説明

ポンプ要素および当該のポンプ要素を有するポンプ

ポンプ要素(10)は、入口(20)および出口(22)を有するポンプ室(18)と、ポンプ室の第1および第2の位置間において移動可動な少なくとも1つの第1の可動要素(24)を定めているポンプ要素ハウジング(14)とを具備している。
第1から第2の位置の方向への第1の可動要素の移動の間、入口を介して第1の可動要素による流路の流れ抵抗は、ポンプ要素ハウジングおよび第1の可動要素間の流路の流れ抵抗より大きい。第2の位置から第1の位置への方向の第1の可動要素の移動の間、出口を介して第1の可動要素による流路の流れ抵抗は、ポンプ要素ハウジングおよび第1の可動要素間の流路の流れ抵抗より小さい。このように、第1および第2の位置の間の第1の可動要素の移動の間、出口を介して正味の流れが起こる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポンプ要素および当該のポンプ要素を有するポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、駆動流体を利用した複数のポンプが知られている。例えば動力装置において、ポンプの大きさは、専門的に生産された微小なものから、高いポンプ能力を有する非常に大きなポンプに至るまで異なるものになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術によるポンプでは、流体の化学構造、運転方法、それから、場合により制御機器若しくは調整手段を含む複雑な構造となっている。使い捨てのためのこの種のポンプの使用を殆ど排除する高い生産コストは、既知のポンプの高い複雑性のため不利な点となる。さらに、複雑な構造においては、高い信頼性を得るための労力もやはり増大する。
【0004】
多くのポンプでは、流体と接触することもあり得る例えば潤滑油またはグリースなどの補助剤が、ポンプの運転ないし動作にそれぞれ必要となる。このことは、医療の分野への利用ないし工学的応用の一連の行為の妨げとなる。
【0005】
それゆえに、とりわけ、医療の分野および工学的応用の一連の行為に役立たせることが可能で、また、使い捨てにふさわしい一般向けのポンプ要素およびポンプを必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明によれば、この目的は、請求項1や請求項20に従属するポンプ要素および請求項27に従属する各ポンプ要素を有するポンプによって解決される。
この発明の実施例は、ポンプ室を定めているポンプ要素ハウジング、ポンプ室への入口、ポンプ室からの出口、および、第1と第2の位置の間のポンプ室において可動の第1の可動要素を包含し、第1と第2の位置の間で第1の可動要素の往復運動中に、出口による正味の流れが起こるように、第1から第2の位置の方向への第1の可動要素の移動の間、入口による第1の可動要素からの流路の流れ抵抗は、ポンプ要素ハウジングと第1の可動要素の間の流路の流れ抵抗よりも高くなり、第2の位置から第1の位置の方向への第1の可動要素の移動の間、出口による第1の可動要素からの流路の流れ抵抗は、ポンプ要素ハウジングと第1の可動要素の間の流路の流れ抵抗より小さくなる、ポンプ要素を提供する。
このように、この発明の実施例において、第1から第2の位置の方向への可動要素の移動の間、より多くの流体は、入口を経由してポンプ室から出るより、ポンプ室の出口に向かう方向に第1の可動要素を過ぎて押圧される。この発明の実施例において、第1から第2の位置までその方向に第1の可動要素が動作中、または、少なくともこの運動の大部分の間、入口は、例えば第2の可動要素によって、閉じることができる。加えて、この発明の実施例では、決められた流れ抵抗によって、第2の位置から第1の位置までその方向に第1の可動要素が動作中、入口に向かってその方向に可動要素を通り越して移動するより多くの流体が出口に排出される。このように、可動要素の往復運動によって、出口を介して正味の流れが起こり得る。
この発明の実施例は、入口および出口を有するポンプ室を規定しているポンプ要素ハウジングと、ポンプ室の第1の位置と第2の位置の間で移動可動となり、それが第1の位置にあるときに出口が閉鎖される第1の可動要素と、ポンプ室の第3と第4の位置の間において移動可能な第2の可動要素と、第1の位置に第1の可動要素を付勢している第1のばねと、第3の位置に第2の可動要素を付勢している第2のばねとを包含する、ポンプ要素を包含し、そこにおいて、第1および第2の位置間で第1の可動要素が往復運動中に、また、第3および第4の位置間で第2の可動要素が往復運動中に、出口を通じて正味の流れが起こる。
この発明の実施形態では、ポンプがポンプ要素および駆動ユニットをそれぞれ備えていることができる。そして、それは第1から第2の位置まで第1の可動要素を駆動するために、および/または、第3から第4の位置まで第2の可動要素を駆動するために実行される。
この発明の実施例は、ポンプされる流体の量が、ポンプ・ストロークにつき、マイクロ・リットル範囲、ナノ・リットル範囲、または、ピコ・リットル範囲になっている小形ポンプまたはマイクロ・ポンプに関することができる。
この発明の実施例は、例えば輸液、潤滑油、食品または洗浄液などの流体のためのポンプに関することができ、そこにおいて、ポンプ要素および駆動ユニットは、別に設計され得る。ポンプ要素は、例えばプラスチック射出成形によって、コスト効率よく製造することができ、また、使用の後、処分することができる。この発明の実施例では、駆動ユニットが再利用され得る。駆動ユニットは、ポンプされる流体と接触することがない。この発明の実施例において、流体のポンプされた量は、ポンプ・ストロークの数から直接に決定され得る。さらに、この発明の実施例において、ポンプ要素には、流体の流れを制御するための一体化されたロック弁が具備され得る。この発明の実施形態において、一体化されたロック弁は、ポンプ要素による流体の流れをポンプ要素の非動作状態に固定することができる。
この発明のポンプの実施例は、特に、医学の分野、方法技術および調査で、複数のアプリケーションに利用でき得る。1つの実施例は、人間医学の分野における自動処方投薬手段である。
この発明の実施例において、第1から第2の位置の方向に向かってその方向に第1の可動要素が移動中、第1の可動要素を過ぎた出口から離れて対向している第1の可動要素の側に配置されている領域から、出口に対向している第1の可動要素の側に配置されている領域へ流体の移送が起こる。この運動の間、できるだけ低い入口およびそれとともに関連する出口を介して、吸入による再フローを実現するために、入口が閉じることができる。第1から第2の位置への方向の第1の可動要素の移動の間、流体、例えば液体またはガスは、第1の可動要素を過ぎて移送され得る。
