説明

マイクロバブル・炭酸泉発生装置と気液混合タンク

【課題】浴槽等に使用するマイクロバブル・炭酸泉発生装置において、空気のマイクロバブルと炭酸泉の発生或いは生成に共用できる気液混合タンクを備えたマイクロバブル・炭酸泉発生装置を提供することを目的とする
【解決手段】気液混合タンク1は、密閉型の混合容器11からなり、浴槽の水を噴射する水噴射ノズル141、二酸化炭素ガスを噴射するガス噴射ノズル142、混合容器11の上限水位Lu、下限水位Llを検出する水位検出部材62、衝突部材15を備えている。噴射水161は、衝突板151に衝突して空気溶解水13又は二酸化炭素溶解水13を撹拌する。空気溶解水13を生成するときは、水噴射ノズル141に空気混入水を供給する。二酸化炭素溶解水13を生成するときは、水噴射ノズル141に水のみを供給し、ガス噴射ノズル142に二酸化炭素ガスを供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、浴槽、水槽、プール、洗浄装置、殺菌装置等に用いるマイクロバブル・炭酸泉発生装置とそのマイクロバブル・炭酸泉発生装置に用いる気液混合タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来浴槽に空気のマイクロバブルと炭酸泉の双方を発生することができるマイクロバブル・炭酸泉発生装置が提案されている(特許文献1参照)。
図5により従来のマイクロバブル・炭酸泉発生装置について説明する。
ポンプ83は、浴槽851の水852を、吸込口841から吸込み、配管831,832、管結合部833、配管834を介して吐出ノズル842から浴槽851の水852中へ噴射する。その際、管結合部833には、ボンベ821から二酸化炭素ガスが、又は空気取込口811から空気が供給される。その二酸化炭素ガス又は空気は、管結合部833において配管832の水に混入する。
【0003】
空気のマイクロバブルを発生するときは、開閉弁823を閉じて、空気取込口811から空気を取込み、管結合部833において水に混入する。空気の混入した水は、吐出ノズル842から浴槽851の水852中へ放出され、マイクロバブル853を発生する。
炭酸泉を発生するときは、開閉弁823を開いて、ボンベ821の二酸化炭素ガスを、減圧弁822、開閉弁823を介して管結合部833へ供給する。その際空気取込口811からの空気は、逆止弁812によって遮断される。二酸化炭素ガスは、管結合部833において水に混入する。二酸化炭素ガスの混入した水は、吐出ノズル842から浴槽851の水852中へ放出され、二酸化炭素のマイクロバブル853が発生して炭酸泉を生成する。
【0004】
また従来、空気のマイクロバブルを効率よく発生するため、水と空気を混合して空気の溶解水を生成する気液混合タンクを備えたマイクロバブル発生装置も提案されている(特許文献2参照)。
図6により従来の気液混合タンクを備えたマイクロバブル発生装置を説明する。
ポンプ91は、浴槽93の水931を、吸込口941から吸込み、配管911、ベンチュリ914、配管915を介して噴射ノズル916から気液混合タンク92内へ噴射する。気液混合タンク92は、水と空気を撹拌して空気溶解水を生成する。空気溶解水は、配管917を介して減圧ノズル942から浴槽93の水931中へ噴射し、マイクロバブル932を生成する。その際ベンチュリ914には、空気が、空気取込口912から電磁弁913を介して供給される。その空気は、ベンチュリ914において配管911の水に混入して気液混合タンク92へ送られる。
【0005】
【特許文献1】特開2006−320675号公報
【特許文献2】特開2001−179241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のマイクロバブル・炭酸泉発生装置は、空気又は二酸化炭素ガスを単に水に混入して浴槽内へ放出するため、水に溶解する空気や二酸化炭素の量が少なく、所定の溶解濃度になるまでに長時間を要する。また特に空気は、水に溶解し難いため、空気のマイクロバブルを充分に発生することは困難である。そして未溶解の空気や二酸化炭素ガスは、水に溶解することなく大きな泡となって浴槽内へ放出されるため、その放出の際爆発音を発生する。また未溶解の二酸化炭素ガスは、空気中へ放散するが、二酸化炭素ガスは、高価なため不経済である。
