説明

マグネシウム化合物を用いたヘテロ原子含有化合物の製造方法

【課題】本発明は、sp混成炭素に結合したフッ素原子を簡便かつ安全にヨウ素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子等のヘテロ原子で置換して、該ヘテロ原子を含む有機化合物を効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】一般式(a):
−F ・・・・・(a)
(式中、Cはsp混成炭素を示す。)
で示される結合を有するフッ素化合物と、一般式(2):
Z−MgX ・・・・・(2)
(式中、XはF、Cl、Br又はIを示し、ZはI又は式:RY−で示される基を示し、YはS、Se又はTeであり、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアラルキル基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。)
で表されるマグネシウム化合物を反応させることを特徴とする、一般式(b):
−Z ・・・・・(b)
(式中、C及びZは前記に同じ。)
で示される結合を有する化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素原子含有化合物にヘテロ原子を含有するマグネシウム化合物を反応させて、フッ素原子をヘテロ原子に置換することにより、ヘテロ原子含有化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、sp混成炭素と結合したフッ素原子を、直接ハロゲン原子(フッ素原子を除く)、カルコゲン原子等のヘテロ原子に置換する方法がいくつかの報告されている。
【0003】
非特許文献1には、フルオロアルカンにボロントリハライド又はチタニウムテトラハライドを反応させてフッ素を塩素、臭素又はヨウ素に置換する方法が記載されている。
【0004】
非特許文献2および3には、フルオロアルカンに親油性4級オニウム塩触媒の存在下、または非存在下にHBr又はHIを反応させてブロモアルカン又はヨードアルカンが製造できることが記載されている。
【0005】
しかしながら、これらの方法では1−フルオロアルカンを基質とする場合、転位が起こり2位に臭素又はヨウ素が結合した生成物が主として生成する。つまり、フッ素原子が結合した所望の炭素上での置換反応が望めない。さらにHBrまたはHIを用いる方法では、いずれも100℃を超える反応温度が必要となり、この反応条件では激しい腐食が起こると考えられ、実際に実施する場合、反応槽、その他の材質は限定される。
【0006】
ところで、非特許文献4には、転移が起こりえないベンジルフルオリドにMgBrを反応させて収率良く臭素置換反応が進行することが記載されている。しかしながら、同じ炭素上にフッ素が2つまたは3つ結合した化合物についての、フッ素の臭素置換は報告されていない。
【0007】
また、非特許文献5には、アルミニウム試薬を用いて、フッ素を硫黄原子、セレニウム原子、テルリウム原子で置換する方法が報告されているが、これらのアルミニウム試薬を合成するには、非常に発火性が高く危険なトリアルキルアルミニウムやクロロジアルキルアルミニウムを用いなければならないこと、また2段階で反応させる必要があり工業的に実施するには困難である。
【0008】
たとえば、PhS−AlEtを合成する場合、フェニルリチウムと硫黄を反応させるか、またはチオフェノールをリチウム塩とした後、クロロジアルキルアルミニウムと反応させる必要がある。また、PhSe−AlEt、PhTe−AlEtを合成する場合もフェニルリチウムとセレニウムまたはテルリウムと反応させた後、クロロジアルキルアルミニウムと反応させなければならない。
【非特許文献1】J. Fluorine Chemistry, vol.72, pp.89-93, (1995)
【非特許文献2】Tetrahedron Lett., vol.31, pp.4973-4976, (1990)
【非特許文献3】J. Chem. Soc. Perkin Trans., 1, pp.2309-2311, (1992)
【非特許文献4】C. R. Acad. Sc. Paris, t, 268 (10 fevrier 1969). Serie C-547
【非特許文献5】52nd Symposium on Organometallic Chemistry, Japan, Abstracts pp.480-481, (2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主な目的は、sp混成炭素に結合したフッ素原子を簡便かつ安全にヨウ素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子等のヘテロ原子で置換して、該ヘテロ原子を含む有機化合物を効率的に製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、sp混成炭素に結合したフッ素原子を有する化合物を、ヨウ化マグネシウム(MgI)、PhSMgBr、PhSeMgBr、PhTeMgBr等のヘテロ原子を有するマグネシウム試薬と反応させることにより、簡便にフッ素原子をヘテロ原子と置換できることを見出した。かかる知見に基づき、さらに研究を重ねて本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、sp混成炭素に結合したフッ素原子を、簡便かつ安全にヨウ素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子等のヘテロ原子で置換された有機化合物を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、一般式(a):
−F ・・・・・(a)
(式中、Cはsp混成炭素を示す。)
で示される結合を有するフッ素化合物と、一般式(2):
Z−MgX ・・・・・(2)
(式中、XはF、Cl、Br又はIを示し、ZはI又は式:RY−で示される基を示し、YはS、Se又はTeであり、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアラルキル基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。)
で表されるマグネシウム化合物を反応させることを特徴とする、一般式(b):
−Z ・・・・・(b)
(式中、C及びZは前記に同じ。)
で示される結合を有する化合物の製造方法に関する。
【0013】
一般式(a)で示される結合を有するフッ素化合物は、分子内にFと結合したsp混成炭素(C)を1個又は2個以上有する化合物である。
【0014】
本発明は具体的には、一般式(1):
【0015】
【化1】