この発明の実施例において、第2の位置から第1の位置への方向の第1の可動要素の移動の間、ポンプで注入された流体は、第1の可動要素および出口からの出力によって移動される。同時に、流体は、入口を経由して吸引される。この移送相は、このように輸送位相と呼ばれることもありえる。輸送位相およびポンプ位相を交替させることによって、入口から出口への方向の正味の流れが起こり得る。
この発明の実施例において、ポンプ要素は、動作の間、第1の可動要素が第1の位置から第2の位置まで移動するよりも、第2の可動要素が第3から第4の位置まで急速で移動するようなものを実施した。この発明の実施例において、第2の可動要素は、第4の位置の入口を閉鎖する。したがって、ポンプされるために流体が第1の可動要素を過ぎて移送される曲面の間、入口を経由した再フローは、削減され得るかあるいは最小化され得る。この発明の実施例において、第2のばねは、第2の動作素子のより速い移動を遂行するために、第1のばねより低いばね定数を有することができる。この発明の実施例では、別々の駆動ユニットが第1の可動要素および第2の可動要素のために提供され得る。駆動ユニットが第1から第2の位置まで第1の可動要素の移動を遂行する前に、第2の可動要素のための駆動ユニットは、第3の位置から第4の位置まで同じものの動きを遂行することができる。代わりに使える実施例では、より大きい力が第2の可動要素に印加されるように、駆動ユニットおよび/または第1の可動要素および第2の可動要素が実施され得る。その結果、同じことは、第1の可動要素が第2の位置へ移動するより、第4の位置に急速で移動する。この発明の実施例は、ポンプ要素およびその駆動部の流体構造がお互いに分離して構成されることを可能にする。実際のポンプ要素は、少しの要素で形成することが可能で、例えばプラスチック射出成形によって、コスト効率よく製造され得る。この発明の実施例は、ポンプ要素が使用の後、処分されることを可能にする。その結果、実用的な方法で使い捨てが実行できる。この発明の実施例において、制御または調節手段を含むことができる、よりコスト集約型の駆動ユニットは、いくつかのポンプ要素のために、または、いくつかのポンプ要素のライフサイクル全体に用いられることができる。
このことにより、例えば医療技術または食品工学などの分野において重要なアプリケーションで、それはポンプされる流体と接触する流体要素を意味するポンプ要素は、よりコスト集約型の駆動ユニットを交換せずにアプリケーションごとに交換され得る。
この発明の実施例において、ポンプ機能は、2つの金属的動作素子、例えば、ポンプチャンバの2つのばねにより規定された位置で保たれるボールまたはピストンなどによって、獲得され得る。そして、そのことは流路にも注意が向けられ得る。第1のあるいは第3の位置において、それぞれ、第1の可動要素は、ポンプ室が提供している出口を閉鎖する。その一方で、第2の可動要素は、流体がポンプで注入されるためのリザーバに接続していることができるポンプ室の入口を開放することができる。そこにおいて、ポンプ室は、入口を経由して流体で満たされる。この発明の実施例では、可動要素が、駆動ユニットに統合される1つのまたは幾つかのコイルの力を借りて、第2または第4の位置にそれぞればね力に対抗する磁力によって移動することができる。このことにより、実施例では、最初、第2の可動要素が入口を閉鎖する。その一方で、可動要素が出口を開放し、そして、ポンプに収容された流体、つまり、液体またはガスは、第1の可動要素(輸送位相)のそばを通り過ぎて圧搾される。磁力をオフにした後、ばねは、後ろに第1の可動要素を押圧し、それによって、第1の可動要素の前の流体は、後ろの出口を経由して少なくとも部分的に移送される。このことにより、漏洩流は、可動要素およびポンプ室の圧力壁間のギャップによって発生する。そして、それによって、一定量の液体は、ポンプで流体を注入している運動の間、後ろに流れることができる。漏洩流の量は、第1可動要素とポンプ室壁の間の隙間幅によって、すなわち、第1の可動要素とポンプ室壁の間の流路の流れ抵抗により測定される。この発明の実施例では、第1の可動要素が、ポンプ運動終了後、再び、出口を封止する。この発明の実施例では、第2の可動要素が同時にほぼ入口を開放する。それによって、ハウジングは、再び満たされる。投与された体積流量は、ポンプ・ストロークの数および速度によって制御することができる。上記のことは、ポンプサイクルの間、ポンプは漏洩のない流量を固定することができる。
この発明の実施例において、異なる処理能力を有するポンプ要素は、ポンプの設計によって実現することができる。例えば、流体構造の横断面、すなわち、ポンプ室の通路の横断面、ポンプ・ストロークの長さ、そして、可動要素と通路壁の間の隙間のサイズは、ポンプ・ストロークにつき吐出される流体の量を調整するために、調整され得る。このように、例えば、吐出量のかなりの範囲を1つまたはほんの少数の異なる駆動ユニットだけカバーすることができる。同じ駆動ユニットは、例えば、異なる処理能力を有するポンプ要素を駆動することができる。
さらに、この発明の実施例において、都合よく、ポンプは、たったわずかな付加的な努力により、すなわち、第1の可動要素の位置を判定することができる、および/または、第2の可動要素の位置を提示する場合、ポンプの位置を監視することができる監視装置が実施され得ることを可能としている。この発明の実施形態では、駆動ユニットが駆動コイルを有することができ、当該駆動ユニットには、さらに、測定コイルが実装され得る。駆動コイルにより重畳された磁気交番磁界を発生させることによって、電圧は、付加的な測定コイルにおいて誘導され得る。誘導された電圧は、材料が透過性を有する可動要素の位置によって決まる。このように、適切な測定手段によって、ポンプ要素の位置が決定され得る。そして、それはポンプの機能の監視を可能にする。
【0007】
この発明の実施形態は、添付の図面を参照して以下に説明される。それらを以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1a】発明のポンプの実施例の概略断面図
【図1b】発明のポンプの実施例の概略断面図
【図2】ポンプ要素ハウジングと第1の可動要素との間の流路を説明する実施例の概略横断面図
【図3】ポンプ要素ハウジングと第1の可動要素との間の流路を説明する実施例の概略横断面図
【図4】ポンプ要素ハウジングと第1の可動要素との間の流路の流れ抵抗を変えられることを可能としている実施例の概略図
【図5】ポンプ要素ハウジングと第1の可動要素との間の流路の流れ抵抗を変えられることを可能としている実施例の概略図
【図6a】発明のポンプの更なる実施例を説明する概略断面図
【図6b】発明のポンプの更なる実施例を説明する概略断面図
【図7】発明のポンプの更なる実施例を説明する概略断面図
【図8】発明のポンプの更なる実施例を説明する概略断面図
【図9】発明のポンプの更なる実施例を説明する概略断面図
【図10】発明のポンプ要素の実施例の概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
異なる図において、同じ参照番号は、同等か機能的に同等な要素のために用いられ、その点で、各要素の繰り返された説明は省略される。
