説明

マイナスイオン発生板、マイナスイオン発生板を使用した家具、住宅等

【課題】マイナスイオンを発生させることに適したマイナスイオン発生板1、マイナスイオン発生板1を使用した家具、住宅、発酵促進器7及び食品保存器7を提供する。
【解決手段】 炭素を塗料に混ぜて、ケイ酸カルシウム板1aの片面に塗布することにより炭素塗膜面1bを設け、炭素塗膜面1bに導電性の部材からなるマイナス極2とプラス極3を設け、マイナス極2とプラス極3を直流電源4に繋いでマイナスイオン発生板1とする。さらにマイナスイオン発生板1を使用した衝立5、行灯6、発酵促進器7又は食品保存器7とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子親和力が高く電子を豊富に含む炭素を塗料に混ぜて、ケイ酸カルシウム板の片面に塗布することにより炭素塗膜面を設け、炭素塗膜面に電圧をかけることにより電子を放出させる、マイナスイオン発生板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生活環境においてマイナスイオンが優勢でプラスイオンが少ないときには、毛細血管が拡張し、血圧が下降し、利尿作用が促進し、疲労回復力が著しく増加する効果や、不眠や頭痛や不快感を解消して食欲を増進するなど、人体に対して好ましい生物的効果が得られると言われている。
従来からマイナスイオンの発生器として、コロナ放電の電離作用を利用したものがあった(例えば、特許文献1〜3参照。)。コロナ放電ではプラス電極とマイナス電極を近づけて高い電圧をかけ、電極間にある空気の絶縁を破壊して放電させている。コロナ放電によるとプラスイオンとマイナスイオンが同量発生するが、発生したマイナスイオンだけを取り出す方法も、プラスイオンだけを消去する方法もないため、プラスイオンによって空気中の窒素が酸化されて窒素酸化物ができる問題と、これに伴ってオゾンが発生する問題があった(藤野薫著、マイナスイオンハンドブック、第3刷、せせらぎ出版、P.101−102より引用。)。
また水滴の分裂・破断に伴って、微細な水滴から電子が空気中に放出され、空気中の気体分子(特に酸素分子)に取り込まれて、マイナスイオンを生成する現象であるレーナルト効果が知られているが、レーナルト効果が得られるのは落差が50m以上の滝に限られ、我々の生活環境にある水道から落下する水や噴水などでは電子を放出させるエネルギーに達せず、レーナルト効果は生じない(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−178854号公報
【特許文献2】特開2005− 63714号公報
【特許文献3】特開2008− 47324号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】藤野薫、「マイナスイオンハンドブック」、第3刷、せせらぎ出版、2004年5月20日、P.36−38
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子を空気中に飛び出させることにより、電子が空気中の酸素分子に吸着されるようにして、空気中の酸素分子がマイナスイオン化して核イオンとなり、核イオンに対して空気中にある酸の分子(硝酸、炭酸、硫酸)が結合し、さらに水分子が結合した初期マイナスイオンを発生させることに適した、マイナスイオン発生板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
炭素を塗料に混ぜて、ケイ酸カルシウム板の片面に塗布することにより炭素塗膜面を設け、炭素塗膜面に導電性の部材からなるマイナス極とプラス極を設けて直流電源に繋いだマイナスイオン発生板とする。
またマイナスイオン発生板を使用した家具、照明器具、住宅、集合住宅又は集合住宅の区分住居、さらにマイナスイオン発生板を使用した発酵促進器及び食品保存器とする。
【発明の効果】
【0007】
電子親和力が高く電子を豊富に含む炭素塗膜面から、ケイ酸カルシウム板を通過して空気中に電子を飛び出させることに適した、単純で安価なマイナスイオン発生板を提供することができた。
またマイナスイオン発生板を使用した家具、照明器具、住宅、集合住宅又は集合住宅の区分住居としたので、住む人の不眠や頭痛や不快感を解消して食欲を増進するなど、人体に対して好ましい生物的効果が得られる生活環境を提供することができた。
さらに、食物の発酵を促進することに適した発酵促進器や食品の鮮度を維持することに適した食品保存器を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】マイナスイオン発生板の構成図である。
【図2】衝立の斜視図である。
【図3】衝立を部屋に置いた場合における測定データ図である。
【図4】行灯の斜視図である。
【図5】発酵促進器及び食品保存器の斜視図である。
【図6】通常状態の測定データ図である。