【0016】
(式中、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、H、Cl、Br、I、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキニル基、アラルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アラルキルオキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、式:−CONR(式中、R及びRは、独立してH、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で示される基、式:−NR4’5’(式中、R4’及びR5’は、独立してH、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で示される基、アルキルスルフィニル基、アラルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、ヘテロシクロアルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、ヘテロシクロアルキルスルホニル基、複素環基、シアノ基又はニトロ基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。或いは、R、R及びRは、それぞれ2つ以上が結合して環状構造を成してもよい。)
で表されるフッ素化合物と、一般式(2):
Z−MgX ・・・・・(2)
(式中、XはF、Cl、Br又はIを示し、ZはI又は式:RY−で示される基を示し、YはS、Se又はTeであり、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアラルキル基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。)
で表されるマグネシウム化合物を反応させて、一般式(3):
【0017】
【化2】

【0018】
(式中、R、R、R及びZは前記に同じ。)
で表される化合物の製造方法に関する。
【0019】
本発明の式(1)及び(3)で表される化合物におけるR、R及びRについて説明する。
【0020】
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルなどの直鎖又は分枝を有するC〜C18アルキル基が挙げられる。好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの直鎖又は分枝を有するC〜Cアルキル基が挙げられる。
【0021】
ハロアルキル基としては、上記のアルキル基の少なくとも1個の水素原子がハロゲン原子で置換されたものが挙げられる。例えば、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、トリクロロエチル基、テトラフルロロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基、2−(パーフルオロオクチル)エチル基、1H,1H,3H-テトラフルオロプロピル基、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル基などが例示される。
【0022】
アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、1−ブテニル、イソブテニルなどの直鎖又は分枝を有するC〜C18アルケニル基、好ましくはC〜Cアルケニル基が挙げられる。
【0023】
ハロアルケニル基としては、上記のアルケニル基の少なくとも1個の水素原子がハロゲン原子で置換されたものが挙げられる。
【0024】
アルキニル基としては、エチニル、1−プロピニル、1−ブチニルなどの直鎖又は分枝を有するC〜C18アルキニル基、好ましくはC〜Cアルキニル基が挙げられる。
【0025】
ハロアルキニル基としては、上記のアルキニル基の少なくとも1個の水素原子がハロゲン原子で置換されたものが挙げられる。
【0026】
アラルキル基としては、例えば、2−フェニルエチル、ベンジル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル等のC〜C20アラルキル基などが挙げられる。
【0027】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどのC〜Cシクロアルキル基が挙げられ、C〜Cシクロアルキル基が好ましい。
【0028】
ヘテロシクロアルキル基としては、前記のシクロアルキル基の環状構造を形成する1個若しくはそれ以上の炭素原子が、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などで置換されたものが挙げられる。例えば、ピロリジニル、ピペリジル、モルホリル、ピペラジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニルなどが例示される。
【0029】
アリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、ジフェニル基、ナフチル基などが挙げられ、置換基が結合していてもよい。
【0030】
アルコキシ基としては、−O−(アルキル)で表される基であり、アルキル基は前記に示される基である。例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどの直鎖又は分枝を有するC〜Cアルコキシ基などが挙げられ、置換基が結合していてもよい。
【0031】
アラルキルオキシ基としては、−O−(アラルキル)で表される基であり、アラルキル基は前記に示される基である。2−フェニルエチルオキシ、ベンジルオキシ、1−フェニルエチルオキシ、3−フェニルプロピルオキシ、4−フェニルブチルオキシ等のC〜C20アラルキルオキシ基などが挙げられる。
【0032】
アリールオキシ基としては、−O−(アリール)で表される基であり、アリール基は前記に示される基である。フェノキシ基、クロロフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、ナフチルオキシ基などが挙げられ、置換基が結合していてもよい。
【0033】
アルキルチオ基としては、−S−(アルキル)で表される基であり、アルキル基は前記に示される基である。例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオなどの直鎖又は分枝を有するC〜Cアルキルチオ基などが挙げられ、置換基が結合していてもよい。
【0034】
アラルキルチオ基としては、−S−(アラルキル)で表される基であり、アラルキル基は前記に示される基である。2−フェニルエチルチオ、ベンジルチオ、1−フェニルエチルチオ、3−フェニルプロピルチオ、4−フェニルブチルチオ等のC〜C20アラルキルオキシ基などが挙げられる。
【0035】
アリールチオ基としては、−S−(アリール)で表される基であり、アリール基は前記に示される基である。フェニルチオ基、クロロフェニルチオ基、メトキシフェニルチオ基、ナフチルチオ基などが挙げられ、置換基が結合していてもよい。
【0036】
アルコキシカルボニル基としては、アルコキシ基が前記に示される基である−C(=O)−(アルコキシ)基が例示され、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルが例示される。
【0037】
アリールオキシカルボニル基としては、アリールオキシ基が前記に示される基である−C(=O)−(アリールオキシ)基が例示され、例えば、フェノキシカルボニル基、クロロフェノキシカルボニル基、メトキシフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0038】
アラルキルオキシカルボニル基としては、アラルキルオキシ基が前記に示される基である−C(=O)−(アラルキルオキシ)基が例示され、例えば、は2−フェニルエチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、1−フェニルエチルオキシカルボニル、3−フェニルプロピルオキシカルボニル、4−フェニルブチルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0039】
アルコキシカルボニルオキシ基としては、アルコキシ基が前記に示される基である−OC(=O)−(アルコキシ)基が例示され、例えば、はメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、n−プロポキシカルボニルオキシ、イソプロポキシカルボニルオキシ、n−ブトキシカルボニルオキシ、イソブトキシカルボニルオキシ、sec−ブトキシカルボニルオキシ、tert−ブトキシカルボニルオキシ、ペンチルオキシカルボニルオキシ、ヘキシルオキシカルボニルオキシが例示される。
