説明

マカ抽出物の製造方法

【課題】マカからベンジルグルコシノレートを含有したマカ抽出物を効率良く抽出できるマカ抽出物の製造方法を提供する。
【解決手段】マカから水または含水アルコールで抽出液を抽出する。抽出液をハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通液する。ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に吸着した吸着画分からベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物を得る。マカから抽出した抽出液中の不溶物を除去してから濃縮した後に、ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通液してマカ抽出物を得る。マカ抽出物から不溶物を除去しつつベンジルグルコシノレート濃度をより高くできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マカからベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物を得るマカ抽出物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マカ(Lepidium meyenii-Walp,Cruciferae :Maca)は、南米ペルーなどの中央アンデスの標高4000m〜4500m程度の地域で栽培されている根菜であり、南米アンデスの原住民の間で民間伝承薬として用いられ、滋養強壮、栄養不良、貧血症、不妊症および精力減退症などへの有効性が知られている。
【0003】
そして、近年では、マカを熱水などで煮て抽出した抽出物を乾燥させて錠剤や顆粒剤にしたり、この抽出物を飲料などに配合したりして、滋養強壮、栄養不良、貧血症、不妊症および精力減退症などを改善させる目的で摂取している。
【0004】
さらに、癌に対する化学的防護性のある有効成分としては、グルコシノレート類が知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、これらグルコシノレート類の一種であるベンジルグルコシノレートがマカに含有されている。
【特許文献1】特開2002−193822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したベンジルグルコシノレートは、マカに極めて少量しか含有されておらず、このマカからベンジルグルコシノレートを含有したマカ抽出物を効率良く抽出することが容易ではないという問題を有している。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、マカからベンジルグルコシノレートを含有したマカ抽出物を効率良く得ることができるマカ抽出物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のマカ抽出物の製造方法は、マカから水および含水アルコールの少なくともいずれかで抽出液を抽出し、この抽出液をハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通し、このハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に吸着された吸着物から、ベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物を得るものである。
【0008】
そして、マカから水および含水アルコールの少なくともいずれかで抽出した抽出液を、ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通して、このハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に吸着した吸着物からベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物を得ることにより、このベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物がマカから効率良く得られる。
【0009】
請求項2記載のマカ抽出物の製造方法は、請求項1記載のマカ抽出物の製造方法において、抽出液に含まれている不溶物を除去し、この不溶物を除去した抽出液を濃縮し、この濃縮した抽出液をハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通すものである。
【0010】
そして、マカから水および含水アルコールの少なくともいずれかで抽出した抽出液に含まれている不溶物を除去してから、この不溶物を除去した抽出液を濃縮した後に、この濃縮した抽出液をハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通し、このハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に吸着した吸着物から、ベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物を得ることにより、このマカ抽出物から不溶物を除去しつつ、このマカ抽出物中のベンジルグルコシノレート濃度をより高くできるので、このベンジルグルコシノレートをより効率良くマカ抽出物中に抽出できる。
【0011】
請求項3記載のマカ抽出物の製造方法は、請求項1または2記載のマカ抽出物の製造方法において、ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂は、スチレン−ジビニルベンゼン系重合体およびポリアクリル酸系重合体のいずれかであるものである。
【0012】
そして、ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂を、スチレン−ジビニルベンゼン系重合体およびポリアクリル酸系重合体のいずれかとすることにより、マカからベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物をより効率良く得ることができる。
【0013】
請求項4記載のマカ抽出物の製造方法は、請求項1ないし3いずれか記載のマカ抽出物の製造方法において、ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂を、抽出液に含まれているマカ抽出物1容量部に対して1容量部以上20容量部以下の割合で用いるものである。
