説明

ポリマーナノ粒子

本発明は、小さい多分散性を有するポリマーナノ粒子、およびこのようなポリマーナノ粒子の調製のための光で誘起される方法に関する。本発明は、さらに、前記方法を実行するために好適な新規な光開始剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小さい多分散性を有するポリマーナノ粒子、およびこのようなポリマーナノ粒子の調製のための光で誘起される方法に関する。本発明は、さらに、前記方法を実行するために好適な新規な光開始剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー粒子は、コーティング、接着剤、インクおよび塗料の材料として、精密な型の構築および小型の材料の製造のために、広く使用されている。一方、小さい多分散性を有するマイクロ-およびナノスケールのポリマー粒子の固有の特性は、エレクトロニクス産業、例えばTFTおよびLCDディスプレイ、デジタルトナーおよびe-ペーパーの製造においてだけでなく、薬物送達システム、診断センサー、造影剤などの医療部門、ならびに多くの他の産業の分野において、十分な注意を集めている。
【0003】
ポリマーナノ粒子は、ポリマー溶液の液滴の蒸発などの物理的方法によって、または特別な重合方法を使用するナノ粒子の直接合成によって、しばしば合成される。最も一般的な方法は、懸濁重合およびエマルション重合などのラジカル重合である。
【0004】
過去数十年にわたって、膨大な数のラジカル重合方法が開発されて、重合方法および得られるポリマーナノ粒子の特性のより優れた制御を達成した。
【0005】
S. Nozariら(Macromolecules、2005、38、10449)は、サーイニファータ(sur-iniferter)としてジチオ酸を使用するポリスチレンナノ粒子の調製のための、RAFT(可逆的付加開裂連鎖移動)エマルション重合方法を記載し、これにより、1.22から1.31の多分散性指数(Mw/Mn)(以下においてM-PDIとしても表される)、110から170kg/molの平均モル質量を有するポリスチレンが得られる。
【0006】
X線照射により誘起されるエマルション重合は、S. Wang、X. Wang、Z. Zhang、Eur. Polym. J.、2007、43、178に記載されている。
【0007】
UV/Vis照射によって誘起されるエマルション重合は、P. Kuo、N. Turro、Macromolecules、1987、20、1216〜1221に記載されており、1.6から2.2のM-PDIおよび500kg/mol以下の質量平均分子量を有するポリスチレンナノ粒子を形成する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】S. Nozariら、Macromolecules、2005、38、10449
【非特許文献2】S. Wang、X. Wang、Z. Zhang、Eur. Polym. J.、2007、43、178
【非特許文献3】P. Kuo、N. Turro、Macromolecules、1987、20、1216〜1221
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の方法の産業上利用性は、毒性で、高価で、着色された、または悪臭のする化学種、例えば重金属塩、イオウ含有化合物、ならびに2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)などの安定なラジカルの使用により大きく制限される。
【0010】
結論として、小さい多分散性を有し、同時に粒子径を容易に制御することができるための、ポリマーナノ粒子の調製のための方法への要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
光で誘起されたエマルション重合による、ポリマーナノ粒子の調製のための方法が発見され、これは少なくとも以下の工程:
A) 少なくとも1つの界面活性剤、1つ以上の重合可能なモノマーを含む分散相、および水と1つ以上の光開始剤とを含む連続相を含むエマルションを調製する工程;
B) 前記エマルションを、1つ以上の光開始剤からのラジカルの発生を誘起するために十分な波長を有する電磁放射に曝露させることによって、1つ以上の重合可能なモノマーを重合する工程
を含み、
ここで、光開始剤は式(I)の化合物:
【化1】