【0040】
アリールオキシカルボニルオキシ基としては、アリールオキシ基が前記に示される基である−OC(=O)−(アリールオキシ)基が例示され、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、クロロフェノキシカルボニルオキシ基、メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、ナフチルオキシカルボニルオキシ基などが挙げられる。
【0041】
アラルキルオキシカルボニルオキシ基としては、アラルキルオキシ基が前記に示される基である−OC(=O)−(アラルキルオキシ)基が例示され、例えば、2−フェニルエチルオキシカルボニルオキシ、ベンジルオキシカルボニルオキシ、1−フェニルエチルオキシカルボニルオキシ、3−フェニルプロピルオキシカルボニルオキシ、4−フェニルブチルオキシカルボニルオキシ、ナフチルオキシカルボニルオキシ基などが挙げられ、置換基が結合していてもよい。
【0042】
アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、n−ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイルなどの直鎖又は分枝を有する炭素数1〜6のアルカノイル基、ベンゾイル及び置換アシル基が挙げられる。置換基を有するアシル基としては、クロロアセチル基、ブロモアセチル基、ジクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基等の置換アセチル基、メトキシアセチル基、エトキシアセチル基等のアルコキシ置換アセチル基、メチルチオアセチル基等のアルキルチオ置換アセチル基、フェノキシアセチル基、フェニルチオアセチル基、2−クロロベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−t−ブチルベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、4−ニトロベンゾイル基等の置換ベンゾイル基などが挙げられる。
【0043】
アシルオキシ基としては、アシル基が前記に示される基である−O−(アシル)基が例示される。
【0044】
式:−CONRで示される基において、R及びRで示されるアルキル基、アリール基又はアラルキル基は、前記に示される基が挙げられ、置換基を有していてもよい。式:−CONRで示される基としては、例えば、カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-フェニルカルバモイル基、N-クロロフェニルカルバモイル基、N,N-ジエチルカルバモイル基などが挙げられる。
【0045】
式:−NR4’5’で示される基において、R4’及びR5’はで示されるアルキル基、アリール基又はアラルキル基は、前記に示される基が挙げられ、置換基を有していてもよい。
【0046】
アルキルスルフィニル基(アルキル−SO−)、アラルキルスルフィニル基(アラルキル−SO−)、アリールスルフィニル基(アリール−SO−)、シクロアルキルスルフィニル基(シクロアルキル−SO−)、ヘテロシクロアルキルスルフィニル基(ヘテロシクロアルキル−SO−)におけるアルキル基、アラルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基としては前記のものが例示される。
【0047】
アルキルスルホニル基(アルキル−SO−)、アラルキルスルホニル基(アラルキル−SO−)、アリールスルホニル基(アリール−SO−)、シクロアルキルスルホニル基(シクロアルキル−SO−)、ヘテロシクロアルキルスルホニル基(ヘテロシクロアルキル−SO−)におけるアルキル基、アラルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基としては前記のものが例示される。
【0048】
複素環基としては、芳香族複素環基が挙げられ、例えば、ピペリジル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピロリル、ピロリジニル、トリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、インドリル、ピラゾリル、ピリダジニル、シノリニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、ピラジニル、ピリジル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、テトラゾリル等が挙げられる。
【0049】
上記のR、R及びRで示される基には、本発明の製造方法に悪影響を与えない範囲で他の置換基を有していてもよい。置換基の数は特に限定はなく、例えば、1〜5個、好ましくは1〜3個が挙げられる。
【0050】
また、上記のR、R及びRで示される基は、そのうちの2又は3個が互いに結合して環状構造を成してもよい。
【0051】
本発明の式(2)で表されるマグネシウム化合物におけるXとしてはF、Cl、Br又はIが挙げられるが、好ましくはCl、Br、Iであり、より好ましくはBr又はIである。
【0052】
ZはI又は式:RY−で示される基である。式:RY−で示される基において、YはS、Se又はTeであり、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアラルキル基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。アルキル基としてはC〜C10アルキル基、アルケニル基としてはC〜C10アルケニル基(アリール基で置換されていてもよい)、アルキニル基としてはC〜C10アルキニル基(アリール基で置換されていてもよい)、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等、アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等のC〜C10アラルキル基が例示される。
【0053】
式:RY−で示される基として具体的には、例えば、PhS−、PhSe−、PhTe−、CH(CHS−、CH(CHSe−、CH(CHTe−(nは1〜10の整数)、PhCHS−、PhCHSe−、PhCHTe−、CH=CHS−、CH=CHSe−、CH=CHTe−、CHCH=CHS−、CHCH=CHSe−、CHCH=CHTe−、PhCH=CHS−、PhCH=CHSe−、PhCH=CHTe−、CHC≡CS−、CHC≡CSe−、CHC≡CTe−、PhC≡CS−、PhC≡CSe−、PhC≡CTe−などが例示される。
【0054】
本発明の式(2)で表されるマグネシウム化合物は、J. Organometallic Chem., 38, pp.97-103, (1972)、J. Organometallic Chem., 691, pp.621-628, (2006)などの記載に準じて非常に容易に合成が可能である。たとえばPhS−MgBrを合成する場合、EtMgBrにチオフェノールを加えるだけでよい。また、PhSe−MgBr、PhTe−MgBrを合成する場合は、PhMgBrにセレニウムまたはテルリウムを加えるだけで反応が進行する。
【0055】
前記式(2)で表されるマグネシウム化合物として、MgI、MgFI、MgClI、MgBrIが好ましく、特に、MgIが好ましい。
【0056】
本発明はさらに、一般式(a):
−F ・・・・・(a)
(式中、Cはsp混成炭素を示す。)
で示される結合を有し、かつ、該sp混成炭素(C)にFが2個以上結合したフッ素化合物と、一般式(2’):
Z’−MgX ・・・・・(2’)
(式中、XはF、Cl、Br又はIを示し、Z’はI、Br又は式:RY−で示される基を示し、YはS、Se又はTeであり、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアラルキル基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。)
で表されるマグネシウム化合物を反応させることを特徴とする、一般式(b’):
−Z’ ・・・・・(b’)
(式中、C及びZ’は前記に同じ。)
で示される結合を有する化合物の製造方法をも提供する。
【0057】
一般式(a)で示される結合を有し、かつ、該sp混成炭素(C)にFが2個以上(具体的には2又は3個)結合したフッ素化合物は、分子内にFと結合したsp混成炭素(C)を1個又は2個以上有する化合物である。
【0058】
本発明は具体的には、一般式(4):
【0059】
【化3】

