説明

ポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜の製造方法

本発明はポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜の製造方法を開示し、優れた力学的性能を有するだけでなく、高い遮断精度をも有し、使用において皮層が剥離し難い膜の製造方法を提供する。サーモトロピック分離法で作られたポリフッ化ビニリデン液体分離膜、又はポリプロピレン液体分離膜を基膜として、水、弱極性有機液体のいずれかを用いて浸漬させ、基膜の膜穴内に液体を充満させる。浸漬した基膜表面にポリフッ化ビニリデンの製膜液を塗布し、再び速やかに凝固浴中に浸入し十分に凝固させ、ポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜を得る。本発明の方法は、優れた力学的性能を有するサーモトロピック分離法で得られるポリフッ化ビニリデン液体分離膜、又はポリプロピレン液体分離膜を補強体として、十分に浸漬したことで、その外部にポリフッ化ビニリデンの製膜液を複合させ、得られる液体分離膜は、優れた力学的性能および高い遮断精度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体分離膜の技術分野に属し、より具体的には、ポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフッ化ビニリデン液体分離膜は、優れた化学的安定性や熱安定性を有するため、工業廃水や生活汚水の処理及び再利用、逆浸透の過程の前処理などに広く用いられる。ポリフッ化ビニリデン液体分離膜を使用する過程において、継続的に水流(クロスフローろ過と逆洗などの過程を含む)、気流(空気洗浄と曝気揺れなどを含む)又は双方一体の衝撃を受ける必要があるため、通常運行を保証するには高強度である必要があり、この点には膜バイオリアクター(MBR)技術を応用する過程で用いられる浸漬式膜部材においては、特に顕著である。
【0003】
現在、産業化されているポリフッ化ビニリデン液体分離膜の製造方法には、以下の二種の方法が含まれる。即ち、一種は、浸漬沈殿法であり、当該方法で得られる膜は、分離精度が高く、親水性が良いという利点があるが、得られる膜の力学的性能の向上については、通常制限され、このような方法で作られる液体分離膜は、膜自身及びスポンジ層の厚みを増加することによって、膜の強度を向上するが、これによりしばしば膜の透過性を低下させる。もう一種は、サーモトロピック分離法であり、得られる膜は力学的性能に優れるという特徴があるが、通常ろ過精度と透過性の両方を備えることができず、分離膜成形の原理からサーモトロピック分離法で得られる膜の表面には緻密層が殆どなく、使用過程において、除去し難い嵌込型汚染を形成し易く、洗浄過程に対して高い要求が持たれることが多い。従って、液体分離膜が高い遮断精度と透過性を有すると共に、優れた力学的性能を有することを如何に保証するかが、液体分離膜の研究と開発の重要な課題になる。
【0004】
現在、膜の力学的性能と分離精度を保証する方法には主に以下の方法がある。即ち、
1、中国特許出願番号が200380102726.6、特許名称が「複合多孔膜」である特許文献、及び中国特許出願番号が200510013255.2、特許名称が「繊維補強型ポリフッ化ビニリデンの中空繊維の微孔ろ過膜の製造方法」である特許文献には、液体分離膜の製造方法が開示され、主に、液体分離膜、例えば中空繊維の液体分離膜の成形過程では、補強繊維と製膜液と共に紡糸口金を通し、さらに、凝固浴中に進入して縦方向の補強繊維を埋設する浸漬沈殿法による中空繊維膜を形成することが開示される。この方法は、得られる膜の補強繊維の軸方向に沿った力学的性能のみを増強し、補強繊維の径方向の力学的性能、例えば、膜の耐圧性などに作用しない。
【0005】
2、中国特許出願番号が200610013558.9、特許名称が「網目状繊維補強型ポリフッ化ビニリデンの中空繊維膜の製造方法」である特許文献に開示される技術方案は、以下の通りであり、即ち、液体分離膜に、例えば、中空繊維液体分離膜の内壁に長繊維の網目織りを埋設して(中空繊維膜成形、外部に長繊維網目状ものを織り、及び再塗布の三つの工程を備える)、網目状繊維補強型ポリフッ化ビニリデン分離膜が得られる。この方法の問題は、中空繊維膜の外部に長繊維網目状ものを織るプロセスは複雑であり、さらに、それに加えて再塗布工程を経る必要があり、全工程の効率が低いことである。
