説明

マクロ孔性乾燥剤を含むハニカムマトリックス、そのプロセス及び使用

マクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックスであって、それは「インシチュー」で合成されたマクロ孔性乾燥剤を含み、前記乾燥剤が示差水吸着を有する。マクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックスの「インシチュー」調製のためのプロセスであって、水ガラスを含浸したハニカム基材を、水性金属塩溶液若しくは酸溶液、又はそれらの組合せの中に、ヒドロゲルハニカムマトリックスが得られる時間まで浸漬するステップ、及びマクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックスを製造するために前記ヒドロゲルハニカムマトリックスを熱的に活性化するステップ、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マクロ孔性乾燥剤を含むハニカムマトリックス、その製造プロセス及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの病気が室内空気質と関係しており、また、労働者の生産性に直接の影響を有することが知られている。改良された室内空気質のための増大した通気度及び制御された湿度レベルに対する必要性の増加は、HVAC(暖房、換気及び空調)システムの設計における難問と機会との両方をもたらしている。
【0003】
HVAC及び産業プロセスにおいて、空気及びガスの管理は、その性質、例えば、温度、湿度、微粒子状及びガス状汚染物質、騒音などのうちのいくつかの管理を伴う。
【0004】
制御空間において、特に高い利用率を有する施設、例えば学校、病院、映画館などにおいて湿度を制御することの重要性は今や世界共通の認識となっている。乾燥剤ホイールベースの除湿機がかかる用途において湿度を制御するために次第に使用されつつある。
【0005】
(より)大きい通気度の要求に応じるためにHVACシステムの設計に対して主に浮上している取り組みの1つは、全体の新鮮な空気の負荷に応じるための新鮮な空気の装置としての専用の外気システムを備えること及び除湿(室内に潜在)の必要性を満たすために必要な湿気除去を提供することであり、個々の装置又はシステムが部屋又は使用空間の内部の感知しうる負荷に対処するための並列装置として適用される。
【0006】
したがって、新鮮な空気の装置により新鮮な空気と部屋の潜在的な負荷とを処理するためのさまざまなDOAS(専用の外気システム)を開発する必要性がある。DOAS装置又はシステムのいくつかは冷房及び除湿の両方のための機械冷却の使用に単に基づいており、機械冷却/冷房と組み合わせて、さまざまなエネルギー回収ホイールを単一又は複数で利用し、場合によって「受動的」又は「熱的に活性化された」乾燥剤ホイールをも利用するその他のものが存在する。
【0007】
除湿は機械冷却によるか又は除湿効果を生ずるために乾燥剤物質を用いる乾燥剤除湿機を使用することによって行うことができる。乾燥剤物質は水蒸気に対して高い親和性を有する。普通に使用される乾燥剤物質の例はシリカゲルである。一般的に、それらの含水率(容水量)は、周囲空気の相対湿度の関数である。
【0008】
最も普通に使用される吸着剤は、概して、以下のものである:
・合成ゼオライト/分子篩
・活性アルミナ
・シリカゲル/金属ケイ酸塩:
【0009】
吸着剤は、粒状、ビーズ状、粉末、又はいくつかのその他の形、例えば、鋳造され、押出されたハニカムマトリックスなどである。
【0010】
2009 ASHRAE HandbookのPara 5,column 1,pg 32.4,chapter 32−Fundamentals(SI)は次のように記載している:
【0011】
「吸着挙動は、(1)全表面積、(2)全毛細管容積、及び(3)毛細管直径の範囲に依存する。大きい表面積は低い相対湿度において吸着剤により大きい能力を与える。大きい毛細管は吸着剤に高い相対湿度においてより高い能力を与える復水に対する高い能力を提供する。狭い範囲の毛細管直径は吸着剤をそれが保持できる水蒸気分子中でより選択的であるようにする。
【0012】
乾燥剤を設計するにはいくつかのトレードオフが必要である。例えば、大きい毛細管を有する物質はより小さい毛細管のものよりも小さい単位容積当りの表面積を必然的に有する。結果的に吸着剤は、広範囲の運転条件にわたって高い吸着能を提供するために時々組み合わされる。図5(b)は研究室の調査で使用するために調製された3個の非商業的なシリカゲル吸着剤を使用してこの点を示している。それぞれは異なる内部構造を有するが、それらは全てシリカであるためそれらは同様の表面吸着特性を有する。ゲル1は大きい毛細管を有することにより、その全体の容積を大きくしているがその全体の表面積は小さい。それは高い相対湿度において大きい吸着能を有するが、低い相対湿度において吸着する量は少ない。
【0013】
対照的にゲル8は、ゲル1の大きさの7分の1の毛細管容積を有するが、全体の表面積はほとんど2倍大きい。これにより、ゲル8は低い相対湿度においては能力がより高くなるが、高い相対湿度においては液化する水分を保持する能力がより低くなる。
【0014】
シリカゲル及び殆どのその他の吸着剤は、特定の用途において、強度、マス、及びその他の好適な特性に対して能力を均衡させながら最適な性能を提供するように製造することができる。」
【0015】
したがって、吸着挙動は全表面積及び細孔容積に依存する。殆どの先行技術は、ミクロ孔性である乾燥剤又はタイプI等温線の乾燥剤を使用する乾燥剤マトリックスと関係している。
【0016】
除湿は熱的快適性のためのHVACシステムの重要な特徴と見なされる。乾燥剤除湿が大気圧の空気の管理及び処理のために使用される場合、主としてハニカムタイプのマトリックスがその乾燥剤を通過する/越える空気と接触する表面積を最大化するために、そしてまた、乾燥剤の使用を最小化するために並びに「乾燥剤ベッド」を横切る空気の圧力低下を最小化するために使用される。
【0017】
