説明

マイクロリアクターでの活性化された芳香族のニトロ化

本発明は、芳香族若しくは複素環式芳香族化合物のニトロ化方法に関し、活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物とニトロ化剤が、場合によっては溶媒の存在下、マイクロリアクター中で強く混合され、活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物に対する活性化すべきニトロ化剤の割合と反応混合物中のニトロ化剤の濃度とが、ニトロ化がマイクロリアクター中で自己触媒的に開始するような高レベルで選択され、ニトロ化生成物は、マイクロリアクターを去った後、場合によってはマイクロリアクターの外部での後反応時間の後、得られる。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、マイクロリアクターでの活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物の自己触媒的ニトロ化に関する。
【0002】
有機化合物のニトロ化は、通常硝酸若しくは混酸により実行される。混酸は、硝酸と濃硫酸またはその誘導体及び/又はその塩の不定の化学量論組成の混合物に対する共通の名称である。ニトロ化剤は、真のニトロ化剤であるとみなされる求電子性ニトリルカチオン(NOを放出することができる少なくとも1つの窒素化合物を含む(Nitration, Methods and Mechanisms, Series: Organic Nitro Chemistry Series, Olah, G. A., Malhotra, R., Narang, S. C., Verlag VCH, Weinheim 1989)。ニトロ化後、使用されたニトロ化剤は、ある程度苦心してリサイクルされねばならない。硫酸、またはその誘導体及び/又はその塩の関与しないニトロ化混合物の活性化は、混酸の活性化より容易である。芳香族及び複素環式芳香族化合物は、しばしば容易にニトロ化することができ、そして、唯1つのニトロ基の選択的導入を得ることはしばしば困難である。
【0003】
芳香族及び複素環式芳香族化合物は、ニトロ化反応を受ける親和性に関して活性化されたものと不活性化されたものに識別することができる。カルボニル、カルボキシル若しくはカルボキシエステル基は不活性化作用を有する。ヒドロキシ若しくはアルコキシ基は、反応性に関して活性化作用を有する。
【0004】
不活性化された芳香族及び複素環式芳香族化合物は、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、安息香酸、フタル酸若しくはピリジンである(Olah,G.A. and Molnar, A..Hydrocarbon Chemistry,Wiley & Sons,1995,419-421)。ベンゼン及びナフタレンのような非置換化合物は、比較的より低い反応性を示し、以下では、不活性化化合物であるとみなされる。不活性化化合物は、好ましくは混酸でニトロ化され、硫酸、またはその誘導体及び/又はその塩の不存在下では、しばしば全く反応しないか、低収率で、ニトロ化剤と緩慢に反応するだけである。
【0005】
本発明の意味で、及び以下において活性化された芳香族及び複素環式芳香族化合物は、例えば、フェノール、p-及びo-クレゾール、アニソール、サリチル酸、1-及び2-ナフタレン、ヒドロキノン及び2-、3-及び4-ヒドロキシピリジンのような芳香族及び複素環式芳香族環と直接結合する少なくとも1つのヒドロキシ基及び/又は、C1−8アルコキシ基を有する化合物であるものと理解される。活性置換基は、前記環が、硫酸、またはその誘導体及び/又は塩の不存在下でさえもニトロ化剤によってニトロ化されることができるように、芳香族及び複素環式芳香族環での求電子反応(求電子攻撃)のための活性化エネルギーを減少させる。活性特性が支配的であり、それゆえバッチプロセスで実行されると自己触媒反応を受けることができる活性化及び不活性化置換基を有する化合物も、活性化された化合物であると理解される。サリチル酸及びその誘導体、またはそのエステル及びアミドは、要約すると、そのような活性化混合化合物である。
【0006】
バッチ及び半バッチプロセスでの活性化された芳香族化合物のニトロ化は、高発熱反応であり、生成物の品質に有害作用を有する多量のポリマー及び/又はポリニトロ化副産物が形成され、「暴走する」傾向がある。「暴走」は、自己触媒的ニトロ化の開始後なりやすく、放出される反応エンタルピーの指数関数的上昇を有する制御不能な条件を、通常もたらす。
【0007】
最近、マイクロリアクターでの反応が著しく重要性を獲得し、多くの公表がなされている。その間、多くの会社が、種々のモデルのマイクロリアクターを提案している。冷却する目的のためには、例えば、発熱反応の場合に冷却する目的のためには、いくつかのマイクロリアクターは、温度調整媒体で潅流されることができるマイクロリアクター本体内にある温度調整流路を装備している。活性な温度調整を有するマイクロリアクターの概略図は、例えば、Jahnisch, K. et al. Angew. Chem. 116, 2004, 410-451.に見出すことができる。マイクロリアクター体積内の混合及び反応機構は未だ十分には理解されていないことから、適切なマイクロリアクターの選択も、反応パラメータの正しい決定もいずれも些細な問題ではない。
【0008】