【0060】
(式中、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、H、Cl、Br、I、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキニル基、アラルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アラルキルオキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、式:−CONR(式中、R及びRは、独立してH、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で示される基、式:−NR4’5’(式中、R4’及びR5’は、独立してH、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で示される基、アルキルスルフィニル基、アラルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、ヘテロシクロアルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、ヘテロシクロアルキルスルホニル基、複素環基、シアノ基又はニトロ基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。或いは、R及びRは、互いに結合して環状構造を成してもよい。)
で表されるフッ素化合物と、一般式(2’):
Z’−MgX ・・・・・(2’)
(式中、XはF、Cl、Br又はIを示し、Z’はI、Br又は式:RY−で示される基を示し、YはS、Se又はTeであり、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアラルキル基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。)
で表されるマグネシウム化合物を反応させることを特徴とする、一般式(5):
【0061】
【化4】

【0062】
(式中、R、R及びZ’は前記に同じ。)
及び/又は一般式(6):
【0063】
【化5】

【0064】
(式中、R、R及びZ’は前記に同じ。)
で表される化合物の製造方法を提供する。
【0065】
また、本発明は、一般式(7):
【0066】
【化6】

【0067】
(式中、Rは、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキニル基、アラルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アラルキルオキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、式:−CONR(式中、R及びRは、独立してH、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で示される基、式:−NR4’5’(式中、R4’及びR5’は、独立してH、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で示される基、アルキルスルフィニル基、アラルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、ヘテロシクロアルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、ヘテロシクロアルキルスルホニル基又は複素環基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。)
で表されるフッ素化合物と、一般式(2’):
Z’−MgX ・・・・・(2’)
(式中、XはF、Cl、Br又はIを示し、Z’はI、Br又は式:RY−で示される基を示し、YはS、Se又はTeであり、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアラルキル基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。)
で表されるマグネシウム化合物を反応させることを特徴とする、一般式(8):
【0068】
【化7】

