説明

ポリペプチド治療薬剤の経口投与のための遅延放出処方物と同薬剤の使用方法

本発明はインターロイキン-11等治療に役立つポリペプチドを含み、経口投与に適する組成物を規定する。治療上有効な遅延放出経口投薬形態の生体活性ポリペプチドを含む薬学的組成物が、開示される。この組成物は、生体活性ポリペプチド(このポリペプチドは、N連結グリコシル化部位を欠くこと、わずか1つのシステインアミノ酸を有すること、および塩基性pIを有することからなる群より選択される1つ以上の特性を含む);少なくとも1つの結合剤;少なくとも1つの可塑剤;少なくとも1つの滑剤;ならびにメタクリル酸共重合体を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、経口投与に適するインターロイキン−11を含むポリペプチドを含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
組換えヒトインターロイキン−11(rhIL−11)は、177のアミノ酸の非グルコシル化ポリペプチドである。このポリペプチドはシステイン残基を欠き、非常に塩基性である(pI>10.5)。rhIL−11は、ヒト成長ホルモン(hGH)および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)を含む、ヒト成長因子ファミリーのメンバーである。
【0003】
rhIL−11は、化学療法の補助薬剤として使用され、そして他の癌処置剤と共に、血小板レベルを増加させるために投与される。rhIL−11はまた、抗炎症性の効果を有すること、およびクローン病および潰瘍性大腸炎のような状態の処置に有用であることが実証されている。IL−11は、典型的には皮下注射により投与される。皮下注射用の処方物は無菌でなければならず、そしてこれは他の投与経路に比べて高価であり得る。この経路はまた、不便であり、そして不快である。皮下注射はさらに、注射領域における局所的な組織の損傷および感染のような合併症に関連している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、被験体に経口で送達し得るrhIL−11組成物の発見に一部基づいている。
【0005】
1つの側面において、本発明は、生体活性ポリペプチド、腸溶性コート(例えば、メタクリル酸共重合剤)、および必要に応じて、少なくとも1つの賦形剤を含む治療上有効な遅延放出経口投薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、この生体活性ポリペプチドは、N連結グリコシル化部位を欠くこと、わずか1つのシステインアミノ酸を有すること、および塩基性pIを有することからなる群より選択される1つ以上の特性を含む。いくつかの実施形態において、このポリペプチドはシステイン残基を有さない。
【0006】
好ましいポリペプチドはIL−11である。本発明は、生体活性ポリペプチドIL−11に関して本明細書中で記載される。しかしながら、IL−11に関して記載される本発明の特徴はまた、他の生体活性ポリペプチドを含む組成物および方法に適用できることが理解される。
【0007】
1つの実施形態において、この組成物は、さらに不活性なコアを含む。この不活性なコアは、例えば、ペレット、スフィア、またはビーズであり得、糖、デンプン、微結晶性セルロース、または他の任意の薬学的に受容可能な不活性賦形剤で構成される。好ましい不活性なコアは、単糖、二糖または多糖(すなわち、3つ以上の糖分子を含む重合体)のような炭水化物である。適切な炭水化物の例はスクロースである。いくつかの実施形態において、このスクロースは、組成物中に60〜75%wt/wtの濃度で存在する。
【0008】
生体活性ポリペプチドがIL−11である場合、このIL−11層は、優先的に、安定剤(例えば、メチオニン、グリシン、ポリソルベート80およびリン酸緩衝液)、ならびに/あるいは薬学的に受容可能な結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、またはヒドロキシプロピルセルロース)と共に提供される。この組成物はさらに、1つ以上の薬学的賦形剤を含み得る。このような薬学的賦形剤としては、例えば、結合剤、崩壊剤、充填剤、可塑剤、滑沢剤、滑剤、コーティング剤、および懸濁剤/分散剤が挙げられる。
【0009】
好ましい結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。このHPMCは、好ましくは組成物中に3〜7%wt/wtの濃度で存在する。
【0010】
好ましい滑剤は、タルクである。いつくかの実施形態において、この滑剤は、組成物中に5〜10%wt/wtの濃度で存在する。
【0011】
可塑剤としては、例えば、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、フタル酸ジブチル、トリアセチン、ジブチルセブケート(dibutyl sebucate)、およびプロピレングリコールが挙げられ得る。好ましい可塑剤は、クエン酸トリエチルである。例えば、このクエン酸トリエチルは、1〜2%wt/wtの濃度で存在し得る。
【0012】
好ましい界面活性剤は、ポリソルベート80である。このポリソルベート80は、0.015〜0.045%wt/wtの濃度で存在し得る。
【0013】
いくつかの実施形態において、組成物は、カプセル投薬形態において、複数の腸溶性コーティングされたIL−11層ペレットを含む多粒子系として提供される。この腸溶性コーティングされたIL−11ペレットは、不活性なコア(例えば、炭水化物のスフィア)、IL−11の層、および腸溶性コートを含む。この腸溶性コートは、例えば、pH依存性の重合体、可塑剤、および抗固着剤/滑剤を含み得る。好ましい重合体としては、例えば、メタクリル酸共重合体、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、セラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクレネート、カルボキシ−メチルセルロースが挙げられる。
【0014】
好ましくは、不活性なシールコートが、遮断物として組成物中のIL−11層と腸溶性コートとの間に存在する。この不活性なシールコートとしては、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、または別の薬学的に受容可能な結合剤が挙げられ得る。
【0015】
適切な持続性重合体としては、例えば、アミノメタクリレート共重合体(Eudragit RL、Eudragit RS)、エチルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。いくつかの実施形態において、このメタクリル酸共重合体は、pH5.5より上で可溶性となるpH依存性のアニオン重合体である。このメタクリル酸共重合体は分散剤として提供され得、そしてこれは、組成物中に10%〜20%wt/wtの濃度で存在し得る。好ましいメタクリル酸共重合体は、EUDRAGIT(登録商標)L30 D−55である。
【0016】
好ましい実施形態において、腸溶性コーティングされた錠剤の投薬形態としては、IL−11、充填剤である微結晶性セルロース(Avicel PH 102)、崩壊剤であるExplotab、緩衝剤であるリン酸ナトリウム、抗酸化剤であるメチオニン、界面活性剤であるTween 80、滑沢剤であるステアリン酸マグネシウム、および腸溶性コートが挙げられる。
【0017】
好ましい実施形態において、持続放出錠の投薬形態としては、IL−11、充填剤(例えば、微結晶性セルロース(Avicel PH 102)およびスクロース)、マトリックス形成重合体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース Methocel K4M Prem、Methocel K100LV、LH、CR、Premium)、滑剤(例えば、Syloid)、緩衝剤であるリン酸ナトリウム、抗酸化剤であるメチオニン、界面活性剤(例えば、Tween 80)、および滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)が挙げられる。
【0018】
別の実施形態において、組成物はグリシンを含む。いくつかの実施形態において、このグリシンは組成物中に1〜4%wt/wtの濃度で存在する。
【0019】
組成物は、必要に応じて、さらに抗酸化剤を含み得る。適切な抗酸化剤の例はメチオニンである。いくつかの実施形態において、このメチオニンは、組成物中に0.1〜0.5%wt/wtの濃度で存在する。
【0020】