該ハニカムマトリックスは、プラスチックシート、金属/アルミニウム箔、時には完全に多孔性であり得る「紙」のような有機及び/又は無機繊維基材のようなさまざまな基材を使用して形成することができる。一般に好まれる基材、「置かれる/充填される」乾燥剤の量及び空気/マトリックスが機能している温度によって、下記の事項がマトリックスを調製するために乾燥剤を基材に置く/充填するための方法のいくつかである。
a.被覆
b.含浸
c.インシチュー(in−situ)合成
【0018】
「被覆」又は「含浸」の選択は、大量に、そしてHVAC空気処理以外のさまざまな工業的応用のために製造されるので、のさまざまなタイプI〜V[図5(a)]からのさまざまな乾燥剤粉末から行うことができるが、多孔性の無機繊維基材の孔におけるハニカムの形を成すシリカゲル及び金属ケイ酸塩のタイプの乾燥剤のインシチュー合成は、主として、乾燥剤ホイールが60℃〜200℃の範囲の昇温の空気により常に熱的に(再)活性化される工業用及び商業用の乾燥除湿機用途のためのものとなっている。
【0019】
前に上で記載したように、専用の外気システム(DOAS)装置又はシステムのいくつかは冷房及び除湿の両方のための機械冷却の使用に単に基づいており、それと、機械冷却/冷房と組み合わせて、さまざまなエネルギー回収ホイールを単一又は複数で利用し、場合によって「受動的」又は「熱的に活性化された」乾燥剤ホイールも利用するその他のものが存在する。
【0020】
さまざまなDOAS及びその他のHVAC設備において、「受動的」除湿ホイールにより構成された装置は確実な地歩を築きつつある。この「受動的」除湿ホイールは、ごく最近になって適用され始めたところである。「受動的」乾燥剤ホイールは、その名前が示すように熱的に活性化されない即ち再生のために熱を使用しないホイールである。これをより良く理解するために、典型的な熱的に活性化されるホイールを示している図1aを参照されたい。
【0021】
図1(b)に描かれているように、回転する乾燥剤ホイールには一般的には2つの領域、プロセス領域(2)及び再活性化領域(3)が存在し、これらの領域中を通ってハニカムマトリックス又はベッドが移動/回転する。そのプロセス領域において空気又はガスが乾燥され、或いは水分が除去され、水分はその回転するホイール/ベッドにより取り上げられる。その再活性化領域において、この乾燥剤ホイールマス/マトリックスは昇温されている空気流(8)に曝され、この空気流により乾燥剤から水分を追い出して、この水分を絶えず除去する。空気が加熱され、再活性化領域において乾燥剤マス/マトリックスを包囲するとき、水分が乾燥剤マトリックス/マスによって放棄される量及び速度を決定するのは乾燥剤マスの蒸気圧の差及び乾燥剤マスを包囲している空気の蒸気圧の差である。
【0022】
熱的に活性化されるホイール中で、再生空気流は、一般的には、乾燥剤の選択、プロセス領域と再活性化領域との間の領域区分、ベッドの回転速度などを含むがこれらには限定されないさまざまな要因によって60℃から200℃の間の範囲の温度に高められる。これらの熱的に活性化されたホイールは「深い」除湿を達成するのに役立ち、今までのところ、ハニカムマトリックスベースの乾燥剤ホイールの全ての開発は、通常10〜50グレイン/ポンド(1.5〜7g/kg)の間、又はそれ未満である空気吸い込み条件において湿気除去を最大化することに集中してきたが、時々、環境湿度と同じ高さであり得る。乾燥剤で被覆された又は乾燥剤を含浸したホイールもこの熱的に活性化されるホイールの用途に対して適用/使用されてきたが、大部分は乾燥剤が「インシチュー」で合成されるハニカムマトリックスの開発及び用途及び使用であった。
【0023】
すべてのこれら「インシチュー」で合成される乾燥剤ホイールの開発において、その焦点は「深い除湿」を得るために乾燥剤細孔の大きさを最小化すること及びその表面(細孔)の面積を最大化/最適化することであった。「インシチュー」で生成されたかかる乾燥剤は、しばしばタイプI乾燥剤と称され、タイプI乾燥剤において細孔の大きさの大部分が15から40Åの間に分布しており、より具体的には20Åに近い。これらは図5(c)に示されているタイプI等温線を有している。
【0024】
米国特許第4886769号はRH>10%において約10%の示差吸着を有するミクロ孔性の除湿機素子を製造する方法に関する。前記特許は水ガラスの水溶液中に分散した合成ゼオライト粉末を使用することによって得られる超低濃度ガスを吸着するための素子(十分な物理的強度を有する)を開示している。
【0025】
米国特許第4911775号はRH>90%おいて40〜45%に限定される吸着能を有するハニカムタイプの除湿用素子を製造する方法に関する。
【0026】
米国特許第4871607号は100℃以上の温度で劣化の可能性のない優れた耐熱性を有する湿度交換器素子に関する。この湿度交換器は限定された吸着能を有する。
【0027】
米国特許第5254195号は基材の表面に置く吸着剤の量が基材に金属塩及び酸に加えてコロイド状シリカを含浸することによって増加する水分交換素子を調製するためのプロセスに関する。
【0028】
米国特許第5435958号は、ハニカムマトリックスが前記ケイ酸ナトリウム水ガラスをチタン含有ケイ酸塩ヒドロゲルに転化するために少なくともチタン無機塩を含有する酸性溶液中に浸漬される湿度交換素子を製造するためのプロセスを開示している。これは改良された水分吸着能を有する湿度交換素子をもたらし、該マトリックスを再生するために要するエネルギーがより少ない。
【0029】
米国特許第5683532号は高効率の除湿及び狭い導管内のガスの小さい通過抵抗を有する除湿のための活性シリカゲルハニカム吸着体を製造する方法に関する。そのハニカム構造体は紙中の有機化合物を除去するために還元酸素を含有する空気により500℃で焼成される。
【0030】
米国特許第6187381号は、ハニカムをシリカゾル中に浸し乾燥し、続いてケイ酸アルカリ(20〜35重量%)及び水酸化アルカリ(20〜50重量%)中に浸す除湿用素子を製造するためのプロセスを開示している。酸化ケイ素対酸化アルカリの比率は10を超えるべきでない。前記特許において90%RHにおける吸湿は16.5%のみである。
【0031】
