説明

ポリマーネットワーク液晶駆動装置及び駆動方法、並びにポリマーネットワーク液晶パネル

【課題】ポリマーネットワーク(PN)液晶表示素子のスタティック駆動方式における駆動波形のレベル切り替わり時の電流の集中を抑制すること。
【解決手段】複数個のPN液晶表示素子を2グループ以上にグループ化し、各セグメント電極に入力する駆動信号を正負逆の第1のレベル(Vseg−)と第2のレベル(Vseg+)とすると共に共通のコモン電極に対しては0V(グランドレベル)の信号を出力し、一つのグループに含まれるPN液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えと、他のグループに含まれるPN液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えとで、互いに異なる状態となるように、例えば、切り替えのタイミングが互いに重ならないタイミングとなるように、前記複数個のPN液晶表示素子の各セグメント電極に出力する前記駆動信号を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーネットワーク液晶表示素子を駆動する駆動装置及び駆動方法、並びに、そのような駆動装置を搭載したポリマーネットワーク液晶パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、薄く、消費電力が少ない等の特長から様々な用途の表示パネルに用いられている。液晶表示素子の一般的な表示モードとしては、ツイストネマティックモード等、液晶層を2枚の偏光板で挟んだ構成を有する液晶パネルにより、光源であるバックライトから出た光のうち、当該2枚の偏光板を透過する光の量を制御することで画像の表示を行う方法が知られている。しかし、偏光板は光の吸収率が高く、偏光板を使用する場合、明るい表示の実現のためには明るい光源が必要であり、多くのエネルギーを必要とする。
【0003】
一方で、例えば特許文献1に開示されている様な、ポリマーネットワーク液晶表示素子が知られている。このポリマーネットワーク液晶表示素子は、ポリマーネットワークに分散された液晶層中の液晶分子の配向を、液晶層を挟むように配置された電極によって発生させた電場で制御し、液晶層を光透過状態と光散乱状態とに変化させることで、表示を制御することが可能となっている。
【0004】
図9(A)は、スタティック駆動方式でのポリマーネットワーク液晶表示素子のオン表示時の両電極への印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図であり、図9(B)は、同じくオフ表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図である。ポリマーネットワーク液晶表示素子の液晶層を挟むように配置された電極の一方をコモン電極、他方をセグメント電極とし、コモン電極駆動波形をCOM、オン表示時のセグメント電極波形をSEG ON、オフ表示時のセグメント電極波形をSEG OFFで、それぞれ示している。これらは、最高値が電圧Vsegで最低値が電圧0V(グランドレベル)の方形波である。
【0005】
図9(A)に示すように、コモン電極駆動波形COMに対しオン表示時のセグメント電極波形SEG ONは逆相になっている。このときポリマーネットワーク液晶表示素子は大きな電圧(実効値)が印加されオン表示となる。このオン表示では、液晶層は光透過状態つまり透明状態となる。ポリマーネットワーク液晶の場合、5V程度以上でオンするものが一般的である。
【0006】
反対に、図9(B)に示すように、コモン電極駆動波形COMに対しオフ表示時のセグメント電極波形SEG OFFは同相になっている。このときポリマーネットワーク液晶表示素子は電圧(実効値)が印加されずオフ表示となる。このオフ表示では、液晶層は光散乱状態つまり拡散状態となる。
【0007】
この様なポリマーネットワーク液晶表示素子では、偏光板が不要であるため、偏光板の吸収による光損失がなく、光を有効に用いることができる。従って明るい表示が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−270657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、ポリマーネットワーク液晶においても、印加電圧のレベル切り替えを行なって交流駆動する必要があるので、ポリマーネットワーク液晶駆動装置は、コモン電極駆動波形COMを交流化周期で第1のレベルから第2のレベルへ、又は、前記第2のレベルから前記第1のレベルへ、切り替えを行ない、セグメント電極波形SEGは、表示内容が拡散状態(SEG OFF状態)か透明状態(SEG ON状態)かで、コモン電極駆動波形COM信号に対して同相か逆相かを切り替えて、前記第1のレベルから前記第2のレベルへ、又は、前記第2のレベルから前記第1のレベルへ切り替え出力するようになっている。
【0010】
前記のようなポリマーネットワーク液晶表示素子を多数配設したポリマーネットワーク液晶パネルにあっては、例えば全てのポリマーネットワーク液晶表示素子が同一表示状態となる場合がある。このような場合、セグメント電極波形SEGの切り替わり方向が同一方向であるので、切り替え時の電流集中が大きい。
【0011】
一方、ポリマーネットワーク液晶駆動装置をLSI化して液晶パネルガラス上にCOG(Chip On Glass)実装したポリマーネットワーク液晶パネルを製造する場合、限られたスペースに多数の配線パターンを配置しなければならない。このポリマーネットワーク液晶パネルにおいても、搭載されるポリマーネットワーク液晶のセグメント数の増加と狭額縁化とが望まれている。そのため、配線パターンが細線化すると共に、隣接配線パターン間の間隔も非常に小さなものとなり、配線抵抗が大きくなる。
【0012】
このように大きな配線抵抗を持つ配線パターンに前述のように切り替え時に大電流が流れることで電圧降下が大きなものとなって、ポリマーネットワーク液晶に十分な駆動電圧を印加することができず、所望の表示状態が得られなくなるという問題が発生してしまう。そのため、ポリマーネットワーク液晶駆動装置を液晶パネルガラス上にCOG実装したポリマーネットワーク液晶パネルの狭額縁化が、望まれているにもかかわらず、達成することが難しかった。
【0013】
そこで本発明は、スタティック駆動方式における駆動波形のレベル切り替わり時の電流の集中を抑制することが可能なポリマーネットワーク液晶駆動装置及び駆動方法、並びにポリマーネットワーク液晶パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置は、
第1のレベルと第2のレベルとで所定周期で切り替わる駆動信号を、複数個のポリマーネットワーク液晶表示素子のそれぞれのセグメント電極に入力して、スタティック駆動するポリマーネットワーク液晶駆動装置において、
前記複数個のポリマーネットワーク液晶表示素子を、2グループ以上にグループ化し、
前記駆動信号の前記第1のレベルと前記第2のレベルとを正負逆の同一レベルとし、
全ポリマーネットワーク液晶表示素子に共通のコモン電極に対してはグランドレベルの信号を出力し、
一つのグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えと、
他のグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えと、
で、互いに異なる状態となるように、前記複数個のポリマーネットワーク液晶表示素子の各セグメント電極に出力する前記駆動信号を制御する、
ことを特徴とする。
請求項2に記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置は、前記請求項1に記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置において、
前記互いに異なる状態とは、
一つのグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えのタイミングと、
他のグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えのタイミングと、
が、互いに重ならないタイミングであることを特徴とする。
請求項3に記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置は、前記請求項2に記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置において、
さらに、各グループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子を2つのサブグループにグループ化し、
一方のサブグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替え方向と、
他方のサブグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替えの方向と、
を、反対方向とすることを特徴とする。
請求項4に記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置は、前記請求項1に記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置において、
前記互いに異なる状態とは、
一つのグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替え方向と、
他のグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替えの方向と、
が、反対方向であることを特徴とする。
請求項5に記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置は、前記請求項4に記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置において、
さらに、前記切り替えの方向が正負逆のグループ対を複数にして、各グループ対の切り替えのタイミングを互いに異ならせることを特徴とする。
請求項6に記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置は、前記請求項2乃至5の何れかに記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置において、
前記セグメント電極へ出力する前記駆動信号として、
前記第1のレベルから前記第2のレベルへ切り替えるレベル切り替えの際に、前記第1のレベルの信号状態から、一旦グラウンドレベルの信号状態を所定時間出力した後、前記第2のレベルの信号状態となる信号を出力することと、
前記セグメント電極へ出力する前記駆動信号として、前記第2のレベルから前記第1のレベルへ切り替えるレベル切り替えの際に、一旦グラウンドレベルの信号状態を所定時間出力した後、前記第1のレベルの信号状態となる信号を出力することと、
の少なくとも一方を行なうことを特徴とする。
請求項7に記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置は、前記請求項1乃至6の何れかに記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置において、
前記複数個のポリマーネットワーク液晶表示素子が形成された透明基板上にCOG実装されることを特徴とする。
請求項8に記載のポリマーネットワーク液晶駆動方法は、
第1のレベルと第2のレベルとで所定周期で切り替わる駆動信号を、複数個のポリマーネットワーク液晶表示素子のそれぞれのセグメント電極に入力して、スタティック駆動する際に、
前記複数個のポリマーネットワーク液晶表示素子を、2グループ以上にグループ化し、
前記駆動信号の前記第1のレベルと前記第2のレベルとを正負逆の同一レベルとし、
全ポリマーネットワーク液晶表示素子に共通のコモン電極に対してはグランドレベルの信号を出力し、
一つのグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えと、
他のグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えと、
で、互いに異なる状態となるように、前記複数個のポリマーネットワーク液晶表示素子の各セグメント電極に出力する前記駆動信号を制御する、
ことを特徴とする。
請求項9に記載のポリマーネットワーク液晶駆動方法は、前記請求項8に記載のポリマーネットワーク液晶駆動方法において、
前記互いに異なる状態とは、
一つのグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えのタイミングと、
他のグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えのタイミングと、
が、互いに重ならないタイミングであることを特徴とする。
請求項10に記載のポリマーネットワーク液晶駆動方法は、前記請求項9に記載のポリマーネットワーク液晶駆動方法において、
さらに、各グループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子を2つのサブグループにグループ化し、
一方のサブグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替え方向と、
他方のサブグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替えの方向と、
を、反対方向とすることを特徴とする。
請求項11に記載のポリマーネットワーク液晶駆動方法は、前記請求項8に記載のポリマーネットワーク液晶駆動方法において、
前記互いに異なる状態とは、
一つのグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替え方向と、
他のグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替えの方向と、
が、反対方向であることを特徴とする。
請求項12に記載のポリマーネットワーク液晶駆動方法は、前記請求項11に記載のポリマーネットワーク液晶駆動方法において、
さらに、前記切り替えの方向が正負逆のグループ対を複数にして、各グループ対の切り替えのタイミングを互いに異ならせることを特徴とする。
請求項13に記載のポリマーネットワーク液晶駆動方法は、前記請求項9乃至12の何れかに記載のポリマーネットワーク液晶駆動方法において、
前記セグメント電極へ出力する前記駆動信号として、
前記第1のレベルから前記第2のレベルへ切り替えるレベル切り替えの際に、前記第1のレベルの信号状態から、一旦グラウンドレベルの信号状態を所定時間出力した後、前記第2のレベルの信号状態となる信号を出力することと、
前記セグメント電極へ出力する前記駆動信号として、前記第2のレベルから前記第1のレベルへ切り替えるレベル切り替えの際に、一旦グラウンドレベルの信号状態を所定時間出力した後、前記第1のレベルの信号状態となる信号を出力することと、
の少なくとも一方を行なうことを特徴とする。
請求項14に記載のポリマーネットワーク液晶パネルは、
透明基板と、
前記透明基板上に形成された複数個のポリマーネットワーク液晶表示素子と、
前記透明基板上にCOG実装された、前記請求項1乃至6の何れかに記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置と、
を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コモン電極駆動信号をグランドレベルとすると共にセグメント電極駆動信号を正負逆の同一レベル電圧が周期的に切り替わる駆動信号とし、且つ、複数個のポリマーネットワーク液晶表示素子を2グループ以上にグループ化して、セグメント電極駆動波形のレベル切り替わり状態をグループ間で異なるようにしたことにより、スタティック駆動方式における駆動波形のレベル切り替わり時の電流の集中を抑制することが可能となる。よって、COG実装による狭額縁のポリマーネットワーク液晶パネルを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1(A)は、本発明の第1実施形態に係るポリマーネットワーク液晶駆動装置及び駆動方法におけるオン表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図であり、図1(B)は、同じくオフ表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図である。
【図2】図2(A)は、ポリマーネットワーク液晶表示素子の電圧印加時の動作を説明するための図であり、図2(B)は同じく電圧非印加時の動作を説明するための図である。
【図3】図3(A)は、本発明の第1実施形態に係るポリマーネットワーク液晶パネルの適用例を説明するための一眼レフレックスカメラの光路を示す図であり、図3(B)は、ファインダ内表示の例を示す図であり、図3(C)及び(D)は、それぞれ、ポリマーネットワーク液晶パネルの構成例を説明するための図である。
【図4】図4(A)は、本発明の第2実施形態に係るポリマーネットワーク液晶駆動装置及び駆動方法におけるオン表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図であり、図4(B)は、同じくオフ表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図である。
【図5】図5(A)は、本発明の第3実施形態に係るポリマーネットワーク液晶駆動装置及び駆動方法におけるオン表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図であり、図5(B)は、同じくオフ表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図である。
【図6】図6(A)は、本発明の第4実施形態に係るポリマーネットワーク液晶駆動装置及び駆動方法におけるオン表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図であり、図6(B)は、同じくオフ表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図である。
【図7】図7(A)は、本発明の第5実施形態に係るポリマーネットワーク液晶駆動装置及び駆動方法におけるオン表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図であり、図7(B)は、同じくオフ表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図である。