IL−11は、天然に存在するIL−11から単離された精製タンパクとして提供される。あるいは、IL−11ポリペプチドは、このポリペプチドの組換え形態(例えば、組換えヒトIL−11(rhIL−11))として提供される。
【0021】
別の側面において、本発明は、IL−11ポリペプチド、第1のシーリングコート、腸溶性コーティング層、および第2のシーリングコートを含む治療上有効な遅延放出経口投薬多粒子組成物を提供する。好ましいシーリングコートは、HPMCである。組成物の腸溶性コーティング層は、例えば、メタクリル酸共重合体であり得る。好ましいメタクリル酸共重合体は、pH5.5より上で可溶性であり、例えばEUDRAGIT(登録商標)L3である。
【0022】
持続放出組成物もまた、本発明により提供され、この組成物は、IL−11ポリペプチド、腸溶性コート(例えば、メタクリル酸共重合体)、そして必要に応じて、少なくとも1つの賦形剤を含む。1つの実施形態において、この組成物は、さらに不活性なコアを含む。この不活性なコアは、例えば、ペレット、スフィア、またはビーズであり得、糖、デンプン、微結晶性セルロース、または他の任意の薬学的に受容可能な不活性賦形剤で構成される。好ましい不活性なコアは、単糖、二糖または多糖(すなわち、3つ以上の糖分子を含む重合体)のような炭水化物である。適切な炭水化物の例はスクロースである。いくつかの実施形態において、このスクロースは、組成物中に60〜75%wt/wtの濃度で存在する。
【0023】
本発明はまた、本明細書に記載されるようなIL−11ポリペプチドを包含する組成物を、被験体において生物学的応答を誘発させるのに十分な量で、被験体に経口投与することにより被験体に送達する方法を提供する。いくつかの実施形態において、この応答は被験体の小腸において誘発される。
【0024】
本明細書中に記載された方法が使用される被験体は、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウサギ、ラット、またはマウスであり得る。
【0025】
別の側面において、本発明は、被験体にIL−11を含む経口組成物を投与することにより、被験体における炎症の処置または予防の方法を提供する。いくつかの実施形態において、この炎症は潰瘍性大腸炎およびクローン病に関係する。
【0026】
他の方法で定義されない限り、本明細書中に使用される全ての専門用語および化学用語は、本発明が属する当該分野の当業者により、一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中に記載されている方法および材料に、類似または等価な方法および材料が、本発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法および材料は以下に記載される。本明細書に記載される、全ての公報、特許出願、特許、および他の参照文献は、その全体が参考として援用される。矛盾する場合には、本明細書(定義を含む)が制御する。さらに、材料、方法、および例は例証に過ぎず、限定されることを意図されない。
【0027】
本発明の他の特徴および利点は、以下に続く詳細な記載、および特許請求の範囲から明らかである。
【0028】
(発明の詳細な説明)
本発明は、経口送達に適する、生体活性ポリペプチドの処方物を提供する。いつくかの実施形態において、この生体活性ポリペプチドは、非グルコシル化(例えば、N連結もしくはO連結のグルコシル化部位、または両部位を欠くこと)であり、システイン残基を欠き、そして/あるいは塩基性pIを有する。グルコシル化の欠如は、天然に存在するポリペプチドがグリコシル化部位を欠くためか、またはこのタンパクがこれらの部位を欠くよう操作されたためか、のいずれかであり得る。あるいは、このポリペプチドは、例えば、グリコシラーゼで処理されて、グリコシル化残基を減少または除去され得る。同様に、システイン残基の欠如は、天然に存在するポリペプチド配列においてか、または、天然に存在するシステイン残基が欠失するか、もしくは非システイン残基に置き換わったポリペプチド改変体において生じ得る。
【0029】
処方物における使用に好ましいポリペプチドは、インターロイキン11(IL−11)である。このタンパクは、多面発現性サイトカインであり、原始的なリンパ造血前駆体細胞を刺激し、そして他の造血増殖因子と相乗作用し、巨大核細胞の増殖および成熟を刺激する。IL−11は、国際出願PCT/US90/06803(1991年5月30日公開)、ならびに米国特許第5,215,895号(1993年1月1日発行)に詳細に記載されている。クローン化したヒトIL−11は、あらかじめATCC(10801 University Boulevard、Manassas、Va.20110−2209)に、ATCC番号68284として、1990年3月30日に寄託された。さらに、米国特許第5,270,181号(1993年12月14日発行)、および米国特許第5,292,646号(1994年3月8日発行)に記載されるように、IL−11はまた、別のタンパクとの融合タンパクとして、組換え的に生成され得る。IL−11は、従来の遺伝子操作技術により、様々なホスト細胞において生成される。IL−11はさらに、様々な細胞株、例えば、ヒト肺線維芽細胞株であるMRC−5(ATCC受託番号CCL171)、およびPaulらのヒト栄養芽細胞株であるTPA30−1(ATCC受託番号CRL1583)から得られ得る。推察されるアミノ酸配列(アミノ酸1から199)と同じように、ヒトIL−11をコードするcDNAはProc Natl Acad Sci USA 87:7512(1990)に記載される。米国特許第5,292,646号(前出)は、IL−11の成熟形態(アミノ酸22から199)のN末端プロリンが除去されているIL−11のdes−Pro形態(アミノ酸23−199)を記載する。当業者によって理解されるように、IL−11活性を保持するIL−11の任意の形態が、本発明によると有用である。
【0030】
組換え技術に加えて、IL−11はまた、公知の従来の化学合成によって生成され得る。本発明において有用なポリペプチドを合成手段によって構築する方法は、当業者に公知である。合成的に構築されたサイトカインポリペプチド配列は、天然のサイトカインポリペプチドと、1次構造、2次構造または3次構造、および立体配座の特徴を共有することにより、その方法で共通の生物学的活性を有すると期待される。このような合成的に構築されたサイトカインポリペプチド配列、またはそれらのフラグメント(それの機能性が2倍、または部分的に2倍である)はまた、本発明の方法においても使用され得る。このように、それらは、本発明において有用な天然の精製されたサイトカインのかわりの、生物学的に活性があるか、または免疫学的な代用品として使用され得る。
【0031】
これらサイトカインまたはそれらの活性フラグメントのタンパク配列、ペプチド配列またはDNA配列における改変はまた、本発明の方法において使用され得るタンパクを生成し得る。このような改変サイトカインは、公知の技術を使用して当業者によって生成され得る。サイトカイン配列(例えばIL−11配列)における目的の改変としては、コード配列における1つ以上の選択されたアミノ酸残基の置換、挿入または欠失が挙げられ得る。このような置換、挿入または欠失の突然変異誘発性技術は、当業者に周知である(例えば、米国特許第4,518,584号を参照のこと)。
【0032】
本明細書中に記載されるような治療学的に有用であり得るサイトカインポリペプチド配列の、他の特定の変異としては、例えば、1つ以上のグルコシル化部位の挿入が挙げられ得る。アスパラギン連結グリコシル化認識部位は、ペプチド配列へのアミノ酸の欠失、置換もしくは付加、またはDNA配列へのヌクレオチドの欠失、置換もしくは付加により、この配列中に挿入され得る。このような変化は、O連結炭水化物の付加により改変される分子の、任意の部位においてなされ得る。このような変更されたヌクレオチド配列またはペプチド配列の発現は、これらの部位でグリコシル化される改変体を生成する。
【0033】
全体または一部分においてそれ自体の活性を保持または延長することが期待され、そして本方法において有用であることが期待される、選択されたサイトカイン配列のさらなるアナログおよび誘導体もまた、当業者によって容易に作られ得る。1つのこのような改変は、ポリエチレングリコール(PEG)をサイトカイン配列に存在するリジン残基に付着させること、またはPEG誘導体もしくはPEGと反応し得る1つ以上のリジン残基もしくは他のアミノ酸残基を従来技術により配列中に挿入し、PEG部分の付着を可能とすることであり得る。
【0034】
