説明

ポンプディスペンサ

【課題】本発明は、型抜きし易い形状を有し、且つ上下移動を安定して行えるピストンを備えるポンプディスペンサを提供すること。
【解決手段】シリンダ部1と、該シリンダ部1内を摺動するピストン部2と、該ピストン部2上部に取り付けられたノズルヘッド3と、該シリンダ1部を容器本体に取り付けるためのキャップ部4と、該ピストン部2とシリンダ部1との間に装着される円筒パッキン5と、該ノズルヘッド3を上方に弾発させるために円筒パッキ5ンとノズルヘッド3との間に介在するスプリング6とよりなるポンプディスペンサA。ノズルヘッド3がノズル31部と、内側筒部32と、外側筒部33と、よりなり、該外側筒部33にレール状立壁部33Aが形成され該レール状立壁部33Aが円筒パッキン5に形成された垂直溝51A1に沿って上下移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器本体内に収容された液体を吐出させるためのポンプディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、容器に収容された液体を吐出させる器具としてポンプディスペンサが知られている。
ポンプディスペンサはピストン及びシリンダを備えており、ピストンを押し下げてシリンダとピストンとで囲まれた空間を縮小させると、空間内の液体が加圧され、ノズルから液体が吐出される(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のピストンの外周には上下一対の先薄状のスカート状シール片(舌片部)が一体に形成されており、このスカート状シール片はシリンダの内壁に圧接している。
このスカート状シール片は、シリンダ内を封止する機能と、ピストンの動きを案内してピストンの上下方向の移動を安定させる機能と、を有している。
【特許文献1】特許3100911号公報
【特許文献2】特願2007−273200号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このようなスカート状シール片においては、上方のスカート状シール片の形成向きと、下方のスカート状シール片の形成向きとが異なるので、金型を用いて成形する際、アンダーカットが生じて型抜きがし難い。
もしも無理やり型抜きをすると、一方のスカート状シール片に変形が生じ、スカート状シール片自体に歪みが生じ、封止効果が低下する。
そのため、ピストンが上下移動する際、その摺動性に悪影響を与え、安定した動きとならず、ポンプディスペンサとしての操作性を低下する。
なお、この問題を解決するために特許文献2に示すようなポンプディスペンサも開発されている。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものである。
すなわち、型抜きし易い形状を有し、且つ上下移動を安定して行えるピストンを備えるポンプディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、以上のような課題背景をもとに鋭意研究を重ねた結果、ピストン部の端部に拡径した舌片を形成することで上記の課題を解決できることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0007】
すなわち、本発明は、(1)、シリンダ部と、該シリンダ部内を摺動するピストン部と、該ピストン部上部に取り付けられたノズルヘッドと、該シリンダ部を容器本体に取り付けるためのキャップ部と、該ピストン部とシリンダ部との間に装着される円筒パッキンと、該ノズルヘッドを上方に弾発させるために円筒パッキンとノズルヘッドとの間に介在するスプリングとよりなるポンプディスペンサに存する。
【0008】
また、本発明は、(2)、前記ノズルヘッドがノズル部と、内側筒部と、外側筒部と、よりなり、該外側筒部にレール状立壁部が形成され該レール状立壁部が円筒パッキンに形成された垂直溝に沿って上下移動する上記(1)記載のポンプディスペンサに存する。
【0009】
また、本発明は、(3)、前記ノズルヘッドを回動させることで該レール状立壁部の下端を垂直溝の上端口から逃がし、ノズルヘッドの下方移動を阻止する(ロックする)ものである上記(2)記載のポンプディスペンサに存する。
【0010】
また、本発明は、(4)、前記円筒パッキンの下端部がシリンダ部に内挿圧入されて取り付けられている上記(1)記載のポンプディスペンサに存する。