米国特許第6344073号は除湿用素子及びそれを調製するためのプロセスに関する。その除湿用物質はシリカゲル及び金属酸化物を含む。この除湿用素子は主として中くらいの湿度条件において利用することができる。
【0032】
米国特許第6630206号は分子篩を水ガラス溶液中に浸す除湿用素子を製造するための方法を開示している。50〜100%RH間の示差水吸着は40%未満である。
【0033】
かくして、先行技術は除湿のためにミクロ孔性乾燥剤を含むハニカムマトリックスを主として用いることが分かる。かかる乾燥剤はそれが水分を吸着するためのより大きな表面積を提供する利点を有するが、小さい細孔容積であるという欠点が悩みであり、それ故これまで乾燥剤除湿の中心であった中くらい〜低い湿度条件においてのみ利用することができる。
【0034】
さらに、先行技術における除湿システムはいずれも50〜100%相対湿度間で高い吸湿能を提供しない。実際に、全ての上記特許の50〜100%相対湿度間の示差水吸着(能)は、40%未満の量である。
【0035】
「受動的」除湿ホイールが使用された構成を示すいくつかの先行技術においては、乾燥剤が被覆又は含浸によって基材に置かれている。しかしながら、前記除湿ホイールはバインダーが含浸及び被覆のために必須であり、これによって乾燥剤の性能を隠すことによりホイールの効果を低下させるという欠点が悩みである。さらに、乾燥剤が飽和空気と遭遇した場合、その乾燥剤が時間と共に洗い流される傾向がある。
【0036】
水蒸気以外の処理すべき空気、特に外気は、いくつかのガス状汚染物質、例えばVOC、臭気等を含有し得、これらを乾燥剤マトリックスにより除去することが望ましい。処理すべき空気は、特にそれが飽和近くまで予備冷却されている場合、かかるガス状汚染物質は、水溶性であることがあり、主として毛細管吸着によってマクロ孔性乾燥剤中で一緒に液化される。先行技術においては限定された毛細管吸着を示し、それ故ガス状汚染物質の限定された吸着示すミクロ孔性乾燥剤が主として使用される。
【0037】
したがって、先行技術において遭遇する問題を克服するため、本発明の発明者らは本明細書において以下に記載されているような「受動的」/「能動的」除湿において使用するための、そしてまた薬液用フィルターとして使用するための、「インシチュー」で調製されたマクロ孔性乾燥剤を含むハニカムマトリックスを提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
本発明の主たる目的は50%及び100%の相対湿度において50%を超え、少なくとも40%の「示差」吸着(能)を有するハニカムマトリックスを提供することである。
【0039】
本発明のさらなる目的はハニカムマトリックスを提供することであり、それは、吸着剤の吸着能を増すため及び飽和近く又は飽和状態即ち90〜100%の非常に高い相対湿度における使用のため、「インシチュー」で調製されマクロ孔性乾燥剤を含む。
【0040】
さらに、本発明の目的は通常の(熱的に活性化された)再生温度で無臭、無毒及び安定な高い吸着能の乾燥剤マトリックスを提供することである。
【0041】
本発明の別の目的は非常に高い相対湿度(RH)/即ち飽和状態近くで最高の保水能を有する「受動的」乾燥剤ホイールを提供することである。
【0042】
さらに別の目的は、化学吸着に対して、所与の物理的大きさ及び形状に対して最大量の含浸化学物質を伴い、所与の圧力低下に対して空気収容能を有する薬液用フィルターを提供することである。
【0043】
本発明のさらに別の目的はコスト効率のよいハニカムマトリックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0044】
本発明はハニカムマトリックスを提供し、それは「インシチュー」で合成されたマクロ孔性乾燥剤を含む。その乾燥剤は、50%及び100%の相対湿度において50%を超えるか又は少なくとも40%の示差水吸着、40〜約200Åの範囲の孔経及び約0.40から約0.80g/ccの細孔容積を有する。
【0045】
さらに、本発明はハニカムマトリックスの調製のためのプロセスを提供し、ハニカムマトリックスは「インシチュー」で調製されたマクロ孔性乾燥剤を含む。このプロセスは、
i.水ガラス溶液を含浸した基材からブロック/シリンダー又はいくつかのその他の形状のハニカムマトリックスを調製するステップ;
(該基材はさまざまな無機若しくは有機物質又はそれらの組合せの混合物から作製される。該基材は繊維又はパルプであり得る。該無機繊維は、ガラス繊維、セラミックなどから選択され、好ましくは、約6〜約18ミクロンの繊維直径、約6〜約15mmの繊維長さ、及び約0.10〜約0.50mm、好ましくは0.15〜0.25mmの厚さを有するガラス繊維である。その繊維ガラスのバインダー含量は6〜20、好ましくは6〜10%の範囲であり、該プロセスで使用される基材の基本重量は20〜80gsm、より好ましくは20〜45gsmである。該繊維ガラス基材の気孔率は0.5インチの水において約350〜約500cfm/ftの範囲、好ましくは0.5インチの水において約400cfm/ft超である。)
ii.水ガラスを含浸したハニカム基材を、4〜25重量%の水性金属塩溶液若しくは酸溶液、又はそれらの組合せの中に、10〜80℃の温度でヒドロゲルハニカムマトリックスが得られる時間まで浸漬するステップ;及び、
(該ブロック/シリンダー又はいくつかのその他の形状のハニカムマトリックスは塩溶液若しくは酸溶液、又はそれらの組合せの中に場合によって浸漬される。その上に、水ガラス溶液の濃度は、波型にする前に含浸された紙の適切な状態を得るために15から40%、好ましくは30%、より好ましくは25%に維持される。該水溶性ケイ酸塩は中性グレードのケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムから好ましくは選択される。シングルフェーサーを次々に接着させるために、積み重ね又は巻き取りの前に、中性グレードのケイ酸ナトリウム等の接着剤を適用することが好ましいが、これを達成するためにいくつかの既知のステップ及び技術が存在する。)
iii.前記ヒドロゲルハニカムマトリックスを熱的に活性化するステップ、
を含む。
【0046】