から選択され、
ここで、
nは1または2であり、
mは1または2であり、
n=1の場合、R1は、C6〜C14-アリールまたはヘテロシクリルであり、あるいは、
C1〜C18-アルコキシ、-N(R4)2、C1〜C18-アルキル、C2〜C18-アルケニル、C7〜C20-アリールアルキルであり、
これは、1回、または2回以上、
-O-、-S-、-SO2-、-SO-、-SO2NR4-、NR4SO2-、-NR4-、-N+(R4)2An--、-CO-、-O(CO)-、(CO)O-、-O(CO)O-、-NR4(CO)NR4-、NR4(CO)-、-(CO)NR4-、-NR4(CO)O-、-O(CO)NR4-、-Si(R5)2-、-OSi(R5)2-、-OSi(R5)2O-、-Si(R5)2O-
からなる群から選択される非連続的な官能基によって遮られており、かつ、
これは、1回、または2回以上、ヘテロシクロ-ジイル、ヘテロシクロ-ジイリウム+An-、およびC6〜C14-アリールジイルからなる群から選択される二価の残基によって遮られており、かつ、
これは、さらに、または代わりに、1回、または2回以上、
ハロゲン、シアノ、アジド、エポキシ、C6〜C14-アリール、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-アルコキシ、C2〜C8-アルケニル、C1〜C8-アルキルチオ、C7〜C20-アリールアルキル、ヒドロキシ、-SO3M、-COOM、PO3M2、-PO(N(R5)2)2、PO(OR5)2、-SO2N(R4)2、-N(R4)2、-N+(R4)3An-、ヘテロシクリリウム+An-、-CO2N(R5)2、-COR4、-OCOR4、-NR4(CO)R5、-(CO)OR4、-NR4(CO)N(R4)2、-Si(OR5)y(R5)3-y、-OSi(OR5)y(R5)3-y (ここで、y=1、2または3)
からなる群から選択される置換基によって置換され、
n=2の場合、R1は、C6〜C15-アリールジイルであるか、あるいは、
C4〜C18-アルカンジイル、C4〜C18-アルケンジイル、C4〜C18-アルキンジイルであり、
これは、1回、または2回以上、
-O-、-SO2-、-NR4-、-N+(R4)2An--、-CO-、-OCO-、-O(CO)O-、NR4(CO)-、-NR4(CO)O-、O(CO)NR4-、-NR4(CO)NR4-、C6〜C15-アリール、ヘテロシクロ-ジイル、およびヘテロシクロ-ジイリウム+AN-
からなる群から選択される非連続的な基によって遮られており、かつ、
これは、さらに、または代わりに、1回、または2回以上、
ハロゲン、シアノ、C6〜C14-アリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクロ-ジイリウム+An-、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-アルコキシ、C1〜C8-アルキルチオ、-SO3M、-COOM、PO3M2、-N(R4)2、-N+(R4)3An-、-CO2N(R4)2、-OCOR4、-O(CO)OR4-、NR4(CO)R5、-NR3(CO)OR5、O(CO)N(R4)2、-NR4(CO)N(R4)2
からなる群から選択される置換基によって置換され、あるいは、
二価のビス(C6〜C15)-アリールであり、これは、1回、または2回以上、
-O-、-S-、C4〜C18-アルカンジイル、C4〜C18-アルケンジイル
からなる群から選択される基によって遮られており、
R2は、C6〜C14-アリールまたはヘテロシクリルであるか、あるいは、
C1〜C18-アルキル、C2〜C18-アルケニル、C7〜C20-アリールアルキルであり、
これは、1回、または2回以上、
-O-、-NR4-、-N+(R4)2An--、-CO-、-OCO-、-O(CO)O-、NR4(CO)-、-NR4(CO)O-、O(CO)NR4-、-NR4(CO)NR4-
からなる群から選択される非連続的な官能基によって遮られており、かつ、
これは、1回、または2回以上、ヘテロシクロ-ジイル、ヘテロシクロ-ジイリウム+An-、およびC6〜C14-アリールジイルからなる群から選択される二価の残基によって遮られており、かつ、
これは、さらに、または代わりに、1回、または2回以上、
ハロゲン、シアノ、C6〜C14-アリール、ヘテロシクリル、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-アルコキシ、C1〜C8-アルキルチオ、C2〜C8-アルケニル、C4〜C15-アリールアルキル、-COOM、-SO3M、-PO3M2、-SO2N(R4)2、-NR4SO2R5、-N(R4)2-、-N+(R4)3An-、-CO2N(R4)2、-COR4、-OCOR5、-O(CO)OR5、NR4(CO)R4、-NR4(CO)OR4、O(CO)N(R4)2、-NR4(CO)N(R4)2
からなる群から選択される置換基によって置換され、
R3は、独立に、nが1の場合にR1に対して定義した置換基を示し、
ここで、
R4は、独立に、水素、C1〜C8-アルキル、C6〜C14-アリール、C7〜C15-アリールアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から選択されるか、またはN(R4)2は全体としてN-含有複素環であるか、またはN+(R4)2An-およびN+(R4)3An-は全体として対アニオンを有するカチオン性N-含有複素環であり、
R5は、独立に、C1〜C8-アルキル、C6〜C14-アリール、C7〜C15-アリールアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から選択されるか、またはN(R5)2は全体としてN-含有複素環であるか、またはN+(R5)2An-およびN+(R5)3An-は全体として対アニオンを有するカチオン性N-含有複素環であり、
Mは水素であるか、あるいはq価の金属イオンの1/q当量であるか、あるいはアンモニウムイオン、または第一級、第二級、第三級もしくは第四級有機アンモニウムイオン、またはグアニジニウムイオンであり、
An-は、p価のアニオンの1/p当量である。
【0012】
式(I)の化合物は、国際公開第2005/014605号、国際公開第2006/056541号、および国際公開第2006/074983号に開示された手順に従って、または同様に調製することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の範囲は、一般的にまたは優先範囲もしくは好ましい実施形態の中で、お互いに、置換基の定義、パラメータ、ならびに上記および下記の例示の全ての組み合わせ、すなわち、具体的な範囲と優先範囲との間のあらゆる組み合わせを包含する。
【0014】
本明細書において使用される場合、用語「含む」、「例えば」、「など」および「ような」は、それぞれ、「含むがそれに限定されない」または「限定なく例えば」という意味を意味する。
【0015】
用語「ポリマー粒子」は、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも80質量%、より好ましくは少なくとも90質量%のポリマーを含み、1から10000nm、好ましくは5から1000nm、より好ましくは10から200nm、さらにより好ましくは10から100nmの平均粒子径を有するポリマー粒子を示す。
【0016】
一実施形態において、用語「ポリマーナノ粒子」は、上で定義した平均粒子径を有するポリマーからなるポリマーナノ粒子を示す。
【0017】
本明細書において使用される場合、平均粒子径は、光子相関分光法(PSC)または準弾性光散乱(QELS)としても知られている、動的光散乱(DLS)を使用して測定された粒子径(z平均)として定義される。これにより測定された粒子径は、しばしば流体力学直径と呼ばれ、どのように粒子が流体内を拡散したかを評価する。測定された流体力学直径は、測定された粒子と同じ移動拡散係数を有する理想的な球のものと同等である。表面の構造が大きな影響を与え得るため、DLSを使用して測定された流体力学直径は、例えば電子顕微鏡によって測定された真の直径より、かなり大きくなり得る。
【0018】
動的光散乱(DLS)において、多分散性指数(polydispersity index、PDI)は、粒子径分布の幅を評価する。これは、0から1の範囲である。0の値は、径の分布がない理想的な懸濁液を表す。0.1以下のPDI値を有する分布は単分散と呼ばれ、一方、0.1から0.3の間の値を有する分散体は、狭い径分布を有すると考えられる。0.5より大きいPDIを有する分散体は、多分散性であると考えられる。
【0019】
本明細書において表される結果は、90°の固定散乱角を有するMalvern Instruments、Malvern、UKのZetasizer 3000を使用して得られた。
【0020】
ポリマーサンプルの分子量分布(Mw/Mn)を評価する多分散性指数とDLSによって得られた粒子径のPDIとを区別するため、後者を「DLS-PDI」、前者を「M-PDI」と省略する。
【0021】
本明細書において使用される場合、他で特に記載されない限り、C6〜C14-アリールは、炭素環式芳香族置換基、好ましくはフェニル、ナフチル、フェナントレニルおよびアントラセニルを示し、前記炭素環式芳香族置換基は、置換されていないか、または環あたり最大5つの同一もしくは異なった置換基で置換される。例えば優先的に、置換基は、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素、ニトロ、シアノ、ホルミルまたは保護されたホルミル、ヒドロキシルまたは保護されたヒドロキシル、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-ハロアルキル、C1〜C8-アルコキシ、C1〜C8-ハロアルコキシ、C6〜C14-アリール、特にフェニルおよびナフチル、C7〜C15-アリールアルキル、特にベンジル、ジ(C1〜C8-アルキル)アミノ、(C1〜C8-アルキル)アミノ、CO(C1〜C8-アルキル)、OCO(C1〜C8-アルキル)、NHCO(C1〜C8-アルキル)、N(C1〜C8-アルキル)CO(C1〜C8-アルキル)、CO(C6〜C14-アリール)、OCO(C6〜C14-アリール)、NHCO(C6〜C14-アリール)、N(C1〜C8-アルキル)CO(C6〜C14-アリール)、COO-(C1〜C8-アルキル)、COO-(C6〜C14-アリール)、CON(C1〜C8-アルキル)2またはCONH(C1〜C8-アルキル)、CO2M、CONH2、SO2NH2、SO2N(C1〜C8-アルキル)2、SO3M、ならびにPO3M2からなる群から選択される。
【0022】
好ましい実施形態において、炭素環式芳香族置換基は、置換されていないか、または環あたり最大3つの同一もしくは異なった、フッ素、塩素、シアノ、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-ハロアルキル、C1〜C8-アルコキシ、C1〜C8-ハロアルコキシ、C6〜C14-アリール、特にフェニルからなる群から選択される置換基で置換される。
【0023】
より好ましい実施形態において、炭素環式芳香族置換基は、置換されていないか、または環あたり最大3つの同一もしくは異なった、フッ素、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-パーフルオロアルキル、C1〜C8-アルコキシ、C1〜C8-パーフルオロアルコキシ、およびフェニルからなる群から選択される置換基で置換される。
【0024】
優先範囲を含む上記の定義は、C7〜C20-アリールアルキル置換基のアリール部分に対しても同様に適用される。
【0025】
本明細書において使用される場合、他で特に記載されない限り、ヘテロシクリルは、複素環式の脂肪族、芳香族または脂肪族と芳香族が混合された置換基を示し、環あたり0、1、2もしくは3個の骨格原子(skeleton atom)、全体の環系中で少なくとも1つの骨格原子は、窒素、硫黄および酸素からなる群から選択されるヘテロ原子であり、これは置換されていないか、または環あたり最大5つの同一もしくは異なった置換基で置換され、置換基は、優先範囲を含む炭素環式芳香族置換基に対する上記のものと同じ基から選択される。
【0026】
好ましいヘテロシクリル-置換基は、置換されていないか、または環あたり最大3つの同一もしくは異なった、フッ素、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-パーフルオロアルキル、C1〜C8-アルコキシ、C1〜C8-パーフルオロアルコキシ、およびフェニルからなる群から選択される置換基で置換された、ピリジニル、オキサゾリル、チオフェン-イル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェン-イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、インドリル、ピリダジニル、ピラジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、およびキノリニルである。
【0027】
優先範囲を含む上記の定義は、ヘテロシクリリウムカチオン、二価のヘテロシクロ-ジイル置換基、および二価のヘテロシクロ-ジイリウムカチオンに対しても同様に適用される。
【0028】
好ましいヘテロシクリリウムカチオンは、N-(C1〜C8-アルキル)イミダゾリウムまたはピリジニウムカチオンである。
【0029】
好ましいヘテロシクロ-ジイリウムカチオンは、N,N-イミダゾール-ジイリウムカチオンである。
【0030】
本明細書において使用される場合、他で特に記載されない限り、保護されたホルミルは、アミナール、アセタール、または混合されたアミナールとアセタールへの転換によって保護されたホルミル置換基であり、アミナール、アセタール、および混合されたアミナールとアセタールは、非環式または環式である。
【0031】
例えば、優先的に、保護されたホルミルは1,1-(2,4-ジオキシシクロペンタンジイル)である。
【0032】
本明細書において使用される場合、他で特に記載されない限り、保護されたヒドロキシルは、ケタール、アセタール、または混合されたアミナールとアセタールへの転換によって保護されたヒドロキシル基であり、アミナール、アセタール、および混合されたアミナールとアセタールは、非環式または環式である。保護されたヒドロキシルの具体的な例は、テトラヒドロピラニル(O-THP)である。
【0033】
本明細書において使用される場合、他で特に記載されない限り、C1〜C18-アルキル、C1〜C18-アルカンジイル、C1〜C18-アルコキシ、C2〜C18-アルケニル、C2〜C18-アルケンジイル、およびC1〜C18-アルキンジイルは、直鎖、部分的にまたは全体として環式、分岐した、あるいは分岐していないC1〜C18-アルキル、C1〜C18-アルカンジイル、C1〜C18-アルコキシ、C2〜C18-アルケニル、C2〜C18-アルケンジイル、およびC1〜C18-アルキンジイル置換基である。同じことが、C7〜C20-アリールアルキル置換基のアルカンジイル部分に対して適用される。
【0034】
C1〜C4-アルキルの具体的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチルである。C1〜C8-アルキルに対するさらなる例は、n-ペンチル、シクロヘキシル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソオクチルである。C1〜C18-アルキルに対するさらなる例は、ノルボルニル、アダマンチル、n-デシル、n-ドデシルアルキル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシルである。
【0035】
C1〜C8-アルカンジイル置換基の具体的な例は、メチレン、1,1-エチレン、1,2-エチレン、1,1-プロピレン、1,2-プロピレン、1,3-プロピレン、1,1-ブチレン、1,2-ブチレン、2,3-ブチレンおよび1,4-ブチレン、1,5-ペンチレン、1,6-ヘキシレン、1,1-シクロへキシレン、1,4-シクロへキシレン、1,2-シクロへキシレンおよび1,8-オクチレンである。
【0036】
C1〜C4-アルコキシ置換基の具体的な例は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n-プロポキシ、n-ブトキシ、およびtert-ブトキシである。C1〜C8-アルコキシに対するさらなる例はシクロヘキシルオキシである。
【0037】
C2〜C8-アルケニル置換基の具体的な例は、アリル、3-プロペニル、およびブテン-2-イルである。
【0038】
本明細書において使用される場合、C1〜C8-ハロアルキルおよびC1〜C8-ハロアルコキシは、ハロゲン原子によって1回以上、または完全に置換された、C1〜C8-アルキルおよびC1〜C8-アルコキシ置換基である。フッ素によって完全に置換された置換基は、それぞれ、C1〜C8-パーフルオロアルキルおよびC1〜C8-パーフルオロアルコキシとして表されます。
【0039】
C1〜C8-ハロアルキル置換基の具体的な例は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、クロロメチル、フルオロメチル、ブロモメチル、2-ブロモエチル、2-クロロエチル、ノナフルオロブチル、およびn-パーフルオロオクチルである。
【0040】
工程A)において、少なくとも1つの界面活性剤、1つ以上の重合可能なモノマーを含む分散相、および水と1つ以上の光開始剤とを含む連続相を含むエマルションを調製する。
【0041】
エマルションの調製は、典型的には、成分を単純に混合し、例えば標準的な攪拌機および/または静的混合素子によって混合エネルギーを導入することによって達成され、後者は特に流通反応器において有用である。典型的には必要ではないが、混合は、強力分散装置、例えば超音波ソノトロード(ultrasound sonotrode)または高圧ホモジナイザーを使用することによってサポートされ得る。
【0042】
工程A)のエマルションの調製、または工程B)の重合、あるいは工程A)およびB)の両方は、バッチ式または連続的のどちらで行われてもよい。
【0043】
連続相は、水と少なくとも1つの光開始剤とを含み、水と混和性の溶媒をさらに含んでもよい。
【0044】
本明細書において使用される場合、用語「水と混和性の有機溶媒」は、あらゆる比で水と混和する有機溶媒を示す。
【0045】
好適な水と混和性の有機溶媒には、脂肪族アルコール、グリコール、エーテル、グリコールエーテル、ピロリジン、N-アルキルピロリジノン、N-アルキルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アミド、カルボン酸、エステル、スルホキシド、スルホン、ブチルカルビトールまたはセロソルブなどのヒドロキシエーテル誘導体、アミノアルコール、ケトン、および同様のもの、ならびにこれらの誘導体、これらの混合物が含まれるが、ただし、これらはあらゆる比で水と混和する。
【0046】
具体的な例には、メタノール、エタノール、プロパノール、ジオキサン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、ジプロピレングリコール、またはこれらの混合物が含まれる。
【0047】
水と混和する有機溶媒を加えることは、光開始剤の使用される量が、水中または水と界面活性剤の混合物中で、不溶または不完全に相溶である場合に有用である。
【0048】
一実施形態において、水性連続相中の疎水性の重合可能なモノマーの相溶性は、典型的には、反応速度、粒子径、および平均分子量が、水と混和する有機溶媒の加えられる量によって影響を受けないように上げられる。
【0049】
一実施形態において、水と混和する有機溶媒を加えることにより、反応温度を、水または水を界面活性剤の混合物の凝固点より十分に低く下げることができる。
【0050】
一実施形態において、連続相は、20質量%未満、好ましくは10質量%未満、より好ましくは5質量%未満、さらにより好ましくは2質量%未満の水と混和する有機溶媒を含む。本発明の一態様において、連続相は、水と混和する有機溶媒を含まない。
【0051】
別の実施形態において、水性連続相中の親水性の重合可能なモノマーの相溶性は、場合によって、可溶化塩、例えば塩化ナトリウムなどの無機塩を加えることによって下げることができる。無機塩の含有量は、例えば0.1から5質量%、好ましくは0.1から1質量%であってもよい。
【0052】
一実施形態において、1つ以上の式(I)の光開始剤が使用され、ここで、式(I)において:
nは1であり、
mは2であり、
R1は、C6〜C14-アリールまたはヘテロシクリルであり、あるいは、
C1〜C18-アルキル、C2〜C18-アルケニル、C7〜C15-アリールアルキルであり、
これは、1回、または2回以上、
-O-、-NR4-、-N+(R4)2An--、-CO-、-OCO-、NR4(CO)-、-(CO)NR4-
からなる群から選択される非連続的な官能基によって遮られており、かつ、
これは、さらに、または代わりに、1回、または2回以上、
ハロゲン、シアノ、エポキシ、C6〜C14-アリール、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-アルコキシ、C2〜C8-アルケニル、C4〜C15-アリールアルキル、ヒドロキシ、-SO3M、-COOM、PO3M2、-PO(N(R5)2)2、-SO2N(R4)2、-N(R4)2、-N+(R4)3An-、ヘテロシクロ-ジイリウム+An-、-CO2N(R5)2、-COR4、-OCOR4、NR4(CO)R5
からなる群から選択される置換基によって置換され、
R2は、C6〜C14-アリールまたはヘテロシクリルであるか、あるいは、
C1〜C18-アルキル、C2〜C18-アルケニル、C7〜C15-アリールアルキルであり、
これは、1回、または2回以上、
-O-、-NR4-、-N+(R4)2An--、-CO-、NR4(CO)-、-NR4(CO)O-、(CO)NR4-
からなる群から選択される非連続的な官能基によって遮られており、かつ、
これは、さらに、または代わりに、1回、または2回以上、
ハロゲン、シアノ、C6〜C14-アリール、ヘテロシクリル、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-アルコキシ、C1〜C8-アルキルチオ、C2〜C8-アルケニル、C4〜C15-アリールアルキル、-COOM、SO2N(R3)2-、-N(R4)2-、-N+(R4)3An-、-CO2N(R4)2
からなる群から選択される置換基によって置換され、
ここで、
R4は、独立に、水素、C1〜C8-アルキル、C6〜C14-アリール、C7〜C15-アリールアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から選択されるか、またはN(R4)2は全体としてN-含有複素環であるか、またはN+(R4)2An-およびN+(R4)3An-は全体として対アニオンを有するカチオン性N-含有複素環であり、
R5は、独立に、C1〜C8-アルキル、C6〜C14-アリール、C7〜C15-アリールアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から選択されるか、またはN(R5)2は全体としてN-含有複素環であるか、またはN+(R5)2An-およびN+(R5)3An-は全体として対アニオンを有するカチオン性N-含有複素環であり、
Mは水素、リチウム、ナトリウム、カリウムであるか、カルシウム、亜鉛または鉄(II)の1/2当量であるか、あるいはアルミニウム(III)の1/3当量であるか、あるいはアンモニウムイオン、または第一級、第二級、第三級もしくは第四級有機アンモニウムイオンであり、
An-は、p価のアニオンの1/p当量である。
【0053】
一実施形態において、1つ以上の式(I)の光開始剤が使用され、ここで、式(I)において:
nは1であり、
mは2であり、
R1は、C1〜C18-アルキル、C2〜C18-アルケニル、C7〜C20-アリールアルキルであり、
これは、1回、または2回以上、
-O-、-NR4-、-N+(R4)2An--、-NR4(CO)-、-(CO)NR4-
からなる群から選択される非連続的な官能基によって遮られており、かつ、
これは、さらに、または代わりに、1回、または2回以上、
ハロゲン、C6〜C14-アリール、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-アルコキシ、C2〜C8-アルケニル、ヒドロキシ、-SO3M、-COOM、PO3M2、-PO(N(R5)2)2、-SO2N(R4)2、-N(R4)2、-N+(R4)3An-、ヘテロシクロ-ジイリウム+An-、-CO2N(R5)2
からなる群から選択される置換基によって置換され、
R2は、C6〜C14-アリールであり、
ここで、
R4は、独立に、水素、C1〜C8-アルキル、C6〜C14-アリール、C7〜C15-アリールアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から選択されるか、またはN(R4)2は全体としてN-含有複素環であるか、またはN+(R4)2An-およびN+(R4)3An-は全体として対アニオンを有するカチオン性N-含有複素環であり、
R5は、独立に、C1〜C8-アルキル、C6〜C14-アリール、C7〜C15-アリールアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から選択されるか、またはN(R5)2は全体としてN-含有複素環であるか、またはN+(R5)2An-およびN+(R5)3An-は全体として対アニオンを有するカチオン性N-含有複素環であり、
Mは水素、リチウム、ナトリウム、カリウムであるか、カルシウム、亜鉛または鉄(II)の1/2当量であるか、あるいはアルミニウム(III)の1/3当量であるか、あるいはアンモニウムイオン、または第一級、第二級、第三級もしくは第四級有機アンモニウムイオンであり、
An-は、p価のアニオンの1/p当量、好ましくはハライド、カルボキシレート、C1〜C8-アルキルサルフェート、C6〜C14-アリールサルフェート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、ジハイドロジェンホスフェート、サルフェートまたはハイドロジェンホスフェートの1/2当量である。
【0054】
本発明の好ましい実施形態において、1つ以上の式(I)の光開始剤が使用され、ここで、式(I)において:
nは1であり、
mは2であり、
R1は、C1〜C18-アルキルであり、
これは、1回、または2回以上、
-O-、-NR4-、-N+(R4)2An--
からなる群から選択される非連続的な官能基によって遮られており、かつ、
これは、さらに、または代わりに、1回、または2回以上、
ハロゲン、C1〜C8-アルコキシ、ヒドロキシ、-SO3M、-COOM、PO3M2、SO2N(R4)2、-N(R4)2、-N+(R4)3An-、-CO2N(R4)2、C1〜C8-アルキルサルフェート
からなる群から選択される置換基によって置換され、
R2は、C6〜C14-アリールであり、
ここで、
R4は、独立に、水素、C1〜C8-アルキル、C6〜C14-アリール、C7〜C15-アリールアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から選択されるか、またはN(R4)2は全体としてN-含有複素環であるか、またはN+(R4)2An-およびN+(R4)3An-は全体として対アニオンを有するカチオン性N-含有複素環であり、
Mは水素、リチウム、ナトリウム、カリウムであるか、カルシウム、亜鉛または鉄(II)の1/2当量であるか、あるいはアルミニウム(III)の1/3当量であるか、あるいはアンモニウムイオン、または第一級、第二級、第三級もしくは第四級有機アンモニウムイオンであり、
An-は、p価のアニオンの1/p当量、好ましくはハライド、カルボキシレート、C1〜C8-アルキルサルフェート、C6〜C14-アリールサルフェート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、ジハイドロジェンホスフェート、サルフェートまたはハイドロジェンホスフェートの1/2当量である。
【0055】
別の好ましい実施形態において、1つ以上の式(I)の光開始剤が使用され、ここで、式(I)において:
nは1であり、
mは2であり、
R1は、C1〜C18-アルキルであり、
これは、1回、または2回以上、
-O-、-NR4-、-N+(R4)2An--、好ましくは1から10個のポリエチレングリコールエーテル基 [-OCH2CH2]x-を含むもの
からなる群から選択される非連続的な官能基によって遮られており、かつ、
これは、さらに、または代わりに、1回、または2回以上、
ヒドロキシ、-SO3M、-COOM、PO3M2、-N(R4)2、-N+(R4)3An-、ヘテロシクリリウム+An-
からなる群から選択される置換基によって置換され、
R2は、C6〜C14-アリール、好ましくはメシチルまたは2,6-ジメトキシフェニルであり、
ここで、
R4は、独立に、水素、C1〜C8-アルキル、C6〜C14-アリール、C7〜C15-アリールアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から選択されるか、またはN(R4)2は全体としてN-含有複素環であるか、またはN+(R4)2An-およびN+(R4)3An-は全体として対アニオンを有するカチオン性N-含有複素環であり、
Mは水素、リチウム、ナトリウム、カリウムであるか、カルシウムまたは亜鉛の1/2当量であるか、あるいはアンモニウムイオン、または第一級、第二級、第三級もしくは第四級有機アンモニウムイオンであり、
An-は、p価のアニオンの1/p当量、好ましくはハライド、カルボキシレート、C1〜C8-アルキルサルフェート、C6〜C14-アリールサルフェート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、ジハイドロジェンホスフェート、サルフェートまたはハイドロジェンホスフェートの1/2当量である。
【0056】
本発明による方法のために特に好適なものは、水溶性光開始剤である。前述の式(I)の光開始剤のうちのいくつかは新規のものである。
【0057】
それゆえ、本発明のさらなる一態様は、以下の式(Ia)の新規な光開始剤に関し:
【化2】