これらの選択されたサイトカインのさらなるアナログはまた、それらをコードするDNA配列における対立遺伝子のバリエーション、またはそれらをコードするDNA配列において誘導されたバリエーションにより特徴づけられ得る。上に参照された刊行物において開示された全てのアナログは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下、または非ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、開示されたサイトカイン配列とハイブリダイズし得るDNA配列によって特徴づけられたアナログを含み(Sambrookら、Molecular Cloning. A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、New York(1989))、同様に本発明において有用であろうと予想される。
【0035】
あるサイトカインの配列または生物学的活性フラグメントが、別のサイトカインまたはタンパク性の治療剤に融合すること(例えば、IL−11がIL−6に融合すること)(例えば、PCT/US91/06186(W092/04455)1992年3月19日公開に記載された、融合についての方法を参照のこと)によって調製された融合分子もまた、本明細書中に開示される組成物および方法において有用であると考えられる。代替物として、本方法によるとサイトカインの組み合わせが共に投与され得る。
【0036】
このように、本発明の方法の記載において、IL−11が言及されており、IL−11が当該分野において現在開示されている配列によって生成されたタンパク、ならびに上に記載された改変により特徴づけられ、実質的に同様の活性を保持するタンパクを含むことは当業者によって理解される。
【0037】
好ましい多粒子IL−11処方物を示す概要図が、図1において示される。中心の糖スフィア上に、rhIL−11を含む層が配置される。このrhIL−11薬物層は、次にヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)シーリングコートで覆われている。このHPMCシーリングコートは、メタクリル酸共重合体(例えば、Eudragit L20D−55)腸溶性コートで覆われ、そしてペレット全体は、第2のHPMCシーリングコート、または最後のHPMCシーリングコートで覆われる。
【0038】
経口IL−11処方物は、当該分野において公知の任意の方法を使用して調製され得る。適切な方法の例として、流動層(fluid bed)をスクローススフィア上に噴霧すること、直接の圧縮、および湿性顆粒合成方法が挙げられる。本発明による組成物調製の方法は、後述の実施例において説明される。
【0039】
経口送達に適する多粒子IL−11分子を生成するための好ましい方法が描かれた流れ図が、図2において示される。薬物層シーリングコート、腸溶性コート、および第2のシーリングコートは、流動層コーターの内部に連続的に付加される。それぞれの工程において、処方物の温度と質量は、好ましくはモニターされる。
【0040】
この流れ図は、コートを形作るために糖スフィアが流動層コーター上に充填され、そしてrhIL−11、二塩基性のリン酸ナトリウム、一塩基性のリン酸ナトリウム、グリシン、ポリソルベート80、メチオニン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および精製水を含む薬物層で覆われることを図示する。腸溶性コートは、Eudragit、タルク、水酸化ナトリウム、クエン酸トリエチル、および精製水を含んで塗布される。次いで、HPMCのシールコートおよび精製水、続いて抗固着剤としてタルクが塗布される。その後の加工は、例えば、2〜8℃で180日間の保存を含み得る。
【0041】
経口送達に適した処方物合成の手順は、当該分野において公知であり、そして例えば、Bergstrandら、米国特許第6,428,810号、Chenら、米国特許第6,077,541号、Ullahら、米国特許第6,331,316号、Chenら、米国特許第6,174,548号、およびAndersonら、米国特許第6,207,682号において記載される。
【0042】
本発明の処方物は、任意の適切な形態(例えば、処方物はカプセル、サシェ、錠剤、または懸濁剤として提供され得る)において送達され得る。
【0043】
処方物は、IL−11が有効であると実証された徴候の処置に使用され得る。好ましい徴候は、炎症性腸疾患(IBD)である。この状態は、慢性小腸の炎症によって特徴づけられ、そして、下痢、出血、腹部の痛み、熱、関節痛、および体重の減少のような臨床的な症状を生じる。これらの症状は、軽微なものから重症な範囲であり得、そして初期の軽症の苦痛から徐々にかつかすかに進行するか、または急性の激しい症状が突然現われ得る。
【0044】
IBDは、患者人口の大部分における慢性病の優勢な原因である。それは、以下の2つの異なる形態において明示され得る:潰瘍化大腸炎(UC)およびクローン病(CD)。この2つの状態は、臨床的に非常に類似して現われ得るが、UCは、上部GI管とは対照的に、大腸および直腸の炎症を主に含む。逆にクローン病は、上部小腸消化管のより広域に影響を与え、そしてビタミンおよび栄養不足の慢性化によって、より吸収不良を引き起こす可能性が高い。
【0045】
本明細書に記載される経口IL−11処方物は、炎症性腸疾患処置の補助剤と共に投与され得る。補助剤には、例えば、コルチコステロイド、免疫抑制剤、インフリキシマブ(infliximab)、およびメサラミンが挙げられ、それらは炎症制御を補助する物質である。メサラミンは、例えば、スルファサラジンおよび5−ASA剤(例えば、Asacol、Dipentum、またはPentasa)が挙げられる。経口IL−11処方物はさらに、抗生物質(例えば、アンピシリン、スルホンアミド、セファロスポリン、テトラサイクリン、またはメトロニダゾールが挙げられる)と共に投与され得る。
【0046】
投薬レジメンは、上に記載される状態の処置方法に関し、薬物の作用を変更する様々な要因(例えば、患者の状態、体重、性別および飲食物、任意の感染の重篤度、投与時間および他の臨床的要因)を考慮して主治医によって決定される。概して、1日あたりのレジメンは、1〜30mgの範囲のポリペプチドであるべきである。
【0047】
本発明は、さらに以下の非限定的な実施例において説明される。
【実施例】
【0048】
(実施例1)
(rhIL−11の、様々な処方物賦形剤および抗酸化剤との適合性)
表1に示した処方物、賦形剤および抗酸化剤を含むrhIL−11錠剤について、適合性の研究を実施した。賦形剤を、充填剤、崩壊剤、緩衝剤、滑剤および滑沢剤を含めて調査した。これらの賦形剤を含むrhIL−11錠剤を、直接圧縮によって調製した。凍結乾燥したrhIL−11を回収し、#30メッシュスクリーンを通してふるいにかけ、そして他の全ての賦形剤を含む適切な大きさのバイアルに移した。このバイアルを2〜3分間回転させることにより材料を混和した。ステアリン酸マグネシウムを含む処方物(F1、F2、F4〜F8)については、ステアリン酸マグネシウムをこの時点で加え、そしてさらに0.5〜1分間混和しつづけた。
【0049】
それぞれの錠剤は150mgであり、そして2.5mgのrhIL−11(凍結乾燥によって調製された凍結乾燥粉末として加え、バイアル中の凍結濃縮液に、5mgのrhIL−11と等価な量ならびにリン酸ナトリウムおよびグリシンを含む)を含んだ。錠剤を、40℃/75%RHで安定下に置き、逆転相HPLC法を用いて、初期、2週間および4週間での強度および%Met58酸化種を試験した。概して、全ての研究した処方物は、%Met58酸化種において増加を示した。ステアリン酸を含む処方物(F3)中のrhIL−11の強度は、40℃/75%RH安定下で4週間置いた場合に、初期の90.4%から64.1%まで低下した。この処方物において、%Met58酸化種はまた、この期間中に4.4%から18.8%まで増加した。クロスポビドンを含む全ての処方物(F4、F7およびF8)は、クロスポビドンを含まない処方物(F1)に比べ、より高い初期Met58酸化種含有量となった。Met58酸化種含有量のさらなる10%の増加を、クロスポビドンを含む処方物において40℃/75%RHでの4週間の保存期間後に観察した。
【0050】