【0010】
図1aは、発明の1つのポンプのアイドル状態の実施例の断面図を示し、また、図1bは、作動状態のポンプを示す。ポンプは、ポンプ要素10と駆動ユニット12を含む。ポンプ要素10は、ポンプ要素ハウジング14と、駆動ユニットハウジング16を含む駆動ユニット12とを含む。ポンプ要素ハウジング14および駆動ユニットハウジング16は、お互いに連結することができ、また、お互いに分離することができるような別々のハウジングとして構築される。駆動ユニットハウジング16とポンプ要素ハウジング14とを反対に連結する適当な手段は、当業者にとって自明であり、例えば、スナップ式接続、ねじ込み式接続方式、フック、クランプ、ベルクロファスナー、および、さらなる説明を必要としない同様のものを含む。
【0011】
ポンプ要素ハウジング14は、ポンプ室18、入口20および出口22を規定する。ポンプ要素ハウジング14は、そこに入口20および出口22が射出され得る、例えば、プラスチック射出成形によって費用効率の良い方法で実現される。
【0012】
第1の可動要素を示している第1のボール24および第2の可動要素を示している第2のボール26は、ポンプ室18に存在する。ばね28は、ボール24および26の間に存在する。第2のばね30は、第2のボール26およびポンプ要素ハウジング14の間に存在する。第1のばね28および第2のばね30は、第1のボール24および第2のボール26を図1aに示す位置に付勢する。示された実施例において、ばね28および30は、渦巻ばねとして形成される。
【0013】
示された実施例において、ばねの組み立ては、外力なしで出口22が閉じられるように第1のボール24の位置を定め、その位置で、第1のばね28は、第1のボール24を保持する。ばねの組み立ては、入口20が開かれるように第2のボール26の位置を定め、ポンプ要素ハウジング14の中のポンプ室18は流体で満たされる。
【0014】
入口20は、適当な流体ラインを介して、流体リザーバ(図示せず)に接続され得る。さらに、出口22は、適当な流体ラインを介して、目標領域(図示せず)に接続され得る。このために、入口20および出口22は、例えば、ルアー接続構造32を有することが可能である。
【0015】
さらに、出口22での第1のボール24の封止作用を増大させるために、たとえば板ばね形状のばね34が提供され得る。そしてそれは、出口22に形成されるシールシートに第1のボール24を押圧する。示された実施例において、板ばね34は、ばね28および30によって生じた力に対して垂直な力を発生させる。ボール12は、例えば、金属球として形成され得る。さらに、ばねは、例えば、非磁性非鉄金属で形成され得る。
【0016】
駆動ユニット12は、金属球24のための電磁駆動として、強磁性のコア42を囲む1つまたは幾つかの駆動コイル40を含む。可動要素の磁力を増大させることを目的として、強磁性コア42は、図5および7を参照してもっと詳しく以下に説明されるように、当該可動要素の磁気の還流を大幅に改善させる位置において、適切な磁極片を持つヨーク形状もまた有することができる。
【0017】
さらに、駆動ユニット12は、金属球24および26に作用する電磁力を発生させるために、1つまたは幾つかのコイル40に流れる電流を選択的且つ周期的に印加する駆動コイル40に連結される制御手段44を含む。
【0018】
電磁力の発生に起因して、第2のボール26は、第2のばね30の力に逆らって入口20の方向に向かって移動する。その結果、入口20は、図1bに示すように、封止される。強磁性コアおよびヨークが未だ磁気飽和となっていない間は、それぞれ、駆動コイルまたは駆動コイル40に流れる電流の強さをそれぞれ増大させることによって、ボール24の磁力を増大させることができる。
【0019】
図1aに示される静止位置から図1bに示される封止位置に第2のボール26の位置を変えることに関して、同じことが距離s2に従って移動されることでなければならない。これは、磁力Fmagnet(s2)を必要とする。第2のボール26が入口20を封止するまでは、第1のボール24が移動しないように、ばねFvorのバイアスが調整され得る。ばね定数c1を有する第1のばね28の力に逆らって、最終的に、第1のボール24を図1bに示される位置に至らせるためには、同じことが距離s1に従って移動されなければならない。ばね力に打ち勝つためには、少なくとも、
magnet(s1)=Fmagnet(s2)+c1*1+Fflow [N]
の磁力が必要である。
【0020】
それによって、出口22が開かれ、そして、第2のボール24の動作中、流体は同じように流れ過ぎる。すなわち、第1のボール24およびポンプ要素ハウジング14間の流路を通って流れる。流れ力Fflowは、主に、第2のボール24およびポンプ要素ハウジング14間の隙間についての隙間幅および速度vに依存する。それによって、第1のボール24は移動する。
【0021】
図1aおよび1bの機能性について説明するために:上に述べたように、ばね定数とばね14および17のばねバイアスは、流体によってボール24が動いて出口22が開かれる前に、ボール26が最初に動かされ、入口20を封止するように、望ましくは、磁力をオンした後で、選ぶことができる。磁力が回転される場合、入口20の中を通り抜けて流入する流体がばね30を支持するため、両方のボールは実質上同時に動くことができる。
【0022】
図2は、図1bの線II−II線に沿った断面図を図式的に示す。各環状の隙間は、技術的シートに類似しているのは明らかであり、第1のボール24と内部の切断面が円形のポンプ室の内壁との間に流路をもたらしている。そこに、ボールは、ポンプ室の中に側面の隙間を備え、流れの隙間をもたらしている。環状の隙間の全幅は、ボールの直径よりもかなり小さくされ得るのが好ましく、ボールの直径によって決められ得る。例えば、隙間の全幅は、ボールの直径に応じて、100μm未満、50μm未満、あるいは、20μm未満であり得る。図2ではボールが中央に置かれた様態が示されているが、その位置は実のところ、周囲の状況に応じて、示された位置から逸脱することができる。そしてそれは、例えば、ボールの一方側で少しの隙間もないようにする配置構造を意味する。
【0023】
その他にも、例えば、内部の切断面が正方形の、別の内部の切断面が用いられ得る。円形のポンプ室を備えたポンプ要素ハウジング14aを有する別の実施例の概略断面図が図3に示される。ピストンシリンダに成形された1つまたは幾つかの通路46aを有する可動要素は、図3に示すように、可動要素24aとポンプ要素ハウジング14aとの間に、1つまたは幾つかの流路をもたらしている。4つの通路が図3に示されているけれども、別の実施例では、異なる数の通路、たとえばただ1つの通路が提供され得る。
【0024】
図1bを再度参照すると、ポンプのFmagnet=Fmagnet(S1)の磁力が作用している間のポンプの配置が明らかとなっている。制御手段44は、各磁力が第1のボール24に印加されるような電流を駆動コイル40に提供するために、実行される。