不活性化された芳香族化合物のニトロ化は、DE-A-19935692及びWO-A-99/22858から知られている。既知のプロセスでは、優勢にニトロ化されるものは、トルエン若しくはカルボニル化化合物であり、ニトロ化のために、高活性化エネルギーに打ち勝たねばならない。熱供給の中断は、反応の停止を迅速に引き起こす。それゆえに、このような反応は、マイクロリアクターで制御するのが容易である。
【0009】
DE-A-19935692に開示されたような不活性化された芳香族化合物のニトロ化方法は、開示された反応が、自己触媒機構でなく酸触媒求電子機構に従うことから、活性化された芳香族及び複素環式芳香族化合物のニトロ化の目的のために転用することはできない。
【0010】
Antes, J. et al. in Trans IChemE 81, 2003, 760-765の研究は、マイクロリアクターでのニトロ化における濃度と温度の変動の生起を開示している。望ましくない副産物の生成に加えて、大きな温度変動は、マイクロリアクターの機械的疲労を高める。マイクロリアクターが亀裂を受ける危険は、ニトロ化剤の漏出が高度に環境を脅かす可能性がある大きな安全性リスクであることから、より大きなマイクロリアクターユニットの集成を制限する。
【0011】
解決されるべき課題は、突然の温度及び濃度変動が最大限回避される一方、着実で安全な操作で、マイクロリアクターでの活性化された芳香族及び複素環式芳香族化合物の連続的ニトロ化を可能とすることである。更に、ポリニトロ化反応生成物及びポリマー副生物の生成が減少されねばならない。
【0012】
この課題は、請求項1により解決された。
【0013】
請求項は、芳香族若しくは複素環式芳香族化合物のニトロ化方法であって、活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物とニトロ化剤が、場合によっては溶媒の存在下、マイクロリアクター中で強く混合され、活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物に対するニトロ化剤の割合と反応混合物中のニトロ化剤の濃度とが、ニトロ化がマイクロリアクター中で自己触媒的に開始するような高レベルで選択され、ニトロ化生成物が、マイクロリアクターを去った後、場合によってはマイクロリアクターの外側での後反応時間の後、得られる方法が特許請求されている。
【0014】
活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物のニトロ化の間の自己触媒攻撃が制御不能な反応条件をもたらすバッチプロセスでの経験的知識に反して、マイクロリアクターにおいて、連続的自己触媒的条件下で、所望のモノニトロ化化合物が良好な収率と純度で得ることができたことが示されることができた。更に、マイクロリアクターにおいて、このような永久自己触媒的条件が十分に制御されることができることが示されることができた。
【0015】
本発明の方法において、高材料処理能力、良好な収率及び反応性生物の良好な制御を有する連続操作が達成されることができる。得られた反応生成物は、同等のバッチプロセスから得られるよりも、著しく少ないポリマー副産物及びポリニトロ化化合物を含む。
【0016】
反応相手同士の供給速度またニトロ化剤と出発化合物の量と濃度は、自己触媒的なニトロ化が、反応相手同士を接触させながら始まり(反応体積の初め或いは特別の設計された混合ゾーンにおいて)、全操作中維持されるように設定されねばならない。自己触媒的条件下での連続反応は、マイクロリアクター内の、所謂「ホットスポット」の形成を阻止する。反応体積のサイズは、マイクロリアクター内での反応時間の間にニトロ化を大部分終了するように選ばれねばならない。邪魔をする副産物の生成を阻止するために、マイクロリアクター外部でのバッチでの後反応時間は、可能な限り短く保たれねばならず、好ましくは、完全に避けるべきである。
【0017】
マイクロリアクターの規定された温度で、本発明の方法における活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物の自己触媒的ニトロ化を開始するために、活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物に対するニトロ化剤の割合と反応混合物中のニトロ化剤の濃度は、少なくとも閾値で存在せねばならず、好ましくは閾値を超え、前記レベルは、そのレベル未満では自己触媒現象が停止するようなものとして規定される。前記マイクロリアクターの規定された温度は、マイクロリアクターの温度調整のために使用される温度調整媒体の温度である。
【0018】
自己触媒的ニトロ化の開始は、開放される反応エンタルピーの急峻な立ち上がりと結びついている。マイクロリアクターでの自己触媒現象の開始が、数秒以内であるがなお反応体積内で起こると、反応熱フローの急峻な立ち上がりが観察されることができ、より高い水準で、連続的自己触媒反応条件下で、それ自身を安定化する。このような挙動は、規定された温度での反応相手同士の化学量論と濃度が閾値に丁度適合するに十分である場合に、観察することができるだけである。自己触媒現象が、例えば、混合作用及び/又は乱流に起因する濃度変動により局所的にのみ生起し、制御不能な挙動をもって開始及び停止するならば、その時は、ポリマー副産物の増加した形成を伴う所謂「ホットスポット」が生成される。更に、そのときには、マイクロリアクターは、強い熱ストレスにさらされる。
【0019】
