説明

ポリマーシリカナノコンポジットの製造方法

【課題】樹脂液中に通常の分散方法で分散することにより、無機微粒子が凝集することなく分散してポリマーシリカナノコンポジットが得られる方法を提供すること。
【解決手段】下記の(a)工程及び(b)工程による。
(a)工程:平均一次粒子径5〜100nmの疎水性シリカ粉末と樹脂液とを混合する工程、(b)工程:(a)工程で得られたシリカ含有樹脂液を硬化させる工程。前記疎水性シリカ粉末に、シリカ表面の1nm2当たり1.0〜5.0個のトリメチルシリル基が結合した疎水性シリカ粉末を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、平均一次粒子径5〜100nmの疎水性シリカ粉末と樹脂液とを混合する工程及び該樹脂液を硬化させることを含むポリマーシリカナノコンポジットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノサイズの無機微粒子とポリマー材料を複合させることにより、ポリマー材料の特性を改良できるポリマー無機微粒子ナノコンポジットが注目されている。用いられる無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物が用いられている。
【0003】
ポリマー無機微粒子ナノコンポジットの製造方法としては、層間挿入法、ゾル−ゲル法、超微粒子直接分散法がある。
【0004】
層間挿入法とは、層状物質の層間を有機変性剤で変性して層間とモノマー又はポリマーとの親和性を増してから、モノマー又はポリマーと混合して層剥離させ、層状物質を1層ずつ剥離させ、ポリマー中に分散させる方法である。
【0005】
ゾル−ゲル法とは、無機微粒子の形成とナノコンポジットの形成を同時並行に行う方法で、ゾル状の液体を乾燥させゲル化して固体を合成する方法である。
【0006】
超微粒子直接分散法とは、無機微粒子を直接ポリマーと混合させてナノコンポジットを形成させる方法である。
【0007】
ポリマー無機微粒子ナノコンポジットを簡便に製造するという点では、超微粒子直接分散法が優れているが、超微粒子直接分散法は、無機微粒子が樹脂液中で凝集してしまい、均一に混合分散することが難しいという問題がある。
【0008】
このような問題を解決する方法として、熱可塑性樹脂において、無機微粒子の粒子間凝集力相当以上の剪断力で解砕し微分散することにより、機械的性質等に優れたポリマー無機微粒子ナノコンポジットを製造する方法が開示されている(特許文献1参照)。
【0009】
また、液体中の微粒子を微細化する方法としては、種々の方法が知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−189814号公報
【特許文献2】特開平2−261525号公報
【特許文献3】特開平10−5561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ポリマー無機微粒子ナノコンポジットを簡便に得ようとする超微粒子直接分散法において、樹脂液中で強力な剪断力で微粒子を解砕する方法は、機械的摩擦による加熱、静電気の発生等により樹脂の劣化や発火の恐れがある場合があり、多くの樹脂に適用できる方法ではない。
【0012】
本願発明では、樹脂液中に通常の分散方法で分散することにより、無機微粒子が凝集することなく分散してポリマー無機微粒子ナノコンポジット、特にポリマーシリカナノコンポジットが得られる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、下記の(a)工程及び(b)工程を含むポリマーシリカナノコンポジットの製造方法である。
(a)工程:平均一次粒子径5〜100nmの疎水性シリカ粉末と樹脂液とを混合する工程、
(b)工程:(a)工程で得られたシリカ含有樹脂液を硬化させる工程。
【0014】
また、前記疎水性シリカ粉末に、シリカ表面の1nm2当たり1.0〜5.0個のトリメチルシリル基が結合した疎水性シリカ粉末を用いるポリマーシリカナノコンポジットの製造方法である。
【0015】
また、前記疎水性シリカ粉末には、メチルエチルケトン中における疎水性シリカ粉末の分散粒子径が動的光散乱法粒子径として5〜150nmを示すものを用いることを特徴とするポリマーシリカナノコンポジットの製造方法である。
【0016】
また、前記(a)工程において、疎水性シリカ粉末と前記樹脂液との混合比が質量比として5/95〜50/50であるポリマーシリカナノコンポジットの製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本願発明により、透明性が高く、ポリマー中にシリカ微粒子が均一に分散したポリマーシリカナノコンポジットを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願発明のポリマーシリカナノコンポジットの製造方法は、下記の(a)工程及び(b)工程を含むものである。
(a)工程:平均一次粒子径5〜100nmの疎水性シリカ粉末と樹脂液とを混合する工程、
(b)工程:(a)工程で得られたシリカ含有樹脂液を硬化させる工程。
【0019】
(a)工程で用いられる平均一次粒子径5〜100nmの疎水性シリカ粉末は、例えば特開2007−39323号公報に記載された方法で得られたものを用いることができる。ここで、疎水性シリカ粉末の平均一次粒子径は、窒素吸着法により求められる比表面積から次の式(1)で算出される球状シリカの直径の平均値として求めることができる。
【0020】
式(1) 平均一次粒子径(nm)=2720/比表面積(窒素吸着法)(m2/g)
特開2007−39323号公報に記載された方法によれば、比表面積5.5〜550m2/gの親水性コロイド状シリカを含有する水性シリカゾルに、該水性シリカゾルの水に対して親水性有機溶媒を質量比0.12〜2.5で混合して得られる、シリカ濃度5〜50質量%の混合溶媒シリカゾルに、式(2)
(R13Si)2NH (2)
(式中の各R1はそれぞれ独立に選択される炭素原子数が1〜6のアルキル基またはフェニル基である。)