【0006】
3、中国特許出願番号が200710150253.7、特許名称が「不織布パイプ補強型ポリフッ化ビニリデンの中空繊維膜の製造方法」である特許文献に開示される技術方案は、以下の通りである。即ち、ポリエステル短繊維で得られる不織布パイプは、400℃〜600℃の熱処理をして補強した後にポリフッ化ビニリデンの成形膜を用いて塗布を行い、再び浸漬沈殿法で不織布パイプ補強型ポリフッ化ビニリデンの液体分離膜が得られる。この方法の問題は、ポリエステル短繊維を用いて不織布パイプを製造する過程は複雑であり、このような種類の補強型液体分離膜の生産効率は制限され、汚水処理の分離膜の規模化の要求を満たせないことである。
【0007】
4、米国特許番号が5472607、発明名称が「Hollow fiber semipermeable membrane of tubular braid」(「パイプ状の織物に基づく中空繊維半透膜」)には、織物の表面にポリフッ化ビニリデンの製膜液を塗布する方法が開示される。中国特許出願番号が200810103819.5、発明名称が「補強パイプ状多孔体複合膜及びその製造方法、並びにそれらの用途」である特許文献には、上記プロセスを改善し、また織物を一定粘度と凝固の効果がある液体に含浸させ、上記液体を織物の隙間に充満させ、さらに、製膜液を二層塗布することによって、高強度、高貫通量、無欠陥の目的を達成することができると開示される。しかし、上記の技術方案は、用いられる補強材料がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド又はポリエステル短繊維であり、分離層の材料であるポリフッ化ビニリデンと異なる材料であり、相溶性の差異があり、結合強度が必ず制限されるため、高強度震動(例えば、MBRを応用する過程での強烈な曝気揺れ)と高強度の逆洗、さらに薬剤を加えた逆洗では、分離層が織物の表面から剥離する過程があり、膜の洗浄や貫通量の回復が制限される。また、織物自身は隙間が大きく(殆ど100μm以上であり)、一旦分離層の剥離が発生すると、ろ過した水の水質にも大きな影響を及ぶことが問題となることがある。
【0008】
5、中国特許出願番号が200810202327.1、発明名称が「サーモトロピック分離法を用いた補強型複合中空繊維膜の製造方法」である特許文献に開示される技術方案は、以下の通りである。即ち、方法4の成膜工程を用いて、ポリフッ化ビニリデンの製膜液のみをサーモトロピック分離法でのポリフッ化ビニリデンの成膜系に代え、他の条件は類似である。この方法は、サーモトロピック分離法での液体分離膜について、力学的性能が応用を制限する主な問題ではなく、得られる膜が使用過程において、方法4に類似するように結合強度が弱く、一旦皮層が剥がれると、ろ液の安全を保証できないことに問題がある。
【0009】
以上に鑑み、新補強型液体分離膜の製造方法を開発し、従来の方法における各問題を克服することには、重要な意義がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】中国特許出願番号200380102726.6
【特許文献2】中国特許出願番号200510013255.2
【特許文献3】中国特許出願番号200610013558.9
【特許文献4】中国特許出願番号200710150253.7
【特許文献5】米国特許第5472607号
【特許文献6】中国特許出願番号200810103819.5
【特許文献7】中国特許出願番号200810202327.1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来技術における欠点を克服するため、優れた力学的性能を有すると共に、高い遮断精度を有し、使用において皮層が剥離し難い、ポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以下の技術方案により実現する。
ポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜の製造方法であって、以下の(1),(2)のステップが含まれること、即ち、
(1)サーモトロピック分離法で作られたポリフッ化ビニリデン液体分離膜、又はポリプロピレン液体分離膜を基膜として、水、弱極性有機液体のいずれかを用いて浸漬させ、基膜の膜穴内に液体を充満させ、一般浸漬時間は0.5s(秒)〜1min(分)である。ここで前記弱極性有機液体は、ポリフッ化ビニリデン液体分離膜又はポリプロピレン液体分離膜を溶解させるものではないが当該液体分離膜と相溶性を有するものである。
