪拌機、例えば(以下に挙げるタイプのもののような)混練機を有し得る容器である。
【0040】
特に適当な混合装置は、プラスチックテクノロジーにおいて混合するために使用されているものである。適当な装置は、例えば“Mischen beim Herstellen und Verarbeiten von Kunststoffen”,H.Pahl,VDI-Verlag,1986に記載されている。特に適当な混合装置は押出機、動的及び静的混合機、攪拌式容器、ストリッパーメカニズムを有している単軸攪拌装置(特に、ペースト混合機)、多軸攪拌機(特に、PDSM混合機)、固体混合機、好ましくは混合機/混練反応器(例えば、Listより供給されるORP、CRP、AP、DTB、またはKrauss-Maffeiより供給されるReactotherm、またはBussより供給されるKo-Kneader)、トラフ混合機、並びに内部混合機または回転子/固定子システム(例えば、IKAより供給されるDispax)である。
【0041】
混合装置にはその設計に応じて連続または回分式に慣用の方法で装入される。粉末成分は、例えば重量フィーダーを介して自由供給量で導入され得る。溶融物は押出機から直接、またはギアポンプを介して供給され得る。粘度及び圧力が高いならば後者が特に有利である。液体媒体は適当なポンプユニットにより計量供給され得る。
【0042】
フィルムコーティング組成物及び適当ならば添加剤を混合及び/または軟化することにより得られる混合物はペースト状〜粘性(可塑性)または流体の範囲であるため、押出し可能である。混合物のガラス転移温度は混合物中に存在するすべての成分の分解温度以下である。方法の混合及び可塑化ステップは、同一装置においてまたは2つ以上の別々に運転する装置において実施され得る。プレミックスは上記した慣用の混合装置の1つにおいて作成され得る。その後、このタイプのプレミックスを直接的に、例えば押出機に供給した後、適当ならば他の成分を添加して押出す。
【0043】
新規方法では、押出機として一軸スクリュー機、かみ合いスクリュー機、または多軸スクリュー押出機、特に同方向回転または逆回転し、適当ならば混練ディスクを備えている二軸スクリュー押出機を使用することができる。押出の際に溶媒を蒸発させる必要があるならば、押出機は通常蒸発区画を備えている。二軸スクリュー押出機が特に好ましい。
【0044】
本発明の方法は通常高温、好ましくは50〜160℃(プラスチック混合物の温度)、特に好ましくは75〜120℃で可塑化することにより実施される。
【0045】
ダイの設計は使用する高分子結合剤及び所要の医薬形態に依存する。
【0046】
プラスチック混合物は普通、最終成形される。これにより、ダイ及び成形モードに応じてさまざまな形状が得られ得る。押出した後、押出物をホットまたはコールドカットすることにより他の形状、例えば小粒子及び均一な形状のペレットを得ることもできる。ホットカットペレット化によりレンズ状形態を得ることが好ましい。
【0047】
ダストがなく、均一な粒子サイズ分布、高い嵩密度、良好な流動特性及び形態のおかげで、本発明のフィルムコーティング組成物は特に使用者に便利な特性を発揮する。この組成物は容易に再分散され得るだけでなく、容易に取り扱うことができ、低い静電帯電性の点で有利である。
【0048】
本発明のフィルムコーティング組成物の嵩密度は0.4g/mlより大きく、好ましくは0.5g/mlより大きく、特に好ましくは0.6g/mlより大きい。
【0049】
本発明のフィルムコーティング組成物は、原則として生物活性物質のすべての剤形に対するフィルムコーティング組成物として適している。剤形は、薬物、植物処理組成物、ヒト及び動物食料として使用するため、フレグランス及び香油、または他の化粧品活性成分を送達するために適したすべての形態を意味する。これらには、例えば任意の形状の錠剤、ペレット剤または顆粒剤が含まれる。硬または軟カプセル剤をコーティングすることもできる。
【0050】
上記剤形は通常
I (剤形の全重量に基づいて)0.1〜99重量%、特に0.1〜60重量%の活性成分;
II 1〜99.9重量%、特に20〜99重量%の結合剤または充填剤;及び
III 0〜30重量%の追加の添加剤;
を含み、I、II及びIIIの量は合計で100重量%となる。
【0051】
適当な結合剤の例は、
ポリビニルピロリドン(PVP)、N-ビニルピロリドン(NVP)とビニルエステル(特に、酢酸ビニル)のコポリマー、酢酸ビニルとクロトン酸のコポリマー、部分加水分解されたポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール-ポリエーテルグラフトコポリマー、ポリ(ヒドロキシアルキルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリアクリレート及びポリメタクリレート(Eudragitタイプ)、メチルメタクリレートとアクリル酸のコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、セルロースエステル、セルロースエーテル(特に、メチルセルロース及びエチルセルロース)、ヒドロキシアルキルセルロース(特に、ヒドロキシプロピルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース(特に、ヒドロキシプロピルエチルセルロース)、セルロースフタレート(特に、酢酸セルロースフタレート及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)及びマンナン(特に、ガラクトマンナン)である。これらの中で、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンとビニルエステルのコポリマー、ポリ(ヒドロキシアルキルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アルキルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロースが特に好ましい。