【0011】
また、本発明は、(5)、前記キャップ部により円筒パッキンの鍔部とシリンダ部の上端部とを同時に押さえ込み容器本体に取り付けるものである上記(1)記載のポンプディスペンサに存する。
【0012】
また、本発明は、(6) 、前記円筒パッキンに縮径部が形成されており該縮径部にピストン部に接する下向き舌片が形成されている上記(1)記載のポンプディスペンサに存する。
【0013】
また、本発明は、(7)、前記円筒パッキンに縮径部が形成されており該縮径部とノズルヘッドとの間にスプリングが介在している上記(1)記載のポンプディスペンサに存する。
【0014】
また、本発明は、(8)、前記円筒パッキンの縮径部にピストン部が当接することでピストン部の上死点となっている上記(1)記載のポンプディスペンサに存する。
【0015】
なお、本発明の目的に添ったものであれば上記の発明を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明のポンプディスペンサのピストン部には、その下端部にのみに拡径して形成された舌片が設けられており、この舌片によりピストン部とシリンダ部との間の水密性が担保されている。
舌片をピストン部の下端部にのみに設けることで、アンダーカットが生じない金型の作成が可能となり、ピストン部の成形が容易になる。
また、ピストン部に形成される舌片の数が従来よりも少なくなったことにより、シリンダ部に対する摺動性が良くなる。
【0017】
本発明のポンプディスペンサにおいては、容器本体に固定するためのキャップ部と、ノズルヘッドを上方に弾発させるためのスプリングを固定するための円筒パッキンと、が別体に成形されているため、キャップ部を回動させてポンプディスペンサを容器本体に固定する際に、ノズルヘッドが供回りしないすなわち、本発明のポンプディスペンサはノズルヘッドの位置を固定したまま容器本体に取り付けることができる。
【0018】
本発明の円筒パッキンにL字状の長溝(垂直溝及び水平溝)を形成し、且つノズルヘッドの外側筒部の内側にレール状立壁部を形成し、このレール状立壁部をL字状の長溝に嵌め込むことで、ノズルヘッドの下方への移動を規制するロック状態と、ノズルヘッドの上下方向の移動を一切規制しない非ロック状態と、の切り替えが自在になる。
このことにより、ノズルヘッドを不用意に押下して、液体が飛散することを防止するためのバージンシールが不要となり、製造コストを低下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本実施形態のポンプディスペンサは、ノズルヘッドを下方へ押し下げることにより、シリンダ部内に収容されていた液体をノズル部から吐出させるものである。
そのため、このポンプディスペンサは、例えば、化粧品、シャンプー、ボディソープ、食器用洗剤等の収納容器本体と組み合わせて用いられる。
【0020】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態のポンプディスペンサの断面図である。
図1に示すように、ポンプディスペンサAはシリンダ部1と、ピストン部2と、ピストン部2を下方に押し下げ易くするためのノズルヘッド3と、ポンプディスペンサAを図示しない容器本体に固定するためのキャップ部4と、ポンプディスペンサAが転倒した際に、容器本体内に収容されている液体が漏れ出すことを防ぐための円筒パッキン5と、ノズルヘッド3を上方に弾発させるためのスプリング6と、を備える。
【0022】
シリンダ部1は、シリンダ本体部11と、該シリンダ本体部11よりも小径で、且つ下方に延びるチューブ部12とよりなる。
チューブ部12は、図示しない容器本体とシリンダ本体部11とを繋ぐ流通路で、容器本体から吸い上げられた液体はここを通ってシリンダ本体部11へと流入する。
なお、チューブ部12は容器本体内の液体が少なくなっても液体を吸い上げられるように、容器本体内の底部近くまで延びている。
【0023】
シリンダ本体部11の下部には、シリンダ部1内に吸い上げられた液体が容器本体へと逆流することを防ぐためのFバルブ7が設けられている。
Fバルブ7は、チューブ部12の内径とほぼ等しい長さの外径を有する十字状の脚部と、チューブ部12の内径よりも若干大きい外径を有する円盤状の弁部71と、で構成されており、弁部71がシリンダ本体部11の下部に形成されたテーパー面(弁座に相当)に当接することで、Fバルブ7が容器本体内へ落ちることが防止されると共に、液体がシリンダ部1内へ流入することが防止される。