【0025】
このように、駆動ユニット12が機能することによって、図1aに示される位置から図1bに示される位置に、ボール24および26の移動がもたらされる。このことにより、ポンプ室18のボール24は、出口22から遠ざけられる。そこにおいて、出口22から離れて対向するボール24の側面からの流体は、例えば、図2および3に示すように、1つまたは幾つかの流路46aまたは46aに沿って、それぞれ、出口22に対向しているボールの側面へ運ばれる。制御手段44により駆動コイル40を流れる電流を止めることによって、駆動ユニット12を介して磁力がオフにされた場合、第1のばね28の力によって、ボール24は、出口22を経由してポンプ室18から外へ流体を押圧する。そのとき、ボール24は、最終的に出口22を再び封止する。新しい流体が入口20を経由して、再び、ポンプ室の中に流入できるように、ボール24が作動している間、第2のボール26は、入口20を開放する。その結果、ボール24および26は、ばね28および30のバイアスによって、図1aに示される位置に回復する。この状態を根幹として、既知の容積を持ったポンプストロークにより一定のポンプサイクルを実行することによって、決まった流量をポンプで注入することができるように、循環的に駆動ユニットを作動することにより、駆動ユニット再び作動させることができ得る。
【0026】
ポンプで使用された体積は、幾何学、特に、ボール24のサイズ、ポンプ・ストローク(すなわちボール24の移動距離s1)のサイズ、および、ボール24とポンプ要素ハウジング14との間の流れの隙間のサイズによって、定められる。幾何学を調整することによって、ポンプストロークによるポンプで注入される量が調整される。ポンプストロークの数に基づいて、吐出量の体積が決定され得る。
【0027】
達成できるポンプの用量精度のために、この発明の実施例においては、ポンプで使用される流体の量、例えば液体の量と、ポンプを使用している間のボール24の動作中、隙間46の中を通って還流する流体の量との比ができる限り大きくなることが、有利である。
【0028】
そのために、本発明の実施例では、ポンプが作動している間、隙間46における流動抵抗が十分に大きくなり得る。このことは、狭い隙間46または追加的措置によって得られ得る。この点に関しては、図4は、可動要素24bが配置されているポンプ要素ハウジング14bの説明の概要を示す。ポンプ要素ハウジング14bに形成されるポンプ室18aの横断面は、例えば、円形であり得る。その点で、可動要素24bは、流れの隙間46bがポンプ要素ハウジング14bの内壁および可動要素24b間に形成できるように、シリンダピストンの形状であり得る。可動要素24bは、同じに取り付けられる密封要素50を備え、運動の方向に応じて、可動要素24bとポンプ室ハウジング14bの通路壁との間にポンプで注入される流体のために流れ抵抗を変える。密封要素50は、順応性のある方法で設計され、また、例えば、たった1つのピン52だけによって、可動要素24bへの接続に適している。したがって、通り過ぎる流体に対して、密封要素50は、図4の中で可動要素24bの左側への移動中に比べて、図4の中で可動要素24bの右側への移動中の方に、より低い流れ抵抗を提供している。換言すれば、同じことが可動要素24bから離れて反映され得るので、右側に移動中、密封要素は、より高い可撓性を提供している。その一方で、左側への可動要素24bの移動中、同じことに対して押し付けている。このように、可動要素は、付加的な弁膜機能を有する。
【0029】
付加的な密封要素50は、例えばゴムなど、任意の弾力性のある材料で形成され得る。そしてそれは、可動要素24bの動作方向に応じて、流体的に効果的な幾何学形状となっているので、所定の弁膜機能を発生させるために、流れ抵抗の変化を可能にする。
【0030】
動力学的な可動要素の弁効果を獲得するための他の実施例は、図5に図式的に示される。図5は、その中に配置されたポンプ要素ハウジング14cおよび可動要素24cを図式的に示す。さらに、図5は、磁石の磁極片56および58を図式的に示す。図5に図示した実施例には、流路の位置に基づいて、すなわち、ポンプ要素ハウジング14cに形成されたポンプ通路18bに、流体的に有効な隙間46cについて異なる流れ抵抗をもたらすように、可動要素24aが形成されている。示された実施例では、回転運動に可動要素24cの直進運動60をかぶせることによって、獲得され得る。そしてそれは、異なる流れ抵抗がもたらされるように、流体隙間46cが増大ないし減少する。
【0031】
図5に示される実施例において、可動要素24cは、その中央軸を中心に回転することができる、例えば、2つまたは幾つかの側面が平板化された球であり得る。さらに、可動要素24cは、永久的な磁性材料で形成され得る。その結果、図5の点線で示されるように、可動要素24cの直進運動60によって磁極片56および58間に移動されるときに、可動要素24cの回転運動が起こる。好ましくは、隙間46cの断面は、ポンプの揚水運動中、可動要素46cのポンプ出口の方向への移動により減少することができ、ポンプの給気運動中、ポンプ出口から離れる方向の移動により増加することができる。そしてそれは、動力学的な弁効果をもたらすことができる。
【0032】
図6aおよび6bは、図1aおよび1bに示される実施例の変更態様を示している発明のポンプのさらなる実施例を示す。そこにおいて、図1aおよび1bに関してすでに記載されている要素および機能に関する考察および説明は、省略される。
【0033】
図6aおよび6bの全体に示されるポンプ要素は、図1aおよび1bの実施例の1つに対応する、そこにおいて、図6aは、アイドル状態の2つのボール24および26を示し、図6bは、作動状態の2つのボール24および26を示す。図6aおよび6bに示される実施例において、ボールの位置を検知するための検知手段が設けられているという点で、駆動ユニット12aは図1aおよび1bを参照して説明されているものとは異なる。この検知手段は、検知コイル70と検出手段72とを含む。検出手段72は、制御手段44に統合され得るかまたは分離されて提供され得る。検出手段72は、検知コイル70に連結して、駆動コイル40に更に連結することができる。
【0034】
制御手段44または検出手段72は、例えば磁気交番磁界がそうである交番磁界が重畳される駆動コイル40によるような交流を送るために形成される。そして、その変化は、検知コイル70の電圧Uindを誘導する。この電圧は、ボール24および26の材料の透磁率に起因して、この電圧もまたポンプ要素のボールの位置への依存度において変化する。検出手段72は、電圧Uindを検出するために、また、ポンプ要素のボールの位置について結論を出すための同じことの変更を評価するために実行される。このように、ポンプ要素10のボール24および26の位置が決定され得る。その結果、ポンプ要素の位置および機能が監視され得る。このような実施例では、同じく位置する磁気ヨークおよび磁極片により電圧がコイル70に誘導されることによって示される測定信号を増幅することは可能である。
