説明

ポリペプチド

本発明は、EGFRファミリーの受容体に結合するポリペプチド、ならびにこれらのポリペプチドの医薬、獣医薬、診断、イメージングにおける利用に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上皮成長因子受容体(EGFR)に結合するポリペプチドに関する。このポリペプチドは、医薬、獣医薬、イメージング、分離技術、および診断における産業上の利用性を有する。
【背景技術】
【0002】
上皮成長因子受容体ファミリー(EGFRファミリー;ErbB受容体ファミリーとも呼ばれる)の受容体の発現異常は、しばしば、肺、胸、前立腺、結腸、卵巣、頭頸部における様々な悪性腫瘍に関連する。この受容体と患者の予後および処置の関係についての理解を深めようというこの受容体の研究に注目が集まっている。このファミリーは、4つの膜貫通型受容体である、上皮成長因子受容体、EGFR、(ErbB1/HER1)、HER2(ErbB2/neu)、HER3(ErbB3)、およびHER4(ErbB4)からなる(Gullick WJ.Endocr Rel Canc 2001;8:75−82;Witton CJ.et al J Pathol 2003;200:290−297)。各受容体は、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内チロシンキナーゼドメインを有する(機能的なチロシンキナーゼドメインを欠くHER3を除く)(Citri A,et al.Exp Cell Res 2003;284(1):54−65;Harari D and Yarden Y.Oncogene 2002;19:6102−6114)。ECDをほとんど有さないEGFRバリアント−EGFRvIIIが一つ存在する(Wikstrand CJ et al Cancer Res.55:3140−3148,1995;Huang HS et al J Biol.Chem.272:2927−2935,1997;Kuan CT,et al Endocr.Relat.Cancer 8:83−96,2001)。
【0003】
リガンドがEGFRファミリーの受容体に結合すると、この受容体は刺激されて、別の同一の受容体(ホモ二量体化)またはこのファミリー内の別の受容体(ヘテロ二量体化)のいずれかと二量体化する(Olayioye MA,et al.Embo J.2000;19:3159−67;Yarden Y,Sliwkowski MX.Cell Biol 2001;2:127−37)。受容体の二量体化は細胞内チロシンキナーゼドメインを活性化し、増殖、移動、アポトーシス、分化、またはその他の細胞プロセスを誘導する(Yarden Y,Sliwkowski MX.Cell Biol 2001;2:127−37;Wells A.Int J Biochem Cell Biol 1999;31:637−643;Vermeer PD et al.Nature 2003;422:322−6)。EGFRおよびHER2は、このファミリーの4つの受容体の中で最もよく研究されている受容体であり、多くの悪性腫瘍において過剰発現される(Nordberg E et al.Eur J Nucl Med Mol Imaging.2005 Jul;32(7):771−7)。これらの個々の受容体の高発現は、しばしば予後の乏しさと関係する(Hendriks BS et al.J Biol Chem 2003;278:23343−23351;Arteaga CL.Oncologist 2002;7 Suppl 4:31−9;Earp HS et al.Breast Cancer Res Treat 1995;35:115−32;Wester K,et al.Acta Oncol 2002;41:282−8.Lorenzo GD et al.Clin Prostate Cancer 2003;2(1):50−7)。
【0004】
いくつかのリガンドが、EGFR受容体ファミリーのメンバーに結合する。天然リガンドが知られていない唯一の受容体がHER2である(Citri A,et al.Exp Cell Res 2003;284(1):54−65;Yarden Y,Sliwkowski MX.Cell Biol 2001;2:127−37;Lenferink AEG,et al.EMBO J 1998;17:3385−3397)。その細胞外ドメインに結合する抗体トラスツズマブ(ハーセプチン)は、HER2受容体、特に乳癌におけるHER2発現腫瘍を標的化するのに使用され得る。トラスツズマブの結合は成長刺激性の細胞内シグナル伝達をブロックし、化学療法および放射線療法後の細胞修復能を減弱させ、そしておそらくはアポトーシスの能力を向上させることもできる(Bookman MA et al.J Clin Oncol 2003;21:283−290;Pegram MD et al.Cancer Treat Res 2000;103:747−75;McKeage K,Perry CM.Drugs 2002;62:209−43)。WO2005/003156に開示されるアフィボディ(affibody)分子もまたHER2を標的化するのに使用され得る。
【0005】
EGFRの機能は、セツキシマブ(エルビタックス、ImClone/Bristol Myers Squibb)(Baselga J.Eur J Cancer 37:Suppl 4,S16−22,2001,ABX−EGF Ranson M,Curr Opin Mol Ther 5:541−546,2003)またはmab425/EMD55900(Merck)もしくは抗体フラグメント(Boskovitz A et al:Expert Opin Biol Ther 4:1453−1471,2004)等の抗体を用いて受容体の細胞外部分に対するリガンドの結合をブロックすることによって阻害できる。この受容体の機能はまた、全てではないが一部の患者においては、この受容体の細胞内部分に結合する低分子量チロシンキナーゼ阻害剤、例えばイレッサ(ゲフィチニブ、AstraZeneca)(Sundberg AL et al:Eur J Nucl Med Mol Imaging 30:1348−1356,2003;Herbst RS et al:Nat Rev Cancer 4:956−965,2004)またはターセバ(Tarceva)(エルロチニブ、OSI−774)(Krozely P.Clin J Oncol Nurs 8:163−168,2004)によってもブロックされ得る。両方の場合とも、その目的は、成長刺激シグナルをブロックし、それによって腫瘍細胞の増殖を阻害することである(Rich JN,Bigner DD:Nat Rev Drug Discov 3:430−446,2004)。しかし、改善の余地もある。例えば、イレッサは、EGFRを過剰発現する一部の患者にしか作用しないという欠点を有することが分かっている。セツキシマブについては、未だに、処置の治療効果を高める最良の化学療法併用処置様式の模索が続けられている。これらの治療は、腫瘍細胞を死滅させる放射性核種ベースのアプローチと併用でき(Carlsson J,et al:Radiotherapy and Oncology,66(2),107−117,2003)、一つの興味深い例は、最近の、放射能標識(アスタチン化)EGFの取り込みおよび治療効果を改善するためのゲフィチニブの適用である(Sundberg AL et al:Eur J Nucl Med Mol Imaging 30:1348−1356,2003)。これまでにHER−2について例証されたように、ポリペプチド性の抗EGFR標的化剤を開発することで、診断(イメージング)および治療の両方の目的で放射性核種を送達するための、天然のアゴニスト性(腫瘍刺激性)の生物学的EGFリガンドの魅力的な代替物が得られる(Wikman M et al.Protein Engineering,Design & Selection(PEDS),17(5),455−462,2004;Steffen AC et al.Cancer Biotherapy and Radiopharmaceuticals,20,239−248,2005;Steffen AC et al.Eur J Nuclear Medicine,In press,2005)。このようなポリペプチドはまた、放射活性を有さずとも、治療上魅力的な生物学的効果を示し得る。例えばWO2005/0003156に開示されるような「アフィボディ(登録商標)分子」とも呼ばれるZバリアントは、中程度の分子量(6〜15kDa)であり、従って抗体(150kDa)よりも腫瘍組織への浸透性が良いと同時に腎臓による排泄を通じて迅速に消滅してしまうイレッサおよびターセバ(約1kDa)等の低分子物質よりも全身循環性が良いポリペプチドである。実際、Zバリアントは、典型的には、インビボイメージング用途に適した範囲の半減期を有し、治療またはその他の用途において必要とされる場合は、遺伝子融合技術によってその半減期を劇的に延長させることができる(例えばWO2005/097202Aを参照のこと)。
【0006】
EGFRの過剰発現は、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)に共通する(Rikimaru,K et al.Head Neck,1992.14(1):p.8−13;Santini,J et al,Head Neck,1991.13(2):p.132−9.Ekberg T et al.Int J Oncology,26(5),1177−1185,2005)。HER2のレベルの上昇は、いくつかのHNSCCの研究において示唆されており(Craven,J.M et al.Anticancer Res,1992.12(6B):p.2273−6)、口腔扁平上皮癌(SCC)において予後的な価値が見出され得る(Werkmeister,et al.Oral Oncol,2000.36(1):p.100−5;Werkmeister,R.Am J Surg,1996.172(6):p.681−3;Xia,W et al.Clin Cancer Res,1997.3(1):p.3−9;Xia,W et al.Clin Cancer Res,1999.5(12):p.4164−74)。HER3は、HNSCC細胞株において過剰発現され、臨床的悪性化に関連すること(Xia,W et al.Clin Cancer Res,1999.5(12):p.4164−74;Shintani,S et al.Cancer Lett,1995.95(1−2):p.79−83)および他のタイプの悪性腫瘍においても過剰発現されること(Gullick,W.J.Cancer Surv,1996.27:p.339−49)が示されている。いくつかのヒト乳癌細胞株は、HER4転写物を有する(Plowman,G.D et al.Proc Natl Acad Sci U S A,1993.90(5):p.1746−50)が、癌におけるHER4の役割は不透明である(Srinivasan,R.et al.Cancer Res,2000.60(6):p.1483−7)。4つの受容体の共発現パターンが悪性の表現型に関連する可能性があることが示唆されているため(Xia,W et al.Clin Cancer Res,1999.5(12):p.4164−74;Bei,R.et al.J Pathol,2001.195(3):p.343−8;Krahn,G.et al.Eur J Cancer,2001.37(2):p.251−9)、その共発現の研究が注目されている。EGFRおよびHER2の免疫組織化学染色は、顕著な膜の染色を示した。一方、HER3およびHER4の染色は主として細胞質性であった(Plowman,G.D et al.Proc Natl Acad Sci U S A,1993.90(5):p.1746−50;Srinivasan,R.et al.Cancer Res,2000.60(6):p.1483−7)。さらに、EGFRおよびHER2は腫瘍および転移物の両方において高レベルで発現されることが報告されている。従って、EGFRおよびHER2は、高分子およびペプチドベースのインビボイメージングおよび治療用途における潜在的標的であるが、HER3およびHER4はそうではないと考えられる。EGFRタンパク質のレベルの上昇はまた、膀胱癌においても見出されており、その過剰発現は腫瘍の段階および悪性度に関連付けられている(Harney,J.V.et al,J Urol,146,227−31.(1991);Messing,E.M.Cancer Res,50,2530−7.(1990);Neal,D.E.et al,Cancer,65,1619−25.(1990);Sauter,G.et al.Int J Cancer,57,508−14.(1994);Gardmark T,et al.British Journal of Urology(BJU),95,982−986,2005)。
【0007】
最も悪性の形態の神経膠腫であり、代表的な中枢神経系原発性腫瘍である多形神経膠芽腫(GBM)においては、分析した全腫瘍の少なくとも半数においてEGFRの過剰発現が検出されている(Boskovitz A,et al.Expert Opin Biol Ther 4:1453−1471,2004;Shinojima N,et al.Cancer Res 63:6962−6970,2003;Ekstrand AJ,et al.Cancer Res 51:2164−2172,1991;Rainov NG et al.Journal of Neuro−Oncology 35 13−28(1997);Carlsson J et al.J Neurooncol.2005 Sep 8;[Epub ahead of print])。この過剰発現は、遺伝子の増幅および/または転写率の増加に起因するものであり、腫瘍細胞あたり106個の受容体数が報告されている(Rich JN,Bigner DD:Nat Rev Drug Discov 3:430−446,2004;Bigner SH et al.J Neuropathol Exp Neurol 47,191−205(1998);Carpenter G.Ann Rev Biochem 56,881−914(1987);Collins VP.Cancer Biology 4,27−32(1993);Libermann TA et al.Nature 313,144−147,(1985);Kleihues P,Ohgaki H.Neuro−oncol 1,44−51,(1999);Kleihues P,Ohgaki H.Toxicol Pathol 28,164−170,(2000);Boskovitz A et al.Expert Opin Biol Ther 4,1453−1471,(2004))。EGFRの過剰発現は、神経膠腫の成長速度の増加および生存率の減少と相関し(Rich JN,Bigner DD:Nat Rev Drug Discov 3,430−446,(2004);Carlsson J et al.J Neurooncol.2005 Sep 8;[Epub ahead of print];Schlegel J et al.Int J Cancer 56,72−77,(1994);Wikstrand CJ,Bigner DD.J Natl Cancer Inst 90,799−801,(1998);Shinojima N et al.Cancer Res 63,6962−6970,(2003))、EGFRの過剰発現は腫瘍細胞の浸潤縁(tumor cell invading edges)において最も顕著であることが示されている(Okada Y,et al.Cancer Res 63,413−416,)(2003))。EGFRに特異的に結合するポリペプチドは、例えば術後腔(postoperal cavity)への局所投与によって、神経膠腫治療における治療用途で利用できる可能性がある。
【0008】
肺および胸において見出されるようないくつかの他の上皮由来の悪性腫瘍もまた、EGFRの高発現を伴う(Salomon,D.S.et al.Crit.Rev.Oncol.Hematol.,19(3):183−232,(1995))。EGFR受容体はまた、様々な正常組織の間でも分布しており、特に肝臓の肝細胞および皮膚上皮においてはむしろ高レベルで発現される(Gusterson,B.et al.Cell Biol Int Rep,8,649−58.(1984);Damjanov,I.et al.Lab Invest,55,588−92.(1986))。これは、治療用途、特に放射線療法において問題を引き起こす可能性があるが、EGFR受容体に結合する診断またはイメージングマーカーが少量しか投与されない診断およびイメージング用途においてはそれほど重要なことではないであろう。そうであっても、EGFR結合ポリペプチドには、局所投与が企図される特定の癌における用途が見出され得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、診断、インビトロまたはインビボイメージング、および治療用途に使用できる新規のEGFR結合剤を提供することである。さらに、このようなEGFR結合ポリペプチドには、病期分類および標的受容体をダウンレギュレートすることを目的とするSMEベースの治療の直接的評価としての用途が見出され得る。
【0010】
販売用の分子イメージング剤の開発に加えて、その用途には、インビボモデルおよびその後の臨床開発における処置結果を測定するための特異的なイメージング剤が求められる医薬開発およびスクリーニング手順における使用が含まれる。分子イメージングは、成長因子受容体をダウンレギュレートすることを目的とする医薬の効果の直接的な読み取りおよび抗腫瘍効果の評価を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
その一つの局面によれば、本発明は、
i)EX234AX67EIX1011LPNLNX1718QX2021AFIX25SLX28
[配列中、相互に独立して、
2はM、F、V、L、I、およびSから選択され;
3はW、D、E、およびLから選択され;
4はI、V、G、S、M、L、A、T、N、D、およびWから選択され;
6はW、V、L、I、M、およびSから選択され;
7はD、E、N、およびKから選択され;
10はR、G、H、およびKから選択され;
11はD、N、E、Y、およびSから選択され;
17はG、W、およびAから選択され;
18はW、G、およびAから選択され;
20はM、L、F、A、およびEから選択され;
21はT、D、N、A、およびQから選択され;
25はA、S、N、G、およびLから選択され;ならびに
28はL、W、V、F、およびAから選択される]
ならびに
ii)i)において規定される配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、
から選択されるアミノ酸配列からなる上皮成長因子受容体結合モチーフ、EBMを含み、最大10μMの相互作用のKD値でEGFRに結合する、上皮成長因子受容体(EGFR)結合ポリペプチドを提供する。
【0012】
上記の関連する配列クラスの定義、本発明に従うEGFR結合ポリペプチドは、いくつかの異なる選択実験においてEGFRとの相互作用について選択された、基本骨格(parent scaffold)の多数のランダムポリペプチドバリアントの統計分析に基づく。同定されたEGFR結合モチーフすなわち「EBM」は、その基本骨格の、3ヘリックスバンドルタンパク質ドメイン内で二つのアルファヘリックスを構成する標的結合領域に対応する。その二つのEBMヘリックスの中の変化に富むアミノ酸残基は、その基本骨格においては、抗体の定常Fc部分との相互作用のための結合表面を構成する。本発明においては、結合表面残基のランダムバリエーションおよびその後のバリアントの選択により、Fc相互作用能をEGFR相互作用能で置き換えている。
【0013】
当業者に理解されていることであろうが、任意のポリペプチドの機能、例えば本発明に従うポリペプチドのEGFR結合能は、そのポリペプチドの三次構造に依存する。従って、あるポリペプチドにおいて、その機能に影響を及ぼさずにそのアミノ酸配列に小さな変化を加えることが可能である。従って、本発明は、得られる配列がi)によって規定されるクラスに属する配列と少なくとも85%同一である、i)のEBMの修飾型バリアントを包含する。例えば、アミノ酸残基の特定の機能グループ(例えば疎水性、親水性、極性等)に属するアミノ酸残基を、同じ機能グループの別のアミノ酸残基と交換することが可能である。
【0014】
本発明に従うポリペプチドの一つの実施態様において、X2はMである。
【0015】
本発明に従うポリペプチドの一つの実施態様において、X3はWである。
【0016】
本発明に従うポリペプチドの一つの実施態様において、X4はI、V、G、およびSから選択される。
【0017】
本発明に従うポリペプチドの一つの実施態様において、X6はVおよびWから選択される。
【0018】
本発明に従うポリペプチドの一つの実施態様において、X10はRおよびGから選択される。
【0019】
本発明に従うポリペプチドの一つの実施態様において、X11はD、N、およびEから選択される。
【0020】
本発明に従うポリペプチドの一つの実施態様において、X17はWおよびGから選択される。
【0021】
本発明に従うポリペプチドの一つの実施態様において、X18はWおよびGから選択され、特にWであり得る。
【0022】
本発明に従うポリペプチドの一つの実施態様において、X20はMである。
【0023】
本発明に従うポリペプチドの一つの実施態様において、X21はTおよびDから選択され、特にTであり得る。
【0024】
本発明に従うポリペプチドの一つの実施態様において、X25はA、S、およびNから選択される。
【0025】
本発明に従うポリペプチドの一つの実施態様において、X28はLおよびWから選択される。
【0026】
本発明に従うポリペプチドの一つの実施態様において、X18はWであり、X21がTである。
