マイクロトランス、その製造方法、信号伝送デバイスおよびその製造方法
【課題】製造コストが低いマイクロトランスおよびその製造方法と、このマイクロトランスを有する信号伝送デバイスおよびその製造方法と、を提供すること。
【解決手段】マイクロトランス100の1次側103と2次側102を隔てる絶縁層104に、バンプ用パッド29およびボンディングパッド31,32と、これらを電気的に接続する配線パターン30を形成する。バンプ用パッド29に、バンプ34を塗布し、1次側103の、1次コイル22の中心および外端と電気的に接続されたバンプ用パッド28をそれぞれ接続する。また、マイクロトランス100と励磁回路IC200をバンプ接続により固定し、マイクロトランス100と、励磁回路IC200および受信回路IC300と、をそれぞれボンディング線を介して電気的に接続する。
【解決手段】マイクロトランス100の1次側103と2次側102を隔てる絶縁層104に、バンプ用パッド29およびボンディングパッド31,32と、これらを電気的に接続する配線パターン30を形成する。バンプ用パッド29に、バンプ34を塗布し、1次側103の、1次コイル22の中心および外端と電気的に接続されたバンプ用パッド28をそれぞれ接続する。また、マイクロトランス100と励磁回路IC200をバンプ接続により固定し、マイクロトランス100と、励磁回路IC200および受信回路IC300と、をそれぞれボンディング線を介して電気的に接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気的に絶縁された電気回路間で信号伝送をおこなうマイクロトランス、その製造方法、信号伝送デバイスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サージなどの高電圧印加時に、素子の破壊を引き起こし得るような電圧が通過しないように、電気的に絶縁された電気回路間で信号伝送をおこなう方式がある。この方式の一つとして、トランスによる誘導性結合を利用したものがある。そして、最近のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術の進展などにより、トランスは、より小型になってきている。それゆえ、トランスと集積回路との集積化が可能になってきている。以下、この小型のトランスをマイクロトランスと呼び、このマイクロトランスを用いる信号伝送方式をマイクロトランス方式と呼ぶ。
【0003】
また、車両などの輸送機器における駆動システムには、高効率化や省エネルギー対策として、電源、昇降圧コンバータおよびインバータが備えられている。昇降圧コンバータには、リアクトル、コンデンサ、スイッチング素子およびこのスイッチング素子を制御する回路が備えられている。近年、このスイッチング素子の駆動を制御するためのPWM(Pulse Width Modulation)信号を、マイクロトランスを用いて絶縁伝送する技術が提案されている。
【0004】
図22は、従来のマイクロトランスの構造を示す平面図である。また、図23は、図22の切断線E−E'における断面構造を示す断面図である。図23に示すように、従来のマイクロトランスは、1次コイル60と2次コイル61が、たとえば、ポリイミド層62によって隔てられている。ここで、従来のマイクロトランスの製造方法においては、1次コイル60の上にポリイミド層62を塗布することにより形成する。そして、ポリイミド層62の上に2次コイル61を形成する。このように塗布によってポリイミド層62を形成する場合、ポリイミド層62の厚さは、およそ20μm程度が上限となる。
【0005】
ここで、ポリイミド層62の厚さが厚くなると、耐圧が上がる。したがって、たとえば、1200Vクラスの耐圧を得るには、ポリイミド層62の厚さが50μm程度必要である。このため、塗布によってポリイミド層62を形成する場合、所望の耐圧を得られないことがある。所望の耐圧を得る方法としては、たとえば、コイルの周囲に保護リングを設ける方法が提案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/230837号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した技術では、所望の耐圧を得るためには、たとえば、保護リングなどを設けなければならないため、製造コストが高くなるといった問題がある。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、製造コストが低いマイクロトランス、その製造方法、信号伝送デバイスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかるマイクロトランスは、第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスであって、前記絶縁層のおもて面に、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドとバンプ接続をおこなうための第1のバンプ用パッドと、外部回路とボンディング接続をおこなうためのボンディングパッドと、前記第1のバンプ用パッドと前記ボンディングパッドを電気的に接続する配線と、を備え、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと前記第1のバンプ用パッドがバンプにより接合されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明にかかるマイクロトランスは、請求項1に記載の発明において、前記絶縁層の裏面に、前記外部回路を有する基板とバンプ接続をおこなうための第2のバンプ用パッドを備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の発明にかかるマイクロトランスは、第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスであって、前記絶縁層のおもて面に、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドとバンプ接続をおこなうための第1のバンプ用パッドを備え、当該第1のバンプ用パッドと前記パッドがバンプにより接合されており、前記絶縁層の裏面に、外部回路に電気的に接続されるパッドとバンプ接続をおこなうための第3のバンプ用パッドを備え、さらに、前記絶縁層に、当該絶縁層のおもて面から裏面に貫通する貫通孔と、前記貫通孔を介して、前記第1のバンプ用パッドと前記第3のバンプ用パッドを電気的に接続する配線と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明にかかるマイクロトランスは、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記第1のコイルの中心に接続された引き出し配線と、当該第1のコイルと、の間に絶縁膜を備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の発明にかかるマイクロトランスは、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記絶縁層は、フレキシブルなフィルムであることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6の発明にかかるマイクロトランスの製造方法は、第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスの製造方法であって、前記絶縁層のおもて面に、第1のバンプ用パッドと、ボンディングパッドと、これらを電気的に接続する配線と、を形成するおもて面形成工程と、前記第1のバンプ用パッドにバンプを塗布する塗布工程と、前記第1の基板および前記第2の基板と、当該絶縁層と、の間に熱硬化性テープを配置するテープ配置工程と、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう位置合わせ工程と、前記バンプおよび前記熱硬化性テープを加熱して、前記第1の基板および前記第2の基板と、前記絶縁層と、を接着するとともに、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドをバンプにより接合する接着工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、請求項7の発明にかかるマイクロトランスの製造方法は、第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスの製造方法であって、前記絶縁層のおもて面に、第1のバンプ用パッドを形成するおもて面形成工程と、前記絶縁層の裏面に、第3のバンプ用パッドを形成する裏面形成工程と、前記絶縁層のおもて面から裏面へ貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔を介して、前記第1のバンプ用パッドと、前記第3のバンプ用パッドと、が電気的に接続されるように配線を形成する配線形成工程と、前記第1のバンプ用パッドにバンプを塗布する塗布工程と、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう位置合わせ工程と、前記第1の基板および前記第2の基板と、当該絶縁層と、の間に熱硬化性テープを配置するテープ配置工程と、前記バンプおよび前記熱硬化性テープを加熱して、前記第1の基板および前記第2の基板と、前記絶縁層と、を接着するとともに、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドをバンプにより接合する接着工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、請求項8の発明にかかる信号伝送デバイスは、第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスと、外部回路と、の間で信号を伝送する信号伝送デバイスであって、前記マイクロトランスは、前記絶縁層のおもて面に、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドとバンプ接続をおこなうための第1のバンプ用パッドと、前記外部回路とボンディング接続をおこなうための第1ボンディングパッドと、前記第1のバンプ用パッドと前記第1ボンディングパッドを電気的に接続する配線と、を備え、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと前記第1のバンプ用パッドがバンプにより接合されており、前記絶縁層の裏面に、前記外部回路を有する基板とバンプ接続をおこなうための第2のバンプ用パッドを備え、前記外部回路を有する基板は、前記マイクロトランスとバンプ接続をおこなうための第4のバンプ用パッドを備え、前記外部回路は、前記マイクロトランスとボンディング接続をおこなうための第2ボンディングパッドを備え、前記第2のバンプ用パッドと前記第4のバンプ用パッドがバンプにより接合されることで前記マイクロトランスと前記外部回路がバンプ接続によって固定され、前記第1ボンディングパッドと前記第2ボンディングパッドがボンディングワイヤを介して電気的に接続されることで、前記マイクロトランスと前記外部回路との信号の授受がボンディングワイヤによっておこなわれることを特徴とする。
【0017】
また、請求項9の発明にかかる信号伝送デバイスは、第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスと、外部回路と、の間で信号を伝送する信号伝送デバイスであって、前記マイクロトランスは、前記絶縁層のおもて面に、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドとバンプ接続をおこなうための第1のバンプ用パッドを備え、前記絶縁層の裏面に、前記外部回路に電気的に接続されるパッドとバンプ接続をおこなうための第3のバンプ用パッドを備え、さらに、前記絶縁層に、当該絶縁層のおもて面から裏面に貫通する貫通孔と、前記貫通孔を介して、前記第1のバンプ用パッドと前記第3のバンプ用パッドを電気的に接続する配線と、を備え、前記外部回路は、前記マイクロトランスとバンプ接続をおこなうための第5のバンプ用パッドを備え、前記第3のバンプ用パッドと、前記第5のバンプ用パッドと、がバンプにより接合されていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項10の発明にかかる信号伝送デバイスの製造方法は、第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスと、外部回路と、の間で信号を伝送する信号伝送デバイスの製造方法であって、前記絶縁層のおもて面に、第1のバンプ用パッドと、第1ボンディングパッドと、これらを電気的に接続する配線と、を形成するおもて面形成工程と、前記絶縁層の裏面に、第2のバンプ用パッドを形成する裏面形成工程と、前記外部回路に、第2ボンディングパッドを形成し、当該外部回路を有する基板に第4のバンプ用パッドを形成する外部回路形成工程と、前記第1のバンプ用パッドにバンプを塗布する第1塗布工程と、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう第1位置合わせ工程と、前記第1の基板および前記第2の基板と、当該絶縁層と、の間に熱硬化性テープを配置するテープ配置工程と、前記バンプおよび前記熱硬化性テープを加熱して、前記第1の基板および前記第2の基板と、前記絶縁層と、を接着する接着工程と、前記第4のバンプ用パッドにバンプを塗布する第2塗布工程と、前記第2のバンプ用パッドと、前記第4のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう第2位置合わせ工程と、前記バンプを加熱して、前記マイクロトランスと、前記外部回路と、を固定する固定工程と、前記第1ボンディングパッドと、前記第2ボンディングパッドと、をボンディングワイヤを介して電気的に接続するボンディング工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、請求項11の発明にかかる信号伝送デバイスの製造方法は、第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスと、外部回路と、の間で信号を伝送する信号伝送デバイスの製造方法であって、前記絶縁層のおもて面に、第1のバンプ用パッドを形成するおもて面形成工程と、前記絶縁層の裏面に、第3のバンプ用パッドを形成する裏面形成工程と、前記絶縁層のおもて面から裏面へ貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔を介して、前記第1のバンプ用パッドと、前記第3のバンプ用パッドと、が電気的に接続されるように配線を形成する配線形成工程と、前記第1のバンプ用パッドにバンプを塗布する第1塗布工程と、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう第1位置合わせ工程と、前記第1の基板および前記第2の基板と、当該絶縁層と、の間に熱硬化性テープを配置するテープ配置工程と、前記第3のバンプ用パッドにバンプを塗布する第2塗布工程と、前記外部回路に形成された、当該外部回路に電気的に接続されるパッドと、前記第3のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう第2位置合わせ工程と、前記バンプおよび前記熱硬化性テープを加熱して、前記第1の基板および前記第2の基板と、前記絶縁層と、前記外部回路と、を接着する接着工程と、を含むことを特徴とする。