該熱的活性化は約60℃から約150℃、好ましくは140℃の温度で行われる。該ヒドロゲルハニカムマトリックスは熱的活性化の前に場合によって洗浄してもよい。
【0047】
薬液用フィルターは任意の従来の技術によりハニカムマトリックスを使用して調製することができる。
【0048】
酸化剤、アルカリ溶液及び弱酸溶液を含浸した本発明のマクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックスを含む薬液用フェルターは空気の浄化のために使用されている。前記薬液用フェルターは、「受動的なホイール」をさらに組み込むことができるHVAC用途、空気処理装置において乾燥剤ホイール除湿機とともに使用されてもよい。
【0049】
ハニカムマトリックスを含む乾燥剤ホイール除湿機であって、ハニカムマトリックスは「インシチュー」で調製されたマクロ孔性乾燥剤を有し、乾燥剤の「示差」吸着(能)が50及び100%の相対湿度において50%を超えるか又は少なくとも40%であり、孔径が約40〜約200Åであり、細孔容積が約0.40〜約0.80g/ccである、乾燥剤ホイール除湿機。前記乾燥剤ホイールはHVAC用途における除湿機中の「能動的」/「受動的」ホイールとして使用され得る。
【0050】
本発明は次に添付図面を参照して論じられる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1(a)】典型的な熱的に活性化されたミクロ孔性乾燥剤除湿ホイール/ローターの機能を描いている図である。
【図1(b)】回転する乾燥剤ホイールの典型的な領域区分を描いている図である。
【図2(a)】典型的な「受動的」なマクロ孔性乾燥剤除湿ホイール/ローターの機能を描いている図である。
【図2(b)】「受動的」な回転する乾燥剤ホイールの典型的な領域区分を描いている図である。
【図3(a)】熱交換器を備えた典型的な熱的に活性化されたマクロ孔性乾燥剤除湿ホイール/ローターを描いている図である。
【図3(b).3c】図3aの乾燥剤ホイールの典型的な領域区分を描いている図である。
【図4(a−d)】「インシチュー」で合成した紙、シングルフェーサー、シングルフェーサーの巻き取り、及びハニカムマトリックスを描いている図である。
【図5a】典型的な等温線のBrunauer分類を描いている図である。
【図5(b)】いくつかの実験のシリカゲルの吸着についての等温線及び構造特性を描いている図である。
【図5(c)】ミクロ孔性乾燥剤の典型的なタイプI等温線を描いている図である。
【図5(d)】マクロ孔性乾燥剤の典型的なタイプII及びIII等温線を描いている図である。
【図6(a)】マクロ孔性乾燥剤を含むハニカムマトリックスについての等温線を描いている図である。
【図6(b)】先行技術を本発明のそれと区別する等温線を描いている図である。
【図7(a−c)】マクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックスを含む薬液用フィルターを描いている図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明は新たなタイプII/IIIの乾燥剤の、ハニカムの基材の孔における「インシチュー」での合成及び生成を提供する。生成される乾燥剤ホイールマトリックスは50%相対湿度における保水能及び100%RHにおける保水能の間で最大の差が達成されるというものである。市販されているかかるタイプII、III乾燥剤に対する等温線は図5(d)に示されている。十分な原動力又は蒸気圧の差を生み出すために、容水量、即ち水分対乾燥剤の重量比におけるこの差は少なくとも40%であるべきであるが、好ましくは図6(a)に示されているように50%以上であるべきである。本発明の実施形態の1つにおいてはこの水のパーセンテージは100%の相対湿度において60%より大きい。
【0053】
本発明の目的のための除湿機用乾燥剤ホイールは「受動的」又は「能動的」乾燥剤ホイールを含むことが意図されている。
【0054】
ハニカムマトリックスの再生又は再活性化のための加熱された空気又は流体を使用しない図2(a)に描かれているような「受動的」ホイールにおいては、乾燥剤マトリックスから水分を追い出すための原動力が生み出され得ない限りは乾燥剤ホイールを再生する手段が限られている。再生中、この「受動的」乾燥剤ホイールは、それ故、この原動力を得られるようにするか最大化するようにホイールを適用する方法に依存しなければならない。一般的には、現在のところこの「受動的」ホイールを適用している方法において、そのホイールマトリックスのプロセス側は飽和した流体の流れ即ち100%相対湿度に曝される。このホイールを再生するためには、一般的には部屋の排気であり、一般的に50%の相対湿度である流体/空気が使用される。故にこの原動力は、乾燥剤が飽和し、再生のために50%の相対湿度を有する空気によって包囲されたときの相対湿度の差によって得られ、生み出される蒸気圧の差である。「受動的」ホイールは再生のための高温又は昇温を経験しないので、市販されているタイプII又はIII乾燥剤は、これらの乾燥剤でホイールマトリックスの基材を被覆するか又はこれらの乾燥剤をホイールマトリックスの基材に含浸するかのいずれかによって今までのところ使用されている。しかしながら、かかる乾燥剤をホイールマトリックスの基材の孔中で「インシチュー」で合成及び生成させることは未知であり、挑戦的であり、尚且つ非常に必要な要件である。図5(c〜d)に示されているのはタイプI及びタイプII/III物質の等温線である。見られるようにタイプI乾燥剤はかかる乾燥剤が使用される50代中ほど以下の相対湿度において十分なかなりの容水量を有する。一方で、タイプII/III乾燥剤は90〜100%飽和/相対湿度即ち飽和〜飽和近くのレベルにおいて非常に高い容水量を有する。
【0055】