【0069】
(式中、R及びZ’は前記に同じ。)
及び/又は一般式(9):
【0070】
【化8】

【0071】
(式中、R及びZ’は前記に同じ。)
及び/又は一般式(10):
【0072】
【化9】

【0073】
(式中、R及びZ’は前記に同じ。)
で表される化合物の製造方法を提供する。
【0074】
本発明の式(4)〜(6)で表される化合物におけるR及びR、並びに式(7)〜(10)表される化合物におけるRで示される「アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキニル基、アラルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アラルキルオキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、式:−CONR(式中、R及びRは、独立してH、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で示される基、式:−NR4’5’(式中、R4’及びR5’は、独立してH、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で示される基、アルキルスルフィニル基、アラルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、ヘテロシクロアルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、ヘテロシクロアルキルスルホニル基、複素環基」については、前記の式(1)及び(3)で表される化合物におけるR、R及びRで記載したものがそのまま例示される。
【0075】
なお、式(4)〜(6)で表される化合物におけるR及びRで示される基は、互いに結合して環状構造を成してもよい。
【0076】
本発明の式(2’)で表されるマグネシウム化合物におけるXとしてはF、Cl、Br又はIが挙げられるが、好ましくはCl、Br、Iであり、より好ましくはBr又はIである。
【0077】
Z’はI、Br又は式:RY−で示される基である。式:RY−で示される基において、YはS、Se又はTeであり、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアラルキル基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。アルキル基としてはC〜C10アルキル基、アルケニル基としてはC〜C10アルケニル基(アリール基で置換されていてもよい)、アルキニル基としてはC〜C10アルキニル基(アリール基で置換されていてもよい)、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等、アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等のC〜C10アラルキル基が例示される。
【0078】
式:RY−で示される基として具体的には、例えば、PhS−、PhSe−、PhTe−、CH(CHS−、CH(CHSe−、CH(CHTe−(nは1〜10の整数)、PhCHS−、PhCHSe−、PhCHTe−、CH=CHS−、CH=CHSe−、CH=CHTe−、CHCH=CHS−、CHCH=CHSe−、CHCH=CHTe−、PhCH=CHS−、PhCH=CHSe−、PhCH=CHTe−、CHC≡CS−、CHC≡CSe−、CHC≡CTe−、PhC≡CS−、PhC≡CSe−、PhC≡CTe−などが例示される。
【0079】
本発明の式(2’)で表されるマグネシウム化合物は、J. Organometallic Chem., 38, pp.97-103, (1972)、J. Organometallic Chem., 691, pp.621-628, (2006)などの記載に準じて非常に容易に合成が可能である。たとえばPhS−MgBrを合成する場合、EtMgBrにチオフェノールを加えるだけでよい。また、PhSe−MgBr、PhTe−MgBrを合成する場合は、PhMgBrにセレニウムまたはテルリウムを加えるだけで反応が進行する。
【0080】
式(2’)で表されるマグネシウム化合物として、MgI、MgBr、MgFI、MgFBr、MgClI、MgBrIが好ましく、特に、MgI、MgBrが好ましい。
【0081】
本発明の製造方法では、前記フッ素化合物とヘテロ原子を有するマグネシウム化合物を適切な溶媒中で反応させてヘテロ原子を有する化合物を製造する。
【0082】
一般式(2)で表されるマグネシウム化合物の使用量は、原料のフッ素化合物(例えば、一般式(1)、(4)、乃至(7)で表されるフッ素化合物)に対し0.5〜60当量、好ましくは0.8〜15当量、さらに好ましくは1.0〜6当量の範囲に設定できる。
【0083】
より具体的には、一般式(a):C−F(式中、Cはsp混成炭素を示す。)で示される結合を有するフッ素化合物を原料とする場合では、マグネシウム化合物の使用量は、原料のフッ素化合物(例えば、一般式(1)で表されるフッ素化合物)に対し0.5〜20当量、好ましくは0.8〜5当量、さらに好ましくは1.0〜2当量の範囲に設定できる。
【0084】
また、一般式(a):C−F(式中、Cはsp混成炭素を示す。)で示される結合を有し、かつ、該sp混成炭素(C)にFが2個以上結合したフッ素化合物を原料とする場合では、マグネシウム化合物の使用量は、原料のフッ素化合物(例えば、一般式(4)乃至(7)で表されるフッ素化合物)に対し0.5〜60当量、好ましくは0.8〜15当量、さらに好ましくは1.0〜6当量の範囲に設定できる。この場合、原料のフッ素原子がヘテロ原子(Z)でいくつ置換するかは、マグネシウム化合物の使用量を適宜選択することにより、或いは反応条件を適宜設定することにより調節することができる。
【0085】
反応溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテルなどの脂肪族溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、フルオロトリクロロメタン、1,1,2-トリクロロトリフルオロエタン、2-クロロ-1,2-ジブロモ-1,1,2-トリフルオロエタン、1,2-ジブロモヘキサフルオロプロパン、1,2-ジブロモテトラフルオロエタン、1,1-ジフルオロテトラクロロエタン、1,2-ジフルオロテトラクロロエタン、ヘプタフルオロ-2,3,3-トリクロロブタン、1,1,1,3-テトラクロロテトラフルオロプロパン、1,1,1-トリクロロペンタフルオロプロパン、1,1,1-トリクロロトリフルオロエタン、ポリクロロトリフルオロエチレンなどのハロゲン化脂肪族溶媒;ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ニトロベンゼンなどの芳香族溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル溶媒などが挙げられる。溶媒は、上記の中から単独もしくは任意の2種以上の混合溶媒として用いてもよい。特に、反応性や置換位置の転位が抑制できる点で、エーテル溶媒(特に、ジエチルエーテル)が好ましい。
【0086】
かかる溶媒の使用量は特に限定されないが、原料のフッ素化合物(例えば、一般式(1)、(4)、乃至(7)で表されるフッ素化合物)に対し、通常1〜50重量倍、好ましくは3〜10重量倍である。
【0087】
反応温度は、例えば−20℃から200℃、好ましくは0℃から100℃の範囲であり、反応時間は、5分間〜300時間である。いずれも基質に応じて適宜設定できる。
【0088】
反応は、通常不活性ガス雰囲気下、例えば、アルゴン、窒素雰囲気下で行われる。また、圧力も特に限定なく、常圧下で反応できる。反応温度は、通常−50℃〜200℃、好ましくは10℃〜100℃の範囲である。反応時間は、反応液中の基質や触媒の濃度、反応温度等により変化するが、通常1〜30時間程度である。
【0089】
反応終了後は、通常の精製工程を経て、ヘテロ原子で置換された化合物(例えば、一般式(3)、(5)、(6)、(8)、(9)又は(10)で表される化合物)を得る。精製工程は公知の方法を採用でき、例えば、反応液に必要に応じて疎水性有機溶媒を加えて抽出し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の公知の方法で精製できる。
【0090】
本発明の製造方法によれば、収率よくsp混成炭素−F結合を、sp混成炭素−Z(又はZ’)に変換することができる。しかも、一般式(2)又は(2’)で表されるマグネシウム化合物との置換反応は、sp混成炭素がほぼ完全に反転して進行するため(SN2型置換反応)立体制御が可能であり有機合成上有用である。また、置換反応においてカチオン種(カルボカチオン)を経由していないか、又は、カチオン種を経由していてもその寿命が極めて短いため、置換位置の転位がほとんど生じないというメリットがある。
【実施例】
【0091】
以下に実施例を示し、本発明の特徴を明確にする。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0092】
実施例1
1−フルオロオクタン(132 mg、1.0 mmol)をジエチルエーテル(2ml)に溶解し、ヨウ化マグネシウム(334 mg、1.2 mmol)を25℃で加え、10時間攪拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析した。
【0093】
実施例2、3
表1に記載の溶媒を用いる以外は、すべて実施例1と同様に実施した。
【0094】
参考例1
1−フルオロオクタン(132 mg、1.0 mmol)をジエチルエーテル(2ml)に溶解し、臭化マグネシウム(221 mg、1.2 mmol)を25℃で加え、10時間攪拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析した。
【0095】
化合物およびは、標品と比較することにより確認した。
【0096】
【表1】