【0035】
有効な磁力の増加を許容しているアセンブリの実施例または測定信号の増加は、それぞれ、図7〜9を参照してさらに詳細に以下に説明される。
【0036】
図7〜8は、それぞれ、ポンプ室82、入口84および出口86が形成されるポンプ要素ハウジング80を示す。第1の可動ボール88および第2の可動ボール90は、ポンプ室82に配置されている。そして、それは第1のばね92および第2のばね94によって示された位置に付勢される。
【0037】
図7に示す実施例において、2つの別々の駆動ユニット102aおよび102bは、第1のボール88および第2のボール90のために提供される。文字「a」で示された駆動ユニット102aの特徴および文字「b」で示された駆動ユニット102bは、類似の構造が具備され得る。駆動ユニットは、ポンプ要素に反対に取り付け可能な方法で連結することができる駆動ユニットハウジングパーツ104aおよび104bを具備している。駆動ユニット102aは、1つまたは幾つかの駆動コイル106aと、1つまたは幾つかの、検知コイル108aを有する。駆動ユニット102bは、1つまたは幾つかの駆動コイル106bを有する。駆動ユニット102aは、制御手段44aおよび検出手段72を有する。駆動ユニット102bは、制御手段44bを有し、さらに、1つまたは幾つかの検知コイルおよび検出手段を任意に具備され得る。
【0038】
図7で分かるように、駆動コイル106aおよび108aは強磁性ヨーク110aの周りに巻回され、そして、駆動コイル106bは強磁性ヨーク110bの周りに巻回される。磁極片112aおよび114aは、強磁性ヨーク110aに取り付けられ、ボール88が作動状態にある磁極片112aおよび112b間に引かれるように、電磁流が導かれる。また、磁極片112bおよび114bは、ヨーク110bに取り付けられ、ボール90が作動状態にある磁極片112bおよび114b間に引かれるように、電磁流が導かれる。
【0039】
例えば、強磁性材料で形成され得るヨーク,磁極片、および、実施例のボール88,99で示された可動要素によって、有効な磁力を有意に増加させることができる磁気回路の一部となり得る。さらに、検知コイル108aにおいて誘導され、検出手段72によって検出される測定信号は、著しくより強くなり得る。
【0040】
ヨークおよび磁極片の実施構造は、それぞれ、ポンプ要素の設計によって決まる。ここで、注目すべきことは、実施例に示されるポンプ要素の幾何学的な設計が、単に、説明目的のための例となっているだけに過ぎない。さらに、入口および出口がいかなる適当な位置にも配置され得ることが注目されるべきであり、特に、図7および8の入口の具体的な位置は、単に図式的であり、もちろん、ポンプ室内に、流体、すなわち液体またはガスが流入することができるための適当な位置であり得る。
【0041】
図7に示された実施例の機能は、主として、図1aおよび1bを参照して、上記の実施例の機能に対応することができる。この点に関しては、ばね92および94のばね定数、電流を駆動コイル106aおよび106b(それによって、発生される磁界)に充満させることに関しての時間的制御、および/または、駆動コイル106aに印加される電流の量が、ボール90は、作動中、ボール88が示された位置から操作された位置まで移動する前に、入口84を閉塞することを効果的に実行するために、調整され得る。
【0042】
図8は、一般の駆動ユニットが第1のボール88および第2のボール90が備えられた駆動ユニットの実施例の概略図を示す。駆動ユニット120は、ポンプ要素に再び可逆的に接続することができる駆動ユニットハウジング122を有する。さらに、駆動ユニットは、上述した説明と同じように、1つまたは幾つかの駆動コイルおよび1つまたは幾つかの検知コイル108に接続することができるところの制御手段44および検出手段72を含む。駆動コイル106および検知コイル108は、図示するように、強磁性材料で形成されるヨーク110の周囲に巻回される。ヨーク110は、第1のボール88を作動するための電磁流を導くための第1の磁極片124,126と、第2のボール90を作動するための電磁流を導くための第2の磁極片128,130とを備えている。
【0043】
図8に示された実施例の機能に関しては、上記の図1a、1b、6aおよび6bに関しての説明に合わせて参照され得る。そこにおいて、さらに、磁力および測定信号の増加は、ヨーク110およびそこに取り付けられた磁極片によって得られ得る。
【0044】
ボール88および90を操作するための駆動ユニット140の別の実施例は、図9に示される。駆動ユニット140は、駆動ユニットハウジング142を含む。そこには、さらに、制御手段44、検出手段73、1つまたは幾つかの駆動コイル106、および、1つまたは幾つかの検知コイル108が配置される。図9に示された実施例で分かるように、本実施例において、駆動コイル106および検知コイル108は、磁極片124,126,128および130の間に配置されているヨーク144に設けられている。このように、図9に示された実施例では、可逆性の方法でポンプ要素ハウジングに再び連結することができる駆動装置のまさしくコンパクト構造を可能にしている。
【0045】
図10は、別の実施例に従ってポンプ要素150を示す。ポンプ要素150は、ポンプ要素ハウジング152を含み、ポンプ要素ハウジング152には、ポンプ室154、入口156および出口158が形成されている。さらに、ポンプ要素150は、第1のボール160、第2のボール162、第1のばね164および第2のばね166を備えている。ばね止め168は、ばね164,166間に配置される。ばね164および166は、図10に示される位置に、ボール160および162を付勢している。
【0046】
それぞれの駆動装置(図示せず)を用いて、ボール160は、出口158を開いて、当該ボールが通り過ぎた流体を移送するために、ばね164の力に逆らって出口158から遠ざけられ得る。その一方で、入口156はボール162によって閉じられる。駆動ユニットにとって、磁極片がボール160から入口156の方向にわずかに移動されて提供され得る。磁力を止めた後で、ばね164がボールを図10に示された元の位置に駆動し、流体が出口158に吐出される。ばね166と共に、ボール162は、入口156を介して流体の逆流を可能にする逆止弁を形成する。ばね166、ボール162および入口156上のシールシートは、お互いに整合され得る。このことにより通過方向に速やかに開くように逆止め弁が構成され、ポンプの揚水運動において、ボール160は、出口158に向いた状態にあり、また、給気運動において、遮断する方向に速やかに閉じる。
【0047】