(2)ステップ(1)で得られる浸漬処理をした基膜表面にポリフッ化ビニリデンの製膜液を塗布し、その後速やかに60〜100℃に加熱された凝固浴中に浸入し十分に凝固して、ポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜が得られる。
【0013】
前記サーモトロピック分離法で得られるポリフッ化ビニリデン液体分離膜、又はポリプロピレン液体分離膜は、中空繊維型と平板型を含み、得られる複合補強型液体分離膜の隙間率を向上すると共に、塗布の均一性を保つため、前記サーモトロピック分離法で得られるポリフッ化ビニリデン液体分離膜、又はポリプロピレン液体分離膜の孔径は、最も好ましくは0.1ミクロン〜10ミクロンであり、破断強度は5N〜15Nである。
【0014】
前記ポリフッ化ビニリデン製膜液(即ち、浸漬沈殿法でのポリフッ化ビニリデン成膜系)は従来技術と同じであり、ポリフッ化ビニリデン、溶剤、添加剤を混合した後に脱泡して得られ、重量パーセンテージで、ポリフッ化ビニリデンは10〜35%であり、溶剤は60〜80%であり、添加剤は5〜30%である。その中、溶剤と添加剤ともに従来技術と同じである。溶剤は、ポリフッ化ビニリデンに対する各種の良溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどを選択することができる。添加剤は、各種の水溶性の組成分、例えば、ポリグリコール、ポリビニル・ピロリドン、塩化リチウム、ポリソルベート80などである。
【0015】
前記凝固浴の媒質は、従来技術と同じであり、水又は溶剤の水溶液を用いてもよい。
【0016】
前記弱極性有機液体は、エタノール、グリセリン、イソプロパノール、分子量が600以下であるポリグリコール中の何れかの一種である。
【0017】
その中、サーモトロピック分離法で得られるポリプロピレン液体分離膜は、複合後逆洗の要求があまり高くない場合に使用してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は下記の技術効果を有する。
1.本発明液体分離膜の製造方法は、優れた力学的性能を有する、サーモトロピック分離法で得られるポリフッ化ビニリデン液体分離膜、又はポリプロピレン液体分離膜を基膜として、浸漬を介して基膜の膜穴内に水、又は弱極性溶剤を充満させた後、その外部にポリフッ化ビニリデン製膜液を複合して高分離精度と高耐汚染性能を持つ液体分離膜構造を形成させる。得られる液体分離膜は、優れた力学的性能を有すると共に、高い遮断精度を有し、MBRなど応用プロセスは液体分離膜孔径と力学的性能の二重の要求を満たす。その中で、水、弱極性有機液体の何れかの一種を介して十分な浸漬処理を行うのは、本発明のキーポイントであり、複合過程における製膜液に存在する溶剤の組成分は、サーモトロピック分離法で得られるポリフッ化ビニリデン液体分離膜、又はポリプロピレン液体分離膜の表面孔構造を溶解し封鎖することを回避することができ、膜の透過性を保つことができる。
【0019】
2.基膜と製膜液の成膜材料ともにポリフッ化ビニリデンである場合、本発明の液体分離膜の製造方法は本体複合とも言え、その場合、内層と外層との基質相材料は相溶性の差異がなく、内外層の間の結合はより緊密化し、液体分離膜の耐逆洗性能を向上し、さらに液体分離膜の使用寿命を向上することに対し、重要な意義を持つ。
【0020】
3.本発明の液体分離膜の製造方法に係るサーモトロピック分離法と浸漬沈澱法(又は溶液相転換法)は、産業分野でも連続化及び規模化の製造を実現でき、特に浸漬沈澱法の製膜液製造方法は成熟しており、産業化を速やかに実施するのに有利である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、具体的な実施例を伴って本発明を詳細に説明するが、実施例は本発明の保護範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
(1)サーモトロピック分離法で得られる、平均孔径は0.1ミクロンであり、破断強度は5Nであるポリフッ化ビニリデンの中空繊維膜を基膜として、室温でエタノールを用いて0.5s浸透させ、ポリフッ化ビニリデンの中空繊維膜の膜孔内にエタノールを充満させる。
【0023】