【0020】
上記請求項1,2,4〜6,8,10の発明によれば、絶縁層のおもて面側のコイルからの信号を、絶縁層に設けられた配線を介して、外部回路と授受することができる。したがって、コイルの設けられた絶縁体基板に、スルーホールを設けなくてよいため、製造コストが低くなる。
【0021】
また、請求項3,4,7,9,11の発明によれば、絶縁層のおもて面側のコイルからの信号を、絶縁層に設けられたスルーホールを介して外部回路と授受することができる。したがって、コイルの設けられた高硬度の絶縁体基板にスルーホールを設けなくてよいため、低コストで簡単にスルーホールを設けることができる。
【0022】
また、請求項5の発明によれば、絶縁層のおもて面側のコイルからの信号を、絶縁層に設けられたスルーホールを介して外部回路と授受することができる。したがって、コイルの設けられた高硬度の絶縁体基板ではなく、フレキシブルな材料である絶縁層にスルーホールを設けるため、低コストで簡単にスルーホールを設けることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかるマイクロトランス、その製造方法、信号伝送デバイスおよびその製造方法によれば、製造コストが低いという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるマイクロトランスおよびその製造方法と、このマイクロトランスを有する信号伝送デバイスおよびその製造方法と、の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明およびすべての添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0025】
(実施の形態1)
まず、従来のマイクロトランスより素子耐圧の高いマイクロトランスについて説明する。図1は、素子耐圧の高いマイクロトランスの構造を示す断面図である。図1に示すように、素子耐圧の高いマイクロトランスは、1次コイル22を有する1次側101と、2次コイル6を有する2次側102が、厚いポリイミドフィルム26によって隔てられている。ここで、ポリイミドフィルム26の厚さが厚いほど、素子耐圧は高くなる。したがって、所望の厚さのポリイミドフィルム26を用いることで、所望の素子耐圧を得ることができる。
【0026】
また、絶縁体基板21の裏面側に設けられた1次コイル22と、絶縁体基板21のおもて面側に設けられたボンディングパッド70と、を貫通孔71を介して電気的に接続する導体パターン72が設けられている。ここで、貫通孔71の側面にも導体パターン72が設けられることで、たとえば、特開2005−5685に示すように、貫通孔71がスルーホールとしての機能を果たす。
【0027】
つぎに、図1に示すマイクロトランスの製造方法について説明する。図2〜図6は、図1に示すマイクロトランスの製造方法を順に示す断面図である。まず、図2に示すように、シリコン(Si)などの半導体基板1の表面にリンやボロンなどを拡散させた不純物拡散領域2を選択的に形成する。ついで、この不純物拡散領域2を2次コイル6から絶縁させるため、たとえば、プラズマCVD法により基板全面にシリコン酸化膜(SiO2)などを堆積して、絶縁膜3を形成する。
【0028】
ついで、レジストで所望のパターンのマスクを作成し、エッチングをおこなう。これによって、絶縁膜3を部分的に除去し、第1の開口部4および第2の開口部5を作成する。そして、レジストを薬品により剥離する。ついで、基板全面に、たとえば、アルミニウムや銅などの金属膜をスパッタにより堆積する。さらに、フォトリソグラフィ工程により、2次コイル6を形成する。ここで、2次コイル6の中心部分には、中心パッド7が形成される。この中心パッド7は、第1の開口部4を介して不純物拡散領域2に接触する。また、図示はしないが、2次コイル6の外端から伸びた配線に接するように、外端パッドが形成される。2次コイル6の形成と同時に、中心引き出しパッド10が形成される。また、この中心引き出しパッド10が、第2の開口部5を介して不純物拡散領域2に接触するように、配線パターン12が形成される。そして、レジストを薬品により剥離する。
【0029】
ついで、プラズマCVD法により基板全面にシリコン酸化膜を堆積する。ここで、2次コイル6の上に堆積されたシリコン酸化膜の表面には、凹凸があるため、斜めエッチングにより平坦化する。これによって絶縁膜11を形成する。ついで、レジストで所望のパターンのマスクを作成し、エッチングをおこなう。これによって、絶縁膜11を部分的に除去し、外端パッドおよび中心引き出しパッド10を露出させる。そして、レジストを薬品により剥離する。このようにして、マイクロトランスの2次側102が形成される。
【0030】
一方、図3に示すように、半導体基板1とは別に、たとえば、セラミックやガラスなどの絶縁体基板21を用意し、この絶縁体基板21の裏面側に、フォトリソグラフィ工程により1次コイル22を形成する。1次コイル22の外端部分には、外端パッド23が形成される。ついで、絶縁体基板21の裏面側の全面に、プラズマCVD法によりシリコン酸化膜を堆積して、絶縁膜24を形成する。さらに、絶縁膜24を選択的に除去して、外端パッド23を露出させる。また、絶縁体基板21のおもて面側に、外部と接続するためのボンディングパッド70を形成する。
【0031】
ついで、図4に示すように、サンドブラスト法などにより絶縁体基板21の両面から孔を開け、貫通孔71を形成する。さらに、図5に示すように、絶縁体基板21の裏面側に形成された外端パッド23と、絶縁体基板21のおもて面側に形成されたボンディングパッド70と、を電気的に接続するための導体パターン72を、電解めっき処理により形成する。このとき、貫通孔71の側面にも導体パターン72を形成する。また、図5または図6においては、導体パターン72の左側と右側とは、離れているように見えるが、図示しない領域で電気的に接続されている。
【0032】
ついで、図6に示すように、1次コイル22側の裏面側の絶縁膜24の上に、DAFテープなどの熱硬化性テープ25を介してポリイミドフィルム26を貼り合わせる。そして、ポリイミドフィルム26の1次コイル22側が貼り合わされていない側の面に、熱硬化性テープ27を貼り付ける。ついで、図1に示すように、ポリイミドフィルム26の熱硬化性テープ27が貼り付けられた面を、2次コイル6側の絶縁膜11に貼り合わせる。そして、高温下で熱硬化性テープ27の熱硬化接着をおこなう。しかしながら、絶縁体基板21に貫通孔を設けると、製造コストが高くなってしまう。
【0033】
そこで、実施の形態1においては絶縁体基板にスルーホールを設けないマイクロトランスが提案されている。つぎに、本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの構造について説明する。図7は、本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの構造を示す概略図である。図7に示すように実施の形態1にかかるマイクロトランス100は、1次コイル22を有する1次側103と、2次コイル6を有する2次側102と、が絶縁層104によって隔てられている。また、マイクロトランス100の1次側103の裏面側に設けられたバンプ用パッド28と、絶縁層104のおもて面側に設けられたバンプ用パッド29とが、たとえば、半田バンプやスタッドバンプなどのバンプ34を介して接合されている。
【0034】
なお、図7に示すマイクロトランス100においては、1次側103を絶縁体基板21を用いて作製する例について説明したが、1次側103の基板にスルーホールを設ける必要のないマイクロトランスにおいては、1次側103および2次側102をともに半導体基板を用いて作製してもよい。この場合、1次側103の構造は、2次側102の構造と同様の構造でもよい。具体的には、1次側103、2次側102および絶縁層104の形状が、絶縁層104と、1次側103および2次側102とを、熱硬化性テープ25,27を用いて貼り合わせることのできる形状であればよい。
【0035】
つぎに、実施の形態1にかかるマイクロトランス100の構造について詳細に説明する。まず、マイクロトランス100の2次側102の構造について説明する。図8は、本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの2次側の構造を示す上面図である。また、図9は、図8の切断線A−A'における断面構造を示す断面図である。図8または図9に示すように、マイクロトランス100の2次側102は、半導体基板1を用いて作製されている。半導体基板1の表面には、不純物拡散領域2が選択的に設けられている。また、基板全面には、絶縁膜3が設けられている。絶縁膜3には、第1の開口部4と、第2の開口部5と、が不純物拡散領域2に達するように設けられている。
【0036】
絶縁膜3の表面には、2次コイル6が設けられている。2次コイル6の形状は、たとえば、渦巻き形状である。2次コイル6の中心が、第1の開口部4において不純物拡散領域2と接している。また、配線パターン12を介して、中心引き出しパッド10が、第2の開口部5において不純物拡散領域2と接している。2次コイル6の外端から続く配線8は、外端パッド9に接続されている。これら、外端パッド9および中心引き出しパッド10が、受信回路IC300のボンディングパッド301、302と、それぞれボンディング線を介して電気的に接続されることによって、2次コイル6の中心および外端と、受信回路IC300と、の間で信号を授受することができる。
【0037】
つぎに、マイクロトランス100の1次側103の構造について説明する。図10は、本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの1次側の構造を示す下面図である。また、図11は、図10の切断線B−B'を矢印の方向に見た断面構造を示す矢視断面図である。図10または図11に示すように、マイクロトランス100の1次側103は、たとえば、セラミックやガラスなどの高硬度の絶縁体基板21を用いて作製されている。絶縁体基板21の裏面側の表面には、1次コイル22が設けられている。絶縁体基板21および1次コイル22の表面には、絶縁膜24が設けられている。
【0038】
また、絶縁膜24の、1次コイル22の中心の領域には、第3の開口部が設けられている。そして、この第3の開口部に1次コイル22の中心パッド41Aが設けられている。この中心パッド41Aを介して、1次コイル22の中心と配線パターン42が接触している。また、バンプ用パッド28Aとこれに接続される配線パターン41Cは、絶縁体基板21の表面に形成されている。絶縁膜24の、配線パターン41Cの領域には、第4の開口部が設けられている。そして、この第4の開口部に接続用パッド41Bが設けられており、配線パターン41Cと配線パターン42とが、接続用パッド41Bを介して接続される。これによって、バンプ用パッド28Aは、配線パターン41C、接続用パッド41Bおよび配線パターン42を介して、1次コイル22の中心と電気的に接続されている。
【0039】
また、バンプ用パッド28Bは、絶縁体基板21の表面に形成されており、配線パターン43を介して1次コイル22の外端と電気的に接続されている。ここで、バンプ用パッド28A,28Bが形成されている領域には、絶縁膜24が形成されていないため、絶縁膜24の表面とバンプ用パッド28A,28Bの表面との間に段差が形成される。この段差の高さを後述する絶縁層104に形成されたバンプ用パッド29A,29B(図12,13参照)とその上に塗布されるバンプとを合わせた高さと同程度の高さにすることで、1次側103と絶縁層104とを隙間が無いように接合することができる。
【0040】
なお、図10および図11に示すように、1次側103の基板にスルーホールを設ける必要がないので、1次側103を、絶縁体基板21ではなく半導体基板を用いて作製してもよい。この場合、1次側103の構造を、図8および図9に示す2次側102の構造と同様の構造としてもよい。このように、1次側103を半導体基板を用いて作製することで、1次側103を2次側102と同様の製造工程で形成することができる。このため、1次コイル22の中心側の一端を外部に導出するための立体的な配線を容易に形成することできる。また、この場合、絶縁膜24の部分的な除去を行って、バンプの高さを吸収するための段差を容易に形成することができる。
