説明

ポンプ付替え容器

【課題】まず始めに、内容器の口部から容器キャップを取外した後に、直ちにポンプ取付キャップによりポンプを内容器口部に取付け、該ポンプ取付キャップを利用して、ポンプ付替え用の内容器に外容器を簡単に装着できるようにしたポンプ付替え容器を提供すること。
【解決手段】ポンプ付替え容器として、容器口部に取付キャップを用いてポンプを取着した薄肉の内容器と、該内容器に装着する外容器Cとからなるポンプ付替え容器であって、外容器Cは、中央に嵌挿口17を設けた頂壁15と、胴壁16とからなり、嵌挿口17の周縁には、二つの半円弧部からなる突出リング19a、19bが配設されており、一方の半円弧部の両端部から、頂壁15を通り胴壁上方の所定の位置までスリット20a、20bが穿設され、一方の突出リング19bとスリット20bによって囲まれた壁面からなる開閉蓋24が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器口部にポンプを取着した内容器と、該内容器に装着する外容器とからなるポンプ付替え容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、リンス、ボディソープ等を収納し、ポンプを取着した内容器と、該内容器に装着する外容器とからなるポンプ付替え容器は、従来より知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1記載のポンプ付替え容器では、ポンプの付替えにあたって、内容器の容器キャップを取外した後に、ポンプ取付キャップで内容器の口部に設けたフランジと外容器に設けた係合部とを挟持するようにしてポンプを内容器口部に取付けている。
【0004】
特許文献2記載のポンプ付替え容器では、ポンプの付替えにあたって、内容器に外容器を装着した後に内容器の容器キャップを取外し、ポンプ取付キャップで、内容器に設けたフランジと外容器の頂壁とを締め付け、ポンプを内容器口部に取付けている。
【特許文献1】特開2003−12067号公報
【特許文献2】特開2003−40304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の従来技術では、ポンプの付替え時には、内容器の容器キャップを取り外した状態で、内容器口部を外容器の挿通口に挿入し、ポンプ取付キャップを締着しなければならず、その間に注意して作業しなければ誤って容器を倒すこともあるので、付替え作業が簡単にできないという問題があった。
【0006】
特許文献2記載の従来技術では、容器キャップの取外しと、ポンプ取付キャップによるポンプ取付け時に、内容器の廻動を阻止するための部材が必要であるので、構造が複雑になり、生産コストが高くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の事情を考慮して、まず始めに、内容器の口部から容器キャップを取外した後に、直ちにポンプ取付キャップによりポンプを内容器口部に取付け、該ポンプ取付キャップを利用して、ポンプ付替え用の内容器に外容器を簡単に装着できるようにしたポンプ付替え容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するため、ポンプ付替え容器として、容器口部に取付キャップを用いてポンプを取着した薄肉の内容器と、該内容器に装着する外容器とからなるポンプ付替え容器であって、外容器は、中央に嵌挿口を設けた頂壁と、胴壁とからなり、嵌挿口の周縁には、二つの半円弧部からなる突出リングが配設されており、一方の半円弧部の両端部から、頂壁を通り胴壁上方の所定の位置までスリットが穿設され、一方の突出リングとスリットによって囲まれた壁面からなる開閉蓋が形成されていることを特徴とする構成を採用する。
【0009】
付替え容器の別実施例として、外容器の形状を、ほぼ長方形とし、複数の嵌挿口と開閉蓋を並設したことを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0010】
外容器の頂壁に嵌挿口を設け、嵌挿口の周縁に、二つの半円弧部からなる突出リングを設けるとともに、一方の突出リングと頂壁、垂直壁とからなる開閉蓋を設けたことによって、開閉蓋の開蓋時に、ポンプ取付キャップを取着した内容器を嵌挿して上方に引上げ、次いで、開閉蓋を閉じ、突出リングをポンプ取付キャップ内周の係合面に嵌挿することによって内容器を外容器に装着できる。
したがって、内容器と外容器との装着が、開閉蓋の開閉操作により簡単にできるようになり、ポンプ付替え作業が容易にできるようになった。
【0011】
また、外容器によって補強されているので、内容器は口部以外を薄肉化することができ、外容器とポンプは反復使用可能であるので、省資源、廃棄物の減容にも役立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明のポンプ付替え容器について、実施例をあげ、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1において、AはポンプBを取着したポンプ付替え用の内容器、Cは内容器Aを装着された外容器である。
