説明

マイクロカプセル化された触媒−配位子系、その調製方法および使用方法

マイクロカプセル化触媒−配位子系は、触媒および/または配位子を第1相(たとえば有機相)中に溶解または分散させ、第1相を第2の連続相(たとえば水相)中に分散させてエマルジョンを形成させ、分散された第1相と連続第2相との間の界面で1以上のマイクロカプセル壁形成物質を反応させて、分散された第1相核を封入するマイクロカプセルポリマーシェルを形成させ、第1相が触媒もしくは配位子だけを含む場合には、マイクロカプセルを触媒−配位子系の残りの配位子もしくは触媒成分で処理することにより調製される。触媒は好ましくは遷移金属触媒であり、配位子は好ましくは有機配位子である。 カプセル化触媒−配位子系は慣用の触媒反応に用いることができる。カプセル化触媒−配位子系は、反応媒体から回収され、リサイクルされてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒、触媒を調製する方法、特にマイクロカプセル化された触媒を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許公開パンフレットWO03/006151は、カプセル化された触媒系およびこれらのカプセル化された触媒の調製方法を記載する。国際特許公開パンフレットWO03/006151に記載されている1の特定の系は、カップリング反応における使用が見出されているパラジウム系のカプセル化触媒を考慮する。これらのパラジウム系のカプセル化触媒は、酢酸パラジウムのマイクロカプセル化によって最も頻繁に誘導される。最近、配位子の存在下で金属触媒のマイクロカプセル化を行うことによって、カプセル化プロセス中に金属触媒損失が改善され得ることが知見されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第1の側面によれば、触媒および配位子の存在下での界面重合によりマイクロカプセルシェルを形成することを含む、マイクロカプセル化された触媒−配位子系の調製プロセスが提供される。
【0004】
触媒は、無機触媒であり、特に遷移金属触媒であることが好ましい。本明細書で用いられる用語「遷移金属触媒」とは、(a)通常は微細に分割された形態もしくはコロイド状である遷移金属自身、(b)遷移金属の錯体または(c)遷移金属を含む化合物を含む。所望により、触媒に対する前駆体はポリマーマイクロカプセルシェル内でマイクロカプセル化され、続いてたとえば加熱により触媒に変換されてもよい。よって、用語「触媒」は、触媒前駆体をも含む。
【0005】
本発明で使用するための触媒が基礎とする好ましい遷移金属としては、白金、パラジウム、オスミウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、スカンジウム、セリウム、サマリウム、イットリウム、イットリビウム、ルテチウム、コバルト、チタン、クロム、銅、鉄、ニッケル、マンガン、スズ、水銀、銀、金、亜鉛、バナジウム、タングステンおよびモリブデンを挙げることができる。本発明で使用する触媒が基礎とする高度に好ましい遷移金属としては、オスミウム、ルテニウム、ロジウム、チタン、バナジウムおよびクロム、特にパラジウムを挙げることができる。空気感応性触媒は、空気を含まないための慣用の技術を用いて取り扱うことができる。
【0006】
種々の形態でのパラジウムは、本発明によりマイクロカプセル化することができ、広範囲の反応用の触媒として有用である。
好ましくは、パラジウムは有機溶媒可溶性形態で直接使用され、最も好ましくは酢酸パラジウムである。よって、たとえば酢酸パラジウムは炭化水素溶媒もしくは塩素化炭化水素溶媒などの適切な溶媒中に懸濁またはより好ましくは溶解されていてもよく、得られる溶液は本発明に従ってマイクロカプセル化され得る。クロロホルムは、酢酸パラジウムのマイクロカプセル化に使用するために好ましい溶媒である。
【0007】
文献によれば、酢酸パラジウムは熱の作用下で金属まで分解する。パラジウムが金属形態で存在するか、酢酸パラジウムとして残るかは現在のところ知られていないが、酢酸パラジウムから誘導される本発明の触媒は有効であることが立証されている。
【0008】
配位子は有機配位子であることが好ましい。有機配位子は、典型的には、触媒の金属原子に配位することができる少なくとも1の官能基またはヘテロ原子を含む有機部位を含む。有機配位子は、単官能性、二官能性および多官能性配位子を含む。単官能性配位子は、金属に配位することができるただ1個の官能基またはヘテロ原子を含む。二官能性配位子または多官能性配位子は、金属に配位することができる1個以上の官能基またはヘテロ原子を含む。
【0009】
好ましくは、有機配位子は有機溶媒中に可溶性である。
好ましくは、有機配位子はN、O、PおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を含む有機部位である。
【0010】
より好ましくは、有機配位子は1個以上のP原子を含む有機部位である。
式(1)の有機配位子が非常に好ましい。
【0011】
【化1】

【0012】
式中、
R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、場合によっては置換されているヒドロカルビル基、場合によっては置換されているヒドロカルビルオキシ基もしくは場合によっては置換されている複素環基またはR1およびR2、R1およびR3、R2およびR3の1種以上は場合によっては置換されている1又は複数の環を形成するような態様で場合によっては結合されている。
【0013】
R1-3によって表され得るヒドロカルビル基は独立に、アルキル基、アルケニル基およびアリール基及びアラルキル基およびアルカリル基、たとえばベンジル基などのこれらの任意の組み合わせを含む。
【0014】
R1-3によって表され得るアルキル基は、20個以下の炭素原子、特に1〜7個の炭素原子、好ましくは1〜5個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキル基を含む。アルキル基が枝分かれしている場合、アルキル基はしばしば10個以下の分枝鎖炭素原子、好ましくは4個以下の分枝鎖原子を含む。いくつかの実施形態において、アルキル基は環式であってもよく、通常は最大の環に3〜10個の炭素原子を含んでいてもよく、場合によっては1個以上の架橋環を特徴としてもよい。R1-3によって表され得るアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、2-プロピル基、ブチル基、2-ブチル基、t-ブチルおよびシクロヘキシル基を挙げることができる。
【0015】
R1-3によって表され得るアルケニル基は、C2-20アルケニル基、好ましくはC2-6アルケニル基を含む。1以上の炭素−炭素二重結合が存在していてもよい。アルケニル基は、1以上の置換基、特にフェニル置換基を有していてもよい。アルケニル基の例としては、ビニル基、スチリル基およびインデニル基を挙げることができる。
【0016】
R1-3によって表され得るアリール基は、1環または2以上の縮合環を含んでいてもよく、シクロアルキル環、アリール環または複素環を挙げることができる。R1-3によって表され得るアリール基の例としては、フェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、アニシル基、ナフチル基およびフェロセニル基を挙げることができる。
【0017】
R1-3によって表され得る複素環基は、独立に、芳香族環系、飽和環系および部分不飽和環系を含み、シクロアルキル環、アリール環または複素環を含み得る1環または2以上の縮合環を構成してもよい。複素環基は、少なくとも1の複素環を含み、最大の複素環は、通常3〜7環原子を含み、そのうち少なくとも1の原子は炭素であり、少なくとも1はN、O、SまたはPのいずれかである。R1-3によって表され得る複素環基の例としては、ピリジル基、ピリミジル基、ピロリル基、チオフェニル基、フラニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、イミダゾイル基およびトリアゾイル基を挙げることができる。
【0018】
任意のR1-3が置換ヒドロカルビル基または複素環基である場合、置換基は、触媒の活性に不利な影響を与えないように選択されるべきである。任意の置換基としては、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、アシル基、ヒドロカルビル基、過ハロゲン化ヒドロカルビル基、複素環基、ヒドロカルビルオキシ基、モノもしくはジ−ヒドロカルビルアミノ基、ヒドロカルビルチオ基、エステル基、カルボキシレート基、カーボネート基、アミド基、スルホネート基、スルホニル基およびスルホンアミド基を挙げることができ、ヒドロカルビル基は上記R1について規定したとおりである。1以上の置換基が存在していてもよく、任意のR1、R2またはR3が過ハロゲン化ヒドロカルビル基である場合を挙げることができる。R1-3によって表され得る過ハロゲン化アルキル基の例としては-CF3および-C2F5を挙げることができる。
【0019】
任意のR1とR2、R1とR3、R2とR3は、これらが付くリン原子と一緒になって環を形成するように結合する。これらの環は5、6または7員環であることが好ましい。
式(1)のリン系配位子の例としては、PMe2CF3、P(OEt)3、P(Et)3、P(Bu)3、P(シクロヘキシル)3、PPhEt2、PPh2Me、PPh3、P(CH2Ph)3、P(CH2Ph)Ph2、P(p-トリル)3、P(o-C6H4OMe)3、P(OPh)3、P(O-p-トリル)3、P(p-C6H4OMe)3、P(o-トリル)3、P(m-トリル)3、PMe3、PPhMe2、PPh2Et、P(i-Pr)3、P(t-Bu)3、PPhCH2Ph、PPh2OEt、PPh(OEt)2、P(O-o-トリル)3、P(OMe)3、P(n-Pr)3、PPh(i-Pr)2、PPh2(i-Pr)、PPhBu2、PPh2Bu、P(i-Bu)3、PPh(シクロヘキシル)2、PPh2(シクロヘキシル)、P(CH2Ph)2Et、P(CH2Ph)Et2、P(C6F5)Ph2、P(p-C6H4F)3、P(p-C6H4Cl)3、P(C6F5)2Ph、P(o-C6H4F)3、P(o-C6H4Cl)3、P(2-フラニル)3、P(2-チエニル)3、P(n-オクチル)3、P(p-C6H4NO2)3
【0020】
【化2】

(式中、Cy = シクロヘキシル)
を挙げることができる。
【0021】
好ましくは、有機配位子は、触媒の特性に不利な影響を与えないように選択される。より好ましくは、有機配位子は、触媒活性を増強するように選択される。たとえば、クロスカップリングはホスフィン類を伝統的に用い、より電子が豊富な配位子ほど通常は活性が良好である。しかし、電子が豊富な配位子は、空気感応性が高くなる傾向にある。高められた活性と高められた空気感応性とを釣り合わせる良好な折衷策は、たとえばトリ(tert-ブチル)ホスフィン(phoshine)(2)にあるように3個の嵩高いアルキル基を組み入れること、又はたとえばalaphos (3)にあるようにトリアリールホスフィン(phoshine)部位の先端に追加の供与基を位置づけること、又はたとえば(4)にあるようにこれらのアプローチの組み合わせのいずれかである。
【0022】
【化3】