【0027】
本発明に従うポリペプチドの一つの実施態様において、X18はWであり、X20がMである。
【0028】
本発明に従うポリペプチドのサブクラスのより具体的な定義において、i)のアミノ酸配列は、以下の9つの条件:X2がMである;X3がWである;X6がWである;X10がRである;X17がGである;X18がWである;X20がMである;X21がTである;X28がLである、の少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、または9つ全てを満たす。
【0029】
これらの条件の9つ全てを満たす場合、i)の配列は
EMWX4AWX7EIR X11LPNLNGWQM TAFIX25SLLD
となる。
【0030】
本発明に従うポリペプチドのサブクラスの代替の具体的な定義において、i)のアミノ酸配列は、以下の5つの条件:X17がGである;X18がWである;X20がMである;X21がTである;X25がAである、の少なくとも3つ、少なくとも4つ、または5つ全てを満たす。
【0031】
これらの条件の5つ全てを満たす場合、i)の配列は
EX234AX67EIX1011LPNLNGWQM TAFIASLX28
となる。
【0032】
さらに代替のサブクラスにおいて、i)の配列は、EX234AX67EIG X11LPNLNWGQX2021AFIX25SLWD、例えば、EX23IAVX7EIG ELPNLNWGQX20 DAFINSLWDである。
【0033】
後述の実験の節に詳細に記載されるように、EGFR結合バリアントの選択から、多数の別個のEGFR結合モチーフ(EBM)配列の同定がなされた。これらの配列は、本発明のこの局面に従うEGFR結合ポリペプチドの定義におけるEBM配列i)の個別の実施態様を構成する。個別のEGFR結合モチーフの配列は図1におよび配列番号1〜163として示されている。本発明のこの局面の実施態様において、EBM配列i)は、特に、配列番号33、配列番号48、配列番号57、配列番号87、配列番号88、および配列番号147から選択され得る。
【0034】
本発明の実施態様において、EBMは3ヘリックスバンドルタンパク質ドメインの一部を形成し得る。例えば、EBMは、主として、3ヘリックスバンドルタンパク質ドメイン内の二つのアルファヘリックスおよびそれらを結ぶループの一部を形成し得る。
【0035】
本発明の個々の実施態様において、このような3ヘリックスバンドルタンパク質ドメインは、細菌受容体タンパク質のドメインから選択される。このようなドメインの非限定的な例は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のプロテインAの5つの異なる3ヘリックスドメイン、およびその誘導体である。従って、本発明に従うEGFR結合ポリペプチドは:
ADNNFNK−[EBM]−DPSQSANLLSEAKKLNESQAPK(ブドウ球菌プロテインAのドメインA内のEBM);
ADNKFNK−[EBM]−DPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK(ブドウ球菌プロテインAのドメインB内のEBM);
ADNKFNK−[EBM]−DPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK(ブドウ球菌プロテインAのドメインC内のEBM);
ADAQQNNFNK−[EBM]−DPSQSTNVLGEAKKLNESQAPK(ブドウ球菌プロテインAのドメインD内のEBM);
AQHDE−[EBM]−DPSQSANVLGEAQKLNDSQAPK(ブドウ球菌プロテインAのドメインE内のEBM);および
VDNKFNK−[EBM]−DPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK(ブドウ球菌プロテインAのドメインBのプロテインZ誘導体内のEBM);
から選択されるアミノ酸配列を含み得る。
【0036】
配列中の[EBM]は先に定義したEGFR結合モチーフである。
【0037】
本発明の別の局面によれば、配列番号327のアミノ酸配列:
VDNKFNK EQQNAFYEILH LPNLNE EQRNAFIQSLKD DPSQSANLLAEAKKLNDA QAPK
の9〜11、13〜14、17〜18、24〜25、27〜28、32、および35位、またはこれらの位置に対応する位置のいずれかまたは全てにおいて、非修飾型アミノ酸配列を含むポリペプチドと比較してEGFRに対するそのポリペプチドの結合性を向上させるアミノ酸置換を加えることによって得られるアミノ酸配列を含み、最大10μMの相互作用のKD値でEGFRに結合する、EGFR結合ポリペプチドが提供される。
【0038】
その別の代替の局面によれば、本発明は、そのアミノ酸配列が、以下:iii)配列番号164〜326から選択される;およびiv)配列番号164〜326から選択される配列に対して85%またはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列である、から選択される定義の一つを満たす配列を含む、EGFR結合ポリペプチドを提供する。本発明のこの局面の実施態様において、EGFR結合ポリペプチドは特に、配列番号196、配列番号211、配列番号220、配列番号250、配列番号251、配列番号310から選択される配列およびそれらに対して85%またはそれ以上の同一性を有する配列を含み得る。
【0039】
本発明の任意の局面に従うEGFR結合ポリペプチドは、最大1×10-6M、例えば最大1×10-7Mの相互作用のKD値でEGFRに結合し得る。
【0040】
本明細書中で、異なるポリペプチドのアミノ酸配列間の同一性の程度についての言及がなされる場合、本明細書中に開示される配列に対して85%の同一性という下限が設定される。いくつかの態様において、本発明のポリペプチドは、本明細書中に記載される配列に対して少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一の配列を有し得る。この比較は、比較される配列のうちの最小配列に対応する枠(window)で、または比較される配列のうちの少なくとも一つにおけるEGFR結合モチーフに対応する枠で行われ得る。
【0041】
このポリペプチドは、EGFRに対する結合性が良いことが利点である。典型的には、このポリペプチドは比較的短く、そのサイズの小ささゆえに抗体よりも腫瘍組織への浸透性が良いと同時に従来的な低分子量EGFR結合物質(半減期が短すぎる場合が多い)およびモノクローナル抗体(循環時間が長過ぎる場合が多い)よりも全身循環性がよい。
【0042】
本発明に従うポリペプチドは、約53〜58アミノ酸長であり得る。しかし、その長さはそれより長くも短くもできる。ポリペプチドの長さは、例えば、そのN末端で4アミノ酸まで減らすことができる。
【0043】
用語「位置」の用法は相対的なものである。上記の非修飾型ポリペプチドと同様に53アミノ酸長である本発明に従うポリペプチドにおいては、このポリペプチド上のアミノ酸位置は、非修飾型ポリペプチド上のアミノ酸位置に正確に対応し、例えば非修飾型ポリペプチドと比較してN末端が伸長されている状況では、非修飾型ペプチドに対応する修飾型ペプチド上のアミノ酸残基が同じ位置番号を有する。例えば、修飾型ポリペプチドにおいて6アミノ酸残基が伸長されている場合、N末端から数えて、その修飾型ポリペプチドのアミノ酸番号7は、非修飾型ポリペプチドの位置番号1のアミノ酸に対応する。
【0044】
従って、本発明のポリペプチドは、様々な医学、獣医学、診断、およびイメージング用途において、従来的な抗体または低分子量物質の代替物として使用され得る。例えば、本発明のEGFR結合ポリペプチドは、EGFRに関連する癌、例えば、上記のEGFRの過剰発現によって引き起こされる癌、特に局所分布が適用される場合は、例えば神経膠腫の処置において使用され得る。本発明のEGFR結合ポリペプチドはまた、細胞表面上のEGFRに結合することによって細胞のシグナル伝達を阻害するために、癌の診断において、薬剤をEGFR発現細胞、特にEGFR過剰発現細胞に対して標的化するのにインビボおよびインビトロの両方で、EGFRの検出のための組織化学法において、分離法において、ならびにその他の用途において使用され得る。臨床用の分子イメージング剤の開発に加えて、インビボモデルおよびその後の臨床開発における処置結果を測定するための特異的な前臨床用イメージング剤としての用途もある。分子イメージングは、成長因子受容体、例えばHER2またはEGFRをダウンレギュレートすることを目的とする医薬の効果の直接的な読み取りおよび抗腫瘍効果の評価を可能にする。本発明のポリペプチドは、ある試薬のEGFRに対する親和性に基づく任意の方法において有用であり得る。従って、このポリペプチドは、このような方法において、検出試薬として、捕捉試薬として、または分離試薬として使用されるだけでなく、それらの独自能力(their own right)による治療剤としてまたは直接的(例えば毒性分子、毒素)もしくは間接的な治療効果(例えば癌ワクチン、免疫賦活分子)を有する他の治療剤をEGFRタンパク質に対して標的化するための手段として使用され得る。
【0045】
本発明に従うポリペプチドをインビトロで利用する方法は、例えばマイクロタイタープレート、タンパク質アレイで、バイオセンサー表面上で、ビーズ上で、フローサイトメトリーで、組織切片上で、等の異なる形式で行われ得る。
【0046】
当業者は、本発明に従うポリペプチドを本発明の範囲から逸脱することなく個別の用途に合わせるために、このポリペプチドに対して様々な修飾および/または付加をなすことができることを理解するであろう。これらの修飾および付加については以下により詳細に記載されており、これらには同じポリペプチド鎖における追加のアミノ酸、または本発明のポリペプチドに化学的に結合もしくはそれ以外の方法で結合された標識および/もしくは治療剤が含まれ得る。
【0047】
さらに、本発明はまた、EGFR結合性を保持するプロテインA由来のEGFR結合ポリペプチドのフラグメントを包含する。結合特異性を保持する野生型SPAドメインのフラグメントを作製する可能性については、Proc Natl Acad Sci USA 93:5688−5692(1996)のBraisted AC et alに示されている。この論文に記載される実験においては、構造ベースの設計およびファージディスプレイ法を用いることで、59残基の3ヘリックスバンドルの結合ドメインを、得られた33残基の2ヘリックス誘導体に小型化させている。これは、異なる領域の無作為変異の段階的な選択によって安定性および結合親和性を反復的に向上させることで達成された。同じ論法で、当業者は、本発明のポリペプチドを用いることで、その「親」のEGFR結合ポリペプチドと同一の結合特性を有する「最小化型」EGFR結合ポリペプチドを獲得できるであろう。従って、本発明に従うポリペプチドのフラグメントを構成するポリペプチドは、本発明の範囲に含まれる。
【0048】
本明細書中で使用する場合、用語「EGFR結合」および「EGFRに対する結合親和性」は、例えば表面プラズモン共鳴技術を、例えばBiacore機器において使用することによって試験され得るポリペプチドの特性を意味する。例えば、以下の実施例に記載されるように、EGFR結合親和性は、EGFRまたはEGFRのフラグメント、例えばその細胞外ドメインをこの機器のセンサーチップに固定し、試験ポリペプチドを含むサンプルをそのチップに通す実験において試験され得る。あるいは、試験ポリペプチドをこの機器のセンサーチップに固定し、EGFRまたはEGFRのフラグメント、例えばその細胞外ドメインを含むサンプルそのチップに通すこともある。これに関して、EGFRは、配列番号328のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり得、その細胞外ドメインは、配列番号329のアミノ酸を含むポリペプチドであり得る。当業者は、その後、このような実験から得られた結果を解析し、少なくともEGFRに対するそのポリペプチドの結合親和性の質的指標を獲得し得る。質的指標が望ましい場合、例えば、相互作用のKD値を決定するために、表面プラズモン共鳴法も使用され得る。結合値は、例えば、Biacore 2000機器(Biacore AB)において規定され得る。EGFRはこの機器のセンサーチップに固定され、その親和性を測定したいポリペプチドのサンプルが連続希釈によって調製され、無作為順で注入される。次いで、例えばその機器の製造元(Biacore AB)から提供されるBIAevaluation 4.1ソフトウェアの1:1 Langmuir結合モデルを用いて、その結果からKD値が算出され得る。
【0049】
アミノ酸置換が導入される場合は、これらがそのポリペプチドの基本構造に影響するものであってはならない。例えば、ポリペプチドのCα骨格の全体的なフォールディングは、関連するZ「野生型」ドメインのそれと本質的に同一である、すなわち同じ二次構造のエレメントを同じ順で有するものであり得る。従って、この基本構造を有するポリペプチドは、Z「野生型」ドメインと類似のCDスペクトルを有するであろう。当業者は、関連性のある他のパラメータを認識しているであろう。この基本構造の保存に関する要件は、置換に供され得るアミノ酸配列位置に制限を課す。例えば、ポリペプチド表面に位置するアミノ酸残基が置換され、ポリペプチドの「3ヘリックスバンドル」のコアの中に埋もれたアミノ酸残基はその分子の構造的特性を保存するために維持されるのが好ましい。同じ論法が、本発明のポリペプチドのフラグメントにも適用される。
【0050】
本発明はまた、上記のEGFR結合ポリペプチドが、いずれかの末端に追加のアミノ酸が付加されたEGFR結合ドメインとして存在するポリペプチドを包含する。これらの追加のアミノ酸残基は、そのポリペプチドによるEGFRの結合において役割を果たし得るが、同様に他の目的、例えばそのポリペプチドの生成、精製、安定化、結合、または検出の一つまたはそれ以上に関連する目的もまた果たし得る。このような追加のアミノ酸残基は、化学的な結合の目的で付加される一つまたはそれ以上のアミノ酸残基を含み得る。この一例は、ポリペプチド鎖の最初および最後の位置、すなわちNまたはC末端におけるシステイン残基の付加である。このような追加のアミノ酸残基はまた、そのポリペプチドの精製または検出のための「タグ」、例えばそのタグに対して特異的な抗体との相互作用のためのHis6タグまたは「myc」タグまたは「flag」タグを提供し得る。
【0051】
本発明はまた、上記のEGFR結合ポリペプチドが、追加のペプチドもしくはタンパク質または他の官能基が(公知の有機化学法を用いる)化学的結合により(特異的にまたは非特異的に)N末端もしくはC末端にまたは任意の他の残基に結合されたEGFR結合ドメインとして存在するEGFR結合ポリペプチドを包含する。
【0052】
上述の「追加のアミノ酸残基」はまた、任意の所望の機能、例えば第一のEGFR結合ドメインと同じ結合機能もしくは別の結合機能、もしくは酵素機能、毒性機能(例えば免疫毒素)、もしくは蛍光シグナル機能、またはこれらの組み合わせを有する一つまたはそれ以上のポリペプチドドメインを提供し得る。
【0053】
本発明のポリペプチドは、単量体形態の場合も多量体形態の場合もある。ポリペプチドの多量体形態は、結合特性が増強され得る点で有利な場合がある。好ましい多量体形態には、二量体形態および三量体形態が含まれる。ポリペプチドの多量体形態は、適当な数の本発明のポリペプチドを含み得る。これらのポリペプチドは、本質的に、その多量体内でドメインを形成する。これらのドメインは全て、同じアミノ酸配列を有し得るが、代替的にそれらが異なるアミノ酸配列を有する場合もある。ポリペプチドは、公知の有機化学法を用いる共有結合性結合により接続されるか、またはポリペプチドの組換え発現系において一つもしくはそれ以上の融合ポリペプチドとして発現されるか、または任意の他の様式で、直接的にもしくはリンカー、例えばアミノ酸リンカーを通じてのいずれかで接続され得る。
【0054】
さらに、本発明のEGFR結合ポリペプチドが第一ドメインまたは部分を提供し、第二またはさらなる部分がEGFR結合以外の機能を有する融合ポリペプチドもまた企図され、これらも本発明の範囲に含まれる。このような融合ポリペプチドの第二またはさらなる部分は、EGFR以外の標的分子に対する親和性を有する結合ドメインを含み得る。このような結合ドメインは、別の、類似のポリペプチドバインダー(binder)であり得る。例えば、ポリペプチドバインダーは、Zバリアントであり得る。これにより、様々なタイプの用途、例えば医薬、獣医薬、診断、分離、およびイメージングにおいて使用され得る多特異的試薬(multi−specific reagents)を作製することが可能になる。このような多特異的融合ポリペプチドの調製は、先に概説したようにして行われ得る。
【0055】
本発明の他の実施態様において、第二またはさらなる部分は、標的に対する結合親和性を有する無関係の天然タンパク質または組換えタンパク質(またはその天然タンパク質もしくは組換えタンパク質の結合またはその他の能力を保持するそれらのフラグメント)を含み得る。例えば、本発明に従うEGFR結合ポリペプチドは、治療用途における使用のためにEGFR結合ポリペプチドの半減期を向上させるため、連鎖球菌プロテインGのアルブミン結合ドメインまたは血清タンパク質に対する親和性を有する任意の他のタンパク質/ペプチドに接続され得る。
【0056】
本発明のEGFR結合ポリペプチドは、他の融合ポリペプチドの形態で提供され得る。例えば、EGFR結合ポリペプチドまたはそのフラグメントは、標的への結合に加えてまたはその代わりに他の機能を発揮する第二またはさらなる部分または部分群に共有結合により結合され得る。一つの例は、一つまたはそれ以上のEGFR結合ポリペプチドと、レポーターまたはエフェクター部分として機能する酵素活性を有するポリペプチドとの融合であろう。融合タンパク質の形成のためにEGFR結合ポリペプチドに結合され得るレポーター酵素の例は、当業者に周知であり、β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、カルボキシペプチダーゼ等の酵素が含まれる。本発明に従う融合ポリペプチドの第二およびさらなる部分または部分群についての他の選択肢には、蛍光ポリペプチド、例えば緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、およびそれらのバリアントが含まれる。
【0057】
本発明に従う融合ポリペプチドの第二およびさらなる部分または部分群についての他の選択肢には、治療用途の部分または部分群が含まれる。治療用途においては、他の分子もまた、他の手段によって、本発明のEGFR結合ポリペプチドに共有結合的または非共有結合的に結合され得る。例えば、他の分子、例えば、本発明のポリペプチドをエフェクター酵素(例えばカルボキシペプチダーゼ)またはRNaseもしくはDNase融合物の誘導のために使用する「ADEPT」(抗体酵素プロドラッグ療法(Antibody−Directed Enzyme Prodrug Therapy))適用のための酵素;エフェクター細胞およびその他の免疫系成分の動員のためのタンパク質;サイトカイン、例えばIL−2、IL−12、TNFα、IP−10;凝血原因子、例えば組織因子、フォン・ビルブラント因子;毒素、例えばリシンA、シュードモナス外毒素、カルキアミシン(calcheamicin)、メイタンシノイド(maytansinoid)、毒性低分子、例えばオーリスタチン(auristatin)アナログ、ドキソルビシン。
【0058】
上記の追加のアミノ酸(特にヘキサヒスチジン、システイン)は、診断用(例えば68Ga、76Br、111In、99Tc、125I)または治療用(例えば90Y、131I、211At、177Lu)の放射性核種を容易に導入するために放射性同位元素のキレート剤をEGFR結合ポリペプチドに結合するのに使用できる。
【0059】
本発明はまた、上記のEGFR結合ポリペプチドが、例えばそのポリペプチドの検出の目的で、標識基、例えば少なくとも一つのフルオロフォア、ビオチン、または放射性同位元素と共に提供されるポリペプチドを包含する。
【0060】
本発明のEGFR結合ポリペプチドを組み込んだ融合ポリペプチドおよびタンパク質についての上記の説明に関して、第一、第二、およびさらなる部分という表示は、一方のEGFR結合部分または部分群と他方の他の機能を発揮する部分とを区別する明確化の目的でなされていることに留意されたい。これらの表示は、その融合タンパク質またはポリペプチドのポリペプチド鎖における異なるドメインの実際の順番を示すことを意図するものではない。従って、例えば、第一部分は、融合タンパク質またはポリペプチドのN末端、中間、またはC末端に存在し得る。
【0061】
本発明のさらなる好ましい局面および実施態様は、以下の実施態様のリストおよび添付の特許請求の範囲から明らかとなろう。
【0062】
本明細書において引用した全ての科学文献および特許書類は、参照により本明細書に援用する。
【0063】
1. アミノ酸配列:
VDNKFNK EQQNAFYEILH LPNLNE EQRNAFIQSLKD DPSQ SANLLAEAKKLNDA QAPK
に由来するアミノ酸配列を含み、
その配列の9〜11、13〜14、17〜18、24〜25、27〜28、32、および35位、またはこれらの位置に対応する位置のいずれかまたは全てにおいて、非修飾型アミノ酸配列を含むポリペプチドと比較してEGFRに対するそのポリペプチドの結合性を向上させるアミノ酸置換を含むことによって得られるアミノ酸配列を含み、最大10μMの相互作用のKD値でEGFRに結合する、EGFR結合ポリペプチド。
2. 9位のアミノ酸置換が疎水性アミノ酸である、実施態様1に記載のEGFR結合ポリペプチド。
3. 9位のアミノ酸置換が非極性アミノ酸である、実施態様1または2に記載のEGFR結合ポリペプチド。