【図7】石膏ボードに炭素塗膜面を設けた場合の測定データ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ケイ酸カルシウム板の片面に炭素の粉末を添加した塗料を塗布することにより炭素塗膜面を設ける。そして炭素塗膜面にマイナス極とプラス極を設け、マイナス極とプラス極を直流電源に繋いでマイナスイオン発生板とする。
このようにすると、マイナス極からプラス極に向かって電子が進み電流が流れるが、炭素塗膜面は全体がマイナス電圧となり、炭素塗膜の中の電子はマイナス電圧に反発して、加速しながらケイ酸カルシウム板に向かって進み、ケイ酸カルシウム板を通過して大気に飛び出す。
大気は窒素が約80%を締め酸素は約20%しかないが、酸素の電子親和力は窒素の電子親和力に比べて約25倍あるため、マイナスイオン発生板から飛び出した電子のほとんどが酸素分子に吸着されて、中性の酸素分子が負電荷を帯びて核イオンと呼ばれるマイナスイオンとなり、核イオンに空気中にある酸の分子(硝酸、炭酸、硫酸)が結合し、さらに水分子が結合して初期イオンと呼ばれるマイナスイオンとなる(藤野薫著、マイナスイオンハンドブック、第3刷、せせらぎ出版、P.42〜45より引用。)。
上記したマイナスイオン発生板であって、直流電源の電圧を12Vとしたマイナスイオン発生板とする。実験の結果12Vの電圧をかけることが好ましかったからである。
【0010】
マイナスイオン発生板を使用した家具又は照明器具とする。マイナスイオン発生板において炭素塗膜面に対して反対側の面を反塗膜面とし、反塗膜面が人に向くようにしてマイナスイオン発生板を使用することが好ましい。マイナスイオンは炭素塗膜面から反塗膜面に向かって飛び出すと考えられるからである。例えば机、テーブル、椅子、箪笥、食器棚、鏡、本棚、障子などの家具や、室内灯や行灯などの照明器具の板材として使用することが好ましい。
上記したマイナスイオン発生板を壁、間仕切り、床、天井、扉、障子のいずれかに使用した住宅、集合住宅又は集合住宅の区分住居とする。この場合は反塗膜面が人に向くようにしてマイナスイオン発生板を使用することが好ましい。マイナスイオンは炭素塗膜面から反塗膜面に向かって飛び出すと考えられるからである。
マイナスイオン発生板を居住空間に置くと、マイナスイオンの豊富な環境を提供することができる。そしてマイナスイオンの豊富な環境に暮らす人には、毛細血管が拡張し、血圧が下降し、利尿作用が促進し、疲労回復力が著しく増加する効果や、不眠や頭痛や不快感を解消して食欲を増進するなど、好ましい生物的効果が得られる。
上記したマイナスイオン発生板を使用した発酵促進器又は食品保存器とする。この場合は反塗膜面を内側にし炭素塗膜面を外側にしてマイナスイオン発生板を使用することが好ましい。マイナスイオンは炭素塗膜面から反塗膜面に向かって飛び出すと考えられるからである。また発酵促進器とする場合は中の温度を適温に保つための温度調節を取り付けることが好ましい。
【実施例1】
【0011】
マイナスイオン発生板の構成図を図1に示し説明する。マイナスイオン発生板1はケイ酸カルシウム板1aの片面に炭の粉末を添加した塗料を塗布して炭素塗膜面1bとし、炭素塗膜面1bの反対側の面を反塗膜面1cとしたものである。
炭の粉末を添加した塗料としては、日の丸カーボテクノ株式会社(住所、広島県三次市太田幸町2427番地の1)が製造販売する商品名「Chaco Paint」を使用した。また炭素塗膜面1bに導電性材料からなるプラス極2とマイナス極3を設けて、直流電源4に繋いだ。直流電源4は100Vの交流電源を12Vに変圧し、ブリッジ形整流回路により直流にしたものである。
さらに実施例1の衝立を図2に示すが、衝立5は900×900mmのケイ酸カルシウム板1aを使用し、マイナスイオン発生板1に台5a取り付けたものである。実施例1の衝立5を部屋に置いたときのイオン測定データを図3に示し説明する。
比較のため何も置かない通常の状態のイオン測定データを図6に示し、900×900mmの石膏ボードの片面に炭素塗膜面を施し、プラス電極とマイナス電極を設けて12Vの直流電源に繋いで部屋に置いた場合の測定データを図7に示す。
【0012】
実験当日の気温は摂氏33.0〜33.4度、湿度は28〜29%であった。測定にはコムシステム株式会社(住所、〒196−0003、東京都昭島市松原町2−3−17、橋本ビル、電話042−543−9062)の空気イオンカウンター、MODEL:COM−3800を使用した。測定値はいずれも空気1ccの中にあるイオンの個数である。
実験時の通常の状態を測定した図6のデータは、マイナスイオンが平均値で262個、プラスイオンは平均値で109個であったので、当日は平均値において153個マイナスイオンが多かったことになる。マイナスイオンの個数からプラスイオンの個数を引いた値をマイナスイオン優位個数とすれば、通常の場合のマイナスイオン優位個数は153個である。
また石膏ボードに炭素塗膜面を施し、プラス電極とマイナス電極を設けて12Vの直流電源に繋ぎ、部屋に置いて測定した図7のデータは、マイナスイオンが平均値で272個、プラスイオンが平均値で141個であったので、平均値で131個マイナスイオンが多い結果となった。この場合のマイナスイオン優位個数は131個である。
