説明

ポリマーブレンドの添加剤としてのグリオキサル及びメチルグリオキサル

本発明は、(a)成分Aとして少なくとも1種の疎水性ポリマーと、(b)成分Bとして少なくとも1種の親水性ポリマーと、(c)成分Cとして、アルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物の群から選択される最後の1種の化合物に由来するA及び/又はBを架橋する少なくとも1つの構造単位とを含むポリマーブレンドに関する。本発明は、更に、その製造方法及びその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成分Aとして少なくとも1種の疎水性ポリマーと、成分Bとして少なくとも1種の親水性ポリマーと、成分Cとして、A及び/又はBを架橋し、且つアルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の化合物に由来する少なくとも1つの構造単位とを含むポリマーブレンドと、前記ポリマーブレンドの製造方法と、このポリマーブレンドを含む部材、シート又はフィルムと、部材、シート又はフィルムの製造のためのこのポリマーブレンドの使用と、更に、少なくとも1種の疎水性ポリマー及び少なくとも1種の親水性ポリマーを含むポリマーブレンドの製造のための、アルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の化合物の使用とに関する。
【0002】
本発明は、特に、生分解性/生体適合性ポリマーブレンドと、更にそれらの製造方法とに関する。生分解性及び生体適合性ポリマー及びポリマーブレンドは、先行技術から公知である。
【0003】
US5,322,866には、未処理デンプンを生分解性コポリマー、例えばポリビニルアルコール又はエチレンビニルアルコールと、可塑剤と、更に湿潤剤と混合する生分解性デンプン系生成物の製造方法が開示されている。グリセロールは、適切な可塑剤である。他の適切な添加剤は、タルク又はステアレート、例えばステアリン酸カルシウム又はステアリン酸亜鉛である。US5,322,866による生分解性ポリマー混合物は、溶融成分の共押出を介して製造される。
【0004】
US6,096,809には、少なくとも1種のデンプンバイオポリマーと、1種の可塑剤と、芳香族ポリエステル、脂肪族ブロックだけでなく芳香族ブロックも有するポリエステルコポリマー、ポリエステルアミド、ポリグリコール、ポリエステルウレタン及びそれらの混合物から選択される1種のポリマーとを含む生分解性ポリマー混合物が開示されている。US6,096,809によれば、前記混合物は、上述のポリマーと一緒に、可塑剤、安定剤、防炎剤、及び、適切な場合、更なる生分解性ポリマーを含むことができる。前記文献によれば、親水性ポリマーの性質のレベルを減少させるため、アルキルケテンダイマー等の架橋化合物を添加することが可能である。
【0005】
US5,346,936には、化工デンプンと、乳化剤と、可塑剤又は構造破壊化合物と、少なくとも1種の直鎖状ポリマーとを含む生分解性単相デンプン/ポリマー混合物が開示されている。使用され得る可塑剤は、少なくとも1個のヒドロキシル基を有する有機化合物であり、例としては、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、D−グルコース、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール及びそれらの混合物である。適切な乳化剤は、金属ステアレート、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノパルミテート、ポリオキシエチレンステアレート及びそれらの混合物である。他の適切な添加剤は、製造プロセスの間に加工性を増大させる蛍光増白剤、安定剤、抗酸化剤、防炎剤、染料、充填剤及び添加剤である。
【0006】
US5,374,304には、アミロースに基づく生分解性、鮮明、透明及び可撓性プラスチックが開示されており、それはまた、可塑剤も含む。可塑剤として適切な化合物は、グリセロール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ソルビトール、ポリビニルアルコール、クエン酸付加物及びそれらの混合物である。
【0007】
EP1263859A1には、脂肪族ポリエステル、例えばポリ乳酸又はポリカプロラクトン、デンプン及びミツロウ又はモンタンエステルワックスから選択されるポリマーから構成される混合物を含むシート及びコーティングが開示されている。EP1263859A1による混合物は、脂肪酸アミド、タルク、中和剤、安定剤又は染料から選択される添加剤を更に含むことができる。
【0008】
R.F.Storey et al.,Polymer35(4),pp830−838,1994、及びP.Bruin et.al.,Makromolekulare Chemie 9,pp589−594,1998には、トルエン2,6−ジイソシアネート(TDI)によって架橋されるD,L−乳酸、グルコース、ε−カプロラクトン及びトリメチレンカーボネートホモポリエステルに基づく分解可能ポリウレタンが開示されている。
【0009】
デンプンを含むポリマーブレンドは、望ましくない高吸水能力を有し、それは、例えば包装セクターのためのシートを製造するためにそれらを使用することをより困難にする。デンプンを含むポリマー混合物の機械的性質は、更に不十分である。機械的安定性を増大させる目的でこれらの混合物に例えばポリエステルを添加することは、対応する生分解性ポリマー混合物のコストに対する悪影響を有する。デンプン−ポリマー混合物の架橋のためのジイソシアネートの使用は、ジイソシアネートの存在によって毒性が増加した生成物につながり、従って、これらは、飲食物セクターにおいて使用され得ない。ジイソシアネートによってもたらされる架橋は逆転が更に困難であり、従って、これらの生成物の生分解性は不十分である。
【0010】