このように、図10に示された実施例において、ばね164は、ボール160と共にポンプの駆動部を形成する。そこにおいて、磁気駆動がオフにされる限り、すなわち、システムがアイドル状態にある限り、出口158が要素160によって確実に封止されるように、ばね164、ボール160の密封シート、ポンプハウジング152ないし出口158は、それぞれ、整合され得る。この構造によって、入口156への出口158からの逆流と同様に、出口158を経由して入口156からのアイドル状態での流れは、効果的に防止されることができる。
【0048】
図10による実施例において、ばね164および166は切り離され、固定式の止め168によって支持される。2つのばねの力は、主に、それぞれ、ボール160およびばね止め168間の、または、ボール162およびばね止め168間の距離から決定され、このようにして、お互いに完全に切り離される。
【0049】
ボール160が出口158に向かうポンピング動作にあるとき、入口156の開口を支持するために、付加的な磁気駆動部はボール162のために提供され得る。そしてそれはボール160のための磁気駆動部から独立している制御となり得る。
【0050】
要約すると、この発明の実施例は、第1のハウジング、入口、出口および第2のハウジングを有する流体用ポンプを提供する。そしてそれは、着脱可能な方法で第1のハウジングに機械的に接続され得る。第1のハウジングは、第1の可動要素および少なくとも第1のばねを含み得る。そこにおいて、第1のばねは、出口を封止している位に第1の可動要素を定める。ハウジングは、第2の可動要素および少なくとも1つのばねを含み得る。そこにおいて、第2のばねは、入口を開放している位置に第2の可動要素を定める。第2のハウジングは、少なくとも1つのコイル、強磁性コアおよび制御手段を含み得る。そしてそれは、磁界およびそのような可動要素を生む可動要素は、ばねの有効な力に対抗している第2の位置において定められる。そこにおいて、入口は第2の可動要素によって封止され、そして、出口は第1の可動要素によって開放される。磁力を切った後に、第1のハウジングに含まれる流体が出口から少なくとも部分的に排出できるように、可動要素はばねによってアイドル状態にする位置に戻され得る。
【0051】
上述の通り、この発明の実施例は、2つの可動要素を含む。この発明の実施例では、両方の可動要素は、駆動ユニットによって作動され得る。別の実施例では、第1の可動要素だけが駆動ユニットによって駆動され得る。その一方で、他の可動要素は、逆止弁として効果的でありえて、単に流入している流体によって実質的に駆動されるだけである。可動要素を使用しているこの種の逆止弁に代わるものとして、例えば、図10を参照して、入口には、従来の逆止弁、例えばフラップ弁も提供され得る。そしてそれは、第1の可動要素のポンピング動作中、入口を開いて、流体が第1の可動要素を過ぎて移送される移送動作の間、入口を閉める。さらに、別の方法として、第1の可動要素から入口を通る流れ抵抗が、第1の可動要素とポンプ要素ハウジングの内壁との間の流れ抵抗よりも高い限り、その場合、まだ、出口による正味のポンプ効果が遂行され得るので、入口は、弁を備えていなければならない必要は全くない。
【0052】
都合のよいことに、ポンプ要素ハウジングのハウジング部分は、プラスチックで形成することができ、例えば、射出成形方法で製造され得る。しかしながら、ハウジング部分は、他の適切な材料、例えば半導体またはセラミック材料または非強磁性金属を用いたマイクロ構造化方法を用いて製造され得る。可動要素は、強磁性、軟磁性または永久磁性材料の中で、都合よく実施され得る。
【0053】
この発明の実施例において、第1の可動要素は、永続的な磁性でありえて、磁気双極子として実施されうる。そこにおいて、駆動ユニットによって発生する外部磁界を適用するときに、可動要素が直進運動に加えて、回転運動を実行するように、磁気双極子の磁軸は正しい位置に置かれる。そこにおいて、第1の可動要素は、その流体効果的な幾何学形状が弁という意味に変えられるように、ポンプ要素ハウジングにおいて位置決めされる。そして、そのことは図5を参照して上で述べられた。
【0054】
この発明の記載されている実施例は、ボールまたはピストン形状を備えるところの可動要素を有する。しかしながら、可動要素は、それぞれのポンプ要素ハウジングと関連して記載されている機能を提供するいかなる形状も有することができることは、明らかである。
【0055】
図4を参照して述べられたように、さらなる密封要素は可動要素に取り付けられ得る。そして、それは弾性材料で形成することができ、可動要素の可動方向に基づいて、その流体の効果的な幾何学形状に変化する。そこにおいて、可動要素は、密封要素と関連して弁膜機能を有する。そして、それの助けを借りて、ポンプの動作中、可動要素およびポンプ要素ハウジング間の流路に逆流する流体の量に対する吐出された流体の量の比率が増加され得る。
【0056】
この発明の実施例において、その位置の第1の可動要素、および/または、第3の位置の第2の可動要素を付勢しているばねは、いかなる適切な材料、例えば非磁性非鉄金属でも形成され得る。この発明の実施例において、異なるポンプ要素ハウジングに配置され得るように、駆動ユニットは、別々のハウジングに形成される。その結果、数種類のポンプは、1つの駆動ユニットで制御することができる。
【0057】
この発明の実施例において、ポンプの吐出量は、ポンプが作動している間ずっと、ポンプ周波数を変えることによって、あるいは、第1の可動要素のポンプ・ストロークを変化させることによって、調整され得る。この発明の実施例において、ポンプ周波数は、電流が制御手段により駆動コイルに印加されることによって調整され得る。この発明の実施例では、印加された電流を変えてこのように発生する磁力を変えることによって、第1の可動要素のポンプ・ストロークが変更され得る。この発明の実施例によれば、吐出量は、例えばあらかじめポンプの設計の期間に、ばねのバイアスFvorを変化させるのと同様に、第1の可動要素およびポンプ要素ハウジング間のギャップを変化させることによって、さらに調整され得る。
【0058】
この発明の実施例では、規定量の流体がポンプ・ストロークによってポンプで注入され得る。所望の用量を得るために、必要な数のポンプ・ストロークがそれぞれ計数され、実行され得る。図7〜9を参照して上記に説明したように、電磁流は、特に、その上に磁極片が配設された強磁性ヨークを介して、可動要素に導かれ得る。それに優って、ボールによる電磁流量は、特に、可動要素の運動領域のポンプハウジングの横断面を変化させることによって、調整され得る。
【0059】
この発明の実施例では、磁気駆動部は、2つの実質的に同一のユニットの中で実施され得る。そこにおいて、あらゆるユニットは、それ自身の制御手段を備えていて、このように、個々に可動要素のそれぞれの一つを制御することが可能である。代わりの実施例では、磁気駆動部がユニットで構成することができ、そこにおいて電磁流は、強磁性ヨークおよび磁極片を介して、両方の可動要素に同時に通過する。他の別の実施例では、磁気駆動部が1つのユニットで構成することができ、そこにおいて、強磁性ヨークは、その上に配設された磁極片を有する2つの部材で実施される。そこにおいて、駆動コイルは、2つの可動要素間の領域のヨークに配設される。