(2)全体系の総重量の10%を占めるポリフッ化ビニリデン、全体系総重量の80%を占めるN,N−ジメチルホルムアミド、全体系総重量の10%を占めるポリビニル・ピロリドンを混合して均一に溶解させ、且つ脱泡して製膜液が得られる。製膜液をステップ(1)で得られる膜孔内にエタノール液体が充満された基膜表面に均一に塗布し、その後60℃の水に浸入して十分に凝固させる。得られるポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜は、破断強度が6.5Nであり、平均孔径が0.08ミクロンであり、連続して0.1MPaで10時間逆洗しても、内外層は分離しない。
【0024】
(実施例2)
(1)サーモトロピック分離法で得られる、平均孔径は10ミクロンであり、破断強度は15Nであるポリフッ化ビニリデンの中空繊維膜を基膜として、室温でグリセリンを用いて30s浸透させ、ポリフッ化ビニリデンの中空繊維膜の膜孔内にグリセリンを充満させる。
【0025】
(2)全体系の総重量の35%を占めるポリフッ化ビニリデン、全体系総重量の60%を占めるN,N−ジメチルホルムアミド、全体系総重量の5%を占めるポリグリコールを混合して均一に溶解させ、且つ脱泡して製膜液が得られる。製膜液をステップ(1)で得られる膜孔内にグリセリンが充満された基膜表面に均一に塗布し、その後速やかに100℃の50%ジメチルアセトアミドの水溶液に浸入して十分に凝固させる。得られるポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜は、破断強度が17Nであり、平均孔径が0.05ミクロンであり、連続して0.1MPaで10時間逆洗しても、内外層は分離しない。
【0026】
(実施例3)
(1)サーモトロピック分離法で得られる、平均孔径は0.5ミクロンであり、破断強度は5Nであるポリフッ化ビニリデンの中空繊維膜を基膜として、室温でイソプロパノールを用いて0.5s浸透させ、ポリフッ化ビニリデンの中空繊維膜の膜孔内にイソプロパノールを充満させる。
【0027】
(2)全体系の総重量の20%を占めるポリフッ化ビニリデン、全体系総重量の50%を占めるN,N−ジメチルホルムアミド、全体系総重量の30%を占める塩化リチウムとポリソルベート80を重量比が1:5である配合で得られる添加剤を混合して均一に溶解させ、且つ脱泡して製膜液が得られる。製膜液をステップ(1)で得られる膜孔内にイソプロパノールが充満された基膜表面に均一に塗布し、その後速やかに60℃の水に浸入して十分に凝固させる。得られるポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜は、破断強度が6Nであり、平均孔径が0.1ミクロンであり、連続して0.1MPaで10時間逆洗しても、内外層は分離しない。
【0028】
(実施例4)
(1)サーモトロピック分離法で得られる、平均孔径は10ミクロンであり、破断強度は15Nであるポリフッ化ビニリデンの中空繊維膜を基膜として、室温でポリグリコール600を用いて30s浸透させ、ポリフッ化ビニリデンの中空繊維膜の膜孔内にポリグリコール600を充満させる。
【0029】
(2)全体系の総重量の35%を占めるポリフッ化ビニリデン、全体系総重量の60%を占めるジメチルスルホキシド、全体系総重量の5%を占めるポリグリコールを混合して均一に溶解させ、且つ脱泡して製膜液が得られる。製膜液をステップ(1)で得られる膜孔内にポリグリコール600が充満された基膜表面に均一に塗布し、その後100℃の50%のジメチルアセトアミドに浸入して十分に凝固させる。得られるポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜は、破断強度が17.3Nであり、平均孔径が0.06ミクロンであり、連続して0.1MPaで10時間逆洗しても、内外層は分離しない。
【0030】
(実施例5)
(1)サーモトロピック分離法で得られる、平均孔径は1ミクロンであり、破断強度は10Nであるポリフッ化ビニリデンの中空繊維膜を基膜として、室温で水を用いて1min浸透させ、ポリフッ化ビニリデンの中空繊維膜の膜孔内に水を充満させる。
【0031】
(2)全体系の総重量の10%を占めるポリフッ化ビニリデン、全体系総重量の80%を占めるN,N−ジメチルホルムアミド、全体系総重量の10%を占めるポリビニル・ピロリドンを混合して均一に溶解させ、且つ脱泡して製膜液が得られる。製膜液をステップ(1)で得られる膜孔内に水が充満された基膜表面に均一に塗布し、その後70℃の水に浸入して十分に凝固させる。得られるポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜は、破断強度が11.8Nであり、平均孔径が0.08ミクロンであり、連続して0.1MPaで10時間逆洗しても、内外層は分離しない。