【0007】
そこで従来の気液混合タンクを用いたマイクロバブル発生装置を用い、例えば、図6の空気取込口912に二酸化炭素ガスのボンベを接続し、空気の代わりに二酸化炭素ガスを供給して、炭酸泉を生成する方法が考えられる。しかし医療的に有効な炭酸泉の二酸化炭素濃度は、1,000ppm以上と言われている。二酸化炭素濃度を1,000ppm以上にするには、大量の二酸化炭素ガスを供給しなければならないが、大量の二酸化炭素ガスが水に混入すると、カスケード型ポンプは、エアーロックを起こし易くなるため、送水が不安定或いは困難になる。
従来空気のマイクロバブルによって200Lの浴槽水を白濁化するには、ポンプの吐出圧が0.3MPa、送水量が6L(リットル)/分の場合、配管911の水に混入する空気は、100cc/分以上必要になるが、その空気が240cc/分になると、ポンプは、送水が不安定になり、270cc/分以上になると、エアーロックを起こして送水できなくなる。一方200Lの浴槽水を二酸化炭素濃度1,000ppmの炭酸泉にするには、200g(グラム)(100L)の二酸化炭素ガスを溶解させる必要がある。その場合、図6の空気取込口912から大量の二酸化炭素ガスを供給しなければならないが、その供給は、困難である。
また二酸化炭素ガスと空気は、水に対する溶解のし易さが相違し、加えて、水の白濁化に必要な空気の溶解量と医療的に有効な二酸化炭素の溶解量は、大きく異なるため、従来の気液混合タンクを備えたマイクロバブル発生装置を用いて、空気のマイクロバブルと炭酸泉の双方を発生或いは生成することは、困難である。
【0008】
本願発明は、従来のマイクロバブル・炭酸泉発生装置の前記問題点に鑑み、気液混合タンクを備えたマイクロバブル発生装置を用いて、空気のマイクロバブルと炭酸泉を効率よく安定的に容易に発生或いは生成できるマイクロバブル・炭酸泉発生装置と気液混合タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、その目的を達成するため、請求項1に記載の気液混合タンクは、密閉型の混合容器、該混合容器内へ水を噴射する水噴射ノズルと二酸化炭素ガスを噴射するガス噴射ノズルを備えていることを特徴とする。
請求項2に記載の気液混合タンクは、請求項1に記載の気液混合タンクにおいて、前記混合容器内に前記水噴射ノズルに対向する位置に撹拌用の衝突部材を設けてあることを特徴とする。
請求項3に記載の気液混合タンクは、請求項1又は請求2に記載の気液混合タンクにおいて、前記混合容器内に該混合容器の上限水位と下限水位を検出する水位検出部材を設けてあることを特徴とする。
請求項4に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置は、請求項1又は請求項2に記載の気液混合タンク、該気液混合タンクの水噴射ノズルへ水源槽の水を供給する給水管、該気液混合タンクのガス噴射ノズルへ二酸化炭素ガスを供給する給ガス管、該気液混合タンクの空気溶解水又は二酸化炭素溶解水を受水槽へ供給する配水管、該給水管の水を該気液混合タンクへ送出するポンプ、該給水管へ空気を供給・停止する電磁弁、及び該給ガス管へ二酸化炭素ガスを供給・停止する電磁弁を備え、該両電磁弁及び該ポンプを制御する制御装置を備えていることを特徴とする。
請求項5に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置は、請求項3に記載の気液混合タンク、該気液混合タンクの水噴射ノズルへ水源槽の水を供給する給水管、該気液混合タンクのガス噴射ノズルへ二酸化炭素ガスを供給する給ガス管、該気液混合タンクの空気溶解水又は二酸化炭素溶解水を受水槽へ供給する配水管、該給水管の水を該気液混合タンクへ送出するポンプ、該給水管へ空気を供給・停止する電磁弁、及び該給ガス管へ二酸化炭素ガスを供給・停止する電磁弁を備え、該両電磁弁及び該ポンプを制御する制御装置を備えていることを特徴とする。
請求項6に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置は、請求項4又は請求項5に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置において、前記制御装置は、前記空気を供給・停止する電磁弁を供給側へ切替えたときは、前記二酸化炭素ガスを供給・停止する電磁弁を停止側へ切替え、前記空気を供給・停止する電磁弁を停止側へ切替えたときは、前記二酸化炭素ガスを供給・停止する電磁弁を供給側へ切替えるように制御することを特徴とする。