【0060】
最後に、図6aおよび6bを参照して上記に説明したように、この発明の実施例では、駆動ユニットを含む第2のハウジングが、さらなるコイルおよび検出手段を備え得る。そこにおいて、磁気交番磁界は、駆動コイルに重畳され、それはさらなるコイルの電圧を誘導する。そして、それは検出手段によって測定されて、評価される。そこにおいて、さらなるコイルの誘導された電圧は、ポンプ要素ハウジングの可動要素の位置に左右され、そして、検出手段は、可動要素の位置を測定することができ、このように当該位置およびポンプの機能を測定することができる。
【0061】
記載されている実施例では、第1の可動要素が出口を閉鎖すると同時に、同じことが第1の位置にあるときに、別の実施例では、第1の可動要素が第1の位置にあるときに、出口は完全に閉じないかもしれない。それでもやはり、掛け値なしのポンプ効果が獲得され得る。
【0062】
記載されている磁気駆動部はさておき、別の実施例では、例えば静電駆動または空圧駆動などの他の駆動部が、可動要素のために用いられ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ室(18、82、154)を定めているポンプ要素ハウジング(14、14a、14c、80、152)、
前記ポンプ室への入口(20、84、156)、
前記ポンプ室からの出口(22、86、158)、および
前記ポンプ室において第1と第2の位置の間で可動となる第1の可動要素(24、24a、24b、24c、88、160)を含み、
前記第1と前記第2の位置の間で前記第1の可動要素の往復運動中に、前記出口による正味の流れが起こるように、前記第1から前記第2の位置の方向への前記第1の可動要素の移動の間、前記入口による前記第1の可動要素からの流路(46、46a、46b、46c)の流れ抵抗は、前記ポンプ要素ハウジングと前記第1の可動要素の間の流路の流れ抵抗よりも高くなり、さらに、
前記第2の位置から前記第1の位置の方向への前記第1の可動要素の移動の間、前記出口による前記第1の可動要素からの流路の流れ抵抗は、前記ポンプ要素ハウジングと前記第1の可動要素の間の流路の流れ抵抗より小さくなる、ポンプ要素(10、150)。
【請求項2】
前記ポンプ要素ハウジング(14、14a、14b、14c、18、152)は、前記第1および前記第2の位置間の前記第1の可動要素(24、24a、24b、24c、88、160)の移動のための通路(46、46a、46b、46c)の決定に貢献する少なくとも1つの内側ポンプ室壁を有し、前記ポンプ要素ハウジングと前記第1の可動要素の間の流路の流れ抵抗は、前記内側ポンプ室壁および前記第1の可動要素の横断面によって決定される、請求項1に記載のポンプ要素(10、150)。
【請求項3】
前記第1の可動要素(24、24a、24b、24c、88、160)は、前記第1の位置にある前記出口を閉鎖する、請求項1または2に記載のポンプ要素。
【請求項4】
第2の可動要素を具備し、前記第2の可動要素によって、前記入口を経由して第1の可動要素から流路の流れ抵抗が変更され得る、請求項1〜請求項3の内の1つに記載のポンプ要素。
【請求項5】
前記ポンプ室ハウジング(14、80)は、前記第2の可動要素(26、80)の移動のための通路の決定に貢献し、前記第2の可動要素が第3の位置にあるとき、前記入口によって前記第1の可動要素の流路の流れ抵抗は、前記第2の可動要素が第4の位置にあるときよりも小さい、請求項4に記載のポンプ要素。
【請求項6】
前記第2の可動要素(26、80)は、第4の位置にあるとき、入口(20、84)を閉鎖する、請求項5に記載のポンプ要素。
【請求項7】
前記第1の位置に前記第1の可動要素(24、24a、24b、24c、88、160)を付勢するばね力を備えた第1のばね(28、92、164)を具備する、請求項1〜請求項6の内の1つに記載のポンプ要素。
【請求項8】
前記第3の位置に前記第2の可動要素(26、80、162)を付勢するばね力を備えたばね(30、94、166)を具備する、請求項4〜請求項6の内の1つに記載のポンプ要素。
【請求項9】
前記第1の位置に前記第1の可動要素(24、24a、24b、24c、88、160)を付勢するばね力を備えた第1のばね(28、92、164)、および、前記第3の位置に前記第2の可動要素(26、80、162)を付勢するばね力を備えた第2のばね(30、94、166)を具備する、請求項4〜請求項6の内の1つに記載のポンプ要素。
【請求項10】
前記第2のばね(30、94、166)は、前記第1のばねよりも柔らかい、請求項9に記載のポンプ要素。
【請求項11】
前記第1のばね(28、92)は、前記第1の可動要素(24、88)と前記第2の可動要素(26、90)との間に配置される、請求項9または請求項10に記載のポンプ要素。
【請求項12】
前記第1のばね(164)および前記第2のばね(166)は、前記第1の可動要素(160)と前記第2の可動要素(162)との間に配置され、さらに、ばね止め(168)が前記第1のばね(164)および前記第2のばね(166)間に配置される、請求項9または請求項10に記載のポンプ要素。
【請求項13】
前記第1の可動要素および/または前記第2の可動要素は、強磁性、軟磁性または永久磁性の磁性物質を含む、請求項1〜請求項12の内の1つに記載のポンプ要素。
【請求項14】
前記ポンプ要素ハウジング(14、14a、14b、14c、80、152)は、プラスチックを含む、請求項1〜請求項13の内の1つに記載のポンプ要素。
【請求項15】
前記第1の位置から前記第2の位置の方向への前記第1の可動要素の移動中、前記ポンプ要素ハウジング(14b、14c)と前記第1の可動要素(24b、24c)との間の流路(46b、46c)の流れ抵抗は、前記第2から前記第1への前記第1の可動要素の移動中よりも小さい、請求項1〜請求項14の内の1つに記載のポンプ要素。
【請求項16】
前記第1の可動要素(24c)は、第1の位置および第2の位置を有し、前記ポンプ要素ハウジング(14c)と前記第1の可動要素(24c)との間の前記流路の流れ抵抗は、前記第1の位置においての方が、前記第2の位置においてよりも小さい、請求項15に記載のポンプ要素。
【請求項17】
前記第1の可動要素(24c)は、磁気双極子を有する、請求項16に記載のポンプ要素。
【請求項18】
前記第1の可動要素(24b)は、可撓性のある密封要素を有し、前記密封要素は、前記第1の位置から前記第2の位置までの移動の間の第1の可撓性、および、前記第2の位置から前記第1の位置までの移動の間で、前記第1の可撓性よりも低い第2の可撓性を提供する、請求項15に記載のポンプ要素。
【請求項19】
前記第1の可動要素(24、88、160)および/または前記第2の可動要素(26、80、162)は、ボールである、請求項1〜請求項18に記載のポンプ要素。
【請求項20】
