マイクロマシン
【課題】マイクロマシンが形成されたチップのハンドリングにおいて、可動体部を保護することでチップの取り扱いを容易にすることが可能なマイクロマシン構造を提供する。
【解決手段】バネにより支持され、微小角回転が可能なマイクロミラー部100のような可動体部を有したマイクロマシンにおいて、少なくとも可動体部を覆うように金属橋200を設けることでハンドリング時に可動体部が他の物体と接触することを防止する構造とする。
【解決手段】バネにより支持され、微小角回転が可能なマイクロミラー部100のような可動体部を有したマイクロマシンにおいて、少なくとも可動体部を覆うように金属橋200を設けることでハンドリング時に可動体部が他の物体と接触することを防止する構造とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小な可動体部を有したマイクロマシンの構造に関する。。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロマシンを使用した各種センサー、マイクロミラー及び光ミラースイッチ、あるいはリレーなどのスイッチング素子など、所謂マイクロマシン素子が盛んに研究開発され、一部実用に供されている。上記にあげたマイクロマシンは微小な可動体部を有しており、例えば加速度センサーはサスペンションにより支持された錘部が可動することで加速度の変化を検知する。薄いダイヤフラムを有する圧力センサーは圧力によりダイヤフラムが歪むのを検知している。またマイクロミラーはミラーが回転可動することで光の方向を変える機能を有しており、スイッチング素子はビーム(梁)が上下方向に可動することで固定電極との接点開閉を行う。そしてこれら可動体部は物の接触などて壊れ易いものであり、マイクロマシンの取り扱い(ハンドリング)では接触などのいかなる要因も許容できない。
【0003】
上記のようにマイクロマシンは物の接触で致命的なダメージを受けるが、これ以外にも水分の付着、ゴミなどの付着などで故障するため、マイクロマシンの製造工程の中で外囲器構造を実現し気密封止できるよう多くの検討が為されている。この技術はウェーハレベル・パッケージング(WLP)技術と言われ、例えばMems Packaging(Tai−Ran Hsu著、Peter Peregrinus Ltd;ISBN:0863413358;2003/12)に整理して記載されている。基本的な概念は、マイクロマシン素子が形成されたウェーハにキャップとなる基板(シリコンウェーハ、ガラス基板など)を接合し、その後チップに分離するものである。接合は接着剤やハンダを使用する場合、陽極接合によるものなどがある。一部のマイクロマシン、例えば加速度センサーなとで実用化されているものの、まだWLPが広範に使用されるに至っていない。その理由は、マイクロマシンにとって接合条件(温度、加圧、不純物ガスなど)が厳しすぎる、歩留が悪い、などである。
【0004】
このようにWLPが適用しにくいマイクロマシンにあっては、マイクロマシンが形成されたチップにキャップを設けない裸(ベア)チップをパッケージに実装するなどの取り扱いが為されているのが現状である。一例としてマイクロミラーはベアチップのまま透明な蓋を有するパッケージに実装される場合が多い。ベアチップの取り扱いでは表面に形成されたミラー部にはいかなることかあっても触れてはならない。例えばチップを複数個洗浄する場合に洗浄液の中でチップ同士が接触する可能性が出てくるが、ミラー部にタメージが加えられる。またパッケージに実装する場合、マイクロミラーのチップをピンセットあるいは吸着コレットなどでピックアップする際にミラー部に触れることは許されないので、作業性が著しく悪くなる。さらにはマイクロマシンのチップを保管、搬送する際にも保管容器の中で容器壁に接触することがあってはならないのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に説明したようにマイクロマシンのチップを洗浄したり、搬送したり、パッケージに実装するなどのハンドリングにおいて、マイクロマシンの可動体部を保護する必要があり、しかもウェーハレベル・パッケージング技術の導入が広範に為され得ない技術レベルを鑑みると保護機能を持つ構造体を簡便に製作できることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の基本とするところは、請求項1においては可動体部を有したマイクロマシンにおいて、少なくとも可動体部を覆うように金属橋を備えたことを特徴とするマイクロマシンを提供する。
【0007】