【図8】図8(A)は、本発明の第6実施形態に係るポリマーネットワーク液晶駆動装置及び駆動方法におけるオン表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図であり、図8(B)は、同じくオフ表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図である。
【図9】図9(A)は、従来のポリマーネットワーク液晶駆動装置及び駆動方法におけるオン表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図であり、図9(B)は、同じくオフ表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図1乃至図3を参照して説明する。ここで、図1(A)は、本第1実施形態に係るポリマーネットワーク(以下、PNと略記する)液晶駆動装置及び駆動方法におけるオン表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図であり、図1(B)は、同じくオフ表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図である。また、図2(A)は、PN液晶表示素子の電圧印加時の動作を説明するための図であり、図2(B)は同じく電圧非印加時の動作を説明するための図である。また、図3(A)は、本第1実施形態に係るPN液晶パネルの適用例を説明するための一眼レフレックスカメラの光路を示す図であり、図3(B)は、ファインダ内表示の例を示す図であり、図3(C)及び(D)は、それぞれ、PN液晶パネルの構成例を説明するための図である。
【0018】
PN液晶表示素子は、図2(A)に示すように、例えばガラス基板等である光源側透明基板1上に、例えば酸化インジウム錫(ITO)膜等の透明導電膜を成膜して構成されたコモン電極2が形成されている。また、例えばガラス基板等の透明基板である観察側透明基板3上に、例えばITO膜等で構成されるセグメント電極4が形成されている。そして、光源側透明基板1のコモン電極2側と、観察側透明基板3のセグメント電極4側とは、均一な間隙を形成するように、図示しないギャップ材を介して貼り合わされている。この間隙には、PN5中に液晶分子6が分散して構成されている液晶層が封入されている。
【0019】
このような構造において、図2(A)に示すようにコモン電極2とセグメント電極4との間に電場が形成されていない状態では、PN5中に分散された液晶分子6は、任意の方向を向いている。この場合、PN5の屈折率と液晶分子6の平均屈折率が異なるようにすると、光源側透明基板1側から入射した入射光7は、散乱しながら液晶層を透過し、その散乱光8は、観察側透明基板3から射出される。従って、液晶分子6が任意の方向を向いた液晶層に入射した光は、観察側透明基板3側から散乱して射出されるため、観察側透明基板3側からは白濁した光として観察される。
【0020】
一方、図2(B)に示すようにコモン電極2とセグメント電極4との間に十分に大きな電場が形成されている状態では、発生した電場に従って、PN5中に分散された液晶分子6は、一方向に配向する。この場合、PN5の屈折率と一方向に配向した液晶分子6の屈折率が同一となるようにすると、光源側透明基板1側から入射した入射光7は、液晶層内を直進し、観察側透明基板3から透過光9として射出する。このように、液晶分子6が一方向に配向した液晶層に入射した光は、観察側透明基板3側から直線状に射出されるため、即ち、PN液晶表示素子は透明状態となるため、観察側透明基板3側からは該PN液晶表示素子に入射した光がそのまま観察されることとなる。
【0021】
このように、PN液晶表示素子は、PN5に分散された液晶層中の液晶分子6の配向を、液晶層を挟むように配置されたコモン電極2,セグメント電極4によって発生させた電場で制御し、液晶層を光透過状態と光散乱状態とに変化させることで、表示を制御することが可能となっている。なお、図2の例では、光源側透明基板1側にコモン電極2、観察側透明基板3側にセグメント電極4を形成しているが、光源側透明基板1側にセグメント電極4、観察側透明基板3側にコモン電極2を形成しても良いことは勿論である。
【0022】
このようなPN液晶表示素子をセグメントとして複数配置してPN液晶パネルを形成する場合、光源側透明基板1及び観察側透明基板3を共通として、光源側透明基板1上にコモン電極2を隙間なく均一にベタ形成し、液晶層とセグメント電極4を所望の形状で配設する。
【0023】
このようにして形成したPN液晶パネルは、例えば、図3(A)及び(B)に示すように、一眼レフレックスカメラのファインダ内表示に適用されることができる。一眼レフレックスカメラでは、図3(A)に示すように、被写体からの光は、レンズ10を介してカメラ本体11内に導かれ、ミラー12で反射されて、ピントグラス13上に被写体の実像を結像する。この被写体像は、ペンタプリズム14によりファインダ15に導かれ、観察できるようになっている。ピントグラス13とペンタプリズム14の間に、本実施形態に係るPN液晶パネル16が配置され、ピントグラス13に映った実像に各種情報を重ねて表示する。この情報としては、例えば、図3(B)に示すような、構図用格子線17やフォーカスポイント表示18(この例では51点)を含み、それらの各形状に合わせてPN液晶表示素子の液晶層とセグメント電極4を形成する。勿論、カメラのモード表示や、電池残量等、その他の情報表示を行なうことも可能である。各PN液晶表示素子をオフ表示とすることで液晶層を光散乱状態とし、ピントグラス13に映った実像上に情報を白色表示として重畳表示させる。
【0024】
なお、一眼レフレックスカメラでは、ミラー12をアップしてシャッタ19を開けてフィルム又は撮像素子20に被写体光を導いて撮影を行なうため、ミラーアップ状態ではPN液晶パネル16には被写体像が導かれず、ファインダ15からはPN液晶パネル16に表示された情報のみが観察されることとなる。
【0025】
PN液晶パネル16は、図3(C)に示すように、液晶パネルガラス21上に、表示部22、駆動ドライバ23が、COG実装されたものである。ここで、表示部22には複数のPN液晶表示素子が配されるもので、液晶パネルガラス21が前記光源側透明基板1として用いられている。駆動ドライバ23は、各PN液晶表示素子を駆動するためのLSI化されたPN液晶駆動装置であり、液晶パネルガラス21には、該駆動ドライバ23から各PN液晶表示素子のセグメント電極4及び共通のコモン電極2への給電を行なうための配線パターン25と、が形成されている。また、カメラ本体11内に構成された不図示のカメラ制御部からの制御信号等を供給するためのフレキシブル基板26とAFC接続される図示しない端子部との間を接続する配線パターン27も形成されている。なお、AFC接続とは、異方性導電フィルムを用いて電気的な接続を行なう接続形態のことである。
【0026】
このPN液晶パネル16において、狭額縁化を図ると、図3(D)に示すような配置構成が採られる。即ち、駆動ドライバ23と不図示端子部とを併設し、配線パターン25,27を細線化すると共に隣接配線パターンに近接して引き回すこととなる。この配線パターン25,27の細線化及び近接配置は、表示部22のPN液晶表示素子数つまりセグメント数が数個から十数個であればそれ程問題とはならないが、図3(A)及び(B)に示すような一眼レフレックスカメラのファインダ内表示に適用した場合には、百個を超えるセグメント数となり、大きな配線抵抗を呈するものとなる。そして、それら全セグメントを同一表示状態としなければならないため、印加電圧のレベル切り替えを行なって交流駆動した際のセグメント電極波形のレベル切り替わり時には、そのように大きな配線抵抗を持つ配線パターン25に大電流が流れてしまい、駆動電圧の降下が大きなものとなってしまう。これにより、各PN液晶表示素子に、所望の表示状態とするのに十分な電圧を印加することができず、その所望の表示状態が得られなくなってしまう。
【0027】
そこで、本実施形態では、駆動ドライバ23は、図1(A)及び(B)に示すような駆動を行なう。
【0028】
即ち、コモン電極2に印加するコモン電極駆動波形COMは、従来は、電圧0V(グランドレベル)の最低値と電圧Vseg(例えば5V)の最高値が所定周期で切り替わる方形波であったものを、本実施形態では、直流0V(グランドレベル)に固定する。
【0029】
また、表示部22に配された多数のPN液晶表示素子を2グループ以上(本実施形態では2グループA,B)にグループ化し、コモン電極2とセグメント電極4との間に従来と同様の電位差を与えるために、各グループのセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−A,SEG−Bは、従来の電圧0V(グランドレベル)の最低値と電圧Vseg(例えば5V)の最高値を所定周期で切り替える方形波から、最低値が第1のレベルである電圧Vseg−(例えば−5V)で最高値が第2のレベルである電圧Vseg+(例えば+5V)が所定周期で切り替わる方形波とする。そして、それらセグメント電極波形SEG−A,SEG−Bの周期的なレベル切り替わり状態をグループ間で異なるように行なう。即ち、本実施形態では、一つのグループに含まれるPN液晶表示素子のセグメント電極4へ出力するセグメント電極波形(例えばSEG−A)の前記レベルの切り替えのタイミングと、他のグループに含まれるPN液晶表示素子のセグメント電極4へ出力するセグメント電極波形(例えばSEG−B)の前記レベルの切り替えのタイミングとが、互いに重ならないタイミングとなるようにする。
【0030】