内容器Aと外容器Cによって、本発明のポンプ付替え容器が構成されている。
【0014】
内容器Aは、口部1と肩部2、胴部3と底部4とからなり、口部1外周には、ねじ5が螺設されており、口部1以外は、きわめて薄肉に成形されている。
内容物として、シャンプー、リンス、ボディソープ等の家庭用品、その他が収納されている。
【0015】
ポンプBは、上方に吐出ノズル6を装着したポンプ機構7と、吸上げパイプ8とを具えており、内周に容器口部1のねじ5に螺合するねじ9を螺設し、下端内周を係合面10としたポンプ取付キャップ11によって、容器口部1に取着されている。
【0016】
図1、2に示すように、外容器Cは、横断面形状が、角部を円弧としたほぼ角形の形状とした頂壁15と胴壁16とからなり、頂壁15の中央には、嵌挿口17が穿孔されている。
嵌挿口17の周縁には、左右二つの半円弧によって形成され、外側に段部18が設けられた突出リング19a、19bが配設されている。
【0017】
突出リング19aの前後端の外側から右方に延び、頂壁15を切断するとともに、胴壁16の一定の位置まで延びるスリット20a、20bが穿設されており、スリット20a、20bの端部を結んで薄肉部21が形成されている。
スリット20a、20bと薄肉部21に囲まれる頂壁15と胴壁16の部分によって、突出リング19aと頂壁22、垂直壁23とからなる開閉蓋24が形成され、薄肉部21はヒンジ25となっている。
【0018】
開閉蓋24の頂壁22が頂壁15と面一となっているときには、突出リング19a、19bの両端部は接合して円形の嵌挿口17が形成され、段部18には、ポンプ取付キャップ11の下端が載置され、突出リング19a、19bの外周は、ポンプ取付キャップ11の係合面10に当接するようになっている。
【0019】
次に、本発明のポンプ付替え容器の内容器Aと外容器Cの作用効果について説明する。
内容器Aへのポンプ付替えにあたっては、内容器Aの容器口部1を持って容器キャップを開き、直ちにポンプBを装着したポンプ取付キャップ11を容器口部1に取着する。
【0020】
外容器Cの装着にあたっては、図3に示すように、ヒンジ25を軸に開閉蓋24を廻動させて、突出リング19aを具えた頂壁22を開き、ポンプBを取着した内容器Aを下方より嵌挿口17に挿入し、ポンプ取付キャップ11を突出リング19bより上方に位置させる。
【0021】
次に、図4に示すように、ポンプ取付キャップ11の中心を嵌挿口17の中心線上方に位置させ、開閉蓋24を元の位置に戻して突出リング19a、19bが円形になるよう接合させる。
【0022】
次いで、ポンプ取付キャップ11を、その内周の係合面10に突出リング19a、19bが嵌挿するようにして段部18に載置すると、図1に示すように、外容器Cに内容器Aを装着することができる。
したがって、内容器Aと外容器Cとの装着は、開閉蓋24の開閉操作だけで、きわめて簡単にできるようになった。
【0023】
上記実施例では、ポンプBを装着した内容器Aを、外容器Cの下方から挿入しているが、内容器Aが自立性を有する場合には、ポンプを取着した内容器を台板上において自立させ、上方から外容器を装着するようにしてもよい。
【0024】
内容器内の内容液を使いきったときには、ポンプ取付キャップ11を掴んで内容器Aを上方に持ち上げ、開閉蓋24を開いて、内容器Aをさらに上方に持ち上げると、外容器Cから簡単に取外すことができる。
【0025】
次いで、ポンプ取付キャップ11を内容器Aから取外し、新しい内容器にポンプBを付替え、再度外容器に装着して使用することができる。
使い終わった内容器は、薄肉容器であるので容易に減容でき、廃棄時には嵩張らない。
【0026】
前記実施例では、外容器C胴壁16の断面形状を、角部を円弧としたほぼ角形の形状とし、薄肉部21をヒンジ25としたが、胴壁16の断面形状を円形、楕円形等内容器の形状に合わせて選択することができ、それに応じて胴壁の薄肉部を所定の位置にヒンジを設けたスリットとするようにしてもよく、その際は、ヒンジの形状、数は適宜設定できる。
【0027】
また、ヒンジとして、軸受部を、胴壁、または開閉蓋の端縁部に設け、軸ピンを開閉蓋、または胴壁の端縁に設け、軸受と軸ピンとからなる蝶番式ヒンジとしてもよい。
【0028】
前記実施例では、スリット20a、20bを突出リング19aの前後の端部から右方に直線状に突設するようにしたが、突出リング19aの中間部まで外周に沿って円弧状に延ばし、次いで右方に直線状に延ばして、少なくとも吐出ノズル6のノズル部が通過できるだけの巾を有するように、開閉蓋24の頂壁22、垂直壁23を形成してもよい。
【実施例2】
【0029】
次に、外容器の開閉蓋にロック機構を設けた変形実施例について説明する。
図5において、26は、開閉蓋24の頂壁22に穿孔されたスライド孔、27は、スライド孔26に摺動自在に取着されたロック部材である。
ロック部材27は、上面に滑り止めのための突条を設けた操作片27aと、操作片27aに垂設されスライド孔26に摺動可能に嵌挿された軸27bと、該軸27bに開閉蓋24の頂壁22を挟んで取着されたスライド板28とからなっている。