【0041】
つぎに、マイクロトランス100の絶縁層104の構造について説明する。図12は、本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの絶縁層の構造を示す上面図である。また、図13は、図12の切断線C−C'を矢印の方向に見た断面構造を示す矢視断面図である。図12または図13に示すように、マイクロトランス100の絶縁層104は、たとえば、フレキシブルなポリイミドフィルム26を用いて作製されている。ポリイミドフィルム26のおもて面側には、バンプ用パッド29A,29Bが設けられており、それぞれ、配線パターン30A,30Bを介して、ボンディングパッド32,31に電気的に接続されている。また、ポリイミドフィルム26の裏面側には、バンプ用パッド33が設けられている。
【0042】
バンプ用パッド29A,29Bは、1次側のバンプ用パッド28A,28Bと、バンプを介して接合される。バンプ用パッド33は、励磁回路IC200のバンプ用パッド201と、バンプ204を介して接合される。ボンディングパッド31,32は、励磁回路IC200のボンディングパッド202,203と、ボンディング線を介して電気的に接続される。これによって、1次コイル22の中心および外端と、励磁回路IC200と、の間で信号を授受することができる。
【0043】
つぎに、本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスを有する信号伝送デバイスの構造について説明する。図14は、本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスを有する信号伝送デバイスの構造を示す概略図である。図14に示すように実施の形態1にかかる信号伝送デバイスは、マイクロトランス100と、励磁回路IC200と、受信回路IC300と、によって構成されている。
【0044】
信号伝送デバイスにおいては、マイクロトランス100の、絶縁層104の裏面側に設けられたバンプ用パッド33と、励磁回路IC200に設けられたバンプ用パッド201と、がバンプ204を介して接合されている。これによって、マイクロトランス100と、励磁回路IC200と、が一体化されている。さらに、マイクロトランス100に設けられた中心引き出しパッド10と、受信回路IC300に設けられたボンディングパッド302と、がボンディング線を介して電気的に接続されている。また、図示しない領域で、マイクロトランス100に設けられた外端パッド9(図8参照)と、受信回路IC300に設けられた他のボンディングパッドと、がボンディング線を介して電気的に接続されている。そして、マイクロトランス100に設けられたボンディングパッド31,32と、励磁回路IC200に設けられたボンディングパッド202,203と、がボンディング線によってそれぞれ電気的に接続されている。ここで、励磁回路IC200においては、たとえば、入力パルスのエッジから、セット・リセットトランスの励磁パルスを形成して、FETにより電流を流して励磁する。また、受信回路IC300においては、たとえば、セット・リセットトランスの受信パルスにより、パルスを復調する。
【0045】
つぎに、実施の形態1にかかるマイクロトランスを有する信号伝送デバイスの製造方法について説明する。図15〜図17は、実施の形態1にかかる信号伝送デバイスの製造方法について順に示す断面図である。まず、図8または図9に示すように、図1に示すマイクロトランスの製造方法と同様に、マイクロトランスの2次側102を形成する。
【0046】
一方、図10または図11に示すように、半導体基板1とは別に、たとえば、セラミックやガラスなどの絶縁体基板21を用意し、この絶縁体基板21の裏面側に、フォトリソグラフィ工程により1次コイル22、絶縁層104と接合するためのバンプ用パッド28A,28B、および、バンプ用パッド28Aと接続される配線パターン41Cを形成する。ついで、絶縁体基板21の裏面側の全面に、プラズマCVD法によりシリコン酸化膜を堆積して、絶縁膜24を形成する。このとき、絶縁膜24の表面とバンプ用パッド28A,28Bの表面との高さが、絶縁層104に形成されたバンプ用パッド29A,29Bとその上に塗布されるバンプ34とを合わせた高さと同程度となるように絶縁膜24を形成する。
【0047】
ついで、絶縁膜24を選択的に除去して、1次コイル22の中心部分に達するように第3の開口部を形成し、1次コイル22の中心パッド41Aを形成する。同時に、絶縁膜24を選択的に除去して、配線パターン41Cに達するように第4の開口部を形成し、接続用パッド41Bを形成する。このとき、バンプ用パッド28Aが、配線パターン41Cおよび接続用パッド41Bを介して1次コイル22の中心パッド41Aと電気的に接続するように、配線パターン42を形成する。また、バンプ用パッド28Bを1次コイル22の外端と電気的に接続するように、配線パターン43を形成する。このようにして、マイクロトランス100の1次側103が形成される。なお、1次側103を半導体基板を用いて作製する場合、図8および図9に示す2次側102の製造方法と同様の方法で製造してもよい。
【0048】
一方、絶縁層104は、図12または図13に示すように、ポリイミドフィルム26を用いて作製される。ポリイミドフィルム26のおもて面側に、1次側103と接合するためのバンプ用パッド29A,29Bと、励磁回路IC200とボンディング線によって接続するボンディングパッド31,32と、を形成する。そして、バンプ用パッド29A,29Bと、ボンディングパッド32,31と、をそれぞれ電気的に接続するように、配線パターン30A,30Bを形成する。ついで、ポリイミドフィルム26の裏面側に、励磁回路IC200と接合するためのバンプ用パッド33を形成する。
【0049】
ついで、図15に示すように、絶縁層104のおもて面側に設けられたバンプ用パッド29A,29B(図12参照)にそれぞれバンプ34を塗布する。そして、図16に示すように、バンプ用パッド29A,29B(図12参照)が、それぞれ1次側103に設けられたバンプ用パッド28A,28B(図10参照)と重なるように位置合わせをおこなう。ついで、図7に示すように、2次側102のおもて面側と、絶縁層104の裏面側と、の間にDAFテープなどの熱硬化性テープ27を挟む。また、絶縁層104のおもて面側と、1次側103の裏面側と、の間に熱硬化性テープ25を挟む。このようにして、マイクロトランス100が形成される。
【0050】
ついで、図17に示すように、励磁回路IC200に設けられたバンプ用パッド201にバンプ204を塗布する。そして、このバンプ用パッド201を、絶縁層104の裏面側に設けられたバンプ用パッド33と重ね合わせて、上部から押しつける。ついで、マイクロトランス100および励磁回路IC200を高温炉で加熱して、バンプ34,204による溶融接合および熱硬化性テープ25,27による熱硬化接着をおこなう。これによって、バンプ用パッド29A,29Bとバンプ用パッド28A,28B、および、バンプ用パッド201とバンプ用パッド33を接合し、マイクロトランス100と励磁回路IC200を一体化する。
【0051】
ついで、図14に示すように、絶縁層104のおもて面側に形成されたボンディングパッド31,32と、励磁回路IC200に設けられたボンディングパッド202,203と、をそれぞれボンディング線を介して電気的に接続する。さらに、2次側102に設けられた中心引き出しパッド10と、受信回路IC300に設けられたボンディングパッド302と、をボンディング線を介して電気的に接続する。また、図示しない領域で2次側102に設けられた外端パッド9(図8参照)と、受信回路IC300に設けられた他のボンディングパッドと、をボンディング線を介して電気的に接続する。
【0052】
実施の形態1によれば、コイル間に挟まれた絶縁層に設けられた配線を介して、絶縁層の上側に設けられたコイルと外部装置との間で信号を授受することができる。したがって、スルーホールを設けなくてよいため、製造コストを低くすることができる。
【0053】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2にかかるマイクロトランスおよびこのマイクロトランスを有する信号伝送デバイスの構造について説明する。図18は、本発明の実施の形態2にかかるマイクロトランスを有する信号伝送デバイスの構造について示す概略図である。実施の形態2にかかるマイクロトランス110は、実施の形態1にかかるマイクロトランスと、絶縁層の構造、および、絶縁層と励磁回路IC210とを電気的に接続する方法が異なる。
【0054】
図19は、本発明の実施の形態2にかかるマイクロトランスの絶縁層の構造を示す上面図である。また、図20は、図19の切断線D−D'における断面構造を示す断面図である。図19または図20に示すように、絶縁層105は、ポリイミドフィルム26を用いて作製されている。ポリイミドフィルム26のおもて面側には、1次側103と接合するためのバンプ用パッド29A,29Bが設けられている。また、ポリイミドフィルム26の裏面側には、励磁回路IC210と接合するためのバンプ用パッド53,54が設けられている。
【0055】
また、ポリイミドフィルム26のおもて面側から裏面側へ貫通し、バンプ用パッド53,54に達するような貫通孔51,52がそれぞれ設けられている。配線パターン50A,50Bは、貫通孔51,52の側面にも設けられ、ポリイミドフィルム26のおもて面側のバンプ用パッド29A,29Bと、ポリイミドフィルム26の裏面側のバンプ用パッド53,54と、を電気的に接続する。貫通孔51,52は、側面に配線パターン50A,50Bが設けられることで、スルーホールとしての機能を果たす。
【0056】
また、バンプ用パッド29A,29Bは、1次側103のバンプ用パッド28A,28Bと、バンプ34を介して接合される。バンプ用パッド53,54は、励磁回路IC210のバンプ用パッド205,206と、バンプ207,208を介して接合される。したがって、マイクロトランス110の1次側103の外端パッド9および中心引き出しパッド10と、励磁回路IC210のバンプ用パッド205,206と、がそれぞれ電気的に接続されることとなる。これによって、1次コイル22の中心および外端と、励磁回路IC210と、の間で信号を授受することができる。
【0057】
つぎに、実施の形態2にかかるマイクロトランス110を有する信号伝送デバイスの製造方法について説明する。図21は、実施の形態2にかかる信号伝送デバイスの製造方法について示す断面図である。まず、実施の形態1にかかるマイクロトランス100の製造方法と同様に、1次側103と、2次側102と、を作製する。一方、絶縁層105は、図19および図20に示すように、ポリイミドフィルム26のおもて面側に、1次側103と接合するためのバンプ用パッド29A,29Bを形成する。ついで、ポリイミドフィルム26の裏面側に、励磁回路IC210と接続するためのバンプ用パッド53,54を形成する。
【0058】
ついで、サンドブラスト法などによりポリイミドフィルム26の両面から孔を開け、貫通孔51,52を形成する。貫通孔51,52は、それぞれバンプ用パッド53,54に達するように形成する。さらに、ポリイミドフィルム26の裏面側に形成されたバンプ用パッド53,54と、ポリイミドフィルム26のおもて面側に形成されたバンプ用パッド29A,29Bと、を電気的に接続するための配線パターン50A,50Bを電解めっき処理などによって形成する。このとき、貫通孔51,52の側面にも配線パターン50A,50Bを形成する。これによって、貫通孔51,52が、スルーホールとしての機能を果たす。
【0059】
ついで、実施の形態1と同様に、絶縁層105のおもて面側に設けられたバンプ用パッド29A,29Bにバンプ34を塗布する。そして、バンプ用パッド29A,29Bが、それぞれ1次側103に設けられたバンプ用パッド28A,28Bと重なるように位置合わせをおこなう。ついで、2次側102のおもて面側と、絶縁層105の裏面側と、の間に熱硬化性テープ27を挟む。また、絶縁層105のおもて面側と、1次側103の裏面側と、の間に熱硬化性テープ25を挟む。このようにして、マイクロトランス110が形成される。
【0060】
ついで、図21に示すように、励磁回路IC210に設けられた、マイクロトランス110と接合するためのバンプ用パッド205,206に、それぞれバンプ207,208を塗布する。そして、このバンプ用パッド205,206を、それぞれ絶縁層105の裏面側に設けられたバンプ用パッド53,54と重ね合わせて、上部から押しつける。ついで、マイクロトランス110および励磁回路IC210を高温炉で加熱して、バンプ34,207,208による溶融接合および熱硬化性テープ25,27による熱硬化接着をおこなう。
【0061】
これによって、バンプ用パッド29A,29Bとバンプ用パッド28A,28B、および、バンプ用パッド53,54とバンプ用パッド205,206を接合し、マイクロトランス110と励磁回路IC210を一体化する。ついで、図18に示すように、2次側102に設けられた中心引き出しパッド10と、受信回路IC300に設けられたボンディングパッド302と、をボンディング線を介して電気的に接続する。また、図示しない領域で、2次側102に設けられた外端パッド9(図8参照)と、受信回路IC300に設けられた他のボンディングパッドと、をボンディング線を介して電気的に接続する。
【0062】
実施の形態2によれば、コイル間に挟まれたポリイミドフィルムなどのフレキシブルな絶縁層に貫通孔を形成することで、絶縁層の上側に設けられたコイルと外部装置との間で信号を授受することができる。したがって、図1に示すマイクロトランスのようにセラミックやガラスなどの高硬度の絶縁体基板に貫通孔を形成するよりも、コストが低くなる。
【0063】