4. 9位のアミノ酸置換が脂肪族R基を含む、実施態様1〜3のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
5. 9位のアミノ酸置換が芳香族R基を含む、実施態様1〜4のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
6. 9位のアミノ酸置換が極性アミノ酸である、実施態様1〜2または4または5のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
7. 9位のアミノ酸置換が非荷電である、実施態様1〜5のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
8. 9位のアミノ酸置換が塩基性アミノ酸である、実施態様1〜7のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
9. 9位のアミノ酸置換がW、M、T、F、H、S、L、A、およびVから選択される、実施態様1〜8のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
10. 9位のアミノ酸置換がM、F、L、またはVである、実施態様3に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【0064】
11. 10位のアミノ酸置換が疎水性アミノ酸である、実施態様1〜10のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
12. 10位のアミノ酸置換が親水性アミノ酸である、実施態様1〜11のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
13. 10位のアミノ酸置換が中性である、実施態様1〜11のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
14. 10位のアミノ酸置換が極性アミノ酸である、実施態様1〜13のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
15. 10位のアミノ酸置換が非極性アミノ酸である、実施態様1〜13のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
16. 10位のアミノ酸置換が酸性アミノ酸である、実施態様1〜15のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
17. 10位のアミノ酸置換がS、L、G、Y、A、E、W、およびQから選択される、実施態様1〜16のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
18. 10位のアミノ酸置換がL、Y、E、またはQである、実施態様17に記載のEGFR結合ポリペプチド。
19. 11位のアミノ酸置換が疎水性である、実施態様1〜18のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
20. 11位のアミノ酸置換が中性である、実施態様1〜18のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【0065】
21. 11位のアミノ酸置換が親水性である、実施態様1〜19のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
22. 11位のアミノ酸置換が非極性アミノ酸である、実施態様1〜21のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
23. 11位のアミノ酸置換が脂肪族R基を含む、実施態様22に記載のEGFR結合ポリペプチド。
24. 11位のアミノ酸置換が正に荷電したR基を含む、実施態様1〜23のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
25. 11位のアミノ酸置換が塩基性アミノ酸である、実施態様1〜24のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
26. 11位のアミノ酸が極性アミノ酸である、実施態様1〜21のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
27. 11位のアミノ酸が非荷電である、実施態様1〜23のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
28. 11位のアミノ酸置換がA、I、K、P、およびNから選択される、実施態様1〜27のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
29. 11位のアミノ酸置換がA、I、またはKである、実施態様28に記載のEGFR結合ポリペプチド。
30. 13位のアミノ酸置換が疎水性である、実施態様1〜29のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【0066】
31. 13位のアミノ酸置換が非極性である、実施態様1〜30のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
32. 13位のアミノ酸置換が脂肪族R基を含む、実施態様1〜31のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
33. 13位のアミノ酸置換が極性である、実施態様1〜30のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
34. 13位のアミノ酸置換が非荷電である、実施態様1〜33のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
35. 13位のアミノ酸置換が芳香族R基を含む、実施態様1〜34のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
36. 13位のアミノ酸置換がA、S、V、M、I、Y、W、およびTから選択される、実施態様1〜35のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
37. 13位のアミノ酸置換がM、I、Y、またはVである、実施態様8に記載のEGFR結合ポリペプチド。
38. 14位のアミノ酸置換が親水性である、実施態様1〜37のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
39. 14位のアミノ酸置換が中性である、実施態様1〜37のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
40. 14位のアミノ酸置換が極性である、実施態様1〜39のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【0067】
41. 14位のアミノ酸置換が非荷電である、実施態様40に記載のEGFR結合ポリペプチド。
42. 14位のアミノ酸置換が酸性である、実施態様1〜41のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
43. 14位のアミノ酸置換が塩基性である、実施態様1〜41のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
44. 14位のアミノ酸置換が非極性である、実施態様1〜39のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
45. 14位のアミノ酸置換が脂肪族R基を含む、実施態様44に記載のEGFR結合ポリペプチド。
46. 14位のアミノ酸置換が負に荷電したR基を含む、実施態様1〜45のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
47. 14位のアミノ酸置換がS、E、R、T、W、V、N、T、およびAから選択される、実施態様1〜46のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
48. 14位のアミノ酸置換がSまたはTである、実施態様47に記載のEGFR結合ポリペプチド。
49. 17位のアミノ酸置換が中性である、実施態様1〜48のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
50. 17位のアミノ酸置換が親水性である、実施態様1〜48のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【0068】
51. 17位のアミノ酸置換が疎水性である、実施態様1〜48のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
52. 17位のアミノ酸置換が極性である、実施態様1〜51のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
53. 17位のアミノ酸置換が非荷電である、実施態様52に記載のEGFR結合ポリペプチド。
54. 17位のアミノ酸が正荷電である、実施態様1〜52のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
55. 17位のアミノ酸置換が非極性である、実施態様1〜51のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
56. 17位のアミノ酸が脂肪族R基を含む、実施態様55に記載のEGFR結合ポリペプチド。
57. 17位のアミノ酸が塩基性である、実施態様1〜56のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
58. 17位のアミノ酸置換がS、G、N、およびVから選択される、実施態様1〜57のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
59. 17位のアミノ酸置換がG、N、およびVから選択される、実施態様12に記載のEGFR結合ポリペプチド。
60. 18位のアミノ酸が中性である、実施態様に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【0069】
61. 18位のアミノ酸置換が親水性である、実施態様1〜59のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
62. 18位のアミノ酸置換が非極性である、実施態様1〜61のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
63. 18位のアミノ酸置換が極性である、実施態様1〜61のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
64. 18位のアミノ酸置換が非荷電である、実施態様1〜63のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
65. 18位のアミノ酸置換が正荷電である、実施態様1〜63のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
66. 18位のアミノ酸置換が酸性である、実施態様1〜65のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
67. 18位のアミノ酸置換が塩基性である、実施態様1〜65のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
68. 18位のアミノ酸置換がG、S、D、R、N、H、E、およびKから選択される、実施態様1〜67のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
69. 18位のアミノ酸置換がRまたはNである、実施態様68に記載のEGFR結合ポリペプチド。
70. 24位のアミノ酸置換が疎水性である、実施態様1〜69のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【0070】
71. 24位のアミノ酸置換が中性である、実施態様1〜69のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
72. 24位のアミノ酸置換が塩基性である、実施態様1〜71のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
73. 24位のアミノ酸置換が非極性である、実施態様1〜72のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
74. 24位のアミノ酸置換が脂肪族R基を含む、実施態様73に記載のEGFR結合ポリペプチド。
75. 24位のアミノ酸置換が極性である、実施態様1〜72のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
76. 24位のアミノ酸が芳香族R基を含む、実施態様1〜75のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
77. 24位のアミノ酸置換がK、W、N、G、L、R、およびMから選択される、実施態様1〜76のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
78. 24位のアミノ酸置換がVまたはGである、実施態様77に記載のEGFR結合ポリペプチド。
79. 25位のアミノ酸置換が中性である、実施態様1〜78のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
80. 25位のアミノ酸置換が疎水性である、実施態様に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【0071】
81. 25位のアミノ酸置換が非極性である、実施態様1〜80のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
82. 25位のアミノ酸置換が脂肪族R基を含む、実施態様81に記載のEGFR結合ポリペプチド。
83. 35位のアミノ酸置換が芳香族R基を含む、実施態様1〜82のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
84. 25位のアミノ酸が極性である、実施態様1〜80のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
85. 25位のアミノ酸置換が塩基性である、実施態様1〜84のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
86. 25位のアミノ酸置換がL、G、W、V、S、H、およびWから選択される、実施態様1〜85のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
87. 25位のアミノ酸置換がGまたはWである、実施態様86に記載のEGFR結合ポリペプチド。
88. 27位のアミノ酸置換が親水性である、実施態様1〜87のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
89. 27位のアミノ酸置換が疎水性である、実施態様1〜88のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
90. 27位のアミノ酸置換が中性である、実施態様1〜88のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【0072】
91. 27位のアミノ酸置換が非極性である、実施態様1〜90のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
92. 27位のアミノ酸置換が酸性である、実施態様1〜91のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
93. 27位のアミノ酸置換が極性である、実施態様1〜90のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
94. 27位のアミノ酸置換が非荷電である、実施態様93に記載のEGFR結合ポリペプチド。
95. 27位のアミノ酸置換が塩基性である、実施態様1〜91のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
96. 27位のアミノ酸置換が負に荷電したR基を含む、実施態様1〜93のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
97. 27位のアミノ酸置換がA、E、F、M、L、C、K、G、およびSから選択される、実施態様1〜96のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
98. 27位のアミノ酸置換がE、M、またはSである、実施態様97に記載のEGFR結合ポリペプチド。
99. 28位のアミノ酸置換が中性である、実施態様1〜98のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
100. 28位のアミノ酸置換が疎水性である、実施態様1〜98のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【0073】
101. 28位のアミノ酸置換が非極性である、実施態様1〜100のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
102. 28位のアミノ酸置換が脂肪族R基を含む、実施態様101に記載のEGFR結合ポリペプチド。
103. 28位のアミノ酸置換が極性である、実施態様に記載のEGFR結合ポリペプチド。
104. 28位のアミノ酸置換が非荷電である、実施態様103に記載のEGFR結合ポリペプチド。
105. 28位のアミノ酸置換が塩基性である、実施態様1〜104のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
106. 28位のアミノ酸置換がF、Q、V、A、K、V、およびTから選択される、実施態様1〜105のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
107. 28位のアミノ酸置換がT、Q、またはVである、実施態様106に記載のEGFR結合ポリペプチド。
108. 32位のアミノ酸置換が疎水性である、実施態様1〜107のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
109. 32位のアミノ酸置換が中性である、実施態様1〜108のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
110. 32位のアミノ酸置換が非極性である、実施態様1〜109のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【0074】
111. 32位のアミノ酸が脂肪族R基を含む、実施態様110に記載のEGFR結合ポリペプチド。
112. 32位のアミノ酸置換が極性である、実施態様1〜109のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
113. 32位のアミノ酸置換が非荷電である、実施態様112に記載のEGFR結合ポリペプチド。
114. 32位のアミノ酸置換が塩基性である、実施態様1〜113のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
115. 32位のアミノ酸置換がV、L、S、F、A、およびRから選択される、実施態様1〜114のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
116. 32位のアミノ酸置換がL、S、またはAである、実施態様115に記載のEGFR結合ポリペプチド。
117. 35位のアミノ酸置換が疎水性である、実施態様1〜116のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
118. 35位のアミノ酸置換が中性である、実施態様1〜116のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
119. 35位のアミノ酸置換が非極性である、実施態様1〜118のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
120. 35位のアミノ酸置換が脂肪族R基を含む、実施態様119に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【0075】
121. 35位のアミノ酸置換が極性である、実施態様1〜118のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
122. 35位のアミノ酸置換が非荷電である、実施態様121に記載のEGFR結合ポリペプチド。
123. 35位のアミノ酸置換が塩基性である、実施態様1〜122のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
124. 35位のアミノ酸置換が芳香族R基を含む、実施態様1〜123のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
125. 35位のアミノ酸置換がV、W、S、R、M、H、およびLから選択される、実施態様1〜124のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