【0024】
シリンダ本体部11は、小径部11Aと大径部11Bとからなり、外気を容器本体内へ導入して容器本体内の負圧を解消するための逃がし孔Hは、大径部11Bの一部を貫通することで形成されている。
【0025】
ピストン部2は、ピストン本体部21と、ピストン本体部21よりも小径のロッド筒部22とよりなり、ピストン本体部21はシリンダ本体部11内を上下方向に摺動自在となっている。
ピストン本体部21は、シリンダ本体部11の小径部11A内に上下方向に摺動自在に挿入されており、このときピストン本体部21の下端に拡径して形成された舌片部21Aと小径部11Aの内壁とは圧接した状態にある。
【0026】
シリンダ部1とピストン部2との間に、水密性を担保するための舌片部21Aを図1に示すような形状とすることで、ピストン部2がアンダーカットの生じない形状となり、ピストン部2を金型で成形し易くなる。
さらに、従来よりもピストン部2とシリンダ部1との接触面積が少なくなるため、ピストン部2の摺動性が向上する。
【0027】
また、ピストン本体部21はシリンダ本体部11の大径部11Bと、の間に十分な隙間が形成されるように設計されており、負圧を解消するための外気はピストン部2に遮られることなくその隙間を通って、逃がし孔Hを効率良く通過することができる。
【0028】
ピストン部2のロッド筒部22には、外気を容器本体内へと導入するための逃がし溝22Cが、その長さ方向に沿って形成されている。
この逃がし溝22Cは、前述の逃がし孔Hと協働して、容器本体内が負圧になることを防ぐ。
【0029】
ロッド筒部22の上端部にはSバルブ8が設けられている。
Sバルブ8は、液体の吐出後にノズル部31から外気がシリンダ部1内へと流入することを防止する機能を有しており、Fバルブ7と同じ形状をしている。
ロッド筒部22の上端部はテーパー状に形成されており、この部分はSバルブ8の弁部が当接するための弁座となる。
【0030】
一方、ロッド筒部22の下端にはテーパー状に縮径した弁座22Bが形成されており、この部分はシリンダ本体部11の小径部11Aに内挿されて、固定されたリークバルブ9の膨大部9Aが当接する部分となっている。
リークバルブ9は、ポンプディスペンサAが不使用時(図1に示すようにノズルヘッド3が上死点にあるとき)に倒れた場合であっても、弁座22Bとの当接を維持するようになっている。
そのため、ポンプディスペンサAが転倒して、液体がピストン部2を通って、ノズル部31から漏れ出すことが防止される。
【0031】
ノズルヘッド3はノズル部31と、内側筒部32と、外側筒部33とよりなり、該外側筒部33の内周面には、複数(図では6個)の上下方向の縦リブ33B及び複数(図では2個)の上下方向のレール状立壁部33A、が形成されている。
また、内側筒部32はロッド筒部22の外側に圧入されて取り付けられる。
ノズルヘッド3をロッド筒部22に取り付けた際に、内側筒部32の先端がロッド筒部22とピストン本体部21との境界に形成された段差部22Aに当接するため、ノズルヘッド3とピストン部2とは一体となって上下に移動する。
【0032】
外側筒部33の内周面に形成されたレール状立壁部33Aが形成されており、このレール状立壁部33Aは後述する円筒パッキン5の円筒壁部51に形成されたL字状の長溝に嵌め込まれる。
レール状立壁部33Aがその長溝に嵌め込まれると、ノズルヘッド3の下方への移動を許す非ロック状態と、ノズルヘッド3の下方への移動を妨げるロック状態と、の切り替えが可能になる。
【0033】
円筒パッキン5は、シリンダ部1とピストン部2との間に装着されるもので、円筒壁51と、円筒壁51の外側に張り出した鍔部52と、円筒壁51の内側に張り出した縮径部53と、を備える。
円筒壁51の下端部はシリンダ部1に内挿圧入されており、そのため円筒壁51とシリンダ部1とは気密性を保持して固定される。
【0034】
鍔部52は、シリンダ部1の上端部に拡径して形成された載置部13に載置される。
このとき、鍔部52と、シリンダ部1の上端部と、はキャップ部4によって面一に押さえ込まれるので、これら両部材とキャップ部4との密着度が高まり、両部材のガタツキが極力少なくなる。
【0035】
