説明

ポリ乳酸の製造方法、及びポリ乳酸製造装置

【課題】 所望の分子量を有するポリ乳酸を高効率且つ短時間で得ることのできるポリ乳酸の製造方法、並びに、高濃度乳酸を高効率で得られる乳酸製造装置、及び、高効率且つ短時間で十分な分子量を有するポリ乳酸を得られるポリ乳酸製造装置を提供する。
【解決手段】 植物性澱粉と乳酸菌とを発酵させて乳酸を生成し、前記乳酸を脱水縮重合させてポリ乳酸を合成するポリ乳酸の製造方法であって、
少なくとも一対の電極と隔壁と前記隔壁によって仕切られた濃縮部を有し、且つ、前記濃縮部が前記電極の陰極側に設けられた発酵槽内で、前記植物性澱粉と前記乳酸菌と前記乳酸とを含有する混合物に直流電流を通じ、前記乳酸を電気浸透によって前記濃縮部に移動させ貯留する発酵濃縮工程と、
前記濃縮部に貯留された前記乳酸が供給される重合槽内で、前記乳酸を加熱し脱水縮重合させてポリ乳酸を合成する重合工程と、
を含むことを特徴とするポリ乳酸の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性プラスチックであるポリ乳酸の製造方法、並びに、乳酸製造装置及びポリ乳酸製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生分解性プラスチックとは、使用している間は通常のプラスチックと同様に優れた機能を発揮し、使用後は微生物によって自然環境(例えば土壌中など)で速やかに分解され、最終的には土の有機成分や水及び二酸化炭素になるプラスチックのことをいい、現在廃棄物問題等で注目を浴びている。
【0003】
生分解性プラスチックとしては、これまでにも各種の製品が発表されている。
例えば、トウモロコシや馬鈴薯などのでんぷんを乳酸菌により発酵させて得た乳酸を脱水重合したポリ乳酸が挙げられ、農業用マルチフィルムやコンポストバッグなどに利用されている。
【0004】
ポリ乳酸は乳酸を脱水縮重合したものであり、従来から、植物性澱粉に乳酸菌を作用させると乳酸発酵により乳酸が得られることが知られている。しかし、従来の工法によると、発酵の過程で反応液のpHが低下し、乳酸菌の活性が阻害されることが多く、高濃度の乳酸を効率良く得ることが困難であった。係る反応液のpH低下は、植物性澱粉と乳酸菌とを作用させる際、その発酵により生じた乳酸が、発酵槽内において残存していることに起因していると推測される。
【0005】
また、ポリ乳酸は、濃縮処理された乳酸に、触媒(例えば、酸化ルテニウム等と酸化チタンとを等量混合したもの)を適量加えて攪拌しながら加熱することにより乳酸が脱水縮重合することで得られることが知られている。この際、脱水縮重合反応において生じた水を系外に排出することが必要であり、従来から、係る水を排出する方法として水を減圧蒸散させる方法が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
しかし、水を減圧蒸散させる方法によると、重合反応が進むにつれて重合物の粘度が高くなることから、水の解離速度が遅くなり、効率よく脱水を行うことができないという欠点がある。
【0007】
【特許文献1】特開2003−335850公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記に鑑み成されたものであり、所望の分子量を有するポリ乳酸を高効率且つ短時間で得ることのできるポリ乳酸の製造方法、並びに、高濃度乳酸を高効率で得られる乳酸製造装置、及び、高効率且つ短時間で十分な分子量を有するポリ乳酸を得られるポリ乳酸製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のポリ乳酸の製造方法は、植物性澱粉と乳酸菌とを発酵させて乳酸を生成し、前記乳酸を脱水縮重合させてポリ乳酸を合成するポリ乳酸の製造方法であって、少なくとも一対の電極と隔壁と前記隔壁によって仕切られた濃縮部を有し、且つ、前記濃縮部が前記電極の陰極側に設けられた発酵槽内で、前記植物性澱粉と前記乳酸菌と前記乳酸とを含有する混合物に直流電流を通じ、前記乳酸を電気浸透によって前記濃縮部に移動させ貯留する発酵濃縮工程と、
前記濃縮部に貯留された前記乳酸が供給される重合槽内で、前記乳酸を加熱し脱水縮重合させてポリ乳酸を合成する重合工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明のポリ乳酸の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と称する場合がある。)によれば、ポリ乳酸の生産に用いる乳酸製造過程において、電気浸透作用を利用して、発酵槽内の乳酸を、未発酵の乳酸菌及び植物性澱粉から分離することができる。従って、発酵槽内において直接乳酸の生成に係わる混合物中の乳酸濃度を低く保つことができ、前記混合物のpH低下を抑制することができる。これにより、本発明の製造方法によれば高濃度の乳酸を得ることができ、これを用いることで、所望の分子量を有するポリ乳酸を効率良く製造することができる。上記「電気浸透」とは、膜など多孔性物質を通しての電位差による電気的に中性溶媒の移動をいう。
【0011】
また、本発明の製造方法によれば、少なくとも一対の電極と隔壁と前記隔壁によって仕切られた脱水部とを有し、且つ、前記脱水部が前記電極の陰極側に設けられた電気脱水槽内で、前記重合工程において脱水縮重合した乳酸重合体に直流電流を通じ、前記乳酸重合体内の水を電気浸透によって前記脱水部に移動させる電気脱水工程を含むことができる。
【0012】
本発明の製造方法によれば、電気脱水工程において、重合工程で脱水縮重合された乳酸重合体(ポリ乳酸)中に含まれる水を電気浸透によって脱水部にまで移動させることができる。これにより、乳酸重合体の重合が進み粘度が高くなった状態であっても効率よく脱水をおこなうことができる。尚、本明細書において「乳酸重合体」とは、本発明の製造方法や各装置において目的とする分子量を有するポリ乳酸に至る前の段階、即ち乳酸のオリゴマー及び所望の分子量にまだ達しないポリ乳酸を意味し、係る乳酸重合体には、乳酸の脱水縮重合反応において発生した水分が含まれている状態が含まれる。
【0013】
本発明の製造方法においては植物性澱粉としてコーンスターチを好適に用いることができる。
【0014】
本発明の乳酸製造装置は、少なくとも一対の電極、隔壁及び前記隔壁によって仕切られた濃縮部を有し、且つ、前記濃縮部が前記電極の陰極側に設けられた発酵槽と、植物性澱粉及び乳酸菌を前記発酵槽に導入する原料導入手段と、を備え、前記植物性澱粉及び前記乳酸菌を前記発酵槽内で発酵させて得られる乳酸と前記植物性澱粉と前記乳酸菌との混合物に直流電流を通じ、電気浸透によって前記乳酸を前記濃縮部に移動させることを特徴とする。
【0015】