また請求項2においては、金属橋はめっきで形成したことを特徴としており、簡便な製造方法により発明構造を実現するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のマイクロマシンチップは、製作が容易でかつ可動体部を物の接触から保護できることにより、個々のチップの取り扱い(ハンドリング)を優れて容易にするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態を幾つか図面を参照して説明する。図1は本発明によるマイクロミラーの投影図を示す。可動体部であるミラー部100はバネにより支持され微小角の回転が可能となっている。そしていかなる場合でも物に触れるとダメージを蒙る。これを保護するためにミラー部100を覆うように金属橋200を形成したものである。この金属橋200の形状はミラー部100を保護し、かつミラーの機能を損なうことが無いような形状であれば特に限定されるものではない。本例示のマイクロミラーは、光は上方より入射し、角度を持ったミラーにより反射される機能を想定している。このためミラー部100の上方周囲は光の入射と反射を妨げないようくり貫いた形状を持たせている。なおミラー部100の駆動力として静電引力を使用する場合には、金属橋200はミラー部100と同電位となるよう電気的に接続しておくことが望ましい。
【0010】
図2は本発明によるマイクロマシンスイッチの例を示し、図3はその拡大図を示す。可動体部であるビーム部300が基板上に形成され、対向する制御電極との間の静電引力などで上下に可動する。マイクロミラーと同様にいかなる場合でもダメージ回避のためにビーム部300に触れることは許容できない。従ってビーム部300を保護するために金属橋400が形成される。この金属橋400の形状は、アームを保護しかつマイクロマシンスイッチの機能を損なうことが無いような形状であれば特に限定されるものではない。
【0011】
一例として図4に示すような蓋を有するような金属橋500でもスイッチングの機能を損なうことは無い。なおマイクロマシンスイッチが静電引力により駆動されるものであれば、金属橋300、400はビーム部と同電位になるよう電気的に接続しておく必要がある。
【0012】
以上の実施例で説明したように、本発明の金属橋はマイクロマシンの可動体部を物の接触から保護するものであり、またWLPが目的とするようなキャップ構造を持たせて気密性を確保するものではない。従って橋梁状の形状を為せば十分に目的は達せられる。但し後述するように外気を遮断し、気密性を確保できる密閉型の形状、あるいは僅かな隙間しか持たない密閉に近い形状は製作が困難であるため除外される。
【0013】
以下では本発明の実施形態の製作工程について一例を示しながら説明する。
図5はシリコンから成る半導体基板10にマイクロマシン20が形成された断面図を示す。この基板上にフォトレジスト30を塗布し、ベーキングを行った後マスクを通した露光、そして現像を行って所望のパターンを形成する(図6)。なおフォトレジストは可動体を覆うように被覆する必要があるため厚く形成できることが望ましい。マイクロマシンによって異なるが、例えば50μmから100μmの厚膜を選定することになる。厚膜専用のフォトレジストとしてAZP4620(Clariant社商品名)を使用することが出来る。
【0014】
図7は電解めっき用の電極を形成するために前記基板全面に金を薄く蒸着し金層40を形成した時の断面図である。
を形成した時の断面図である。
【0015】
図8は選択的に電解めっきを行うためにフォトレジストで所望のパターン50を形成した時の断面図を示す。このパターン50はマスクを通した露光、現像により形成され、金属橋の形状を決める。フォトレジストとしては図6の工程で使用したレジストと同じものを使用することが出来る。但し後述するように、このフォトレジストの厚さは電解めっきで形成する金属橋の厚み程度であれば十分である。金属橋の厚さを5μmとすれば、フォトレジストの厚さは10μm程度で十分であるので、フォトレジストを希釈して使用することも可能である。
【0016】
図9は電解めっきにより金層60を形成した基板の断面図を示す。金層60の厚さは金属橋の強度を決めるものであり、厚いほど機械的な強度が強いことになる。ここでは5μmの厚さに形成した。金の電解めっき液としてミクロファブ660やテンペレックス(田中貴金属、商品名)を使用することが出来る。電解めっきの後、フォトレジスト50を現像液で溶解し、図6で示した金層40をヨウ素ヨウ化カリウム溶液でエッチング除去する(図9)。
【0017】
図10はフォトレジスト30によりマイクロマシンの可動体を保護した状態であることを示している。シリコン基板はラッピング装置あるいはグラインダー装置により薄層にする必要がある。これはシリコン基板の裏面を機械的に研磨して薄くしていくのであるが、支持基板にワックスなどでシリコン基板を貼り付けて行う。可動体を覆うようにして形成したフォトレジストは可動体を機械的なストレスから保護することができる。
【0018】