第2の研究を、抗酸化剤の潜在的な効果を試験するために設計した。本研究で評価した抗酸化剤は、メチオニン、アスコルビン酸およびEDTAであった。この錠剤処方物を、濃縮物として添加した2.5mgのrhIL−11、リン酸ナトリウム、微結晶性セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを含めて調査した。他の成分を表2に列挙する。錠剤を、高い剪断顆粒化方法、続いて圧縮により製造した。錠剤を40℃/75%RHで安定下に置き、初期、2週間および4週間時点での%Met58酸化種を試験した。クロスポビドンを含むが、他のどのような抗酸化剤も含まない処方物(W1)は、最も高い%Met58酸化種を生成した。処方物W2、W4およびW5に、抗酸化剤としてメチオニンを含ませた。これらの処方物は、40℃/75%RHでの4週間の保存期間後に、%Met58酸化種において3〜4%のわずかな増加を示した。EDTAは、酸化に対するさらなる保護を提供しなかったようだ(W5)。アスコルビン酸はまた、メチオニンほどは有効で無かった(W3)。メチオニンは、rhIL−11錠剤処方物において最も有用な抗酸化剤であるようだ。
【0051】
最後の錠剤処方物を、賦形剤適合性研究および抗酸化剤の研究の結果に基づき選択した。表3に、使用した処方物を示す。高い剪断顆粒化の薬物の持続放出を予防するために、本処方物を使用するrhIL−11錠剤を、流動層顆粒方法によって製造した。錠剤を、HPMCの層でシールし、Eudragit(登録商標)L30D、タルクおよびクエン酸トリエチルを含む水溶性分散剤で腸溶性コーティングし、そしてHPMCでもう一度シールした。
【0052】
(実施例2)
(錠剤製造中の、rhIL−11カプセルの完全性)
錠剤製造プロセスの間に以下のストレスに直面した、rhIL−11の完全性を調査した。異なる圧縮力を、rhIL−11の完全性に対する錠剤製造ストレスの影響を評価するために使用した。これらの錠剤(150mg)は、2.5mgのrhIL−11(凍結乾燥粉末)、EXPLOTAB(登録商標)、微結晶性セルロース、NU−TAB(登録商標)、サイロイド(syloid)およびステアリン酸マグネシウムを含んだ。錠剤を、2.4KP、4.0KP、7.5KP、および12.5KPの硬度で直接圧縮した。タンパクの完全性を、T−10バイオアッセイによって、rhIL−11の%回復、%マルチマー、%Met58酸化種、%関連および比活性を決定することにより、測定した。表4の結果は、硬度を変動させて圧縮したrhIL−11錠剤が、回復、%マルチマー、%Met58酸化種および%関連が変化しなかったことを示す。同様に、様々な処方混合物および錠剤の比活性は、特異性の範囲内であった(表5)。このことは、圧縮力が、処方物研究においてrhIL−11の化学的または物理的不安定性の原因とならないことを示す。
【0053】
(実施例3)
(腸溶性コーティングしたrhIL−11錠剤の安定性)
流動層顆粒によって調製した、腸溶性コーティングした錠剤の安定性を、HDPEボトルにおいて40℃/75%RHおよび室温で試験した。安定性試験により、%回復、%Met58酸化種、および%関連種を測定した。結果を表6に示す。腸溶性コーティングした錠剤の、rhIL−11強度、%Met58酸化種および%関連種は、室温、および40℃/75%RHで保存した場合、様々な時点で変化しなかった。
【0054】
溶解試験を、微溶解装置(micro−dissolution apparatus)において50mlのグリシン/リン酸溶解媒質(phosphate dissolution medium)を使用して、50rpmまたは100rpmのパドル速度で実施した。コーティングした錠剤を、0.1N HClにおいて2時間、続いてグリシン/リン酸溶解媒質において次の60分間、rhIL−11放出について試験した。溶解の結果、0.1N HCl中において2時間で、1%未満のrhIL−11が放出されたことが明らかであった。このことは、5%腸溶性コーティングが、胃の消化に対する保護を十分に提供することを示唆する。溶解試験を、pH7のグリシン/リン酸緩衝化崩壊媒質中で実行した場合、腸溶性コーティングは溶解し、そしてrhIL−11を放出した。既に理解されるように、コーティングしていない錠剤については、50rpmでの薬物の放出は不完全であった。
【0055】
(実施例4)
(直接圧縮処方物)
本発明は、IL−11を約5時間にわたり放出する、持続放出錠剤処方物を開発することに着目した。直接圧縮処方物を、以下のように調製した。凍結乾燥したrhIL−11を回収し、#30メッシュスクリーンを通してふるいにかけ、そしてステアリン酸マグネシウムを除く他の全ての賦形剤を含む適切な大きさのバイアルに移した。このバイアルを2〜3分間回転させることにより材料を混和した。ステアリン酸マグネシウムをこの時点で加え、そしてさらに0.5〜1分間混和しつづけた。2.5mgのrhIL−11に等価な、最終のブレンドの量を秤量し、そしてKikusowi錠剤プレス(tableting press)を使用して圧縮した。硬度は7〜10kpの間に調整した。
【0056】
溶解を、USPパドル法を使用して、50RPMで、メチオニン、グリシン、およびポリソルベート80を含む150mlのリン酸緩衝液(pH7.0)において37℃で行った。1mlのサンプルを、あらかじめ定められた時間間隔で回収し、そして新しい媒質と交換した。分析を、Vydac C4カラム(狭い口径、2.1×150mm)を使用して、環境温度で行った。流動速度は0.5ml/分であった。検出を、214nmで実行した。勾配システムを、0.1%v/vTFAを移動相Aとして、そして80%アセトニトリル中の0.1%v/vTFAを移動相Bとして使用した。
【0057】
表7に、直接圧縮によって調製した錠剤の処方物を示す。これら処方物の溶解の視覚的な評価を実施し、溶解媒質中における処方物の物理的挙動を特徴づけた。処方物1の錠剤は、処方物2の錠剤および処方物3の錠剤より早い浸食を示した。処方物2の錠剤は、最も遅い浸食を示した。全ての処方物は、有意な膨張を示した。処方物1の錠剤は、溶解の5〜6時間後、ほぼ完全な浸食を示した。処方物2の錠剤の約3分の2、および処方物3の錠剤の約3分の1が、同期間に浸食した。
【0058】
これらの結果についての1つの説明は、錠剤のHPMC含有量に基づく。HPMCが水和するとき、HPMCはゲルを形成し、このゲルはマトリックスの溶解および浸食を制御する障壁として作用する。HPMC含有量が増加するにつれて、ゲルの構造はより強く、そして堅くなる。このことが、錠剤の表面におけるゲル層の粘性および厚みを増す。その結果として、マトリックス錠剤の溶解は減速する。これらの結果は、処方物1および2からの薬物放出が、最適であることを示す。
【0059】
(実施例5)
(湿性顆粒化処方物)
湿性顆粒化処方物を、高い剪断または流動相法を使用して調製した。rhIL−11溶液を、持続放出重合体およびステアリン酸マグネシウムを除く賦形剤に添加した。顆粒を乾燥させ、#30メッシュスクリーンを通してふるいにかけ、そして重合体およびステアリン酸マグネシウムと混和した。2.5mgのrhIL−11に等価な、最終のブレンドの量を秤量し、そしてKikusowi錠剤プレスを使用して圧縮した。硬度は7〜10kpの間に調整した。
【0060】
溶解を、USPパドル法を使用して、50RPMで、メチオニン、グリシン、およびポリソルベート80を含む150mlのリン酸緩衝液(pH7.0)において37℃で行った。1mlのサンプルを、あらかじめ定められた時間間隔で回収し、そして新しい媒質と交換した。分析を、Vydac C4カラム(狭い口径、2.1×150mm)を使用して、環境温度で行った。流動速度は0.5ml/分であった。検出を、214nmで実行した。勾配システムを、0.1%v/vTFAを移動相Aとして、そして80%アセトニトリル中の0.1%v/vTFAを移動相Bとして使用した。
【0061】
持続放出処方物を、高い剪断技術によって得られた顆粒を使用して調製した(表8を参照のこと)。薬物溶液の一部分を、重合体およびステアリン酸マグネシウムを除く全ての賦形剤のブレンドに添加した。湿性の塊を、次に乾燥させた。このサイクルを目標とされる薬物充填が得られるまで、3度繰返した。次いで重合体をブレンドに添加し、引き続きステアリン酸マグネシをブレンドに添加した。これらの処方物から調製した錠剤の、溶解媒質中における物理的挙動は、同レベルのHPMCを含有する直接圧縮処方物によって示された物理的挙動と類似であることが見出された。高い剪断顆粒から調製した即時放出錠剤の研究は、rhIL−11の完全な放出を得ることが困難であることを示した。流動層顆粒から調製した錠剤の研究は、rhIL−11の製造および放出に関して調査された技術の中で、この方法がrhIL−11顆粒化に最適であることを示す。
【0062】
表9は、流動層顆粒によって調製した3つの持続放出錠剤の組成を示す。流動層顆粒はrhIL−11混合物、Avicel PH102、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、メチオニンおよびポリソルベート80を含む。これらの研究により、スクロースが保存中の即時放出錠剤の変色の原因であることが判明したので、直接圧縮および高い剪断顆粒処方物で使用するスクロースをマンニトールに置きかえた。