本発明の乳酸製造装置は、発酵槽内の混合物に直流電流を通じることによって、電気浸透作用を利用して、発酵槽内の乳酸を未発酵の乳酸菌及び植物性澱粉から分離することができる。従って、発酵槽内において直接乳酸の生成に係わる混合物中の乳酸濃度を低く保つことができ、前記混合物のpH低下を抑制することができる。これにより、本発明の乳酸製造装置によれば、高濃度の乳酸を効率よく製造することができる。また、本発明の乳酸製造装置は、前記電極の陽極を、メッシュ状に構成することができる。
【0016】
本発明の乳酸製造装置は、前記濃縮部に移動された乳酸を排出する排出管と、前記排出管から排出された前記乳酸が供給され且つ前記乳酸を貯留する乳酸貯留槽と、前記乳酸貯留槽内の乳酸を前記濃縮部に供給する供給管と、前記乳酸貯留槽内の前記乳酸を外部に排出する排出手段と、を備えることができる。
【0017】
本発明の乳酸製造装置は、発酵槽の濃縮部と乳酸貯留槽とを排出管と供給管とを介して循環させることで、より乳酸の濃度を高めることができる。
【0018】
本発明のポリ乳酸製造装置は、乳酸が導入される乳酸導入手段と、前記乳酸導入手段から導入された乳酸を加熱して脱水縮重合させる重合手段と、少なくとも一対の電極、隔壁及び前記隔壁によって仕切られた脱水部を有し、且つ、前記脱水部が前記電極の陰極側に設けられた電気脱水手段と、を備え、前記電気脱水手段は、前記重合手段において脱水縮重合された乳酸重合体に直流電流を通じ、前記乳酸重合体内の水を電気浸透によって前記脱水部に移動させて脱水することを特徴とする。
【0019】
本発明のポリ乳酸製造装置によれば、重合槽で脱水縮重合された乳酸(ポリ乳酸)中に含まれる水を電気浸透によって脱水部にまで移動させることができる。これにより、ポリ乳酸の重合が進み粘度が高くなった状態であっても効率よく脱水をおこなうことができ、所望の分子量を有するポリ乳酸を高効率且つ短時間で製造することができる。
【0020】
また、本発明のポリ乳酸製造装置は、更に、植物性澱粉及び乳酸菌を導入する原料導入手段と、発酵槽と、を有し、前記発酵槽に、少なくとも一対の電極と隔壁と前記隔壁によって仕切られ前記電極の陰極側に設けられた濃縮部とが内装された発酵濃縮手段を備え、前記発酵濃縮手段は、前記原料導入手段から導入された前記植物性澱粉及び乳酸菌を前記発酵槽内で発酵させて得られる乳酸に直流電流を通じて電気浸透によって前記濃縮部に移動し、前記乳酸を前記濃縮部に貯留し、前記濃縮部に貯留された乳酸を前記重合手段に供給するように構成することができる。
【0021】
本発明のポリ乳酸製造装置は、更に発酵濃縮手段を備えることで、高濃度の乳酸を重合槽に供給することができる。また、乳酸生成工程とポリ乳酸重合工程を連続しておこなうことができ、効率よくポリ乳酸を製造することができる。
【0022】
本発明のポリ乳酸製造装置は、前記発酵濃縮手段に、前記濃縮部に貯留された前記乳酸を排出する排出管と、前記排出官から排出された前記乳酸が供給され且つ前記乳酸を貯留する乳酸貯留槽と、前記乳酸貯留槽内の乳酸を前記濃縮部に供給する供給管と、前記乳酸貯留槽内の前記乳酸を前記重合手段に供給する供給手段と、を備えることができる。
【0023】
本発明のポリ乳酸製造装置は、発酵槽の濃縮部と乳酸貯留槽とを排出管と供給管とを介して循環させることで、より乳酸の濃度を高めることができる。また、本発明の乳酸製造装置は、前記電極の陽極を、メッシュ状に構成してもよい。
【0024】
本発明のポリ乳酸製造装置は、前記重合手段が、両端に開口部を有し、一方の開口部から前記乳酸が供給される中空基体と、前記中空基体に内装され、前記一方の開口部から前記他方の開口部に向けて溝幅が狭くなる螺旋状溝を有する棒状回転体と、前記中空基体の内部を加熱する加熱手段と、を備え、前記棒状回転体を回転させることによって前記乳酸を前記一方の開口部から前記他方の開口部に向かって加熱圧送して圧縮するように構成することができる。前記棒状回転体は、前記一方の開口部から前記他方の開口部に向けて溝幅が狭くなる螺旋状溝を有していてもよい。
【0025】
本発明のポリ乳酸製造装置によれば、棒状回転体が回転されたときにその螺旋状溝にしたがって乳酸を中空基体の一方に設けられた乳酸供給側から他方の圧出口側に向かって熱せられながら圧送され、所望圧のもとで圧縮することができる。これにより、乳酸を効率良く加熱して脱水縮重合をおこなうことができる。
【0026】
中空基体の内部構造は、断面が円形、楕円形、矩形、方形など任意の形状に構成することができるが、基体内部で回転する棒状回転体によって乳酸に与えられる圧力が均一になる点から断面円形とするのが好ましい。また、螺旋状溝は、中空基体に内装されたときに乳酸供給側から出口側へ螺旋ピッチ(溝幅)が次第に狭くなるように棒状回転体の一端から他端に向かって設けることができ、植物原料を圧送する。そのため、効率良く均一な圧縮が可能な点から、棒状回転体は断面が略円形の棒状体とするのが好ましい。
【0027】
本発明のポリ乳酸製造装置は、前記電気脱水手段が、前記乳酸を挿通する中空体と、前記中空体の内部に設けられ、前記乳酸の挿通方向を回転軸として相互に逆回転するように隣接配置された複数の回転羽根と、を備えるように構成することができる。
【0028】
本発明のポリ乳酸製造装置は、回転羽根を中空体内部を挿通する流体、すなわち重合槽において重合された乳酸重合体(ポリ乳酸)の流れによる流体圧を受けて回転する構造(例えば、流れ方向の力を受けて回転するように捻りを付けた羽根状のステーター等)が望ましく、駆動部を接続せずに連続攪拌することができる。この回転羽根は、隣接する複数個が流体の挿通方向を回転軸として相互に逆回転(即ち、交互に逆方向に回転)するように設けることができるので、乳酸重合体を攪拌することで、電気浸透により、水を分離しやすくすることができる。その結果、脱水効率の低下を伴なうことなく、脱水装置を小型化することもできる。回転羽根は、電源と接続されたモータや磁力によって回転するように構成してもよい。また、中空体の内部構造は、乳酸重合体等を挿通し得るように構成され、断面が円形、楕円形、矩形、方形など任意形状に構成することができ、特に断面円形の中空体が好ましい。
【0029】
また、上記の回転羽根に電源を接続して、前記電気脱水手段における電極の陽極として機能させることが好ましい。これにより、回転羽根の攪拌に伴って、乳酸重合体に混在する水が陽極に接しやすくなり、より高効率で脱水を行うことができる。
【0030】
本発明の乳酸製造装置及びポリ乳酸製造装置において用いられる植物澱粉としては、コーンスターチを好適に用いることができる。本発明における植物性澱粉は、いずれのものでも用いることができるが、作業効率、入手容易性、得られるポリ乳酸の品質等の観点から、コーンスターチを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、所望の分子量を有するポリ乳酸を高効率且つ短時間で得ることのできるポリ乳酸の製造方法、並びに、高濃度乳酸を高効率で得られる乳酸製造装置、及び、高効率且つ短時間で十分な分子量を有するポリ乳酸を得られるポリ乳酸製造装置を提供することができる。