ここで、
n、m、R1からR5、およびAn-は、優先範囲を含む上で与えた意味を有するが、ただし、この分子は、
-SO3M、-COOM、PO3M2、-N+(R4)3An-、ヘテロシクリリウム+An-
からなる群から選択される、少なくとも1つの官能基または置換基を含み、
ここで、
Mはq価の金属イオンの1/q当量であるか、あるいはアンモニウムイオン、または第一級、第二級、第三級もしくは第四級有機アンモニウムイオン、またはグアニジニウムイオンである。
【0058】
最も好ましい式(Ia)の光開始剤は、式(Ia)において、以下のものである:
nは1であり、
mは2であり、
R1は、C1〜C8-アルキルであり、これは、1回、または2回以上、
-SO3M、-COOM、PO3M2、-N+(R4)3An-、およびヘテロシクリリウム+An-
からなる群から選択される置換基によって置換され、
R2は、メシチルまたは2,6-ジメトキシフェニルであり、
ここで、
R4は、独立に、水素およびC1〜C8-アルキルからなる群から選択され、
Mは、リチウム、ナトリウム、またはカリウムであるか、あるいはアンモニウムイオン、または第一級、第二級、第三級もしくは第四級有機アンモニウムイオンであり、
An-は、ハライド、カルボキシレート、C1〜C8-アルキルサルフェート、C6〜C14-アリールサルフェート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、ジハイドロジェンホスフェート、あるいはサルフェートまたはハイドロジェンホスフェートの1/2当量である。
【0059】
式(Ia)の化合物は、国際公開第2005/014605号、国際公開第2006/056541号、および国際公開第2006/074983号に開示された手順と同様に調製することができる。
【0060】
例えば、好ましくは、式(Ia)の化合物は、以下の工程:
A) 溶媒中の任意の触媒または活性剤の存在下で、リン元素をアルカリ金属またはアルカリ土類金属と接触させて、リン化金属M3P(Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属)、あるいはポリリン化アルカリ金属またはポリリン化アルカリ土類金属を得る工程;
B) 任意で、任意の触媒または活性剤の存在下で、プロトン供給源を加えて、プロトン供給源に応じて錯体として存在するリン化二水素金属MPH2を得る工程;
C) 2当量の式(III)の酸ハライド:
【化3】

とアクリル化(acrylating)して式(IV)の化合物:
【化4】

を得るか、または、
1当量の式(III)の酸ハライドと1つの式(V)の化合物:
【化5】

とアクリレート化して式(VI)の化合物:
【化6】

を得る工程;
D) 式(VIIaまたはVIIb):
【化7】

などの求電子試薬でアルキル化して、式(VIII)の化合物:
【化8】

を得る工程; ならびに
E) 式(VIII)の化合物を式(Ia)の化合物に酸化する工程
によって調製され、
ここで、式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIIa)、(VIIb)、(VIII)および(Ia)において、n、m、R1からR3は、式(Ia)に対して上で与えたものと同じ意味および優先範囲を有し、LGは離脱基、好ましくは塩素、臭素、またはヨウ素、あるいはC1〜C8-アルキルスルホニルオキシを示す。
【0061】
本発明の文脈において、式(VI)には、式(VIa)の異性体:
【化9】

も含まれる。
【0062】
工程E)による酸化は、当分野において知られている通常の方法、例えば酸素、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、または有機過酸化物を使用して行うことができる。
【0063】
式(I)または(Ia)の化合物は、R1がC1〜C18-アルコキシまたは-N(R4)2である場合、例えば、
F) 任意でプロトン化後の式(IV)または(VI)の化合物をハロゲンまたはハロゲン間化合物またはハロゲン放出化合物と反応させて、式(VIIIa)の化合物:
【化10】

を得る工程
および
G) 任意で塩基の存在下で、式(VIIIa)の化合物を式(IXa)または(IXb)の化合物:
【化11】

(ここで、RはC1〜C18-アルコキシまたは-N(R4)2である)
と反応させる工程
によって調製されてもよく、
ここで、R2からR4、nおよびmは、式(Ia)に対して上で与えたものと同じ意味および優先範囲を有し、Halはハロゲン、好ましくは塩素、臭素またはヨウ素である。
【0064】
ハロゲン放出化合物には、例えばヘキサクロロエタンが含まれる。
【0065】
一実施形態において、工程F)およびG)は、同時に行われる。
【0066】
当業者には、上で挙げた置換パターンのうちのいくつかに対して、標準的な保護および脱保護方法を、化合物の化学的収率を上げるために適用する必要があることが知られている。
【0067】
式(Ia)の化合物は、アルキル化、求核置換、酸によるプロトン化、塩基による脱プロトン化などの標準的な操作、任意で続けてイオン交換などによってさらに官能基化されて、他の式(Ia)の化合物を得てもよい。
【0068】
さらなる詳細は、実施例において与える。
【0069】
式(VIII)および(VIIIa)の化合物も、本発明の一態様である。
【0070】
エマルションは、1つ以上の重合可能なモノマーをさらに含む。
【0071】
本明細書において使用される場合、用語「重合可能なモノマー」は、ラジカル重合で重合されることができる全てのモノマーを包含する。
【0072】
好ましい重合可能なモノマーは、式(II):
【化12】