【0097】
実施例4
1−ブロモ−9−フルオロノナン(142 mg、0.63 mmol)をジエチルエーテル(1.0 ml)に溶解し、ヨウ化マグネシウム(175.4 mg、0.63 mmol)を25℃で加え、10時間攪拌した。反応混合物に水を加え、ジエチルエーテル(15 ml)で抽出し、有機層をNa2S2O3水溶液で洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。濃縮物をHPLCにて精製し、1−ブロモ−9−ヨードノナンを179.0 mg(0.54 mmol)、収率85%で得た。
1−ブロモ−9−ヨードノナンのスペクトルデータ:
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 3.41 (t, J = 6.8 Hz, 2H, -CH2Br), 3.19 (t, J = 6.8 Hz, 2H, -CH2I), 1.89-1.79 (m, 4H), 1.43-1.31 (m, 10H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 34.13, 33.56, 32.89, 30.50, 29.32, 28.77, 28.54, 28.22, 7.49.
実施例5
反応基質を表2記載のものに変え、6−フルオロ−1,1−ジフェニル−1−ヘキセンを255 mg(1.0 mmol)、ヨウ化マグネシウムを278 mg(1.0 mmol)使用する以外は、すべて実施例4と同様に行った。
6−フルオロ−1,1−ジフェニル−1−ヘキセンのスペクトルデータ:
IR(neat):3078, 3020, 2852,1597, 1493.8,1443,1208, 1167,1073,1029.6, 874, 761, 700, 630.5 cm-1; 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.56-7.15 (m, 10H), 6.06 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 3.12 (t,J = 7.0 Hz, 2H), 2.12 (qt, J = 7.5 Hz, 2H), 1.8 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 1.55 (q, J = 7.3 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 142.1, 141.8, 139.6, 129.42, 128.6, 127.8, 127.7, 126.8, 126.6,126.5, 32.9, 30.6, 28.45, 6.8; MS (EI) m/z (relative intensity, %) 362 (M+, 56), 193 (100), 91(51), 115( 58 ); HRMS: calcd for C18H19I (M+): 362.0531, found 362.0525; elemental analysis: calcd for C18H19I: C, 59.68; H, 5.29; I, 35.08 found: C, 59.58; H, 5.27; I, 35.24.
実施例6
反応基質を表2記載のものに変え、exo−2−ノルボルニルフルオリドを45.6 mg(0.4 mmol)、ジエチルエーテルを0.7 ml、ヨウ化マグネシウムを142 mg(0.5 mmol)使用する以外は、すべて実施例4と同様に行った。
exo−2−ノルボルニルアイオダイドのスペクトルデータ:
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 28.57 (C-6 or 5); 28.87 (C-5 or 6); 30.45 (C-2); 36.43 (C-7); 38.11( C-4); 45.32 (C-3); 48.09 (C-1).
実施例7−10
反応基質を表2記載のものに変え、基質を1.0 mmol)、ジエチルエーテルを1.0 ml、ヨウ化マグネシウムを1.2 mmol使用する以外は、すべて実施例4と同様に反応を行い、ガスクロマトグラフィーにて反応収率を求めた。
【0098】
【表2】

【0099】
実施例11
【0100】
【化10】

【0101】
フッ素化合物18(85.0 mg、0.46 mmol)をジエチルエーテル(0.7 ml)に溶解し、ヨウ化マグネシウム(175.4 mg、0.63 mmol)を25℃で加え、10時間攪拌した。反応混合物に水を加え、ジエチルエーテル(15 ml)で抽出し、有機層をNa2S2O3水溶液で洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、スレオ体のヨウ化物19を124.7 mg(0.43 mmol)、収率93%で得た。上記の反応はFが結合するsp炭素はほぼ完全に反転して反応が進行した。
スレオ体のヨウ化物19のスペクトルデータ:
1H NMR (400 MHz, CDCl3)3c: δ 3.16 (d, J=13.2Hz, 1H), 1.95 (s,br 3H), 1.78-1.49 (m, 13H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 49.19 (t, 1JCD = 19.5 Hz), 41.68, 36.88, 36.74, 35.16, 28.41, 1.0 (t, 1JCD = 22.5 Hz);
MS (EI) m/z (relative intensity, %) 292 (M+, 4 ), 165 (24),136 (11), 135 (100), 93 (13), 79(12), 67(4);
HR-MS: calcd for C12H17D2I : 292.0655, found 292.0647.
実施例12
【0102】
【化11】

【0103】
フッ素化合物20(87.8 mg、0.48 mmol)をジエチルエーテル(0.7 ml)に溶解し、ヨウ化マグネシウム(171 mg、0.6 mmol)を25℃で加え、10時間攪拌した。反応混合物に水を加え、ジエチルエーテル(15 ml)で抽出し、有機層をNa2S2O3水溶液で洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、スレオ体のヨウ化物21を124.7 mg(0.43 mmol)、収率93%でほぼ選択的に得た。上記の反応はFが結合するsp炭素はほぼ完全に反転して反応が進行した。
エリスロ体のヨウ化物21のスペクトルデータ:
1H NMR (400 MHz, CDCl3) : δ 3.16 (d, J=13.2Hz, 1H), 1.95 (s,br 3H), 1.78-1.49 (m, 13H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 49.19 (t, 1JCD= 19.5 Hz), 41.68, 36.88, 36.74, 35.16, 28.41, 1.0 (t, 1JCD = 22.5 Hz); MS (EI) m/z (relative intensity, %) 292 ( M+, 7), 165 (32),136 (15), 135 (100), 93 (17), 79(16),67(6); HRMS calcd for C12H17D2I : 292.0655, found 292.0653.
実施例13
【0104】
【化12】