で表されるジシラザン化合物を、親水性コロイド状シリカの表面積100m2当たり0.1〜20ミリモル添加し、50〜100℃の温度で加熱して熟成することにより疎水化処理コロイド状シリカのスラリー状分散液を得た後、分散液を乾燥することにより得ることができる。
【0021】
式(2)で表されるジシラザン化合物は、R1としてメチル基、エチル基、プロピル基又はフェニル基のものを用いることが好ましく、メチル基がより好ましい。
【0022】
また、本願発明に用いられる疎水性シリカ粉末は、シリカ表面の1nm2当たり1.0〜5.0個のトリメチルシリル基が結合した疎水性シリカ粉末であり、前記式(2)で表されるジシラザン化合物として、ヘキサメチルジシラザンを用いて製造することができる。
【0023】
また、本願発明に用いられる疎水性シリカ粉末は、メチルエチルケトン中における疎水性シリカ粉末の分散粒子径が動的光散乱法粒子径として5〜150nmである疎水性シリカ粉末である。動的光散乱法粒子径は、例えばN5(ベックマン・コールター社)により測定することができる。
【0024】
(b)工程におけるシリカ含有樹脂液の硬化は、加熱硬化、光硬化、電子線硬化、硬化剤の添加による硬化など、樹脂の特性に合わせて適宜採用することができる。
【0025】
(a)工程で用いられる樹脂液は、0〜300℃で液状の樹脂であり、ポリマー、オリゴマー、トリマー、ダイマー、モノマーのいずれであっても良い。
【0026】
樹脂の種類としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、有機ケイ素樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、シクロオレフィン樹脂などが挙げられる。
【0027】
エポキシ樹脂としては、以下に示すものがあり、これらは、単独あるいは2種類以上を混合して用いることもできる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂などである。
【0028】
アクリル樹脂としては、以下に示すものがあり、これらは、単独あるいは2種類以上を混合して用いることもできる。また、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれの状態でも使用することができる。トリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロメチルアクリレート、フェニルグリシジルアクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2−エチル,2−ブチル−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキシル2,2−ビス〔4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタアクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、3−フェノキシ−2−プロパノイルアクリレート、1,6−ビス(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−ヘキシルエーテル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス−(2−ヒドロキシエチル)−イソシアヌル酸エステル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、アクリロイルオキシエチル酸、アクリル酸ダイマー、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトセヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルグリシジルエーテルエポキシアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ(ポリ)エチレングリコールアクリレート、ノニルフェノールエトキシ化アクリレート、アクリロイルオキシエチルフタル酸、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェノールエトキシ化(メタ)アクリレート、メチルメタクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、メタクリロイルオキシエチル酸、メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、メタクリロイルオキシエチルフタル酸、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、N−メチロールアクリルアマイド、N−メトキシメチルアクリルアマイド、N−エトキシメチルアクリルアマイド、N−n−ブトキシメチルアクリルアマイド、t−ブチルアクリルアミドスルホン酸、ステアリル酸ビニル、N−メチルアクリルアミド、N−ジメチルアクリルアミド、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、グリシジルメタアクリレート、n−ブチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、メタクリル酸アリル、セチルメタクリレート、ペンタデシルメタアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メタクロイルオキシエチル琥珀酸、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコーメルジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチル、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、グリコールジアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタアクリロイルフォスフェート、ビスフェノールAエチレングリコール付加物アクリレート