また、本発明のポリ乳酸の製造方法、乳酸製造装置及びポリ乳酸製造装置を用いることで、乳酸の生成からポリ乳酸の重合までを連続的に行うことが可能であり、また、設備の小型化、低価格化、操作の簡便化及び製造コストの低減を図ることも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、下記においては植物性澱粉としてコーンスターチを用いた場合を中心に説明するが、本発明はこれら実施の形態に制限されるものではない。
【0033】
本発明のポリ乳酸の製造方法は、コーンスターチと乳酸菌とを発酵させて乳酸を生成しそれを濃縮する発酵濃縮工程と、得られた乳酸を重合する重合工程とに大別される。以下、各工程において、本発明の乳酸製造装置とポリ乳酸製造装置とを用いた場合を例に説明する。
【0034】
<発酵濃縮工程>
図1〜3を用いて本発明の乳酸製造装置について説明する。図1は、本発明の乳酸製造装置の構成を概念的に示す概略図である。図1に示すように、本発明の乳酸製造装置10は、混合装置20と、発酵槽30と、乳酸貯留槽50とを備えて構成される。乳酸製造装置10は、混合装置20において混合されたコーンスターチと乳酸菌とを含む混合物を、発酵槽30にて発酵して乳酸を生成し、生成した乳酸を他の混合物から分離し、乳酸貯留槽50との間で循環して濃縮することで、高濃度の乳酸を得るものである。
【0035】
混合装置20は、特に限定されず攪拌機等公知の混合手段を備えた装置である。係る混合装置20には、コーンスターチ及び乳酸菌の他に水やその他酵素等の添加物などが供給される。この際、混合物中におけるコーンスターチ(x)と乳酸菌(y)との混合比(質量比x:y)は1,000:0.1〜1,000:10が好ましく、1,000:0.5〜1,000:5が更に好ましい。また、コーンスターチは予め糖化処理等を加えた後に乳酸菌と混合するように構成してもよい。前記添加物としては、食塩、炭酸カルシウム、各種酵素等が挙げられる。この際、前記炭酸カルシウムの含有量としては、混合物に対して0.5〜1質量%程度が好ましい。混合装置20は、供給されたコーンスターチ等を混合して混合物とし、該混合物を発酵槽30に導入する。
【0036】
発酵槽30には、陽極32と陰極34とからなる少なくとも一対の電極が内装されており、これら電極は図示を省略する電源に接続されている。また、発酵槽30の槽内は陽極32と陰極34との間を隔てるように隔壁36で仕切られており、隔壁36を境に、陰極34が備えられている側には濃縮部38が、また、陽極32が備えられている側には発酵部40が設けられている。混合装置20から供給される混合物は発酵部40に導入される。また、発酵槽30を構成する材質としては、特に限定はないが、防錆性の観点からチタン(Ti)が好ましい。
【0037】
陽極32及び陰極34は、プラチナ(Pt)などの貴金属で構成されていることが好ましく、チタン(Ti)にプラチナをメッキしたものや、この表面にルテニウムを添着したもの等を好適に用いることができる。上記電極は、例えば、チタン(Ti)板材にプラチナ(Pt)を圧延添着した後、ルテニウム(Ru)を電気メッキし、これを酸素雰囲気中で焼成することで得ることができる。また、上記電極は、チタン板材にプラチナを電気メッキして酸素雰囲気中で焼成することで得ることもできる。尚、焼成温度はいずれも650〜700℃程度が好ましい。
【0038】
陽極32及び陰極34は図示を省略する電源に接続されており、係る電源から電流を供給することで発酵部40内の混合物に直流電流を通じさせることができる。このように、発酵部40内の混合物に直流電流を通じると、電気浸透作用により、液体である乳酸や水を陽極32側から陰極34側に向かう方向(図1における矢印A)に移動させることができる。
【0039】
隔壁36は、混合物中の液体(乳酸)が通過でき、コースターチ等の固体物の通過を抑制することができるものであれば、いずれの構造であってもよく、例えば、メッシュ状にすることができる。また、隔壁36を構成する材料としては、乳酸等に対してある程度の耐性を有するものであれば特に制限なく用いることができるが、耐錆性の観点からチタン(Ti)が好ましい。また、後述するように隔壁36自体を、陽極32を構成する金属で形成し、係る隔壁36自体を陽極32とすることもできる。この場合、隔壁36によって濃縮部38と隔てられる空間が発酵部となる。更に、ポリイミド膜等も適宜用いることができる。
【0040】
濃縮部38は、発酵槽30内を隔壁36で仕切ることによって形成されており、陰極34が備えられている側に設けられる。濃縮部38には、電気浸透作用によって隔壁36を通過してきた乳酸が貯留される。以下、隔壁36を通過し濃縮部にまで移動した乳酸を「高濃度乳酸」と称する。また、濃縮部38には、排出管42の一端と供給管44の一端とが接続されており、乳酸貯留槽50と間において高濃度乳酸を循環することができるように構成されている。
【0041】
発酵槽30の発酵部40には、循環管46の一端が接続されている。また、循環管46の他端は混合装置20に接続されており、発酵部40内の反応未寄与のコーンスターチ(澱粉)や乳酸菌等を混合装置20に再び供給し、再利用できるように構成されている。更に、発酵部40には、図示を省略する排出口が設けられており、発酵後のコーンスターチ等の発酵残渣を措置外に排出できるように構成されている。尚、本実施の形態においては、混合物を混合装置20と発酵部40との間で循環させる態様としたが、係る循環態様は任意である。
【0042】
乳酸貯留槽50は、発酵槽30において発酵・分離された高濃度乳酸が供給され該高濃度乳酸を貯留できるように構成される。また、乳酸貯留槽50には、排出管42の一端と供給管44の一端とがそれぞれ接続されており、高濃度乳酸を発酵槽30の濃縮部38と間で循環できるようになっている。このように、濃縮部38と乳酸貯留槽50との間を、高濃度乳酸を循環させることで、より濃縮された乳酸を得ることができる。尚、本実施の形態においては、高濃度乳酸を濃縮部38と乳酸貯留槽50との間で循環させる態様としたが、係る循環態様は任意である。
【0043】
乳酸貯留槽50には、乳酸排出管52が接続されており、乳酸貯留槽50に貯留された高濃度乳酸を装置外に排出できるように構成されている。
【0044】
本発明の乳酸製造装置における乳酸製造の流れについて説明する。まず、乳酸菌、コーンスターチ及び水等は、混合装置20に供給され混合された後、発酵槽30の発酵部40に導入される。発酵部40内は、温度がおおよそ40℃程度、混合物のpHが5〜6程度に保たれており、数時間かけて発酵される。この際、発酵部40内の混合物は、混合装置20との間で例えば毎分10質量%で循環されている。
【0045】
