説明

ポンプ付きボトル

【課題】 ポンプ付きボトルにおいて、ポンプのノズル口延長用の延長ノズル片を、ボトルに出し入れ自在に付帯させることにより、ノズル口延長のための構造を簡単とすると共に、延長ノズル片を他の物品に干渉しない状態で格納することを目的とする。
【解決手段】 ノズルヘッド13を有するポンプ11を組付けたボトル1の胴部4外表面に、ノズル口14に着脱される延長ノズル片15を収納する収納凹部5と浅い流下溝7を設け、収納凹部5を覆って貼着されたラベル16の一部に、開口部を形成するミシン目17を設けて、延長ノズル片15をボトル1に出し入れ自在に付帯させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組付けたポンプのノズル口に着脱して、このノズル口を延長する延長ノズル片を付帯したポンプ付きボトルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
組付けたポンプのノズル口を延長する従来技術として、伸縮自在のロングノズルを、ポンプのノズルヘッドのノズル口に折れ曲げ可能に連結し、使用時には、ロングノズルを立ち上げてノズル口を延長し、非使用時には、ロングノズルをボトルの外表面に沿わせる姿勢に折り畳んで収納するものが知られている。
【特許文献1】特開2003−137371号公報
【0003】
この従来技術は、ロングノズルをコンパクトに納めることができるので、格納取扱い時に、ロングノズルの邪魔となることが少なく、かつ簡単な操作でノズル口の延長が達成できる、と云う利点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、ノズルヘッドのノズル口に対するロングノズルの、折り畳み可能な連結に、複雑な構成を必要とするので、その実施に大きい経費を要し、また内容液の吐出は、必ずロングノズルを用いることになるので、内容液の吐出使用形態が限定されてしまう、と云う問題があった。
【0005】
また、ノズル口に連結されたロングノズルは、折り畳み姿勢で収納されているとは云え、ボトル外に位置しているので、格納取扱い時に、このボトル外に位置したロングノズルが、他の物品に引っ掛かったり突き当たったりするのを無くすことはできず、このため格納および取扱いが必ずしも満足できるものではない、と云う問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、ポンプ付きボトルにおいて、ポンプのノズル口延長用の延長ノズル片を、ボトルに出し入れ自在に付帯させることを技術的課題とし、もってノズル口延長のための構造を簡単とすると共に、延長ノズル片を他の物品に干渉しない状態で格納することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主たる構成は、ノズルヘッドを有するポンプを組付けたボトルの胴部外表面に、ノズルヘッドのノズル口に着脱される延長ノズル片を収納する収納凹部を設けると共に、この収納凹部の下端からボトルの底部にかけて、浅い流下溝を設ける、ことにある。
【0008】
そして、延長ノズル片を収納した収納凹部を覆ってラベルを貼着し、このラベルの一部に、延長ノズル片を出し入れするための開口部を形成する破断線を設ける、ことにある。
【0009】
ポンプ付きボトルが消費者の手元に届くまでは、延長ノズル片は、ラベルで覆われた状態で、収納凹部内に、妄りに脱落することなく、確実にかつ安全に収納保持される。
【0010】
延長ノズル片を取付けてポンプ付きボトルを使用する際には、ラベルの一部を破断線に沿って破断除去して、収納凹部を開放して延長ノズル片を取出し、この取出した延長ノズル片をノズルヘッドのノズル口に嵌着する。
【0011】
延長ノズル片を使用しない場合は、ノズルヘッドのノズル口から取外した延長ノズル片を、一部開放された状態でラベルで覆われている収納凹部に挿入収納することにより、延長ノズル片をボトル1と一体的に保持することができる。
【0012】
ポンプのノズルヘッドのノズル口に対して、着脱自在に構成された延長ノズル片は、その基端部を、ノズル口に嵌め込み可能とするだけでよく、ノズル口との連結に複雑な構造を要することがない。
【0013】
また、延長ノズル片は、必要に応じてノズル口に装着すればよいので、内容液の吐出形態に応じて、延長ノズル片の使用、非使用を自由に選択する。
【0014】
