説明

ポンプ装置

【課題】ポンプケーシング内部に移動弁を用いないで、駆動部レスのポンプを実現するポンプ装置を提供する。
【解決手段】ドーナツ形のポンプケーシングに巻き付けられたコイル22に直流電流を流すことにより、ポンプケーシング12内部の空洞にある粉末状の磁性体26を含んだ循環流体24を流すことにより、水を圧送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータを用いない駆動部レスのポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のポンプ装置においては、水を流すためのモータ等の機械的な部分を有していた。しかしながら、最近燃料電池等における流体を流すために、モータ等を用いない駆動部レスのポンプ装置が提案されている。
【0003】
例えば、本出願人は先に、ドーナツ形のポンプケーシングの外部にコイルを巻き付け、これらコイルに直流電流を流すことにより、ポンプケーシング内部に配された移動弁を一方向へ移動させて、流入口から水を吸い込み流出口から水を押し出すポンプ装置を提案した(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−280165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記のような駆動部レスのポンプにおいては、ポンプケーシング内部に移動弁を配し、この移動弁をスムーズに移動させる必要があり、その移動を実現することが難しかった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、ポンプケーシング内部に移動弁を用いないで、駆動部レスのポンプを実現するポンプ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ドーナツ形であって、その内部が空洞のポンプケーシングと、前記ポンプケーシングに設けられた流体の流入口と流出口と、前記ポンプケーシングの外部に沿ってソレノイド状に巻き付けられたコイルと、前記ポンプケーシングの内部に貯留された循環流体と、前記循環流体に含まれた粉末状の磁性体と、を有し、前記コイルに直流電流を流すことにより、前記コイルによって発生した誘導磁界により前記粉末状の磁性体を含んだ循環流体を前記ポンプケーシング内部で一方向に回転させて、前記流入口から流入した液体を前記流出口から吐出する、ポンプ装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のによれば、ポンプケーシング内部を粉末状の磁性体を含んだ循環流体が流れて、流体を流出口から吐出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態のポンプ装置10について図1に基づいて説明する。
【0009】
(1)ポンプ装置10の構成
ポンプ装置10は、例えば水を送り出すものであり、本体にあたるポンプケーシング12を有している。このポンプケーシング12は、ステンレス製、又は合成樹脂製の円管を曲げて、ドーナツ状に形成している。このポンプケーシング12の外周部の2か所には、水が流れ込むための流入口14と、水を吐出する流出口16とが設けられている。この流入口14と流出口16とが設けられている位置は、図1に示すように円管状のポンプケーシング12に対し接線上に設けられ、流入口14に接続された流入管18と流出口16に接続された流出管20とが直線上になるような形成されている。
【0010】
ポンプケーシング12の外周部には、ソレノイド状に巻回されたコイル22が設けられている。このコイル22は、図1においては60度毎に6個設けられている。尚、図1においては2個のコイル22は、実線でコイル状に巻回した状態で示し、その他のコイル22は、説明をわかりやすくするために二点鎖線で示している。
【0011】
ポンプケーシング12内部には、循環流体24が貯留され、この循環流体24には粉末状の磁性体26が含まれている。この循環流体24は、本実施形態では水であり、この循環流体24はポンプ装置10によって用いる流体に応じて適宜変更する。そしてこの粉末状の磁性体26を含むことにより、循環流体24はコロイド状になっている。
【0012】
ポンプケーシング12の内部であって、流入口14と流出口16にはフィルタ28,30が取り付けられている。このフィルタ28,30は、ポンプケーシング12内部から粉末状の磁性体26が流入口14と流出口16から漏れ出ないようにするためのものである。
【0013】
(2)ポンプ装置10の動作
ポンプ装置10の動作状態について説明する。
【0014】
流入管18に水を流し、流出管20にはその水の送る先の送水管を接続する。
【0015】
コイル22に直流電流を流すと、ドーナツ形のポンプケーシング12内部に誘導磁界が発生し、この誘導磁界に反応して粉末状の磁性体26が、図1において時計回りの方向に流れ出す。粉末状の磁性体26が流れ出すとそれに伴って循環流体24も時計回りの方向に流れ出し、流入口14にある水がその循環流体24の流れによって流出口16に吐出され、圧送される。
【0016】
一方、粉末状の磁性体は、フィルタ28,30によって流入口14及び流出口16から漏れ出ることなく、ドーナツ形のポンプケーシング12内部で循環する。
【0017】
(3)効果
このように本実施形態のポンプ装置であると、モータ等の駆動部分を用いることなく、コイル22に直流電流を流すだけで、水を送り出すことができる。
【0018】
また、流入口14に接続された流入管18と流出口16に接続された流出管20とが直線上になるような形成されているので、水が流れやすい。
【0019】
また、モータなどの駆動部がないため、ポンプ装置10を小型化できる。
【0020】
(4)変更例
本発明は上記各実施形態に限らず、その主旨を逸脱しない限り種々に変更することができる。
【0021】
例えば、本実施形態のポンプ装置10は、水を流すためのポンプ装置であるが、水以外の流体、例えば燃料電池における液体状の燃料等を流してもよい。
【0022】
また、コイル22の数や位置も上記実施形態の構成に限らす、誘導電界の強さに応じて決めればよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態を示すポンプ装置の横断面図である。
【符号の説明】
【0024】
10 ポンプ装置
12 ポンプケーシング
14 流入口
16 流出口
22 コイル
24 循環流体
26 磁性体
28 フィルタ
30 フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーナツ形であって、その内部が空洞のポンプケーシングと、
前記ポンプケーシングに設けられた流体の流入口と流出口と、
前記ポンプケーシングの外部に沿ってソレノイド状に巻き付けられたコイルと、
前記ポンプケーシングの内部に貯留された循環流体と、
前記循環流体に含まれた粉末状の磁性体と、
を有し、
前記コイルに直流電流を流すことにより、前記コイルによって発生した誘導磁界により前記粉末状の磁性体を含んだ循環流体を前記ポンプケーシング内部で一方向に回転させて、前記流入口から流入した液体を前記流出口から吐出する、
ポンプ装置。
【請求項2】
前記流入口と前記流出口に、前記粉末状の磁性体の流出を防止するフィルタをそれぞれ設けた、
請求項1記載のポンプ装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−65762(P2009−65762A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230541(P2007−230541)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(398061810)日本電産シバウラ株式会社 (197)
【Fターム(参考)】