具体的には、オン表示(透明状態)時には、図1(A)に示すように、まず、第1のグループAに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Aを切り替えるタイミングとなったならば、該セグメント電極波形SEG−Aを第2のレベルである電圧Vseg+から第1のレベルである電圧Vseg−に切り替える。このとき、第2のグループBに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Bは第2のレベルである電圧Vseg+のままとする。そして、セグメント電極波形SEG−Aが第1のレベルである電圧Vseg−に切り替わったならば、次に、セグメント電極波形SEG−Bを第2のレベルである電圧Vseg+から第1のレベルである電圧Vseg−に切り替える。こうして、各セグメント電極波形SEG−A,SEG−Bが、第2のレベルである電圧Vseg+から第1のレベルである電圧Vseg−に切り替えられる。
【0031】
そして、前記所定周期が経過してセグメント電極波形SEG−Aを切り替えるタイミングとなったならば、該セグメント電極波形SEG−Aを第1のレベルである電圧Vseg−から第2のレベルである電圧Vseg+に切り替える。このとき、セグメント電極波形SEG−Bは第1のレベルである電圧Vseg−のままとする。そして、セグメント電極波形SEG−Aが第2のレベルである電圧Vseg+に切り替わったならば、次に、セグメント電極波形SEG−Bを第1のレベルである電圧Vseg−から第2のレベルである電圧Vseg+に切り替える。こうして、各セグメント電極波形SEG−A,SEG−Bが、第1のレベルである電圧Vseg−から第2のレベルである電圧Vseg+に切り替えられる。
以上のレベル切り替えを交互に行なう。
【0032】
また、オフ表示(拡散状態)時には、図1(B)に示すように、セグメント電極波形SEG−A,SEG−Bともに、前記コモン電極駆動波形COMと同様、電圧0V(グランドレベル)のままとする。
【0033】
従って、前記駆動ドライバ23は、第1のレベルと第2のレベルとで所定周期で切り替わる駆動信号を、複数個のPN液晶表示素子のそれぞれのセグメント電極4に入力して、スタティック駆動するPN液晶駆動装置であって、前記複数個のPN液晶表示素子を、2グループ以上にグループ化し、前記駆動信号の前記第1のレベルと前記第2のレベルとを正負逆の同一レベルとし、全PN液晶表示素子に共通のコモン電極2に対してはグランドレベルの信号を出力し、一つのグループに含まれるPN液晶表示素子のセグメント電極4へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えと、他のグループに含まれるPN液晶表示素子のセグメント電極4へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えとで、互いに異なる状態となるように、前記複数個のPN液晶表示素子の各セグメント電極4に出力する前記駆動信号を制御するPN液晶駆動装置として機能する。
【0034】
そして、本第1実施形態においては、このPN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23は、前記互いに異なる状態を、一つのグループに含まれるPN液晶表示素子のセグメント電極4へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えのタイミングと、他のグループに含まれるPN液晶表示素子のセグメント電極4へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えのタイミングとが、互いに重ならないタイミングとなる状態としている。即ち、セグメント電極4の駆動を全セグメント同時に行なわず、いくつかのグループに分けてタイミングをずらして駆動する。
【0035】
また、PN液晶パネル16は、透明基板である液晶パネルガラス21と、前記透明基板上に形成された複数個のPN液晶表示素子と、前記透明基板上にCOG実装された、本実施形態に係るPN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23と、を具備するPN液晶パネルとして機能する。
【0036】
本第1実施形態のようなPN液晶駆動方法を採ることにより、スタティック駆動方式における駆動波形のレベル切り替わり時に流れる電流を分散することができる、つまり、電流集中を抑えることができるので、レベル切り替わり時の大電流による駆動電圧の降下が少なくなる。よって、PN液晶表示素子に、所望の表示状態とするのに十分な電圧を印加できようになるので、液晶パネルガラス21上にLSI化した駆動ドライバ23をCOG実装した狭額縁のPN液晶パネルを製造できるようになる。
【0037】
また、通常、PN液晶表示パネルは、コモン電極2の面積に比較してセグメント電極4の面積の方が小さいので、全セグメントを同一表示状態としない場合であっても、選択されたセグメント電極4部に対して本実施形態のようなPN液晶駆動方法を採ることにより、低消費電力化できる。
【0038】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図4を参照して説明する。ここで、図4(A)は、本第2実施形態に係るPN液晶駆動装置及び駆動方法におけるオン表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図であり、図4(B)は、同じくオフ表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図である。
【0039】
本実施形態に係るPN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23は、前記第1実施形態と同様に、コモン電極2に印加するコモン電極駆動波形COMは、直流0V(グランドレベル)に固定し、表示部22に配された多数のPN液晶表示素子を2グループ以上(但し、偶数グループ。本実施形態では、グループA,Bの2グループとする)にグループ化し、コモン電極2とセグメント電極4との間に従来と同様の電位差を与えるために、各グループのセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−A,SEG−Bは、最低値が第1のレベルである電圧vseg−(例えば−5V)で最高値が第2のレベルである電圧Vseg+(例えば+5V)が所定周期で切り替わる方形波とする。
【0040】
そして、それらセグメント電極波形SEG−A,SEG−Bの周期的なレベル切り替わり状態をグループ間で異なるように行なう。但し、本実施形態では、一つのグループに含まれるPN液晶表示素子のセグメント電極4へ出力するセグメント電極波形(例えばSEG−A)の前記レベルの正負の切り替え方向と、他のグループに含まれるPN液晶表示素子のセグメント電極4へ出力するセグメント電極波形(例えばSEG−B)の前記レベルの正負の切り替え方向とが、反対方向となるようにする。
【0041】
具体的には、オン表示(透明状態)時には、図4(A)に示すように、PN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−A,SEG−Bを切り替えるタイミングとなったならば、第1のグループAに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Aを第2のレベルである電圧Vseg+から第1のレベルである電圧Vseg−に切り替えると同時に、第2のグループBに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Bを第1のレベルである電圧Vseg−から第2のレベルであるVseg+に切り替える。こうして、各セグメント電極波形SEG−A,SEG−Bが、正負逆方向に切り替えられる。
【0042】
そして、前記所定周期が経過してセグメント電極波形SEG−A,SEG−Bを切り替えるタイミングとなったならば、セグメント電極波形SEG−Aを第1のレベルである電圧Vseg−から第2のレベルである電圧Vseg+に切り替えると同時に、第2のグループBに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Bを第2のレベルである電圧Vseg+から第1のレベルであるVseg−に切り替える。こうして、各セグメント電極波形SEG−A,SEG−Bが、正負逆方向に切り替えられる。
以上のレベル切り替えを交互に行なう。
【0043】
また、オフ表示(拡散状態)時には、図4(B)に示すように、セグメント電極波形SEG−A,SEG−Bともに、前記コモン電極駆動波形COMと同様、電圧0V(グランドレベル)のままとする。
【0044】
従って、前記駆動ドライバ23は、第1のレベルと第2のレベルとで所定周期で切り替わる駆動信号を、複数個のPN液晶表示素子のそれぞれのセグメント電極4に入力して、スタティック駆動するPN液晶駆動装置であって、前記複数個のPN液晶表示素子を、2グループ以上にグループ化し、前記駆動信号の前記第1のレベルと前記第2のレベルとを正負逆の同一レベルとし、全PN液晶表示素子に共通のコモン電極2に対してはグランドレベルの信号を出力し、一つのグループに含まれるPN液晶表示素子のセグメント電極4へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えと、他のグループに含まれるPN液晶表示素子のセグメント電極4へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えとで、互いに異なる状態となるように、前記複数個のPN液晶表示素子の各セグメント電極4に出力する前記駆動信号を制御するPN液晶駆動装置として機能する。