【0023】
配位子もまた、触媒が強めるために適合する反応に基づいて選択され得る。たとえば、配位子(2)は、触媒がStille、Suzuki、Sonogashira and Negishi反応用である場合に適切であり得る。配位子(3)は、触媒がアルキニル−グリニャール試薬のカップリング用である場合に適切であり得る。配位子(4)は、触媒がSuzukiカップリング反応およびC-N結合形成反応用である場合に適切であり得る。トリアルキルホスファイト(亜リン酸トリアルキル)は、触媒が芳香族クロリドおよびブロミドのSuzukiカップリング用である場合に適切であり得る。近年、イミダゾリウム塩(5)などの空気中で安定で水に耐性を有する複素環カルベンがリンを含まないリンフリー(phosphorous free)配位子クラスとして開発されており、触媒がグリニャール試薬、アルキルトリメトキシシラン類、オルガノスタンナン(organostannane)類およびオルガノボラン(organoborane)類のカップリング用である場合に適切であり得る。触媒がSuzukiカップリング用である場合に適切であり得る別のリンを含まないリンフリー(phoshorus free)配位子クラスは、2,3-ジアザ-1-3-ブタジエン類である。
【0024】
クロスカップリング反応が議論されている最近の要約(summary)「Metal-Catalysed Cross Coupling reactions; Diedrich, F.; Stang, P.J., Eds.; Wiley-VCH: Weinheim, 1998」(本明細書中に参照として援用する)は、触媒活性を増強する配位子の選択に有用なガイドを与える。
【0025】
1以上の配位子および/または1以上の触媒を本発明のプロセスにおいて用いることができることは理解されたい。多数の配位子および/または多数の触媒が用いられる場合、それぞれ独立に、同一または同様の反応タイプを増強もしくは触媒する能力、または異なる反応タイプを増強もしくは触媒する能力に関して選択され得る。
【0026】
種々のタイプの界面重合技術があるが、すべて、エマルジョン系中の分散相および連続相の界面における反応を含む。典型的には、分散相は油相であり、連続相は水相であるが、連続油相および分散水相の界面での界面での重合反応もまた可能である。よって、たとえば、油相または有機相は、水および界面活性剤を含有する連続水相中に分散する。有機相は、乳化によって水相中に個別の滴として分散され、個別の有機相滴と周囲の連続水相溶液との間に界面が形成される。この界面での重合は分散相滴を取り巻くマイクロカプセルシェルを形成する。
【0027】
界面縮重合マイクロカプセル化プロセスの一つのタイプにおいて、油および水相中に含まれるモノマー類は、それぞれ油/水界面で一緒になり、縮合により反応してマイクロカプセル壁を形成する。別のタイプの重合反応、その場(in situ)界面縮重合反応において、壁形成モノマー類のすべては油相中に含まれている。壁形成物質のその場(In situ)縮合および有機相−水相界面でのポリマーの硬化は、エマルジョンを約20℃〜約100℃の間の温度まで加熱し、場合によってはpHを調整することにより開始されてもよい。有機核物質を封入する固体透過性ポリマーシェルからなるカプセルまで有機滴を変換するプレポリマーのその場(in situ)縮合を実質的に完了させるに十分な時間にわたり、加熱する。
【0028】
その場(in situ)縮合により調製され、公知であるマイクロカプセルの一つのタイプは、米国特許4,956,129号明細書および同5,332,584号明細書に例示されている。これらのマイクロカプセルは、通常は「アミノプラスト」マイクロカプセルと呼ばれるが、メチロール基の約50〜約98%がC4-C10アルコール(好ましくはn-ブタノール)でエーテル化されているエーテル化ウレア−ホルムアルデヒド樹脂またはプレポリマーの自己縮合および/または架橋結合により調製される。プレポリマーは、油/水エマルジョンの有機相に添加されるか又は含有されている。プレポリマーの自己縮合は、低pHでの熱の作用下で任意に生じる。マイクロカプセルを形成するために、2相エマルジョンの温度は、約20℃〜約90℃の値、好ましくは約40℃〜約90℃の値、最も好ましくは約40℃〜約60℃の値まで上昇させる。系に応じて、pH値は適切なレベルまで調整することができる。本発明のために、約1.5〜3のpHが適切である:
【0029】
【化4】

【0030】
米国特許4,285,720号明細書に記載されているように、本発明において使用するに最も適するプレポリマーは、有機相中への高溶解性および水中への低溶解性を有する部分エーテル化ウレア−ホルムアルデヒドプレポリマーである。エーテル化ウレア−ホルムアルデヒドプレポリマーは、アルコール中またはアルコールとキシレンの混合物中で商業的に入手可能である。好ましい商業的に入手可能なプレポリマーの例としては、BIP製のBeetleエーテル化ウレア樹脂(たとえば、BE607、BE610、BE660、BE676)またはDyno CyanamidからのDynomin N-ブチル化ウレア樹脂(たとえば、Dynomin UB-24-BX、UB-90-BXなど)を挙げることができる。
【0031】
マイクロカプセル形成を増強し得る酸重合触媒は、水相または有機相のいずれかに位置づけることができる。酸重合触媒は有機相にプロトンを引きつけるように作用するので、核物質が疎水性過ぎる場合に一般に用いられる。有機相に対して高い親和性を有する任意の水溶性酸重合触媒を用いることができる。カルボン酸およびスルホン酸が特に有用である。
【0032】
米国特許4,285,720号明細書に例示されているような、その場(in situ)縮合により調整され従来見出されているマイクロカプセルの別のタイプは、壁形成物質としてポリメチレンポリフェニレンイソシアネート(PMPPI)および/またはトリレンジイソシアネート(TDI)などの少なくとも1のポリイソシアネートを使用するポリウレアマイクロカプセルである。ポリウレアマイクロカプセルの創製において、壁形成反応は、界面でイソシアネート基の一定の割合が加水分解してアミン類を形成し、次いでアミン類が加水分解されていないイソシアネート基と反応してポリウレアマイクロカプセル壁を形成する高められた温度までエマルジョンを加熱することにより、一般に開始する。イソシアネートモノマーの加水分解中、二酸化炭素が放出される。連続液相、すなわち水相内での有機相の滴を確立する分散が達成されると、他の反応物質の追加は不要である。その後、好ましくは分散を緩やかに撹拌しながら、連続液相を加熱することにより、またはイソシアネート加水分解の速度を上昇させ得るアルキル錫または3級アミンなどの重合触媒を導入することにより、ポリウレアマイクロカプセルの形成が引き起こされ得る。
【0033】
有機相の量は、反応容器中に存在する水相の約1vol%〜約75vol%で変動し得る。有機相の好ましい量は、約10vol%〜約50vol%である。このプロセスで用いられる有機ポリイソシアネートは、芳香族および脂肪族の両者の一官能基および多官能基イソシアネート類を含む。適切な芳香族ジイソシアネート類および他のポリイソシアネート類の例としては、以下を挙げることができる:1-クロロ-2,4-フェニレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート(およびその水素添加誘導体)、p-フェニレンジイソシアネート(およびその水素添加誘導体)、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、2,4-トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(60% 2,4-異性体、40% 2,6-異性体)、2,6-トリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(2-メチルフェニルイソシアネート)、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、2,2’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートの80% 2,4-異性体および20% 2,6-異性体、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMPPI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートおよび1,5-ナフチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート系親水性脂肪族ポリイソシアネート(たとえば、Bayhydur 3100、Bayhydur VP LS2319およびBayhydur VP LS2336)およびイソホロンジイソシアネート系親水性脂肪族ポリイソシアネート(たとえば、Bayhydur VP LS2150/1)を挙げることができる。
【0034】
上記ポリイソシアネート類の組み合わせを用いることが望ましいであろう。好ましいポリイソシアネート類は、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMPPI)およびポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMPPI)とトリレンジイソシアネートまたは他の二官能性芳香族もしくは脂肪族イソシアネート類との混合物である。
【0035】
ポリマー前駆体の別のクラスは、一緒に反応して水/油界面で界面重合される主として油溶性成分および主として水溶性成分からなる。このような前駆体の典型例は、上記のような油溶性イソシアネート、および鎖延長および/または架橋結合を確実に生じさせるエチレンジアミンおよび/またはジエチレントリアミンなどの水溶性ポリアミンである。架橋結合の変形例は、アミンの官能基を増加することにより達成することができる。よって、たとえば、エチレンジアミンをDETA(ジエチレントリアミン)、TEPA(テトラエチレンペンタミン)および他の既知の架橋結合アミン類などの多官能性アミンで置換すると、架橋結合は増加する。イソシアネート官能性は、トリレンジイソシアネートなどのモノマーイソシアネートからPMPPIに移動することによって、変えることができる(よって、架橋結合もまた変えることができる)。イソシアネート類の混合物、たとえばトリレンジイソシアネートおよびPMPPIの混合物もまた、用いることができる。さらに、化学的性質を芳香族イソシアネート類からヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート類へ変動させることができる。さらなる変更は、(ポリ)イソシアネートをポリオールと部分的に反応させてイソシアネート化学(isocyanate chemistry)内である量のポリウレタンを生成して、壁化学物質(wall chemistry)に対する異なる特性を誘発することにより達成され得る。たとえば、適切なポリオール類としては、単純な低分子量脂肪族ジオール、トリオール、テトラオールまたはポリマーポリオール類を挙げることができる。ポリマーポリオール類は、任意クラスのポリマーポリオール類の一員でよく、たとえば、ポリエーテル、ポリTHF、ポリカーボネート類、ポリエステル類およびポリエステルアミド類であってもよい。当業者は、エマルジョン滴についてポリマー壁の製造用に入手可能な他の多くの化学物質を認めるであろう。ポリウレア壁化学物質を製造するために既知のイソシアネート/アミン反応と同様に、この技術に対する改良を用いることができ、たとえばイソシアネートの加水分解がポリウレア化学物質を製造するために内部でさらに反応し得るアミンを生じさせる(たとえば米国特許4285720号明細書に記載されているように)。架橋結合の程度の変動は、ポリマーイソシアネートに対するモノマーイソシアネートの比率を変えることによって達成することができる。上述の慣用のイソシアネート技術でのように、任意の代替イソシアネート類をこの実施態様に用いることができる。
【0036】
当業者は、ポリウレアマイクロカプセル(microcaps)を製造するために既に記載されている種々の方法が、典型的には、ポリマーマトリックスに付いている未反応アミン(通常は芳香族アミン)基を残すことを認めるであろう。いくつかの場合、このようなアミン基を実質的に不活性な官能性に変換することが有利であり得る。有機溶媒中でマイクロカプセルとモノイソシアネート、酸クロリドまたはクロロ蟻酸とのそれぞれとの後反応によって、このようなアミン基をウレア基、アミド基またはウレタン基に変換する方法が好ましい。
【0037】
米国特許6,020,066号明細書(Bayer AGに譲渡された)は、ポリウレア類およびポリイミノウレア類の壁を有するマイクロカプセルを形成する別のプロセスを開示する。ここで、壁は、NH2基を含有する架橋結合剤のイソシアネート類との反応生成物からなることを特徴とする。壁形成に必要な架橋結合剤は、ジ−もしくはポリ−アミン類、ジオール類、ポリオール類、多官能性アミノアルコール類、グアニジン、グアニジン塩類、およびこれらから誘導される化合物を含む。これらの架橋結合剤は、壁を形成するために、相界面でイソシアネート基と反応することができる。
【0038】
マイクロカプセル用の好ましい物質は、米国特許4,285,720号明細書に記載されているように形成されたポリウレアまたは米国特許4,956,129号明細書に記載されているようなウレア−ホルムアルデヒドポリマーである。マイクロカプセルは非常に穏やかな条件下で形成され、重合を促進するために酸性pHを必要とせず、よって酸感応性触媒を封入する際に用いるに適切であるから、ポリウレアが好ましい。最も好ましいマイクロカプセル用のポリマータイプは、米国特許4,285,720号明細書に記載されているような単独または他の芳香族二官能基もしくは多官能基イソシアネート類との組み合わせでのPMPPIポリイソシアネートに基づくポリウレアである。
【0039】
上述のマイクロカプセル化技術は、最も一般的に、水連続相内に分散されている油相のマイクロカプセル化を含み、このような系に対して、触媒は適切にマイクロカプセル化された油相内に懸濁され得るか、より好ましくはマイクロカプセル化技術における分散相として使用するに適切な水不混和性有機溶媒に可溶性である。しかし、本発明の範囲は水中油マイクロカプセル化系の使用に限定されず、水溶性触媒は油中水エマルジョン系の界面マイクロカプセル化を介して封入されてもよい。水溶性触媒は、さらに、水中油中水エマルジョン系の界面マイクロカプセル化を介して封入されてもよい。
【0040】
配位子は、最も好ましくは有機相の成分として金属触媒と一緒に封入される。
好ましくは、配位子、金属触媒、溶媒および壁形成物質は、単一の有機相として連続水相中に分散される。しかし、任意の成分が不相溶である場合には、すべての成分を別個にまたは組み合わせて分散させることが有利であるかもしれない。この場合、連続相条件は、拡散および粒子融着(coallescenece)および分割を通して別個の有機成分が混合されるまで重合が遅延するような条件である。たとえば、配位子は、有機溶媒中に溶解して、次いで他の有機成分と同時にまたは金属触媒および壁形成物質の有機溶液の分散後のあるステージで水相に分散することができる。
【0041】
最も好ましくは、有機可溶性配位子は、金属触媒および重合性壁形成反応物質と一緒に溶解し、次いで、すべてが単一の溶液として連続水相中に分散する。
金属触媒に対する配位子のモル比は、1/100〜100/1の範囲にあり、より好ましくは1/20〜20/1の範囲にあり、最も好ましくは1/10〜10/1の範囲にある。
【0042】
好ましい配位子は、有機溶媒中に可溶性であり、水に対して感応性でなく、ポリマーマトリックスに干渉せずあるいは共有結合しない。
最も好ましい配位子は式(1)のリン系配位子であり、P(シクロヘキシル)3、PPh3、P(CH2Ph)3、P(CH2Ph)Ph2、P(p-トリル)3、P(o-C6H4OMe)3、P(OPh)3、P(O-p-トリル)3、P(p-C6H4OMe)3、P(o-トリル)3、P(m-トリル)3、PPhCH2Ph、P(O-o-トリル)3、PPh2(i-Pr)、PPh2Bu、PPh(シクロヘキシル)2、PPh2(シクロヘキシル)、PPh2(CH2)4PPh2、トリ(2、4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、PPh2(CH2)3PPh2、PPh2(CH2)2PPh2
【0043】
【化5】