従って、上述した先行技術に鑑みて、生分解性であり、例えば包装又は手提袋として使用のための適切な機械的性質を有し、低い毒性を有する親水性ポリマー及び疎水性ポリマーを含むポリマーブレンドを提供することが本発明の目的である。更なる意図は、これらのポリマーブレンドを製造することが可能であり、現在利用可能な装置を使用して容易に且つ安価に実施され得る方法を提供することである。
【0011】
これらの目的は、
(a)成分Aとして少なくとも1種の疎水性ポリマーと、
(b)成分Bとして少なくとも1種の親水性ポリマーと、
(c)成分Cとして、成分A及び/又はBを架橋し、且つアルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の化合物に由来する少なくとも1つの構造単位と
を含むポリマーブレンドを介して達成される。
【0012】
前記目的は、更に
(A)ポリマーブレンドを得るため、成分Aとして少なくとも1種の疎水性ポリマーと成分Bとして少なくとも1種の親水性ポリマーとを混合するステップと、
(B)本発明によるポリマーブレンドを得るため、成分Dとして、ステップ(A)において得られたポリマーブレンドとアルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物から成る群から選択される化合物とを混合する、及び反応させるステップと
を含む本発明によるポリマーブレンドの製造方法を介して達成される。
【0013】
前記目的は、更に
(C)変性ポリマーを得るため、成分Bとして少なくとも1種の親水性ポリマーとアルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物から成る群から選択される化合物とを混合する、及び反応させるステップと、
(D)ポリマーブレンドを得るため、ステップ(C)において得られた変性ポリマーと少なくとも1種の疎水性ポリマーAとを混合するステップと
を含む本発明によるポリマーブレンドの製造方法を介して達成される。
【0014】
前記目的は、更に前記ポリマーブレンドを含む部材、シート又はフィルムを介して、並びに部材、シート又はフィルムの製造のための前記ポリマーブレンドの使用と、成分A及び/又はBが架橋する成分Aとして少なくとも1種の疎水性ポリマーと成分Bとして少なくとも1種の親水性ポリマーとを含むポリマーブレンドの架橋のための、アルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及び混合物から成る群から選択される少なくとも1種の化合物の使用とを介して達成される。
【0015】
本発明のポリマーブレンドは、成分Aとして少なくとも1種の疎水性ポリマーを含む。
【0016】
本発明の目的のため、「疎水性」及び「親水性」は、互いに各種ポリマーの性質がそれぞれ相対的に疎水性及び親水性であること、即ち、親水性のレベルが異なることを意味する。
【0017】
本発明によるポリマーブレンドにおいて使用される疎水性ポリマーは、当業者に公知の任意の疎水性ポリマーを含むことができる。使用される成分Aが熱可塑性疎水性ポリマーを含むことが好ましい。
【0018】
少なくとも1種の疎水性ポリマー(成分A)が、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、前記ポリマーから構成される構造単位を含むコポリマー及びそれらの混合物から成る群から選択されていることが特に好ましい。非常に特に好ましい一実施形態において、少なくとも1種の疎水性ポリマー(成分A)は、少なくとも1種の生分解性の、好ましくは熱可塑性のポリエステルである。
【0019】
ポリアミド及びそれらの製造方法は、当業者に公知である。適切なポリアミドの例は、オメガ−アミノカプロン酸、オメガ−アミノエナント酸、オメガ−アミノカプリル酸、オメガ−アミノペラルゴン酸、オメガ−アミノカプリン酸、オメガ−アミノウンデシル酸、オメガ−アミノラウリン酸及び/又はカプロラクタム、ラウロラクタムから構成される、及び/又は、ジメチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、及びシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカン二酸、ドデカンジオン酸、二量化脂肪酸から構成されるホモポリアミド及び/又はコポリアミドである。
【0020】
カプロラクタム、ラウロラクタム、オメガ−アミノラウリン酸、オメガ−アミノカプロン酸、ヘキサメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、アジピン酸、二量化脂肪酸又はそれらの混合物から構成されるホモポリアミド及びコポリアミドが特に好ましい。
【0021】
ホモポリアミド又はコポリアミドは、当業者に公知の方法によって、ジアミン及びジカルボン酸又はアミノカルボン酸と、適切な場合、酸触媒との重縮合を介して、及び/又は得られる反応水を同時に除去することを介して製造され得る。
【0022】
ポリエステル及びそれらの製造方法は、当業者に公知である。材料のポリエステルのクラスから、ヒドロキシアルカン酸又は脂肪族ジカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸、例えば、2−ヒドロキシプロピオン酸(乳酸)、3−ヒドロキシ酪酸(ポリヒドロキシブチレート)、オメガ−ヒドロキシ酢酸、オメガ−ヒドロキシプロピオン酸、オメガ−ヒドロキシ酪酸、オメガ−ヒドロキシバレリアン酸、オメガ−ヒドロキシカプロン酸、オメガ−ヒドロキシエナント酸、オメガ−ヒドロキシカプリル酸、オメガ−ヒドロキシペラルゴン酸、オメガ−ヒドロキシカプリン酸、オメガ−ヒドロキシウンデシル酸、オメガ−ヒドロキシラウリン酸、及び/又はカプロラクトン、ラクトン7、ラクトン8、ラクトン9、ラクトン10、ラクトン11、ラウロラクトン、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカン二酸、ドデカンジオン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及び/又はそれらの無水物、及び/又はそれらの塩化物、及び/又はそれらのエステルと、2〜18個の炭素原子を有する脂肪族ジオール又はジオール混合物、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールとのホモポリエステル及び/又はコポリエステルが好ましい。ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールから構成されるポリエステル、及び半芳香族ポリエステルから成る群から選択される生分解性のホモポリエステル又はコポリエステルが特に好ましい。好ましい成分は、ポリラクチド(PLA)及びポリヒドロキシアルカノエートであり、これらの中で、特に、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシブチレート−コ−バレレート(PHBV)及びポリヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート(P3HB−コ−4HB)である。挙げられる特定の生成物は、NatureWorks(登録商標)(Natureworksからのポリ乳酸)、Biocycle(登録商標)(PHB Ind.からのポリヒドロキシブチレート);Enmat(登録商標)(Tiananからのポリヒドロキシブチレート−コ−バレレート)、Mirel(登録商標)(Telles/Metabolix/ADMからのポリヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)等のものである。
【0023】
本発明によれば、生分解性半芳香族ポリエステルという用語はまた、ポリエステル誘導体、例えば、ポリエーテルエステル、ポリエステルアミド又はポリエーテルエステルアミドを含むことが意図される。直鎖状非鎖伸長ポリエステル(WO92/09654)は、適切な生分解性半芳香族ポリエステルの中のものである。鎖伸長及び/又は分枝状半芳香族ポリエステルが好ましい。後者は、冒頭において挙げられた明細書:WO96/15173〜15176、21689〜21692、25446、25448又はWO98/12242から公知であり、これらは、参考として本明細書で明示的に援用される。各種半芳香族ポリエステルの混合物を使用することも可能である。半芳香族ポリエステルとしては、特にEcoflex(登録商標)(BASF Aktiengesellschaft)やEastar(登録商標)Bio(Novamont)等の製品が挙げられる。
【0024】
好ましい半芳香族ポリエステルは、1000〜100000g/モルの範囲、特に9000〜75000g/モルの範囲、好ましくは10000〜50000g/モルの範囲のモル質量(Mn)と、60〜170℃の範囲、好ましくは80〜150℃の範囲の融点とを特徴とする。
【0025】
材料又は材料の混合物は、前記材料又は材料の混合物がDIN V54900−2(草案標準、1998年9月現在)において定義される3つの方法の内の少なくとも1つにおいて少なくとも60%の生分解率を有する場合、「生分解性」の定義に適合する。
【0026】
生分解は、一般的に、適切で且つ証明可能な期間のポリエステル又はポリエステル混合物の分解につながる。分解は、酵素経路、加水分解経路又は酸化経路によって及び/又は紫外線等の電磁放射に対する曝露を介して起こる可能性があり、主に微生物、例えば、細菌、酵母、真菌及び藻類に対する曝露を介してほとんどの場合もたらされ得る。生分解性は、例えば、ポリエステルとコンポストとを混合し、それらを特定の期間保存することによって定量され得る。例えば、DIN EN13432又はDIN V 54900−2(方法3)によれば、CO2不含ガスを、コンポスト化プロセス中に熟成したコンポストに通過させ、前記コンポストを規定の温度プロファイルに供する。本明細書における生分解性は、(試料の炭素含有量から算出される)試料から放出され得るCO2の最大量に対する(試料を有さないコンポストによって放出されるCO2の量の減算後の)試料から放出されるCO2の純量の比による生分解率と定義される。生分解性ポリエステル又は生分解性ポリエステル混合物は、一般的に、ちょうどコンポスト化の数日後に分解の著しい徴候を示し、例としては、菌の成長、クラッキング及び穿孔である。
【0027】
生分解性を決定するための他の方法は、例えばASTM D5338及びASTM D6400において記載されている。
【0028】
ホモポリエステル又はコポリエステルは、ジオール及びジカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸と、適切な場合、酸触媒との重縮合を介して、及び/又は生成する反応水を同時に除去することを介して当業者に公知の方法によって製造され得る。
【0029】
本発明によって適切なポリウレタン及びそれらの製造方法は、当業者に公知である。
【0030】
本発明によって適切なポリオレフィン及びそれらの製造方法は、当業者に公知である。本発明によって適切なポリオレフィンは、ホモポリオレフィン又はコポリオレフィン、例えば一価不飽和又は多価不飽和脂肪族又は芳香族化合物から構成されるものであり、例としては、エテン、プロペン、ブテン、ブタジエン、ペンテン、ヘキセン、スチレン、置換スチレン、例えばα−メチルスチレン、又はそれらの混合物である。好ましいポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン及び前記ポリオレフィンの構造単位を含むコポリマーから成る群から選択されるものである。
【0031】
ホモポリオレフィン及びコポリオレフィンは、当業者に公知の方法によってフリーラジカルアニオン又はカチオン重合を介して得られ得る。
【0032】