【0045】
そして、本第2実施形態においては、このPN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23は、前記互いに異なる状態を、一つのグループに含まれるPN液晶表示素子のセグメント電極4へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替え方向と、他のグループに含まれるPN液晶表示素子のセグメント電極4へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替え方向とが、反対方向となる状態としている。即ち、セグメント電極4の駆動を全セグメント同時に行なわず、いくつかのグループに分けて、正から負へ切り替えるセグメント電極4と負から正へ切り替えるセグメント電極4とを組み合わせて駆動する。
【0046】
また、PN液晶パネル16は、透明基板である液晶パネルガラス21と、前記透明基板上に形成された複数個のPN液晶表示素子と、前記透明基板上にCOG実装された、本実施形態に係るPN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23と、を具備するPN液晶パネルとして機能する。
【0047】
本第2実施形態のようなPN液晶駆動方法を採ることにより、スタティック駆動方式における駆動波形のレベル切り替わり時に流れる電流の方向を一定にせずにキャンセルすることができる、つまり、電流集中を抑えることができるので、レベル切り替わり時の大電流による駆動電圧の降下が少なくなる。よって、PN液晶表示素子に、所望の表示状態とするのに十分な電圧を印加できようになるので、液晶パネルガラス21上にLSI化した駆動ドライバ23をCOG実装した狭額縁のPN液晶パネルを製造できるようになる。
【0048】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について図5を参照して説明する。ここで、図5(A)は、本第3実施形態に係るPN液晶駆動装置及び駆動方法におけるオン表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図であり、図5(B)は、同じくオフ表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図である。
【0049】
本実施形態に係るPN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23は、前記第1実施形態と前記第2実施形態との組み合わせである。
【0050】
具体的には、オン表示(透明状態)時には、図5(A)に示すように、PN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−A,SEG−Bを切り替えるタイミングとなったならば、第1のグループAに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Aを第2のレベルである電圧Vseg+から第1のレベルである電圧Vseg−に切り替えると同時に、第2のグループBに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Bを第1のレベルである電圧Vseg−から第2のレベルであるVseg+に切り替える。このとき、第3のグループCに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Cは第2のレベルである電圧Vseg+のままであり、第4のグループDに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Dは第1のレベルである電圧Vseg−のままである。そして、セグメント電極波形SEG−A,SEG−Bのレベルが切り替わったならば、次に、セグメント電極波形SEG−Cを第2のレベルである電圧Vseg+から第1のレベルである電圧Vseg−に切り替えると同時に、セグメント電極波形SEG−Dを第1のレベルである電圧Vseg−から第2のレベルであるVseg+に切り替える。こうして、各セグメント電極波形SEG−A,SEG−B,SEG−C,SEG−Dが、正負逆方向に切り替えられる。
【0051】
そして、前記所定周期が経過してセグメント電極波形SEG−A,SEG−Bを切り替えるタイミングとなったならば、セグメント電極波形SEG−Aを第1のレベルである電圧Vseg−から第2のレベルである電圧Vseg+に切り替えると同時に、第2のグループBに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Bを第2のレベルである電圧Vseg+から第1のレベルであるVseg−に切り替える。このとき、セグメント電極波形SEG−Cは第1のレベルである電圧Vseg−のままであり、セグメント電極波形SEG−Dは第2のレベルである電圧Vseg+のままである。そして、セグメント電極波形SEG−A,SEG−Bのレベルが切り替わったならば、次に、セグメント電極波形SEG−Cを第1のレベルである電圧Vseg−から第2のレベルである電圧Vseg+に切り替えると同時に、セグメント電極波形SEG−Dを第2のレベルである電圧Vseg+から第1のレベルであるVseg−に切り替える。こうして、各セグメント電極波形SEG−A,SEG−B,SEG−C,SEG−Dが、正負逆方向に切り替えられる。
以上のレベル切り替えを交互に行なう。
【0052】
また、オフ表示(拡散状態)時には、図5(B)に示すように、セグメント電極波形SEG−A,SEG−B,SEG−C,SEG−Dはともに、前記コモン電極駆動波形COMと同様、電圧0V(グランドレベル)のままとする。
【0053】
従って、本第3実施形態においては、PN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23は、各グループに含まれるPN液晶表示素子を2つのサブグループにグループ化し、一方のサブグループ(例えばSEG−A又はSEG−C)に含まれるPN液晶表示素子のセグメント電極4へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替え方向と、他方のサブグループ(例えばSEG−B又はSEG−D)に含まれるPN液晶表示素子のセグメント電極4へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替えの方向とを、反対方向としている。
【0054】
あるいは、本第3実施形態においては、PN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23は、前記切り替えの方向が正負逆のグループ対を複数(例えばSEG−AとSEG−Bの対、及び、SEG−CとSEG−Dの対)にして、各グループ対の切り替えのタイミングを互いに異ならせるようにしている。
【0055】
また、PN液晶パネル16は、透明基板である液晶パネルガラス21と、前記透明基板上に形成された複数個のPN液晶表示素子と、前記透明基板上にCOG実装された、本実施形態に係るPN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23と、を具備するPN液晶パネルとして機能する。
【0056】
本第3実施形態のようなPN液晶駆動方法を採ることにより、スタティック駆動方式における駆動波形のレベル切り替わり時に流れる電流を分散することができると共に電流の方向を一定にせずにキャンセルすることができる、つまり、電流集中を抑えることができるので、レベル切り替わり時の大電流による駆動電圧の降下が少なくなる。よって、PN液晶表示素子に、所望の表示状態とするのに十分な電圧を印加できようになるので、液晶パネルガラス21上にLSI化した駆動ドライバ23をCOG実装した狭額縁のPN液晶パネルを製造できるようになる。
【0057】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について図6を参照して説明する。ここで、図6(A)は、本第4実施形態に係るPN液晶駆動装置及び駆動方法におけるオン表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図であり、図6(B)は、同じくオフ表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図である。
【0058】
本実施形態に係るPN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23は、前記第1実施形態の駆動方法において、各グループのセグメント電極波形SEG−A,SEG−Bの前記第1のレベルである電圧Vseg−から前記第2のレベルである電圧Vseg+へのレベル切り替わり時と、前記第2のレベルである電圧Vseg+から前記第1のレベルである電圧Vseg−へのレベル切り替わり時との、両方或いは一方で、前記コモン電極駆動波形COMと同電位の0V(グランドレベル)を出力するように駆動するものである。
【0059】