【0030】
スライド孔26は、一定の長さを有しており、その一方の端部26aは、頂壁22の端縁近くまで延びている。
ロック部材27の軸27bが端部26aに衝接したときには、スライド板28の一定部分が頂壁15の下面に係合するようになっており、軸27bが、スライド孔26の反対側の端部26bに衝接したときには、スライド板28の端部は、頂壁22の下面から離れ、開閉蓋24が自由に開閉できるようになっている。
【0031】
外容器と内容器との装着にあたって、ロック部材27を操作して、外容器の頂壁15とスライド板28との係合を外して、開閉蓋24を開いて挿入、装着し、その後に、ロック部材27を摺動させ、頂壁15とスライド板28とを係合させ、開閉蓋24をロックすることができる。
【0032】
また、上記スライド式のロック部材の代わりに、上端に摘み部、下端に係止板を装着した軸体を、開閉蓋24の頂壁22に設けた軸孔に枢着した回動式のロック部材としてもよい。
【実施例3】
【0033】
次に、外容器の変形実施例について説明する。
前記各実施例では、外容器に一つの嵌挿口を穿設し開閉蓋を設けているが、本実施例は、嵌挿口と開閉蓋を複数にしたものである。
【0034】
図6に示すように、Caはほぼ長方形の外容器で、頂壁30には、二つの嵌挿口31a、31bが穿設され、それぞれの嵌挿口31a、31bの周縁には、二つの半円弧からなる突出リング32a、32bが配設されている。
一方の突出リング32aの両端部から突出リング32aの外側に沿って一定位置まで延び、次いで頂壁30を切断して右方向に直線状に延びるスリット33a、33bが穿設され、前記実施例と同様に、開閉蓋34が設けられている。
【0035】
使用にあたっては、それぞれの嵌挿口31a、31bには、シャンプーとリンス等セットにして使用する内容液を収納した内容器のポンプ取付キャップが、前記実施形態と同様にして装着され、所望する内容液を選択して使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
内容器を、開閉蓋を開閉操作することによって、外容器に簡単に装着できるようになったので、ポンプ付替え容器として付替え作業が簡単になった。
また、吐出ノズルに替え、噴霧器も利用でき、さらに、内容器として、袋状のパウチ等も利用できるので、外容器としての利用範囲を広げることができる。
【0037】
また、外容器に複数の嵌挿口を設け、シャンプー、リンス等をセットにして使用するのに最適な外容器を得ることができ、個人の浴室ばかりでなく、旅館、ホテル等の浴室にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のポンプ付替え容器の一部断面立面図である。
【図2】外容器の説明図で、(a)は上面図、(b)は開閉蓋を開いた状態の一部断面立面図である。
【図3】外容器の装着時の説明図で、開閉蓋を開き、内容器のポンプ取付キャップを嵌挿口の上方に挿通させた状態を示す断面立面図である。
【図4】開閉蓋を閉じ、ポンプ取付キャップを嵌挿口に装着する直前の状態を示す断面立面図である。
【図5】第2実施例の外容器の説明図で、(a)は上面図、(b)は一部断面立面図である。
【図6】第3実施例の外容器の上面図である。
【符号の説明】
【0039】
A 内容器
B ポンプ
C、Ca 外容器
1 口部
2 肩部
3 胴部
4 底部
5、9 ねじ
6 吐出ノズル
7 ポンプ機構
8 吸上げパイプ
10 係合面
11 ポンプ取付キャップ
15、30 頂壁
16 胴壁
17、31a,b 嵌挿口
18 段部
19a,b、32a,b 突出リング
20a,b、33a,b スリット
21 薄肉部
22 頂壁
23 垂直壁
24、34 開閉蓋
25 ヒンジ
26 スライド孔
26a 端部
27 ロック部材
27a 操作片
27b 軸
28 スライド板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器口部に取付キャップを用いてポンプを取着した薄肉の内容器と、該内容器に装着する外容器とからなるポンプ付替え容器であって、
外容器は、中央に嵌挿口を設けた頂壁と、胴壁とからなり、
嵌挿口の周縁には、二つの半円弧部からなる突出リングが配設されており、
一方の半円弧部の両端部から、頂壁を通り胴壁上方の所定の位置までスリットが穿設され、一方の突出リングとスリットによって囲まれた壁面からなる開閉蓋が形成されていることを特徴とするポンプ付替え容器。
【請求項2】
外容器の形状を、ほぼ長方形とし、複数の嵌挿口と開閉蓋を並設したことを特徴とする請求項1記載のポンプ付替え容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−206096(P2006−206096A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−19712(P2005−19712)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】