126. 35位のアミノ酸置換がW、S、またはVである、実施態様125に記載のEGFR結合ポリペプチド。
127. ポリペプチド表面に位置するアミノ酸残基が置換されている、実施態様1〜126のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
128. ポリペプチドの三次元構造のコア内のアミノ酸残基が置換されていない、実施態様1〜127のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
129. C末端および/またはN末端のアミノ酸伸長により伸長された、実施態様1〜128のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
130. アミノ酸伸長または各アミノ酸伸長がこのポリペプチドによるEGFRの結合を増強する、実施態様129に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【0076】
131. アミノ酸伸長または各アミノ酸伸長が、ポリペプチドの生成、精製、インビボもしくはインビトロでの安定性、結合、または検出を向上させる、実施態様129または130に記載のEGFR結合ポリペプチド。
132. アミノ酸伸長または各アミノ酸伸長が、ポリペプチドのアミノ酸配列の最初または最後の位置にシステイン残基を含む、実施態様131に記載のEGFR結合ポリペプチド。
133. アミノ酸残基の伸長部が、His6タグ、または「myc」もしくは「flag」タグを含む、実施態様131に記載のEGFR結合ポリペプチド。
134. 伸長部分が、連鎖球菌プロテインGのアルブミン結合ドメインまたはその誘導体ドメインを含み、治療用途におけるEGFR結合ポリペプチドの半減期を向上させる、実施態様131に記載のEGFR結合ポリペプチド。
135. 約53アミノ酸を含む、実施態様1〜134のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
136. 最大1×10-6Mの相互作用のKD値でEGFRに結合する、実施態様1〜135のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
137. 最大1×10-7Mの相互作用のKD値でEGFRに結合する、実施態様136に記載のEGFR結合ポリペプチド。
138. EGFRの細胞外ドメインに結合する、実施態様1〜137のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
139. 成熟型EGFR(配列番号328)のヌクレオチド259〜2127に対応するEGFRの細胞外ドメイン(配列番号329)の一部に結合する、実施態様138に記載のEGFR結合ポリペプチド。
140. 実施態様1〜139のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチドのフラグメントを含む、EGFR結合ポリペプチド。
【0077】
141. フラグメントが実施態様1〜139のいずれか一つに記載のポリペプチドからのN末端短縮を含む、実施態様140に記載のEGFR結合ポリペプチド。
142. N末端短縮が4アミノ酸以下である、実施態様141に記載のEGFR結合ポリペプチド。
143. EGFR結合ポリペプチド単位を含む多量体形態の、実施態様1〜142のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
144. EGFR結合ポリペプチド単量体単位が共有結合により結合されている、実施態様143に記載のEGFR結合ポリペプチド。
145. EGFR結合ポリペプチド単量体単位が融合タンパク質として発現される、実施態様143に記載のEGFR結合ポリペプチド。
146 二量体形態の、実施態様143〜145のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチド。
147. 実施態様1〜146のいずれかに記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド。
148. 実施態様147に記載のヌクレオチドを発現することを含む、実施態様1〜146のいずれか一つに記載のポリペプチドの製造方法。
149. 実施態様1〜146のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチドおよび検出剤の組み合わせ。
150. 検出剤が、放射線イメージングにおいて使用するための放射性物質である、実施態様149に記載の組み合わせ。
【0078】
151. 放射性物質が放射性核種である、実施態様150に記載の組み合わせ。
152. 検出剤が酵素である、実施態様149に記載の組み合わせ。
153. 酵素がβ−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、およびカルボキシペプチダーゼから選択される、実施態様152に記載の組み合わせ。
154. 検出剤が蛍光ポリペプチドである、実施態様149に記載の組み合わせ。
155. 実施態様1〜146のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチドおよび治療剤の組み合わせ。
156. EGFR結合ポリペプチドおよび検出剤または治療剤が共有結合により結合されている、実施態様149〜155のいずれか一つに記載の組み合わせ。
157. EGFRポリペプチドおよび検出剤または治療剤が融合タンパク質として発現される、実施態様149〜155のいずれか一つに記載の組み合わせ。
158. 実施態様150〜151のいずれか一つに記載の組み合わせを放射線イメージング剤として使用する、放射線イメージング方法。
159. EGFRを含む疑いのあるサンプルを提供し、実施態様1〜146のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチドまたは実施態様149〜154のいずれか一つに記載の組み合わせとサンプルを接触させ、サンプル中のEGFRの存在を示すポリペプチドまたは組み合わせへの結合を検出することを含む、EGFRの検出方法。
160. 二つ以上のEGFRが検出される、実施態様159に記載の検出方法。
【0079】
161. 実施態様1〜146のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチドまたは実施態様149〜154のいずれか一つに記載の組み合わせとサンプルを接触させることを含み、それによってEGFRがポリペプチドに結合し、これをサンプルから除去することができる、サンプルからのEGFRの分離または捕捉方法。
162. 被検体または被検体由来のサンプルを、実施態様1〜146のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチドまたは実施態様149〜154のいずれか一つに記載の組み合わせと接触させ、ポリペプチドまたは組み合わせへの結合を検出することを含む、被検体におけるEGFRの存在を決定するための診断方法。
163. 被検体がヒトまたは動物である、実施態様162に記載の方法。
164. インビボで行われる、実施態様162に記載の方法。
165. サンプルに対してインビトロで行われる、実施態様162または163に記載の方法。
166. 被検体または被検体由来の物質を実施態様1〜146のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチドまたは実施態様155〜157のいずれか一つに記載の組み合わせで処置することである、被検体または被検体由来の物質におけるEGFRに関連する状態の処置方法。
167. 被検体のまたは被検体由来の物質におけるEGFRに対する実施態様1〜146のいずれか一つに記載のEGFR結合ポリペプチドまたは実施態様155〜157のいずれか一つに記載の組み合わせの結合が、受容体の活性化を阻害または刺激する、実施態様166に記載の処置方法。
168. 被検体のまたは被検体由来の物質におけるEGFRに対するEGFR結合ポリペプチドの結合が、細胞のシグナル伝達を阻害する、実施態様166または167に記載の処置方法。
169. EGFRに関連する状態が癌である、実施態様166〜168のいずれか一つに記載の処置方法。
170. 癌が、肺癌、乳癌、前立腺癌、結腸癌、卵巣癌、頭頸部癌から選択される、実施態様169に記載の処置方法。
171. 被検体がヒトまたは動物である、実施態様166〜170のいずれか一つに記載の方法。
【0080】
ここからは、本発明に従うポリペプチドおよびそれらの使用法は、例示のみの目的で、添付図面、図1〜12を参照しつつ描写されよう。
【0081】
以下の実験においては、黄色ブドウ球菌プロテインAのBドメイン由来のプロテインZのEGFR結合性のバリアントを選択するのにファージディスプレイを使用した。EGFR結合性Zバリアントは、集合的にZEGFRと表示されることもある。各個別のZバリアントには固有の識別番号#####が付与されており、個々のバリアントは互換的にZ#####およびZEGFR:#####と称される。
【実施例】
【0082】
実施例1
本発明に従うEGFR結合ポリペプチドの一次選択
材料および方法
ポリペプチドバインダー、菌株、ベクター、およびファージミドライブラリの作製
アンバーサブレッサー大腸菌RRIΔM15株(Ruether,U.(1982)Nucleic Acids Res.,10,5765−5772.)を、ファージの産生およびクローニング手順のための細菌宿主として使用した。本研究において使用したファージミドベクターpAffi1およびファージミドライブラリZlib2002(3×109メンバー)の構築については、Groenwall C,Jonsson A,Lindstroem S,Gunneriusson E,Stahl S,Herne N:“Selection and characterization of Affibody ligands binding to Alzheimer amyloid beta peptides”,J.Biotechnol.(2006) in press,Epub 27 Sep 2006に開示されている。選択されたクローンのファージミドインサートは、カナマイシン耐性を付与する遺伝子と共に、T7プロモーター(Studier et al.,(1990)Methods Enzymol.,185,60−89)、ヘキサヒスチジル(His6)タグをコードするDNAフラグメント、およびマルチクローニングサイトを含む、さらにはpAY430については直接標識のためにC末端に追加のシステインを含む、発現ベクターpAY442およびpAY430にサブクローニングした。大腸菌BL21(DE3)株(Novagen,Madison,WI)を、発現ベクターからのタンパク質産生に使用した。
【0083】
ファージストックの調製
ライブラリ(Zlib2002の一部)からのおよび選択間でのファージストックの調製は、以前に記載された手順(Nord,K et al.,(1997)Nat.Biotechnol.,15,772−777;Hansson et al.,(1999)Immunotechnology,4,237−252)に従い、ヘルパーファージM13K07(New England Biolabs,Beverly,MA)を用いて行った。PEG/NaCl沈降により、約1013pfu/mlのファージ価を得た。
【0084】
ファージの選択
ヌクレオチド259〜2127に対応する623アミノ酸を含むEGFRの約100kDaの組換え細胞外ドメイン(ECD)を、選択において標的タンパク質として使用した(配列番号329)。このタンパク質を、EZ−LinkTM−Sulfo−NHS−LC−Biotin(Pierce,Rockford,IL)を用いてインビトロでビオチニル化させた。リン酸緩衝生理食塩水(PBS;10mMリン酸、137mM NaCl、pH7.2)中のEGFR−ECDに20倍過剰のビオチンを加え、その混合物を室温で1時間インキュベートした後、4℃でPBSに対して十分な透析を行い余分なビオチンを除去した。
【0085】
次いで、ビオチニル化した標的タンパク質を、ストレプトアビジンコートした常磁性ビーズ(Dynabeads M−280 Streptavidin;Dynal A.S.,Oslo,Norway)に固定した。各選択ラウンドにつき、ビーズを、0.1% Tween−20を補充したPBS(PBST)で二回洗浄した。非特異的なバインダーを回避するため、この手順に使用した全てのチューブは、0.1%ゼラチンを補充したPBSTで事前に処理しておいた。さらに常磁性ビーズ上に存在するストレプトアビジンに対するバインダーを回避するため、0.1%ゼラチンを補充したPBST中のファージストックを、第1ラウンドおよび第2ラウンドにおいて0.2mgのビーズ(予めPBSTで二回洗浄しておいた)と共にプレインキュベートした。次いで、結合していないファージストックを、連続的に上下逆さ回転させる条件下(under continuous end−over−end rotation)、室温で1時間45分の、EGFR−ECD標的タンパク質に対するバイオパニングに供し、その後にストレプトアビジンコートした常磁性ビーズと共に15分間(室温、連続的に上下逆さ回転)インキュベートした。各パニングラウンドにおいて各々2つの異なる漸減標的濃度を使用した2つの別個の選択を、以下の通りに行った。第1ラウンドにおいては;12および1.2μgの標的タンパク質を、それぞれ6および0.6mgのビーズと共にインキュベートし、第2ラウンドにおいては;5、2.5、0.5、および0.35μgの標的タンパク質をそれぞれ2.5、1.25、0.25、0.125mgのビーズと共にインキュベートし、第三および第4ラウンドにおいては;5、1、0.5、および0.1μgの標的タンパク質をそれぞれ1、0.5、0.1、0.05mgのビーズと共にインキュベートした。SDS−PAGE分析による測定によれば、この手順により、ビーズ1mgあたり約2μgの標的タンパク質が固定された。4ラウンドのバイオパニングは以下の通りに行った。ビーズは、第1ラウンドにおいて2回、第2ラウンドにおいて5回、第3ラウンドにおいて7回、および第4ラウンドにおいて10回、PBSTで洗浄した。その後、結合したファージを500μlの50mMグリシン−HCl、pH2.1を用いて室温で10分間溶出させ、次いで直ちに50μlの1M Tris−HCl、pH8.0および450μl PBSで中性にした。
【0086】
溶出したファージを使用して、37℃で30分間、対数増殖期のRRIΔM15細胞を感染させた。感染細胞懸濁物を、2%グルコースおよび100mg/lアンピシリンを補充したTYE寒天プレート(15g/l寒天、8g/l NaCl、10g/lトリプトン、および6g/l酵母エキス)上に塗布し、次いで37℃で一晩インキュベートした。成長したコロニーを、5g/l酵母エキス、2%グルコース、および100μg/mlアンピシリンを補充したトリプティックソイブロス(TSB、30g/l;Merck,Darmstadt,Germany)への再懸濁により回収し、フラクション(溶出後のファージ価と比較して約500倍過剰の細胞)を接種に使用し、次の世代のファージストックを得た。選択プロセスは、選択前および溶出後のファージストックを滴定することによって監視した。室温で5分間、ファージの連続希釈物で対数増殖期のRRIΔM15細胞を感染させた後、2%グルコースおよび100μg/mlアンピシリンを補充したTYE寒天プレートにプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。
【0087】
ストレプトアビジンELISA
4ラウンドのバイオパニング後、4つ全ての選択から無作為抽出した372個のコロニーに対してELISAを行い、ストレプトアビジン結合能を有するファージミド(pAffi1)インサートを排除した。無作為抽出したコロニー由来の細胞溶解産物を、事前にブロッキングした(2%粉乳を補充したPBST)96ウェルストレプトアビジンコートプレート(Nunc transparent,c96,236001)において室温で1.5時間インキュベートした。一次抗体としてウサギIgG全抗ポリペプチド特異的(pan−anti−polypeptide−specific)バインダー(1.5時間、室温、絶えず震盪)を、二次抗体としてウサギ免疫グロブリン−HRPを使用した(P0448 Daco Cytomatation;1時間、室温、絶えず震盪)。基質溶液(Immunopure TMB;Pierce)の添加後に、Tecan Sunrise分光光度計を用いてA405nmの吸光度を測定した。
【0088】
DNA配列決定
ファージミド(pAffi1)インサートのDNA配列決定を、第4ラウンドのパニング由来の非ストレプトアビジン結合クローン(64クローンは第1選択および第2選択由来であり32クローンは第3選択および第4選択由来であった)に対して行った。特異的なプライマーおよびBig Dyeターミネーター(Amersham Biosciences,Uppsala,Sweden)を使用し、SangerフラグメントをDNAシーケンサーABI prism 3700 Analyzer(Applied Biosystems,Foster City,CA)において分析した。サブクローニングしたDNAフラグメントを同じ手順で検証した。
【0089】
アンバー終止コドンを有する配列(3個)、一つ以上のシステインを有する配列(1個)、および他の標的に対する選択において見出された配列(3個)を排除した後、さらなる調査のために10個の配列を選択した。これらのポリペプチドバインダーの各アミノ鎖配列を図1に示し、配列番号164〜173として配列表に開示する。これらのバリアントの推定EGFR結合モチーフを配列番号1〜10に示す。選択されたバリアントの配列は図2Aにも示してある。特に、図2Aにおいては、「野生型」Zドメインに対応するアミノ酸配列を、EGFR−ECDに対して選択された10個の異なるポリペプチドバインダーの推定アミノ酸配列に整列させており、その図および本明細書中の他所において使用した破線は、「野生型」配列内の対応するアミノ酸と同一のアミノ酸を表す。13個の無作為化されたアミノ酸残基(Q9、Q10、N11、F13、Y14、L17、H18、E24、E25、R27、N28、Q32、K35)が示されている。1つ以上のバリアントにおいて同じ位置に現われたアミノ酸残基を太字で示す。水平線は、アミノ酸の一致を示す。図右側には、372個のコロニーのDNA配列決定において各ポリペプチドバインダーが検出された回数を示してある。野生型Zドメインにおける3つのα−ヘリックスを囲んでいる。
【0090】
図2Bおよび図2Cはさらに、本発明のポリペプチドバインダーにおけるアミノ酸置換の特徴を示す。疎水性/親水性との関係での「中性」は、相対的に疎水性でも親水性でもないアミノ酸を意味する。
【0091】
図2Dは、最初に決定したポリペプチドバインダーの改善のための成熟ストラテジーを示す。これに関連して、9、10、11、13、および14位の残基は重要性が低いため置換に供し、一方17および18位についてはアスパラギンおよびアルギニンが特に好ましいが、技術的理由で好まれ得るセリンおよびヒスチジンもまた、コドンの類似性の結果として生成され結合に使用され得る。35位においては、バリンおよびセリンが好ましいが、技術的な理由ではロイシンおよびアラニンもまた特に選択され得る。24、25、27、28、および32位については、それぞれアミノ酸G、W、M、T、およびAが企図されるが、この分子のEGFR結合能を保持する単一置換もまた、これらの部位のいずれかにおいて可能であり得る。
【0092】
DNA構築物
異なるEGFRポリペプチドバインダーをコードするDNAフラグメントを発現ベクターpAY442およびpAY430にサブクローニングした。このフラグメントを、3'および5'の両方にAccI部位を導入する特異的プライマーを用いてpAffi1ベクターから増幅し、予め同じ酵素で切断しておいたpAY442およびpAY430ベクターにライゲートし、ウシ腸アルカリホスファターゼ(CIAP;Fermentas)を用いて脱リン酸化した。増幅したDNAフラグメントをQIAuick PCR Purification Kit(Qiagen GmbH,Hilden,Germany)を用いて精製し、T4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)を用いるライゲーションの前にハイブリダイズさせた。このライゲーションにより、固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィ(IMAC)による精製のためにN末端His6タグに融合された異なるポリペプチドバインダーをコードするpAY442−ZEGFR:noおよびpAY430−ZEGFR:noと命名された発現ベクターを得た。全てのプラスミドの調製は、形質転換した大腸菌細胞を一晩培養した後、QIAprep Spin Miniprep Kit(Qiagen GmbH)を製造元の指示に従い用いて行った。
【0093】
タンパク質の生成および精製
選択されたポリペプチドバインダーを、大腸菌BL21(DE3)株においてpAY442およびpAY430プラスミドからHis6−タグ融合タンパク質として発現させた。
【0094】