のものであり、
ここで、
R6、R7、R8およびR9は、お互い独立に、
C1〜C18-アルコキシ、C1〜C18-アルキル、C2〜C18-アルケニル、C7〜C15-アリールアルキル
からなる群から選択され、これは、1回、または2回以上、
-O-、-CO-、-OCO-、-O(CO)O-、NR4(CO)-、-NR4(CO)O-、-O(CO)NR4-、-(CO)NR4-、-NR4(CO)NR4-、-Si(R5)2-、-OSi(R5)2-、-OSi(R5)2O-、-Si(R5)2O-
からなる群から選択される非連続的な官能基によって遮られており、かつ、
これは、1回、または2回以上、ヘテロシクロ-ジイルおよびC6〜C14-アリールジイルからなる群から選択される二価の残基によって遮られており、かつ、
これは、さらに、または代わりに、1回、または2回以上、
ハロゲン、シアノ、エポキシ、C6〜C14-アリール、ヘテロシクリル、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-アルコキシ、C1〜C8-アルキルチオ、C2〜C8-アルケニル、C4〜C15-アリールアルキル、ヒドロキシ、-SO2N(R4)2、NR4SO2-R5、-N(R4)2、-CO2N(R5)2、-COR4、-OCOR4、-O(CO)OR4、NR4(CO)R5、-NR4(CO)OR5、O(CO)N(R4)2、-NR4(CO)N(R4)2、-OSi(OR5)y-3(R5)y、-Si(OR5)y-3(R5)y (ここで、y=1、2または3)
からなる群から選択される置換基によって置換される。
【0073】
好ましい重合可能なモノマーの例には、
・モノ(メタ)アクリレート、例えばメチル-、エチル-、ブチル-、2-エチルヘキシル-および2-ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレートgl;
・他の不飽和カルボン酸エステル、例えばクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ケイ皮酸、およびリノレン酸またはオレイン酸などの不飽和脂肪酸のC1〜C8-アルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ならびにメチルおよびエチルメタクリレート、アクリロニトリル;
・ポリ(メタ)アクリレート、例えばエチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレートおよびビス-フェノール-Aジアクリレート、4,4’-ビス(2-アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリ-アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ビニルアクリレート、ジビニル-ベンゼン、ジビニルスクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレート、トリス-(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(Cray ValleyからのSartomer 368)およびトリス(2-アクリロイル-エチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレン-グリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコール-モノ-(メタ)アクリレート、ポリエチレン-グリコール-ジ-(メタ)アクリレート;
・他の架橋オレフィン、例えばジビニル-ベンゼン;
・ビニルエステル、例えば酢酸ビニル;
・ビニルエーテル、例えばイソブチルビニルエーテル;
・スチレン類、例えばスチレン、および芳香環でC1〜C8-アルキル-またはハロゲンまたはスルホン酸塩によって置換されたスチレン;
・シロキサン、例えばトリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン; ならびに
・モノアルケンおよびポリアルケン、例えばイソブテン、ブタジエン、イソプレン
が含まれる。
【0074】
より好ましい重合可能なモノマーは、スチレン、パラ-メチル-スチレン、4-ビニル-ベンゾスルホン酸ナトリウム、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、グリシジルアクリレート、およびグリシジルメタクリレート、またはこれらの混合物である。
【0075】
一実施形態において、重合可能なモノマーまたは重合可能なモノマーの混合物は、連続相中の重合可能なモノマーまたは重合可能なモノマーの混合物の含有量が50g/l未満、好ましくは25g/l未満、より好ましくは10g/l未満、さらにより好ましくは2g/l未満となる量で使用される。
【0076】
一実施形態において、重合可能なモノマーまたは重合可能なモノマーの混合物は、すぐに凝集することを防ぐため、重合温度より高いガラス転移温度または融点または融解範囲を有するポリマーナノ粒子をもたらすものから選択される。
【0077】
重合可能なモノマーに対する光開始剤の質量比は、典型的には、1:5から1:100000の間、好ましくは1:10から1:10000、より好ましくは1:50から1:1000の間である。
【0078】
工程A)において、光開始剤は、全てまたは部分的のどちらかで加えられてもよい。工程A)において光開始剤が部分的に加えられる場合、残りは工程B)の間にバッチ式または連続的のどちらかで加えられ得る。
【0079】
エマルションは、少なくとも1つの界面活性剤をさらに含む。好適な界面活性剤は、例えば、非イオン性、カチオン性またはアニオン性または両性の界面活性剤である。
【0080】
好ましい界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、例えばC6〜C24-アルキルスルホネート、C6〜C24-パーフルオロアルキルスルホネート、C6〜C24-アルキルエーテルスルホネート、C7〜C24-アリールアルキルスルホネート、C6〜C24-アルキルアリールスルホネート、C1〜C24-アルキルスクシネート、C1〜C24-アルキルスルホスクシネート、N-(C1〜C24-アルキル)-サルコシネート、アシルタウレート、C6〜C24-パーフルオロアルキルカルボキシレート、C6〜C24-アルキルホスフェート、C6〜C24-アルキルエーテルホスフェート、C6〜C24-アルキルエーテルカルボキシレート、特に前述の化合物のアルカリ金属、アンモニウム-および有機アンモニウムの塩、ならびにカチオン性界面活性剤、例えば第四級アンモニウム塩またはピリジニウム塩である。
【0081】
一実施形態において、少なくとも1つの界面活性剤は、ラウリルスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸アンモニウム、ラウリルエーテルスルホン酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホン酸アンモニウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、オレイルコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリエタノールアミンドデシルベンゼンサルフェート、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、ポリエトキシ化タロウアミン、塩化ベンズアルコニウム、および塩化ベンズエトニウムからなる群から選択される。
【0082】
界面活性剤と連続相の質量比は、典型的には、1:10000から1:10の間、好ましくは1:1000から1:50の間であり、ここでその量は、エマルション中の臨界ミセル濃度(CMC)と少なくとも同じか、高くあるべきである。CMCは、ミセルの形成が観察される界面活性剤の最小の濃度として定義され、これは使用する界面活性剤の性質に依存する。
【0083】
水性連続相と分散相の質量比は、表面エネルギーおよび転相点に依存するが、典型的には、1:2から500:1の間、好ましくは1.5:1から20:1の間である。
【0084】
工程B)において、工程A)のエマルションは、光開始剤からのラジカルの発生を誘起するために十分な波長を有する電磁放射に曝露される。
【0085】
前記電磁放射に曝露する際に、光開始剤分子は、典型的には、一重項状態への励起、三重項状態への電子スピン反転、およびデフラグメンテーション(defragmentation)を受け、これにより少なくとも2つのラジカルを形成する。これらのラジカルの少なくともいくつかは、重合可能なモノマーのラジカル重合を開始することができる。
【0086】
式Iによる光開始剤にとって、ラジカルの形成は、典型的には、500nm未満、好ましくは450nm未満、より好ましくは200から450nmの範囲、さらにより好ましくは300から440nmの範囲の波長を有する電磁放射に曝露することによって誘起される。
【0087】
結果として、光開始剤からのラジカルの発生を誘起するために十分な波長を有する電磁放射の好適な供給源には、エキシマレーザー、例えばKrFおよびXeF-レーザー; UVランプ、例えば中圧、超高圧、高圧および低圧水銀ランプであって、例えばヨウ化ガリウム、ヨウ化タリウムまたは他の金属ハライドでドープされたか、あるいはされていないもの; 青色または白色LEDs; 集中した、直接または間接日光; キセノンまたはキセノン水銀アークランプ、例えば連続出力キセノンショート-またはロング-アークランプ、キセノンまたはキセノン水銀フラッシュランプ、あるいは他のフラッシュランプ; マイクロ波で励起された金属蒸気ランプ; エキシマランプ、スーパーアクチニック(superactinic)蛍光灯; 蛍光ランプ; ならびに希ガスの白熱ランプが含まれる。
【0088】
重合の間の好適な反応温度範囲の決定は、エマルション中の凍結および沸騰を避けるため、水性連続相の組成物、分散相の組成物、および反応圧力に依存する。
【0089】
工程B)による重合を行うための典型的かつ好ましい反応温度範囲は、-30℃から120℃、好ましくは-10から80℃、さらにより好ましくは0から40℃である。
【0090】
工程B)による重合を行うための典型的かつ好ましい反応圧力範囲は、100hPaから10MPa、好ましくは500hPaから1MPa、さらにより好ましくは800hPaから1.2MPaである。最も好ましくは、反応は、周囲圧力で行われる。
【0091】
水性連続相のpH値は、典型的には、標準的な条件で計算して、3から10の範囲、好ましくは5から9の範囲である。カルボン酸基を有する式(I)の化合物が使用される場合、式(I)のそれぞれの化合物のpKa値を上回るpH値が好ましい。
【0092】
電磁放射への曝露は強度によるが、典型的には、例えば1秒から24時間、好ましくは10秒から3時間続けることができる。
【0093】
一実施形態において、ラジカルの発生を誘起するために十分な波長を有する電磁放射の量は、エマルションの10J/lから500kJ/l、好ましくは100J/lから50kJ/lである。
【0094】
電磁放射への曝露後、反応は、エマルション中に残っている重合可能なモノマーに応じて、続いても続かなくてもよい。電磁放射への曝露が終わった後に重合が終わっていない場合において、反応混合物は、例えば1分から10時間さらに反応させるか、ヒドロキノン、ジフェニルジスルフィド、フェノチアジンおよび同様のものなどのラジカルスカベンジャーを加えることによって、例えば1分から10時間後にすぐに終わらせる。
【0095】
一実施形態において、重合は、60から99質量%の重合可能なモノマーを消費した後、好ましくは65から90質量%を消費した後に終わらせる。
【0096】
一実施形態において、残留した重合可能なモノマーは、標準的なストリッピングまたは蒸留法によって、得られた分散体から除去される。
【0097】
一実施形態において、この方法は、バッチ反応器または流通反応器を使用して行われ、反応器は、電磁放射によりその中に含まれるエマルションの照射を行うことができる。
【0098】
ポリマーナノ粒子は、本発明による方法を介して、水性懸濁液として得られる。
【0099】
本発明による方法の主な利点は、ナノメートルからマイクロメートルの範囲でポリマー粒子の効率的な合成を行うことができることである。前例のない径の分散性および分子量分布の制御を達成することができる。さらに、個々のポリマー鎖の分子量は、典型的には、非常に高い。
【0100】
得られるポリマーナノ粒子は、典型的には、1.00から1.50のM-PDI、好ましくは1.02から1.40のM-PDIを有する。
【0101】
さらに、ポリマーナノ粒子は、典型的には、0.05から0.50のDLS-PDI、好ましくは0.10から0.30のDLS-PDIを有する。
【0102】
ポリマーナノ粒子中のポリマー鎖の分子量は、典型的には、500kg/molより大きく5000kg/molまで、好ましくは1000kg/molから5000kg/molまでの平均質量分子量を有する。
【0103】
それゆえ、一実施形態は、0.05から0.50、好ましくは0.10から0.30のDLS-PDI、および1.00から1.50、好ましくは1.02から1.40のM-PDI、および/または500kg/molより大きく5000kg/molまで、好ましくは1000kg/molから5000kg/molまでの平均質量分子量を有するポリマーナノ粒子に関する。
【0104】
一実施形態において、ポリマーの懸濁液は、0.001から50質量%、好ましくは0.001から25質量%、さらにより好ましくは0.5から20質量%の前述のポリマーナノ粒子を含む。
【0105】
ポリマーナノ粒子は、当業者によく知られている標準的な方法を使用して、分散体中で濃縮または分散体から単離することができる。例えば、無機塩またはその溶液を懸濁液に加え、得られた混合物を遠心分離、沈降、濾過、または同様の性質の他の分離方法にかけることができる。
【0106】
一実施形態において、濃縮または単離は、膜を使用したナノ-またはマイクロ濾過によって行われる。
【0107】
一実施形態において、前述のポリマー懸濁液またはポリマーナノ粒子は、例えば、コーティング、接着剤、インク、および塗料の材料、精密な型の構築、電気物品の製造、薬物送達システム、診断センサー、ならびに造影剤に使用することができる。
【0108】
それゆえ、本発明のさらなる態様は、本発明によるポリマーナノ粒子を含む、コーティング、接着剤、インク、および塗料の材料、精密な型の構築、電気物品、薬物送達システム、診断センサー、ならびに造影剤に関する。
【0109】
本発明は、これに制限されないが、実施例によってさらに例示される。
【実施例】
【0110】
I 光開始剤およびそれらの前駆体物質の調製
1) ビス(メシトイル)リン化ナトリウムの調製
テフロン(登録商標)のねじのキャップを備えた100mLの厚肉のシュレンクフラスコ(Schlenk flask)中に、ナトリウム(1.73g、0.075mmol、3当量)および赤リン(0.78g、0.025mmol、1当量)を不活性条件下で一緒に入れた。ガラスで被覆されたマグネチックスターラーを加え、20mLのアンモニアを、ドライアイス/アセトンで-78℃まで冷却することによってフラスコ中に濃縮した。続けて、ジメトキシエタン(dme)(20mL)を加え、フラスコを閉じて室温まで温めた。室温で攪拌して90分後、青色から暗黄色への色の変化が観察され、さらに30分後、色は強い黄色になった。反応容器中の圧力は、7から8barであった。反応混合物を-40℃まで冷却した。1barの圧力を有するシュレンクフラスコを開け、tert-ブタノール(3.71g、0.05mol、2当量)を加えた。反応混合物を、2時間にわたって室温まで温めた。最終的に、溶媒を室温における真空中で完全に除去した。残留した油をdme(40mL)中に溶解した。塩化メシトイル(9.15g、0.05mol、2当量)を滴下で加えた。
【0111】
i) 乾燥条件下での生成物の単離: 反応混合物を室温で1時間攪拌し、塩化ナトリウムの沈殿物を濾過によって除去し、溶媒を真空中で蒸発させた。純粋な微結晶生成物が、ビス(メシトイル)リン化ナトリウムをdme中に溶解し、n-ヘキサンによる沈殿によって得られる(収率: 5.89g、67.7%)。
【0112】
ii) 脱気水による後処理: 反応混合物を100mLの脱気した蒸留水と混合した。塩化ナトリウムが完全に溶解するまで溶液を攪拌した後、反応混合物を50mLのトルエンで3回抽出した。真空中でトルエンを除去した後、純粋な生成物が残る。これは、少量の水を含むことができ、トルエンとの共沸蒸留によって完全に除去することができる。生成物をトルエン中に溶解し、溶媒をその後再び真空中で除去する。この手順を、2または3回繰り返す必要がある。収率は手順a)と同じである。
【0113】
融点: 208℃(分解)
【0114】
31P NMR(101.25MHz): δ=84.1ppm(br.)
【0115】
2) ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)リン化ナトリウムの調製
【化13】