発酵部40内で混合物が発酵されている際、該混合物には陽極32と陰極34とによって直流電流が通じられている。この際の直流電圧としては、電極により生成される遊離塩酸イオン等による乳酸菌の活性阻害を防止する観点から、1.0〜4.0Vが好ましく、1.2〜3.0Vが更に好ましい。すると、発酵により生成した乳酸は、電気浸透作用により、電流方向(図1の矢印Aの方向)に移動し、隔壁36を通過して濃縮部38において貯留される。この際、水も濃縮部38に移動するが、乳酸の移動速度の方が早いため、乳酸が濃縮されていくことになる。また、発酵部40内で一定量の発酵残渣がたまった場合には、図示を省略する排出口から発酵残渣を排出する。
【0046】
濃縮部38に貯留された高濃度乳酸は、乳酸貯留槽50との間で循環され、更に濃縮された後、乳酸排出管52から高濃度乳酸を得ることができる。尚、高濃度乳酸の循環は、濃度センサーを設け、一定の濃度以上となった際に乳酸を排出するようにしてもよいし、一定時間循環させた後に乳酸を排出するような構成としてもよい。
【0047】
次に、図2及び3を用いて本発明の乳酸製造装置に用いられる発酵槽の具体的な態様について説明する。図2は、本発明における発酵槽の具体的な態様を説明するための断面図であり、図3、本発明における発酵槽の具体的な態様を説明するための説明図である。
【0048】
図2に示すように、本発明における発酵槽は、筒状に形成することができる。また、図3に示すように筒状発酵槽60の内部には、内壁に沿って筒状の陰極62が設けられており、更に、その内側には、メッシュ構造を有する筒状の陽極隔壁64が備えられている。係る態様においては、図2及び3で示されるように陰極62と陽極隔壁64とで囲まれる空間が濃縮部66となり、陽極隔壁のみで囲まれている空間が発酵部68となる。
【0049】
筒状発酵槽60には、更に、原料供給口70と循環液供給口72とが設けられている。原料供給口70は発酵部68と通じており、原料(混合物)を発酵部68に導入できるように構成されている。また、発酵部68内の混合物は一定の割合で原料排出口74から排出され図1における混合装置20に戻られるようになっている。これにより、発酵部68内で反応に寄与しなかったコーンスターチ等を混合物に混入することで再利用することができる。また、循環液供給口72は、図1における乳酸貯留槽50と濃縮部66との間で高濃度乳酸を循環させるために設けられており、循環液供給口72から供給された高濃度乳酸は濃縮部66から新たに発酵部68から濃縮部66にまで移動した乳酸と共に乳酸排出口76から図1における乳酸貯留槽50に送られる。
【0050】
筒状発酵槽60においては、筒状の陽極隔壁64内の発酵部68においてコーンスターチと乳酸菌との発酵により生成した乳酸は、これらを含む混合物に陰極62及び陽極隔壁64から直流電流が流されると、発酵部68から濃縮部66に向かって移動する。これにより、混合物から乳酸を分離することができる。このように、発酵槽を筒状に構成することで、効率よく、乳酸の分離・濃縮をおこなうことができる。
【0051】
また、上記においては、発酵槽を一つのみ用いる態様としたが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、複数の発酵槽を連結したものであってもよい。
【0052】
<重合工程>
次に図4〜6を用いて本発明のポリ乳酸製造装置について説明する。図4は、本発明のポリ乳酸製造装置の構成を概念的に示す概略図である。図4に示すように本発明のポリ乳酸製造装置80は、混合装置82と、重合槽90と、電気脱水槽100とを備えて構成される。ポリ乳酸製造装置80は、混合装置82において乳酸と共に触媒を混合し、該混合物を重合槽90にて加熱して脱水縮重合し、更に、電気脱水槽100において電気浸透作用によって脱水することで、所望のポリ乳酸を得ることができる。本発明のポリ乳酸製造装置80は、重合槽90と電気脱水槽100とが循環管116で連結されており、予め定められた回数や時間、重合・乾燥を繰り返すことで、所望の分子量を有するポリ乳酸を得ることができる。
【0053】
混合装置82は、特に限定されず攪拌機等公知の混合手段を備えた装置である。係る混合装置82には、乳酸と触媒とが供給される。この際、混合物中における乳酸(q)と触媒(w)との混合比(質量比q:w)は100:1〜100:10が好ましく、100:3〜100:5が更に好ましい。前記触媒としては、乳酸の脱水縮重合に用いられる触媒であれば特に限定なく用いることができ、例えば、酸化ルテニウム及び酸化チタンを質量比50質量%で混合したものが好ましい。また、前記触媒の重量平均体積粒径としては0.1〜1μm程度が好ましい。混合装置82は、供給された乳酸と触媒とを混合して混合物とし、該混合物を重合槽90に導入する。
【0054】
重合槽90は、混合装置82から供給された乳酸と触媒との混合物を加熱することで脱水縮重合を行う。重合槽90において、乳酸は2段階の乳酸重合工程を経て所望の分子量を有するポリ乳酸とすることができる。第1の乳酸重合工程は、乳酸からオリゴマーを合成する工程であり、この際の加熱温度はおおよそ、110〜160℃程度が好ましく、130〜150℃程度が更に好ましい。また、第2の乳酸重合工程は、オリゴマーを連結して所望の分子量を有するポリ乳酸を合成する工程であり、その際の加熱温度はおおよそ110〜140℃程度であり、115〜120℃程度が更に好ましい。
【0055】
また、重合槽90は、後述のように重合効率を向上させるために攪拌手段を用いて攪拌しながら、乳酸を加熱し、重合反応を進めることが好ましい。
【0056】
重合槽90には、一定時間加熱され脱水縮重合した乳酸重合体(オリゴマーや所望の分子量にまで達しないポリ乳酸や水を含む)を電気脱水槽100に供給するための乳酸重合体排出管92が設けられている。
【0057】
電気脱水槽100には、陽極102と陰極104とからなる少なくとも一対の電極が内装されており、これら電極は図示を省略する電源に接続されている。また、電気脱水槽100の槽内は陽極102と陰極104との間を隔てるように隔壁106で仕切られており、隔壁106を境に、陰極104が備えられている側には脱水部108が、また、陽極102が備えられている側には被脱水部110が設けられている。重合槽90から供給される混合物は被脱水部110に導入される。
【0058】
陽極102及び陰極104は、プラチナ(Pt)などの貴金属で構成されていることが好ましく、チタン(Ti)にプラチナをメッキしたものや、この表面にルテニウムを添着したもの等を好適に用いることができる。陽極102及び陰極104は図示を省略する電源に接続されており、係る電源から電流を供給することで被脱水部110内の乳酸重合体に直流電流を通じさせることができる。このように、被脱水部110内の乳酸重合体に直流電流を通じると、電気浸透作用により、乳酸重合体中に含まれる水を陽極102側から陰極104側に向かう方向(図4における矢印B)に移動させることができる。
【0059】