シリコン基板の薄層化の後、ブレードダイシング装置により分離溝を形成してチップ分離をする。シリコン基板は支持基板に貼り付けたまま行うのでシリコン基板の裏面よりダイシングすることになる。なおダイシングの位置決めが必要になるが、赤外線を使用したマスク合せ装置を使用することによりマイクロマシンのパターンに合わせたフォトレジストマーカを基板裏面に形成しダイシングマーカとすることが出来る。ダイシングの後に、支持基板に貼り付けたまま有機溶剤などの剥離液に浸漬してチップを支持基板から剥し、チップ洗浄を繰り返す。
【0019】
以上、製作にかかる実施例で本発明の内容を説明したが、金属橋をめっきで形成するためには金属橋の下部にフォトレジストが必要であり、このフォトレジストは最後に有機溶剤などの剥離液や酸素プラズマなどで完全に除去できなければならない。このためには金属橋の形状がキャップを被覆したような密閉型のものであってはフォトレジストの剥離が困難になり製作できない。従って本発明で言う金属橋とは隙間の多い橋梁の形状を意味しており、天井部はマイクロマシンの性能が確保される限りその形状は限定されるものではない。
【0020】
上記実施例では電解めっきにより金層を形成したが、金に限定されるもので無いことは明らかであり、例えば他の金属あるいは合金であっても良い。さらに無電解めっきを使用しても本発明の目的を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明によるマイクロマシンの投影図
【図2】本発明によるマイクロマシンの投影図
【図3】本発明によるマイクロマシンの投影図
【図4】本発明によるマイクロマシンの投影図
【図5】本発明によるマイクロマシンの製作工程を示す断面図
【図6】本発明によるマイクロマシンの製作工程を示す断面図
【図7】本発明によるマイクロマシンの製作工程を示す断面図
【図8】本発明によるマイクロマシンの製作工程を示す断面図
【図9】本発明によるマイクロマシンの製作工程を示す断面図
【図10】本発明によるマイクロマシンの製作工程を示す断面図
【符号の説明】
10…半導体基板
20…マイクロマシン
30…フォトレジスト
40…蒸着形成による金属層
50…フォトレジスト
60…電解めっきによる金属層
100…ミラー部
200…金属橋
300…ビーム(梁)部
400…金属橋
500…蓋形状
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小な可動体部を有したマイクロマシンの構造に関する。。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロマシンを使用した各種センサー、マイクロミラー及び光ミラースイッチ、あるいはリレーなどのスイッチング素子など、所謂マイクロマシン素子が盛んに研究開発され、一部実用に供されている。上記にあげたマイクロマシンは微小な可動体部を有しており、例えば加速度センサーはサスペンションにより支持された錘部が可動することで加速度の変化を検知する。薄いダイヤフラムを有する圧力センサーは圧力によりダイヤフラムが歪むのを検知している。またマイクロミラーはミラーが回転可動することで光の方向を変える機能を有しており、スイッチング素子はビーム(梁)が上下方向に可動することで固定電極との接点開閉を行う。そしてこれら可動体部は物の接触などて壊れ易いものであり、マイクロマシンの取り扱い(ハンドリング)では接触などのいかなる要因も許容できない。
【0003】
上記のようにマイクロマシンは物の接触で致命的なダメージを受けるが、これ以外にも水分の付着、ゴミなどの付着などで故障するため、マイクロマシンの製造工程の中で外囲器構造を実現し気密封止できるよう多くの検討が為されている。この技術はウェーハレベル・パッケージング(WLP)技術と言われ、例えばMems Packaging(Tai−Ran Hsu著、Peter Peregrinus Ltd;ISBN:0863413358;2003/12)に整理して記載されている。基本的な概念は、マイクロマシン素子が形成されたウェーハにキャップとなる基板(シリコンウェーハ、ガラス基板など)を接合し、その後チップに分離するものである。接合は接着剤やハンダを使用する場合、陽極接合によるものなどがある。一部のマイクロマシン、例えば加速度センサーなとで実用化されているものの、まだWLPが広範に使用されるに至っていない。その理由は、マイクロマシンにとって接合条件(温度、加圧、不純物ガスなど)が厳しすぎる、歩留が悪い、などである。
【0004】