、ビスフェノールFエチレングリコール付加物アクリレート、トリシクロデカンメタノールジアクリレート、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートジアクリレート、2−ヒドロキシ−1アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレングリコール付加物トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレングリコール付加物トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートトリアクリレート、変性ε−カプロラクトントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、グリセリンプロピレングリコール付加物トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエチレングリコール付加物テトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(ペンタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート及びエポキトアクリレートが挙げられる。
ウレタン樹脂としては、通常、ポリイソシアネートと活性水素含有化合物を重付加反応して得られるものを使用することができる。ポリイソシアネートと活性水素含有化合物の例を以下に示す。これらは、単独あるいは2種類以上を混合して用いることもできる。ポリイソシアネート:エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート(2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート)、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び/又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート、m−及び/又はp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。また、ポリイソシアネートの変性物として、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI)、ウレタン変性TDI、ビューレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI、イソシアヌレート変性IPDIなどのポリイソシアネートの変性物及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。活性水素含有化合物:2価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等)、分岐鎖を有するジオール(プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−もしくは2,3−ブタンジオール等)、環状基を有するジオール(1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、m−又はp−キシリレングリコール等)、2価フェノール(ビスフェノールA等)、多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等)、糖類及びその誘導体(蔗糖、メチルグルコシド等)、脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)、脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシル、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等)、芳香族ジアミン(ジエチルトルエンジアミン等)、芳香脂肪族ジアミン(キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジアミン等)、複素環ジアミン(ピペリジン等)、多官能アミン(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等)、高分子ポリオール(ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等)、脂肪族ポリカルボン(コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロフタル酸等)、芳香族ポリカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)、無水マレイン酸、無水フタル酸、テレフタル酸ジメチル、ラクトンモノマー(γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン及び2個以上の活性水素原子を有する化合物アルキレンオキサイドが付加した構造のものが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルなどのビニルエステル系モノマーをラジカル重合して得られたポリビニルエステル系重合体をケン化することにより得られるものを用いることができる。ポリビニルエステル系重合体の例を以下に示す。これらは、単独あるいは2種類以上を混合して用いることもできる。ポリビニルエステル系重合体:ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル及びバーサティック酸ビニル等のビニルエステル類のポリマー等。