【0052】
剤形は更に可塑剤、例えば長鎖アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ブタンジオール、ペンタノール(例えば、ペンタエリスリトール)、ヘキサノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/プロピレングリコール、シリコーン、芳香族カルボン酸エステル(例えば、フタル酸ジアルキル、トリメリト酸エステル、安息香酸エステル、テレフタル酸エステル)、または脂肪族ジカルボン酸エステル(例えば、アジピン酸ジアルキル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、クエン酸及び酒石酸エステル、特にクエン酸トリエチル)、脂肪酸エステル(例えば、グリセロールモノ-、ジ-またはトリアセテートまたはジエチルスルホコハク酸ナトリウム)、或いは前記可塑剤の混合物をも含み得る。可塑剤の濃度は通常混合物の全重量の0.5〜15%、好ましくは0.5〜10%である。
【0053】
慣用の医薬充填剤は、シリケートまたは珪藻土、リン酸ジカルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、タルク、スクロース、グルコース、ラクトース、糖アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、イソマルト)、シリアルまたはコーンスターチ、ジャガイモデンプン、微結晶セルロースである。
【0054】
慣用の滑沢剤は、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、タルク及びシリコーンであり、混合物の全重量の0.1〜5%、好ましくは0.1〜3%の濃度で存在し得る。また、動物または植物脂、特に水素化物及び室温で固体のものであってもよい。これらの脂肪は好ましくは50℃以上の融点を有する。C12、C14、C16及びC18脂肪酸のトリグリセリドが好ましい。ワックス(例えば、カルナウバワックス)を使用することもできる。これらの脂肪及びワックスを有利には単独で、またはモノ-及び/またはジグリセリドまたはホスファチド(特に、レシチン)と一緒に混合してもよい。モノ-及びジグリセリドが上記した脂肪酸タイプから誘導されることが好ましい。
【0055】
安定化剤、例えば酸化防止剤、光安定化剤、ヒドロペルオキシド分解剤、ラジカルスカベンジャー、微生物攻撃に対する安定化剤。
【0056】
湿潤剤、保存剤、徐放剤、崩壊剤、吸着剤、離型剤及び発泡剤(例えば、H.Suckerら,Pharmazeutische Technologie,Thieme-Verlag,Stuttgart,1978)を添加することも可能である。
【0057】
コーティングしようとする剤形は活性成分の固溶体を作成するための物質をも含み得る。これらの助剤の例は、ペンタエリスリトール及びペンタエリスリトールテトラアセテート、ポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレオキシド、並びにそのブロックコポリマー(ポロキサマー))、ホスファチド(例えば、レシチン)、ビニルピロリドンのホモ-及びコポリマー、界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン40ステアレート)、クエン酸及びコハク酸、胆汁酸、ステロール、並びに例えばJ.L.Ford,Pharm.Acta Helv.,61(1986),69-88に挙げられている他の物質である。
【0058】
助剤は、活性成分の溶解度をコントロールするために添加される塩基及び酸とも見なされる(例えば、K.Thomaら,Pharm.Ind.,51(1989),98-101参照)。
【0059】
コーティングしようとする剤形は顆粒化、結晶化、圧搾、圧縮、押出し、凝固またはカプセル化により製造され得る。
【0060】
本発明の目的のための活性成分は、加工条件下で分解しない限り生理学的作用を有するすべての物質を意味する。活性物質は、特に(ヒト及び動物に対して)医薬的に活性な物質、植物処理のための活性成分、殺虫剤、ヒト及び動物食料のための活性成分、フレグランス及び香油である。1回投与あたりの活性成分の量及び濃度は、活性及び放出速度に応じて広範囲で変更可能であり得る。唯一の条件は、所望効果を得るのに十分なことである。よって、活性成分の濃度は0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜80重量%、特に1〜70重量%の範囲であり得る。活性成分を組み合わせて使用することも可能である。本発明の目的のための活性成分にはビタミン及びミネラルも含まれる。ビタミンにはA群及びB群のビタミン、ビタミンC、並びにD群、E群、F群、H群、I群、J群、K群及びP群のビタミンが含まれ、前記B群のビタミンはB1、B2、B6及びB12、ニコチン酸及びニコチンアミドに加えてビタミンB特性を有する化合物、例えばアデニン、コリン、パントテン酸、ビオチン、アデニル酸、葉酸、オロチン酸、パンガミン酸、カルニチン、p-アミノ安息香酸、ミオイノシトール及びリポ酸を意味する。本発明の目的のための活性成分には治療用ペプチドも含まれる。植物処理剤には、例えばビンクロゾリン、エポキシコナゾール及びキンメラックが含まれる。