請求項7に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置は、請求項5に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置において、前記制御装置は、前記空気を供給・停止する電磁弁を供給側へ切替えているとき、前記下限水位を検出すると該電磁弁を停止側へ切替え、前記上限水位を検出すると供給側へ切替えるように制御することを特徴とする。
請求項8に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置は、請求項5に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置において、前記制御装置は、前記二酸化炭素ガスを供給・停止する電磁弁を供給側へ切替えているとき、前記下限水位を検出すると該電磁弁を停止側へ切替え、前記上限水位を検出すると供給側へ切替えるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本願発明の気液混合タンクは、密閉型の混合容器内に水を噴射する水噴射ノズルと二酸化炭素ガスを噴射するガス噴射ノズルを備えているから、二酸化炭素ガスは、水に無駄なく完全に溶解し、高濃度の二酸化炭素溶解水を生成することができる。また本願発明の気液混合タンクは、水噴射ノズルに供給する水に空気を混入することにより、空気溶解水を生成することができる。したがって本願発明の気液混合タンクは、同じ気液混合タンクにより二酸化炭素溶解水と空気溶解水の何れも生成することができる。また本願発明の気液混合タンクは、水噴射ノズルとガス噴射ノズルを設けたことにより、給水管の水に二酸化炭素ガスを混入する必要がないから、ポンプはエアーロックを起こすことがない。したがって二酸化炭素ガスの供給量を任意に設定できる。
本願発明の気液混合タンクは、混合容器内に衝突部材を設けてあるから、混合容器内で水と空気又は二酸化炭素ガスを撹拌することができ、水に空気又は二酸化炭素ガスを効率よく溶解することができる。また衝突部材は、混合容器内の未溶解の空気又は二酸化炭素ガスの泡が、配水管へ流出するのを防止することができる。加えて本願発明の気液混合タンクは、混合容器の水位を検出する水位検出部材を設けてあるから、混合容器の水位を撹拌に適した水位に維持することができ、また気液混合タンク内の気体圧を一定に維持して空気や二酸化炭素ガスを安定的に溶解することができる。
【0011】
本願発明のマイクロバブル・炭酸泉発生装置は、本願発明の気液混合タンクを用いることにより、空気を供給・停止する電磁弁と二酸化炭素ガスを供給・停止する電磁弁を切替えるだけで、浴槽等の受水槽に高濃度の二酸化炭素溶解水又は空気溶解水を給できるから、空気のマイクロバブルと炭酸泉の何れも生成することができる。そして二酸化炭素溶解水と空気溶解水の生成に同じ気液混合タンクを使用できるから、マイクロバブル・炭酸泉発生装置は、構成が簡単になり、安価に作製できる。また設置スペースも小さくなる。
本願発明のマイクロバブル・炭酸泉発生装置は、ポンプを制御して気液混合タンクの混合容器内の気体圧を所定値に維持することができるから、水に二酸化炭素又は空気を効率よく安定的に無駄なく溶解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1〜図4により本願発明の実施例を説明する。なお各図に共通の部分は、同じ符号を使用している。
【実施例】
【0013】
図1は、本願発明の実施例に係るマイクロバブル・炭酸泉発生装置の全体の構成を示す。
図1において、1は気液混合タンク、2はポンプ(カスケード型ポンプ)、3は浴槽、61は制御装置である。気液混合タンク1は、密閉型の混合容器(撹拌用の容器)11からなり、水又は空気混入水を噴射する水噴射ノズル141、二酸化炭素ガスを噴射するガス噴射ノズル142、配水管422を備えている。制御装置61は、後述するように、混合容器11の水位を検知し、電磁弁、ポンプの駆動モータを制御する手段或いはマイクロプロセッサを備えている。