を含む。
【0044】
好ましくは、連続相は水である。水相中に分散している有機相の量は、反応器中に存在する水相の1vol%〜約75vol%で変動し得る。好ましくは、有機相の量は約10vol%〜約50vol%である。
【0045】
有機相(配位子、金属触媒および溶媒を含む)中の壁形成物質のwt%は、5〜95%、より好ましくは10〜70%、最も好ましくは10〜50%の範囲である。
有機相(配位子、触媒、壁形成物質を含む)中の溶媒のwt%は、5〜95%、より好ましくは15〜90%、最も好ましくは40〜80%の範囲である。
【0046】
マイクロカプセル化触媒の装填レベルは変動し得る。0.01mmol/g〜0.8mmol/gの装填量を有するマイクロカプセル化触媒が典型的であり、特に装填量は金属含有量に基づく。0.2mmol/g〜0.6mmol/gの装填量が好ましい。
【0047】
触媒および配位子のマイクロカプセル化は、当該分野で周知の技術に従って生じる。典型的には、触媒は油相に溶解または分散され、油相は連続水相中に乳化されてエマルジョンを形成し、エマルジョンは適切な界面活性剤系によって一般に安定化される。このようなエマルジョンを形成し安定化するために適切な広範囲の界面活性剤は、商業的に入手可能であり、界面活性剤だけでまたは組み合わせとして用いることができる。エマルジョンは、粒子寸法要求に応じて、慣用の低剪断ミキサーもしくは高剪断ミキサーまたは均質化システムによって形成することができる。広範囲の連続混合技術もまた利用することができる。特に用いることができる適切なミキサーとしては、ミキシング要素が可動部品を含むダイナミックミキサーおよび可動部品を内部に含まないミキシング要素を利用する静的ミキサーを挙げることができる。ミキサーの組み合わせ(典型的には直列で)は有利であり得る。用いることができるミキサーのタイプの例としては、米国特許627132号明細書(本願明細書に援用される)に議論されているものがある。あるいは、エマルジョンは膜乳化方法によって形成されてもよい。膜乳化方法の例は、Journal of Membrane Science 169 (2000) 107-117(本願明細書に援用される)に論評されている。
【0048】
適切な界面活性剤の典型例としては、
a)アルキル(たとえば、オクチル、ノニルまたはポリアリール)フェノール類とエチレンオキサイドおよび場合によってはプロピレンオキサイドとの縮合物および対応するエーテル硫酸塩、エーテル炭酸塩およびリン酸エステル類などのアニオン性誘導体;
商標PLURONIC(PLURONICはBASFの商標である)で市販されている界面活性剤シリーズなどのポリエチレンオキサイドおよびポリプロピレンオキサイドのブロックコポリマー類;
b)TWEEN界面活性剤、種々のモル比のエチレンオキサイドと縮合された一連のソルビタンエステル類を含む乳化剤のシリーズ;
c)2〜80モル比のエチレンオキサイドおよび場合によってはプロピレンオキサイドとのC8〜C30アルカノール類の縮合物;および
d)カルボキシレート化生成物およびスルホン酸化生成物を含むポリビニルアルコール類
を挙げることができる。
【0049】
さらに、国際公開WO 01/94001パンフレットは、壁形成物質との反応により、1以上の壁改質化合物(表面改質剤という)をマイクロカプセル壁に組み入れることができ、界面活性剤および/またはコロイド安定化剤特性を内蔵する改質マイクロカプセル表面を創製することを教示する。このような改質化合物の使用は、おそらく追加のコロイド安定化剤または界面活性剤の使用なしに、および/または撹拌を減少させて、有機相壁形成物質を水相中により容易に分散させることができるであろう。国際公開WO 01/94001パンフレットの教示は、本明細書に援用される。本発明で特に用いることができる壁改質化合物の例としては、スルホネートまたはカルボキシレートなどのアニオン性基、ポリエチレンオキサイドなどのノニオン性基または4級アンモニウム塩などのカチオン性基を挙げることができる。
【0050】
さらに、水相は、分散プロセスまたは反応プロセスに助剤として作用し得る他の添加剤を含んでいてもよい。たとえば、泡蓄積、特にガスの発生による発泡、を減少させるために、消泡剤を添加してもよい。
【0051】
当業者には、油相として用いるに適切な広範囲の物質が思い浮かぶであろう。例として、ディーゼルオイル、イソパラフィン、芳香族溶媒、特にキシレンもしくはプロピルベンゼンフラクションなどのアルキル置換ベンゼン類、および混合ナフタレンおよびアルキルナフタレンフラクション;鉱油、ホワイト油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ケロシン、脂肪酸類のジアルキルアミド類、特にカプリル酸などの脂肪酸類のジメチルアミド類;1,1,1-トリクロロエタンおよびクロロベンゼンなどの塩素化脂肪族および芳香族炭化水素類、ジエチレングリコールのn-ブチル、エチルもしくはメチルエーテルの酢酸エステル、ジプロピレングリコールのメチルエーテルの酢酸エステルなどのグリコール誘導体のエステル類、イソホロンおよびトリメチルシクロヘキサノン(ジヒドロイソホロン)などのケトン類およびヘキシルもしくはヘプチルアセテートなどの酢酸エステル製品を挙げることができる。マイクロカプセル化プロセスで用いるに慣用的に好ましい有機液体は、キシレン、ディーゼルオイル、イソパラフィン類およびアルキル置換ベンゼン類であるが、溶媒におけるいくらかの変動が油相中の触媒の十分な溶解性を達成するために望ましいであろう。
【0052】
ある種の触媒は、界面重合中に壁形成反応を触媒し得る。これを考慮して、マイクロカプセル化条件を調整することが一般に可能である。最終的に分割された触媒またはコロイド状触媒の凝集を防止し得るので、触媒とポリマーシェルとの間の相互反応、錯化または結合は、まさに望ましいであろう。
【0053】
いくつかの例において、カプセルに入れられている触媒は、界面重合反応の速度を増加させ得る。このような場合、有機相が分散されながら界面重合が大幅に防止されるように、有機相及び連続水相の一方又は両者を冷却することが有利であろう。次いで、所要の有機滴寸法が達成されたならば、制御された態様で暖めることによって、反応が開始される。たとえば、ある種の反応において、油相の添加の前に、水相は10℃未満まで、典型的には5℃〜10℃の間まで冷却されてもよく、次いで、有機相が分散される際に、水相は15℃を超える温度まで加熱されて重合が開始されてもよい。
【0054】
触媒および配位子を含有する油相滴のマイクロカプセル化は不活性雰囲気下で上述のような界面重合反応によって生じることが好ましい。触媒および配位子を含有するマイクロカプセルの水分散液は、さらなる処理なしに適切な反応を触媒するために用いられてもよい。しかし、好ましくは、触媒および配位子を含有するマイクロカプセルは、水相から濾過によって除かれる。回収されたマイクロカプセルは、残留する界面活性剤系を取り除くために水で洗浄され、マイクロカプセル内に含まれる有機相を抽出可能な溶媒で洗浄されることが特に好ましい。ハロゲン化炭化水素溶媒などの比較的揮発性の溶媒、たとえばクロロホルムは、洗浄によりまたは減圧下で、アルキル置換ベンゼン類などの慣用のマイクロカプセル化溶媒よりも一般により容易に取り除かれる。溶媒の大部分が取り除かれたならば、結果として得られるマイクロカプセルは、事実上、マイクロカプセルポリマーシェル内で効果的に分散される触媒を含む実質的に溶媒を含まない(溶媒フリー)ポリマービーズであり得る。有機相を抽出するプロセスは、マイクロカプセル壁を内方に潰し得るが、概して球形は維持されるであろう。所望であれば、ドライマイクロカプセルを篩にかけて、微粒子、たとえば約20ミクロン未満の直径を有する粒子を除いてもよい。
【0055】
マイクロカプセル化された酢酸パラジウム微粒子の場合、回収された水湿潤マイクロカプセルを多量の脱イオン水で洗浄し、次いでエタノール洗浄し、最後にヘキサン洗浄することが好ましい。次いで、マイクロカプセルを真空炉中で50℃、約4時間かけて乾燥させて、95%を超える不揮発性物質含有率(網羅的な乾燥により)、好ましくは98%を超える不揮発性物質含有率を有する製品を得る。
【0056】
よって、本発明の第2の側面によれば、下記工程を含むマイクロカプセル化された触媒−配位子系の調製プロセスが提供される。
(a)触媒および配位子を第1相に溶解または分散させる工程、
(b)第1相を第2連続相に分散させて、エマルジョンを形成する工程、
(c)分散された第1相と連続第2相との界面で1以上のマイクロカプセル壁形成物質を反応させて、分散された第1相核を封入するマイクロカプセルポリマーシェルを形成する工程、および場合によっては
(d)マイクロカプセルを連続相から回収する工程。
【0057】
好ましくは、第1相は有機相であり、第2連続相は水相である。適切には、保護コロイド(界面活性剤)を用いてエマルジョンを安定化させる。
所望であれば、回収されたマイクロカプセルを適切な溶媒で洗浄して第1相を抽出してもよく、特に有機相溶媒を核および任意の緩やかに結合した金属触媒または配位子から抽出してもよい。適切な溶媒、通常は水もまた保護コロイドまたは界面活性剤を取り除くために用いることができる。
【0058】
マイクロカプセル壁形成物質は、たとえばモノマー、オリゴマーまたはプレポリマーであってもよく、重合は界面での壁形成物質の重合および/または壁形成物質の硬化によってその場(in situ)で生じてもよい。あるいは、連続相を通して添加された第1の壁形成物質と不連続相中の第2の壁形成物質とを一緒にすることによって、界面で重合が生じてもよい。
【0059】
本発明の第1及び第2の側面のプロセスにより得ることができるマイクロカプセル化された触媒−配位子系は、触媒および配位子の両者の侵出に対して抵抗があり、活性の増強をも示すことが知見されている。
【0060】
本発明の第3の側面によれば、触媒および配位子の存在下で界面重合によりマイクロカプセルシェルを形成することを含むプロセスにより得ることができるマイクロカプセル化された触媒−配位子系が提供される。
【0061】
好ましい触媒、配位子および界面重合方法および技術は本発明の第1及び第2の側面に関して上述したとおりである。
本発明の第4の側面によれば、界面重合により形成される透過性ポリマーマイクロカプセルシェル内にマイクロカプセル化された触媒および配位子を含むマイクロカプセル化触媒−配位子系が提供される。
【0062】
本発明のさらなる側面によれば、透過性ポリマーマイクロカプセルシェル内にマイクロカプセル化された触媒および配位子を含むマイクロカプセル化触媒−配位子系が提供される。
【0063】
好ましいマイクロカプセル化触媒−配位子系、触媒、配位子および界面重合を含むマイクロカプセル化方法は、本発明の第1、第2および第3の側面に関して上述したとおりである。
【0064】
調製条件、特に触媒、配位子および壁形成物質の間の相互反応の程度に応じて、本発明のマイクロカプセル化触媒−配位子系は、一方の極端では微細に分割された触媒および配位子(固体としてまたは残留溶媒の存在下で)が一体の外側ポリマーシェルによって結合された内部キャビティ内に含まれている「貯槽(reservoir)」として捉えることができ、他方の極端では微細に分割された触媒および配位子が分布する固体、アモルファスポリマービーズとして捉えることができる。実際、位置づけは両極端の間にあるようである。本発明のカプセル化された触媒−配位子の物理的形態に関わらず、また触媒までの反応物質のアクセスが生じる正確な機構(透過性ポリマーシェルを通しての拡散または多孔性ポリマービーズ中への吸着)に関わらず、我々は、本発明のカプセル化された触媒および配位子が触媒までの反応物質の効果的なアクセスを可能とし、一方で回収され所望によっては再使用され得る形態で触媒および配位子が存在することを知見している。さらに、本発明の好ましい実施形態において、ポリマーシェル/ビーズは、制御された界面重合(ポリマーの有機溶液からの制御されていない堆積とは反対に)によってその場(in situ)で形成されるので、本発明のマイクロカプセル化触媒−配位子系は広範囲の有機溶媒系反応に用いることができる。
【0065】
本発明のマイクロカプセルは、これらが高度に架橋しているという事実によって、最も一般的な有機溶媒中に不溶性であると考えられる。したがって、マイクロカプセルは、広範囲の有機溶媒系反応において用いることができる。
【0066】
触媒および配位子を含有するマイクロカプセルは、触媒されるべき反応系に添加されてもよく、反応の完了後に、たとえば濾過により回収されてもよい。回収されたマイクロカプセルは、所望であれば、戻されて、さらなる反応を触媒し、リサイクルされてもよい。あるいは、触媒および配位子を含有するマイクロカプセルは、連続反応における固定触媒として用いられてもよい。たとえば、マイクロカプセル粒子は多孔性支持マトリックス(たとえば、膜)と一緒に不動化されてもよい。マイクロカプセルは、ポリマーシェル壁を通しての反応媒体の拡散により、またはマイクロカプセルの孔構造を通しての反応媒体の吸着により、触媒作用が生じ得る程度まで透過性である。
【0067】
いくつかの場面において、特に配位子が高度に反応性である場合または界面重合プロセスに干渉するかもしれない場合には、重合後に、配位子を導入することが有利であろう。
本発明の第4の側面によれば、触媒の存在下で界面重合によりマイクロカプセルシェルを形成し、配位子でマイクロカプセルシェルを処理することを含むプロセスにより得ることができるマイクロカプセル化触媒−配位子系が提供される。
【0068】
場合によっては、配位子による引き続いての処理の前に、マイクロカプセル化触媒を単離してもよい。
配位子による処理は、場合によっては透過性ポリマーマイクロカプセルシェルを膨張させる必要を伴いあるいは伴わずに行われてもよい。
【0069】
よって、本発明のさらなる側面によれば、下記工程を含むマイクロカプセル化触媒−配位子系の調製プロセスが提供される。
(a)触媒を第1相に溶解または分散させる工程、
(b)第1相を第2連続相中に分散させてエマルジョンを形成する工程、
(c)分散した第1相と連続第2相との界面で1以上のマイクロカプセル壁形成物質を反応させて、分散している第1相核を封入するマイクロカプセルポリマーシェルを形成する工程、および
(d)マイクロカプセルを配位子で処理する工程。
【0070】
場合によっては、工程(d)において配位子で処理する前に、マイクロカプセルを工程(c)において連続相から回収してもよい。
好ましくは、配位子で処理されたマイクロカプセルを単離して、溶媒で洗浄する。
【0071】
いくつかの場面において、特に金属触媒が高度に反応性であるかまたは界面重合プロセスと干渉するかもしれない場合には、重合後に、金属触媒を導入することが有利であろう。
【0072】
本発明の第5の側面によれば、配位子の存在下で界面重合によりマイクロカプセルシェルを形成し、マイクロカプセルシェルを触媒溶液で処理することを含むプロセスにより得ることができるマイクロカプセル化触媒−配位子系が提供される。
【0073】
場合によっては、マイクロカプセル化配位子は、引き続く触媒での処理の前に単離されてもよい。
金属触媒での処理は、場合によっては、透過性ポリマーマイクロカプセルシェルを膨張させる必要を伴いまたは伴わずに行われてもよい。
【0074】
よって、本発明のさらなる側面によれば、下記工程を含むマイクロカプセル化触媒−配位子系の調製プロセスが提供される。
(a)配位子を第1相中に溶解または分散させる工程、
(b)第1相を第2連続相中に分散させて、エマルジョンを形成する工程、
(c)分散した第1相と連続第2相との界面で1以上のマイクロカプセル壁形成物質を反応させて、分散している第1相核を封入するマイクロカプセルポリマーシェルを形成する工程、および
(d)マイクロカプセルを触媒溶液で処理する工程。
【0075】
場合によっては、工程(d)における触媒での処理の前に、工程(c)においてマイクロカプセルを連続相から回収してもよい。
好ましくは、触媒で処理されたマイクロカプセルを単離して、溶媒で洗浄する。
【0076】
有機相の成分として配位子を最初にカプセル化して、次いで、捕捉されている配位子を金属触媒溶液に暴露することによってカプセル化された配位子中に金属触媒を後吸着させることが好ましい。
【0077】
捕捉された金属を配位子の有機溶液に暴露することによって、マイクロカプセル化された金属触媒中に配位子を後吸着させることがより好ましい。
有機相の成分として金属触媒と一緒に配位子が封入されることが最も好ましい。
【0078】
本発明を下記実施例によって説明する。本発明の触媒を典型的な反応の触媒作用のために使用することを説明するが、本発明は、特定の反応への触媒の使用に限定されない。以下の実施例において、Goshenolはポリビニルアルコールであり、Solvesso 200は芳香族類(種としてナフタレン類)の高沸点(230〜257℃)混合物であり、Tergitol XDはブチルアルコールのポリオキシプロピレンポリオキシエチレンエーテルであり、Reax 100Mはナトリウムリグノスルホン酸塩である。Reax、TergitolおよびGoshenolは、コロイド安定化剤および洗浄剤として添加される。
【0079】
対照触媒例1の調製−40%壁含有率を有するマイクロカプセル化酢酸パラジウム
Pd(OAc)2 (2.95g、98%)をクロロホルム(25.7g)中に溶解させ、溶液を30分間撹拌した。この混合物に、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(PMPPI)(19.11g)を添加し、内容物をさらに60分間撹拌した。次いで、(fisher 4-blade retreat-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(80ml)中に40%Reax100M溶液(3.82g)、20%TergitolXD溶液(0.96g)および25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(1.91g)を含む水性混合物に混合物を添加した。8分後、剪断速度を250rpmまで減速し、重合の開始時(二酸化炭素発生により検出した)に、3滴の消泡剤(Ashlandにより供給されたDrewplus S-4382)を添加して、こうして得られた懸濁液を室温でさらに24時間撹拌した。マイクロカプセルをポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過して、任意の微粒子を除去し、次いで、以下の順番;脱イオン水(5×100ml)、エタノール(3×100ml)、ヘキサン(3×100ml)に従って濾床上で洗浄し、次いで最後に真空炉中50℃で乾燥させた。
分析結果;
ICP分析:4.3% Pd wt/wt、装填:0.4 mmol/g(60% Pd カプセル化)
粒子寸法分布:60〜340 μm(平均:180μm)