隔壁106は、混合物中の水が通過でき、ポリ乳酸等の固体物の通過を抑制することができるものであれば、いずれの構造であってもよく、例えば、メッシュ状にすることができる。また、隔壁36を構成する材料としては、乳酸等に対してある程度の耐性を有するものであれば特に制限なく用いることができる。また、隔壁106自体を、陽極102を構成する金属で形成し、係る隔壁36自体を陽極102とすることもできる。この場合、隔壁106によって脱水部108と隔てられる空間が被脱水部となる。更に、ポリイミド膜等も適宜用いることができる。
【0060】
脱水部108は、電気脱水槽100内を隔壁106で仕切ることによって形成されており、電気脱水槽100の陰極104が備えられている側に設けられる。脱水部108にはグリセリン供給管112と、グリセリン排出管114とが接続されており、脱水部108内をグリセリンが循環するように構成されている。被脱水部110から脱水部108にまで移動した水分は無水グリセリンに吸収されて含水グリセリンとして脱水部108から排出される。脱水部108から排出された含水グリセリンは例えば減圧蒸留等の公知の手段により水分が除去されて無水グリセリンとして再利用される。
【0061】
電気脱水槽100の被脱水部110には、循環管116の一端が接続されている。また、循環管116の他端は重合槽90に接続されており、被脱水部110内のポリ乳酸が所望の分子量になるまで重合槽90及び電気脱水槽100間を循環するように構成されている。更に、被脱水部110には、図示を省略する排出口が設けられており、所望の分子量に達したポリ乳酸を措置外に排出できるように構成されている。尚、上記排出口は重合槽に設けられていてもよい。重合槽90及び電気脱水槽100を構成する材質としては特に限定はないが、防錆性の点からチタン(Ti)であることが好ましい。
【0062】
本発明のポリ乳酸製造装置におけるポリ乳酸製造の流れについて説明する。まず、乳酸及び触媒は、混合装置82に供給され混合された後、電気脱水槽100の被脱水部110に導入される。被脱水部110に導入された乳酸は、重合槽90内で脱水縮重合された後、電気脱水槽100で脱水され、係る工程を所望の回数や一定時間繰り返すことにより目的とするポリ乳酸が得られる。係る工程を繰り返す回数や時間は、目的とするポリ乳酸の分子量を考慮して適宜設定することができる。この際、重合槽90と電気脱水槽100との間は、例えば毎分10質量%で循環されている。
【0063】
重合槽90内の温度は上述の第1の乳酸重合工程と第2の乳酸重合工程とで異なる。この際、重合槽90内の温度の切り替えは、予め定めた回数や時間によって切り替えるようにすることができる。また、本発明においては第1の乳酸重合工程を行う前に、110〜120℃程度において乳酸内の水分を蒸発させる工程を経ることが好ましい。
【0064】
電気脱水槽100内において乳酸重合体には陽極102と陰極104とによって直流電流が通じられている。この際の直流電圧としては3.0〜6.0V程度が好ましく、4.0〜5.0Vが更に好ましい。すると、乳酸の重合反応により生成した水分は、電気浸透作用により、電流方向(図4の矢印Bの方向)に移動し、隔壁106を通過して脱水部108にまで移動する。また、所望の回数又は時間、重合槽90と電気脱水槽間循環することで、所望の分子量にまで合成されたポリ乳酸を得ることができる。
【0065】
次に、図5を用いて本発明のポリ乳酸製造装置に用いられる重合槽及び電気脱水槽の具体的な態様について説明する。図5は、本発明における重合槽及び電気脱水槽の具体的な態様を説明するための断面図である。
【0066】
図5に示すように筒状重合槽120は、乳酸供給部122が設けられた中空のシリンダー(中空基体)124の内部に、乳酸供給部122が設けられた一方の側から他方の側(即ち、スクリュー先端側)に向けて螺旋状溝を有するスクリュー(棒状回転体)126を内装して構成され、さらに乳酸供給部122が設けられていないシリンダー124の他方(スクリュー先端側)には乳酸重合体出口128が設けられており、スクリュー126を回転させることによって乳酸を加熱すると共に攪拌しながら乳酸重合体出口128から重合された乳酸重合体を移送できるようになっている。乳酸重合体出口128から排出された乳酸重合体は電気脱水槽150に導入される。また、スクリュー126の乳酸供給部122が設けられた側には、モータ(駆動手段)130が設けられ、スクリュー126は図示しない原動歯車及び従動歯車を有する減速ギアを介在させてモータ130と接続されて電源(不図示)からの電力供給を受けて回転可能なようになっている。
【0067】
シリンダー内でスクリュー126が回転することによって、供給された乳酸は第1及び第2の乳酸重合工程に応じた温度で脱水縮重合される。シリンダー124の外側には、シリンダー壁を介して内部を加熱するための電気ヒーター132がシリンダー周囲を覆うように設けられ、シリンダー内部の加熱を均一に行なえるようになっている。
【0068】
また、筒状重合槽120には、電気脱水槽150において脱水された乳酸重合体が導入される乳酸重合体導入口134が設けられており、電気脱水槽150との間でポリ乳酸が循環可能なように構成されている。
【0069】
図5において、電気脱水槽150は、乳酸重合体出口128に接続された配管を介して筒状重合槽120に連通されている。電気脱水槽150は、図5に示すように、一端に乳酸重合体供給口152を有し、且つ、他端に脱水物排出口154を有する円筒体156と、円筒体156の内部に設けられた円筒状の筒状ポリイミド膜158と、筒状ポリイミド膜158の内部に挿通方向(図4中の矢印方向C)と平行な軸心を回転軸として交互に逆回転するように捻り羽根が隣接して3段配置されたスタチックミキサー160と、から構成されており、乳酸重合体供給口152から供給された乳酸重合体を挿通させながら順次逆回流させて混練して脱水処理を行なうようになっている。また、円筒体156の壁面はチタン(Ti)で構成されている。
【0070】
円筒体156の内部に設けられる筒状ポリイミド膜158は目の細かいメッシュ構造を有しており、乳酸重合体と水とのうち、水のみを透過させるようになっている。円筒体156の内部は、筒状ポリイミド膜158を境にして、筒状ポリイミド膜内部が被脱水部162となり、筒状ポリイミド膜158の外側に脱水部164が形成されている。
【0071】
また、円筒体156の壁面には、脱水部164に無水グリセリンを供給するためのグリセリン供給口166と、脱水部内部の含水グリセリンを排出するためのグリセリン排出口165とが設けられており、脱水部164内をグリセリンが循環するように構成されている。
【0072】
電気脱水槽150において、スタチックミキサー160と円筒体156の壁面とにはそれぞれ図示を省略する電源が接続されており、スタチックミキサー160が陽極電極を構成し、円筒体156が陰極電極を構成している。このため、筒状重合槽120から導入された混合物に電流が流されると、電気浸透作用により、乳酸重合物から解離した水分が円筒体156の内側から外側に向かう方向に移動する。円筒体156の内側から外側に向かって移動した水分は、筒状ポリイミド膜158を透過して、脱水部164に移動する。脱水部164には無水グリセリンが供給されており、筒状ポリイミド膜158を透過した水分は、無水グリセリンに吸収され、含水グリセリンととなって電気脱水槽150外に排出される。電気脱水槽150外に排出された含水グリセリンは系外にて例えば減圧蒸留等の適当な手段により水分が除去され、無水グリセリンとして再びグリセリン供給口166から供給される。