除湿ホイールに対する用途を増し、区別する別の領域は、大部分の水が、冷却剤又はチルされた流体が供給される熱交換器の助けにより最初に除去され、それに続いて空気が飽和され、即ち100%相対湿度になり、その後除湿ホイールに入る場合である。かかるホイールに対する用途はしばしば再生空気回路中の熱的活性化を必要とすると同時に、該マトリックス中で合成された乾燥剤が、かかる飽和状態において最大の湿気除去を伴って機能するために必要となる。「インシチュー」で合成されたタイプI乾燥剤を有する全ての現在利用できる乾燥剤除湿ホイールは飽和した吸い込み条件に曝されたとき、これらは主としてミクロ孔性乾燥剤マトリックスであるので限界のある性能即ち湿気除去を示す。「インシチュー」で合成されたマクロ孔性タイプII/III乾燥剤を有するハニカムマトリックスは、飽和供給空気によるかかる用途に対して、市場で現在入手できるミクロ孔性タイプI乾燥剤ホイールと比較して約10%多い湿気除去を示す。その結果として、これは除去される同じ量の水分に対して大きな10%の省エネ、即ちエネルギー消費量の節約となり、これは熱的に活性化され飽和した「処理空気」に曝される乾燥剤ハニカムマトリックスに対する重大な進歩である。
【0056】
基材中又はその周辺で合成された「インシチュー」のシリカゲル/金属ケイ酸塩による現在市場で入手できるハニカムタイプのホイールは5〜100%の相対湿度を有する空気流からの良好な湿気除去を示す。上記の乾燥剤マトリックスの開発において、その目的は高度の表面積を有し10%RHにおける7〜9%から90%RHにおける35〜40%の範囲である水分平衡を有するミクロ孔性乾燥剤に焦点が合わされている。上記のミクロ孔性乾燥剤は、目標が表面積を最大化することであるので細孔容積においては限定されている。上記のミクロ孔性乾燥剤は約18〜25Åの平均の細孔の大きさを有する。
【0057】
既刊文献中にはミクロ孔性物質、マクロ孔性物質、メソ孔物質の細孔の大きさの範囲を区別するいくつかの定義が存在するが、細孔の大きさの増大、より具体的には、細孔容積の増大、及び90%RHにおける増大した容水量は全て、一般にタイプII及びIII等温線のマクロ孔性又はメソ孔性物質を示している。
【0058】
乾燥剤除湿ホイールは、これまで数年前までは、主として熱的に活性化されてきた。熱的に活性化させるため、目的は広範囲の吸い込み湿度条件にわたって湿気除去の性能を最大化することであった。これは最大/最適な表面積を提供し、一般に18から25オングストロームの間の細孔分布を有するミクロ孔タイプの乾燥剤により典型的には達成される。
【0059】
先行技術においては最大の水蒸気が最初に予備冷却によって除去され、その後「処理空気」が乾燥剤除湿機ホイールを通して供給される漸増的なシステム設計の用途が存在した。かかる場合、該乾燥剤ホイールはそのホイールのプロセス部分に入る飽和(100%RH)空気を常に経験する。これによって、入ってくる空気が飽和又は飽和に近い即ち>90%の相対湿度を有する場合、高い湿気除去ポテンシャルを有する乾燥剤ハニカムマトリックスを生み出す必要性と機会とがもたらされる。>90%RHにおける最高の湿気除去は、一般に入手可能であり高い湿度での用途も含めた全体の広域に対して適用されてきたミクロ孔物質とは対照的に、100%RHにおいて高い容水量(>60%)を有するべきであるマクロ孔性マトリックスを一般的には必要とする。
【0060】
ここ数年、システム設計は、再活性化の外部の熱/加熱を必要としない「受動的」除湿ホイールを使用して構成されている。かかるシステムは除湿ホイールに入る飽和に近い空気を常に経験する。
【0061】
本発明はハニカムマトリックスを提供し、それは「インシチュー」で調製されたマクロ孔性乾燥剤を含み、前記乾燥剤が50%及び100%の相対湿度において50%を超えるか又は少なくとも40%の示差吸着、約40〜約200Åの孔径及び約0.40〜約0.80g/ccの細孔容積を有する。
【0062】
前記マクロ孔性乾燥剤を用いる「受動的」乾燥剤ホイールは高いRH/飽和状態近くにおいて最高の保水能を有する。
【0063】
さらに本発明はハニカムマトリックスの調製のためのプロセスを提供し、ハニカムマトリックスは「インシチュー」で調製されたマクロ孔性乾燥剤を含む。
【0064】
「インシチュー」で調製されたマクロ孔性乾燥剤を含むハニカムマトリックスの調製のためのプロセスは、
・水ガラスを含浸したハニカム基材を、4〜25重量%の水性金属塩溶液若しくは酸溶液、又はそれらの組合せの中に、10〜80℃の温度でヒドロゲルハニカムマトリックスが得られる時間まで浸漬するステップ、及び、
・マクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックスを製造するために前記ヒドロゲルハニカムマトリックスを熱的に活性化するステップ、
を含む。
【0065】
該ヒドロゲルハニカムマトリックスを、該熱的活性化ステップの前に場合によって洗浄してもよい。
【0066】
マクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックスは0.8〜5mm、好ましくは1.0〜2.5mmの波高を有する、基材の孔の中に合成された活性乾燥剤の平坦及び波型のシートを含む。この基材はガラス繊維、クラフト紙、セラミックペーパー等の有機又は無機基材であり得る。
【0067】
本発明の1つの実施形態において、乾燥剤ベースのハニカムマトリックスに使用される基材は6〜18ミクロンの繊維直径、6〜15mmの繊維長さ及び0.1〜0.5mm、好ましくは0.15〜0.25mmの厚さを有する高度に多孔性の物質であるガラス繊維基材である。前記マトリックスで使用されるガラス繊維基材のバインダー含量は6〜20%の間、好ましくは6〜10%であり、前記バインダーは好ましくはポリビニルアルコールである。熱的加熱/再生にかけるとき、この低いバインダー含量を有する無機繊維基材を使用するマクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックスはまた環境に優しい。
【0068】