【0080】
対照触媒例2の調製−30%壁含有率を有するマイクロカプセル化酢酸パラジウム
Pd(OAc)2(2.16g、98%)をクロロホルム(32g、99.9%)中に溶解して、30分間撹拌することによって、有機相を製造した。この混合物に、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(PMPPI)(14g)を添加して、内容物をさらに60分間撹拌した。次いで、(fisher4-blade retreat-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(96ml)中に40%Reax100Ma溶液(3.85g)、20%TergitolXDb溶液(0.96g)および25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(1.93g)を含む水性混合物に混合物を添加した。8分後、剪断速度を250rpmまで減速し、重合の開始時(二酸化炭素発生により検出した)に、3滴の消泡剤(Drewplus S-4382、Ashland)を添加して、こうして得られた懸濁液を室温でさらに24時間撹拌した。得られたマイクロカプセルをポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過し、次いで脱イオン水(5×100ml)、エタノール(3×100ml)、ヘキサン(3×100ml)の順番に従って濾床上で洗浄し、最後に真空炉中50℃で乾燥させた。
分析結果:
ICP 分析:4.1% Pd wt/wt、装填:0.38 mmol/g(63% Pdカプセル化)
粒子寸法分布:60〜360μm(平均:200μm)
a −Meadwestvacoから入手可能な高度にスルホン化された改質ハイブリッドクラフトリグニン(kraft lignin)
b −The Dow Chemical Companyから供給された高分子量エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドノニオン系界面活性剤
【0081】
対照触媒例3の調製−20%壁含有率を有するマイクロカプセル化酢酸パラジウム
Pd(OAc)2(2.16g、98%)をクロロホルム(58g、99.9%)に溶解させ、30分間撹拌することによって有機相を製造した。この混合物に、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(PMPPI)(14g)を添加し、内容物をさらに60分間撹拌した。次いで、(fisher4-blade retreat-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(96ml)中に40%Reax100M溶液(3.85g)、20%TergitolXD溶液(0.96g)および25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(1.93g)を含む水性混合物に混合物を添加した。8分後、剪断速度を250rpmまで減速し、重合の開始時(二酸化炭素発生により検出した)時に、3滴の消泡剤(Drewplus S-4382、Ashland)を添加して、こうして得られた懸濁液を室温でさらに24時間撹拌した。得られたマイクロカプセルをポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過し、次いで脱イオン水(5×100ml)、エタノール(3×100ml)、ヘキサン(3×100ml)の順番に従って濾床上で洗浄し、最後に真空炉中50℃で乾燥させた。
分析結果:
ICP分析:4.2% Pd wt/wt、装填:0.39mmol/g(63% Pd カプセル化)
粒子寸法分布:60〜395μm(平均:211μm)
【0082】
対照触媒例4の調製−減少した架橋密度を有するポリウレアマトリックス中での酢酸パラジウムのマイクロカプセル化
Pd(OAc)2(2.95g、98%)をクロロホルム(26.4g、99.9%)中に溶解させ、溶液を30分間撹拌した。この混合物に、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(PMPPI)(9.55g)およびメチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)(9.55g)を添加し、内容物をさらに60分間撹拌した。次いで、(fisher 4-blade retreat-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(97ml)中に40% Reax100M溶液(3.88g)、20% TergitolXD溶液(0.97g)および25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(1.94g)を含む水性混合物に混合物を添加した。8分後、剪断速度を250rpmまで減速して、重合の開始時(二酸化炭素発生により検出した)に、3滴の消泡剤(Drewplus S-4382、Ashland)を添加し、こうして得られた懸濁液を室温で24時間撹拌した。得られたマイクロカプセルをポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過して任意の微小物質を除去し、次いで脱イオン水(5×100ml)、エタノール(3×100ml)、ヘキサン(3×100ml)の順番に従って洗浄し、最後に真空炉中50℃で乾燥させた。
分析結果:
ICP分析:4.7% Pd wt/wt、装填:0.44 mmol/g(77% Pd カプセル化)
粒子寸法分布:60〜370μm(平均:198μm)
【0083】
対照触媒例5の調製−減少した架橋密度を有するポリウレアマトリックス中酢酸パラジウムのマイクロカプセル化
Pd(OAc)2(2.95g、98%)をクロロホルム(26.4g、99.9%)中に溶解させ、溶液を30分間撹拌した。この混合物に、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(PMPPI)(9.55g)およびトルエン-2,4-ジイソシアネート(TDI)(9.55g)を添加し、内容物をさらに60分間撹拌した。次いで、(fisher 4-blade retreat-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(97ml)中に40%Reax100M溶液(3.88g)、20%TergitolXD溶液(0.97g)および25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(1.94g)を含む水性混合物に混合物を添加した。8分後、剪断速度を250rpmまで減速して、重合の開始時(二酸化炭素発生により検出した)に、3滴の消泡剤(Drewplus S-4382、Ashland)を添加して、こうして得られた懸濁液を室温で24時間撹拌した。得られたマイクロカプセルをポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過して任意の微小物質を除去し、次いで、脱イオン水(5×100ml)、エタノール(3×100ml)、ヘキサン(3×100ml)の順番に従って洗浄し、最後に真空炉中50℃で乾燥させた。
分析結果:
ICP分析:3.5% Pd wt/wt、装填:0.33 mmol/g(55% Pd カプセル化)
粒子寸法分布:40〜250μm(平均:124μm)
【0084】
対照触媒例6の調製−減少した架橋密度を有するポリウレアマトリックス中酢酸パラジウムのマイクロカプセル化
Pd(OAc)2(2.95g、98%)をクロロホルム(26.4g、99.9%)中に溶解させ、溶液を30分間撹拌した。この混合物に、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(PMPPI)(9.55g)および4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(9.55g)を添加し、内容物をさらに60分間撹拌した。次いで、(FISHER 4-blade retreat-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(97ml)中に40%Reax100M溶液(3.88g)、20%TergitolXD溶液(0.97g)および25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(1.94g)を含む水性混合物に混合物を添加した。8分後、剪断速度を250rpmまで減速し、重合の開始時(二酸化炭素発生により検出した)に3滴の消泡剤(Drewplus S-4382、Ashland)を添加し、こうして得られた懸濁液を室温で24時間撹拌した。得られたマイクロカプセルをポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過して任意の微小物質を除去し、次いで、脱イオン水(5×100ml)、エタノール(3×100ml)、ヘキサン(3×100ml)の順番に従って洗浄し、最後に真空炉中50℃で乾燥させた。
分析結果:
ICP分析:4.9% Pd wt/wt、装填:0.46 mmol/g(80% Pdカプセル化)
粒子寸法分布:60〜400μm(平均:175μm)
【0085】
触媒例7および9の調製−PAr3が共に封入されているマイクロカプセル化Pd(OAc)2
配位子の空気感応性ゆえに、有機相を窒素雰囲気下でグローブボックス内で調製した。有機相はクロロホルム(25.7g)中に溶解したPd(OAc)2(2.95g、98%)から得て、次いで10分間撹拌し、その後、トリフェニルホスフィン(1.72g 99%、1:0.5 Pd/Pモル比)(例7)またはトリ-o-トリルホスフィン(2g 97%、1:0.5 Pd/P モル比)(例9)のいずれかを添加し、次いでさらに30分間撹拌した。この混合物に、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(PMPPI)(19.11g)を添加して、内容物をさらに60分間撹拌した。次いで、(FISHER 4-blade retreat-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(83ml)中に40%Reax100M溶液(3.95g)、20%TergitolXD溶液(1g)および25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(1.98g)を含む水相に、この有機相混合物を添加した。反応は不活性雰囲気(N2)下に維持した。8分後、剪断速度を250rpmまで減速し、重合の開始(二酸化炭素発生により検出した)中に数滴の消泡剤(DrewPLus S-4382)を添加した。こうして得られた懸濁液を室温でさらに24時間撹拌した。次いで、マイクロカプセルをポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過し、カプセルを濾床上で脱イオン水(5×100ml)、エタノール(3×100ml)、ヘキサン(3×100ml)の順番に従って洗浄し、最後に真空炉中50℃で乾燥させた。
分析結果:
例7:
ICP分析:5.2% Pd wt/wt、装填:0.5 mmol/g(82% Pd カプセル化)
0.75% P wt/wt、装填:0.24 mmol/g (90% Pカプセル化)
粒子寸法分布:60〜420μm(平均:256μm)
例9:
ICP分析:5.1% Pd wt/wt、装填:0.48 mmol/g(81% Pd カプセル化)
0.75% P wt/wt、装填:0.24 mmol/g(89% P カプセル化)
粒子寸法分布:60〜460μm (平均:311μm)
【0086】
触媒例8の調製−PPh3が共に封入されているマイクロカプセル化Pd(OAc)2
配位子の空気感応性ゆえに、有機相をグローブボックス内窒素雰囲気下で調製した。有機相はクロロホルム(25.7g)中に溶解させたPd(OAc)2(2.95g、98%)から形成し、次いで10分間撹拌し、その後、トリフェニルホスフィン(0.35g、98%、1:0.1 Pd:P)を添加して、次いでさらに30分間撹拌した。この混合物に、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(PMPPI)(19.11g)を添加し、内容物をさらに60分間撹拌した。次いで、(FISHER 4-blade retreat-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(83ml)中に40%Reax100M溶液(3.95g)、20%TergitolXD溶液(1g)および25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(1.98g)を含む水相に、この有機相混合物を添加した。反応を不活性雰囲気(N2)下に維持した。8分後、剪断速度を250rpmまで減速し、重合の開始(二酸化炭素発生により検出した)中に数滴の消泡剤(DrewPLus S-4382)を添加した。こうして得られた懸濁液を室温でさらに24時間撹拌した。次いで、マイクロカプセルをポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過し、カプセルを濾床上で脱イオン水(5×100ml)、エタノール(3×100ml)、ヘキサン(3×100ml)の順番に従って洗浄し、最後に真空炉中50℃で乾燥させた。
分析結果:
ICP 分析:4.9% Pd wt/wt、装填:0.46 mmol/g (81% Pd カプセル化)
0.16% P wt/wt、装填:0.05 mmol/g (94% P カプセル化)
粒子寸法分布:60〜390μm(平均:236μm)
【0087】
触媒例10の調製−1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンが共に封入されているマイクロカプセル化Pd(OAc)2
配位子の空気感応性ゆえに、有機相をグローブボックス内窒素雰囲気下で調製した。有機相をクロロホルム(25.7g)中に溶解させたPd(OAc)2(2.95g、98%)から形成させ、次いで、10分間撹拌し、続いて1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(2.25g、98%、1:1 Pd:P)を添加し、次いでさらに30分間撹拌した。この混合物に、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(PMPPI)(19.11g)を添加し、内容物をさらに60分間撹拌した。この有機相混合物を次に、(FISHER 4-blade retreat-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(83ml)中に40%Reax100M溶液(3.95g)、20%TergitolXD溶液(1g)及び25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(1.98g)を含む水相に添加した。反応をずっと不活性雰囲気下(N2)に維持した。8分後、剪断速度を250rpmまで減速させ、重合開始(二酸化炭素発生により検出した)中に数滴の消泡剤(DrewPLus S-4382)を添加した。こうして得られた懸濁液を室温でさらに24時間、撹拌した。次いで、マイクロカプセルをポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過し、カプセルを濾床上で脱イオン水(5×100ml)、エタノール(3×100ml)、ヘキサン(3×100ml)の順で洗浄し、最後に真空炉内で50℃で乾燥させた。
分析結果:
ICP分析:5.4% Pd wt/wt、装填:0.51 mmol/g(82% Pd カプセル化)
1.5% P wt/wt、装填:0.48 mmol/g (89% P カプセル化)
粒子寸法分布:60〜495μm (平均:365μm)
【0088】
触媒例11の調製−PPh3が共に封入されているマイクロカプセル化Pd(OAc)2
配位子の空気感応性ゆえに、油相はグローブボックス内で調整した。Pd(OAc)2 (3.34g、98%)をクロロホルム(46.82g)中に溶解させ、溶液を10分間撹拌した。次いで、トリフェニルホスフィン(3.92g、99%、1:1モル比 Pd/PPh3)を添加し、溶液をさらに30分間撹拌した。この混合物に、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(PMPPI)(17.59g)を添加し、内容物をさらに60分間撹拌した。次いで、混合物を不活性雰囲気下(N2)で、(fisher4-blade retrieve-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(120ml)中40%Reax100M溶液(5.73g)、20%TergitolXD溶液(1.43g)及び25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(2.87g)を含む冷(4℃)水性混合物に添加した。次いで、剪断速度を250rpmまで減速させ、4℃に90分間維持した後、バッチの温度を徐々に室温まで暖めた。重合の開始時(12℃)に、数滴の消泡剤(DrewPLus S-4382)を添加した。こうして得られた懸濁液を室温で24時間撹拌した。次いで、マイクロカプセルをポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過し、カプセルを濾床上で脱イオン水(5×100ml)、エタノール(3×100ml)、ヘキサン(3×100ml)の順で洗浄し、真空炉内で50℃で乾燥させた。
分析結果:
ICP 分析:6.4% Pd wt/wt、装填:0.6 mmol/g(97% Pd カプセル化)
1.9% P wt/wt、装填:0.6 mmol/g (98% P カプセル化)
粒子寸法分布:60〜300μm (平均:133μm)
【0089】
触媒例12〜17の調製−PPh3を後吸着させたマイクロカプセル化Pd(OAc)2触媒
25ml丸底フラスコ内で、対照例1〜6(1g、0.4mmol/g Pd)で調製したカプセル化酢酸パラジウムのサンプルを10ml THFに添加し、混合物を不活性(N2)雰囲気下で30分間撹拌した。次いで、トリフェニルホスフィン配位子(7mg、1:0.5 Pd:P モル比)を添加し、混合物を一晩、室温で撹拌させた。次いで、ビーズを濾過し、真空炉内で乾燥させる前にTHF(5ml×3)で洗浄した。
分析結果:
例12〜17でのICP結果:
【0090】
【表1】