なお、実施の形態1または実施の形態2においては、絶縁層の上側に1次コイルが形成された場合に、1次コイルと励磁回路ICとをバンプで接合する場合について説明したが、これに限るものではない。たとえば、絶縁層の上側に2次コイルが形成された場合に、2次コイルと受信回路ICとをバンプで接合する場合に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明にかかるマイクロトランスおよびその製造方法は、スイッチング素子に有用であり、特に、輸送機器などに用いられるスイッチング素子の導通、非導通を指示する制御信号を絶縁伝送するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】素子耐圧の高いマイクロトランスの構造を示す断面図である。
【図2】図1に示すマイクロトランスの製造方法を示す断面図である。
【図3】図1に示すマイクロトランスの製造方法を示す断面図である。
【図4】図1に示すマイクロトランスの製造方法を示す断面図である。
【図5】図1に示すマイクロトランスの製造方法を示す断面図である。
【図6】図1に示すマイクロトランスの製造方法を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの構造を示す概略図である。
【図8】本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの2次側の構造を示す上面図である。
【図9】図8の切断線A−A'における断面構造を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの1次側の構造を示す下面図である。
【図11】図10の切断線B−B'を矢印の方向に見た断面構造を示す矢視断面図である。
【図12】本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの絶縁層の構造を示す上面図である。
【図13】図12の切断線C−C'を矢印の方向に見た断面構造を示す矢視断面図である。
【図14】本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスを有する信号伝送デバイスの構造を示す概略図である。
【図15】実施の形態1にかかる信号伝送デバイスの製造方法について示す断面図である。
【図16】実施の形態1にかかる信号伝送デバイスの製造方法について示す断面図である。
【図17】実施の形態1にかかる信号伝送デバイスの製造方法について示す断面図である。
【図18】本発明の実施の形態2にかかるマイクロトランスを有する信号伝送デバイスの構造について示す概略図である。
【図19】本発明の実施の形態2にかかるマイクロトランスの絶縁層の構造を示す上面図である。
【図20】図19の切断線D−D'における断面構造を示す断面図である。
【図21】実施の形態2にかかる信号伝送デバイスの製造方法について示す断面図である。
【図22】従来のマイクロトランスの構造を示す平面図である。
【図23】図22の切断線E−E'における断面構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0066】
6 2次コイル
9 外端パッド
10 中心引き出しパッド
22 1次コイル
28,29 バンプ用パッド
30 配線パターン
31,32,202,203,302 ボンディングパッド
100 マイクロトランス
102 2次側
103 1次側
104 絶縁層
200 励磁回路IC
300 受信回路IC
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気的に絶縁された電気回路間で信号伝送をおこなうマイクロトランス、その製造方法、信号伝送デバイスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サージなどの高電圧印加時に、素子の破壊を引き起こし得るような電圧が通過しないように、電気的に絶縁された電気回路間で信号伝送をおこなう方式がある。この方式の一つとして、トランスによる誘導性結合を利用したものがある。そして、最近のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術の進展などにより、トランスは、より小型になってきている。それゆえ、トランスと集積回路との集積化が可能になってきている。以下、この小型のトランスをマイクロトランスと呼び、このマイクロトランスを用いる信号伝送方式をマイクロトランス方式と呼ぶ。
【0003】
また、車両などの輸送機器における駆動システムには、高効率化や省エネルギー対策として、電源、昇降圧コンバータおよびインバータが備えられている。昇降圧コンバータには、リアクトル、コンデンサ、スイッチング素子およびこのスイッチング素子を制御する回路が備えられている。近年、このスイッチング素子の駆動を制御するためのPWM(Pulse Width Modulation)信号を、マイクロトランスを用いて絶縁伝送する技術が提案されている。
【0004】
図22は、従来のマイクロトランスの構造を示す平面図である。また、図23は、図22の切断線E−E'における断面構造を示す断面図である。図23に示すように、従来のマイクロトランスは、1次コイル60と2次コイル61が、たとえば、ポリイミド層62によって隔てられている。ここで、従来のマイクロトランスの製造方法においては、1次コイル60の上にポリイミド層62を塗布することにより形成する。そして、ポリイミド層62の上に2次コイル61を形成する。このように塗布によってポリイミド層62を形成する場合、ポリイミド層62の厚さは、およそ20μm程度が上限となる。
【0005】
ここで、ポリイミド層62の厚さが厚くなると、耐圧が上がる。したがって、たとえば、1200Vクラスの耐圧を得るには、ポリイミド層62の厚さが50μm程度必要である。このため、塗布によってポリイミド層62を形成する場合、所望の耐圧を得られないことがある。所望の耐圧を得る方法としては、たとえば、コイルの周囲に保護リングを設ける方法が提案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/230837号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した技術では、所望の耐圧を得るためには、たとえば、保護リングなどを設けなければならないため、製造コストが高くなるといった問題がある。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、製造コストが低いマイクロトランス、その製造方法、信号伝送デバイスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかるマイクロトランスは、第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスであって、前記絶縁層のおもて面に、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドとバンプ接続をおこなうための第1のバンプ用パッドと、外部回路とボンディング接続をおこなうためのボンディングパッドと、前記第1のバンプ用パッドと前記ボンディングパッドを電気的に接続する配線と、を備え、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと前記第1のバンプ用パッドがバンプにより接合されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明にかかるマイクロトランスは、請求項1に記載の発明において、前記絶縁層の裏面に、前記外部回路を有する基板とバンプ接続をおこなうための第2のバンプ用パッドを備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の発明にかかるマイクロトランスは、第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスであって、前記絶縁層のおもて面に、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドとバンプ接続をおこなうための第1のバンプ用パッドを備え、当該第1のバンプ用パッドと前記パッドがバンプにより接合されており、前記絶縁層の裏面に、外部回路に電気的に接続されるパッドとバンプ接続をおこなうための第3のバンプ用パッドを備え、さらに、前記絶縁層に、当該絶縁層のおもて面から裏面に貫通する貫通孔と、前記貫通孔を介して、前記第1のバンプ用パッドと前記第3のバンプ用パッドを電気的に接続する配線と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明にかかるマイクロトランスは、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記第1のコイルの中心に接続された引き出し配線と、当該第1のコイルと、の間に絶縁膜を備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の発明にかかるマイクロトランスは、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記絶縁層は、フレキシブルなフィルムであることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6の発明にかかるマイクロトランスの製造方法は、第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスの製造方法であって、前記絶縁層のおもて面に、第1のバンプ用パッドと、ボンディングパッドと、これらを電気的に接続する配線と、を形成するおもて面形成工程と、前記第1のバンプ用パッドにバンプを塗布する塗布工程と、前記第1の基板および前記第2の基板と、当該絶縁層と、の間に熱硬化性テープを配置するテープ配置工程と、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう位置合わせ工程と、前記バンプおよび前記熱硬化性テープを加熱して、前記第1の基板および前記第2の基板と、前記絶縁層と、を接着するとともに、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドをバンプにより接合する接着工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、請求項7の発明にかかるマイクロトランスの製造方法は、第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスの製造方法であって、前記絶縁層のおもて面に、第1のバンプ用パッドを形成するおもて面形成工程と、前記絶縁層の裏面に、第3のバンプ用パッドを形成する裏面形成工程と、前記絶縁層のおもて面から裏面へ貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔を介して、前記第1のバンプ用パッドと、前記第3のバンプ用パッドと、が電気的に接続されるように配線を形成する配線形成工程と、前記第1のバンプ用パッドにバンプを塗布する塗布工程と、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう位置合わせ工程と、前記第1の基板および前記第2の基板と、当該絶縁層と、の間に熱硬化性テープを配置するテープ配置工程と、前記バンプおよび前記熱硬化性テープを加熱して、前記第1の基板および前記第2の基板と、前記絶縁層と、を接着するとともに、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドをバンプにより接合する接着工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、請求項8の発明にかかる信号伝送デバイスは、第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスと、外部回路と、の間で信号を伝送する信号伝送デバイスであって、前記マイクロトランスは、前記絶縁層のおもて面に、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドとバンプ接続をおこなうための第1のバンプ用パッドと、前記外部回路とボンディング接続をおこなうための第1ボンディングパッドと、前記第1のバンプ用パッドと前記第1ボンディングパッドを電気的に接続する配線と、を備え、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと前記第1のバンプ用パッドがバンプにより接合されており、前記絶縁層の裏面に、前記外部回路を有する基板とバンプ接続をおこなうための第2のバンプ用パッドを備え、前記外部回路を有する基板は、前記マイクロトランスとバンプ接続をおこなうための第4のバンプ用パッドを備え、前記外部回路は、前記マイクロトランスとボンディング接続をおこなうための第2ボンディングパッドを備え、前記第2のバンプ用パッドと前記第4のバンプ用パッドがバンプにより接合されることで前記マイクロトランスと前記外部回路がバンプ接続によって固定され、前記第1ボンディングパッドと前記第2ボンディングパッドがボンディングワイヤを介して電気的に接続されることで、前記マイクロトランスと前記外部回路との信号の授受がボンディングワイヤによっておこなわれることを特徴とする。
【0017】
