説明

マイコン式ガスメーターの外部機器接続構造

【課題】従来まで2つあった外部端子を1つにしながらも、いずれの外部機器(不完全燃焼警報器、発信器付自動切替調整器)をも使用できるようにする。
【解決手段】NCUを接続可能な通信端子41とガス漏れ警報器を接続可能な警報端子42の他に、不完全燃焼警報器及び発信器付自動切替調整器を接続可能な外部端子43を備え、各端子に接続可能な機器を特定するための設定がマイクロコンピュータ31になされており、マイクロコンピュータで各端子から入力される信号を処理するマイコン式ガスメーターの外部機器接続構造において、外部端子は、1つのみ設けられており、外部端子に接続可能な機器を特定するマイクロコンピュータの設定を、不完全燃焼警報器と発信器付自動切替調整器のいずれにも設定変更可能としてあることを特徴とするマイコン式ガスメーターの外部機器接続構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイコン式ガスメーターに外部機器を接続するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマイコン式ガスメーターは、NCU(信号伝送装置)を接続する通信端子、ガス漏れ警報器を接続する警報器端子の他に、外部機器を接続するための端子、いわゆる外部端子が必ず2つ設けられていた(特許文献1)。
【0003】
外部端子のうちの1つは、遮断弁を駆動させる条件を検知する検知器を接続するためのものである。具体的には、不完全燃焼警報器(CO警報器や、別のガス漏れ警報器)を接続するための接続端子であり、この接続端子からの入力信号はマイクロコンピュータで処理されて遮断弁を自動的に閉鎖させるために用いられる。もう1つは、発信器付自動切替調整器の発信器の接続端子を接続するためのものである。この接続端子からの入力信号はマイクロコンピュータで処理されて通信端子に指定されたパターン信号を出力するために用いられる。
【0004】
発信器付自動切替調整器は、ガスボンベを二つ使用する場合に用いられる。より詳しく言えば、ガス器具にガスを供給するために二つのガスボンベを利用することがある。この場合に、二つのガスボンベを発信器付自動切替調整器で繋いだ上で、自動切替調整器からガス器具にガスを供給可能なように配管することが行われる。一つのガスボンベは現時点での使用用で、もう一つは予備用である。最初は、使用用のガスボンベからガスが供給されているが、ガスの貯蔵量が減ってくると、自動切替調整器が予備用のガスボンベからもガスを供給するように機能する。このときに発信器から現在の状態信号が出力され、前記外部端子を経由してマイコン式ガスメーターに取り込まれる。そして、ガスボンベのガス貯蔵量が減っていることを示すパターン信号がマイコン式ガスメーターから出力され、前記通信端子からNCUを経由して遠隔の集中監視センターに取り込まれる。集中監視センターでは、このパターン信号から、どの設置箇所のガスボンベを交換するべきかを把握できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−81348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようにマイコン式ガスメーターには外部端子が必ず二つあり、各々の外部端子に接続される外部機器が特定されていた。
【0007】
しかしながら、マイコン式ガスメーターの小型化を進めるにあたり、外部端子の数が問題になった。2つの外部端子は必ずしも使用されないものであるが、マイコン式ガスメーターの機能としては必要なものである。従って、いずれか一つの外部端子だけを残して、後の一つの外部端子をなくすということは、通常、考えられない。
【0008】
本発明は、上記実情に基づいて創作されたもので、従来まで2つあった外部端子を1つにしながらも、いずれの外部機器をも使用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、NCUを接続可能な通信端子とガス漏れ警報器を接続可能な警報端子の他に、不完全燃焼警報器及び発信器付自動切替調整器を接続可能な外部端子を備え、各端子に接続可能な機器を特定するための設定がマイクロコンピュータになされており、マイクロコンピュータで各端子から入力される信号を処理するマイコン式ガスメーターの外部機器接続構造を前提とする。
【0010】
そして、本発明において、外部端子は、1つのみ設けられており、外部端子に接続可能な機器を特定するマイクロコンピュータの設定を、不完全燃焼警報器と発信器付自動切替調整器のいずれにも設定変更可能としてあることを特徴とする。
【0011】
外部端子に接続可能な外部機器が現在、不完全燃焼警報器なのか、発信器付自動切替調整器なのかを、マイコン式ガスメーターの表示器に表示する必然性は無い。しかし、外部機器を接続する場合には、その表示がなされていた方が、作業者にとっては望ましい。
即ち、ガス使用量を表示する表示器に、外部端子に接続可能な外部機器が不完全燃焼警報器と発信器付自動切替調整器のいずれに設定されているかを表示することが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来まで2つ必要と考えられていた外部端子が1つですむようになったので、マイコン式ガスメーターを小型化することができる。
【0013】
また、表示器に外部端子に接続可能な機器が表示されていれば、外部機器を接続する際の作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のマイコン式ガスメーターを示す回路図である。
【図2】マイコン式ガスメーターの端子取付用の蓋を外した状態を示す正面図である。
【図3】(イ)(ロ)図は、接続可能な外部機器を表示器の表示状態として示す説明図である。
【図4】(イ)(ロ)図は、マイコン式ガスメーターの正面図、平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