該プロセスで使用される基材の基本重量は20〜80gsm、より好ましくは25〜45gsmである。該プロセスで使用される多孔性の基材のその他の非常に重要な特性は0.5インチの水において350〜500、好ましくは400cfm/ft超であるべき気孔率である。平坦部及び波型用のシートは波型にする前の含浸された紙の正しい状態を得るために所望の濃度の水ガラス溶液を最初に通過させる。該マトリックスは、二価若しくは三価の水性金属塩又は任意の強/弱酸により、マトリックスが無機/有機又はそれらの組合せであるにせよ、処理される。弱酸の例はリン酸及び酢酸であり、一方強酸はフッ化水素酸、塩酸、硫酸、硝酸などから選択され得る。水ガラスの場合、ケイ酸カリウム及びケイ酸ナトリウムが一般に使用される。しかしながら、ケイ酸ナトリウムが、その低コスト、副生成物の高い溶解性、より良好な接着強度及び入手が容易なことにより好ましい。該マトリックスを塩で処理することはそれを非常に可水洗性にすることが観察される。
【0069】
波型シートは当技術分野で周知の方法によって製造される。
【0070】
ブロック又はシリンダーの形のいずれかで上記のように製造されたハニカムマトリックスはいろいろな割合の水溶性金属塩(単数/複数)及びケイ酸塩ヒドロゲルを製造するためのその他の形の溶液中に浸漬される。不溶性金属ケイ酸塩ヒドロゲルを形成するための水ガラスケイ酸塩と金属塩との間の反応は下の表に示されている:
【化1】

【0071】
ゲルマトリックスの洗浄は活性物質の合成の間に形成された副生成物及び過剰の反応物を除去するために絶対不可欠である。過剰の反応物の存在によるゲルマトリックスのより高い酸性度又はより低いpHはそのシステムで使用される構成物質を劣化させる。該プロセスで使用されるマトリックスのゲル化pH又は反応物(単数/複数)の濃度、温度、反応時間は活性物質の特性、例えば細孔の大きさ、気孔率、細孔容積及び表面積などを変化させる。下の表3はさまざまな濃度の塩/酸又は塩及び酸溶液において製造された活性物質(高湿度等温線の)の特性を示している。
【0072】
前記素子は該ヒドロゲルをエアロゲルに転化するために特定条件下でさらに乾燥させた。ケイ酸塩のタイプ、塩のタイプそのpH、濃度、温度及びゲルがエージングされる又は別の方法で処理される間の時間が、孔径、細孔容積、表面積、吸着能などのゲル特性に大きく影響することが見出されている。ゲル特性に影響を及ぼすその他の重要な要因は塩含量及び液状媒体の表面張力であり、これはなぜならその媒体はゲルの孔から蒸発していくためである。
【0073】
先行技術のハニカムマトリックスの本発明によるハニカムマトリックスに対する特性の比較を下に示す。
【表0】

【0074】
薬液用フィルターを製造するために、さまざまな温度でさまざまな浸漬時間にわたって前記生成エアロゲルをさまざまな濃度の酸化剤溶液、アルカリ溶液及び弱酸溶液に浸す/このエアロゲルにこれらの溶液を含浸する。そのハニカムに十分に溶液を含浸した時点で過剰の含浸を流出させ、濃度を再調節した後別の容器に保持する。
【0075】
完全な含浸のために要する時間は吸着剤の構造、温度及びその他の要因によって変化する。そのハニカム物質は次にオーブンに入れ、遊離の水分又は水が含浸剤をハニカムケイ酸塩エアロゲル物質の孔中に残して一定限度までマトリックスから蒸発又は追い出されるまで加熱する。
【0076】
ハニカム物質の乾燥の温度範囲は60℃〜140℃範囲内であることが好ましい。加熱中の曝露時間は物質の質と量、加熱効率及びその他の要因により変化する。調製後該ハニカムマトリックスに含浸剤を含浸し、該ハニカムマトリックスは使える状態まで保存される。
【0077】
実験において使用される含浸剤はカリウム又はナトリウムの過マンガン酸塩、ナトリウム又はカリウムの水酸化物及びリン酸等の弱酸である。含浸剤の充填はさまざまな要因、例えば乾燥剤のタイプ、含浸剤の濃度、浸漬時間、温度、ディップの回数などに依存する。
【0078】
下記の表は含浸剤(単数/複数)(過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウム)の充填のパーセンテージ及び含浸されるハニカム乾燥剤ベースのマトリックスの吸着能に影響を及ぼす要因の詳細を示している。
【表A−D】

【0079】
活性物質の濃度、浸漬時間、溶液温度、連続ディッピング、及び表面性質は充填及び吸着という二重の目的を達成するのに重要な役割を果たす。前記目的は、マクロ孔性乾燥剤のみを用いて、15〜120分の範囲、より好ましくは15分の浸漬時間で、10〜80℃において、より好ましくは50℃において、浸漬溶液の濃度が5〜15%、最も好ましくは10〜12%の範囲である場合に好ましくは達成される。
【0080】
アルカリ、好ましくはナトリウム若しくはカリウムの水酸化物又は酸、好ましくはリン酸に複合型乾燥剤マクロ孔性乾燥剤(不溶性金属ケイ酸塩及び活性炭酸)を含浸する方法が本明細書に記載されている。
【0081】
酸又はアルカリを含浸した薬液用フィルターを調製するため、活性炭のスラリーを水ガラス溶液中で調製し、ハニカムマトリックスをブロック又はシリンダーの形で巻き取る。水ガラス及び活性炭で担持された前記ハニカムマトリックスは説明されているように酸又は塩基により処理される。
【0082】
高いCTC吸着能を有する最大の充填を得るために、乾燥剤(複合型)担持ハニカムマトリックスに、さまざまな濃度の含浸剤を、例えば、過マンガン酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸等を、KMnOの場合は好ましくは4〜15%の範囲、より好ましくは10%、アルカリの場合は4%、そしてリン酸の場合は6%で、さまざまな温度、より好ましくは周囲温度で、10から60分のさまざまな浸漬時間、より好ましくは15分間にわたって含浸する。
【0083】
本発明の乾燥剤は「受動的」な除湿ホイール中「インシチュー」で調製される。かかる除湿ホイールは先行技術と比較してRH>50%においてより高い吸着率を有する。乾燥剤についての50〜100%相対湿度間の示差吸着は図6(a)に示されているように少なくとも40%である。
【0084】
「受動的」な除湿」様式、及び高湿度(HH)で熱的に活性化された様式におけるマクロ孔マトリックスの利点及び性能の改良は十分な証拠書類がある試験データからはっきりと認識される。全ての試験はミクロ孔乾燥剤マトリックスと比較し、比較ベースで行われている。
【0085】
試験は本発明のマクロ孔(G3MA)と先行技術のミクロ孔(G3MH)との間の性能比較をもたらすために行われた。
【表1】

【0086】