本発明のポリマーブレンドは、成分Bとして、少なくとも1種の親水性ポリマーを含む。好ましい一実施形態において、少なくとも1種の親水性ポリマー(成分B)は、ヒドロキシ基及び/又はアミド基を含むホモポリマー又はコポリマーである。少なくとも1種の親水性ポリマー(成分B)が、デンプン、セルロース、ポリビニルアルコール、タンパク質、ポリ(メタ)アクリルアミド、多糖及びそれらの混合物から成る群から選択されたことが特に好ましい。
【0033】
本発明によれば、使用されるデンプンは、異なる由来又は組成を有するこの種類のポリマー化合物を含むことができる。本発明によれば、「デンプン」という用語は、例えば、天然、植物由来の、好ましくは、アミロース及び/又はアミロペクチンから構成される多糖を含む。本発明によって使用され得るデンプンは、例えば、各種植物から得られ得るが、例としては、ジャガイモ、米、タピオカ、トウモロコシ、エンドウ又は穀類、例えば小麦、オート麦又はライ麦である。このための適切な方法は、当業者に公知である。本発明によれば、ジャガイモから、トウモロコシから、小麦から及び/又は米から製造されるデンプンを使用することが好ましい。異なる由来のデンプンの混合物が同様に使用され得る。デンプンは、未変性型において、即ち水和型において、又は乾燥デンプンの型において使用され得る。
【0034】
成分Bとして熱可塑的に加工可能なデンプンを使用することも更に可能であり、例としては、エーテル基を介して又はエステル基を介してデンプンの遊離ヒドロキシ基に結合する側鎖、例えば直鎖状又は分枝状C1〜C12−アルキル及び/又はアリール鎖を有するデンプンである。
【0035】
本発明のポリマーブレンドは、成分A及び/又はBに架橋し且つアルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の化合物に由来する少なくとも1つの構造単位を成分Cとして含む。
【0036】
アルデヒドは、成分Cとして使用され得る。適切な例は、ホルムアルデヒド、エタナール、プロパナール、ブタナール、ペンタナール及びそれらの混合物から成る群から選択されるものである。
【0037】
本発明のポリマーブレンドにおける成分Cとして存在する架橋構造単位は、好ましくは、少なくとも2個のアルデヒド基、少なくとも2個のケト基、又は少なくとも1個のアルデヒド基及び少なくとも1個のケト基を有する化合物に由来する。
【0038】
本発明のポリマーブレンドにおいて、架橋構造単位Cは、一般的に、それ自体の範囲内で成分Aを、それ自体の範囲内で成分Bを、及び/又は相互に成分A及び成分Bを架橋させる。成分Bがそれ自体の範囲内で架橋されることが好ましい。
【0039】
架橋構造単位は、好ましくは、挙げられたアルデヒド基及び/又はケト基と、成分Bとして存在する親水性ポリマーの遊離ヒドロキシ又はアミド基との反応から生じる。アルデヒド基及び/又はケト基と少なくとも1種の親水性ポリマー(成分B)のヒドロキシル基との反応は、アセタール基の形成を生じさせる。架橋構造単位の基礎をなす化合物が好ましくは少なくとも2個の官能基を有することから、前記少なくとも2個の官能基と親水性ポリマーとの反応の結果は、少なくとも1種の親水性ポリマー(成分B)の架橋である。従って、好ましくは存在するアルデヒド基又はケト基がアセタール基又はアミノアセタール基に転化された場合、架橋構造単位(成分C)は、それらの基礎をなす化合物に対応する。架橋度は、架橋構造単位の基礎をなす化合物の量を介して調整され得る。
【0040】
好ましい一実施形態において、本発明のポリマーブレンドの成分Cは、一般式(I)
【化1】

[式中、
1及びR2は、互いに独立して、水素、C1〜C8−アルキル、C2〜C8−アルケニル、C2〜C8−アルキニル、C6〜C22−アリール、C6〜C22−ヘテロアリール、C6〜C22−アルキルアリール又はC6〜C22−アルキルヘテロアリールであり、及び
nは、0〜12である]のジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン又はそれらの混合物に由来する。
【0041】
好ましい一実施形態において、R1及びR2は、互いに独立して、水素又はC1〜C8−アルキルであり、特に好ましくは、互いに独立して水素、メチル、エチル、プロピル又はブチルから選択され、特に好ましくは互いに独立して水素又はメチルから選択される。別の好ましい一実施形態において、nは、0、1、2、3、4、5又は6であり、特に好ましくは0、1、2又は3であり、非常に特に好ましくは0又は3である。
【0042】
非常に特に好ましい一実施形態において、成分Cは、グリオキサル(II)(R1及びR2は水素であり、nは0である)、メチルグリオキサル(III)(R1はメチルであり、R2は水素であり、nは0である)、グルタルアルデヒド(IV)(R1及びR2は水素であり、nは3である)又はそれらの混合物に由来する。
【0043】
【化2】

【0044】
本発明によれば、成分Cとして存在する架橋構造単位は、前記化合物の、特にジアルデヒド、ジケトン及び/又はアルデヒドケトンの誘導体に由来することも可能である。適切な誘導体の例は、アセタール、特に完全アセタール及びヘミアセタールであり、これらは、多価アルコールが環状ヘミアセタール又は環状完全アセタールを形成する場合、化合物中における対応するアルデヒド基又はケト基と一価アルコール又は多価アルコールとの反応を介して転化される。
【0045】
適切な一価アルコールの例は、1〜10個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及び/又はn−プロパノール、ブタノール、n−ブタノール、イソブタノール及び/又はtert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール及びそれらの混合物である。
【0046】
適切な多価アルコールの例は、一般式(V)
【化3】

[式中、mは2〜8、好ましくは2又は3である]の化合物から成る群から選択されるものである。特に好ましい二価アルコールは、グリコール(1,2−エタンジオール)、1,3−プロパンジオール及びそれらの混合物である。
【0047】