【0063】
(実施例6)
(rhIL−11の溶解に対する緩衝液強度の影響)
rhIL−11の溶解に対する緩衝液強度50mMおよび100mMの影響を研究した。溶解媒質において、グリシン、メチオニンおよびポリソルベート80の濃度を一定に保った。処方物6〜8の錠剤(表9)の溶解を、両方の媒質において実施した。溶解は、100mM媒質において有意により早く、そしてほぼ完全であった。一方、わずか15%のrhIL−11が、50mM媒質において5時間後に錠剤から放出された。
【0064】
これらの結果を理解するために、錠剤を溶解する間に生じる変化を、両方の媒質において追跡した。錠剤は100mM媒質において、有意な膨張および早い浸食を示した。それらは溶解の約5時間後に消失した。一方、錠剤は50mM媒質において膨張したが、溶解の5時間後に最小限の浸食しか示さなかった。これはHPMCゲル構造の強度が、イオン強度に対して感受性が高いという事実に起因し得る。溶解媒質におけるリン酸緩衝液濃度の上昇は、そのイオン強度を高め、そしてHPMCゲル構造の強度と堅固性を減少させる。
【0065】
(実施例7)
(重合体およびその粘性度の影響)
処方物6は、100mMリン酸媒質において速い初期分離速度を示した。処方物6は、Methocel K4M PREMを持続放出重合体として含む。溶解の初期速度を低下させるために、より高い粘性度のHPMC(Methocel K15M PREM)を、処方物中に組み込んだ。処方物7および8の錠剤は、改良された溶解挙動を示した。処方物7の溶解速度と比べて、処方物8によって示された溶解のより速い速度は、処方物7の錠剤には存在しない顆粒外(extragranular)微結晶性セルロース(Avicel PH102)の錠剤分解性質に起因し得る。
【0066】
マトリックス錠剤処方物を、PEO単独またはHPMCとの組み合わせ使用により調製した。これらの処方物のいくつかの、浸食および溶解の可視的な評価は有望であった。これら処方物の溶解サンプルのHPLC分析は、PEOの分子量が非常に大きいため困難であった。
【0067】
50mMリン酸媒質において、rhIL−11について最適な放出プロフィールを示す、プロトタイプ処方物を調製して、そして試験した。様々な処方物を調製して、試験した。これら処方物の浸食および溶解のモニタリングは、20〜30%のメトセル(methocel)K100LV、LH、CR Premiumを、持続放出重合体として使用することが、受容可能な溶解挙動を示す処方物を得ることにつながり得ることを示した。表10は、これら処方物の組成を示す。
【0068】
処方物9および10からのrhIL−11の溶解を、試験した。rhIL−11の溶解は、2時間後に有意に減少した。時には、溶解の2時間後に薬物濃度において低下が認められた。不完全な放出は、rhIL−11の、処方物の賦形剤へのいくぶんかの吸着に起因し得た。この現象はまた、即時放出の錠剤および即時放出のビーズについても観察された。
【0069】
rhIL−11の放出を改良するために、処方物中の緩衝種ならびに溶解媒質を、リン酸ナトリウムからリン酸アンモニウムに変えた。処方物11を、リン酸アンモニウムを使用して調製し、一方処方物12から外顆粒リン酸ナトリウムを除去した。処方物11および12の溶解を、アンモニウムリン酸種を使用して調製した媒質において行った。溶解の結果は、溶解の5時間後に薬物放出量が増し、一方受容可能な溶解プロフィールを維持することを示した。
【0070】
(実施例8)
(rhIL−11遅延放出多粒子ペレットを製造するプロセス)
rhIL−11の腸溶性コーティングしたペレットを、以下の工程を含むプロセスを用いて製造する:rhIL−11薬物物質を解凍し、希釈する工程;ペレットをrhIL−11層状化する工程;シールコーティングする工程;腸溶性コーティングする工程;最後のシールコーティング;およびタルクを塗布する工程。多粒子ペレットの成分を、表11に列挙する。
【0071】
rhIL−11を、希釈緩衝液(4mM 一塩基性リン酸ナトリウム、6mM 二塩基性リン酸ナトリウム、0.3Mグリシン、pH7.0)と共に、10mg/mlの最終濃度となるまで室温で混合する。希釈したrhIL−11を、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(10%溶液)、メチオニン、ポリソルベート80および精製水と調合し、薬物層溶液を生成する。
【0072】
この薬物層溶液(約40,600g)を、47℃〜53℃の入り口温度範囲、30〜45℃の排気温度、350〜550CFMの供給空気容積、35〜85g/分の噴霧速度、および30〜40PSIでの霧状空気を利用して、流動層コーター内で、約20,000gの糖スフィアに塗布する。
【0073】
シールコーティング溶液(約2900g)を薬物層状化ペレットに塗布する。シールコート溶液は、精製水中、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの7.5%(w/w)溶液から構成される。薬物コーティング層と同様に、47℃〜53℃の入り口温度範囲、30〜55℃の排気温度、400〜500CFMの供給空気容積、25〜45g/分の噴霧速度、および30〜40PSIでの霧状空気を利用して、流動層コーターを使用する。シールコーティングの機能は、rhIL−11タンパク質コアと酸性腸溶性コーティング環境との間に不活性な障壁を提供することである。
【0074】
次いで、腸溶性コーティング溶液(約30,900g)を、シールされた薬物コーティングペレットに塗布する。32℃〜38℃の入り口温度範囲、25〜40℃の排気温度、550〜700CFMの供給空気容積、45〜85g/分の噴霧速度、および25〜35PSIでの霧状空気を利用して、流動層コーターを使用する。腸溶性コーティング層の機能は、胃の酸性pHに対する障壁を提供することである。
【0075】
第二のシールコート(約3880g)を腸溶性コーティングされたペレットに塗布する。シールコート溶液は、精製水中、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの7.5%(w/w)溶液から構成される。上の記載と同様に、32℃〜38℃の入り口温度範囲、25〜40℃の排気温度、550〜700CFMの供給空気容積、25〜45g/分の噴霧速度、および25〜35PSIでの霧状空気を利用して、流動層コーターを使用する。最後のシールコート層の機能は、腸溶性コート層の潜在的なペレット間の固着を排除することである。シールコート層は、酸に可溶性であり、そして溶解試験の最初の工程により取り除かれる。プロセス過程の強度試験を、最後のシールコート層の塗布後に実施し、標的がカプセルの重量を満たすかどうかを決定する。
【0076】
最後のシールコート工程完了時に、タルクを流動層コーターに添加する。シールしたrhIL−11腸溶性コーティングペレットを、タルクと共に30〜60秒間混合し、静電気を除く。次いで、タルク処理されたペレットを、流動層コーターから放出し、2つの乾燥袋(1つをポリエチレン袋の間に、そして1つを袋の外側に)を備える、2重のポリエチレンで裏打ちされた容器に置く。次いでペレットを、カプセルに充填する。
【0077】
(実施例9)
(rhIL−11の腸溶性コーティングした多粒子ペレットの安定性)
腸溶性コーティングした多粒子ペレット(流動層顆粒化により調製)の安定性を、2〜8℃で0〜6ヶ月間の長期保存条件下で試験した。安定性試験は、強度、%回復、%Met58酸化種、および%関連種からなった。表Xは、腸溶性コーティングした錠剤のrhIL−11の強度、%Met58酸化種、および%関連が、2〜8℃で0〜6ヶ月間保存された場合、様々な時点において変化しなかったことを示す。
【0078】
腸溶性コーティングした多粒子ペレット(流動層コーティングにより調製)の安定性を、25℃/60%RHで0〜6ヶ月間の加速保存条件下で試験した。これらのデータを表13に表す。
【0079】
(実施例10)
(HLA−B27ラットにおける、慢性的下痢に対するrhIL−11処置の効果)
雄性トランスジェニックHLA−B27ラットを、Taconic Farms(Germantown、NY)から購入し、そして管理した条件(21℃;50±10%湿度;12時間の明/暗サイクル)下で個別に飼育した。HLA−B27ラットを、10週齢で入手し、そして40週齢(350±40g、n=12)まで動物施設で飼育した。40週齢で、トランスジェニックラットは慢性的下痢によって発現する腸の炎症を有した。週齢の一致する非トランスジェニックFisher344ラットを、Charles River Laboratories Inc.(Wilmington、MA)から購入し、ヒト主要組織適合性種群クラス1対立遺伝子B27およびβマイクログロブリン遺伝子の高いコピー数を有するよう遺伝的操作し、コントロールとして使用した(370±20g、n=6)。このFisher344ラットは見たところ健康で、そして便の軟度も正常であった。rhIL−11投与前に、全てのHLA−B27ラットにおいてペレット形態でない下痢気味の便および下痢を観察した。