延長ノズル片は、ボトルの胴部外表面に陥没状に形成された収納凹部に、その全体を挿入保持されるので、ボトルの胴部外表面から突出することがなく、このため収納保持状態で、他の物品に引っ掛かったり、突き当たったりしない。
【0015】
流下溝は、収納凹部の下端からボトルの底部にかけて設けられているので、収納凹部を覆って設けられているラベルに対し、このラベルの下端から必ず露出することになり、このため風呂場など、水かぶりのある場所で使用する場合、収納凹部に水が浸入しても、浸入した水は、ラベルに邪魔されることなく流下溝を通って流下し、収納凹部から排出される。
【0016】
本発明の別の構成は、上記した主たる構成に加えて、破断線を、残存したラベルにより、収納凹部に挿入された延長ノズル片を保持させる構造とした、ものである。
【0017】
破断線を、残存したラベルにより延長ノズル片を保持させる構造としたものにあっては、使用後の延長ノズル片を、ボトルの胴部外表面から突出させることなく、一体的に収納保持することになる。
【0018】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に加えて、収納凹部を、上端を上方に開放した縦長溝状とした、ものである。
【0019】
収納凹部を、上端を上方に開放した縦長溝状としたものにあっては、この収納凹部の上端開放部を、収納凹部に対する延長ノズル片の出し入れ口として機能させることができる。
【0020】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に加えて、収納凹部を、両側に取出し用凹部を有する構造とした、ものである。
【0021】
収納凹部を、両側に取出し用凹部を有する構造としたものにあっては、取出し用凹部に指先を侵入させて、収納凹部内の延長ノズル片を摘むことにより、収納凹部内から延長ノズル片を取出す。
【0022】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に加えて、ラベルをシュリンクラベルとし、ボトルの口筒部に設けたネックリングから胴部下端の縮径部までの範囲に貼着した、ものである。
【0023】
ラベルをシュリンクラベルとし、ボトルの口筒部に設けたネックリングから胴部下端の縮径部までの範囲に貼着したものにあっては、ボトルの胴部外表面形状に影響されることなく、収納凹部に延長ノズル片を、安定して収納保持することができる。
【0024】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に加えて、ラベルをラベルシールとし、収納凹部の全域を覆って接着固定した、ものである。
【0025】
ラベルをラベルシールとし、収納凹部の全域を覆って接着固定したものにあっては、ボトルの胴部外表面に対する、ラベルの装着範囲を自由に設定することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明にあっては、ポンプのノズルヘッドのノズル口と延長ノズル片の連結に複雑な構造を要することがないので、簡単な構造とすることができる。
【0027】
また、延長ノズル片の使用、非使用を自由に選択することができるので、適正な内容液の使用状況を得ることができる。
【0028】
さらに、収納保持状態の延長ノズル片は、ボトルの胴部外表面に突出することがないので、他の物品に引っ掛かったり突き当たったりすることがなく、これによりポンプ付きボトルの、安全で良好な取り扱いを得ることができる。
【0029】
収納凹部に水などが溜まる恐れがないので、衛生的な使用状態を、自然に維持することができる。
【0030】
破断線を、残存したラベルにより延長ノズル片を保持させる構造としたものにあっては、使用後の延長ノズル片を、ボトルの胴部外表面から突出させることなく、一体的に収納保持することになるので、繰り返し使用する延長ノズル片の収納保持を、ポンプ付きボトルの優れた取扱い状態を維持して達成することができる。
【0031】
収納凹部を、上端を上方に開放した縦長溝状としたものにあっては、この収納凹部の上端開放部を、収納凹部に対する延長ノズル片の出し入れ口として機能させることができるので、収納凹部からの、延長ノズル片の繰り返し使用のための出し入れが、行い易い。
【0032】
収納凹部を、両側に取出し用凹部を有する構造としたものにあっては、取出し用凹部に指先を侵入させて、収納凹部内の延長ノズル片を摘むことにより、収納凹部内から延長ノズル片を取出すので、収納凹部からの延長ノズル片の妄りな脱落がなく、延長ノズル片の安全な取り扱いを得ることができる。
