説明

マグネシウム利用によるウッドチップ舗装

【課題】安全な素材でウッドチップ舗装材を製造する。また、使用後や補修時に産業廃棄物としての破棄が不要なものにしてゴミを減らす。さらに、ウッドチップ自体を腐りにくくし、崩壊しにくい構造体を作る。
【解決手段】海水抽出のマグネシウム、土、砂、ウッドチップ水だけを利用することにより、無害で安全な、自然の状態に近いウッドチップ舗装を作る。また、針葉樹の使用と可能な限り少ない樹種の使用により分解ギャップを最小限にし、内部崩壊のリスクを抑えるとともに、マグネシウムのアルカリ成分により、ウッドチップの腐食を遅らせ、舗装の心材の構造を長持ちさせる。さらに、粒子の細かい砂により重量を上げて硬化の強度を出し、粒子の細かい土により、ウッドチップとその他の舗装資材の接する面を増やし、接着強度を向上させる。あわせて、ペースト状のウッドチップ舗装材を作成し、補修時に破損箇所が大きくなる前に補修することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
マグネシウム利用の舗装材の製造技術、材料混合比と防腐効果の発揮に関するものである。
【背景技術】
【0002】
吸水が良く、含水率が高いウッドチップ舗装を施すことにより、ぬかるみや泥はね、雑草対策になるが、そればかりでなく、アスファルト舗装と比較して、15〜30℃程度の表面温度の低下と蒸発による周囲の温度低下の効果は、ヒートアイランド現象の抑制になると期待されている。
【0003】
ウッドチップによる舗装材は、樹脂等を利用した硬化方法で使用され、遊歩道や運動場等の実用に供されている。
実用のウッドチップ舗装では、樹種を問わず、ウッドチップの作成方法にもこだわらず、廃棄後のことを考慮せずに使用されているものが大半であるが、短い年数であれば、見栄えを良く施工することが可能であり、実用上充分であった。
【0004】
しかし、従来のウッドチップの凝固方法では、自然に近い状態に戻すことができず、使用後や補修時に取り除いた舗装材を産業廃棄物として、処理するより他なかった。
また、樹種を問わず、化学物質により強制的に硬化させる方法では、心材となるウッドチップの品質を保つことが出来ず、内側から崩壊してしまう難点があった。
図1は、針葉樹のなるべく少ない樹種に限定することにより、分解による崩壊を起こしにくくしたウッドチップの形状を示すものである。
さらに、従来のウッドチップ舗装では、補修方法にしても、舗装設備の運搬の煩雑さなどにより、最小限の個所を補修することは難しいという欠点があった。
【0005】
遊歩道や運動場などの快適な歩行を目的とした舗装技術として、補修時の廃棄費用と内部崩壊は、大きな障害であり、耐久性と言う面においても、廃棄後の地球環境への影響と言う面においても、大きな課題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−075394号公報
【特許文献2】特開2006−125124号公報
【特許文献3】特開2003−301404号公報
【特許文献4】特開2003−034904号公報
【特許文献5】特開2002−256509号公報
【特許文献6】特開2002−194707号公報
【特許文献7】特開平11−256508号公報
【特許文献8】特開平11−093103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ウッドチップ舗装材の成分を、使用後や補修時に破棄が必要でないものにする。また、ウッドチップ自体を腐りにくくし、崩壊しにくい構造体を作る必要がある。
補修に関しても、破損箇所が大きくなる前に補修できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
畑の土壌改良に肥料として、使用するマグネシウムを使用して凝固することにより、自然に近い状態に戻すことが出来るウッドチップ舗装材を製造する。
また、マグネシウム内のアルカリ成分により、ウッドチップの分解速度自体を遅らせ、構造体としての強度を長持ちさせる。
さらに、樹種を限定することにより、均一な分解速度を保持することで、心材のギャップを最低限にし、内部崩壊を抑える。
補修に関しても、ペースト状の補修材の製造が可能であるため、破損箇所が大きくなる前に補修することが可能である。
【発明の効果】
【0009】
土に近い状態に戻す素材で、ウッドチップ舗装が作れることにより、産業廃棄物として処理する必要がなく、費用を抑えることができ、環境面でもゴミを減らす効果がある。
また、無害なウッドチップ舗装方法のため、小さな子供やペットなどの安全性を高めることが出来る。
マグネシウムの持つアルカリ成分を吸入し、コーティングされたウッドチップは、舗装材料加工時に内部から硬化し、腐食が起こりにくくなる。さらに、樹種を針葉樹の間伐材に限定することにより、安定した分解速度を保持させるとともに、森林整備を促進させ、CO2の削減につながり、地球温暖化抑制に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1はマグネシウムと土、砂、水、ウッドチップだけを使用した構造体の内部の様子である。
【図2】図2はウッドチップを、内部崩壊を起こしにくい形状にするため、樹種を限定したことを示す図面代用写真である。
【図3】図3は凝固材のマグネシウム、ウッドチップなどの混合をしている図面代用写真である。