【0080】
rhIL−11多粒子が多粒子100mgあたり約1mgのrhIL−11を含むのに対し、スクロース多粒子をプラセボコントロールとして供給する。腸溶性コーティングしたrhIL−11多粒子の1回の経口投与の累積効果は、2週間の処置隔日に与えた500μg/kg rhIL−11に等価であり、下痢症状の観察によって追跡された。3群の動物を含めて研究した:rhIL−11で処置したHLA−B27ラットを含む試験群(n=6);プラセボで処置したHLA−B27ラットを含む賦形剤コントロール群(n=6);およびプラセボで処置した、週齢が一致するF344ラットからなる健康なコントロール群(n=6)。動物を、rhIL−11経口投与する2週間毎日計量し、そしてrhIL−11またはプラセボのいずれによっても体重において有意な変化は無かった。
【0081】
全てのHLA−B27ラットは臨床的な大腸炎の症状を示した。便の特性を、毎日観察し、そして通常、ソフトまたは下痢として特徴づけた。通常に対して0、ソフトでペレット形態であるものに対して1、ソフトでペレット形態でないものに対して2、および下痢に対して3と、毎日HLA−B27ラットの、rhIL−11またはプラセボの処置前および処置中にスコアづけした。
【0082】
rhIL−11の経口投与は下痢症状の有意な抑制を生じた、すなわち処置の最初の9日間で、便の特性が軟らかいがペレット形成するように変化した。プラセボ受容HLA−B27ラットにおける便特性の変化を観察しなかった。同様に、プラセボ処置は、健康なF344ラットにおける通常便の特性に対する影響を示さなかった。
【0083】
(実施例11)
(HLA−B27ラットの腸の炎症に対するrhIL−11処置の効果)
上の実施例10において記載されているように、rhIL−11を試験動物に経口で投与した。動物を、腸の炎症について評価した。すべての動物を、rhIL−11またはプラセボの最後の投与から4時間後に安楽死させ、そして空腸および結腸を即時に分離した。
【0084】
ミエロペルオキシダーゼ(MPO、好中球によって特異的に発現される)を、炎症性の細胞侵入のマーカーとみなす。腸の組織抽出物中のMPO活性を、炎症の指数として使用した。全厚の空腸および結腸の試料(100〜150mg)を、収縮実験のために分離した組織から取り出し、そして即時に液体窒素中で凍らせた。サンプルを−80℃で保存し、そしてMPO活性を実験全体のセットについて同時に分析した。ホモジェネートからのMPOの均質化および抽出を、ヘキサドデシル−トリメチルアンモ二ウムブロミドリン酸緩衝液(pH6)において実行した。MPO活性を、10μlのサンプル中で3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンMicrowellペルオキシダーゼ基質システム(Sigma Chemical Co.、St.Louis、MO)を使用し、そしてセイヨウワサビペルオキシダーゼを相対的な標準として試験した。MPO活性を、室温で10分間に同量の3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン基質を転換する相対的な標準の活性(セイヨウワサビペルオキシダーゼのナノグラム)に等価であるとして表現した。データを、ナノグラムで表現し、そして組織の湿重量グラムあたりに正規化した。
【0085】
プラセボで処置した非トランスジェニックFisher344ラットと比較すると、プラセボで処置したHLA−B27ラットのMPO活性は、小腸において2.3倍、および大腸において3.8倍向上した。rhIL−11で処置したHLA−B27ラットは、MPO活性が空腸および結腸の両方において低下した。rhIL−11の2週間の処置後に、MPO活性は非トランスジェニックFisher344ラットに似たレベルまで低下した。コンテストにおいて、同様のプラセボ処置の過程は、HLA−B27ラットの空腸および結腸においてMPO活性の有意な低下を示さなかった。
【0086】
(実施例12)
(HLA−B27ラットの腸の炎症の組織学的な評価に対するrhIL−11処置の効果)
空腸および結腸組織試料を、rhIL−11またはプラセボの経口投与後にHLA−B27ラットから採取した。試験片を10%の中性緩衝ホルマリン中に浸し、加工処理し、パラフィンに包埋し、そして5μmの厚さに切断した。スライドにマウントした切断面を、ヘマトキシおよびエオジンで染色し、そして光学顕微鏡で潰瘍化、炎症性の浸潤、経壁損傷、および線維症の発現について調査した。スライドを盲検法において検査し、そしてそれぞれのパラメータを以下のようにスコアづけた:潰瘍化および線維症について0〜2;炎症および損傷の深さについて0〜3。病理の欠如は0としてスコアづけた。合計スコアを、Boughton−Smithら(1998)に記載される方法により、個体パラメータのスコアの合計として計算した(最大値は10であった)。
【0087】
便特性の改善(上の実施例10を参照のこと)は、結腸粘膜の治癒と関連していた。腸溶性コートしたrhIL−11の隔日治療は、HLA−B27ラットにおいて組織学的損傷の縮小を生じた。組織学的損傷スコアの十分に安定した減少が、rhIL−11受容動物の結腸から分離された断面においてみられた。
【0088】
(実施例13)
(rhIL−11の、基礎的な収縮活性に対する急性効果)
空腸の切片(トライツ靭帯からおよそ5cm末端)および結腸(回盲接合部からおよそ4cm、末端)を採取し、氷温の酸化したクレブス重炭酸溶液中に置いた。縦の筋片を、筋を縦方向に徐々に剥ぐことによって、腸の断片から切り裂いた。筋片(長さ10〜12mm)を、解剖顕微鏡を使いながら、筋の方向に沿って削り取り、そして両端を絹の外科用縫糸で固定した(サイズ3〜0)。この筋片を、10mlの器官溶液において垂直方向にマウントし、一端は固定し、そしてもう一端を等尺性力変換器(Radnoti Glass Technology Inc.、Monrovia、CA)に接着した。器官溶液を、クレブス重炭酸溶液で満たし、37℃に保ち、そして95%のOおよび5%のCOで曝気した。この器官溶液を、30分間隔で灌流によって入れ替えた。それぞれの平滑筋片は、張力0で20分間、続いて最適な静止張力レベルに達するまでの、0.20gの連続的な負荷力の増進によって、平衡に達することが可能であった。静止張力は、負荷によって増大すると考えられた。筋片はさらなる20分の平衡が可能であった。全ての実験を、最適な張力およびMacLabデータ取得システム(AD Instruments Ltd.、Castle Hill、 Australia)を使用して記録された等尺性収縮で実施した。
【0089】
F344コントロールラットの空腸の縦筋において、最適な張力で記録した基礎的な活性は、低い静止張力(3.1±0.8nM/mm)および18±5サイクル/分の頻度で出現した、自発性の低振幅の収縮によって特徴づけられた。プラセボ処置をしたF344、プラセボ処置をしたHLA−B27ラットまたはrhIL−11で処理をしたHLA−B27ラットから分離した筋肉において記録された基礎活性間に、有意な差は無かった。rhIL−11(1〜10,000ng/ml)を器官溶液に添加した場合は、基礎的な活性において有意な変化は、Fisher344ラットまたはHLA−B27ラットから分離した空腸の筋肉において無かった。結果的に、カルバコール(0.1μM)によって誘導される収縮は、rhIL−11(1〜10,000ng/ml)が器官溶液中に存在した場合に変化しなかった。
【0090】
プラセボ処置をしたコントロールF344ラットから分離した腸の縦筋は、自発的な収縮の発生の有無に関わらず、低い静止張力(2.4±0.3mN/mm)を示した。静止張力および自発的な収縮は、プラセボまたはrhIL−11を受容したF344ラットおよびHLA−B27ラットにおいて類似していた。rhIL−11(1〜10,000ng/ml)の器官溶液への添加は、Fisher344ラットまたはHLA−B27ラットにおいて、自発的な収縮またはカルバコール(1μM)に対する収縮応答に急性の効果を示さなかった。
【0091】
(実施例14)
(レセプター非依存性の腸の筋収縮に対するrhIL−11処置の効果)