【0116】
NaPH2 x 2NaOtBu(0.846g、3.41mmol、1当量)をdme(6ml)中に溶解し、0℃まで氷水浴中で冷却した。dme(8mL)中に溶解された2,6-ジメトキシ塩化ベンゾイル(1.37g、6.82mmol、2当量)を、溶液に滴下で加えた。室温で1時間の攪拌後、溶媒を真空中で除去して、ビス(2,6-ジメトキシ-ベンゾイル)リン化ナトリウムの黄色のパウダーを得た(収率: 87%、1.14g、2.97mmol)。
【0117】
31P{1H}-NMR(121.5MHz、d8-thf): δ=91.0(s)。
【0118】
3) ((2,3-ジヒドロキシプロピル)ホスホリル)ビス(メシチルメタノン)の調製
【化14】

【0119】
実施例1のビス(メシトイル)リン化ナトリウム(250mg、0.72mmol、1当量)をthf(5mL)中に溶解した。1-ブロモ-2,3-プロパンジオール(111.6mg、0.063mL、0.72mmol、1当量)を加え、溶液を終夜攪拌した。白色の沈殿物を濾過した。thfを真空中で除去し、ホスファンをエタノール(5mL)中に溶解した。過酸化水素(10%)(0.244mL、0.72mmol、1当量)を加え、溶液を終夜攪拌した。ジエチルエーテル(5mL)を加え、溶液を炭酸水素ナトリウム溶液(2%)およびブラインで洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を蒸発させた。淡黄色の生成物を得た(収率: 64%、0.46mmol、191.5mg)。
【0120】
31P NMR(121.5MHz、C6D6): δ=26.4(t、J=16.8Hz)。
【0121】
4) ((3-ブロモプロピル)ホスフィンジイル)ビス(メシチルメタノン)の調製
【化15】

【0122】
実施例1のビス(メシトイル)リン化ナトリウム(1.00g、2.88mmol、1当量)をトルエン(5.00mL)中に溶解した。この溶液を、thf(5.00mL)中の1,3-ジブロモプロパン(0.028mL、0.056g、28.8mmol、10当量)の冷却した(氷浴)溶液に滴下で加えた。その後、反応混合物を50℃で24時間攪拌して、反応を終了させた。臭化ナトリウムの白色の沈殿物を形成した。濾過によって臭化ナトリウムを除去した後、溶液を真空中で蒸発させた。残留した黄色の油をジエチルエーテル中に溶解し、脱気した塩化アンモニウム水溶液(5%)で洗浄した。エーテル溶液を硫酸ナトリウムで乾燥した後、これを室温における真空中で蒸発させ、4時間高真空で乾燥して、過剰な1,3-ジブロモプロパンを除去した(収率: 1.16g、2.59mmol、90%)。
【0123】
31P NMR: (121.5MHz、C6D6): δ=50.8(t、J=9.6Hz)。
【0124】
5) ((3-ブロモプロピル)ホスホリル)ビス(メシチルメタノン)の調製
【化16】

【0125】
実施例4の((3-ブロモプロピル)ホスフィンジイル)ビス(メシチルメタノン)(1.16g、2.59mmol、1当量)をトルエン(5mL)中に溶解し、過酸化水素(10%)(8.88mL、2.59mmol、1当量)を加えた。反応混合物を40℃で12時間攪拌した。その後、ジエチルエーテル(50mL)を加え、溶液を2回炭酸水素ナトリウム溶液(2%)で、1回ブラインで洗浄し、最終的に硫酸マグネシウムで乾燥した。室温における真空中で溶媒を除去した後、純粋な生成物を黄色の油として得た(収率: 0.97g、2.10mmol)。
【0126】
31P NMR(121.5MHz、C6D6): δ=25.83(t、J=9.7Hz)。
【0127】
6) ((3-アミノプロピル)ホスホリル)ビス(メシチルメタノン)の調製
【化17】

【0128】
実施例1のビス(メシトイル)リン化ナトリウム(22.8mg、0.065mmol、1当量)をdme(2mL)中に溶解した。臭化3-ブロモプロピルアンモニウム(14mg、0.065mmol、1当量)を室温で加えた。15分間の攪拌後、溶媒を室温における真空中で除去し、2mLのエタノールで置換した。マイクロリットルのシリンジで、過酸化水素(30%)(0.008ml、0.065mmol、1当量)を徐々に加えた。溶液を30分間攪拌した。続けて、溶媒を真空中で除去した。生成物をジエチルエーテル(2mL)中に溶解し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過およびジエチルエーテルの蒸発後、純粋な生成物を得た(収率は測定できなかった)。
【0129】
31P{1H}-NMR(121.5MHz、C6D6): δ=23.1(s)。
【0130】
7) 3-(ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)ホスフィノ)プロピルアミンの調製
【化18】

【0131】
実施例2のビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)リン化ナトリウム(25mg、0.065mmol、1当量)をdme(2mL)中に溶解した。3-ブロモプロピルアミン臭化水素酸塩(14mg、0.065mmol、1当量)を室温で加えた。反応混合物を15分間攪拌した後、溶媒を室温における真空中で除去し、エタノール(2mL)で置換した。マイクロリットルのシリンジで、過酸化水素(30%)(0.008ml、0.065mmol、1当量)を徐々に加え、溶液を30分間攪拌した。続けて、溶媒を真空中で除去した。残留物をジエチルエーテル(2mL)中に溶解し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過およびジエチルエーテルの蒸発後、純粋な生成物を得た。
【0132】
31P{1H} NMR(121.5MHz、d8-thf): δ=24.1(s)。
【0133】
8) 3-(3-(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスホリル)プロピル)-1-メチル-1H-イミダゾール-3-イウムブロミドの調製
【化19】

【0134】
実施例5の((3-ブロモプロピル)-ホスホリル)ビス(メシチルメタノン)(825mg、1.78mmol、1当量)およびメチルイミダゾール(0.15mL、155mg、1.89mmol、1.06当量)をトルエン(2mL)中に溶解した。溶液を50℃で24時間攪拌した。黄色の沈殿物を形成した。溶液を静かに移し、黄色の固体を2mLのトルエンで3回洗浄した。微結晶生成物を真空中で2時間乾燥した。
【0135】
31P NMR(101.25MHz、D2O): δ=23.1(br.)。
【0136】
9) ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)ヒドロキシエチルホスファンオキシドの調製
【化20】

【0137】
実施例2のビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)リン化ナトリウム(25mg、0.065mmol、1当量)をdme(2mL)中に溶解した。マイクロリットルのシリンジで、2-ブロモエタノール(0.005ml、0.065mmol、1当量)を室温で加えた。反応混合物を15分間攪拌した後、溶媒を室温における真空中で除去し、エタノール(2mL)で置換した。この溶液に過酸化水素(30%)(0.008ml、0.065mmol、1当量)をマイクロリットルのシリンジで徐々に加えた。溶液を5分間攪拌した。続けて、溶媒を真空中で除去した(収率: 76%、0.05mmol、20.85mg)。
【0138】
31P NMR(101.3MHz、d8-thf): δ=26.47(br.)。
【0139】
10) 2-(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィノ)酢酸の調製
【化21】

【0140】
実施例1のビス(メシトイル)リン化ナトリウム(1.00g、2.88mmol、1当量)をthf(5.00mL)中に溶解した。ブロモ酢酸(0.40g、2.88mmol、1当量)をthf(5.00mL)中に溶解した。溶液を一緒に入れ、室温で24時間攪拌した。臭化ナトリウムの白色の沈殿物を形成した。濾過によって臭化ナトリウムを除去した後、溶液を真空中で蒸発させた。残留した黄色の油をジエチルエーテル中に溶解し、脱気した塩化アンモニウム水溶液(5%)で洗浄した。エーテル溶液を硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を室温における真空中で蒸発させ、高真空で4時間乾燥した(収率: 0.96g、2.51mmol、87%)。
【0141】
31P NMR(101.3MHz、C6D6): δ=46.7。
【0142】
11) 2-(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスホリル)酢酸(BAPO-酢酸)の調製
【化22】