本発明のポリマーブレンドにおいて少なくとも1個の架橋構造単位(成分C)が由来する特に好ましいジアルデヒド、アルデヒドケトン、並びにジアルデヒド、ジケトン及びアルデヒドケトンのアセタールは、以下で示される群から選択されるものである。
【0048】
【化4】

【0049】
本発明に従って使用することが可能であり、且つジアルデヒド、ジケトン又はアルデヒドケトンに由来する他の化合物は、前記化合物上への尿素又はジアルキル尿素、例えばジメチル尿素の付加物であり、例としては、1又は2当量の尿素又はジメチル尿素を使用する、グリオキサル又はメチルグリオキサルとの、グリオキサル若しくはメチルグリオキサルの尿素付加物、又はジメチル尿素等の尿素誘導体の付加物であり、例としては、以下の式(VIa)〜(VIk)及び(VIm)
【化5】

【0050】
【化6】

の化合物である。
【0051】
例えば、他の適切な誘導体の例は、グリオキサル樹脂又はメチルグリオキサル樹脂、例えば、ジメチロール−1,3−ジヒドロキシ−4,5−イミダゾリジノン(DMDHEU)である。
【0052】
従って、本発明によれば、好ましいポリマーブレンドは、成分Cが、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトンの尿素誘導体若しくはジアルキル尿素誘導体又はそれらの混合物、又はグリオキサル樹脂若しくはメチルグリオキサル樹脂であるものである。
【0053】
非常に特に好ましい一実施形態において、成分Cは、グリオキサル、メチルグリオキサル又はそれらの混合物に由来する。
【0054】
他の好ましい一実施形態において、本発明のポリマーブレンドは、少なくとも1種の可塑剤を含む。本発明によれば、デンプンに基づくポリマーブレンドのための可塑剤として当業者に公知の任意の可塑剤を使用することができるが、例としては、少なくとも1個のヒドロキシ基を有する有機化合物、好ましくはポリオール、特に好ましくはグリセロール、ソルビトール、マンニトール、D−グリコース、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール又はこれらの混合物である。
【0055】
本発明のポリマーブレンドは、一般的に成分Aとして、各場合においてポリマーブレンドに対して10〜90質量%、好ましくは40〜80質量%、特に好ましくは55〜70質量%の少なくとも1種の疎水性ポリマーを含む。
【0056】
本発明のポリマーブレンドは、一般的に成分Bとして、各場合においてポリマーブレンドに対して10〜90質量%、好ましくは20〜50質量%、特に好ましくは25〜45質量%の少なくとも1種の親水性ポリマーを含む。
【0057】
本発明のポリマーブレンドは、一般的に成分Cとして、各場合においてポリマーブレンドに対して0.01〜30質量%、好ましくは0.01〜10質量%、特に好ましくは0.01〜4質量%の少なくとも1つの架橋構造単位を含む。
【0058】
少なくとも1種の可塑剤が存在する場合、その存在する量は、各場合においてポリマーブレンドに対して、一般的に0.5〜40質量%、好ましくは1〜30質量%である。
【0059】
本発明によれば、更なる添加剤が存在する可能性があるが、例としては、蛍光増白剤、安定剤、抗酸化剤、難燃剤、染料、充填剤、加工助剤及びそれらの混合物である。ポリマーブレンドに対するこれらの添加剤の存在する量は0〜50質量%であり、それらが存在する場合、1〜30質量%である。
【0060】
本発明のポリマーブレンドにおいてに存在する成分の全体は、全ての場合において、100質量%である。
【0061】
また、本発明は、
(A)ポリマーブレンドを得るため、成分Aとして少なくとも1種の疎水性ポリマーと成分Bとして少なくとも1種の親水性ポリマーとを混合するステップと、
(B)ポリマーブレンドを得るため、成分Dとしてステップ(A)において得られたポリマーブレンドとアルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物から成る群から選択される化合物とを混合する、及び反応させるステップと
を含む本発明のポリマーブレンドの、特に本発明の前記ポリマーブレンドの製造方法(I)を提供する。
【0062】
本発明の方法のステップ(A)は、ポリマーブレンドを得るため成分Aとして少なくとも1種の疎水性ポリマーと成分Bとして少なくとも1種の親水性ポリマーとを混合することを含む。
【0063】
好ましい一実施形態において、成分Aとして使用される少なくとも1種の疎水性ポリマーは、前記疎水性ポリマー、特に、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、前記ポリマーから構成される構造単位を含むコポリマー及びそれらの混合物から成る群から選択されるものを含む。
【0064】
好ましくは、本発明の方法において成分Bとして使用される少なくとも1種の親水性ポリマーは、前記ポリマー、特にデンプン、セルロース、ポリビニルアルコール、タンパク質、ポリ(メタ)アクリルアミド、多糖及びそれらの混合物から成る群から選択されるものを含む。
【0065】
本発明のポリマーブレンドに関して為される記述は、それぞれ成分A及びBの性質並びに好ましい実施形態に関して適用可能である。
【0066】
本発明の方法のステップ(A)は、混合すべき成分が溶融し、互いに混合し得る任意の温度で実施され得るが、例としては、20〜250℃である。前記温度は、それぞれのポリマーの融点に依存する。
【0067】
本発明の方法のステップ(A)における混合は、当業者に公知の任意の装置において、例えば、押出機において、又は混練機において、又は撹拌槽において行われ得る。
【0068】
本発明の方法のステップ(A)は、一般的に成分Aとして、各場合において成分A及びBから構成される混合物に対して10〜90質量%、好ましくは40〜80質量%、特に好ましくは55〜70質量%の少なくとも1種の疎水性ポリマーを使用する。
【0069】