【0014】
そして、マカから水および含水アルコールの少なくともいずれかで抽出した抽出液に含まれているマカ抽出物1容量部に対して、ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂を、1容量部以上20容量部以下の割合で用いて、このマカからベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物を得ることにより、ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂を効率良く使用しつつ、マカからベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物を効率良く得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載のマカ抽出物の製造方法によれば、マカから水および含水アルコールの少なくともいずれかで抽出した抽出液を通したハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に吸着した吸着物から、ベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物を得ることにより、このベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物をマカから効率良く得ることができる。
【0016】
請求項2記載のマカ抽出物の製造方法によれば、請求項1記載のマカ抽出物の製造方法の効果に加え、マカから水および含水アルコールの少なくともいずれかで抽出した抽出液に含まれている不溶物を除去してから、この不溶物を除去した抽出液を濃縮した後に、この濃縮した抽出液をハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通すことにより、得られたマカ抽出物から不溶物を除去しつつ、このマカ抽出物中のベンジルグルコシノレート濃度をより高くできるので、このベンジルグルコシノレートをより効率良くマカ抽出物中に抽出できる。
【0017】
請求項3記載のマカ抽出物の製造方法によれば、請求項1または2記載のマカ抽出物の製造方法の効果に加え、ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂を、スチレン−ジビニルベンゼン系重合体およびポリアクリル酸系重合体のいずれかとすることにより、マカからベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物をより効率良く得ることができる。
【0018】
請求項4記載のマカ抽出物の製造方法によれば、請求項1ないし3いずれか記載のマカ抽出物の製造方法の効果に加え、マカから水および含水アルコールの少なくともいずれかで抽出した抽出液に含まれているマカ抽出物1容量部に対して、ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂を1容量部以上20容量部以下の割合で用いることにより、ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂を効率良く使用しつつ、マカからベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物を効率良く得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態のマカ抽出物の製造方法について図1を参照して説明する。
【0020】
まず、マカ抽出物の製造方法としてのマカ抽出物を得る方法は、マカからベンジルグルコシノレートを抽出して精製するベンジルグルコシノレートの精製方法である。そして、このベンジルグルコシノレートの精製方法は、マカから水および含水アルコールの少なくともいずれかで抽出液を抽出する(ステップ1)。この後、この抽出液をハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通して通液する(ステップ4)。次いで、このハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に吸着された画分である吸着物から、ベンジルグルコシノレートを比較的高濃度に含有するマカ抽出物を得る方法(ステップ5)である。
【0021】
具体的に、マカから抽出液を抽出する抽出溶媒としては、水および含水アルコールのいずれかである。そして、この抽出溶媒として用いるアルコールとしては、エタノール、メタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノールなどの低級一価アルコールが好ましい。さらに、この含水アルコールのアルコール含有量は、50質量%以上が好ましく、さらに60質量%以上が特に好ましい。
【0022】
そして、この抽出液の抽出方法としては、マカ1質量部に対して、好適には抽出溶媒を5質量部以上20質量部以下を加えて抽出する(ステップ1)。このとき、この抽出時の抽出温度は、一般に用いられる条件でよく、例えば10℃以上80℃以下が好ましく、さらに20℃以上40℃以下が特に好ましい。この抽出時には、抽出液を軽く攪拌してもよい。
【0023】
さらに、この抽出方法にて得られた抽出液に含まれている不溶物を、ろ過などで抽出液中から除去した後(ステップ2)、この不溶物を除去した抽出液を必要に応じて濃縮する(ステップ3)。このとき、この抽出液にアルコールが含まれている場合には、減圧下で濃縮してアルコールを除去して水溶液としてから、この水溶液をハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通液する(ステップ4)。そして、このハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に吸着の画分である吸着物から、ベンジルグルコシノレートを高い含有率で含有している抽出液であるマカ抽出物を得ることができる(ステップ5)。
【0024】