即ち、オン表示(透明状態)時には、図6(A)に示すように、まず、第1のグループAに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Aを切り替えるタイミングとなったならば、該セグメント電極波形SEG−Aを第2のレベルである電圧Vseg+から一旦、0V(グランドレベル)に切り替える。その後に、該セグメント電極波形SEG−Aを、その0V(グランドレベル)から第1のレベルである電圧Vseg−に切り替える。このセグメント電極波形SEG−Aのレベル切り替えを行なっている間、第2のグループBに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Bは第2のレベルである電圧Vseg+のままとする。そして、セグメント電極波形SEG−Aが第1のレベルである電圧Vseg−に切り替わったならば、次に、セグメント電極波形SEG−Bを第2のレベルである電圧Vseg+から一旦、0V(グランドレベル)に切り替える。その後に、該セグメント電極波形SEG−Bを、その0V(グランドレベル)から第1のレベルである電圧Vseg−に切り替える。このセグメント電極波形SEG−Bのレベル切り替えを行なっている間、セグメント電極波形SEG−Aは前記第1のレベルであるVseg−のままである。こうして、各セグメント電極波形SEG−A,SEG−Bが、第2のレベルである電圧Vseg+から第1のレベルである電圧Vseg−に切り替えられる。
【0060】
そして、前記所定周期が経過してセグメント電極波形SEG−Aを切り替えるタイミングとなったならば、該セグメント電極波形SEG−Aを第1のレベルである電圧Vseg−から一旦、0V(グランドレベル)に切り替える。その後に、該セグメント電極波形SEG−Aを、その0V(グランドレベル)から第2のレベルである電圧Vseg+に切り替える。このセグメント電極波形SEG−Aのレベル切り替えを行なっている間、セグメント電極波形SEG−Bは第1のレベルである電圧Vseg−のままとする。そして、セグメント電極波形SEG−Aが第2のレベルである電圧Vseg+に切り替わったならば、次に、セグメント電極波形SEG−Bを第1のレベルである電圧Vseg−から一旦、0V(グランドレベル)に切り替える。その後に、該セグメント電極波形SEG−Bを、その0V(グランドレベル)から第2のレベルである電圧Vseg+に切り替える。このセグメント電極波形SEG−Bのレベル切り替えを行なっている間、セグメント電極波形SEG−Aは前記第2のレベルであるVseg+のままである。こうして、各セグメント電極波形SEG−A,SEG−Bが、第1のレベルである電圧Vseg−から第2のレベルである電圧Vseg+に切り替えられる。
以上のレベル切り替えを交互に行なう。
【0061】
また、オフ表示(拡散状態)時には、図6(B)に示すように、セグメント電極波形SEG−A,SEG−Bともに、前記コモン電極駆動波形COMと同様、電圧0V(グランドレベル)のままとする。
【0062】
従って、本第4実施形態においては、PN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23は、前記セグメント電極に出力する信号として、前記第1のレベルから前記第2のレベルへ切り替えるレベル切り替えの際に、前記第1のレベルの信号状態から、一旦グラウンドレベルの信号状態を所定時間出力した後、前記第2のレベルの信号状態となる信号を出力することと、前記セグメント電極に出力する信号として、前記第2のレベルから前記第1のレベルへ切り替えるレベル切り替えの際に、一旦グラウンドレベルの信号状態を所定時間出力した後、前記第1のレベルの信号状態となる信号を出力することと、の少なくとも一方を行なう。
【0063】
また、PN液晶パネル16は、透明基板である液晶パネルガラス21と、前記透明基板上に形成された複数個のPN液晶表示素子と、前記透明基板上にCOG実装された、本実施形態に係るPN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23と、を具備するPN液晶パネルとして機能する。
【0064】
本第4実施形態のようなPN液晶駆動方法を採ることにより、前記第1実施形態と同様に、スタティック駆動方式における駆動波形のレベル切り替わり時に流れる電流を分散することができる、つまり、電流集中を抑えることができるので、レベル切り替わり時の大電流による駆動電圧の降下が少なくなる。さらに、本実施形態では、スタティック駆動方式における駆動波形のレベル切り替わり時に、セグメント電極に出力する信号を一旦グラウンドレベルの信号状態とすることで、流れる電流を小さく抑えられる。よって、PN液晶表示素子に、所望の表示状態とするのに十分な電圧を印加できようになるので、液晶パネルガラス21上にLSI化した駆動ドライバ23をCOG実装した狭額縁のPN液晶パネルを製造できるようになる。
【0065】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について図7を参照して説明する。ここで、図7(A)は、本第5実施形態に係るPN液晶駆動装置及び駆動方法におけるオン表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図であり、図7(B)は、同じくオフ表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図である。
【0066】
本実施形態に係るPN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23は、前記第2実施形態の駆動方法において、各グループのセグメント電極波形SEG−A,SEG−Bの前記第1のレベルである電圧Vseg−から前記第2のレベルである電圧Vseg+へのレベル切り替わり時と、前記第2のレベルである電圧Vseg+から前記第1のレベルである電圧Vseg−へのレベル切り替わり時との、両方或いは一方で、前記コモン電極駆動波形COMと同電位の0V(グランドレベル)を出力するように駆動するものである。
【0067】
即ち、オン表示(透明状態)時には、図7(A)に示すように、PN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−A,SEG−Bを切り替えるタイミングとなったならば、第1のグループAに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Aを第2のレベルである電圧Vseg+から一旦、0V(グランドレベル)に切り替えると同時に、第2のグループBに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Bを第1のレベルである電圧Vseg−から一旦、0V(グランドレベル)に切り替える。その後に、セグメント電極波形SEG−Aをその0V(グランドレベル)から第1のレベルである電圧Vseg−に切り替えると同時に、セグメント電極波形SEG−Bをその0V(グランドレベル)から第2のレベルである電圧Vseg+に切り替える。こうして、各セグメント電極波形SEG−A,SEG−Bが、正負逆方向に切り替えられる。
【0068】
そして、前記所定周期が経過してセグメント電極波形SEG−A,SEG−Bを切り替えるタイミングとなったならば、セグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Aを第1のレベルである電圧Vseg−から一旦、0V(グランドレベル)に切り替えると同時に、セグメント電極波形SEG−Bを第2のレベルである電圧Vseg+から一旦、0V(グランドレベル)に切り替える。その後に、セグメント電極波形SEG−Aをその0V(グランドレベル)から第2のレベルである電圧Vseg+に切り替えると同時に、セグメント電極波形SEG−Bをその0V(グランドレベル)から第1のレベルである電圧Vseg−に切り替える。こうして、各セグメント電極波形SEG−A,SEG−Bが、正負逆方向に切り替えられる。
以上のレベル切り替えを交互に行なう。
【0069】
また、オフ表示(拡散状態)時には、図4(B)に示すように、セグメント電極波形SEG−A,SEG−Bともに、前記コモン電極駆動波形COMと同様、電圧0V(グランドレベル)のままとする。
【0070】
従って、本第5実施形態においては、PN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23は、前記セグメント電極に出力する信号として、前記第1のレベルから前記第2のレベルへ切り替えるレベル切り替えの際に、前記第1のレベルの信号状態から、一旦グラウンドレベルの信号状態を所定時間出力した後、前記第2のレベルの信号状態となる信号を出力することと、前記セグメント電極に出力する信号として、前記第2のレベルから前記第1のレベルへ切り替えるレベル切り替えの際に、一旦グラウンドレベルの信号状態を所定時間出力した後、前記第1のレベルの信号状態となる信号を出力することと、の少なくとも一方を行なう。
【0071】
また、PN液晶パネル16は、透明基板である液晶パネルガラス21と、前記透明基板上に形成された複数個のPN液晶表示素子と、前記透明基板上にCOG実装された、本実施形態に係るPN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23と、を具備するPN液晶パネルとして機能する。
【0072】