50mg/lカナマイシンを含むTSB培地(30g/lトリプティックソイブロス)5mlに細胞を接種し、ディープウェルプレート中、約150rpm、37℃で一晩培養した。5g/l酵母エキスおよび50mg/lカナマイシンを補充した新鮮なTSB(5ml)に、オーバーナイトカルチャー20μlを接種して細胞を37℃で4時間培養し、終濃度が1mMになるまでイソプロピルβ−D−チオガラクトシド(IPTG)を加えることによって遺伝子の発現を誘導した。25℃で一晩培養した後、細胞を遠心分離(10000g、10分間)により収集し、凍結解凍法(−80℃、40分間)により溶解させた。次いで、細胞ペレットを尿素緩衝液(8M、pH8.0)に再懸濁させた。His6−ZEGFR融合タンパク質は、BR3000ロボットを用いて、変性条件下のNi−NTA Superflowカラム(Qiagen)におけるIMAC精製により回収した。結合したタンパク質を低pH尿素緩衝液(8M、pH4.5)で溶出させ、精製した融合タンパク質の再生は、NAP(商標)−5サイズ排除クロマトグラフィカラム(Amersham Biosciences)において緩衝液をHBS(10mM HEPES、150mM NaCl、3.4mM EDTA、0.005%サーファクタントP20、pH7.4)に交換することによって行った。そのポリペプチドのタンパク質濃度は、各タンパク質に適した消衰係数を用いて、280nmにおける吸光度測定値から算出した。この精製されたポリペプチドをさらに、Phast系(Amersham Biosciences,Uppsala,Sweden)を用いるPhastgel(商標)Homogenous 20%ゲルにおけるSDS−PAGEによる分析した。選択されたZEGFRバリアントのタンパク質濃度もまた、アミノ酸分析により決定した(Aminosyraanalyscentralen,Uppsala,Sweden)。
【0095】
図3は、発現されIMAC精製されたEGFR結合ポリペプチドHis6−ZEGFR:942(レーン1)、His6−ZEGFR:948(レーン2)、His6−ZEGFR:955(レーン3)、His6−(ZEGFR:9422(レーン4)、His6−(ZEGFR:9482(レーン5)、およびHis6−(ZEGFR:9552(レーン6)のSDS−PAGE分析を示す。レーンMはマーカータンパク質であり、分子量はキロダルトンで示す。
【0096】
バイオセンサー分析
選択されたポリペプチドバインダーと標的タンパク質の間のリアルタイム生体分子間特異的相互作用(real−time biospecific interaction)(BIA)に関しては、BIAcore(登録商標)2000機器(Biacore AB,Uppsala,Sweden)を使用した。EGFR−ECD(10mM NaAc、pH4.5に希釈)を、製造元の指示に従い、アミンカップリングによって、CM5センサーチップ(Biacore)の一つのフローセル表面のカルボキシル化デキストラン層に固定(約2600RU)した。別のフローセル表面を、参照表面として使用するために活性化および不活性化し、HER2−ECDおよびヒトIgG(Amersham Biosciences,Uppsala,Sweden)を、ネガティブコントロールとして使用するため、別のCM5センサーチップのフローセル表面に固定した。試験中の全てのポリペプチドバインダーのサンプルを、泳動緩衝液HBS(10mM HEPES、150mM NaCl、3.4mM EDTA、0.005%サーファクタントP20、pH7.4)に希釈し、濾過(0.45μm;Millipore,Billerica,MA)した後に25℃で結合アッセイを行った。第一実験においては、試験中の各ポリペプチドバインダー約1μM(HBSに希釈)を、全ての表面に対して20μl/分の流速で注入した。EGFRに対する親和性を有さない無関係の53アミノ酸ポリペプチドバインダーをネガティブコントロールとして使用し、ポジティブコントロールとして天然リガンドhEGF(Chemicon International,Temecula,CA,USA)および市販のモノクローナル抗体セツキシマブ(MERCK Darmstadt,Germany)も注入した。第二実験においては、単量体His6−ZEGFRおよび二量体His6−(ZEGFR2ポリペプチドバインダーを速度分析に供し、このタンパク質を0.00625μM〜12.8μMの範囲の濃度、30μl/分の流速でEGFR−ECD表面に注入した。解離平衡定数(KD)、結合速度定数(ka)、および解離速度定数(kD)は、1対1の結合を前提としてBIAevaluation 3.2ソフトウェア(Biacore)を用いて算出した。第二実験については、サンプルを無作為順に二連で泳動し、各々の注入後に10mM HClを注入することによってフローセルを再生させた。バイオセンサーランキング分析の結果を表1および図4に示す。表1では、BIAcoreにおけるバイオセンサー分析による、一価および二価のEGFR−ECD結合ポリペプチドバインダーの速度パラメータの比較を行っている。二量体EGFR結合ポリペプチド構築物は、以前にSteffen et al Cancer Biother.& Radiopharmaceuticals,20,239−248に記載されたように遺伝子複製ストラテジーを通じて作製し、生成および親和性精製を行った。追加のポリペプチド、ZEGFR:1239(ZEGFR:955の配列類縁体として同定した)は、追加のクローンの配列決定後に加え、その単量体としての能力に関するデータを開示している。4つのHis6−ZEGFRポリペプチドバインダーは、解離平衡定数から、以下のような親和性ランクになった:His6−ZEGFR:1239 < His6−ZEGFR:955 < His6−ZEGFR:948 < His6−ZEGFR:942
【0097】
【表1】

【0098】
このインビトロ結合分析からは、4つ全てのEGFR結合ポリペプチドがかなり高い親和性でEGFRに結合したこと、およびそれらは結合速度論的特性において程度相違することが確認できる。
【0099】
図4Aは、精製されたHis6−(ZEGFR:9422(四角)、His6−(ZEGFR:9482(三角)、およびHis6(ZEGFR:9552(丸)バリアントをアミン結合型EGFR−ECD(黒塗りの四角/三角/丸)またはHER2−ECD(白塗りの四角/三角/丸)を含むセンサーチップフローセル表面に注入した後に得られたセンサーグラムの結果を示す。これは、三つのHis6−ZEGFRバリアント(His6−ZEGFR:942、His6−ZEGFR:948、およびHis6−ZEGFR:955)がEGFR−ECDを固定したフローセル表面に特異的に結合するが、HER2−ECDを固定したフローセル表面に対する結合は見られないことを示している。
【0100】
図4Bは、一価(薄い線)および二価(濃い線)のEGFR結合ポリペプチドをEGFR−ECDフローセル表面に注入した後に得られたセンサーグラムの結果を示す。このダイアグラムは、一価と二価のEGFR結合ポリペプチドの間でオフレート(off−rate)の違いが示された三つの候補バインダーを示しており、アビディティ効果による見かけ上の親和性の向上が主に第二世代クローンにおいてより遅いオフレートを獲得することによって達成されたことを証明している。
【0101】
細胞培養
以下のフルオロフォア標識FACSおよび共焦点顕微鏡研究のために、細胞あたり約2×106のEGFRを発現することが公知のヒト上皮癌細胞A431(European Collection of Cell Cultures,Wiltshire,UK)を、10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、1%非必須アミノ酸、および1%抗生剤−抗真菌剤、全てGibco(Invitrogen AB)製、を補充したEMEM培地を含む補完培地(complemented medium)中で培養した。この細胞を、5% CO2を含む加湿空気下、37℃で培養した。
【0102】
フルオロフォア標識
His6−(ZEGFR:9422、His6−(ZEGFR:9482、およびHis6−(ZEGFR:9552ポリペプチドバインダーを、Oregon Green(登録商標)488マレイミド(Molecular Probes)を用いて、(C末端に)導入したシステインに対して直接標識した。およそ1mgのHis6−(ZEGFR2ポリペプチドバインダーをPBSに再懸濁し、37℃で45分間、20mM DTTで還元した。余分なDTTは、PBSで平衡化したNAP(商標)−5サイズ排除カラム(Amersham Biosciences)によって除去した。Oregon Green 488マレイミドの10mM溶液を20倍モル過剰加え、室温で2時間、暗所にて継続的に震盪させた。PBSに対して十分な透析を行い過剰なフルオロフォアを除去した。試験中のフルオロフォア標識ポリペプチドバインダーの濃度および標識率を、製造元のプロトコルに従い280および496nmにおける吸光度測定値を用いる計算により確認した。標識ポリペプチドバインダーは、Phast系(Amersham Biosciences)を用いるSDS−PAGE Phastgel(商標)Homogenous 20%ゲルによっても分析した。
【0103】
FACS
FACS Vantage SEストリーム−イン−エアフローサイトメトリー機器(BD Biosciences,San Jose,CA,USA)を用いてフローサイトメトリー分析を行った。レーザーは、488nm用フローサイトメトリーアラインメントビーズ(Molecular Probes,Leiden,The Netherlands)を用いてアラインメントを行った。サンプルには、空冷アルゴンレーザー(488nm)を照射した。10000細胞からの蛍光、前方散乱光、および側方散乱光をおよそ300イベント s-1の速度で検出した。フローサイトメトリーデータは、CellQuestソフトウェア(BD Biosciences)を用いて分析した。フローサイトメトリー分析の前に、およそ実験3日前にペトリ皿に播種した細胞をトリプシン処理した(0.25%トリプシン、37℃、10分間)。この細胞を遠心分離(582g、3分間)し、そのペレットをPBS+1% BSAに再懸濁し、96ウェルプレートにて1ウェルあたり約300000細胞のアリコートに分けた。この細胞を、10μg/mlフルオロフォア標識His6−(ZEGFR2ポリペプチドバインダーと共に氷上で約30分間インキュベートした。遠心分離およびPBS+1% BSAによる洗浄後、細胞ペレットを300μl PBS+1% BSAに再懸濁し、フローサイトメトリー分析に供した。EGFRに対する結合能を有さない類似の(His6タグ型二量体構築物)ポリペプチドをネガティブコントロールとして使用した。
【0104】
これらの研究の結果を図5に示す。具体的には、図5は、A431細胞上のネイティブEGFRに対する3つの候補バインダー(His6−(ZEGFR:9422、His6−(ZEGFR:9482、His6−(ZEGFR:9552)に対する親和性のランキングを示すフローサイトメトリー分析を示す。ネガティブコントロールとして使用した無関係のZバリアント分子(白色)はヒストグラムの最も左に位置した。次に3つのZEGFRバインダーは、His6−(ZEGFR:9422(薄灰色)<His6−(ZEGFR:9482(灰色)<His6−(ZEGFR:9552(黒色)の順で位置した。これらのデータは、ZEGFR:955が、BIAcoreにおいては幾分乏しい親和性であったにも関わらず、このアッセイは細胞上のネイティブEGFRへの結合に基づくものであるために、3つの中で最良の候補であり得ることを示唆している。
【0105】
共焦点顕微鏡
実験前日に、30mmペトリ皿あたりおよそ300000個のA431細胞を播種した。試験中のHis6−(ZEGFR:9422、His6−(ZEGFR:9482、およびHis6−(ZEGFR:9552ポリペプチドバインダーを、完全EMEM培地中およそ10μg/mlとなるよう希釈し、別のペトリ皿に入れ、37℃で2時間、暗所にてインキュベートした。試験中の3つのポリペプチドバインダーはまた、上記と同様に無血清EMEM培地に希釈し、別のペトリ皿に入れ、氷上で1時間、暗所にてインキュベートした。インキュベーション後、細胞を通常の培地で一回洗浄し、共焦点顕微鏡(LSM 5 Pascal;Zeiss)を用いる画像分析のために少量の培地を加えた。細胞の厚みを網羅するよう連続スキャンを行い、細胞の中央に対応するスキャンを選択した。ネガティブコントロールとして、EGFRに対する親和性を有さない類似ポリペプチドを同じ方法で分析した。
【0106】
共焦点顕微鏡の結果を図6に示す。具体的には、図6は、Oregon Green標識His6−ZEGFRポリペプチドに、A)氷上で1時間およびB)37℃で2時間暴露したA431細胞の共焦点顕微鏡画像を示す。左から右に向かって、His6-(ZEGFR:9422、His6-(ZEGFR:9482、およびHis6-(ZEFGR:9552で、(A)においては細胞膜に結合したものおよび(B)においては細胞内に取り込まれたものが見られる。この結果は、3つのEGFR結合ポリペプチドが、予想通り、細胞膜に結合するようであること、および37℃においては細胞内取込みが起こるようであることを実証している。
【0107】
細胞培養
以下の放射能標識、特異性および飽和研究のために、細胞を、75cm2培養ボトルおよび24ウェルプレート(Nunclon surface,Denmark)において培養した。標識法には、125I(Amersham Biosciences,Uppsala,Sweden)、酢酸(Merck Darmstadt,Germany)、クロラミン−T(Sigma,USA)、メタ重亜硫酸ナトリウム(Aldrich,USA)、およびN−スクシニミジル−4−[トリ−メチルスタンニル]ベンゾエート(当研究室にて合成)を使用した。NAP−5カラム(Sephadex G−25,Amersham Biosciences,Uppsala,Sweden)をゲル濾過に利用した。細胞をトリプシン−EDTA(0.25/0.02%)(Biochrom Kg)によって引き離し、セルカウンター(Beckman Coulter Z2,Fullerton,CA,USA)で計数した。放射活性は、ガンマカウンター(1480 Wizard,Wallac Oy,Turku,Finland)で測定した。EGFRリッチな扁平上皮癌細胞A431株(ATCC,CLR 1555,Rocksville,MD,USA)を使用した。細胞を、L−グルタミン(2mM Biochrom Kg,Berlin,Germany)、PEST(ペニシリン100IU/mlおよびストレプトマイシン100μg/ml)、および10%ウシ胎仔血清(Biochrom Kg)を補充したHam's F−10培地(「完全培地」)中で培養した。細胞を、5% CO2で平衡化した加湿空気を含む37℃のインキュベーター内で培養した。
【0108】
放射能標識
ポリペプチドバインダーZEGFR:942、ZEGFR:948、およびZEFGR:955の二量体を、N−スクシニミジル基を通じて間接的に125I標識した。酢酸(2μl、milli−Q中0.1%酢酸)およびN−スクシニミジル−4−[トリ−メチルスタンニル]ベンゾエート(5μl、メタノール中5%酢酸)を125I(15 MBq)に加えた。10μlクロラミン−Tを加えることによってN−スクシニミジル−4−[トリ−メチルスタンニル]ベンゾエートにヨウ素を結合させた。次いで、この溶液を30秒間再懸濁し、室温で5分間さらにインキュベートした。反応を停止するため、メタ重亜硫酸ナトリウム15μlを添加した。このポリペプチドバインダーをホウ酸緩衝液に希釈し、ヨウ素溶液を加え、追加のホウ酸緩衝液を加えて総量150μlとし、この溶液を30分間インキュベートした。標識ポリペプチドバインダーバインダーを低分子量化合物から分離するため、PBSで平衡化させたNAP−5カラムを使用した。
【0109】
特異性試験
A431細胞を24ウェルプレートで培養し、無血清Ham's F−10培地で一回洗浄した。試験する3つの二量体ポリペプチドバインダーを125Iで標識し、利用可能な受容体数に関しておよそ10:1のモル過剰で細胞に加え、37℃で4時間インキュベートした。いくつかのウェルにおいては、非特異的結合を測定するため、無関係のポリペプチドバインダー(およそ500:1モル過剰)を、[125I]ポリペプチドバインダーと共に加えた。EGF(およそ200:1モル過剰)およびセツキシマブ(500:1モル過剰)も、このポリペプチドバインダーがEGFおよびセツキシマブと同じ結合部位を有するかどうかを調査するためであるが、同じ方法で使用した。次いで細胞を無血清Ham's F−10培地で6回洗浄し、0.5mlトリプシン−EDTAを加えることによって引き離し、37℃で30分間または細胞が引き離されるまでインキュベートした。Ham's F−10完全培地1mlを加え、細胞を再懸濁した。いくつかのウェルにおいては、0.5ml懸濁物を使用して細胞を計数した。放射活性(計数した細胞について、それぞれ、1.5mlおよび1ml)はガンマカウンターで測定した。
【0110】
その結果を図7に示す。具体的には、図7には、[125I](Z00942)2(42*)、[125I](Z00948)2(48*)、および[125I](Z00955)2(55*)の細胞結合が示されている。これらのデータは、BIAcore分析においては(ZEGFR:9422が最高の親和性を示すという事実があるにも関わらず、ZEFGR:955が細胞上のネイティブEGFRの最良のバインダーのようであり、ZEGFR:948およびZEGFR:942がそれに続くということを示した、これらのバインダーの以前のFACSランキングからの予想外の結果を支持するものである。さらに、3つのEGFR結合ポリペプチド構築物は、重複するエピトープに結合するようである。さらに、これらは全て、天然リガンドEFGおよびモノクローナル抗体セツキシマブと同じ結合部位で競合するようである。
【0111】
飽和アッセイ
親和性定数を決定するため、ポリペプチドバインダーの結合の飽和を測定した。EGFRリッチな細胞株であるA431を24ウェルプレートにて培養した。細胞を氷上で維持し、冷やした無血清Ham's F−10培地で一回洗浄した。125I標識ポリペプチド二量体バインダーの連続希釈物を調製し、およそ10:1モル過剰で細胞に加えた。この細胞を、インキュベーターからの空気を細胞プレートと共にプラスチックバッグ内に捕捉する環境下、氷上でゆっくり動かしながら4時間インキュベートした。非特異的結合の概算のために、各濃度ごとに、およそ300:1モル過剰で非標識ポリペプチドバインダーを含むブロックコントロールを作製した。次いで、細胞を冷やしたHam's F10無血清培地で6回洗浄し、0.5mlトリプシン−EDTAを加えることによって細胞を引き離し、37℃で30分間または細胞が引き離されるまでインキュベートした。Ham's F−10完全培地1mlを加え、細胞を再懸濁した。いくつかのウェルにおいては、0.5ml懸濁物を使用して細胞を計数した。放射活性はガンマカウンターで測定した。これらのデータをGraphPad Prism 4で分析した。
【0112】
その結果を図8に示す。具体的には、図8には、[125I]Z00942(A)、[125I]Z00948(B)、および[125I]Z00955(C)の飽和研究の結果が示されている。3つの値の平均値および標準偏差が示されている。
【0113】
実施例2
本発明に従うEGFR結合ポリペプチドの二次選択
材料および方法
菌株およびベクター
アンバーサブレッサー大腸菌RRIΔM15株(Ruether,U.(1982)Nucleic Acids Res.10,5765−72)を、ライブラリの構築のために、ファージの産生およびクローニング手順のための宿主細胞として使用した。ファージミドベクターpAffi1をライブラリの構築に使用し、これについては他の文献に記載されている(Groenwall C,Jonsson A,Lindstroem S,Gunneriusson E,Stahl S,Herne N:“Selection and characterization of Affibody ligands binding to Alzheimer amyloid beta peptides”,J.Biotechnol.(2006)in press,Epub 27 Sep 2006)。選択されたクローンのファージミドインサートは、カナマイシン耐性を付与する遺伝子と共に、T7プロモーター(Studier et al.,(1990)Methods Enzymol.185,60−89)、ヘキサヒスチジル(His6)タグをコードするDNAフラグメント、およびマルチクローニングサイトを含む発現ベクターpAY442にサブクローニングした。大腸菌BL21(DE3)株(Novagen,Madison,WI)を、発現ベクターからのタンパク質産生に使用した。
【0114】
二次ファージミドライブラリの構築
親和性成熟のストラテジーは、EGFR結合分子の一次選択からの4つの配列のアラインメント(実施例1、図2)に基づき決定した。二次ライブラリは、プロテインZのヘリックス1および2をコードする、特定の縮重コドンを含む単一の129ヌクレオチドテンプレートオリゴヌクレオチド(5' ctc gag gta gac aac aaa ttc aac aaa gaa nnk nnk nnk gcg nnk nnk gag atc mry mry tta cct aac tta aac ggt tgg caa atg acc gcc ttc atc gcg agt tta kyt gat gac cca agc caa agc 3')からのPCR増幅により作製した。この遺伝子フラグメントを、95の並行して行う反応の各々についてのテンプレートオリゴヌクレオチド1pmolと共に、フォワードプライマー5'−cccccccccctcgaggtagacaacaaattcaa−3'(下線はXhoI部位)およびリバースプライマー5'−cccccctgctagcaagttagcgctttggcttgggtcatc−3'(下線はNheI部位)を用いて増幅した。増幅は、AmpliTaq Goldポリメラーゼ(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用い、15サイクル(96℃で15秒、60℃で15秒、および72℃で1分)で行い、これをプールし、QIAquick PCR精製キット(Qiagen,Hilden,Germany)を用いて精製し、XhoI/NheIで消化し、そしてプロテインZの第三の非異型(nonvariegated)のαヘリックスをコードするXhoI/NheI消化したファージミドベクターpAffi1にライゲートした。ライゲートしたライブラリベクターを、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:21 v/v)(Invitrogen)で抽出した。2500V、125Ω、および50μFのECM 630セット(BTX,Genetronics)において、0.2cmギャップサイズのキュベットを用いて、エレクトロコンピテントな大腸菌RRIΔM15細胞を、30アリコートのライゲート物質により形質転換した。細胞を、SOC培地(1%グルコース、10mmol/l MgCl2、10mmol/l MgSO4、10mmol/l NaCl、および2.5mmol/l KClを補充したトリプトンソイブロス(TSB)+酵母エキス(YE))中、37℃で約1時間培養し、各々2%グルコースおよび25μg/mlカルベニシリンを補充したTSB 1lを含む6つのエルレンマイヤーフラスコに移し、37℃で一晩培養した。この細胞を6000gで遠心分離(15分間、4℃)し、およそ20%グリセロールの終濃度になるようPBS/グリセロール溶液に再懸濁し、アリコートに分け、そして−80℃で保存した。