ポンプ2は、浴槽3の水(湯)311を吸込口321から吸込み、給水管411、管結合部412、ポンプ2、給水管413を介して気液混合タンク1の水噴射ノズル141へ供給する。水噴射ノズル141は、気液混合タンク1の混合容器11の内部へスプレイ状或いは噴霧状の噴射水161を噴射する。噴射水161は、衝突部材15上で空気又は二酸化炭素ガスと撹拌されて、空気が溶解した空気溶解水13、又は二酸化炭素が溶解した二酸化炭素溶解水13となる。
【0014】
空気溶解水13を生成するときは、電磁弁521を閉じ、電磁弁511を開いて、オリフィス固定弁51から空気を取込む。取込まれた空気は、電磁弁511、逆止弁512を介して管結合部412へ供給され、給水管411の水に混入する。空気の混入した水は、水噴射ノズル141から噴射水161となって混合容器11内へ噴射し、撹拌用の衝突部材15上で撹拌される。
一方二酸化炭素溶解水を生成するときは、電磁弁511を閉じ、電磁弁521を開いて、二酸化炭素ガス源(例えばボンベ)52から二酸化炭素ガスを取込む。取込まれた二酸化炭素ガスは、電磁弁521、逆止弁522、給ガス管523を介してガス噴射ノズル142から混合容器11内へ噴射する。同時に水(空気の混入していない水)は、水噴射ノズル141から噴射水161となって混合容器11内へ噴射する。即ち炭酸ガス溶解水を生成するときは、水噴射ノズル141には水のみが供給される。混合容器11内の水と二酸化炭素ガスは、衝突部材15上で撹拌される。
【0015】
気液混合タンク1の空気溶解水13は、切替弁421を配水管424側へ切替えると、配水管422、切替弁421、配水管424を介して減圧構造の吐出ノズル322から浴槽3の水311中へ放出され、空気のマイクロバブル312を発生する。また気液混合タンク1の二酸化炭素溶解水13は、切替弁421を配水管423側へ切替えると、配水管422、切替弁421、配水管423を介して吐出ノズル323から浴槽3の水311中へ放出され、炭酸泉を生成する。
【0016】
切替弁421は、手動で切替えるが、電気制御によって切替えてもよい。電磁弁511、521は、制御装置61により制御される。また制御装置61は、気液混合タンク1の混合容器11に取付けた水位検出部材62により、後述するように、混合容器11内の水位を検出して、上限水位、下限水位においてポンプ2の回転速度を切替えて、ポンプ2の吐出圧(送出水量)を制御する。
オリフィス固定弁51は、円筒部の内部の途中に底部を有し、その底部に孔径約0.3mm程度の通気孔(オリフィス)を形成した簡単な構造のものである。オリフィス固定弁51から取込む空気の量は、通気孔(オリフィス)の孔径によって決まる。
【0017】
図1の場合、空気溶解水の吐出ノズル322と二酸化炭素溶解水の吐出ノズル323を別々に設けてあるが、切替弁421を省略して両溶解水に共通の吐出ノズルを1個(例えば吐出ノズル322)設けるだけでもよい。また吸込口321、吐出ノズル322,323は、浴槽3に直接取付けてあるが、後述するように、吸込口321、吐出ノズル322,323を取付けた給水管411、配水管423,424を、既設の浴槽内に挿入するように構成してもよい。
【0018】
ここで浴槽水の白濁化と炭酸泉生成の所要時間について、浴槽3の水311が200L(リットル)の場合を例に説明する。
空気のマイクロバブルにより浴槽水311を白濁化するときの所要時間は、ポンプ2の吐出圧が0.3MPa、送水量が6L/分で、給水管411の水に混入する空気の量が150cc/分の場合、約3分である。なお給水管411の水に混入する空気の量は、100〜200/分の範囲が望ましい。この範囲であれば、浴槽水311は白濁化し、かつポンプ2は安定して送水する。150cc/分の空気を混入する場合、オリフィス固定弁51の通気孔(オリフィス)の孔径は、0.3mmに設定する。
また浴槽水311の二酸化炭素濃度が1000ppmに達するまでの所要時間は、ガス噴射ノズル142の二酸化炭素ガスの噴射量が2L/分の場合、約50分である。
【0019】
図2は、図1の気液混合タンク1の拡大図である。図2(a)は、縦断面図であり、図2(b)は、図2(a)のX1部分の矢印方向の断面図、図2(c)は、図2(a)のX2部分の矢印方向の断面図である。