表2及び3は乾燥剤の吸着について20%及び40%のそれぞれ中くらい及び高い湿度における示差吸着を示している。本発明の除湿機についての50〜100%RH間の示差吸着は50%より多いことが表4から分かる。
【表2】


【表3】

【0087】
HVAC及び空気処理において、薬液用フィルターは粒子フィルターに加えて一般的に適用される。薬液用フィルターはハニカムマトリックスを用い、任意の従来技術によって調製することができる。前記フィルターは化学吸着の原理を用いる。薬液用フィルターにおいてはガスはそれらが薬液用フィルターを通過するときに「フィルターにかけられ」、「一掃される」。このガスの「洗浄」は(汚染)ガス分子が薬液用フィルター内の「化学物質」と反応するときに分子レベルで起こる。この反応は化学吸着と呼ばれる。この薬液用フィルター中/上の化学物質は、この反応によって一掃されるガスと反応するために時間が経つと消費される。目的は、それ故、薬液用フィルターが反応に対して、所与の物理的大きさ及び形状に対して最大量の化学物質、並びに所与の圧力低下に対して最大量の空気収容能を有することである。
【0088】
試験はマクロ孔性乾燥剤マトリックスが%「充填」含量を増すことで同一のタイプのミクロ孔性乾燥剤マトリックスと比較して2〜3倍優れた特性を示すことを示している。
【0089】
水蒸気以外の吸着質も本発明のマクロ孔性乾燥剤中に吸着させることができ、さまざまなガス、臭気成分、揮発性有機化合物等が挙げられる。これらの吸着質/汚染物質は本発明のマクロ孔性物質による主として毛細管吸着によって吸着され、実質的及び定常的に該乾燥剤ホイールマトリックスの再生側で脱着され、それによって汚染物質を供給空気流から除去する強い能力を発揮する。
【0090】
したがって、マクロ孔性乾燥剤を有するハニカムマトリックスはガス状汚染物質を吸着する利点を有しており、その現象はそのガス状汚染物質がハニカムマトリックスを通過して供給の流れの中への入るのを実質的に制限する。
【0091】
本発明の1つの実施形態において、該マクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックスはそれを抗菌剤、例えばチタン又は銀或いはそれらの塩などによって処理することによって殺菌性にされる。
【0092】
さらなる実施形態は「受動的」/「能動的」ホイール及び「受動的」/「能動的」ホイール除湿機を提供し、除湿機は「インシチュー」で調製されたマクロ孔性乾燥剤を有するハニカムマトリックスを含み、乾燥剤の示差吸着(能)が50及び100%の相対湿度において50%を超えるか又は少なくとも40%であり、孔径が約40〜約200Åであり、細孔容積が約0.40〜約0.80g/ccである。
【0093】
本発明のさらに別の実施形態において、該マクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックスは可水洗性である。
【0094】
尚も別の実施形態において、本発明は上記のようなハニカムマトリックスベースのマクロ孔性乾燥剤を含むHVAC用途における「受動的」ホイール除湿機を提供する。
【実施例】
【0095】
1.15%のポリビニルアルコールバインダー含量を有するガラス繊維基材を20%のケイ酸ナトリウム溶液中に浸し、波型にする前に60〜80℃の温度で乾燥させる。その基材を2つの同様の基材を接着させながらシングルフェーサーを形成し、前記シングルフェーサーを次に丸いハニカムマトリックスに変える。前記マトリックスはその後70℃の温度の15%硫酸アルミニウム溶液浴中で40分間処理する。ヒドロゲルがそのマトリックス中で形成された後、前記マトリックスを水洗浄し、次いで60℃の温度で1時間乾燥し、次に120℃の温度で熱的に活性化する。
【0096】
2.12%のポリビニルアルコールバインダー含量を有するガラス繊維基材を25%のケイ酸ナトリウム溶液中に浸し、波型にする前に80〜100℃の温度で乾燥させる。その基材を2つの同様の基材を接着させながらシングルフェーサーを形成し、前記シングルフェーサーを次にブロックハニカムマトリックスに変える。前記マトリックスはその後70℃の温度の6%リン酸浴中で25分間処理する。ヒドロゲルがそのマトリックス中で形成された後、前記マトリックスを水洗浄し、次いで80℃の温度で2時間乾燥し、次に140℃の温度で熱的に活性化する。
【0097】
上記のさまざまな実施形態はさらなる実施形態を提供するために組み合わせることができる。本明細書中に参照されている全ての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許出版物は、それらの全てが参照により本明細書に組み込まれる。実施形態の態様は、その上さらなる実施形態を提供するためにさまざまな特許、出願及び出版物の概念を採用する必要がある場合には修正することができる。
【0098】
システム及び方法の開示は添付の図面及び実施例中に示されている本開示の実施形態と関連して記載されているが、それらに限定されない。さまざまな置き換え、修正及び変更が本開示の範囲及び精神から逸脱することなくそこになされ得ることは当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックスであって、それは「インシチュー(in−situ)」で合成されたマクロ孔性乾燥剤を含み、前記乾燥剤が50%及び100%の相対湿度において50%を超えるか又は少なくとも40%の示差水吸着、40〜約200Åの範囲の孔経及び約0.40〜約0.80g/ccの細孔容積を有する、マクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックス。
【請求項2】
前記水吸着が100%の相対湿度において60%より大きい、請求項1に記載のマクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックス。
【請求項3】
前記乾燥剤がタイプI、タイプII、タイプIII及びタイプIV等温線を示す、請求項1に記載のマクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックス。
【請求項4】