縮径部53の上面には、スプリング6を載置するための収納溝53Aが形成されており、この収納溝53Aに載置されたスプリング6は円筒壁51に周囲から支持されることになり、スプリング6は安定した状態で起立状態を維持することができる。
縮径部53の端部には、下向きの舌片53Bがピストン部2に接触するように形成されている。
この舌片部53Bは、ピストン部2が上死点に位置しているときに、ロッド筒部22と円筒壁51との間を通って液体が漏れ出ることを防ぎ、またここを通って空気が容器本体内に流入することを防ぐ機能を有する。
【0036】
また、縮径部53はピストン部2の上方への移動を制限するストッパーの役割を果たしており、ピストン部2が縮径部53に当接する位置がピストン部2の上死点となっている。
【0037】
前述したL字状の長溝は、図2に示すように、円筒壁51の上下方向に形成された垂直溝51A1と、円筒壁51の周方向に形成された水平溝51A2と、からなる。
垂直溝51A1は、レール状立壁部33Aを上下方向に案内するための溝で、レール状立壁部33Aがこの垂直溝51A1に嵌っている状態(図2の状態)では、ノズルヘッド3は回動しない。
この状態からノズルヘッド3がスプリング力により復帰し上死点に至った時は、レール状立壁部33Aは、全部が垂直溝51A1から脱したことになる。
この状態では、ノズルヘッド3を回動することができる。
ノズルヘッド3が上下移動する際は、前述した上下方向の縦リブ33Bがあるため円筒パッキン5の周囲をガタツキなく上下運動することができる。
なお、垂直溝51A1の幅がレール状立壁部33Aの幅とほぼ同じ長さで形成されると、ノズルヘッド3を上下移動させた場合にガタツキがなくなり、円滑に動く。
【0038】
レール状立壁部33Aが垂直溝51A1に嵌っている時、或いは上述のようにノズルヘッド3がバネ力により復帰し上死点に至った時(以下、このような状態を非ロック状態という)では、ノズルヘッド3は垂直溝51A1に沿って上下移動が自在であるので、ポンプディスペンサAの液体の吐出が可能である(図2参照)。
【0039】
一方、上死点において、ノズルヘッド3を回動させ、レール状立壁部33Aが垂直溝51A1から逃げて水平溝51A2に嵌る(以下、この状態をロック状態という)と、ノズルヘッド3の上下方向の移動が規制され、ノズル部31からの液体の吐出は不可能となる(図3参照)。
【0040】
水平溝51A2の途中に形成されたストッパー51A3は、レール状立壁部33Aの水平溝51A2内での移動を阻止し、ロック状態と非ロック状態とが容易に切り替わらないようにする機能を果たす。
【0041】
そして、本実施形態のポンプディスペンサAにおいては、スプリング6が載置されている円筒パッキン5と、キャップ部4とが別体で形成されているため、キャップ部4を回転させてもスプリング6は回転しない。
このため、先述した従来例のように、スプリング6とノズルヘッド3との間に発生する摩擦力によるノズルヘッド3のキャップ部4との共回りが発生しない。
ノズルヘッド3の位置決めが容易となっている。
異形容器の正面に確実にノズルヘッド3を向けることができるのである。
【0042】
次に、非ロック状態からロック状態へと切り替える手順を説明する。
今、ポンプディスペンサAは非ロック状態(前述上死点の状態)にあるものとする。
ノズルヘッド3を回動させてレール状立壁部33Aの下端を垂直溝51A1の上端口から逃がす。これで、レール状立壁部33Aは、水平溝51A2に嵌め込まれる。
【0043】
レール状立壁部33Aを水平溝51A2に嵌め込んだ後、さらにノズルヘッド3を回動させると、レール状立壁部33Aが一旦、ストッパー51A3に当接する。
このとき、より強い力をノズルヘッド3に加えて回動させると、レール状立壁部33Aが突出しているストッパー51A3を乗り越える。
レール状立壁部33Aがストッパー51A3を乗り越えた後は、水平溝51A2の最終端に突き当たって停止する。
この状態が完全なロック状態である。レール状立壁部33Aがこの状態にあると、ノズルヘッド3を多少の力で回動させてもストッパー51A3がその移動を妨げるため、非ロック状態にはならない。
【0044】
そして、ロック状態から非ロック状態へと切り替える場合は、ノズルヘッド3を戻す方向に強く回動させると、レール状立壁部33Aはストッパー51A3を乗り越える。
ノズルヘッド3をさらに回動させると、レール状立壁部33Aが垂直溝51A1の内壁に当接し止まる。これで、ロック状態から非ロック状態へと切り替わったことになる。