ポリビニルエステル系重合体は、上記のビニルエステルモノマー類に共重合可能なコモノマーを共重合した共重合体でもよく、コモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1ーブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸及びその塩とアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸及びその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、ヒドロキシアルキル、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩又はその4級塩、N−メチロールアクリルアミド及びその誘導体w1等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩、又はその4級塩、N−メチロールメタクリルアミド及びその誘導体等のメタクリルアミド誘導体、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル、酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物、マレイン酸及びその塩、又はそのエステル、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物、酢酸イソプロペニル等が挙げられる。
メラミン樹脂としては、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂及びメチルブチル混合型メラミン樹脂等を用いることができる。
【0029】
ポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸成分とグリコール成分とを構成成分とする線状ポリエステル、ジカルボン酸成分とグリコール成分の例を以下に示す。これらは、単独あるいは2種類以上を混合して用いることもできる。ジカルボン酸成分:テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4−ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、フェニルインダンジカルボン酸及びダイマー酸等。グリコール成分:エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシ)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシ)グリコール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物及び水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物。
【0030】
有機ケイ素樹脂としては、例えば以下のC成分及び/又はD成分を含むケイ素化合物が挙げられる。
C成分:一般式(I)
(R1a(R3bSi(OR24−(a+b) (I)
(ここでR1、R3はそれぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、ハロゲン基、グリシドキシ基、エポキシ基、アミノ基、フェニル基、メルカプト基、メタクリルオキシ基及びシアノ基からなる群より選ばれた有機基を示し、Rは炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、アシル基及びフェニル基からなる群より選ばれる有機基を示し、a及びbは0又は1の整数である。)で表される有機ケイ素化合物又はその加水分解物。
D成分:一般式(II)
{(OX)3−aSi(R4)}2Y (II)
(ここでRは炭素数1〜5の有機基を示し、Xは炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアシル基を示し、Yは炭素数2〜20の有機基を示し、aは0又は1の整数である)で表される有機ケイ素化合物又はその加水分解物。
C成分は、上述した一般式(I)で示される。その具体的な有機ケイ素化合物又はその加水分解物の例:メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケート、iso−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、テトラアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアセチキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアミロキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリベンジルオキシシラン、メチルトリフェネチルオキシシラン、グルシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、αーグリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシトリエチキシシラン、β−グリシドキシトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α―グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α―グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β―グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β―グリシドキシエチルエチルジメトキシシラン、α―グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β―グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β―グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ―グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルビニルメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルビニルエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルビニルフェニルメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルビニルフェニルエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ―クロロプロピルトリメトキシシラン、γ―クロロプロピルトリエトキシシラン、γ―クロロプロピルトリアセトキシシラン、3、3、3―トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β―シアノエチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、N―(β―アミノエチル)γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、N―(β―アミノエチル)γ―アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ―アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、N―(β―アミノエチル)γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、N―(β―アミノエチル)γ―アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ―クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ―クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ―メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ―メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ―メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ―メルカプトメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン等及びこれらの加水分解物が挙げられる。
【0031】
D成分は、上述した一般式(II)で示される。その具体的な有機ケイ素化合物又はその加水分解物の例:メチレンビスメチルジメトキシシラン、エチレンビスエチルジメトキシシラン、プロピレンビスエチルジエトキシシラン、ブチレンビスメチルジエトキシシラン等及びこれらの加水分解物。
【0032】
C成分及び/又はD成分の有機ケイ素化合物は、C成分又はD成分のみで単独で、若しくはC成分及びD成分を混合して用いることができる。また、C成分を2種類以上用いること又はD成分を2種類以上用いることも可能である。
【0033】
C成分及び/又はD成分の有機ケイ素化合物の加水分解は、C成分及び/又はD成分の有機ケイ素化合物中に、塩酸水溶液、硫酸水溶液、酢酸水溶液等の酸性水溶液を添加して撹拌することにより行われる。
【0034】
有機ケイ素樹脂としては、上記のケイ素化合物の他にシリコーンワニス、シリコーンアルキッドワニス、シリコーンエポキシワニス、シリコーンアクリルワニス又はシリコーンポリエステルワニス等の変性シリコーンワニス等を用いることができる。これらは単独又は2種類以上を混合して用いることが可能である。
【0035】
その他、ビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられる。
【0036】
本願発明の(a)工程では、前記疎水性シリカ粉末と前記樹脂液とを質量比として5/95〜50/50で混合することが好ましい。
【実施例】
【0037】
1)シリカパウダー(I)
平均一次粒子径(窒素吸着法)12nm、トリメチルシリル基結合量2.0個/nm2のシリカ粉末を準備した。メチルエチルケトン中での動的光散乱法粒子径は20nmであった。
2)シリカパウダー(II)
平均一次粒子径22nm、トリメチルシリル基結合量2.4個/nm2のシリカ粉末を準備した。メチルエチルケトン中での動的光散乱法粒子径30nmであった。
3)シリカパウダー(III)
平均一次粒子径45nm、トリメチルシリル基結合量2.2個/nmのシリカ粉末を準備した。メチルエチルケトン中での動的光散乱法粒子径70nmであった。
4)エポキシ樹脂(I)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER−828、ジャパンエポキシレジン社製)を準備した。
【0038】
【化1】

【0039】
5)エポキシ樹脂(II)
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YX−8000、ジャパンエポキシレジン社製)を準備した。
【0040】
【化2】

【0041】
6)エポキシ樹脂(III)
脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド(登録商標)2021P、ダイセル化学社製)を準備した。
【0042】
【化3】

【0043】
7)エポキシ樹脂硬化剤
酸無水物(リカシッド(登録商標)MH−700、新日本理化社製)
熱酸発生剤(SI−60L、三新化学社製)
8)硬化促進剤
ヒシコーリン(登録商標)PX−4ET(日本化学工業製)
8)メタクリル酸メチル
メタクリル酸メチル(試薬、東京化成)を準備した。
9)ラジカル重合開始剤
アゾビスイソブチロニトリルを準備した。
〔実施例1〕
四つ口フラスコにエポキシ樹脂(I)50gを仕込み、浴温60℃のオイルバス中で加熱攪拌した。これにシリカパウダー(I)20gを10分間かけてゆっくりと添加した。添加後、60℃で60分間の攪拌を行なって樹脂液中にシリカパウダー(I)を均一に分散させた。次に酸無水物40gを添加して、60℃で30分間の混合攪拌を行なった後、硬化促進剤を0.5g添加して更に減圧下で2分間脱泡を行い、液状エポキシ樹脂組成物を得た。得られた液状エポキシ樹脂組成物を注型板(離型剤SR−2410処理されたガラス板3mm厚)に流し込み、100℃で2時間、150℃で4時間の硬化条件で加熱処理を行い、エポキシ樹脂硬化物を得た。