【0143】
実施例10の2-(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィノ)酢酸(1.00g、2.60mmol、1当量)を脱気したエタノール(5.00mL)中に溶解し、過酸化水素(30%)(0.29mL、2.60mmol、1当量)を加えた。溶液を40℃で1時間攪拌した。エタノールを室温における真空中で除去した。白色の結晶性パウダーが得られ、これは40℃の温水から容易に再結晶できた(収率: 定量)。
【0144】
31P NMR(121.5MHz、C6D6): δ=19.6(t、J=10.9Hz)。
【0145】
12) 2-(ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)ホスフィノ)酢酸(MeOBAP酢酸)の調製
【化23】

【0146】
実施例2のビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)リン化ナトリウム(100mg、0.26mmol、1当量)をdme(5mL)中に溶解し、ブロモ酢酸(36mg、0.26mmol、1当量)をdme(2mL)中に溶解してこの溶液に室温で加えた。反応混合物を2時間攪拌した後、溶媒を室温における真空中で除去した(収率は測定できなかった)。
【0147】
31P{1H}-NMR(101.3MHz、C6D6): δ=49.2(s)。
【0148】
13) 2-(ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)ホスホリル)酢酸(MeOBAPO-酢酸)の調製
【化24】

【0149】
エタノール(4mL)中の実施例12のMeOBAP-酢酸の溶液(109mg、0.26mmol、1当量)に、過酸化水素(30%)(0.03ml、0.26mmol、1当量)を徐々に加えた。反応混合物を30分間攪拌した。続けて、溶媒を真空中で除去し、MeOBAPO-酢酸をもう一度エタノール中に溶解した。臭化ナトリウムの濾過後、溶媒を真空中で蒸発させて、結晶性MeOBAPO-酢酸を得た(収率: 78%、88mg、0.20mmol)。
【0150】
31P{1H}-NMR(121.5MHz、d8-thf): δ=22.2(s)。
【0151】
14) 11-(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスホリル)ウンデカン酸(BAPO-ウンデカン酸)の調製
【化25】

【0152】
20mLのシュレンクフラスコ中に、実施例1のビス(メシトイル)リン化ナトリウム(251.9mg、0.724mmol、1当量)をthf(5.00mL)中に溶解した。11-ブロモ-ウンデカン酸(197.8mg、0.72mmol、1当量)を加え、溶液を40℃で2日間攪拌した。臭化ナトリウムの白色の沈殿物を濾過し、黄色の濾液の溶媒を室温における真空中で除去した。ホスファンが黄色の油として残留する(31P NMR(C6D6、81.0MHz): δ=51.5)。ホスファンをエタノール中に溶解した後、過酸化水素(10%)(0.24g、0.72mmol、1当量)を加え、溶液を40℃で40分間攪拌した。エタノールを室温における真空中で蒸発させ、固体の淡黄色の生成物を高真空中で乾燥した(収率: 312.3mg、0.594mmol、82%)。
【0153】
31P NMR(121.5MHz、C6D6): δ=18.12(t、JCP=9.8Hz)。
【0154】
UV/Vis(アセトニトリル): 284nm(max.)、311nm(max.)、384nm(max.)。
【0155】
15) ナトリウム2-(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスホリル)アセテート(Na-BAPO-アセテート)の調製
【化26】

【0156】
実施例11のBAPO-酢酸(0.1g、0.25mmol、1当量)を蒸留水(2mL)中に懸濁し、炭酸水素ナトリウム(21.0mg、0.25mmol、1当量)を加えた。透明な淡黄色の溶液を得た。水を室温における真空中で除去した後、淡黄色の結晶性パウダーを単離した(収率: 定量)。同じ手順を行って、炭酸塩または炭酸水素塩から他のBAPO-酢酸の塩を合成することができる(例えば、炭酸水素カリウム、または炭酸リチウム)。
【0157】
31P NMR(121.5MHz、D2O): δ=23.6(t、J=10.8Hz)。
【0158】
16) ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-N-ピペリジニルホスファンオキシドの調製
【化27】