【0032】
(実施例6)
(1)サーモトロピック分離法で得られる、平均孔径は0.5ミクロンであり、破断強度は10Nであるポリフッ化ビニリデンの中空繊維膜を基膜として、室温でエタノールを用いて1min浸透させ、ポリフッ化ビニリデンの中空繊維膜の膜孔内にエタノールを充満させる。
【0033】
(2)全体系の総重量の10%を占めるポリフッ化ビニリデン、全体系総重量の80%を占めるN,N−ジメチルホルムアミド、全体系総重量の10%を占めるポリビニル・ピロリドンを混合して均一に溶解させ、且つ脱泡して製膜液が得られる。製膜液をステップ(1)で得られる膜孔内にエタノールが充満された基膜表面に均一に塗布し、その後70℃の水に浸入して十分に凝固させ、得られるポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜は、破断強度が10.5Nであり、平均孔径が0.08ミクロンであり、連続して0.1MPaで8時間逆洗しても、内外層は分離しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜の製造方法であって、以下の(1),(2)のステップが含まれること、即ち、
(1)サーモトロピック分離法で作られたポリフッ化ビニリデン液体分離膜又はポリプロピレン液体分離膜を基膜として、水、弱極性有機液体のいずれかを用いて浸漬させ、基膜の膜穴内に液体を充満させること、
ここで前記弱極性有機液体は、ポリフッ化ビニリデン液体分離膜又はポリプロピレン液体分離膜を溶解させるものではないが当該液体分離膜と相溶性を有するものであること、
(2)前記ステップ(1)で得られる浸漬処理をした基膜表面に、ポリフッ化ビニリデンの製膜液を塗布し、その後速やかに、60〜100℃に加熱された凝固浴中に浸して十分に凝固させ、ポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜を得ること、
を特徴とするポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜の製造方法。
【請求項2】
前記サーモトロピック分離法で得られるポリフッ化ビニリデン液体分離膜又はポリプロピレン液体分離膜の孔径は0.1ミクロン〜10ミクロンであり、破断強度は5N〜15Nである、ことを特徴とする請求項1記載のポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜の製造方法。
【請求項3】
前記ポリフッ化ビニリデンの製膜液は、ポリフッ化ビニリデン、溶剤、添加剤を混合した後に脱泡して得られるものであり、重量パーセンテージで、ポリフッ化ビニリデンは10〜35%であり、溶剤は60〜80%であり、添加剤は5〜30%である、ことを特徴とする請求項1記載のポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜の製造方法。
【請求項4】
前記凝固浴の媒質は、水又は溶剤の水溶液である、ことを特徴とする請求項1記載のポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜の製造方法。
【請求項5】
前記弱極性有機液体は、エタノール、グリセリン、イソプロパノール、分子量が600以下であるポリグリコール中の何れかの一種である、ことを特徴とする請求項1記載のポリフッ化ビニリデン複合補強型液体分離膜の製造方法。

【公表番号】特表2013−510717(P2013−510717A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548335(P2012−548335)
【出願日】平成23年10月23日(2011.10.23)
【国際出願番号】PCT/CN2011/081157
【国際公開番号】WO2012/079422
【国際公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【出願人】(512125714)天津膜天膜科技股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】