本第5実施形態のようなPN液晶駆動方法を採ることにより、前記第2実施形態と同様に、スタティック駆動方式における駆動波形のレベル切り替わり時に流れる電流の方向を一定にせずにキャンセルすることができる、つまり、電流集中を抑えることができるので、レベル切り替わり時の大電流による駆動電圧の降下が少なくなる。さらに、本実施形態では、スタティック駆動方式における駆動波形のレベル切り替わり時に、セグメント電極に出力する信号を一旦グラウンドレベルの信号状態とすることで、流れる電流を小さく抑えられると共に、一方のグループに属するPN液晶表示素子に蓄積されている電荷を他方のグループに属するPN液晶表示素子の充電に利用する電荷の再利用が行えるので、電力の節約にも寄与する。よって、PN液晶表示素子に、所望の表示状態とするのに十分な電圧を印加できようになるので、液晶パネルガラス21上にLSI化した駆動ドライバ23をCOG実装した狭額縁のPN液晶パネルを製造できるようになる。
【0073】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態について図8を参照して説明する。ここで、図8(A)は、本第6実施形態に係るPN液晶駆動装置及び駆動方法におけるオン表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図であり、図8(B)は、同じくオフ表示時の印加電圧波形を表すタイミングチャートを示す図である。
【0074】
本実施形態に係るPN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23は、前記第3実施形態の駆動方法において、各グループのセグメント電極波形SEG−A,SEG−Bの前記第1のレベルである電圧Vseg−から前記第2のレベルである電圧Vseg+へのレベル切り替わり時と、前記第2のレベルである電圧Vseg+から前記第1のレベルである電圧Vseg−へのレベル切り替わり時との、両方或いは一方で、前記コモン電極駆動波形COMと同電位の0V(グランドレベル)を出力するように駆動するものである。
【0075】
即ち、オン表示(透明状態)時には、図8(A)に示すように、PN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−A,SEG−Bを切り替えるタイミングとなったならば、第1のグループAに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Aを第2のレベルである電圧Vseg+から一旦、0V(グランドレベル)に切り替えると同時に、第2のグループBに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Bを第1のレベルである電圧Vseg−から一旦、0V(グランドレベル)に切り替える。その後に、セグメント電極波形SEG−Aをその0V(グランドレベル)から第1のレベルである電圧Vseg−に切り替えると同時に、セグメント電極波形SEG−Bをその0V(グランドレベル)から第2のレベルである電圧Vseg+に切り替える。このセグメント電極波形SEG−A,SEG−Bのレベル切り替えを行なっている間、第3のグループCに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Cは第2のレベルである電圧Vseg+のままであり、第4のグループDに属するPN液晶表示素子のセグメント電極4に印加されるセグメント電極波形SEG−Dは第1のレベルである電圧Vseg−のままである。そして、セグメント電極波形SEG−A,SEG−Bのレベルが切り替わったならば、次に、セグメント電極波形SEG−Cを第2のレベルである電圧Vseg+から一旦、0V(グランドレベル)に切り替えると同時に、セグメント電極波形SEG−Dを第1のレベルである電圧Vseg−から一旦、0V(グランドレベル)に切り替える。その後に、セグメント電極波形SEG−Cをその0V(グランドレベル)から第1のレベルである電圧Vseg−に切り替えると同時に、セグメント電極波形SEG−Dをその0V(グランドレベル)から第2のレベルである電圧Vseg+に切り替える。このセグメント電極波形SEG−C,SEG−Dのレベル切り替えを行なっている間、セグメント電極波形SEG−Aは第1のレベルである電圧Vseg−のままであり、セグメント電極波形SEG−Dは第2のレベルである電圧Vseg+のままである。こうして、各セグメント電極波形SEG−A,SEG−B,SEG−C,SEG−Dが、正負逆方向に切り替えられる。
【0076】
そして、前記所定周期が経過してセグメント電極波形SEG−A,SEG−Bを切り替えるタイミングとなったならば、セグメント電極波形SEG−Aを第1のレベルである電圧Vseg−から一旦、0V(グランドレベル)に切り替えると同時に、セグメント電極波形SEG−Bを第2のレベルである電圧Vseg+から一旦、0V(グランドレベル)に切り替える。その後に、セグメント電極波形SEG−Aをその0V(グランドレベル)から第2のレベルである電圧Vseg+に切り替えると同時に、セグメント電極波形SEG−Bをその0V(グランドレベル)から第1のレベルである電圧Vseg−に切り替える。このセグメント電極波形SEG−A,SEG−Bのレベル切り替えを行なっている間、セグメント電極波形SEG−Cは第1のレベルである電圧Vseg−のままであり、セグメント電極波形SEG−Dは第2のレベルである電圧Vseg+のままである。そして、セグメント電極波形SEG−A,SEG−Bのレベルが切り替わったならば、次に、セグメント電極波形SEG−Cを第1のレベルである電圧Vseg−から一旦、0V(グランドレベル)に切り替えると同時に、セグメント電極波形SEG−Dを第2のレベルである電圧Vseg+から一旦、0V(グランドレベル)に切り替える。その後に、セグメント電極波形SEG−Cをその0V(グランドレベル)から第2のレベルである電圧Vseg+に切り替えると同時に、セグメント電極波形SEG−Dをその0V(グランドレベル)から第1のレベルである電圧Vseg−に切り替える。このセグメント電極波形SEG−C,SEG−Dのレベル切り替えを行なっている間、セグメント電極波形SEG−Aは第2のレベルである電圧Vseg+のままであり、セグメント電極波形SEG−Dは第1のレベルである電圧Vseg−のままである。こうして、各セグメント電極波形SEG−A,SEG−B,SEG−C,SEG−Dが、正負逆方向に切り替えられる。
以上のレベル切り替えを交互に行なう。
【0077】
また、オフ表示(拡散状態)時には、図8(B)に示すように、セグメント電極波形SEG−A,SEG−B,SEG−C,SEG−Dはともに、前記コモン電極駆動波形COMと同様、電圧0V(グランドレベル)のままとする。
【0078】
従って、本第6実施形態においては、PN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23は、前記セグメント電極に出力する信号として、前記第1のレベルから前記第2のレベルへ切り替えるレベル切り替えの際に、前記第1のレベルの信号状態から、一旦グラウンドレベルの信号状態を所定時間出力した後、前記第2のレベルの信号状態となる信号を出力することと、前記セグメント電極に出力する信号として、前記第2のレベルから前記第1のレベルへ切り替えるレベル切り替えの際に、一旦グラウンドレベルの信号状態を所定時間出力した後、前記第1のレベルの信号状態となる信号を出力することと、の少なくとも一方を行なう。
【0079】
また、PN液晶パネル16は、透明基板である液晶パネルガラス21と、前記透明基板上に形成された複数個のPN液晶表示素子と、前記透明基板上にCOG実装された、本実施形態に係るPN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23と、を具備するPN液晶パネルとして機能する。
【0080】
本第6実施形態のようなPN液晶駆動方法を採ることにより、前記第3実施形態と同様に、スタティック駆動方式における駆動波形のレベル切り替わり時に流れる電流を分散することができると共に電流の方向を一定にせずにキャンセルすることができる、つまり、電流集中を抑えることができるので、レベル切り替わり時の大電流による駆動電圧の降下が少なくなる。さらに、本実施形態では、スタティック駆動方式における駆動波形のレベル切り替わり時に、セグメント電極に出力する信号を一旦グラウンドレベルの信号状態とすることで、流れる電流を小さく抑えられると共に、あるグループに属するPN液晶表示素子に蓄積されている電荷を他のグループに属するPN液晶表示素子の充電に利用する電荷の再利用が行えるので、電力の節約にも寄与する。よって、PN液晶表示素子に、所望の表示状態とするのに十分な電圧を印加できようになるので、液晶パネルガラス21上にLSI化した駆動ドライバ23をCOG実装した狭額縁のPN液晶パネルを製造できるようになる。
【0081】
[第7実施形態]
前述の第1乃至第5実施形態で説明したようなPN液晶パネル16を一眼レフレックスカメラのファインダ内表示に適用した場合を考えると、構図用格子線17やフォーカスポイント表示18は、実際のカメラの使用時に利用されるものであり、カメラの不使用時には不要なものである。従って、それらの表示を消し、ファインダを透明状態としておくことが望まれる。
【0082】
一方、PN液晶表示素子は、透明状態とするためには、前述したようなオン表示の駆動を行なわなければならない。即ち、カメラの不使用時に当該カメラの電源がオフされているにもかかわらず、使用されることのないファインダを透明状態とするためにカメラの電池を利用してPN液晶表示素子の駆動が行なわれることとなる。
【0083】
そこで、前記第1乃至第6実施形態では、数10Hz〜100Hz程度の周波数で駆動波形のレベル切り替えを行なっているが、これをカメラの不使用時には、1/2以下の駆動周波数に下げることで、PN液晶駆動装置としての駆動ドライバ23での消費電力を抑え、カメラの低消費電力化を図ることが望ましい。