【図4】図4はウッドチップ舗装の敷き均し時の多孔構造を示す図面代用写真である。
【図5】図5はウッドチップ舗装とアスファルト表面温度の比較実験の結果を示すものである。
【図6】図6はマグネシウムを池に撒いても、安全性を確保されていることを示す図面代用写真である。
【図7】図7はウッドチップ舗装による表面硬度が、充分な性能を発揮していることを示すものである。
【図8】図8は本発明のウッドチップ舗装資材を示した図面代用写真である。
【図9】図9はウッドチップ舗装を実際に施工した表面の図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
舗装材に水を加えることで、酸化マグネシウムを水酸化マグネシウムに変化させ、ウッドチップやそのほかの舗装材である土、砂を凝結させ、完全に無害で、自然な土の状態に近いウッドチップ舗装を作る。
また、樹種の限定することにより、内部の分解ギャップを最小限にし、内部崩壊のリスクを抑えるとともに、マグネシウムのアルカリ成分の吸着含有とコーティングにより、ウッドチップの腐食を遅らせ、舗装材の構造を長持ちさせる。
さらに、粒子の細かい砂により重量を上げて硬化の強度を出し、あわせて粒子の細かい土により、ウッドチップとその他の舗装資材の接する面を増やし、接着強度を向上させている。
【実施例】
【0012】
図8は、本発明に使用するウッドチップ舗装資材を示した図面であって、当資材を混合させて実際に施工した様子を示したものが、図9である。
【0013】
図2で示す接着性がよく均一なウッドチップを使用するとともに、粒子の細かい土を混合させることにより、接着面を増やす。
【0014】
砂を混ぜることにより舗装材の重量を上げ、硬度を調整することが出来る。
【0015】
水の添加量によっても、表面の仕上がりを平らなものと、浸透性を向上させる空洞の多いものとを作り分けることが可能である。
【0016】
舗装材の製造は、酸化マグネシウム、ウッドチップ、砂、土と水を混ぜ合わせることによりなされる。混合比の配分は傾斜や凍結、表面硬度を考慮して調整を行なうが、マグネシウム1〜3、砂1、土2〜3、ウッドチップ5〜6、水1〜3の割合で実施する。
【0017】
土の量を多くせず、ウッドチップの弾力性を活かすことで、凍結による崩壊にも比較的耐えうる構造とする。さらに、凍結による深刻な崩壊が予想される場合には、砂を増やし水はけの良い構造体を作ることで、含水率を調整する。
【0018】
材料の混合後、地面に直接敷き均すか容器に圧力をかけて転圧を行なう。
転圧の強度により、表面の仕上げを変えることができるため、遊歩道や運動場などの人の通行を目的とする場所では、表面を平らにし、自然な雰囲気を残す場合やヒートアイランド対策を目的として、水の浸透速度を上げる場合には、ゆるく転圧をすることで、目的にあわせた硬度設定をすることができる。
【0019】
酸化マグネシウムを水酸化マグネシウムにし凝固させるため、加水が必要となる。また、部分乾燥によるかたよりや、ウッドチップ内部への浸透による吸水、マグネシウムの吸水などから、3〜4日程度の継続的な水分補給が必要となる。
【0020】
マグネシウムを利用したウッドチップの硬化方法を、型枠の中で行なうことにより、ウッドチップブロックを作成することが出来る。
【0021】
マグネシウムのアルカリ分の吸着含有、コーティングは、加水時に促進され硬化後自然にウッドチップに施される。
【産業上の利用可能性】
【0022】
遊歩道や運動場などの人が歩く場所への施工が可能で、泥はねやぬかるみ対策、さらに雑草対策としても利用することが出来き、自然な景観の維持に役立つ。
また、水の浸透性が優れているため、芝生と同じ程度の表面温度を保つことができ、ヒートアイランド対策としての効果が期待できる。
さらに、間伐材を利用することにより、森林のCO2の排出権取引評価価値を上げることができ、コスト的にも反映できる可能性がある。
【符号の説明】
【0023】
1 マグネシウム
2 ウッドチップ
3 土
4 砂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウムと土、砂、ウッドチップ、水を利用した舗装材。
【請求項2】
マグネシウムのアルカリ分を吸着含有、コーティングすることにより、腐りにくい処理を施したウッドチップ舗装材の製造方法。
【請求項3】
砂による硬度調整と、粒径の小さい土による接着面積を増やしたことにより、崩壊しにくくしたウッドチップ舗装材の製造方法。
【請求項4】
材料をマグネシウム1〜3、砂1、土2〜3、ウッドチップ5〜6、水1〜3の混合比とした、請求項1記載の舗装材。
【請求項5】
マグネシウムのアルカリ成分の吸着含有、コーティングによるウッドチップの防腐、心材の構造維持方法。
【請求項6】
型枠を利用した同方法によるウッドチップブロック、構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−38324(P2011−38324A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186678(P2009−186678)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(309026761)株式会社ピーブラン (1)
【Fターム(参考)】