基材を含む、請求項1に記載のマクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックス。
【請求項5】
前記基材が無機、有機基材又はそれらの組合せである、請求項4に記載のマクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックス。
【請求項6】
前記基材が繊維又はパルプである、請求項5に記載のマクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックス。
【請求項7】
マクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックスの「インシチュー」調製のためのプロセスであって、
i.水ガラスを含浸したハニカム基材を、4〜25重量%の水性金属塩溶液若しくは酸溶液、又はそれらの組合せの中に、10〜80℃の温度でヒドロゲルハニカムマトリックスが得られる時間まで浸漬するステップ、及び、
ii.前記ヒドロゲルハニカムマトリックスを熱的に活性化して、マクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックスを製造する、ステップ、
を含む上記プロセス。
【請求項8】
前記ヒドロゲルハニカムマトリックスがステップ(i)を行った後で場合によって洗浄される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記塩溶液が三価塩溶液である、請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
前記三価塩が硫酸アルミニウムである、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記酸溶液が弱酸溶液である、請求項7に記載のプロセス。
【請求項12】
弱酸がリン酸である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ハニカムマトリックスが有機、無機基材又はそれらの組合せで構成されている、請求項7に記載のプロセス。
【請求項14】
前記基材が繊維又はパルプである、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
水ガラスが中性グレードのケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウムから選択される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項16】
ヒドロゲルハニカムマトリックスを得るために前記ハニカムマトリックスが約15〜120分間浸漬される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項17】
熱的活性化が約60℃〜約200℃、好ましくは140℃の温度で行われる、請求項7に記載のプロセス。
【請求項18】
薬液用フィルターとして使用されるときの、薬液用フィルターとしての、マクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックスの使用であって、前記ハニカムマトリックスは「インシチュー」で合成されたマクロ孔性乾燥剤を含み、前記ホニカムマトリックスは50及び100%の相対湿度において50%を超えるか又は少なくとも40%の示差吸着(能)を有し、乾燥剤が約40〜約200Åの孔径及び約0.4〜0.8g/ccの細孔容積を有することを特徴とする、
使用。
【請求項19】
給気流からの、ガス、臭気成分又は揮発性有機化合物を含む汚染物質の除去において使用するためのマクロ孔性乾燥剤ベースのハニカムマトリックス。
【請求項20】
ハニカムマトリックスを含む乾燥剤ホイール除湿機であって、ハニカムマトリックスは「インシチュー」で合成されたマクロ孔性乾燥剤を含み、乾燥剤は示差吸着(能)が50及び100%の相対湿度において50%を超えるか又は少なくとも40%であり、乾燥剤が約40〜約200Åの孔径及び約0.4〜0.8g/ccの細孔容積を有することを特徴とする、
乾燥剤ホイール除湿機。
【請求項21】
請求項18に記載の薬液用フィルターを含む乾燥剤ホイール除湿機。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図3(a)】
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【図3(b)−3c】
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【図4(a−d)】
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【図5a】
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【図5(b)】
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【図5(c)】
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【図5(d)】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7(a−c)】
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【公表番号】特表2013−507249(P2013−507249A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533741(P2012−533741)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【国際出願番号】PCT/IN2010/000675
【国際公開番号】WO2011/045814
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(512096551)デシカント ローターズ インターナショナル ピーヴィティー. リミテッド (1)
【Fターム(参考)】