混合容器11には、空気溶解水13又は二酸化炭素溶解水13の水位を検出する水位検出部材62を設けてあり、その水位検出部材62は、上限水位Luを検出する水位センサ631、下限水位Llを検出する水位センサ632を備えている。
また混合容器11には、衝突部材15を取付けてある。衝突部材15は、水噴射ノズル141、ガス噴射ノズル142側の衝突板151、出口側(配水管422側)の仕切板152、衝突板151と仕切板152を所定の間隔に保持する支柱154からなり、仕切板152の中央には円形の開口部153を形成してある。仕切板152は、周囲を混合容器11の内面に取付けてある。なお仕切板152は、混合容器11の底部に支柱を設けて、その支柱に取付けてもよい。
衝突板151の直径は、混合容器11の内径よりも小さくして、両者の間にリング状の隙間Srを設けてある。また仕切板152の開口部153の直径は、衝突板151の直径よりも小さく形成してある。
【0020】
次に気液混合タンク1により、空気溶解水と二酸化炭素溶解水を生成するときの、図1の電磁弁511,521、ポンプ2等の制御方法或いは制御手段について説明する。
まず空気溶解水を生成するときの制御について説明する。
スタート時の混合容器11の水位は、下限水位Llであるとする。制御装置61は、水位センサ632の検出信号により下限水位L1を検知すると、電磁弁511,521を駆動して両電磁弁を閉じ、空気と二酸化炭素ガスの供給を停止するとともに、ポンプ2の駆動モータを駆動する。ポンプ2は、浴槽3の水を水噴射ノズル141へ供給し、水噴射ノズル141は、噴射水161を噴射する。そのときのポンプ2の吐出圧は、制御装置61により0.3MPaに設定してある。制御装置61は、吐出圧が0.3MPaとなるように、ポンプ2の回転速度を制御して送出水量を制御する。ポンプ2の回転速度は、制御装置61によりポンプ2の駆動モータの電源を制御し、その電源周波数を変えることにより制御する。ポンプ2の吐出圧が、0.3MPaのとき、混合容器11の気体領域12の気体圧(空気圧)は、0.25MPaになる。
【0021】
混合容器11の水位が上昇して、上限水位Luに達すると、制御装置61は、水位センサ631の検出信号により上限水位Luを検知する。制御装置61は、上限水位Luを検知すると、電磁弁511を開いて、空気を供給する。水噴射ノズル141は、空気の混入した噴射水161を噴射する。空気と水は、混合容器11内で撹拌されて空気溶解水13となり、配水管422から浴槽3へ送出される。混合容器11内の空気溶解水13が減少して、水位が下限水位Llまで下がると、制御装置61は、電磁弁511を閉じ、空気の取込みを停止して水のみを水噴射ノズル141へ供給して、水位を上昇させる。水位が上限水位Luまで上昇すると、制御装置61は、電磁弁511を開いて、空気を供給する。
【0022】
次に二酸化炭素溶解水を生成するときの制御について説明する。
スタート時の水位は、下限水位Llであるとする。制御装置61は、電磁弁511,521を閉じて空気と二酸化炭素ガスの供給を停止してポンプ2を駆動する。ポンプ2は、浴槽3の水を水噴射ノズル141へ供給し、水噴射ノズル141は、噴射水161を噴射する。そのときのポンプ2の吐出圧は、0.3MPaに設定する。ポンプ2の吐出圧が0.3MPaのとき、混合容器11の気体領域12の気体圧(空気圧)は、0.25MPaになる。
【0023】
混合容器11内の水位が上昇して、上限水位Luに達すると、制御装置61は、ポンプ2の設定吐出圧にしたがってポンプ2の吐出圧を0.23MPaに変更するとともに、電磁弁521を開いて、二酸化炭素ガスを供給する。ポンプ2の吐出圧が0.23MPaとき、混合容器11の気体領域12の気体圧は、0.18MPaになる。水噴射ノズル141は、水のみの噴射水161を噴射するとともに、ガス噴射ノズル142は、二酸化炭素ガスを噴射する。そのときの二酸化炭素ガス源52の供給ガス圧は、0.2MPaに設定してある。即ち二酸化炭素ガスの供給ガス圧は、容器11の気体領域12の気体圧よりも高めに設定して、二酸化炭素ガスが混合容器11内へ噴射し易い値に設定してある。混合容器11内の二酸化炭素溶解水13が減少して、水位が下限水位Llまで下がると、スタート時の状態に戻り、制御装置61は、電磁弁521を閉じて二酸化炭素ガスの供給を停止するとともに、ポンプ2の吐出圧を0.3MPaに変更して、混合容器11の水位を上昇させる。水位が上限水位Luまで上昇すると、制御装置61は、ポンプ2の吐出圧を0.23MPaに設定するとともに、電磁弁521を開いて、二酸化炭素ガスを供給する。