熱の上昇は、本発明のプロセスにより、閾値が、いつまでも超過され、自己触媒現象が、反応相手同士の混合後直ちに開始し、反応最後までマイクロリアクター内に維持されるならば、もはや観察されることはできない。閾値の超過は、大過剰のニトロ化剤及び/又は高温度を使用して容易に原則として達成されることができる。したがって、自己触媒現象は、確かに開始し、単一の生成物を得ることができる。反応相手同士の化学量論と濃度に関するプロセスの最適化は、そのとき容易に達成することができる。
【0020】
閾値は、ニトロ化されるべき任意の各出発化合物、各反応器型に対し、及びまた全反応条件が変更されるとき、決定されねばならない。それは、出発物質、ニトロ化剤、温度、反応相手同士の濃度と量そしてそれゆえ決められたプロセスに特に依存している。更に、少なくとも1つのC2−5カルボン酸或いはその無水物の存在下、閾値は減少することができる。閾値の近くではマイクロリアクター内での小さな濃度変動、例えば、ポンプ系の衝撃でさえも、自己触媒的ニトロ化の開始及び停止間に変化を引き起こすことができる。
【0021】
反応相手同士の化学量論と濃度にも関する時間間隔ごとのニトロ化剤の必要量即ち規定された反応条件での閾値の決定は、マイクロリアクターのオリフィスでの冷却媒体の熱状態を測定することにより簡単に実行することができる。自己触媒作用の開始後、自己触媒条件下で気泡の生成が観察されることができる。
【0022】
随意に更なる後反応体積での後反応時間後に得られた反応生成物は、単離されるか、直接更に反応することができる。後者は、引き続き使用される反応相手同士と溶媒が硝酸に対して不活性である時に適している。
【0023】
本発明のプロセスにおいて、硫酸、またはその誘導体及び/又は塩は必要とされないことから、相分離後に、硝酸若しくは亜硝酸がリサイクルされる必要があるだけであり、商業面及び環境面でプロセスを単純で有利にする。
【0024】
本明細書中で、用語「C1−nアルキル」は、1乃至n個の炭素原子の直鎖或いは分岐アルキル基であると理解される。C1−10アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、1,4-ジメチル-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノナニル或いはデシルを意味する。
【0025】
本明細書中で、用語「C1−nアルコキシ」は、1乃至n個の炭素原子の直鎖或いは分岐アルコキシ基であると理解される。C1−10アルコキシは、例えば、メトキシ、エポキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノナニルオキシ或いはデシルオキシを意味する。
【0026】
本明細書中で、用語「C3−nシクロアルキル」は、3乃至n個の炭素原子の単環若しくは2環状アルキル基であると理解される。C3−10シクロアルキルは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル或いはシクロデシルを意味する。
【0027】
本発明のプロセスにおいては、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及び沃素であると理解される。
【0028】
本明細書中で、用語「C2−5カルボン酸」は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸及びペンタン酸から成る群より選ばれる酸であると理解される。前記酸は、部分的に或いは完全にハロゲン化されたその誘導体も同様に使用することができる。「C2−5カルボン酸」無水物の定義は、無水酢酸或いはトリフルオロ無水酢酸のような、非、部分或いは完全ハロゲン化誘導体を包含する。酸及び酸無水物は、単一化合物としてもその混合物としても使用することができる。
【0029】
本明細書中で、用語「C1−3アルコール」は、メタノール、エタノール、プロパノール或いはイソプロピルアルコールから成る群より選択されるアルコールであると理解される。
【0030】
好ましい具体例では、活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物は、ヒドロキシとC1−6アルコキシから成る群より選択される、芳香族骨格に結合する少なくとも1つの置換基を含む。
【0031】
特に好ましい具体例では、活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物が、単環若しくは2環状化合物である。
【0032】
本発明のプロセスの意味での複素環式芳香族化合物は、ヒドロキシピリジン或いはピリミジン-4-オルのように、1若しくは2個の窒素原子を好ましくは含む。2環状化合物は、部分的に水素化されても及び/又は更なる置換基を保持していてもよい。このような部分的に水素化された2環状複素環式芳香族化合物の例は、5-ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンである。
【0033】
本発明のプロセスでの、特に好ましい活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物は、フェノール、サリチル酸及びその誘導体、C1−6アルコキシベンゼン、ナフタレン、C1−6アルコキシナフタレン、ヒドロキノン、ヒドロキシピリジン及びヒドロキシピリミジンから成る群より選択され、上記夫々の任意の化合物のクラスは、場合によっては、ハロゲン、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ及びC3−10シクロアルキルから成る群より選ばれる1以上の追加的置換基を保持する。