このようにWLPが適用しにくいマイクロマシンにあっては、マイクロマシンが形成されたチップにキャップを設けない裸(ベア)チップをパッケージに実装するなどの取り扱いが為されているのが現状である。一例としてマイクロミラーはベアチップのまま透明な蓋を有するパッケージに実装される場合が多い。ベアチップの取り扱いでは表面に形成されたミラー部にはいかなることかあっても触れてはならない。例えばチップを複数個洗浄する場合に洗浄液の中でチップ同士が接触する可能性が出てくるが、ミラー部にタメージが加えられる。またパッケージに実装する場合、マイクロミラーのチップをピンセットあるいは吸着コレットなどでピックアップする際にミラー部に触れることは許されないので、作業性が著しく悪くなる。さらにはマイクロマシンのチップを保管、搬送する際にも保管容器の中で容器壁に接触することがあってはならないのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に説明したようにマイクロマシンのチップを洗浄したり、搬送したり、パッケージに実装するなどのハンドリングにおいて、マイクロマシンの可動体部を保護する必要があり、しかもウェーハレベル・パッケージング技術の導入が広範に為され得ない技術レベルを鑑みると保護機能を持つ構造体を簡便に製作できることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の基本とするところは、請求項1においては可動体部を有したマイクロマシンにおいて、少なくとも可動体部を覆うように金属橋を備えたことを特徴とするマイクロマシンを提供する。
【0007】
また請求項2においては、金属橋はめっきで形成したことを特徴としており、簡便な製造方法により発明構造を実現するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のマイクロマシンチップは、製作が容易でかつ可動体部を物の接触から保護できることにより、個々のチップの取り扱い(ハンドリング)を優れて容易にするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態を幾つか図面を参照して説明する。図1は本発明によるマイクロミラーの投影図を示す。可動体部であるミラー部100はバネにより支持され微小角の回転が可能となっている。そしていかなる場合でも物に触れるとダメージを蒙る。これを保護するためにミラー部100を覆うように金属橋200を形成したものである。この金属橋200の形状はミラー部100を保護し、かつミラーの機能を損なうことが無いような形状であれば特に限定されるものではない。本例示のマイクロミラーは、光は上方より入射し、角度を持ったミラーにより反射される機能を想定している。このためミラー部100の上方周囲は光の入射と反射を妨げないようくり貫いた形状を持たせている。なおミラー部100の駆動力として静電引力を使用する場合には、金属橋200はミラー部100と同電位となるよう電気的に接続しておくことが望ましい。
【0010】
図2は本発明によるマイクロマシンスイッチの例を示し、図3はその拡大図を示す。可動体部であるビーム部300が基板上に形成され、対向する制御電極との間の静電引力などで上下に可動する。マイクロミラーと同様にいかなる場合でもダメージ回避のためにビーム部300に触れることは許容できない。従ってビーム部300を保護するために金属橋400が形成される。この金属橋400の形状は、アームを保護しかつマイクロマシンスイッチの機能を損なうことが無いような形状であれば特に限定されるものではない。
【0011】
一例として図4に示すような蓋を有するような金属橋500でもスイッチングの機能を損なうことは無い。なおマイクロマシンスイッチが静電引力により駆動されるものであれば、金属橋300、400はビーム部と同電位になるよう電気的に接続しておく必要がある。
【0012】
以上の実施例で説明したように、本発明の金属橋はマイクロマシンの可動体部を物の接触から保護するものであり、またWLPが目的とするようなキャップ構造を持たせて気密性を確保するものではない。従って橋梁状の形状を為せば十分に目的は達せられる。但し後述するように外気を遮断し、気密性を確保できる密閉型の形状、あるいは僅かな隙間しか持たない密閉に近い形状は製作が困難であるため除外される。
【0013】
以下では本発明の実施形態の製作工程について一例を示しながら説明する。
図5はシリコンから成る半導体基板10にマイクロマシン20が形成された断面図を示す。この基板上にフォトレジスト30を塗布し、ベーキングを行った後マスクを通した露光、そして現像を行って所望のパターンを形成する(図6)。なおフォトレジストは可動体を覆うように被覆する必要があるため厚く形成できることが望ましい。マイクロマシンによって異なるが、例えば50μmから100μmの厚膜を選定することになる。厚膜専用のフォトレジストとしてAZP4620(Clariant社商品名)を使用することが出来る。
【0014】
図7は電解めっき用の電極を形成するために前記基板全面に金を薄く蒸着し金層40を形成した時の断面図である。
を形成した時の断面図である。
【0015】
図8は選択的に電解めっきを行うためにフォトレジストで所望のパターン50を形成した時の断面図を示す。このパターン50はマスクを通した露光、現像により形成され、金属橋の形状を決める。フォトレジストとしては図6の工程で使用したレジストと同じものを使用することが出来る。但し後述するように、このフォトレジストの厚さは電解めっきで形成する金属橋の厚み程度であれば十分である。金属橋の厚さを5μmとすれば、フォトレジストの厚さは10μm程度で十分であるので、フォトレジストを希釈して使用することも可能である。