【0084】
尚、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、一眼レフレックスカメラのファインダ内表示を例に説明したが、その他の機器への適用が可能なことは言うまでもない。尚その場合、全てのPN液晶表示素子を同一表示状態としないときには、前記実施形態のようなグループ化や切り替えタイミングをずらす駆動制御は行なわず、通常の駆動を行なうようにしても構わないことは勿論である。
【0085】
また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても、発明が解決しようとする課題の欄で述べられた課題が解決でき、かつ、発明の効果が得られる場合には、この構成要素が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0086】
1…光源側透明基板
2…コモン電極
3…観察側透明基板
4…セグメント電極
5…ポリマーネットワーク(PN)
6…液晶分子
7…入射光
8…散乱光
9…透過光
16…PN液晶パネル
17…構図用格子線
18…フォーカスポイント表示
21…液晶パネルガラス
22…表示部
23…駆動ドライバ
25,27…配線パターン
26…フレキシブル基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレベルと第2のレベルとで所定周期で切り替わる駆動信号を、複数個のポリマーネットワーク液晶表示素子のそれぞれのセグメント電極に入力して、スタティック駆動するポリマーネットワーク液晶駆動装置において、
前記複数個のポリマーネットワーク液晶表示素子を、2グループ以上にグループ化し、
前記駆動信号の前記第1のレベルと前記第2のレベルとを正負逆の同一レベルとし、
全ポリマーネットワーク液晶表示素子に共通のコモン電極に対してはグランドレベルの信号を出力し、
一つのグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えと、
他のグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えと、
で、互いに異なる状態となるように、前記複数個のポリマーネットワーク液晶表示素子の各セグメント電極に出力する前記駆動信号を制御する、
ことを特徴とするポリマーネットワーク液晶駆動装置。
【請求項2】
前記互いに異なる状態とは、
一つのグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えのタイミングと、
他のグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えのタイミングと、
が、互いに重ならないタイミングであることを特徴とする請求項1に記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置。
【請求項3】
さらに、各グループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子を2つのサブグループにグループ化し、
一方のサブグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替え方向と、
他方のサブグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替えの方向と、
を、反対方向とすることを特徴とする請求項2に記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置。
【請求項4】
前記互いに異なる状態とは、
一つのグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替え方向と、
他のグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替えの方向と、
が、反対方向であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置。
【請求項5】
さらに、前記切り替えの方向が正負逆のグループ対を複数にして、各グループ対の切り替えのタイミングを互いに異ならせることを特徴とする請求項4に記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置。
【請求項6】
前記セグメント電極へ出力する前記駆動信号として、
前記第1のレベルから前記第2のレベルへ切り替えるレベル切り替えの際に、前記第1のレベルの信号状態から、一旦グラウンドレベルの信号状態を所定時間出力した後、前記第2のレベルの信号状態となる信号を出力することと、
前記セグメント電極へ出力する前記駆動信号として、前記第2のレベルから前記第1のレベルへ切り替えるレベル切り替えの際に、一旦グラウンドレベルの信号状態を所定時間出力した後、前記第1のレベルの信号状態となる信号を出力することと、
の少なくとも一方を行なうことを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置。
【請求項7】
前記複数個のポリマーネットワーク液晶表示素子が形成された透明基板上にCOG実装されることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置。
【請求項8】
第1のレベルと第2のレベルとで所定周期で切り替わる駆動信号を、複数個のポリマーネットワーク液晶表示素子のそれぞれのセグメント電極に入力して、スタティック駆動する際に、
前記複数個のポリマーネットワーク液晶表示素子を、2グループ以上にグループ化し、
前記駆動信号の前記第1のレベルと前記第2のレベルとを正負逆の同一レベルとし、
全ポリマーネットワーク液晶表示素子に共通のコモン電極に対してはグランドレベルの信号を出力し、
一つのグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えと、
他のグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えと、
で、互いに異なる状態となるように、前記複数個のポリマーネットワーク液晶表示素子の各セグメント電極に出力する前記駆動信号を制御する、
ことを特徴とするポリマーネットワーク液晶駆動方法。
【請求項9】
前記互いに異なる状態とは、
一つのグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えのタイミングと、
他のグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの切り替えのタイミングと、
が、互いに重ならないタイミングであることを特徴とする請求項8に記載のポリマーネットワーク液晶駆動方法。
【請求項10】
さらに、各グループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子を2つのサブグループにグループ化し、
一方のサブグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替え方向と、
他方のサブグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替えの方向と、
を、反対方向とすることを特徴とする請求項9に記載のポリマーネットワーク液晶駆動方法。
【請求項11】
前記互いに異なる状態とは、
一つのグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替え方向と、
他のグループに含まれるポリマーネットワーク液晶表示素子のセグメント電極へ出力する前記駆動信号の前記レベルの正負の切り替えの方向と、
が、反対方向であることを特徴とする請求項8に記載のポリマーネットワーク液晶駆動方法。
【請求項12】
さらに、前記切り替えの方向が正負逆のグループ対を複数にして、各グループ対の切り替えのタイミングを互いに異ならせることを特徴とする請求項11に記載のポリマーネットワーク液晶駆動方法。
【請求項13】
前記セグメント電極へ出力する前記駆動信号として、
前記第1のレベルから前記第2のレベルへ切り替えるレベル切り替えの際に、前記第1のレベルの信号状態から、一旦グラウンドレベルの信号状態を所定時間出力した後、前記第2のレベルの信号状態となる信号を出力することと、
前記セグメント電極へ出力する前記駆動信号として、前記第2のレベルから前記第1のレベルへ切り替えるレベル切り替えの際に、一旦グラウンドレベルの信号状態を所定時間出力した後、前記第1のレベルの信号状態となる信号を出力することと、
の少なくとも一方を行なうことを特徴とする請求項9乃至12の何れかに記載のポリマーネットワーク液晶駆動方法。
【請求項14】
透明基板と、
前記透明基板上に形成された複数個のポリマーネットワーク液晶表示素子と、
前記透明基板上にCOG実装された、請求項1乃至6の何れかに記載のポリマーネットワーク液晶駆動装置と、
を具備することを特徴とするポリマーネットワーク液晶パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−150018(P2011−150018A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9347(P2010−9347)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】