ポンプ2の吐出圧や二酸化炭素ガスの供給圧は、前記値に限らない。ポンプ2の吐出圧や二酸化炭素ガスの供給圧は、所望の水位上昇速度や二酸化炭素の溶解量等に応じて適宜設定することができる。またポンプの大きさ(送水量)は、空気溶解水又は二酸化炭素溶解水の必要な生成量に応じて所望の大きさに設定する。
【0024】
気液混合タンク1は、密閉構造の混合容器11を備え、その混合容器11内に水噴射ノズル141とガス噴射ノズル142を別々に設けてあるから、混合容器11内へ多量の二酸化炭素ガスを供給することができ、供給された二酸化炭素ガスは、完全に水に溶解する。したがって気液混合タンク1は、高濃度の二酸化炭素溶解水を効率よく生成することができる。また気液混合タンク1は、混合容器11内の水位を一定の範囲に維持することにより、気体領域12も一定の範囲に維持できるから、混合容器11に供給された二酸化炭素ガスは、完全に水に溶解する。したがって高価な二酸化炭素ガスを無駄なく二酸化炭素溶解水の生成に使うことができる。また気液混合タンク1は、水噴射ノズル141に空気の混入した水を供給することにより、二酸化炭素溶解水の生成と同様に、高濃度の空気溶解水を生成することができる。
したがって気液混合タンク1は、同じ気液混合タンクにより二酸化炭素溶解水又は空気溶解水を生成することができる。
【0025】
ここで混合容器11のサイズは、頂部(水噴射ノズル141側)の内径が約73mm、底部(配水管422側)の内径が約68mm、高さが約130mmである。
なお混合容器11の大きさは、浴槽等の受水槽の大きさに応じ、また空気や二酸化炭素の所望の溶解量或いは空気や二酸化炭素の溶解水の生成量に応じて任意に選定できる。
【0026】
次に図3により図1、図2の気液混合タンク1の撹拌の様子を説明する。
空気溶解水13又は二酸化炭素溶解水13の下限水位Llは、衝突板151の上方に設定する。即ち空気溶解水13又は二酸化炭素溶解水13は、常に衝突板151の上方に存在している。
空気溶解水を生成するときは、水噴射ノズル141から、空気の混入した噴射水161を噴射する。噴射水161は、衝突板151に衝突すると、空気溶解水13の上昇流162、下降流163が生じ、その上昇・下降を繰り返して水と空気は撹拌される。その撹拌により、空気は、空気溶解水13に溶解する。また噴射水161は、シャワー状又は噴霧状であるから、水や空気の表面積が大きくなり、水と空気の接触する面積が大きくなるため、空気は水に一層溶解し易くなる。
【0027】
二酸化炭素溶解水を生成するときは、水噴射ノズル141から、水のみの噴射水161を噴射するとともに、ガス噴射ノズル142から二酸化炭素ガスを噴射する。二酸化炭素ガスの一部はスプレイ状又は噴霧状の噴射水161に溶解し、残りは噴射水161に引き込まれて衝突板151に衝突し、前記のように水と二酸化炭素ガスは、撹拌される。その撹拌により二酸化炭素は、二酸化炭素溶解水13に溶解する。
【0028】
ここで衝突板151の位置について説明する。
衝突板151の上に空気溶解水13又は二酸化炭素溶解水13が存在しない場合には、噴射水161は、衝突板151の上で跳ね返るのみで、空気溶解水13又は二酸化炭素溶解水13の上昇流162、下降流163は生じない。したがって衝突板151の上には、常に空気溶解水13又は二酸化炭素溶解水13が常に存在するように、混合容器11の水位を設定する。その水位は、混合容器11の下限水位Llの設定により調整できる。
また衝突板151の上に存在する空気溶解水13又は二酸化炭素溶解水13が深い(厚い)場合、噴射水161は、空気溶解水13又は二酸化炭素溶解水13中へ浸入するのみで上昇流・下降流は小さくなる。したがって衝突部材15の取付位置は、混合容器11の深さに応じて調整する。
また衝突部材15は、その取付位置を変えることにより、深さ(高さ)の異なる混合容器11に対応できる。
【0029】