【0159】
実施例2のビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)リン化ナトリウム(200mg、0.52mmol、1当量)をthf(5mL)中に溶解した。酢酸(0.03mL、0.52mmol、1当量)を室温で加えた。反応混合物を2時間攪拌した後、溶媒を室温における真空中で除去した。2-プロパノール(10mL)を加え、溶液を70℃における大気条件下で80時間攪拌した。溶媒をジクロロメタン(5mL)で置換した。この溶液にトリエチルアミン(0.07mL、0.52mmol、1当量)およびピペリジン(0.05mL、0.52mmol、1当量)を加えた。最終的に、反応混合物を氷浴で0℃まで冷却し、ジクロロメタン(5mL)中のヘキサクロロエタン(107mg、0.52mmol、1当量)を滴下で加えた。溶液を0℃で2時間攪拌した。続けて、溶媒を真空中で除去した(収率: 41%、0.21mmol、96.9mg)。
【0160】
31P NMR(101.3MHz、C6D6): δ=-4.7(s)。
【0161】
II) 光開始エマルション重合
17) ポリ(酢酸ビニル)粒子の合成
酸素を排除したシュレンクフラスコ中に、3mLのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の10%脱気水溶液、6mLの脱気した脱イオン水、1mLの実施例15のNa-BAPO-アセテートの1%水溶液、および2mLの酢酸ビニル(MP アルミナ N上の濾過によって精製、活性度 1、脱気)を混合した。5分間激しく攪拌(攪拌機: RCT Basic、IKA Labortechnik、Stage 6)した後、得られたエマルションを10分間、中圧水銀ランプ(DURAN 50 ガラスマントル中のTQ 150、UV-Consulting Peschl)で照射して、ラテックスを得た。サンプルを、光を排除して、アルゴン雰囲気下でさらに24時間攪拌した。続けて、少量のラテックスを、粒子径および固形分含有量を測定するために取り除いた。光散乱測定のために、0.1mLのラテックスを5mLの水で希釈した。固形分含有量の測定のために、1mLのサンプル溶液をペトリ皿中の海砂(乾燥オーブン中において130℃で入念に乾燥した)の上に与えた。続けて、サンプルを真空下の乾燥オーブン中(Vacucell、MMM Medcenter GmbH)に110℃で24時間保ち、全ての揮発性物質(溶媒、未反応のモノマー)を除去した。
【0162】
物質中のポリマーを単離するために、塩化ナトリウム飽和水溶液をラテックスに加えた。ポリマーを遠心分離(3K 30 Sigmaの遠心分離機中において25000rpmで10分間)によって単離した。この手順を3回繰返して、白色のパウダーを得た。
【0163】
分析結果:
動的光散乱(DLS)(水で希釈後):
Z-平均: 35nm
DLS-PDI=0.16
固形分含有量: 13.8%(71%の転化率)。
【0164】
18) ポリ(アクリル酸ブチルエステル)粒子の合成
酸素を排除したシュレンクフラスコ中に、2mLのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の10%脱気水溶液、7mLの脱気した脱イオン水、1mLの実施例15のNa-BAPO-アセテートの1%水溶液、および2mLのアクリル酸ブチルエステル(MP アルミナ N上の濾過によって精製、活性度 1、脱気)を混合した。5分間激しく攪拌(攪拌機: RCT Basic、IKA Labortechnik、Stage 6)した後、得られたエマルションを10分間、中圧水銀ランプ(DURAN 50 ガラスマントル中のTQ 150、UV-Consulting Peschl)で照射して、ラテックスを得た。サンプルを、光を排除して、アルゴン雰囲気下でさらに24時間攪拌した。続けて、少量のラテックスを、粒子径および固形分含有量を測定するために取り除いた。光散乱測定のために、0.1mLのラテックスを5mLの水で希釈した。固形分含有量の測定のために、1mLのサンプル溶液をペトリ皿中の海砂(乾燥オーブン中において130℃で入念に乾燥した)の上に与えた。続けて、サンプルを真空下の乾燥オーブン中(Vacucell、MMM Medcenter GmbH)に110℃で24時間保ち、全ての揮発性物質(溶媒、未反応のモノマー)を除去した。
【0165】
物質中のポリマーを単離するために、塩化ナトリウム飽和水溶液をラテックスに加えた。ポリマーを遠心分離(3K 30 Sigmaの遠心分離機中において25000rpmで10分間)によって単離した。この手順を3回繰返して、白色のパウダーを得た。
【0166】
分析結果:
動的光散乱(DLS)(水で希釈後):
Z-平均: 42nm
DLS-PDI=0.12
固形分含有量: 15.7%(92%の転化率)。
【0167】
19) ポリ(パラ-メチルスチレン)粒子の合成
酸素を排除したシュレンクフラスコ中に、50mgのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、10mLの脱気した脱イオン水、0.5mLの実施例15のNa-BAPO-アセテートの1%水溶液、および3mLのパラ-メチルスチレン(MP アルミナ N上の濾過によって精製、活性度 1、脱気)を混合した。5分間激しく攪拌(攪拌機: RCT Basic、IKA Labortechnik、Stage 6)した後、得られたエマルションを10分間、中圧水銀ランプ(DURAN 50 ガラスマントル中のTQ 150、UV-Consulting Peschl)で照射して、ラテックスを得た。サンプルを、光を排除して、アルゴン雰囲気下でさらに24時間攪拌した。続けて、少量のラテックスを、粒子径および固形分含有量を測定するために取り除いた。光散乱測定のために、0.1mLのラテックスを5mLの水で希釈した。固形分含有量の測定のために、1mLのサンプル溶液をペトリ皿中の海砂(乾燥オーブン中において130℃で入念に乾燥した)の上に与えた。続けて、サンプルを真空下の乾燥オーブン中(Vacucell、MMM Medcenter GmbH)に110℃で24時間保ち、全ての揮発性物質(溶媒、未反応のモノマー)を除去した。
【0168】
物質中のポリマーを単離するために、メタノール中の塩化ナトリウム飽和溶液をラテックスに加えた。ポリマーを遠心分離(3K 30 Sigmaの遠心分離機中において25000rpmで10分間)によって単離した。この手順を3回繰返して、白色のパウダーを得た。
【0169】
分析結果:
動的光散乱(DLS)(水で希釈後):
Z-平均: 59nm
DLS-PDI=0.28
固形分含有量: 16.0%(89%の転化率)。
【0170】
20) スチレン/4-ビニル-ベンゼンスルホン酸ナトリウムからのコポリマー粒子の合成
酸素を排除したシュレンクフラスコ中に、100mgの4-ビニル-ベンゼンスルホン酸ナトリウム、2mLのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の10%脱気水溶液、8mLの脱気した脱イオン水、1mLの実施例15のNa-BAPO-アセテートの1%水溶液、および2mLのスチレン(MP アルミナ N上の濾過によって精製、活性度 1、脱気)を混合した。5分間激しく攪拌(攪拌機: RCT Basic、IKA Labortechnik、Stage 6)した後、得られたエマルションを10分間、中圧水銀ランプ(DURAN 50 ガラスマントル中のTQ 150、UV-Consulting Peschl)で照射して、ラテックスを得た。サンプルを、光を排除して、アルゴン雰囲気下でさらに24時間攪拌した。続けて、少量のラテックスを、粒子径および固形分含有量を測定するために取り除いた。光散乱測定のために、0.1mLのラテックスを5mLの水で希釈した。固形分含有量の測定のために、1mLのサンプル溶液をペトリ皿中の海砂(乾燥オーブン中において130℃で入念に乾燥した)の上に与えた。続けて、サンプルを真空下の乾燥オーブン中(Vacucell、MMM Medcenter GmbH)に110℃で24時間保ち、全ての揮発性物質(溶媒、未反応のモノマー)を除去した。
【0171】
物質中のポリマーを単離するために、メタノール中の塩化ナトリウム飽和溶液をラテックスに加えた。ポリマーを遠心分離(3K 30 Sigmaの遠心分離機中において25000rpmで10分間)によって単離した。この手順を3回繰返して、白色のパウダーを得た。
【0172】
分析結果:
動的光散乱(DLS)(水で希釈後):
Z-平均: 29nm
DLS-PDI=0.15
固形分含有量: 14.6%(74%の転化率)。
【0173】
21) スチレン/メタクリル酸ブチルエステルからのコポリマー粒子の合成
酸素を排除したシュレンクフラスコ中に、4mLのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の10%脱気水溶液、7mLの脱気した脱イオン水、1mLの実施例15のNa-BAPO-アセテートの1%水溶液、1.2mLのスチレン(MP アルミナ N上の濾過によって精製、活性度 1、脱気)、および0.8mLのメタクリル酸ブチルエステル(MP アルミナ N上の濾過によって精製、活性度 1、脱気)を混合した。5分間激しく攪拌(攪拌機: RCT Basic、IKA Labortechnik、Stage 6)した後、得られたエマルションを10分間、中圧水銀ランプ(DURAN 50 ガラスマントル中のTQ 150、UV-Consulting Peschl)で照射して、ラテックスを得た。サンプルを、光を排除して、アルゴン雰囲気下でさらに24時間攪拌した。続けて、少量のラテックスを、粒子径および固形分含有量を測定するために取り除いた。光散乱測定のために、0.1mLのラテックスを5mLの水で希釈した。固形分含有量の測定のために、1mLのサンプル溶液をペトリ皿中の海砂(乾燥オーブン中において130℃で入念に乾燥した)の上に与えた。続けて、サンプルを真空下の乾燥オーブン中(Vacucell、MMM Medcenter GmbH)に110℃で24時間保ち、全ての揮発性物質(溶媒、未反応のモノマー)を除去した。
【0174】
物質中のポリマーを単離するために、塩化ナトリウム飽和水溶液をラテックスに加えた。ポリマーを遠心分離(3K 30 Sigmaの遠心分離機中において25000rpmで10分間)によって単離した。この手順を3回繰返して、白色のパウダーを得た。
【0175】
分析結果:
動的光散乱(DLS)(水で希釈後):
Z-平均: 22nm
DLS-PDI=0.15
固形分含有量: 15.5%(87%の転化率)。
【0176】
22) スチレン/アクリロニトリルからのコポリマー粒子の合成
酸素を排除したシュレンクフラスコ中に、2mLのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の10%脱気水溶液、9mLの脱気した脱イオン水、1mLの実施例15のNa-BAPO-アセテートの1%水溶液、1.6mLのスチレン(MP アルミナ N上の濾過によって精製、活性度 1、脱気)、および0.4mLのアクリロニトリル(MP アルミナ N上の濾過によって精製、活性度 1、脱気)を混合した。5分間激しく攪拌(攪拌機: RCT Basic、IKA Labortechnik、Stage 6)した後、得られたエマルションを10分間、中圧水銀ランプ(DURAN 50 ガラスマントル中のTQ 150、UV-Consulting Peschl)で照射して、ラテックスを得た。サンプルを、光を排除して、アルゴン雰囲気下でさらに24時間攪拌した。続けて、少量のラテックスを、粒子径および固形分含有量を測定するために取り除いた。光散乱測定のために、0.1mLのラテックスを5mLの水で希釈した。固形分含有量の測定のために、1mLのサンプル溶液をペトリ皿中の海砂(乾燥オーブン中において130℃で入念に乾燥した)の上に与えた。続けて、サンプルを真空下の乾燥オーブン中(Vacucell、MMM Medcenter GmbH)に110℃で24時間保ち、全ての揮発性物質(溶媒、未反応のモノマー)を除去した。
【0177】
物質中のポリマーを単離するために、塩化ナトリウム飽和水溶液をラテックスに加えた。ポリマーを遠心分離(3K 30 Sigmaの遠心分離機中において25000rpmで10分間)によって単離した。この手順を3回繰返して、白色のパウダーを得た。
【0178】
分析結果:
動的光散乱(DLS)(水で希釈後):
Z-平均: 46nm
DLS-PDI=0.12
固形分含有量: 10.0%(58%の転化率)。
【0179】
23) スチレン/メタクリル酸グリシジルエステルからのコポリマー粒子の合成
酸素を排除したシュレンクフラスコ中に、20mgの実施例15のNa-BAPO-アセテート、200mgのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、12mLの脱気した脱イオン水、1.5mLのスチレン(MP アルミナ N上の濾過によって精製、活性度 1、脱気)、および0.5mLのメタクリル酸グリシジルエステル(MP アルミナ N上の濾過によって精製、活性度 1、脱気)を混合した。5分間激しく攪拌(攪拌機: RCT Basic、IKA Labortechnik、Stage 6)した後、得られたエマルションを10分間、中圧水銀ランプ(DURAN 50 ガラスマントル中のTQ 150、UV-Consulting Peschl)で照射して、ラテックスを得た。サンプルを、光を排除して、アルゴン雰囲気下でさらに24時間攪拌した。続けて、少量のラテックスを、粒子径および固形分含有量を測定するために取り除いた。光散乱測定のために、0.1mLのラテックスを5mLの水で希釈した。固形分含有量の測定のために、1mLのサンプル溶液をペトリ皿中の海砂(乾燥オーブン中において130℃で入念に乾燥した)の上に与えた。続けて、サンプルを真空下の乾燥オーブン中(Vacucell、MMM Medcenter GmbH)に110℃で24時間保ち、全ての揮発性物質を除去した。
【0180】
物質中のポリマーを単離するために、塩化ナトリウム飽和水溶液をラテックスに加えた。ポリマーを遠心分離(3K 30 Sigmaの遠心分離機中において25000rpmで10分間)によって単離した。この手順を3回繰返して、白色のパウダーを得た。
【0181】
分析結果:
動的光散乱(DLS)(水で希釈後):
Z-平均: 35nm
DLS-PDI=0.12
固形分含有量: 12.7%(95%の転化率)。
【0182】
24) 臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)を有するポリ(スチレン)粒子の合成
酸素を排除したシュレンクフラスコ中に、12mgの実施例15のNa-BAPO-アセテート、380mgの臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、30mLの脱気した脱イオン水、および5mLのスチレン(減圧下で蒸留、脱気)を混合した。5分間激しく攪拌(攪拌機: RCT Basic、IKA Labortechnik、Stage 6)した後、得られたエマルションを30分間、中圧水銀ランプ(DURAN 50 ガラスマントル中のTQ 150、UV-Consulting Peschl)で照射して、ラテックスを得た。サンプルを、光を排除して、アルゴン雰囲気下でさらに24時間攪拌した。続けて、少量のラテックスを、粒子径および固形分含有量を測定するために取り除いた。光散乱測定のために、0.1mLのラテックスを5mLの水で希釈した。固形分含有量の測定のために、1mLのサンプル溶液をペトリ皿中の海砂(乾燥オーブン中において130℃で入念に乾燥した)の上に与えた。続けて、サンプルを真空下の乾燥オーブン中(Vacucell、MMM Medcenter GmbH)に110℃で24時間保ち、全ての揮発性物質(溶媒、未反応のモノマー)を除去した。
【0183】
物質中のポリマーを単離するために、塩化ナトリウム飽和水溶液をラテックスに加えた。ポリマーを遠心分離(3K 30 Sigmaの遠心分離機中において25000rpmで10分間)によって単離した。この手順を3回繰返して、白色のパウダーを得た。
【0184】
分析結果:
動的光散乱(DLS)(水で希釈後):
Z-平均: 63nm
DLS-PDI=0.18
固形分含有量: 9.2%(71%の転化率)。
【0185】
25)から27) ドデシル硫酸ナトリウム、SDSの存在下におけるポリ(スチレン)粒子の合成
全ての実施例を以下の手順に従って行った:
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、スチレン(10g)、脱気した水(33.5g)、および実施例15のNa-BAPO-アセテートを混合した。反応混合物を激しく攪拌し、中圧水銀ランプ(DURAN 50 ガラスマントル中のTQ 150、UV-Consulting Peschl)の照射に曝した。
【0186】
25) 粒子径および重合時間の比較(遅れたクエンチング)
粒子径に対する照射時間の影響を調べるために、サンプルを照射中に連続的に反応混合物から取り出した。前記サンプルをアルゴン雰囲気下のフラスコに入れ、72時間から照射時間を引いた時間、暗所で攪拌した。72時間後、反応混合物を、1滴のヒドロキノン水溶液(1%)を加えることによってクエンチした。
【0187】
SDS: 100mg、実施例15のNa-BAPO-アセテート: 20mg。
【0188】
結果: 約1時間の照射後、収率は90%を超え、粒子径は30分後の約65nmから3時間の照射後の約110nmまで連続的に増加した。
【0189】
26) 粒子径および重合時間の比較(すぐにクエンチング)
粒子径に対する照射時間の影響を調べるために、サンプルを照射中に連続的に反応混合物から取り出した。前記サンプルを、1滴のヒドロキノン水溶液(1%)を加えることによってすぐにクエンチした。
【0190】
SDS: 100mg、実施例15のNa-BAPO-アセテート: 20mg。
【0191】
結果: 約1時間の照射後、収率は90%を超え、粒子径は3時間の照射の間、約65nmから約70nmの範囲で完全に一定だった。
【0192】
27) 光開始剤濃度の影響
粒子径に対する光開始剤濃度の影響を調べるために、反応混合物を10分間照射し、その後すぐに反応をヒドロキノンでクエンチした。
【0193】
SDS: 100mg、実施例15のNa-BAPO-アセテート: 0.1mgから20mg。
【0194】
結果: 1から10mgの光開始剤に対しては、粒子径は約48nmの一定のレベルであり、より高濃度に対しては、粒子径は20mgの光開始剤における約30nmに達するまで常に減少し、0.1mgの光開始剤に対しては、50nmの初期粒子径が観察された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光で誘起されたエマルション重合による、ポリマーナノ粒子の調製のための方法であって、これは少なくとも以下の工程:
A) 少なくとも1つの界面活性剤、1つ以上の重合可能なモノマーを含む分散相、および水と1つ以上の光開始剤とを含む連続相を含むエマルションを調製する工程;
B) 前記エマルションを、1つ以上の光開始剤からのラジカルの発生を誘起するために十分な波長を有する電磁放射に曝露させることによって、1つ以上の重合可能なモノマーを重合する工程
を含み、
ここで、光開始剤は式(I)の化合物:
【化1】