また、請求項9の発明にかかる信号伝送デバイスは、第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスと、外部回路と、の間で信号を伝送する信号伝送デバイスであって、前記マイクロトランスは、前記絶縁層のおもて面に、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドとバンプ接続をおこなうための第1のバンプ用パッドを備え、前記絶縁層の裏面に、前記外部回路に電気的に接続されるパッドとバンプ接続をおこなうための第3のバンプ用パッドを備え、さらに、前記絶縁層に、当該絶縁層のおもて面から裏面に貫通する貫通孔と、前記貫通孔を介して、前記第1のバンプ用パッドと前記第3のバンプ用パッドを電気的に接続する配線と、を備え、前記外部回路は、前記マイクロトランスとバンプ接続をおこなうための第5のバンプ用パッドを備え、前記第3のバンプ用パッドと、前記第5のバンプ用パッドと、がバンプにより接合されていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項10の発明にかかる信号伝送デバイスの製造方法は、第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスと、外部回路と、の間で信号を伝送する信号伝送デバイスの製造方法であって、前記絶縁層のおもて面に、第1のバンプ用パッドと、第1ボンディングパッドと、これらを電気的に接続する配線と、を形成するおもて面形成工程と、前記絶縁層の裏面に、第2のバンプ用パッドを形成する裏面形成工程と、前記外部回路に、第2ボンディングパッドを形成し、当該外部回路を有する基板に第4のバンプ用パッドを形成する外部回路形成工程と、前記第1のバンプ用パッドにバンプを塗布する第1塗布工程と、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう第1位置合わせ工程と、前記第1の基板および前記第2の基板と、当該絶縁層と、の間に熱硬化性テープを配置するテープ配置工程と、前記バンプおよび前記熱硬化性テープを加熱して、前記第1の基板および前記第2の基板と、前記絶縁層と、を接着する接着工程と、前記第4のバンプ用パッドにバンプを塗布する第2塗布工程と、前記第2のバンプ用パッドと、前記第4のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう第2位置合わせ工程と、前記バンプを加熱して、前記マイクロトランスと、前記外部回路と、を固定する固定工程と、前記第1ボンディングパッドと、前記第2ボンディングパッドと、をボンディングワイヤを介して電気的に接続するボンディング工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、請求項11の発明にかかる信号伝送デバイスの製造方法は、第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスと、外部回路と、の間で信号を伝送する信号伝送デバイスの製造方法であって、前記絶縁層のおもて面に、第1のバンプ用パッドを形成するおもて面形成工程と、前記絶縁層の裏面に、第3のバンプ用パッドを形成する裏面形成工程と、前記絶縁層のおもて面から裏面へ貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔を介して、前記第1のバンプ用パッドと、前記第3のバンプ用パッドと、が電気的に接続されるように配線を形成する配線形成工程と、前記第1のバンプ用パッドにバンプを塗布する第1塗布工程と、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう第1位置合わせ工程と、前記第1の基板および前記第2の基板と、当該絶縁層と、の間に熱硬化性テープを配置するテープ配置工程と、前記第3のバンプ用パッドにバンプを塗布する第2塗布工程と、前記外部回路に形成された、当該外部回路に電気的に接続されるパッドと、前記第3のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう第2位置合わせ工程と、前記バンプおよび前記熱硬化性テープを加熱して、前記第1の基板および前記第2の基板と、前記絶縁層と、前記外部回路と、を接着する接着工程と、を含むことを特徴とする。
【0020】
上記請求項1,2,4〜6,8,10の発明によれば、絶縁層のおもて面側のコイルからの信号を、絶縁層に設けられた配線を介して、外部回路と授受することができる。したがって、コイルの設けられた絶縁体基板に、スルーホールを設けなくてよいため、製造コストが低くなる。
【0021】
また、請求項3,4,7,9,11の発明によれば、絶縁層のおもて面側のコイルからの信号を、絶縁層に設けられたスルーホールを介して外部回路と授受することができる。したがって、コイルの設けられた高硬度の絶縁体基板にスルーホールを設けなくてよいため、低コストで簡単にスルーホールを設けることができる。
【0022】
また、請求項5の発明によれば、絶縁層のおもて面側のコイルからの信号を、絶縁層に設けられたスルーホールを介して外部回路と授受することができる。したがって、コイルの設けられた高硬度の絶縁体基板ではなく、フレキシブルな材料である絶縁層にスルーホールを設けるため、低コストで簡単にスルーホールを設けることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかるマイクロトランス、その製造方法、信号伝送デバイスおよびその製造方法によれば、製造コストが低いという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるマイクロトランスおよびその製造方法と、このマイクロトランスを有する信号伝送デバイスおよびその製造方法と、の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明およびすべての添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0025】
(実施の形態1)
まず、従来のマイクロトランスより素子耐圧の高いマイクロトランスについて説明する。図1は、素子耐圧の高いマイクロトランスの構造を示す断面図である。図1に示すように、素子耐圧の高いマイクロトランスは、1次コイル22を有する1次側101と、2次コイル6を有する2次側102が、厚いポリイミドフィルム26によって隔てられている。ここで、ポリイミドフィルム26の厚さが厚いほど、素子耐圧は高くなる。したがって、所望の厚さのポリイミドフィルム26を用いることで、所望の素子耐圧を得ることができる。
【0026】
また、絶縁体基板21の裏面側に設けられた1次コイル22と、絶縁体基板21のおもて面側に設けられたボンディングパッド70と、を貫通孔71を介して電気的に接続する導体パターン72が設けられている。ここで、貫通孔71の側面にも導体パターン72が設けられることで、たとえば、特開2005−5685に示すように、貫通孔71がスルーホールとしての機能を果たす。
【0027】
つぎに、図1に示すマイクロトランスの製造方法について説明する。図2〜図6は、図1に示すマイクロトランスの製造方法を順に示す断面図である。まず、図2に示すように、シリコン(Si)などの半導体基板1の表面にリンやボロンなどを拡散させた不純物拡散領域2を選択的に形成する。ついで、この不純物拡散領域2を2次コイル6から絶縁させるため、たとえば、プラズマCVD法により基板全面にシリコン酸化膜(SiO2)などを堆積して、絶縁膜3を形成する。
【0028】
ついで、レジストで所望のパターンのマスクを作成し、エッチングをおこなう。これによって、絶縁膜3を部分的に除去し、第1の開口部4および第2の開口部5を作成する。そして、レジストを薬品により剥離する。ついで、基板全面に、たとえば、アルミニウムや銅などの金属膜をスパッタにより堆積する。さらに、フォトリソグラフィ工程により、2次コイル6を形成する。ここで、2次コイル6の中心部分には、中心パッド7が形成される。この中心パッド7は、第1の開口部4を介して不純物拡散領域2に接触する。また、図示はしないが、2次コイル6の外端から伸びた配線に接するように、外端パッドが形成される。2次コイル6の形成と同時に、中心引き出しパッド10が形成される。また、この中心引き出しパッド10が、第2の開口部5を介して不純物拡散領域2に接触するように、配線パターン12が形成される。そして、レジストを薬品により剥離する。
【0029】
ついで、プラズマCVD法により基板全面にシリコン酸化膜を堆積する。ここで、2次コイル6の上に堆積されたシリコン酸化膜の表面には、凹凸があるため、斜めエッチングにより平坦化する。これによって絶縁膜11を形成する。ついで、レジストで所望のパターンのマスクを作成し、エッチングをおこなう。これによって、絶縁膜11を部分的に除去し、外端パッドおよび中心引き出しパッド10を露出させる。そして、レジストを薬品により剥離する。このようにして、マイクロトランスの2次側102が形成される。
【0030】
一方、図3に示すように、半導体基板1とは別に、たとえば、セラミックやガラスなどの絶縁体基板21を用意し、この絶縁体基板21の裏面側に、フォトリソグラフィ工程により1次コイル22を形成する。1次コイル22の外端部分には、外端パッド23が形成される。ついで、絶縁体基板21の裏面側の全面に、プラズマCVD法によりシリコン酸化膜を堆積して、絶縁膜24を形成する。さらに、絶縁膜24を選択的に除去して、外端パッド23を露出させる。また、絶縁体基板21のおもて面側に、外部と接続するためのボンディングパッド70を形成する。
【0031】
ついで、図4に示すように、サンドブラスト法などにより絶縁体基板21の両面から孔を開け、貫通孔71を形成する。さらに、図5に示すように、絶縁体基板21の裏面側に形成された外端パッド23と、絶縁体基板21のおもて面側に形成されたボンディングパッド70と、を電気的に接続するための導体パターン72を、電解めっき処理により形成する。このとき、貫通孔71の側面にも導体パターン72を形成する。また、図5または図6においては、導体パターン72の左側と右側とは、離れているように見えるが、図示しない領域で電気的に接続されている。
【0032】
ついで、図6に示すように、1次コイル22側の裏面側の絶縁膜24の上に、DAFテープなどの熱硬化性テープ25を介してポリイミドフィルム26を貼り合わせる。そして、ポリイミドフィルム26の1次コイル22側が貼り合わされていない側の面に、熱硬化性テープ27を貼り付ける。ついで、図1に示すように、ポリイミドフィルム26の熱硬化性テープ27が貼り付けられた面を、2次コイル6側の絶縁膜11に貼り合わせる。そして、高温下で熱硬化性テープ27の熱硬化接着をおこなう。しかしながら、絶縁体基板21に貫通孔を設けると、製造コストが高くなってしまう。
【0033】
そこで、実施の形態1においては絶縁体基板にスルーホールを設けないマイクロトランスが提案されている。つぎに、本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの構造について説明する。図7は、本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの構造を示す概略図である。図7に示すように実施の形態1にかかるマイクロトランス100は、1次コイル22を有する1次側103と、2次コイル6を有する2次側102と、が絶縁層104によって隔てられている。また、マイクロトランス100の1次側103の裏面側に設けられたバンプ用パッド28と、絶縁層104のおもて面側に設けられたバンプ用パッド29とが、たとえば、半田バンプやスタッドバンプなどのバンプ34を介して接合されている。
【0034】
なお、図7に示すマイクロトランス100においては、1次側103を絶縁体基板21を用いて作製する例について説明したが、1次側103の基板にスルーホールを設ける必要のないマイクロトランスにおいては、1次側103および2次側102をともに半導体基板を用いて作製してもよい。この場合、1次側103の構造は、2次側102の構造と同様の構造でもよい。具体的には、1次側103、2次側102および絶縁層104の形状が、絶縁層104と、1次側103および2次側102とを、熱硬化性テープ25,27を用いて貼り合わせることのできる形状であればよい。
【0035】
つぎに、実施の形態1にかかるマイクロトランス100の構造について詳細に説明する。まず、マイクロトランス100の2次側102の構造について説明する。図8は、本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの2次側の構造を示す上面図である。また、図9は、図8の切断線A−A'における断面構造を示す断面図である。図8または図9に示すように、マイクロトランス100の2次側102は、半導体基板1を用いて作製されている。半導体基板1の表面には、不純物拡散領域2が選択的に設けられている。また、基板全面には、絶縁膜3が設けられている。絶縁膜3には、第1の開口部4と、第2の開口部5と、が不純物拡散領域2に達するように設けられている。
【0036】
絶縁膜3の表面には、2次コイル6が設けられている。2次コイル6の形状は、たとえば、渦巻き形状である。2次コイル6の中心が、第1の開口部4において不純物拡散領域2と接している。また、配線パターン12を介して、中心引き出しパッド10が、第2の開口部5において不純物拡散領域2と接している。2次コイル6の外端から続く配線8は、外端パッド9に接続されている。これら、外端パッド9および中心引き出しパッド10が、受信回路IC300のボンディングパッド301、302と、それぞれボンディング線を介して電気的に接続されることによって、2次コイル6の中心および外端と、受信回路IC300と、の間で信号を授受することができる。
【0037】
つぎに、マイクロトランス100の1次側103の構造について説明する。図10は、本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの1次側の構造を示す下面図である。また、図11は、図10の切断線B−B'を矢印の方向に見た断面構造を示す矢視断面図である。図10または図11に示すように、マイクロトランス100の1次側103は、たとえば、セラミックやガラスなどの高硬度の絶縁体基板21を用いて作製されている。絶縁体基板21の裏面側の表面には、1次コイル22が設けられている。絶縁体基板21および1次コイル22の表面には、絶縁膜24が設けられている。