【0115】
ファージ選択手順
約100kDaのEGFRの組換え細胞外ドメイン(EGFR−ECDと表記する)を、選択時の標的タンパク質として使用した(1095−ER;R&D Systems)。EGFR−ECDを、EZ−LinkTM−Sulfo−NHS−LC−LC−Biotin(Pierce,Rockford,IL,USA)を用いてインビトロでビオチニル化した。20倍モル過剰のビオチンを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS;10mMリン酸、137mM NaCl、pH7.2)中のEGFR−ECDに加え、この混合物を室温(RT)で1時間インキュベートした後、PBSに対して4℃で一晩(ON)十分な透析を行い、余分なビオチンを除去した。
【0116】
ライブラリからのおよび選択間のファージストックの調製は、以前に記載された手順(Nord,K et al.,(1997)Nat.Biotechnol.,15,772−777;Hansson et al.,(1999)Immunotechnology,4,237−252)に従い、ヘルパーファージM13K07(New England Biolabs,Beverly,MA,USA)を用いて行った。PEG/NaCl沈降により、約1013ファージ形成単位(pfu)/mlのファージ価を得た。選択は溶液中で行い、結合したファージをストレプトアビジンコートした常磁性ビーズ(Dynabeads M−280 Streptavidin;Dynal,Oslo,Norway)で捕捉した。非特異的なバインダーを回避するため、全てのチューブを、5%ウシ血清アルブミンを補充したPBST(PBS中0.1% Tween−20)(PBST−5% BSA)で事前に処理しておいた。さらにストレプトアビジンコートした常磁性ビーズ上に存在するストレプトアビジンに対するバインダーを回避するため、選択の最初の2ラウンドにおいてファージストックを含むPBST−3% BSA約1mlを、0.2mgのビーズと共にプレインキュベートした(30分、上下逆さ回転)。
【0117】
標的濃度100nMから始める4ラウンドのバイオパニングは以下の通りに行った。第1ラウンドにおいて、およそ1012 pfuを含むライブラリのアリコートを、PBST−3% BSA中100nMのビオチニル化EGFR−ECD 1ml中、継続的に回転させながらRTで1時間、その後に4℃で約72時間インキュベートした。第2ラウンドについては50nM、および第3ラウンドについては1nMのビオチニル化EGFR−ECDをそれぞれ含むPBST−3% BSA 1mlを、前のラウンドからのファージストックの一部と共にインキュベートした(1時間、RT、連続的に上下逆さ回転)。結合したファージを、ストレプトアビジンコートしたM−280 Dynabeadsと共に15分間インキュベート(RT、連続的に上下逆さ回転)することによって捕捉した。SDS−PAGE分析によって予め決定した(データは示さず)、ビーズ1mgあたり約2μgの標的タンパク質を固定できる量のビーズを加えた。第4ラウンドにおいては、以下の表2に詳述されるような、6つの若干異なる選択プロトコルを行った。プロトコル4−Aおよび4−Bにおいては、それぞれ、0.01nMおよび0.1nMのビオチニル化EGFR−ECDを、前のラウンドからのファージストックの一部と共にRTで2時間インキュベートした後、100倍過剰のEGFR−ECDと共にRTで1時間インキュベートし、ストレプトアビジンコートビーズと共に15分間インキュベートすることによって結合したファージを捕捉し、18回洗浄し、100倍過剰の第一世代EGFRバインダーZ00942、Z00948、およびZ00955(実施例1)と共にRTで1時間インキュベートし、最後に2回洗浄した。プトロコル4−Cにおいては、0.5nMのビオチニル化EGFR−ECDを、前のラウンドからのファージストックの一部と共にRTで2時間インキュベートした後、ストレプトアビジンコートビーズと共に15分間インキュベートすることによって結合したファージを捕捉し、18回洗浄し、100倍過剰の第一世代EGFRバインダーと共にRTで1時間インキュベートし、最後に2回洗浄した。プトロコル4−Dおよび4−Eにおいては、それぞれ、0.1および0.5nMのビオチニル化EGFR−ECDを、前のラウンドからのファージストックの一部と共に37℃で2時間インキュベートした後、100倍過剰のEGFR−ECDと共に37℃で1時間インキュベートし、ストレプトアビジンコートビーズと共に15分間インキュベートすることによって結合したファージを捕捉し、18回洗浄し、100倍過剰の第一世代EGFRバインダーと共に37℃で1時間インキュベートし、最後に2回洗浄した。プトロコル4−Fにおいては、0.1nMのビオチニル化EGFR−ECDを、前のラウンドからのファージストックの一部と共にRTで2時間インキュベートした後、ストレプトアビジンコートビーズと共に15分間インキュベートすることによって結合したファージを捕捉し、20回洗浄した。洗浄工程の回数は、選択手順の間20回洗浄で固定し、PBSTを用いた最後の洗浄を除く全ての洗浄工程において、PBST−3% BSA中で行った。ファージを50mMグリシン−HCl(pH2.1)500μlを用いて10分間溶出させ、次いで直ちに50μlの1M Tris−HCl、pH8.0および450μl PBSを加えることによって中性にした。溶出したファージを使用して、37℃で30分間、対数増殖期のRRIΔM15細胞を感染させた。感染細胞懸濁物を、2%グルコースおよび100mg/lアンピシリンを補充したTYE寒天プレート(15g/l寒天、3g/l NaCl、10g/lトリプトン、および5g/l酵母エキス)に塗布し、37℃で一晩インキュベートした。成長したコロニーを、5g/l酵母エキス、2%グルコース、および100mg/mlアンピシリンを補充したトリプティックソイブロス(TSB、30g/l;Merck,Darmstadt,Germany)への再懸濁により回収し、フラクション(溶出後のファージ価と比較して約500倍過剰の細胞)を接種に使用し、次世代のファージストックを得た。ファージミド粒子を、ヘルパーファージM13K07を用いて感染細胞から回収し、精製し、PGE沈降によって濃縮した。選択プロセスは、各選択前および溶出後のファージストックを滴定することによって監視した。RTで5分間、ファージの連続希釈物で対数増殖期のRRIΔM15細胞を感染させた後、2%グルコースおよび100mg/lアンピシリンを補充したTYE寒天プレートにプレーティングし、37℃でONした。
【0118】
【表2】

【0119】
第二世代バインダーのELISAベースのランキング
単一のコロニーを、ディープウェルプレート(Nunc, Roskilde, Denmark)中の、100μmol/lイソプロピル−L−チオ−β−D−ガラクトピラノシド(IPTG)および100μg/mlアンピシリンを補充した1ml TSB−YE培地に接種し、37℃で一晩培養した。3000gで10分間の遠心分離により細胞をペレット化した。このペレットを300μl PBSTに再懸濁し、−80℃で一晩凍結させた。このサンプルを解凍し、3500gで20分間遠心分離した。ABDタグが付加されたZバリアント分子を含む上清(100μl)を、4℃でON、15mmol/l Na2CO3および35mmol/l NaHCO3(pH9.6)中6μg/mlのHAS(A−3782;Sigma)で予めコーティングしておいたマイクロタイターウェルに移し、RTで1時間、PBST中2%脱脂粉乳でブロッキングした(絶えず震盪)。このプレートをPBSTで4回洗浄した後、ウェルあたり8.4μg/mlビオチニル化EGFR−ECD 50μlを加え、1.5時間インキュベートした。ウェルをPBSTで4回洗浄した後、ウェルあたり50μlのストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ(1:5000,DAKO Cytomation, Denmark)を加え、1時間インキュベートした。このウェルを4回洗浄し、各ウェルに現像溶液ImmunoPure TMB基質キット(Pierce)50μlを加えた。30分後、各ウェルに反応停止溶液(2M H2SO4)100μlを加えた。Tecan Sunrise分光光度計を用いて450nmにおける吸光度を測定した。
【0120】
DNA配列決定および配列クラスタリング
ファージミド(pAffi1)インサートのDNA配列決定は、第4ラウンドのパニング由来の187個のEGFR結合クローンにおいて行った。特異的なプライマーおよびBig Dyeターミネーター(Amersham Biosciences,Uppsala,Sweden)を使用し、Sangerフラグメントを、DNAシーケンサーABI PRISM(登録商標) 3100 Genetic Analyzer(Applied Biosystems,Foster City,CA,USA)において分析した。サブクローニングしたDNAフラグメントを同じ手順で検証した。EGFR結合ポリペプチドの配列は、Orlova et al.(Cancer Res.66,4339−48(2006))によりより詳細に記載されているいわゆる平均連結階層クラスター法(average−link hierarchical clustering method)を用いてクラスター化した。
【0121】
前節に記載されたELISAスクリーンにおいてEGFRに対する結合性を示した候補ポリペプチドの推定アミノ酸配列は、本発明に従うEGFR結合ポリペプチドの例である。これらを図1においておよび配列表において配列番号174〜309として示す。各々のこのような結合ポリペプチドの対応するEGFR結合モチーフの配列は、図1においておよび配列表において配列番号11〜146として示す。
【0122】
BiacoreによるEGFR結合ポリペプチドのスクリーニング
ELISA用に調製したファージpAffiベクターから生成されたABDタグが付加されたZバリアントを含む細胞上清を、バイオセンサー分析にも供した。ELISAにより良好な結合性が示された54個のクローン由来の上清を、Biacore(登録商標)2000機器におけるリアルタイム生体分子間特異的相互作用により分析した。標的タンパク質EGFR−ECD(10mM NaAc、pH4.5に希釈)を、製造元の指示に従い、アミンカップリングによって、CM5センサーチップ(Biacore)の一つのフローセル表面のカルボキシル化デキストラン層に固定(約1200RU)した。別のフローセル表面を、参照表面として使用するために活性化および不活性化し、HSAを、発現されたABDタグZバリアントの量のコントロールとして使用するため、別のCM5センサーチップのフローセル表面に固定した。実施例1の第一世代EGFRバインダー(Z00955)2も、コントロールとして泳動した。
【0123】
DNA構築物
異なる第二世代EGFR結合性Zバリアント(ZEGFR)のバリアントをコードするDNAフラグメントを発現ベクターpAY442にサブクローニングした。このフラグメントを、3'および5'の両方にAccIオーバーハングを導入する特異的プライマーを用いてpAffi1ベクターから増幅し、予め同じ酵素で切断しておいたpAY442ベクターにライゲートし、ウシ腸アルカリホスファターゼ(CIAP;Fermentas,Ontario,Canada)を用いて脱リン酸化した。増幅したDNAフラグメントをQIAuick PCR Purification Kit(Qiagen GmbH,Hilden,Germany)を用いて精製し、T4 DNAリガーゼ(New England Biolabs,Ipswich,MA,USA)を用いるライゲーションの前にハイブリダイズさせた。このライゲーションにより、固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィ(IMAC)による精製のためにN末端His6タグに融合された異なるZバリアントを、T7プロモーターの制御下でコードする発現ベクターを得た。両方のベクターから、第二のZバリアントの遺伝子フラグメントをhead−to−tailで導入したEGFR結合性Zバリアントの二量体構築物を構築し、His6−(ZEGFR2バリアントを得た。全てのプラスミドの調製は、形質転換した大腸菌細胞を一晩培養した後、QIAprep Spin Miniprep Kit(Qiagen GmbH)を製造元の指示に従い用いて行った。
【0124】
タンパク質の発現および精製
選択されたEGFR結合性Zバリアントを、大腸菌BL21(DE3)株においてpAY442プラスミドからHis6−タグ融合タンパク質として発現させた。5g/l酵母(TSB+YE)および50mg/lカナマイシンを補充したTSB培地(30g/lトリプティックソイブロス)25mlに細胞を接種し、震盪フラスコ中、37℃で培養した。50mg/mlカナマイシンを含む新鮮なTSB+YEにプレカルチャーを接種してOD600を約0.06とし、バッチ発酵槽中、37℃で3時間培養し、終濃度が0.5mMになるまでイソプロピル−L−チオ−β−D−ガラクトピラノシド(IPTG;Apollo Scientific Ltd,Bradbury,UK)を加えることによって遺伝子の発現を誘導した。5時間の培養後、細胞を遠心分離(15000g、20分間)により収集した。細胞ペレットを一晩凍結し、解凍し、変性緩衝液(7M尿素、100mM NaH2PO4、10mM Tris−HCl、pH8.0)に再懸濁した。RTで30分間インキュベートした後、細胞を25000gで15分間遠心分離し、上清由来の変性タンパク質を変性緩衝液(7M尿素、100mM NaH2PO4、10mM Tris−HCl、pH6.3)に希釈し、Ni−NTA Superflowカラム(Qiagen)にアプライした。結合したタンパク質を、尿素緩衝液(8M尿素、100mM NaH2PO4、10mM Tris−HCl、pH4.5)で溶出させた。このタンパク質をPD−10カラム(GE Healthcare)にアプライし、PBS(pH7.4)で溶出させた。この単量体タンパク質を、以降、ZEGFR:no(pAY442ベクター)と称し、二量体タンパク質を(ZEGFR:no2(pAY442ベクター)と称する。タンパク質濃度は、各タンパク質に適した消衰係数を用いて、280nmにおける吸光度測定値から算出した。このタンパク質の純度および正確な分子量を確認するため、これらをSDS−PAGEゲル(NuPAGE 4−12% Bis−Tris Gel;Invitrogen)およびHPLC−MS(HPLC−MS 1100;Agilent Technologies)を用いて泳動させた。この精製タンパク質をCDによりさらに分析し、16個のEGFR結合性ZバリアントのCDスペクトルをJasco−810分光偏光計を用いて記録した。全ての構築物をPBSで希釈して終濃度を0.5mg/mlとし、各サンプル200μlを1mmキュベットに入れ、20℃、195〜250nmでスキャンした。熱安定性は、220nmの固定波長で、20〜90℃の温度勾配を適用することによって試験した。融点を、タンパク質の50%がアンフォールドする温度と定義し、熱アンフォールディングスペクトルから解析した。選択されたZEGFRバリアントのタンパク質濃度はまた、アミノ酸分析(Aminosyraanalyscentralen,Uppsala,Sweden)によっても決定した。
【0125】
Biacore分析
選択されたZバリアントと標的タンパク質の間のリアルタイム生体分子間特異的相互作用(BIA)のためにBiacore(登録商標)2000機器(Biacore AB,Uppsala,Sweden)を使用した。EGFR−ECD(10mM NaAc、pH4.5に希釈)を、製造元の指示に従い、アミンカップリングによって、CM5センサーチップ(Biacore)の一つのフローセル表面のカルボキシル化デキストラン層に固定(約2400RU)した。別のフローセル表面を、参照表面として使用するために活性化および不活性化し、HER2−ECD(Horak et al,(2005)Cancer Biother Radiopharm.20,603−13)(Greg Adams氏,Fox Chase Cancer Center,PAの御好意により拝受した)およびErbB3/Fc(R&D Systems,348−RB)を、ネガティブコントロールとして使用するため、別のCM5センサーチップのフローセル表面に固定した。全てのZバリアントサンプルを、泳動緩衝液HBS(10mM HEPES、150mM NaCl、3.4mM EDTA、0.005%サーファクタントP20、pH7.4)に希釈した後に25℃で結合アッセイを行った。第一実験においては、各Zバリアント500nM(HBSに希釈)を、全ての表面に対して30μl/分の流速で注入した。第一世代EGFR結合分子((ZEGFR:9552;実施例1)もまた、コントロールとして注入した。各々の注入後、10μlの10mM HClの注入によってフローセルを再生した。
【0126】
第二実験においては、5つの選択された単量体ZEGFRバリアントをさらに速度分析に供し、このタンパク質を6.25nM〜500nMの範囲の濃度、50μl/分の流速でEGFR−ECD表面に注入した。解離平衡定数(KD)、結合速度定数(ka)、および解離速度定数(kd)は、BIAevaluation 3.2ソフトウェア(Biaco
re)を用いて算出した。サンプルは二連で泳動し、各々の注入後に10μlの10mM HClを注入することによってフローセルを再生させた。
【0127】
免疫蛍光染色
European collection of cell cultures(www.ecacc.org.uk)から入手したA431細胞株を、提供元により推奨された培地中、5%CO2環境下、37℃で培養した。この培地は、この細胞株の提供元により推奨された濃度のウシ胎仔血清(FBS)を含むものであった(Sigma−Aldrich製)。サブコンフルエントな細胞をPBSで一回洗浄し、トリプシン/EDTA溶液(Cambrex)で引き離し、完全成長培地に再懸濁した。8ウェルのマルチウェルスライド(Histolab)の各ウェルあたりおよそ10000細胞を含む20μlを加え、一晩インキュベートした。翌朝に、細胞を、新しく調製したPBS中3%ホルムアルデヒドで15分間固定し、PBSで二回洗浄した。この細胞を20μl/ウェルのZバリアントHis6−Z01859、His6−Z01865、His6−Z01864、His6−Z01877、His6−Z01868、His6−Z01913、His6−Z01836、His6−(Z01907)2−Cys、およびHis6−(Z01953)2−Cys(2〜10μg/ml)で1時間、または1μg/mlマウス抗EGFR抗体(Abcam,no.ab30)で染色した。Zバリアントで染色したスライドをPBSで洗浄し、5μg/ml抗ヤギIgG Alexa Fluor 488(Molecular Probes)と混合したZに対するヤギ抗体(当研究室にて調製)と共に1時間インキュベートした。抗体で染色したスライドはPBSで洗浄し、ヤギ抗マウスIgG−Alexa Fluor 488(Molecular Probes)と共に1時間インキュベートした。この第二インキュベーション工程の後、スライドを再度PBSで洗浄した。この抗体スライドを、1μg/mlの濃度のDAPI(Molecular Probes)20μlで10〜20秒間対比染色し、再度洗浄した。全てのスライドを乾燥させて、退色防止試薬(Vector Laboratories)をマウントし、膜の蛍光を、Leica DCカメラ(Leica Microsystems)を装備したDM−LA顕微鏡を用いて分析した。画像は、IM1000ソフトウェア(Leica Microsystems)を用いて獲得した。
【0128】
免疫組織化学染色
A431異種移植組織を、以下に記載される生体内分布研究から獲得した。腫瘍を液体窒素中で瞬間凍結させ、Ljung CM3000全自動クリオスタット(Leica Microsystems)を用いて6μm厚の凍結切片を作製した。この切片を新しく調製したPBS中3%ホルムアルデヒドで15分間固定し、PBSで二回洗浄した。この切片を、5μg/mlの濃度のHis6−(Z01864)2−CysまたはHis6−Z01877で、1/40希釈、およそ6μg/mlのHis6−(Z01907)2−HRPまたはHis6−(Z01853)2−HRPで1時間染色した。His6−(Z01864)2−CysおよびHis6−Z01877を、Zに対するヤギ抗体(当研究室で調製)およびそれに続く5μg/mlウサギ抗ヤギHRPで検出した。ポジティブコントロールとして、一つのスライドを3μg/ml抗EGFR抗体(Abcam,no.ab2430)で染色し、洗浄し、ウサギEnvision HRP(Dako,no.K4002)で検出した。HRP染色サンプルをPBSで一回洗浄した後、DAB色素原基質(Dako Cytomation)と共に7分間インキュベートし、その後にPBSで洗浄し、Mayers HTX(Histolab)で20秒間対比染色した。スライドにMount−quick(Histolab)をマウントした。このスライドを、Leica DCカメラ(Leica Microsystems)を装備したDMLA顕微鏡で分析した。画像は、IM1000ソフトウェア(Leica Microsystems)を用いて獲得した。