衝突板151は、前記の撹拌作用の外に、空気又は二酸化炭素ガスの泡が配管422へ流出するのを防止する効果がある。衝突板151がない場合、噴射水161は、空気溶解水13又は二酸化炭素溶解水13の中へ浸入し、配水管422に向かう水流が生じる。未溶解の空気又は二酸化炭素ガスの泡17は、その水流とともに配水管422へ流出するが、衝突板151を設けることにより、その流出を防止できる。
また撹拌の際、空気溶解水13又は二酸化炭素溶解水13は、水流165,166のように、仕切板152の開口部153を通って配水管422へ送出される。その際水流165,166によって泡17も運ばれるが、水流165,166は、混合容器11の内壁と衝突板151の間の隙間Srを通り、衝突板151の裏側を迂回して開口部153に達するから、泡17は、その迂回の過程で水流165,166から離れて衝突板151の裏側に集まる。したがって泡17は、開口部153から配水管422側へ流出することはない。即ち未溶解の空気又は二酸化炭素ガスの泡17は、配水管422へ流出しない。衝突板151の裏側に集まった泡17は、隙間Srから衝突板151の上へ浮上する。
【0030】
図4は、図1の吸込口321、吐出ノズル322,323を、図1のように浴槽3に直接取付けずに、浴槽3に挿入するように構成した例を示す。図4(a)は、浴槽の断面図、図4(b1),(b2),(c),(d)は、図4(a)の吐出ノズル332、配水管432の断面図である。また図4(b2)は、図4(b1)のX3部分の矢印方向の断面図である。
浴槽3には、先端に吸込口331を取付けたフレキシブルな給水管(給水ホース)431と先端に吐出ノズル332を取付けたフレキシブルな配水管(配水ホース)432を挿入してある。
吐出ノズル332は、図4(b1),(b2)のように、途中で屈曲し、その屈曲部の手前に減圧ノズル3321を設けてある。減圧ノズル3321は、図4(b2)のように、3個の通水孔(孔径約1.5mm)からなる。配水管432から送出される空気溶解水又は二酸化炭素溶解水は、減圧ノズル3321を通過したとき、一気に開放されることになり、溶解している空気又は二酸化炭素が析出してマイクロバブルになる。その際減圧ノズル3321を通過した空気溶解水又は二酸化炭素溶解水は、図4(c)のように、一旦吐出ノズル332の内壁に衝突してから出口へ送られる。その衝突により、空気溶解水中に溶解している空気又は二酸化炭素溶解水に溶解している二酸化炭素は、刺激を受けて一層マイクロバブルが発生し易くなる。即ちその衝突により、溶解している空気又は二酸化炭素が刺激を受けて析出が増大し、又は析出した目に見えない微細な気泡同士が合体して、目に見える気泡サイズに成長したマイクロバブルが発生する。
【0031】
ここで炭酸泉の血行促進等医療効果についてみると、炭酸泉は、二酸化炭素のマイクロバブルを発生することよりも、浴槽3の水311に二酸化炭素が溶解している状態を長い間持続させたい場合がある。そのような場合には、図4(d)のように吐出ノズル332を外して、配水管432の出口部分を吐出ノズル333として使用し、その吐出ノズル333から二酸化炭素溶解水を直接浴槽3の水311中へ放出する。即ち二酸化炭素溶解水は、刺激を与えずに放出する。
なお吐出ノズル333は、配水管432とは別に、配水管432に取付ける部品として作製してもよい。また吐出ノズル332,333は、図1の吐出ノズル322,323にも適用できる。
【0032】
前記実施例のマイクロバブル・炭酸泉発生装置は、浴槽を例に説明したが、浴槽に限らず水槽、プール、洗浄装置、殺菌装置等にも用いることができる。
また前記実施例のマイクロバブル・炭酸泉発生装置は、気液混合タンクへ水を供給する水源槽と気液混合タンクから空気溶解水又は二酸化炭素溶解水を受水する受水槽は、同じ浴槽であるが、水源槽と受水槽は、別々に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本願発明の実施例に係るマイクロバブル・炭酸泉発生装置の全体の構成を示す図である。
【図2】本願発明の実施例に係る気液混合タンクの構成を示す図である。
【図3】本願発明の実施例に係る気液混合タンクの撹拌の様子を説明する図である。
【図4】本願発明の実施例に係る浴槽に挿入する形式の吸込口、吐出ノズルを示す図である。
【図5】従来マイクロバブル・炭酸泉発生装置の構成を示す図である。