【0045】
次に、容器本体に取り付けられたポンプディスペンサから液体が吐出されるまでの過程を、順を追って説明する。
今、ノズルヘッド3は上死点にあり、且つシリンダ部1内に液体が満たされていると仮定する(図1参照)。
ノズルヘッド3が押し下げられると、それと同時にピストン部2が下方へと移動する。
ピストン部2が下方に移動すると、ピストン部2とシリンダ部1とで囲まれた空間の体積が縮小し、液体が加圧される(図4参照)。
【0046】
また、ピストン部2が下方に移動すると、リークバルブ9が弁座22Bから離間するため、リークバルブ9と弁座22Bとの間に隙間が形成される。
加圧された液体は、その隙間を通過して、ロッド筒部22内へと流入し、次いでSバルブ8を押し上げて内側筒部32を通ってノズル部31から吐出される。
【0047】
ピストン部2が下死点に達し、シリンダ部1内の液体が全て吐出された後(図5参照)、手を離すとピストン部2はスプリング6の弾発力によりに元の位置へと戻り始める(図6参照)。
ピストン部2が上昇し始めると、ピストン部2とシリンダ部1とで囲まれた空間が膨張し、空間内が負圧になる。
このことにより、Sバルブ8がロッド筒部22側へと引き込まれて、ロッド筒部22とノズル部31との連通が分断される。この結果、ノズル部31からシリンダ部1内への外気の流入が完全に遮断される。
【0048】
一方、Fバルブ7はシリンダ部1側(上方)へと引き込まれるため、シリンダ本体部11とチューブ部12とが連通し、容器本体内の液体がチューブ部12を通ってシリンダ部1へと流入し始める。
【0049】
容器本体内の液体が、シリンダ部1へと流入すると容器本体内も負圧になる。
容器本体内が負圧になると、それを解消するために外側筒部33と円筒壁51との隙間から外気が流入し、そのまま逃がし溝22Cと逃がし孔Hとを通過して容器本体内へと入る。
【0050】
そして、ノズルヘッド3が上死点に達すると、シリンダ部1内に液体が完全に充填される(図1参照)。
このとき、容器本体からシリンダ部1へと流入した液体の体積と同じ体積の外気が容器本体内へと導入されるので、容器本体内の負圧は完全に解消されている。
このように、シリンダ部1への液体の供給が終了し、容器本体内の負圧が解消されポンプディスペンサAは次の液体を吐出させる準備状態となる。
このとき、リークバルブ9の膨大部9Aがロッド筒部22の弁座22Bに当接して転倒時の液漏れを防止することは既に述べた。
【0051】
(第2の実施形態)
本実施形態のポンプディスペンサAはリークバルブ9の膨大部9Aの形状が、第1の実施形態のポンプディスペンサAと異なっている。
図7は、本実施形態のポンプディスペンサの断面図及びリークバルブの拡大断面図である。
図7に示すように、本実施形態のリークバルブ9には膨大部9Aと軸9Bとの間に軸9Bよりも径が大きい径大部9Cが形成されている。
径大部9Cを形成することにより、径大部9Cと弁座22Bの内周面とが当接し、リークバルブ9の封止効果が増大する。
【0052】
また、ピストン部2が何かの原因で僅かに下方へ移動した場合でも、膨大部9Aと弁座22Bとの当接は解消されるが、径大部9Cと弁座22Bとの当接は維持される。
従って、ポンプディスペンサAが転倒したとしても、ノズル部31から液体が漏れ出すことがない。
【0053】
以上、本発明をその一実施形態を例に説明したが、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、レール状立壁部の形状は直方体だけではなく、半球状の突起でも良く、チューブ部はシリンダ部と一体ではなく、別体であっても良い。
【0054】
また、シリンダ部とキャップ部との間にガスケットを挟むことにより、液体がキャップ部と円筒パッキンとの隙間を通って漏れ出すことをより確実に防止できる。
【0055】
また、リークバルブの一部をスプリング状にすることで、膨大部がピストン部の僅かな下降に追従することができるようになり、液体が漏れる可能性を極力低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、第1の実施形態のポンプディスペンサを示す断面図である。
【図2】図2は、第1の実施形態の円筒パッキンの一部分の外観及び非ロック状態を模式的に示す説明図であり、(a)は外側筒部の一部を切開した図であり、(b)はノズルヘッド及び円筒パッキンの断面図であり、(c)は非ロック状態のときのノズルヘッドの向きを示す説明図である。