レセプター非依存性の腸の筋収縮に対する、rhIL−11処置の影響を試験した。器官溶液におけるKClの濃度の向上は、レセプター非依存性の膜復極および筋収縮を誘導した。60〜80mMのKCl濃度は、Fisher344およびまたはHLA−B27ラットから分離した、空腸または結腸の筋片において最大の収縮を誘発するのに必要であった。しかしながら、プラセボ処置をしたHLA−B27ラットの筋肉によって産生した能動的張力は、プラセボ処置をしたFisher344ラットの筋肉によって産生した能動的張力に比べると低かった。rhIL−11でのHLA−B27ラットの処置は、空腸および結腸の両方において、高KClによる最大収縮を増加した。さらに、rhIL−11で処置したHLA−B27ラットから分離した筋肉と、プラセボ処置をしたFisher344ラットから分離した筋肉においての比較では、高KClに対する応答間に有意な差は無かった。
【0092】
(実施例15)
(コリン作用性の腸の筋収縮に対するrhIL−11処置の効果)
コリン作用性の腸の筋収縮に対する、rhIL−11処置の影響を試験した。カルバコールに対する、完全な投薬−応答曲線を、空腸および結腸の縦筋において得た。HLA−B27ラットの空腸から分離した縦筋は、異常な収縮応答を示した。カルバコール濃度の高上(1nM〜10μM)に対する応答において、最大能動的張力は、プラセボ処置したHLA−B27ラットから分離した筋肉において、プラセボ処置したFisher344ラットから分離した筋肉と比べると、有意に低かった。収縮応答の減少には、より低いカルバコール濃度に対する、投薬−応答曲線のシフトが伴った。結果として、プラセボ処置したHLA−B27ラットの空腸においてカルバコールに対するEC50は、Fisher344ラットの空腸から得られたEC50値と比較すると有意に低かった。rhIL−11のHLA−B27トランスジェニックラットの処置は、空腸の筋肉によって産生するカルバコール誘導最大張力を有意に増大した。この有意な増大に加えて、最大応答振幅は、プラセボ処置したFisher344ラットからの筋における最大収縮より低いままであった。rhIL−11で処置したHLA−B27ラットの空腸においてカルバコールに対するEC50は、プラセボ処置したHLA−B27ラットと比較すると有意に減少し、Fisher344ラットの空腸においてと比較すると類似していた。
【0093】
プラセボ処置したHLA−B27ラットの結腸筋によって、カルバコールに対する応答で産生した最大能動的張力は、プラセボ処置したFisher344ラットの筋によって産生される最大能動的張力より低かった。rhIL−11治療の後、rhIL−11で処置したHLA−B27ラットの結腸の筋においてカルバコールによって誘導される最大張力は、プラセボ処置したHLA−B27ラットと比較すると有意に増大し、プラセボ処置したFisher344ラットの結腸においての最大張力と比較すると類似していた。空腸とは対照的に、プラセボで処置したF344およびHLA−B27ラットならびにrhIL−11で処置したHLA−B27ラットの結腸の筋で得られたカルバコールに対する濃度−効果曲線は、類似した位置を有し、そしてEC50値間に有意な差を示さなかった。
【0094】
(実施例16)
(神経が介在する腸の筋収縮に対するrhIL−11の効果)
空腸の縦筋において、EFS(0.5msパルス持続時間、5Hz、5s列の持続時間)が収縮反応を誘導した。張力の増大は、刺激中に最大に達し、そして一連の刺激の終了後静止レベルまで減少した。EFSに対する反応は、実験を通じて再現可能であった。アトロピン(1μM)およびグアネチジン(10μM)の存在において、EFSは非アドレナリン作用、非コリン作用(NANC)および低い振幅の反応を誘導する。弛緩は観察されなかった。グアネチジンのみではEFS誘導収縮に影響を及ぼさなかった;例えば、コントロール反応およびNANC成分間の違いは、EFS誘導収縮のコリン作用(アトロピン感受性)成分を意味した。コントロールおよびNANCの神経介在収縮に対する、rhIL−11治療の影響を試験した。プラセボで処置したHLA−B27ラットの空腸筋において得られた、EFSに対するコントロール反応は、プラセボで処置したFisher344ラットと比較して低い振幅であったが、しかしNANC収縮間に有意な差は無かった。HLA−B27ラットのrhIL−11経口処置は、コントロールEFS誘導収縮の振幅を正規化し、そしてNANC反応に有意な影響を及ぼさなかった。テトロドトキシン(1μM)により、コントロールおよびNANCのEFSに対する反応が完全に無くなった。このことは、これらの反応が腸の神経の活性化に由来することを示した。
【0095】
腸筋において、EFSは収縮反応を誘導し、収縮反応はアトロピンおよびグアネチジンによって部分的に阻害され、NANC収縮を表した。空腸同様、結腸筋は比較的低いレベルの静止張力を維持し、そして弛緩反応は観察しなかった。プラセボ処置したHLA−B27ラットの筋において、EFSに対するコントロール反応は、プラセボ処置したF344ラットと比較すると減少した。空腸とは対照的に、NANCの振幅においてもまた有意な縮小であった。HLA−B27ラットのrhIL−11処置は、コントロールEFS誘導収縮の振幅を有意に増大し、そしてNANC反応を有意に正規化した。回復にもかかわらず、処置したHLA−B27ラットはプラセボ処置したF344ラットと比較すると低値であった。EFSによって誘導されるコントロールおよびNANC収縮の両方が、テトロドトキシン(1μM)によって無くなった。
(他の実施形態)
他の実施形態は特許請求の範囲内にある。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
【表3】

【0099】
【表4】

【0100】
【表5】

【0101】
【表6】

【0102】
【表7】

【0103】
【表8】

【0104】
【表9】

【0105】
【表10】

【0106】
【表11】

【0107】
【表12】

【0108】
【表13】

【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、経口送達に適する多粒子IL−11処方物の、概要図である。
【図2】図2は、経口送達に適する多粒子IL−11処方物の、生成過程の概要イラストである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療上有効な遅延放出経口投薬形態の生体活性ポリペプチドを含む薬学的組成物であって、ここで、該組成物は、以下:
生体活性ポリペプチドであって、ここで、該ポリペプチドは、以下の特性:
N連結グリコシル化部位を欠くこと、
わずか1つのシステインアミノ酸を有すること、および
塩基性pIを有すること
からなる群より選択される1つ以上の特性を含む、ポリペプチド;
少なくとも1つの結合剤;
少なくとも1つの可塑剤;
少なくとも1つの滑剤;ならびに
メタクリル酸共重合体
を含む、薬学的組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、ここで、前記ポリペプチドは以下の特性:
N連結グリコシル化部位を欠くこと、
わずか1つのシステインアミノ酸を有すること、
および塩基性pIを有すること
からなる群より選択される2つ以上の特性を含む、組成物。
【請求項3】
前記ポリペプチドがN連結グリコシル化部位を欠き、わずか1つのシステインアミノ酸を含み、かつ塩基性pIを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリペプチドがシステインアミノ酸を有さない、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
治療上有効な遅延放出経口投薬形態のインターロイキン−11(「IL−11」)ポリペプチドを含む薬学的組成物であって、ここで、該組成物は、以下:
IL−11ポリペプチド;
少なくとも1つの結合剤;
少なくとも1つの可塑剤;
少なくとも1つの滑剤;ならびに
メタクリル酸共重合体
を含む、薬学的組成物。
【請求項6】
さらに炭水化物を含む、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記炭水化物がスクロースを含む、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記炭水化物が前記薬学的組成物中に60%〜75%wt/wtで存在する、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
さらにグリシンを含む、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記グリシンが前記薬学的組成物中に1%〜4%wt/wtで存在する、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