【0033】
ラベルをシュリンクラベルとし、ボトルの口筒部に設けたネックリングから胴部下端の縮径部までの範囲に貼着したものにあっては、ボトルの胴部外表面形状に影響されることなく、収納凹部に延長ノズル片を、安定して収納保持することができるので、ポンプ付きボトルの取扱いが、さらに良好となる。
【0034】
ラベルをラベルシールとし、収納凹部の全域を覆って接着固定したものにあっては、ボトルの胴部外表面に対する、ラベルの装着範囲を自由に設定することができるので、ボトルの胴部に設けた構成部分を、無理なく適正に機能させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0036】
図1は、本発明によるポンプ付きボトルの、ラベル16であるシュリンクラベルの一部を不規則破断した全体側面図、図2は、背面図、図3は、ラベル16の一部を破断した平面図、そして図4は、底面図である。
【0037】
ボトル1は、合成樹脂製のブロー成形品で、外周面下端部にネックリング3を周設した口筒部2の下端に、拡径した肩部を介して、下端を底部で塞いだ胴部4を連設し、この胴部4の外表面に、縦溝状の収納凹部5と、この収納凹部5の下端に連続して底部8まで延びた浅い流下溝7を陥没設して構成されている。
【0038】
このボトル1の口筒部2には、この口筒部2に外装して螺合する組付きキャップ12により、押し下げヘッドであるノズルヘッド13を有するポンプ11が組付けられており、このポンプ11のノズルヘッド13には、横方向にノズル口14を開口したノズルが、胴部4の外表面の仮想される延長面から外に出ない長さで、設けられている。
【0039】
ボトル1に設けられた収納凹部5には、ポンプ11のノズル口14に着脱される延長ノズル片15が、出し入れ自在に収納されており、この延長ノズル片15は、筒状に構成され、そのノズル口14に嵌入組付けされる基端部(図1において上端部)は、小径に成形されていると共に、外周面に複数のシール条が設けられている。
【0040】
この延長ノズル片15は、収納凹部5内に、外方に突出することなく収納保持されるが、延長ノズル片15の寸法は、内容液の使用状況に従って設定されるものなので、収納凹部5を、要求される寸法の延長ノズル片15に合わせて成形することになる。
【0041】
ラベル16は、収納凹部5の開口部全域を覆うように張設状に設けられるが、流下溝7に対しても張設状に設けられ、この流下溝7を塞ぐことがないようにしており、さらに収納凹部5の上側部分を覆っている部分を含めた上端部分には、このラベル16部分を除去して収納凹部5を開放するための破断線としてのミシン目17が設けられている。
【0042】
このラベル16のミシン目17は、このミシン目17に沿ってラベル16の一部を除去した後、残ったラベル16部分が、収納凹部5に挿入された延長ノズル片15を保持することができる形状および範囲に設定されている。
【0043】
流下溝7は、収納凹部5の下端に連通した状態で、ボトル1の底部8に達する位置まで設けられているが、図示実施例の場合、中央部を陥没させた底部8の脚部9を横断する構造で設けられた底溝10に下端を連通させており、これによりラベル16に邪魔されることなく、収納凹部5の下方への開放を確実に達成している。
【0044】
図5は、ラベル16としてシュリンクラベルを使用した場合の外観を示すもので、ラベル16としてのシュリンクラベルは、ボトル1のネックリング3から胴部4下端の縮径部までの範囲を覆って設けられており、ミシン目17は、ラベル16の上端縁から、上端を開放した縦溝状に構成されている収納凹部5の上側部分に対向する部分まで形成されている。
【0045】
図6は、ラベル16としてラベルシール、例えば短冊状に成形されたラベルシールを使用した場合の外観を示すもので、ラベル16としてのラベルシールは、ボトル1の口筒部2下端縁から流下溝7の上端部に対向する位置までの範囲に亘って、収納凹部5を完全に覆って接着固定されており、ミシン目17は、上端を開放した縦溝状に構成されている収納凹部5の上側部分に対向する位置を横断する形態で形成されている。
【0046】
このラベル16としてラベルシールを使用した場合には、ボトル1に対するラベル16の組付きを接着により達成するのであるが、収納凹部5に収納されている延長ノズル片15に対しては接着しないようにされており、またミシン目17に沿った一部除去作業を行い易くするため、その接着状態を、易剥離性としておくのが有利である。