本発明の方法のステップ(A)は、一般的に成分Bとして、各場合において成分A及びBから構成される混合物に対して10〜90質量%、好ましくは20〜60質量%、特に好ましくは25〜50質量%の少なくとも1種の親水性ポリマーを使用する。
【0070】
適切な場合、適切な量の前記添加剤が、本発明の方法のステップ(A)において添加され得る。しかし、この添加はまた又は更にステップ(B)において行われ得る。
【0071】
本発明の方法のステップ(B)は、ポリマーブレンドを得るため、ステップ(A)において得られたポリマーブレンドと成分Dとしてアルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物から成る群から選択される化合物とを混合する、及び反応させることを含む。
【0072】
特に好ましい一実施形態において、本発明の方法のステップ(B)は、ポリマーブレンドに関して前述されたそれらのジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物を使用する。以下の式(II)、(IIa)〜(IIf)、(III)、(IIIa)及び(IIIb)
【化7】

のグリオキサル、メチルグリオキサル、アセタール、又はグリオキサル若しくはメチルグリオキサルの前記尿素付加物若しくはジアルキル尿素付加物、特にジメチル尿素付加物は、ステップ(B)における成分Dとして添加されることが特に好ましい。
【0073】
本発明の方法のステップ(B)は、一般的に各場合においてステップ(B)において得られた混合物に対して0.01〜30質量%、好ましくは0.01〜10質量%、特に好ましくは0.01〜4質量%の成分Dを使用する。
【0074】
成分Dは、本発明の方法のステップ(B)において塊で又は溶液の形態で添加され得る。適切な溶媒は当業者に公知であり、例としては水である。
【0075】
溶媒として水を使用することが好ましい。好ましくは、成分D、特にグリオキサル及び/又はメチルグリオキサルを使用する水溶液の濃度は、一般的に1〜70質量%、好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは30〜50質量%である。
【0076】
好ましい一実施形態において、ステップ(B)における混合は、押出機において行われる。本発明の方法のステップ(B)における温度は、一般的に、ステップ(A)からのポリマーブレンド及び成分Dが相互に混和性になるような方法で設定される。本発明の方法のステップ(B)は、100〜220℃、特に130〜180℃、非常に特に140〜170℃の温度で実施されることが好ましい。
【0077】
本発明によれば、ステップ(A)からのポリマーブレンド及び成分Dは、混合プロセスのために使用される装置、例えば押出機に同時に添加される。しかし、成分A及びBの混合の最大均一性を得るためにステップ(A)からのポリマーブレンドを押出機において最初に溶融することが好ましい。次いで、成分Dが、好ましくは水溶液の形態で溶融ポリマーブレンドに添加される。
【0078】
本発明の方法のステップ(B)において生じる反応は、一般的に、成分A及び/又はBの、特に成分Bの架橋を引き起こすような方法における、アセタール基を形成する、成分Dの官能基、即ちアルデヒド基及び/又はケト基と、成分A及び/又はB中に存在する官能基、特に成分B中に存在するヒドロキシ官能基との反応にある。
【0079】
ステップ(B)は、個々の成分の最大の混合を確保するために十分な期間行われる。
【0080】
本発明の方法のステップ(B)の後、得られたポリマーブレンドの加工及び/又は仕上げのための当業者に公知のプロセスステップの内のいずれかを、次いで実施することが可能であり、例としては、成形、例えばシートを得るか又は膜を得るための延伸である。
【0081】
また、本発明は、
(C)変性ポリマーを得るため、成分Bとして少なくとも1種の親水性ポリマーと、成分Dとしてアルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物から成る群から選択される化合物とを混合する、及び反応させるステップと、
(D)ポリマーブレンドを得るため、ステップ(C)において得られた変性ポリマーと少なくとも1種の疎水性ポリマーAとを混合するステップと
を含む本発明のポリマーブレンドの製造方法(II)を提供する。
【0082】
本発明の方法のステップ(C)は、変性ポリマーを得るため、成分Bとして少なくとも1種の親水性ポリマーと、アルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物から成る群から選択される化合物とを混合する、及び反応させることを含む。
【0083】
本発明の方法(II)のステップ(C)は、好ましくは予備架橋されたポリマーである変性ポリマーを得るために少なくとも1種の親水性ポリマー(成分B)をアルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物から成る群から選択される化合物と反応させる予備架橋を行うことが好ましい。本発明の目的の「予備架橋された」は、ステップ(C)の終了前に一部の架橋構造単位が形成したこと、及び/又は、挙げられた化合物の少なくとも2個の官能基の内の少なくとも1個が親水性ポリマーと反応したことを意味する。完全な架橋は、ステップ(C)において、又は、ステップ(C)及びステップ(D)において起こる。
【0084】
本発明の方法において成分Bとして使用される少なくとも1種の親水性ポリマーは、前記ポリマー、特に、デンプン、セルロース、ポリビニルアルコール、タンパク質、ポリ(メタ)アクリルアミド、多糖及びそれらの混合物から成る群から選択されるものを含むことが好ましい。
【0085】
本発明のポリマーブレンドに関して及び方法(I)に関して為される記述は、それぞれ成分B、並びにアルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物の性質及び好ましい実施形態に適用可能である。
【0086】