【0105】
エチルマグネシウムブロミド(0.8 M in THF, 1.5 ml, 1.2 mmol)にチオフェノール(150 mg,1.17 mmol)を0℃で滴下し、その後室温で1時間攪拌した。ついで、この混合物に1−フルオロオクタン(136 mg、1.03 mmol)を室温で滴下し、4時間加熱還流した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジエチルエーテル(10 ml)で3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、オクチルスルファニルベンゼン22を223.0 mg、収率93%で得た。
オクチルスルファニルベンゼン22のスペクトルデータ:
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.14-7.53 (m, 5H), 2.91 (t, J=7.4 Hz, 2H), 1.61-1.68 (m, 2H), 1.27-1.43 (m, 10H), 0.88 (t, J=6.8 Hz, 3H), 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 136.9, 128.7, 128.6, 125.4, 33.7, 31.9, 29.3, 29.27, 29.25, 29.0, 22.8, 14.3. 実施例14
【0106】
【化13】

【0107】
THF(4 ml)に懸濁させた粉末状のセレン(100 mg, 1.26 mmol)に、フェニルマグネシウムブロミド(1 M in THF, 1.4 ml, 1.4 mmol)を0℃で滴下し、その後室温で1時間攪拌した。すべての粉末状セレンが溶解し黄色溶液となった後、1−フルオロオクタン(143 mg、1.08 mmol)を25℃で滴下し、5時間同温度で攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジエチルエーテル(20 ml)で3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、オクチルセラニルベンゼン23を232.0 mg(0.86 mmol)、収率80%で得た。
オクチルセラニルベンゼン23のスペクトルデータ:
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.46-7.51 (m, 2H), 7.21-7.27 (m, 3H), 2.90 (t, J=7.4 Hz, 2H), 1.66-1.75 (m, 2H), 1.26-1.49 (m, 10H), 0.87 (t, J=6.8Hz, 3H), 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 132.2, 130.6, 128.8, 126.4, 31.93, 30.3, 29.9, 29.3, 29.2, 28.1, 22.8, 14.27.
実施例15
【0108】
【化14】

【0109】
THF(3 ml)に懸濁させた粉末状のテルリウム(150 mg, 1.17 mmol)に、フェニルマグネシウムブロミド(1 M in THF, 1.5 ml, 1.5 mmol)を0℃で滴下し、その後室温で1時間攪拌した。すべての粉末状テルリウムが溶解し黄色溶液となった後、1−フルオロオクタン(136.2 mg、1.03 mmol)を25℃で滴下し、0.5時間同温度で攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、セライトろ過した溶液をジエチルエーテル(10 ml)で3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、オクチルテラニルベンゼン24を285.0 mg、収率90%で得た。
オクチルテラニルベンゼン24のスペクトルデータ:
IR(neat): 3065,2954.7,2923,2852,1574,1474,1433, 1377,1156,1062,1018,998,
729.3,691.1 cm-1, 1 H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.73-7.7 (m, 2H), 7.28-7.17 (m, 3H), 2.89 (t, J=8.0 Hz, 2H), 1.83-1.75 (m, 2H), 1.38-1.25 (10H), 0.87 (t, J=6.8 Hz, 3H), 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 138, 128.9, 127.23, 111.72, 32.08, 31.92, 29.29, 22.79, 14.27, 9.0.
実施例16
【0110】
【化15】

【0111】
THF(2 ml)に懸濁させた粉末状のテルリウム(153.3 mg, 1.19 mmol)に、ビニルマグネシウムブロミド(1.4 M in THF, 1.0 ml, 1.4 mmol)を0℃で滴下し、その後室温で1時間攪拌した。すべての粉末状テルリウムが溶解した後、1−フルオロオクタン(124.3 mg、0.94 mmol)を25℃で滴下し、1時間同温度で攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、セライトろ過した溶液をジエチルエーテル(15 ml)で3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、オクチルテラニルエテン25を201.0 mg、収率80%で得た。
オクチルテラニルエテン25のスペクトルデータ:
1H NMR(400 MHz, CDCl3): δ 7.1 (ddd, J=10.0, 7.6, 10.6 Hz, 1H), 6.3 (d, 10.4 Hz,1H), 5.83 (d, J=18 Hz, 1H), 2.74 (t, J=7.6 Hz, 2H), 1.84-1.77 (m, 2H), 1.37-1.28 (m, 10H), 0.882 (t, J=6.4,7.2 Hz, 3H), 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 126.76, 106.99, 31.92, 31.75, 31.73, 31.67, 29.14, 29.10, 28.85, 22.59, 14.06, 6.24; MS (EI) m/z (relative intensity, %) 270 (M+, 37), 268(34), 266(22), 265(8), 264(5), 158(19), 157(13),156(17), 155(11), 154(11), 153(10), 152(5), 151(2), 131(4), 130(5), 129(4), 128(5), 126(3),71(89),69(13),57(100), 55(19), 43(68), 41(35); HRMS: calcd for C10H20Te (M+): 270.0627, found 270.0623;
実施例17
【0112】
【化16】