〔実施例2〜9〕
実施例1とは異なるエポキシ樹脂、シリカパウダーを使用し、実施例1と同様の条件で操作を行って液状エポキシ樹脂組成物を得た。表1にはエポキシ樹脂、シリカパウダー、硬化剤、硬化促進剤の配合割合を示した。得られた液状エポキシ樹脂組成物を注型板〔離型剤SR−2410(東レ・ダウシリコーニング社製)処理されたガラス板3mm厚〕に流し込み、100℃で2時間、150℃で4時間の硬化条件で加熱処理を行い、エポキシ樹脂硬化物を得た。
〔比較例1〜3〕
シリカパウダーを使用しなかった以外は実施例1、4、7と同様の条件で操作を行なってエポキシ樹脂硬化物を得た。
〔比較例4〕
シリカパウダー(I)の代わりにシリカパウダー(IV)(溶融法シリカ粉末[UFP−80、電気化学工業(株)製])を使用した以外は実施例1と同様の条件で操作を行なって、エポキシ樹脂硬化物を得た。
〔比較例5〕
シリカパウダー(I)の代わりにシリカパウダー(V)(気相法シリカ粉末[アエロジル(登録商標)200、比表面積200m2/g、窒素吸着法粒子径14nm、日本アエロジル(株)製])を使用した以外は実施例1と同様の条件で操作を行なって、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物は流動性が著しく高かったため、注型板に流し込むことが出来なかった。
【0044】
上述の実施例及び比較例について、得られたエポキシ樹脂硬化物の透過率、線膨張率を測定した。
(透過率の測定)
厚さ3mmの試験片について、分光光度計を用いて波長633nmの透過率を測定した。
(線膨張率の測定)
線膨張率の測定の測定は、JIS K−6911に基づき測定した。試験片の厚みを正確に測定してTMA(Thermal Mechanical Analysis)で荷重0.05N、昇温速度1℃/分で測定した。線膨張係数α1は30−80℃の長さの変化量(ΔL1)/試験片の初期の長さ(L)×50=α1で求めた。
【0045】
【表1】

〔実施例10〕(カチオン硬化)
四つ口フラスコにエポキシ樹脂(II)50gを仕込み、浴温60℃のオイルバス中で加熱攪拌した。これにシリカパウダー(I)10gを10分間かけてゆっくりと添加した。添加後、60℃で60分間の攪拌を行なって樹脂中にシリカを均一に分散させた。次に熱酸発生剤0.5gを添加して、60℃で5分間の混合攪拌を行なった後、更に減圧下で2分間脱泡を行い、液状エポキシ樹脂組成物を得た。得られた液状エポキシ樹脂組成物を注型板(離型剤SR−2410処理されたガラス板3mm厚)に流し込み、100℃で2時間、150℃で4時間の硬化条件で加熱処理を行いエポキシ樹脂硬化物を得た。
〔実施例11〜15、比較例6〜7〕
実施例10とは異なるエポキシ樹脂、シリカパウダーを使用し、実施例10と同様の条件で操作を行って液状エポキシ樹脂組成物を得た。表2にはエポキシ樹脂、シリカパウダー、硬化剤、硬化促進剤の配合割合を示した。得られた液状エポキシ樹脂組成物を注型板〔離型剤SR−2410(東レ・ダウシリコーニング社製)処理されたガラス板3mm厚〕に流し込み、100℃で2時間、150℃で4時間の硬化条件で加熱処理を行いエポキシ樹脂硬化物を得た。
【0046】
上述の実施例及び比較例について、得られたエポキシ樹脂硬化物の透過率、表面硬度を測定した。
(表面硬度)
JIS K5400 鉛筆硬度試験法により表面硬度を測定した。
【0047】
【表2】

〔実施例16〕
四つ口フラスコにメタクリル酸メチル50gを仕込み、室温にて攪拌を行ないながら、シリカパウダー(I)10gを10分間かけてゆっくりと添加した。次にラジカル重合開始剤0.5gを添加し、室温にて10分間攪拌を行なった。次いで85℃まで昇温し15分保持してシロップ状のプレポリマーを得た後、注型板(離型剤SR−2410処理されたガラス板3mm厚)に流し込み、庫内を窒素ガスで満たした乾燥機中で、90℃3時間の加熱処理を行ってアクリル樹脂硬化物を得た。
〔実施例17〜18、比較例8〕
実施例16とは異なるシリカパウダーを使用し、実施例16と同様の条件で操作を行ってアクリル樹脂硬化物を得た。表3にはメタクリル酸メチル、シリカパウダー、重合開始剤、配合割合を示した。
上述の実施例及び比較例について、得られたアクリル樹脂硬化物の透過率、表面硬度を測定した。
【0048】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0049】
本願発明により得られるポリマーシリカナノコンポジットは、線膨張率が低く、耐衝撃性が高く、透明性が高いことから、自動車、航空機、船舶、電化製品、家具、事務用品、家庭用品、包装などあらゆる樹脂が使われている製品に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(a)工程及び(b)工程を含むポリマーシリカナノコンポジットの製造方法:
(a)工程:平均一次粒子径5〜100nmの疎水性シリカ粉末と樹脂液とを混合する工程、
(b)工程:(a)工程で得られたシリカ含有樹脂液を硬化させる工程。
【請求項2】
前記疎水性シリカ粉末に、シリカ表面の1nm2当たり1.0〜5.0個のトリメチルシリル基が結合した疎水性シリカ粉末を用いる請求項1に記載のポリマーシリカナノコンポジットの製造方法。
【請求項3】
前記疎水性シリカ粉末に、メチルエチルケトン中における疎水性シリカ粉末の分散粒子径が動的光散乱法粒子径として5〜150nmである疎水性シリカ粉末を用いる請求項1又は2に記載のポリマーシリカナノコンポジットの製造方法。
【請求項4】
前記疎水性シリカ粉末と前記樹脂液との混合比が質量比として5/95〜50/50である請求項1に記載のポリマーシリカナノコンポジットの製造方法。


【公開番号】特開2012−36322(P2012−36322A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179367(P2010−179367)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】