【0061】
本発明のフィルムコーティング組成物は、例えば以下の活性成分の剤形をコーティングするために適している:
アセブトロール、アセチルシステイン、アセチルサリチル酸、アシクロビル、アルファカルシドール、アラントイン、アロプリノール、アルプラゾラム、アンブロキソール、アミカシン、アミロライド、アミノ酢酸、アミオダロン、アミトリプチリン、アムロジピン、アモキシシリン、アンピシリン、アスコルビン酸、アスパルテーム、アステミゾール、アテノロール、ベクロメタゾン、ベンセラジド、ベンザルコニウム塩酸塩、ベンゾカイン、安息香酸、ベタメタゾン、ベザフィブレート、ビオチン、ビペリドン、ビソプロロール、ブロマゼパム、ブロムヘキシン、ブロモクリプチン、ブデソニド、ブフェキサマク、ブフロメジル、ブスピロン、カフェイン、ショウノウ、カプトプリル、カルバマゼピン、カルビドパ、カルボプラチン、セファクロル、セファレキシン、セファドロキシル、セファゾリン、セフィキシム、セホタキシム、セフタジジム、セフトリアクソン、セフロキシム、クロラムフェニコール、クロルヘキシジン、クロルフェニラミン、クロルサリドン、コリン、シクロスポリン、シラスタチン、シメチジン、シプロフロキサシン、シサプリド、シスプラチン、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クロミプラミン、クロナゼパム、クロニジン、クロトリマゾール、コデイン、コレスチラミン、クロモグリク酸、シアノコバラミン、シプロテロン、デソゲストレル、デキサメタゾン、デクスパンテノール、デキストロメトルファン、デキストロプロポキシフェン、ジアゼパム、ジクロフェナク、ジゴキシン、ジヒドロコデイン、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロエルゴトキシン、ジルチアゼム、ジフェンヒドラミン、ジピリダモール、ジピロン、ジソピラミド、ドンペリドン、ドーパミン、ドキシサイクリン、エナラプリル、エフェドリン、エピネフリン、エルゴカルシフェロール、エルゴタミン、エリスロマイシン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エトポシド、ユーカリ、ファモチジン、フェロジピン、フェノフィブレート、フェノテロール、フェンタニル、フラビンモノヌクレオチド、フルコナゾール、フルナリジン、フルオロウラシル、フルオキセチン、フルルビプロフェン、フォリン酸、フロセミド、ガロパミル、ジェムフィブロジル、ゲンタマイシン、イチョウの葉エキス、グリベンクラミド、グリピジド、クロザピン、カンゾウ、グリセオフルビン、グアイフェネシン、ハロペリドール、ヘパリン、ヒアルロン酸、ヒドロクロロチアジド、ヒドロコドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロモルホン、水酸化イプラトロピウム、イブプロフェン、イミペネム、イミプラミン、インドメタシン、イオヘキソール、イオパミドール、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、イソトレチノイン、イトラコナゾール、ケトチフェン、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトロラク、ラベタロール、ラクツロース、レシチン、レボカルニチン、レボドパ、レボグルタミド、レボノルゲストレル、レボチロキシン、リドカイン、リパーゼ、リシノプリル、ロペラミド、ロラゼパム、ロバスタチン、メドロキシプロゲステロン、メントール、メトトレキセート、メチルドパ、メチルプレドニゾロン、メトクロプラミド、メトプロロール、ミコナゾール、ミダゾラム、ミノサイクリン、ミノキシジル、ミソプロストール、モルヒネ、マルチビタミン混合物または配合物及び無機塩、N-メチルエフェドリン、ナフチドロフリル、ナプロキセン、ネオマイシン、ニカルジピン、ニセルゴリン、ニコチンアミド、ニコチン、ニコチン酸、ニフェジピン、ニモジピン、ニトラゼパム、ニトレンジピン、ニザチジン、ノルエチステロン、ノルフロキサシン、ノルゲストレル、ノルトリプチリン、ナイスタチン、オフロキサシン、オメプラゾール、オンダンセトロン、パンクレアチン、パンテノール、パントテン酸、パラセタモール、ペニシリンG、ペニシリンV、フェノバルビタール、ペントキシフィリン、フェノキシメチルペニシリン、フェニレフリン、フェニルプロパノラミン、フェニトイン、ピロキシカム、ポリミキシンB、ポビドン・ヨウ素、プラバスタチン、プラゼパム、プラゾシン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロパフェノン、プロプラノロール、プロキシフィリン、シュードエフェドリン、ピリドキシン、キニジン、ラミプリル、ラニチジン、レセルピン、レチノール、リボフラビン、リファンピシン、ルトシド、サッカリン、サルブタモル、サルカトニン、サリチル酸、セレジリン、シムバスタチン、ソマトロピン、ソタロール、スピロノラクトン、スクラルファート、スルバクタム、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルピリド、タモキシフェン、トランドラプリル、テガフール、テプレノン、テラゾシン、テルブタリン、テルフェナジン、テトラサイクリン、テオフィリン、チアミン、チクロピジン、チモロール、トラネキサム酸、トレチノイン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムテレン、トリメトプリム、トロキセルチン、ウラシル、バルプロ酸、バンコマイシン、ベラパミル、ビタミンE、ジドブジン。