【0047】
図7は、収納凹部5を、両側に取出し用凹部6を有する縦長凹部構造に構成したボトル1に、ラベル16としてシュリンクラベルを組付けた場合の外観を示すもので、ラベル16としてのシュリンクラベルは、ボトル1のネックリング3から胴部4下端の縮径部までの範囲を覆って設けられており、ミシン目17は、ラベル16の上端縁から、収納凹部5の取出し用凹部6の下側部分まで形成されている。
【0048】
図8は、収納凹部5を、縦長凹部構造に構成したボトル1に、ラベル16としてラベルシールを組付けた場合の外観を示すもので、ラベル16としてラベルシールは、収納凹部5全域と流下溝7の一部を覆って設けられており、延長ノズル片15には、収納凹部5からの取出しのための突片が設けられている。
【0049】
図9は、図8に示した実施形態例において、収納凹部5を斜めに形成したもので、収納凹部5を斜め構造とすることにより、長さの大きい延長ノズル片15の収納が可能となる。
【0050】
なお、図示実施例にあっては、ボトル1は角型となっているが、これに限定されることはなく、丸型や楕円型、さらには多角型であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように、本発明のポンプ付きボトルは、必要に応じて着脱使用される延長ノズル片を、安全にかつ取り扱いし易い状態で、ボトルと一体的に収納保持できるものであり、着脱使用される付属部品を本体部分に一体的に付属させる技術として、幅広い利用展開が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態例を示す、一部破断した全体側面図である。
【図2】図1に示した実施形態例の、全体背面図である。
【図3】図1に示した実施形態例の、全体平面図である。
【図4】図1に示した実施形態例の、全体底面図である。
【図5】本発明の第一実施形態例を示す、外観斜視図である。
【図6】本発明の第二実施形態例を示す、外観斜視図である。
【図7】本発明の第三実施形態例を示す、外観斜視図である。
【図8】本発明の第四実施形態例を示す、外観斜視図である。
【図9】本発明の第五実施形態例を示す、外観斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 ;ボトル
2 ;口筒部
3 ;ネックリング
4 ;胴部
5 ;収納凹部
6 ;取出し用凹部
7 ;流下溝
8 ;底部
9 ;脚部
10;底溝
11;ポンプ
12;組付きキャップ
13;ノズルヘッド
14;ノズル口
15;延長ノズル片
16;ラベル
17;ミシン目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルヘッドを有するポンプを組付けたボトルの胴部外表面に、前記ノズルヘッドのノズル口に着脱される延長ノズル片を収納する収納凹部を設けると共に、該収納凹部の下端からボトルの底部にかけて、浅い流下溝を設け、前記延長ノズル片を収納した収納凹部を覆ってラベルを貼着し、該ラベルの一部に、前記延長ノズル片を出し入れするための開口部を形成する破断線を設けて成るポンプ付きボトル。
【請求項2】
破断線を、残存したラベルにより、収納凹部に挿入された延長ノズル片を保持させる構造とした請求項1に記載のポンプ付きボトル。
【請求項3】
収納凹部を、上端を上方に開放した縦長溝状とした請求項1または2に記載のポンプ付きボトル。
【請求項4】
収納凹部を、両側に取出し用凹部を有する構造とした請求項1または2に記載のポンプ付きボトル。
【請求項5】
ラベルをシュリンクラベルとし、ボトルの口筒部に設けたネックリングから胴部下端の縮径部までの範囲に貼着した請求項1〜4のいずれか1項に記載のポンプ付きボトル。
【請求項6】
ラベルをラベルシールとし、収納凹部の全域を覆って接着固定した請求項1〜4のいずれか1項に記載のポンプ付きボトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−105720(P2010−105720A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281379(P2008−281379)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】