ここで、このハイポーラス型合成高分子吸着樹脂としては、スチレン−ジビニルベンゼン系重合体やポリアクリル酸系重合体などがある。そして、これらスチレン−ジビニルベンゼン系重合体あるいはポリアクリル酸系重合体としては、ベンジルグルコシノレート以外の不純物を多く除去できる点で、ハイポーラス型のものが好ましい。具体的に、ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂としては、例えばダイヤイオンHP20(三菱化学株式会社製)、ダイヤイオンSP825(三菱化学株式会社製)、ダイヤイオンSP850(三菱化学株式会社製)などや、アンバーライトXAD−7(オルガノ株式会社製)、アンバーライトXAD−8(オルガノ株式会社製)などがある。
【0025】
さらに、このハイポーラス型合成高分子吸着樹脂の使用量としては、抽出液中の固形物1容量部に対して、好適には1容量部以上20容量部以下、好ましくは2容量部以上10容量部以下が良い。
【0026】
そして、このハイポーラス型合成高分子吸着樹脂への抽出液の通液は、このハイポーラス型合成高分子吸着樹脂を摘めて充填した図示しないカラムやバッチ方式ですればよい。このとき、このハイポーラス型合成高分子吸着樹脂への抽出液の通液は、カラムを用いることがより好ましく、好適には抽出液の単位樹脂量に対する通液速度(SV)を0.5hr−1以上4.0hr−1以下、好ましくは0.5hr−1以上2.0hr−1以下として通液させて、このハイポーラス型合成高分子吸着樹脂にベンジルグルコシノレートを吸着させる。また、このハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通液する際の抽出液は、好適にはpH4以上pH8以下であり、温度が常温(20℃)以上40℃以下である。
【0027】
そして、このハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に吸着した画分である吸着物から、ベンジルグルコシノレートを高い含有率で含有したマカ抽出液であるマカ抽出物を得る。さらに、このマカ抽出物を、さらに減圧下で濃縮させてから、真空乾燥、スプレ乾燥あるいは凍結乾燥して、このマカ抽出物を乾燥粉末とすることが好ましい。
【0028】
そして、このマカ抽出物には、ベンジルグルコシノレートが固形分中に1質量%以上30質量%以下含有されていることが好ましい。なお、このマカ抽出物が、ベンジルグルコシノレートを含有するとは、このマカ抽出物の固形分中に1質量%以上含まれている場合をいい、このマカ抽出物の固形分中の含有量とは、このマカ抽出物の乾燥物中に含まれるベンジルグルコシノレートの含有量、すなわち質量%をいう。
【0029】
さらに、このマカ抽出物中のベンジルグルコシノレートの含有量は、このマカ抽出物の固形分中に1質量%以上30質量%以下が好ましく、さらに1質量%以上8質量%以下が特に好ましい。すなわち、このマカ抽出物中のベンジルグルコシノレート含有量が少なすぎると、このベンジルグルコシノレートが有する効果が安定して得られない場合がある。また、このマカ抽出物中のベンジルグルコシノレート含有量が多すぎると、このマカ抽出物の精製に時間やコストが掛かり過ぎるため、このベンジルグルコシノレートの含有量に応じた効果の増大を期待できない場合がある。
【0030】
上述したように、上記一実施の形態によれば、マカから水または含水アルコールで抽出した抽出液を、ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通液し、このハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に吸着した吸着物からベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物を得ることにより、このベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物を、マカから効率良く得ることができる。したがって、マカからベンジルグルコシノレートを効率良く抽出できるので、このベンジルグルコシノレートを大量に供給できる。
【0031】
また、マカからベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物を定量的に抽出できるので、このマカ抽出物を飲食などして摂取することによって、このマカ抽出物が人体に作用を及ぼす適切な摂取量を検出できるようになる。このため、このベンジルグルコシノレートが有する種々の効能を効率良く適切に十分発揮させることができるから、このベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物を産業的に広げて用いることが可能になる。
【0032】
さらに、マカから抽出した抽出液に含まれている不溶物を除去してから濃縮した後に、ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通液させて、ベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物を得ることにより、このマカ抽出物から不溶物を除去しつつ、このマカ抽出物中のベンジルグルコシノレート濃度をより高くできるので、このベンジルグルコシノレートをより効率良くマカ抽出物中に抽出できる。
【0033】
また、ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂を、スチレン−ジビニルベンゼン系重合体およびポリアクリル酸系重合体のいずれかとすることにより、マカからベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物をより効率良く得ることができる。さらに、マカから抽出した抽出液に含まれているマカ抽出物1容量部に対して、ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂を1容量部以上20容量部以下の割合で用いて、このマカからマカ抽出物を得ることにより、ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂を効率良く使用しつつ、マカからベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物を効率良く得ることができる。
【0034】
この結果、このマカ抽出物は、ベンジルグルコシノレートを高い含有率で含有しているため、例えば、血糖値上昇抑制作用や、過血糖による肥満防止作用を有している。したがって、このマカ抽出物は、マカを水で煮出しただけの抽出物に比べ、有効成分であるベンジルグルコシノレートが精製されて高い効果を示すものとなる。さらに、このマカ抽出物は、成長ホルモン量上昇作用や、血中テストステロン量増加作用、空間学習獲得能力向上作用、肝臓機能亢進作用、コレステロール代謝改善作用、血清中エストラジオール増加作用などを有している。