【図3】図3は、第1の実施形態の円筒パッキンの長溝にレール状立壁部が嵌り込んだ状態を模式的に示す説明図であり、(a)は外側筒部の一部を切開した図であり、(b)はノズルヘッド及び円筒パッキンの断面図であり、(c)はロック状態のときのノズルヘッドの向きを示す説明図である
【図4】図4は、ノズルヘッドが僅かに押し込まれたときの状態を示す断面図である。
【図5】図5は、ピストン部が下死点に位置したときの状態を示す断面図である。
【図6】図6は、ピストン部が下死点から僅かに上昇したときの状態を示す断面図である。
【図7】図7は、第2の実施形態のポンプディスペンサを示すし、(a)は断面図であり、(b)はリークバルブの膨大部周辺の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0057】
A・・・ポンプディスペンサ
1・・・シリンダ部
11・・・シリンダ本体部
11A・・・小径部
11B・・・大径部
12・・・チューブ部
13・・・載置部
2・・・ピストン部
21・・・ピストン本体部
21A・・・舌片部
22・・・ロッド筒部
22A・・・段差部
22B・・・弁座
22C・・・逃がし溝
3・・・ノズルヘッド
31・・・ノズル部
32・・・内側筒部
33・・・外側筒部
33A・・・レール状立壁部
33B・・・縦リブ
4・・・キャップ部
5・・・円筒パッキン
51・・・円筒壁
51A1・・・垂直溝
51A2・・・水平溝
51A3・・・ストッパー
52・・・鍔部
53・・・縮径部
53A・・・収納溝
53B・・・舌片
6・・・スプリング
7・・・Fバルブ
71・・・弁部
8・・・Sバルブ
9・・・リークバルブ
9A・・・膨大部
9B・・・軸
9C・・・径大部
H・・・逃がし孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ部と、
該シリンダ部内を摺動するピストン部と、
該ピストン部上部に取り付けられたノズルヘッドと、
該シリンダ部を容器本体に取り付けるためのキャップ部と、
該ピストン部とシリンダ部との間に装着される円筒パッキンと、
該ノズルヘッドを上方に弾発させるために円筒パッキンとノズルヘッドとの間に介在するスプリングとよりなることを特徴とするポンプディスペンサ。
【請求項2】
前記ノズルヘッドがノズル部と、内側筒部と、外側筒部と、よりなり、該外側筒部にレール状立壁部が形成され該レール状立壁部が円筒パッキンに形成された垂直溝に沿って上下移動することを特徴とする請求項1記載のポンプディスペンサ。
【請求項3】
前記ノズルヘッドを回動させることで該レール状立壁部の下端を垂直溝の上端口から逃がし、ノズルヘッドの下方移動を阻止する(ロックする)ものであることを特徴とする請求項2記載のポンプディスペンサ。
【請求項4】
前記円筒パッキンの下端部がシリンダ部に内挿圧入されて取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のポンプディスペンサ。
【請求項5】
前記キャップ部により円筒パッキンの鍔部とシリンダ部の上端部とを同時に押さえ込み容器本体に取り付けるものであることを特徴とする請求項1記載のポンプディスペンサ。
【請求項6】
前記円筒パッキンに縮径部が形成されており該縮径部にピストン部に接する下向き舌片が形成されていることを特徴とする請求項1記載のポンプディスペンサ。
【請求項7】
前記円筒パッキンに縮径部が形成されており該縮径部とノズルヘッドとの間にスプリングが介在していることを特徴とする請求項1記載のポンプディスペンサ。
【請求項8】
前記円筒パッキンの縮径部にピストン部が当接することでピストン部の上死点となっていることを特徴とする請求項1記載のポンプディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−208830(P2009−208830A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55838(P2008−55838)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(390028196)キャニヨン株式会社 (42)
【Fターム(参考)】