【0038】
また、絶縁膜24の、1次コイル22の中心の領域には、第3の開口部が設けられている。そして、この第3の開口部に1次コイル22の中心パッド41Aが設けられている。この中心パッド41Aを介して、1次コイル22の中心と配線パターン42が接触している。また、バンプ用パッド28Aとこれに接続される配線パターン41Cは、絶縁体基板21の表面に形成されている。絶縁膜24の、配線パターン41Cの領域には、第4の開口部が設けられている。そして、この第4の開口部に接続用パッド41Bが設けられており、配線パターン41Cと配線パターン42とが、接続用パッド41Bを介して接続される。これによって、バンプ用パッド28Aは、配線パターン41C、接続用パッド41Bおよび配線パターン42を介して、1次コイル22の中心と電気的に接続されている。
【0039】
また、バンプ用パッド28Bは、絶縁体基板21の表面に形成されており、配線パターン43を介して1次コイル22の外端と電気的に接続されている。ここで、バンプ用パッド28A,28Bが形成されている領域には、絶縁膜24が形成されていないため、絶縁膜24の表面とバンプ用パッド28A,28Bの表面との間に段差が形成される。この段差の高さを後述する絶縁層104に形成されたバンプ用パッド29A,29B(図12,13参照)とその上に塗布されるバンプとを合わせた高さと同程度の高さにすることで、1次側103と絶縁層104とを隙間が無いように接合することができる。
【0040】
なお、図10および図11に示すように、1次側103の基板にスルーホールを設ける必要がないので、1次側103を、絶縁体基板21ではなく半導体基板を用いて作製してもよい。この場合、1次側103の構造を、図8および図9に示す2次側102の構造と同様の構造としてもよい。このように、1次側103を半導体基板を用いて作製することで、1次側103を2次側102と同様の製造工程で形成することができる。このため、1次コイル22の中心側の一端を外部に導出するための立体的な配線を容易に形成することできる。また、この場合、絶縁膜24の部分的な除去を行って、バンプの高さを吸収するための段差を容易に形成することができる。
【0041】
つぎに、マイクロトランス100の絶縁層104の構造について説明する。図12は、本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの絶縁層の構造を示す上面図である。また、図13は、図12の切断線C−C'を矢印の方向に見た断面構造を示す矢視断面図である。図12または図13に示すように、マイクロトランス100の絶縁層104は、たとえば、フレキシブルなポリイミドフィルム26を用いて作製されている。ポリイミドフィルム26のおもて面側には、バンプ用パッド29A,29Bが設けられており、それぞれ、配線パターン30A,30Bを介して、ボンディングパッド32,31に電気的に接続されている。また、ポリイミドフィルム26の裏面側には、バンプ用パッド33が設けられている。
【0042】
バンプ用パッド29A,29Bは、1次側のバンプ用パッド28A,28Bと、バンプを介して接合される。バンプ用パッド33は、励磁回路IC200のバンプ用パッド201と、バンプ204を介して接合される。ボンディングパッド31,32は、励磁回路IC200のボンディングパッド202,203と、ボンディング線を介して電気的に接続される。これによって、1次コイル22の中心および外端と、励磁回路IC200と、の間で信号を授受することができる。
【0043】
つぎに、本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスを有する信号伝送デバイスの構造について説明する。図14は、本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスを有する信号伝送デバイスの構造を示す概略図である。図14に示すように実施の形態1にかかる信号伝送デバイスは、マイクロトランス100と、励磁回路IC200と、受信回路IC300と、によって構成されている。
【0044】
信号伝送デバイスにおいては、マイクロトランス100の、絶縁層104の裏面側に設けられたバンプ用パッド33と、励磁回路IC200に設けられたバンプ用パッド201と、がバンプ204を介して接合されている。これによって、マイクロトランス100と、励磁回路IC200と、が一体化されている。さらに、マイクロトランス100に設けられた中心引き出しパッド10と、受信回路IC300に設けられたボンディングパッド302と、がボンディング線を介して電気的に接続されている。また、図示しない領域で、マイクロトランス100に設けられた外端パッド9(図8参照)と、受信回路IC300に設けられた他のボンディングパッドと、がボンディング線を介して電気的に接続されている。そして、マイクロトランス100に設けられたボンディングパッド31,32と、励磁回路IC200に設けられたボンディングパッド202,203と、がボンディング線によってそれぞれ電気的に接続されている。ここで、励磁回路IC200においては、たとえば、入力パルスのエッジから、セット・リセットトランスの励磁パルスを形成して、FETにより電流を流して励磁する。また、受信回路IC300においては、たとえば、セット・リセットトランスの受信パルスにより、パルスを復調する。
【0045】
つぎに、実施の形態1にかかるマイクロトランスを有する信号伝送デバイスの製造方法について説明する。図15〜図17は、実施の形態1にかかる信号伝送デバイスの製造方法について順に示す断面図である。まず、図8または図9に示すように、図1に示すマイクロトランスの製造方法と同様に、マイクロトランスの2次側102を形成する。
【0046】
一方、図10または図11に示すように、半導体基板1とは別に、たとえば、セラミックやガラスなどの絶縁体基板21を用意し、この絶縁体基板21の裏面側に、フォトリソグラフィ工程により1次コイル22、絶縁層104と接合するためのバンプ用パッド28A,28B、および、バンプ用パッド28Aと接続される配線パターン41Cを形成する。ついで、絶縁体基板21の裏面側の全面に、プラズマCVD法によりシリコン酸化膜を堆積して、絶縁膜24を形成する。このとき、絶縁膜24の表面とバンプ用パッド28A,28Bの表面との高さが、絶縁層104に形成されたバンプ用パッド29A,29Bとその上に塗布されるバンプ34とを合わせた高さと同程度となるように絶縁膜24を形成する。
【0047】
ついで、絶縁膜24を選択的に除去して、1次コイル22の中心部分に達するように第3の開口部を形成し、1次コイル22の中心パッド41Aを形成する。同時に、絶縁膜24を選択的に除去して、配線パターン41Cに達するように第4の開口部を形成し、接続用パッド41Bを形成する。このとき、バンプ用パッド28Aが、配線パターン41Cおよび接続用パッド41Bを介して1次コイル22の中心パッド41Aと電気的に接続するように、配線パターン42を形成する。また、バンプ用パッド28Bを1次コイル22の外端と電気的に接続するように、配線パターン43を形成する。このようにして、マイクロトランス100の1次側103が形成される。なお、1次側103を半導体基板を用いて作製する場合、図8および図9に示す2次側102の製造方法と同様の方法で製造してもよい。
【0048】
一方、絶縁層104は、図12または図13に示すように、ポリイミドフィルム26を用いて作製される。ポリイミドフィルム26のおもて面側に、1次側103と接合するためのバンプ用パッド29A,29Bと、励磁回路IC200とボンディング線によって接続するボンディングパッド31,32と、を形成する。そして、バンプ用パッド29A,29Bと、ボンディングパッド32,31と、をそれぞれ電気的に接続するように、配線パターン30A,30Bを形成する。ついで、ポリイミドフィルム26の裏面側に、励磁回路IC200と接合するためのバンプ用パッド33を形成する。
【0049】
ついで、図15に示すように、絶縁層104のおもて面側に設けられたバンプ用パッド29A,29B(図12参照)にそれぞれバンプ34を塗布する。そして、図16に示すように、バンプ用パッド29A,29B(図12参照)が、それぞれ1次側103に設けられたバンプ用パッド28A,28B(図10参照)と重なるように位置合わせをおこなう。ついで、図7に示すように、2次側102のおもて面側と、絶縁層104の裏面側と、の間にDAFテープなどの熱硬化性テープ27を挟む。また、絶縁層104のおもて面側と、1次側103の裏面側と、の間に熱硬化性テープ25を挟む。このようにして、マイクロトランス100が形成される。
【0050】
ついで、図17に示すように、励磁回路IC200に設けられたバンプ用パッド201にバンプ204を塗布する。そして、このバンプ用パッド201を、絶縁層104の裏面側に設けられたバンプ用パッド33と重ね合わせて、上部から押しつける。ついで、マイクロトランス100および励磁回路IC200を高温炉で加熱して、バンプ34,204による溶融接合および熱硬化性テープ25,27による熱硬化接着をおこなう。これによって、バンプ用パッド29A,29Bとバンプ用パッド28A,28B、および、バンプ用パッド201とバンプ用パッド33を接合し、マイクロトランス100と励磁回路IC200を一体化する。
【0051】
ついで、図14に示すように、絶縁層104のおもて面側に形成されたボンディングパッド31,32と、励磁回路IC200に設けられたボンディングパッド202,203と、をそれぞれボンディング線を介して電気的に接続する。さらに、2次側102に設けられた中心引き出しパッド10と、受信回路IC300に設けられたボンディングパッド302と、をボンディング線を介して電気的に接続する。また、図示しない領域で2次側102に設けられた外端パッド9(図8参照)と、受信回路IC300に設けられた他のボンディングパッドと、をボンディング線を介して電気的に接続する。
【0052】
実施の形態1によれば、コイル間に挟まれた絶縁層に設けられた配線を介して、絶縁層の上側に設けられたコイルと外部装置との間で信号を授受することができる。したがって、スルーホールを設けなくてよいため、製造コストを低くすることができる。
【0053】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2にかかるマイクロトランスおよびこのマイクロトランスを有する信号伝送デバイスの構造について説明する。図18は、本発明の実施の形態2にかかるマイクロトランスを有する信号伝送デバイスの構造について示す概略図である。実施の形態2にかかるマイクロトランス110は、実施の形態1にかかるマイクロトランスと、絶縁層の構造、および、絶縁層と励磁回路IC210とを電気的に接続する方法が異なる。
【0054】
図19は、本発明の実施の形態2にかかるマイクロトランスの絶縁層の構造を示す上面図である。また、図20は、図19の切断線D−D'における断面構造を示す断面図である。図19または図20に示すように、絶縁層105は、ポリイミドフィルム26を用いて作製されている。ポリイミドフィルム26のおもて面側には、1次側103と接合するためのバンプ用パッド29A,29Bが設けられている。また、ポリイミドフィルム26の裏面側には、励磁回路IC210と接合するためのバンプ用パッド53,54が設けられている。
【0055】
また、ポリイミドフィルム26のおもて面側から裏面側へ貫通し、バンプ用パッド53,54に達するような貫通孔51,52がそれぞれ設けられている。配線パターン50A,50Bは、貫通孔51,52の側面にも設けられ、ポリイミドフィルム26のおもて面側のバンプ用パッド29A,29Bと、ポリイミドフィルム26の裏面側のバンプ用パッド53,54と、を電気的に接続する。貫通孔51,52は、側面に配線パターン50A,50Bが設けられることで、スルーホールとしての機能を果たす。
【0056】
また、バンプ用パッド29A,29Bは、1次側103のバンプ用パッド28A,28Bと、バンプ34を介して接合される。バンプ用パッド53,54は、励磁回路IC210のバンプ用パッド205,206と、バンプ207,208を介して接合される。したがって、マイクロトランス110の1次側103の外端パッド9および中心引き出しパッド10と、励磁回路IC210のバンプ用パッド205,206と、がそれぞれ電気的に接続されることとなる。これによって、1次コイル22の中心および外端と、励磁回路IC210と、の間で信号を授受することができる。
【0057】
つぎに、実施の形態2にかかるマイクロトランス110を有する信号伝送デバイスの製造方法について説明する。図21は、実施の形態2にかかる信号伝送デバイスの製造方法について示す断面図である。まず、実施の形態1にかかるマイクロトランス100の製造方法と同様に、1次側103と、2次側102と、を作製する。一方、絶縁層105は、図19および図20に示すように、ポリイミドフィルム26のおもて面側に、1次側103と接合するためのバンプ用パッド29A,29Bを形成する。ついで、ポリイミドフィルム26の裏面側に、励磁回路IC210と接続するためのバンプ用パッド53,54を形成する。
【0058】
ついで、サンドブラスト法などによりポリイミドフィルム26の両面から孔を開け、貫通孔51,52を形成する。貫通孔51,52は、それぞれバンプ用パッド53,54に達するように形成する。さらに、ポリイミドフィルム26の裏面側に形成されたバンプ用パッド53,54と、ポリイミドフィルム26のおもて面側に形成されたバンプ用パッド29A,29Bと、を電気的に接続するための配線パターン50A,50Bを電解めっき処理などによって形成する。このとき、貫通孔51,52の側面にも配線パターン50A,50Bを形成する。これによって、貫通孔51,52が、スルーホールとしての機能を果たす。
【0059】