【0034】
用語サリチル酸は、随意にそのカルボキシル基若しくはヒドロキシ基において誘導体化されるか、ハロゲン、C1−10アルキル及びC1−10アルコキシから成る群より選ばれる環に結合する更なる置換基を保持する化合物を意味する。C1−10アルキル基で誘導体化されたカルボキシル基は夫々サリチル酸エステルであり、C1−10アルコキシ基で誘導体化されたヒドロキシ基は、夫々、アシルサリチル酸、例えばアセチルサリチル酸である。
【0035】
特に好ましい具体例では、活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物は、フェノール、p-及びo-クレゾール、アニソール、ナフタレン、ヒドロキノン、2-,3-及び4-ヒドロキシピリジン、サリチル酸及びセチルサリチル酸から成る群より選択される。
【0036】
活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物のニトロ化のためのニトロ化剤は、場合によっては二酸化窒素、五酸化二窒素及び/又は他の窒素酸化物の存在下、希硝酸、発煙硝酸及び硝酸とC2−5カルボン酸及び/又はその無水物との混合物から成る群より選択される少なくとも1つの化合物を含む。
【0037】
通常、窒素酸化物は、以下のような相異なる種でバランスしている。
【化1】

【0038】
本発明のプロセスの意味での稀硝酸は、ニトロ化できるHNOと水との混合物、例えば硝酸(65%)であると理解される。
【0039】
好ましい具体例では、ニトロ化剤は、硝酸(65%)とNを含む。
【0040】
更に好ましい具体例では、C2−5カルボン酸或いはその無水物は、酢酸或いは無水酢酸である。
【0041】
更に好ましい具体例では、ニトロ化剤は、硝酸(65%)と酢酸及び/又は無水酢酸を含む。
【0042】
好ましい具体例では、活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物に対するニトロ化剤の化学量論的割合が、1:1〜4:1の範囲に調整される。
【0043】
更に好ましい具体例では、溶解された活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物に対して供給されるニトロ化剤の体積割合が、1:5〜1:1の範囲に調整される。
【0044】
好ましくは、マイクロリアクターは、自己触媒反応の設定後に反応熱を急速に放出せねばならないことから、効率的な温度調整手段を備える。本発明のプロセスに使用されるマイクロリアクターは、反応体積に液相の出発物質とニトロ化剤を別々に供給するための少なくとも2つの流路、随意に真の反応堆積の前段の混合体積、両相が強く混合される反応体積、反応体積からの流出物を案内する少なくとも1個の流路及び温度調整されることのできる流体(温度調整流体)により潅流されることのできる少なくとも1個の温度調整流路を含む。
【0045】
温度を制御する能力は、主に有効表面Aと伝熱係数Uにより決定される。温度調整流路と反応体積が直接隣り合うであろうこと、熱が損失なく交換されることができるであろうことを前提として、有効表面Aは、マイクロリアクターの反応体積に対する温度調整流路の接触表面の理論比に規定される。Aが大きければ大きいほど、熱は、反応体積と温度調整媒体との間でより多く交換されることができる。伝熱係数Uは、内部と外部表面間の1ケルビンの温度差で、1平方メートルの接合面を通じて交換されるワットでの熱フローで規定される。Uが大きければ大きいほど、熱は、反応体積と温度調整媒体との間でより多く交換されることができる。本発明のプロセスのために適するマイクロリアクターは、Corning Inc.,N.Y.,U.S.A.,Ehrfeld Mikrotechnik GmbH,Wendelsheim,Germany若しくはCellular Process Chemistry Systems GmbH,Mainz, Germany.の会社から、例えば、得ることができる。
【0046】
特に好ましい具体例では、その反応体積に対するマイクロリアクターの有効表面Aの割合は、1000m/mより大である。マイクロリアクターの伝熱係数(U)は、好ましくは、250W/m・Kより大きい。
【0047】
更に好ましい具体例では、有効表面Aは、2000m/mより大であり、マイクロリアクターの伝熱係数は、好ましくは、500W/m・Kより大きい。現在のところ、マイクロリアクターは、10000m/m超までの有効表面Aを有するものが提供されている。将来的には、A及びUの数字は、マイクロリアクターに対して更に増加するであろうことが期待される。
【0048】
本発明のプロセスに適するマイクロリアクターは、例えば、珪酸塩ガラス、腐食抵抗性ステンレス鋼或いは金属合金若しくは腐食抵抗性ガラス質、セラミック質或いは金属化合物から成ることができる。腐食抵抗性とは、ニトロ化剤の存在下、場合によっては、圧力下及び高温での腐食抵抗性と、好ましくは、理解される。
【0049】
好ましい具体例では、反応体積当りの全反応相手同士の合計フロー速度(反応フロー)は、1乃至100g/min、特に好ましくは、5乃至50g/minの範囲である。場合により溶解された活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物に対するニトロ化剤の供給のためには、通常ポンプが使用される。限定されたタンク若しくはホース、ジャイロ、歯車を有するシリンジポンプ或いは回転ピストンポンプを使用することができる。