【0091】
触媒例18の調製−Pd(OAc)2を後吸着させたマイクロカプセル化トリフェニルホスフィン
トリフェニルホスフィン(2.70g、99%を)をクロロホルム(32.7g、Aldrich 99%)中に溶解させ、溶液を10分間撹拌した。この混合物に、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(PMPPI)(19.11g)を添加し、内容物をさらに60分間撹拌した。次いで、混合物を(fisher 4-blade retrieve-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(91ml)中に40%Reax100M溶液(4.36g)、20%Tergotil XD溶液(1.09g)及び25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(2.18g)を含む水性混合物に添加した。反応はずっと不活性雰囲気下(N2)に維持した。次いで、剪断速度を250rpmまで減速させて、数滴の消泡剤(DrewPLus S-4382)を重合開始時に添加した。こうして得られた分散液を室温で24時間撹拌した。次いで、マイクロカプセルをポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過し(N2ブランケット下で)、カプセルを濾床上で脱イオン水(5×100ml)、エタノール(3×100ml)、ヘキサン(3×100ml)の順で洗浄し、最後に真空炉内で50℃で乾燥させた。
分析結果:
ICP 分析:1.8% P wt/wt、装填:0.58 mmol/g (95% PPh3 カプセル化)
粒子寸法分布:60〜320μm (平均:180μm)
カプセル化されたPPh3への酢酸パラジウムの吸着:
Pd(OAc)2(PPh31モル当量)をTHF(10ml)中に溶解させ、混合物をマグネティックスターラーを介して10分間撹拌した。この溶液に、上記で調製したカプセル化されたPPh3ビーズを添加し、混合物を一晩、室温で撹拌させた。次いで、ビーズを濾過し、真空炉内30℃で3時間乾燥させる前にTHF(10×10ml)で連続洗浄した。
分析結果:
ICP分析:1.3% Pd wt/wt、装填= 0.12 mmol/g (ビーズに吸着されたPdの約50%に等しい) および0.79% P wt/wt、装填:0.25 mmol/g PPh3.
要するに、ICP分析は、Pd(OAc)2の50%がPPh3ビーズ上に首尾よく装填されたが、初期PPh3 の約50%はこの吸着プロセス中に損失したことを示した。
【0092】
触媒例19の調製−rac-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1-ビナフチル(Pd:P比は1:0.5)が共に封入されているマイクロカプセル化Pd(OAc)2
配位子の空気感応性故に、有機相を窒素雰囲気下で調製した。有機相はクロロホルム(43.0g)中に溶解させたPd(OAc)2(1.95g、98%)から形成し、次いで10分間撹拌し、その後、rac-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1-ビナフチル(1.35g、98%、1:0.5 Pd:P)を添加し、次いでさらに20分間撹拌した。この混合物に、ポリメチレンポリフェニレジイソシアネート(PMPPI)(18.0g)を添加し、内容物をさらに40分間撹拌した。次いで、この有機相混合物を、(FISHER 4-blade retreat-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(108.0ml)中に40%Reax 100M溶液(12.86g)、20%Tergitol XD溶液(6.43g)及び25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(10.29g)を含む1℃まで冷却された水相に添加した。反応はずっと不活性雰囲気下(N2)に維持した。8分後、剪断速度を250rpmまで減速し、数滴の消泡剤(DrewPLus S-4382)を重合開始中(二酸化炭素発生により検出した)に添加した。こうして得られた懸濁液を1℃でさらに1時間15分撹拌し、次いで3時間かけて室温(20℃)まで暖め、室温にさらに16時間維持し、次いで40℃でさらに2時間加熱した。マイクロカプセルを室温まで冷却し、次いでポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過し、カプセルを濾床上で脱イオン水(5×100ml)、DMF(2×50ml)、エタノール(2×50ml)、トルエン(2×50ml)、ヘキサン(3×100ml)の順で洗浄し、最後に真空炉内で50℃で乾燥させた。
分析結果:
ICP 分析:4.2% Pd wt/wt、装填:0.39 mmol/g (95% Pd カプセル化)
0.51% P wt/wt、装填:0.165 mmol/g P (82% P カプセル化)
粒子寸法分布:60〜340μm (平均:216μm)
【0093】
触媒例20の調製−rac-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1-ビナフチル(Pd:P比は1:1)が共に封入されているマイクロカプセル化Pd(OAc)2
配位子の空気感応性故に、有機相はグローブボックス内窒素雰囲気下で調製した。有機相は、クロロホルム(43.75g)中に溶解したPd(OAc)2(1.95g、98%)から形成し、次いで10分間撹拌し、その後、rac-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1-ビナフチル(2.60g、98%、1:1 Pd:P)を添加し、次いでさらに20分間撹拌した。この混合物に、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(PMPPI)(17.0g)を添加し、内容物をさらに40分間撹拌した。次いで、この有機相混合物を、(FISHER 4-blade retreat-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(109.7ml)中に40%Reax 100M溶液(13.06g)、20%Tergitol XD溶液(6.53g)および25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(10.45g)を含む1℃に冷却された水相に添加した。反応をずっと不活性雰囲気下(N2)に維持した。8分後、剪断速度を250rpmまで減速させ、重合開始中(二酸化炭素発生により検出した)に数滴の消泡剤(DrewPLus S-4382)を添加した。こうして得られた懸濁液を1℃でさらに1時間15分撹拌し、次いで、3 時間かけて室温(20℃)まで暖め、室温にさらに16時間維持した。次いで、マイクロカプセルをポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過し、カプセルを濾床上で脱イオン水(6×100ml)、エタノール(4×100ml)、ヘキサン(3×100ml)の順で洗浄し、最後に真空炉内で50℃で乾燥させた。
分析結果:
ICP 分析:4.2% Pd wt/wt、装填:0.39 mmol/g (97.5% Pd カプセル化)
1.2% P wt/wt、装填:0.39 mmol/g P (97.5% P カプセル化)
【0094】
触媒例21の調製−1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンが共に封入されているマイクロカプセル化Pd(OAc)2
配位子の空気感応性故に、有機相をグローブボックス内窒素雰囲気下で調製した。有機相は、クロロホルム(43.75g)中に溶解させたPd(OAc)2(1.95g、98%)から形成し、次いで10分間撹拌し、その後1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(2.60g、98%、1:1 Pd:P)を添加し、次いでさらに20分間撹拌した。この混合物に、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(PMPPI)(17.0g)を添加し、内容物をさらに40分間撹拌した。この有機相混合物を次いで、(FISHER 4-blade retreat-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(109.7ml)中に40%Reax 100M溶液(13.06g)、20%Tergitol XD溶液(6.53g)及び25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(10.45g)を含む1℃に冷却された水相に添加した。反応はずっと不活性雰囲気下(N2)に維持した。8分後、剪断速度を250rpmまで減速させて、重合開始中(二酸化炭素発生により検出した)に数滴の消泡剤(DrewPLus S-4382)を添加した。こうして得られた懸濁液を1℃でさらに1時間15分撹拌し、次いで3時間かけて室温(20℃)まで暖め、室温にさらに16時間維持した。次いで、マイクロカプセルをポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過し、カプセルを濾床上で脱イオン水(6×100ml)、エタノール(4×100ml)、ヘキサン(3×100ml)の順で洗浄し、最後に真空炉内50℃で乾燥させた。
分析結果:
ICP 分析:4.6% Pd wt/wt、装填:0.43 mmol/g (100% Pd カプセル化)
1.2% P wt/wt、装填:0.39 mmol/g P (97.5% P カプセル化)
【0095】
触媒例22の調製−2-ジシクロヘキシルホスフィノ-1,1’-ビフェニルが共に封入されているマイクロカプセル化Pd(OAc)2
配位子の空気感応性故に、有機相は窒素雰囲気下で調製した。有機相は、クロロホルム(30g)中に溶解させたPd(OAc)2(1.50g、98%)から形成し、次いで10分間撹拌し、その後、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-1,1’-ビフェニル(1.91g、98%、1:0.82 Pd:P)を添加した。この混合物に、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(PMPPI) (15.0g)を添加し、内容物をさらに120分間撹拌した。この有機相混合物を次いで、(FISHER 4-blade retreat-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(81.48ml)中に40%Reax 100 M溶液(9.70g)、20%TergitolXD溶液(4.85g)および25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(7.76g)を含む1℃に冷却された水相に添加した。反応をずっと不活性雰囲気下(N2)に維持した。8分後、剪断速度を160rpmまで減速させ、重合開始中(二酸化炭素発生により検出した)に数滴の消泡剤(DrewPLus S-4382)を添加した。こうして得られた懸濁液を1℃でさらに30分間撹拌し、次いで2時間かけて8℃まで暖め、この温度を18時間保持し、次いで室温まで暖めた。次いで、マイクロカプセルをポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過し、カプセルを濾床上で脱イオン水(6×100ml)、DMF(2×100ml)、エタノール(2×100ml)、トルエン(1×100ml)、ヘキサン(2×100ml)の順で洗浄し、最後に真空炉内50℃で乾燥させた。
分析結果:
ICP 分析:3.5% Pd wt/wt、装填:0.33 mmol/g (92% Pd カプセル化)
0.3% P wt/wt、装填:0.10 mmol/g P (34% P カプセル化)
【0096】
触媒例23の調製−2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニルが共に封入されているマイクロカプセル化Pd(OAc)2
配位子の空気感応性故に、有機相は窒素雰囲気下で調製した。有機相は、クロロホルム(27g)中に溶解しているPd(OAc)2(0.94g、98%)から形成され、次いで10分間撹拌し、その後、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル(2.0g、98%、1:1 Pd:P)を添加した。この混合物に、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(PMPPI)(10.0g)を添加し、内容物をさらに120分間撹拌した。この有機相混合物を次いで、(FISHER 4-blade retreat-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(67.10ml)中に40%Reax 100M溶液(7.99g)、20%Tergitol XD溶液(3.99g)および25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(6.39g)を含む1℃まで冷却された水相に添加した。反応をずっと不活性雰囲気下(N2)に維持した。8分後、剪断速度を160rpmまで減速させ、重合開始中(二酸化炭素発生により検出した)に数滴の消泡剤(DrewPLus S-4382)を添加した。こうして得られた懸濁液を1℃でさらに30分間撹拌し、次いで5℃に18時間維持し、45℃まで暖め、この温度をさらに2時間維持した。次いで、マイクロカプセルをポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過し、カプセルを濾床上で脱イオン水(5×100ml)、DMF(2×50ml)、エタノール(2×50ml)、トルエン(2×50ml)、ヘキサン(2×50ml)の順で洗浄し、最後に真空炉内50℃で乾燥させた。
分析結果:
ICP 分析:3.1% Pd wt/wt、装填:0.29 mmol/g (90.6% Pd カプセル化)
0.74% P wt/wt、装填:0.24 mmol/g P (75% P カプセル化)
【0097】
触媒例24の調製−1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリンクロリドが共に封入されているマイクロカプセル化Pd(OAc)2
有機相をクロロホルム(42.0g)中に溶解しているPd(OAc)2(2.00g、98%)から形成し、次いで10分間撹拌し、その後、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリンクロリド(1.90g、1:0.5 Pd:配位子)を添加し、次いでさらに40分間撹拌した。この混合物に、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(PMPPI)(17.0g)を添加し、内容物をさらに2時間撹拌した。この有機相混合物を次いで、(FISHER 4-blade retreat-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(105.7ml)中に40%Reax 100M溶液(12.58g)、20%TergitolXD溶液(6.29g)および25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(10.06g)を含む1℃に冷却された水相に添加した。反応はずっと不活性雰囲気下(N2)に維持した。8分後、剪断速度を225rpmまで減速させ、重合開始中(二酸化炭素発生により検出した)に数滴の消泡剤(DrewPLus S-4382)を添加した。こうして得られた懸濁液を1℃でさらに1時間撹拌し、次いで3時間かけて室温(20℃)まで暖め、室温でさらに16時間維持した。次いで、マイクロカプセルをポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過し、カプセルを濾床上で脱イオン水(5×100ml)、エタノール(3×100ml)、ヘキサン(2×100ml)の順で洗浄し、最後に真空炉内50℃で乾燥させた。
分析結果:
ICP 分析:4.6% Pd wt/wt、装填:0.43 mmol/g (100% Pd カプセル化)
粒子寸法分布:平均:200μm
【0098】
触媒例25の調製−マイクロカプセル化アセタト(2’-ジ-t-ブチルホスフィノ-1-1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)
有機相を窒素雰囲気下で調製した。有機相は、クロロホルム(22.3g)中に溶解したアセタト(2’-ジ-t-ブチルホスフィノ-1-1’-ビフェニル2-イル)パラジウム(II)(1.00g、98%)から形成され、その後、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(PMPPI)(10.0g)を添加し、内容物をさらに90分間撹拌した。この有機相混合物を次いで、(FISHER 4-blade retreat-curve stirrerを用いて)500rpmで8分間撹拌しながら、脱イオン水(55.94ml)中に40%Reax 100M溶液(6.66g)、20%TergitolXD溶液(3.33g)及び25%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(5.33g)を含む1℃まで冷却された水相に添加した。反応はずっと不活性雰囲気下(N2)に維持した。8分後、剪断速度を160rpmまで減速させて、重合開始中(二酸化炭素発生により検出した)に数滴の消泡剤(DrewPLus S-4382)を添加した。こうして得られた懸濁液を1℃でさらに30分間撹拌し、次いで25℃まで暖め、この温度に18時間保持し、40℃まで暖め、この温度にさらに2時間保持した。次いで、マイクロカプセルをポリエチレンフリット(20ミクロン多孔度)に通して濾過し、カプセルを濾床上で脱イオン水(5×100ml)、DMF(2×50ml)、エタノール(2×50ml)、トルエン(2×50ml)、ヘキサン(2×50ml)の順で洗浄し、最後に真空炉内50℃で乾燥させた。
分析結果:
ICP 分析:2.0% Pd wt/wt、装填:0.19 mmol/g (95% Pd カプセル化)
0.45% P wt/wt、装填: 0.145 mmol/g P (72.5% P カプセル化)
【0099】
触媒評価
カプセル化酢酸パラジウムを用いるSuzukiタイプ反応についての一般的手順
【0100】
【化6】