【図6】従来の気液混合タンクを用いたマイクロバブル発生装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 気液混合タンク
11 混合容器
12 混合容器の気体領域
13 空気溶解水又は二酸化炭素溶解水
141 水噴射ノズル
142 ガス噴射ノズル
15 衝突部材
151 衝突板
152 仕切板
2 ポンプ
3 浴槽
321 吸込口
322,323,332,333 吐出ノズル
421 切替弁
411,413,432 給水管
422,423,424,431 配水管
51 空気取込用のオリフィス固定弁
511,521 電磁弁
52 二酸化炭素ガス源(ボンベ)
523 給ガス管
61 制御装置
62 水位検出部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉型の混合容器、該混合容器内へ水を噴射する水噴射ノズルと二酸化炭素ガスを噴射するガス噴射ノズルを備えていることを特徴とする気液混合タンク。
【請求項2】
請求項1に記載の気液混合タンクにおいて、前記混合容器内に前記水噴射ノズルに対向する位置に撹拌用の衝突部材を設けてあることを特徴とする気液混合タンク。
【請求項3】
請求項1又は請求2に記載の気液混合タンクにおいて、前記混合容器内に該混合容器の上限水位と下限水位を検出する水位検出部材を設けてあることを特徴とする気液混合タンク。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の気液混合タンク、該気液混合タンクの水噴射ノズルへ水源槽の水を供給する給水管、該気液混合タンクのガス噴射ノズルへ二酸化炭素ガスを供給する給ガス管、該気液混合タンクの空気溶解水又は二酸化炭素溶解水を受水槽へ供給する配水管、該給水管の水を該気液混合タンクへ送出するポンプ、該給水管へ空気を供給・停止する電磁弁、及び該給ガス管へ二酸化炭素ガスを供給・停止する電磁弁を備え、該両電磁弁及び該ポンプを制御する制御装置を備えていることを特徴とするマイクロバブル・炭酸泉発生装置。
【請求項5】
請求項3に記載の気液混合タンク、該気液混合タンクの水噴射ノズルへ水源槽の水を供給する給水管、該気液混合タンクのガス噴射ノズルへ二酸化炭素ガスを供給する給ガス管、該気液混合タンクの空気溶解水又は二酸化炭素溶解水を受水槽へ供給する配水管、該給水管の水を該気液混合タンクへ送出するポンプ、該給水管へ空気を供給・停止する電磁弁、及び該給ガス管へ二酸化炭素ガスを供給・停止する電磁弁を備え、該両電磁弁及び該ポンプを制御する制御装置を備えていることを特徴とするマイクロバブル・炭酸泉発生装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置において、前記制御装置は、前記空気を供給・停止する電磁弁を供給側へ切替えたときは、前記二酸化炭素ガスを供給・停止する電磁弁を停止側へ切替え、前記空気を供給・停止する電磁弁を停止側へ切替えたときは、前記二酸化炭素ガスを供給・停止する電磁弁を供給側へ切替えるように制御することを特徴とするマイクロバブル・炭酸泉発生装置。
【請求項7】
請求項5に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置において、前記制御装置は、前記空気を供給・停止する電磁弁を供給側へ切替えているとき、前記下限水位を検出すると該電磁弁を停止側へ切替え、前記上限水位を検出すると供給側へ切替えるように制御することを特徴とするマイクロバブル・炭酸泉発生装置。
【請求項8】
請求項5に記載のマイクロバブル・炭酸泉発生装置において、前記制御装置は、前記二酸化炭素ガスを供給・停止する電磁弁を供給側へ切替えているとき、前記下限水位を検出すると該電磁弁を停止側へ切替え、前記上限水位を検出すると供給側へ切替えるように制御することを特徴とするマイクロバブル・炭酸泉発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−237956(P2008−237956A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78037(P2007−78037)
【出願日】平成19年3月25日(2007.3.25)
【出願人】(506018547)
【Fターム(参考)】