【0035】
また、このマカ抽出物は、このマカ抽出物を含有する組成物として、食品、化粧料、皮膚外用、医薬品あるいは、医薬部外品として用いることもできる。したがって、このマカ抽出物としては、皮膚外用剤や、機能性食品、医薬品あるいは化粧品として適宜用いることもできる。そして、このマカ抽出物を提供する形態としては、散剤、顆粒、錠剤、糖衣錠、カプセル、液状あるいはシロップ状のいずれであっても良く、これらは適宜助剤および賦香料とともに賦形されてもよい。
【0036】
さらに、このマカ抽出物に用いられる賦形剤および希釈剤としては、ゼラチン、糖類、澱粉類、脂肪酸およびこれら塩、油脂、タルク、生理食塩水およびその他のマスキング剤などが挙げられる。これら形態のマカ抽出物をそのまま服用してもよいが、各種料理品、菓子、キャンディあるいは飲料などの食品に混ぜても服用できる。したがって、このマカ抽出物を含有する組成物を日常的に飲食することによって、このマカ抽出物が有する種々の作用を実現できる。
【0037】
特に、血糖値上昇抑制用組成物、過血糖による肥満防止用組成物におけるマカ抽出物の配合量は、このマカ抽出物を配合した組成物の形態によって異なり、飲食品全量に対し0.001質量%以上〜80質量%以下が好ましく、さらに0.01質量%以上60質量%以下が特に好ましい。このとき、このマカ抽出物を配合した組成物が飲料の場合には、この飲料全量に対してマカ抽出物が0.01質量%以上5質量%以下が好ましい。また、このマカ抽出物を配合した組成物が顆粒剤、錠剤あるいはカプセル剤の場合は、これら顆粒剤、錠剤あるいはカプセル剤全量に対してマカ抽出物が1質量%以上60質量%以下が好ましい。さらに、このマカ抽出物を配合した組成物がシロップ剤の場合は、このシロップ剤全量に対してマカ抽出物が0.5質量%以上30質量%以下が好ましい。
【0038】
また、このマカ抽出物の成人による摂取量は、1日あたり10mg以上5g以下が好ましく、さらに30mg以上2g以下が特に好ましいが、摂取する人の状態に応じて摂取量を増減させればよい。そして、このマカ抽出物は、1日3回食前に摂取することが好ましい。
【実施例1】
【0039】
次に、上記マカ抽出物の製造方法の実施例1について説明する。
【0040】
まず、マカエキスパウダ中のベンジルグルコシノレート1%品の製造は、ベンジルグルコシノレートを0.75質量%で含むマカアルコール抽出物150kgをダイヤイオンHP20(三菱化学株式会社製)500Lに通液した。そして、この通水したダイヤイオンHP20を1000Lの水で洗浄してから、60質量%エタノール2000Lに通液して60質量%エタノール部を得た。この後、この60質量%エタノール部と未吸着液の一部を混合してから減圧して濃縮して濃縮液とした。そして、この濃縮液のベンジルグルコシノレート含量は2%で、固形量は45kgであった。この後、この濃縮液に、デキストリン45kgを混合してから噴霧乾焼させてベンジルジルグルコシノレート1質量%品を87kg回収した。
【実施例2】
【0041】
次に、上記マカ抽出物の製造方法の実施例2について説明する。
【0042】
まず、マカエキスパウダ中のベンジルグルコシノレート20質量%品の製造は、ベンジルグルコシノレートを0.75質量%で含むマカアルコール抽出物150kgをダイヤイオンHP20(三菱化学株式会社製)500Lに通液した。そして、この通水したダイヤイオンHP20を1000Lの水で洗浄してから、60質量%エタノール2000Lに通液して60質量%エタノール部を得た。この後、この60質量%エタノール部を減圧して濃縮して濃縮液とした。そして、この濃縮液のベンジルグルコシノレート含量は20質量%で、固形量は5.6kgであった。この後、この濃縮液を凍結乾燥させて、ベンジルグルコシノレート20質量%品のパウダを5.6kg得た。
【0043】
この結果、マカ抽出物のベンジルグルコシノレート含量は、1質量%から20質量%まで任意の含量に精製することが可能である。また、このベンジルグルコシノレート含量に関しては、未吸着液の回収量によって、任意に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施の形態のマカ抽出物の製造方法を示す説明工程図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マカから水および含水アルコールの少なくともいずれかで抽出液を抽出し、
この抽出液をハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通し、
このハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に吸着された吸着物から、ベンジルグルコシノレートを含有するマカ抽出物を得る
ことを特徴とするマカ抽出物の製造方法。
【請求項2】
抽出液に含まれている不溶物を除去し、
この不溶物を除去した抽出液を濃縮し、
この濃縮した抽出液をハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通す
ことを特徴とした請求項1記載のマカ抽出物の製造方法。
【請求項3】
ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂は、スチレン−ジビニルベンゼン系重合体およびポリアクリル酸系重合体のいずれかである
ことを特徴とした請求項1または2記載のマカ抽出物の製造方法。
【請求項4】
ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂を、抽出液に含まれているマカ抽出物1容量部に対して1容量部以上20容量部以下の割合で用いる
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか記載のマカ抽出物の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−206509(P2006−206509A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21527(P2005−21527)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(300022526)TOWA CORPORATION 株式会社 (8)
【Fターム(参考)】