【0050】
好ましい具体例では、反応体積での滞留時間は、30秒より短く、好ましくは、20秒以下であり、特に好ましくは、10秒以下である。
【0051】
好ましい具体例では、ニトロ化は溶媒の不存在下実行される。
【0052】
出発化合物が、反応温度で、水の添加有り或いは無しでマイクロリアクターを通って注入されることができるならば、溶媒は、差し控えることができる。溶媒としては、ニトロ化剤、出発化合物及び/又は反応生成物とは反応しない無機及び有機溶媒を使用することができる。特に適するのは、水とC1−3アルコールである。
【0053】
より活性化されない芳香族、例えばアニソ−ルの場合には、マイクロリアクター内での滞留時間が完全な変換に達する程十分でないならば、後反応は、反応混合物の流出液中で起こることができる。好ましくは、このような後反応は、バッチ体積では起こるべきではなく、好ましくは温度調整されることができる連続的に操作された後反応体積で起こるべきである。
【0054】
前記後反応体積は、例えば、温度調整されることができ、任意の内部マイクロ構造を有する必要のない商業的に入手可能な保持モジュールであり得る。前記後反応は、例えば、水或いはC1−3アルコールの添加による、相分離若しくは希釈により防止することができる。穏やかな後反応は、通常、生成物プロファイルに有害な作用を有さない。
【0055】
反応相手同士の組成と濃度に依存して、反応体積中の反応混合物は、随意に、高温度にもたらされねばならない。それは、例えば、温度調整流路を通じての温度調整媒体のフローが非常に高い中で、また、温度調整媒体のタンクが充分に大きいと理解される中で、実施されることができる。熱交換を増加する追加的要因は、例えば、温度調整媒体の高熱容量である。
【0056】
好ましくは、温度調整媒体のタンクは、マイクロリアクターの体積を考慮して、マイクロリアクターが等温とみなされることができるような大きさで選ばれる。更に有利には、マイクロリアクターを通じての温度調整媒体のフロー(温度のフロー)は、反応媒体のフロー(反応のフロー)より著しく大きい。好ましい具体例では、反応フローの温度フローに対する比は、1:5乃至1:20、好ましくは、1:10乃至10:20の範囲である。
【0057】
温度調整媒体としては、好ましくは、高伝熱能力を有する流体が選ばれる。このような温度調整媒体は、水、C1−3アルコール、グリセロール及び/又はシリコーン油又はそれらの混合物を、好ましくは含む。他の適切なものは、例えば、Thermal M(登録商標)(JULABO Labortechnik GMBH, D-77960 Seelbach),Silicone oil Renggli M40 (Renggli AG,CH-6343 Rotkreuz,Switzerland)若しくはSyltherm XLT (DOW Chemical Company,USA)のような、商業的に入手可能な温度調整混合物である。
【0058】
好ましい具体例では、マイクロリアクターは、0乃至80℃、特に好ましくは、10乃至60℃の温度で、温度調整媒体により潅流される。
【0059】
反応開始時には、マイクロリアクター内の温度は、温度調整媒体の温度(フロー温度)に対応する。マイクロリアクターの内部での温度は、反応開始後には簡単に測定することはできない。したがって、マイクロリアクターを去った後の温度調整媒体の温度(帰還温度)は、反応温度であると定義される。帰還温度は、どの場合でも反応開始後のフロー温度より高い。自己触媒反応の安定な運転のために好ましいのは、フロー温度と帰還温度との温度差が、可能な限り小さく保たれることである。好ましい具体例では、前記最高の温度差は、15℃であり、特に好ましくは、10℃より小さい。
【0060】
本発明のプロセスによる0〜80℃の間の温度でのフェノールのニトロ化は、一様に65〜85%の合計のニトロフェノール収率をもたらす。
【0061】
本発明のプロセスによるフェノールのニトロ化は、条件次第で、0.7〜1.2の範囲のニトロフェノールの良好に再現可能なパラ/オルト分布を達成するように調整されることができる。
【0062】
バッチ若しくはセミバッチプロセスとは対照的に、本発明のプロセスによる反応生成物は、より少ないポリマー及びポリニトロ化副産物を含む。
【0063】
本発明は、次の非限定的実施例により例示される。
【0064】
例:
次の例は、本発明のプロセスの要請を満たすマイクロリアクターに於いて実行された。溶液の組成と成分と夫々の混合物のg/minでの供給速度が、例1乃至33に言及される。ニトロ化剤HNOとポンプ1の随意の更なる添加剤とポンプ2の随意の溶解された出発化合物が、上記供給速度で2個のポンプに別々に供給され、マイクロリアクター中で混合された。反応時間は、供給速度と使用された量に依存して、結果として生じる。反応温度は、表1乃至4であり、反応温度、原料収率、生成物構成のような、更なるパラメータが言及される。全ての例において、反応は、反応の最後まで実行されることができ、所望の生成物が得られた。
【0065】
比較例は、文献中には活性化された芳香族化合物のニトロ化の例が開示されていないことから、バッチプロセスとして実行されることができた。量と温度のような追加的情報が、表1乃至4に見出されうる。表3の例V8乃至28は、定性的方法でのみ分析された。