入口(20、84、156)および出口(22、86、158)を有するポンプ室(18、82、154)を規定しているポンプ要素ハウジング(14、14a、14b、14c、80、152)、
前記ポンプ室の第1の位置と第2の位置の間で移動可動となり、前記第1の位置にあるときに前記出口が閉鎖される第1の可動要素(24、24a、24b、24c、88、160)、
前記ポンプ室の第3と第4の位置の間で移動可動な第2の可動要素(26、80、162)、
前記第1の位置に前記第1の可動要素を付勢している第1のばね(28、92、164)、および
前記第3の位置に前記第2の可動要素を付勢している第2のばね(30、94、166)を含み、
前記第1と前記第2の位置の間の前記第1の可動要素の往復運動中に、さらに、前記第3と前記第4の位置の間の前記第2の可動要素の往復運動中に、前記出口を通じて正味の流れが起こる、ポンプ要素。
【請求項21】
前記第2のばね(30、94、166)は、前記第1のばねよりも柔らかい、請求項20に記載のポンプ要素。
【請求項22】
前記第2の可動要素(26、90)が前記第4の位置にあるとき、前記入口(20、84)が閉鎖される、請求項20または請求項21に記載のポンプ要素。
【請求項23】
前記第2の可動要素(26、90)が前記第4の位置にあるとき、前記入口(20、84)が閉鎖される、請求項20または請求項22の内の1つに記載のポンプ要素。
【請求項24】
前記第1のばね(28、92)は、前記第1および前記第2の可動要素間に配置される、請求項20〜請求項23の内の1つに記載のポンプ要素。
【請求項25】
前記第1および第2のばね(164、166)は、前記第1および前記第2の可動要素(160、162)間に配置され、さらに、前記第1および第2のばね間にばね止め(168)が配置される、請求項20〜請求項23の内の1つに記載のポンプ要素。
【請求項26】
前記第2の可動要素(162)が前記第3の位置にあるとき、前記入口(162)は開放され、さらに、前記第2の可動要素(162)が前記第4の位置にあるとき、前記入口(156)は開放される、請求項25に記載のポンプ要素。
【請求項27】
請求項1〜請求項26の内の1つに記載のポンプ要素(10、150)および駆動ユニット(12、12a、102a、102b、120、140)を具備するポンプであって、前記ポンプ要素および前記駆動ユニットは、前記第1の位置から前記第2の位置に前記第1の可動要素を駆動するために、および/または、前記第3の位置から前記第4の位置に前記第2の可動要素を駆動するために、前記ポンプに実装される。
【請求項28】
前記駆動ユニット(12、12a、102a、102b、120、140)および前記ポンプ要素(10、150)は、別々に構築され、そして、可逆性の方法でお互いに連結され得る、請求項27に記載のポンプ。
【請求項29】
前記駆動ユニット(12、12a、102a、102b、120、140)および前記ポンプ要素(10、150)は、ポンプが作動中に流体と接触しないようポンプを使用するために実装される、請求項28に記載のポンプ。
【請求項30】
前記駆動ユニット(12、12a、102a、102b、120、140)は、前記第1の可動要素(24、24a、24b、24c、88、160)が前記第2の位置へ駆動されることによって、および/または、前記第2の可動要素(26、80、162)が前記第4の位置へ駆動されることによって、磁界を発生させるためのデバイスを含む、請求項27〜請求項29に記載のポンプ
【請求項31】
磁界を発生させるための前記デバイスは、
前記第1の可動要素(88)が前記第2の位置に駆動されることによって、磁界を発生させる第1のデバイス(106a)、および
前記第2の可動要素が前記第4の位置に駆動されることによって、磁界を発生させる第2のデバイス(106b)を含み、
磁界を発生させるための前記第1および前記第2のデバイスは、別々に制御される、請求項30に記載のポンプ。
【請求項32】
前記駆動ユニット(102a、102b、120、140)は、特に発生された磁界を導くか、あるいは、前記第2および/または第4の位置と磁極片との間に可動要素(88、90)を持ってくるために実装されるところの1つまたは幾つかのヨーク(110、110a、110b)および磁極片(112a、112b、114a、114b、124、130)を有する、請求項30または請求項31に記載のポンプ。
【請求項33】
前記駆動ユニットは、1つまたは幾つかの磁界を発生させるための1つまたは幾つかのコイルを有する、請求項27〜請求項32の内の1つに記載のポンプ。
【請求項34】
前記第1および前記第2の可動要素の位置を検出するためのデバイス(70、72、108、108a、108b)をさらに含む、請求項27〜請求項33の内の1つに記載のポンプ。
【請求項35】
前記駆動ユニットは、磁界を発生させるための少なくとも1つのコイルを有し、
前記第1および/または前記第2の可動要素の位置を検出するための前記デバイスは、前記第1および/または前記第2の可動要素の位置に依存するところの少なくとも1つの検知コイル(70、108、108a、108b)を有し、
前記コイルによって発生された磁気交番磁界は、前記検知コイルに電圧を誘導する、請求項34に記載のポンプ。
【請求項36】
請求項27〜請求項35の内の1つに記載のポンプの吐出量を調整するための方法であって、
前記ポンプの吐出量を調整する方法は、
第1の可動要素と存在しているときの第2の可動要素が前後に移動される回数を調整するステップ、
前記第1および前記第2の位置間の前記第1の可動要素の移動ストロークを調整するステップ、
前記第1の可動要素および前記ポンプ要素ハウジング間の流れ抵抗を調整するステップ、および
前記第1の位置に前記第1の可動要素を付勢しているばねバイアス、および/または、前記第3の位置に前記第2の可動要素を付勢しているばねバイアスを変更するステップ、
の少なくとも1つを含む、方法。
【請求項37】
請求項27〜請求項35の内の1つに記載のポンプを作動する方法であって、
前記可動要素の往復運動の間中、流体の既知量は前記出口から吐出され、出口を介して、確定された用量を出力するために、前記第1の可動要素の多くの往復運動が計数される、方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−541647(P2009−541647A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516917(P2009−516917)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002689
【国際公開番号】WO2008/003359
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(500342075)ハーン−シッカート−ゲゼルシャフト フュア アンゲヴァンテ フォルシュンク エー ファウ (3)
【Fターム(参考)】