【0062】
フィルムコーティング組成物は、本発明によれば、共押出により多層医薬形態として作成され得る剤形に対しても適当であり、その場合、複数の上記した成分の混合物を一緒に押出ダイに供給して多層医薬形態の所要層状構造物を生じさせる。層毎に異なる結合剤を使用することが好ましい。このようにして多段階放出プロフィールを調節することができる。
【0063】
多層剤形が2または3層を含むことが好ましい。多層剤形は開放または閉鎖形態をとり得、特に開放または閉鎖多層錠剤として存在し得る。多層の少なくとも1層は少なくとも1種の医薬活性成分を含む。別の活性成分を別の層中に存在させることもできる。このことは、2つの相互に非相容性の活性成分を加工することができたり、活性成分の放出特性をコントロールすることもできるという作用効果を有する。成形は、個々の押出機からの混合物を共押出すること、または他の単位を共通の共押出ダイに供給し、押出することにより行われる。共押出ダイの形状は所要の医薬形態に依存する。適当なダイの例はスリットダイと称される平らなオリフィスを有するもの及び環状オリフィスを有するダイである。
【0064】
具体的な場合には、固溶体が形成され得る。用語「固溶体」は、例えば最初に掲げた文献から当業者には周知である。活性成分をポリマー中に含む固溶体では、活性成分はポリマー中の分子分散形態にある。
【0065】
驚くことに、グラフトコポリマーを本発明の方法により加工すると架橋を生ずることなくフィルムコーティング組成物を得ることができる。グラフトコポリマーの構造に基づいて、当業者は温度及びせん断力にさらすと水の除去を伴って架橋が生ずると予想しただろう。
【0066】
以下の実施例は本発明を例示するために意図されており、しかしながら本発明を限定しない。
【実施例】
【0067】
一般的方法
押出機として、スクリュー直径が25mmのWerner & Pfleiderer製同方向回転ZSK 25/1二軸スクリュー押出機を使用した。この押出機は供給デバイス及び脱ガスデバイスを備えており、8つの異なる温度ゾーンで運転した。グラフトコポリマー及び成分Cの混合物を85〜90℃の最初の3つのゾーンにおいて激しく混合、混練し、ゾーン4に運び、ゾーン5において顔料と混合した。次いで、溶融物を100℃または110℃のゾーン6〜8に運んだ後、押出した。
【0068】
溶融物をブレーカープレートを介して押出した。オリフィス直径が1mmまたは0.8mmのダイプレートを使用した。スクリュー速度は、1.5〜3kg/hの押出量で100〜300rpmであった。出てきた押出物を回転ナイフを用いて切断して成形し、生じた粒子を真空乾燥オーブンにおいて25〜40℃で12時間乾燥した。
【0069】
使用したグラフトポリマーは、75重量%のポリビニルアルコール単位及び25重量%のグラフトベースとしてのポリエチレングリコール(PEG 6000)を含み、45000ダルトン領域の分子量及び94モル%の加水分解度を有するポリマーであった。使用したSicovit(登録商標)タイプ(酸化鉄:Sicovitイエロー10E172、Sicovitレッド30 E172、Sicovitインディゴチンレーキ)はすべて(BASF Aktiengesellschaftから)市販されている。
【0070】
以下に詳記する組成を有する組成物をこのように加工した。%のデータは重量%に関する。
【表1】

【0071】
Retsch Technology GmbH製Camsizerを用いて測定した粒子サイズ分布(密度分布)
組成物No.1a):d(01)=684μm、d(05)=927μm、及びd(09)=1238μm、分布スパン=0.591。
【表2】

【表3】

【0072】
押出物及び水を20重量%の押出物及び80重量%の水の混合比で混合した。押出物は40分以内に完全に分散した。
【0073】
ダスト数の測定:
ダスティング画分の光学密度は、立下り管に自由落下させ、容器の底に衝撃を与えた後、空気中に分散させることにより測定した。30gのサンプルをフラップを開くことにより立下り管に導入する。生じたダストの曇りによるレーザービーム(波長670nm)の光の減衰を測定し、フラップを開いてから0.5秒後(最大値)及びフラップを開いてから30秒後に吸光度を測定することによりダスト密度を調べた。最大値及び30秒値を加えると、ダスト数が得られる。
【0074】
本発明の押出物は3.8のダスト数(いずれの場合も3サンプルの平均)を示す。比較のために、国際公開第06/002808号の実施例2に従うフィルムコーティング組成物のダスト値を測定した。このフィルムコーティング組成物は該実施例に記載されているように61%グラフトコポリマー、7%VA 64、16%カオリン、14%二酸化チタン及び2%ラウリル硫酸Naの水性分散物を噴霧乾燥することにより得た。ダスト値は22.3であった。