【0066】
例1及び2:
コーニンググラスマイクロリアクター(コーニング社)
温度調整流体:水、200ml/min
混合物1:65%HNO(161g、1.66モル)
混合物2:フェノール(765g、3.31モル)、AcOH(199g)、水(2296g)
フェノール供給:3.68乃至3.73g/min
AcOH供給:0.96乃至0.97g/min
水供給:12.07乃至13.46g/min
HNO供給:2.61乃至4.39g/min
例3乃至8:
コーニンググラスマイクロリアクター(コーニング社)
温度調整流体:水、200ml/min
混合物1:65%HNO(1000g、10.32モル)
混合物2:フェノール(900g、9.56モル)、水(100g)
フェノール供給:2.75乃至2.77g/min
水供給:1.97乃至1.99g/min
HNO供給:3.10乃至3.13g/min
例9乃至11:
コーニンググラスマイクロリアクター(コーニング社)
温度調整流体:水、200ml/min
混合物1:65%HNO(1000g、10.32モル)
混合物2:フェノール(900g、9.56モル)、水(100g)
フェノール供給:2.758乃至2.760g/min
水供給:1.669乃至2.554g/min
HNO供給:2.531乃至4.173g/min
例12:
コーニンググラスマイクロリアクター(コーニング社)
温度調整流体:水、200ml/min
混合物1:65%HNO(100g、1.032モル)、水(225g)
混合物2:フェノール(180g、1.91モル)、水(20g)
フェノール供給:2.68g/min
水供給:12.54g/min
HNO供給:3.06g/min
例13:
コーニンググラスマイクロリアクター(コーニング社)
温度調整流体:水、200ml/min
混合物1:65%HNO(100g、1.032モル)、水(117g)
混合物2:フェノール(180g、1.91モル)、水(20g)
フェノール供給:2.68g/min
水供給:7.84g/min
HNO供給:3.22g/min
例14及び15:
金属マイクロリアクターEhrfeld 50 Mikron (Ehrfeld Mikrotechnik GmbH)
温度調整流体:シリコーン油Renggli M40 / Huber Thermostat, 800 ml/min
混合物1:65%HNO(1000g、10.32モル)
混合物2:90%フェノール(900g、9.56モル)、水(100g)
フェノール供給:2.71g/min
水供給:1.98g/min
HNO供給:3.12g/min
例16:
金属マイクロリアクターEhrfeld 50 Mikron (Ehrfeld Mikrotechnik GmbH)
温度調整流体:シリコーン油Renggli M40 / Huber Thermostat, 800 ml/min
混合物1:65%HNO(402g、4.15モル)
混合物2:90%フェノール(199g、2.12モル)、水(597g)、AcOH(52g)
フェノール供給:1.72g/min
AcOH供給:0.45g/min
水供給:6.41g/min
HNO供給:2.31g/min
例17:
金属マイクロリアクターEhrfeld 50 Mikron (Ehrfeld Mikrotechnik GmbH)
温度調整流体:シリコーン油Renggli M40 / Huber Thermostat, 800 ml/min
混合物1:65%HNO(75g、1.19モル)、水(175g)
混合物2:90%フェノール(45g、0.48モル)、水(5g)
フェノール供給:2.00g/min
水供給:5.68g/min
HNO供給:2.34g/min
例18:
金属マイクロリアクターEhrfeld 50 Mikron (Ehrfeld Mikrotechnik GmbH)
温度調整流体:シリコーン油Renggli M40 / Huber Thermostat, 800 ml/min
混合物1:65%HNO(125g、1.98モル)、水(125g)
混合物2:90%フェノール(45g、0.48モル)、水(5g)
フェノール供給:2.89g/min
水供給:3.71g/min
HNO供給:3.39g/min
例19:
金属マイクロリアクターEhrfeld 50 Mikron (Ehrfeld Mikrotechnik GmbH)
温度調整流体:シリコーン油Renggli M40 / Huber Thermostat, 800 ml/min
混合物1:65%(HNO164g、2.60モル)、水(88g)
混合物2:90%フェノール(45g、0.48モル)、水(5g)
フェノール供給:3.44g/min
水供給:2.55g/min
HNO供給:4.03g/min
例20:
金属マイクロリアクターEhrfeld 50 Mikron (Ehrfeld Mikrotechnik GmbH)
温度調整流体:シリコーン油Renggli M40 / Huber Thermostat, 800 ml/min
混合物1:65%HNO(61g、0.96モル)、水(189g)
混合物2:90%フェノール(45g、0.48モル)、水(5g)
フェノール供給:1.50g/min
水供給:6.48g/min
HNO供給:2.02g/min
例21:
コーニンググラスマイクロリアクター(コーニング社)
温度調整流体:水、200ml/min
混合物1:65%HNO(1000g、10.32モル)