【0073】
電気脱水槽150の陽極電極となるスタチックミキサー160は、例えば図6に示すようにチタン(Ti)にプラチナ(Pt)をメッキし、さらにその表面にルテニウム(Ru)を添着したメッキ板を、左捻り又は右捻り(例えば捻り角度90°)した捻り羽根160a〜160cが3段階隣接した構成を有する。スタチックミキサー160は、乳酸重合物が円筒体156の内部を挿通するときに矢印方向Cの流体圧を受けて捻りの向きにしたがって回転するようになっている。電気脱水槽150内にこのような構成のスタチックミキサー160を設けることで、乳酸重合体中の水分が陽極に接しやすく、効率的に電気浸透作用を発揮することができ、乳酸重合体の脱水効率を高めることができる。
【0074】
また、電気脱水槽150において脱水された乳酸重合体は、所望の回数又は時間等所望の分子量となるまで、筒状重合槽120と電気脱水槽150との間を循環させられる。電気脱水槽150内で脱水された乳酸重合体は、脱水物排出口154から排出され、再び、筒状重合槽120に導入される。
【0075】
このように所望の分子量となるように予め定められた回数又は時間、筒状重合槽120及び電気脱水槽150間を循環した乳酸重合体は、所望の分子量を有するポリ乳酸として筒状重合槽120のポリ乳酸排出口136から排出される。このように本発明のポリ乳酸重合装置を用いると、従来の減圧脱水方式を用いた場合に比して、低エネルギー且つ約半分の時間で所望の分子量を有するポリ乳酸を製造することができる。所望の分子量を有するポリ乳酸の合成が短時間及び低エネルギーでおこなうことができ、高効率且つ短時間で十分な分子量を有するポリ乳酸を得ることができる。
【0076】
このように、本発明のポリ乳酸製造装置によれば、乳酸の生成からポリ乳酸の重合まですべて、連続的に実施することも可能であり、設備の小型化、低コスト化、操作の簡便化、及び、製造コストの低減化が可能となる。また、上記においては、重合槽及び電気脱水槽をそれぞれ一つのみ用いる態様としたが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、複数の重合槽や電気脱水槽を連結したものであってもよい。
【実施例】
【0077】
以下、実施例において本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0078】
[実施例1]
1.乳酸の生成
図2及び3に示す筒状の発酵槽を有する乳酸製造装置を用いて乳酸を下記の手順に従って生成した。
【0079】
(1)原料懸濁液の調製
コーンスターチ(30質量部)と、食塩(0.5質量部)と、水(69.5質量部)とを、混合装置を用いて150rpmで5分間攪拌し、原料懸濁液を調製した。
【0080】
(2)液化澱粉の調製
上記より得られた原料懸濁液を95℃で15分間蒸煮して、糊化澱粉を調製した。得られた糊化澱粉(99.4質量部)と、炭酸カルシウム(0.5質量部)と澱粉液化酵素(商品名:コクゲンT、大和化成(株)製)(0.1質量部)とを、酢酸でpH調製したのち(pH=6〜7)、混合装置にて30rpmで10分間、温度90℃で攪拌した。得られた混合物を、更に60分間、温度90℃及びpH6〜7で放置し、液化澱粉を調製した。
【0081】
(3)糖化澱粉の調製
上記より得られた液化澱粉(99.9質量部)を70℃以下にまで冷却した後、澱粉枝切酵素(商品名:クライスターゼPL、大和化成(株)製)(0.1質量部)を加え、酢酸にてpH調製したのち(pH=5〜6)、混合装置にて50rpmで10分間、温度65℃で攪拌した。得られた混合物を、更に60分間、温度65℃及びpH5〜6で放置し、糖化澱粉を調製した。
【0082】
(4)乳酸の生成
上記より得られた糖化澱粉(99.9質量部)を45℃以下にまで冷却した後、乳酸菌(0.1質量部)を加え、混合装置Aにて150rpmで10分間、温度45℃で攪拌した。この際、混合物のpHは5〜6であった。
【0083】
得られた混合物を図2及び3に示す発酵槽に導入した。直流電流を通じながら発酵を行い、20質量%の乳酸が得られた。この際、発酵条件は、温度:40℃、pH:5〜6、反応時間240分、電気浸透電圧:直流2.4Vであった。また、混合物は、発酵槽と混合装置Aとの間を、毎分10質量%で循環させた。
【0084】
《評価》
上記1.と同条件にて得られた糖化澱粉1kgに、乳酸菌1gを添加し、実施例1と同様の発酵槽を用いて40℃における電気浸透電極間に加える電圧と生成される乳酸の濃度との関係について測定した。この際、電気浸透電圧を0V、1.2V、2.4V及び3.6Vとしてそれぞれ測定した。結果を図7に示す。
図7は、乳酸濃度と電気浸透電圧との関係を示すグラフである。図7からわかるように、電極間に電流を流さないとき(0V)は、乳酸濃度が5.6質量%以上になることはなかったが、電気浸透電圧を1.2Vに変更した場合には、8時間後に16.3質量%にまで濃度が向上した。更に、電気浸透圧を2.4Vに変更した場合には、8時間後の乳酸濃度が24.5質量%にまで向上した。これに対し、電気浸透電圧を3.6Vに変更した場合には、得られる乳酸の濃度が14質量%程度であった。この結果、上記電気浸透電圧としては、1.2〜3.0Vの間が好ましいことがわかる。
【0085】
2.ポリ乳酸の合成
図5に示す筒状の重合槽及び電気脱水槽を有する乳酸製造装置を用いて乳酸を下記の手順に従って生成した。
【0086】
(1)乾燥工程
上述より得られた濃度20%の乳酸99.5質量部と触媒(酸化ルテニウムと酸化チタンとを質量比50質量%で混合したもの)0.5質量部と、を混合装置を用いて150rpmで10分間攪拌した。この際、混合物のpHは3.5〜4程度であり、温度は90℃であった。次いで得られた混合物を110〜120℃で0.5時間蒸発乾燥した。この際、乳酸の濃度はおおよそ60質量%であった。
【0087】
(2)重合・脱水工程
得られた乳酸と触媒との混合物を、図5に示す重合槽と電気脱水槽とを用いて、毎分10質量%で重合槽及び電気脱水槽間を循環させながら、240分間重合・脱水を行った。この際、電気脱水槽においては電極間の電気浸透電圧4.8Vで直流電流をポリ乳酸に通じさせ、脱水を行った。また、重合槽の温度は、始めの90分間は140〜145℃とし、残りの150分間を115〜120℃とした。得られたポリ乳酸の重量平均分子量をDSCで測定したところ120,000であった。
【0088】
《評価》
乳酸の重合・脱水工程について、上記2.と同様の手法を用いた本発明による方式(初期乳酸温度:60質量%、電気浸透電圧4.8V、終点ポリ乳酸質量分子量:120,000、図5に示す重合槽及び電気脱水槽を使用)と、特開2003−335850公報に記載の従来の減圧脱水法による方式(初期乳酸濃度:60質量%、減圧真空度:0.08(MPa)、終点ポリ乳酸重量平均分子量:120,000)との比較を行った。結果を図8に示す。図8は、ポリ乳酸の重合反応について重合温度と重合時間との関係を示すグラフである。
【0089】
図8からわかるように電気浸透式脱水槽を用いた本発明による方式によって重合・脱水をおこなった場合、第1の乳酸重合工程に要した時間(T1’)は、おおよそ20分程度であり、第2の乳酸重合工程に要した時間(T2’)は、おおよそ160分程度であったため、乾燥蒸発工程を含めて240分ほどで、重量平均分子量120,000のポリ乳酸を得ることができた。
【0090】
これに対し、従来の減圧脱水法による方式を用いて重合及び脱水をおこなった場合、第1の乳酸重合工程に要する時間(T1)は、おおよそ30分程度であり第2の乳酸重合工程に要した時間(T2)はおおよそ390分程度だったため、乾燥蒸発工程を含めて、重量平均分子量120,000のポリ乳酸を得るのに480分要した。このため、本発明の要に電気浸透式脱水槽を用いた本発明の重合時間は、従来の減圧脱水方式を用いた場合に比しておおよそ半分の時間で所望の分子量を有するポリ乳酸を得ることができた。
【0091】
また、図8からわかるように本発明の方式を用いた場合、第1の乳酸重合工程(T1’)に要する重合温度は137℃、また、第2の乳酸重合工程(T2’)に要する重合温度は118℃であったため、第1の乳酸重合工程(T1)に要する重合温度が145℃であり、また、第2の乳酸重合工程(T2)に要する重合温度が123℃であった、従来の減圧脱水方式を用いた場合よりも、4〜6%ほど重合温度を低くできることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の乳酸製造装置の構成を概念的に示す概略図である。
【図2】本発明における発酵槽の具体的な態様を説明するための断面図である。
【図3】本発明における発酵槽の具体的な態様を説明するための説明図である。
【図4】本発明のポリ乳酸製造装置の構成を概念的に示す概略図である。
【図5】本発明における重合槽及び電気脱水槽の具体的な態様を説明するための断面図である。
【図6】電気脱水槽に用いられるスタチックミキサーの構成例を示す斜視図である。
【図7】乳酸濃度と電気浸透電圧との関係を示すグラフである。
【図8】ポリ乳酸の重合反応について重合温度と重合時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0093】
10 乳酸製造装置
20 混合装置
30 発酵槽
32 陽極
34 陰極
36 隔壁
38 濃縮部
42 排出管
44 供給管
46 循環管
50 乳酸貯留槽
52 乳酸排出管
80 ポリ乳酸製造装置
82 混合装置
90 重合槽
92 乳酸重合体排出管
100 電気脱水槽
102 陽極
104 陰極
106 隔壁
108 脱水部
110 被脱水部
112 グリセリン供給管
114 グリセリン排出管
116 循環管
120 筒状重合槽
122 乳酸供給部
124 シリンダー
126 スクリュー
128 乳酸重合体出口
134 乳酸重合体導入口
136 ポリ乳酸排出口
150 電気脱水槽
152 乳酸重合体供給口
156 円筒体
158 筒状ポリイミド膜
160 スタチックミキサー
162 被脱水部
164 脱水部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性澱粉と乳酸菌とを発酵させて乳酸を生成し、前記乳酸を脱水縮重合させてポリ乳酸を合成するポリ乳酸の製造方法であって、
少なくとも一対の電極と隔壁と前記隔壁によって仕切られた濃縮部とを有し、且つ、前記濃縮部が前記電極の陰極側に設けられた発酵槽内で、前記植物性澱粉と前記乳酸菌と前記乳酸とを含有する混合物に直流電流を通じ、前記乳酸を電気浸透によって前記濃縮部に移動させ貯留する発酵濃縮工程と、
前記濃縮部に貯留された前記乳酸が供給される重合槽内で、前記乳酸を加熱し脱水縮重合させてポリ乳酸を合成する重合工程と、
を含むことを特徴とするポリ乳酸の製造方法。
【請求項2】
少なくとも一対の電極と隔壁と前記隔壁によって仕切られた脱水部とを有し、且つ、前記脱水部が前記電極の陰極側に設けられた電気脱水槽内で、前記重合工程において脱水縮重合した乳酸重合体に直流電流を通じ、前記乳酸重合体内の水を電気浸透によって前記脱水部に移動させる電気脱水工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸の製造方法。
【請求項3】
前記植物性澱粉がコーンスターチであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリ乳酸の製造方法。
【請求項4】
少なくとも一対の電極、隔壁及び前記隔壁によって仕切られた濃縮部を有し、且つ、前記濃縮部が前記電極の陰極側に設けられた発酵槽と、
植物性澱粉及び乳酸菌を前記発酵槽に導入する原料導入手段と、
を備え、前記植物性澱粉及び前記乳酸菌を前記発酵槽内で発酵させて得られる乳酸と前記植物性澱粉と前記乳酸菌との混合物に直流電流を通じ、電気浸透によって前記乳酸を前記濃縮部に移動させることを特徴とする乳酸製造装置。
【請求項5】
前記濃縮部に移動された乳酸を排出する排出管と、前記排出管から排出された前記乳酸が供給され且つ前記乳酸を貯留する乳酸貯留槽と、前記乳酸貯留槽内の乳酸を前記濃縮部に供給する供給管と、前記乳酸貯留槽内の前記乳酸を外部に排出する排出手段と、を備えた請求項4に記載の乳酸製造装置。
【請求項6】
前記植物澱粉がコーンスターチであることを特徴とする請求項4又は5項に記載の乳酸製造装置。
【請求項7】
前記電極の陽極が、メッシュ状であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の乳酸製造装置。
【請求項8】
乳酸が導入される乳酸導入手段と、
前記乳酸導入手段から導入された乳酸を加熱して脱水縮重合させる重合手段と、
少なくとも一対の電極、隔壁及び前記隔壁によって仕切られた脱水部を有し、且つ、前記脱水部が前記電極の陰極側に設けられた電気脱水手段と、
を備え、前記電気脱水手段は、前記重合手段において脱水縮重合された乳酸重合体に直流電流を通じ、前記乳酸重合体内の水を電気浸透によって前記脱水部に移動させて脱水することを特徴とするポリ乳酸製造装置。
【請求項9】
更に、植物性澱粉及び乳酸菌を導入する原料導入手段と、発酵槽と、を有し、前記発酵槽に、少なくとも一対の電極と隔壁と前記隔壁によって仕切られ前記電極の陰極側に設けられた濃縮部とが内装された発酵濃縮手段を備え、