ついで、実施の形態1と同様に、絶縁層105のおもて面側に設けられたバンプ用パッド29A,29Bにバンプ34を塗布する。そして、バンプ用パッド29A,29Bが、それぞれ1次側103に設けられたバンプ用パッド28A,28Bと重なるように位置合わせをおこなう。ついで、2次側102のおもて面側と、絶縁層105の裏面側と、の間に熱硬化性テープ27を挟む。また、絶縁層105のおもて面側と、1次側103の裏面側と、の間に熱硬化性テープ25を挟む。このようにして、マイクロトランス110が形成される。
【0060】
ついで、図21に示すように、励磁回路IC210に設けられた、マイクロトランス110と接合するためのバンプ用パッド205,206に、それぞれバンプ207,208を塗布する。そして、このバンプ用パッド205,206を、それぞれ絶縁層105の裏面側に設けられたバンプ用パッド53,54と重ね合わせて、上部から押しつける。ついで、マイクロトランス110および励磁回路IC210を高温炉で加熱して、バンプ34,207,208による溶融接合および熱硬化性テープ25,27による熱硬化接着をおこなう。
【0061】
これによって、バンプ用パッド29A,29Bとバンプ用パッド28A,28B、および、バンプ用パッド53,54とバンプ用パッド205,206を接合し、マイクロトランス110と励磁回路IC210を一体化する。ついで、図18に示すように、2次側102に設けられた中心引き出しパッド10と、受信回路IC300に設けられたボンディングパッド302と、をボンディング線を介して電気的に接続する。また、図示しない領域で、2次側102に設けられた外端パッド9(図8参照)と、受信回路IC300に設けられた他のボンディングパッドと、をボンディング線を介して電気的に接続する。
【0062】
実施の形態2によれば、コイル間に挟まれたポリイミドフィルムなどのフレキシブルな絶縁層に貫通孔を形成することで、絶縁層の上側に設けられたコイルと外部装置との間で信号を授受することができる。したがって、図1に示すマイクロトランスのようにセラミックやガラスなどの高硬度の絶縁体基板に貫通孔を形成するよりも、コストが低くなる。
【0063】
なお、実施の形態1または実施の形態2においては、絶縁層の上側に1次コイルが形成された場合に、1次コイルと励磁回路ICとをバンプで接合する場合について説明したが、これに限るものではない。たとえば、絶縁層の上側に2次コイルが形成された場合に、2次コイルと受信回路ICとをバンプで接合する場合に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明にかかるマイクロトランスおよびその製造方法は、スイッチング素子に有用であり、特に、輸送機器などに用いられるスイッチング素子の導通、非導通を指示する制御信号を絶縁伝送するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】素子耐圧の高いマイクロトランスの構造を示す断面図である。
【図2】図1に示すマイクロトランスの製造方法を示す断面図である。
【図3】図1に示すマイクロトランスの製造方法を示す断面図である。
【図4】図1に示すマイクロトランスの製造方法を示す断面図である。
【図5】図1に示すマイクロトランスの製造方法を示す断面図である。
【図6】図1に示すマイクロトランスの製造方法を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの構造を示す概略図である。
【図8】本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの2次側の構造を示す上面図である。
【図9】図8の切断線A−A'における断面構造を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの1次側の構造を示す下面図である。
【図11】図10の切断線B−B'を矢印の方向に見た断面構造を示す矢視断面図である。
【図12】本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスの絶縁層の構造を示す上面図である。
【図13】図12の切断線C−C'を矢印の方向に見た断面構造を示す矢視断面図である。
【図14】本発明の実施の形態1にかかるマイクロトランスを有する信号伝送デバイスの構造を示す概略図である。
【図15】実施の形態1にかかる信号伝送デバイスの製造方法について示す断面図である。
【図16】実施の形態1にかかる信号伝送デバイスの製造方法について示す断面図である。
【図17】実施の形態1にかかる信号伝送デバイスの製造方法について示す断面図である。
【図18】本発明の実施の形態2にかかるマイクロトランスを有する信号伝送デバイスの構造について示す概略図である。
【図19】本発明の実施の形態2にかかるマイクロトランスの絶縁層の構造を示す上面図である。
【図20】図19の切断線D−D'における断面構造を示す断面図である。
【図21】実施の形態2にかかる信号伝送デバイスの製造方法について示す断面図である。
【図22】従来のマイクロトランスの構造を示す平面図である。
【図23】図22の切断線E−E'における断面構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0066】
6 2次コイル
9 外端パッド
10 中心引き出しパッド
22 1次コイル
28,29 バンプ用パッド
30 配線パターン
31,32,202,203,302 ボンディングパッド
100 マイクロトランス
102 2次側
103 1次側
104 絶縁層
200 励磁回路IC
300 受信回路IC
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスであって、
前記絶縁層のおもて面に、
前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドとバンプ接続をおこなうための第1のバンプ用パッドと、
外部回路とボンディング接続をおこなうためのボンディングパッドと、
前記第1のバンプ用パッドと前記ボンディングパッドを電気的に接続する配線と、
を備え、
前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと前記第1のバンプ用パッドがバンプにより接合されていることを特徴とするマイクロトランス。
【請求項2】
前記絶縁層の裏面に、前記外部回路を有する基板とバンプ接続をおこなうための第2のバンプ用パッドを備えることを特徴とする請求項1に記載のマイクロトランス。
【請求項3】
第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に、前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に、前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスであって、
前記絶縁層のおもて面に、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドとバンプ接続をおこなうための第1のバンプ用パッドを備え、当該第1のバンプ用パッドと前記パッドがバンプにより接合されており、
前記絶縁層の裏面に、外部回路に電気的に接続されるパッドとバンプ接続をおこなうための第3のバンプ用パッドを備え、
さらに、前記絶縁層に、当該絶縁層のおもて面から裏面に貫通する貫通孔と、
前記貫通孔を介して、前記第1のバンプ用パッドと前記第3のバンプ用パッドを電気的に接続する配線と、
を備えることを特徴とするマイクロトランス。
【請求項4】
前記第1のコイルの中心に接続された引き出し配線と、当該第1のコイルと、の間に絶縁膜を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のマイクロトランス。
【請求項5】
前記絶縁層は、フレキシブルなフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のマイクロトランス。
【請求項6】
第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスの製造方法であって、
前記絶縁層のおもて面に、第1のバンプ用パッドと、ボンディングパッドと、これらを電気的に接続する配線と、を形成するおもて面形成工程と、
前記第1のバンプ用パッドにバンプを塗布する塗布工程と、
前記第1の基板および前記第2の基板と、当該絶縁層と、の間に熱硬化性テープを配置するテープ配置工程と、
前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう位置合わせ工程と、
前記バンプおよび前記熱硬化性テープを加熱して、前記第1の基板および前記第2の基板と、前記絶縁層と、を接着するとともに、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドをバンプにより接合する接着工程と、
を含むことを特徴とするマイクロトランスの製造方法。
【請求項7】
第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスの製造方法であって、
前記絶縁層のおもて面に、第1のバンプ用パッドを形成するおもて面形成工程と、
前記絶縁層の裏面に、第3のバンプ用パッドを形成する裏面形成工程と、
前記絶縁層のおもて面から裏面へ貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔を介して、前記第1のバンプ用パッドと、前記第3のバンプ用パッドと、が電気的に接続されるように配線を形成する配線形成工程と、
前記第1のバンプ用パッドにバンプを塗布する塗布工程と、
前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう位置合わせ工程と、
前記第1の基板および前記第2の基板と、当該絶縁層と、の間に熱硬化性テープを配置するテープ配置工程と、
前記バンプおよび前記熱硬化性テープを加熱して、前記第1の基板および前記第2の基板と、前記絶縁層と、を接着するとともに、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドをバンプにより接合する接着工程と、
を含むことを特徴とするマイクロトランスの製造方法。
【請求項8】
第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスと、外部回路と、の間で信号を伝送する信号伝送デバイスであって、
前記マイクロトランスは、
前記絶縁層のおもて面に、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドとバンプ接続をおこなうための第1のバンプ用パッドと、
前記外部回路とボンディング接続をおこなうための第1ボンディングパッドと、
前記第1のバンプ用パッドと前記第1ボンディングパッドを電気的に接続する配線と、
を備え、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと前記第1のバンプ用パッドがバンプにより接合されており、
前記絶縁層の裏面に、前記外部回路を有する基板とバンプ接続をおこなうための第2のバンプ用パッドを備え、
前記外部回路を有する基板は、
前記マイクロトランスとバンプ接続をおこなうための第4のバンプ用パッドを備え、
前記外部回路は、
前記マイクロトランスとボンディング接続をおこなうための第2ボンディングパッドを備え、
前記第2のバンプ用パッドと前記第4のバンプ用パッドがバンプにより接合されることで前記マイクロトランスと前記外部回路がバンプ接続によって固定され、前記第1ボンディングパッドと前記第2ボンディングパッドがボンディングワイヤを介して電気的に接続されることで、前記マイクロトランスと前記外部回路との信号の授受がボンディングワイヤによっておこなわれることを特徴とする信号伝送デバイス。
【請求項9】
第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスと、外部回路と、の間で信号を伝送する信号伝送デバイスであって、
前記マイクロトランスは、
前記絶縁層のおもて面に、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドとバンプ接続をおこなうための第1のバンプ用パッドを備え、
前記絶縁層の裏面に、前記外部回路に電気的に接続されるパッドとバンプ接続をおこなうための第3のバンプ用パッドを備え、
さらに、前記絶縁層に、当該絶縁層のおもて面から裏面に貫通する貫通孔と、
前記貫通孔を介して、前記第1のバンプ用パッドと前記第3のバンプ用パッドを電気的に接続する配線と、を備え、
前記外部回路は、
前記マイクロトランスとバンプ接続をおこなうための第5のバンプ用パッドを備え、
前記第3のバンプ用パッドと、前記第5のバンプ用パッドと、がバンプにより接合されていることを特徴とする信号伝送デバイス。
【請求項10】
第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスと、外部回路と、の間で信号を伝送する信号伝送デバイスの製造方法であって、
前記絶縁層のおもて面に、第1のバンプ用パッドと、第1ボンディングパッドと、これらを電気的に接続する配線と、を形成するおもて面形成工程と、
前記絶縁層の裏面に、第2のバンプ用パッドを形成する裏面形成工程と、
前記外部回路に、第2ボンディングパッドを形成し、当該外部回路を有する基板に第4のバンプ用パッドを形成する外部回路形成工程と、
前記第1のバンプ用パッドにバンプを塗布する第1塗布工程と、
前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう第1位置合わせ工程と、
前記第1の基板および前記第2の基板と、当該絶縁層と、の間に熱硬化性テープを配置するテープ配置工程と、
前記バンプおよび前記熱硬化性テープを加熱して、前記第1の基板および前記第2の基板と、前記絶縁層と、を接着する接着工程と、
前記第4のバンプ用パッドにバンプを塗布する第2塗布工程と、