【0016】
図9は電解めっきにより金層60を形成した基板の断面図を示す。金層60の厚さは金属橋の強度を決めるものであり、厚いほど機械的な強度が強いことになる。ここでは5μmの厚さに形成した。金の電解めっき液としてミクロファブ660やテンペレックス(田中貴金属、商品名)を使用することが出来る。電解めっきの後、フォトレジスト50を現像液で溶解し、図6で示した金層40をヨウ素ヨウ化カリウム溶液でエッチング除去する(図9)。
【0017】
図10はフォトレジスト30によりマイクロマシンの可動体を保護した状態であることを示している。シリコン基板はラッピング装置あるいはグラインダー装置により薄層にする必要がある。これはシリコン基板の裏面を機械的に研磨して薄くしていくのであるが、支持基板にワックスなどでシリコン基板を貼り付けて行う。可動体を覆うようにして形成したフォトレジストは可動体を機械的なストレスから保護することができる。
【0018】
シリコン基板の薄層化の後、ブレードダイシング装置により分離溝を形成してチップ分離をする。シリコン基板は支持基板に貼り付けたまま行うのでシリコン基板の裏面よりダイシングすることになる。なおダイシングの位置決めが必要になるが、赤外線を使用したマスク合せ装置を使用することによりマイクロマシンのパターンに合わせたフォトレジストマーカを基板裏面に形成しダイシングマーカとすることが出来る。ダイシングの後に、支持基板に貼り付けたまま有機溶剤などの剥離液に浸漬してチップを支持基板から剥し、チップ洗浄を繰り返す。
【0019】
以上、製作にかかる実施例で本発明の内容を説明したが、金属橋をめっきで形成するためには金属橋の下部にフォトレジストが必要であり、このフォトレジストは最後に有機溶剤などの剥離液や酸素プラズマなどで完全に除去できなければならない。このためには金属橋の形状がキャップを被覆したような密閉型のものであってはフォトレジストの剥離が困難になり製作できない。従って本発明で言う金属橋とは隙間の多い橋梁の形状を意味しており、天井部はマイクロマシンの性能が確保される限りその形状は限定されるものではない。
【0020】
上記実施例では電解めっきにより金層を形成したが、金に限定されるもので無いことは明らかであり、例えば他の金属あるいは合金であっても良い。さらに無電解めっきを使用しても本発明の目的を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明によるマイクロマシンの投影図
【図2】本発明によるマイクロマシンの投影図
【図3】本発明によるマイクロマシンの投影図
【図4】本発明によるマイクロマシンの投影図
【図5】本発明によるマイクロマシンの製作工程を示す断面図
【図6】本発明によるマイクロマシンの製作工程を示す断面図
【図7】本発明によるマイクロマシンの製作工程を示す断面図
【図8】本発明によるマイクロマシンの製作工程を示す断面図
【図9】本発明によるマイクロマシンの製作工程を示す断面図
【図10】本発明によるマイクロマシンの製作工程を示す断面図
【符号の説明】
10…半導体基板
20…マイクロマシン
30…フォトレジスト
40…蒸着形成による金属層
50…フォトレジスト
60…電解めっきによる金属層
100…ミラー部
200…金属橋
300…ビーム(梁)部
400…金属橋
500…蓋形状
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動体部を有したマイクロマシンにおいて、少なくとも可動体部を覆うように金属橋を備えた特徴とするマイクロマシン
【請求項2】
前記金属橋はめっきで形成することを特徴とする請求項1に記載のマイクロマシン
【請求項1】
可動体部を有したマイクロマシンにおいて、少なくとも可動体部を覆うように金属橋を備えた特徴とするマイクロマシン
【請求項2】
前記金属橋はめっきで形成することを特徴とする請求項1に記載のマイクロマシン
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−296622(P2007−296622A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152646(P2006−152646)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(303032340)有限会社ディアックス (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(303032340)有限会社ディアックス (4)
【Fターム(参考)】
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