これに対して実施例1の衝立5を部屋に置いて測定した図3のデータは、マイナスイオンが平均値で329個、プラスイオンが平均値で109個であったので、平均値で220個マイナスイオンが多い結果となった。この場合のマイナスイオン優位個数は220個である。
本実験の結果、石膏ボードに炭素塗膜面を設けたものは通常の状態に比べて、マイナスイオン優位個数は22個減少してしまったが、実施例1の衝立5を部屋に置くことにより通常の状態に比べてマイナスイオン優位個数が67個増加する効果が確認できた。
【実施例2】
【0013】
行灯の実施例を図4に示し説明する。実施例2の行灯6は人のいる側となる外に向かってマイナスイオンを飛び出させるため、マイナスイオン発生板1の炭素塗膜面1bを内側にし、反塗膜面1cを外側にして箱状のケースとし、複数個の穴6aを明けて反塗膜面1に和紙6bを貼り、中に電灯を取り付けたものである。
各マイナスイオン発生板1の炭素塗膜面1bを互いに接触させ、各面の炭素塗膜面1b同士を導通させたので、プラス電極2とマイナス電極3及び直流電源4は1組み取り付けただけである。
【実施例3】
【0014】
発酵促進器及び食品保存器の実施例を図5に示し説明する。実施例3の発酵促進器7(食品保存器7)は箱の中に向かってマイナスイオンを飛び出させるため、マイナスイオン発生板1の反塗膜面1cを内側にし、炭素塗膜面1bを外側にした箱とし、上面に蓋7aを取り付けた。
また各マイナスイオン発生板1の炭素塗膜面1bを互いに接触させ、各面の炭素塗膜面1b同士を導通させたので、プラス電極2とマイナス電極3及び直流電源4は1組取り付けただけである。
発酵促進器7として使用する実験として、発酵促進器7中に市販の牛乳を入れ、また発酵促進器7の中に電灯を入れて中の温度を39〜40度に保った。実験結果によると5日の間に牛乳がヨーグルトになった。マイナスイオン環境において発酵分解作用が促進された効果と考えられる。
また食品保存器7として使用する場合の比較実験として、食品保存器7と普通の箱にそれぞれ8個の苺を保存させ、冷蔵庫に入れて7日経過後に取り出した。比較実験の結果によると、保存器7に保存させた苺は全く傷んでなかったが、普通の箱に保存させた苺は全部に痛みが出て食べられなかった。
さらに食品保存器7として使用する場合の比較実験として、食品保存器7と普通の箱にそれぞれマグロの切り身を保存させ、冷蔵庫に入れて7日経過後に取り出した。実験結果によると、食品保存器7に保存させたマグロはほとんど変化しなかったが、普通の箱に保存させたマグロは色が真っ黒に変化して乾涸らびた状態となっていた。
以上のことから実施例3の発酵促進器7は食品の発酵を促進させる用途に有用であり、また食品保存器7は傷みやすい食品を保存する用途に有用であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明はマイナスイオン発生板、家具、照明器具、発酵促進器及び食品保存器を製造販売する産業や、住宅やマンションなどを建築、販売及び賃貸する産業だけでなく、食品を製造販売する産業や食品の流通産業などでも利用することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 :マイナスイオン発生板 1a:ケイ酸カルシウム板 1b:炭素塗膜面
1c:反塗膜面 2 :プラス極 3 :マイナス極 4 :直流電源 5 :衝立 5a:台
6 :行灯 6a:穴 6b:和紙
7 :発酵促進器(食品保存器) 7a:蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ酸カルシウム板の片面に炭素の粉末を添加した塗料を塗布することにより炭素塗膜面を設け、前記炭素塗膜面にマイナス極とプラス極を設け、前記マイナス極と前記プラス極を直流電源に繋いだことを特徴とするマイナスイオン発生板。
【請求項2】
請求項1に記載したマイナスイオン発生板であって、直流電源の電圧が12Vであることを特徴とするマイナスイオン発生板。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載したマイナスイオン発生板を使用した家具又は照明器具。
【請求項4】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載したマイナスイオン発生板を壁、間仕切り、床、天井、扉、障子のいずれかに使用したことを特徴とする住宅、集合住宅又は集合住宅の区分住居。
【請求項5】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載したマイナスイオン発生板を使用した発酵促進器又は食品保存器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−277939(P2010−277939A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131640(P2009−131640)
【出願日】平成21年5月30日(2009.5.30)
【出願人】(507108243)株式会社 自然農法研究所 (4)
【Fターム(参考)】