さらにメチオニンを含む、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
メチオニンが前記組成物中に0.1%〜0.5%wt/wtの濃度で存在する、請求項11に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記メタクリル酸共重合体が、pH5.5より上で可溶性となるpH依存性のアニオン重合体である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記メタクリル酸共重合体が分散して提供されている、請求項13に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記メタクリル酸共重合体が、前記薬学的組成物中に10%〜20%wt/wtの濃度で存在する、請求項13に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記IL−11ポリペプチドが、ヒトIL−11ポリペプチドのアミノ酸配列を有する、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記IL−11ポリペプチドが、組換え的に生成されたIL−11ポリペプチドである、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
前記IL−11ポリペプチドが、組換え的に生成されたIL−11ポリペプチドである、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1つの結合剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
HPMCが前記組成物中に3%〜7%の濃度で存在する、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1つの滑剤がタルクである、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
タルクが、前記組成物中に5%〜10%の濃度で存在する、請求項21に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1つの可塑剤が、クエン酸トリエチルまたはポリソルベート−80である、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
前記クエン酸トリエチルが、前記組成物中に1%〜2%wt/wtの濃度で存在する、請求項23に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
前記ポリソルベート−80が、前記組成物中に0.015%〜0.045%wt/wtの濃度で存在する、請求項23に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1つの可塑剤が、クエン酸トリエチルである、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
治療上有効な遅延放出経口投薬形態の生体活性ポリペプチドを含む薬学的組成物であって、
ここで、該生体活性ポリペプチドは、以下の特性:
N連結グリコシル化部位を欠くこと、
わずか1つのシステインアミノ酸を有すること、および
塩基性pIを有すること
からなる群より選択される1つ以上の特性を含み、かつ、
該生体活性ポリペプチドは、第1のシーリングコート、腸溶性コーティング層、および第2のシーリングコートにより実質的に包まれており、ここで、該腸溶性コーティング層は、該第1のシーリングコートと該第2のシーリングコートとの間に実質的に配置される、薬学的組成物。
【請求項28】
治療上有効な遅延放出経口投薬形態のインターロイキン−11(「IL−11」)ポリペプチドを含む薬学的組成物であって、ここで、該IL−11ポリペプチドは、第1のシーリングコート、腸溶性コーティング層、および第2のシーリングコートにより実質的に包まれており、ここで、該腸溶性コーティング層は、該第1のシーリングコートと該第2のシーリングコートとの間に実質的に配置される、薬学的組成物。
【請求項29】
前記第1のシーリングコートおよび第2のシーリングコートの少なくとも1つが、HPMCである、請求項28に記載の薬学的組成物。
【請求項30】
前記第1のシーリングコートおよび第2のシーリングコートとも、HPMCを含む、請求項28に記載の薬学的組成物。
【請求項31】
前記腸溶性コーティング層が、メタクリル酸共重合体を含む、請求項28に記載の薬学的組成物。
【請求項32】
前記IL−11ポリペプチドが、炭水化物上に配置されている、請求項28に記載の薬学的組成物。
【請求項33】
前記炭水化物がスクロースである、請求項32に記載の薬学的組成物。
【請求項34】
さらにメチオニンを含む、請求項28に記載の薬学的組成物。
【請求項35】
さらにグリシンを含む、請求項28に記載の薬学的組成物。
【請求項36】
さらに滑剤を含む、請求項28に記載の薬学的組成物。
【請求項37】
前記滑剤がタルクである、請求項36に記載の薬学的組成物。
【請求項38】
前記組成物が、カプセル、または錠剤として提供される、請求項28に記載の薬学的組成物。
【請求項39】
前記組成物が錠剤として提供される、請求項38に記載の薬学的組成物。
【請求項40】
前記組成物がカプセルとして提供される、請求項38に記載の薬学的組成物。
【請求項41】
前記カプセルがゼラチンカプセルである、請求項40に記載の薬学的組成物。
【請求項42】
生体活性ポリペプチドを被験体に送達する方法であって、該方法は、該被験体に、該被験体における生物学的応答を誘発させるのに十分な量の請求項1に記載の薬学的組成物を経口投与する工程を包含する、方法。
【請求項43】
インターロイキン−11(「IL−11」)ポリペプチドを被験体に送達する方法であって、該方法は、該被験体における生物学的応答を誘発させるのに十分な量の請求項5に記載の薬学的組成物を経口投与する工程を包含する、方法。
【請求項44】
前記IL−11ポリペプチドが、前記被験体の小腸において生物学的応答を誘発させる、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記被験体がヒトである、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
請求項43に記載の方法であって、ここで、前記IL−11ポリペプチドが以下:
少なくとも1つの結合剤;
少なくとも1つの可塑剤;
少なくとも1つの滑剤;ならびに
メタクリル酸共重合剤
を含む組成物において投与される、方法。
【請求項47】
前記インターロイキン−11(IL−11)ポリペプチドが、組換えヒトIL−11である、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
被験体における炎症性腸疾患を処置する方法であって、該方法は、炎症性大腸疾患の処置の必要な被験体に治療上有効量のIL−11を経口投与する工程を包含する、方法。
【請求項49】
前記炎症性疾患が潰瘍性大腸炎である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記炎症性疾患がクローン病である、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記被験体がヒトである、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
請求項48に記載の方法であって、ここで、前記IL−11ポリペプチドが以下:
少なくとも1つの結合剤;
少なくとも1つの可塑剤;、
少なくとも1つの滑剤;ならびに
メタクリル酸共重合剤
を含む組成物において投与される、方法。

【図2】
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【図1】
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【公表番号】特表2006−503045(P2006−503045A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−536593(P2004−536593)
【出願日】平成15年9月16日(2003.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2003/029272
【国際公開番号】WO2004/024125
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【出願人】(504299748)
【Fターム(参考)】