【0101】
コンデンサ付きの25ml三首丸底フラスコに、4-メトキシフェニルボロン酸(0.26g、1.72mmol、1.5eq)、4-ブロモフルオロベンゼン(0.20g、1.14mmol、1eq)、炭酸カリウム(0.47g、3.42mmol、3eq)及び10mlのIPA/H2O(20:1)を仕込んだ。これに、対照例1で調製したマイクロカプセル化酢酸パラジウム(0.08g、3mol%、Pd装填0.4mmol/g)を添加した。混合物をマグネティックフォロワー(磁石撹拌子)で撹拌し、油浴を用いて80℃まで加熱した。反応混合物のサンプルを規則的な時間間隔で採取し、HPLCにより分析して、反応の進行をモニターした。次いで、焼結漏斗を通して混合物を濾過し、固体触媒をアセトン及びエーテルでそれぞれ洗浄した。さらなる作業なしに、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮した。ICP分析により、反応混合物が、触媒から濾過されたパラジウムの0.1%未満に等しい3ppm未満のPdを有しており、粗生成物が20ppm未満のパラジウムを含んでいることがわかった。
【0102】
下記表は、定量HPLC方法を用いて指定時間間隔での生成物への変換レベルを示す。触媒例1について、下記表は、5時間後に70%の生成物に達する、反応の間に徐々に緩慢になる初期迅速反応を表す。ICP分析は、反応混合物中のPdレベルが3ppm未満であり、粗生成物中のPdレベルが20ppm未満であることを示す。
【0103】
【表2】