【0129】
111In標識EGFR結合性Zバリアントの結合特異性および生体内分布
放射活性測定
放射活性は、3インチNaI(Tl)検出器を備える全自動ガンマカウンター(1480 WIZARD,Wallac Oy,Turku,Finland)を用いて測定した。ITLCストリップ上の放射活性の分布は、Cyclone(商標)Storage Phosphor Systemにおいて測定し、OptiQuant(商標)画像分析ソフトウェアを用いて分析した。
【0130】
p−SCN−ベンジル−DTPAとZバリアントの結合および複合体の111In標識
イソチオシアネート−ベンジル−DTPAとZEGFRバリアントの結合は、Mirzadeh et al.(Bioconjug Chem.1990;1:59−65)により記載された方法に従い、1:1のキレート剤 対 タンパク質のモル比を用いて行った。簡単に説明すると、ZバリアントのPBS溶液300μlを新しく調製した0.07Mホウ酸ナトリウム緩衝液、pH9.2中イソチオシアネート−ベンジル−DTPA溶液(1mg/ml)43μlと混合した。その総量を0.07Mホウ酸緩衝液(pH8.5〜9.0)により500μlになるよう調整した後、その混合物を約30秒間ボルテックスし、次いで37℃で一晩インキュベートした。インキュベーション後、反応混合物を、製造元の指示に従い0.2M酢酸緩衝液、pH5.3で予め平衡化させておいたNAP−5サイズ排除カラムにおいて精製した(高分子量フラクションは0.9mlであった)。その溶出液をボルテックスした後、Zバリアント複合体50μgを含むフラクションをさらなる標識のために取り置き、残りの溶液を凍結させた。
【0131】
標識のために、複合体50μgを既定量の111In(18MBq)と混合し、室温で60分間インキュベートした。ベンジル−DTPA−Z01908複合体に対しては、このZバリアントの濃度の高さとのバランスをとるため、酢酸緩衝液37μlを加えた。
【0132】
標識の品質管理のために、0.2Mクエン酸で溶離させるITLCを使用した。この系において、放射能標識Zバリアントは出発点から動かず、遊離のインジウムは溶媒の先頭と共に移動し、111In−イソチオシアネート−DTPA複合体は、Rfが0.4であった。標識複合体はNAP−5カラムにおいて精製し(高分子フラクションは0.9mlであった)、その獲得物をITLCにおいて純度検査した。
【0133】
111In標識複合体のEGFR発現A431細胞に対する結合特異性
標識複合体を、1つのEGFR受容体(1つのA431細胞あたり1.5×106個の受容体)あたり1つの標識複合体の比となるよう計算して、2つのペトリ皿グループ(1グループあたり3皿)に加えた。一方のグループの皿は、標識複合体を加える10分前に、100倍過剰の非標識Zバリアントで事前に飽和させておいた。細胞を37℃で1時間インキュベートし、インキュベーション培地を回収した。細胞皿を冷やしておいた無血清培地で6回洗浄し、37℃で10分間、トリプシン−EDTA 0.5mlで処理した。細胞が引き離されたら、全ての皿に完全培地0.5mlを加え、細胞を再懸濁した。細胞懸濁物を放射活性測定のために回収した。細胞に結合した放射活性(C)は、全自動ガンマカウンターにおいて、対応するインキュベーション培地(M)1mlと並行して測定した。細胞に結合した添加放射活性のフラクションを、%結合放射活性=C×100%/(C+M)として算出した。
【0134】
動物腫瘍モデル
本動物研究は、動物研究に関する内部倫理委員会の承認を受けた。雌の非近交Balb/c nu/nuマウス(到着時10〜12週齢)をインビボ実験に使用した。この動物を1週間の間、標準的な食事、睡眠、および環境を与えてRudbeck研究所の動物飼育施設に順応させた後、腫瘍移植を行った。マウスには、食物および飲料水を自由に与えた。A431腫瘍は、右後肢から約107細胞の皮下(s.c.)注射により移植した。異種移植片を2週間の間成長させた。
【0135】
生体内分布研究
EGFR結合ポリペプチドの生体内分布は、インジウム−111標識EGFR Zバリアント複合体の4h pi(sc)のA431腫瘍保有Balb/c(nu/nu)系マウスにおいて評価した。マウスは、全ての生体内分布実験において、注射後(pi)4時間時点でのケタミンHCl(Ketalar,Pfizer)およびキシラジンHCl(Rompun;Bayer)の混合物(体重1グラムあたり溶液20μl;Ketalar−10mg/ml,Rompun−1mg/ml)の腹腔内注射により麻酔した。その後、希釈したヘパリン(5000 IE/ml,Leo Pharma,Copenhagen,Denmark製)でリンスした1mlシリンジで心臓を穿刺することにより、マウスを安楽死させた。血液、肺、肝臓、脾臓、結腸、腎臓、子宮、唾液腺、筋肉、皮膚、骨、および腫瘍の器官サンプルを収集し、秤量し、ガンマカウンターで放射活性を測定した。腸(内容物含む)は総器官として測定し、秤量しなかった。器官の取り込み値を、組織1グラムあたりのパーセント注入活性(% IA/g)として算出した。全ての実験において、マウスを、各グループあたり4匹の動物となるよう無作為にグループ分けした。
【0136】
結果
第一世代EGFR結合性Zバリアントの親和性成熟
EGFR結合分子の初期セットに基づく親和性成熟ライブラリ(実施例1)を設計および構築した。3つの最良のバインダーの配列および実施例1におけるさらなる配列分析からの第4の配列のアラインメントを行った。5箇所(24、25、27、28、および32)を固定すること、ならびに17および18位においてはNおよびRに、35位においてはSおよびVに一定のバイアスをかけることが合理的であると判断した(図2D)。従って、9、10、11、13、および14位を、NNG/T縮重コドンを用いる無作為化の標的とした(図2D)。プロテインZはサイズが小さいので、二次ライブラリを構築するために、Zドメインのヘリックス1および2をコードする、縮重コドンを有する単一の129ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドを使用することが可能であった。このオリゴヌクレオチドをPCR増幅し、その後にプロテインZの第三αヘリックスをコードするファージミドベクターにライゲートした。得られたライブラリは、約1×109のメンバーからなるものであり、理論上のバリアントの大部分を十分含んでいたと考えられる。ファージストックを調製し、基本的に以前に記載されたように、漸減濃度の標的タンパク質の使用および十分な洗浄、ならびに過剰な非ビオチニル化標的タンパク質による速いオフレートを有するバインダーの再結合のブロックおよび第一世代バインダー(実施例1)と生成された第二世代バインダーの競合により、ライブラリの中で最強のEGFR結合バリアントを選択するための選択を行った。
【0137】
4ラウンドの選択後に獲得したクローンを96ウェルプレートにて培養し、凍結−解凍により周辺質内容物を遊離させ、EGFR結合活性についてのELISAスクリーニング手順に供した。372個の無作為抽出したクローンをELISAスクリーニングに供したところ、大部分のクローンが、標的タンパク質との結合の良さを示す高い吸光値を示した。最も高い吸光値を有するクローンの中から186個のクローンをDNA配列決定に供し、配列決定したクローンのクラスタリングによって、選択されたクローン間の関係を可視化した。
【0138】
さらに、EGFRに対する最高の結合性および最も遅いオフレートを有するクローンを選択するため、54個のクローンについて、ABDタグを付加したZタンパク質を含む周辺質内容物のバイオセンサー分析スクリーニングを行った(データは示さず)。
【0139】
ELISAスクリーニングにおける値、DNA配列決定からのクラスタリングの結果、およびバイオセンサー分析スクリーニングに基づき、16個のクローン、すなわち、Z01836、Z01848、Z01853、Z01859、Z01864、Z01865、Z01868、Z01877、Z01887、Z01888、Z01905、Z01907、Z01908、Z01913、Z01917、およびZ01960をさらなる特徴付けのために選択した(図1および配列表を参照のこと)。実質的に全てのバインダーが≧1.0mg/mlの濃度で可溶性であることが示され、かつ207および220nmでの最大吸収と共に、遠紫外スペクトル領域(190〜250nm)での特徴的なα−ヘリックス形のCDスペクトルを示した。融点は、熱アンフォールドスペクトルから解析し、実質的に全てのバインダーについて50℃またはそれ以上であることを決定した。熱変性後に記録されたスペクトルは、α−ヘリックス構造への完全な再フォールディングを示した。
【0140】
バイオセンサースクリーニング
結合親和性の初期ランキングを獲得するため、16個の選択されたZバリアントならびに単量体および二量体ZEGFR:955(実施例1)を発現させ、Biacore機器を用いてそれらのEGFR結合性について分析した。様々なZEGFRバリアントを、標的タンパク質EGFR−ECDならびにコントロールタンパク質HER2−ECDおよびFc融合型HER3をそれぞれ固定したセンサーチップフローセル表面に個別に注入した。16個全てのバインダーについて、低ナノモル範囲の結合親和性を観察した(データは示さず)。ほとんどのバインダーはHER2−ECDおよびFc融合型HER3に対する非特異的結合を示さなかった。最高の親和性およびバイオセンサー分析からのオフレンジ(off−range)を有する5個のバインダー、すなわち、Z01853、Z01868、Z01877、Z01907、およびZ01908をさらなる特徴付けのために選択した。
【0141】
インビトロでの第一世代バインダーと第二世代バインダーの比較
親和性成熟を行ったZ01853、Z01868、Z01877、Z01907、およびZ01908(KD 約10nM)を、Biacore分析を用いて、単量体(KD 約185nM)および二量体(KD 約50nM)形態のZ00955と比較した(図9)。親和性成熟を行ったZバリアントの結合速度は、単量体および二量体の第一世代バインダーとほぼ同じであった。しかし、解離速度は約20倍改善された。
【0142】
蛍光および免疫組織化学分析
図10にその結果を示す。図10Aは、EGFRに特異的な以下のZバリアント:a)His6−Z01859、b)His6−Z01865、c)His6−Z01864、d)、His6−Z01913、e)His6−Z01877、f)His6−Z01868、g)His6−Z01836、h)His6−(Z01853)2−cys、およびi)His6−(Z01907)2−cysにより染色されたA431細胞を示す。単量体Zバリアントは、Zに対するヤギ抗体およびそれに続くAlexa 488結合型抗ヤギ抗体による検出により検出した。二量体ZバリアントはOregon Greenで染色した。ポジティブコントロールとして、A431を抗EGFR抗体で染色した(j)。
【0143】
図10Bは、a)His6−(Z01864)2−Cys、b)His6−Z01877、c)His6−(Z01853)2−Cys、およびd)His6−(Z01907)2−Cysで染色したA431異種移植片の凍結切片を示す。His6−(Z01864)2−CysおよびHis6−Z01877(aおよびb)は、Zに対するヤギ抗体およびそれに続くHRP結合型抗ヤギ抗体による検出により検出した。His6−(Z01853)2−Cys (c)およびHis6−(Z01907)2−Cys (d)分子は、直接HPRに結合した。ポジティブコントロールとして、A431を抗EGFR抗体で染色した(e)。
【0144】
111In標識EGFR結合性Zバリアントの特異性および生体内分布
全てのZバリアント複合体において、90%超の標識率でインジウム−111標識することに成功し、NAP−5精製の後の全ての複合体は95%超の純度を有していた。
【0145】
標識複合体の結合特異性は、EGFRを発現する類表皮癌細胞A431株において評価した。その結果を図11に示す。この図における全てのデータ点は3つの測定の平均値であり、エラーバーはSEMを表す。全ての複合体の結合は、100倍過剰の非標識ZEGFRの添加によりその取り込みをブロックすることが可能であった(p<0.0001)ことから、EGFR特異的であることが見出された(図11を参照のこと)。
【0146】
A431腫瘍保有マウスにおける4h piのインジウム−111標識Zバリアント複合体の生体内分布の結果を図12にまとめた。この図における各データ点は4匹の動物の平均±標準偏差を表し、器官または組織1グラムあたりの注射した放射活性の割合で表す。111In−CHX−DTPA−(ZEGFR:9552についてのデータは、Affibody
AB(VINNOVA)とのコラボレーションによりErika Nordberg氏(Biomedical radiation Sciences,Uppsala University)が獲得したものであり、これを比較のために加えた。
【0147】
インビボでの腫瘍標的化は成功し、5つ全ての新規のZバリアントは4〜6%IA/gのレベルにあったが、非成熟型二量体(4%IA/g)との比較では改善が見られなかった。
【0148】
第一世代の二量体(Z00955)2と全ての成熟型単量体との間の主な違いは、血液クリアランス、肝臓取込み、および腎臓蓄積において観察することができ:成熟実験において選択された新規単量体は、(Z00955)2よりも、放射活性の血液クリアランスが高く、肝臓取込みが低く、腎臓蓄積が高かった。これらの観察は:新規単量体が、マウス受容体に対する交差反応性の低さおよび/または受容体への一価的な結合に起因して、肝臓のEGFR受容体に対する結合性が弱く、これにより細胞内取込みが誘発されず、結合が可逆的であることと関係がある可能性が高い。
【0149】
実施例3
本発明に従うEGFR結合ポリペプチドの第三選択
実施例2からの選択結果の統計学的分析に基づき、推定EGFR結合ポリペプチドの第三ライブラリを、本質的に上記と同様に調製した。標的としてEGFRを用いるファージディスプレイ選択および選択されたバリアントのELISAスクリーニングにより、17個の追加のEGFR結合性Zバリアント配列を同定した。これらのアミノ酸配列を図1および配列表において配列番号310〜326として示す。これらのEGFR結合性Zバリアントの推定EGFR結合モチーフは、図1および配列表において配列番号147〜163として示す。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1−1】本発明のEGFR結合ポリペプチドに含まれるEGFR結合モチーフの例(配列番号1〜163)、本発明に従うEGFR結合ポリペプチドの例(配列番号164〜326)、黄色ブドウ球菌プロテインAのドメインBのプロテインZ誘導体(配列番号327)、ヒトEGFR全体(配列番号328)、およびヒトEGFRの細胞外ドメイン(配列番号329)のアミノ酸配列表である。
【図1−2】本発明のEGFR結合ポリペプチドに含まれるEGFR結合モチーフの例(配列番号1〜163)、本発明に従うEGFR結合ポリペプチドの例(配列番号164〜326)、黄色ブドウ球菌プロテインAのドメインBのプロテインZ誘導体(配列番号327)、ヒトEGFR全体(配列番号328)、およびヒトEGFRの細胞外ドメイン(配列番号329)のアミノ酸配列表である。
【図1−3】本発明のEGFR結合ポリペプチドに含まれるEGFR結合モチーフの例(配列番号1〜163)、本発明に従うEGFR結合ポリペプチドの例(配列番号164〜326)、黄色ブドウ球菌プロテインAのドメインBのプロテインZ誘導体(配列番号327)、ヒトEGFR全体(配列番号328)、およびヒトEGFRの細胞外ドメイン(配列番号329)のアミノ酸配列表である。
【図1−4】本発明のEGFR結合ポリペプチドに含まれるEGFR結合モチーフの例(配列番号1〜163)、本発明に従うEGFR結合ポリペプチドの例(配列番号164〜326)、黄色ブドウ球菌プロテインAのドメインBのプロテインZ誘導体(配列番号327)、ヒトEGFR全体(配列番号328)、およびヒトEGFRの細胞外ドメイン(配列番号329)のアミノ酸配列表である。
【図1−5】本発明のEGFR結合ポリペプチドに含まれるEGFR結合モチーフの例(配列番号1〜163)、本発明に従うEGFR結合ポリペプチドの例(配列番号164〜326)、黄色ブドウ球菌プロテインAのドメインBのプロテインZ誘導体(配列番号327)、ヒトEGFR全体(配列番号328)、およびヒトEGFRの細胞外ドメイン(配列番号329)のアミノ酸配列表である。
【図1−6】本発明のEGFR結合ポリペプチドに含まれるEGFR結合モチーフの例(配列番号1〜163)、本発明に従うEGFR結合ポリペプチドの例(配列番号164〜326)、黄色ブドウ球菌プロテインAのドメインBのプロテインZ誘導体(配列番号327)、ヒトEGFR全体(配列番号328)、およびヒトEGFRの細胞外ドメイン(配列番号329)のアミノ酸配列表である。
【図1−7】本発明のEGFR結合ポリペプチドに含まれるEGFR結合モチーフの例(配列番号1〜163)、本発明に従うEGFR結合ポリペプチドの例(配列番号164〜326)、黄色ブドウ球菌プロテインAのドメインBのプロテインZ誘導体(配列番号327)、ヒトEGFR全体(配列番号328)、およびヒトEGFRの細胞外ドメイン(配列番号329)のアミノ酸配列表である。
【図1−8】本発明のEGFR結合ポリペプチドに含まれるEGFR結合モチーフの例(配列番号1〜163)、本発明に従うEGFR結合ポリペプチドの例(配列番号164〜326)、黄色ブドウ球菌プロテインAのドメインBのプロテインZ誘導体(配列番号327)、ヒトEGFR全体(配列番号328)、およびヒトEGFRの細胞外ドメイン(配列番号329)のアミノ酸配列表である。
【図1−9】本発明のEGFR結合ポリペプチドに含まれるEGFR結合モチーフの例(配列番号1〜163)、本発明に従うEGFR結合ポリペプチドの例(配列番号164〜326)、黄色ブドウ球菌プロテインAのドメインBのプロテインZ誘導体(配列番号327)、ヒトEGFR全体(配列番号328)、およびヒトEGFRの細胞外ドメイン(配列番号329)のアミノ酸配列表である。
【図1−10】本発明のEGFR結合ポリペプチドに含まれるEGFR結合モチーフの例(配列番号1〜163)、本発明に従うEGFR結合ポリペプチドの例(配列番号164〜326)、黄色ブドウ球菌プロテインAのドメインBのプロテインZ誘導体(配列番号327)、ヒトEGFR全体(配列番号328)、およびヒトEGFRの細胞外ドメイン(配列番号329)のアミノ酸配列表である。
【図1−11】本発明のEGFR結合ポリペプチドに含まれるEGFR結合モチーフの例(配列番号1〜163)、本発明に従うEGFR結合ポリペプチドの例(配列番号164〜326)、黄色ブドウ球菌プロテインAのドメインBのプロテインZ誘導体(配列番号327)、ヒトEGFR全体(配列番号328)、およびヒトEGFRの細胞外ドメイン(配列番号329)のアミノ酸配列表である。
【図2A】実施例1において選択された本発明に従う様々なEGFR結合ポリペプチドのアミノ酸配列をプロテインZ配列と比較して示す。この図は、塩基性、酸性、非極性、および極性のアミノ酸残基を示す。
【図2B】図2Aの中の4つのポリペプチドのアミノ酸配列を示しかつ疎水性、中性、および親水性のアミノ酸残基を示す。
【図2C】図2Bのポリペプチドのアミノ酸配列を、その他の特徴を強調して示す。
【図2D】本発明に従うポリペプチドを生成するための親和性成熟ストラテジーを示す。
【図3】EGFR結合ポリペプチドHis6−ZEGFR:942(レーン1)、His6−ZEGFR:948(レーン2)、His6−ZEGFR:955(レーン3)、His6−(ZEGFR:9422(レーン4)、His6−(ZEGFR:9482(レーン5)、およびHis6−(ZEGFR:9552(レーン6)のSDS−PAGE分析の結果を示す。レーンMはマーカータンパク質を含む。右側には分子量をキロダルトンで付記してある。
【図4A】本発明に従う様々なEGFR結合ポリペプチドを用いて行ったバイオセンサー結合研究の結果を示す。
【図4B】本発明に従う様々なEGFR結合ポリペプチドを用いて行ったバイオセンサー結合研究の結果を示す。
【図5】本発明に従う3つのEGFR結合ポリペプチドのネイティブEGFRに対する親和性のフローサイトメトリー分析の結果を示す。
【図6】フルオロフォア標識した本発明に従うEGFR結合ポリペプチドに暴露した細胞の共焦点顕微鏡画像集である。
【図7】放射能標識した本発明に従うEGFR結合ポリペプチドを用いた細胞結合研究の結果を示すダイアグラムである。
【図8A】放射能標識した本発明に従うEGFR結合ポリペプチドを用いた飽和および研究の結果を示すグラフ集である。
【図8B】放射能標識した本発明に従うEGFR結合ポリペプチドを用いた飽和および研究の結果を示すグラフ集である。
【図8C】放射能標識した本発明に従うEGFR結合ポリペプチドを用いた飽和および研究の結果を示すグラフ集である。
【図9A】本発明に従う様々なEGFR結合ポリペプチドを用いて行ったバイオセンサー結合研究の結果を示す。
【図9B】本発明に従う様々なEGFR結合ポリペプチドを用いて行ったバイオセンサー結合研究の結果を示す。
【図10A】蛍光検出を用いた、本発明に従うEGFR結合ポリペプチドに暴露した細胞の画像集である。
【図10B】酵素検出を用いた、本発明に従うEGFR結合ポリペプチドに暴露した細胞の画像集である。
【図11】A431細胞における、本発明に従う様々なEGFR結合ポリペプチドのインジウム−111標識ベンジル−DTPA複合体のインビトロ特異性試験の結果を示すダイアグラムである。全てのデータ点は3つの測定値の平均値であり、エラーバーはSEMを表す。