【0113】
THF(2 ml)に懸濁させた粉末状のテルリウム(306.0 mg, 2.4 mmol)に、1−プロピニルマグネシウムブロミド(0.5 M in THF, 5 ml, 2.5 mmol)を0℃で滴下し、その後2.5時間加熱還流した。これを室温に戻した後、1−フルオロオクタン(231 mg、1.75 mmol)を室温で滴下し、16時間加熱還流した。その後反応混合物を室温に戻し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、セライトろ過した溶液をジエチルエーテル(10 ml)で3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、オクチルテラニルプロピン26を406.0 mg、収率85%で得た。
オクチルテラニルプロピン26のスペクトルデータ:
IR (neat): 2922, 2852, 1465, 1377, 1286, 1247, 1221, 1200, 1158, 1002, 722 cm-1;1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 2.78 (t, J=8.0 Hz, 2H), 2.16 (br s, 3H), 1.89-1.82 (m, 2H), 1.43-1.29 (m, 10H), 0.89 (t, J=6.6 Hz, 3H),13CNMR (100 MHz, CDCl3): δ 107.27, 31.74, 31.54, 30.41, 29.1, 28.78, 22.6, 14.07, 9.1, 5.87; MS (EI) m/z (relative intensity, %) 282 (M+, 33), 280(32), 278(20), 170(17), 169(14), 168(17), 167(13), 166(11), 165(12),71 (86.37), 69(13), 57(100), 55(15), 43(76), 41(18); HRMS: calcd for C11H20Te (M+): 282.0627, found 282.0638 ; elemental analysis: calcd for C11H20Te: C, 47.21; H, 7.20; found: C, 47.18; H, 7.14.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(a):
−F ・・・・・(a)
(式中、Cはsp混成炭素を示す。)
で示される結合を有するフッ素化合物と、一般式(2):
Z−MgX ・・・・・(2)
(式中、XはF、Cl、Br又はIを示し、ZはI又は式:RY−で示される基を示し、YはS、Se又はTeであり、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアラルキル基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。)
で表されるマグネシウム化合物を反応させることを特徴とする、一般式(b):
−Z ・・・・・(b)
(式中、C及びZは前記に同じ。)
で示される結合を有する化合物の製造方法。
【請求項2】
前記フッ素化合物が分子内にFと結合したsp混成炭素(C)を2個以上有する請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
一般式(1):
【化1】

(式中、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、H、Cl、Br、I、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキニル基、アラルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アラルキルオキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、式:−CONR(式中、R及びRは、独立してH、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で示される基、式:−NR4’5’(式中、R4’及びR5’は、独立してH、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で示される基、アルキルスルフィニル基、アラルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、ヘテロシクロアルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、ヘテロシクロアルキルスルホニル基、複素環基、シアノ基又はニトロ基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。或いは、R、R及びRは、それぞれ2つ以上が結合して環状構造を成してもよい。)
で表されるフッ素化合物と、一般式(2):
Z−MgX ・・・・・(2)
(式中、XはF、Cl、Br又はIを示し、ZはI又は式:RY−で示される基を示し、YはS、Se又はTeであり、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアラルキル基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。)
で表されるマグネシウム化合物を反応させることを特徴とする、一般式(3):
【化2】

(式中、R、R、R及びZは前記に同じ。)
で表される化合物の製造方法。
【請求項4】
ZがIである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
一般式(a):
−F ・・・・・(a)
(式中、Cはsp混成炭素を示す。)
で示される結合を有し、かつ、該sp混成炭素(C)にFが2個以上結合したフッ素化合物と、一般式(2’):
Z’−MgX ・・・・・(2’)
(式中、XはF、Cl、Br又はIを示し、Z’はI、Br又は式:RY−で示される基を示し、YはS、Se又はTeであり、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアラルキル基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。)
で表されるマグネシウム化合物を反応させることを特徴とする、一般式(b’):
−Z’ ・・・・・(b’)
(式中、C及びZ’は前記に同じ。)
で示される結合を有する化合物の製造方法。
【請求項6】
一般式(4):
【化3】

(式中、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、H、Cl、Br、I、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキニル基、アラルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アラルキルオキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、式:−CONR(式中、R及びRは、独立してH、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で示される基、式:−NR4’5’(式中、R4’及びR5’は、独立してH、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で示される基、アルキルスルフィニル基、アラルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、ヘテロシクロアルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、ヘテロシクロアルキルスルホニル基、複素環基、シアノ基又はニトロ基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。或いは、R及びRは、互いに結合して環状構造を成してもよい。)
で表されるフッ素化合物と、一般式(2’):
Z’−MgX ・・・・・(2’)
(式中、XはF、Cl、Br又はIを示し、Z’はI、Br又は式:RY−で示される基を示し、YはS、Se又はTeであり、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアラルキル基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。)
で表されるマグネシウム化合物を反応させることを特徴とする、一般式(5):
【化4】

(式中、R、R及びZ’は前記に同じ。)
及び/又は一般式(6):
【化5】

(式中、R、R及びZ’は前記に同じ。)
で表される化合物の製造方法。
【請求項7】
一般式(7):
【化6】

(式中、Rは、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキニル基、アラルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アラルキルオキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、式:−CONR(式中、R及びRは、独立してH、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で示される基、式:−NR4’5’(式中、R4’及びR5’は、独立してH、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で示される基、アルキルスルフィニル基、アラルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、ヘテロシクロアルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、ヘテロシクロアルキルスルホニル基又は複素環基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。)
で表されるフッ素化合物と、一般式(2’):
Z’−MgX ・・・・・(2’)
(式中、XはF、Cl、Br又はIを示し、Z’はI、Br又は式:RY−で示される基を示し、YはS、Se又はTeであり、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアラルキル基であり、いずれの基も置換基を有していてもよい。)
で表されるマグネシウム化合物を反応させることを特徴とする、一般式(8):
【化7】

(式中、R及びZ’は前記に同じ。)
及び/又は一般式(9):
【化8】

(式中、R及びZ’は前記に同じ。)
及び/又は一般式(10):
【化9】

(式中、R及びZ’は前記に同じ。)
で表される化合物の製造方法。
【請求項8】
Z’がBr又はIである請求項6又は7に記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−162924(P2008−162924A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352726(P2006−352726)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】