【0104】
同じ実験手順に従って、対照触媒例2〜6について反応プロファイルを作った。
【0105】
表は、壁含有率がそれぞれ40%、30%及び20%である触媒例1、2及び3についての変換率/時間プロファイルを示す。触媒活性は、標準的な40%壁触媒(例1)に比較して、30%及び20% Pd EnCatTM の両者について大幅に増加する。
【0106】
【表3】

【0107】
触媒例1、2及び3からの粗反応生成物のICP分析は、それぞれ、20ppm未満のPd、20ppm未満のPd及び15ppm未満のPdを示した。
【0108】
下記表は、触媒例1及び4についての変換率/時間プロファイルを示す。ここで、触媒例4は、架橋密度が減少したポリウレア壁を有する。見てわかるように、触媒活性は、標準的な40%壁触媒(例1)と比較して触媒例4について大幅に増加した。
【0109】
【表4】

【0110】
ホスフィン配位子が後添加されるカプセル化酢酸パラジウムを用いるSuzuki反応についての一般的手順
イソプロピルアルコール中アリールブロミド(1mmol)溶液に、イソプロパノール/水(20:1、10ml)中ボロン酸(1.5mmol)および炭酸カリウム(3mmol)の溶液を添加した。この混合物に、カプセル化酢酸パラジウム(対照例1〜6)(0.08g、3mol%)を添加し、その後、トリフェニルホスフィンを1/1、または1/2もしくは1/4 Pd/PPh3モル当量のいずれかで添加した。反応は、不活性(N2)雰囲気下に維持し、混合物を80℃で撹拌した。反応の進行は、反応混合物のサンプルを定期的な時間間隔で採取し、HPLCにより分析することによりモニターした。次いで、混合物を焼結漏斗に通して濾過し、固体触媒をそれぞれアセトン及びエーテルで洗浄した。さらなる作業なしに、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮した。次いで、粗生成物のPd含有率をICPにより分析した。
【0111】
下記表は、マイクロカプセル化触媒例1について多数の異なるパラジウムに対するPPh3のモル比での反応收率/時間プロファイルを示す。表は、PPh3の添加が反応速度及び程度の両者を大幅に増加させることを示す。誘導期に続いて定量的な生成物收率を達成するための迅速反応が観察される。誘導期は、配位子がポリウレアマトリックスを通して活性金属サイトまで拡散するための時間であると考えられる。
【0112】
【表5】

【0113】
対照触媒例1とPPh3(例7)及びP(トリル)3(例9)が共に封入されているマイクロカプセル化酢酸パラジウムとの触媒活性の比較
触媒例7(0.06g、3mol%)をイソプロパノール/水(20:1、10ml)中4-ブロモフルオロベンゼン(1mmol)、4-メトキシフェニルボロン酸(1.5mmol)及び炭酸カリウム(3mmol)の溶液に添加した。反応は、不活性(N2)雰囲気下に維持し、混合物を80℃で撹拌した。反応の進行は、反応混合物のサンプルを定期的な時間間隔で採取し、HPLCにより分析することによりモニターした。次いで、混合物を焼結漏斗に通して濾過し、触媒をアセトン及びエーテルでそれぞれ洗浄した。さらなる作業なしに、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、ICPにより粗生成物のパラジウム及びリン含有率を分析したところ、それぞれ30ppm未満及び15ppm未満であった。
【0114】
同じ手順を触媒例9及び対照触媒例1について行った。
3種の触媒について記録された変換率/時間データを下記表に示す。
【0115】
【表6】

【0116】
PAr3配位子が共に封入されている触媒は両方とも、対照触媒例1と比較して、より高いレベルの触媒活性を示すといえる。
【0117】
触媒例1、7及び9の粗反応混合物のICP分析は、それぞれ、3ppm未満、5ppm未満及び5ppm未満のパラジウムレベルを示す。
同じ手順を行って、PPh3のレベルが0.1/1のPPh3/Pdモル当量まで減少した触媒例8について変換率/時間データを作った。
【0118】
【表7】

【0119】
この触媒はまだ、対照触媒例1を超える高められた触媒活性を与える。粗生成物のICP分析は、Pd及びPレベルがそれぞれ30ppm未満及び18ppm未満であることを示した。
【0120】
同じ手順を行って、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンが共に封入されている触媒例10についての変換率/時間プロファイルを作った。対照触媒例1と触媒例10の反応プロファイルの比較は、3〜5時間以内に定量的收率を有する触媒例10の活性が劇的に改良されたことを明示する。触媒例10について、粗生成物のICP分析は、Pd及びPレベルがそれぞれ19ppm及び50ppmであることを示した。
【0121】
【表8】

【0122】
保管条件及びエージングの触媒活性への影響を評価する実験
酸化的に不安定なホスフィン配位子の存在故に、例7〜10のタイプの共に封入された触媒の保管安定性を決定するために以下の実験を行った。
【0123】
触媒例7のサンプルを空気中で3ヶ月間保管し、次いで、その触媒活性を標準的なSuzukiカップリング反応での「新鮮な」触媒と比較した。同様に、触媒サンプルを炉中で24時間52℃まで暖めることによって加速エージングを行い、その触媒活性を決定した。上記方法に従って、これらのエージングされたSuzuki反応触媒についての変換率/時間プロファイルをモニターすることによって活性を評価した。反応結果は下記表に示す。
【0124】
【表9】