【図12】A431異種移植片を保有するマウスにおける111In−ベンジル−DTPA−EGFR結合性複合体の生体内分布および腫瘍対正常組織比を示すダイアグラム集である。各データ点は4匹の動物からの平均±標準偏差であり、器官または組織1グラムあたりの注射した放射活性のパーセントで表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)EX234AX67EIX1011LPNLNX1718QX2021AFIX25SLX28
[配列中、相互に独立して、
2はM、F、V、L、I、およびSから選択され;
3はW、D、E、およびLから選択され;
4はI、V、G、S、M、L、A、T、N、D、およびWから選択され;
6はW、V、L、I、M、およびSから選択され;
7はD、E、N、およびKから選択され;
10はR、G、H、およびKから選択され;
11はD、N、E、Y、およびSから選択され;
17はG、W、およびAから選択され;
18はW、G、およびAから選択され;
20はM、L、F、A、およびEから選択され;
21はT、D、N、A、およびQから選択され;
25はA、S、N、G、およびLから選択され;そして
28はL、W、V、F、およびAから選択される]
ならびに
ii)i)において規定される配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、
から選択されるアミノ酸配列からなる上皮成長因子受容体結合モチーフ、EBMを含み、最大10μMの相互作用のKD値でEGFRに結合する、上皮成長因子受容体(EGFR)結合ポリペプチド。
【請求項2】
2がMである、請求項1に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項3】
3がWである、請求項1または2に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項4】
4がI、V、G、およびSから選択される、請求項1〜3のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項5】
6がVおよびWから選択される、請求項1〜4のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項6】
10がRおよびGから選択される、請求項1〜5のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項7】
11がD、N、およびEから選択される、請求項1〜6のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項8】
17がWおよびGから選択される、請求項1〜7のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項9】
18がWおよびGから選択される、請求項1〜8のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項10】
18がWである、請求項9に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項11】
20がMである、請求項1〜10のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項12】
21がTおよびDから選択される、請求項1〜11のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項13】
21がTである、請求項12に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項14】
25がA、S、およびNから選択される、請求項1〜13のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項15】
28がLおよびWから選択される、請求項1〜14のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項16】
18がWであり、X21がTである、請求項1〜15のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項17】
18がWであり、X20がMである、請求項1〜16のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項18】
アミノ酸配列i)が以下の9つの条件I〜IX:
I) X2がMである;
II) X3がWである;
III) X6がWである;
IV) X10がRである;
V) X17がGである;
VI) X18がWである;
VII) X20がMである;
VIII) X21がTである;
IX) X28がLである、
の少なくとも6つを満たす、請求項1〜17のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項19】
アミノ酸配列i)が9つの条件I〜IXの少なくとも7つを満たす、請求項18に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項20】
アミノ酸配列i)が9つの条件I〜IXの少なくとも8つを満たす、請求項19に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項21】
アミノ酸配列i)が
EMWX4AWX7EIR X11LPNLNGWQM TAFIX25SLLD
である、請求項20に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項22】
アミノ酸配列i)が以下の5つの条件V〜VIIIおよびX:
V) X17がGである;
VI) X18がWである;
VII) X20がMである;
VIII) X21がTである;
X) X25がAである、
の少なくとも3つを満たす、請求項1〜17のいずれか一項に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項23】
アミノ酸配列i)が5つの条件V〜VIIIおよびXの少なくとも4つを満たす、請求項22に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項24】
アミノ酸配列i)が
EX234AX67EIX1011LPNLNGWQM TAFIASLX28
である、請求項23に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項25】
アミノ酸配列i)が
EX234AX67EIG X11LPNLNWGQX2021AFIX25SLWD
である、請求項1〜17のいずれか一項に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項26】
アミノ酸配列i)が
EX23IAVX7EIG ELPNLNWGQX20 DAFINSLWD
である、請求項25に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項27】
アミノ酸配列i)が配列番号1〜163から選択される、請求項1〜26のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項28】
アミノ酸配列i)が配列番号33、配列番号48、配列番号57、配列番号87、配列番号88、および配列番号147から選択される、請求項27に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項29】
EGFR結合モチーフが3ヘリックスバンドルタンパク質ドメインの一部を形成する、請求項1〜28のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項30】
EGFR結合モチーフが、主として、3ヘリックスバンドルタンパク質ドメイン内の二つのアルファヘリックスおよびそれらを結ぶループの一部を形成する、請求項29に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項31】
3ヘリックスバンドルタンパク質ドメインが、細菌受容体タンパク質のドメインから選択される、請求項30に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項32】
3ヘリックスバンドルタンパク質ドメインが、黄色ブドウ球菌由来のプロテインAのドメインまたはその誘導体のドメインから選択される、請求項31に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項33】
ADNNFNK−[EBM]−DPSQSANLLSEAKKLNESQAPK;
ADNKFNK−[EBM]−DPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK;
ADNKFNK−[EBM]−DPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK;
ADAQQNNFNK−[EBM]−DPSQSTNVLGEAKKLNESQAPK;
AQHDE−[EBM]−DPSQSANVLGEAQKLNDSQAPK;および
VDNKFNK−[EBM]−DPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK;
から選択されるアミノ酸配列を含み、[EBM]は請求項1〜28のいずれか一項に規定されるEGFR結合モチーフである、請求項32に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項34】
配列番号327のアミノ酸配列:
VDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
に由来するアミノ酸配列を含み、その配列の9〜11、13〜14、17〜18、24〜25、27〜28、32、および35位、またはこれらの位置に対応する位置のいずれかまたは全てにおいて、非修飾型アミノ酸配列を含むポリペプチドと比較してEGFRに対するそのポリペプチドの結合性を向上させるアミノ酸置換を含むことによって得られるアミノ酸配列を含み、最大10μMの相互作用のKD値でEGFRに結合する、EGFR結合ポリペプチド。
【請求項35】
アミノ酸配列が、以下:
iii) 配列番号164〜326から選択される;
iv) 配列番号164〜326から選択される配列に対して85%またはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列である、
から選択される定義の一つを満たす配列を含む、EGFR結合ポリペプチド。
【請求項36】
アミノ酸配列が、以下:
v) 配列番号196、配列番号211、配列番号220、配列番号250、配列番号251、および配列番号310から選択される
vi) 配列番号196、配列番号211、配列番号220、配列番号250、配列番号251、および配列番号310から選択される配列に対して85%またはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列である、
から選択される定義の一つを満たす配列を含む、請求項35に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項37】
C末端および/またはN末端アミノ酸が伸長された、請求項1〜36のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項38】
アミノ酸伸長または各アミノ酸伸長がこのポリペプチドによるEGFRへの結合を増強する、請求項37に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項39】
アミノ酸伸長または各アミノ酸伸長が、ポリペプチドの生成、精製、インビボもしくはインビトロでの安定性、結合、または検出を向上させる、請求項37または38に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項40】
伸長部分が、連鎖球菌プロテインGのアルブミン結合ドメインまたはその誘導体のドメインを含み、治療用途におけるEGFR結合ポリペプチドの半減期を向上させる、請求項39に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項41】
最大1×10-6Mの相互作用のKD値でEGFRに結合する、請求項1〜40のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項42】
最大1×10-7Mの相互作用のKD値でEGFRに結合する、請求項41に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項43】
EGFRの細胞外ドメインに結合する、請求項1〜42のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項44】
配列番号329に対応するEGFRの細胞外ドメインの一部に結合する、請求項43に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項45】
請求項1〜44のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチドのフラグメントを含む、EGFR結合ポリペプチド。
【請求項46】
フラグメントが請求項1〜44のいずれか一項に記載のポリペプチドのN末端短縮を含む、請求項45に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項47】
N末端短縮が4アミノ酸以下である、請求項46に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項48】
アミノ酸配列が同一または異なる少なくとも二つのEGFR結合ポリペプチド単量体単位を含む、多量体形態の、請求項1〜47のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項49】
EGFR結合ポリペプチド単量体単位が共有結合により一緒に結合されている、請求項48に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項50】
EGFR結合ポリペプチド単量体単位が融合タンパク質として発現される、請求項49に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項51】
二量体形態の、請求項48〜50のいずれか一項に記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項52】
請求項1〜51のいずれかに記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項53】
請求項52に記載のポリヌクレオチドを発現させることを含む、請求項1〜51のいずれか一項に記載のポリペプチドの製造方法。
【請求項54】
請求項1〜51のいずれか一項に記載のEGFR結合ポリペプチドおよび検出剤の組み合わせ。
【請求項55】
検出剤が、放射線イメージングにおいて使用するための放射性物質である、請求項54に記載の組み合わせ。
【請求項56】
放射性物質が放射性核種である、請求項55に記載の組み合わせ。
【請求項57】
検出剤が酵素である、請求項54に記載の組み合わせ。
【請求項58】
請求項1〜51のいずれか一項に記載のEGFR結合ポリペプチドおよび治療剤の組み合わせ。
【請求項59】
EGFR結合ポリペプチドおよび検出剤または治療剤が共有結合により一緒に結合されている、請求項54〜58のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項60】
EGFR結合ポリペプチドおよび検出剤または治療剤が融合タンパク質として発現される、請求項54〜59のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項61】
請求項54〜60のいずれか一項に記載の組み合わせを放射線イメージング剤として使用する、放射線イメージング方法。
【請求項62】
EGFRを含む疑いのあるサンプルを準備し、請求項1〜51のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチドまたは請求項54〜60のいずれかに記載の組み合わせとサンプルを接触させ、サンプル中のEGFRの存在を示すポリペプチドまたは組み合わせへの結合を検出することを含む、EGFRの検出方法。
【請求項63】
請求項1〜51のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチドまたは請求項54〜60のいずれかに記載の組み合わせとサンプルを接触させることを含み、それによってEGFRがポリペプチドに結合し、これをサンプルから除去することができる、サンプルからのEGFRの分離または捕捉方法。
【請求項64】
被検体または被検体由来のサンプルを、請求項1〜51のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチドまたは請求項54〜60のいずれかに記載の組み合わせと接触させ、ポリペプチドまたは組み合わせへの結合を検出することを含む、哺乳動物被検体におけるEGFRの存在を決定するための診断方法。
【請求項65】
被検体がヒトである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
インビボで行われる、請求項64または65に記載の方法。
【請求項67】
サンプルに対してインビトロで行われる、請求項64または65に記載の方法。
【請求項68】
哺乳動物被検体または哺乳動物被検体由来の物質を請求項1〜51のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチドまたは請求項58〜60のいずれかに記載の組み合わせで処置する、哺乳動物被検体または哺乳動物被検体由来の物質におけるEGFRに関連する状態の処置方法。
【請求項69】
被検体のまたは被検体由来の物質におけるEGFRに対するEGFR結合ポリペプチドまたは組み合わせの結合が、受容体の活性化を阻害または刺激する、請求項68に記載の処置方法。
【請求項70】
被検体のまたは被検体由来の物質におけるEGFRに対するEGFR結合ポリペプチドの結合が、細胞のシグナル伝達を阻害する、請求項68または69に記載の処置方法。
【請求項71】
EGFRに関連する状態が癌である、請求項68〜70のいずれかに記載の処置方法。
【請求項72】
癌が、肺癌、乳癌、前立腺癌、結腸癌、卵巣癌、頭頸部癌から選択される、請求項71に記載の処置方法。
【請求項73】
被検体がヒトである、請求項68〜72のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
医薬として使用するための、請求項1〜51のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項75】
医薬として使用するための、請求項54〜60のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項76】
診断剤として使用するための、請求項1〜51のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチド。
【請求項77】
診断剤として使用するための、請求項54〜60のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項78】
癌のインビボ診断のための診断剤の製造のための、請求項1〜51のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチドまたは請求項54〜60のいずれかに記載の組み合わせの使用。
【請求項79】
癌の処置のための医薬の製造のための、請求項1〜51のいずれかに記載のEGFR結合ポリペプチドまたは請求項54〜60のいずれかに記載の組み合わせの使用。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図1−5】
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【図1−6】
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【図1−7】
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【図1−8】
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【図1−9】
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【図1−10】
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【図1−11】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−519013(P2009−519013A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543714(P2008−543714)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011669
【国際公開番号】WO2007/065635
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(307015286)アフィボディ・アーベー (9)
【Fターム(参考)】