混合物2:1-ナフタレン(100g、694ミリモル)、AcOH(500g)
1-ナフタレン供給:1.49g/min
AcOH供給:7.44g/min
水供給:0.68g/min
HNO供給:1.26g/min
例22乃至24:
コーニンググラスマイクロリアクター(コーニング社)
温度調整流体:水、200ml/min
混合物1:65%HNO(1000g、10.32モル)
混合物2:p-クレゾール(100g、925ミリモル)、AcOH(500g)
p-クレゾール供給:1.12乃至1.13g/min
AcOH供給:5.62乃至5.67g/min
水供給:0.34乃至0.70g/min
HNO供給:0.64乃至1.30g/min
例25乃至28:
コーニンググラスマイクロリアクター(コーニング社)
温度調整流体:水、200ml/min
混合物1:65%HNO(1000g、10.32モル)
混合物2:アニソール(100g、925ミリモル)、AcOH(500g)
アニソール供給:0.56乃至1.13g/min
AcOH供給:2.82乃至5.67g/min
水供給:0.36乃至0.71g/min
HNO供給:0.66乃至1.31g/min
例29乃至33:
コーニンググラスマイクロリアクター(コーニング社)
温度調整流体:水、200ml/min
混合物1:65%HNO(800g、8.25モル)
混合物2:サリチル酸(79g、570ミリモル)、AcOH(777g)
サリチル酸供給:0.80乃至0.87g/min
AcOH供給:7.88乃至8.58g/min
水供給:0.21乃至0.43g/min
HNO供給:0.40乃至0.81g/min
比較例V1:
90%フェノール(80g、0.77ミリモル)、AcOH(20.8g)及び水(250ml)が、加熱ジャケット付きの1Lの3首容器で20℃で混合され、強く撹拌された。30分以内に65%硝酸(112ml、1.53モル)が投与される。硝酸の完全な投与後、自己触媒作用が始まる。分離することは困難であるモノ及びポリニトロ化反応生成物の混合物が、形成される。100mlのCHClの添加後そして有機相の分離後、0.56のパラ/オルト比を有する20.7%のニトロフェノ-ルが得られる。
【0067】
比較例V2乃至V7:
比較例V2乃至V7が、表2で与えられる量と温度を除いて、比較例V1と同様にして実行されることができた。表3から見て取れるように、V3乃至V7において、AcOHの添加は避けられることができた。大量のポリマー副産物の生成のために、ヒドロキノリン、2,4-ジニトロフェノール及び2,6-ジニトロフェノールが、部分的に分析することはできなかった。
【0068】
比較例V8:
1-ナフタレン(10g、69ミリモル)及び酢酸(47.6ml)が、温度ジャケット付きの100mlの3首容器で20℃で混合され、強く撹拌された。30分以内に硝酸(65%、10.2ml、139ミリモル)が投与された。硝酸の完全な投与後、自己触媒作用が始まる。モノ及びポリニトロ化反応生成物を含み、殆ど分離しない混合物が、形成される。
【0069】
比較例V9:
p-クレゾール(10g、92ミリモル)、酢酸(28.6ml)及び水(20ml)が、温度ジャケット付きの100mlの3首容器で20℃で混合され、強く撹拌された。30分以内に硝酸(65%、13.5ml、185ミリモル)が投与された。硝酸の完全な投与後、自己触媒作用が始まる。モノ及びポリニトロ化反応生成物を含み、殆ど分離しない混合物が、形成される。
【0070】
比較例V10及び11:
p-クレゾール(10g、92ミリモル)及び酢酸(47.6ml)が、温度ジャケット付きの100mlの3首容器で20℃で混合され、強く撹拌された。30分以内に硝酸(65%、夫々6.8或いは13.5ml、93或いは185ミリモル)が投与された。硝酸の完全な投与後自己触媒作用が始まる。モノ及びポリニトロ化反応生成物を含み、殆ど分離しない混合物が、形成される。
【0071】
比較例V12:
アニソール(10g、92ミリモル)、酢酸(28.6ml)及び水(20ml)が、温度ジャケット付きの100mlの3首容器で20℃で混合され、強く撹拌された。30分以内に硝酸(65%、13.5ml、185ミリモル)が投与された。硝酸の完全な投与後、自己触媒作用が始まる。モノ及びポリニトロ化反応生成物を含み、殆ど分離しない混合物が、形成される。
【0072】
比較例V13:
アニソール(10g、92ミリモル)及び酢酸(47.6ml)が、温度ジャケット付きの100mlの3首容器で20℃で混合され、強く撹拌された。30分以内に硝酸(65%、13.5ml、185ミリモル)が投与された。硝酸の完全な投与後、自己触媒作用が始まる。モノ及びポリニトロ化反応生成物を含み、殆ど分離しない混合物が、形成される。
【0073】
比較例V14:
サリチル酸(5.0g、36ミリモル)及び酢酸(41.9ml)が、温度ジャケット付きの100mlの3首容器で20℃で混合され、強く撹拌された。30分以内に硝酸(65%、7.1ml、73ミリモル)が投与された。硝酸の完全な投与後、自己触媒作用が始まる。反応が停止した後、反応混合物は、氷水(156ml)に注がれる。原生成物はろ過され水で洗浄される。収量:5-ニトロサリチル酸(2.33g、35.3%)と3-ニトロサリチル酸(1.24g、18.8%)を含むニトロサリチル酸3.57g(19.5ミリモル、54.1%)。
【0074】
比較例V15:
サリチル酸(6.8g、49ミリモル)及び酢酸(63ml)が、温度ジャケット付きの100mlの3首容器で75℃で混合され、強く撹拌された。30分以内に硝酸(65%、7.1ml、73ミリモル)が投与された。硝酸の完全な投与後、自己触媒作用が始まる。反応が停止した後、反応混合物は、氷水(348ml)に注がれる。原生成物はろ過され水で洗浄される。収量:5-ニトロサリチル酸(3.12g、34.8%)と3-ニトロサリチル酸(1.24g、18.8%)を含むニトロサリチル酸4.7g(26ミリモル、52.6)。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0075】
表1乃至4の欄記載の定義
T=反応温度
フェノール=フェノール重量部
出発化合物=出発化合物
HNO/Ed=出発化合物に対するHNOモル分率
収率=原料収率
p/o−比=オルト生成物に対するパラ生成物の分配
ヒドロキノン=ヒドロキノン
2,4−DNP=2,4−ジニトロフェノール
2,6−DNP=2,6−ジニトロフェノール
P−SP=ポリマー副産物
SA=サリチル酸
3−NSA=3−ニトロサリチル酸(パラ)
5−NSA=5−ニトロサリチル酸(オルト)
出発化合物[g]=反応混合物中の出発化合物の量
出発化合物[wt%]=反応混合物中の出発化合物の重量割合
AcOH=反応混合物中の酢酸の量
水=反応混合物中の水の量
rel.purity NMR=H−NMRスペクトルによる生成物の純度の定性的評価(+=悪い、+++=非常によい)
ポリマー副産物の生成=薄層クロマトグラフの定性的評価(+=ポリマー副産物少,+++=ポリマー副産物多)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族若しくは複素環式芳香族化合物のニトロ化方法であって、活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物とニトロ化剤が、場合によっては溶媒の存在下、マイクロリアクター中で強く混合され、活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物に対するニトロ化剤の割合と反応混合物中のニトロ化剤の濃度とが、ニトロ化がマイクロリアクター中で自己触媒的に開始するような高レベルで選択され、ここで、ニトロ化生成物は、マイクロリアクターを去った後、場合によってはマイクロリアクターの外部での後反応時間の後、得られる方法。
【請求項2】
活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物が、ヒドロキシ及びC1−6アルコキシから成る群より選択される、芳香族骨格に結合する少なくとも1つの置換基を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物が、単環若しくは2環状化合物である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物が、フェノール、サリチル酸及びその誘導体、C1−6アルコキシベンゼン、ナフタレン、C1−6アルコキシナフタレン、ヒドロキノン、ヒドロキシピリジン及びヒドロキシピリミジンから成る群より選択される、請求項1ないし3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ニトロ化剤が、場合によっては二酸化窒素、五酸化二窒素及び/又は他の窒素酸化物の存在下、稀硝酸、発煙硝酸及び硝酸とC2−5カルボン酸及び/又はその無水物との混合物から成る群より選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項1ないし4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
活性化された芳香族若しくは複素環式芳香族化合物に対するニトロ化剤の化学量論的割合が、1:1〜4:1の範囲に調整される、請求項1ないし5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
マイクロリアクターの有効表面(A)の反応体積に対する割合が、1000m/mより大で、マイクロリアクターの伝熱係数(U)が、250W/m・Kより大きい、請求項1ないし6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
反応体積内での滞留時間が、30秒より小である、請求項1ないし7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
ニトロ化が、溶媒の不存在下実行される、請求項1ないし8いずれか1項記載の方法。
【請求項10】
マイクロリアクターが、0〜80℃の、特に好ましくは、10〜60℃の温度で、温度調整媒体により潅流される、請求項1ないし9いずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2009−523136(P2009−523136A)
【公表日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549763(P2008−549763)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000241
【国際公開番号】WO2007/087816
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(398075600)ロンザ ア−ゲ− (58)
【Fターム(参考)】