【0125】
触媒例7は、3ヶ月の空気中保管後に活性のいくらかが損失したことを示すが、触媒はまだ、対照触媒例1よりも活性である。同様に、触媒例7の52℃24時間での加速エージングにより、活性が同じように部分的に失われる。
【0126】
室温及び52℃でエージングされた触媒についての粗生成物のICP分析は、Pd及びPレベルがそれぞれ20ppm未満及び30ppm未満であることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過性ポリマーマイクロカプセルシェル内にマイクロカプセル化された触媒および配位子を含むマイクロカプセル化触媒−配位子系。
【請求項2】
界面重合により形成された透過性ポリマーマイクロカプセルシェル内にマイクロカプセル化された触媒及び配位子を含むマイクロカプセル化触媒−配位子系。
【請求項3】
触媒及び配位子の存在下で界面重合により透過性マイクロカプセルシェルを形成することを含むプロセスにより得ることができるマイクロカプセル化触媒−配位子系。
【請求項4】
透過性ポリマーマイクロカプセルシェルは、メチロール基の約50〜約98%がC4-C10アルコールでエーテル化されているエーテル化ウレア−ホルムアルデヒド樹脂またはプレポリマーの自己縮合および/または架橋結合の生成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロカプセル化触媒−配位子系。
【請求項5】
透過性ポリマーマイクロカプセルシェルは、少なくとも1のポリイソシアネートおよび/またはトリレンジイソシアネートから調製されたポリウレアマイクロカプセルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロカプセル化触媒−配位子系。
【請求項6】
ポリイソシアネートおよび/またはトリレンジイソシアネートは、1-クロロ-2,4-フェニレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート(およびこの水素化誘導体)、p-フェニレンジイソシアネート(およびこの水素化誘導体)、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、2,4-トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(60% 2,4-異性体、40% 2,6-異性体)、2,6-トリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(2-メチルフェニルイソシアネート)、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、2,2’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートの80% 2,4-異性体および20% 2,6-異性体、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMPPI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートおよび1,5-ナフチレンジイソシアネートからなる群より選択される、請求項5のマイクロカプセル化触媒−配位子系。
【請求項7】
触媒は無機触媒であり、好ましくは遷移金属触媒である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のマイクロカプセル化触媒−配位子系。
【請求項8】
触媒は、遷移金属触媒であり、遷移金属は白金、パラジウム、オスミウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、スカンジウム、セリウム、サマリウム、イットリウム、イットリビウム、ルテチウム、コバルト、チタン、クロム、銅、鉄、ニッケル、マンガン、錫、水銀、銀、金、亜鉛、バナジウム、タングステン及びモリブデンである、請求項7に記載のマイクロカプセル化触媒−配位子系。
【請求項9】
触媒は遷移金属触媒であり、遷移金属はパラジウムであり、好ましくはパラジウムは有機溶媒可溶性形態であり、最も好ましくは酢酸パラジウムである、請求項8に記載のマイクロカプセル化触媒−配位子系。
【請求項10】
配位子はN、O、P及びSから選択される1以上のヘテロ原子を含む有機部位である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のマイクロカプセル化触媒−配位子系。
【請求項11】
配位子は式(1):
【化1】

(式中:
R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、場合によっては置換されているヒドロカルビル基、場合によっては置換されているヒドロカルビルオキシ基または場合によっては置換されている複素環基であるか、あるいはR1とR2、R1とR3、R2とR3の1以上は、場合によっては置換されている1または複数の環を形成するような態様で場合によっては結合されている)
の有機配位子である請求項10に記載のマイクロカプセル化触媒−配位子系。
【請求項12】
配位子は、PMe2CF3、P(OEt)3、P(Et)3、P(Bu)3、P(シクロヘキシル)3、PPhEt2、PPh2Me、PPh3、P(CH2Ph)3、P(CH2Ph)Ph2、P(p-トリル)3、P(o-C6H4OMe)3、P(OPh)3、P(O-p-トリル)3、P(p-C6H4OMe)3、P(o-トリル)3、P(m-トリル)3、PMe3、PPhMe2、PPh2Et、P(i-Pr)3、P(t-Bu)3、PPhCH2Ph、PPh2OEt、PPh(OEt)2、P(O-o-トリル)3、P(OMe)3、P(n-Pr)3、PPh(i-Pr)2、PPh2(i-Pr)、PPhBu2、PPh2Bu、P(i-Bu)3、PPh(シクロヘキシル)2、PPh2(シクロヘキシル)、P(CH2Ph)2Et、P(CH2Ph)Et2、P(C6F5)Ph2、P(p-C6H4F)3、P(p-C6H4Cl)3、P(C6F5)2Ph、P(o-C6H4F)3、P(o-C6H4Cl)3、P(2-フラニル)3、P(2-チエニル)3、P(n-オクチル)3、P(p-C6H4NO2)3
【化2】

(式中、Cy = シクロヘキシル)
である、請求項11に記載のマイクロカプセル化触媒−配位子系。
【請求項13】
触媒及び配位子の存在下で界面重合によりマイクロカプセルシェルを形成することを含む、マイクロカプセル化触媒−配位子系の調製方法。
【請求項14】
下記を含むマイクロカプセル化触媒−配位子系の調製方法:
(a)触媒及び配位子を第1相中に溶解もしくは分散させる工程;
(b)第1相を第2の連続相に分散させてエマルジョンを形成する工程;
(c)分散した第1相及び連続第2相の間の界面で1以上のマイクロカプセル壁形成物質を反応させて、分散された第1相核を封入するマイクロカプセルポリマーシェルを形成する工程;及び場合によって
(d)連続相からマイクロカプセルを回収する工程。
【請求項15】
触媒の存在下で界面重合によりマイクロカプセルシェルを形成し、マイクロカプセルシェルを配位子で処理することを含むプロセスにより得ることができるマイクロカプセル化触媒−配位子系。
【請求項16】
下記工程を含むマイクロカプセル化触媒−配位子系の調製方法:
(a)触媒を第1相中に溶解または分散させる工程;
(b)第1相を第2の連続相に分散させてエマルジョンを形成する工程;
(c)分散された第1相と連続第2相との間の界面で1以上のマイクロカプセル壁形成物質を反応させて、分散された第1相核を封入するマイクロカプセルポリマーシェルを形成させる工程;及び
(d)マイクロカプセルを配位子で処理する工程。
【請求項17】
配位子の存在下で界面重合し、マイクロカプセルシェルを触媒溶液で処理することによりマイクロカプセルシェルを形成することを含むプロセスにより得ることができるマイクロカプセル化触媒−配位子系。
【請求項18】
下記工程を含むマイクロカプセル化触媒−配位子系の調製方法:
(a)配位子を第1相中に溶解または分散させる工程;
(b)第1相を第2の連続相中に分散させてエマルジョンを形成する工程;
(c)分散された第1相と連続第2相との間の界面で1以上のマイクロカプセル壁形成物質を反応させて、分散された第1相核を封入するマイクロカプセルポリマーシェルを形成する工程;及び
(d)マイクロカプセルを触媒溶液で処理する工程。
【請求項19】
界面重合は、メチロール基の約50〜約98%がC4-C10アルコールでエーテル化されているエーテル化ウレア−ホルムアルデヒド樹脂またはプレポリマーの自己縮合および/または架橋結合を含む請求項13、15または17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
界面重合は、少なくとも1のポリイソシアネートおよび/またはトリレンジイソシアネートの縮合を含む、請求項13、15または17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
ポリイソシアネートおよび/またはトリレンジイソシアネートは、1-クロロ-2,4-フェニレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート(及びこの水素化誘導体)、p-フェニレンジイソシアネート(及びこの水素化誘導体)、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、2,4-トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(60% 2,4-異性体、40% 2,6-異性体)、2,6-トリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(2-メチルフェニルイソシアネート)、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、2,2’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートの80% 2,4-異性体及び20% 2,6-異性体、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMPPI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート及び1,5-ナフチレンジイソシアネートからなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
架橋試薬が存在する、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
未反応アミン基は、モノイソシアネート、酸クロリドまたはクロロ蟻酸との後反応により、ウレア基、アミド基もしくはウレタン基に変換される、請求項19〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
壁形成物質は、メチロール基の約50〜約98%がC4-C10アルコールでエーテル化されているエーテル化ウレア−ホルムアルデヒド樹脂またはプレポリマーを含む、請求項14、16または18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
壁形成物質は、少なくとも1のポリイソシアネートおよび/またはトリレンジイソシアネートを含む、請求項14、16または18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
ポリイソシアネートおよび/またはトリレンジイソシアネートは、1-クロロ-2,4-フェニレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート(及びこの水素化誘導体)、p-フェニレンジイソシアネート(及びこの水素化誘導体)、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、2,4-トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(60% 2,4-異性体、40% 2,6-異性体)、2,6-トリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(2-メチルフェニルイソシアネート)、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、2,2’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートの80% 2,4-異性体及び20% 2,6-異性体、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMPPI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート及び1,5-ナフチレンジイソシアネートからなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
壁形成物質は架橋結合試薬を含む、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
触媒は無機触媒であり、好ましくは遷移金属触媒である、請求項13〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
触媒は遷移金属触媒であり、遷移金属は、白金、パラジウム、オスミウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、スカンジウム、セリウム、サマリウム、イットリウム、イットリビウム、ルテチウム、コバルト、チタン、クロム、銅、鉄、ニッケル、マンガン、錫、水銀、銀、金、亜鉛、バナジウム、タングステン及びモリブデンである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
触媒は遷移金属触媒であり、遷移金属はパラジウムであり、好ましくは有機溶媒可溶性形態のパラジウムであり、最も好ましくは酢酸パラジウムである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
配位子は、N、O、P及びSから選択される1以上のヘテロ原子を含む有機部位である、請求項13〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
配位子は式(1):
【化3】

(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、場合によっては置換されているヒドロカルビル基、場合によっては置換されているヒドロカルビルオキシ基または場合によっては置換されている複素環基であるか、あるいはR1とR2、R1とR3、R2とR3の1以上は場合によっては置換されている1または複数の環を形成する態様で場合によっては結合されている)
の有機配位子である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
配位子は、PMe2CF3、P(OEt)3、P(Et)3、P(Bu)3、P(シクロヘキシル)3、PPhEt2、PPh2Me、PPh3、P(CH2Ph)3、P(CH2Ph)Ph2、P(p-トリル)3、P(o-C6H4OMe)3、P(OPh)3、P(O-p-トリル)3、P(p-C6H4OMe)3、P(o-トリル)3、P(m-トリル)3、PMe3、PPhMe2、PPh2Et、P(i-Pr)3、P(t-Bu)3、PPhCH2Ph、PPh2OEt、PPh(OEt)2、P(O-o-トリル)3、P(OMe)3、P(n-Pr)3、PPh(i-Pr)2、PPh2(i-Pr)、PPhBu2、PPh2Bu、P(i-Bu)3、PPh(シクロヘキシル)2、PPh2(シクロヘキシル)、P(CH2Ph)2Et、P(CH2Ph)Et2、P(C6F5)Ph2、P(p-C6H4F)3、P(p-C6H4Cl)3、P(C6F5)2Ph、P(o-C6H4F)3、P(o-C6H4Cl)3、P(2-フラニル)3、P(2-チエニル)3、P(n-オクチル)3、P(p-C6H4NO2)3
【化4】

(式中、Cy = シクロヘキシル)
である、請求項32に記載の方法。

【公表番号】特表2007−502203(P2007−502203A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523056(P2006−523056)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003504
【国際公開番号】WO2005/016510
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(506051636)リアクサ・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】