前記第2のバンプ用パッドと、前記第4のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう第2位置合わせ工程と、
前記バンプを加熱して、前記マイクロトランスと、前記外部回路と、を固定する固定工程と、
前記第1ボンディングパッドと、前記第2ボンディングパッドと、をボンディングワイヤを介して電気的に接続するボンディング工程と、
を含むことを特徴とする信号伝送デバイスの製造方法。
【請求項11】
第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスと、外部回路と、の間で信号を伝送する信号伝送デバイスの製造方法であって、
前記絶縁層のおもて面に、第1のバンプ用パッドを形成するおもて面形成工程と、
前記絶縁層の裏面に、第3のバンプ用パッドを形成する裏面形成工程と、
前記絶縁層のおもて面から裏面へ貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔を介して、前記第1のバンプ用パッドと、前記第3のバンプ用パッドと、が電気的に接続されるように配線を形成する配線形成工程と、
前記第1のバンプ用パッドにバンプを塗布する第1塗布工程と、
前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう第1位置合わせ工程と、
前記第1の基板および前記第2の基板と、当該絶縁層と、の間に熱硬化性テープを配置するテープ配置工程と、
前記第3のバンプ用パッドにバンプを塗布する第2塗布工程と、
前記外部回路に形成された、当該外部回路に電気的に接続されるパッドと、前記第3のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう第2位置合わせ工程と、
前記バンプおよび前記熱硬化性テープを加熱して、前記第1の基板および前記第2の基板と、前記絶縁層と、前記外部回路と、を接着する接着工程と、
を含むことを特徴とする信号伝送デバイスの製造方法。
【請求項1】
第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスであって、
前記絶縁層のおもて面に、
前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドとバンプ接続をおこなうための第1のバンプ用パッドと、
外部回路とボンディング接続をおこなうためのボンディングパッドと、
前記第1のバンプ用パッドと前記ボンディングパッドを電気的に接続する配線と、
を備え、
前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと前記第1のバンプ用パッドがバンプにより接合されていることを特徴とするマイクロトランス。
【請求項2】
前記絶縁層の裏面に、前記外部回路を有する基板とバンプ接続をおこなうための第2のバンプ用パッドを備えることを特徴とする請求項1に記載のマイクロトランス。
【請求項3】
第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に、前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に、前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスであって、
前記絶縁層のおもて面に、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドとバンプ接続をおこなうための第1のバンプ用パッドを備え、当該第1のバンプ用パッドと前記パッドがバンプにより接合されており、
前記絶縁層の裏面に、外部回路に電気的に接続されるパッドとバンプ接続をおこなうための第3のバンプ用パッドを備え、
さらに、前記絶縁層に、当該絶縁層のおもて面から裏面に貫通する貫通孔と、
前記貫通孔を介して、前記第1のバンプ用パッドと前記第3のバンプ用パッドを電気的に接続する配線と、
を備えることを特徴とするマイクロトランス。
【請求項4】
前記第1のコイルの中心に接続された引き出し配線と、当該第1のコイルと、の間に絶縁膜を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のマイクロトランス。
【請求項5】
前記絶縁層は、フレキシブルなフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のマイクロトランス。
【請求項6】
第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスの製造方法であって、
前記絶縁層のおもて面に、第1のバンプ用パッドと、ボンディングパッドと、これらを電気的に接続する配線と、を形成するおもて面形成工程と、
前記第1のバンプ用パッドにバンプを塗布する塗布工程と、
前記第1の基板および前記第2の基板と、当該絶縁層と、の間に熱硬化性テープを配置するテープ配置工程と、
前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう位置合わせ工程と、
前記バンプおよび前記熱硬化性テープを加熱して、前記第1の基板および前記第2の基板と、前記絶縁層と、を接着するとともに、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドをバンプにより接合する接着工程と、
を含むことを特徴とするマイクロトランスの製造方法。
【請求項7】
第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスの製造方法であって、
前記絶縁層のおもて面に、第1のバンプ用パッドを形成するおもて面形成工程と、
前記絶縁層の裏面に、第3のバンプ用パッドを形成する裏面形成工程と、
前記絶縁層のおもて面から裏面へ貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔を介して、前記第1のバンプ用パッドと、前記第3のバンプ用パッドと、が電気的に接続されるように配線を形成する配線形成工程と、
前記第1のバンプ用パッドにバンプを塗布する塗布工程と、
前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう位置合わせ工程と、
前記第1の基板および前記第2の基板と、当該絶縁層と、の間に熱硬化性テープを配置するテープ配置工程と、
前記バンプおよび前記熱硬化性テープを加熱して、前記第1の基板および前記第2の基板と、前記絶縁層と、を接着するとともに、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドをバンプにより接合する接着工程と、
を含むことを特徴とするマイクロトランスの製造方法。
【請求項8】
第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスと、外部回路と、の間で信号を伝送する信号伝送デバイスであって、
前記マイクロトランスは、
前記絶縁層のおもて面に、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドとバンプ接続をおこなうための第1のバンプ用パッドと、
前記外部回路とボンディング接続をおこなうための第1ボンディングパッドと、
前記第1のバンプ用パッドと前記第1ボンディングパッドを電気的に接続する配線と、
を備え、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと前記第1のバンプ用パッドがバンプにより接合されており、
前記絶縁層の裏面に、前記外部回路を有する基板とバンプ接続をおこなうための第2のバンプ用パッドを備え、
前記外部回路を有する基板は、
前記マイクロトランスとバンプ接続をおこなうための第4のバンプ用パッドを備え、
前記外部回路は、
前記マイクロトランスとボンディング接続をおこなうための第2ボンディングパッドを備え、
前記第2のバンプ用パッドと前記第4のバンプ用パッドがバンプにより接合されることで前記マイクロトランスと前記外部回路がバンプ接続によって固定され、前記第1ボンディングパッドと前記第2ボンディングパッドがボンディングワイヤを介して電気的に接続されることで、前記マイクロトランスと前記外部回路との信号の授受がボンディングワイヤによっておこなわれることを特徴とする信号伝送デバイス。
【請求項9】
第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスと、外部回路と、の間で信号を伝送する信号伝送デバイスであって、
前記マイクロトランスは、
前記絶縁層のおもて面に、前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドとバンプ接続をおこなうための第1のバンプ用パッドを備え、
前記絶縁層の裏面に、前記外部回路に電気的に接続されるパッドとバンプ接続をおこなうための第3のバンプ用パッドを備え、
さらに、前記絶縁層に、当該絶縁層のおもて面から裏面に貫通する貫通孔と、
前記貫通孔を介して、前記第1のバンプ用パッドと前記第3のバンプ用パッドを電気的に接続する配線と、を備え、
前記外部回路は、
前記マイクロトランスとバンプ接続をおこなうための第5のバンプ用パッドを備え、
前記第3のバンプ用パッドと、前記第5のバンプ用パッドと、がバンプにより接合されていることを特徴とする信号伝送デバイス。
【請求項10】
第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に前記第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスと、外部回路と、の間で信号を伝送する信号伝送デバイスの製造方法であって、
前記絶縁層のおもて面に、第1のバンプ用パッドと、第1ボンディングパッドと、これらを電気的に接続する配線と、を形成するおもて面形成工程と、
前記絶縁層の裏面に、第2のバンプ用パッドを形成する裏面形成工程と、
前記外部回路に、第2ボンディングパッドを形成し、当該外部回路を有する基板に第4のバンプ用パッドを形成する外部回路形成工程と、
前記第1のバンプ用パッドにバンプを塗布する第1塗布工程と、
前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう第1位置合わせ工程と、
前記第1の基板および前記第2の基板と、当該絶縁層と、の間に熱硬化性テープを配置するテープ配置工程と、
前記バンプおよび前記熱硬化性テープを加熱して、前記第1の基板および前記第2の基板と、前記絶縁層と、を接着する接着工程と、
前記第4のバンプ用パッドにバンプを塗布する第2塗布工程と、
前記第2のバンプ用パッドと、前記第4のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう第2位置合わせ工程と、
前記バンプを加熱して、前記マイクロトランスと、前記外部回路と、を固定する固定工程と、
前記第1ボンディングパッドと、前記第2ボンディングパッドと、をボンディングワイヤを介して電気的に接続するボンディング工程と、
を含むことを特徴とする信号伝送デバイスの製造方法。
【請求項11】
第1の基板の裏面に、第1のコイルと、当該第1のコイルに電気的に接続されるパッドと、が形成され、第2の基板のおもて面に第2のコイルが形成されており、絶縁層のおもて面に前記第1の基板の裏面が貼り付けられ、当該絶縁層の裏面に第2の基板のおもて面が貼り付けられたマイクロトランスと、外部回路と、の間で信号を伝送する信号伝送デバイスの製造方法であって、
前記絶縁層のおもて面に、第1のバンプ用パッドを形成するおもて面形成工程と、
前記絶縁層の裏面に、第3のバンプ用パッドを形成する裏面形成工程と、
前記絶縁層のおもて面から裏面へ貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔を介して、前記第1のバンプ用パッドと、前記第3のバンプ用パッドと、が電気的に接続されるように配線を形成する配線形成工程と、
前記第1のバンプ用パッドにバンプを塗布する第1塗布工程と、
前記第1のコイルに電気的に接続される前記パッドと、前記第1のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう第1位置合わせ工程と、
前記第1の基板および前記第2の基板と、当該絶縁層と、の間に熱硬化性テープを配置するテープ配置工程と、
前記第3のバンプ用パッドにバンプを塗布する第2塗布工程と、
前記外部回路に形成された、当該外部回路に電気的に接続されるパッドと、前記第3のバンプ用パッドと、が重なるように位置合わせをおこなう第2位置合わせ工程と、
前記バンプおよび前記熱硬化性テープを加熱して、前記第1の基板および前記第2の基板と、前記絶縁層と、前記外部回路と、を接着する接着工程と、
を含むことを特徴とする信号伝送デバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
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【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2009−130179(P2009−130179A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304354(P2007−304354)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(503361248)富士電機デバイステクノロジー株式会社 (1,023)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(503361248)富士電機デバイステクノロジー株式会社 (1,023)
【Fターム(参考)】
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