マイコン式ガスメーター10は図4に示すように、筐体としてのガスメーター本体11の外部にガス入口12とガス出口13を突出して設けてある。そして、ガス入口12とガス出口13を繋ぐガス流路がガスメーター本体11の内部に形成されている。
【0016】
また、ガスメーター本体11の内部には図1に示すように各種の部品が収容されている。ガス流路を遮断する遮断弁21、ガス流路内を進行する超音波を送受信する超音波センサ22、ガス流路内の圧力を感知する圧力センサ23、並びに遮断弁21と超音波センサ22と圧力センサ23を接続するコントローラ30が設けられている。
【0017】
コントローラ30は、予め設定されたプログラムを実行するマイクロコンピュータ31を備えている。そして、マイクロコンピュータ31に接続された表示器としてのLCD32(液晶表示器)に各種の情報が表示される。また、マイクロコンピュータ31にはインターフェイス回路33を介在して、前述の超音波センサ22、圧力センサ23が接続されている。また、インターフェイス回路33に遮断弁駆動用回路34を介在して遮断弁21が接続されている。更に、インターフェイス回路33には、感震器35、容器リセットスイッチ36、テスト遮断スイッチ37、遮断弁復帰スイッチ38、電池39が接続されている。
【0018】
また、インターフェイス回路33には通信端子41、警報器端子42、及び外部機器用の外部端子43が1つずつ接続されている。これら端子は、+側と−側が対になって設けられている。その他に、通信端子41には、+側と−側の他に、フレームグラウンドFG、グラウンドGの端子も接続されている。因みに、図4に示すようにガスメーター本体11の前面下部には、カバー14が着脱可能にネジ止めされている。このカバー14を外すと、図2に示すように凹んだ端子収容空間15が現れ、この端子収容空間15にはこれらNCU用の通信端子41、ガス漏れ警報器用の警報器端子42、外部機器用の外部端子43等が端子台16の上に載って収容されている。端子台16上の各端子に図示しないネジを使って、各機器の端子が接続される。
【0019】
なお、端子台16の下側には支持板17が、さらに下側には底壁18がそれぞれ間隔をあけて設けられている。これら支持板17や底板には各端子用の貫通孔17a、18aがあけられており、これら貫通孔17a、18aに図示しない筒状のブッシュを嵌め込むようになっている。このブッシュ内に各機器の配線を通した上で各端子を接続することによって、端子収容空間15への雨水等の侵入を防いである。
【0020】
前記した各端子に接続可能な機器を特定するための設定がマイクロコンピュータ31のメモリに保存されている。また、外部機器用の外部端子43は、不完全燃焼警報器(CO警報器)及び発信器付自動切替調整器のいずれの端子に対しても接続可能なものである。そのために、マイクロコンピュータ31が実行するプログラムの一部の設定を、外部端子43に接続した外部機器に対応する設定に変更可能としてある。
具体的には、通信端子41にNCUではなく、図示しない設定器を接続し、作業者がこの設定器から外部端子43で取り扱う入力信号を、外部端子43に接続する外部機器から発せられる出力信号に対応する形式に変更するように、マイクロコンピュータ31内のメモリに上書き保存して、設定変更する。
【0021】
そして、外部端子43が現在接続可能としている外部機器を、LCD32に表示し、作業者に把握させるようになっている。例えば、図3(イ)に示すように、現在の外部端子43に対して、2つのうちの特定した1つの外部機器を接続可能な場合(外部端子43を外部1として使用する場合)には、液晶表示部には専用の表示をせずに、図3(ロ)に示すように残りの1つの外部機器を接続可能な場合(外部端子43を外部2として使用する場合)には、LCDに「外2」という専用の表示をする。
【0022】
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、外部端子43に対して不完全燃焼警報器を接続可能な場合と、発信器付自動切替調整器を接続可能な場合とでLCD32への表示を「外1」、「外2」のように明確に表示しても良い。
【符号の説明】
【0023】
10マイコン式ガスメーター
11ガスメーター本体
12ガス入口
13ガス出口
14カバー
15端子収容空間
16端子台
17支持板
17a貫通孔
18底壁
18a貫通孔
21遮断弁
22超音波センサ
23圧力センサ
30コントローラ
31マイクロコンピュータ
32LCD
33インターフェイス回路
34遮断弁駆動用回路
35感震器
36容器リセットスイッチ
37テスト遮断スイッチ
38遮断弁復帰スイッチ
39電池
41通信端子
42警報器端子
43外部端子
FGフレームグラウンド
Gグラウンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NCUを接続可能な通信端子とガス漏れ警報器を接続可能な警報端子の他に、不完全燃焼警報器及び発信器付自動切替調整器を接続可能な外部端子を備え、各端子に接続可能な機器を特定するための設定がマイクロコンピュータになされており、マイクロコンピュータで各端子から入力される信号を処理するマイコン式ガスメーターの外部機器接続構造において、
外部端子は、1つのみ設けられており、外部端子に接続可能な機器を特定するマイクロコンピュータの設定を、不完全燃焼警報器と発信器付自動切替調整器のいずれにも設定変更可能としてあることを特徴とするマイコン式ガスメーターの外部機器接続構造。
【請求項2】
ガス使用量を表示する表示器に、外部端子に接続可能な外部機器が不完全燃焼警報器と発信器付自動切替調整器のいずれに設定されているかを表示することを特徴とする請求項1に記載のマイコン式ガスメーターの外部機器接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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