【0075】
静電帯電の測定:
ポリエチレンバッグ(25×40cm)を1分間摩擦することにより静電的に帯電させ、秤量し、40gの押出物を計量して入れた。次いで、計量導入した量を取り出し、バッグを再秤量した。平均で、計量導入した量に基づいて0.24重量%の押出物がバッグに残っていた。比較のために、上記したフィルムコーティング組成物を再び調べた。この場合、計量導入した量の3重量%がバッグに残っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)40〜90重量%、好ましくは40〜70重量%のポリビニルアルコール-ポリエーテルグラフトコポリマー(成分A)、
b)10〜60重量%、好ましくは20〜45重量%の有彩色または無彩色着色剤(成分B)、
c)0〜30重量%の追加の慣用助剤(成分C)
から構成される固体粒状フィルムコーティング組成物であって、成分A〜Cの量の合計が100重量%であり、成分A)〜C)の溶融物を押出した後成形することにより得られる上記生成物。
【請求項2】
成分Aとして、ポリビニルアルコール部分対ポリエチレングリコール部分の質量比が75:25であり、ポリエチレングリコールの分子量が6000ダルトンであるグラフトコポリマーを含む、請求項1に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項3】
成分Bとして無機または有機顔料及び染料、或いはその混合物を含む、請求項1または2に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項4】
無彩色着色剤として白色顔料を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項5】
成分Cとして可塑剤、界面活性剤、水溶性染料、付着防止剤、高分子結合剤、充填剤、膨潤剤、光沢改良剤、消泡剤、保護コロイド、バッファー物質、pH調節物質または接着剤を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項6】
成分Bとして有機レーキを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項7】
成分Bとして酸化鉄、二酸化チタン、カオリン、タルクまたはその混合物を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項8】
成分Cとして、N-ビニルピロリドンのホモ-及びコポリマーの群から選択される結合剤を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項9】
成分Cとして、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールブロックコポリマーからなる群から選択される可塑剤を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項10】
成分Cとして、糖または糖アルコールの群から選択される充填剤を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項11】
成分Cとして微結晶セルロースを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項12】
成分Cとしてラウリル硫酸ナトリウムを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項13】
成分Cとしてコロイド状二酸化ケイ素を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項14】
細孔形成剤の使用により得ることができる、請求項1〜13のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項15】
細孔形成剤として、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩及び炭酸水素塩、及びクエン酸からなる群から選択される化合物を使用することにより得ることができる、請求項1〜14のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項16】
500〜1500μmの平均粒子サイズを有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項17】
成分A)〜C)をせん断力の作用により溶融物に加工し、押出し、押出物をディスク様粒子に成形することを含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物の製造方法。
【請求項18】
溶融物を水の存在下で製造する、請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2010−514723(P2010−514723A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543428(P2009−543428)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063674
【国際公開番号】WO2008/080774
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】