前記発酵濃縮手段は、前記原料導入手段から導入された前記植物性澱粉及び乳酸菌を前記発酵槽内で発酵させて得られる乳酸に直流電流を通じて電気浸透によって前記濃縮部に移動し、前記乳酸を前記濃縮部に貯留し、前記濃縮部に貯留された乳酸を前記重合手段に供給することを特徴とする請求項8に記載のポリ乳酸製造装置。
【請求項10】
前記発酵濃縮手段は、前記濃縮部に貯留された前記乳酸を排出する排出管と、前記排出官から排出された前記乳酸が供給され且つ前記乳酸を貯留する乳酸貯留槽と、前記乳酸貯留槽内の乳酸を前記濃縮部に供給する供給管と、前記乳酸貯留槽内の前記乳酸を前記重合手段に供給する供給手段と、を備えた請求項9に記載のポリ乳酸製造装置。
【請求項11】
前記重合手段は、両端に開口部を有し、一方の開口部から前記乳酸が供給される中空基体と、前記中空基体に内装され、螺旋状溝を有する棒状回転体と、前記中空基体の内部を加熱する加熱手段と、を備え、
前記棒状回転体を回転させることによって前記乳酸を前記一方の開口部から前記他方の開口部に向かって加熱圧送して圧縮することを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のポリ乳酸製造装置。
【請求項12】
前記電気脱水手段が、前記乳酸を挿通する中空体と、前記中空体の内部に設けられ、前記乳酸の挿通方向を回転軸として相互に逆回転するように隣接配置された複数の回転羽根と、を備えることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載のポリ乳酸製造装置。
【請求項13】
前記回転羽根が、前記電気脱水手段における前記電極の陽極を構成することを特徴とする請求項12に記載のポリ乳酸製造装置。
【請求項14】
前記植物澱粉がコーンスターチであることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載のポリ乳酸製造装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性澱粉と乳酸菌とを発酵させて乳酸を生成し、前記乳酸を脱水縮重合させてポリ乳酸を合成するポリ乳酸の製造方法であって、
少なくとも一対の電極と隔壁と前記隔壁によって仕切られた濃縮部とを有し、且つ、前記濃縮部が前記電極の陰極側に設けられた発酵槽内で、前記植物性澱粉と前記乳酸菌と前記乳酸とを含有する混合物に直流電流を通じ、前記乳酸を電気浸透によって前記濃縮部に移動させ貯留する発酵濃縮工程と、
前記濃縮部に貯留された前記乳酸が供給される重合槽内で、前記乳酸を加熱し脱水縮重合させて乳酸重合体を合成する重合工程と、
少なくとも一対の電極と隔壁と前記隔壁によって仕切られた脱水部とを有し、且つ、前記脱水部が前記電極の陰極側に設けられた電気脱水槽内で、前記重合工程において脱水縮重合した乳酸重合体に直流電流を通じ、前記乳酸重合体内の水を電気浸透によって前記脱水部に移動させる電気脱水工程を含むことを特徴とするポリ乳酸の製造方法。
【請求項2】
乳酸を加熱し脱水縮重合させて乳酸重合体を合成する重合工程と
少なくとも一対の電極と隔壁と前記隔壁によって仕切られた脱水部とを有し、且つ、前記脱水部が前記電極の陰極側に設けられた電気脱水槽内で、前記重合工程において脱水縮重合した乳酸重合体に直流電流を通じ、前記乳酸重合体内の水を電気浸透によって前記脱水部に移動させる電気脱水工程を含むことを特徴とするポリ乳酸の製造方法。
【請求項3】
前記植物性澱粉がコーンスターチであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリ乳酸の製造方法。
【請求項4】
乳酸が導入される乳酸導入手段と、
前記乳酸導入手段から導入された乳酸を加熱して脱水縮重合させる重合手段と、
少なくとも一対の電極、隔壁及び前記隔壁によって仕切られた脱水部を有し、且つ、前記脱水部が前記電極の陰極側に設けられた電気脱水手段と、
を備え、前記電気脱水手段は、前記重合手段において脱水縮重合された乳酸重合体に直流電流を通じ、前記乳酸重合体内の水を電気浸透によって前記脱水部に移動させて脱水することを特徴とするポリ乳酸製造装置。
【請求項5】
更に、植物性澱粉及び乳酸菌を導入する原料導入手段と、発酵槽と、を有し、前記発酵槽に、少なくとも一対の電極と隔壁と前記隔壁によって仕切られ前記電極の陰極側に設けられた濃縮部とが内装された発酵濃縮手段を備え、
前記発酵濃縮手段は、前記原料導入手段から導入された前記植物性澱粉及び乳酸菌を前記発酵槽内で発酵させて得られる乳酸に直流電流を通じて電気浸透によって前記濃縮部に移動し、前記乳酸を前記濃縮部に貯留し、前記濃縮部に貯留された乳酸を前記重合手段に供給することを特徴とする請求項に記載のポリ乳酸製造装置。
【請求項6】
前記発酵濃縮手段は、前記濃縮部に貯留された前記乳酸を排出する排出管と、前記排出官から排出された前記乳酸が供給され且つ前記乳酸を貯留する乳酸貯留槽と、前記乳酸貯留槽内の乳酸を前記濃縮部に供給する供給管と、前記乳酸貯留槽内の前記乳酸を前記重合手段に供給する供給手段と、を備えた請求項に記載のポリ乳酸製造装置。
【請求項7】
前記重合手段は、両端に開口部を有し、一方の開口部から前記乳酸が供給される中空基体と、前記中空基体に内装され、螺旋状溝を有する棒状回転体と、前記中空基体の内部を加熱する加熱手段と、を備え、
前記棒状回転体を回転させることによって前記乳酸を前記一方の開口部から前記他方の開口部に向かって加熱圧送して圧縮することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のポリ乳酸製造装置。
【請求項8】
前記電気脱水手段が、前記乳酸を挿通する中空体と、前記中空体の内部に設けられ、前記乳酸の挿通方向を回転軸として相互に逆回転するように隣接配置された複数の回転羽根と、を備えることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載のポリ乳酸製造装置。
【請求項9】
前記回転羽根が、前記電気脱水手段における前記電極の陽極を構成することを特徴とする請求項に記載のポリ乳酸製造装置。
【請求項10】
前記植物澱粉がコーンスターチであることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載のポリ乳酸製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−94813(P2006−94813A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286688(P2004−286688)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【特許番号】特許第3734821号(P3734821)
【特許公報発行日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(505025287)株式会社グリーン環境テクノロジー (2)
【Fターム(参考)】