から選択され、
ここで、
nは1または2であり、
mは1または2であり、
n=1の場合、R1は、C6〜C14-アリールまたはヘテロシクリルであり、あるいは、
C1〜C18-アルコキシ、-N(R4)2、C1〜C18-アルキル、C2〜C18-アルケニル、C7〜C20-アリールアルキルであり、
これは、1回、または2回以上、
-O-、-S-、-SO2-、-SO-、-SO2NR4-、NR4SO2-、-NR4-、-N+(R4)2An--、-CO-、-O(CO)-、(CO)O-、-O(CO)O-、-NR4(CO)NR4-、NR4(CO)-、-(CO)NR4-、-NR4(CO)O-、-O(CO)NR4-、-Si(R5)2-、-OSi(R5)2-、-OSi(R5)2O-、-Si(R5)2O-
からなる群から選択される非連続的な官能基によって遮られており、かつ、
これは、1回、または2回以上、ヘテロシクロ-ジイル、ヘテロシクロ-ジイリウム+An-、およびC6〜C14-アリールジイルからなる群から選択される二価の残基によって遮られており、かつ、
これは、さらに、または代わりに、1回、または2回以上、
ハロゲン、シアノ、アジド、エポキシ、C6〜C14-アリール、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-アルコキシ、C2〜C8-アルケニル、C1〜C8-アルキルチオ、C7〜C20-アリールアルキル、ヒドロキシ、-SO3M、-COOM、PO3M2、-PO(N(R5)2)2、PO(OR5)2、-SO2N(R4)2、-N(R4)2、-N+(R4)3An-、ヘテロシクリリウム+An-、-CO2N(R5)2、-COR4、-OCOR4、-NR4(CO)R5、-(CO)OR4、-NR4(CO)N(R4)2、-Si(OR5)y(R5)3-y、-OSi(OR5)y(R5)3-y (ここで、y=1、2または3)
からなる群から選択される置換基によって置換され、
n=2の場合、R1は、C6〜C15-アリールジイルであるか、あるいは、
C4〜C18-アルカンジイル、C4〜C18-アルケンジイル、C4〜C18-アルキンジイルであり、
これは、1回、または2回以上、
-O-、-SO2-、-NR4-、-N+(R4)2An--、-CO-、-OCO-、-O(CO)O-、NR4(CO)-、-NR4(CO)O-、O(CO)NR4-、-NR4(CO)NR4-、C6〜C15-アリール、ヘテロシクロ-ジイル、およびヘテロシクロ-ジイリウム+AN-
からなる群から選択される非連続的な基によって遮られており、かつ、
これは、さらに、または代わりに、1回、または2回以上、
ハロゲン、シアノ、C6〜C14-アリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクロ-ジイリウム+An-、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-アルコキシ、C1〜C8-アルキルチオ、-SO3M、-COOM、PO3M2、-N(R4)2、-N+(R4)3An-、-CO2N(R4)2、-OCOR4、-O(CO)OR4、NR4(CO)R5、-NR3(CO)OR5、O(CO)N(R4)2、-NR4(CO)N(R4)2
からなる群から選択される置換基によって置換され、あるいは、
二価のビス(C6〜C15)-アリールであり、これは、1回、または2回以上、
-O-、-S-、C4〜C18-アルカンジイル、C4〜C18-アルケンジイル
からなる群から選択される基によって遮られており、
R2は、C6〜C14-アリールまたはヘテロシクリルであるか、あるいは、
C1〜C18-アルキル、C2〜C18-アルケニル、C7〜C20-アリールアルキルであり、
これは、1回、または2回以上、
-O-、-NR4-、-N+(R4)2An--、-CO-、-OCO-、-O(CO)O-、NR4(CO)-、-NR4(CO)O-、O(CO)NR4-、-NR4(CO)NR4-
からなる群から選択される非連続的な官能基によって遮られており、かつ、
これは、1回、または2回以上、ヘテロシクロ-ジイル、ヘテロシクロ-ジイリウム+An-、およびC6〜C14-アリールジイルからなる群から選択される二価の残基によって遮られており、かつ、
これは、さらに、または代わりに、1回、または2回以上、
ハロゲン、シアノ、C6〜C14-アリール、ヘテロシクリル、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-アルコキシ、C1〜C8-アルキルチオ、C2〜C8-アルケニル、C4〜C15-アリールアルキル、-COOM、-SO3M、-PO3M2、-SO2N(R4)2、-NR4SO2R5、-N(R4)2-、-N+(R4)3An-、-CO2N(R4)2、-COR4、-OCOR5、-O(CO)OR5、NR4(CO)R4、-NR4(CO)OR4、O(CO)N(R4)2、-NR4(CO)N(R4)2
からなる群から選択される置換基によって置換され、
R3は、独立に、nが1の場合にR1に対して定義した置換基を示し、
ここで、
R4は、独立に、水素、C1〜C8-アルキル、C6〜C14-アリール、C7〜C15-アリールアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から選択されるか、またはN(R4)2は全体としてN-含有複素環であるか、またはN+(R4)2An-およびN+(R4)3An-は全体として対アニオンを有するカチオン性N-含有複素環であり、
R5は、独立に、C1〜C8-アルキル、C6〜C14-アリール、C7〜C15-アリールアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から選択されるか、またはN(R5)2は全体としてN-含有複素環であるか、またはN+(R5)2An-およびN+(R5)3An-は全体として対アニオンを有するカチオン性N-含有複素環であり、
Mは水素であるか、あるいはq価の金属イオンの1/q当量であるか、あるいはアンモニウムイオン、または第一級、第二級、第三級もしくは第四級有機アンモニウムイオン、またはグアニジニウムイオンであり、
An-は、p価のアニオンの1/p当量である、方法。
【請求項2】
式(I)において、
nは1であり、
mは2であり、
R1は、C1〜C18-アルキルであり、
これは、1回、または2回以上、
-O-、-NR4-、-N+(R4)2An--
からなる群から選択される非連続的な官能基によって遮られており、かつ、
これは、さらに、または代わりに、1回、または2回以上、
ハロゲン、C1〜C8-アルコキシ、ヒドロキシ、-SO3M、-COOM、PO3M2、-SO2N(R4)2、-N(R4)2、-N+(R4)3An-、-CO2N(R4)2、C1〜C8-アルキルサルフェート
からなる群から選択される置換基によって置換され、
R2は、C6〜C14-アリールであり、
ここで、
R4は、独立に、水素、C1〜C8-アルキル、C6〜C14-アリール、C7〜C15-アリールアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から選択されるか、またはN(R4)2は全体としてN-含有複素環であるか、またはN+(R4)2An-およびN+(R4)3An-は全体として対アニオンを有するカチオン性N-含有複素環であり、
Mは水素、リチウム、ナトリウム、カリウムであるか、カルシウム、亜鉛または鉄(II)の1/2当量であるか、あるいはアルミニウム(III)の1/3当量であるか、あるいはアンモニウムイオン、または第一級、第二級、第三級もしくは第四級有機アンモニウムイオンであり、
An-は、p価のアニオンの1/p当量である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)において、
nは1であり、
mは2であり、
R1は、C1〜C8-アルキルであり、
これは、1回、または2回以上、
-O-、-NR4-、-N+(R4)2An--、好ましくは1から10個のポリエチレングリコールエーテル基 [-OCH2CH2]x-
からなる群から選択される非連続的な官能基によって遮られており、かつ、
これは、さらに、または代わりに、1回、または2回以上、
ヒドロキシ、-SO3M、-COOM、PO3M2、-N(R4)2、-N+(R4)3An-、ヘテロシクリリウム+An-
からなる群から選択される置換基によって置換され、
R2は、C6〜C14-アリール、好ましくはメシチルまたは2,6-ジメトキシフェニルであり、
ここで、
R4は、独立に、水素、C1〜C8-アルキル、C6〜C14-アリール、C7〜C15-アリールアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から選択されるか、またはN(R4)2は全体としてN-含有複素環であるか、またはN+(R4)2An-およびN+(R4)3An-は全体として対アニオンを有するカチオン性N-含有複素環であり、
Mは水素、リチウム、ナトリウム、カリウムであるか、カルシウムまたは亜鉛の1/2当量であるか、あるいはアンモニウムイオン、または第一級、第二級、第三級もしくは第四級有機アンモニウムイオンであり、
An-は、p価のアニオンの1/p当量である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程A)およびB)が連続的に行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記連続相が、水と混和性の溶媒をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記重合可能なモノマーが、式(II)のもの:
【化2】

ここで、
R6、R7、R8およびR9は、お互い独立に、
C1〜C18-アルコキシ、C1〜C18-アルキル、C2〜C18-アルケニル、C7〜C15-アリールアルキル
からなる群から選択され、これは、1回、または2回以上、
-O-、-CO-、-OCO-、-O(CO)O-、NR4(CO)-、-NR4(CO)O-、-O(CO)NR4-、-(CO)NR4-、-NR4(CO)NR4-、-Si(R5)2-、-OSi(R5)2-、-OSi(R5)2O-、-Si(R5)2O-
からなる群から選択される非連続的な官能基によって遮られており、かつ、
これは、1回、または2回以上、ヘテロシクロ-ジイルおよびC6〜C14-アリールジイルからなる群から選択される二価の残基によって遮られており、かつ、
これは、さらに、または代わりに、1回、または2回以上、
ハロゲン、シアノ、エポキシ、C6〜C14-アリール、ヘテロシクリル、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-アルコキシ、C1〜C8-アルキルチオ、C2〜C8-アルケニル、C4〜C15-アリールアルキル、ヒドロキシ、-SO2N(R4)2、NR4SO2-R5、-N(R4)2、-CO2N(R5)2、-COR4、-OCOR4、-O(CO)OR4、NR4(CO)R5、-NR4(CO)OR5、O(CO)N(R4)2、-NR4(CO)N(R4)2、-OSi(OR5)y-3(R5)y、-Si(OR5)y-3(R5)y (ここで、y=1、2または3)
からなる群から選択される置換基によって置換される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
重合可能なモノマーに対する光開始剤の質量比が、1:5から1:100000である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ラジカルの発生を誘起するために十分な波長を有する電磁放射の量が、エマルション1リットルあたり10Jから500kJである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
式(Ia)の化合物:
【化3】

(ここで、
n、m、R1からR5、およびAn-は、式(I)に対して請求項1で記載した意味を有し、
この分子は、
-SO3M、-COOM、PO3M2、-N+(R4)3An-、ヘテロシクリリウム+An-
からなる群から選択される、少なくとも1つの官能基または置換基を含み、
ここで、
Mはq価の金属イオンの1/q当量であるか、あるいはアンモニウムイオン、または第一級、第二級、第三級もしくは第四級有機アンモニウムイオン、またはグアニジニウムイオンである)。
【請求項10】
式(VIII)および(VIIIa)の化合物:
【化4】

(ここで、
n、m、R1からR5、およびAn-は、式(I)に対して請求項1で記載した意味を有し、
この分子は、
-SO3M、-COOM、PO3M2、-N+(R4)3An-、ヘテロシクリリウム+An-
からなる群から選択される、少なくとも1つの官能基または置換基を含み、
ここで、
Mはq価の金属イオンの1/q当量であるか、あるいはアンモニウムイオン、または第一級、第二級、第三級もしくは第四級有機アンモニウムイオン、またはグアニジニウムイオンであり、
Halはハロゲンである)。
【請求項11】
請求項1から8の1つ以上に記載した方法によって得ることができるポリマーナノ粒子。
【請求項12】
1から10000nmの平均粒子径、1.00から1.50のM-PDI(Mw/Mn)、および0.10から0.50のDLS-PDIを有する、ポリマーナノ粒子。
【請求項13】
0.001から50質量%の請求項11または請求項12に記載のポリマーナノ粒子を含む、ポリマー懸濁液。
【請求項14】
コーティング、接着剤、インク、および塗料の材料、精密な型の構築、電気物品の製造、薬物送達システム、診断センサー、ならびに造影剤における、請求項13に記載のポリマー懸濁液あるいは請求項11または請求項12に記載のポリマーナノ粒子の使用。
【請求項15】
請求項11または12に記載のポリマーナノ粒子を含む、コーティング、接着剤、インク、および塗料の材料、精密な型の構築、電気物品の製造、薬物送達システム、診断センサー、ならびに造影剤。

【公表番号】特表2012−524128(P2012−524128A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505021(P2012−505021)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【国際出願番号】PCT/CH2010/000103
【国際公開番号】WO2010/121387
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(506110634)
【Fターム(参考)】