本発明の方法のステップ(C)は、混合すべき成分を互いに混合することが可能であり、且つ架橋反応が起こる任意の温度で実施され得、例としては、20〜250℃である。
【0087】
本発明の方法のステップ(C)における混合及び反応は、当業者に公知の任意の装置、例えば押出機又は混練機又は撹拌槽において行うことができる。
【0088】
本発明の方法(II)のステップ(C)は、一般的に、以下のもの:好ましくは水溶液における、70〜99.99質量%、好ましくは90〜99.99質量%、特に好ましくは95〜99.99質量%の少なくとも1種親水性ポリマー(成分B)、並びに各場合において混合物に対して0.01〜30質量%、好ましくは0.01〜10質量%、特に好ましくは0.01〜5質量%のアルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物を互いに混合する。
【0089】
適切な場合、適切な量の前記添加剤が、本発明の方法のステップ(C)において添加され得る。しかし、この添加はまた又は更にステップ(D)において行われ得る。
【0090】
本発明の方法(II)のステップ(C)において生じる反応は、一般的に、アセタール基を形成し、しかるに成分Bを架橋すると共に、成分Dの少なくとも2個の官能基、即ちアルデヒド基及び/又はケト基の内の少なくとも1個と、成分B中に存在する官能基、特に成分B中に存在するヒドロキシ官能基との反応にある。
【0091】
ステップ(C)は、個々の成分の最大の混合を確保するために十分な期間行われる。
【0092】
本発明の方法のステップ(D)は、ポリマーブレンドを得るためステップ(C)において得られた変性ポリマーと少なくとも1種の疎水性ポリマーAとを混合することを含む。
【0093】
本発明のポリマーブレンドに関して及び方法(I)に関して為された記述は、疎水性ポリマー(成分A)に適用可能である。
【0094】
本発明の方法の好ましい一実施形態において、ステップ(D)における混合は、押出機において実施される。従って、好ましい一実施形態において、それぞれステップ(B)及び(D)における混合は、押出機において行われる。
【0095】
本発明の方法のステップ(D)における温度は、一般的に、ステップ(C)からの変性ポリマー及び成分Aが相互に混和性になるような方法で設定される。本発明の方法のステップ(D)は、80〜220℃、特に100〜180℃、非常に特に120〜170℃の温度で実施されることが好ましい。従って、好ましい一実施形態において、それぞれステップ(B)及び(D)は、80〜220℃の温度で行われる。
【0096】
本発明によれば、ステップ(C)からの変性ポリマー及び成分Aは、混合プロセスのために使用される装置、例えば押出機に同時に添加される。しかし、成分Aを押出機において最初に溶融することが好ましい。次いで、ステップ(C)からの変性ポリマーが溶融成分Aに添加される。
【0097】
本発明の方法のステップ(D)の後、得られたポリマーブレンドの加工及び/又は仕上げのための当業者に公知のプロセスステップの内のいずれかを、次いで実施することが可能であり、例としては、成形、例えばシートを得るか又は膜を得るための延伸である。
【0098】
好ましくは本発明の方法(I)及び(II)を介した製造が可能である本発明のポリマーブレンドは、良好な生分解性及び生体適合性と組み合わせた優れた機械的性質を特徴とする。
【0099】
従って、本出願はまた、本発明のポリマーブレンドを含む、例えば包装、手提袋、マルチフィルム又はゴミ袋の形態における部材、シート又はフィルムを提供する。
【0100】
本発明はまた、部材、シート又はフィルムの製造のための本発明のポリマーブレンドの使用を提供する。
【0101】
本発明のポリマーブレンドは、ホルムアルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の化合物の使用を介してそれらの有利な性質を得る。
【0102】
従って、本発明はまた、成分A及び/又はBが架橋される成分Aとして少なくとも1種の疎水性ポリマーと成分Bとして少なくとも1種の親水性ポリマーとを含むポリマーブレンドの製造のためのアルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の化合物の使用を提供する。
【0103】
上で為された記述は、架橋試薬、成分A及びB、並びにそれらの性質及び有利な実施形態に関して適用可能である。
【0104】
実施例
本発明の実施例1〜4及び比較例1:
装置:DSMからのMIDI2000押出機(二軸スクリュー)
回転速度:80rpm
温度:全ゾーン:150℃
付加装置:シートの引き抜きのためのモータを有するスロットダイ及び二本ロール
開始質量:各場合において20g
【0105】
実験方法:
テレフタル酸、アジピン酸及び1,4−ブタンジオールから構成される芳香族−脂肪族コポリエステル(BASF SEからのEcoflex FBX7011)とデンプン(CargillからのCerestar C Drygel03411)とをビーカー内で予備混合する。混合物を押出機に投入し、約1分間の混合後、グリオキサル又はメチルグリオキサルを添加する。更なる5分間の混合後、シートを押し出す。
【0106】
第1表 本発明の実施例1〜3及び比較例1についての混合の仕様(全データは質量パーセントにおける)
【表1】

【0107】
第1.1表 シートの剛性(弾性率)を際立たせるための試験により、以下の結果が得られる:
【表2】

【0108】
本発明の実施例4〜5及び比較例2:
装置:ZSK30
回転速度:250rpm
スループット:変化する
温度プロファイル:ゾーン0:水冷
ゾーン1〜2:20℃
ゾーン3:120℃
ゾーン4〜5:150℃
ゾーン6〜10:160℃
ゾーン11:150℃
【0109】
実験方法:
テレフタル酸、アジピン酸及び1,4−ブタンジオールから構成される芳香族−脂肪族コポリエステル(Ecoflex FBX7011)と、Ecoflex及び10%のエルカミド(Ecoflex SL1)から構成されるマスターバッチとを、ゾーン0における冷却供給材料として使用する。デンプン(Cerestar C Drygel03411)及び架橋剤を、補助押出機を介して計量し、過剰水を除去する。押出物をペレット化し、乾燥し、次いでチルロールにおいて延伸し、シートを得る。
【0110】
第2表 本発明の実施例4〜5及び比較例2の混合の仕様(全データは質量パーセントにおける)
【表3】

【0111】
第2.1表 シートの機械的性質における試験により、以下の結果が得られる:
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)成分Aとしての少なくとも1種の疎水性ポリマーと、
(b)成分Bとしての少なくとも1種の親水性ポリマーと、
(c)成分Cとしての、成分A及び/又はBを架橋し、且つアルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の化合物に由来する少なくとも1つの構造単位と
を含むポリマーブレンド。
【請求項2】
前記少なくとも1種の疎水性ポリマー(成分A)が、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、前記ポリマーから構成される構造単位を含むコポリマー、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項3】
前記少なくとも1種の疎水性ポリマー(成分A)が生分解性ポリエステルである、請求項1又は2に記載のポリマーブレンド。
【請求項4】
前記少なくとも1種の親水性ポリマー(成分B)が、デンプン、セルロース、ポリビニルアルコール、タンパク質、ポリ(メタ)アクリルアミド、多糖及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1から3までのいずれか1項に記載のポリマーブレンド。
【請求項5】
成分Cが、一般式(I)
【化1】

[式中、
1及びR2は、互いに独立して、水素、C1〜C8−アルキル、C2〜C8−アルケニル、C2〜C8−アルキニル、C6〜C22−アリール、C6〜C22−ヘテロアリール、C6〜C22−アルキルアリール又はC6〜C22−アルキルヘテロアリールであり、及び
nは、0〜12である]のジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン又はそれらの混合物に由来する、請求項1から4までのいずれか1項に記載のポリマーブレンド。
【請求項6】
成分Cが、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトンの尿素誘導体若しくはジアルキル尿素誘導体又はそれらの混合物、又はグリオキサル樹脂若しくはメチルグリオキサル樹脂に由来する、請求項1から4までのいずれか1項に記載のポリマーブレンド。
【請求項7】
少なくとも1種の可塑剤を含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載のポリマーブレンド。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリマーブレンドの製造方法において、
(A)成分Aとしての少なくとも1種の疎水性ポリマーと成分Bとしての少なくとも1種の親水性ポリマーとを混合してポリマーブレンドを得るステップと、
(B)成分Dとしての、ステップ(A)において得られた前記ポリマーブレンドとアルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物から成る群から選択される化合物とを混合し、そして反応させて、ポリマーブレンドを得るステップと
を含む前記方法。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリマーブレンドの製造方法において、
(C)成分Bとしての少なくとも1種の親水性ポリマーとアルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物から成る群から選択される化合物とを混合し、そして反応させて、変性ポリマーを得るステップと、
(D)ステップ(C)において得られた前記変性ポリマーと少なくとも1種の疎水性ポリマーAとを混合して、ポリマーブレンドを得るステップと
を含む前記方法。
【請求項10】
ステップ(B)もしくは(D)における混合が押出機において行われる、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(B)もしくは(D)が80〜220℃の温度で行われる、請求項8から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリマーブレンドを含む部材、シート又はフィルム。
【請求項13】
請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリマーブレンドを、部材、シート又はフィルムの製造のために用いる使用。
【請求項14】
アルデヒド、ジアルデヒド、ジケトン、アルデヒドケトン、前記化合物の誘導体及びそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の化合物を、成分Aとしての少なくとも1種の疎水性ポリマーと成分Bとしての少なくとも1種の親水性ポリマーとを含むポリマーブレンドの製造のために用いる使用であって、成分A及び/又はBが架橋される前記使用。

【公表番号】特表2011−524923(P2011−524923A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514027(P2011−514027)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057504
【国際公開番号】WO2009/153275
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】